『暴走する北朝鮮にロシアが接近する3つの理由 核・ミサイルで挑発されてもプーチン政権は融和姿勢』(5/26日経ビジネスオンライン 池田元博)について

5/1ブログ記事で<ロシアが北朝鮮を支援する理由とは?中国との関係は?中村逸郎解説>というのがありました。トランプとプーチンのG7での会談は出来ませんでした。トランプのロシアゲート疑惑でそれどころではなくなっています。米ロが仲違いして一番得をするのは中国です。裏で中国が米国要人に金を配っているかもしれません。プーチンが習近平の妻の彭麗媛にショールをかけたことが軋轢の原因と言うのは信じがたいですが。でも、なかなかプーチンもやるものだと。

http://rinrinshappy.com/archives/8256

でも北のミサイル発射が相次ぎ、米国を小馬鹿にしているのが見え見えです。どこまで、危険な火遊びが続くのか。中国とロシアが守ってくれると思っているのでしょうか?トランプもロシアと相談しにくい状況では、北への攻撃もできにくいでしょう。やはり、中国頼みにしかならない感じです。でも中国が北をコントロールできないというか、やれたとしてもやらないのでは。北が暴れれば暴れるほど、中国は自分の価値を高く売りつけることができると思っています。6か国会議を開いて、時間稼ぎをするだけに終わるのでは。トランプも良く中国の動きを見なければ、オバマ同様騙されて終わる形となります。やはり、決断すべき時は決断しなくては。

記事

北朝鮮が核・ミサイルの挑発を繰り返し、朝鮮半島の緊張が高まっている。米国は軍事的な圧力を強め、国際社会も制裁強化で結束しつつある中、ロシアのプーチン政権は逆に、北朝鮮への融和姿勢を強めつつある。なぜか。

北朝鮮が5月14日に発射した中長距離弾道ミサイル「火星12」は、ロシア近海に落下した(写真=KRT/AP/アフロ)

北朝鮮による軍事的な挑発が止まらない。5月も14日、21日に弾道ミサイルを発射し、新型の中長距離、中距離弾道ミサイルの試射にそれぞれ成功したと主張した。今年に入ってからのミサイル発射は既に8回に上る。

そんな中、ロシアは北朝鮮との船舶による新定期航路の開設に踏み切った。北朝鮮北東部にある経済特区の羅先の羅津港と、ロシア極東のウラジオストク港を貨客船「万景峰」号で結ぶもので、5月18日に第1便がロシアに入港した。今後は週1回のペースで往復する予定だ。

万景峰号はかつて日本に在留していた在日コリアンの帰還事業などに使われていた貨客船で、ロ朝間の定期航路開設のために改修された。乗客は約200人、貨物は約1500トンの搭載が可能だ。ロシアで運行に当たる「インベスト・ストロイ・トレスト」によれば、北朝鮮からの物資の輸入、ロシアで働く北朝鮮労働者の輸送などにも利用するという。

関係国は北朝鮮の暴走に歯止めをかけるべく、北朝鮮籍の船舶の入港禁止、貿易取引の縮小、北朝鮮労働者の受け入れ制限などに動いている。米国のトランプ政権はカール・ビンソン、ロナルド・レーガンの2隻の原子力空母を朝鮮半島周辺に向かわせ、軍事的な圧力も強めつつある。北朝鮮の後ろ盾とされる中国でさえ、北朝鮮からの石炭輸入の停止に踏み切ったという。

国際社会が結束して制裁圧力を強めようとしているのに、ロシアの動きは明らかに逆行する。ロ朝間の定期航路は結果的に、制裁の抜け穴として北朝鮮に利用されかねない危うさも抱える。

暴走する北朝鮮にロシアが接近する3つの理由

核・ミサイルで挑発されてもプーチン政権は融和姿勢

ミサイル発射でも「直接的な脅威はなかった」

しかも北朝鮮が5月14日、中長距離弾道ミサイル「火星12」と称して北西部から発射した弾道ミサイルは、ロシア極東の近海に落下した。北朝鮮の核・ミサイル開発はロシアにとっても脅威となるはずなのに、なぜプーチン政権は北朝鮮との融和路線に舵を切ろうとしているのか。

恐らく3つの理由があろう。第1に対米けん制、第2に国際社会で主要プレーヤーの立場を誇示する思惑、そして第3に経済的利益だ。

まずは対米けん制。北朝鮮が「火星12」を発射したのは、中国が主導する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の初めての国際会議が北京で開幕する日だった。プーチン大統領も参加するために北京を訪れた。

そのタイミングに合わせたような挑発だった。かつミサイルがロシア近海に落下したため、北朝鮮が中ロも威嚇したのではないかとの観測も流れた。

米ホワイトハウスは「ミサイルはロシアの領土に近いところに落ちた。実際、日本よりロシアに近い。(トランプ)大統領はロシアがこれを喜んでいるとは思っていない」との声明を発表。あえてロシアに言及し、ロシアにも暗に北朝鮮への制裁強化に同調するよう求めたのは記憶に新しい。

ところがプーチン大統領は「一帯一路」会議後の記者会見で、ミサイル発射直後にショイグ国防相から情勢分析の報告を受けたとした上で、「発射による我々への直接的な脅威はなかった」と強調した。

大統領は「(発射は)もちろん紛争を助長する。何も良いことはない」「核やミサイルの実験は容認できない」などと、北朝鮮の挑発を戒める発言も繰り返したが、同時に世界では最近、「国際法の深刻な侵害と他国の領土や体制転換への干渉」が目に付くと言明。名指しこそしなかったが、北朝鮮に軍事的圧力を強める米トランプ政権を批判した。

ロシアがとくに警戒しているのが、米国による北東アジアでのミサイル防衛システム展開の動きだ。米韓はすでに米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備を進めているが、ロシアは中国とともに強く反発している。米国は北朝鮮の脅威への対処が狙いとするが、実際は中ロを標的にしたもので、自国の安全保障体制を脅かすとみているからだ。

またトランプ政権は今年4月、ロシアが後ろ盾となっているシリアのアサド政権軍を巡航ミサイルで攻撃した。同政権による化学兵器使用疑惑を受けたものだが、ティラーソン国務長官は北朝鮮への警告の意味もあったとしている。

ロシアは当然のことながら、米国のシリア攻撃は「国際法違反」(プーチン大統領)だと反発した。アサド政権が化学兵器を使用したとする根拠を示さず、国連安全保障理事会の決議もなく独断で攻撃した点を批判したわけだ。こうした米国の軍事行動は2003年のイラク戦争以降、プーチン政権が常に問題視してきたことだ。米国の北朝鮮への軍事的威嚇をけん制するのは、積もり積もった米国不信も背景にあるようだ。

低下した北朝鮮への影響力を挽回する好機

次に、国際社会での影響力の誇示。プーチン大統領は米国への対抗意識もあってか、北朝鮮の核問題は「北朝鮮との対話に戻り、威嚇をやめ、平和的に解決する方策を見いだす必要がある」と主張する。その対話の枠組みとして求めているのが6カ国協議の早期再開だ。

6カ国協議は議長国の中国と、北朝鮮、米国、日本、韓国、ロシアの各国代表が一堂に会して北朝鮮の核問題を話し合う枠組みだ。2008年12月の首席代表会合を最後に中断したままだが、2005年9月に合意した共同声明は、北朝鮮が「すべての核兵器および既存の核計画の放棄」を約束していた。

また、その後の6カ国協議では朝鮮半島の非核化、米朝や日朝の国交正常化などの作業部会を設け、参加国がそれぞれ議長を務めることで合意したこともある。その際にロシアが議長となったのは「北東アジアの平和及び安全のメカニズム」。ロシアは当時、自ら主導して北東アジアに安全保障機構を構築したいとの意気込みを示していた。

当時と比べ、北朝鮮の核・ミサイル開発のレベルが格段に向上している現実を踏まえると、6カ国協議を通じて北朝鮮の核放棄を促すシナリオは想定しにくい。とはいえ、仮に再開にこぎつければ、ロシアも北朝鮮の核問題のみならず、北東アジアの安全保障に一定の指導力を発揮できると考えているのだろう。

今のロシアには、北朝鮮への政治的な影響力はほとんどない。北朝鮮の対外貿易もほとんどが中国だ。2016年は中朝貿易額が約58億ドルだったのに対し、ロ朝の貿易額は7700万ドルにも満たなかった。

ロシアの北朝鮮との貿易額

(出所・KOTRA=大韓貿易投資振興公社、単位千ドル)

とはいえ、ロシアの前身であるソ連が北朝鮮の建国に深く関わり、絶大な影響力を誇った歴史的経緯もある。ロシアには依然、北朝鮮との結びつきを国際社会に誇示しようという思惑が根強いのも事実だ。

例えば2015年5月、モスクワで開いた対独戦勝70年記念式典。ロシア当局者は直前まで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長(当時の肩書は第1書記)が初の外遊先としてロシアを選び、式典に出席すると宣伝していた。結局、北朝鮮から参加したのは金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長だった。

こうした苦い経験があるものの、今の北朝鮮は後ろ盾とされる中国ですら公然と批判するようになっている。ロシアはこれまでも食糧支援などを断続的に実施し、北朝鮮とのパイプ自体は残している。国際的孤立を深める北朝鮮に融和の手をさしのべ、中国を含めた他国との違いを際立たせれば、北朝鮮への影響力を多少なりとも高められると踏んでいるようだ。

北朝鮮労働者はロシア経済で重宝されている

そして最後に、経済的な利益。ロシアは近年、北朝鮮からの労働者受け入れを積極的に進めている。その数は5万人前後に達するとされる。極東を中心に建設、道路整備、木材伐採などに携わる人材が不足するなか、賃金が安く、真面目で勤労意欲の高い北朝鮮労働者は重宝されているようだ。

極東開発の一環として、北朝鮮に関心を強める動きもある。ロシアは中国などアジア向けの石炭輸出拠点として、北朝鮮・羅津港の埠頭の長期利用権を取得。埠頭を改修したほか、羅津とロシア極東のハサンを結ぶ鉄道も改修した。

さらにロシアには、朝鮮半島を縦断する鉄道を建設してシベリア鉄道と連結する構想、ロシア産の天然ガスを輸送する南北縦断ガス・パイプライン構想、北朝鮮を経由する広域電力供給網といった巨大なプロジェクト構想もある。

すでに約110億ドルに上る北朝鮮の対ロ債務のおよそ9割を帳消しにし、残りを北朝鮮のインフラ整備に宛てるとするなど、北朝鮮への投資を進めやすい環境づくりも進めている。折から、韓国で北朝鮮との融和路線を掲げる文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任したこともあり、あの手この手で北朝鮮への投資の機会を探っているのは間違いない。

こうした様々な思惑を抱えたロシアの動きは、万景峰号による定期航路の開設にとどまらず、今後の北朝鮮情勢の波乱要因になりそうだ。

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