『トランプ氏の「一つの中国」見直し論がもたらす衝撃 なぜ米中関係の根幹を揺るがすことになるのか』(12/29JBプレス 阿部純一)について

1/3日経<アジア通貨防衛を強化 ドル融通枠、3兆円拡大へ 

アジア各国が通貨防衛で協調する。日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)は2017年中にも各国の合意で貸し借りできるドルの融通枠を現在の720億ドル(約8兆円)から960億ドル(約11兆円)へ約3兆円増やす。今年は世界の政治情勢が変わり、米国の追加利上げや欧州の選挙次第で新興国通貨に急落の恐れがある。アジアの通貨交換協定をテコに一段と関係を深め、金融危機を防ぐ備えを厚くする。

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アジア各国は5月、横浜市でアジア開発銀行(ADB)総会と日中韓・ASEAN財務相会議を開く。こうした場を使い、各国は金融危機の際に多国間でドルを貸し借りする「チェンマイ・イニシアチブ」という枠組みの拡充で合意する方向だ。

同枠組みは1997年のアジア通貨危機を踏まえ、アジア各国が整備した。ドルを借りた国は外国為替市場で「ドル売り・自国通貨買い」の為替介入を実施して自国通貨の急落を抑える。

ドルの融通枠は全体で2400億ドル(約28兆円)あるが、このうち各国の合意だけで貸し出せるのは3割、約8兆円だ。残り7割は国際通貨基金(IMF)の金融支援後に融通する仕組みとなっている。IMFの支援決定には一定の時間がかかるため、ASEANは急速な資金移動へ柔軟に対応するには各国の合意だけで融通できる割合を引き上げるべきだとする。

資金の貸し手となる日中韓は資金の焦げつきを懸念し、合意だけの融資枠を3割に固定してきたが、16年末の事務レベル会合で歩み寄りの機運が生まれた。物価上昇率や外貨準備高など経済財政運営やドルの流動性に関する指標を支援の条件とし、貸し倒れリスクを防ぐことで各国が一致。日韓も野放図な貸し出しは防げるとみて、合意のみの融資枠を3割から4割に上げる姿勢に転じた。

各国が協調姿勢に転じたのは米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げの影響が大きい。FRBが16年12月に追加利上げに動くとの観測が強まるとマレーシア通貨のリンギ相場は1ドル=4.4リンギ台と1998年以来の水準に下落。タイのバーツも対ドルで昨年秋に比べ約5%安い。

FRBは17年に利上げを3回実施するとしており、アジア金融市場に一定の影響が出ることは避けられない。欧州ではフランスやドイツなどでトップを選ぶ選挙が相次ぎ、結果次第では金融市場に動揺が広がるリスクもある。

チェンマイ・イニシアチブと並行して、日中は2国間の通貨交換協定も進める。日本はマレーシアやタイと協定締結の交渉に入っている。中国は15年11月にインドネシアと資金枠を拡大。マレーシアやタイと協定の期限を延長している。ただ中国は2国間協力を重視し、ドル融通枠の拡大に反発する可能性もある。>(以上)

中国の軍事膨張主義や韓国の反日活動(慰安婦像)を止めさすには経済的に追い込む必要があるのに、それを助けるというのは日本政府には大局観がないとしか言いようがありません。日本がチェンマイ・イニシアチブを使うことはないし、約束を反故にするのが当たり前の中韓は融資しても踏み倒す可能性が高いでしょう。形を変えた通貨スワップでしょう。日本政府の当局者はハニーか金で籠絡されたとしか思えません。戦争を避けるなら、中韓の経済を崩壊させるのが一番です。

本記事にありますように「一つの中国」は虚構で、それを今まで米国はさも「実体」があるように演じてきました。対ロ戦略上必要だったのでしょうが、逆に怪物を作り上げてしまいました。そもそも、中国国民党も中国共産党も中国人の政権ですから、独裁になり、粛清がごく普通に行われました。228事件や大躍進、文化大革命を見れば分かります。

台湾は国姓爺合戦で有名な鄭成功を大清帝国が打ち破り、清に属したとはいえ、「化外の地」扱いでした。日本が統治したのは日清戦争後の1895年から第二次大戦敗戦後の1945年までの50年間ですが、台湾に与えた影響は大きいです。でなければこんなに親日国になっていないでしょう。反日教育を国家政策としている中韓とは違います。

中共は漢人の政権で少数民族を弾圧しています。チベット、ウイグル、モンゴル人がその対象です。清は満州族の政権で、漢民族の政権ではありません。漢人は領土についていいとこどりをしています。漢人に東北三省、チベット、ウイグル、内モンゴルを統治する権利はありません。況してや台湾においてをや。戦後は蒋介石の国民党亡命政権が統治しましたが、次の蒋経国国民党政権で民主化が進められ、李登輝総統が選ばれたり、陳水扁民進党首が総統になったりしました。独裁の中共とは違いますし、誰も人権が保証されない国と一緒になりたいとは思っていないでしょう。香港住民が今そう思っている筈です。英国との「一国二制度」の約束すら守れない国です。日米豪印露で中国の暴発を抑え、台湾を守るようにしなくては。いつも言っていますように、時間の利益を中国に与えるのは下の策です。

記事

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台湾・台北でスピーチをする蔡英文総統(2016年10月10日撮影)。(c)AFP/SAM YEH〔AFPBB News

米国の次期大統領となるドナルド・トランプ氏による「米国が“一つの中国”に縛られるのはおかしい」という発言が注目されている。

米「フォックス・ニュース」の12月11日のインタビューに応えた発言であり、「中国の貿易・外交政策次第では」という条件付きのものであった。しかし、たとえ条件付きの発言であるにしても、「一つの中国」に疑義が示された衝撃は大きい。言うなれば米中関係の根幹を揺るがすことにもなるからだ。

現状の米中関係に不満を抱いているトランプ氏

1979年1月の国交樹立以降、歴代の米政権が遵守してきた「一つの中国」政策にはそれなりの重みがある。しかも、それは台湾の現状を維持するために米中がギリギリの妥協を重ねて生み出したものだった。

少し詳しく論じてみよう。

米国はカーター政権時に、同盟関係にあった台湾(中華民国)と国交ならびに相互防衛条約を断ち、中華人民共和国を唯一正当な政府として認め、その代わりに中国は台湾に対する「武力解放(武力統一)」を「平和統一」に改めた。米国と中国はそうやって台湾の扱いについて折り合いをつけ、以来、歴代の米政権は「一つの中国」政策を採り続けてきた。

米国はまた、中台の交渉による平和的統一への期待を表しつつ、台湾への防衛用兵器の供与などを盛り込んだ「台湾関係法」を米国内で成立させ、台湾の安全保障に引き続き関与する姿勢をとった。もちろん、台湾関係法は台湾の「独立」を助長するものではなく、あくまで台湾海峡両岸の現状維持を目指すものであった。

では、トランプ氏は米中関係をどうしたいのだろうか。

トランプ氏や彼の周辺にいる政策アドバイザーには、台湾が置かれている状況への不安と同時に、現状の米中関係への不満がある。つまり、米国が不必要な譲歩を重ねてきた結果が中国の現状変更を伴う拡張主義的行動を許し、民主主義体制下にある台湾が中国の経済的・軍事的圧力にさらされている事態を生んだと見ているのである。

たしかに、間もなく退場するオバマ大統領が、台湾が望む兵器、例えばF-16戦闘機C/D型の新規供与などを却下してきた事実も含め、中国に毅然とした態度を取ってきたとは言い難い。

同様に、台湾内部でも、もはや「一つの中国、台湾は中国の一部」という考え方を支持するのはごく少数派で、大多数の人は台湾が「事実上独立した政治主体」であるという現状を支持している。米国がそうした状況にある台湾に同調すれば、中国の言う「一つの中国」はすでに虚構化しているのであって、実態は「一つの中国、一つの台湾」となっている以上、米国が中国の主張に追随するのはおかしいと考えても不自然ではない。

中国人にとって台湾とは?

しかし、中国人のメンタリティーはおそらく違うのだろう。台湾は日清戦争で中国(清)が敗れた結果、日本に割譲されたが、もともとは中国に帰属していた。だから第2次世界大戦で日本が敗れた結果、蒋介石の中華民国が台湾を取り返したのは当然のことであった。その中華民国を、毛沢東が中国革命で台湾に追いやったが、米国が蒋介石を庇護した結果、今日まで台湾に中華民国が命脈を保っている。「中国革命を成就させること、つまりは台湾を中国に統一するという中国(中華人民共和国)の悲願を成就させることは、中国に課せられた神聖な使命だ」ということなのだろう。中国にとって、台湾はあくまでも「不可分の領土」なのである。

中国のこの「一つの中国」の論理をよく理解している米国人なら、トランプ氏の発言がいかに危険なものであるかが分かっているだろう。

もし米国が、台湾の「独立」を助長するような動きに出れば、米国との戦争の危険を冒してでも中国は阻止する行動を取るだろう。逆に、もし中国の指導部が拱手傍観するようであれば、愛国ナショナリズムに駆り立てられた中国人民が指導部を厳しく突き上げることは想像に難くない。つまり、中国はいずれにしても暴れ出すことになる。

中台が歩み寄れる余地はどんどん消滅

とはいっても、こうした中国側の事情を現在の台湾の人たちは懸念こそするだろうが、だからといってそのまま受け入れ、おとなしく我慢し続けるとは思えない。

中国の台湾との「平和統一政策」は、香港で先行適用された「一国二制度」である。だが、香港の現状が示すようにうまく機能していない。台湾はこの政策を当初から拒否し続けてきた。しかも人口の大多数が台湾で生まれ、台湾で育った人々であるから、中国は彼らにとってたまたま言葉が通じる「外国」にすぎない。要するに、中国と台湾とでは、お互いの認識が果てしなく乖離してしまっていると言っていいだろう。

お互いに歩み寄れる余地が時間の経過とともに消滅していく中で、経済的にも軍事的にもパワーでまさる中国が、台湾を経済的に従属させ、軍事的に戦意を喪失させることで、軍門に下ることを強要しようとしていると、台湾の人々は受け止めている。米国に頼り、防衛面ではあまり期待できない日本にも頼るのは、台湾にとって日米同盟以外に、他に寄る辺がないからである。

その台湾では、2016年5月に発足した民進党の蔡英文政権が、「一つの中国」で中台が合意したとされる「92年コンセンサス」を認めない姿勢を堅持している。そのため、中国側は台湾への観光客を制限したり、台湾を国際機関の会議から締め出そうとしたり、様々な形で圧力を強めている。トランプ発言は、そうした状況下で発せられた。

米国内で高まっていた台湾へのシンパシー

こうした背景を理解した上で、あらためて今年の米大統領選挙を振り返ってみると、米国内での台湾へのシンパシーの高揚が見えてくる。

今年の米大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン候補も、共和党のトランプ候補も、共に中国には厳しい姿勢を取っていた。それは、米国全体に中国に厳しい目を向ける雰囲気があったからである。

それに加えて、米政界には今年に入って「台湾寄り」の姿勢が目立っていた。南シナ海における中国の人工島建設など、米中関係にマイナスになることを承知の上で、中国は勢力拡張政策を取ってきた。米国内の動きはそれに対する反動と見ることができる。

2011年、台湾総統選挙を翌年に控え、民進党の総統候補として蔡英文が訪米した時、米国側はけんもほろろの対応をした。米中の協調を図る上で、海峡両岸の接近に積極的な国民党の馬英九総統の続投が望ましいとの判断があったのだろう。ところが、翌年の総統選挙をにらんだ2015年に蔡英文が訪米した際は、米国側は手のひらを返すように歓待した。米国がいかに中国との関係に苛立っていたかが分かる。

その動きは今年になっても止まらず、米上下両院では6月から7月にかけて、台湾関係法と台湾に対する「6つの保証」を再確認する決議案が全会一致で採択された(決議案の正式名称は「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」)。

(「6つの保証」とは、レーガン政権時代の1982年に議会に対して説明された6項目からなる台湾政策。(1) 台湾への武器供与の終了期日を定めない、(2) 台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行なわない、(3) 中国と台湾の仲介を行わない、(4) 台湾関係法の改正に同意しない、(5) 台湾の主権に関する立場を変えない、(6) 中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない、を指す。)

こうした動きがトランプ次期大統領の対中政策を形作っていると言っても過言ではない。

この議会決議を受け、米共和党は政策綱領にこの「6つの保証」を書き込んだ。これに関与したとされるのが、共和党系シンクタンクであるヘリテージ財団のフェローを務めるスティーブン・イェーツ氏である。彼はトランプ氏の政権移行チームのメンバーとなっている。

また、同じく政権移行チームでトランプ氏の外交・経済アドバイザーを務め、このほどトランプ次期政権がホワイトハウス内に新設する「国家通商会議」の委員長に指名されたカリフォルニア大学アーバイン校教授のピーター・ナバロ氏も台湾寄りの姿勢が明確だ。彼は、今年7月「ナショナル・インタレスト」のウェブサイトで「米国は台湾を見捨てることはできない」を掲載し、台湾の置かれた立場に対する深い同情の念と米国にとっての高い戦略的価値を論じている。ナバロ教授は米中の通商政策の専門家だが、今後は米中外交へも影響力を行使しうる立場になる。

抜本的見直しが求められている対中政策

では、トランプ政権下の米中関係はどうなるのか。台湾への高まるシンパシーが「一つの中国」政策を揺るがすことになるのか。

はっきり言えることは、これまでの米国による「一つの中国」政策が歴代政権の対中「関与(engagement)」政策と相まって、中国の経済大国化、軍事強国化の手助けをしてきたことだ。その中国が一方的な「現状変更」勢力となっている現在、米国に対中政策の抜本的見直しが求められているということだ。

米国の穏健派は「一つの中国」を見直す危険を指摘するが、その立場が往々にして中国の立場を代弁することになっている点に気づかずにきた。そうした状況に一石を投じたトランプ氏の発言は議論を広げ、深める機会となった。問題は、いかに政策にまで高めるかだ。米国外交の知恵に期待したい。

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