7/9日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「世界遺産で勝った」韓国が次に狙うのは…… 「日本も強制性を認めた」と世界に発信を開始』について

日本がいくら“forced to work” は”forced labor”と違うと言っても大衆にそんな区別は出来ません。相手の言い分に乗っかるというのが如何に危険か外務省の偽エリートたちには分からないのです。

中韓の言ってくることは「おれおれ詐欺」と同じと言うことが全然分かっていない。言葉の裏にある意味、リスクについて民間の交渉でも脳漿を絞って考えます。揺さぶりをかけて来るのは外交では常套手段。それで相手の言いなりになってしまうというのは精神的タフネスが足りなさ過ぎ。最も不適な人間を交渉人として選んだという事でしょう。Facebookでは佐藤ユネスコ大使は懲戒解雇せよとありました。確かに昔なら切腹ものでしょう。女性は首を切ったところでしょう。如何に日本の官僚が危機意識がないかという事です。

官邸は外務省を信用し過ぎです。「登録最優先」なんていうからアホな外務省はすぐ譲歩するのです。韓国が汚い手を打ってくるのは「慰安婦」で分かっているでしょう。「無理な要求には屈せず席を立て」と何故注意しなかったのか悔やまれます。日本人もいい加減中韓のやり方に目を覚ましてほしい。一番いいのは断交です。別に国の命令でなく、日本企業・国民が付き合わなければ良い。それといい加減腐った左翼プロパガンダ新聞は取らないことです。そうすればTVしかなくなります。総務省も放送免許を入札制にして税金をもっとかけ、自由に放送局を設立できるようにしないと。左翼を潰すのは声高に騒ぐのでなく、これに限ります。いいものしか残らなくなりますから。

記事

 韓国メディアはお祭り騒ぎだ。日本の世界遺産登録と引き換えに、新たな外交的武器を勝ち取ったからだ。

初めて強制労働を認めた

—7月5日、明治日本の23の産業革命遺産がユネスコの世界遺産として登録されました。韓国紙は「日本に勝った」と大喜びしているそうですね。

鈴置:韓国政府は、うち7つの施設で朝鮮人労働者が強制労働させられていたと主張、登録に反対しました。結局、朝鮮人労働者に関し日本政府が言及することで両国は妥協、登録が実現したのです。

 韓国各紙が喜んでいるのは「日本の言及ぶり」です。ここで「朝鮮人労働者の強制連行を日本政府に初めて認めさせた」からです。

 中央日報の「日本『韓国人の意に反して強制的に働かせた事実ある』」(7月6日、日本語)は、以下のように韓国政府の成功をうたいました。

  • 尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は登録決定後に会見し「韓国側の正当な憂慮が忠実に反映された」と評価した。外交部の関係者は「事実上、初めて日本政府が国際社会に強制労役を公式的に認めたという点に大きな意味がある」と述べた。
  • 外交部の当局者は「当初の目標は7カ所の施設を遺産登録から除外することで(これは果たせなかった)が、日本が強制徴用を認め、日帝強占期に対する国際社会の認識を高めることができた。この成果がより大きかった」と述べた。

 韓国外交部も同日、ホームページ(韓国語)で日本政府代表が世界遺産委員会での公式発言で「強制して労役」という言葉を使ったことを強調しました。

「強制を意味しない」

—岸田文雄外相や菅義偉官房長官は「日本政府代表の発言は強制労働を意味しない」と説明していますが。

鈴置:日韓の間で最後まで揉めたのは、まさにその「表現」でした。不法な強制労働だったと主張する韓国は「forced labour」(強制労働)という言葉を使うべきだとしました。

 一方、朝鮮人の労働は戦時徴用(requisition)という、法に則ったものだったと主張する日本は「forced to work」(働かされた)を使うべきとしました。

 最後は日本の主張する「forced to work」を使うことになりました。そして「働かされた」という日本語訳を念頭に、岸田外相らは「強制労働を意味しない」と主張したのです。

 これに対し、韓国外交部は先ほど紹介したように「forced to work」を「強制して労役」と韓国語に訳し「強制労働だったことを日本に認めさせた」と言っているのです。外交的にはよくある玉虫色の解決です。

 ただ、正本は英語。「forced to work」です。もろに「強制労働」を意味する「forced labour」ほどではないにしろ「強制労働」と受け止められる可能性が高い、と指摘する専門家が多いのです。

 ことに7月5日のユネスコの世界遺産委員会での演説で、日本政府代表の佐藤地(くに)ユネスコ政府代表部大使は「brought against their will and forced to work under harsh conditions」と語りました。

 交渉の過程で韓国側と折り合うために盛り込んだ発言と見られます。これを日本政府は日本語では「その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の中で働かされた」と翻訳しています。

第2の河野談話か

 しかし、福井県立大学の島田洋一教授は自身のブログ「第2の河野談話か、世界遺産『意思に反し労働強いる』」などで、以下のように懸念しました。

  • 「brought against their will…」との表現も強制連行を想起させる。だから、韓国外交部もメディアに対し、日本政府代表の発言としてここを強調している。中央日報の「『強制労働でない』という日本に韓国政府『英語の原文を見るべき』一蹴」(7月7日、日本語版)を見るとよく分かる。
  • 日本政府代表は演説で『requisition(徴用)』という単語を使い、強制労働ではないことを主張した。だが、英語を母国語とする人でもこの単語を聞いてすっと意味が分かる人は少ない。するとそれを説明する「brought against their will…」部分を見て「強制連行、強制労働」を思い浮かべることになる。

 実際、聯合ニュースは世界に向け英文でこの部分を配信しました。「S. Korea, Japan stand apart over world heritage deal」(7月7日)です。

 この記事は岸田外相らの「強制労働を意味しない」との発言を、日本の食言として批判したものです。「brought against their will…」は、日本政府がいったんは強制性を認めた証拠として引用されているのです。

韓国の口約束を信頼

—日本の各紙は「岸田外相は尹炳世外相から『日本がそうした発言をしたからといって国内の裁判で利用することはない』と言質をとった」と報じています。

鈴置:現在、戦時中の朝鮮人徴用工が補償を求め、日本企業を韓国の裁判所に訴えています。日韓正常化の際の基本条約で「両国間の財産、請求権一切の完全かつ最終的な解決が確認されている」のですが、日本企業の敗訴が続いています。

 日本政府は、こうした裁判への影響を恐れ尹炳世外相から『国内の裁判で利用することはない』との言質をとったのでしょう。

 しかし、それは口約束に過ぎません。韓国の都合によりいとも簡単に反故になるでしょう。島田洋一教授は先のブログで「慰安婦」問題に直ちに影響を与えるだろうと予測しています。

  • 韓国人一般を強制動員・強制労働の対象とした日本が、慰安婦についてのみ強制を控えたと考えるのは非合理、と(韓国の)反日勢力は慰安婦問題でも攻勢を強めるだろう。

 神戸大学大学院の木村幹教授も「brought against their will…」に関し「今、元慰安婦も元徴用工も米国で、日本政府などを訴える準備を進めている。この日本政府代表の英語での発言を韓国は十二分に活用するだろう」と語っています。

 韓国は日本の世界遺産登録に難癖を付けることで、大きな外交的な武器を手にしたのです。朴槿恵(パク・クンヘ)政権としては「日本にひと泡吹かせた」という国民の喝采も得られましたし。

奇襲に狼狽した日本

—日本政府はなぜ、そんな言質を与えたのでしょうか。

鈴置:専門家の間でもそれは謎なのです。世界遺産への登録に必死になるあまり「徴用工」や「慰安婦」への影響を考えるのがお留守になった、との見方もあります。

 ほぼ決まった、と安心しているところに韓国から突然に横やりが入ったので狼狽したのかもしれません。日本の困惑ぶりが、4月10日の下村博文文部科学相の会見にのぞいています。以下です。

  • 山口、九州の近代産業遺産群は、いわゆる韓国の主張される1910年以前のお話で、そこに強制的に朝鮮の方の労働が行われたとかいうことではない、つまり時代が全然違う話なわけですね。
  • ですから、韓国の主張、懸念は、この近代工業明治遺産については当たらないということを、詳しく丁寧に説明をしていきたいと思います。
  • このことについては、韓国の文化大臣と2度ほどお会いしたことがありましたが、昨年、一昨年と、韓国側から懸念が出たときに、そういうことを申し上げました。それに対して、特に反論はありませんでした。

「言いつけ」で墓穴

 下村文科相も指摘するように、昨年までに2度に渡って説明しても文句を言わなかった韓国政府が、世界遺産登録直前になって突然、大騒ぎしたのです。何と、大統領までがユネスコ高官に「言いつけた」のです。

 あるいは日本政府は「慰安婦」と同様に「徴用工」の問題も、日韓基本条約ですべて解決済みと主張すればいいのだ、と判断したのかもしれません。

 ことに韓国が「慰安婦」で執拗な言いつけ外交を展開した結果、米国の韓国疲れを呼ぶなど自ら墓穴を掘ったことも、日本の強気材料になったのかもしれません(「朴槿恵外交に噴出する『無能』批判」参照)。

 しかし「慰安婦」では、日本が法的に正しかったから米国の支持を得たのではありません。韓国のやり方があまりに強引だったからです。それを考えると、何も「徴用工」という新たな対日攻撃材料を韓国に与えることはないのです。

逆転勝ちの韓国

—「日本をやっつけた韓国」は強気になりますか?

鈴置:4月以降「無能外交」「外交敗北」などの見出しが新聞に躍っていました。米中を背景に日本を叩く、という戦略が破綻したからです。韓国全体がしょげ返っていました。

 それが一転、元気が出た感じです。「世界遺産」は世界中の国を味方に付け、日本叩きに成功したケースと韓国人が考えたからです。他国の力を使って日本を叩く――という発想は間違っていなかったのだ、と自信を取り戻したのです。

 中央日報の「韓国、『逆転判定勝ち?』(6月6日、日本語)は、日本が5年間もかけて周到に準備した遺産への登録を「逆転勝ち」できたのは国を挙げての国際社会への働きかけが奏功した、と書いています。以下です。

延期は日本に打撃だった

  • 朴槿恵大統領は4月の中南米訪問で会員国のコロンビア・ペルーの大統領に会ったのに続き、5月には訪韓したインド首相に会い、韓国側の立場を詳細に説明した。最近は19委員国すべてに親書を送った。
  • 尹長官は6月、世界遺産委員会議長国のドイツに行って外相会談を開き、マレーシア外相に会いに米ニューヨークへ行った。政府当局者は委員国の関係者と接触する際、強制徴用関連の写真、証言録などを動員した。当時、「こうした歴史的な事実があったことを全く知らなかった」という反応が多かったという。
  • 国会も動いた。鄭義和(チョン・ウィファ)国会議長は5月にインドを訪問し、訪韓したベトナムのホーチミン党書記と夕食会で文化遺産登録問題を議論した。羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)国会外交統一委員長も4、5月、委員国の国会外交委員長あてに書簡を発送した。
  • 国際社会の圧力もあった。議長国ドイツのシュタインマイヤー外相は先月、尹炳世外相との会談で、「両国が合意できなければ、次の会期の来年にまた議論することも可能」という考えを明らかにしたという。来年また議論するという発言は日本には大きな負担だった。韓国の委員国任期は2017年までだが、日本の任期は今年11月までだった。
  • 米国のマイク・ホンダ氏(民主)、クリス・ギブソン氏(共和)ら下院議員6人は3日(現地時間)、マリア・ベーマー世界遺産委員会議長に連名書簡を送り、「日本が自国の現代史を強調することには反対しないが、第2次世界大戦当時の連合国戦争捕虜の歴史が抜けたのは遺憾」と明らかにした。

松下村塾も排撃する

 自信を取り戻した韓国では、今回登録が決まった松下村塾も排撃の対象にしようとの声が上がりました。聯合ニュースの「松下村塾の世界遺産登録 韓国政府『問題意識ある』」(7月7日、日本語版)は、以下のように報じています。

  • 7日の定例会見で記者の質問に答えた外交部の魯光鎰(ノ・グァンイル)報道官は「世界遺産委員会のレベルで(問題を)提起するのは効果的でない面がある」と述べ、今後、世界遺産を離れたほかの場でこの問題を検討する考えを示した。
  • 松下村塾は江戸時代末期に吉田松陰が主宰した私塾。吉田松陰は征韓論や大東亜共栄圏などを提唱し、朝鮮の植民地化を含めた日本の帝国主義政策に理論を提供した。安倍晋三首相が最も尊敬する人物とされている。

—すっかり元気になりましたね。それにしても感情の起伏が本当に激しい……。

鈴置:それが韓国です。そんな、情緒的な外交を展開する自分の国を匿名で厳しく批判するヴァンダービルド氏が「世界遺産」に関し筆をとりました。ワールドカップの日韓共催になぞらえ、韓国人に「調子に乗るな」と警告を発しています。

 「ユネスコ事件は2002年ワールドカップの再現」(7月6日、韓国語)を要約します。

慰安婦問題がもう1つ

  • 2002年のワールドカップ開催はまず日本が動いた。韓国は遅れた。そこで政治的なカードを使った。第3国は韓日の先鋭的な対立を懸念、共同開催案を提示した。拒否した側には賛成票を投じないと妥協を勧めた。結果、共同開催が決まった。
  • 世界遺産もまず、日本が関心を持ち、韓国が後から関心を持った。登録阻止が難しいと考えた韓国は強制労働も説明せよと政治カードを活用。第3国は韓日の先鋭的な対立を懸念、票対決で苦労をかけるなと妥協を勧めた。結果、強制労働を説明するとの条件付きで登録が決まった。
  • 今後の展望は以下だ。朝鮮人強制労働をついに日本が認めたと、韓国内の特殊な性向を持つ団体が今後、本格的に政治問題化するかもしれない。慰安婦が先例だ。慰安婦の強制性を匂わせた河野談話により問題が解決すると日本は考えたが、結果は反対になった。
  • 韓国政府が特殊な性向を持つ団体に引きずられがちであることを考えると、強制労働が問題化すれば、韓日関係が悪化し、第2の慰安婦問題と化す可能性がある。
  • 政府も国民も「韓日関係の悪化→韓米日協調に亀裂→韓米同盟の弱体化」を念頭に置き、特定勢力の反日扇動に流されないよう、慎重に処すことが大事だ。

中国も韓国の味方だ

—ワールドカップで日韓関係が悪化し、それが韓米同盟にも打撃を与えた、ということですか?

鈴置:ヴァンダービルド氏は書いていませんが、日本が単独開催しそうになったところに韓国が割って入ったので日本から恨まれ、1997年の通貨危機につながった、と考える韓国人もいます。

—「徴用工」は「第2の慰安婦化」しますか?

鈴置:韓国人が冷静に国益を考えれば、当然、ヴァンダービルド氏の意見に従うでしょう。でも今、韓国人は「世界を味方に日本を叩けるようになった自分」をとても愛おしく思っているのです(「『目下の日本』からドルは借りない」参照)。

 そんな中、「極右のアベ政権の外相や官房長官が、徴用工の強制性を否認した」のです。新聞の社説も一斉に日本攻撃を始めています。

 世論の風向き次第では「徴用工の強制性」を認めなければ、日本との首脳会談は開くべきではない、といった声が出てくるでしょう。

 7月6日、中国外務省の華春瑩・副報道局長は世界遺産に関し「日本は第2次世界大戦中の強制労働政策について適切な措置を取ると約束した。実際の行動でアジアと国際社会の信頼を得るべきだ」と述べました。

「俺が付いているぞ。思う存分、日本と戦え」とのメッセージです。韓国にとっては百万の味方を得た思いでしょう。