『中国の民主化、困難な理由と実現の可能性を問う 民主化運動の楊建利氏「日本よ、アジアの民主共同体の盟主に」』(4/5日経ビジネスオンライン 福島香織)について

民主化といっても幅があります。ここでの民主化は「人民民主」ではなく、「議会制民主」を指していると思います。ただ、中国が民主化したとしても、日本や欧米の民主と違い、韓国型になるのではと予想します。つまり、法治国家でない(事後法当たり前、憲法裁判所が条約無効の判断等)、基本的人権(産経新聞のソウル支局長の軟禁)もない国です。今の中共でも同じようなことをしています。民主主義の基盤は選挙という外形だけでなく、国民の民度・教育によって齎されます。反日教育を長く受けて来ていて、相手を憎むことしかできない国民に多様な見方ができるかどうか。まあ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という嘘つき民族ですから。

日本は明治時代(1890年)から選挙制度を採り入れ、大正(1925年)には普通選挙、戦後すぐ(1945年)には女性の参政権も認められました。別に米国から教わらなくとも、不平等条約のお蔭で、民主主義は機能してきた訳です。森友問題で教育勅語が槍玉に挙がっていますが、左翼にとって都合が悪いものですから、「憲法違反で1948年には廃止された」とか言っています。仲間を平気で裏切り、リンチしたり、ゲバ棒を振るう輩にとって、道徳律としての教育勅語は自分達の生き方に反するからでしょう。「汝臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹仲よくし、夫婦互に睦び合い、朋友互に信義を以って交わり、へりくだって気随気儘の振舞いをせず、人々に対して慈愛を及すようにし、学問を修め業務を習って知識才能を養い、善良有為の人物となり、進んで公共の利益を広め世のためになる仕事をおこし、常に皇室典範並びに憲法を始め諸々の法令を尊重遵守し、万一危急の大事が起ったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為につくせ。」とあり、確かに戦後の押付け憲法の主権在民からは外れますが、今でも国家元首は天皇であり、内容でおかしい所はありません。今の法律に合わない所を読みかえれば良いだけです。佐伯啓思氏の本に「共和制の市民は、王権神授説を採らず、天賦人権説を採るのであれば、王の保護を受けない代わりに、自分達の身は自分で守ることが暗黙の裡に要請されている」とあったと記憶しています。(正確でないかも知れませんが)。そもそも教育勅語を廃止した1948年はGHQの占領時代で彼らの意向に沿わないものは、検閲してまで止めさせていた時代です。それも考慮に入れねば。押付け憲法と同じです。

中華民国時代には、中国国民党は孫文の後、欧米の支援を受けた蒋介石と日本の支援を受けた汪精衛(汪兆銘)に分裂しました。中国人の総てが悪い人間ではない証左とも言えます。しかし、今の時代、火力を持たない、一揆のような形態の反逆では簡単に鎮圧されます。天安門事件が良い例でしょう。軍の一部でも味方につけなければ、いくら大衆が不満を持っていても、革命は成功しません。却って国民の不満を逸らすため、日本とか台湾とか戦争を起こす可能性があります。

やはり、外部の力を借りなければ、中共政府を転覆させるのは難しい気がします。特に米国がどう動くかです。米国は北の問題が片付き次第、中国を金融制裁するようになれば、情勢は変わるかもしれません。勿論、中国が真の民主主義国家となり、平和を愛好する国になってくれれば、日本としても安心です。でも可能性としては限りなく低いと思っています。

日本は既に民主主義の模範国となっています。ただ反日国家のプロパガンダを撥ね返せないで来ました。米国の圧力があったからです。米国も中国の裏切りに気付いたようですので、これからは徹底的に反日国の嘘を暴いていく時期と思います。

記事

中国は民主化する可能性があるのか。“中国屋”と呼ばれる中国専門ジャーナリストや研究者の永遠のテーマだが、先日、米国最大手の中国の民主化運動を推進するNGO・公民力量の主宰者、楊建利が東京を訪れていたので、私もインタビューしたし、明治大学現代中国研究所が主催した講演会にも行ってきた。独裁体制をより強化しようとする習近平政権の登場で、中国の“党内民主”化は以前よりも遠のいたようではあるが、楊建利が“中国の民主化をあきらめない”とする分析もなかなか興味深いので、ここで紹介したい。

まず、困難な理由を分析すべき

楊建利は高校を経ずに飛び級で山東省師範学院数学系に入学し、1989年の民主化運動に参加したのち、米国に移住。ハーバード大学で政治経済学、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)で数学の博士の学位を取得し、米国に拠点を置きながら、中国民衆の権利と自由を推進する活動を続けてきた。当然、中国当局からは中国入国拒否のブラックリストに入る人物だが、2002年に中国東北部の失業者大規模デモの状況を視察するため、他人のパスポートで入国したところを逮捕され、不法入国などで5年間投獄された経験を持つ。2007年、当時のブッシュ大統領の働きかけで釈放され米国帰国後、中国のNGO・公民力量を創設し、中国の民主化を海外から働きかける。

楊建利は、中国の民主化は非常に困難、と認めながらも、その実現をあきらめていない。その困難を打開するためには、その困難である理由を分析すべきだし、日本を含む国際社会の支援が必要だと指摘する。

まず中国の喫緊の民主化運動が挫折した歴史、1989年の天安門事件当時を振り返ろう。この虐殺事件は中国人大衆と共産党政府の双方に深いトラウマを残した。民衆は政治について議論することに恐怖を覚えるようになった。共産党政府は、人民が本音のところで自分たち共産党の統治を否定していることに気づいてしまった。人民と政府、双方が人権や民主化の問題を口にしないようになった。一方、国際社会においては、旧ソ連が解体され、このことは共産党の危機感を呼び覚ました。中国は人道無視の残酷な国家として国際社会で孤立した。共産党政府はこの危機をどう打開するべきかわからず、狼狽した。

救いの手をのべたのは、実は米国だった。ブッシュ政権は天安門事件発生後3週間たたないうちに、特使を派遣、外交上の立場としては中国を非難するものの、米中関係は維持していく方針を伝え、鄧小平は安堵した。米国内では、反中世論が盛り上がったが、日本が米国の意向を汲んで真っ先に対中経済制裁を解くことで、国際社会世論の流れを変えることになった。

この日本の対中経済制裁解除の代わりに、中国民主化運動リーダーの物理学者・方励之の米国への出国を中国が認めた裏取引については、方励之自身も知らず、彼は死ぬまで日本の態度を非難していたが、これは米国世論をなだめながら中国との関係回復を模索していた米国の頼みを断りきれずに、日本が泥をかぶったかっこうだった。この件については、産経新聞が当時大使だったジェームズ・リリーと橋本恕に生前インタビューし、裏をとっている。

日本が国際社会の対中包囲網に穴をあけることになるが、やがて欧米も立場を変え、中国に対する投資を競うようになった。欧米諸国の建前は、いわゆる中産階級理論、つまり中国が豊かになれば中産階級が生まれ、彼らは自然と民主、自由を求めるようになり、中国の民主化が進むであろう、という主張だった。

だが実際はこの通りにはならなかった。むしろ、習近平政権になってから、ますます民主化は遠のき、毛沢東時代に先祖返りを見せている。

なぜ中産階級理論は破たんしたか

楊建利は「なぜ中産階級理論は破たんしたか?」と、考える。

まず鄧小平の南巡講話以降、中国共産党中央は落ち着きを取り戻し、冷静に現実を見極めることができた。そして一つの結論にたどり着く。人々への共産党への忠誠は、イデオロギーは関係ない。むしろ経済、金による。そこで、党員に金儲けをさせ、腐敗させ、そのうまみを与え弱みとして党への忠誠を約束させる方法をとる。腐敗を統治の手段とし、全面的な腐敗を認めたのだった。

さらに党員に資本家を招き入れ、“有限会社共産党”化することで、経済成長を推進していく。一方、人民の人権水準は依然低いままにしておき、人民を安価な労働力として使い倒す。この安価な労働力にひかれて、外交資本が中国に殺到し、奇跡的な経済成長を実現させた。

共産党の政治エリート、資本家ら経済エリート、そして政治・経済エリートが協力して掌握するメディアによる洗脳教育で知的エリート、文化エリートも有限会社共産党の一員となる。プロレタリアートのための共産党は、完全にエリートたちの金儲け機関に変化してしまった。エリートになれば、共産党の利益にあずかれる、というシステムを作り上げれば、エリート=中産階級は共産党に刃向かわなくなる。党の主導によって実現した経済発展で生まれた中産階級エリートは、党に忠誠を誓い、中産階級が民主化を求めるという欧米式の中産階級理論は破たんした、という。

だが、利益と腐敗で結びついた党中央が絶対的安定を築いたかというと、そうではなかった。楊建利はこの結果、中国が二つに分断された、という。つまり、有限会社共産党の利益に属するエリート。そして、10億人以上の、党の利益にあずからない、何の力もない、庶民の中国。国際社会が中国に持つイメージは有限会社共産党だが、それはメディアコントロールの影響であり、現実は10億人以上のエリート以外の人民の国だ。

分断とウィルスと反腐敗と

一方、国際社会、特に欧米社会の状況を振り返ると、中国の貿易を通じての経済力によるコントロールを受けたことで、“中国ウィルス”にも感染してしまった。楊建利は言う。

「米国では、ある作家が、ウイグル族の本を出版するとなると、編集者はわざわざ中国大使館に電話して、これは政治的目的の本ではありません、文化を紹介する本です、と事前に告知するんです。出版の自由がある米国で、なぜ、編集者はわざわざ中国大使館の許可をとらなければならないのでしょう。米国メディアは時の政権を批判したりからかうネタは放送できるが、中国政府をネタに扱うときは慎重になる。ハリウッドも中国映画市場を考えると中国批判はできない。中国政府は米国に文句をつけることができるが、米国は中国の嫌がることはできません」

中国ウィルスに感染すると、公然と中国を批判できないのである。

中国の経済発展に伴い、もう一つ重要な問題が台頭してくる。それが安全保障問題だ。共産党の正当性、権威を支える柱は三本ある。経済力、ナショナリズム、軍事力だ。経済力の発達は軍事力増強につながり、それはナショナリズムの発揚につながる。天安門事件の民主化の挫折後、欧米民主国家は、中国をこのような国に育ててしまった。

そういう状況で習近平政権が登場した。

習近平政権は近代中国史上、最大の反腐敗運動を開始した。同時に、民主化・法治化を徹底的に拒む姿勢を見せた。党独裁の絶対維持の決心を見せた。

習近平の反腐敗キャンペーンには三つ理由がある。一つは政敵打倒、独裁の強化だ。二つ目は、政治エリートに嫉妬する国民の支持を得ることだ。三つ目の理由は、現実として共産党に新しく生まれる中産階級を吸収する余裕がない。つまり経済成長がすでに下降に入った段階で、これ以上、統治集団=利益集団メンバーを増やすことができないのだ。

となると、楊建利が想像する習近平の思考は次のようになる。中国の構造は、利益にあずかれるエリート(中産階級)と、利益にあずかれない大衆の二つに分裂している。この二層構造が不安定となる原因だと考えた。だから、エリート層を弾圧した。反腐敗キャンペーンで政治的エリート、経済エリートを弾圧し、メディア・言論統制強化で文化エリートを抑え込む。だが、習近平は毛沢東のように庶民の力を利用する勇気はない。毛沢東は庶民から崇拝されていたが、習近平は庶民との間にそういう関係を構築しようとして、結局できなかった。だから、庶民に対する締め付けも強化した。

三つに分断、三つの根拠、四つの条件

この結果、何が起こったか。エリート・中産階級が統治集団と距離を置くようになり、庶民も統治集団と距離を置き、中国は三つに分断されることになった。楊建利によれば、これは習近平にとって大きな危機のはじまりだという。

つまり、まず、ゲーム理論になると、二人のプレイヤーが三人のプレイヤーになり、中国共産党独裁の基盤が揺るがされる。次に、共産党統治の正当性の三つの根拠、経済発展、ナショナリズム、軍事力のうち、経済発展そのものが揺らぎ、そのバランスをとるために、ナショナリズムと軍事力を利用せざるを得なくなる。その結果、周辺国家と摩擦を起こし、外部の敵をつくることで、政権の維持をはかろうとするようになる。これが、今の習近平政権の状況だという。

だが、こういうかつてないほど共産党統治が不安定な状況だからこそ、民主化運動にとってはチャンスもあるのだという。

「いますぐ、革命は起きるとは思っていないのですが、それが起きるときのために準備を整えておくことが今必要だと思います。民主化には、四つの条件が必要です」

四つの条件とはつまり、①政治の現状に対する普遍的かつ強い不満、②持続可能な全体的な生命力のある民主化運動、③共産党指導部の分裂、④国際社会の承認と支持。

このうち中国にすでにあるものは①だ。

エリート外の10億人以上の中国人はおおむね現状に不満を抱いている。それどころか、習近平政権の反腐敗キャンペーンによって中産階級、エリート層にも不満が広がっている。

②は現在は存在しない。だが、習近平の反腐敗キャンペーンによって統治集団から離反した政治・経済エリート、中産階級が底辺の庶民層との関係を回復すれば、民主化運動の新たな勢力を形づくることができるかもしれない。

③指導部の分裂も、激しい権力闘争は継続しているが、決定的な政治路線の違いによる対立はまだ表れていない。だが可能性は存在している。その可能性を示したのは、クーデターを起こそうとした薄熙来だ。今の統治システムに不満を持つ指導部は存在する。指導部に分裂が起きたとき、それに呼応して、②の民主化運動が起きやすくなる。

そして最後に重要なのが、国際社会の支持。天安門事件のとき、もし国際社会がもっと積極的に中国に干渉していればどうなったか。

日本よ、民主共同体の盟主に

楊建利はここで、今の中国の現状についてこう警告する。

「習近平政権は、総書・国家主席二期目10年の統治システムを変更して、三期目も権力を維持する個人独裁化を進めようとしている。これは従来の共産党秩序、システムを破壊しようとする動きだ。

となると、習近平政権が三期目を続けるには新たな正当性の理由が必要だ。その正当性の理由付けとしてありうる可能性の一つは選挙だ。習近平が“人民の選挙による大統領”であれば、その権力の正当性は建前上認められる。だが、独裁志向の強い習近平により選挙が導入されたならば、不正選挙の似非民主であろう。その似非民主もうまくやれば、やがて本物の民主になる可能性もあるが、むしろユーゴスラビアの大統領のミロシェビッチのような結末になる可能性が強い。

もう一つの可能性は、何らかの政治的危機を演出することだ。非常事態を乗り越えるために、経験豊かな習近平が三期目も総書記・国家主席を続投する、という理由になる。その政治的危機とは、戦争の可能性がある。そのシナリオを考えて対策を立てる必要はあるだろう」

おりしも、米国ではトランプ政権が誕生し、国際社会の旧来の秩序も変革に差し掛かっている。戦争、紛争の火種はあらゆるところにあり、また揺るぎないと思われてきた人権や自由や民主の普遍的価値観よりも、自国の利益を最優先に考えることが、先進国の間でもトレンドとなってきた。楊建利は、トランプ政権が当初のような対中強硬姿勢を今後も貫く可能性について「まだどうなるかは不確定だが、あまり期待はしていない」と語り、むしろ米中二強国によって世界が振り回されることを懸念する。

そういう時代だからこそ、日本に期待を寄せたいという。

「アジアで最も経済実力を持つ民主化された先進国である日本に、アジアをカバーする民主共同体の盟主となってほしい。中国の民主化運動にもっと興味をもってほしい。かつて辛亥革命を手伝ったのも日本人でしたね。中国が民主化し、共通のルールや価値観のもとで、話し合いで問題を解決できる近代国家になれば、日本にとって一番の安全保障になると思います」

国際秩序の大きな変わり目を迎えた今、そろそろ日本の担うべき役割や責任を真剣に考える時期ではないだろうか。

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