7/13宮崎正弘メルマガ『米中もし戦わば、「そこには11のシナリオがある」(プラウダ)   ロシアは米中戦争で最大の漁夫の利が得られるだろうと示唆。』について

中国もロシア同様、オバマが大統領でいる限りアメリカは何もしてこないだろうと読んでいます。しかし来年の11月の選挙、再来年の1月の新大統領就任後に今のようなことができるかです。ヒラリーにしても、ジェブ・ブッシュにしても中国には強硬な態度を取らざるを得ないでしょう。それが大統領交代の意味ですから。キッシンジャーだって宗旨替えしたのですから、献金を受けていたヒラリーにしろ、父が米中連絡事務所長であったブッシュにしろ、相当態度を変えるでしょう。ペンタゴンは相当オバマに怒っているはずです。

これはロシアの希望的観測というか中国を使嗾して戦争を起こさしめ、漁夫の利を狙っているのは明らかです。ロシアが中国の軍事の実力を知らないはずがありません。ウクライナが売った空母「遼寧」はポンコツ同然で使い物にならないそうです。練習用空母と言ってるそうですが。空母も運用できない海軍がどうやって戦うのでしょう?大日本帝国海軍の空母にはカタパルトがない時代でしたが、米軍空母を相手に空母戦を展開しました。中国の政治的プロパガンダというのはロシアも百も承知のはずです。A2/AD戦略を唱え、中国のクルージング・ミサイルの性能が上がったので、建造費の高い空母は中国に近づけないというのが中国の主張でした。ロシアは中国の言い分を鸚鵡返しに繰り返しているだけです。日高義樹氏の『中国敗れたり』によれば、クルージング・ミサイルのスピードが遅く迎撃できるし、その間米軍が何もしないことは考えにくい。核を使用しなくとも、キャプター型機雷を中国沿岸に敷設すれば、中国に入ってくる石油はストップし、継戦能力は格段に減っていきます。そんなことも知らない中国人だとは思えません。彼らは大言壮語・政治的プロパガンダするのが得意ですが、戦闘は不得意です。利に敏い中国人が米国相手に戦争するとは考えにくい。日本にも今だったら負けると言われているのに。オバマのアメリカだから今のうちに侮辱しておこうと思っているのでしょう。でもアメリカの怒りは深いところで渦巻いているはずです。鄧小平だったら「有所作為はまだ早い」と言ったのでは。やはり政治家の資質が小さくなったのでしょう。

記事

 プラウダ(英語版、6月24日)には米中戦争、11のシナリオが描かれた。行間には米中戦争への「期待」(なぜなら「最大の漁夫の利」を獲得できるのはロシアだから)がにじみ出ている文章となっている。

 米中それぞれは大規模な軍事衝突への準備を怠っていない。米中の貿易関係に甚大な悪影響を与えることになるだろうが、それよりも深刻な利害関係の衝突が基底に流れているからだとして、プラウダが掲げたシナリオとは、

 第一に中国は「米国が南シナ海における岩礁の埋立に中止を求めることを止めない限り、米中の戦端が開かれることは『不可避的』であると中国共産党系の新聞が幹部の発言として何度も報道している。

 第二に米国の見積もりでは、戦時動員の中国人を1400万人としている。オバマ政権はハッカーを含めずに情報、軍事インテリジェンスに従事する中国人を準戦闘員として捉えている。

 第三に中国は台湾攻撃を想定した軍事演習を大規模に繰り返している。もし中国が台湾を侵略した場合、台湾関係法に依拠して米国が乗り出してくることは明らかである。

 第四に中国の数千隻の『商船』は、戦闘となれば、準軍事目的で転用される。戦争の兵站、後方支援などの目的でこれら中国籍商船は機能的に転用できるようなシステムが構築されている。

 第五に中国は米空母攻撃用のミサイルを開発している(ペンタゴンは、この『空母キラー』と呼ばれる新型ミサイルを脅威とみている

▲中国の戦略ミサイルはMIRV化し、米国とのバランスは対等になった

 第六に中国は核ミサイルの多弾頭化を進捗させており、ミサイルの弾頭数における米中バランスは対等となる。

 第七に中国が保有したMIRV(多弾頭ミサイル)は超音速、そのスピードにおいて米国諸都市に達する時間は想定より早くなったと考えられる。

 第八に潜水艦発射型ミサイルを搭載した中国海軍の潜水艦が、スクリュー音を出さない新型を就航させているため発見がしにくくなった。

 第九に上記ミサイル搭載の潜水艦の基地は海南島であり、南シナ海への出撃ベースとして構築された。

 第十に「ジン級」潜水艦に搭載されているJL型ミサイルは射程7350キロであり、全米50州の軍事目的に向けてほぼ同時に発射されることが可能と米議会報告書は述べている。

 第十一に中国の軍事費は毎年二桁成長を続けてきたが、公式にも本年の国防費は1320億ドル(10・2%増)となった。軍事縮小が顕著な米国と対比的である。昨年も中国の軍事費は1140億ドルで前年比10・7%増加した(ちなみに米国の同年度の国防費は6004億ドルだったが)。

 米国は多国間と軍事演習を繰り返しているが、これらの基本は中国との軍事衝突を前提としたものであり、2009年に提示された「エア・シー・バトル」に沿った演習となっている。

こう見てくると米中軍事衝突は不可避的であるとするのがロシアである。