『BREXITが深める英国とドイツの亀裂』(7/19日経ビジネスオンライン 熊谷徹)について

ドイツはアフガンからの移民の少年が列車でテロを起こされても未だ移民の受入を継続するつもりでしょうか。学習能力が足りないとしか言いようがありません。ヒットラーを選挙で選び、ユダヤ人の虐殺をしたから(ドイツは国家として虐殺謝罪せず、ヒットラーのせいにして個人賠償しました。ボスニアがカラジッチのせいにして売ったのと同様。日本で戦前は戦争を煽り、戦後は軍部のせいにして反日に邁進している朝日新聞みたいなもの。卑怯者の世界です)とか、第二次大戦後ドイツ人の1200万人の強制移住が発生した時の苦しみとかは過去の話です。それが為に現在起きている問題に目を瞑り、解決を模索しないのでは何をか況やでしょう。政治家が国民の思いを汲み取っていません。ですから欧州では極右と言われる(実は反EU、反移民なだけです)政党の支持率が伸び、米国ではトランプが出てくるわけです。ロシアのプーチンは愛国的で国民の支持率も高いです。中国は一党独裁で国民の意思は関係ありません。都合が悪くなれば弾圧できますので。

ドイツ人がEU離脱を考えないのは当り前のこと。第四帝国と揶揄されるようにEUの仕組み、特に通貨問題で(マルクを止めてユーロ共通通貨にしたことにより)、技術の遅れている国からも富を移転することが可能となりました。

http://ameblo.jp/yopsd905724/entry-11777744427.html

英国も移民反対のメイが首相になり、ボリス・ジョンソンを外相にしたところから、EU離脱を後戻りさせることはないでしょう。ただ離脱交渉がすんなりいくかどうかですが。やはり年数がかかるのでは。ただ、メルケルは英国がEUの義務を果たさず、特権を享受して、引き延ばしすることは許さないでしょう。駆け引きが見ものです。

記事

parliament square in London

7月2日、ロンドンの議会広場でBREXITに抗議する残留派市民。(撮影=熊谷 徹)

 6月23日に英国で行われた国民投票で、過半数の投票者がEU離脱に賛成した。ドイツでは多くの経済学者、報道関係者の間に、「この投票結果によって、欧州は以前の欧州ではなくなった」という沈鬱な空気が流れている。

激動期に戻った欧州

 筆者も、EU第2の経済大国における国民投票でEU離脱派が勝利を収めたことは、1998年にベルリンの壁が崩壊したことに匹敵する「パラダイム・チェンジ(座標軸を覆す出来事)」だと考えている。2つの出来事の間の大きな違いは、ベルリンの壁崩壊が欧州に大きな利益をもたらしたのに対し、BREXITが欧州の地位を大幅に低下させることだ。

 ベルリンの壁崩壊以来約20年間にわたり、欧州は国家間の垣根を取り払い、「連邦」への道を着々と歩んでいた。だがユーロ危機が表面化した2009年末からEUの病が深刻化し、EU離脱派が英国で勝ったことによって「欧州合衆国」の夢は潰えた。筆者は、約20年間続いた欧州の安定期が終わり、再び激動期に入ったという印象を持っている。

英国に厳しい態度を示したメルケル

 国民投票から時間が経つにつれて、「離婚」の当事者たちはお互いに失うものの大きさをひしひしと感じつつある。

 そのことは、ドイツの首相、アンゲラ・メルケルが6月28日に連邦議会で行った演説にはっきり表れている。メルケルは「英国の国民投票の結果は、欧州に深い傷を与えた。この決定を極めて残念に思う。欧州はこれまで様々な危機に遭遇してきたが、過去60年間でこれほど深刻な事態は一度もなかった」と述べ、この決定がEUの将来にとって大きな分水嶺になるという見方を打ち出した。

 メルケルはその上で「EUの家族から去る者に対する扱いは、EUに残る者とは明確に異なる。EUから離脱するのに、EUの良い点だけ享受し続けることは、許されない」と明言した。

英国政府は、EUの「域内での移動と就職の自由」の原則を拒否する一方で、関税同盟などEU単一市場の利益は、将来も引き続き享受したいと考えている。メルケルは演説の中で、「そのような虫の良い話は許されない」として、英国の希望をきっぱりと拒絶したのである。

 さらに、「英国が(EU憲法に相当する)リスボン条約第50条に基づくEU離脱申請を正式に提出しない限り、EUは英国と離脱後の条件について交渉するべきではない」と述べた。

 メルケルによると、英国が引き続きEU単一市場に参加し続けたいのならば、移動と就職の自由などEUの基本的原則を受け入れなくてはならない。ノルウェーとスイスがEUに加盟していないにもかかわらず、単一市場の恩恵を享受しているのは、これらの条件を受け入れているからだ。さらに単一市場に参加する非加盟国は、EUの首脳会議や閣僚理事会に参加する権利はないにもかかわらず、EUに対する「拠出金」は払わなくてはならない。

メイ政権はBREXITを目指す

 英国では7月13日に、内務大臣のテリーザ・メイがキャメロンの後継者として首相に就任した。メイはボリス・ジョンソンほど攻撃的な離脱派ではなく、「EUに懐疑的な残留希望派」だった。だがメイは、移民の制限をすでに公約として掲げている。つまりメイが、「単一市場にアクセスしたいならば、移動の自由を認めよ」というドイツ側の主張を受け入れる可能性は、極めて低い。

 さらにメイは、保守党内の離脱派の急先鋒ボリス・ジョンソンを外務大臣に任命。メイ政権は、離脱を選んだ52%の投票者の意向を尊重せざるを得ないだろう。このため、移動の自由などをめぐって英独が正面衝突し、多くの人々が恐れるBREXITが実現してしまう危険は高い。

 リスボン条約第50条によると、加盟国が離脱を申請してから2年が経過すると、その国の加盟国としての地位は消滅する。この間に英国は、離脱後の関税や市民の滞在権など、複雑かつ膨大な数のテーマについて個別に、EUと交渉しなくてはならない。ドイツ政府部内では、「英国が全ての個別案件について、2年間でEUと合意に至るのは、技術的に不可能だ」という見方が強まっている。

不確実性という「毒」

 ドイツの財界関係者の間では、「欧州経済にとって最も悪いのは、今後2年間にわたり、英国経済の先行きについて不確実な状態が続くことだ」と見る向きが多い。不確実性は、企業が最も忌み嫌う物である。

 企業は、特定の国の前途について不確実性が高まった場合、その国にからむ将来の事業計画の見直しを迫られ、投資計画や雇用計画をストップさせるかもしれない。欧州が第二次世界大戦後、一度も経験したことがない事態なので、2年後に英国がどういう状態になっているかを予測することは、極めて難しい。この予測不可能性と不確実性が、ユーロ危機から回復する過程にある欧州経済にとって、ブレーキとなる危険が高まっている。

 その典型的な例が、フランクフルトのドイツ証券取引所とロンドン証券取引所の合併計画だ。これらの取引所を経営する英独の企業は合併して本社をロンドンに置く計画を進めていた。両社は合併によって世界有数の証券取引所となり、年間経費を4億5000万ユーロ節約する方針だった。しかし国民投票でEU離脱派が勝ったことから、ドイツ証券取引所の株主から「新会社の本社をEU圏外に置くことは、問題だ」という声が浮上。合併計画は暗礁に乗り上げる可能性が強まっている。

BREXITは敗者しか生まない

 英国の国内総生産において工業が占める比率は約10%であり、ドイツよりも大幅に低い。このため物づくり大国ドイツにとって、英国は世界で3番目に重要な輸出先だった。ドイツ商工会議連合会(DIHK)のエリック・シュヴァイツァー会頭は「BREXITは、ドイツ経済にとって大変な打撃だ。ドイツ企業は甚大な変化を経験するだろう。ユーロに対してポンドが下落することで、ドイツ製品の価格が英国にとって割高になるので、売上高は減ると思う。さらに、英国への投資をためらう企業が増えるだろう」。

 ドイツの経済学者、経済団体の幹部たちは、一様に「BREXITは欧州経済に長期的に大きな悪影響をもたらす」という悲観的な見方を打ち出している。

 ミュンヘンに拠点を置くIFO経済研究所のクレメンツ・フュスト所長は、英国での国民投票の結果を「理性の敗北」と呼び、欧州諸国はBREXITのダメージを最小限に抑えるための対策を取らなくてはならないと訴えた。同研究所は、7月初めに発表した研究報告書の中で「英国の貿易額のうち、EU加盟国との貿易額は約50%を占めている。このためBREXITが英国に及ぼす影響は、EUが受ける影響よりも大きくなるだろう」と指摘する。

 そしてIFO研究所は「英国とEUの交渉が不調に終わり、EU離脱後の英国が単一市場にアクセスできなくなった場合、2030年の英国民1人あたりの国内総生産(GDP)は、BREXITが起きなかった場合に比べて、0.6%~3.0%減るだろう。これに対し、ドイツ国民1人あたりのGDPの減少幅は、0.1%~0.3%にとどまる」と予測している。

 今回の国民投票で英国の投票者の約52%がEU離脱に賛成したが、ドイツでは異なる。フォルサ研究所が今年6月中旬に行った世論調査によると、ドイツのEU離脱を望むと答えた回答者は17%にすぎなかった。ドイツは第二次世界大戦後にEUやNATO(北大西洋条約機構)などの国際機関に身を埋めることで、今日の繁栄と安定を築き上げた。同国経済は、ユーロの導入やEU単一市場によって大きな恩恵を受けている。このため英国に比べて、EU加盟国であることに利点を見出す市民が英国よりも多いのだ。

EU改革が喫緊の課題

 経済的な不利益が生じるのを覚悟の上で、EUに背を向ける道を選んだ英国と、共同体に属すことで生じるシナジー効果に期待するドイツの生き方は、水と油のように異なる。ドイツ人の間では、英国が国民投票で下した決断を「不可解」と見る人が圧倒的に多い。

 ドイツにとって、他のEU加盟国が英国にならって離脱への道を歩むことは、最悪のシナリオだ。それは、ドイツの繁栄の基盤である共同体を侵食する動きだからだ。EUが崩壊して、群雄割拠の時代が再来した場合、欧州の力は今に比べて大幅に弱まる。フランス、オランダなど多くの欧州諸国で、EUに反旗を翻す右派ポピュリスト政党が支持率を高めつつあり、EU離脱をテーマにした国民投票の実施を求めている。ドイツは、EUに対する加盟国市民の信頼感を回復させ、他国の離脱を防ぐために、欧州委員会委員の人選に関する透明性の向上や、EUの権限の一部を各国政府・議会に返還することを含めた、EU改革に本腰を入れざるを得ないだろう。

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