7/3日経ビジネスオンライン 北村豊『解放軍「官職相場」、司令官4億円、軍隊長1億円 戦闘力、国力を削ぐ腐敗は深刻、撲滅は至難』について

昨日英会話の先生に「岸田外相がforced to workは脅して働かせた訳でないと言っていたが、これは正しいか?外務省は度々内外で説明を違えるので」と聞いたら「strange」とか 「touchy」とか言って答えにくそうでした。世界の人々に与える印象はforcedと言ったらmilitary forceを連想させるのではと小生は思っています。多分中韓は世界に向けてそういう説明をするでしょう。日本が弁解しても「認めた方が悪い」となるでしょう。日本は外国の圧力に弱すぎです。政治家も外務省の説明を鵜呑みにするべきではない。英語のできるスタッフを置いてチエックさせるべきです。

さて、表題の件ですが、賄賂は中国社会の宿痾であり、軍に限ったことではありません。しかし、国の最大の暴力装置である軍の規律の乱れほど恐ろしいものはありません。軍が売春させたり(これこそ今そこにある従軍慰安婦です)、兵器の横流しは当り前です。(麻薬は阿片戦争があるのでやってないと思いますが分かりません)。死の商人を国家レベルでやっている訳です。勿論、人民解放軍は共産党の私兵ではありますが。

こんなに腐った軍でしたら日清戦争同様、自衛隊が簡単に勝てると思います。ただ、中国は物量作戦で来るので、ミサイル防衛では防ぎきれないときが必ず来ます。その時日本はどうするのでしょう。先制攻撃してミサイル基地を攻撃することも認めないと、日本人の子子孫孫が殺されます。今、集団的自衛権に反対している人たちはこのことをどう思っているのでしょう。売国奴とかしか思えません。こういう政党に投票している国民は日本の将来についてどう考えているのか聞いてみたいものです。

記事

2015年3月に北京で開催された“全国両会(“全国人民代表大会”と“中国人民政治協商会議”の両者を合わせた略称)”の会期中に、3人の“中国人民解放軍”(以下「解放軍」)の“将領(将校)”が、香港の衛星テレビ局“鳳凰衛視(フェニックステレビ)”から解放軍内の“腐敗”についてインタビューを受け、解放軍内のすさまじい腐敗ぶりを暴露した。

 インタビューを受けた3人の将校とは、“中国戦略文化促進会”秘書長の“羅援”少将、“解放軍軍事科学院”研究院の“姜春良”少将、解放軍軍事科学院“軍建部”副部長の“楊春長”少将である。羅援はその鷹派的発言で中国の軍人にこの人ありと知られた人物である。また、楊春長はかつて解放軍“総政治部”に在職した時には、腐敗で失脚した“徐才厚”の秘書を務めたこともある人物である。その徐才厚の元側近が内情を暴露したことに人々は驚きを禁じ得なかった。

江沢民のごり押し、副主席たちの売官

 楊春長がインタビューに答えた要点は以下の通り。

【1】1990年3月から2005年3月まで15年間にわたり“中央軍事委員会”(以下「軍事委」)主席の地位にあった“江沢民”は、その座を後任の“胡錦涛”に譲り渡す際に、自身の派閥に属する軍事委員会委員の徐才厚と“郭伯雄”を強引に副主席に据えた。こうして江沢民のごり押しにより軍事委員会副主席に就任した徐才厚と郭伯雄は、解放軍に依然として強い影響力を保持する江沢民の権勢を背景に軍事委主席の“胡錦涛”をないがしろにし、主席の座を単なる飾り物にして解放軍内の実権を握った。

【2】彼ら2人は軍事委副主席として、解放軍の“総政治部”と“総后勤部”を徐才厚が、“総参謀部”と“総装備部”を郭伯雄がそれぞれ分掌した。2人は分掌した各部の人事権を一手に握ると、軍官としての地位をカネで売り渡す“売官(官職売り)”に狂奔した。彼ら2人が人を将官に任用する際の指標は、「一にカネの額、二に関係の遠近、三に“感情(親しみ)”」だったという。ある官職を得たいと考えた人が1000万元(約2億円)を贈ったのに対して、別の人が2000万元(約4億円)を贈ったならば、徐才厚と郭伯雄はいずれも躊躇することなく2000万元を贈った人を任用し、1000万元は問答無用で返却する。

【3】解放軍は“武装警察”を含めて、共産党に入党するにもカネが必要であり、将官が階級を上げるのにも市場相場があり、価格水準があるというとんでもない状況に陥っている。要するに、解放軍内における昇進はカネ次第であり、階級が上がる毎に価格が上がり、誰がカネを多く支払ったかによって出世が決まる仕組みとなっていた。中国の十大元帥の1人である“彭徳懐”の姪に当たる“彭鋼”少将(1938~2014年)は、“軍中女包公(軍中の女性版包公)”<注1>として知られる清廉潔白な人物だったが、その彭鋼が1990年代に解放軍総政治部の紀律検査部長を務めた際に、解放軍の腐敗ぶりに直面して、ため息をつき、「どうしようもない」と嘆いたというが、現在の解放軍はその頃以上に腐敗ぶりが際立っている。

<注1>“包公”とは北宋の政治家である“包拯(ほうじょう)”(999~1062年)、清廉潔白な政治家として知られ、“包青天”とも呼ばれる伝説的な人物。

【4】解放軍の中にいる“老虎(トラ)”<注2>は賄賂を受け取るだけでなく、軍費の横領も行っており、その金額は莫大なものとなっている。解放軍中のトラは、解放軍の高度な機密性と「高位の人間の一言で全てが決まる」体制を利用して、やりたい放題である。

<注2>習近平が推進する“反腐敗(腐敗撲滅)”運動の対象であるトラ(庶民の上に君臨して大きな腐敗を行う指導幹部)。

さらに、姜春良は、「高官の子供や娘婿、あるいは秘書などは高級将校に近づく機会を利用して、戦闘もできないのに重要な指導幹部の地位に就いている」と述べたし、羅援は、「考えれば恐ろしい。誰が進んで腐敗官吏の為に身を捧げて戦うものか。戦争なんかする必要がない。そんな部隊は負けるに決まっているのだから」と述べた。

 それでは徐才厚や郭伯雄などのトラによって定められた将官が昇進するための価格相場はいくらなのか。2015年3月の両会期間中にネット上に「解放軍の“売官”価格表」と称するものが掲載されたが、その内容を取りまとめると下表の通り。

人民解放軍の“売官”価格表

役職名 適合する階級 価格
大軍区“正職(司令官)” 上将・中将 2000万元(約4億円)
大軍区“副職(副司令官)” 中将・少将 1000万元(約2億円)
軍級(軍団長) 中将・少将 500万元(約1億円)
師級(師団長) 少将・大佐 100万~300万元(約2000万~6000万円)
団級(連隊長) 大佐・中佐 100万元(約2000万円)
営級(大隊長) 中佐・少佐 30万~40万元(約600万~800万円)
連級(中隊長) 少佐・大尉 20万~30万元(約400万~600万円)
排級(小隊長) 中尉・少尉 10万~20万元(約200万~400万円)
士官(1~3級) 士官 1万~3万元(約20万~60万円)

<出所>中国語ニュースサイトの記事から筆者作成

 なお、一般の兵士についても、こうした傾向は見られるようで、各地の武装部隊や軍区の徴兵弁公室が賄賂を取って、志願兵の入隊を許可しているという。すなわち、新兵の相場は、男性が3万元(約60万円)、女性が6万元(約180万円)であるが、もしも身体検査で不合格だと1万元(約20万円)、政治審査で不合格だと2万元(約40万円)がそれぞれ追加で必要となる。また、待遇が良い“西藏兵(チベット駐屯兵)”の場合は、賄賂の金額が男性6万元(約120万円)、女性が10万元(約200万円)だとネット上には記載されていた。但し、残念ながら、筆者はこれが真実かどうかを検証する術を知らない。

ネットに「価格表」から「売官記録」まで

 国家を守る解放軍ですら上述したような嘆かわしい状態であるから、他は推して知るべしと言える。2015年4月に中国メディアがこぞって報じた山東省“菏澤市”の“売官”事件は、その典型的な例である。当該事件の概要は以下の通り。

【1】“劉貞堅”は1962年11月に山東省の東部に位置する“聊城地区”(後の“聊城市”)に属する“高唐県”で農民の子として生まれた。1979年から“山東工学院”で4年間鋳造技術を学んだ劉貞堅は、その後、「聊城トラクター工場」に入り、1985年には念願の中国共産党への入党を果たして党員となった。共産党員となったことにより抜擢を受けた劉貞堅は、工場の現場主任にまで出世したが、1991年には役人へ転じ、聊城地区計画委員会の“科長(課長)”となった。2001年からは役所に在籍のまま山東省共産党委員会が運営する党学校の社会人課程で4年間経済管理を学んだ。2003年からは聊城市“陽谷県”の党委員会副書記兼副県長となり、2006年2~12月は陽谷県党委員会副書記兼“県長”となった。

【2】劉貞堅は2006年12月に配置転換を受け、聊城県の南に位置する“菏澤市”に属する“巨野県”の県党委員会書記に栄転した。それから5年間を巨野県のNo.1である党委員会書記として過ごした劉貞堅は、2011年11月に菏澤市の副市長となり、2012年2月から2013年12月までは菏澤市党委員会常務委員として市党委員会“統一戦線部”の部長を務めた。しかし、劉貞堅の出世街道はここまでで、その先は閉ざされることになった。2013年12月、“山東省紀律検査委員会”は重大な規律違反があるとして劉貞堅に対する取調べを行い、職務を利用して他人の利益の為に便宜を図って財貨を要求し、巨額の賄賂を受け取ったとして立件したのだった。

【3】2015年4月17日に“山東省人民検察院”がウェブサイトに掲載した『“売官書記”劉貞堅を起訴した事件の記録』によれば、劉貞堅が行った44件に及ぶ犯罪事実のうち、3件の企業や個人から受け取った合計118万元(約2360万円)を除く、41件の合計739万元(約1億4780万円)は全て“下属(部下)”からの賄賂であったという。起訴後の取調べで、5件の合計17万元(約340万円)については劉貞堅から合理的な説明があり、収賄には当たらないことが認定されたが、1審判決は検察側が提起した44件を全て犯罪行為と認定した。

【4】起訴状によれば、2007年初旬から2012年の末までの5年間に、劉貞堅が収賄を行った回数は116回に及び、その収賄総額は850万元(約1億7000万円)に達したという。その経緯を見ると、劉貞堅の収賄行為は年々増加し、とりわけ2010年と2011年の2年間は急激に増大した。2009年以前の収賄行為は45回で収賄総額は131万元(約2620万円)であったが、2010年と2011年の2年間の収賄行為は70回でその総額は726万元(約1億4520万円)に及んだ。調べによれば、劉貞堅は2012年には再度の配置転換により巨野県を離れると考えて、それまでにカネを稼ごうと2010年から積極的に“売官”を行ったし、一方の部下たちは劉貞堅の巨野県在職中に出世しておこうと積極的に贈賄を行ったのだった。

賄賂を贈っていなかったのは、たった1人

【5】41人の部下はさらに上の官職を得ようと劉貞堅に賄賂を贈り、劉貞堅はこれに応えて“職務調整”という名目で官職を売って、彼らを出世させた。これら41人には巨野県の幹部職員が7人、巨野県直属部門の主要責任者が10人含まれていたばかりか、全県に18カ所ある“郷”・“鎮”の党委員会書記の中で劉貞堅に賄賂を贈っていなかったのはたった1人という体たらくであった。なお、巨野県における劉貞堅の執政後期には彼の妻が賄賂の受け手となり、“職務調整”の希望者が彼の妻を訪ねることは半ば公然の秘密となっていた。そして、暗黙のうちに“職務調整”価格が設定されたと言われているが、それは郷・鎮長は5万~10万元(約100万~200万円)、郷・鎮党委員会書記は10万~20万元(約200万~400万元)、県直属部門のトップが20万元(約400万円)というものだった。

【6】2015年4月15日、劉貞堅が逮捕されてから1年4カ月が経過したこの日、被告人の劉貞堅に一審判決が下された。それは劉貞堅を収賄罪により断罪したもので、劉貞堅には無期懲役、政治的権利の終身剥奪、個人財産全ての没収が言い渡された。劉貞堅はこうして厳しく処罰されたが、このような“指導幹部(指導的立場の幹部)”による“売官”は決して珍しいものではなく、中国ではありふれたことなのである。問題はそれが摘発されるか否かにかかっている。

ところで、こうした“売官”は上述した解放軍や役人の世界だけにとどまらず、国有企業にも氾濫している。週刊誌「中国経済週刊」の2015年4月20日発売号は、広東省人民検察院”が“中国南方電網”(以下「南方電網」)<注3>の“副総経理(副社長)”である“肖鵬”を収賄の容疑で立件して調査していると報じたが、同記事には次のような記述があった。

<注3>中国政府の監督管理を受ける“中央企業”の1つで、電力の送電・変電・配電を司る企業。

国有“電網公司”も高値で「売買」

 電力業界に精通している人によれば、広東省の比較的発達している地区では、7~8年前から南方電網内の“売官”および“買官(官職を買う)”の価格は非常に高いものであった。当該地区では、“供電所(配電所)”の所長の地位は少なくとも100万元(約2000万円)、“県公司(県支店)”の“総経理”の地位は300万元(約6000万円)になっていた。その理由は、たとえそれだけの金額を支払ったとしても、その地位に就任すれば、元本の回収が非常に速く、その後は大いに儲けることができるからである。

 なぜなら、多くの企業や組織は電力使用の申請や配電接続、変電所の改造などは全て“電網公司”の同意を必要とする。新しく工場を立ち上げるのに、電力の手続きから始めて最後の通電までには長時間を要するのが通例である。それが発達した地区では企業数が非常に多く、配電部門は多忙で手が回らず、企業側は順番待ちの状態とならざるを得ない。そうなれば、順番を繰り上げてもらおうと賄賂を贈る企業が出て来るのは必然であり、これに対して賄賂を贈らぬ企業に順番が回るのはより一層遅くなる。

 要するに、「地獄の沙汰もカネ次第」の言葉通りで、中国社会は何事もカネ次第なのである。解放軍内で大金を支払って“買官”を行い、より高い地位を得ることによって一体何があるのか。同様に、役人の世界で大金を支払って“買官”を行い、より高い地位を得ることによって一体何があるのか。その答えは南方電網の事例から分かる様に、高い地位という名誉もさることながら、支払った大金の回収はもとより、それ以上の利益が見込めるからである。

たとえ2000万元(約4億円)を支払ってでも、大軍区の司令官になれば、その微々たる俸給とは比べ物にならない巨額の利益が期待できる。大軍区の司令官が持つ権力は絶大であり、その恩恵に与ろうとする人々からの賄賂や“売官”による利益は莫大である。それよりも下位の将官たちにも同じことが言える。だからこそ、将官たちは無理をしてでもカネをかき集めて“買官”を行うのである。同様に役人も国営企業の職員も“買官”によって少しでも高位に上ることで、より以上のカネを儲けようと考えるのだ。

病んだ獅子、虫退治は至難

 2015年1月15日に「人民日報」系の日刊紙「環球時報」のインタビューに応じた上述の羅援少将は次のように語った。「現在、戦って中国を打ち負かすだけの能力と度胸を持っている国はほとんどないだろうが、唯一我々を打ち負かすのは我々自身である。腐敗を除去しなければ、我々は戦わずして負ける。腐敗は軍隊の戦闘力を削ぐ最大の殺し屋である」

 2013年1月以来、中国共産党総書記の“習近平”主導の下で推進されている“反腐敗(腐敗撲滅)”運動は、その主たる標的を解放軍、官僚、国有企業に定めて着実に成果を上げているように見える。しかし、その実態は、いみじくも羅援少将が述べたように、「獅子身中の虫」を駆除しない限り、国家の内部崩壊を免れることができないからで、やむにやまれぬ切羽詰まった措置であると言うことができよう。残念ながら、健康な獅子なら身中の虫を駆除することは容易だろうが、病んだ獅子には至難の一言に尽きる。

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