2/14日経電子版<トランプ米大統領、強まる専横 共和・政権幹部に懸念 決議で造反 司法長官が「反乱」 報復人事に批判>①ソレイマニ暗殺は、オバマ時代にもウサマビンラデイン殺害等、戦争を避けるためにやっただけの話。現実に米国・イランで戦争にしようとする動きは見られない。議会権力の強化としか見えない。いくら議会が戦争開始をコントロールしようとも、FDRのように議会を騙して日米開戦に持って行った大統領もいる。②アレクサンダー・ビンドマンへの報復人事は前にも書きましたが、当たり前のこと。確たる証拠もなく、憶測での証言は罰せられるべき。デイープステイトの一員を疑う。諌死する場合の陰腹というのもある。覚悟を持って発言しないと。民主党支持者であれば昔はロビイストになれたのでしょうが、今はトランプが法律で制限しています。③量刑不当をツイートするのはまずい。弾劾裁判で外交における大統領特権を持ち出し、三権分立の建前から無罪を主張してきたのであるから、司法権の独立に配慮すべきであった。バー長官が怒るのは当り前です。トランプのことだから注意してツイートしろと言っても無理でしょうけど。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55614610U0A210C2FF8000/
2/15日経電子版<国連機関、紅色に染めるな 国際秩序作るのは中国か 本社コメンテーター 秋田浩之
新型コロナウイルスによる肺炎が世界を襲っている。一日も早い収束を願うばかりだが、感染に歯止めがかかる兆しはない。
中国の対応ぶりと合わせて話題になっているのが、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の言動だ。1月30日に緊急事態を宣言したが、中国への配慮から決定が遅れたとの見方が流れた。
テドロス氏は同日の記者会見でも、中国の対応は「過去に例がないほど、素晴らしい」とたたえた。その数日後には「不必要に渡航や貿易を制限する理由はない」とも訴えている。
彼の母国であるエチオピアには、巨額の援助が中国から注がれる。習近平(シー・ジンピン)国家主席の夫人、彭麗媛氏は長年、WHOの結核・エイズ対策親善大使を務める。
こうした背景がどこまでテドロス氏の判断に影響を及ぼしたのか、真相は定かではない。ただ、このてん末はいま、世界が直面している危うい構図の一端をあぶりだしている。
それは、資金と政治力にものをいわせ、中国がすさまじい勢いで国連機関の中枢に食い込んでいるという現実である。
世界には15の国連の専門機関がある。実はこのうち4つで、中国はすでに事務局長などの首脳ポストを押さえた。強いロビー活動により各国の票を固め、選挙などで勝ったためだ。
WHOのテドロス事務局長の発言からは中国への配慮がうかがえるが=ロイター
世界2位の経済パワーである中国が国連機関への拠出を増やし、より大きな役割を果たすこと自体、必ずしも悪くはない。中国人トップが公正で中立なかじ取りに徹してくれれば問題はない。しかし、各機関の運営が中国寄りにゆがめられるとすれば、話は別だ。
実際に、そうした不安はぬぐえない。その一例として指摘されるのが、国際電気通信連合(ITU)のケースである。
新米国安全保障研究所(CNAS)の分析によると、約5年前に中国がトップに就いて以来、ITUは中国にすり寄る姿勢が目立つようになった。
発展途上国による通信インフラの整備を支援するため、中国と連携する方針を決めたほか、中国の「デジタル・シルクロード構想」にも協力する姿勢をみせているという。
これはまだ序の口だ。世界知的所有権機関(WIPO)は今年3月5~6日、新しい事務局長を選ぶ。日本政府は特許庁出身でWIPO幹部を務める日本人候補を擁立している。
ところが、複数の外交筋によると、ここでも中国政府が推す同国出身のWIPO幹部が当選しかねない雲行きになっているというのだ。
WIPOは知的財産が盗まれたり、侵害されたりしないよう、国際的なルールや体制を整えるのが、大きな役目だ。この点、中国は優等生であるどころか、問題の当事者である。
日米欧では、中国によるとみられるサイバースパイや外国企業へのハイテク移転の強要が、深刻な懸念を招いている。そんなときにWIPOのトップを中国にゆだねるのは、本末転倒と言わざるを得ない。
同機関の事務局長は約190の加盟国のうち、約80カ国からなるWIPO調整委員会で、各国が1票ずつ投じて選ぶ。いったん就任すれば、6年の任期がある。
ここにきて、米政府も危機感を募らせ、中国の当選を阻む外交工作をひそかに急いでいるという。中国がこれ以上、国連機関の中枢に浸透するのを防ぐため、友好国と連携し、対抗するための部署も米国務省内に新設された。
もっとも、国際的な組織の枢要ポストを押さえ、自国の発言力を保とうとしてきたのは米国や欧州も同じだ。
米国と欧州は戦後、それぞれ世界銀行と国際通貨基金(IMF)のトップを牛耳り、少なからぬ影響力を振るってきた。中国も、自分たちだけが責められる道理はないと思っているかもしれない。
それでも米欧が国連機関を仕切るのと、中国がそうするのとでは大きく異なる。明白な違いは前者が民主主義国であり、後者はそうではないということだ。
共産党が一党支配する中国では、どのように政策が決まり、切り盛りされているか、民主主義国ほどには透明でない。似たような体質が国連機関に持ち込まれたら困る。各機関で中国の発言力が増せば、世界のルールづくりが中国政府の方針に即して進められかねない。新型肺炎をめぐるWHOの対応やITUの事例はそんな危険を暗示する。
だとすれば、日米欧は国連機関がこれ以上、中国色に染まることがないよう、トップの選挙に当たって連携を深めていくべきだ。各機関が公正に運営されているか、チェック機能を強めることも欠かせない。
その大前提となるのが、国連や国際機関を軽んじる姿勢を米トランプ政権が改めることだ。米政権がそうしなければ、中国が米国の空白を埋め、影響力をさらに広げるのは避けられない。
中国がWIPOの次期事務局長選に勝てば、国連専門機関の3分の1のトップを中国が握ることになる。通商や気候変動をめぐる多国間の交渉が軒並み難航するなか、国際秩序の行方には霧がかかっている。こんな時だからこそ、国連の専門機関をおろそかにしてはならない。>(以上)
2/14希望之声<美参议员推「台湾主权象征法案」盼台湾国旗在美国土地飘扬=米国上院議員は「台湾・主権象徴法案」を推進 台湾国旗が米国で翩翻と翻るのを望んでいる>共和党上院議員のテッド・クルーズは、2/13に「台湾・主権象徴法」(Taiwan Symbols of Sovereignty Act、略称台湾SOS法)を議会に提出し、米国での台湾公務員に対する制限を緩和するよう求めた。この法案は、「台湾の主権の象徴」に対する米国の禁令を緩和し、米国は公務を執行する台湾の外交官・軍人が米国で国旗を掲揚し、制服を着用することを許可すべきとなっている。
マルコ・ルビオ、トム・コットン、ジョシュ・ホーリー、トッド・ヤング、リック・スコット、ジョン・コーニン、ベン・サッス、マーシャ・ブラックバーンなど、8人の共和党上院議員が法案に署名している。
クルーズは、「2015年に中共の要請で台湾の国旗掲揚を禁止するために、バラク・オバマ政権が結んだ“秘密覚書”を覆すための法案を可決したい。その覚書のせいで、国務省、国防総省が台湾の主権の象徴をウェブサイトに掲載するのができず、台湾に対する米国のサポートが制限される」と述べた。クルーズは、「米国は、自由で民主的な政府の軍人や外交官に自国の国旗を掲揚させず、制服をも着せないことを強制する中共に従うべきではない」と考えている。
クルーズはまた、「中共は台湾と米国が仲良くするのに日増しに敵意が高まっており、米国と世界の他の国々は台湾と共にあるようにしなければならない」と述べた。「台湾政府の役人が米国で誇りを持って国旗を掲げられるようにすることや、彼らの制服を着用できるようにすることが、正しい最初のステップである」と。
台湾に対してずっと友好的であるルビオは、「北京政府が台湾を国際的に孤立させようとしているときに、「台湾・主権象徴法案」は米台二国間関係をさらに強化できる」と述べた。
やはり共和党は頼りになります。トランプの後はルビオになって貰いたい。でもオバマ民主党は如何に無能で腐敗していたかです。彼らを褒め称えるのは自由ですが、気持ちは分かりません。
https://www.soundofhope.org/post/343351
2/14阿波羅新聞網<武汉肺炎》WHO顾问示警:病毒可能感染全球3分之2人口=武漢肺炎WHO顧問は警告:ウイルスは世界人口の3分の2に感染する可能性がある>世界保健機関(WHO)の顧問であり、米国フロリダ大学の統計・定量感染症センターの共同ディレクターであるIra Longiniは、武漢肺炎の最終的な感染者数は世界人口の3分の2に達する可能性があると述べた。
ブルームバーグによると、Ira Longiniは、中国での新型コロナウイルスの伝播形式を追跡しており、さらに数十億人が感染すると予測している。Longiniによると、隔離区域の設置はウイルスの拡散を遅らせる可能性はあるが、武漢肺炎は隔離区域で終束する前に、中国やその他の地域で依然として感染を引き起こすだろうと。
現在のデータに基づいてLonginiが作成した感染モデルは、武漢肺炎に感染した人は通常2〜3人にウイルスを感染させることを示している。 Longiniによれば、たとえ伝染数を半減させる方法があったとしても、これは依然として世界人口の約3分の1が感染するということである。
WHOのジュネーブ本部でのインタビューで、Longiniは、武漢肺炎の伝播を変えることができなければ、隔離してもウイルスを止めることができないことを明らかにした。
Longiniの研究だけでなく、英国のロンドンのインペリアルカレッジの研究者であるニールファーガソンは、毎日最大50,000人が中国で感染する可能性があると推定している。香港大学の公衆衛生の教授であるガブリエルレオンも「もし、ウイルスが良くコントロールできなければ、世界人口のほぼ3分の2がウイルスに感染する可能性がある」と述べた。
武漢肺炎は結局インフルみたいになるということ?ただ温かくなって流行が止まるかどうかはまだ分かりません。早く中国人の全面的一時入国禁止にしないと、封鎖解除後の保菌者が入国してしまうことになります。これでオリパラが開けなくなったら安倍首相の責任です。それより、武漢肺炎で死者が出たことをもっと真剣に受け止めたら。SARSの時に日本で死者は出ませんでした。
https://www.aboluowang.com/2020/0214/1409450.html
2/14阿波羅新聞網<武汉疫情 白宫内部消息流出 瑞德西韦试验有最新消息 英模拟6万武汉逃亡者路线遍全球=武漢疫病情況についてのWH内部情報が流出 抗ウイルス薬(remdesivir)テストの最新情報 英国は、世界中に武漢から60,000人が逃げたとしてシミュレート>Fox Financial TV のWHの記者であるEdward Lawrenceは木曜日に「(米国)政府筋は、中共がコロナウイルスの少なくとも100,000の症例を漏らしていると信じていることを明らかにした」とツイートした。同時に、米国政府は、中共当局が、ウイルスによる死亡の報告数も厳しく制限していると考えている。
武漢肺炎の流行は世界中に広がっている。イギリスのサウサンプトン大学の研究チームは最近、ビッグデータ分析を使用して、1/23の武漢の封鎖前の約6万人の動きの軌跡をシミュレートして追跡した。四散して少なくとも382の都市に拡散し、武漢肺炎は、おそらくこれらの群衆の中に入り込み、至る所に広がっているだろうと。
武漢の専門家:抗ウイルス薬は重症の場合は無力 軽度の場合にのみ効用を発揮
武漢金銀潭病院にいる上海中山病院の救命救急科の副局長である鐘鳴はインタビューで、「武漢に初めて到着したとき、自分の専門知識を以てすれば「役割果たせる」と思ったが、現実は我々が過去に経験したものとは違っていた」と。
彼は、重症患者は肺が損傷しているだけでなく、ウイルスは循環系や血液系を含む心臓、肝臓、腎臓に致命的な打撃を与えたと言った。専門家たちが希望を寄せていたECMO(体外式膜型人工肺、extra-corporeal membrane oxygenation)は、多くの重症患者に実質的な役割を果たすことは困難であった。
うつっても重篤化しないようにするのが大事かと。免疫力を高める必要があります。
https://www.aboluowang.com/2020/0214/1409429.html
2/15阿波羅新聞網<哈佛与武汉理工大学合作 美国教育部查渗透嫌疑=ハーバード大学は武漢理工大学と協力 米国教育省は浸透容疑で調査>ハーバード大学とイェール大学は、外国からの数億ドルの資金を隠蔽したとして、米国政府によって調査された。 その中で、米国教育省はハーバード大学と武漢工科大学との関係を特に調査した。
上院常設委員会(Senate Permanent Subcommittee on Investigations)が①中共の米国教育体系への浸透度②千人計画について調査。少なくとも全米の大学の7割が中共からの資金を報告なしにしていたと。共和・民主両党で立法措置を執る必要があるとも。
日本の文科省は孔子学院についても手付かず。日本の野党は中共の手先だから、浸透について歓迎しているのでは。米国の議員は国家の危機と思っているのに。でもバカな与野党議員を選んでいるのは国民だから、最終的なツケは国民に回ってきます。日本の政治家・官僚は機敏に動くためには徹夜してでも、立法化することをしてみたら。
https://www.aboluowang.com/2020/0215/1409610.html
西野氏の記事では、クラフト氏が民主党より共和党の方が親日と、民主党は親中=腐敗していると小生は思っていますが。日本はカネをばらまいて米国世論を誘導しようとはしてきませんでした。そこが中韓と大きく違うところです。まあ、やり方が下手と言えば下手ですが。
しかし、外務省が民主党寄りというのは頭が悪すぎでは。
記事
テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第27回のテーマは、アメリカ大統領選「最後に笑うのは誰か?」。民主党の候補者指名争いでは38歳と若いブティジェッジ氏や左派のサンダース氏が好スタートを切った。経済アナリストのジョセフ・クラフト氏は、ブティジェッジ氏が「オバマ氏やクリントン氏のような旋風を巻き起こす可能性はある」とみる。ただ、現状では突出した候補者が見当たらず、「トランプ大統領の再選確率は60%」。注目は大統領選と同時に行われる議会選挙。上下両院とも民主党が過半数を握れば、ねじれ状態が生まれ政権はレームダック化する。再び弾劾話が持ち上がる可能性もあると予想する。
西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコンテンツは、BSテレ東で毎週土曜日朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の中でお伝えし切れなかった内容を、改めてインターネットの記事や動画でお届けしようというものです。
アメリカで共和・民主両党の指名候補を決める大統領選挙の予備選がスタートしました。サタデーに出演しているテレビ東京の森本智子アナウンサーは取材でアイオワ州に行っているそうです。
山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):メールをもらいましたが、ブティジェッジ候補と握手したそうですよ。
西野:えっ、ずるい!(笑)。つい思い入れが強くなってしまう大統領選ですが、そこで今回のテーマはこちら。
アメリカ大統領選「勝つのは誰か?」
ゲストは経済アナリストのジョセフ・クラフトさんです。よろしくお願いします。
ジョセフ・クラフト氏(経済アナリスト、以下、クラフト氏):よろしくお願いします。
ジョセフ・クラフト
1986年カリフォルニア大学バークレー校卒業、同年7月モルガン・スタンレーNY入社、87年東京支店に転勤。為替、債券営業の責任者などを歴任、2007年ドレスナー・クラインオート東京支店、2010年バンク・オブ・アメリカ東京支店副支店長兼為替本部長、2015年に独立し、金融コンサルタント会社ロールシャッハ・アドバイザリー代表取締役就任。
西野:最初の疑問はこちらです。
アイオワと ニューハンプシャー なぜ大事?
山川:この配信動画と記事が出た頃には、ニューハンプシャー州も結果が出ていると思いますが、なぜこの2つが大事なのでしょう?(編集部注:民主党のニューハンプシャー州予備選ではバーニー・サンダース氏が勝利。2位のピート・ブティジェッジ氏を僅差で破った)
アメリカ各州と激戦区
クラフト氏:1番のポイントは勢いです。アイオワ州は全代議員票の約1%、2番目のニューハンプシャーはその半分程度しかないのに、とても注目されます。なぜかというと、初戦なのでメディアの露出度が高い。そして、一番大事なのは献金です。
山川:献金?
クラフト氏:アメリカの大統領選は年明けから11月までと期間が長く、地域も広いので、おカネがないとやっていけません。スタートで上位にくれば、有権者はその候補者に可能性を感じ、献金が集まるようになります。これが一番大事。
西野:そもそもどうして党員集会はアイオワ州から、そして予備選はニューハンプシャー州から始まるのでしょうか。ほかの州が「来年は自分たちが最初に実施したい」と言ってもできないのですか?
山川:アイオワ州が最初の党員集会、ニューハンプシャー州が最初の予備選を行うことは民主・共和両党の規則および州法で決まっているそうです。既得権のようなものですね。
クラフト氏:一種の慣習です。このルールを変えると、他の49州が「我も我も」ということになってしまいますから。
西野:2つの州がアメリカ全体の縮図のようなところはあるのですか。
クラフト氏:昔はアメリカ全体が白人中心だったので、そうした側面もありました。ただ、今は黒人やヒスパニックなどのマイノリティー層が増えているので、白人の多いアイオワ州は、必ずしもアメリカ全土を反映していません。
西野:党員集会と予備選の違いもよく分かりません。
山川:簡単に言えば、予備選は投票で、党員集会は討議しながら代議員を選出する仕組みです。初戦のアイオワ州の場合、民主党の党員集会は学校や図書館など1700カ所あまりの会場で開かれます。その結果を集計して、各候補者に割り当てられる代議員が選ばれます。
クラフト氏:アイオワ州は独特です。1回目の支持表明で参加者の15%を獲得できなければ、その候補は原則として脱落します。1回目に脱落した候補を支持していた人たちは、あらかじめ第2候補を決めているので、そちらが再集計されます。その結果、1回目とは違う順位になることがある。
アイオワ州ではブティジェッジ氏とサンダース氏がともに勝利宣言をしたでしょう。それはこの仕組みが影響しています。1回目の支持表明ではサンダース氏が首位でしたが、2回目でブティジェッジ氏が逆転したのです。
山川:アイオワ州については、集計の見直しの話も浮上していますが、現時点では1位がブティジェッジ氏で、2位がサンダース氏。その差はわずか0.1ポイントです。僅差であると同時に、クラフトさんがおっしゃるように1回目の集計では首位だったとすれば、サンダース氏が集計の見直しを求める心情は分かりますね。
クラフト氏:4位だったバイデン氏と5位のクロブシチャー氏はいずれも中道派ですから、その支持者の第2候補はおそらくブティジェッジ氏が多かったはず。この2人が15%割れした地区が多いので、2回目でブティジェッジ氏が躍進したのでしょう。
左派色の強いサンダース氏に対しては、候補者の好き嫌いがはっきりと分かれます。初戦はこのあたりが勝敗の分かれ目となったわけです。
西野:それにしても、投票でなく、みんなが集まって討議するのですね。
クラフト氏:そうです。1800年代のやり方をいまだに続けているから集計ミスが起こりやすい。
今回のミスの何が痛かったかというと、全体がしらけてしまい、ブティジェッジ氏もサンダース氏も勢いに乗れなかったこと。これでは献金があまり入ってこない。
山川:首位に立ったブティジェッジ氏はどんな人かというと……。
西野:はい、38歳。インディアナ州生まれ、大手コンサルティング会社のマッキンゼーを経て、軍隊の経験もあります。同州のサウスベンド市長を経て大統領候補に立候補したわけですが、性的少数者(LGBT)であることを公言しています。
山川:若いけれど、たくさんの経験を積んだ人ですね。
クラフト氏:彼がすごいのはハーバード大学を卒業したにもかかわらず、自ら志願し、アフガニスタン戦争に従軍したことです。今回の候補の中で唯一、軍歴がある。これは非常にプラスです。
山川:若者よりも年配の人たちに人気があるそうですね。「息子にするならこういう人物」といったイメージがあると聞きました。
クラフト氏:ありますね。演説はうまいし、政策的にも、まともでいい加減なところがない。
山川:お話を聞いていてクラフトさんにちょっと似ているような……(笑)。
クラフト氏:似ていないですよ、全然(笑)。
西野:昔の面影が……。
クラフト氏:30年前なら似ているかもしれない。
西野:好青年という感じが……(笑)。
山川:LGBTというのは選挙にどう影響しますか?
クラフト氏:民主党の予備選では大きな影響はないかもしれませんが、本選では不利に働くとみられています。アメリカでは宗教的に難しい。LGBTを頭では認めていても、心の中では違和感を持つ有権者が多い。そこで迷う人が出てくると思います。
では、トランプ氏が褒められた振る舞いをしているかというと、こちらも「とんでもない」という話が出てくるわけですが。
西野:トランプ大統領の数々の女性をめぐる問題は、宗教的な問題ではないんですか?
山川:西野さんの質問は鋭い(笑)。
西野:ブティジェッジ氏は黒人にあまり人気がないと聞きましたが、なぜですか?
クラフト氏:市長を務めてきたサウスベンド市で起きた警察による黒人男性の射殺事件への対応をめぐり批判されています。
一方、バイデン氏は黒人の支持が高い。これはオバマ大統領のときの副大統領だったからです。バイデン氏については、政策や性格などを支持している人は少ない。
トランプ氏に勝てるかがポイント
民主党の予備選で有権者が何を一番大きなポイントにしているかというと、トランプ氏に勝てるかどうかです。そうすると現時点ではバイデン氏が消去法的に浮上する。中道派で黒人にも支持されているから、反トランプ票の受け皿になれるからです。とりわけ好きではないけれど、トランプ氏に勝てそうだから支持している人が多い。
西野:いろんな候補者の名前が出てきたので、次の疑問です。
民主党 候補者乱立 誰が勝つ?
西野:結局、最後に指名を受けるのは?
クラフト氏:あえて言えば、今のところの勝者はトランプ氏ですね。
山川、西野:?
クラフト氏:なぜかと言うと、このままでは突出して抜け出す候補が現れず、7月の党大会までもつれ込む可能性が高いからです。混戦のままだと、民主党は盛り上がりません。結局、トランプ氏を利することになる。
山川:ギリギリまで決まらないと、本選の準備期間が短くなります。トランプ氏は、スポーツでいうとシード権を与えられたチームみたいに余裕をもって準備できるわけですね。
クラフト氏:そうです。そもそもアメリカの大統領選は、現職が有利という傾向もありますから。
山川:現職は圧倒的に知名度が高い。それに選挙を意識して、この先、経済や株価にとってプラスとなるような政策を掲げることもできます。とりわけトランプ大統領は露骨に選挙を意識した施策を打ち出しそうです。
民主党の候補者レースが混とんとしているのは分かりましたが、その中であえて予想するとしたら、誰が指名を受ける可能性が高いですか。
クラフト氏:今回の民主党予備選が前回と違う点は、スーパーデリゲート(特別代議員)票がカウントされなくなったことです。民主党には、得票数によって振り分けられる誓約代議員と、個人の意志で好きな候補を応援できる特別代議員という2種類の代議員が存在します。
特別代議員になれるのは、民主党の上下両院議員、州知事、正副大統領経験者など、要するにエスタブリッシュメントですね。彼らはそれぞれの州でどの候補が勝とうが、その結果に束縛されることなく自分の好みの候補を支持することができます。
彼らは中道派を支持する傾向があるので、前回はこの票がクリントン氏にいってサンダース氏が負けました。今回はこうした特別代議員は7月の党大会で過半数が出ずに、決選投票となった場合にのみ、投票することになりました。その分だけ、前回よりもサンダース氏のような左派が有利になります。
サンダース氏が勝てるとすれば、同じく左派のウォーレン氏が早めに離脱することが条件でしょう。左派票を集約できますから。
山川:ブティジェッジ氏はいかがですか。勝てるとすれば、どんな展開が考えられますか。
クラフト氏:民主党の歴代大統領を見ると、若い候補者が旋風を巻き起こすパターンが多い。オバマ氏、クリントン氏、カーター氏がそうでした。それに唯一なりうる候補がいるとしたら、ブティジェッジ氏です。まだ風を起こすところまでは来ていませんが、アイオワを僅差であっても制したことで、可能性は出てきました。
山川:この動画や記事を公開した頃には、ニューハンプシャー州の結果も出ているはずです。下馬評では地元に近いサンダース氏が優位とみられていますが、ブティジェッジ氏が追い上げているようです。結果次第では、ブティジェッジ氏に勢いがつく可能性がありますね。
クラフト氏:一方、バイデン氏はここで1位や2位になれなくても、せめてアイオワ州よりも良い結果を出さないと、厳しくなるでしょう。
ブルームバーグ氏はネバダで表舞台に
山川:虎視眈々(たんたん)と狙っている、大手経済メディアの創業者で前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏はどうですか。バイデン氏が失速した場合は、中道派の受け皿になる可能性がありますか。
クラフト氏:2月19日にネバダ州の討論会があり、投票が22日です。その頃から出てくるでしょう。
山川:少し古いデータですが、19年12月までの各候補者が投じた資金の収支を示しています。青は収入、赤が支出ですが、ブルームバーグ氏は突出していますね。破格の広告費を投じているようです。
クラフト氏:全候補を合わせても、ブルームバーグ氏にはかなわない。
山川:経済メディアの創業者だから、資金力がある。「不動産王」と呼ばれるトランプ大統領と比べても、比較にならないほどのお金持ちだそうですね。
クラフト氏:これだけ資金を投じれば、ある程度支持率は上がってきます。ただ、まだ指名争いの候補者としては、知名度が足りない。
ネバダ州の討論会でバイデン氏やサンダース氏の横に立ち、ディベートで健闘すれば、有力候補者として躍り出るかもしれません。そこで評判を高めて、3月3日のスーパーチューズデーで勝負というシナリオを描いているはずです。
山川:やはりお金がなければ、勝てない?
クラフト氏:結局、おカネですよ(笑)。残念だけど、アメリカの選挙はおカネがかかります。
西野:おカネの話で言うとブティジェッジ氏。アイオワ州とニューハンプシャー州に集中して資金を投じたといわれていますが、その後は大丈夫なのでしょうか。
クラフト氏:そこがアイオワ州とニューハンプシャー州の重要性なのです。この2つの州で健闘すれば、期待が高まって、献金が集まる。逆に期待外れに終わると、献金の集まり具合が悪くなる。バイデン氏やウォーレン氏は危機感を抱いているはずです。
西野:さて、最後の質問です。
再選は 日本にプラスか マイナスか?
山川:まず、トランプ大統領の再選の可能性をどう見ていますか。
クラフト氏:現段階ですが、可能性は60%。その理由は第1に弾劾裁判に持ち込んだ民主党の失策です。本来であれば、トランプ大統領に対する有権者の憤りのエネルギーは、大統領選にぶつけさせるべきだったのに、弾劾裁判をやったことで、ガス抜きになってしまいました。むしろ共和党は危機感を強め、一つにまとまりました。
第2にアイオワ州の集計ミス。民主党の候補者に勢いがつきませんでした。トランプ大統領は、「アイオワ州の集会すら運営できない党に経済を任せられるのか」とコメントしました。
山川:トランプ大統領はこのときツイッターで「アイオワで大勝利を収めたと言えるのは自分だけだ」とつぶやいていますね。
クラフト氏:確かに、この点については、トランプ大統領の指摘通りです。
そしてトランプ氏が優位と見る第3の理由は、アメリカ経済が好調なことです。今は明らかにトランプ氏に風が吹いている。後はこれを11月まで持続できるかどうかでしょう。
西野:再選して選挙のことを考えなくなったトランプ大統領は、一体どうなるのでしょう。
クラフト氏:本当に何をするか分からない(笑)。
山川:これまでも十分そうだったと思いますが(笑)。
西野:これ以上に予測不可能になる?
クラフト氏:彼をよく知っている人は、今までは再選を意識していたので、これでも抑えられたと。その縛りがなくなったら、本当に何をするか分からない。誰も想像できないと言っています。
山川:その人の再選確率が60%……。
クラフト氏:とはいえ、逆に左派色の強いサンダース氏やウォーレン氏がいいかというと、考え込んでしまいます。基本的には増税を掲げていますから、景気が失速する恐れがある。それぞれ難しいところがあります。
山川:川柳にあった疑問。「日本にプラスか、マイナスか」についてはどうですか。
クラフト氏:どの大統領が日本にとってプラスかというよりも、日本の総理次第ではないでしょうか。
そもそもトランプ氏が、安倍総理と良い関係を築いているのではありません。安倍総理が、トランプ氏と関係を築いているんです。相性もありますが、それ相応に気を使っていますから。
山川:大統領に決まったときに、直接会いに行くのも早かったですよね。
クラフト氏:アメリカの大統領に誰がなろうとも、日本の総理が良い関係を築ける人でなければなりません。
山川:対中国政策はどうですか。トランプ大統領は中国に対しては厳しい姿勢で臨んでいます。ただこの点については、共和党も民主党もなく、今は一枚岩ともいわれます。
安全保障については、トランプ大統領は中東が中心ですけれど、米軍の撤退・縮小を進めようとしています。中東で引かせた分を東アジアに振り向けるのか、それともアジアからも撤退・縮小させる意向なのかは不透明ですが、いずれにせよ日本としては、日米安保を重視してくれる大統領かどうかが気になります。
クラフト氏:ひとつ言えば、過去に「蜜月関係」と言われた日米首脳の組み合わせは、いずれも共和党の大統領のときです。民主党のケースはほとんど記憶にない。
山川:この写真を見ると懐かしいですね。確かにレーガン大統領と中曽根康弘首相の「ロン・ヤス」関係、ブッシュ大統領と小泉純一郎首相の蜜月関係、そして安倍総理とトランプ大統領と、いずれも共和党大統領のときですね。
クラフト氏:共和党は昔からどちらかと言えば親日、民主党は親中です。民主党の大統領が誕生した場合、それが誰であっても、日本とそれほど親密な関係になるとは思えません。
安全保障面では、民主党政権の場合、中国に対してあまり強硬な姿勢はとらないでしょう。オバマ政権が典型です。
山川:ただ、対中強硬論については、民主党の方がむしろ強いという意見もあります。とりわけ自由や人権問題については、民主党のリーダーの方が厳しく臨むのではないでしょうか。
クラフト氏:オバマ政権のときがまさしくそうですが、言葉では人権問題を批判しても、行動は起こさない。トランプ大統領のように中国を動かすために関税をかけるといったことはしないでしょう。
山川:いい悪いは別にして、トランプ大統領のような行動力はないと。
クラフト氏:やり方はめちゃくちゃですが、公約を守ろうとする実行力はさすがです。褒めないといけない(笑)。
上院選が重要なポイント
山川:仮にトランプ大統領が再選したとしても、議会をいずれの党が握るかによって、状況は変わりますね。
現在、下院は民主党が過半数を握っていますが、上院は共和党。ところが大統領選と同時に行われる議会選挙で、上院も民主党が過半数を握ることになると、トランプ氏の掲げる政策がほとんど通らなくなる。このあたりはどう読むべきでしょう。
クラフト氏:これが今、アメリカの専門家の間では、焦点になっているテーマです。トランプ氏にとってみれば、再選できても、上下院とも民主党が握れば、レームダック化してしまう。それに弾劾話が再浮上する可能性もあります。まさに死活問題なのです。
弾劾裁判で大統領を罷免するには、上院の3分の2の賛成が必要です。さすがに民主党が3分の2を握るとは思えませんが、過半数を握れば、再び民主党が蒸し返すことは十分あり得ます。
山川:トランプ大統領としては、自分の再選とともに、何としても上院選で勝利したいわけですね。
クラフト氏:そうです。そこで今、関心を集めているのが、ポンペオ国務長官の動向です。地元のカンザス州から上院選に出馬するかどうかが話題になっています。
山川:トランプ氏が再選しても、必ずしもその先に本人にとって幸せな4年間が待っているとは限らない?
クラフト氏:とにかくトランプ氏が再選した場合、どんな展開になるか、本当に読みにくい。
西野:予測不可能な大統領の方が、クラフトさんみたいなお仕事の人には、質問が増えてよいのでは(笑)。
クラフト氏:いやさすがに、今は聞かれても、誰も正確には見通せないですよ。
ただ、この3年間でアメリカの投資家から日本発の情報について確認されることが増えました。それだけ日米の政府が近いということでしょう。日本の方がトランプ大統領の意向をよく知っていると思われているようです。
山川:安倍総理とトランプ大統領は、電話会談やテタテ会談(通訳のみを交えた1対1の会談)よくしますからね。逆に言うと、トランプ大統領が再選する場合、次の日本の総理も大変ですね。
クラフト氏:安倍総理の4選話も浮上していますが、たとえ安倍さんが引いたとしても何らかの形で政権に加わって支えてほしいという声が出るんじゃないでしょうか。
西野:少なくとも次の総理もゴルフが上手な人でないと(笑)。
山川:ゴルフの腕前は安倍総理よりトランプ大統領の方が少し上だといいますね。ただ、本当にスコアを数えているのかどうか(笑)。
クラフト氏:トランプ氏のハンディキャップからすると、平均的に70台前半で回っていることになります。だとすれば、自身の年齢が73歳ですから、エージシュート(自身の年齢以下の打数でホールアウトすること)を実現していることになる。ちょっと考えにくい(笑)。
山川:おそらく、あのキャラクターですから、大ざっぱであまり正確には数えていないのでは。
クラフト氏:外務省の人に、安倍総理と回ったときの本当のスコアを聞いてみたら、「機密情報だ」といわれました(笑)。
西野:クラフトさん、ありがとうございました。
(注:この記事の一部は、BSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の番組放送中のコメントなどを入れて、加筆修正しています)
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