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12/21日経文化欄 芳賀徹氏『渡辺崋山を想う』について

芳賀氏は本記事で言いたかったのは『今の日本は「平和ボケ」しているが真のエリートが出て、日本海・東支那海波高しの状況を変えてほしい。明治維新の達成の源流が徳川の教育にあったように、平成以後の危機も昭和の教育(戦後民主主義教育のことではない)こそが解決できるのでは』と言うことでは。「戦争反対」と念仏を唱えていても、遅れてきた帝国主義者・中国の欲望は果てしなく、日本を韓国同様属国にするまで侵略し続けるでしょう。真のエリートが出てほしいと願っています。目先の金儲けしか考えない財界人はいくら財界・会社で地位が高くても、エリートとは言いません。老後のことを考え、天下り先を増やすことしか考えないような東大卒に代表される官僚も真のエリートとは言いません。崋山のように、国のために命を賭けて戦う人こそ真のエリートです。松陰の言った「草莽崛起」こそ、我々が目指す道です。

記事

はが•とおる 比較文学研究者。1931年山形県生まれ。東大教養卒。著書に「渡辺崋山」 「平資源内」「絵画の領分」「詩歌の森へ」など。静岡県立美術館長。

徳川家康(一五四三〜一六一六)が没して再来年は四百年。それを記念してさまざまな行事がすでに動き始めている。私 たちの美術館でも、ニ○一六年秋には「徳川文明展」を催すべく準備を始めたところだ。家康一人の顕賞ではなく、徳川体制の下に工夫され、築かれ、維持されて享受された「徳川の平和(パクス•トクガワーナ)」二百五十年(一六○三~一八五三)の意味を問い直そうという試みである。

□ □ □その文明展に入れられるかどうかはまだ不明だが、いま私が思い浮かべるのは、むしろ「徳川の平和」の終焉を予感して苦悩した一人の武士知識人、渡辺崋山(一七九三 〜一八四一)のなつかしい姿である。崋山が三宅藩の年寄役に任じられ、海防事務掛をも兼ねることになって、久しぶりに三河の田原に帰った天保四年(一八三三)のことだった。 四月半ば、彼は領内検分の小旅行に出て、渥美半島の突端の伊良湖岬に立った。沖合一里ほどに神島が見える。まるで外洋に向かう巡洋艦のように颯爽たる姿の、いまも美しい小島である。三島由紀夫が小説『潮騒』の舞台に選んだことでも有名になった。領外ではあっても、崋山は海防掛としてこの島に渡ってみた。強い潮流に難儀しやっとの思いで島に上ると、そこはまるで別天地だった。彼は部下二人とともに網元の家の世話になったが、珍客到来というので村の漁民男女が次々に集まってくるのだ。崋山はこの時の旅日記『参海雑志』に「かの桃源に入りし漁夫もかくやと思い出しなり」と書いた。そして翌日早朝、海岸散策に出たときの記録—-「およそ此の島の人、男は素朴にて偽な<、女はいとこころやさしくて ……なかなかめで度ぞ見えし。やがてたばこくゆらしつつ海の朝日の出るを見んと、東の磯に立ち出づ。とく起きて磯草乾せる女に案内させて、しろき巌の家よりも大きやかなるが波打際に從えでたるによぢのぼりてながむる。はてしなき海原の大空につらなりて、横雲の赤く紫にたなびきたるさま、波のみどり深く黒みたる、四人の称る大東洋にして、かの亜墨利加とかいへるわたりもこの海原よりつらなれりと思ふに、まことに世の外の思ひを生じ……」

十九世紀日本のもっともすぐれた武士知識人にして武人画家であった人、渡辺崋山の面目躍如たる一節ではないか。こ の人のなかに宿されていた感受性のゆたかさ、心の優しさ、そして思想のひろがりが、おのずからここにあらわれている。崋山ほど、名もなき民衆の健気な日々の営みとその表情にこまやかな親愛の情を寄せていた武人は、他にめったにいなかった(彼の若き日の素描集『一掃百態』は『北斎漫画』にも立ちまさる)。 その一方で崋山はまた、たばこをくゆらしながらでも、太平洋を眺めればその遠いかなたのアメリ力に思いを馳せずにはいられない人だったのである。

□ □ □

彼はこの藩領巡察の前の年から、小関一英、高野長英の二人を相手にして本格的に西洋研究を始めていた。二人とも長崎でシーボルトに学んだ当時最優秀の洋学者であった。江戸の三宅藩邸内でつづけたこの研究会は、尚歯会と呼ばれ、やがて幕臣の川路聖謨や江川英龍(太郎左衛門)ら開明派の俊秀たちもこれに加わってくる。尚歯会で蘭書を読み内外の情報を集めて研究すればするほど、西洋列強の露骨なアジア進出の形跡は明らかになり、日本国の内憂外患の現状への彼らの焦慮はつのっていた。崋山はその点でことのほか鋭敏だった。彼が神島のみならず江戸で日々に接する民衆は、みな今なお「徳川の平和」の永続を信じて、つつましくも懸命に立ち働いている。「四海波静か」の世界が「波高し」に急変しつつあることを彼らはまだよく知らずにいる。それならば彼ら名もなき民の平穏と小さな幸福を守りつづけてやることこそ、エリートとして武士知識人の現今最大の責務ではないか。「徳川の平和」はついに終章に入りつつあることを崋山はすでに明らかに自覚 していた。

□ □ □

彼が「慎機論」を書き「西洋事情御答書」を書いて、激越な言葉で徳川幕政下の為政者たちの平和ボケ批判を敢行するのは、あの神島渡海からわずか五、六年後のことだ った。その言動が蛮社の獄に直結して、死刑は免れたが田原蟄居に処せられるのが天保十一年(一八四〇)の正月。その翌年十月十一日の夜、崋山は満四十八歳で自刃する。 太平洋の波音の遠く聞こえるなかで、愛弟子の画人椿椿山にあてて書かれた遺書は、あまりにも悲痛である。「数年の後一変も仕り候はば、悲しむ人もこれあるべきや。極秘永訣此の如くに候。」—– 中国大陸にアへン戦争はすでに始まっていた。ぺリーの黒船来航の十二年前のことだった。しかし考えてみれば、この崋山らのような卓越した武士知識人、藩をこ えて新しい公への責務を強く自覚する武士エリ—卜たちを生み、教育し、 活躍させたのも、徳川の日本にほかならなかった。そのことを私たちは 忘れるわけにいかない。徳川日本の文明は、みずから蓄えた智恵と勇気をもって、新しい国際関係の圧力に対抗し、開国し、自己変革のための近代化策を次々に講じて、明治維新のなかに摂取されていった。その御一新の当の実行者たちも、実はみな「徳川の平和」の充溢のなかで学び、能えられて、崋山の遺託した「数年の後(の)一変」に身を艇しようとしたエリー卜たちだったのである。

12/18日経ビジネスオンライン『見事に空回りする朴槿恵政権 「分水嶺の韓国」を木村幹教授と読む(2)』記事について

本日(12/21)日経のコラム「春秋」に韓国のナッツ姫を揶揄する記事が載っていました。彼らマスコミは権力者と戦うフリをしながら「弱いもの」を叩くことしかできない卑怯者の集団です。世界で「慰安婦像」を建立する運動が展開しようとしているのに彼らは何も言いません。朝日新聞が誤りを認めたのに、それを日本人として世界に伝道していくのが彼らの使命だと思います。「広義の強制性」なんて事後法で裁くようなもの。分かっているのにやらない。「慰安婦」報道がされた時点で、秦郁彦教授が済州島で実地に調査したのは1992年3月です。その時点で吉田清治の話は嘘と気づいたはずです。「不作為」の罪たるや大きなものがあります。これによる国益毀損は計り知れません。石川久遠氏によればマスコミは在日に牛耳られているようです。数の上で圧倒的に多い日本人が上に行けない会社というのはおかしくありませんか?不買運動、TVは見ない運動をしないとダメかも。でも読売が朝日新聞の誤報を英文で伝えたことをBBCのglobal newsで事実を淡々と伝えていました。6割くらいの理解ですが、おかしなことは言っていなかったと思います。こういう地道な取り組みが重要。国民はもっと国際問題、国内政治に関心をもたないと、世界で嘘を吹きまくられるし、騙されます。何せ「騙す人が賢く、騙される人が馬鹿」という民族を相手にしているのですから。

石川久遠氏 在日の恐ろしいマスコミ支配 在日枠について

 1)1960年代~

テレビ放送が始まってまもなくの頃、放送中のちょっとした言葉づかいの問題 に対して、 朝鮮総連からテレビ局及び経営幹部の自宅に対して脅迫に近い抗議行動が繰り返された。(例えば「朝鮮民主人民共和国」を「北朝鮮」と言うと猛抗議を受けた)どのテレビ局も「北朝鮮…朝鮮民主人民共和国」という不自然な言い方をしていた。抗議行動に対する「手打ち」として、採用枠に「在日枠」が密かに設けられた。総連幹部の子弟を中心に入社は無試験、形式的な面接だけでの採用が毎年続いた。在日枠の密約を所轄官庁に対して内密にしてもらうよう局側から総連に「お願い」をして、更に弱みを握られるなど、素人のような甘い対応で身動きがとれなくなっていった。

 2)1970年代~

政府を叩きさえすれば世論が喝采する狂った時代。在日社員の「反日番組」を「権力に対するペンの戦い」「調査報道」と勘違いした経営幹部が、社内で在日を積極登用するようになる。「日本人社員と在日社員に昇進の差別があってはならない」 などと理想論を述べたのは良かったが、結果を見れば、課長、部長と昇進してきた社員は、帰化した在日二世ばかりで、理不尽なまでに在日を優遇する逆差別人事が徹底された。 異を唱えた日本人社員は徹底的にマークされ、営業や総務など番組制作の第一線から退けられる。

 3)1980年代~90年代

昇進した在日社員が主要な報道番組のプロデューサーや報道局長など、決定的なポストを占めるようになる。サヨク週刊誌「週刊金曜日」の在日編集長(故 筑紫哲也)をキャスターに迎えた「ニュース23」の番組が学生時代に学生運動に没頭した団塊の世代の視聴者の支持により高い視聴率を得る。1989年の参議院議員選挙では「土井社会党」の「マドンナブーム」を演出し「消費税反対キャンペーン」で徹底的に援護した。宇野総理のスキャンダルを連日報道し、社会党党首を徹底して「おたかさん」と呼ぶなど、あからさまな社会党支持を打ち出し。社会党を地すべり的勝利に導いた。「山が動いた」などと扇情的な報道もした。

 4)1990年代~2000年代

偏向報道、捏造報道、取材情報を特定の勢力に提供するなど、報道機関としての存在を否定されかねない不祥事が続発した。TBSと同様に「左翼的」と呼ばれる朝日新聞、系列のテレビ朝日が、どちらかといえば「北京の意」を汲んだ報道が多く、その手法が良くも悪くも緻密で計算高いのに対して、TBSの場合、この時期に発生した数多くのトラブルは、殆んど全てが朝鮮半島絡みであった。不祥事の内容も、テロを実行した朝鮮カルトの手伝いをしたオウム事件を筆頭に、粗雑で行き当たりばったりの取材と報道振りであった。バブル崩壊以降の景気低迷で、ただでさえ厳しい広告収入が、「サラ金」と「パチンコ」に大きく依存。正に、在日朝鮮人の資金で、在日朝鮮人が運営しているのがTBSテレビであった。2005年以降は、もっと露骨なカタチで在日のスターを「作り上げる」ような番組制作が為される。「在日は武器」= 在日である事自体が入社試験の強力な強みとなった。独島は韓国の領土だと言わんばかりに竹島の韓国名の独島と面接で発言し入社できる日本企業が在日企業である。TBSは違法入社した在日が幹部になり、コネで在日を入社させている。(毎日新聞も同様)公正と中立。その社会的立場を遵守すべきメディアがおかしい。その中でも、TBS(毎日系)の報道が際立って偏向している。まるで、中韓の出張メディアのようだ。偏向放送が増える理由は、その制作に携わる人物に偏向した輩が増えているからだ。その中に、創価学会の隠れ信者や、日本国籍を持たない恨みの民族が増殖する。まともな放送が出来なくなるはずだ。TBSの人気アナウンサー安住紳一郎は生放送中「うちはハングルが読めないと出世できません。僕は読めませんから…」と自嘲気味に不満を漏らした。作為的な放送をもって刻々と社会に逆貢献する。メディアに携わる者が持つべき基本姿勢は無い。ひたすら自らが所属する組織の権益、利害を守る為の「要員」でしかない。かねてより、TBSに「在日採用枠」がある、との情報が漏れ聞こえていた。それは、表向きの社内人事制度の中の「採用枠」というよりは、「コネ」「縁故採用」に近い「同志、同胞の増殖」の為の見えざる流れである。つまり「枠」ならば人数制限があるが、「見えざる流れ」には制限がない。こうした流れを放置し続ければ、この先、臨界点を超えた時点で、危険な宗教の信者や国籍を持たない「社員」によって、TBSが占拠されてしまいかねない。採用側の人物も彼らの同胞であろう。TBSと同様の傾向は、他のメディアにも見られる。忌むべき事態である。ここは日本国である。企業経営者や責任者がこの流れを容認すること自体、真正の日本人学生の就職活動の妨げであり、日本国籍を持つ日本人に対する明らかな「差別」である。

各界に広がる在日民による侵蝕

半島勢力を日本国内へと誘導する。この流れの背景には、あの公明党らが制定に躍起になった「個人情報保護法」がある。この個人情報保護法の制定により、企業の採用活動には暗幕が降ろされる事になった。出自や宗教、思想信条など、それらの事項を採用判断に取り込めなくなったのである。マスコミへの脅迫や嫌がらせ、在日のパチンコ、ロッテ、サラ金などのスポンサーの圧力、朝鮮系カルト創価学会のNHK、民放支配による恐ろしい情報操作、これだけの「在日、韓国、北朝鮮勢力」が捏造した歴史が、テレビでも、新聞でも、学校の教科書でも、普通に掲載されるという恐ろしい朝鮮人の邪悪な権力が蔓延っている。在日スポンサーの圧力と朝鮮総連の脅迫、嫌がらせの事実は全く報道されない。 在日枠が事実だと実感させ、唖然としたのはNHKのEテレのバラエティである。「自己主張できない日本の草食系男子はモテず、自己主張できる中国、韓国人の肉食系男子が持てる」と言う日本人を侮辱するバラエティ番組内容だ。もう在日朝鮮人によりNHKが乗っ取られているのである。

記事

「朴槿恵(パク・クンヘ)政権はなぜ、空回りするのか」――。木村幹・神戸大学大学院教授が「指導力」から解き明かす(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

鈴置:総選挙で自民党が勝ちました。韓国メディアは露骨に不快感を表明しています。いろいろ理屈をつけていますが、要は「極右のアベが首相を続ける。『慰安婦』で日本に頭を下げさせるなんて当分、不可能になった」との不満からでしょう。

日本がうらやましい

木村:もう1つ、この総選挙に関しては興味深い反応がありました。韓国人、ことに何らかの形で政治に関わっている一部の人たちから「必要な時に国会解散・総選挙によって民意を問える日本がうらやましい」との声が聞こえてきたことです。 こういった発言の背景にあるのは、政治や社会の閉塞感が高まっているのに、自らの政治的意思を示すことで打破できない、とのいら立ちだと思います。韓国の大統領は法律違反などの理由で弾劾されない限り、5年間の任期を全うします。また、大統領には任期4年の国会を解散する権利はありません。

87年体制の崩壊

鈴置:閉塞感が高まってきた2014年秋には、憲法改正論が韓国紙に登場しました。「87年体制の終焉」という言葉も登場しました。日本の政治用語「55年体制」をもじったものかもしれません。日本から独立した韓国は、1948年に米国の指導の下、民主主義国家の形をとって出発しました。でも、2度にわたる軍人のクーデターで権威主義的な体制――いわゆる軍事独裁が30年近くも続きました。言論の自由は大きく制限されました。拷問も当たり前のように行われるなど、民主主義とはほど遠い状況でした。ちなみに1961年に1回目のクーデターを主導したのは、朴槿恵大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)少将です。朴正煕政権時代の1972年以降、大統領は与党に有利な間接選挙で選ばれるようになりました。大統領がちゃんとした直接選挙で選ばれるようになったのは、1987年の民主化からです。そもそも、民主化運動を進めた側の最大の要求が「直選制」だったのです。民主化後、初の選挙では保守が政権を維持しました。しかし、10年後の1997年の選挙で初めて革新が勝ち、いわゆる政権交代も実現しました。韓国人は第2次大戦後に独立した国の中で、経済成長だけではなく民主化にも成功したまれな例、と自らを誇るようになりました。しかし最近、閉塞感が社会に広がると、憲法を改正して今の政治システムを変えねばならぬ、との主張が出始めたのです。

憲法への八つ当たり

木村:確かに最近、改憲論が盛んに語られています。でも、注意しなければならないのは、彼らがそれを実現すべき目標として真剣に語っているようには見えないことです。本気で憲法を変える気はない。しかし、現状への不満が高まる中、その矛先をとりあえず憲法に向けているように思えます。韓国人の多くは、民主化以降27年間も続いている「87年体制」に愛着もあるし、誇りもある。今の改憲論は、閉塞感や不安感のはけ口――現憲法への言わば「八つ当たり」に過ぎない気がします。

鈴置:韓国の保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が面白い指摘をしています。木村先生と同様に、改憲論を「八つ当たり」と見ています。TV朝鮮で語ったもので、趙甲済ドットコムの「憲法否定勢力が改憲を語ることができるのか」(10月22日、韓国語)で読めます。関連する部分は以下です。

父よりも権威主義的

•改憲論議の核心は「大統領の1回限りの5年の任期に問題がある」ということだろうが、私は現憲法は成功したと見る。大韓民国の政治に問題があるとするなら、制度の問題ではなく運用する人々の問題だ。

•朴正煕元大統領はポピュリストではなかった。一方、朴槿恵大統領はポピュリスト的な側面が強い。だから、父親の朴正煕元大統領よりもはるかに選挙に強く「選挙の女王」と呼ばれるのだ。

•朴正煕元大統領は強く権威主義的に見えたが、内面は柔軟な人だった。これに対し朴槿恵大統領は表は柔らかいが、内は相当に権威主義的だ。

趙甲済氏も今の改憲論は、形を変えた朴槿恵批判と見ています。なお、趙甲済氏自身も大統領を「ポピュリスト」と批判的に見ている部分があることを隠していません。確かに、多くの改憲論者が「1回限り5年間の任期」を「4年間で再選可」にしようと主張します。その理由は「『5年で1回』は有能な人には短すぎる。無能な人には長すぎる」です。ここで、朴槿恵大統領が前者と見なされていないのは確実です。議院内閣制への改憲論も語られます。機動的に指導者を交代させられることと、強すぎる大統領を阻止できることへの期待です。朴槿恵大統領の統治能力への不信と、権威主義的なやり方に反発が高まっていることが背景にあります。

保守派に危機感

–朴槿恵大統領が父親よりも権威主義的、とは厳しい評価ですね。

鈴置:趙甲済氏は必ずしも権威主義を否定していません。ただ、やるならやり方がある、と言っています。以下は彼の意見の続きです。

•朴正煕元大統領は意思決定の過程で実務者の意見を重視した。権威主義的な政府が効率的であるためには、正確な情報を持たねばならないからだ。

•朴槿恵大統領は実務者に会いもしないようだ。それでは本当の情報は得られない。権威主義的な統治で情報判断が乱れれば、事故を起こす。

木村:現在の韓国の閉塞状況を理解するための、最も重要なポイントがここにあります。保守的な韓国人でさえも、というか保守派こそが、かつては自らが期待した朴槿恵大統領のリーダーシップに懸念を抱くようになっているのです。

–「保守派こそが懸念を抱く」のですか?

「原則固守」でこじれる

木村:まず、一部の保守派には、朴槿恵大統領が失敗すれば次の選挙で進歩派の野党に政権をとられる、との心配があります。 だからこそ「もうちょっと上手にやってほしい」とハラハラして大統領を見守っている感じです。実際、この政権の運営はかなり危くなっています。現在の状況をもたらしたのは、朴槿恵大統領の柔軟さを欠いた政治手法です。分かりやすく言えば、大統領の手法は1つしかない。それは「当初に立てた原理原則を最後まで貫く」です。相手には決して妥協せず徹頭徹尾、自らの要求を押し通す。これは一見、格好いいのですが、政治には相手がありますから成功する保証はありません。むしろ、原理原則を貫くため、相手に拒否されてしまうことの方が多い。すると朴槿恵大統領は、さらに相手に対する攻撃を強めることで原理原則をのませようとします。この結果、時に問題はますますこじれてしまう。

韓国こそが孤立

鈴置:対日外交がその典型ですね。「慰安婦で日本が譲歩しない限り、日本の首相とは会わない」と強気に出た。安倍晋三首相は「そこまで卑屈になってまで首脳会談に応じるつもりはない」と放っておいた。すると朴槿恵大統領は世界中で日本の悪口を言って歩いた。こうなると、少し前までなら「韓国の言い分も聞くべきだ」と言い出したであろう日本の“リベラル”も声を出せない。結果的に日韓関係はどんどん悪化しました。朴槿恵大統領にとって、日本と首脳会談をしなくても別段困りません。むしろ、中国の習近平主席が安倍首相と会う前に日韓首脳会談はしにくかったので――中国から睨まれますから――日本との関係悪化は好都合でした。ただ、日本が米国との良好な関係を維持する一方、中国や北朝鮮との関係改善に動いたので「日本を孤立させて国民の喝采を得る」作戦に齟齬が出ました。朴槿恵政権の「離米従中外交」に米国が不快感を示すと、韓国紙は「日本ではなく、我が国が孤立してしまったのではないか」と批判するに至りました。

「ギロチンにかける」

木村:内政も同じです。旅客船「セウォル号」の沈没事件でも、初めから原理原則を立てて強い姿勢に出ました。この場合、攻撃対象は身内とも言える官僚でした。朴槿恵大統領は「悪いのは救護活動の責を負った海洋警察だ」と最初から決めつけ、事実関係の解明の前にその解体を宣言してしまった。また、捜査前から関係者の処罰まで約束してしまいました。

鈴置:海洋警察庁は日本の海上保安庁に相当します。事件発生直後は世論も、300人以上の救助に失敗した海洋警察に非難を浴びせました。ただ韓国人が冷静さを取り戻すと、海洋警察も可能な限り努力はしていたし、そもそも事件の“主犯”ではないことに気づいたのです。でも、大統領の「懲罰宣言」により、海洋警察の組織は改編されました。これにより、海の安全性は低下するとの危惧が高まっています。朴槿恵政権の経済政策の柱である規制緩和問題でも、大統領はたびたび「規制をギロチンにかける」などの強い表現を使って官僚を脅します。しかし、大統領が期待するほどの規制緩和策は役所から出てこない。

木村:ある段階以降の朴槿恵政権は、多くの問題で「きれいに空回り」しています。少し変な表現ですけれど。

鈴置:まさに、その感じですね。「見事なほどの空回り」です。

号令政治の限界

木村:規制緩和だけではありません。韓国の浮沈を左右する、少子高齢化問題への備えもほぼ手つかずの状態です。短期の景気対策も空回りしているように見えます。国民が一番関心を寄せる経済面で効果的な策を打ち出せていない、と言わざるを得ません。こういった状況がもたらされる原因の1つは、問題を指摘しては激しい言葉で号令をかけるだけ、という大統領のリーダーシップにあります。大統領からの指示の多くは、関係者に対する厳しい糾弾の響きを持つ一方で、常に抽象的なものにとどまっています。そこには具体的にどう問題を解決すべきか、との指示は含まれていない。つまり、官僚は「何とかしろ」と難問を押し付けられただけになります。そして、うまく対処できなければ責任を問われ、長官や多くの官僚の首が飛ぶ……。

–上司にはしたくないタイプですね。

鈴置:韓国の役人だってそう思っています。最近は、景気低迷の責任も「規制にしがみつく役人のせい」と官僚に押し付けられつつあります。大統領に本気で協力する気にはならないでしょう。官僚は「目立たないよう、頭を下げて動かないのが得策。あと、3年の我慢だ」と考えているのです。

木村:それを見た大統領はますます苛立ち「見事なほどの空回り」に拍車がかかっているのが現状です。そしてこの特異さは、政権発足時からのものでした。官僚たちが大統領批判を――もちろん小さな声で、ですが――口にしていたのです。 官僚は政治的指導者を守る立場にありますから、普通、私のような外国人の前でむやみに大統領の悪口などは言わないものですが……。

朱子学に生きる韓国人

–でも、朴槿恵大統領への国民の支持率は高いと聞いています。

木村:政権発足から2年近く経ったつい最近まで、40%以上の支持率を維持してきました。過去の政権と比べても異例に高い数字です。この支持率については、実に興味深いデータがあります。韓国ギャロップの12月第1週の調査によると、支持する理由の1位は何と「大統領は熱心に努力しているから」なのです。「何かを具体的にうまくやっているから」ではないのです。

–しかし、結果が出なければいくら一生懸命やっても意味がない、と韓国人は考えないのでしょうか。

木村:韓国人独特の朱子学的な発想が影響しているように思えます。彼らからすれば「正しいことを行えば、必ず良い結果が付いてくるもの」です。また「もしそうならないのなら、誰か悪い人が邪魔しているのだ」ということになります。いずれにしても、支持者は「朴槿恵大統領は悪くない」と考えるのです。そして朴槿恵大統領こそが、このような信念の持ち主だということが重要です。それ故に「正しい原則」――あくまで大統領が信じる「正しさ」なのですが――を強力に主張し、日本や北朝鮮、官僚の“誤った考え”を正し続けるのです。このように「正義」を全面に掲げる朴槿恵大統領は、韓国人の心性を凝縮した存在と言えます。

司馬遼太郎もうんざり

鈴置:朱子学は正邪――正しいことと間違ったこと――を峻別することが基本です。司馬遼太郎は『街道をゆく〈28〉耽羅紀行』で、その危うさを看破しています。以下は同書・文庫版の91ページからの引用です。

•朱子学がお得意とする大義名分論というのは、何が正で何が邪かということを論議することだが、こういう神学論争は年代を経てゆくと、正の幅がせまく鋭くなり、ついには針の先端の面積ほどもなくなってしまう。その面積以外は、邪なのである。 要は朱子学を奉じる人は、自分だけが正しく他人は絶対に間違っていると確信してしまうのです。朝鮮朝は朱子学を統治理念としました。21世紀のこの政権も再び国教に採用した感があります。

–しかし、いくら主観的に正しかろうが、現実の政治がうまくいっていないのに、国民が大統領を支持するものでしょうか。

正しく生きる運動

木村:内心、朴槿恵大統領を困ったものだと考えている韓国人も多いだろうと思います。ただ、大統領は「間違ったこと」を言っているわけではない。となると、大統領を表だって批判しにくいわけです、朱子学的には。最近、韓国の街角のあちこちで「正しく生きよう(パルゲ・サルジャ)」という標語を見かけます。「正しく生きる運動」というのがあって、そこが掲げているのでしょう。 以前からもあった運動のようですが今、広がりつつあるのはそれなりに理由があるのだと思います。社会で「閉塞感」が高まる。でも、解決策が見当たらない。そこで、韓国の人々はせめて「正しく生きよう」と言い合い始めたように思われます。「正しく生きれば、きっと良いことがあるに違いない」というわけです。でも、「正しく生きる」方法が提示されない以上、この標語を見た人は困ってしまうのではないでしょうか。日本でも「交通安全都市宣言」などのスローガンが掲げられます。もう少し具体的な呼びかけをしないと、効果がないのではと首を傾げたくなります。ただ、それと比べても韓国の「正しく生きよう」は抽象論といいますか、観念論の究極を行っています。だって「何が正しい生き方か」を明確に説明できる人などいませんからね。

–なるほど、韓国がいまだに観念論的な――朱子学国家であることがよく分かりました。

鈴置:韓国紙の日本関連のコラムで、しばしば「日本人を変えねばならない」という主張を見かけます。もちろん日本人は「正しくない存在である」という前提があっての話です。「正しく生きる運動」に韓国が本腰を入れたとなると、日本人は今後ますます「悪い存在」として韓国人から叱られることを覚悟せねばなりません。

十常侍事件

–大統領側近の国政介入疑惑なるものが韓国を揺さぶっています。

鈴置:ええ。韓国紙が「側近の専横」を一斉に批判しました。事件の名称は新聞によってまちまちです。仮に「十常侍事件」と呼んでおきます。朴槿恵大統領の昔からの側近が権勢を振るい、権限外の政策と人事を思うがまま仕切っている。政権No.2の大統領秘書室長の追放まで計画した――という話を、世界日報という新聞が11月28日に報じたのです。側近ら――議員時代からの秘書軍団ですが――のうち3人は、儀典担当者などの肩書で青瓦台(大統領府)に入っています。一番の大物秘書は政権には入りませんでしたが、この人が裏で3人に指示を出している、とも同紙は報じました。 単なる噂話ではありません。青瓦台で公務員の規律を監察する警察出身の職員が、上部に報告した公式文書を基に書いた記事だったのです。韓国は大騒ぎになりました。さらに文化体育観光部の前長官が「朴槿恵大統領の指示で部下の局長と課長を更迭した。大統領の元大物秘書の私怨からだった」とメディアに暴露しました。「(自分に対し)朴槿恵大統領が手帳を見ながら『悪い人たちだそうですね』と局長らの名前を挙げた」との、極めて具体的な証言でした。取り巻きが好き勝手にやっているだけでなく、大統領まで操っている――と元長官は示唆したのです。前の長官が、少し前まで仕えていた現職の大統領に真っ向から歯向かうのも前代未聞です。韓国社会はこれにも大きなショックを受けました。

大統領の目をふさぐ側近

–「十常侍」とは?

鈴置:後漢の末期に、最後の皇帝となった幼い霊帝を操った10人の宦官のことです。青瓦台の監察担当者が書いた報告書の中で、朴槿恵大統領の側近を指してこの言葉が使われました。「大統領は幼い霊帝」と見なされたわけでもあります。左派系紙はもちろん保守系紙も「側近3人組」の排除を大統領に求めました。与党内部にもそれを求める声が強まっていると各紙は報じています。保守も左派もメディアは「3人組」に加え、秘書室長の更迭も主張しました。「政権No.2として混乱の責任をとれ」との理由です。しかし本当は「3人組」と対立しているとされるこの秘書室長こそが大統領の目と耳をふさぐ問題の人物であると、メディアから見なされていたからです。

–政権はどう対応しているのですか。

記者を相次ぎ起訴

鈴置:大統領自らが「専横疑惑」を全面的に否定しました。問題となった青瓦台の報告書は、街の噂を基にしたいいかげんなものだったとも語りました。検察は、その報告書を外部に漏らした疑いで警察官を相次いで逮捕しました。うち1人は冤罪を主張し、自殺しました。さらに検察は大統領の実弟の朴志晩(パク・ジマン)氏を出国停止処分としました。この報告書の作成と流出に関わっていたとの見方が浮上したからです。それに加え、政権側は事件をすっぱ抜いた世界日報や、続報を書いた東亜日報の記者らを起訴しました。朴槿恵大統領は正面突破の道を選んだのです。メディアは声を揃えて「政権2年目で早くもレイムダック(死に体)だ」と総攻撃に出ました。もう、全面戦争です。趙甲済氏が懸念していた「事故」が、まさに起こったのです。

頭痛の種の実弟

木村:ポイントは大統領の親族に飛び火するか否かです。事件の背後には大統領の実弟の朴志晩氏と、大統領の元大物秘書氏の間の権力闘争があるとの観測が韓国のメディアに流れています。自らの大統領への接近を実力者である元大物秘書氏が阻んでいる、と朴志晩氏が抗議の声を挙げた結果、この事件が起きたというのです。

–宮廷内で陰謀をめぐらせ、暗闘する王族と家臣団――。李朝ドラマみたいですね。

鈴置:韓国で大統領のレイムダック化は、親族問題から始まることが多い。

木村:その通りです。麻薬中毒問題で世間を騒がせたことのある朴志晩氏は悪い意味で有名人。朴槿恵大統領にとっても頭痛の種でした。そんな彼が今回の事件を巡り検察の聴取に応じました。場合によっては、公衆の面前に立って大統領の元大物秘書を糾弾するかもしれない……。そうなれば韓国のメディアにとってこれほど「面白い」ニュースはないでしょう。

–真相は?

鈴置:関係者の主張は大きく食い違います。現時点では誰の言い分が本当なのか、分かりません。

手帳で人事

木村:1つ言えるのはこの事件で、朴槿恵大統領のリーダーシップの特徴というか、弱点が一気に露呈したように見えることです。自分と近い人しか信用せず、彼らだけを重用するという大統領の手法への不満が噴出した形です。ここで言う大統領に「近い人」とは、モノの考え方が近いという意味もありますが、大統領が実際に会ったことのある人、という意味でもあります。 朴槿恵大統領がいつも手帳を持ち歩き、細かくメモを取る――という話は韓国では有名です。「近い人」は、大統領が実際に面談し、好意的な評価を下してメモした人です。でも当然、大統領が直接会える人の数は限られます。この結果、政権の意思決定は極めて狭い、それも大統領と同じ価値観を有する、同質のサークルの中で行われるようになりました。また、大統領は執務の際に実務担当者には直接会わず、下から上がってくるレポートだけ読んで判断を下すことも多いようです。これでは青瓦台のスタッフが、大統領の機嫌を損ねるようなレポートを上げることは難しい。結果として大統領が喜びそうなレポートだけが執務室に並び、それを書く人が要職に就くことになります。

鈴置:趙甲済氏も「“事故”は大統領に正確な情報が上がらないことから起こるだろう」と懸念していました。

修正効かず、猪突猛進

木村:日本でも知られ始めた話ですが、会議では大統領が語る。長官以下はそれをメモするだけ。メモを取らなかった人は大統領から叱責を受ける……。

鈴置:北朝鮮の高官も、最高指導者の前でメモを取らないと生きていけません。

木村:最近では、大学の講義でもこうした一方的なやり方は「よろしくない」とされます。ましてや、一国の政治がこうした大統領の「講義」だけで動かされてよいはずがない。与党の代表ともほとんど会わない。記者会見もほとんどしない。しても質問には応じない。軌道修正すべき時に、それを教えて貰える機会がないのです。この結果、対日政策でも対北朝鮮政策も当初の方針を変更できず、いたずらに突っ走るだけになっています。今回の事件でも、大統領はメディアや野党との全面対決を選びました。朴槿恵大統領は「原理原則を重視する」発想の持ち主ですから、軌道修正がしにくい。それに加え、この「率直な意見具申が上がらない」仕組みもあって、事態が悪化したように思えます。

大統領への諫言

鈴置:確かに「否定声明を出すだけにしておけばよかった。検察への捜査指示や、新聞記者の告訴によって却って問題を大きくしてしまった」と語る韓国の識者が多いのです。 今回の朴槿恵政権に対する批判は「側近の専横」から始まりました。しかし韓国指導層の本心は、これを機に「大統領の独走体質」を諌めたいということでしょう。各紙の社説からその思いが伝わってきます。以下は朝鮮日報の社説「大統領と前長官の衝突 “国政乱脈”どこまで」(韓国版、12月6日)のポイントです。

•この政権になって、人事で濡れ衣を着せられた高官たちが相次ぐ。「取り巻きにやられた」という人が多い。政権発足2年にもならないのに、人事の不満が噴き出すのは初めてのことだ。

•濡れ衣との主張のすべてが本当かは分からない。しかし、政府の中核にいた人々が声を同じくして指摘する問題が、人事の不満と大統領側近の国政介入である。

•これを見ると、朴槿恵政権の最も深刻な病がどこにあるか、推し量ることができるのだ。

急落した支持率

木村:「十常侍事件」により、大統領の人気にも影響が出始めました。世論調査機関「リアルメーター」によると、12月第2週の大統領の支持率は39.7%。わずか2週間で10%以上低下しました。初の30%台への落ち込みです。ちなみに、過去の最低値は43.4%でした。不支持率もついに50%台に乗せて52.1%に達しました。ただ先ほど申し上げたように、この数字でも歴代政権と比べれば、まだ高水準です。そして今後の支持率は、大統領が事件をどう収拾するかにかかっていると思います。失敗すれば「コンクリート支持層」と言われた大統領の熱烈な支援者が、一気に離れる可能性があります。逆に元秘書や実弟を切り捨てて「私情にとらわれない」「ぶれない」イメージをさらに打ち出し、支持層固めに成功するかもしれません。

–朴槿恵政権は分岐点に立っているのですね。

木村:この政権だけではなく韓国という国もまた、分水嶺にあると言えそうです。韓国の仕組みだと、国論が分裂しても解散・総選挙によって民意を聞くという手が打てません。大統領がいったん支持を失うと、任期が終わるまでレイムダックのまま、国政が一切動かないという恐ろしいことになってしまうのです。

(次回に続く)

12/18産経ニュース『慰安婦問題は外務省の戦後最大の失敗である-「国民集会」での発言詳報』記事について

目良浩一氏(歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)代表)はアメリカで慰安婦像建立反対運動を展開しております。手弁当でやっていますが、訴訟社会のアメリカですので金がかかります。本ブログをお読みの方で良ければ是非寄付をお願いしたく。小生も寄付しました。裁判の進行状況をメールで教えて戴けます。本記事を知ったのもメールでの通知でした。日本人の名誉がかかっています。無関心では済まされません。「日本民族は倫理的に劣った民族」の烙印を押し、世界にアピールして、日本の国際競争力を弱め、あわよくば日本を属領にしようとする中国・韓国の謀略に負けてはなりません。

宜しくご協力の程を。

寄付先:https://gahtjp.org/

銀行名:三菱東京UFJ銀行

    ミツビシトウキョウユウエフジェイギンコウ

支店名:藤沢支店、支店番号257

口座番号:0351034 普通預金口座

口座名:歴史の真実の会寄付金口座 会計桝田淑郎

振込の際の記入口座名:レキシノシンジツノカイキフキンコウザ

記事

73年前の日米開戦日である8日、東京都内で「慰安婦問題と戦後日本外交の失敗」をテーマに、「新しい歴史教科書をつくる会」と「史実を世界に発信する会」による集会が開かれた。「つくる会」理事の藤岡信勝氏や、米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像撤去を求める訴訟の原告の一人、目良浩一氏らが、慰安婦問題と日本外交について、それぞれの視点から講演した。藤岡氏は「慰安婦問題は外務省の戦後最大の失敗だ」と指摘し、外務省改革を求めた。 集会の参加者は約170人。集会は、「日本人が名誉を回復するために、外務省の改革は不可避である」として、日本政府に(1)世界に正しい情報を発信するための独立機関を早急に設置(2)国連に世界各国で守る「特定国に対する敵対教育を禁止する条約」を提案(3)外務省改革のための内閣直属の会議を設置-を盛り込んだ決議を採択して閉幕した。

 以下、主な発言者の講演内容を詳報する。

 【藤岡信勝「つくる会」理事】

 「慰安婦問題の捏造(ねつぞう)を許した日本外務省7つの大罪」について報告する。

第1の大罪は近隣諸国条項の制定だ。1982年6月、歴史教科書の検定で「侵略・進出誤報事件」が起こった。その後、教科書検定基準に「近隣諸国条項」が入ったが、これは外務省の後押しで実現した。慰安婦問題とどうかかわるのか。近隣諸国条項の運用のガイドラインは文部省(当時)が定め、「朝鮮人強制連行」という言葉には一切検定意見をつけないことにした。以来、「朝鮮人強制連行」が小中高の全ての歴史教科書に載ることになった。朝鮮人強制連行の嘘は大手を振るって教科書に入り込んだのだ。この嘘があったからこそ、その上に慰安婦強制連行の嘘を建て増すことが可能になった。嘘の2階建て構造だ。肝心なことは、建物の1階がなければ2階は建てられないということ。慰安婦問題の原点は、朝鮮人強制連行を定着させた教科書問題にあった。 第2の大罪は宮沢喜一元首相の謝罪外交だ。1991年12月、翌月に控えた宮沢氏の韓国訪問について、慰安婦問題で何の調査もなされていないのに、首相が謝罪するという方針を外務省は決めた。外務省は首相に謝罪外交を指南したのだ。慰安婦問題を政治問題化する決定的な誤りだった。

宮沢氏は盧泰愚大統領との30分の会見の中で8回も謝罪した。一国の指導者は、国家と国民の名誉にかけて、謝罪なんかしてはならない。まして慰安婦については政府として何一つ調査もしていない。「この件は調査してから、政府としての見解を公表する」と言っておけばよかった。宮沢氏に振り付けをしたのは紛れもなく外務省。この間違いは、どんなに糾弾しても足りないほどひどいものだ。第3の大罪は「強制連行」を「強制性」にすりかえるへ理屈を製造したことだ。1992年1月の宮沢訪韓で、慰安婦問題は日韓間の政治・外交問題になった。さすがに、これは日本国家にとっての一大事であると考えた保守系メディアは、(朝鮮半島で女性を強制連行したと証言した)吉田清治の慰安婦強制連行の話を検証し始めた。同年4月30日、産経新聞に現代史家、秦郁彦氏の韓国・済州島調査の結果が載った。このほか、西岡力、上杉千年(ちとし)両氏の調査で、慰安婦問題は学問的・実証的には、この年の春までに決着がついていたといえる。 そのことに最も敏感に気付いたのは、実は朝日新聞だった。これ以後の紙面では、意図的に「強制連行」の言葉を使わなくなった。しかし、朝日はそれ以来22年間、嘘と知りながら吉田証言を22年間も取り消さなかった。

社会主義世界体制の崩壊によって行き場を失った左翼勢力は、戦前の日本の糾弾を生きがいにするようになる。慰安婦問題は赤ん坊のおしゃぶりのように、彼らにとって手放せないおもちゃになり、彼らは、3つのことをやり始めた。1つ目は、慰安婦問題を東南アジアに広げること。朝鮮半島での慰安婦の強制連行、すなわち奴隷狩りは、どうやら立証の見込みがないということがわかった。そこで、朝鮮がダメならアジアがあるさ、といって、反日弁護士たちが東南アジアの各地を手分けして、日本軍により「人権」を踏みにじられた「被害者」を求めて、調査に出かけた。そのうち、インドネシアで、調査票まで作らせたのが高木健一という弁護士だった。その結果、戦争中、インドネシアには2万人の日本兵しかいなかったのに、2万2千人の元慰安婦が名乗り出た。私が雑誌で高木氏の、この反日活動を批判したら高木氏は私を名誉毀損(きそん)で提訴した。言論で戦えないから商売道具の訴訟を仕掛けてきた。ついに私は高木氏と法廷で直接対決することになった。2つ目は、国連の舞台でこの問題を広げること。国内の論争に負けたので、事情を知らない外国を巻き込んで逆輸入しようという作戦だ。その宣伝のキーワードとなったのが、戸塚悦朗弁護士が考案した「sex slave」、「性奴隷」という言葉だった。3つ目は「強制連行」を「強制性」にすり替える、言葉のトリックだ。これを主導したのが外務省で、外からバックアップしたのが朝日新聞だ。宮沢訪韓のあと、韓国政府は盛んに「強制連行」だけは、慰安婦の名誉にかけて認めてほしいといってきた。そこで、政府は2回にわたる大がかりな調査をしたが、出てくるのは、もめ事を起こすなという、いわば「強制連行」のようなことを禁止する通達ばかりで、強制連行の証拠は何一つ見つからなかった。最近、米政府の官庁横断で行われた作業班(IWG)の調査結果が注目されている。米政府によっても、日本が強制連行や性奴隷制をとっていたなどという証拠はただの一件も見つからなかった。日本政府は調査結果を淡々と発表すればいいのだ。それなのに、慰安婦問題を何とか認めようとしてひねり出した詭弁(きべん)が、慰安所における「強制性」という問題のスリカエだ。第4の大罪は、河野洋平官房長官談話を出したことだ。詳細は省略するが、今年の6月20日、政府は河野談話の作成過程についての調査報告書を出した。報告書は、政府が強制連行を示す資料はないと認識していたのを、河野官房長官(当時)が記者会見で強制連行を認めたと報告した。個人プレーだった。河野氏の間違いは当然糾弾されなければならない。しかし、報告書は外務省の責任には全く何も触れていない。河野談話は強制連行を肯定しているともとれる曖昧な文面ととともに、「強制性」をうたっているのだが、この論理を用意したのは外務省だった。第5の大罪は、「クマラスワミ報告書」への反論を引っ込めたことだ。1996年、国連の人権委員会で、慰安婦を性奴隷と認めたクマラスワミ報告書が提出された。これに対し、外務省は珍しく、今読んでも立派な、事実関係に踏み込んだ反論文書を作った。ところが直前になって撤回してしまった。この後、外務省は一切、事実関係に踏み込んだ反論をしなくなった。第6の大罪は「新しい歴史教科書」を検定で不合格にする策動をしたことだ。2000年10月の、野田英二郎事件として知られている出来事だ。元インド大使で、教科書検定委員になった野田氏が、外務省の課長や課長補佐クラスのメンバーを7~8人集めて、検定で不合格にするためのプロジェクト・チームをつくっていたのだ。外務省の本質がよく表われている。 第7の大罪は、慰安婦問題で事実関係に踏み込んだ反論を全くしないことだ。不作為の罪と言えるが、実はそれ以上の罪を犯している。単に、事実で反論しないだけでなく、「日本は謝罪しています。見舞金を払っています」とわざわざ宣伝することで、むしろやってもいない罪を世界に自白したことになっている。外務省が犯した7つの大罪の結果、米カリフォルニア州グレンデール市に慰安婦の像まで建つことになった。この結果に、外務省は政府機構の中で最大の責任を負っていると思う。

【目良浩一・歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)代表】

グレンデール市に設置された慰安婦像撤去訴訟の原告として、この訴訟についての要点について話す。

慰安婦像が設置されたのは2013年7月9日、訴訟を起こしたのは今年2月20日。この約10カ月でいろいろな動きがあった。この間、非常に手厚い支援をみなさまからいただき、深く感謝している。これまでの寄付金は日本から7200万円、米国では4万7000ドルぐらい、計7800万円相当となった。使途について説明すると、かなりの部分は裁判費用だ。この集会で講演するための米国からの航空運賃にも使われている。エコノミークラスだ。飲食代には一銭も使っていない。5つの点についてお伝えする。第一は、慰安婦像の設置にこぞって反対すべきであるということ。どうして反対しなくてはいけないのか。慰安婦像を建てるということは、日本人、日本国に対する貶めだ。これは、日本人は卑劣な人間で人道をわきまえず、冷酷で女性に対して非礼な人類であることを世界に広めようとする動き。日本人としては当然これに抵抗し、慰安婦像撤去に向かって努力すべきである。ところが日本政府は反論しない。従って、(韓国などは)別のところで噂を広げる。特に米国で「従軍慰安婦問題があって、女性たちは性奴隷で20万人もいた」という話を広めている。黙っていれば、世界の人は「そうか、日本軍は悪かったのか。日本人は冷酷であったのか」と思ってしまう。これに絶対に抵抗しなくてはいけない。一旦、日本人が卑劣な民族であるということが一般常識になれば永遠に続く。数世紀にわたって汚名が世界に広がり、消すことができない。消すとすれば現在、生きているわれわれの努力以外にはないとの思いでがんばっている。次に、米国における慰安婦像撤去訴訟は勝てるかという問題だ。一審で敗訴した。かなりの人が「訴訟を起こしても勝てない。無駄なことをやっている」と考えていると思うが、それは間違い。一審では、担当の連邦裁判所の判事の質が悪く、「原告には訴訟の資格がない」という奇妙な理由で敗訴した。しかし、ほかの司法関係者に意見を聞くと、これは明らかにおかしいという。二審では、こういう判断はないと考えている。現在、連邦裁判所の高裁に控訴しているが、それ以外に州裁判所にも裁判を起こしており、2つの裁判が進行中だ。裁判の成果はもっぱら弁護士の能力によるところがかなり大きい。最初の弁護士事務所だった大手メイヤー・ブラウンは、外的な圧力、つまり中国系反日団体の世界抗日戦争史実維護連合会(抗日連合会)から圧力を受けてわれわれの弁護から撤退した。しかし、現在は強力な弁護チームを抱えている。費用はかかるが、今回の判決はかなり有利ではないかと思っている。これまでも多くの資金援助をいただいているが、さらなる協力をお願いしたい。第3点は、グレンデール市の慰安婦像はカリフォルニア州韓国系米国人フォーラム(KAFC)という韓国系の団体が推進したが、その裏には中国系米国人がいる。抗日連合会だ。韓国系だけでなく中国系を相手にして戦う覚悟が必要だ。次に、米国人が公平であるかというと、実際にはそうではない。韓国系の情報につかっている。もう少し厳密にいうと、米国人は慰安婦について何も知らない、またはほとんど知らないというのが大多数。知っている人は韓国系の情報を信じている。日本の軍隊はアジアの女性を性奴隷にしたと考えている。オバマ大統領もそうだ。背景にはクマラスワミ報告書と、日本政府に謝罪と補償などを求めた2007年の米下院対日非難決議の存在がある。さらに、米国人は英語以外のものをほとんど読まないから、慰安婦問題については吉見義明・中央大教授の「Comfort Women」を読み、そこに書かれていることが真実と思っている。朝日新聞は、日本語版で誤報の告白を大々的にやったが、英語版では非常に小さく間違いを犯したと書いた。最近では読売新聞も英語版で誤りがあったと認めたが、米国人は朝日新聞の英語版も読売新聞の英語版もほとんど読まない。朝日新聞の英語版が書いただけでは全く影響を与えていない。日本では、朝日新聞が間違いを告白したので慰安婦問題は解決したと感じている人が多いが、米国でその影響はゼロだ。米国人の意見を変えるにはまだ大きなことをやらなくてはいけない。もう一点は、日本政府の対応が、いままでのところ全く手遅れであることだ。政府としてもっと明確に否定すべきところは否定して、反論すべきところは反論して抗議するべきだ。日本政府の対応をみていると、あたかも反論することが社会的に、国際的にいけないかのような感じを持っている。例えば、2007年に米下院が対日非難決議をやろうとしたとき、同じケースがトルコでもあった。トルコは明確に米政府に反論したため、対トルコ決議案は採択されなかった。最近、外務省にも少し、いい動きもある。たとえば、今年7月、ジュネーブの国連で開かれた自由権規約委員会で、外務省の課長が「慰安婦は性奴隷ではない」と明確に宣言した。これは結構なことだ。しかし、多くの場所で積極的に発表することが必要だと思う。

【山本優美子・なでしこアクション代表】

今年7月にジュネーブの国連で開催された自由権規約委員会を「慰安婦の真実国民運動調査団」の団長として傍聴した。慰安婦問題は、ヘイトスピーチなど多くのテーマのうちの一つだった。調査団が委員に訴えたのは3点。(1)慰安婦は性奴隷ではなく戦時中の売春婦(2)慰安婦を性奴隷と認定した国連クマラスワミ報告書は嘘の資料(吉田清治証言)を基に書かれているので性奴隷の論拠に値しない(3)証言は単なる話で検証さえされていない-。これらの主張を印刷した資料と、1944年の米軍報告書(ビルマ=現ミャンマーでとらえられた慰安婦たちの調書)を添付して各委員に渡した。日本政府代表団は「性奴隷という表現は不適切である」といった。これは非常に大切だ。というのも、委員会から日本政府への質問に、「慰安婦は日本軍性奴隷慣行の被害者である」と書いてある。これに日本政府は「不適切な表現である」といったわけが、もし言わないで黙っていたら、認めていたことになっていた。しかし、私たちの配布資料と日本政府の反論があったからといって、委員会が納得したかといえば全然納得していない。「慰安婦は性奴隷」という主張はすっかり浸透していた。(日本政府の反論後の)委員会の反応はというと、「日本政府は慰安婦を強制していないというが、本人の意思には反していたという。これは矛盾しているだろう。こんな曖昧な立場は慰安婦の名誉を貶め、再び被害者にしている」というものだった。対日審査後の勧告にそう書かれていた。簡単には切り崩せない。委員会の議長はすっかり信じていた性奴隷がそうではないということで、異物を飲まされた感じだった。慰安婦問題は歴史問題でもあるので、事実を主張していればどうにかなるといえば、そうではないと思う。これは情報戦だ。われわれは真実を訴えているが、嘘でもいいから自分たちの都合のいいように広めれば勝ちという情報戦だ。大東亜戦争でも、日本が悪いという情報戦にある意味負けた。戦後も負け続けている。国連を利用した「捏造(ねつぞう)慰安婦」を切り崩さなくてはいけない。どうしたらいいか。外務省を批判するのは簡単だが、官と民でやらなくてはいけないと思う。国連の人権関連委員会は民の出番だ。NGO(非政府組織)は好きなことを発言できる。2016年2月15日から3月4日まで「女子差別撤廃委員会」の対日審査がある。さまざまな女性の人権問題が持ち込まれるが、慰安婦問題が中心となる。日程は国連人権委員会のサイトに発表されている。この対日審査に先立つプレセッション(準備会合)が来年7月27日から31日の間にある。プレセッションは本セッションに向けて、日本政府への質問を検討する場となる。この場に対して何をできるのか。われわれは英文ではあるがリポートを出せる。私たちがこういうことをやっていかなくてはいけない。具体的にやるには、「なでしこアクション」のサイトにまとめているのでみてもらいたい。(http://nadesiko-action.org/?page_id=6865)。何でも先頭に立って水をかきわけるときは重い。でも、後からみんながついてくると、水の流れが大きくなり、うねりが大きくなる。みなさんにリポート出したり、現地に行ったりしてもらいたい。これは左の人たちがずっとやってきたことだ。彼らが20年以上やり続けたことをわれわれが切り崩さなくてはいけない。みなさんがうねりを作っていかなくてはいけない。行動しましょう。

【白石千尋・国際機関職員】

私の勤める国際機関は、多数の国連機関と協力しながら世界140カ国で活動しており、各国の官僚、大臣、また首脳や大統領と緊密に連絡を取り合っている。この職場を「国際関係の縮図」としてみると、日本人の価値観とは違った常識が国際社会にあることに気づく。まず、自虐史観にとらわれた日本と、日本を「普通の国」としてみる世界に乖離(かいり)があるということ。例えて言うと、自虐史観というバケツを頭からかぶり盲目になった日本に中国・南北朝鮮がやじを飛ばしていて、その他の193カ国は遠巻きに見て苦笑している感じだ。日本が憲法9条や非核三原則、専守防衛などを保持し、自分の手足を縛っているのは、国益を追求する「普通の国々」からすると理解できない。彼らは自分たちが奴隷制度や殺戮(さつりく)など、血で血を洗う修羅場をくぐり抜けているので、70年前の戦争が日本の侵略か自衛かなどには全く興味がない。世界の中でも日本の歴史はまれに見る平和国家だ。また、世界の代表には日本の近代史を知らない人も多く、それよりも自国の汚職、貧困、紛争などが喫緊の課題なのだ。日本では中韓の意見が何倍にも誇張して伝えられるため、あたかもそれが全世界の意見かと錯覚するが、それはプロパガンダだ。日本は自虐史観を捨て、普通の国として国体を守り、国益を追求するべきだ。次に申し上げたいことは、国際社会は平和と友好を目指した仲良しクラブではなく、各国の覇権争いの舞台であるということだ。日本の世論は国連を「神聖化」し、「平和で良い国際社会を他国と協力して作っていこう」と考える人が多いが、他の国々にとって国連は自国の国益を推進する「場所」であり、あくまで「道具」でしかない。日本は純粋に平和を望み、国際協力を通して平和の実現を試みているが、他の国は国益を促進する場合に限って平和を支持するだけだ。彼らの目的は国益の追求であり、平和ではない。現に、この7月の国連人権委員会で慰安婦問題が議論されたとき、議長は一方的に中国、韓国、日本の左翼の弁論を擁護し、日本政府の反対意見を検証もせずに糾弾した。国連とは政治的組織であり、真実など追究していない。各国は自分に都合のいい時に国連を使い、自らの立場を正当化させ国際世論を味方につけようとしているだけ。覇権争いの舞台で、これが現実だ。国家間の関係とは、ある意味お互い銃を向け合ってパワーバランスを保っていることだと思う。お互い銃を持っているからこそ戦争をせず話し合いで解決しようとするが、パワーバランスが取れておらず、一方が銃、もう一方が素手である場合、銃を持つ国が素手の国を搾取し、場合によっては殺す。これが過去400年に亘る植民地政策だ。国際社会では今も昔もこれが常識。だから軍事力に裏づけされていない外交は影響力がない。私たち日本人は、もっと国防について真剣に考えるべきだ。「平和・平和」と念仏のように唱え、「銃は使いません。軍隊はもちません」などと宣言しても、他国に襲われる危険を高めるだけだ。 中国・韓国が慰安婦問題を使って日本をゆするが、ある意味それは国際社会では普通の行為。付けこまれる隙を作った日本が悪いのであって、自国を防衛するのは国民と国家の義務。このような認識に基づくと、日本の外交は決定的な間違いを2つ起こしたことがわかる。第一の失敗は、国家間は戦略関係であるにも関わらず、戦略なしの外交を行ったということ。後で説明するが中国の究極の目的は日本の支配であり、慰安婦問題はその手段の一つに過ぎない。それなのに日本は、あたかも個人の関係のように、謝罪して誠意を見せて丸く収めようとする。相手は計算して動いているのに、誠意などというものが通じると考える甘さ。全く思考の次元が違う。謝罪して誠意を見せることは日本では美徳と考えられているが、国際社会では力に屈した弱者の象徴であり、責任を取らされる。謝罪は相手に付け込まれる隙を与えるものなので、普通の国はよっぽどのことがない限り謝罪はしない。日本が謝罪し続けているために、中韓につけ込まれてどんどん批判がエスカレートしている。国際社会では、謝罪は国家の尊厳を傷つけ、英霊を侮辱する行為。日本の謝罪外交は、国際関係の本質を全然わかっていない証拠だ。国際問題の多くは人為的に作られたもので、まず各国は戦略を定め、その目的に応じて問題を起こす。慰安婦問題はいい例だ。2012年11月、モスクワで行われた中国・ロシア・韓国の3カ国による会議で、中国からの参加者は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の奪取を宣言し、その戦略として慰安婦などの歴史問題を使って日本を孤立させ、日米を離反させることを明言した。尖閣・沖縄を中国に支配されると実質的に日本のシーレーンは中国に占領され、本州への攻撃もたやすく日本は中国の属国になりさがるだろう。近年、アメリカ、オーストラリア、カナダなど、日本と防衛協力を推進する国々でで慰安婦像・碑設置の動きが起きている。これらの国の世論を反日に仕向け、日本を国際的に孤立させるのが目的だ。中国の目的は日本を支配すること、そして慰安婦問題はその手段の一つなのだ。日本外交の第二の失敗は、日本の意見を国際世論に訴えなかったこと、世界への情報発信が不十分だった。日米合同であれば中国の侵略を阻止することができるが、日本単独だと中国に負ける。またロシアも味方につけ日米露で中国に対抗すれば、中国は完全に負けるだろう。他国との連帯は一国の安全保障を左右する。だから国際世論を味方につけることが大事だ。その重要な国際世論に対して日本は沈黙や妥協し、中韓の嘘に反論しなかった。反論するどころか30年間にも亘って朝日の捏造を放置し謝罪外交を繰り返してきた。これは世論対策を全く講じなかった証拠だ。だから国際社会が中韓の嘘を信じ、靖国参拝で安倍政権がバッシングされ、日米関係に亀裂が入った。世論は真実を支持するのではなく、拡散された情報を支持するのだ。日本が沈黙するということは、国際社会では「同意」を表す。嘘を暴露し、中韓の信用を失墜することで初めて相手は黙り、世論が日本の味方につく。国益に反したことは徹底的に声高に反対意見を主張しなければならないのだ。日本はどう動くべきか。まず、日本を支援する国際世論を形成するべきだ。それには、欧米・アジアの国々とのコミュニケーションを深め、緊密に連携すること。日本独自の意見をもっと頻繁に世界に発信し、事なかれ主義と決別すること。また、日本の誇りを傷つけるような言動に対しては断固とした対立姿勢を示すべき。そして、プロパガンダ対抗組織をつくり、どんどん真実の歴史書を英訳し海外に拡散すべきだ。また、日本は戦略的外交を強化すべきだ。それには、徹底的に歴史問題を議論して自虐史観を脱却し、国論を一致団結させる。国防についての教育を義務化し、国民全員が国を守るとはどういうことか、真剣に考えるべきだ。国益を見据えた戦略を立て、軍事力を強化し、国際社会の実情をよく認識する必要がある。

【加瀬英明「史実を世界に発信する会」代表、「つくる会」顧問】

福田赳夫内閣で、首相特別顧問の肩書で対米折衝にあたった。最後に同じ肩書をもらって米国と折衝したのは中曽根内閣だった。私は日本外交の第一線に立って闘ったことがある。日本の外交にあたって最も心すべきことが1点ある。私は「ミラーイメージ」という名前をつけているが、これは相手の国も国民も日本人と同じような価値観を持ち、同じように考え、行動するはずだと思い込んでしまうこと。自分の姿を鏡に映して相手と交渉するようなものだ。私は漢籍に親しんでいたので、中国は邪悪な文明であると信じるようになった。1972年に田中角栄内閣のもとで日中国交正常化が行われたときは、雑誌上で猛反対した。日本は米国が中国と外交関係を結んだ後で国交回復すればよかったのだ。当時、日本外務省の幹部の中には中国で学んだ人が少なくなかった。「中国人も同じ人間なんだ。心が通じる」ということを言う人たちばかりだった。しかし、中国人だけではなく、米国人も日本人と全く違う。中国や米国、他国と交渉するときは“鏡”を取り払って、相手にあたらなければいけない。しかし、ミラーイメージは反対の方向にも働く。というのは、日本の文化、日本の歴史と朝鮮や支那、米国などは全く異なっている。しかし、こういった外国の人々は日本も自分たちと同じような歴史を持っているに違いないと思い込んでいる。日本についてよく知らない。日本は奴隷制度がなかった珍しい歴史を持った国だ。また、日本中、どこを探しても大虐殺を行っていない。奴隷という言葉を一つとっても、明治に入ってから一般的に日本語で使われるようになった。それまでは日常的に使われることはなかった。日本の歴史、伝統文化がまったく違った国であることを海外の人に知らせなければいけない。先ほど白石さんが、「海外では謝罪すればその責任を取らされる」といった。日本は和の文化だから、一回わびれば水に流す。日本人はすぐわびる。しかし、海外の人にはなぜだかわからない。海外の人とは共通点が乏しい。このような相手とかけあっているという前提のもとに交渉を行わなければならないことを肝に銘じなければならない。慰安婦問題の主戦場は東京だ。米ワシントンに年に2度通っているが、米政権幹部や議会、シンクタンクの主要な研究員に「慰安婦は職業的な売春婦だった」と話しても、「しかし、日本政府がわびているではないか」といわれる。人類の歴史では戦場と兵士の性処理の問題は常についてまわる。しかし、人類の歴史で一国の政府が罪を認めて謝罪をし、その上、補償したのは日本以外ない。だから、よほど悪いことをしたに違いないと思われる。ワシントンで講演しても、この問題に触れると必ず質問があって、「ここの日本大使が謝罪しているではないか」といわれてしまう。河野談話が出されて以降、一度も日本政府は撤回していない。あるいはただそうとしていない。だから、まだ悪いことを隠しているに違いないともいわれる。本来は主戦場は東京にあるのだ。安倍政権は残念ながら河野談話だけでなく村山富市首相談話も継承していくといっている。なんとかして、河野談話、村山談話を撤回させなければならない。そうなれば、米国における戦いも大切だが、目良先生の戦いも容易になる。日本のためになると思う。(了)

12/17 ミアシャイマー教授公開講演要旨

「士気の会」代表の山田健司氏のメールから転載します。(許可取らずに掲載しております。山田さん申し訳ありません)。

地政学の大家のミアシャイマー教授ですが、地政学とはリアリズムに徹した学問です。Balance of powerを重視します。日本の左翼シンパに多い、意識的or無意識的に拘わらず現実を直視しない脳内お花畑の人達の考えとは全く違います。中国の台頭は歴史の必然、その阻止のためルトワックと同じようにロシアを日本の味方に付ける、核保有こそが日本の安全に繋がると言うのがミアシャイマー教授の言いたいことかと。

転載部分

◯Chinaの台頭の行方、ウクライナ危機の背景

・Chinaの台頭について

平和的な台頭はあり得ない。

中長期での経済成長継続を想定して検討している。

国家の生存を高めるため地域大国を目指す。その為に戦争も辞さず。

そもそも、国家こそ国際社会の主体であり、世界は無警察状態。

どんな国も生存のために強国を目指す。

米国も米国大陸での地域大国となってから、超大国となり他の覇権国を潰してきた。

Chinaも必ず真似る。

・ウクライナ危機について

実質は欧米対ロシアの戦い。主原因は欧米にあり。

ロシア勢力圏を侵し続けてきたNATO拡大への当然な防衛反応。

最大脅威はChinaであるのに、ロシアをChinaに寄らせてしまう米国の大失策。

しかもアジア重視といいながら、中東で手一杯でアジアで動けない。

日本は無核ながら周辺は核大国ばかり。国民に危機感があれば核保有も当然の選択肢。

ウクライナをみれば米国の協力確約は疑問。

Chinaが成長途上であるのがまだ助けであり、分析が外れるために成長鈍化を希望する。

12/17日経ビジネスオンライン 福島 香織氏『周永康は死刑になるのか?中国法治、権力闘争、その先は恐怖政治か』記事について

周永康が本当に死刑になるとすれば、権力闘争は激しくなるでしょう。彼以上に悪いのはいっぱいいる訳で、枕を高くして眠れなくなりますので。「虎も蠅も」と言っている習近平、追及の先頭に立っている王岐山だって周ほどではないにしろ賄賂を取っていることは中国人だったら誰でも知っています。そうしなければ権力の中枢には絶対行けませんので。受領拒否した時点で仲間はずれです。そういう清廉な人が出世を重ね、権力を握るのは中国の歴史では絶対無理です。『清官三代』なる言葉もあるくらいです。それでも日本の賄賂の額とは桁違いです。何清漣によれば「中国共産党は歴代王朝の中で一番腐敗が進んだ統治機構」だそうです。習が狙っているのは多分曽慶紅(上海派)でしょう。江沢民は実権を握っていなかったので。団派がどう動くか見物です。胡錦濤は党主席時代、上海派の横やりになす術もなく、自分の思いを実現できなかった恨みがあるので、上海派は潰したいと思っているはずです。しかし、習の独り勝ちを認めると次は彼らの番になりますので兼合いが難しいです。軍を団派が取るか、習近平が取るかで決まるでしょう。上海派の復活はないでしょう。彼らは共産党のエリート(団派)でも太子党(革命の相続人)でもなく、天安門事件の後に鄧小平から選ばれた利権集団ですので正統性がありません。もっと言えば時代の遺物である共産党なんて正統性があるはずがありません。悔しかったら中国でも真の民主選挙をしたらどうでしょう。香港にすら与えないのですから。多様な価値観を認めない社会は、この科学が進んだ世界にあっては長い目でみれば存続できません。

記事

かつて中国で警察・武装警察権力のトップにいた元政治局常務委員の周永康の党籍剥奪と逮捕がこのほど、ついに発表された。周永康については、元重慶市党委書記の薄熙来失脚に連座する形で転落への道筋が見えてはいたが、党籍剥奪と司法機関への身柄送致の正式発表を聞くと、さすがに習近平政権はここまでやりきったか、という感慨がわいてくる。しかも、その容疑の中に収賄などと並んで、女性関係、党と国家の機密漏洩といったきな臭いものが並び、「反党的な重大規律違反」を犯したという。国家機密漏洩がかかわっているとなると、おそらくは周永康の裁判は非公開となるのではないか。薄熙来は中国の法治国家ぶりをアピールする見世物サーカス的な公判で、結局は執行猶予付き死刑という判決であったが、新華社や人民日報の報道ぶりをみれば、周永康については死刑判決が出るのではないか、という憶測も流れている。周永康の死刑はありえるのか、考えてみたい。

党員は厳格な規律を要求され、それ自体が党の本質

新華社で周永康の処分が発表になった後、人民日報の微信アカウントが出した論評がすこぶる厳しく、周永康死刑説の裏付けになっている。以下抄訳をあげる。12月5日、習近平の虎狩りはさらに劇的な状況を更新した。中央政治局会議は中央規律検査委「周永康に関する重要規律違反審査報告」を審議、採択し、周の党籍剥奪とその犯罪容疑について、司法機関に身柄を送致することを決定。中央が発表した周の紀律違反行為の中で、「重大な反党的政治紀律、組織紀律、秘密保持紀律に違反した」「党と国家の機密を漏えいした」という部分は注目に値するだろう。かつて政治局常務委として、国家指導部幹部として、周が党と国家のどんな機密を誰に漏洩したというのか? 党の政治紀律、組織紀律、秘密保持紀律とはどのようなものか? 目下は知るすべもないが、周がしでかしたことは、党の歴史においてかつて出現した「叛徒」と大した差はないだろう。中国共産党と世界の多くの政党は同じではない。党員は厳格な規律を要求され、それ自体が党の本質であり、長期の闘争の経験における総括なのだ。このため、今日の入党誓詞の中に、「党の秘密を守る」「永遠に党に謀反を起こさない」「党への忠誠」「常に党と人民のために一切の犠牲を払う覚悟」などの言葉が散見するのである。党史上、多くの命を懸けて信条を守る誓いがあり、党の秘密を守った英雄的人物があった。しかし、敵の拷問に耐えられず、誘惑に負けて変節した叛徒もあり、その中には党の高級幹部も少なくなかった。…

こういう論評とともに、1930年代に党中央秘密特務組織の責任者でありながら国民党に投降し大量の党機密を漏えいした顧順章など党歴代の叛徒5人の名前を列挙している。「叛徒」「売国奴」というのは、中国共産党政治において死刑に値する罪であり、フェニックステレビなどが、この激しい論評が何を意味するのか、盛んに取り上げて解説している。「周永康が叛徒であると決めつける文章のあと、中国共産党史上の高級幹部叛徒5人の名を列挙し、その5人がいずれも死刑になっている。…では、この5人が例外なく死刑になっているということは、周永康の最後はどうなるのか? 非常に意味深な文章である」

巨額汚職、愛人たちが情報収集

ところで周永康はいったい何をしたと言われているのだろうか。もう一度整理してみたい。まず巨額汚職である。これまで中国メディアに報じられているところを総合すると、周永康は石油企業トップから政界入りし、党中央に石油閥を形成し、石油企業との癒着により巨万の富を得ていた。その汚職規模は数千億元に上るといわれている。また四川省の書記時代に築いた人間関係を四川閥と言う形でまとめあげ、後に周が中央政法委員会書記(公安・武装警察のトップ)の地位につくと公安関係人事も把握し、石油閥、四川閥、公安閥、そして彼の秘書経験をもつ側近たちのグループを束ねて、広範囲の利権グループを掌握していた。また家族・親族、友人、愛人たちを汚職や情報収集の手駒にも使っていた。中でも「百鶏王」と呼ばれる精力絶倫の周永康には大勢の愛人がおり、その中には軍属歌手で習近平国家主席夫人の彭麗媛の妹分にあたる湯燦や、CCTVの美人キャスター葉迎春、沈冰といった軍や報道の中枢にいる女性たちも多くいた。こういった女性たちをパイプに使い、軍との関係強化やメディアコントロールも行っていたと見られている。

また殺人容疑も噂されている。周永康の最初の妻・王淑華は不審な交通事故で死亡。これは周永康が仕組んだ謀殺ではなかったかといわれている。もちろん、裏のとれていない話ではあるが、当時、周永康は別の愛人と付き合っており、その愛人が今の妻でCCTV編成部に勤務していた賈暁燁で、彼女が妊娠した(後にウソだとばれた)と言ったことから、いつまでも離婚してくれない王淑華を殺害したというのがもっぱらの噂である。一説によると賈暁燁が、江沢民の妻の王冶平の妹の娘であり、江沢民の親戚になり中央権力へのコネを得るために、周永康が長年連れ添った妻を殺害したという見立てもある。

殺人容疑、クーデター首謀、機密漏洩…

周永康の妻が江沢民の親族であるという噂はかねてから流れていたが、それが最初の妻か二番目の今の妻かは情報が錯そうしていた。以前、このコラムでは王淑華が王冶平の姪であるという噂を紹介したと思うが、最近信じられているのは、四川省党書記時代の周永康に2001年に後妻に入った賈暁燁が、周永康と江沢民をつなげる女性であったという話である。また彼女の姉・賈暁霞は、中国石油カナダ支社の首席代表というポスト(現在離職、行方はしれず)についており、周永康事件の石油閥汚職に連座しかねない立場にある。そして、すでに失脚、服役中の薄熙来とともに、習近平政権からの権力奪取の計画に加担していたという噂がある。いわゆるクーデター首謀説である。もし「反党的」と言われる謀反の疑いがあるとしたら、このことではないか、とみられている。これらの容疑はすでに、中国メディアでも海外メディアでもふれられていたが、新華社発表では「党と国家の機密漏洩」という、いままでにあまり聞かなかった容疑がふくまれている。これは、何を指すのか。一つ推測されるのが、2012年6月にブルームバーグが報じた、習近平ファミリーの不正蓄財疑惑で、習近平の姉らが3.76億元を蓄財しているというスクープだ。この報道が習近平の逆鱗に触れ、ブルームバーグが強制捜査を受けたことはすでに報道されているとおりである。ブルームバーグのネタ元は、香港紙蘋果日報が報じているように李東生・元公安副部長(失脚済)らしい。李東生は元CCTV局長でテレビマン時代に周永康にCCTV美人キャスターらを愛人にあっせんした功績で、公安副部長に取り立てられた周永康の側近中の側近。また同じキャスターの愛人を共有する“義兄弟”関係にあり、また周永康と賈暁燁を引き合わせて結婚させた“仲人”とも言われている。李東生に習近平スキャンダルをブルームバーグに流させたのが周永康ではなかったか、と言われている。

もう一つは、2014年1月に世間を騒がせた「中国オフショア金融の秘密」報告。これは国際調査報道ジャーナリスト連合に匿名で送り付けられたデータを連合に加盟するメディア記者たちが手分けして裏をとり、習近平や温家宝の親族がどれほどの財産を租税回避地のオフショア金融に隠し持っていたかを報じたもの。誰がこの特ダネデータを送り付けたかは不明ながら、このオフショア金融リストに、当然入っているはずだと思われてきた江沢民、周永康、曽慶紅の名前が入っておらず、上海閥、つまり周永康筋がネタ元であるという推測はされていた。

愛人のスパイ容疑もリンクか

もう一つ興味深いのは、今年に入って、周永康や徐才厚・元中央軍事委員会副主席(失脚済)らの愛人であった軍属歌手の湯燦が、実は生きていて国家機密漏洩などのスパイ容疑で懲役15年の判決で服役中という情報が相次いで香港メディアに流れたことである。彼女については拙著『現代中国悪女列伝』(文春新書)でも紹介しているが2011年12月以降、突如行方不明となっており、秘密裡に処刑されたという噂も流れていた。だが、周永康の処分が発表される前後から香港紙で彼女が実は生きており、湖北省武漢の刑務所に服役中で、囚人たちに声楽指導をしているという情報が流れ始めた。報道によると、彼女は軍や党の幹部との愛人関係を通じて得た、中南海内の最高指導部の居宅や事務所の地図、軍事・経済情報を米国に渡していたという。彼女は米国に遊学中に、米国から工作員としての教育を受けたという話も伝えられている。 また最近、湯燦が周永康の秘書の一人・余剛(失脚し服役中)と同棲していたという情報も流れており、彼女のスパイ罪と周永康の国家機密漏洩がリンクする可能性もあるかもしれない。

在米亡命華人学者の何清漣氏が自分のブログでこんな指摘をしている。「少し前に中国が反スパイ法を発表し、すべての兆候からみると周永康が極めて重い刑を受ける可能性はあるだろう。類似事件ではこの10年以上の間、中共高官で外国への機密漏洩で死刑に処せられたのは劉連昆少将だけ。台湾に情報を漏らしたかどで1999年に死刑にされた。ほかに姫勝徳少将がアモイ遠華密輸事件で軍事情報を売って2000万以上の暴利を得たという事件では、検察側は収賄、汚職、公費横領罪など多数の罪名で起訴したが、軍事法廷一審では執行猶予付き死刑だった。姫勝徳の量刑はその父親が共産党元老の姫鵬飛であることを考慮し処置を軽減したものと思われる。周永康が、これまでの共産党の暗黙のルール“常務委員は罰せず”を考慮するかどうかによってその刑の重さが決まる」

恐怖政治の始まりか、権力闘争は続く

文革の終結とともに江青ら四人組が逮捕され1981年に裁判が行われたが、江青は死刑にはならなかった。この裁判について人民日報などは当時「法治国家到来の始まり」と評価している。とすれば、周永康に死刑判決が出るようなことがあれば、文革以前に戻るという言い方もできるかもしれない。“常務委員は罰せず”という最高権力者だけが優遇される暗黙のルールがなくなり法の平等が実現するというよりは、共産党体制内に、不満分子が増え、“死刑”という厳しい見せしめ無しでは、党の団結が守れない“恐怖政治”時代に入ってきたともいえないか。だが、実力を伴わない強権の発動は、内なる敵をさらに増やす可能性もある。周永康事件で江沢民氏の連座は免れたとしても、胡錦濤の大番頭と呼ばれた令計画・党中央統一戦線部長への包囲網はじりじりと狭まっているという話も聞く。反腐敗キャンペーンを建前にした権力闘争はまだ続くはずだ。こういう状況で、周永康事件は、中国法治の行方と共産党体制の盤石さを占う上でも重要な裁判になりそうだ。