『「北の核」潰しの決意を日韓に質したマティス 「米国と共に戦うか、さもなくば……」』『「第2次朝鮮戦争」から目をそらす韓国人 「狂犬」のお達しも空振りに』(2/9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

安倍首相がアーリントン墓地に行きましたので、今年のトランプ大統領の訪日時に靖国参拝するかどうか期待して見守りたいと思います。それにより、中国との対決度も分かり、嘘つき韓国の外交カードの無効化と朝日が策動して始めた事件の無効化が図られます。天皇参拝にも道を拓くことになります。今の自衛隊員の殉職者が靖国に祀られるようにしませんと。

本記事にありますように日本も敵基地先制攻撃能力を持たないと。似非平和主義者or平和ボケは「とんでもない」と思うのかもしれませんが、目の前の危機に何も対処しないのであれば、多くの国民が犠牲になります。何より安全優先です。トランプの考えと一緒です。“ostrich policy” こそが深刻な危機を齎すことを自覚しませんと。

米国は北に先制攻撃を仕掛けるときは、韓国に事前通知はしないでしょう。中国に漏れる可能性もあるし、北に内通者が出るかもしれませんので。日本には当然その前に、米軍の家族の沖縄基地への避難がありますので分かるでしょう。以前やったように、訓練に仮装して。

http://www.cnn.co.jp/world/35094531.html

北のミサイルはTHAADがなくても、日米のミサイル防衛で防げると思っています。問題は国内の治安でしょう。朝鮮総連も日本国内にありますし、民潭も機に乗じてテロを起こすかもしれません。水道に毒を流すとか、厳しく監視しなければ。日本は日本人の物です。外国の危険分子の物ではありません。

朝日新聞を筆頭に左翼リベラル勢力は国民の安全を蔑ろにした論調を展開すると思います。現実に対応できない空理空論というのが国民にもやっと理解できるようになるのでは。それでは気づくのが遅すぎますけど。

本来、国が音頭を取って避難訓練と自警団の組成(今の防犯パトロールを大きくしたものでも良い)を図らなければ。市に下ろして、予算措置して実現するようにできれば良いですが、メデイアの反対で潰されるでしょう。本当に困った存在です。

記事

訪韓したマティス米国防長官は黄教安大統領代行をどう“値踏み”したのか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

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米国のマティス(James Mattis)国防長官が韓国と日本を訪れた。「北朝鮮の核」と戦う覚悟があるか、見定めるためだ。

トランプの暴言封じ

鈴置:マティス国防長官が2月2、3の両日に韓国を訪れ、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行や韓民求(ハン・ミング)国防長官と会談しました。

マティス長官のメッセージは明快でした。聯合ニュースの「米国防長官『韓米同盟強化など、米国の安保公約不変』」(2月2日、韓国語版)によると、以下のように言明しました。

  • 米韓同盟の強化と拡大抑止など、米国の安全保障への公約は不変であるという事実をもう一度明確にする。

—2月3日に日本で安倍晋三首相に述べたのと同じ文言ですね。

鈴置:ええ、全く同じです。日本の外務省の「マティス国防長官による安倍総理大臣表敬」(2月3日)を見ると分かります。

トランプ(Donald Trump)大統領は選挙期間中、韓国や日本を「安保ただ乗り」と批判。「自分は自分で守れ」などと同盟を軽視する姿勢も見せました(「トランプとオバマの間で惑う朴槿恵」参照)。

マティス長官の日韓訪問はその修正、つまり「同盟の確約」が目的の1つでした。日経の吉野直也ワシントン支局長が「『狂犬』が狙ったトランプ氏の暴言封じ 日韓訪問」(2月4日)で指摘しています。

共に戦う決意はあるか

当然のことですが、「同盟の確約」には無言のうちに条件が付いています。敵――現時点では核武装間近の北朝鮮と、共に戦う決意があるのなら、です。それを見極めるのがマティス国防長官の旅の最大の目的だったのでしょう。

彼は「狂犬」(Mad Dog)のあだ名を持ちます。韓国へ向かう際、核戦争用の空中指揮機――別名「最後の審判の日の飛行機」(Doomsday Plane)の中で以下のように語りました。国防総省の「Mattis Describes Overseas Trip as Opportunity to Listen to Allies’ Concerns」で読めます。

  • together we confront the North Korean situation.
  • I want to listen to them, engage with their political leaders, listen to some of their briefs, [and] get an understanding of their view of the situation.

「我々(米日韓)は北朝鮮の状況に共に立ち向かう」と述べた後、「(日韓の)政治指導者の説明を聞き、現状をどう見ているのか理解したいのだ」と、訪韓・訪日の目的を説明しました。

「説明を聞きたい」とへりくだった言い方をしましたが、要は「米国と肩を並べて戦う決意はあるのか」と問い質しに日韓に行くと言ったのです。

北への先制攻撃論

—日本では「日米安保を尖閣諸島にも適用する」との発言が大きく報じられましたが……。

鈴置:中国がトランプ政権の最大の仮想敵であることは間違いありません。しかし米国にとって――日本にとってもそうですが、緊急の課題は北朝鮮です。

「目前に迫った北朝鮮の核武装をいかに阻止するか」が課題なのです。先ほど引用した国防総省の発表資料を見ても、マティス長官の発言は「北朝鮮の核」一色です。

2016年9月以降、米国では北朝鮮の核・ミサイル施設への攻撃論が声高に語られるようになりました(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。

表「米国の『先制攻撃論』」を見れば分かる通り、2016年9月5日の北朝鮮の長距離弾道弾の試験と、9月9日の5回目の核実験の後、米軍高官らが矢継ぎ早に語りました。

5日 北朝鮮、高速道路から3発の弾道ミサイル連射、1000キロ飛び日本のEEZに落下
9日 北朝鮮が5回目の核実験を実施し「戦略ミサイルの核弾頭の生産が可能になった」
   
10日 稲田朋美防衛相、韓民求国防相に電話会談で、GSOMIA締結を呼び掛ける
12日 韓国国防相報道官「日本とのGSOMIAは必要な雰囲気。ただ、国民の理解必要」
16日 マレン元米統合参謀本部議長「北の核の能力が米国を脅かすものなら先制攻撃しうる」
19日 カーター国防長官、在韓米軍のスローガン「fight tonight」を引用「その準備はできた」
20日 北朝鮮「推力重量80トンの静止衛星運搬用ロケットの新型エンジン燃焼試験に成功」
20日 ハイテン米戦略軍次期司令官「北朝鮮はいずれICBMを持つ。すぐに備えるべきだ」
22日 米大統領報道官、対北攻撃を聞かれ「一般に先制的軍事行動に関し事前に論議しない」
24日 ヴィクター・チャ教授、中央日報に「北朝鮮のICBMの破壊も検討」と寄稿
26日 米韓海軍、日本海で合同訓練。韓国軍「北朝鮮の核・ミサイル施設や平壌が攻撃目標」
米国の「先制攻撃論」(2016年9月)

オバマ(Barack Obama)政権が北朝鮮の核開発を放置した結果、米国まで射程に収める核武装が間近に迫った、との危機感からです。

激しい大統領選挙戦もあって一時期はメディアの関心もそこから外れていました。が、トランプ政権発足の直後から再び、米議会などで「北への先制攻撃」が語られ始めました。

日本も敵基地攻撃能力を

—選挙戦の最中、トランプ氏は「金正恩(キム・ジョンウン)と話し合う」と言っていませんでしたか?

鈴置:そう語りました。米国が初めから対話を拒否するとは限らない。でも、話し合いで金正恩が核を放棄するとはまず考えられない。そして対話に時間を費やせば、その間に核を実戦配備されてしまう。

日本政府がミサイル防衛網を3段構えに強化しようと動いているのもそのためです。現在は地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)と、海上配備型のSM3の2段構え。

これにTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)か、SM3の地上配備型を加えて3段にする計画です。

ただ、ミサイル防衛網をいくら強化しても完璧ではない。北朝鮮が一度に大量のミサイルを撃ってきたら「撃ち漏らし」が出ます。

そこで、日米の安保専門家の間では「北の核・ミサイル施設を先制攻撃すべきだ」との意見が密やかにですが、急速に高まっています。

だから安倍首相もマティス訪日直前の1月26日に、衆院予算委員会で北の核・ミサイル開発を念頭に「敵基地攻撃能力の整備を検討すべきだ」と答弁したのでしょう。以下です。

1年あれば日本も可能に

  • (敵基地攻撃に関して)政府は従来、他に手段がないと認められるものに限り憲法が認める自衛の範囲に入り、可能であると考えている。
  • 一方、わが国は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、保有する計画もない。
  • 国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討は行っていくべきものと考えている。

米軍が先制攻撃する際、第1波の攻撃に日本は加わらないでしょう。しかし当然、北朝鮮は米軍基地のある日本に対しミサイルで反撃してくる。

その北朝鮮のミサイル基地を叩くのを米軍任せにしていいものか、との議論が起きると思われます。米軍だけでは「手が足りない」可能性があるからです。

ある専門家は「死に物狂いで整備すれば、日本も1年間で北朝鮮への攻撃能力を整備できる。ただし、敵基地の所在に関する情報などは米国に依存することになる」と解説しています。

逡巡するロッテ

—韓国軍に敵基地攻撃能力はあるのですか。

鈴置:もちろんあります。韓国空軍の使命の半分以上が北朝鮮の基地攻撃にあるとされます。ただ、やはり情報は米軍頼みです(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。

韓国の問題は「能力」ではなく「意図」です。北朝鮮は日本に対しても反撃するでしょうが、主な目標は韓国となります。韓国人がそれに耐えられるかどうか――。

ソウルを含む韓国の北半分は、長距離砲と300ミリロケット砲の射程に入る。北朝鮮はミサイルなどという高価な武器を使わずとも、簡単に韓国を「火の海」にし得るのです。

韓国人が恐れるのは「火の海」だけではありません。中国も怖いのです。米国は北朝鮮のミサイルから在韓米軍基地と、韓国の南半分を防衛するため、THAADの在韓米軍基地への配備を計画しました。

ところが、中国に脅された韓国が配備を承諾しませんでした。米国が「在韓米軍を引いてもいいのか」と脅したため、ようやく昨年7月に認めました。

ただ、これがすんなり進むか分かりません。配備場所はロッテ・グループが所有するゴルフ場ですが、中国政府から圧力を受けたロッテが引き渡しに逡巡し始めました。

米韓離間のチャンス

大統領選で先頭を走るのが「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表。「大統領に当選したら当然、米国より先に北朝鮮に行く」と語る親北左派です。

THAAD配備に関しても「次期政権で決めるべきだ」と反対しています。もちろん中国の顔色も見てのことです(「中国が操る韓国大統領レース」参照)。

マティス国防長官が今回の訪韓で「予定通りの配備」を確認したうえ中国を暗に批判したのも、次の政権では配備は困難と見られるからです。

—中国批判とは?

鈴置:先に引用した聯合ニュースの記事から引用します。

  • どこの誰も、米韓両国を離間することはできない。米国はいつも韓国とともにいる。

わざわざ「米韓を引き離そうとするどこかの誰かさん」つまり中国と、韓国内の従中・従北勢力に言及し、牽制したのです。

中国などにすれば、THAADは米韓同盟の空洞化の絶好のテコです。韓国にTHAAD配備を拒否させれば、米国は在韓米軍を撤収する可能性が高い。ことに今は米国が対北先制攻撃を検討するなど、状況が煮詰まっているからです。

「狂犬」よりも中国が怖い

—でも「狂犬」に脅されたら、左派も配備に同意しませんか?

鈴置:中国が怖くて、なかなかそうはいきません。国会で最大会派の「共に民主党」はマティス長官が韓国を離れた2月4日、「THAAD配備、弾劾政権でこれ以上論議するな」(韓国語)とのコメントを発表しました。理由には「中国との外交摩擦と経済面での報復」を挙げました。

日本ではあまり報じられませんでしたが、「共に民主党」の7人の国会議員が1月4日「中国政府とTHAAD問題を論議するため」に訪中しました。

彼らは王毅外相から「THAADの配備は一時中断せよ」との韓国政府への伝言を貰って帰りました。中国は、配備を遅らせておけば「文在寅大統領」が誕生し、配備は雲散霧消すると計算しているのでしょう。

韓国では7人の議員を「朝貢使」と批判する向きもありました。が、同党の支持率が落ちたわけでもなかった。

米国の言うことを聞かなくても無茶はされないと韓国人は思っている。半面、中国に逆らうとどんな報復をされるか分からない(「中国が韓国を『投げ売り』する日」参照)。

意識調査の結果を見ても韓国人にとって、もう「米国よりも中国が大事」なのです(グラフ「韓国にとって重要な国は?」参照)。

これもあって、日米の安保専門家の多くが「米国は先制攻撃の際、韓国には事前通告しないだろう」と見るのです。教えたら、たちどころに中国に御注進するでしょうから。

(次回に続く)=2月10日掲載予定

2月3日、マティス米国防長官と韓民求国防部長官が会談した国防部前ではTHAAD配備反対集会が(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

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米国が「北朝鮮の核武装」阻止に動く。だが、韓国の腰は定まらない。

マティスに反旗の左派系紙

鈴置:「狂犬」(Mad Dog)のあだ名を持つマティス(James Mattis)米国防長官が2月上旬、韓国と日本を訪問しました。

—韓国紙はマティス訪韓をどう評したのですか?

鈴置:在韓米軍へのTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)配備に焦点を当てました。韓国がそれを受け入れるかが米韓同盟の試金石となっているからです(「『北の核』潰しの覚悟を日韓に質したマティス」参照)。

メディアにより、意見は割れました。左派系紙のハンギョレはTHAAD配備の危うさを指摘しました。社説「新ミサイル体制のために訪韓したような米国防長官」(2月3日、日本語版)で以下のように主張しました。

  • マティス長官は24時間ほどの短い訪韓中にTHAADの配備を押し切ると何度も表明した。訪韓の最大の目的が「THAAD配備固め」のようにすら感じられる。
  • このような動きは中国やロシアを刺激して朝鮮半島と北東アジアの安保情勢を悪化させ、核問題解決策の議論の障害物になりかねない。
  • マティス長官の今回の歴訪は北朝鮮だけでなく中国にも警告メッセージを送る意味がある。トランプ大統領が公言してきた対中国圧迫を本格化させるのに先立って、韓米日の協力体制を固めようとしているのだ。
  • 我が国は今後韓米日の軍事安保協力強化の求めによって具体化していくこのような動きに対して、バランス感覚を持って対処する必要がある。

ハンギョレは「日米韓」の軍事協力強化に反対してきました。北朝鮮との融和も唱えています。こうした書きっぷりになるのも当然です。

「ずるい」中央日報

配備には賛成するけれど、さりげなく留保条件も付ける「ずるい」社説を書いたのが中央日報です。「THAAD配備と拡大抑止の強化に漏れがあってはならぬ」(2月3日、韓国語版)です。

見出しだけ見ると、親中色が強くTHAAD配備に慎重だった中央日報が「狂犬」の訪韓を受け、宗旨替えしたかと思います。

本文中でも「THAADは北朝鮮の核・ミサイルから国民と財産、米軍の兵力の保護と生存に必須の防御兵器だ」と主張しました。でも、それに続いてこんなくだりがあるのです。

  • 配備に反対する国民をもう一度説得し、中国とロシアにも誠意を持って説明することを政府に望む。

韓国民はともかく、中国とロシアは韓国政府がいくら説得しても応じるはずがありません。米国に対しては「私は配備に賛成しました」とゴマをすり、中ロには「御意向を尊重するよう政府に要求しました」と弁解する、子供だましの筆法です。

相変わらず「二股」の朝鮮日報

—最大手の朝鮮日報は?

鈴置:やはり米中双方にいい顔をする「二股社説」を載せました。2月4日の社説「トランプ時代にも米韓は利益ではなく『価値の同盟』でなければ」(韓国語版)から引用します。

  • マティス長官の言葉通り「THAADはひとえに北朝鮮のミサイルの脅威に対する防衛的な武器」であり「韓国国民と我々(米国)兵力を保護するための措置」だ。
  • 中国がTHAADに憂慮することには留意せねばならぬが、我々を手なずけようとか、韓米同盟を離間する機会にしようとするのは決して容認しない。

まず、マティス長官の言葉を引用することで中国の怒りを米国にそらそうとしました。「配備は米国の意向です。文句を言うなら米国に言って下さい」というわけです。

そのうえ「中国の憂慮に留意せねばならぬ」と書いて「あなたに逆らうつもりはありませんから」と、もみ手したのです。

こんな舌先三寸の社説を書いて、もし中国から「だったらお前の言う通り、俺にもちゃんと留意して配備を拒否しろ」と言われたら、朝鮮日報はどうするのでしょうか。

マティスもげっそり?

—韓国各紙の社説をマティス長官が読んだら、さぞかしげっそりするでしょうね。

鈴置:げっそりしたと思います。韓国は北朝鮮との緊張が高まるたびに米国に「次の米韓合同軍事演習では、B52爆撃機など戦略兵器を持ち込んで北を脅してくれ」「いっそのこと戦略兵器を韓国に配備してくれ」と要求する。

今回も中央日報が社説「韓米国防会談、米国の戦略資産を韓半島に常時循環配備せよ」(2月3日、日本語版)でそれを主張しました。

でも、韓国は米国にそう要求する一方で、中国に秋波を送る。「米国と協力して北の核を根絶しよう」と国民に戦争の覚悟を訴えるわけでもない。韓国の言うことを聞いて戦略兵器を韓国に送ってきた米国からすれば「食い逃げ」されっぱなしです。

「覚悟」を訴えた東亜日報

—1紙ぐらいは「覚悟」を呼びかけてもよさそうなものですが。

鈴置:私が見た中では唯一、高まる「第2次朝鮮戦争」の可能性を指摘し、国民に心構えを説いた社説がありました。東亜日報の「ただならぬトランプの対北圧迫に準備はあるか」(2月4日、韓国語版)です。

  • 最近、トランプ政権や米議会では対北先制打撃はもちろん、北朝鮮政権の交代や金正恩(キム・ジョンウン)の暗殺まで議論されている。
  • 1994年に北の寧辺(ヨンビョン)核施設への空襲の一歩手前まで行ったが、全面戦争勃発と韓国の被る莫大な被害への憂慮のため、取り止めたことがある。今回も、タカ派一色のトランプ政権の動きがただならない。
  • 金正恩の予告通りに北朝鮮が大陸間弾道弾(ICBM)の試射を断行した場合、米国が要撃などの強硬措置に出れば、朝鮮半島情勢がすぐさま、激浪に飲み込まれることもあり得る。
  • 国が百尺竿頭の危機にあるというのに、政界は大統領選ごっこに血道をあげる。野党には、THAAD配備など敏感な懸案でトランプ政権の対北政策と反対の方向に旋回する動きも見える。一般の国民の安保意識もこれまでと変わらない。

どうせ大国が決める

—なぜ、韓国人は「百尺竿頭の危機」を直視しないのでしょうか。

鈴置:「直視してもしょうがない」と思っているからでしょう。仮に「北朝鮮の核施設を先制攻撃してほしい」と韓国人が頼んでも、米国がすんなり応じてくれるわけでもない。反対に「やめてくれ」と頼んでも、自分に必要なら米国は実行する。

1994年の寧辺への攻撃も韓国と相談もなく計画され、韓国の意向とは関係なく取り止めになりました。当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領は後になって「自分が中止させた」と言い張っていましたが、それを本気で信じる韓国人は少ない。

この問題に限らず、韓国人には「自分の運命は周辺大国が決めるものだ」との諦念のようなものがあります。歴史的に「常に大国に決められてきた」からです。

元寇や明治維新のように外敵を追い払った経験を持ち「団結すれば運命は切り拓ける」と考える日本人とは完全に異なるのです。

「自らの意思で自分の運命を決められない」以上、韓国メディアが厳しい現状の分析よりも、読者の耳に心地よい話を報じるのは当然です。

マティス訪韓に関しても多くの新聞が「日本に勝った」「やはり韓国は米国に愛されている」といった情緒的な分析を載せました。

日本に勝った!

—なぜ「日本に勝った」のでしょうか。

鈴置:マティス長官が日本よりも先に韓国を訪問したからです。韓国を「愛する」からというより、韓国が米中間で「揺れている」ので、米国はまずその姿勢を確かめたかったのだ、と私は想像しますけれど。

国会開催中だった日本が「木・金」ではなく「金・土」の日程を希望したこともある、と説明する関係者もいます。

今、韓国人は孤独感にさいなまれています。それも「日本に勝った」式の報道を加速していると思います。

中国からはTHAADで苛められ、日本からは「慰安婦像」で見捨てられた。その結果、実害も出ています。

資金流出が始まりそうというのに韓国は、大口の通貨スワップを失う可能性が大きくなったのです(「中国が韓国を『投げ売り』する日」参照)。

朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の北京の軍事パレード参観で、米国から白い目で見られていることに、韓国人はようやく気づきました(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。

ことに米国に自国の利益を徹底的に追求するトランプ(Donald Trump)大統領が登場しました。韓国人はどんなに苛められるかと冷や冷やしていた。

そんな中、米国の国防長官が日本よりも先に韓国を訪問してくれたのです。そこで韓国各紙は「まだ、捨てられていなかった」「完全に孤立したわけではない」と小躍りしたわけです。

苦笑する中国

韓国経済新聞の2月5日の社説「堅固な韓米同盟を確認したマティス訪韓」(韓国語版)から引用します。

  • 主要国の大統領や官僚、さらには有名な芸能人、スポーツ選手もアジアに来る時は日本から訪問し、次に韓国を訪れるのが通例だ。しかし、マティス国防長官は異なった。トランプ政権が東アジアでどれほどに韓国を重視しているかを示す象徴的な例だった。
  • 国内政治が混乱する中、中国や日本との関係も疎遠になり東アジアで外交的な孤立に陥った韓国に配慮し、力づけようとしているのではないかと思えるほどだ。

米国にとって「北朝鮮の核」が最も緊急の課題ではありますが、それと「韓国を重視する」こととは異なります。もし、韓国が対北先制攻撃のお荷物になるのなら、トランプ大統領は韓国を見捨てると思います。

—韓国人はプラス思考ですね。

鈴置:こんな韓国人を笑いながら見ている国があります。中国です。中国共産党の対外威嚇用メディア「環球時報」が2月3日の社説「韓国は米国から重視されたというけれど、幸せにはなれない」(中国語)で、以下のようにマティス訪韓を評しました。

  • 韓国はマティス長官が自分たちの国に最初に来たと、興奮している。北朝鮮の核の脅威に驚くあまり、韓国は米国を救世主だと見なし、外交の独立性を失った。韓国は独立国として思考する能力をますますなくした。

米国に頭を撫でられたと大喜びする韓国――。中国は苦笑しています。この分ならもう少し脅せばまた、こっちの言うことを聞くだろうと考えていると思います。

不透明な米国

—では、中国は韓国イジメを強化するのでしょうか。

鈴置:それもするでしょうが、中国にとって韓国はあくまで外交ゲームの「駒」に過ぎません(「米国から『ピエロ役』を押し付けられた朴槿恵」参照)。

中国は小さな「駒」を動かすことよりも、ゲームの相手である米国の出方を研究する必要に迫られています。

トランプ大統領はいったい何をするのか分からない指導者です。突然の入国制限だけではありません。中国に対しては「1つの中国」という米中の基本的な合意を破る姿勢をちらつかせながら「北の核」の解決を迫り始めました。

環球時報の英語版「Global Times」が2月3日、マティス長官の訪韓・訪日に関する2人の中国人学者の意見を載せました。

Korean Peninsula tensions top the agenda of Mattis Asian tour」です。2人とも「トランプの不透明さ」を前提に議論を進めています。

朝鮮半島問題の専門家であるCui Zhiying氏は、北朝鮮への米国の先制攻撃の可能性に言及しました。以下です。

  • North Korea should stop developing its nuclear power before a possible rise in tension in the Korean Peninsula, as well as Trump’s preemptive countermeasures.
  • China should continue to deter Pyongyang’s nuclear programs while the Trump administration should seek to carry out the US-North Korea dialogues in the near future.

米国が先制攻撃的な手法をとって緊張が高まる前に、北朝鮮は核開発を止めよ。中国は北朝鮮を抑え込むから、米国は北との話し合いを早急に始めてくれ、との悲鳴に近い提案です。

判断の早いトランプ

—米国は先制攻撃するのか、それとも話し合いに入るのでしょうか。

鈴置:分かりません。今、米国はまさに分岐点に立っています。言えるのは、どちらの道を選ぶにせよ、トランプ政権は判断に時間をかけないと思われることです。

ここがオバマ(Barack Obama)前政権と完全に異なる点です。理由は2つ。トランプ大統領の性急な性格と、北の核武装が目前に迫ったという冷厳な事実からです。

(次回に続く)

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