5/3日経<マレーシア警察、マハティール元首相を調査 偽ニュース対策法で 下院選控え与野党の応酬激化>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30121160T00C18A5FF8000/
5/6日経朝刊<マレーシア下院選挙(9日) マハテイール氏台風の目
マハティール氏は連日街頭に繰り出し、 政権交代に執念をみせる=ロイ夕—
マレ—シアの連邦議会下院選挙(定数222、任期5年) が5月9日に投開票日を迎える。与党連合•国民戦線を率いるナジブ首相に、野党連合・希望連盟の首相候補となったマハティール元首相が挑む。1957年の独立以来、 政権交代の起きていないマレーシアだが、92歳の元首相の出馬でこれまでの与野党対決の構図は様変わりしている。 「ブミプトラ(土地の子)」 と呼ばれるマレー系優遇政策をとるマレーシアでは、人口 の7割を占め既得権益を持つマレー系が与党連合を、変革を求める中華系などマイノリティー(少数民族)が野党連合を支持する傾向が強かった。前回13年の総選挙でも、与党連合は中華系の比較的多い都市部で苦戦したが、マレ-系の多い地方で議席を積み上げ、過半数を確保した。
今回は03年まで22年間の首相時代にブミプトラ政策を推進したマハティ—ル氏が野党側に転じたことで、マレー系の有権者の一定割合が野党連合に流れる見通しだ。マハティール氏が立候補する北部のラン力ウイ島に住む夕クシー運転手のサイード•フツシンさん(65)は「マハティール氏が復帰すれば、この国は良くなる」と期待する。
世論調査機関ムルデ力•セン夕-が4月の下院解散直後に実施した調査では、54%がマレーシアは悪い方向に向かっている」と答え、「良い方向に向かっている」との回答(38%)を上回った。南部のジョホール州や首都近郊のセランゴール州といった有力州でマレー系の与党連合への支持率が、13年に比べ20ポイント程度減るとの結果も出た。
マハティール氏が現状に不満を持つマレ-系の受け皿になり、野党連合が広範な民族からの支持を得れば、初の政権交代も現実味を帯びる。
一方で、マハティール氏が前面に出ることで、従来の野党支持層がかえって離れると指摘する声も多い。首相時代の少数派への強権的手法を快く思わない中華系の国民はいまだに少なくない。与党連合はそこに照準を定める。
観光資源の豊富なボルネオ島のサバ州•サンダカン。ナジブ首相は4月末、中華系住民を前に、「中国人旅行者がこの島に来なくなれぱ、地元のホテルはつぶれる」と訴えた。中国との関係見直しを唱えるマハティ-ル氏を念頭に、野党連合の危うさを突いた。与党連合の一角の中華系政党、マレーシア華人協会のリオウ•ティオンライ総裁も日本経済新聞の取材に「申華系の有権者は今回は与党連合に戻る」と自信を示す。
選挙の行方を読みにくくしている要素はほかにもある。有力なイスラム主義政党、全マレーシア.イスラム党(PAS)が今回は野党連合に加わらず、独自候補を擁立する点だ。地元紙によると、その結果、全222の小選挙区のうち9割近192選挙区で 3人以上の候補者が争うことになる。野党支持者の票が割れれば、組織票の多い与党連合が有利な展開となる。
マハティール氏が、かつて追い落としたアンワル元副首相と野党連合で共闘するという話題もあり、選挙戦は首相、 元首相の対決にばかり注目が集まる。他方で肝心の政策は与野党とも、低所得層向けの現金支給の増額などぱらまき策が中心。成長戦略など骨太な政策論議は深まらない。
マレーシアはマハティール氏が首相の時から20年の先進国入りを目標に掲げる。技術革新に即した新産業育成の仕組みなど中長期の成長ビジョンが伴わなければ、与野党のどちらが政権をとっても国民は明るい未来を描けない。 (クアラルンプール=中野貴司)」(以上)
マレーシアの下院選の話ですが裏にあるのは中国との関係をどうするかという事です。ナジブのように1MDBの借金の肩代わりを中国にして貰い、その見返りとしてフォレストシテイなる中華街の(治外法権?)都市をマレーシア国内に造らせています。ナジブは売国奴です。それをマレーシア国民が分かっているかどうかです。ナジブは末永氏記事にありますようにマハテイールが出馬できないように飛行機を飛ばさせないようにするなど平気で選挙妨害しました。とても公平な選挙とは言えません。選挙監視団のメンバー国もお笑いそのものです。
本記事のケンブリッジ・アナリティカ(CA)がどの程度ブレグジットやトランプの大統領選に威力を発揮したのかは分かりません。自分を大きく見せるために、誇大広告を打っているような気がします。先進国で、そんな簡単にCAの誘導に引っかかるのかと。
マレーシアでは選挙不正が横行していますので、効果の分からないCAのことよりもこちらを問題にしたほうが建設的でしょう。
記事
マレーシア与党連合「国民戦線」の牙城、(マレー半島の南端)ジョホール州は、今回の総選挙で激戦区の注目の選挙区。与野党の攻防が最高潮に達している。同選挙区で注目の華人系を支持基盤にする野党、民主行動党(DAP)の主砲候補、リュー氏の選挙事務所。与党の華人系、マレーシア華人協会(MCA)のウィー副総裁とのアエヒタム選挙区での一騎打ちが注目されている(ジョホール州、筆者撮影)
文中敬称略
「本選挙は、不正、不公正、不公平が全くない“自由でクリーン”なものになるだろう」と選挙戦真っ只中の政治集会でマレーシアの首相、ナジブは強調する。
1957年の独立以来、初の政権交代で注目されるマレーシアの総選挙(5年に1回。下院定数222、5月9日投開票)まで1週間を切り、元首相のマハティール率いる野党連合が猛追する中、与野党の白熱した選挙戦が展開されている。
与党は、歴史的な敗北を喫した2008年、史上最低の議席数に甘んじた(得票数では野党に屈した)2013年と、政治腐敗や汚職疑惑で求心力と支持率を失ってきた。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52715(マレーシアの総選挙に中国の影 民主化遠く)、http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52946(昭恵夫人も顔負け マレーシアの超弩級暴走妻)
政権交代は今回が最後のチャンス
しかし、苦戦を強いられながらも、ありとあらゆる手段を講じ、選挙攻略を図り、辛うじて、政権を維持してきた。
どの世界でも政治は汚い。
政府系投資会社「1MDB」の不正公金流用疑惑の国際的マネーロンダリングスキャンダルに加え、3年前導入のGST(消費税)による物価高騰で、支持基盤である多数派のマレー系にも政府への不満があふれ出している。
そんな状況にソーシャルメディアも後押しする本選挙では、内外の専門家が「政権交代は今回が最大で最後のチャンスだろう」と注目する。
しかし、東南アジア諸国連合の優等生と言われ、域内の経済を牽引してきた近代国家マレーシアで起きていることは信じがたい、の一言だ。
下院解散後の4月、マレーシアの選挙管理委員会は、自由でクリーンな選挙を図るため国際的監視団を諸外国に要請した。
諸外国の多くは、国連など国際的機関など政治的に中立な監視団を招くのが主流だが、マレーシアが招聘を確認した国は次の7カ国(4月中旬現在)。
アゼルバイジャン、キルギスタン、モルジブ、東ティモール、インドネシア、タイ、カンボジア。
英国の高級誌「エコノミスト」を経営するエコノミスト・グループの傘下「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」の分析によると(https://en.wikipedia.org/wiki/Economist_Intelligence_Unit)、これらの国々は独裁国家や民主化発展途上の国だとされている。
これらの国々がマレーシア総選挙の民主的で自由でクリーンな選挙戦をどう監視するのか、注目するところだ。
マレーシアの選挙にも関わったとCA幹部が証言
さらに、世界を揺るがした2016年の米大統領選でドナルド・トランプの勝利を導き、「陰の立役者」となった英の政策調査コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ」(CA)が、マレーシアの選挙にも関わったとする事実が先頃、CA幹部の証言で明らかになった。
(https://youtu.be/mpbeOCKZFfQ、https://jp.reuters.com/article/facebook-cambridge-analytica-trump-idJPKBN1GW33Y、http://www.bbc.com/japanese/43650517)
2016年の米大統領選では、トランプ陣営が雇った同社が、約9000万人のフェイスブックユーザーの個人情報を不正に収集されたといわれている。
米国では、「内外の専門家による分析に反し、2016年の大統領選でトランプ氏が当選したのは、このCAの“功績”といわれ、米政界では『常識』とされている」(筆者の知人の米政冶アナリスト)。
米国では、同事実が発覚してからフェイスブックの株価は10%ほど急落、約370億ドル(約4兆円)の時価総額をうしなった。
CEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグも約51億ドル(約5500億円)という巨額の資産減を強いられ、米議会の公聴会に弁明証言せざるを得ない企業の危機的事態を招いた。
一方、海を隔てたマレーシアの総選挙への関与に関しては、CAの幹部は、「マレーシアの総選挙の依頼を受け、選挙結果を成功裏に収めた」と、英メディアの独自取材で明らかにしている。
ここでいうマレーシアの総選挙とは、得票数で野党に甘んじながらも、議席数で勝利を収めた2013年の選挙のことだ。
マレーシアでは、米国などより早くから、CAを使い、選挙戦攻略で勝利を果たしてきたことになる。
2016年の米大統領選で勝利したトランプ陣営が、当時、ソーシャルメディア戦略をコアに選挙戦を有利に導いたことは知られているが、実は世界を驚かせた英国のEU離脱でもCAの貢献があったとされている。
CAが打ち出す選挙必勝法とは
欧州懐疑主義運動のパイオニアで、EU離脱で陰の主導的役割を果たした英国の独立党の元党首(欧州議会議員)、ナイジェル・ファラージらの政治的活動に寄与したと言われているのだ。ただし、その実態はいまだにミステリアスだ。
トランプ政権誕生や英国のEU離脱の陰の立役者とされるCAの選挙攻略とはいった、どういうものなのだろうか。
CAが打ち出す手法は「サイコグラフィックス」というもので、主に選挙関連の情報収集と広告などの配信だ。
個人情報であるソーシャルメディアの利用履歴を分析し、多種多様の個人の情報を組み合わせることで、選挙でいう個人個人の「有権者」の“顔”を明らかにしていく。
違法に情報を売るブローカーなどから得た個人情報は、有権者個人の人種、宗教、性別、年齢や、政党支持や投票の履歴、さらには買い物の消費者動向履歴も含まれるといわれている。
有権者の様々な嗜好をくすぐる選挙情報や広告を配信することで、クライアントの政党などが当選、勝利するように、成功を収めるように政治的コンサルティングを行うものだ。
ナジブ率いる与党連合はこの事実を否定する。しかし、これまでにも選挙攻略で米のボストンコンサルティングなどの名前が挙がっており、事実なら上記の様々な個人情報の入手と選挙戦への流用は不正行為に相当する。
しかも、正当な外部献金からではない場合、党利党略のためのCAへの巨額報酬は「公金流用」の可能性が疑われる。
CAによる明らかな選挙攻略だけでなく、マレーシアの選挙では不正、不公平疑惑のある選挙システムや行為が目立つ。
例えば、選挙結果に関係なく与党に有利に展開する不公正で度重なる選挙区の区割り改正、不正な賄賂攻勢、集票システム(開票会場での停電後の集票の食い違い、投票締め切り後に大量の投票箱が新たに持ち込まれるなどの不正疑惑)などだ。
外国人への選挙権貸与疑惑も浮上
さらには、外国人への選挙権貸与疑惑(東部のサバ州などで顕著。それ以外に半島都心部でも、出稼ぎ労働者のバングラデシュ人が、マレーシア国民のみ所有のIDカードを持参し、投票?)も浮上。
外国人への選挙権貸与疑惑に関しては、投票所に浅黒い肌のバングラデシュ人が、華人系の名前が記載されているIDカードを持参したことで発覚した。このようなケースが他の有権者の指摘で明らかになってきた。
また、与党政府による不公正、不公平な野党への「ハラスメントや仕打ち」も後を絶たない。
4月7日の下院解散の直前になって、マハティールが率いる野党の登録を無効にし、野党連合が連合旗を選挙戦で使用することを禁止。
「ナジブよ逮捕するなら、逮捕しろ」と自身の党のTシャツを着て、猛反発する92歳(今年7月で93歳)の老兵に、熾烈な仕打ちを展開。
さらには、選挙戦告示前に、選管が選挙戦ポスターなどには「党の党首のみの顔写真使用」とこれまでの規定を改正。しかし、与党連合のポスターには、党首でない与党の事務総長の顔が大きく印刷されたポスターが張り巡らされている。
4月29日には接戦が展開される与党の牙城であるジョホール州で、マハティールの顔写真が印刷された野党のポスターが、さらにペナン州でも、同様にマハティールと野党のカリスマ指導者、元副首相のアンワルの写真が撤去された。
その数日前には、マハティールが告示日に選挙登録ができない事態に遭遇。選挙区の地元、ランカウイ島への飛行機が突然、機体の不備でクアラルンプールから飛行できなくなった。
告示は翌日の朝9時からで10時には締め切られる。そのため「与党の画策に間違いない。私が選挙登録できなければ、与党が勝利できるから」とマハティールは抗議し、報道声明を出したほどだ。
瞬時の対応で、友人にプライベートジェットを貸与してもらい事なきを得たが、危うく、選挙戦に不出馬となる惨事になるところだった。
(https://m.kinitv.com/video/60093O8)
こうした選挙攻略の手法までもCAが絡んでいるかは定かではない。
しかし米国に関しては、再選を狙うトランプ陣営が、2020年の大統領選を見込んで選対責任者に任命されたデジタル戦略指揮のブラッド・パースケールが、「CAと組んで、すでに情報広告配信を始めた」(先の政冶アナリスト)ともささやかれる。
一方、マレーシアでは、与党がCAとの関与は「(当時与党。今回野党からケダ州出馬の)マハティールの三男、ムクリズがもともと始めたものだ」と責任転嫁するが、与党としての関与は全面否定していない。
これらの真意は定かではないが、マレーシアの5月の本選挙でもCAが関わっている可能性は否めない。
“選挙のプロの影”がマレーシアにも忍び寄っている――。
(取材・文 末永 恵)
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