3/30日経 中前忠『中国、その債務の大きさ』3/31日経『人民元安 綱渡りの中国(上)為替介入、市場は疑心 外貨準備、迫る限界』、『凍り付く油田の街・大慶 中国石油失速、現地を歩く 5万人一時解雇の観測も』について

中国の債務の大きさと人民元安、失業の記事です。どれをとっても中国経済の危うさについて触れられています。あれだけ日経は中国進出を煽ったのが様変わりです。身の丈にあった経済成長ができなかった、通貨発行をし過ぎて借金体質になり、期日までに借金が返せず、デフォルト・倒産の構図です。資本主義社会では、ハゲタカが現れ、資産を食い尽くすところでしょうけど、社会主義市場経済と言う自家撞着、畸形の資本主義なので、常識が通用しません。中国国内で経済が完結すれば良いのでしょうけど、不動産投資と純輸出で持っている国ですから、世界経済に与える影響は大きいです。

大慶油田に見られるように、リストラすれば当然失業者が増え、暴動の種となります。況してやマクロ経済で見れば消費へのインパクトは大きいものがあります。失業給付なんて雀の涙です。

http://www.clair.or.jp/j/forum/c_report/pdf/320.pdf

為政者もどこから手を付けて良いか分からないのでは。緊縮財政にすれば失業者増→暴動頻発→社会不安→共産党打倒革命、放漫財政にすれば、①人民元安→キャピタルフライト→外貨準備減少→輸入量減少→資本規制→新規投資減少や②人民元安→インフレ→国民生活困窮→暴動頻発→社会不安→共産党打倒革命の道を歩むのでは。人権意識など微塵も持ち合わせていない共産党幹部は第二の天安門事件を平気で起こすか、対外戦争の道を歩むのでは。1900年の義和団の乱のように大衆暴動を攘夷に使い、大使館や教会、学校を焼き打ちして戦争へ誘うことも考えられます。何せ常識が通用しない国、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国です。もし、そうなれば、米国はリアルタイムで中国で起きていることを衛星によりキャッチし、全世界に向けて発信すれば良い。中国は衛星をロケットで撃ち落とそうとするかもしれませんが、そうなると、ミサイル防衛で対抗できるかどうかは分かりません。

中国の軍事拡張を抑止するには、先ず経済的に中国を封じ込めることです。豊かにすれば軍事予算に注ぎこみ、世界制覇の野望を実現させてしまうことになります。習近平の言う「中国の夢」とは世界を牛耳り、富を共産党幹部で独占することを意味します。米国が総て正しいとは思いませんが、少なくとも自由の理念には共鳴できます。自由のない、人権のない共産中国をのさばらせたら世界は不幸になるに決まっています。日本企業も目先の利益のことだけ考えるのでなく、長期的な国益を考え、中国を利することのないような行動を取ってほしいです。

中前記事

バブルをもたらすのは債務の異常な増加である。これが限界を迎えるのは、収益見通しが悪化し、貸し手が投融資の拡大に不安を覚えてくるからだ。債務の増加が止まり、投資が落ちてくると、経済は急減速し、債務の過剰と不良化が表面化してくる。

 リーマン・ショック直後の2009年から15年第3四半期にかけて、国際決済銀行(BIS)の推計によると、中国の非金融企業の債務は6.2兆ドルから17.4兆ドルへと11.2兆ドル増えた。この間の名目国内総生産(GDP)の増加は5.4兆ドルである。GDPを1兆ドル増やすのに、企業部門だけで2兆ドル強の債務増を必要とした。

 これに対して、世界(BIS報告国全体)のGDPは11.7兆ドル、債務は12.4兆ドルの増加だ。中国は世界GDP増加の46%、企業部門債務増加の90%を占める。

 この企業部門による11兆ドルの債務増が不動産を含む設備の過剰を生んだ。問題は、設備稼働率が大きく下がり、在庫も増える中で不良債権が増加してきていることだ。生産者物価上昇率が前年比マイナス5.3%で、都市部の1人当たり可処分所得(賃金上昇率に近い)の伸びが6.8%という中では、大半の企業が赤字経営のはずだ。不良債権が増加する銀行の貸し出し余力の低下もあって、企業金融は急速に引き締まってくる。

 設備過剰もそうだが、債務の過剰は、その増加額でみても、GDP比でみても、1990年代の日本のバブルをはるかに上回っている。中国経済は明らかに長期停滞に入っている。原油価格などの反発はあっても、これが持続する条件はないのである。

 中国の工業化の終わりと共に、モノの世界の収縮は続いていかざるを得ないのだが、そのなかで金融市場の収縮もまた避けられそうにない。世界的な金融不安はこれからが本番なのではないか。

(中前国際経済研究所代表 中前忠)

3/31日経記事

中国の人民元に先安観測がくすぶっている。中国当局が急激な元安を食い止めるため為替介入を繰り返した結果、外貨準備高は2月末時点で3兆2023億ドル(約363兆円)と1年余りで約6千億ドル減少した。介入を続ければ外貨準備の水準が早晩限界に迫るとの見方もあり、市場の疑念は払拭されていない。資本規制の強化が必要との声も出ている。

money exchange in Shengzhen

 荷物を抱えた人々でごった返す広東省深圳市の福田口岸。橋を渡れば香港まで徒歩数分の距離だ。厳しい荷物検査はなく、中国税関はほぼフリーパスで渡航者を通す。このためカバンに人民元の札束を詰め、香港で米ドルなどに両替する運び屋の姿が後を絶たない。

 中国政府が個人に認めた両替枠は年5万ドルまで。福田口岸は規制をかいくぐるのに格好の場所だ。国営新華社によると、当局は2015年に海外に不正送金する「地下銀行」を60行以上摘発、違法取引額は摘発された分だけで1兆元(約17兆円)を超えた。昨夏以来、人民元や中国株式の相場が不安定になっていることが背景にある。

 「正常化してきた」。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は12日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の期間中に開かれた記者会見で人民元の安定に自信を見せた。米連邦準備理事会(FRB)が16日、年内の利上げ回数2回を示唆したことで人民元は対ドルでやや安定を取り戻したが、その背後にはやはり人民銀の存在がある。

 「また為替介入したようだ」。中国・上海外国為替市場。中国人ディーラーが電話越しに人民銀の動向を噂し合う。最近目立つのは単純な元買い・ドル売りではない。

 人民銀は金融派生商品を駆使し始めた。相手先にドルの現金を渡すのは数カ月先の契約満期を迎えてから。その間、人民銀はドルを温存し外貨準備を減らさずに済む。「外貨準備のドルを消費せずに、元を下支えできる」(市場関係者)

 中国の外貨準備は1月まで毎月1千億ドル規模で減少。外貨準備枯渇への不安がさらなる元安を呼ぶ悪循環を招いていた。介入効果もあり2月の減り幅は前月比286億ドルと市場予想を下回った。

 しかし「人民銀が結んだ契約の満期が来れば外貨準備は大幅に減るはず」(仏ソシエテ・ジェネラルの中国担当エコノミスト、姚煒氏)。国際通貨基金(IMF)の指針では中国の外貨準備の必要水準は2兆8千億ドル程度。これまでの勢いで減ると早晩到達する。

 貿易黒字国の中国で人民元に強い下落圧力がかかるのはなぜか。英バークレイズは「中国の資本流出の最大の要因は緩和的な金融政策にある」と根本的な理由を指摘する。08年に国内総生産(GDP)の1.5倍だった中国の通貨供給量は15年には2倍を超えた。

 人民銀は成長下支えで膨大な量のマネーを発行してきた。全人代財政経済委員会の尹中卿副主任は「あふれ出た資金が株式や不動産などに流れ込み、市場の変動を大きくさせてきた」と金融緩和が過大だったと評する。

 中国は過度な元安を容認しない方針を鮮明にしている。ただ元安阻止に外貨準備を使い続ければいずれ資本規制を課さざるを得ない。半面、金融を引き締めすぎれば経済に打撃を与える。中国は通貨政策を巡りジレンマに直面している。

『凍り付く油田の街・大慶 中国石油失速、現地を歩く 5万人一時解雇の観測も』記事

成長に急ブレーキがかかった中国石油天然気(ペトロチャイナ)など中国国有石油大手。膨張するエネルギー需要をまかなおうと各社が掘り進めてきた中国国内の油田に異変が起きている。その代表格が中国東北部の黒竜江省大慶市に広がる「大慶油田」だ。3月中旬、現地を訪れると、稼働を止めた石油掘削機が「墓標」のように並び、人々は不況の影におびえていた。

oil rig in Daqing

動きを止めた無数の石油掘削機が点在する(黒竜江省大慶市)

 ススキ野原の向こうに音もなく静かにたたずむ石油掘削機が見えた。1年前まではモーター音を響かせ地下から石油をくみ上げていた大慶経済の屋台骨。地元住民の張さん(39)がつぶやく。「あいつら、間もなく取り壊されるんだ」

 数万基の石油掘削機が点在する大慶市。今ではその半分近くが稼働を止めている。「習大大(習おじさん)が来てからすべてがおかしくなった」。張さんが声を潜めて言う。

 習近平国家主席が中国東北部を視察に訪れたのは昨年7月。黒竜江省幹部との会議で習氏はこう発言したという。「そんなに多くの掘削機を動かしても電気の無駄遣いだ」。景気減速で原油需要が細り価格も下がっている。それでも原油をくみ上げ続ける大慶油田の非合理性を習氏は指摘した。

Daqing in Heilongjiang

 それから急激な変化が大慶市を襲う。市内の掘削機が次々に緊急停止し、油井が閉められていく。2015年の大慶油田の生産量は3838万トンとピーク時から3割減った。油田運営会社の売上高は964億元(約1兆6700億円)と前年比で半減。同社を傘下に持つペトロチャイナの業績悪化の主因にもなった。

 大慶市は域内総生産(GDP)の6割を油田に頼る。270万人の人口の1割が油田運営会社の社員で、その家族や関連産業も含めれば、石油に携わる人たちは人口の半分に達する。原油減産が地元経済に与えるインパクトは計り知れない。

domestic production of crude oil in China

 「去年の今ごろは月に80~90台は売れていた。それが今は半分だ」。日産自動車系の「東風日産大慶易嘉店」の営業担当者が顔を曇らせる。油田関係者が現金一括払いで新車を買う例も珍しくなかったが、昨夏以降は客足がぱったり止まった。

 市中心部で威容を誇る市政府ビル。「政府は我々の生活を保障しろ」。3月中旬、40人以上のタクシー運転手が大声を張り上げていた。不景気でタクシーを利用する人が急減。その不満のはけ口を政府に求めた。一時は武装警察が出動する騒ぎになったという。

 市内最大級の商業施設に入店する米系コーヒーチェーン「スターバックス」では連日苦情が絶えない。「コーヒー1杯22元は高すぎる。こんな時なんだから、安くすべきだ」。収入が減った市民が訴える。

oil rig in Daqing-2

大慶市は270万人の人口のうち半分が石油に携わる

 市政府も手をこまぬいていたわけではない。1年半前にはスウェーデンの高級車大手ボルボ・カーの乗用車工場が本格稼働。売れ筋のSUV(多目的スポーツ車)などを生産し、部品メーカーの誘致も活発だ。それでも新たに生んだ雇用は1千人程度にすぎない。

 「市民の半分が不眠症にさいなまれている」。21日付の地元紙「大慶晩報」はこう報じた。仕事のストレスが原因という。不安に拍車をかけるのが、大慶油田が今夏に実施するという5万人規模のレイオフ(一時解雇)計画だ。

 「あと3年で定年なんだ……」。寒空の下、油井の改修にあたるベテラン作業員(52)に出会った。プレハブに泊まり込み、昼夜問わず働いてきたという。だが今、周囲に連なる石油化学工場で煙を出しているのは半数程度。「何とか30年やってきたんだがね」。あきらめにも似た表情でそうつぶやくのがやっとだった。

 ▼大慶油田 1959年に発見された中国最大の油田。ロシアに接する黒竜江省のハルビンとチチハルの間に位置する。海外技術に頼らず中国独自に開発をなし遂げた模範職場として、かつて「工業は大慶に学べ」とのスローガンが全国で流行した。最盛期には日本の原油輸入量の3割に相当する年5千万トン以上の生産量を誇った。失脚した共産党の元最高指導部メンバー、周永康氏ら「石油閥」の出身母体としても有名だ。

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