『「ソウルは火の海になる」のデジャブ 米海軍が「ムスダン」を撃ち落としたのか』(10/27日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

GSOMIAを日韓間で締結しようとしていますが、韓国側が非礼にも、2012年6月末締結直前にドタキャンしたものです。日本に締結のメリットは感じられません。通貨スワップと同じです。本記事にありますように、偵察衛星を持たない韓国側にだけメリットがあるだけ。困った時だけ、泣きついてきて駄々をこねる未熟な国、ゆすりタカリのうまいヤクザ国家です。朝日新聞が慰安婦について誤報で謝罪したのを知っているにも拘わらず、世界に慰安婦像を建てて日本人の名誉を貶める活動をしています。中国上海には像が建てられましたし、ドイツでも建てる動きがありました。こういう国を支援するとしたら、日本人は馬鹿としか言えないでしょう。多くの日本人は「自分には関係ない」と思っているのでしょうが、子々孫々に悪い影響を与えることは間違いありません。敵は日本民族は道徳的に劣った民族と世界に刷り込み、日本侵略時に味方をなくそうと考えて行動しています。韓国はその手先として動いている訳です。日本は民主主義国家なので、国民が中韓の歴史の捏造に怒らなければ政府も力が入りません。衆愚政治の典型となります。果たして今の日本人にその自覚があるかどうかです。以前にもふれましたが、”Manchurian candidate”そのものでしょう。

10/28日経電子版には<対北朝鮮、韓国の背中押す 日韓軍事情報協定の交渉再開へ 

【ソウル=峯岸博】韓国政府は27日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結に向けた交渉再開を決めた。日韓は米国を介して安全保障情報をやり取りしてきた。GSOMIAで直接の情報交換が可能となれば、より広い安保情報を迅速に共有できる。現実的な脅威となりつつある北朝鮮の核・ミサイルへの危機感や米国の意向が複雑な対日感情を抱える韓国の背中を押した。

b1bomber

ソウル南方の米空軍烏山基地に着陸した米軍のB1戦略爆撃機=21日(聯合=共同)

「北朝鮮への対応のためにも日韓の協力は極めて重要だ。早期締結を目指し韓国側と相談のうえ交渉に入る」。菅義偉官房長官は同日の記者会見で語った。日韓GSOMIAは2012年にいったん署名直前まで準備が整っており、両政府は今年中の締結をめざす。

日米韓には北朝鮮の核・ミサイル情報に限って情報を共有する防衛当局間の取り決めがある。それでもGSOMIAのメリットは大きい。

米国が介在しない分、情報伝達のスピードが速まる。ミサイル発射の場合、日本は発射地点や軌道を素早く把握できる。韓国は日本海などの着弾地点の情報を日本から得やすくなる。発射から日本周辺に落下するまでは数分。情報の把握・分析がわずかでも遅れれば致命的だ。日韓で直接伝達できれば、日本のミサイル迎撃システムの精度を上げることができる。

GSOMIAの対象は核・ミサイル情報だけではない。韓国が人的に収集した秘密情報に加え、南北軍事境界線付近の北朝鮮の動向や特殊部隊の情報も日本には魅力だ。

韓国も自国の弱みを補える。日本の偵察衛星情報に加え、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を開発するなかで自衛隊の哨戒機による対潜水艦の探知能力への期待がとりわけ強い。

韓国政府には、署名直前までこぎ着けながら「密室処理」などと世論の反発を受け日本に延期を伝えざるを得なかった4年前のトラウマがある。植民地支配を経験した韓国には日本との安保協力への抵抗感が強い。

昨年末の従軍慰安婦合意や地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の在韓米軍配備問題も重なり、韓国政府は再交渉の時機を慎重に探ってきた。北朝鮮が今年に入り2回の核実験と20発超の弾道ミサイル発射を強行するなど、韓国政府は対日感情に拘泥できない状況になった。危機感を強める米もGSOMIA締結を促していた。

交渉再開は「あらゆる手段を総動員し北朝鮮に圧力をかける」と繰り返す朴槿恵(パク・クネ)大統領の意向が強い。国防省は「国民の支持を基盤に透明な形で手続きを進める」と強調する。

ただ朴氏は自身に関する内部文書流出問題で窮地に立っている。日本政府内には「署名できるまで韓国の世論を楽観視できない」(防衛省幹部)との不安の声も漏れる。>(以上)

とあります。韓国のヒューミントを期待してのことと思いますが、日本には朝鮮総連ルートがあります。裏で北に流れている金で言えば、圧倒的に日本からの方が多いと思います。韓国情報何て当てになりません。韓国は自力で北の脅威に直面した方が良い。

10/26ZAKZAK記事<正恩氏、身辺不安で“毒物探知機”輸入か 「毎週酒に溺れ自制できない」証言も 

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が身辺に不安を感じ、爆発物や毒物を探知する装備を輸入したと伝えられている。酒におぼれているという情報もある。今月には正恩氏の「斬首作戦」を行うとしている米韓両軍が合同演習を行ったばかり。正恩氏はいま、不安におののいているのか。  韓国の情報機関、国家情報院の国会報告で分かった。韓国紙、中央日報(電子版)によると、報告では正恩氏が「身辺の不安から最近、よく日程を変更し、爆発物・毒劇物探知装備を輸入した」といい、「斬首作戦」の具体的な内容の収集も命じたという。  報告はさらに正恩氏の健康についても言及した。「過飲・過食など無節制な食習慣で心臓病高リスク群と診断される」とし、正恩氏が毎週3、4日ほど夜通しでパーティーを開き、酒を飲むと自制できないという証言があることも紹介した。  正恩氏が不安を覚えるのも仕方がないのかもしれない。米韓両軍が10月10~15日、韓国西方の黄海などで合同軍事演習を行ったばかりだからだ。  演習には、米海軍が誇る原子力空母「ロナルド・レーガン」も参加した。その目的には、有事の際に北朝鮮指揮部を攻撃する訓練があるとされていた。指揮部の攻撃とは、正恩氏を「斬首する」という意味にほかならない。

北朝鮮情勢に詳しい関西大の李英和(リ・ヨンファ)教授は、「米韓軍の軍事演習や斬首作戦に対し、金正恩氏本人が警戒するというのもあるし、正恩氏の周囲が得点稼ぎのため過剰な警備をしていることも考えられる」と分析する。  一方、北朝鮮の国営メディアは連日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を非難し続けている。朝鮮中央通信によると、18日付の労働新聞はこう朴氏を批判した。  「朴槿恵一味は、民族の和合と北南関係の改善を願う各階層の熱望を踏みにじって反共和国対決策動にいっそう狂奔している。現実は、朴槿恵逆賊の群れの同族対決の腹黒い下心は絶対に変わらないということを示している」  前出の李教授はこうした北朝鮮の動きについて、来年の韓国大統領選に向けて「親北左翼政権を誕生させようとしている」と見るが、仮にそうなっても金正恩政権の未来は明るくないとして、こう指摘する。  「左翼政権ができれば、金を援助してくれるATMができてうれしいが、逆に韓国を攻撃するわけにはいかなくなる。北朝鮮にとって頼みの綱は左翼政権の誕生だが、かえって災いの元になるかもしれない」  どう事態が動いても、正恩氏の首筋が寒いことに変わりはないようだ。>(以上)

米軍の斬首作戦に怯える金正恩の姿が浮かび上がります。虚勢を張ってきましたが、米中に抗って、味方はロシアと瀋陽軍だけになりました。ロシアと瀋陽軍は米軍の攻撃があっても助けることは出来ないでしょう。まあ、北と南が争うのは「勝手にやって」という所ですが、「日本を巻き込むな」と言いたい。

記事

failure-of-north-koreas-missile

10月15日、北朝鮮のミサイル発射失敗を米軍が韓国より先に発表。米軍による撃墜か、と憶測を呼んだ(写真=AP/アフロ)

前回から読む)

米国と北朝鮮が「先制攻撃するぞ」と脅し合う。米軍による北朝鮮空爆の寸前まで行った1993-1994年の核危機が再燃したのだ。

ムスダン、相次ぎ失敗

—10月15日と20日、北朝鮮が相次いでミサイルを発射しました。

鈴置:いずれも、米軍のコードネームで「ムスダン」と呼ばれる中距離弾道ミサイルと見られています。

射程は3000キロ以上で、米領グアムを攻撃できるとされています。なお、両日とも「ムスダン」は1発ずつ。ともに発射直後に爆発した模様です。

—まさか、米軍が撃ち落としたのではないでしょうね。

鈴置:そう思った人もいました。北朝鮮は核弾頭と米本土まで届くミサイルのエンジン開発に成功したと9月に発表したばかりです(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。

北はかねてから「米韓を核攻撃する」とも宣言していました(「朴槿恵(パク・クンヘ)は『北爆』を決意できるのか」参照)。

もう、試射であろうと北朝鮮がミサイルを撃ったら、米軍がそれを撃ち落としても、何の不思議もないのです。

なぜか米国が先に発表

それに10月10日から15日まで、黄海など韓国周辺海域で米韓海軍が合同軍事演習「Invincible Spirit(不屈の意志)」を展開中でした。

10月10日の朝鮮労働党創建記念日に、北朝鮮が核実験やミサイル実験を実施するのを見込んで牽制するのが目的だったのです。

米艦隊にはSM3(海上配備型迎撃ミサイル)を装備したイージス艦も加わっていました。北の弾道ミサイルを撃ち落とそうと思えば落とせた可能性が高いのです。

もう1つ疑いをかき立てた理由がありました。15日の「ムスダン発射」をまず米軍が発表したからです。それも発射の約16時間後でした。

UPI通信は米軍の発表を受けて「U.S. detects failed North Korean midrange missile test」を配信しましたが、配信時刻は日本・韓国時間で16日7時27分。一方、発射は15日12時33分でした。

北のミサイルに関してはこれまで、発射して数時間以内に韓国軍が発表するのが通例でした。しかし、この時の韓国軍の発表は、米軍と比べても2時間も遅かったのです。

韓国メディアも首傾げる

—確かに変ですね。

鈴置:「米国が先に発表したのは、米軍がSM3で落としたからではないか」「発表が半日以上も経ってからだったのは、発表するかどうかを米上層部が協議していたからではないのか」と疑うコリア・ウォッチャーもいました。

聯合ニュースもこの遅れに首を傾げる記事を配信しました。「『米国の情報をすべて見てから』…軍、北のミサイル発射を1日遅れて公開し論議の的に」(10月16日、韓国語版)です。ポイントを訳します。

  • 韓国の合同参謀本部関係者は「韓米が情報を共有し分析するのに時間が必要だった」としたうえで「失敗に終わったため、一刻を争って公表する状況ではなかった」と述べた。
  • しかし、合同参謀本部は従来、ミサイルの種類の判別の可否や実験の成否にかかわらず、直ちに公表してきた。この説明はやや受け入れがたいところがある。

聯合ニュースはこの記事の結論部分で「韓米の情報共有がしっくりいっていないのではないか」と指摘しただけで「米国が落としたのではないか」とまでは書きませんでしたが。

北を叩くなら一気に

—では、実際にはどうだったのでしょうか。

鈴置:この問題に詳しい日本の専門家は、以下のように語りました。

  • 米海軍が撃ち落としたのではなく、本当に失敗したのだろう。北朝鮮は10月15日以前に6回、ムスダンを撃って5回失敗している。韓国軍の発表が遅れたのは自力で探知できなかったためと思う。
  • 今回の発射場所は中朝国境に近い黄海側の平安北道・亀城(クソン)。韓国からかなり離れた場所だ(地図参照)。しかも北朝鮮はトレーラー――移動式のミサイル発射台から撃ったので、発射場所を予め特定できなかっただろう。
  • こうした状況下で、偵察衛星を持たない韓国が弾道ミサイル、ことに発射直後に爆発したミサイルを探知するのはまず無理だ。
  • map-of-japan-korea

—なるほど「米軍犯人説」はガセだったのですね。

鈴置:でも、この専門家は不気味な話もしました。以下です。

  • ムスダンの試射などは「大事の前の小事」。米軍は真剣に先制攻撃を検討している。そんな時に、ミサイル1発だけを狙いはしない。

米軍が北朝鮮を叩く時は、一気に叩く――というわけです。確かに北に警告を発するために、テストで発射された北の弾道ミサイルだけを攻撃する手もあります。

しかしこの専門家は、米軍はそんな中途半端なやり方はしない。ミサイルを撃ち落とせば北が反撃して来る可能性が大。どうせやるなら核・ミサイル施設すべてを同時に破壊する、と言うのです。

金正恩は即座に死ぬ

—「大事」つまり、先制攻撃を米国が本気で考えているからこそ、小手先の策は使わない、との指摘ですね。

鈴置:実際、北朝鮮の5回目の核実験(9月9日)の後、米国の外交・安保関係者は繰り返し先制攻撃に言及するようになりました。

9月16日にはマレン(Mike Mullen)元・統合参謀本部議長が「北朝鮮が核で米国を攻撃できる能力を持ったら、先制攻撃も辞さない」と述べました(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。

9月23日にはホワイトハウスのアーネスト(Josh Earnest)報道官が質問に答える形で「一般論だが、先制的な軍事行動に関しては事前に論議しないものだ」と思わせぶりな発言をしました(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。

10月12日にはラッセル(Daniel Russel)国務次官補が「金正恩(キム・ジョンウン)が核攻撃を企て得る能力を持ったら、即座に死ぬことになる」と語りました。

発言の原文はAP通信によると以下です。U.S. Newsの「US reserves right to punish China firms working with NKorea」で読めます。

  • Perhaps he’s got an enhanced capacity to conduct a nuclear attack and then immediately die.

その前日の10月11日にはシャーマン(Wendy Sherman)前国務次官がソウルで「北朝鮮の核兵器を完全に終わらせるためには経済制裁措置だけではなく、すべての可能なオプションを用いるべきだ」と語っています。

聯合ニュースが「シャーマン前国務次官『北核問題解決に全オプション動員を』」(10月24日、日本語版)で報じました。シャーマン氏はヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補が大統領就任の際は、外交関係の要職に就くと見られています。

北朝鮮側は「核で先制攻撃」

—「先制攻撃」の大合唱ですね。

鈴置:北朝鮮も負けていません。これまでも「米韓を先制核攻撃する」と威嚇してきました(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。

米国で「先制攻撃論」が盛り上がると、北朝鮮もガンガン言い返しています。労働新聞は10月5日、論評で「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換した。核はいつでも米国に使える」と宣言しました。

労働新聞は10月19日にも「先制攻撃は米国と南朝鮮の特権ではない。南全域は火の海、米本土も修羅場になる」との論評を載せました。

米朝の間で「先制攻撃するぞ」との威嚇合戦が始まったのです(「『先制攻撃』を巡る動き」参照)。ただ、北朝鮮と異なって米国は「核による先制攻撃」とまでは言っていませんが。

先制攻撃」を巡る動き(2016年)
9月
5日 北朝鮮、高速道路から3発の弾道ミサイル連射、1000キロ飛び日本のEEZに落下
9日 北朝鮮が5回目の核実験を実施し「戦略ミサイルの核弾頭の生産が可能になった」
   
10日 稲田朋美防衛相、韓民求国防相に電話会談で、GSOMIA締結を呼び掛ける
12日 韓国国防相報道官「日本とのGSOMIAは必要な雰囲気。ただ、国民の理解必要」
16日 マレン元米統合参謀本部議長「北の核の能力が米国を脅かすものなら先制攻撃し得る」
19日 カーター国防長官、在韓米軍のスローガン「fight tonight」を引用「その準備はできた」
20日 北朝鮮「推力重量80トンの静止衛星運搬用ロケットの新型エンジン燃焼試験に成功」
20日 ハイテン米戦略軍次期司令官「北朝鮮はいずれICBMを持つ。すぐに備えるべきだ」
22日 米大統領報道官、対北攻撃を聞かれ「一般に先制的軍事行動に関し事前に論議しない」
24日 ヴィクター・チャ教授、中央日報に「北朝鮮のICBMの破壊も検討」と寄稿
26日 米韓海軍、日本海で合同訓練。韓国軍「北朝鮮の核・ミサイル施設や平壌が攻撃目標」
10月
1日 米韓海兵隊、白翎島で合同軍事演習
5日 労働新聞「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換。核はいつでも米国に使える」
6日 国連軍縮委員会で北朝鮮代表「自主権が侵害されない限り先に核は使わない」(朝鮮通信、8日報道)
10日 北朝鮮、労働党創建71周年記念式典を開催
10日 米韓海軍、黄海含む朝鮮半島周辺海域で「陸上精密打撃訓練」(10月15日まで)
11日 シャーマン前米国務次官「北の核には経済制裁に加え全ての選択肢を使うべきだ」
11日 朝鮮中央通信「来年1月の金正恩委員長の誕生日は盛大に祝う」
12日 ラッセル米国務次官補、記者団に「金正恩が核攻撃する能力を持てば直ちに死ぬ」
15日 北朝鮮、中距離弾道弾を平安北道・亀城から発射。米軍は「直後に爆発」と発表
19日 労働新聞「先制攻撃は米国と南朝鮮の特権ではない。南全域は火の海、米本土も修羅場になる」
20日 北朝鮮、亀城から長距離弾道ミサイル発射。米韓は「直後に失敗」と発表
21日、22日 北朝鮮の韓成烈外務次官と米国のガルーチ元国務次官補らがクアラルンプールで接触

悲惨な「第2次朝鮮戦争」

—軍事衝突が起こるのでしょうか。

鈴置:予測は極めて難しい。米朝双方の今後の出方にかかっていますが、それが読めません。状況は1994年の「第1次核危機」と似てきました。

北朝鮮は1993年3月にNPT(核拡散防止条約)からの脱退を宣言するなど、露骨に核開発を進めました。これに対し国連は経済制裁を決議し圧力をかけました。それと並行し、米国も北朝鮮との対話で活路を見いだそうとしました。

しかし、北朝鮮の核武装にかける意思は固く、対話はこう着。米国では北の核施設への空爆論が公然と語られるようになったのです。ビル・クリントン(Bill Clinton)政権は「第2次朝鮮戦争」も覚悟しました。

現在、国防長官を務めるカーター(Ashton Carter)氏は1994年当時、ペリー(William Perry)国防長官の下で国防次官補を務めていました。2人は1999年に共著『Preventive Defense』を出版しましたが、以下のように回顧しています(218ページ)

  • もし戦争が起きれば朝鮮半島を恐ろしいまでに破壊し尽くしただろう。ソウルは軍事境界線に近く、ダレス国際空港とワシントンDCの距離ほどもない。人口が密集したこの都市には砲弾の雨が降り注いだはずだ。数10万人の市民が殺され、100万人単位の難民が南北朝鮮で発生したに違いない。
  • 韓国には3万7000人の米軍兵士が駐留しており、それ以外にも多くの政府職員や10万人を超える米国市民が住み、働いていた。彼らにもまた、被害が及んだであろう。
  • 非戦闘員を非難させる計画もあった。だが砲弾の雨の下、多くの米国人もソウル市民と同じ運命をたどることが容易に想像できた。

緊張の1年間だった

—戦争の瀬戸際だったのですね。

鈴置:そう言ってよいと思います。私は当時、北朝鮮の核問題の担当デスクでした。いつ衝突が起きるか分からず、緊張の1年間強を過ごしました。ワシントン、平壌、ソウル、それにIAEA(国際原子力機関)のあるウィーンから目まぐるしくニュースが飛び込んで来るので、不眠不休の毎日でした。

多くの日本人は「瀬戸際」だったことをすっかり忘れていますが。南北対話の席で北朝鮮の代表が「ソウルは火の海になる」と発言したのもこの緊張の中での話です。1994年3月19日のことでした。

—「ソウルは火の海」。思い出しました。

鈴置:結局、1994年6月にカーター(Jimmy Carter)元大統領が訪朝し、半ば引退していた金日成(キム・イルソン)主席と会談。

両者の間で妥協が成立し、辛うじて戦争は回避されました。この妥協を基に同年10月、米朝は「枠組み合意」に至りました。北の核開発は阻止できたかに見えました。

しかし、同じ年の7月に金日成主席が死亡。後を継いだ金正日(キム・ジョンイル)総書記は密かに核開発を続けました。孫の金正恩委員長が核武装にメドを付け、米国への先制核攻撃を唱えるようになったのです。

核を失えば権力も失う

—12年前と同様に対話で一応は解決できるのでしょうか。

鈴置:解決というより、問題を先送りして悪化させただけだったのですけれどね、今から振り返れば。

「対話による解決」は12年前と比べはるかに難しくなっています。金日成主席は米国や日本と国交正常化できるのなら、核開発を放棄してもよいと本気で考えていたフシがあります。

しかし3代目の金正恩委員長が核を手放すことはまず、ないでしょう。核を放棄したら権力の座から転げ落ちる可能性が大きい。「核武装を実現した」ことだけが国民に誇れる実績だからです。

それに1994年当時、北朝鮮は核弾頭も中・長距離の弾道ミサイルも開発を始めたばかりでした。米国には腰を据えて北朝鮮と交渉する時間的な余裕がありました。

しかしもう、先送りはできません。北朝鮮はあと1、2年でミサイルに搭載可能な小型の核弾頭や、米国まで届く長距離弾道ミサイルを完成すると見られるのです。

仮に今回、米朝対話を実施したとしても、北朝鮮が時間稼ぎの素振りを見せた瞬間、米国では「時間がない。先制攻撃に踏み切ろう」との声が一気に高まるでしょう。

米朝対話、再び?

—マレーシアで米朝が会談したと報じられました。

鈴置:10月21日、22日の両日、クアラルンプールで北朝鮮の韓成烈(ハン・ソニョル)外務次官らと、米国のガルーチ(Robert Gallucci)元・国務次官補らが非公式に話し合いました。

テーマはもちろん北朝鮮の核とミサイルです。北朝鮮は自身を核保有国と認めたうえ、在韓米軍の撤収につながる米朝平和協定の締結を求めた模様です。一方、米国は朝鮮半島の非核化を要求したようです。

双方ともにこれまでの要求を繰り返しただけです。対話がすぐさま始まるとは思えません。オバマ(Barack Obama)政権の任期は2017年1月までで、新たな行動には出にくいのです。

なお、ガルーチ氏はビル・クリントン政権下で北朝鮮との交渉役を務め、1994年の米朝「枠組み合意」をまとめた人です。

東亜日報は社説「対北圧迫の中での米朝接触、北朝鮮に誤ったシグナルを与える時ではない」(10月24日、日本語版)で以下のように分析しました。

  • 米国側出席者は民主党候補のヒラリー・クリントン氏が11月の大統領選で勝利する場合、次期政府の北朝鮮政策に影響力を行使する可能性が少なくない。
  • 今回の接触は、クリントン氏が当選する場合を想定して、米民主党に近い韓半島専門家と北朝鮮側が互いの考えを探るためのものとみえる。
  • オバマ政府が直ちに強硬な対北スタンスを変える可能性はないが、次期政権ではどのように変化するか分からないため、韓国政府は綿密な備えが必要だ。

先を読める人はいない

—韓国紙も予想が付かないのですね。

鈴置:金正恩委員長とオバマ大統領、あるいは米国の次期大統領を含め、先を読める人は世界のどこにもいないでしょう。日本も予断を持たず、あらゆる可能性を考えて準備することが肝要です。

(次回に続く)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『実は日本が学ぶべき点の多いドゥテルテ氏の言動 国連の僕ではなく、活用して国家の威厳を高めよ』(10/19JBプレス 森清勇)、『華人系は嘘っぱち、ドゥテルテに騙されるな! 田中角栄元首相に重なる面が多いフィリピンの新大統領』(10/27JBプレス 末永恵)、『戦略と倫理~日本はドゥテルテ大統領を大切にするべきか?』(10/27北野幸伯)について

以前Facebookで見た記事です。どなたの記事だったかコピペしなかったので、忘れましたが。

<フィリピンに最も寛大なのは、連合国(国連)でなく、日本だ。 ドゥテルテ大統領が発言。

今月末に公式訪問で来日するフィリピンのドゥテルテ大統領。今日、連合国(国連)、EU、米国への懐疑と非難を再び表明した。 ドゥテルテ大統領は我々へ最大の支援を長期間にわたってしてくれたのは「連合国(国連)でなく日本だ」と言い、さらに「連合国(国連)でなく、日本が最も寛大だ」と述べた。 また「人権など知らない。アメリカにも、オバマにも、連合国にも、EUにも、私を理解してほしいとは思わない」と発言。麻薬シンジケート撲滅のために、就任以来2500人以上を超法規的に殺害し、フィリピン中の刑務所が検挙された麻薬犯罪者で足の踏み場もないほど溢れかえっていることへの欧米からの強い非難に反発した。 欧米から非難され、米国との軍事協定を含める二国間協定を解消する、と息巻くドゥテルテ大統領だが、強い影響力と信頼を集めるアキノ前政権のデル・ロサリオ外相が、現政権の後ろ楯になっている限り、大統領の発言とは裏腹に、フィリピンが糸の切れた凧として万里の長城の方向に飛ばされることはないと思っている。 問題はデル・ロサリオ氏とドゥテルテ大統領の現時点の関係である。

Bernraf Concepcion Orpiano‎  Defense of the Republic of the Philippines

20時間前 ·

“Contrary to the belief of other Filipinos, it is not the United Nations. Maliit lang iyon, pati ang military. It’s the Japanese government ang pinakamalaking tulong.” — President Rody Duterte

Japan most generous to PHL, not UN – Duterte

Published October 11, 2016 7:00pm

By TRISHA MACAS, GMA News

President Rodrigo Duterte on Tuesday refuted some of the alleged claims of his countrymen that the United Nations (UN) is the most generous to the Philippines.

In a speech delivered in Malacañang after the oath taking of his new appointees and the officers of the League of Municipalities of the Philippines (LMP), Duterte said that Japan had been the country’s biggest donor.

“Contrary to the belief of other Filipinos, it is not the United Nations. Maliit lang iyon, pati ang military. It’s the Japanese government ang pinakamalaking tulong,” the President pointed out.

Duterte, however, did not elaborate.

The President in a speech in Butuan City on October 6 dared the UN, the European Union (EU), and the United States (US) to withdraw their aid to the Philippines after they criticized the Duterte administration’s war on drugs.

“I do not expect human rights, I do not expect Obama, I do not expect the EU to understand me. Do not understand me. And if you think it’s high time for you to withdraw assistance, go ahead. We will not beg for it,” Duterte said.

The statement was made after Vice President Leni Robredo said that Duterte’s rhetoric might affect foreign aid for anti-poverty programs of the government.

But Duterte added that he would not compromise the dignity of the Filipinos just because of international aid.

“Ano’ng paningin n’yo sa amin? How do you look at us? Mendicants? Na magsige lang sunod-sunod kami? We will survive. We will survive as a nation,” the President retorted in the same speech.

Despite Duterte’s dare, the US, the EU, and the UN all committed to pour aid to the Philippines.

However, US Senator Patrick Leahy even before the dare reminded Duterte that the law he authored, Leahy Law, ensured that countries receiving assistance from the United States do not use the aid on programs that violate international laws. — Trisha Macas/RSJ, GMA News>(以上)

そもそも米国に人権尊重をフィリピンに要求すること自体、間違っているとしか言えません。世界最大の人権抑圧国家・中国に人権尊重を口先だけでなく、経済制裁を課すくらいのことをしたらどうかと思います。北野氏記事にありますように今まで独裁国家のサウジに人権尊重を要求してきたかという事です。ペトロダラーで$基軸体制を堅固にするために見て見ぬ振りをしてきたではないですか。二重基準です。過去には共産主義のスターリンや毛沢東と手を結んだことは北野氏の記事にある通りです。

米国の西漸運動は白人のインデイアン虐殺とも関係しています。誇り高きインデイアンは白人の言うことを聞かないと見るや黒人奴隷を米大陸にヒトではなく、家畜扱いで連れてきます。こういう非人間的なことをしてきた連中に人権何て言われたくないでしょう。米国の過去のことではありますが、米国の今の姿が理想という事で現在の価値基準を押し付けるのではなく、国の発展段階によって判断すべきでしょう。米国だって”wanted”のチラシで民間人が賞金首を取りに行ったではないですか。米国が植民地統治したので、ドウテルテはその文化を移植しただけでは。「自分の手は汚れていない」とオバマが思うとしたら浅はかの一語です。もっと米国史を勉強しろと言いたい。西漸運動後、太平洋に繰り出してきて、日本を亡き者にしようとしたのもキチンと知るべきです。

そもそもオバマは体を張って国政をしてきたのか疑います。ドウテルテは暗殺の危険を知りながら、麻薬犯罪撲滅に取り組んできました。華人(如何に中国人が悪逆か、国が違ってもやることは同じ)の麻薬王を脅すことなどオバマにはできないでしょう。南シナ海で中国に強い行動すら採れない男にあれこれ言われたくないでしょう。況してや米軍は米比戦争で20~150万人もフィリピン民間人を虐殺しました。中国の南京事件のようなでっち上げではありません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E6%AF%94%E6%88%A6%E4%BA%89

末永氏の言うようにドウテルテは華人ではないのでしょう。麻薬取締上そう言っておいた方が安全という思惑が働いているのでは。今度の中国訪問では華人とアピールも出来たようで、中国とは狐と狸の化かし合いを演じたようです。ドウテルテはインテリで庶民に近いことをアピールしていますが、大衆の心を掴むには演出も必要です。トランプもインテリですが、今の選挙情勢を見ますと、やはりドウテルテより下の人物と言う風に評価します。

森氏の記事で、国連を日本人が有難がるのはおかしいと言っていますが、その通りだと思います。所詮第二次大戦の戦勝国クラブではないですか。UNを国際連合と訳すのは間違いで、連合国と訳すのが正しいです。而も人類が生存する限り、戦争はなくならないでしょう。それがたった1回の戦争で利権を戦勝国が固定するのはおかしいでしょう。UNが南京や慰安婦で日本を糾弾するのは、国際連盟がリットン調査団を派遣して、極東の事情を知らない人間が判決を下したのと同じことです。事実調査やその背景、経緯について考慮せず、ハナから日本を貶めようと動いているのですから。戦前・戦中・戦後とも支那の賄賂にしてやられている気がします。

でも中国と対抗するには、現実的に判断せざるを得ません。米国とフィリピン、ベトナムと手を携えて中国の横暴に対抗しなければなりません。

10/19記事

duterte-2

「治安の改善」を選挙公約の1つに掲げて当選したロドリゴ・ドゥテルテ氏のフィリピン大統領就任は、超法規的殺人を問題視する米欧、国連、人権団体から批判を浴びることになった。

そうした中で、米国のバラク・オバマ大統領を名指しで愚弄し悪態をついたこともあり、首脳会談が流れ、米比関係が著しく悪化している。南シナ海などで航行の自由を掲げて米国と共同歩調をとってきた日本としても他人事では済まされない。

ドゥテルテ氏はミンダナオ島のダバオ市長として麻薬と犯罪撲滅に尽力し、22年間在任した。そうした手腕が高く国民に評価され、国家の再生を担って6月末に大統領に就任した。

「ドゥテルテの超法規的な犯罪取り締まり政策は、法律的に間違っているかもしれないが、人々に支持され『民主的』であり、政治的には正しい」(「田中宇の国際ニュース」2016年10月5日)

国際社会はフィリピンの人権無視のみを強調するが、治安維持は国家の存続に関わることであり、二者択一といったように簡単ではない。特に開発途上国などでは、人権よりも治安が優先されることもしばしばである。

国連は人権を天下の宝刀のように振りかざし、慰安婦問題や南京事件などでは日本政府の意見を聞くこともなく、反日的立場の「人権無視」という提言のみを取り上げて糾弾するが、不公平さだけが目立つ。

国家主権を問いかける大統領

ドゥテルテ氏が市長であったときはほとんど国際問題化することもなかったが、大統領となって以降は「人権」問題が正面に押し出され、批判の対象になってきた。

特にオバマ大統領が表立って批判してきたが、ドゥテルテ大統領は、米国が比国を占領していた時には人権無視も甚だしく、虐殺をやってきたではないかと反論する。

欧州列強の植民地経営時代は、植民地の人権が蔑ろにされたわけで、先進国の勝手な、今日的基準ばかりでの人権批判は通用しないということでもあろう。今日でも人権軽視の常任理事国がある。

フィリピンでは麻薬犯罪が横行し、また麻薬を資金源とした反政府系組織による暴動も起き、国を建て直そうにも、生ぬるい手法では上手くいかなかった。

ドゥテルテ氏はダバオ市長時代に麻薬撲滅と真剣に向き合ったから、住民から信頼され長く市長を続けられたという自負がある。そして、その麻薬撲滅の手法も超法規的ではあるが、国内では信任されて大統領にも選ばれたのだ。

フィリピンをかつて統治し、今日も治安等で一部関わっている米国であるならば、もっとフィリピンの実情を理解してもいいのではないかという思いもドゥテルテ大統領にはあるのであろう。

だからこそ、理解しようとせず、表向きの人権尊重のみを主張することに対し苛立ちも覚え、過激にもなっているのであろう。

もう1つは、米国一極から多極化への対応という視点もあるようだ。従来は米国が超大国として君臨し、一極構造と言われてきた。米国は世界の警察官そのものであり、米国に依存しておれば安全は保障されたが、一方ではフィリピンの主権が侵害されても我慢せざるを得なかった。

しかし、今日では相対的に米国の力が落ち、米国に頼りっきりでは必ずしも安全とは言えない状況になりつつある。そこで、侵害されてきた主権の奪還を目指すには、中国(やロシア)に近寄るぞと見せかける必要もある。米中(露)を天秤にかけた、一種の高等戦術ではないかという見方もできよう。

ただ、国際裁判所の仲裁裁定を「紙屑」と言って無視し、覇権の拡大に我武者羅な中国である。そうした点からは、中国への接近で主権が保障されるか大いに疑問である。

むしろ、米国以上に主権が侵害され、ついには自治区として取り込まれる危険性すらある。ベトナムがことあるごとに中国に抵抗するのは、そうした歴史が刻印されているからである。

現大統領の後ろ盾とも言うべき存在であるフィデル・ラモス元大統領は、米国の軍学校を卒業し、安全保障上は米国との関係を重視したこともあり、オバマ大統領への暴言などを嗜め、苦言を呈したようだ。

そうしたことから、軌道修正があるかどうか注目されるところである。

日本が学ぶべき点もある

主権と人権の観点から、日本はドゥテルテ大統領に学ぶべき点がある。ただし、相手は米国ではなく国連である。従来、日本は国連に対して幻想を抱き、国連神話とも言うべき意識を持っていた。

しかし、外相時代から反日言動をしていた藩基文が国連総長となってからは、中立・公平でない言動が目立った。また、ユネスコ(国連教育科学文化機関)などまでが韓国や中国の反日的なロビー活動に影響され、弊害をもたらすようになってきた。

象徴的で目に見える形をとったのが、昨年9月、中国が「抗日戦争勝利70年記念行事」と銘打って行った反日宣伝の式典に、日米欧の首脳らが欠席する中、あえて参加し、天安門前広場の軍事パレードにも立ち会ったことである。

国連加盟は安保理の専決事項であるにもかからず、2007年に台湾が加盟申請した時は事務総長が「支那は1つ」と申請を却下した。2014年に香港で2か月にわたった民主化運動の大規模デモが続いた時は、「(中国の)内政問題」と片づけた。このように、越権行為と中国政府におもねる姿勢が目立った。

藩事務総長は次期韓国大統領の有力候補とも言われ、そのことを意識してか韓国向けの姿勢も顕著である。国連総会開催時の朴槿恵大統領の優遇や、国連への韓国人重用(約30%も増大)は縁故主義として顰蹙を買った。

前ソウル支局長の名誉棄損裁判では海外の人権団体やメディアが韓国の司法システムを批判し、国連本部でも疑問の声が上がったが「無言」を通した。

一方で、韓国人元慰安婦を国連に招き「被害者の声に耳を傾けることが重要」と発言するなど、ことごとく韓国よりの言動に終始した。

また、(女性の)人権に関しては、国連特別報告者が揃って反日的報告をまとめて、日本を糾弾する状況が続いてきた。

内容が正しければ致しかたないし、反論のしようもない。ところが、日本語も分からない人物が、長くて1週間程度の滞在調査で、「日本の人権状況はこうだ」と言い募る。日本を犯罪国家にしたい、自虐史観に染め抜かれた日本人シンパからもらった資料を鵜呑みにするのはあまりにも軽率であり、無責任である。

調査と言うからには、逆の立場の者からも聴取して、資料の確かさを確認するのが筋というものだ。(出鱈目な)資料で造り上げた、日本批判の文章を日本の然るべき省庁などに見せて確認することもなく、いかにも承認された公式文書であるかのように弄んで平然としている。

国連の横暴は主権の侵害

河野談話は確かに日本の外務大臣が発出した文書である。日本の迂闊、外務大臣の失態以外の何物でもないことを認めるのに吝かではない。それを認めたうえで、韓国が牽強付会の解釈をしており、日本国家や軍人を貶める材料として使っている。

韓国どころか、反日的朝日新聞などは進んで拡大解釈して韓国に迎合してきた。日本政府をはじめ、多くの国民は韓国流の解釈に不満の声を上げてきた。しかし、異議申し立てを忖度しない横暴さだけが国連人権委などには顕著であった。

反対者の意見にも耳を傾けるのが現地調査であろう。しかし、最初から日本を犯罪国家に仕立てる意識で来日しているとしか思えないため、調査した振りをして、頑なに日本政府の言い分には耳を傾けようとしない。慰安婦の性奴隷化はこうした状況下で造り上げられた。

「人権擁護」には目もくれないが、「人権無視」と言えば、具体的に事象を精査することもなく「そこのけそこのけ、お馬が通る」式に、登録する杜撰さである。

また、日本では女性の社会進出が少ないとして、いかにも女性蔑視であり差別であるかのような報告書を書き勧告してくる。ざっくり言って「日本において、女性に対する差別はほとんどない」(杉田水脈氏)し、「日本はもう(差別で)勧告を受ける必要はない」(山本優美子氏)(いずれも「国連女子差別撤廃委員会レポート」『WiLL』2015.10号所収)というのが実情である。

その最たるものが、男系継承は女性差別で、女系継承も可能とする皇室典範に改正すべきだと勧告しようとしたと報じられたことである。幸い政府の抗議で削除されたが、日本の歴史を理解せずに、平然と内政干渉に等しい言辞を弄する。厚顔無礼とはこのようなことを言うのではないだろうか。

日本は国連分担金もユネスコへの分担・拠出金も滞納したことがない。ただ昨年、中国が行った「南京大虐殺」の記憶遺産登録に対して、不快感表明と登録手続きの透明性を要求して今年の支払いは留保している。

政府の反対を押し切って不十分な資料で一方的に登録し、あるいは皇位継承などについて越権的な勧告を行うような組織に対しては、国際社会では分担金留保のように目に見える然るべき対処も必要であろう。

そもそも、日本ほど差別をしないで、人権や人道を重視している国はないと思えるが、国連の人権委員会や女子差別撤廃委員会などはそうは見ない。

日本のNGOなどの「告げ口」で、ありもしない差別を作り出している感じもあるが、委員会はもう少し意見聴取の仕方などを工夫して、実情を反映させるようにする必要がある。

日本は「人権」「人道」の先導国

日清戦争、日露戦争を勝ち抜いた日本は5大国の一国となった。国際連盟創設に当たっては、規約に「人種平等」案を提案する。当時の議決は多数決が原則であり、賛意を示す国が多かったので日本の提案は議決されると見られた。

ところが、米国は黒人を奴隷のように酷使していたし、人種平等となれば黒人の解放が必要になり、米国社会の生活スタイルを全く変更する必要に迫られ、社会的混乱も予測された。そこで、当時の議長であったウッドロー・ウイルソン大統領は、特に重要な案件については全会一致が必要であると主張して日本の提案を葬った。

日本の人権重視、人種平等には歴史がある。明治国家ができて間もなく、ペルー船のマリア・ルス号が修理のため横浜港に寄港した。その時、積荷の苦力(クーリー)1人が逃げ出し、英国艦に助けを求めた。英国は奴隷運搬船と判断し、彼を日本政府に引き渡し清国人救助を要請する。

時の外務卿は副島種臣である。明治天皇の名代で訪清したとき、三拝九拝の跪坐礼式にこだわる中国の官衙によって、英国使節などの拝謁が半年間も叶わずにいた。副島は中国古典を引用して官衙を説得、最初に拝謁の栄誉に浴する。外国使節は大いに感謝し、中国は帰国時に礼砲で送り出している。

日本とペルー間には条約が締結されていなかったので、日本政府内では国際関係上不利との意見もあったが、副島は人道主義と日本の主権独立を主張し、神奈川県権令にペルー船の船長を拘留させ、苦力231人を解放させる。

苦力は米国のラッセル商会の商品で、ペルーを通して日本政府に賠償請求訴訟を起こす。そこで、ロシア皇帝アレクサンドル2世を裁判長とする国際仲裁裁判が開かれることになる。米国は苦力を奴隷ではなく契約労働者と主張するが、日本は榎本武揚を送り込んで苦力貿易の非道を批判する。

デラノ(フランクリン・ルーズベルトの義父)が仕切るラッセル商会はアヘンと奴隷貿易で稼いでいる悪徳商会であることを知っていたロシア皇帝は、「日本側の措置は一般国際法にも条約にも違反せず妥当なものである」との判決を出し、ペルー側の訴えを退け、日本の勝ちを認める。

日清戦争で日本が勝利したことで、満州族の漢民族支配にとどめを刺し、ラスト・エンペラーの愛新覚羅溥儀は清朝を追われ、満州に帰り満州国皇帝となる。

ところがその後のリットン調査団は、「旧植民地の支那に宗主国・清の版図の継承権を認め、さらには宗主国の領土満州も支那のものだと公式に認めた」。

これは「英国の植民地インドが独立して『人口の多さでインドこそ大英帝国の正統な後継者だ。宗主国英国もマレーもビルマも俺のものだ』というのと同じこと」(高山正之著『オバマ大統領は黒人か』)である。

この延長線上に、清の版図に入っていたチベット、ウイグル、モンゴルを中国は、「歴史的に我が固有の領土」として取り込んだ。その不条理が人権抑圧となり、今日のテロや暴動につながっている。

ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相の「大西洋憲章」は、ドイツに主権を奪われた東欧白人国家の解放を謳ったが、アジア・アフリカの植民地解放には適用しないとした。それに対して「大東亜共同宣言」は、「米英の桎梏より解放して、自存自衛を全うする」とした。

目的を達する前に日本は敗戦したが、米英仏蘭などがもっていた植民地は解放された。これこそは自国を犠牲にして日本が成し遂げた偉業であり、人種平等、人道主義の率先・体現であった。

おわりに

国連常任理事国の中国がチベットやウイグルなどで行っている人権弾圧は、フィリピンに勝るとも劣らないであろう。ただ、中国はすべて内政問題として、また報道統制も厳しく外国の監視が届かないため、表面化することが少ない。

西アフリカのナイジェリアに拠点を置くボコハラムに拉致された多数の女性たちはいまだに行方不明である。

日本政府の異議申し立てにも関わらず、国連の特別報告者たちは中韓のロビー活動に動かされているのであろうが、80年余も前の第2次世界大戦前の日本の事象に焦点を当てたがる。

しかし、現在進行形の中国やボコハラムの問題、さらには韓国内における韓国軍や米軍慰安婦問題などには頬かむりである。また、近年明らかになってきたベトナム戦争時の韓国軍の慰安所経営などにこそ焦点を当てるべきであろう。しかし、国連が積極的に動いているという情報は聞こえてこない。

なお、相模原の障害者施設で起きた事件は、人命軽視の殺傷事件であることは確かだ。ただ、当人が衆院議長や首相あての手紙などを認めた行動からは、少子高齢化時代における人権と国家の存続という、重い問題意識を提示している。

現在は立件のための捜査や犯罪防止に重点が置かれて検討されており、また識者たちは多くを語ろうとしないが、少子高齢化時代に生産性を低下させないでいかに共生社会を築いていくかという視点から、日本の将来を危惧した相克のようにも思えるが、いかがであろうか。

10/27JBプレス記事

duterte%e3%80%80with-kishida

在日フィリピン人との会見を終え、会場となった都内のホテルを出発するフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(中央、2016年10月25日撮影)〔AFPBB News

「暴言」「失言」「放言」――。その毒舌でフィリピンの名を世界的に知らしめた「フィリピンのドナルド・トランプ」こと、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が国賓として日本を初訪問中だ。

親日家と言われるが、素顔のドゥテルテ氏はあまり知られていない。

南沙諸島問題を棚上げし、警戒する日本を横目に、中国から巨額の経済援助を引き出し、米国との決別をも表明。今年限りの米比合同軍事演習中止も発表している中、その親中度が高まる一方だが、日本訪問後にはロシア訪問も予定。

その手法はあたかも、小国ながらも大国を手玉にとり、自国の利益を優位に得るベトナムの外交戦術を手本にしているかのようだ。

親日家、それとも親中派か。「裸のドゥテルテ」を暴いてみたい。

庶民派は演技、実はインテリ

ドゥテルテ氏は、現在71歳。フィリピン航空の客室乗務員だったドイツ系(祖父がドイツ人)のエリザベス・ジムマーマンさん(68歳)と約30年間の結婚生活後、3人の子供に恵まれたが2000年に離婚。

現在、正妻はいないが、かつてミス・ダバオ医科大学に選ばれ、米国で看護士をしていたハニレット・アヴァンセナさん(46歳)というパートナーと暮らしており、2人の間には12歳の女の子がいる。

ドゥテルテ氏は庶民派を“演出”しているが、もともと「父が元州知事で弁護士」「母は教師」というインテリ出身。しかし、最近になって、両親からというよりか、「自分の人間的(価値観)形成や政治への考え方は、子供の頃、カトリック教会の司祭に、とてもショッキングな性的虐待を受けたことが大きく影響している」とカミングアウトしている。

そして、10年ほどダバオ地検検事を歴任した後、父の後を継ぐ形で政界入り。7期当選で22年間、ダバオ市長に君臨。その間、下院議員選挙に立候補し当選、中央政界での経験もある。地方、国政と行ったり来たりする内情はこうだ。

実はフィリピンでは、「3期9年以上」連続し市長職に就任できないという法律があり、自分の身内に4期目に席を渡す一方、当人は下院議員など他の公職に立候補。3年後に3年腰かけて元職に返り咲く“常套手段”がまかり通っている。

これこそがフィリピンの「地方独裁腐敗政治の温床」「政治屋一族による私物化」にもなっているが、全く改められる気配はない。ドゥテルテ氏もうまくこの手法を使い、実娘に市長の座を渡すことで、一時期、副市長も務めてきた。

暴言、放言から海外からは単細胞に見えるが、なかなかのしたたか者である。今回の大統領選でも、エリート層であることをあえて表舞台に出さず、「犯罪者は死ね。皆殺しだ」と暴力的過激発言を繰り返すことで、アキノ政権で不満を爆発させた庶民の支持を吸い上げた。

dutertes-ex-wife

ドゥテルテ大統領の前妻、エリザベス・ジムマーマンさん(サンスターから引用)

一方、貧困層だけでなく、犯罪撲滅で治安回復や海外からの投資を目論む知的ビジネス階級からも、自分の生い立ちやイメージ作りを巧みに演出することで、満遍なく票をかき集め、下馬評を覆し、あっさり大統領に当選した。

最たるものが、彼のその「生い立ち」作りだ。民主党の蓮舫代表ではないが、この出生秘密は、今回、日本訪問前に初訪問した中国でも最大の武器として大いに“その役目”を発揮した。

これまで、ドゥテルテ氏は母方の祖父が華人で、本人も「中国人はフィリピン社会に昔から根を張ってきた。私はフィリピン国籍だが、中国の血筋を誇りに思う」と語り、日本でも“親中”である背景とされてきた。

しかし、フィリピンには華人系政治家が多く、南シナ海領土問題で国際仲裁裁判所に中国を訴えたべ二グノ・アキノ3世前大統領も、実は華人系だ。

一方、中国ではすでにドゥテルテ氏が、「本当に華人系か」「中国人なら公式な場で中国語を話せ」などネットでバッシングを受けている。果たして本当に華人の血が流れているのか――。答えはどうやら、「NO」のようだ。

「華人の血が入っている」は真っ赤な嘘

最近、筆者は彼の息子の親友である人物と接触する機会に恵まれた。

「あれは嘘だよ。息子が言っている。華人の血は入っていない」。当然、日本で一部報道されているような「中国語が堪能」も嘘っぱちのようだ。ドゥテルテ氏が嘘をついているのは、筆者の知人のフィリピンの有力紙ベテラン記者からも聞いていたので「やはりね」と納得だ。

そう言えば、大統領選挙中に初めて「華人の血が混ざっている」という情報が流れたが、その出所は当然、ドゥテルテ氏本人。前述の人物が、「おじさんはいつも冗談ばかりで、知らない間に真実のように語られることはこれに限らず多いんだ」とニンマリ笑う。

フィリピンの華人は、人口約1億人のうちの約120万人と少数派。しかし、戦後、西側とともに反共体制を敷いたフィリピンでは同じく反共だった台湾からの商業移民がフィリピン経済の土台を築き、今でも「コファンコ財閥」などが、国内ビール最大手の「サン・ミゲル」(キリンビールが約50%の株式保有)やフィリピン航空など国内の基幹産業を牛耳っている。

当然、こうした華人の経済力を味方にしたいドゥテルテ氏の思惑があったが、大統領が華人系とし自ら「嘘」を拡散させた最大の理由は、どうもフィリピンで今、渦中の「麻薬撲滅戦争」と関連するようだ。

ドゥテルテ氏は7月、マラカニアン宮殿で記者会見を開き、フィリピン国内の違法薬物密売を取り仕切る「麻薬王」3人の名前を公表、いずれも中国系フィリピン人で、実業家でもあるピーター・リムとは面会も行った。

そこでいきなり「殺してやる」と自ら脅した経緯がある。華人系は経済だけでなく、フィリピンを蝕む麻薬にも深く関係しているからだ。

dutertes-daughter

ドウテルテ大統領の現在のパートナーと娘(ウキペディアから)

ドゥテルテ氏の大学時代の恩師は フィリピン共産党(CPP)の最高指導者ジョマ・シソン氏と言われ、ドゥテルテ氏が危険だが大胆な発想で国を動かし、麻薬犯罪から救い出そうとしているのは確かだ。

今でも麻薬戦争で逮捕、殺害が繰り返されているのも、麻薬密売人やそのボスの多くが華人系だからだ。ダボス市長時代から「殺すか、殺されるかだ」と宣戦布告する一方、自身はいつも暗殺される危険に晒されてきた。

そのため大統領に就任後、「自分には華人系の血が混ざっている」と公言することで、命の安全を確保し、さらには「嘘」でガチガチの中共をさらに「嘘」で騙し打つ・・・。

暴言、放言の裏で、そんなしたかかな戦略的戦いを展開する本当は頭の切れる人物のようだ。

日本の政治家ではなかなか太刀打ちできそうにない。そういった意味では、日本の歴代首相の中で絶大な人気だった田中角栄元総理とカリスマ性も含め重なるところが多いようにみえる。

そう言えば、田中角栄氏、また米国のドナルド・トランプ氏にも強力な秘密兵器の「実娘」がいるが、ドゥテルテ氏の場合は「じゃじゃ馬娘」がいる。

父親譲りの現ダバオ市長、そのやんちゃぶり

父親に負けず劣らずのやんちゃぶりで、フィリピンでは有名な現ダバオ市長、サラ・ドゥテルテ氏だ(38歳)。

別れた妻のジムマーマンさんとの子供で、「彼の秘蔵っ子で最も優秀」(ジムマーマンさん)と言うだけあり、ドゥテルテ氏が溺愛している。

父親と同じ弁護士という経歴を持つ。2010年、前述のように法律で3期以上務められない父親に代わって2010年の改選で最年少、女性初のダバオ市長に就任した。

選挙戦では、対立候補で前下院議長という政界の大物が立候補したが、絶対君主的な強力な政治権力を持つドゥテルテ氏一族が圧勝、副市長には兄のパオロが当選した。

何の実績もなかった彼女が当選したのは紛れもなく、ドゥテルテ氏の七光りだ。このサラ市長が一躍、全国区で名を馳せることになったのが、裁判所の執行官に食らわせた「顔面4発パンチ」だった。https://www.youtube.com/watch?v=kqTFB9vC8L0

ダバオ市内の不法占拠地域の立ち退きを巡り、住民側と立ち退きを執行する裁判所の執行官側とで投石騒ぎが発生。ここにサラ市長が乗り込み、「立ち退きを2時間待ってくれ」と要請したものの聞き入れられなかったことに激怒し、執行官を手招き、呼び込んだところで胸ぐらをヒョイと掴み、顔面に「バン!」「バン!」「バン!」「バン!」4発のパンチを浴びせたのだ。

この一部始終が全国放送のニュースで何回も流された。批判がある一方、フィリピンでは日常茶飯事のことで擁護する声も多かった。フィリピンらしい。

dutertes-president-inauguration

大統領就任式の日。前妻のエリザベス・ジムマーマンさん、長女のサラさん、二人の息子と(チューバネスから引用)

日本では考えられないほど「役所イジメは庶民の味方」とする考えが横行するフィリピンでは、停職するわけではなく、一方のサラも全く悪ぶれた様子もなく、父親譲りの強烈パンチでフィリピン全土に名を馳せることとなった。

ドゥテルテ氏がかつて市長を務めたフィリピン南部のミンダナオ島ダバオ市は、「世界一広い面積」を持つ市として知られ、人口(約150万人)はセブに次ぎ、同島で最大だ。

極めて親日的で知られる。なぜなら、ダバオの経済発展の裏には20世紀初め、兵庫県から移住してきた太田恭三郎が始めた「マニラ麻」と「ココナッツ農園」があるからだ。

マニラ麻は船舶用ロープとして重宝された。第1次世界大戦の特需景気で販売が急拡大。ダボスは「マニラ麻の大産地」に急成長し、当時、約3万人の邦人が居住。当時としては、東南アジア有数の日本人の入植地と知られていた。

っている。日本に輸出されるバナナのほとんどがダバオ産だ。

日本人に対する敬意は本物

日系人会には約6000人の会員が所属。2011年の東日本大震災では早々に、無償での日本からの避難民受け入れを表明。2013年10月には、ドゥテルテ大統領(当時市長)が日本人慰霊碑建立に自費で援助し、建立式典スピーチを買って出た。

父親から日本人の勤勉さや技術力の高さを聞かされ、ドゥテルテ氏は地元の日本人に対しても敬意と信頼を置いてきたという。

彼が日本の歴代首相の中でダントツ人気だった田中角栄元首相を見本としているか分からないが、「麻薬や汚職を撲滅できるのは俺だけ。ほかのみんなは、言うだけだった」とかつてフィリピンの大統領が誰もなし得なかった麻薬撲滅戦争に命をかけている姿は、日本の復興・成長を引っ張った角栄氏と重なるところも少なくない。

例えば、「資源調達を米国から断たれたことが第2次世界大戦の要因」と公言する一方、米国との摩擦を恐れ誰も挑戦しなかった「独自の資源エネルギー獲得」へ動いた角栄氏の鋭い嗅覚と先見性が挙げられる。

角栄氏は当時、米国が供給体制を寡占していた濃縮ウランと石油獲得に奔走。同盟国・米国との事前調整を行わず、フランスと直接交渉。濃縮ウラン年間輸入契約を締結させた。

「米国は自国の利益のみ考えている。米国との決裂は問題ない」と中国訪問時に中国側から経済、安全保障などで譲歩を引き出すため、ドゥテルテ氏は得意の「嘘」で固めた演出を行ったが、中国は嘘と分かっていながら微笑み、巨額の経済援助を約束した。

スペイン、米国の支配を受けたため、フィリピン人は「ラテン的で近寄りやすい一方、自国の要求や権利を過度に要求する米国的価値観を“共有”する」と言われる。手のひらで物事をコロコロ転がすのがお好きな国民性でもある。

「嘘で固めた親中」だけでなく「嘘で固めた親日」かどうか。経済支援だけちゃっかりもらって、「アッカンべー」とされないように、日本の外交にはフィリピンの新リーダーに警戒心を持ちつつも、柔らかく時に強硬に臨む角栄氏のようなしたたかさが必要だろう。

dutertes-ex-wifes-daughter

ドゥテルテ大統領の長女、父親譲りの筋金入り”じゃじゃ馬娘”のサラ・ドゥテルテ・ダボス市長(サンスターから引用)

10/27北野記事

フィリピンのドゥテルテ大統領、訪日しているのですね。

この方、「麻薬撲滅戦争」で、すでに3700人を殺したといわれています。オバマさんは、彼を嫌悪しているそうで、アメリカとフィリピンの関係は、非常に悪化しています。これをもって、「さすがアメリカは人権を重視する国だ!やはり日本は、人権軽視でダメだ!」という意見もあるそうです。

日本は、麻薬売買に絡んでいたとはいえ、裁判せずにいきなり殺してしまうような大統領を大切にすべきなのでしょうか?

▼「アメリカ=人権重視」は、幻想

オバマさんは、ドゥテルテさんと仲が悪い。これをもって「アメリカは、人権重視の国だ!」。この結論は、少々ナイーブすぎます。振り返ってみましょう。

アメリカは第2次大戦中、日本、ドイツを倒すために、自国民を大量虐殺した男スターリンのソ連と組みました。戦争が終わると、今度はソ連に対抗するために、かつての敵日本、ドイツ(西ドイツ)を自陣営に引き入れた。それでもソ連に押され気味だったので、1970年代初め、今度は毛沢東の中国と組んだ。毛沢東は、スターリン同様、自国民を大量虐殺したことで知られています。

アメリカは、スターリン、毛沢東という、人類史に残る大量虐殺者と組んだ過去がある。

▼アメリカは、反独裁???

「アメリカは自由と民主主義を重んじる国で、反独裁だ!」といわれます。確かに、アメリカは、イラクの独裁者フセイン、リビアの独裁者カダフィを殺しました。今も、シリアの独裁者アサド政権を崩壊させるために、「反アサド派」への支援をつづけている。しかし、アメリカがいつも「反独裁」かというとそんなことはありません。既述のように、アメリカは、超独裁者であるスターリンや毛沢東

と結託していた。今も、アメリカの「ダブルスタンダード」は変わっていません。

例えばアメリカは、「イランは独裁だからダメだ!」といいます。一方で、絶対君主制の独裁国家サウジアラビアを保護している。結局アメリカにとっては、「独裁か?民主主義か?」より、「親米か?反米か?」のほうが重要なのです。

さらに「アメリカの戦略に合致するか、しないか?」も大事。そういう意味で、「戦略的重要国家」フィリピンのドゥテルテ大統領を遠ざけるオバマさんの「潔癖」な言動は、「アメリカの国益を損なっている」といえるでしょう。(もちろん、「オバマは売春婦の子」というドゥテルテさんに問題があることは、いうまでもありませんが。)

(ちなみに、先日来日し安倍総理に会った大戦略家ルトワックさんは、BSフジの番組で、オバマのフィリピン政策を批判していました。)

▼国民は、「内に厳しく、外に優しく」で

日本は、政治家のモラルについて、非常に厳しい国です。不倫や金銭問題で失脚する人が後を絶ちません。それは、とてもよいことだろうと思います。しかし、国内と同じ基準で外国と接すれば、つきあえる国がなくなってしまいます。日本国民から見ると、・いまやセクハラ大王になってしまったトランプさん・中国や諸外国から大金を受け取っていたヒラリーさんは、倫理的に「どっちもダメでしょ!」と思います。

しかし、アメリカとの関係が切れれば、中国が尖閣を奪いにくる。ドゥテルテさんのフィリピンも、対中国で大事。そう考えると、相手国の倫理面より、戦略面を優先して、つきあい方を決める必要があることに気がつきます。悲しいことではありますが、日本を守るために仕方ないですね。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『ロシアから電力を輸入し、東京電力は送電会社に、「もんじゅ」廃炉後は原子力の「地産地消」へ 笹川平和財団・田中伸男理事長に聞く(前編)(後編)』(10/25・26日経ビジネスオンライン 大竹 剛)について

ジョージ・ブロンソン・レー(米国人)著『「満洲国建国」は正当である 米国人ジャーナリストが見た、歴史の真実』(1935年)を読み終えました。ハルノート以前から、特に1922年のワシントン会議から米国と支那政府(当時は中国を統一して統べていた訳ではない。擬制国家です。米国が蒋介石を支援していただけ。小生考えるにこの当時から蒋介石や張学良は米国人に賄賂を沢山贈っていたのでは。今、ヒラリーやキッシンジャーに贈っているように)が共謀して日本の生存を危うくする試みを企てていました。その裏にソビエト共産党の暗躍がありました。九か国条約で日本に中国大陸の門戸開放の遵守を求めながら、条約締結国の支那政府には好き勝手やらせ、かつ締結国でないソ連にも革命の輸出を、中共を通じてやらせていた状況でした。日本は米中ソによって包囲網を敷かれてしまっていたわけです。支那政府は露清密約(日清戦争後すぐの軍事同盟)を結び、日本を亡き者にしようとしていました。今の中国の横暴さは昔からだったという事です。歴史的に見て滿洲国は日本の傀儡国家ではありません。満洲族の国家樹立を手助けしただけです。米国と同じことをしていただけなのに日本だけを九か国条約違反で糾弾するのは米国の二重基準です。日本は侵略国家と言うのは濡れ衣です。断固拒否しましょう。

ソ連はユダヤ人が造った人工国家(マルクス、レーニンはユダヤ人)と見る見方もあります。今のプーチンはエリツイン時代からの強欲ユダヤ人の新興財閥から経済をロシア人の手に戻しました。だから人気が衰えないでいる訳です。この本が書かれた1935年の米国大統領はFDRですので周りを共産主義者で固めていました。日本がどんな抗弁をしようとも米国は聞く耳を持たなかったでしょう。1924年には排日移民法案(人種差別法案です)も成立していました。日本は戦争を避けることができないくらいに追い込まれました。ABCD包囲網の前で、です。今のグローバリストである国際金融資本(≒ユダヤ金融資本)が蠢いていたような感じを持ちました。グローバリズムとコミュニズムは親和性があるのではと。この本の中で田中上奏文は明確に否定されていました。シオン議定書と同じくソ連が作成したものと。日本人や中国人にそんな発想はできないとありました。歴史の見方が変わる一冊です。GHQのWGIPの洗脳を解くために、現代日本人は一読することを勧めます。

本記事でロシアから電力を買うのには反対です。莫大な設備投資をしても供給カット(ロシア自国での電力消費増大や経済制裁等で)される恐れがあります。同じ意味でパイプライン敷設にも反対です。やはり、石油・ガスを船で運搬するのが良いのでは。50年先を見据えたエネルギーミックスを考えないと。メタンハドレートや核融合が実現されているかもしれません。エネルギー調達先を固定化するのは安全保障上問題です。相手の言うことを聞かざるを得なくなります。

核分裂の発電方法は確かに危険と隣り合わせですし、使用済み核燃料のゴミが出るのも問題です。でも人類の叡智でカバーできるようにすべきです。少なくともCO2は排出しませんので。日本は核保有国に囲まれているし、いざとなればすぐにでも開発できるところを見せておかなければ抑止力になりません。原子力発電は田中氏の言うように必要と思っています。

記事

12月に予定されているロシアのプーチン大統領の来日に向けて、北方領土返還交渉や日露の経済協力に向けた動きが活発になっている。そうした中、エネルギー分野での経済協力として、ロシアから送電線を日本に引いて電力を輸入することなどを想定した「エネルギーブリッジ」という構想が浮上している。

こうしたアイデアを早くから提唱していたのが、国際エネルギー機関(IEA)の元事務局長で、現在は笹川平和財団の理事長を務める田中伸男氏だ。

なぜ、日本がロシアから電力を輸入することが必要なのか。折しも、石油輸出国機構(OPEC)の加盟国が減産で合意して以降、原油価格は上昇傾向にあるほか、国内では原発の再稼働問題や高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉方針決定など、エネルギー情勢が国内外で目まぐるしく動いている。

田中氏に、昨今のエネルギー情勢と日本が進むべき方向について、話を聞いた。

nobuo-tanaka-1

田中伸男(たなか のぶお) 1950年生まれ。73年通商産業省(現・経済産業省)入省。通商政策局通商機構部長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て、2007〜11年に国際エネルギー機関(IEA)事務局長、2011〜15年に日本エネルギー経済研究所特別顧問。2015年4月から笹川平和財団理事長(写真:陶山 勉)。

—9月に石油輸出国機構(OPEC)の加盟国が減産で合意して以降、石油価格は上昇傾向にあります。非加盟国のロシアのプーチン大統領も減産する用意があると発言したと報じられ、11月に開かれるOPEC総会の行方に注目が集まっています。石油価格は、今後も上昇していくのでしょうか。

田中伸男(以下、田中):確かに、アルジェリアでのOPEC会合の後、石油価格は少し上向いてきました。ロシアが減産に賛成するという話もあるし、サウジアラビアとイランが減産で合意できたという説もあって、石油価格は上昇機運ではあります。

しかし、本当にロシアが減産に応じるのか不透明です。また、OPECの加盟国が減産するかについても、具体的に各国の割り当てが決まらないと、実効力はありません。11月のOPEC総会の結果を見ないと、どうなるのか分かりません。ただし、これだけ上がってきて、もし、期待を裏切るようなことがあれば暴落してしまうので、なんらかの対応策が出てくる可能性が大きいと思います。

今、石油の産出量が一番多いのはサウジアラビアで次が米国、そしてロシアです。

石油価格が今後も上がり続けると、米国でシェールオイルの生産が増えてくるでしょうから、実際には石油の総量は減らないかもしれないという問題もあります。米国は、シェールオイルの生産量をコントロールする気はさらさらありませんから。

—むしろ、OPECやロシアの減産は、シェールオイル業者を利するだけになってしまいかねないというわけですね。

田中:はい。そのため、本気でOPEC加盟国やロシアが減産するかということ、それはなかなか考えにくい。今、口先だけで介入すれば価格は上がり気味になるのでしょうが、本当にずっと上昇していくかというと、必ずしもそうはならないと思います。

9月に国際エネルギー機関(IEA)がエネルギー投資に関するレポートを発表しました。そのレポートでは、石油やガスの上流への投資は2015年から3年連続で減ると予測しています。3年連続で減るというのは前例のないことだと。減るのは基本的にシェールをはじめとする非在来型資源への投資です。そのため、コストが安い在来型の中東産の石油がガスへの依存度は、ますます高まる傾向が出てくるでしょう。

一方、価格の低迷が続けば、中東諸国の財政を圧迫し、治安を維持するための様々な投資が十分にできなくなり、社会は不安定になります。つまり、不安定な中東にさらに依存せざるを得ないという状況に陥ってしまう。

特に、中国やインド、他のアジア諸国にとって、これは大きなリスクになります。そうなると、やはり中東依存度を下げる必要があり、原発の再稼動がままならない日本は、大変、危ない橋を渡っているという気がしています。

プーチン大統領来日で日露エネルギー協力が進展?

田中:確かに石油もガスも値段が安くなったことは、エネルギーの多くを輸入に頼る日本にとって悪いことではありません。それによってアベノミクスも助かっているわけですね。ですから、原発があまり稼働しなくても何とかなっているわけですけれども、この状況が長続きするのか疑問です。万が一の場合を考えておくべきでしょう。

そのためのキープレーヤーになり得るのが、ロシアです。米国やカナダなどからシェールオイルやガスを輸入するもの大切ですが、在来型の資源が豊富にあるロシアとの関係強化は今後、大変可能性があるでしょう。

現在、ガスの総輸入量のうちロシア産が占める割合は約10%、石油は約4%ですが、それを増やす余地はある。今、日本はウクライナ問題で欧米諸国と一緒にロシアへの制裁に協力していますが、すべての活動が禁止されているわけではありません。制裁のルールを守りながら、ロシアとの間で様々な関係を強化し、エネルギーを確保していくというのは十分あり得るだろうと思います。

特に安倍政権になって、プーチン大統領と非常にいい関係を築き、北方領土の問題も解決に向けていろいろな動きがあります。12月にプーチン大統領が来日するので、エネルギー関係で何か動きがあるかもしれません。

その1つが、ロシアが以前から言っている、電力線を日本とつないで、日本がロシアから電気を買うという話です。

—「エネルギーブリッジ」という構想ですね。

田中:この構想には、いくつか話があります。1つは、サハリンで石炭やガスを燃やして作った電力を、サハリンから北海道に送電線を引いて日本に持ってこようという構想です。北海道には、風力がたくさんありますよね。その風力で発電した電力と一緒に、本州まで持ってこようというものです。

風力発電を増やしていくと、風が吹かなかった場合のバックアップとして、石炭やガスを使った発電所が必要になります。そのバックアップの部分を、サハリンに作るというのは、面白いコンビネーションだと思います。

そしてもう1つが、ソフトバンクの孫正義さんが、中国の国家電網公司、韓国電力公社、そしてロシアのロセッティと覚書を結んで進めている「アジア・スーパー・グリッド」構想です。もともと孫さんは、モンゴルで風力や太陽光を使って発電した電力を、中国、韓国を経由して日本を持ってこようという「ゴビテック」という構想を持っていましたが、ロシアを経由してサハリンから日本に持ってくるルートも作れば、大きなリングのようなグリッド(送電網)を作ることができる。これに、プーチン大統領も関心を示していて、「面白いので是非サポートしたい」といったことを、ウラジオストクで9月に開かれた東方経済フォーラムで発言しています。

日露間の「エネルギーブリッジ」に複数シナリオ

—すいぶんと壮大な構想ですね。

田中:韓国の朴槿惠大統領も支持するようなことを発言しています。日本では、決して賛成する人たちばかりではありません。安定供給はできるのか、ロシアや中国は信用できるのかという議論があり、必ずしもどんどん進むということではないでしょうが、隣国は日本がエネルギーを必要とするときは、私たちは協力できるよと言っているように見えます。お互い、電力網をつなぐことで、電力消費量がピークになるタイミングをずらすとか、再生エネルギーを使いやすくするとか、そういう可能性が出てくるでしょう。

また、電力ではなく、ガスをパイプラインでサハリンから引いてこようという構想もあります。また、北極海航路でヤマル地方から液化天然ガス(LNG)を持ってくるという構想もあります。地球温暖化によって北極海の氷が溶けて、少なくとも夏の間はタンカーが北極海を通れるようになる可能性が開けてきた。そこを通れば、南回りで持ってくるより、はるかに近くて安上がりです。

それだけではなくて、シベリアの水力発電で余った電力を水素に変えて、日本に持ってくるという構想もあります。有機ハイドライド法というもので、トルエンに水素原子を3つくっつけると、メチルシクロヘキサンという液体になり、普通の石油タンクに貯蔵できる。むしろ、長大な送電網を作るよりも安上がりではないかという議論はあり得ると思います。

今回、世耕経済産業相がロシア経済分野協力担当相を兼務し、経済協力を進める姿勢を強く打ち出しています。東方経済フォーラムではロシア側も非常に熱心でした。12月のプーチン大統領の来日の際に何が起きるか予断を許しませんが、日露の経済協力はいよいよ本格的に進む可能性があるという印象を強く持ちました。

もちろん、これらの構想がすべて実現するわけではありませんし、乗り越えなければならない課題はたくさんあります。ですが、メリット、デメリットを今からいろいろ議論すべきではないでしょうか。

ロシアが困っている今がチャンス

—なぜ、ロシアはこれほど積極的なのでしょうか。

田中:エネルギー価格、特にガスの価格が低迷しているからです。ロシアにとってガスの主要な売り先は欧州ですが、ウクライナを経由するパイプラインでヨーロッパに送らなければならないという地政学的なリスクに加えて、欧州の景気が悪いうえにロシアに制裁をしているので需要が伸びない。

となると、アジアにも売りたいとなるわけですが、中国は安く買い叩こうとしている。一方、ロシアはできるだけ高く売りたいので、価格はなかなか折り合いがつかない。中国しか売り先がないと買い叩かれるので、ロシアは日本や韓国とも取引をすることで、中国をけん制する狙いもあるでしょう。

中国とロシアは関係が悪いわけではありませんが、互いに信用しているわけでもありません。安倍政権がロシアに接近しているので、ロシア側はいろいろなディールをするチャンスだと見ていることは間違いないでしょう。

日本側もロシアに一方的に利用されないように、したたかに対応すべきです。むしろ、ロシア側は困っているわけですから、安く買うチャンスです。リスクはありますが、今買わないでどうするんだとも思います。

もし、民間だけで資金を出すことが難しいのなら、国が何らかの形でお金を出して利権を押さえていくことも必要ではないでしょうか。今回、国際協力銀行(JBIC)が随分とお金をつけようとしています。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出方はわかりませんが、いずれにしても、国が一定のリスクを肩代わりすることは、特に資源関連では自然な流れだと思います。

ロシアからの電力輸入は発送電分離とセットで

—ロシアから電力を輸入する話については、国内の電力会社は否定的なのではないでしょうか。競争が増えますし、電力供給の安定性が揺らぐかもしれない。

田中:地域独占で長らくやってきた電力各社にとっては、競争が増えるという意味で、海外からの電力輸入は当然、嫌でしょう。いつ、供給がカットされるかわからないようなリスクを抱えている電源には頼れないとも考えるに違いありません。しかし、日本の電力市場改革の行方によっては、あり得る話だと思います。

つまり、発電と送電を担う会社を分離する発送電分離が完全に進み、小売りも完全に自由化されれば、外国から電力を買うのはそれほど難しくないと思います。ロシアからの電力輸入は、発送電分離の議論とセットで考える必要があります。

東京電力は送電専門の会社として生き残るべき

例えば私は、東京電力が生き残るには、日本で唯一の送電会社になるしかないと思います。つまり、福島の復興は別にして、原発も含め発電部門は他の会社に全部売り払う。すでに、火力発電部門は中部電力とJERAという会社を作っています。次は、原子力でしょう。現在、柏崎刈羽原発のように原発再稼働に世論の反発が大きいのは、原発の運営主体が東京電力だからという面も少なくないでしょう。

原子力事業の買い手としては、関西電力がいいと思います。関西電力はもともと、発電量に占める原子力の割合がもともと半分くらいありましたから、関西電力が原子力の会社となり、安全に十分に留意しながら発電をしていくのが良いのではないでしょうか。一方、関西電力は送電部門を東電に譲る。

東京電力は送電会社として電力価格について政府の規制を受けることになります。それでも、東京電力は送電に関して非常に大きな知見を持っていますから、それを生かすことが東京電力を再生する唯一の方法だと思います。そして、東北電力や北海道電力は、風力や太陽光など再生エネルギー専門の発電会社になるというくらい、大胆な改革をしてもいいと思います。

その上で、送電会社が発電各社から電力を買って、原子力と上手くバランスを取りながら、電力のコストを総合的に下げていくという絵が描けると思うのです。そこに、外国から電力を買うというオプションも組み合わせればいい。

東京電力にも役所にも、そうした考えを持つ人はいるとは思います。ただ、ほかの電力会社の考えもあるし、福島の事故の反省もあるし、東電がこれからどうすべきかというのは、さまざまな議論をしていくべきでしょう。しかし、国から得た資金を返済するには、会社として持続的に経営を成り立たせなければなりません。「GOOD東電」になるには、送電会社として生き残るしか道がないでしょう。

ほかの電力会社も、それぞれが独自に原発を維持するのは、リスクも大きいと思います。技術やノウハウが分散してしまうのは効率が悪いですし、将来の廃炉の資金負担も重くのしかかる。送電を東京電力に、原発を関西電力に集約するのは、理にかなっているはずです。(後編に続く)

新潟県知事選で原発再稼働慎重派の米山隆一氏が当選する一方、核燃料サイクルの中核を担うはずだった高速増殖炉「もんじゅ」について、廃炉を含めた抜本的な見直しが決まるなど、国内の原子力政策に不透明感が漂っている。特に「もんじゅ」の廃炉に向けた方針は、日本が進めてきた核燃料サイクルが大きな転換点にさしかかっていることを示唆している。 国際エネルギー機関(IEA)の元事務局長で、現在は笹川平和財団の理事長を務める田中伸男氏のインタビュー前編では、ロシアから送電線を日本に引いて電力を輸入する構想や東京電力の生き残り策などについて聞いたが、後編では核燃料サイクルの今後について話を聞く。

nobuo-tanaka-2

田中伸男(たなか のぶお) 1950年生まれ。73年通商産業省(現・経済産業省)入省。通商政策局通商機構部長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て、2007〜11年に国際エネルギー機関(IEA)事務局長、2011〜15年に日本エネルギー経済研究所特別顧問。2015年4月から笹川平和財団理事長(写真:陶山 勉)

—原発については再稼働の問題だけではなく、核燃料サイクルも岐路に立たされています。高速増殖炉「もんじゅ」も廃炉の方針が決まりました。

田中:日本にとって、原子力はエネルギーの安全保障上、必要だと思います。ただし、原子力が必要な理由はそれだけではありません。地球温暖化の問題で、二酸化炭素の排出削減には絶対に欠かせない。

ただし、福島の事故以降、これまでのような体制で原子力政策を進めても、国民の納得は得られません。重要なのが、原子力のサステナビリティーです。

1つ目は、安全上の問題です。「絶対」という安全はないにしても、できる限りの受動的安全性(事故が発生した際に電力など人工的な動力を用いず、自然の力で事態を収束させる仕組み)を備えなければなりません。2つ目は、高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の処理の問題。これがきちっとできないと、国民は納得しません。そして3つ目が、核兵器の製造に活用されないという点です。

これら3つを満たす原子力の技術、あるいはシステムを国民に提示しなければなりません。それなくして、国民は原発の再稼働には納得しないでしょう。日本には、高速増殖炉「もんじゅ」や六ヶ所村(青森県)の再処理施設があるわけですが、なかなかうまく稼働して来なかった。

使用済み核燃料を再処理してMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物 燃料:使用済み核燃料を再処理して分離したプルトニウムとウランを混ぜて作った燃料)にしても、それを燃やすための原子炉がなかなか再稼働しない。しかも、本来、MOX燃料というのはコストが高い。日本の核燃料サイクルは、もんじゅを動かすことが前提でしたが、もんじゅが動かないので、とりあえずMOX燃料を作り、既存の原子炉(軽水炉)で燃やそうとしたわけです。それがいわゆる、「プルサーマル」と呼ばれるものです。

ところが、福島の事故以来、MOX燃料を燃やすための原子炉が再稼働しない。それから、MOX燃料を作っても、結局、高レベル放射性廃棄物はゴミとして出る。そのゴミは10万年もの期間、地下に埋める必要がありますが、その場所も決まらない。

ようするに、核燃料サイクルのそれぞれのパーツが、国民を納得させるレベルまで達していないのです。したがって、今のまま「大丈夫です」といくら説明しても、「わかりました」と国民は納得しないでしょう。

核燃サイクルを維持に「統合型高速炉」の活用を

—こうした状況を解決する技術があると、主張していますね。

田中:私は、「統合型高速炉」という技術に注目しています。米国のアルゴンヌ国立研究所の技術で、高速炉に乾式再処理技術を組み合わせた、プルトニウムが外に出ない形の核燃料サイクルを実現するものです。核不拡散の観点から優れていると同時に、安全性も高い。1986年に全電源を喪失させる実験をしているのですが、無事に原子炉が停止しました。さらに、この統合型高速炉から出てくる核のゴミは、天然ウラン並みに毒性が落ちる期間が300年程度と、これまで30万年から10万年と言われていた状況から大幅に短くなる。

私は、こういう原子炉と再処理を一体にした小型の施設を各地方に配置し、地方分散型、地産地消型で原子力を活用する方が良いのではないかと考えています。六ヶ所村だけに作るという発想は、限界だと思います。高レベル放射性廃棄物を捨てる場所が見つかればよいですが、なかなか難しい。むしろ、原子炉で出たゴミは、その地域で処分するという発想に転換した方がいいでしょう。

300年で天然ウラン並みに毒性が落ちるゴミなら、地上でも地下でも、管理するのはそれほど難しくない。統合型高速炉を各地に作れば、これまでたまっている軽水炉の使用済み核燃料をそこで処理していけるオプションができる。地産地消型の原子力は、将来の1つのビジョンになりうるのではないでしょうか。

また、福島第一原子力発電所から、溶け落ちて固まった燃料デブリを取り出した際、それを処理する技術が今後、必要になります。それにも、統合型高速炉は活用できるでしょう。

—もんじゅの時のように、莫大な資金を投じてもうまくいかなかったということになる恐れはありませんか。

田中:それはおっしゃる通りですが、やってみないと分かりませんよね。アルゴンヌではある程度の実証がなされていますので、実験してみる価値はあるという気がしています

原子力を将来も活用するのであれば、今の軽水炉の技術のままでよいのでしょうか。安全性や核のゴミの問題を考えれば、早いうちに新しい技術に切り替えていく必要があるでしょう。2018年には日米原子力協定の改定期を迎えます。日本の核燃料サイクルを日米原子力協定の枠組みの中で続けていくには、きちっとしたモデルがないとダメです。

日本が核燃料サイクル路線を続けるのならば、具体的にどういうやり方で何をやっていくのかというビジョンを示さないと、協定の改定や延長は今後、難しくなっていくのでないかと心配しています。

米国にも、日本がプルトニウムを持つのはおかしいから再処理なんてやめろという人がたくさんいますよ。米国が気にしているのは、プルトニウムが蓄積することによる核不拡散上のリスクです。統合型高速炉でプルトニウムをゴミとして燃やしてしまうことに、米国が異を唱えるとは思えません。

プルサーマルで出る「核のゴミ」に課題も

—もんじゅの失敗は核燃料サイクルの破綻を意味し、再処理もやめるべきだという意見もあります。電力会社はMOX燃料を使ったプルサーマルの維持を主張していますが。

田中:そうですね。プルサーマルはやったらいいんですよ。それをやらないと、せっかく作った施設が無駄になりますから。コストは高いですけどね。

ただ、問題は、プルサーマルをやると、使用済みのMOX燃料が出てきますよね。これは、六ヶ所村の施設では処分できず、直接処分するか、または別の再処理工場を作らなくてはなりません。使用済みのMOX燃料を直接処分するならば、最初から使用済み核燃料を再処理してMOX燃料など作らずに、直接処分しておけばよかったわけです。もし、プルサーマルを続けるのなら、使用済みMOX燃料を再処理する新たな施設を作ってプルトニウムを使っていくというプロセスを繰り返すことになる。つまり、第2再処理工場、第3再処理工場が必要になってくる。

ですので、そうならないためにも、統合型高速炉を作って、使用済みMOX燃料も燃やしてしまえばいい。

もんじゅについて言えば、「もんじゅは危ないから潰してしまえ」というのは、正直もったいないと思っています。例えば、統合型高速炉は金属燃料を燃やすのですが、もんじゅで金属燃料を燃やす実験ができるのではないでしょうか。従来通り発電を続けますというのでは国民の理解は得られないでしょうが、次の核燃料サイクルのための技術開発に生かすという方向性も、議論してもよいでしょう。

—仮に統合型高速炉を今から実験し始めたとして、いつ頃から作り始められるのでしょうか。

田中:どう考えても2030年代でしょうね。軽水炉の寿命は40年、延長しても60年という中で、2030年代には次々と廃炉が始まっていきます。その時までに、次に何をするのか考えておかなければなりません。

もちろん、再生エネルギーは技術革新が進み、コストは下がっていくでしょう。バッテリーの技術も進む。核融合も実現するかもしれない。しかし、それでも原子力なしでいけるのかというと、苦しいのではないでしょうか。

そういう意味で、持続可能な原子力のオプションも持っていた方がいい。原油もガスも、再生エネルギーも、うまくいかないという事態が出てくるかもしれない。そういう時のために、原子力というオプションは残しておいた方がいいと思います。    エネルギー問題に関する議論は、石油の価格の話から、最終的には原子力の是非まで総合的にしないと、完結しない。中東やロシア、原子力など、すべてのピースは関連しているのです。それをぜひ、皆さんに理解してもらい、幅広い議論につなげていただきたいと思います。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『ソフトバンク孫氏とサウジ副皇太子の「電撃結婚」 1000億ドルの巨大ファンド、2つの世界を塗り替えられるか』(10/25JBプレス 10/20付FTより)、『ギャラクシー発火問題の裏にあるサムスンの重荷』(10/25日経ビジネスオンライン 田村賢司)について

朝鮮半島系日本人と韓国人の経営の仕方の特徴を見てみます。彼らの民族的特質を表すものにケンチャナヨ精神とかパリパリ精神とかがあります。ケンチャナヨ精神は中国語の“没問題”に近く、“没問題”は「問題ない・平気・大丈夫」という意味ですが、中国人がこう言うと必ず“有問題”(=問題がある)であるときが多いですから、ケンチャナヨ精神も同じ使われ方と想像します。パリパリ精神は「早く早く」という意味で、人をせかす場合とか、何事もスピードが大事という意味で使われるようです。

孫正義氏とイ・ジェヨン氏にも同じような民族的特質が窺えるのでは。孫氏のサウジアラビアからの融資は米国でどのように理解されるかです。911の主犯が多かったサウジ人に対する遺族の「サウジアラビア提訴法」がオバマの拒否権を覆し、9/30に成立したばかりです。米沙関係がおかしくなっている時に、投資の手助けをするような動きを米国は歓迎するかどうか。下手をするとテロ支援企業の烙印を押されかねません。シエールオイル産出で米国における中東の地位は下がっていることに加え、イランとも国交回復の動きでサウジに米国に対する不信感を植え付けました。米国は孫氏のスプリントによるTモバイルの買収に反対したのは中国や北朝鮮に近いからではないかと思います。アリババ株で儲けた話もありますし、弟の孫泰蔵氏は拉致や核ミサイルで日本を恫喝し続けている北朝鮮に資金援助していたのを10数年前の「フライデー」か、その類の雑誌で読んだ記憶があります。今でもネットで調べると北との深い関係を示す記事が出てきます。フジテレビもグルのようです。知らぬは日本人ばかりなりで、彼らの存在を許すのは衆愚政治の典型では。

http://nippon-end.jugem.jp/?eid=3904

イ・ジェヨン氏も普通の日本企業であれば問題発覚時点で関係工場or関係生産ラインを止めて徹底的に原因究明しますが、パリパリ・ケンチャナヨ精神で、生産を止めず原因究明に当たったというのですから、普通に考えますと、不良品の山を築くだけではと思いますが。

ソフトバンクにしろサムスンにしろ、大きくバクチ(投資)を張って伸びてきた会社です。うまく行けば大きくなるのも早いですが、逆回転をすればこけるのも早いでしょう。”too big to fail”となるかどうか。サムスンは韓国にとって必要かどうか?LGが肩代わりすれば良いだけ。日本でもNTTやKDDIがあります。ソフトバンクの海外子会社は危なくなれば銀行管理で売却させられるのでは。

JBプレス記事

masayoshi-son

英ロンドンでの会見を終えた、ソフトバンクの孫正義CEO(左)とARMホールディングスのスチュアート・チェンバース会長(2016年7月18日撮影)。(c)AFP/NIKLAS HALLE’N〔AFPBB News

日本有数の富豪でテクノロジー投資家の孫正義氏が、軍資金不足のために野望の実現に待ったをかけられたことは、これが初めてではなかった。

今のところは、ソフトバンクの子会社をロンドンに設立するという法的拘束力のない合意だけが文書になっているが、今後5年間でサウジは最大450億ドルを拠出するとしており、ソフトバンクは少なくとも250億ドル出資すると約束している。さらに計300億ドルの投資を「少数の大型グローバル投資家」から募るという。

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」と名付けられたこのファンドには、とりあえず、畏怖と懐疑という異なる反応が寄せられている。

「畏怖」の念が生じているのは、このファンドの規模が、米国のベンチャーキャピタル業界が過去30カ月間に集めた資金の総額に等しいからである。「懐疑」が示されているのは、サウジとソフトバンクがこの前例のないプロジェクトへの出資と支援を本当に実行するつもりでいるのか疑問に思えるからだ。

だが、疑問を少しほのめかすだけでも、この計画に近い筋からは疑問を打ち消す言葉が飛んでくる。ある人物は「2人の男が金をばらまくという話ではない」と言い切った。別の人物は次のように付け加えた。「2人は意気投合した。サウジ側は国内に技術を持ち込みたいと思っており、マサ(孫正義氏のこと)は世界最大のテクノロジープレーヤーになりたいと考えている」

普通では考えにくいこの「結婚」は、ムハンマド副皇太子が9月初めに日本を公式訪問したときの出会いから始まった。孫氏はその何カ月も前から画期的な資金調達方法を検討していた。自分の野望の規模が大きいこと、そして公開市場の投資家にいらだちを覚えていたこと――自分の巨大かつ「クレイジーなアイデア」を彼らが理解するのにはかなり長い時間が必要だと孫氏は感じている――がその理由だった。

実際、ソフトバンクがアームの買収を決めたときも、資産の一部を売却して買収資金を調達する必要があり、その分、手続きが遅くなっていた。またこの取引により、ソフトバンクの純債務は1050億ドルという驚異的な額に膨れ上がっていた。

この問題を解決すべく、孫氏はソフトバンクの幹部、ラジーブ・ミスラ氏に新たな資金提供者を探すよう協力を求めた。ミスラ氏は元債券トレーダーで、2006年にはソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収という複雑な取引を手伝った経歴の持ち主だ。新ファンドを率いることになる同氏は、ドイツ銀行時代に同僚だったニザール・アルバサム氏とダリンチ・アリバーヌ氏に声をかけ、パートナーになる可能性のある投資家に打診してくれないかと頼んだ。

アルバサム氏とアリバーヌ氏は、サウジ政府の高官にも接触した。早速、サウジの一行の訪日中にソフトバンクとの会合が立て続けに行われることになった。

孫氏が経営するソフトバンクは先日、英国の半導体設計会社アーム・ホールディングスを320億ドルで買収するために多額の借り入れを行い、バランスシートを拡大させた。だが、未来を見通す自分の能力を信じて次々に企業を買収している孫氏は、もっと投資をしたいと思っていた。

では、人間と機械、そしてインターネットがもっと密につながった世界にするというビジョンを描いている孫氏は、その実現に必要な大金をどこから調達するつもりだったのか。

その答えは先月、13機の飛行機とともにやってきた。乗り込んでいたのはサウジアラビアからの派遣団500人あまり。その筆頭は改革派のムハンマド・ビン・サルマン・アル・サウド副皇太子、「MBS」というイニシャルで知られる人物である。

孫氏にとって幸いなことに、副皇太子はサウジの包括的な近代化を目指す「ビジョン2030」という自らの肝いりプロジェクトの実行を急いでいた。

その6週間後、2人はサウジの首都リヤドで会うことになった。総額1000億ドルという、この種のものとしては史上最大のプライベート・ファンドの設立計画をスタートさせるためだ。計画が実現すれば、孫氏はテクノロジーの未来に投資できるようになり、サウジはその果実を得られる可能性が出てくる。

孫氏は副皇太子に会う前にまず側近たちと話をし、プレゼンテーションに磨きをかけた。相手はサウジの公共投資ファンド(PIF)事務局長のヤシル・アル・ルマイヤーン氏、国営石油会社サウジアラムコの会長で影響力のあるエネルギー相でもあるハリド・アル・ファリハ氏、商業・投資相のマジド・ビン・アブドラ・アル・カサビー氏の3人だ。

それぞれが投資の戦略について、そしてそれがサウジ経済の徹底改革と石油への依存度低下という政府の試みにどう適合するかについて、孫氏に詳しい説明を求めた。

これに対して孫氏は、ソフトバンクはサウジの変身をこんな風に手伝えるという例をいくつか挙げただけでなく、自分自身の投資の実績と勝ち組――中国の電子商取引最大手のアリババ、モバイルゲーム開発会社のスーパーセル、ヤフージャパンなど――を選び抜く能力を売り込んだ。

日本文化に強い関心を持つ副皇太子は、日本の天皇を表敬訪問し、日立製作所の会長や大手銀行のトップたちとの会談をこなした後、側近たちを伴って孫氏のプレゼンテーションを聞いた。場所は東京の都心にある迎賓館だ。

2人の会談は大成功だった。副皇太子は孫氏に対し、サウジを訪問し、この国をよく理解できるようしばらく滞在することを要請して席を立った。サウジの高官や側近たちは、ソフトバンクやその傘下の企業のデューディリジェンス(資産査定)を秘密裏に行うべく都内に散った。

ある日本政府当局者によれば、孫氏はこの31歳の、合意形成によるゆっくりした統治に慣れた王国で若者らしい目的意識を持っているイメージのある副皇太子について、自分に似ている部分があると感じたようだ。副皇太子の方も、「意志決定においてはスピードが非常に重要だと考えている」という。

またこの政府当局者は、サウジは原油安による経済的変化にもかかわらず向こう数年間で投資を実行したいと考えており、孫氏が有するテクノロジー関連の起業家の人脈は、それとうまくかみ合うだろうと付け加えた。

中東問題の専門家である畑中美樹・国際開発センター顧問は次のように話している。「サウジアラビアは将来的に投資を誘致していくために、決断力があって国際的にも名の通った誰かと、人目を引く大型の投資契約を締結する必要があった。日本でそれができるのは、ソフトバンクぐらいだ」

孫氏は10月半ば、サウジアラビアの地に降り立った。あちこちの油田を見学してからサウジアラムコを訪問し、同社のエンジニアリングやロボット工学の技術について説明を受けた。ここでは特に、ソーラーパネルを清掃できるロボットにいたく感心していたとある人物は述べている。また、ソフトバンクとサウジとの間ではこれ以外にも、複数のパートナーシップが進行中だとも付け加えている。

孫氏はサウジの政府系ファンドであるPIFも訪問し、その経営陣とも会見した。サウジ側の資金の出所はまだ明らかにされていないが、恐らくPIFの資金と、アラムコ株の上場で得られる資金とが投じられることになるだろう。2018年に上場されれば史上最大の新規株式公開(IPO)となり、数百億ドルの資金が手に入ると予想されている。

これは議論を呼ぶことになる話だが、サウジ通貨庁(SAMA)が現在管理している流動性のある証券や債券、外貨などの一部もこのプロジェクトに投じられることになるだろう。サウジ政府に近いある銀行幹部によれば、PIFはSAMAの準備資産5620億ドルの大部分を取り込みつつある。そのため、ソフトバンクのテクノロジー・ファンドなどに資金を提供するPIFの能力は一段と高まることになるだろう。

この訪問が終わる前に、それぞれに世界を作り替えようと急いでいる孫氏と副皇太子は取引を成立させ、強い絆を培った。もっとも、両者のビジネス上の関係と投資の今後の方向性は謎のままだ。

「マサは、買える資産はまだ十分残っていると考えている」。孫氏の近くでずっと働いてきたスタッフの1人はこう語る。「このファンドは、従来型のバイアウト・ファンドやベンチャー投資ファンドにはならない。チャンスを見抜く孫氏独特の投資になるだろう」

By Arash Massoudi in London, Kana Inagaki in Tokyo and Simeon Kerr in Dubai

© The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. Please do not cut and

paste FT articles and redistribute by email or post to the web.

日経ビジネスオンライン記事

jeyong-yi

韓国・サムスン電子、イ・ゴンヒ会長の長男で、副会長のイ・ジェヨン氏(写真=ロイター/アフロ)

グループ企業の株主間の利害調整が難しく、誰が本当の支配者なのか明確になりにくいこの構造は、近代経営とは言えない。「イ・ジェヨン副会長はサムスン物産の株式を約17%保有し、同社がサムスン生命株を約19%、サムスン電子株を約4%持っている。サムスン生命もサムスン電子株を約7%保有するといった形で一族の支配は成り立っている」(石田・国士舘大講師)。

株式市場では、サムスン物産とサムスン電子を合併させ、これを事業持ち株会社にするのではとの見方が広がっている。資本構成上はすっきりするが、テーマパークから商社まで営む「物産」と、スマホ、半導体が主要事業の「電子」に事業上のシナジーがあるはずはない。実行されるとすれば、これもまたオーナー家の都合でしかないと言わざるを得ない。

停滞から脱した日本企業の研究も

そもそも、イ・ジェヨン副会長がサムスン物産の主要株主になったのは、「イ・ゴンヒ会長が1996年に、当時、グループの持ち株会社的存在だったエバーランドの転換社債を不当に安い価格でイ・ジェヨン氏に売却したのがきっかけ」(あるサムスンウォッチャー)。イ・ジェヨン副会長は、それをエバーランド株に替え、さらにエバーランドは後に別のグループ企業である第一毛織と合併。上場したことで巨額の利益を上げたとされる。その上、この新・第一毛織(合併後、エバーランドに社名変更)が、サムスン物産と合併するという変遷を経て、同社の大株主となっている。

そのサムスン物産とサムスン電子が合併するとなると、事業承継のためなら何でもありだと言わざるを得ないだろう。イ・ジェヨン副会長は、ソウル大学、慶応大学大学院、米ハーバード大学でも学んだ秀才である。先端経営の理論は当然身に付けている。ビッグディールに見られる選択と集中など、大胆な経営改革にはそれを感じさせるものがある。

サムスンは毎週水曜日、グループの社長たちを集めて、社長団協議会と呼ばれる勉強と協議の会を開いている。10月半ばの協議会の議題は、「日本企業は低迷からどのように脱したか」だった。発火事件に伴う、サムスンの「迷走」は古い経営体質を身の内に残したまま世界で戦わざるをえない韓国財閥の宿阿だとすれば、その苦闘はまだ続かざるを得ないのかもしれない。

分かりにくい話だが、イ・ジェヨン氏は2009年以降、COO(最高執行責任者)であり、イ・ゴンヒ会長が倒れた2012年には副会長に就任している。それでいて、これまでは役員ですらなかったのである。

狙いは不明だ。「経営の失敗や、何かの問題が起きた時に責任を問われないようにしてきたのかもしれない」。サムスンウォッチャーの中には、こうした意見も少なくないが、実態として意味は持っていない。今回の発火問題でもイ・ジェヨン副会長は表に出て対応に当たっている。

陰に回るどころか、イ・ジェヨン副会長は就任以来、むしろサムスン経営を大胆に変えようとしてきた。2014年11月には、グループのサムスン総合化学やサムスンテックウィンなど、グループの化学・防衛事業を、ハンファ財閥に売却することを決定。世紀のビッグディールと市場の話題をさらった。翌2015年秋には、残る化学部門をロッテグループに譲渡し、この分野から撤退している。狙いは、化学・防衛事業を外し、中核の電子事業に傾斜する選択と集中だった。

リストラにも着手している。公式には明らかにしていないが、複数の韓国メディアは「(2015年秋以降)サムスン電子は本社間接部門の人員を10%減らし、2016年には一般経費50%削減を打ち出した」「2015年だけで5000人あまりがグループを去った」などと伝えている。最近グループの主要企業を退職したある幹部も「グループ全体でリストラは進めている」と打ち明ける。これらを主導したのがイ・ジェヨン副会長だったと言われる。

米ファンドから強まる経営改革圧力

むしろ、「統治構造としては極めていびつな形態を正常化しようとする過程で起きたのが発火事故だった」(石田賢・国士舘大講師)のだろう。だが、そこにこそ問題が潜んでいるのではないか。

現地メディアによると、サムスンは発火事故の後、減産こそしたものの生産は止めずに原因究明をしたという。これだけの問題が起きれば、生産を止めて原因を解明するのが、本来のリスク管理。売り上げ目標の達成を重視したと見られても仕方ないだろう。

韓国の財閥において、「オーナー家は皇帝のような存在」(ソウル大学国際大学院のキム・ヒョンチョル教授)。イ・ジェヨン副会長の取締役就任という重要なタイミングでの事故は、社内に衝撃だけでなく、どう対応すべきかへの「戸惑い」も生んだのではないか。性急な対応にはその影がうかがえないか。

携帯電話事業の営業利益は低下してきた 半導体と携帯電話部門の営業利益の推移

transition-of-prpfit-of-cellphone-semiconductor

出所:石田賢・国士舘大講師の資料を基に本誌作成

今、サムスン電子に対して、米国のエリオット・マネジメントが持ち株会社化を迫っている。もの言う株主として知られるファンドである。韓国の財閥の多くがそうであるように、サムスンはオーナー家の持ち株比率が高い企業を起点に、他のグループ企業の株式を循環的に持つ仕組みになっている。低い持ち株比率でもグループを支配できる循環出資と呼ばれるものだ。

グループ企業の株主間の利害調整が難しく、誰が本当の支配者なのか明確になりにくいこの構造は、近代経営とは言えない。「イ・ジェヨン副会長はサムスン物産の株式を約17%保有し、同社がサムスン生命株を約19%、サムスン電子株を約4%持っている。サムスン生命もサムスン電子株を約7%保有するといった形で一族の支配は成り立っている」(石田・国士舘大講師)。

株式市場では、サムスン物産とサムスン電子を合併させ、これを事業持ち株会社にするのではとの見方が広がっている。資本構成上はすっきりするが、テーマパークから商社まで営む「物産」と、スマホ、半導体が主要事業の「電子」に事業上のシナジーがあるはずはない。実行されるとすれば、これもまたオーナー家の都合でしかないと言わざるを得ない。

停滞から脱した日本企業の研究も

そもそも、イ・ジェヨン副会長がサムスン物産の主要株主になったのは、「イ・ゴンヒ会長が1996年に、当時、グループの持ち株会社的存在だったエバーランドの転換社債を不当に安い価格でイ・ジェヨン氏に売却したのがきっかけ」(あるサムスンウォッチャー)。イ・ジェヨン副会長は、それをエバーランド株に替え、さらにエバーランドは後に別のグループ企業である第一毛織と合併。上場したことで巨額の利益を上げたとされる。その上、この新・第一毛織(合併後、エバーランドに社名変更)が、サムスン物産と合併するという変遷を経て、同社の大株主となっている。

そのサムスン物産とサムスン電子が合併するとなると、事業承継のためなら何でもありだと言わざるを得ないだろう。イ・ジェヨン副会長は、ソウル大学、慶応大学大学院、米ハーバード大学でも学んだ秀才である。先端経営の理論は当然身に付けている。ビッグディールに見られる選択と集中など、大胆な経営改革にはそれを感じさせるものがある。

サムスンは毎週水曜日、グループの社長たちを集めて、社長団協議会と呼ばれる勉強と協議の会を開いている。10月半ばの協議会の議題は、「日本企業は低迷からどのように脱したか」だった。発火事件に伴う、サムスンの「迷走」は古い経営体質を身の内に残したまま世界で戦わざるをえない韓国財閥の宿阿だとすれば、その苦闘はまだ続かざるを得ないのかもしれない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『いつまでも犠牲者ぶる中国を米国人研究者が論破 何かにつけ「屈辱の世紀」を持ち出す狡猾な心理戦』(10/24JBプレス 古森義久)について

米国の中国支援の愚かさと日本の世界への発信のなさが、中国の好き勝手を許して来た大きな原因と考えます。米国もやっと共産主義の怖さと中国人の忘恩(「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という基本的価値観)について気が付き、かつ米国の世界覇権への挑戦阻止に少しずつ軌道修正しようとしていると感じます。無能オバマでは舐められきっていますが、中国の金塗れのヒラリーにも期待できません。民主・共和どちらが勝っても、副大統領が昇格することを望みます。

日本の対外発信の弱さが、尖閣を危ういものにしています。論理には論理を、事実で反論していけば良いのに、今の役人は保身に固まり、キチンと世界に向けて反論していません。大きくは外務省・総務省・官邸の責任ですが。国民から金を毟り取り、こっそり裏で反日報道に現を抜かすNHKを民放にして、国策放送局を創設したらどうでしょうか。今の民放は低俗過ぎて見る気もおきませんが、反日放送をした番組が世界に流されると日本の名誉を傷付けます。朝日新聞の「南京虐殺」や「従軍慰安婦」の捏造記事が世界にばら撒かれ、世界に信じさせることになったことと同じです。況してやNHKは国から予算が出ている報道機関で、新聞のように直接国から予算がついている訳ではない媒体とは違います。反日を売り物にする報道機関が生き延びているのは国民の責任です。購読する人がいるから、受信料を払う人がいるからです。日本人は知的誠実さに乏しいのでは。国民が反日民進党に投票すれば、中韓を利するだけです。国益を守るためにはしっかり情報を取り、投票行動を取りませんと。沖縄の左翼や在日の違法活動はキチンと取り締まってほしい。日本は中国と違い、法治国家のはずです。

今、ジョージ・ブロンソン・レー著の『「満洲国建国」は正当である 米国人ジャーナリストが見た、歴史の真実』を読んでいます。日本は満洲国を樹立し、傀儡として使おうとしたと言われていましたが、日本にもしそういう意図があったとしても、米国の「テキサス併合」や南北戦争時の「ヴァージニアから独立したウエストヴァージニアを合衆国に加盟」させたことと何ら変わらないとのこと。米国は併合しましたが、日本は満洲を独立国として扱ったがために世界から恨まれることになったのでは(世界がアジア・アフリカで悪逆非道の植民地政策を採っていたため)。

リットン調査団は極東情勢に疎い人間が調査したこと、満洲国は創設したばかりで英語できちんと経緯(辛亥革命1年後の1912年に支那共和国と清国皇帝退位協定締結、皇族の身分保障が謳われ、各国政府に電達される。1924年に支那共和国が約束を破り、宣統帝を紫禁城から追放、暗殺におびえた帝は最初英国大使館に亡命を希望するも断られ、仕方なく日本の天津領事館に逃げ込んだ。満洲事変により張学良の軍隊が満洲から追い出されて、故国である満洲に国を樹立した。これは宣統帝の英国人家庭教師であるジョンストンが書いた『紫禁城の黄昏』にも同じことが書いてあります。元々満洲には漢人を入れない政策(封禁政策)を採ってきましたが、日清戦争後それが緩み、張作霖のような漢人の匪賊が跋扈する社会となり、武力を持たない父祖の地を蹂躙されてしまった)を説明できなかったことが日本に不利になりました。日本としては世界に説明すれば分かって貰えると思ったのが浅はかでした。米国と国際連盟(米国は未加入だったにも拘らず)日本を孤立させるようにシナリオができていたという事です。スチムソンの「満洲国の不承認政策」や「大陸の門戸開放政策」が米国の二重基準であるとも。国務省は米国の民間の投資を「独占」になるからという理由で拒否し続けたともありました。仮定として中国大陸に満洲が含まれるとしても(万里の長城以北は漢人の土地ではない)満洲国設立が何故いけないのか?9ケ国条約には独立を認めないとは書いていません。米国がハワイを準州として併合したケースで考えれば、米国人の砂糖黍への投資はハワイ現地人の労働力では足りず、大量の日本人の移民で賄いました。満洲国に住む漢人の数が大きくなったからと言って満洲を漢人の土地とは言えません。それを認めるのであればハワイは日本の領土となるとも。

中国は日清戦争・三国干渉後、露清密約(1898年5月22日調印)を結び、軍事相互協力、遼東半島の租借や東清鉄道の経営権付与をしました。如何に薄汚い民族かと日本人は思ってしまいます。これが中国人の本性です。この存在は日本も気づかず、1922年のワシントン会議での中国の発表で分かったとのこと。昔も今も日本はインテリジェンスの弱い国と言うのが分かります。

本記事のフライングタイガーは中立義務違反の事例です。米国こそがキチンと歴史に向き合うべきです。都合が悪くなると「歴史修正主義者」のレッテルを貼り、言論封殺するのは止めた方が良いでしょう。米国の容共政策、中国支援は馬渕睦夫氏のいう「裏で国際金融資本(≒ユダヤ資本)が蠢いているから」というのをどうしても思い出します。

記事

map-of-south-china-sea

オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は7月12日、中国には南シナ海の島々に対する「歴史的権利」を主張する法的根拠はないと裁定。中国は「犠牲者カード」を使って反論した。南シナ海が描かれた地図(資料写真)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News

中国は他国と論争する際に「屈辱の世紀」という言葉をよく使う。清朝時代から西欧列強や日本に侵略されてきたという100年ほどの時代を指す言葉である。

中国はこの言葉を使って、いかに自国が帝国主義の犠牲者であったかを強調し、「だからこそ現在も犠牲者としての特権がある」と主張する。最近、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所から南シナ海での領有権主張を否定された際も、この「犠牲者カード」を使って反論した。

だが外部からみれば、中国の「犠牲者カード」は過去の歴史を都合よく持ち出して、現在の無法な行動を正当化する狡猾な心理戦にしか映らない。

いまだに外交で犠牲者カードを利用する中国の心理戦に対して、最近、米国の研究者が「中国に全面的に反論すべきだ」という内容の論文を発表した。米国は中国を侵略して搾取するどころか、逆に中国の近代化に大きな貢献をしてきたという。対中論争の手引きとして、日本にとっても大いに参考になり得る内容である。

中国の近代化や国際化を最も支援してきたのは米国

この論文は、米国議会調査局の中国専門官として長年活動してきたシャーリー・カン女史によって執筆され、ワシントンの外交関係者の間で広く読まれる外交政策雑誌「ザ・ディプロマット」10月号に掲載された。論文の題名は「中国の心理戦争に反撃する」である。

まずカン女史は、中国政府の代表たちが他国との対立や紛争の案件で自国の主張を表明するとき、ごく頻繁にこの犠牲者カードを使うことを指摘する。

最近の実例が、今年7月に常設仲裁裁判所が中国の南シナ海での領有権主張を不当だと断じる裁定を下した際の、中国側の反応である。裁定が下されると複数の中国政府高官たちが、「中国は過去100年もの間、外国の侵略により屈辱を体験してきた。今回の裁定も同様に、米国が中国を標的に展開する『アジア再均衡』戦略の犠牲になった結果だ」と述べていた。

しかしカン女史は次のように指摘して、そうした中国側の主張を退ける。

「米国上院軍事委員長のジョン・マケイン議員が最近強調したように、米国は過去100年以上、進歩的な政府の樹立、自由化、国民の教育向上などの面で中国を支援し、中国が国際社会の一員となることを助けてきた。米国ほど中国の近代化や国際化を支援してきた国は他にない」

米国が中国に被害を与え犠牲者にしたなどという中国側の主張はとんでもない、というわけだ。

日本にもある「反論」の材料

そのうえで同論文は、米国が過去に中国を支援した実例を挙げる。

第1に、米国は1800年代末期の清朝の頃、どの国にも市場を開く「門戸開放」政策の効用を説いて、中国国内での暴力的な衝突などを防いだ。この米国の動きによって関係諸外国は自制することになり、中国領土が分割される展開を阻止した。

第2に、1900年の義和団事件で清朝が米欧列強や日本に賠償金を支払うと、米国はその資金を、中国から米国へ留学する多数の学生のための奨学金とした。筆者(カン氏)の祖父の兄も、その恩恵にあずかった。

第3に、清朝が倒された1911年の辛亥革命から中華民国の建国にいたるまで、米国は一貫して新政権を支援した。中国の建国の父とされる国民党の孫文に対しても、ハワイへの留学など米国は手厚く保護した。

第4に、米国は日中戦争(1937~1945年)で中国側を支援した。特に国民党軍に武器や食糧を空輸で提供した米側の半官半民の「フライングタイガー」航空隊の貢献は大きかった。

第5には、米国は1970年代の中国への接近、中国との国交樹立、台湾関係法などを通じて、中華人民共和国と中華民国の両方への支援を続けた。特にその後の中国政府への関与政策は、中国が国際社会に参加する際の貴重な出発点となった。

以上のように、カン氏は自らの先祖の渡米も例に出し、米国が中国を犠牲者にするどころか、逆にその繁栄や近代化に大きく貢献してきたことを強調する。

日本がこの反論を教訓とするならば、明治時代の日本が国民党の孫文氏らを日本国内で保護し、その他のさまざまな支援を与えた歴史や、戦後も巨額の経済援助をODA(政府開発援助)として中国政府に与え続けた点を強調して、「中国を犠牲者にしたなど、とんでもない」という反論を十二分に行える、ということだろう。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『広西チワン族自治区「文革大虐殺」の実相 殺害15万人、人肉食、性暴力…「絶密資料」発掘』(10/19日経ビジネスオンライン 福島香織)について

一読して思ったことは、これこそ世界遺産に登録すべきではないかと。既に通州事件については登録申請しています。嘘で固めた南京虐殺をユネスコのボコバ事務局長(ブルガリア共産党員・UNの事務総長に立候補、落選)は登録してしまいました。如何に共産党と言うのはでっち上げが得意かという事です。でもいつも感じますのは日本の外務省の無能さです。事前に情報をキャッチする能力もないのですから。敵は歴史戦を仕掛けてきているという自覚すらないのでしょう。それが子々孫々にダメージを与えることになります。今の日本人は自分の生きている間だけのことしか考えていないように見えます。

昔、小生が中国人のカニバリズムについて話した時には、露骨に人種差別主義者扱いをされましたが、本記事のような証拠を見れば反対できないでしょう。でも中国人は証拠書類を偽書と呼んでプロパガンダするでしょうけど。田中上奏文のように自分たちで偽書を流布させて来ましたから。然し乍ら、中国人の人肉喰いは歴史的に見てもあります。下のURLをクリックすれば出てきます。

http://amor1028.exblog.jp/16663172/

如何に日本人と中国人が違うかという事です。でも悪逆な中国人に簡単に日本人は騙されます。「同文同種」とか「一衣帯水」とか。食人文化を持つ中国人と一緒にはされたくないです。日本人はGHQのWGIPに手もなく騙されるのですから。まあ、抗って生きるよりは生き易いのでしょうけど。でも敗戦後利得者が大手を振って生きているのを見ると、「恥を知れ」と言いたい。不正義の権化みたいなものでしょう。左翼文化人やマスコミ人、教師がそうです。キチンと歴史を踏まえて発言してほしいです。反体制を気取るアホな東大教授の何と多いことか。彼らは有事の際には我先に逃げるタイプです。精神性で言えば、中国人と韓国人と同じでしょう。そう言う輩が大学の権力を牛耳るのですから、何をか況やです。くれぐれも権威と呼ばれる人の発言を無批判に受け入れることは無いようにしてほしいです。

記事

先日、明治大学で同学現代中国研究所主催の「『文革』とは何だったのか」というテーマのシンポジウムが行われた。いわずもがな、今年は中国の文化大革命発動から50周年であるので各地でこの手のシンポジウムが行われているのだが、特にこれに興味をもったのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の宋永毅教授が「広西チワン族自治区極秘檔案に見る文革大虐殺と性犯罪」について講演すると聞いたからだ。

文革期に広西チワン族自治区で組織的で凄惨な人肉食を伴う大虐殺が行われたことは、知る人ぞ知る事実である。その事実について、実は共産党として詳細な報告書をまとめていたが、それは「絶密」(絶対秘密)扱いで、長らく公開されていなかった。ところが、今年、宋教授が中心となってその膨大な機密資料が編集され出版された。700万字以上36巻。

文革というものをとらえるとき、現場で何が起きたか、それを知らないでは語れない。同じ文革でも、北京で起きたことと、内モンゴルで起きたこと、チベットで起きたこと、そして広西チワン族自治区で起きたことは違うだろう。広西チワン族自治区の文革について、この資料や宋教授の講演の内容をもとに、ここで簡単に紹介しておきたい。

なぜここまで残虐を極めたのか

文化大革命とは1966年から1976年の毛沢東の死まで続き、77年に終結宣言がなされた中国全土で起きた大政治・社会動乱である。大躍進政策の失敗によって政権中枢から退かざるを得なかった毛沢東が、政敵・劉少奇らを失脚させ復権を図るために民衆を扇動して政治動乱をしかけた、というのが一般的な解釈で、その本質は権力闘争ともいわれているが、研究者の中には、もっとマクロな視点から、旧ソ連の社会主義に挑戦する中国式社会主義モデルの提起といった見方や、中国近現代史において唯一権力を公に批判できた時代という意義を見出す考えもある。

中国国内ではひそやかに文革再評価論も起きているし、農村部では文革時代を懐かしむ声もある。だが、具体的に文革で何が行われたか、という視点でみると、そういう政治論的な研究など吹っ飛ぶような残虐行為のオンパレードだ。政治理想論の建前にしろ、権力闘争にしろなぜ、ここまで残虐である必要があったか、ということの方が重要な本質テーマである気がしてくる。

この資料によれば、広西チワン族自治区では、文革期に約20万の冤罪事件があり、名前が判明しているだけでも約8万9000人が不正常な死を遂げ、行方不明者も2万人に及ぶ。名前の分からない死者は3万人以上で、少なくとも15万人が虐殺されたといわれている。民間の調査では20万人以上が殺害されたともいわれている。

文革終結後、広西の党委員会組織は10万人の人員を使って4年かけて、「文革遺留問題」処理にあたった。1986年から88年にかけて、党委員会はこの処理について上級機関に報告するための「広西文革檔案資料」を作成。この700万字にのぼるリポートでは、いつ、どこで、誰がどのように虐殺されたか、そしてどのように「喰われたか」まで、ほとんど実名で詳細に記録されていた。これは「絶密」文献として外部の者の目に長らく触れることはなかった。例外的に、のちに米国に亡命した中国人作家・鄭儀が、これら公式資料を見て、またその資料に記述されている関係者にも取材し、広西地域の大虐殺・人肉食事件を告発したノンフィクション文学「紅色記念碑」を書いている。

だが、それ以外にこの文革大虐殺の実体を世界に公式に発信したものは今までなかった。ちなみに「紅色記念碑」の人肉食記述の部分は、「食人宴席‐抹殺された中国現代史」(カッパブックス 黄文雄訳)のタイトルで邦訳出版されている。キワモノ本的タイトルになって残念だが、原作は緻密な資料と取材に裏付けられた渾身のノンフィクションである。

この絶密資料は米国に密やかにわたっており、主要大学のアジア関係の図書館に分散して保管されていることが近年判明。宋教授は、今年6月になって在米華字メディア明鏡出版集団傘下の国史出版から、この資料を整理して全36巻にまとめて出版した。

組織的な虐殺と食人

この資料で特に衝撃的だったのは、文革中、302人が殺害後に心臓や肝臓を摘出され、食べられた様子が詳細に記述されており、広西地域で食人行為が横行していたことを改めて明らかにしていることだ。

特に被害がひどかった武宣県ではこういった記述もある。

「(1968年)6月17日、武宣に市の立つ日、蔡朝成、劉鳳桂らは湯展輝を引きずりながら町を行進し、新華書店前まで連れていくと、龍基が歩銃で湯を打ち据えた。王春栄は刃渡り五寸の刀をもって腹をさばいて、心臓と肝臓を取り出すと、野次馬が蜂のように群がって、それぞれ肉を切り取って奪った。

肉が切り取られた後、ある老婆が生殖器を切り取り、県の服飾品加工工場の会計の黄恩范が大腿部を一本切り落として、職場に持ち帰り、工場職員仲間の鐘桂華とともに骨から肉を削り落として煮物にして食べた。

当時、この残虐な現場にいた県革命委員会副主任、県武装部副部長の厳玉林は、この暴虐行為を目の当たりにしても一言も発さなかった。当時、招集された四級幹部会で、会議参加者のそれぞれの代表は人肉を食べ、非常な悪影響を与えていた」

また、これは文革という混乱に乗じた無知蒙昧な民衆の事件ではなく、共産党、国家の機関が組織的に行った虐殺、食人であったことも、この資料からわかる。当時の広西チワン族自治区の党委書記の韋国清は文革中、失脚することなく自治区トップの座におり続け、軍隊、警察、民兵らから絶大な支持を得て、指揮し続けていた。虐殺のピークは、造反派と走資派が激しく戦った内戦時期の文革初期ではなく、1968年7月3日に党中央の革命委員会が七三布告を出したあとに起きており、武闘の混乱に乗じて起きたのではなく、毛沢東らが韋清国を支持した、比較的落ち着いた状況下で起きたものだった。

この資料で名前が判明している殺人者、殺人指揮者は200人以上、うち6割が武装部長、民兵指揮員、民兵および幹部だった。食人行為を働いた84%は中国共産党員、あるいは幹部であった。チワン族自治区と聞いて、食人行為が少数民族地域の特殊な文化背景があるという人もいるが、これは漢族が中心の行為でもあった。文革中、自治区の5万人近い共産党員が虐殺、殺人に加担した。

陰惨な性暴力も横行

資料中で、欽州地区の報告書には次のような記述がある。

「1968年9月7日から17日にかけて、上思県革命委員会が四級幹部会を招集し、上思中学で、群衆による公開殺人大会を開いた。このとき幹部、群衆12人が殺害されたが、一部の死者は腹をさばかれ肝臓を取り出され、県革命委員会の食堂で煮て食べられた。食人には県の幹部らが参加した。同県の思陽公社武装部長・王昭騰は大隊に殺人を命令し、その晩、鄧雁雄を殺害、肝臓を取り出して煮て、部下らと一緒に食べた。彼は部下らに、人の肝臓を食べると、大胆になると言って勧めた。翌日、王昭騰は、さらに4人殺し肝臓を取り出し、二、三の生産隊ごとで、一人分の肝臓を食べるように命令を出した」

宋教授は広西地区における文革の特徴として、食人以外に、軍の複数の師団兵力を使って組織的に民衆組織に対し攻撃と殲滅を行い、その派生事件として女性に対する性暴力が空前の規模で行われたということも指摘している。文革中、広西地区の農村では、父親や夫を殺害して妻や娘を凌辱することが常態化し、資料には、225事件1000人以上の被害者が記録されている。

特に、性的暴力を伴う殺害方法は多重性、計画性、残忍性、変態性がみられるという。例えば、「1968年4月25日、浦北県北通公社で、大隊が四度にわたり24人を殺害。肝臓を取り出して煮て酒とともに食べた。この公社では180人が殺害された。…主犯の劉維秀、劉家錦らは、劉政堅を殴り殺したのち、17歳に満たないその娘に対し輪姦後、殴り殺し、肝臓と乳房、陰部を切り取った」といった記述もある。

また、父親や夫を殺害後、犠牲者の妻や娘が、殺害当事者の妻にされることもあった。被虐殺者の妻を、虐殺当事者が妻とすることを「改嫁」と言った。

「浦北県北通公社の旱田大隊革命委員会主任は計画的に22人を殺害、殺害前に、犠牲者の財産を調べており、殺害後にその妻と娘四人が幹部らに嫁がされた。その時、改嫁証明費、出嫁費用として894元が支払われた」。

これは単なる性的暴行以上に、長期にわたる女性に対する精神的迫害ともなり、これにより正気を失った女性の報告もある。

「中国的特色」4点

虐殺やそれから派生する女性に対する暴行の本当の理由は、革命や階級闘争といった政治的目的以上に、地主や富裕層からの財産没収や、その美しい妻や娘を奪うという下品な動機があったとみられている。文革中、地元革命委員会は被虐殺者、被虐待者から「看守費」「専政費」「改嫁費」といった名目の罰金を徴収していた。

なぜ、ここまで残虐非道になれたのか。なぜ、食人が流行したのか。文革が特別であったのか。それとも広西地域が特別であったのか。わからないことはいっぱいある。

宋教授は講演の中で「中国的特色」という言葉を使った。

その特色とは、①地方政府が意図的に作り出した無政府状態。②高度な組織化による虐殺。③虐殺の目的が階級の敵の生命を絶つことから、殺戮に伴う官能と快楽を得ることになっている。④一族郎党を絶滅させるという方式が採られているが、これはその一族の財産(女性も含む)を奪うという動機が潜んでいる。これらの4点を挙げている。

そしてこういう特色は、実は文革で初めて起きたことではなかったという。

たとえば土地改革(1950-53年)でも、中国的特色の虐殺が起きていた。この土地改革で「一村一焼一殺」をスローガンに、紅軍は地主・土豪に対する徹底した略奪と殺戮を行った。殺害された地主は240万人以上ともいわれている。文革発動前の17年間、中国ではこうした高度な組織化による大虐殺の手法を政治運動の中で繰り返してきた歴史があり、文革だけが突出して残虐であったとはいえないかもしれない。文革の混乱期に、かつて経験した土地改革や右派運動といった政治運動の中で経験した略奪や婦女暴行の快楽を思い出した者もあろう。

「文革」の本質を問う

文革とは何だったのか、という問いに対して宋教授は「共産党が文革以前に実施した17年間の政策の結果である」と答えた。文革前の17年間の政策に対する錯誤をきちんと認めず、政治運動の中の醜悪な虐殺を正当化してきた結果、文革の10年が起きた。では、文革で何が起きたかについていまだタブーが多く、その後の天安門事件についてもいまだに再評価されず、共産党政治に対する批判を許さない今の中国では、また、大虐殺をともなう政治動乱が起きても不思議ではないということなのだろうか。

習近平政権が、あまりに苛烈な権力闘争を、文革を想起させるような個人崇拝キャンペーンを伴って展開している今だからこそ、文革とは何であったか、というその本質を問う作業を、中国問題にかかわる人たちは続けていかねばならないと思う。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『ロシアに続き米国もネバダ砂漠で”核実験”緊張高まるNATOとロシア、核戦争の危険性も』(10/18JBプレス 堀田佳男)について

米ロが核で張りあえば中国を利するだけでしょう。本記事では、核弾頭保有数として米国が1750発、ロシアが1790発とありますが“Status of World Nuclear Forces ”によれば、米国が7000発、ロシアは7300発です。配備された核爆弾の数が堀田氏の数に近いです。Retiredがもう核弾頭として機能しないのかどうかは不明です。

nuclear-bomb-in-the-world-2016

https://fas.org/issues/nuclear-weapons/status-world-nuclear-forces/

日本は唯一の被爆国だから米ロ・世界に核戦争が起こらないように説得する義務があるというのには違和感を感じます。勿論、核戦争を奨励する意味ではありません。被害の甚大さを訴えられるのは被爆国の日本だけという意味なのでしょうけど、核を持たない国が何を言っても聞くはずもなく、かつ被害の甚大さは日本への原爆投下前から分かっていたと思われるのに、2発も落とすような国が日本の言うことを聞くとは思えません。

やはり、MADを信頼するしかないのでは。通常兵器における、代理戦争で留めることになるのではないかと思っています。核ミサイルを米ロで撃ちあえば、地球は汚染され、生物は棲めなくなります。究極の自爆テロと一緒ではないですか。そんなことも分からないようではイスラムのテロリストを非難は出来ません。米ロとも同じキリスト教同士、キリスト教徒の罪深さを感じます。

記事

b-21

米空軍が公開した、B52爆撃機の後継となる次世代爆撃機B21〔AFPBB News

10月初旬、米ネバダ州にあるネバダ国家安全保障施設に2つの爆弾が投下された。日本のメディアではほとんど報道されていない。

爆弾は「本来」、核爆弾であるはずだった。だが1993年以降、米国は爆発を伴った核実験を行っていないので、今回は仮の核爆弾ということになっている。

それでも、「核なき世界」を目指しているはずのバラク・オバマ大統領が、なぜ核兵器へのこだわりを捨てていないのだろうか。

米軍事専門メディアは「米軍がネバダ砂漠に仮の核爆弾を2発投下」と報じ、今回の爆弾投下の真意を探っている。

新型爆撃機B-2Aが爆弾投下

実験に使われたネバダ国家安全保障施設というのは、2010年までネバダ核実験場と呼ばれた場所である。ラスベガスから北西に約100キロ行った砂漠地帯で、鳥取県とほぼ同じ面積がある。

1992年に包括的核実験禁止条約が締結されたことで、同地での核実験は行われなくなったが、51年から92年までに900回以上(約9割が地下核実験)の実験が行われている。

その地の上空に姿を見せたのは、米空軍に所属する戦略爆撃機「B-2A」。垂直尾翼と水平尾翼がない、水中を泳ぐエイのような形状の機体で「スピリット」という愛称がある。

2機のスピリットは700ポンド(約317キロ)の爆弾を1個ずつ投下した。1つは「B61-7」、別の1個は「B61-11」と呼ばれており両爆弾とも戦術核兵器として使用される。

爆弾の開発はエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が担当しており、爆弾投下後にプレスリリースを発表している。

「両爆弾は仮の爆弾であり、核物質は含まれていません。実験は見事に成功を収め、性能を計測するためのセンサーと計測器は確かな数値を示しています。今回の実験目的は核兵器の保証期間を確かめることと、現在開発中の爆弾の耐久性、正確性、性能を検証することでした」

核物質が含まれていないはずだが、どこまで必要なデータが収集できるのかは定かではない。9月に当欄で、オバマ政権が新型核兵器「B61-12」を400個も開発・製造する予定で、連邦予算を約110億ドル(約1兆1330億円)も割くと述べた(「米国が新型核兵器投入、開発配備に1兆1000億円」)。

実は今回の実験も、新型爆弾への助走と考えられる。

NNSAの高官であるマイケル・ルットン氏は「米国は常に核戦略を3本柱(戦略爆撃機、大陸間弾道弾、潜水艦発射弾道弾)で整備しておく必要があります。B61はその中でも中心的な役割を担っていて、今回の実験はNNSAがどれだけ核兵器システムに前向きな姿勢でいるかの証です」と、米政府がいかに新型核爆弾の開発に前向きかを語った。

ただなぜいま、実験をする必要があったのか。

ロシア、NATOで高まる緊張

ネバダ砂漠での実験直後、「エアフォース・タイムズ」という米空軍の事情を伝える週刊誌はこう分析する。

「ロシアとNATO(北大西洋条約機構)の緊張が高まっている。しかも核兵器を使ったイザコザが起こる可能性が増しているので、核兵器実験はたいへん重要である」

日本ではいま、ロシアとの関係は悪化というより良好な方向に進みつつある。12月にウラジーミル・プーチン大統領が訪日することもある。だがロシアとNATOの関係はむしろ逆で、戦争に発展しても不思議ではない「新たな緊張関係」が生じている。

日本国内で大きく報道されないのが不思議なくらいである。緊張の度合いは冷戦終結以来、最も高いレベルとさえ言われている。

米軍の業界誌「ディフェンス・ワン」の記者であるマーカス・ワイズガーバー氏は書いている。「ロシアとの緊張関係が増していることが、今回の実験の背景にあっても不思議ではない。むしろNATOとの緊張が新たな核兵器レースの始まりを予感させもする」

発端はもちろんロシアが2014年3月にクリミア半島を軍事的に併合したことにある。米国をはじめ、西側諸国はプーチン大統領の強権的な軍事行動を読めていなかったばかりか、軍事力で対抗する選択肢を取らなかった。

ロシアの不穏な動きはそれで収まったわけではない。みずから緊張を増長するような言動をとっている。

例えば2015年3月、デンマーク政府に対し、「デンマークが米国主導のミサイル防衛計画(MD)に参加するならば、デンマークの艦船はロシアの核ミサイルの標的になる」と脅している。

リトアニアではロシアからの軍事的緊張を日常的に感じていることから昨年、7年ぶりに徴兵制を復活させている。

オバマ政権誕生後、本来であれば、米ロは核兵器の削減に尽力しなくてはいけなかった。それがオバマ大統領の目指した「核なき世界」のはずだった。しかし現実は違う。

米国で新たなICBM開発も

米国が保有する核弾頭の個数は今春の数字で1750発、ロシアが1790発。新戦略兵器削減条約(新START)は現在、交渉が進んでおらず停滞したままだ。

今年10月に入り、ロシア軍は原子力潜水艦などから核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを1日に3発試射する軍事演習を行っている。それに呼応するように、米国でも新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)の建造の必要性が叫ばれている。新STARTとは全く逆の流れである。

すでに具体的に練られた計画があり、航空機・軍事機器メーカーのボーイングが「ミニットマンIII」を新しいICBMに置き換える可能性さえあるという。

ただ反対意見も根強く、コストがかさむばかりか反核の流れと逆行するため、ウィリアム・ペリー元国防長官などは「置き換えの必要はない」と主張している。

一方、米空軍核兵器センターのスコット・ジャンソン准将は戦略核兵器を推す立場にあり、「核の抑止力の効力を保つためには、米国は新しいICBMの製造を進めていくべき」と述べている。

ペンタゴンの中にも軍縮派と軍拡派がいるわけだが、現在はオバマ大統領の表向きの政策とは逆の方向に動いているのが現実のようだ。

つまり冒頭で紹介したB61シリーズの新型爆弾の開発・製造と同時に、長距離弾道ミサイルの新たな導入が本当に始まることになりかねないのだ。そうなると、米ロは核兵器を主体にした新たな軍拡競争へと進むことになる。

いつの時代も有事への備えをしておくことは重要である。最悪のシナリオを想定しておくことも必要だが、被爆国の日本としては通常兵器の戦争だけでなく核兵器による交戦を回避する努力を世界レベルで行う義務がある。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『米国人が腹をよじって笑う大統領選のパロディショー もう笑い飛ばすしかない史上最低の大統領選』(10/18JBプレス 老田章彦)について

老田章彦氏は「 岐阜県高山市出身。元NHKディレクター/プロデューサー。1985年からクローズアップ現代・NHKスペシャルなど報道番組を制作、2010年フリーに。」とありました。やはり、トランプに対して良い印象を持っていないことが分かります。NHK出身の池上彰と同類でしょう。

ヒラリーは私用サーバーを使って外国政府に機密情報を売り、クリントン財団に寄付させていた売国奴です。こういう輩が罰せられないというのは、アメリカは国としておかしいのでは。警官や軍人がトランプ支持なのも頷けます。国際金融資本に害を為さなければ何をしても良いというのでは、政治家として尊敬されないでしょう。

性的問題を挙げるのであれば、FDRとケネデイ、ビル・クリントン(総て民主党)の方がもっとひどかったと藤岡信勝氏のFacebookにありました。FDRは妻妾同衾(山崎豊子の『華麗なる一族』同様、而も国のトップ)、ケネデイはモンロー他浮名を流したのは多数、ビルはモニカ・ルインスキー事件で有名。WASPというのは如何に低俗かという事です。ケネデイはアイルランドから祖先が渡ってきたのでカソリックですが。こういう道徳観念が希薄な人間が国のトップとして君臨するのですから、人種差別や原爆投下など当り前のようにできるのでしょう。

本記事の最後に性的問題で非難されるトランプを支持する白人女性が写っています。大衆レベルでヒラリーでは今までの延長線(国際金融資本によるグローバリズム)による政治しかできないということが分かっているからでしょう。黒人も民主党が本当に黒人の為の政党かよく見極めた方がよいでしょう。リンカーンは共和党です。

記事

trump-behind-hillary

米ミズーリ州セントルイスのワシントン大学で、第2回大統領選討論会に臨むヒラリー・クリントン氏(手前)とドナルド・トランプ氏(2016年10月9日撮影)。(c)AFP/Paul J. Richards〔AFPBB News

近ごろアメリカでバカ受けしている「トランプ俳優」がいる。髪型をご本人そっくりに整え、唇をへの字に結んでのっしのっしと登場するだけで、観客は大喜び。ひとこと口を開けば、その声と仕草のあまりのトランプ氏ぶりに客席は爆笑につつまれる。

爆笑の大統領選パロディ

高視聴率で知られるNBCテレビのコメディバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」は現在、大統領選のパロディに全力をあげている。その主力として気を吐いているのがアレック・ボールドウィン。若いころは二枚目として鳴らしたが、58歳の今は体にけっこうな肉がつき、とぼけ味のある脇役として活躍中の大物俳優だ。

ボールドウィンはトランプ氏の特徴を実によくとらえている。最初の大統領候補テレビ討論会の直後に放送されたパロデイ寸劇では、実際のトランプ氏がそうだったように終始不機嫌な様子を見せ、顔面を紅潮させて荒々しく発言し、クリントン氏の発言を再三(実際の討論会では50回以上)さえぎった。

一方で女性コメディアン演じる「クリントン氏」は冷静さを失わず、得意の政策論を自信たっぷりに展開。それに押された「トランプ氏」は次第に落ち着きを失い、ついには露骨な表現で女性やマイノリティーへの差別発言を連発してしまう。その様子をじっと見ていた「クリントン氏」が目に涙をあふれさせ、今日はうまく行きすぎてるわ、まるで夢みたい! と感激して爆笑を誘った。

第1回討論会のエッセンスを痛快に描き出し、ボールドウィンの怪演で爆笑をさそった寸劇の評判はSNSによってたちまち拡散し、放送後にアップロードされたYouTubeの映像だけでもすでに1600万回以上再生されている(注:リンク先の動画は日本国内では視聴できないようなので、ボールドウィン扮するトランプをご覧になりたい方は「Alec Baldwin」のキーワードでYouTubeの動画を検索していただきたい)。この人気ぶりをニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、CNNなど主要メディアが追いかけて報じることにより、「トランプ俳優」の活躍はいっそう社会現象化している。

いったいなぜここまでの騒ぎになっているのだろうか。

有権者が首を長くして待っていたトランプ氏の秘策

10月9日に行われた2回目のテレビ討論会について日本のメディアは、非難の応酬に明け暮れた残念な内容という伝え方をしたところが多かった。だがアメリカでは、非難の応酬があったことよりも、政策論議がなされなかったことに失望した人が多いようだ。

そもそもトランプ氏は、選挙戦の当初から具体的な政策について多くを語ってこなかった。かわりにトランプ氏は「世界中がアメリカの敵になっている、アメリカの内部は壊れきっている」と危機感をあおり、「私が偉大なるアメリカを再生する」と太っ腹に請け負うことで大衆を引きつけてきた。

いまアメリカは大きな矛盾をいくつも抱えて苦しんでいる。既存の政治家にはない大胆な発想が、この国に思わぬブレイクスルーをもたらす可能性は否定できない。

一方のクリントン氏は、政策通ながら人物としていまひとつ信頼できないという評価などが災いして人気が低迷。何があってもクリントン氏だけには投票しないという「ヒラリーぎらい」は民主党員の中にすら数多い。

国の行く末を案ずる有権者の多くが、トランプ氏の口からぜひとも具体的な政策論を聞いてみたいと考え、両候補の初の直接対決となるテレビ討論に大きな期待を寄せたはずだ。だが、クリントン氏が熱弁する政策論にトランプ氏が応じることは少なく、政策論はほぼ一方通行に終わった。

結局のところトランプ氏は政策に精通しておらず、公約を具体的に説明する能力が乏しいことを露呈してしまった。このことに強いフラストレーションを感じた有権者がサタデーナイトライブに殺到し、中身のない「トランプ氏」を笑いのめし、わずかながらでも溜飲を下げたのだろう。

「パロディ寸劇並み」だった2回目の討論会

不毛なテレビ討論会だったが初回はトランプ氏も緊張していたのだろうと2回目に期待する声は多かった。だがその2日前になって、2005年に録音されたトランプ氏の「わいせつな会話」が公開され、大騒ぎになった。

会話内容が暴露された翌日、すなわち2回目の討論会の前日、サタデーナイトライブは先見の明に満ちた寸劇を放送した。

臨時ニュースで会話の内容を伝えた「CNN」のキャスターが、「トランプ氏」を呼び出してインタビュー。だがどうにも歯切れがよくない。

「あの件については、この場を借りて正式にシャア… ザイしたい」とトランプ氏。

「え、なんとおっしゃいました?」

「その、深くシャアザイする」

「謝罪、とおっしゃりたいのですか?」

「いや私は絶対にそんなことはしない。私はあの発言によって不愉快な思いをしたすべての人々にシャアザイ・・・というかあれを聞いてコーフンしてしまった人たちにシャアザイしたい。だいたい半数がコーフンしたと聞いてるのでね」

などと反省の色のない応答を繰り返したあと、トランプ氏は唐突に話題を転じてフロリダで大きな被害を出したハリケーン・マシューについて語り始め、ニュースキャスターを煙に巻いてしまった。

さて、この放送の翌日に行われた2回目のテレビ討論会に話を移そう。

討論会では、トランプ氏が「わいせつな会話」についてどう釈明し、これまで繰り返し引き起こしてきた女性蔑視の問題についてどうケジメをつけるのか、全米がかたずをのんで見守った。だがトランプ氏は「あれはロッカールームでの冗談のようなもの」とお茶を濁したかと思えば、唐突に話題を転じてIS(イスラム国)について話し出し、司会者からの再三の問いただしを完全に無視して逃げ切った。サタデーナイトライブそのままの展開にあきれ果てた視聴者は多かったに違いない。

「異世界の住人」を大統領にできるのか

とはいえトランプ氏のこの「逃げ」は、討論会の冒頭の出来事だった。残りの約80分間に望みをつなごうとした視聴者は少なくなかっただろう。トランプ氏は今度こそ「本気」を出して政策を語り出すのではないかと。

だが、やはり期待は裏切られた。クリントン氏が、質問をした有権者の目を覗き込みながら熱心に政策を説いた(政策の適否についてここでは問わない)のに対し、トランプ氏は質問者とはあまり目を合わせず、虚空に落ち着きなく目を泳がせながら話す時間が長かった。

元FBI捜査官が「人はウソをつくとき相手の顔の斜め上を見て話す」と書いたことを筆者は思い出してしまったが、実際にはどうだったのだろう。政治家の発言の真偽を確認するサイト「ポリティファクト」によれば、トランプ氏は大統領選を戦ったどの候補よりもウソが多いという。またエコノミスト誌は、「トランプ氏は、どれほど事実の裏付けのない言葉であっても、票さえ獲得できるのなら躊躇なく口にする」と分析している。

他方、この日も論戦を形づくることができなかったクリントン氏は、討論の終盤、トランプ氏を「異世界の住人」と評した。暖簾に腕押し、議論にならない相手という意味だろう。こうした言葉を対立候補の面前で口にするのはたいへん異例なことだから驚いた。クリントン氏はよほどのじれったさを感じたのだろう。政策論でトランプ氏を叩きのめそうという戦法は今や手詰まりに陥っている。

だが本当に手詰まりなのは、有権者だ。これほどまでにトランプ氏が政策を語らず、ウソをつき続け、そうかといってクリントン氏も信用ならないのであれば、いったいどうすればいいのか。人々は今週もまたサタデーナイトライブが用意しているに違いない新ネタに爆笑し、カタルシス(鬱積した心情の浄化、解放)を得るしかないのだろう。

本稿の執筆時点でトランプ氏は、続出するスキャンダルの火消しに躍起になっているように見える。11月8日の投票日までにトランプ氏が傾聴に値するメッセージを有権者に向けて発することはあるのだろうか。

wemen-for-trump

トランプ氏の「わいせつ会話テープ」が暴露されたニュースを伝えるCNNの番組。キャスターの後ろには「Women For Trump」というプラカードを掲げた女性が映っている。ここまで来てもトランプ支持をやめない女性が多いことに驚かされる(筆者撮影)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『もしトランプが大統領になったら トランプの請求に日本は従うことしかできない 沖縄から見た駐留経費問題』(10/18 日経ビジネスオンライン 寺岡篤志)について

本記事の前泊博盛氏は沖縄国際大学教授とありますが、元琉球新報論説委員長です。さもありなん。中国を脅威と見ていなくて、遠くの米国と付き合うメリットはないと論じています。左翼リベラルの脳内お花畑の典型でしょう。中国は、共産党一党独裁の人権抑圧国家であるということと民族的特質である「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という人たちなのに、仲良くするという事がどういう意味を持つのか分かっていません。谷崎光著『国が崩壊しても平気な中国人・会社がヤバいだけで真っ青な日本人』(2016/8/5刊)を読んでもらうと良いでしょう。小生が本ブログで縷々述べてきたことが事例を挙げて詳しく説明してくれています。拝金主義、賄賂、黒社会の存在、騙すのは商慣習・戦場で兵法を使うのは当り前のこと(P.216)」、「平均値で言えば、中国人の能力が日本人に勝ることは、本当にない。仕事のチームワーク、人の誠実さ、ミッション達成の確実性、長期的な視野を持つこと、全部日本人が上である。ただ一つのことを除いては。日本人が中国人に金を積んでも学ぶべき、たった一つのことがある。それは、不安定な世をいかに生き抜くか、である。(P.41)」、中国と日本が戦争になったら、著者は「日本が勝つ」と言ったら中国人は「1億人の難民が日本に押し寄せる」(P.83~85)と脅されたそうな。冷静に考えれば、敗戦国の国民は戦勝国に難民として押し寄せられるのでしょうか?第二次大戦のドイツの敗戦のようにナチが崩壊して、政府がなくなったときのことを想定しているのでしょうか?或はベトナム戦争時のボートピープル?

トランプが大統領となって負担増を押し付けられても7000億円が1兆円になるだけ。単独防衛すれば小川和久氏によれば30兆円かかると言われていますし、自衛隊員の数も人口の1%弱の兵力120万体制(現在の5倍)に増やさないといけません。非常に非現実的な議論を前泊氏はしているような気がします。流石、琉球新報出だけあって、日本を中国の属国にしようと動いていることが見え見えです。今の時代中国の情報はいくらでも取れますし、新聞社OBであれば自由自在に取れるでしょう。暴動の記事や陳情の記事なども。それでも中国のような国と付き合うという気が知れません。

http://togetter.com/li/60708

自主防衛は賛成ですが、単独防衛は無理です。やはり、同盟で補わないと。蒋介石が取った戦略を日本がすれば良い訳です。

記事

「日本は米軍の駐留経費を全額負担せよ。払わなければ、米軍撤退も辞さない」――。米共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏の在日米軍を巡るお騒がせ発言は、日米安保体制が持つ「金で安全を買う」というある種の歪みを映し出していると言える。

在沖縄米軍基地の全廃を訴える前泊博盛・沖縄国際大学教授は、もしトランプ氏が米大統領になったら「日本は唯々諾々と駐留経費を払ってしまう」と予想する。さらに「トランプ発言を契機に、日米安保条約が果たして何を守っているのか、日本がお金を払うだけの価値があるものか、考え直さなければいけない。中ロとの間に経済的な安保体制を組み立てることこそ日本の取るべき道だ」と主張する。(聞き手 寺岡 篤志)

日経ビジネスオンラインは「もしトランプが大統領になったら…」を特集しています。 本記事以外の特集記事もぜひお読みください。

hiromori-maedomari

前泊博盛氏(まえどまり・ひろもり)氏。1960年、沖縄県宮古島市生まれ。明治大学大学院博士前期課程(経済学)修了。1984年に琉球新報に入社し、社会部や政治部の記者として、防衛省、外務省、旧沖縄開発庁の取材に従事。2011年から沖縄国際大学経済学部教授。専門は基地経済の研究。

—トランプ氏は、米軍の駐留経費の100%支払いを、日本を含む各国に求めると発言しています。これをどのように見ていますか。

前泊:まず前提として、トランプ氏は防衛に関して無知だと思いますね。誤った情報に基づく発言であることは踏まえておいた方がいい。

—日本はいわゆる思いやり予算など7000億円以上を負担していると言われています。過去のデータでは負担割合は7割超です。

前泊:トランプ氏はそのことを知らないと思いますよ。自分に都合のいい情報だけを元に発言を構成するのは、彼独特の論理展開の仕方ですね。刺激的な数字や情報があれば、そこを一点突破していく。そういう仕掛け方が非常に上手です。

「日本は十分な駐留経費を払っていない」と言えば、日本の安保体制に疑問を抱いている米国民は、なぜ日本のために米国の若者が血を流す必要があるのか、と反応する。事実でない情報で、米国民の頭の中の情報を勝手に操作してしまう。大統領候補の発言として一定の信頼がありますから。

—裏を返せば、トランプ発言を受け入れる素地が米国民にあるということですか。

前泊:やっぱり格差の問題があります。中間層から下のクラスが、この怒りをどこにぶつければいいか考えている時に、ターゲットが示されると、そこに向かってしまう。そういうところを上手に操作しているなという気がします。

「結局はみかじめ料か」

日本に対しては、「金を払わないならば守らないよ」とまるでみかじめ料をやりとりすることで日米同盟が成り立っているかのような印象を与えました。日本人は「結局、お金なのか」「相互信頼に基づくグローバルパートナーシップというのは建前だったのか」「トモダチってそんなものだったのか」と感じているでしょう。

トランプ氏はこのことをストレートに表現してしまった。米政府も「え? 本音を言っちゃった?」と思っているかもしれない(笑)。

—米軍が沖縄に海兵隊を配置しているのは、アジアでの抑止力のためと言われてきました。米国の中でその意味は薄れてきているのでしょうか。

前泊: 米軍は数百の基地を海外に展開しています。このうち沖縄の基地について、沖縄の四軍調整官を務めたウォレス・グレグソン氏が最も安上がりの基地だ、という趣旨の発言をしています。この発言は、「米軍の海外基地はコストが高すぎる。縮小を検討すべき」と米議会が問題提起した時のものです。グレグソン氏は、コストの低さから「沖縄からの撤退は最後でいい」と主張しました。

もう1つ大事なことは、マグネット論です。海外基地は、本国に攻撃を加えられないようおとりの役割を果たしているということです。

沖縄の基地は安上がりでマグネット効果があるという見方は、日米同盟を損なう可能性があるので、米政府はあまり流布しないようにしている。

—つまり、米国が保有する海外基地の重要性は薄れているものの、沖縄の基地にはまだ必要性がある。であるにもかかわらず、トランプ氏は必要ないとしているわけですか。

前泊:必要じゃないと思っている人も多いでしょう。というより、米国民は沖縄に基地があることをあまり知らないんですよ。米国民は政府がやっていることを全部知っている、と思ったら大間違いです。日米同盟があることすら知らない人も結構いるかもしれない。米連邦議会の議員だって沖縄に5万人も米軍人と関係者がいたことを知らない人が多い。

日本政府は、米軍は何から何を守っているのかを真剣に考えなくてはいけない。日米安保条約があっても米軍が日本を守るとは限らない。最近は防衛の専門家の口からもこんな言葉が出てきています。米国との同盟関係を今後も死守するなら、日米安保条約で日本が守るべき国益とは何なのかを検証する必要がある。

米国は国益委員会をつくってずっと議論している。米国が覇権国家として君臨できる体制をつくることが、最重要の国益として位置付けられています。同盟国において米国が国益を確保するためにどうするべきかも分析しています。例えば日本に対しては、自民党以外の政党を政権に就かせないという内容が出たこともあります。

日本も国益委員会をつくるべきだ、と2000年ごろに守屋武昌さん(元防衛事務次官)と話したことがあります。彼は内々に国益の検証を試みて、「この国は二律背反が多くて国益がまとまらない」と言っていました。自衛隊が何から何を守るのかという議論もまとまらない。だから場当たり的にしか自衛隊を動かすことができない。

日本はトランプ氏の負担増要求に応える

—翻って日本から見た米軍基地について。トランプ氏が大統領になっても本当に駐留経費を払えと言うかどうか疑問はあります。ここはしかし、仮定を重ねて、仮に大統領になり、仮に駐留経費を払えと言ったとする。日本は払うと思いますか。

前泊:払うと思いますよ。駐留経費を7000億円ぐらい払っているけれども、世界最高の軍隊を番犬として雇えるならまだ安上がりと思っているでしょう。日本の保守勢力はこのことをストレートに言わないようにしてきた。言ったら米軍が引き上げちゃうかもしれないから。

ただ、トランプ氏はそこを揺さぶってくる。日本が出すというなら、さらにつり上げてくる。もっと出せと、嫌だったら引き上げるよと。その時、日本人はどこまでなら許容できるのか。

base-hutenma

移設問題が過熱している普天間基地。沖縄国際大学に隣接している。

base-hutenma-2

沖縄国際大学から見た普天間基地。木の陰には垂直離着陸輸送機オスプレイも見える。

例えばオスプレイを17機買いますよね。これは全部で3700億円ぐらいと言われています。この支出が、高いのか安いのかの議論がないまま決まる。辺野古に普天間基地を移すことも、その移転費用が適正か、十分な議論はされていない。

日本の安全保障は結局、米国に全権を委任する形になっています。お金の請求も鵜呑みにするしかなかった。日本国民は戦後70年間、米国に求められるがままにお金を支払うことに疑問をもってこなかった。しかし、トランプ氏の発言を契機に催眠術が解けるかもしれない。国立競技場の建築費と同様に、米国に現在支払っている金額が正当なものかどうか考え始めることになる。

—もしトランプ氏が請求をつり上げた場合、どこまでついていくんでしょう。

前泊:今の体制だと、「どこまでも」でしょう。米国は交渉上手なのです。

米国は1960年代に辺野古に新基地を建設する構想を作ったことがあります。これは、ベトナム戦争の最中だったため、予算が付かずお蔵入りになった。でも今回、「辺野古への移設を求めたのは日本なんだから、日本がお金を出せ」と主張して辺野古に基地を造らせている。

こういうタフネゴシエーターが米国にはいるけれども、日本にはいない。だからどこまでもお金を持っていかれるだけ。

—さらに仮定を重ねてしまいますが、もし日本がもう付き合えないとなった場合、本当に米軍は撤退するのでしょうか。

前泊:撤退しても米国に痛みはないと思いますよ。原状回復義務もないし、むしろ残していく施設を売ってお金に換えるでしょうね。

「経済安保が生きる道」

—トランプ氏が大統領になったとき、日本の安保戦略をどう見直すべきだと思いますか。

前泊:日本が守るべき国益は何かを問い直した時、例えばアジア全体で作り出す経済的利益がある。今はなぜ日米安保体制だけを重視しているのでしょう? 米国はそれこそ世界100カ国と安保体制をつくっている。なのに、なぜ日本は中国やロシアと結ばないのか。

軍事力を使った安全保障体制ではなく、経済的な手段を使った安全保障の確保でいい。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を作ったら、参加しないよう米国が牽制してくる。問われているのは自主的な外交をする能力です。

—中国とどういった距離感を保つかはものすごく難しい。そもそも沖縄に基地がある理由に中国を挙げる人も多い。

前泊:沖縄の基地はもともと日本を占領するための最前線拠点でしょう。それが朝鮮戦争やベトナム戦争に直面し、東西冷戦を戦うための基地に変貌した。そして今はアジアで米国の利権を確保するための基地になっている。

なぜ環太平洋という無理矢理な言い方で米国はアジアに入ってくるのか。アジアはアジアにおいて、アジアの人の血を一滴も流さない安全保障体制を作らないといけない。EU(欧州連合)と同じようにAU(アジア連合)をつくる。紛争が起きないよう話し合う利害調整機関をつくる。EUのような共同体ができれば、絶対に血は流れない。

自民党の重鎮でも危機意識を持って動いている人は居ますよ。ご近所とけんかをして、遠い米国と仲良くするっておかしな話でしょう。中国は脅威だと言われますが、最大の貿易相手国を脅威として見るのが正しいか。

「基地の撤収はむしろ沖縄を潤す」

—前泊先生の専門である基地経済について伺います。米軍が沖縄から引き上げた場合、問題はありませんか。

前泊:今、沖縄は空前の好景気です。国内外からの観光客が年間1000万人に届こうとしている。特にアジアからの流入が増えています。だから空港が足りない。米軍が嘉手納飛行場から撤退すれば、国際空港としてすぐ活用できますよ。撤退に至らなくても、岩国航空基地(山口県)のように軍民共用で使えばいいのです。

american-village

観光需要に沸く沖縄。写真は北谷町の商業施設「アメリカンビレッジ」。

嘉手納飛行場の滑走路のように、米軍が撤退した後の基地には活用できるものがたくさん残ります。例えばF15の掩体壕。あれは横をふさげば、東京ビッグサイト以上の見本市会場になります。これらを一つ一つ検証し、何に使えるかを調べているところです。そういうビジネスを米国とできるようにしたいですね。

仲井真弘多県政時代から県庁が作っていた資料に、基地返還地における経済効果を予測したものがあります。例えば普天間飛行場が沖縄にもたらす経済効果は現在120億円ですが、返還されれば3800億円まで増える。すべての施設を合計すると、基地があることで逸失利益が1兆円ぐらいある。

日本政府が今、沖縄振興予算をカットすると揺さぶりをかけています。これは、県民に健全な危機感を持たせるむしろポジティブな効果があるのではないかと思っています。これまでは政府と協調路線を取る保守県政の方が振興予算が減る傾向にあった。逆に革新県政になると増える。直近の最も低額の時で年間2000億円強。この程度までなら減らされても沖縄は大丈夫ですよ。

米軍は尖閣を守っていない

—経済的手段で安保体制を築きリスクを減らすとして、米軍基地を全てなくすことは可能でしょうか。

前泊:駐沖縄米軍の縮小をうたった SACO(日米特別行動委員会)合意が生まれた背景には、沖縄県がつくった基地返還アクションプログラムがあります。このプログラムでは2015年までに基地を全廃することになっている。これは当時の橋本龍太郎首相も受け入れた計画です。基地が全部なくなってもよい体制を日本も沖縄も常に考えないといけない。

フィリピンは急に米軍が撤退して大変なことになった。日本は米軍が居なくなるときに備えてリスクヘッジしないといけないんですよ。

—経済的な安全保障体制で、米軍が持つ抑止力としての機能を完全に代替していくということですか。

前泊:例えば米軍から返還された土地に米ボーイングの整備工場や中国の物流企業のセンターを誘致し、経済安保の拠点にする。ほかにも香港、マレーシア、シンガポールといったアジアの国々が拠点を置いたら、沖縄をたたこうと思う国はないですよ。

使われない射爆撃場

—尖閣諸島に対する脅威は経済安保で排除できますか。

前泊:日米地位協定に基づいて日本が米国に提供している施設の中に、赤尾嶼 (せきびしょ)、黄尾嶼 (こうびしょ)という射爆撃場があります。これは尖閣諸島の大正島、久場島にあります。

大正島、久場島の接続水域にロシアや中国の軍艦が入ってきて大騒ぎになっても米軍は動かない。沖縄県の資料では、両施設は1979年から特に訓練が行われていません。もし米軍がここで演習したら抑止力になりますよね。中国軍機が入ってきたら自衛隊にはスクランブルがかかるのに、米軍はここを使わない。米軍は尖閣を守っていないんですよ。

—バラク・オバマ米大統領は、尖閣は安保条約5条の対象だと言っています。

前泊:対象だけど、自分たちで解決しろということでしょう。たかが岩山ごときのために、アジアにおける最大の貿易相手国である中国と対立することはないのです。日本との貿易量は中国とのそれに比べるべきもない。尖閣ごときのために中国とけんかして米国に何の得があるかと米国は考えていますよ。損得で見れば米国が動かないのは理解できます。

米国にとっての損得、中国にとっての損得、それを見定めた上で日本の安全保障を議論することが必要です。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『日露会談、領土問題の先にある巨大な“果実” ロシアへのインフラ輸出は日本経済を潤す』(10/18日経ビジネスオンライン 管野沙織)について

10/17日経朝刊<北方領土に共同統治案 政府、日ロともに主権行使 12月首脳会談で協議探る

日本政府がロシアとの北方領土(総合・経済面きょうのことば)問題の打開策として日ロ両国による共同統治案を検討していることが16日、分かった。最終的な帰属の扱いで対立する国後・択捉両島などでともに主権を行使する手法で、双方が従来の主張を維持したまま歩み寄れる可能性があるとみている。北方四島のどの島を対象にするかや施政権をどちらの国にどの程度認めるかなど複数の案を用意し、ロシア側との本格協議に入りたい考えだ。(解説総合・政治面に)

four-nothern-islands-in-japan

condominium-with-japan-russia

複数の日ロ政府関係者が明らかにした。5月のソチでの首脳会談で安倍晋三首相がプーチン大統領に示した「新しいアプローチ」による交渉の一環で、首相の地元・山口県で12月15日に予定する首脳会談での協議入りを探る。ロシア政府はこれまでの接触で日本側の意向を一定程度把握しているもようで、課題の洗い出しの作業に入ったとの情報もある。

日ロが北方領土問題を巡り共同統治による打開策で基本合意できれば、両国で結べないままでいる平和条約の交渉も加速するのは確実だ。

日本政府は北方四島の帰属を解決したうえで平和条約を締結する立場だが、1956年の日ソ共同宣言に明記した歯舞群島と色丹島を引き渡す「2島返還」での決着を目指すロシア側との接点を探るには一定の譲歩は避けられないとみている。

共同統治案を「引き分けによる解決を求めたプーチン氏の意向を踏まえた打開策」(首相周辺)と位置づける。4島を実効支配するロシア側にも譲歩を求める内容でもあり、プーチン政権は日本に要求している経済協力の進展も見据え、受け入れの可否を決めるとみられる。

共同統治は複数の国家が合意により同一地域や住民に共同して主権を行使する。過去には英国とフランスが南太平洋のバヌアツで80年の独立前に実施した例などがある。

日本政府は北方領土に共同統治を導入する場合、歯舞・色丹は日本に返還し、国後・択捉は共同統治とする案を軸に調整に入りたい方針。日本が強い施政権を確保することを条件に4島全域や歯舞・色丹、国後の3島を共同統治の対象とする案も用意する。

どの島を対象とするかや、施政権の範囲は今後のロシア側との調整に委ねられるが、ロシアが4島全体の強い施政権を求める可能性もある。

現在、北方四島にはロシア人約1万7千人が住み、日本人居住者はいない。共同統治を導入した際の施政権の行使については、まず元島民を中心に日本人の往来や居住を自由にし、北方領土に常駐する日本の行政官がこれを管理する方式の採用などが考えられる。

ただ島内の日本人の経済活動や、警察権、裁判管轄権をどう扱うかなど詰めるべき点は多い。それぞれ自国の法律を自国民に適用するか、共同立法地域にするかも決める必要がある。共同統治地域を米国が日本防衛の義務を負う日米安全保障条約の対象とするのかも課題だ。首脳間で基本方針の合意に至っても、実現に向けた事務レベル交渉や立法化の作業は数年かかるとの見方が多い。>(以上)

これに対し10/17産経ニュースは<菅義偉官房長官「事実ない」 日本政府が北方領土の日露共同統治案検討との「日経」報道を否定

菅義偉官房長官は17日午前の記者会見で、日本政府が日露両国による北方領土の共同統治を検討中との同日付の日本経済新聞朝刊の報道について「そうした事実はない。全く考えていない」と否定した。

菅氏は北方領土問題に対する日本政府の対応について「北方4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する。その従来方針に全く変わりはない」と説明した。

日経新聞によると、共同統治は安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領に示した「新しいアプローチ」による交渉の一環で、日本政府が北方領土問題の打開策として検討。今年12月15日に安倍首相の地元・山口県で開かれる日露首脳会談で協議入りを探るとしている。>(以上)

日経記事はアドバルーンで日本国民の思いを測るために打ち上げられたのでは。菅官房長官が即座に否定したのも演技かも。でも日経記事にありますように、12/15にここまで詰まることはないでしょう。時間がかかります。そうなれば1月解散もなくなるのかも。そうであるなら、11/30臨時国会閉幕に合わせて総選挙にした方が良いのでは。予算や税制も総選挙の後に議論して決めたらどうか。選挙で国民の反発を恐れて、踏み込めないままというのより、良い気がしますが。

本記事の著者は「菅野 沙織(すげの・さおり)

大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパ・経済調査部副部長/新興国市場エコノミスト

saori-sugeno

モスクワ生まれ。中央大学の研究生として来日後、1998年に経済学博士号を取得。2002年日本に帰化。2005年に内閣府経済社会総合研究所の客員研究員に就任。2006年大和総研入社、2014年から大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパのエコノミスト。ロシアのプーチン大統領来日時、日本経団連幹部との会談の通訳を務めた経験もある。

◇主な著書  『ロシア人しか知らない本当のロシア』(日本経済新聞出版社) 2008 『ジョークで読むロシア』(日本経済新聞出版社) 2011」ということです。

ロシアから帰化したからと言って、簡単にロシア側の情報が入手できることはないでしょう。ただロシアが何を望んでいるかと言えば、経済協力①資源の安定買付②シベリア開発③中国人のシベリア入植防止のための日系企業進出辺りかと分かります。

中国への封じ込めは日ロにとっての共通課題です。ロシアは璦琿条約で清から領土割譲を受けた土地を中国人は「回帰」しようと考えていますし、日本の尖閣は名分もないのに奪おうとしています。この侵略大国の膨張主義を共同で、防げるようになれば良いと思います。ただ、米ロの関係がおかしくなってきているのが、交渉にどのように影響するかです。

記事

abe%e3%80%80%ef%bc%86-putin-2

今年9月、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで会談した安倍首相とプーチン大統領(写真=TASS)

ロシアのプーチン大統領の来日まで後2カ月余りとなった。

12月15日には安倍総理の故郷である山口県長門市で首脳会談が行われる予定である。サミットでは、「静かな環境」の中で両首脳が膝突き合わせて行うフェイス・トゥ・フェイス(直接)会談が重視される模様である。今回の首脳会談の結果は大きく注目されており、領土問題の解決に向けた進展や近い将来の平和条約締結への期待が寄せられている。

戦後70年余りを経ても双方の歴代リーダーたちによる領土問題解決に向けた努力が実らず、日露間では平和条約がいまだに締結されていない状況が続く。ただ、この「異常状態」が今度こそ打開できるのではないかと期待する声が高まっている。実際、根拠はいくつか存在する。

一つは日本政府がロシア側に提示した、経済協力関係の拡大を重視する8項目からなる新アプローチの「形」と「中身」の効果である。このアプローチの強みは、目に見える形での経済協力をとっており、過去にはなかった新たな挑戦ということである。

これまで、70余年に渡り続いてきたロシアへのアプローチは、実質的に何の成果も得られず、失敗だったと言わざるを得ない。日本政府側にも、従来のアプローチを変えない限り、交渉が成功する可能性はゼロに近いという焦燥感はあるだろう。

その変化の結果が、新アプローチの中身ということになるが、ここでのポイントは、ロシア側が重視している経済協力関係の拡大に焦点を当てたことだ。ロシア人がよく使う「共同経済活動」を重視したアプローチは、相手の要望に耳を傾け譲り合う姿勢を示している。この点が、従来の日本政府にはない変化であり、関係者に今回の会談が成功につながる期待感を与えている。

もちろん、その最終的なゴールは領土問題の解決だ。仮に新アプローチが領土問題解決につながらないのであれば、こうしてロシアへの経済協力ばかりしていいのか、という疑問の声は実はよく聞かれる。

ただ、ここで重要なのは、視点を領土問題から少しずらし、対ロシアの新アプローチは日本経済にどういう影響を与えるかについて考察することである。なぜなら、外交戦略である「新アプローチ」は事実上、対ロシアに限らず世界を舞台にした日本政府のインフラ輸出戦略そのものだからである。

ロシアへの経済協力は「インフラ輸出戦略」

2013年5月に発表された「インフラシステム輸出戦略」(その後、毎年改定されているが、当初の構想やガイドラインの大枠は変わっていない)では、インフラ輸出による日本の経済成長の実現という同戦略の目的が強調されている。

官邸のウェブサイトに掲載されている「インフラシステム輸出戦略」の原文(2013年5月)によれば

「・・・新興国を中心とした世界のインフラ需要は膨大であり、急速な都市化と経済成長により、今後の更なる市場の拡大が見込まれる。このため、民間投資を喚起し持続的な成長を生み出すための我が国の成長戦略・国際展開戦略の一環として、日本の「強みのある技術・ノウハウ」を最大限に活かして・・・(中略)・・・我が国の力強い経済成長につなげていくことが肝要である。」(第1章総論、p.4)。

「インフラシステム輸出戦略」の上記のガイドラインには、目的はもちろんのこと、具体策も明確に書かれているほか、具体的な分野や地域別の取り組み方針も明記されている。対象地域は、驚くには及ばないが、ロシアも当初から含まれている。

2013年に発表された戦略には「ロシア」に対するインフラ輸出戦略とは「ロシアでは、我が国の経験を活かし都市環境、運用インフラ分野で協力」と書かれている(上記、p.26)が、16年の改訂版には、同じくロシアを対象とした戦略としては「・・・都市環境分野で、モスクワ等における都市開発、木造建築、廃棄物処理、管路更生等で両国の協力を推進。運輸インフラ分野で、シベリア鉄道等の鉄道事業、空港等について検討を深度化。医療・保健分野で、ロシア極東地域の拠点として画像診断センターを開設し、検診・診断の事業を展開。郵便分野で、日本製郵便区分機の納入や郵便事業間での協力促進を支援。」と掲載されている(p.46)

つまり、インフラ輸出を目的とする経済活動分野が拡大していることが分かる。

そして、本年5月の日露首脳会談の際にロシア側に提案された8項目の新アプローチは、以下の分野に及ぶ(日本外務省のホームページより)。

(1)健康寿命の伸長  (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り  (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大  (4)エネルギー  (5)ロシアの産業多様化・生産性向上  (6)極東の産業振興・輸出基地化  (7)先端技術協力  (8)人的交流の抜本的拡大

この内容を政府のインフラ輸出戦略と照らし合わせてみよう。新アプローチの(1)が医療、(2)が都市環境、(4)が資源確保の関連事業、(5)と(6)が文字通り極東の産業振興・輸出基地化、そして(7)はこの戦略を支えるために不可欠である人的交流の拡大に重なる。提案が、政府の日本経済成長と関連性のあるインフラ輸出戦略の一部であることは明らかである。

ここまで理解できたとして、次は、新アプローチの中身だ。これがインフラ輸出戦略に沿ったものであるとしても、日本政府がこのアプローチをあくまでも領土問題解決に向けて利用したとする。人口2万人弱の北方四島の開発関連のみが対象なのであれば、果たして日本全体に経済的な利益をもたらし、景気対策になりうるのだろうかという疑問が残る。

日本の景気浮揚につながる

この疑問に対する答えの一端を、今年9月のウラジオストクでの会談で垣間見ることができた。

9月、ウラジオストクで開催された今年で2回目となる東方経済フォーラムにおいて再度日露首脳会談が実現した。同フォーラム(9月2~3日)では、9月2日に行われた安倍総理とプーチン大統領の首脳会談、続いて3日に行われた安倍総理の基調講演が大きな注目を集めた。

9月2日の首脳会談では平和条約に関して率直な議論があったと見られるほか、プーチン大統領の訪日が確認されるとともに、12月15日に山口県長門市で首脳会談を行うことでも合意された。加えて、平和条約締結に向けての動きが加速していることを反映する形で、12月の首脳会談を前に、11月にペルーで開かれるAPEC会議でも首脳会談を実現することで合意したことも発表された。

実際、1回目の東方フォーラムは「中国重視」の色が濃かったが、今回は日本側の参加者の顔ぶれ(政府関係機関だけでなく日本を代表する事業会社や金融機関のトップなども参加)と参加人数から見て、「日本重視」であったのは明らかである。

同フォーラムでは具体的な大型案件についての正式な発表こそなかった。だが、日本政府は同フォーラムの前日である9月1日にロシア経済協力相を新設(世耕経済相が兼任)するほどロシアとの経済協力拡大への「本気度」を示した。

ロシア側もこうした動きに呼応する形で領土問題解決に前向きな姿勢を示し始めている。プーチン大統領はブルームバーグとのインタビューにおいて、平和条約の締結を重要課題と位置づけ、今後日本側との妥協案を模索しながら解決に向けて努力していくという、これまでに見られなかったスタンスだ。

フォーラムでは首脳会談と同じ時間帯に日露経済会議が開かれ、両国の経済関係の拡大について議論が交わされ、具体策についても話し合われた模様であり、12月のプーチン大統領の来日の際には大型案件が発表されると示唆されている。

日露間の会話が政府レベルで活発化していることから、大型投資案件については水面下で交渉が行われていることが窺われる一方、詳細についての公式な発表はまだない。一方、先日は日本のメディアが、シベリア鉄道を北海道まで延伸させ北海道とサハリンを鉄道で繋ぐという、ロシア側が提案したと言われることに対する日本側が検討中とされる案件についての「リーク」情報を報じた。

加えて、開通から100年余り経過しているシベリア鉄道の一部である、極東のウラジオストクとロシア連邦に属するタタールスタン共和国の首都カザンを結ぶ線(800km)を高速化する提案も存在すると報じられた。仮にこのような交渉が一定の成果を挙げるならば、日本の建設業界や高速車両メーカー、信号システムなど運営関連のIT(情報技術)事業を担う日本のメーカーには大きなビジネスチャンスが訪れるといっても過言ではない。

興味深いのは、日本の報道を受けたタス通信をはじめとするロシアのメディアが、シベリア鉄道の延伸・現代化のプロジェクトについて一斉に報道し、日露関係の行方についての高い関心を裏付けたことである。

経済協力の案件はシベリア鉄道の現代化プロジェクトだけでは終わらないようだ。他にも、ロシア極東で発電される電気を海底ケーブルで北海道あるいは本州までに送電する「エネルギーブリッジ構想」も検討されていると報じられている。

対ロシアの投資に限らず競争が激しい大型インフラ輸出の受注を勝ち取るには、やはりトップセールス、つまり総理の力と相手国のリーダーとの信頼関係が極めて重要である。その意味で、対ロシアの新アプローチはまさに、日本のトップによるインフラ輸出の売り込みとも言える。

ロシアにとっても経済支援は干天の慈雨

ロシア政府は領土問題解決に向けて軟化した前向きな姿勢を示し始めたが、その背景として、新アプローチの効果以外にもロシア側に事情があることは想像に難くない。実際、2014年3月のクリミア併合とウクライナ東部の紛争を巡り欧米との関係が著しく悪化した結果、対露制裁が課された。

同年の夏には一時100ドルを超えた原油価格が下落し、2年経過した現在も1バレルあたり50ドル前後で推移している。制裁により国際金融市場から事実上シャットアウトされた上、輸出の7割をエネルギー関連が占めるため原油価格下落によるマイナスの影響を大きく受けたこともあり、意外感はなかったであろうがロシア経済は2014年下期には景気後退状態に追い込まれた。

しかし、2015年の夏頃にはロシア経済も底打ちし、徐々ではあるが回復に向かい始めた。国内経済は制裁と低原油価格という「ニューノーマル(新常態)」に適応し始めた模様であり、規模は縮小したものの貿易黒字と経常黒字が維持されているほか、ルーブル相場も安定している。

1年前には2桁台だったインフレ率が半減し、経済成長は来年からプラス転換する見通しである。ロシア政府には極東地域開発に注力する余裕も生まれつつあるが、日本の協力を取り付けることができれば、その開発が極東地域のみならずロシア国内の景気を大幅に押し上げるとの期待が寄せられている。

日露両国、両政府には「事情」があるが、今回、両国には政治・外交面、及び互いの経済活性化に向けて効果が得られる環境が整っていると言えるだろう。領土問題解決と平和条約締結に向けての本格的な合意の準備が年内に完了する可能性があるとすれば、プーチン大統領の12月の訪日後、次の世代の歴史教科書には日露関係に新しいページを開いた「長門協定」が記載される可能性もある。

12月の訪日が、歴史に残る動きとなることが期待されている。

※本稿は著者の個人的な意見であり、所属する組織の見解を表しているものではありません。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。