『南北会談は「政治ショー」で非核化に進展なし、元駐韓大使が論評』(5/1ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)、『北朝鮮が突然、核開発・外交スタンスを豹変させた理由』(5/1ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)、『日本が過小評価する南北宥和が狭める米の選択肢 四者協議の対象は休戦協定にとどまらない』(5/1日経ビジネスオンライン 森永輔)について

4/27NewsWeek 遠藤誉<金正恩の心を映す、中国が描く半島非核化シナリオ>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-10062_1.php

5/2日経朝刊<米国防次官補「核の傘、米朝協議の対象外」 アジア太平洋フォーラム

【シリコンバレー=永沢毅】日米の有識者が安全保障の課題を話し合う「第2回アジア太平洋地政経済学フォーラム」が30日、米カリフォルニア州スタンフォードで開かれた。ランドール・シュライバー米国防次官補は講演で、今後の米朝協議では日本や韓国への「核の傘」の提供を含む「拡大抑止」は議論の対象にはならないとの認識を表明。そのうえで「拡大抑止を強化しないといけない」と訴えた。(関連記事国際面に)

シュライバー氏

拡大抑止とは同盟国が攻撃を受けた場合に自国への攻撃とみなし、核戦力による反撃も含めて報復する意思を示すことで第三国に攻撃を思いとどまらせる考え方だ。「朝鮮半島の非核化」を唱える北朝鮮は今後の米朝協議で自らの核放棄にとどまらず、在韓米軍の撤収や韓国への「核の傘」の提供までやめるよう求めてくる可能性が指摘されている。核の傘がなくなれば、東アジアでの米軍の抑止力は著しく減退する。

シュライバー氏は「北朝鮮は『非核化』を広い意味で使ってきた」と指摘。そのうえで「私たちの同盟国防衛に関する決意は少しも揺るがない」と強調し、こうした懸念が生じないよう努める姿勢を示した。核放棄を実現するまで「最大限の圧力」を維持すべきだと訴えた。

フォーラムは日本経済新聞社、米フーバー研究所の共催。石破茂元防衛相、長島昭久元防衛副大臣らが出席し、北朝鮮情勢やアジアの通商政策などを巡って議論を交わした。>(以上)

本日はいろんな記事を載せていますので、コメントは短くします。遠藤氏は「中朝韓で米軍の北への攻撃をかわし、中国の経済支援で北の経済を発展させると中国が考えている」との記事ですが、日経記事では米国は中朝の思い通りにはさせないという意思を感じました。そもそも国際法に反することをしてきた方が悪いのであって、だから国連が経済制裁してきたのではないですか?非核化もせず、今までのかけた時間とコストを北の核保有の正当化の理由にする時点で中国の自己中心さが窺えます。

CVID(Complete, Verifiable, Irreversible Dismantlement))に基づく北の核放棄が前提での米朝交渉で経済制裁緩和なぞもっての他です。共産国の好き勝手にはさせないことが重要です。5/2朝のNHKニュースではドミニカが台湾と断交したと言っていました。札束外交です。共産中国を富ませると碌なことになりません。米国の対中姿勢は正しいです。

森記事の中で「日本は蚊帳の外」というのは、左翼の論調です。昨日の本ブログで高橋洋一氏が論破していました。武貞氏はいつも思うのですが「日本ファースト」でなく「朝鮮半島ファースト」です。どんな国民でも普通「自国ファースト」となると思うのですが、ならないというのは日本人ではないのか、影響を与える女性がいるのか分かりませんが不自然な気がします。そう言えばシュレーダー元首相が韓国人男性に民事訴訟を提訴されました。不名誉なこと。韓国人と付き合うと碌なことにならないという典型です。4/30中央日報<シュレーダー元独首相パートーナーの韓国人前夫が1億ウォン求める訴訟「婚姻破綻に責任」>

http://japanese.joins.com/article/992/240992.html

武藤記事

板門店宣言に署名した後、抱き合う金正恩委員長と文在寅大統領 Photo:代表撮影AP/AFLO

「主演・金正恩、共演・文在寅」の政治ショーだった南北首脳会談

世界が注目する中、4月28日に行われた「南北首脳会談」は、「主演・金正恩、共演・文在寅」の“一大政治ショー”だったといえる。

確かに、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長について、新しい側面を見みることができたのは事実であり、その意味では新鮮だった。

まず、軍事境界線での出会いの折、韓国の文在寅大統領を北朝鮮側に招いたことは、演出効果として満点。首脳会談冒頭の発言は、北朝鮮のテレビ放送を通じて見る単調な演説スタイルではなく、時折、冗談を混ぜながら語り掛けており、人間味を感じさせた。そして、朝鮮半島の非核化を目標とする「板門店宣言」を文大統領とともに発表したことも好感を与えた。

これにより金委員長は、叔父の張成澤(チャン・ソンテク)や、異母兄の金正男(キム・ジョンナム)を殺害し、多くの国民を苦しめる“残忍な独裁者”のイメージを改善させることに成功したといえる。

また、多くの韓国人に「南北の平和共存に希望を持たせた」という意味では、率直に評価すべきかもしれない。

今回の会談を通じ、これまで頑なに非核化を拒否してきた北朝鮮が、「核ミサイル完成」をうたって以来、初めて非核化に言及し、しかもそれを「板門店宣言」に明記した。加えて、より広い視野で平和共存のための枠組みを提示するなど、朝鮮半島の緊張緩和に向けて前進したと見ることができるからだ。

では、首脳会談でどのようなことが話し合われたのだろうか。その中身を具体的に見ていくことにする。

まず、年末までに休戦状態に終止符を打つため、「休戦協定」を「平和協定」に転換し、恒久的で堅固な平和構築に向けた「南北米3者会談」、もしくは中国を加えた「南北米中4者会談」を積極的に推進していくとした。

そして、南北首脳会談の定例化と、直通電話を通じた信頼関係の強化により、朝鮮半島の平和と繁栄、統一に向けたいい流れを拡大していくために努力していくとした。その第1弾として、文在寅大統領は今秋、平壌を訪問することになった。

また、国防長官会談を始めとする「軍事当局者会談」を頻繁に開催し、軍事的緊張の緩和を図るとともに、地上、海上、空中すべての空間で、軍事的緊張と衝突の根源となる一切の敵対的行為の全面中止にも合意した。

最大の焦点だった北朝鮮の非核化

今回の首脳会談は、「米朝首脳会談」への橋渡し役を担う意味合いがあった。そういう意味では、「非核化」の問題がどのように取り上げられるかが最大の焦点だった。

首脳会談は、午前と午後に予定されていたが、実質的な会談は午前の1時間40分だけ、午後は板門店宣言の合意を確認するだけだった。当初、宣言の中身は事前の調整でほぼ合意されており、非核化の問題だけを首脳同士で議論すると言われていた。それだけ、非核化の議論が時間を要すると考えられていたからだ。しかし、それが短時間で終わったということは、ほとんど議論しなかったことの表れと見ることができる。

午後に入って、両首脳は植樹の後に散歩を行い、橋の上で報道陣を遠ざけ2人だけで、30分強話し合った場面があった。もしかしたら、ここで非核化について議論したのかもしれないが、お互いの立場を乗り越えて激論を交わしたようには見えなかった。

文大統領も金委員長同様、米朝首脳会談が決裂し、米国が攻撃するような事態は避けたいという“共通の利害”を有している。そういう意味で、米朝首脳会談が円滑に進むよう、文大統領が金委員長に知恵をつけたのではないかとの疑念を抱いたのは私だけだろうか。

とはいえ、南北首脳会談で非核化をめぐる議論に進展がなかったのは、想定の範囲内だ。というのも、北朝鮮にとって非核化の問題は「米朝首脳会談」で解決すべき問題であり、仮に何らかの譲歩を行う意図があっても、それは米朝首脳会談に取っておくのが定石だからだ。

「完全な非核化」に向けた実質的な前進はない

このように見ていくと、今回の首脳会談を通じて日米が求める「北朝鮮の完全な非核化」に向けて前進があったとは、到底言えそうにない。

確かに首脳会談後に両首脳が署名して発表された「板門店宣言」には、「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現する共同目標を確認」という文言が盛り込まれている。韓国側は、この「完全な」という表現にこだわったと言われる。

しかし、「核のない朝鮮半島を実現する共同目標を確認する」という文言からも分かる通り、あくまで“確認”しただけであり“合意”したわけではない。しかもそれは、北朝鮮側が主張している「朝鮮半島の非核化」の丸のみであって、「北朝鮮の非核化」ではないからだ。

そもそも、韓国人には珍しく、非常に回りくどい表現だ。なぜ、直接的に「完全な非核化」に合意したと言えなかったのだろうか。おそらく非核化をうやむやにした上で、日米韓との関係を進めたいという北朝鮮の意を汲んだからだろう。

今回、北朝鮮は非核化を除けば、かなり譲歩して見せた。休戦協定の平和協定への転換を始め、南北会談の定例化、敵対的行為の全面中止に合意したのも、相当な譲歩だ。会談を前にした21日の朝鮮労働党中央委員会総会でも、「核実験とICBM発射実験を中止する」「威嚇のない限り核兵器を使用しない」と表明している。

これは、裏を返せば、北朝鮮が追い込まれているということだ。米軍による攻撃の脅威が現実のものとなったこと、そして経済制裁が効果を発揮し、経済的に行き詰まってきたことがある。そして、非武装地帯周辺が平和地帯になり重火器が削減されれば、北朝鮮の防備は核ミサイルに頼らざるを得ないのが現実。だからこそ、それ以外は譲歩してでも核ミサイルだけは保有し続けたかったのだ。

トランプ大統領は「いいことが起きつつある」

こうした南北首脳会談の結果について、トランプ大統領は「歴史的会談」と評価した上で、「いいことが起こりつつあるが、時のみぞ知る」とツイートした。

トランプ大統領は、北朝鮮の非核化が実現するまでは、圧力をかけ続ける方針を示した上で、ドイツのメルケル首相との共同記者会見の場で、北朝鮮の非核化は「現職の米大統領である私の肩にかかっている」と述べ、米朝会談成功への自信をのぞかせた。

確かに、北朝鮮のさらなる譲歩を引きだすためには、圧力を維持し続けることが不可欠であり、そういう意味ではトランプ大統領の肩にかかっている。

北朝鮮の非核化を巡って、米朝は水面下で交渉していると言われる。ポンペイオ新国務長官がCIA長官として訪朝し、金正恩氏と会談。その中身は不明だが、何らかの“肯定的感触”が得られたのではないかという憶測がある。そうだとすれば喜ばしい。それを踏まえてのトランプ大統領の反応であることを期待する。

中韓の歩み寄りには懸念、国際社会が一体となる必要あり

筆者はこれまで、北朝鮮や文政権に対して厳しい指摘を続けてきた。だが、多くの有識者同様、北朝鮮が非核化に応じてくることについては期待している。しかし、中国や韓国が北朝鮮に歩み寄っている現実に対し、強い懸念も持っている。国際社会が一体となり、北朝鮮に強く非核化を迫っていくことを期待する。

北朝鮮は、米国が北朝鮮敵視政策をやめること、そして北朝鮮経済の立て直しのための支援を求めている。これに対し文大統領は、圧力と同時に、対話の重要性も強調する。

確かに、こうした問題について対話の中で取り上げていくことも重要だ。しかし、それはあくまでも北朝鮮が非核化の道に進むことが前提だ。こうした問題を全体としてどのように進めていくのか、北朝鮮と話し合っていくことが必要だといえる。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

真壁記事

驚くほど豹変した北朝鮮の対外的スタンス

朝鮮労働新聞ホームページより

3月下旬以降、北朝鮮の対外的なスタンスは驚くほど豹変した。これまでの頑強な核開発に対する積極姿勢が、少なくとも表面的には和らいでいる。

これまで北朝鮮は、米国を射程に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射技術を確立し、核の脅威を強調することで体制維持や制裁緩和などの譲歩を米国に求めてきた。4月20日、その北朝鮮が核実験場の廃棄とミサイルの実験中止を発表し、「経済開発を優先する」と政策を修正した。中国はこの発表を歓迎し、北朝鮮への圧力重視の考えを後退させつつある雰囲気になっている。

北朝鮮が方針を豹変させた重要な理由は、中国への「恭順の意」を示すことだ。金正恩政権が独裁体制を維持するには、どうしても後ろ盾である中国との関係を改善し、その関係を維持する必要がある。

昨年の複数回に及ぶミサイル発射および核実験の結果、中国は北朝鮮への懸念を強めてきた。中朝国境地帯での50万人規模ともいわれる難民収容施設の設営や、大規模な軍事演習は、ある意味、中国から北朝鮮への警告とも受け取れる。

もう一つは、制裁措置が徐々にではあるが、北朝鮮を窮状に追い込んでいることがある。北朝鮮のイカ釣り漁船が東北地方沿岸に漂着したことや、洋上での積荷引渡し(瀬取り)の横行にみられるように、制裁は北朝鮮をかなり疲弊させてきた。

こうした状況が続くと、民衆の不満が高まり体制維持への不安が出るだろう。その中で核開発を続ければ、中国からの警戒は一段と高まる。その結果、金委員長は独裁体制を維持することが難しくなる可能性もある。

当面、北朝鮮は強硬姿勢を封印して対話を重視する可能性が高い。それは、中国からの配慮を取り付ける“点数稼ぎ”だ。その一方、北朝鮮が本気で核の能力を放棄するとは考えづらい。北朝鮮の態度は冷静に分析することが重要だ。

中国に恭順を示すため対話重視に転じた北朝鮮

3月25~28日、金委員長は非公式に中国を訪問し、習近平国家主席らと会談の場を持った。これは、国際社会からの制裁に加え、軍事演習などを通した中国からの圧力を受けて、金委員長が自らの将来に対して不安を強めたことの表れと考えられる。中国の庇護(ひご)を受け、体制を維持していくことが、訪中とミサイル発射の中止表明などの理由だろう。

突き詰めていえば、「命綱」の確認だ。制裁などによる米中からの圧力を受け、金委員長は“米・中に殺される”と恐怖を覚えているとの報道や分析もある。その真偽を確認するすべはないが、中国の対北朝鮮政策は同委員長に恐怖心を植え付けたはずだ。

近年、中国は北朝鮮の核開発に対して懸念を表明することはあったが、国境地帯での演習を実施するほどに警戒感を示すことはなかった。韓国メディアによると、演習中、人民解放軍の兵士には「止まれ」などのハングル語の教育も実施されているという。中国は朝鮮半島での有事の発生、体制の不安定化による難民の大量発生を想定している。

長期の支配基盤を築きたい習国家主席にとって、難民の流入や金政権の体制維持が困難となり米国との直接対峙(たいじ)を強いられる状況は、何としても避けたい。中国にとっては、北朝鮮という緩衝国があるからこそ、米国との対峙という緊張状態を回避することができる。それを分かっているから北朝鮮は、中国の顔色をうかがいつつ核開発を進めて体制の維持を目指してきた。

問題は、金日成、正日の時代に比べ、若い独裁者である正恩氏が中国への配慮を軽視し、傍若無人にふるまってきたことだ。中国が保護してきた金正男氏の暗殺、中国からの対話に関する提案の拒否など、金委員長は聞く耳を持たない独裁者との印象を中国に与えてきたといえる。言い換えれば、金委員長はようやく自らの言動の危うさに気づき、中朝関係の改善の重要性を認識し始めたということだろう。

中国がうまく利用した米国の強硬姿勢

中国とともに対北朝鮮対策で重要な役割を持つのが米国だ。トランプ大統領は度重なる北朝鮮からの軍事挑発を非難し、先制攻撃も辞さない考えを示してきた。マクマスター前大統領補佐官は、“ブラッディー・ノーズ(鼻血)作戦”の存在を否定したが、軍事作戦の臆測が高まったということは、政権、あるいは共和党内で北朝鮮への強硬な対応が必要との主張が出たことの裏返しだろう。それも北朝鮮に相当の危機感を与えたはずだ。

トランプ大統領の言動は、中国にとっても利用価値のあるものだと考えられる。北朝鮮を巡る米中の対応を見ていると、まず、トランプ政権が強硬な姿勢を示した。それに対し、当初、中国は慎重姿勢をとった。つまり、金委員長に一定の配慮を示し、対話の余地を確保したわけだ。

その後、北朝鮮の挑発が増加するにつれて米国の強硬姿勢が強まった。それに合わせるようにして、中国も圧力をかけた。同時に、中国は韓国にも圧力をかけて融和姿勢を重視させ、北朝鮮が“ほほえみ外交”に方針を修正するチャネルを確保したといえる。

以上をまとめると、中国は米国の北朝鮮への圧力をうまく利用して、北朝鮮を自らの意に従わせる環境を整備してきたと考えられる。この見方が正しいとすれば、強硬論者をそろえるトランプ大統領に比べ、習国家主席の対北朝鮮政策の方が上手だ。ある意味では、国際政治の常識をわきまえないトランプ大統領がいたからこそ、こうした状況がもたらされたともいえる。

中国の動きを受けて、米国も極東政策にエネルギーを傾け始めた。ハリス太平洋軍司令官が駐韓大使に指名されるとの報道は、米国が極東の安全保障に一段のコミットメントを示し、中国をけん制しようとしていることの表れだ。

北朝鮮はミサイル発射の中止を表明し、中国の庇護を受けようとしている。米国は、北朝鮮問題が中国主導で解決されることを食い止めようとしている。6月上旬までに開催されると見られている米朝の首脳会談の注目点は、米国が非核化に向けた取り組みを北朝鮮から引き出し、査察受け入れなど国際社会全体での問題解決への道筋を示すことができるか否かだ。

北朝鮮に核を放棄する意思はない

4月20日を境に、一部では北朝鮮が本当に核を放棄するのではないかとの期待、臆測も出始めているようだ。この点は、今後の展開を注視しなければならず、断定的なことは言えない。

ただ、歴史的にみても、北朝鮮が核兵器の開発や攻撃能力の保有を完全に放棄することは想定しづらい。なぜなら、金独裁政権にとって核兵器の保有こそが体制維持のための必須手段に他ならないからだ。

金日成、正日の時代も北朝鮮は非核化を宣言した。しかし、いずれも国際社会との協約が順守されることはなく、秘密裏に北朝鮮は核攻撃能力を開発してきた。その延長線上に、今日の金正恩委員長があるわけだ。表向きは対話を重視して国際社会からの圧力を減殺しつつ、核兵器を捨てなかったことが独裁政権を支えてきたのである。

リビアのカダフィ政権は核を不可逆的に放棄したが、それは内戦に米欧が軍事介入を行う余地を作った。もし、リビアが核を保有し続けていれば、状況はかなり違ったとの見方もできる。

北朝鮮が同じ轍を踏むことはないだろう。地下や山中に場所を移して、核兵器の開発が続けられる可能性はある。一部では、すでに北朝鮮が運用可能なミサイル発射技術を確立したとの指摘もある。そう考えると、対話は体制を立て直す時間稼ぎにすぎないといえる。

22日に起きた中国人観光客を巻き込む交通事故への対応で、金委員長は初めて中国大使館を訪問した。同氏は、かなり中国に気を遣っている。あくまでも、北朝鮮が目指しているのは当面の社会を安定させるための支援を中国から取り付けることだ。そのために北朝鮮は核施設の廃棄を示したのだろう。

今後、米国の役割が一段と重要になる。米朝の首脳会談で北朝鮮が最終的かつ不可逆的な核放棄の意思を示さなかった場合、トランプ大統領が会談の席を立つことも想定される。それは、交渉を一段と困難にし、朝鮮半島情勢の緊迫感を高めるだろう。中間選挙を控える中でトランプ氏は強硬姿勢を示すことで有権者の支持を得たい。

それだけに、米国が中国などと協力し、対話を進めつつも従来の制裁を維持して一切の妥協を許さない姿勢を粘り強く北朝鮮に示すことができるか否かが問われる。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

森記事

金正恩委員長(左)と文在寅大統領はともに軍事境界線を越えた(写真=アフロ)

約11年ぶりに南北首脳会談が開かれた。金正恩委員長と文在寅大統領は満面の笑みをたたえてハグし合い親密ぶりを示した。米朝首脳会談を米国が決裂させることができない条件が出来上がった。日本は東アジアの安全保障議論で蚊帳の外に置かれつつある。

(聞き手 森 永輔)

—4月27日、約11年ぶりに南北首脳会談が開かれました。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は満面の笑みをたたえて何度もハグ。金正恩委員長が文在寅大統領を軍事境界線の北側に招き入れるサプライズも含めて、両者は親密さをアピールしました。一方で、「完全な非核化は『目標』にとどまった。具体的な施策は何もなし」と批判する向きもあります。武貞さんは今回の会談のどこに注目しましたか。

武貞:今回の会談には3つの柱がありました。①朝鮮半島の統一、②朝鮮半島の平和体制構築、③非核化です。中でも比重が重かったのが①と②です。そもそも③は南北だけで決められる問題ではありませんし。

武貞 秀士(たけさだ・ひでし)氏
拓殖大学大学院特任教授。
専門は朝鮮半島の軍事・国際関係論。慶應義塾大学大学院修了。韓国延世大学韓国語学堂卒業。防衛省防衛研究所に教官として36年間勤務。2011年、統括研究官を最後に防衛省退職。韓国延世大学国際学部教授を経て現職。著書に『韓国はどれほど日本が嫌いか』(PHP研究所)、『防衛庁教官の北朝鮮深層分析』(KKベトスセラーズ)、『恐るべき戦略家・金正日』(PHP研究所)など。

北朝鮮のメディアが、板門店に向かう金正恩委員長一行の車列を放映しました。いくつもの対戦車障壁をくぐって進む。壁の1つには大きく「自主統一」の文字が躍っていました。「自主統一」の文言を共同宣言に書き込むために、金正恩委員長は板門店に向かっている、ということを北朝鮮国内にアピールしたかったのです。

日本ではこの①②が持つ重み、さらに、これらが6月に予定される米朝首脳会談にも影響することが理解されていないようです。日本は東アジアをめぐる安全保障の議論に参加できず、不利な環境に置かれる可能性があるのです。

前回のインタビューで、まさに①朝鮮半島の統一こそが主題になるとうかがいました(関連記事「南北会談の主題は「非核化」ではなく「統一」」)。南北が親密であることを、米国や中国に示すことができるか否かが重要になると。ご指摘の通りになりました。

武貞:今回、署名された「板門店宣言」を見てください。最初の文に始まり、全体の分量のうち5分の4以上は①と②が占めています。非核化は最後の最後に登場するだけ。

北朝鮮と韓国が半島を「自主」「統一」することを再確認したことこそ特筆すべきなのです。「自主」は米国の関与を排除するという意味。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領のときの南北首脳会談で署名された共同宣言に盛り込まれた表現を再度挿入し、「外国の介入を遮断して南北対話で統一する」という悲願達成を誓うものです。

これから米韓北の間で起こる事象を理解するためにこの構図を説明することは大事です。「南北で」という原則に基づいて北朝鮮は韓国に対し、たたみかけるように援助を要求するでしょう。

そして南北交流を進めれば、米国は「なぜ韓国と北朝鮮が勝手に事を進めているのだ」と苛立ちを強める。特に、休戦協定を平和協定に転換しようとすれば、一方の主役は国連軍を代表していた米国です。文在寅大統領は米国と北朝鮮の両方に良い顔を見せなければなりません。

米韓の間には既に微妙なすれ違いが見て取れます。南北首脳会談の翌日、ホワイトハウスのある高官が「北朝鮮と韓国だけで問題が解決できるものではない」と皮肉に満ちた発言をしていました。

文氏を北側に招き入れ、「イーブン」な関係を示す

南北首脳会談は、米朝首脳会談の“前座”であるとの見方があります。板門店宣言の最後の最後で非核化に触れているので、南北首脳会談が米朝首脳会談につながるというのは確かにそうです。しかし、これは非核化の詳細な議論は米朝首脳会談に任せるというだけのことです。

そうであるにもかかわらず、日本では非核化について北朝鮮がどのような表現を用いるかに関心が集中していました。北朝鮮と韓国の指導者は「南北が主役である」「緊張緩和と信頼醸成に努めよう」と語り合い、統一にむけてのプロセスを相談したのです。

前回のインタビューで、「南北が親密であることを示すことで、北朝鮮は米国や中国にプレッシャーを与えることができる」とうかがいました。この視点から見ると、今回の南北首脳会談の採点は……

武貞:韓国と北朝鮮にとっては100点満点だった。テレビでの生放送、共同記者会見、晩餐会――いずれも親密度をアピールするものでした。

金正恩委員長が文在寅大統領を軍事境界線の北側に招き入れたのは圧巻。金正恩委員長は事前に考えていたフシがありますが、文在寅大統領にはサプライズだったので一瞬、戸惑った様子が放映されました。

この行為は米中に対するアピールであるのと同時に、北朝鮮の国内に向けてのメッセージでもありました。「金正恩委員長が韓国の軍門に下り、境界線の南側に足を運んだ」といった見方を否定し、文在寅大統領も北側に来たので、南北の関係はイーブンであると印象づけることができるからです。

—過去2回の南北首脳会談はいずれもピョンヤンで行われました。その時に北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は国民に「南側の指導者が北に教えを乞いに来た」と説明していました。この流れで今回の南北首脳会談を見ると、金正恩委員長が板門店に足を運んだことを北朝鮮の国民がどう見るのか、気になっていました。きちんと手は打ってあったわけですね。

武貞:はい。金正恩委員長は国内向けにさまざまなアピールをしていたと思います。余裕綽々の振る舞い。文在寅大統領のものより立派な専用リムジン。12人のイケメンからなる警備陣。世界レベルの警備体制を敷けることをアピールしました。

非核化を約束していないのに莫大な援助と投資へ

—板門店宣言の内容をどう評価しますか。前回2007年の南北首脳会談の時の共同宣言と比べてどうでしょう。

武貞:「既に採択された南北宣言や全ての合意などを徹底的に履行する」とうたっています。したがって板門店宣言は2007年宣言を包含したものと言える。そして、2007年宣言で挙げた経済協力を「実行するぞ」と高らかに宣言した。

前回お話した「市場統合」につながる勢いのあるものだと思います。文在寅大統領が自ら口にしているように、同氏は任期がまだ4年ありますから。2007年の南北首脳会談は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の任期が終わる直前にあり、仕事ができずに終わってしまいました。その時とは異なるのです。

具体的には、韓国から北朝鮮に相当の投資と援助がなされるでしょう。「民族経済の均衡的な発展」とはそういう意味です。

北朝鮮はまだ核兵器を放棄すると明言してはいません。それにもかかわらず、韓国はこれだけのことを板門店宣言に盛り込んでしまいました。米国は穏かではいられないでしょう。

—金正恩委員長が橋の上で2人だけ会談を持ちました。あそこではどんな話をしたと思いますか。板門店宣言には盛り込めない秘密の話をしたのでしょうか。

武貞:あのような形の会談を持ったことが、まずもって「異例」です。対北朝鮮制裁の緩和・解除。朝鮮戦争の「終戦」に伴う在韓米軍の撤収――戦争が終われば軍事境界線を守る米軍は必要がなくなります。その先にある米韓同盟の修正・終焉。南北統一の形態――連邦制か、連合制か。こうしたテーマを話し合ったのではないでしょうか。

日本人拉致の問題も話し合ったとしたら、この時でしょう。日本人としては期待したいところです*。

*:共同通信が4月29日、安倍晋三首相と文在寅大統領との電話会談の中で、同大統領が「拉致問題について提起し、安倍首相の考えを伝えた」と説明したと報じた

四者協議の議題は平和協定だけではない

—今、言及された「終戦」について。この言葉は初めて聞きました。

武貞:朝鮮戦争をめぐっては、初めて登場した言葉だと思います。

—朝鮮戦争の休戦協定は、北朝鮮の朝鮮人民軍と中国人民志願軍、そして国連軍との間で交わされました。韓国は署名していない。このため、北朝鮮と韓国との間の「休戦」を「終戦」と呼ぶのでしょうか。

武貞:多くの人が同様の認識を持っていますが、それは間違っています。

—え、そうなのですか。

武貞:はい。韓国は休戦協定の当事者です。朝鮮戦争の休戦協定は北朝鮮、中国、国連の間で交わされました。米軍の司令官が国連軍を代表して署名しました。そして、この国連軍に韓国軍も参加していました。この開戦直後に韓国軍は「指揮権」を国連軍に譲っているので、国連軍司令官は韓国軍をも代表して休戦協定に署名したのです。

ただ、16か国からなる国連軍の中に韓国軍が編入されたのではないために、多くの人が勘違いしているのです。

それに北朝鮮は70年代、「韓国は休戦協定に署名していないので平和協定の当事者でない」と説明し始めた。そして誤解が拡散してしまったのです。

—北朝鮮はなぜ、韓国は休戦協定の当事者ではないと主張したのですか。

武貞:休戦協定の平和協定への転換を米国と直接話し合い、在韓米軍の撤退に「うん」と言わせるためです。休戦協定に従って、中国義勇軍は1954年と58年に撤収しました。しかし在韓米軍は韓国に駐留し続けた。

こうした経緯があったので、北朝鮮は今になって「韓国は休戦協定の当事者である」とは言いづらい。そこで、北朝鮮と韓国の間で新たに「終戦を宣言」することにしたのです。

南北で終戦を宣言したあとは、国連軍を代表した米国と中国と北朝鮮が休戦協定を平和協定に転換する。その先に平和体制の構築が始まります。板門店宣言は、日本とロシアも役割を果たすべき平和体制構築のプロセスまで含めて、南北米の3者、もしくは南北米中の4者が話し合おうと言っています。日本とロシアは完全に蚊帳の外です。

—ちょっと待ってください。日本は朝鮮戦争の当事国ではありませんでした。同戦争をめぐる平和協定の議論に参加できないのは仕方がないことなのでは。

武貞:確かにそうです。しかし板門店宣言は「今年、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築するため、南北米三者、または南北米中四者会談の開催を積極的に推進していくことにした」とうたっています。

3者もしくは4者による会談は平和協定だけでなく、そのあとに続く「恒久的で強固な平和体制」の構築も議題にするのです。ここに誰も気づいていない。安倍晋三首相は日本が蚊帳の外に置かれることはないと発言していますが、無理があるのではないでしょうか。

今回の南北首脳会談は、南北の首脳が膝を交えて協議をして、これだけのことを話し合ったのです。それにもかかわらず、いま日本にあるのは「前座は終わった。さあ、これから本丸である米朝首脳会談だ」という見方だけです。これでよいのでしょうか。

南北が親密度を高めたことで、米国は、①最大限の圧力をかけ北朝鮮に非核化を迫ること、②条件が合わなければ米朝首脳会談を決裂させることのリスクを負うことになりました。圧力を強めても韓国が制裁を緩和し支援を増やせば効果は薄まってしまいます。仮に米朝首脳会談を開かない、もしくは決裂させれば、北朝鮮と韓国をさらに近づけることになる。中国は北朝鮮にさらに支援を申し出るでしょう。

こうした環境は米国にとって当然好ましいものではありません。今後、米国内で「南北が宥和したのなら、米国の若者を朝鮮半島に駐留させておく必要はない」と議論が起こることも予測されます。金正恩委員長はこうした環境をうまく作ってきたと言えるでしょう。

—日本はどうすればよいのでしょう。

武貞:例えば、ピョンヤンに連絡事務所を設置する。私はこれを4年前から主張していますが実現に至っていません。

—北朝鮮と直接話をするためのチャネルを維持しないと、本当に蚊帳の外になりかねないわけですね。

武貞:その通りです。多くの日本人がここに気付いていません。

南北首脳会談が始まるまで、日本は周回遅れの状態にありました。今は2周遅れです。米朝首脳会談が終わった時には3周遅れになりかねない 。幸い、安倍晋三首相は文在寅大統領との電話会談で金正恩委員長に対して日朝首脳会談を開催する意思があることを伝えてほしいと述べたようです。日本の巻き返しが始まりつつあります。

トランプ氏は「完全な非核化」の意味が分かっていない

—今回、板門店宣言に「完全な非核化」という表現が盛り込まれたことが注目されています。この点をどう評価しますか。

武貞:日米が求める「完全で検証可能かつ不可逆的な核放棄(CIVD)」に応じる準備があるとトランプ大統領向けに発信しているのでしょう。ただし、米国にも同様に「完全」を求めている言葉です。同盟国への「核の傘」の提供中止を求めています。B1、B2といった核兵器搭載可能な戦略爆撃機を朝鮮半島に飛来させない約束を含みます。米韓演習もやらせない。

—「あらゆる敵対行為を中止し」とあるのは米韓演習を指すわけですね。

武貞:はい、そうです。朝鮮半島への米軍の関与を一切のやめさせるという意味です。当然、在韓米軍の撤収 も含みます。トランプ大統領が「(南北首脳会談の結果に)勇気づけられた」と発言して歓迎していますが、北朝鮮が「完全な非核化」に込めた意味に気づいていないからでしょう。彼は専門家ではありませんから。

一気に上がる、文在寅の支持率

—これまで3回の南北首脳会談はいずれも韓国進歩派政権の下で行われてきました。文在寅政権が任期を終え、次に保守の政権ができた時、現在の親密な南北関係がひっくり返ることはないでしょうか。

武貞:これまでの韓国を振り返って考えると、ひっくり返るでしょう。

ただし、その前に、今回の会談の結果を受けて文在寅大統領の支持率が高まりつつあります。現在も75%程度で、就任から1年経った韓国大統領の支持率として史上最高の高さです。これが80%を超える可能性がある。

金正恩委員長に対する評価も高まるでしょう。仮に、韓国民に「統一後の大統領」の候補を問えば、上位に上がってくると思います。2000年に金大中(キム・デジュン)大統領(当時)と金正日総書記(同)が会談した後、金正日氏への期待が高まりました。

また文在寅政権の今後の4年間を想像してみてください。南北間で鉄道網がつながり、行き来が増す。米国などの介入を防ぎつつ、民族の力量を世界に示すわけです。韓国民が持つナショナリズムを満足させる。そうなれば、次の大統領選挙で、誰が保守勢力に投票するでしょうか。

金与正氏の出席は暗殺を恐れなかった証

—南北首脳会談の出席者について伺います。今回、金正恩委員長の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が会談に同席しました。暗殺の危険などを考えると、この二人が同席するのは考えづらいことだと思います。北朝鮮はそうした懸念を持たなかったのでしょうか。

武貞:まったく警戒していなかったようです。橋の上で金正恩委員長と文在寅大統領が2人だけで会談した時、屋外に設置された椅子を消毒したという話は聞こえてきません。韓国側が準備した料理を毒見したという話も耳に入ってきません。

—芳名帳に署名するとき、韓国側が用意したペンを使わなかったことが話題になりましたが。

武貞:使い慣れたペンで署名するのは珍しいことではない。テレビに映るところで世界の基準に合わせて行動したのでしょう。

—映像を見ていると、たくさんのドローンが上空を飛んでいたようです。金正恩委員長と文在寅大統領が軍事境界線をまたいだ時も、2人だけで会談した時も。

武貞:準備段階で、北朝鮮側が安全を理由にドローン使用を拒否することはなかった。2人がドローンを警戒する素振りをみせることもありませんでした。それくらい信頼を深めた上で南北首脳会談に望んだのだと思います。 ――最後に、北朝鮮の市民や朝鮮人民軍は今回の会談をどう評価するでしょう。 武貞:市民は歓迎すると思いますよ。「指導者が支援を乞うために南に行った」とは見ないでしょう。「朝鮮戦争に米国が軍事介入して韓国を支援したために統一が先送りとなり、北朝鮮は貧しい生活を余儀なくされた。そうした生活に終止符を打つチャンスが到来した」と考えるでしょう。

生活向上のために、金正恩委員長を先頭に押したてて米国を追い払い、韓国の融和政策を引き出し、北朝鮮への投資を呼び込む必要がある――と考えていると思います。

軍は、独自の意見を持っているわけではありませんが、歓迎しているでしょう。金正恩委員長は韓国軍から栄誉礼を受けましたから。栄誉礼には2つの意味があります。1つは敬意を表すること。もう1つは栄誉礼を受ける人が敵ではないことを示すこと。今回の栄誉礼はフルではありませんでしたが、韓国軍が金正恩委員長に敬意を表し、「敵対関係ではありません」といって、振り上げていた拳を降ろしたわけです。

—北朝鮮はこれまで核開発に力を入れてきました。この方針を変えることに北朝鮮人民軍は不満を持つことはありませんか。北朝鮮のメディアは板門店宣言の内容をすべて報道しており、軍は「完全な非核化」の報道を知っています。

武貞:ないでしょう。米国が提供する核の傘の廃止と、自分の核兵器放棄のプロセスについて、細部を米国と合意することは可能です。しかし、米朝不可侵協定が成立し、在韓米軍が撤退したあと、統一するまでは北朝鮮は核兵器を廃棄する気はありません。前回お話しした通りです。

北朝鮮のロジックはこうです。北朝鮮の最終目標は朝鮮半島統一です。統一の過程で米国は核兵器の使用もほのめかしながら軍事介入することは明白だから、介入をあきらめさせるために、米政府の中枢を核攻撃する手段(ICBM=大陸間弾道ミサイル)を保有するということです。軍事介入には大きな犠牲が伴うと米国が判断すると、米国は中立の立場を取ると北朝鮮は計算しています。南と北だけで統一を実現したい北朝鮮にとって、戦争をしないで統一するために、「使える」核兵器が必要なのです。

「完全な非核化」という抽象的な文言と引き換えに、韓国からの支援の道を開いた板門店宣言は、非核化問題の解決を米朝首脳会談に委ねました。米朝首脳会談は、トランプ大統領が「統一のための核」という北朝鮮の核戦略を読み取り、北朝鮮の体制を保証する具体案と引き換えに北朝鮮が核兵器を放棄するロードマップを作成する場なのです。

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