『北への予防攻撃が頼みの綱だ 「自前の核武装」は間に合わない』(10/14日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

朝鮮民族同士で相争うのは勝手ですが、日本を巻き込まないでほしいという事です。日本も核武装を考えないと韓国のようになるでしょう。核の恫喝を受けたときに、平然と対抗できるかという事です。どこかの国から買って核配備をしたとしても、敵の手先となっている輩が大騒ぎし、それに大衆は煽動されるでしょう。貧者の恫喝、キチガイの恫喝程、手に負えないものはありません。政府はキチンと対応してほしいし、国民は動揺・慌てふためくことの無いようにしてほしい。

予防攻撃こそがポイントでしょう。北に継戦能力があり、かつ核を残存していれば撃つでしょうけど、米国のように遠くまで飛ばすうちに撃ち落される可能性があるので、ソウルor東京or北京になるのでは。無防備なのはソウルと北京でしょうからそちらに落とすのではと思います。日本はSM3やPAC3があるので途中で撃ち落とされる可能性がありますので。

韓国と米軍共同での予防攻撃に踏み切れるかという所でしょうけど、反米の韓国では共同では難しく、やるなら米軍単独になるのでは。中国と金正恩排除後の北の体制を話し合い、非核化させた上で中国の傀儡政権を作るようにするのでは。

この記事の続きが楽しみです。

記事

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米国が配備を迫り、中国が拒否を迫るTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)。韓国の保守派は「THAAD配備が実行できなければ、いよいよ北の核に対抗できなくなる」と焦りの色を隠さない(提供:U.S. Department of Defense, Missile Defense Agency/ロイター/アフロ)

前回から読む)

「自前の核」を唱えていた韓国の保守派が、北朝鮮への「予防攻撃」をも訴え始めた。北の核武装が予想以上に速いテンポで進むからだ。

脆い「米国の核の傘」

前回は韓国の保守の論客が「北の核」がいかに韓国の安全と独立を侵すかを必死になって国民に訴えているとの話でした。

鈴置:米国の「核の傘」が「北の核」の前ではいかに脆いものか、保守運動指導者の趙甲済(チョ・カプチェ)氏が極めて具体的に説明しています。

自身の主宰するネットメディアに載せた「仮想シナリオ・大韓民国最後の日(1)」(9月23日、韓国語)が圧巻です。シナリオの形式をとって、悲惨な韓国の近未来を描き出しました。

北朝鮮が核ミサイルを実用化した後の2018年か2019年頃の朝鮮半島が舞台です。要約しながら訳します。

  • 北朝鮮が軍事境界線付近の白翎島(ペンニョンド)を突然砲撃し、韓国の軍民に数百人の死傷者が出た。韓国軍は直ちに報復、同島の砲撃を命じた北の軍団司令部を空軍機で爆撃した。北朝鮮側も多数の死傷者を出した。
  • 翌日、金正恩(キム・ジョンウン)自身が直接「我々への攻撃命令を下した国防長官、参謀総長らを処罰しろ。損害を補償しろ。白翎島から韓国は出て行け」と要求したうえ「応じないなら韓国の都市1つに核兵器を使う」と宣言した。
  • 韓米両国の大統領は緊急に電話会談し「米国は約束通りに韓国に核の傘を提供する」と共同発表。さらに米国は空母と潜水艦を韓国周辺海域に派遣した。

日韓で「核戦争反対」デモ

—米国はちゃんと「核の傘」を提供すると宣言するのですね。

鈴置:ええ、そこは「従来の現実」通りです。北朝鮮が核実験するたびに、米国は核の傘を提供すると日韓両国に確認してきました。でも北が核を実戦配備すると、この先の展開が変わってくるのです。以下です。

  • 北朝鮮は「もし、米国が攻撃してくるのなら米西海岸を核攻撃する」と宣言した。
  • そんな中、韓国では「核戦争反対運動」が巻き起こった。大規模のデモ隊が平和を叫びながらソウル市内を占拠。彼らは北の核攻撃の脅威を糾弾するのではなく、米国を批判した。
  • 多くの国民が「とりあえず核戦争を防がねばならない」と米韓の強硬策に反対した。世論調査では70%以上の韓国人が「平和のために北の要求を聞かねばならない」と答えた。
  • 韓国の政界でも「北の司令部への攻撃はやり過ぎだった」といった批判が強まる半面、「一戦も辞さず」と主張する声は小さくなった。
  • そうした韓国の動きを見て、米国では議会とメディアを中心に「ソウルを守るためにロサンゼルスを犠牲にはできない」との世論が高まった。
  • 米軍基地がある日本でも「第2のヒロシマに反対する」と、米国の対北報復方針を批判する大衆運動が始まった。米韓両国政府はジレンマに陥った。

高まる米国の反韓感情

—確かに、多くの日本人は「あの不愉快な韓国と北朝鮮の内輪もめに巻き込まれ、核ミサイルを撃ち込まれるなんてとんでもない」と考えるでしょうね。

鈴置:そこです。北が核を持つと日本人の「巻き込まれ」への懸念がぐんと増します。「沖縄や三沢から米軍機を発進させるな」と要求する「平和運動」が起きるのは間違いありません。

韓国人でさえも、このシナリオでは70%強が「核戦争を避けられるのなら、北朝鮮の言うことを聞こう」と言い出すのですから。

北朝鮮は「核」をさらに活用するだろうと趙甲済氏は読みます。記事の翻訳を続けます。

この状況を見て、中国が6者協議を提案する。だが、北朝鮮は拒否したうえ「我々の要求をまず実行しろ」と韓国を圧迫。北朝鮮の無人島で小型の核兵器を爆発させた。

潜水艦から中距離ミサイルを垂直に近い角度で撃ち上げる実験でもあった。韓国が持っているお粗末な防衛システムではこうしたミサイルは防げないことが明らかになった。

ソウル市民は恐慌状態に陥り、仁川(インチョン)国際空港は国外に脱出する人で麻痺した。公務員も会社員も欠勤し、社会システムが動かなくなった。

将兵の家族は連日、国防部の前に集まり、戦争反対デモを繰り広げた。ついには「こんな危機を呼んだ国防長官らを拘束して捜査せよ」との主張が登場した。

こうした中、米国の反韓世論がより高まった。

白翎島で米韓合同演習

この後、どうしようもなくなった米国政府は北朝鮮との話し合い路線に転換します。待ち構えていた北は、米韓同盟破棄の伏線となる米朝平和条約の締結を持ち掛けます。

この記事の続編である「『閣下、それが韓国の最後の機会でした』」(9月24日、韓国語)では、米副大統領が大統領特使として訪韓し、韓国の大統領に同盟の根本的な見直し――事実上の破棄を通告するのです。

—不気味なシナリオですね。

鈴置:この暗い予測は韓国の保守派の間で共有されてきました。5回目の北の核実験を受けて、趙甲済氏が改めて国民に説明したのです。

「北朝鮮はまず、白翎島に挑発を仕掛ける」との予測も韓国では一般化しています。米韓の海兵隊は10月1日にこの島で合同軍事演習を行っています。

「来るなら来い」ということでしょう、米軍は演習の画像まで公開しました。「US-ROK Exercises in Northern Limit Line (Baengnyeong Island)」(10月8日)です。

韓国の核武装は時間切れ?

—趙甲済氏は北朝鮮の核にどう対抗しようと訴えているのですか。自前の核武装ですか?

鈴置:核武装も主張しています。ただ9月下旬に掲載した一連の「仮想シナリオ」では、北朝鮮の核・ミサイル施設への予防攻撃が必要だと力説しました。

中国と「非核化」を約束してしまった朴槿恵(パク・クンヘ)政権は自前の核武装においそれと動けません。仮にこれから取り組んだとしても、時間切れになる可能性が高い。

北朝鮮が核を実戦配備するのは2-3年後つまり2018年から2019年頃と見られています。一方、韓国が核武装に必要な第2撃能力――垂直発射管を備えた潜水艦とSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を配備するのは2020年です(「韓国が目論む『2020年の核武装宣言』」参照)。

核弾頭の開発にも2年程度の時間がかかる。今、核武装に乗り出しても、北朝鮮との実戦配備を巡るスピード競争に勝てません。韓国が核を持たない状況で、北に「白翎島砲撃」に始まるシナリオを実行されたら「国が消滅」します。

後は、予防攻撃しかない

そこで、趙甲済氏は北朝鮮が核を実戦配備する前の予防攻撃が必要だと主張し始めたのでしょう。9月7日にはソウル市内の講演でそれを訴えました(「北の核を予防攻撃で処理する時間はまだ残っている」=韓国語、動画付き=参照)。

予防攻撃とは敵が自分を攻撃する動作に入る前に、敵の軍事能力を叩いて取り除く作戦です(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。

「核施設の在り処」を知り、強力な打撃力を持つ米軍が主体で実施するしかないのですが、米国も予防攻撃を辞さない姿勢に変わっています(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。

しかしこの際、韓国に課題が残ります。北朝鮮がまだ核を実戦配備していないと見積もっても、ひょっとすると少数ながら実用可能な核ミサイルを持っているかもしれない。予防攻撃によってもそれらを完全に破壊できない可能性もあるのです。

当然、北朝鮮は核ミサイルを撃って反撃するでしょう。米韓はTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)やPAC3(地対空誘導弾パトリオットミサイル)、SM3(海上配備型迎撃ミサイル)で撃ち落とすことになります。

でも現時点で、韓国軍はいずれも持っていないのです。敵の核ミサイルに対し丸裸なのです。米国はPAC3を持っていますが、在韓米軍基地の防衛用でソウルは守れません。

米国はTHAADの配備計画も進めています。が、朝鮮半島南部に展開する米軍基地の防衛が目的で、これもソウルを防御できません。そのうえ中国や国内の反対で、本当に配備できるかも分からないのです。

THAADを導入しておけば……

—結局、米軍は予防攻撃できるのですか?

鈴置:趙甲済氏は「『閣下、それが韓国の最後の機会でした』」(9月24日、韓国語)で、韓国軍のミサイル防衛能力の不足と韓国人の反対により、米国が予防攻撃を決意できなくなると予測しました。

それだけではありません。このシナリオ――近未来小説で、予防攻撃できないことが米韓同盟崩壊の最後の一撃になると指摘したのです。米国の副大統領は韓国の大統領に対し以下のように語ります。要約しつつ翻訳します。

  • 今から考えれば、2018年が最後の予防攻撃のチャンスでした。我が国の情報機関は、この時までなら北の核ミサイルは実戦配備されていないと踏んでいたからです。
  • ただ、米国の情報も完璧ではない。我々の攻撃を受けても北は1、2発の核を維持するかもしれません。
  • もしこの時、韓国がTHAADをはじめPAC3や、SM3による多重的な防衛網を建設し、米国のMD(ミサイル防衛)システムと連結していれば、北の核攻撃による被害は最小化できたことでしょうに……。
  • 閣下(韓国大統領)は北朝鮮への予防攻撃に最も積極的でしたが、その計画が韓国メディアに流れたことですべてが水泡に帰しました。韓国で反戦デモが起こり、核攻撃するぞとの北の脅迫により韓国国会は圧倒的な賛成多数で軍事措置反対を決議しました。
  • そうなった以上、米国も軍事的解決を放棄するしかなかったのです。閣下、あれが最後の機会だったのです。

米国に見捨てられる韓国

—なるほど、見出しの「最後の機会」とは「予防攻撃が米国を引き留める最後のチャンスだった」ということなのですね。

鈴置:その通りです。THAADをはじめとするミサイル防衛網を韓国が造っておけば、予防攻撃も可能だった。でも予防攻撃ができなかったので、米国は北朝鮮と話し合うしか道がなくなり、韓国は米韓同盟を失った……とのシナリオです。そして北朝鮮と話し合いに入る米国が、その核武装を完全に食い止める保証はありません。

—では、近未来小説を離れ、現実の世界ではTHAAD、あるいは予防攻撃構想はどうなっているのでしょうか。

(次回に続く)

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