『パレスチナ問題の歴史をおさらい:イスラエル寄り強めるアラブ諸国 極めて低くなった第5次中東戦争に発展する可能性』(10/29JBプレス 横山恭三)について

10/30The Gateway Pundit<North Carolina Appeals Court Rejects GOP Challenge – Will Allow Voters Who Never Lived in the US to Vote in the State, Rejects Request to Set Aside UOCAVA Votes=ノースカロライナ州控訴裁判所、共和党の異議申し立てを却下 – 米国に住んだことのない有権者に同州での投票を認める、UOCAVA投票を無効にする要求を却下>

法の抜け穴があるということ。トリプルレッドにして不正選挙防止を抜け穴のないようにしてほしい。

3人で構成される控訴裁判所は、今年州に届くUOCAVA投票または海外投票の特定の処理を拒否する共和党の申し立てを却下した。

共和党は、現行法では有権者が州内どころか米国内に住んでいなくても、自分の票を数えてほしい場所で投票所を探し回ることができると主張した。

これは米国選挙の正当性を破壊する最新の判決だ。民主党はこのニュースを歓迎するだろう。

ザ・ヒル紙は次のように報じた。

ノースカロライナ州控訴裁判所は火曜日、有権者が以前この重要な激戦州の居住者であったことを証明しない限り、次回選挙で特定の海外投票を処理しないよう求める共和党全国委員会(RNC)の要請を却下した。

共和党は、投票団体がもはや確実に共和党支持者ではないとみられていることから、いくつかの重要な激戦州で海外投票に対する異議申し立てを行っているが、これまでのところ訴訟は却下されている。

ノースカロライナ州控訴裁判所の3人の判事からなる審理部は火曜日、次期大統領選挙を前に共和党の介入要請を裁判官が却下したことを受けて、共和党全国委員会の上訴を全員一致で棄却した。

…ノースカロライナ州の規則では、米国に一度も住んだことがない市民でも、他の場所で登録しておらず、親または法定後見人が以前にノースカロライナ州の有権者であった場合に限り、同州で投票できる。

ゲートウェイ・パンディットが以前報じたように、民主党は2024年の選挙を盗むための素晴らしい計画を考案しました。それは実に単純なものです。そして今、ゲートウェイ・パンディットや他のメディアの報道のおかげで、共和党はこの脅威に目覚めつつあります。 

1か月前、元駐カナダ米国大使のブルース・ヘイマン氏はMSNBCのモーニング・ジョーに出演し、海外の有権者が2024年の激戦州での決定要因になる可能性があると語った。

ヘイマン氏はモーニング・ジョーに出演し、海外に住む何百万人もの米国人有権者を動員しようとする民主党の取り組みについて議論し、僅差で選挙結果が決まる可能性がある激戦州でこれらの海外有権者が極めて重要な影響力を持つ可能性があることを強調した。

これにより、米国はまたしても重大な欠陥のある選挙プロセスを抱えることとなり、またしても疑問の残る結果につながることになるだろう。

先月、ゲートウェイ・パンディットは、私たちの選挙がいかに簡単に跡形もなく盗まれる可能性があるかを説明する一連の調査記事の最初の記事を掲載した。

Verity Voteの Heather Honey 氏によると、制服着用者および海外市民不在者投票法 (UOCAVA) は 1986 年に可決された連邦法です。

UOCAVA は、米国軍人、その家族、および米国外に居住する米国市民が、標準化された形式で連邦公職選挙に登録し、不在者投票を行うことを各州に許可することを義務付けています。

UOCAVA 有権者(制服着用者および海外市民不在者投票法)に関する最初の記事では、連邦および民主党のウェブサイトの両方で、オンライン有権者が身元や市民権ステータスの確認なしに登録できる仕組みについて説明しました。

米国在住で投票登録を希望する米国市民は、社会保障番号の下 4 桁の共有、および/または運転免許証または州発行の身分証明書の提示が必須ですが、UOCAVA の有権者は、社会保障番号の下 4 桁の共有、および/または運転免許証または州発行の身分証明書の提示の要件を回避できます。

以下のスクリーンショットは、民主党のウェブサイトが連邦政府のウェブサイトと同様に、UOCAVA の有権者を米国の選挙で投票するために登録し、ユーザーがオンライン登録プロセスの ID 部分を省略できるようにする方法を示しています。

スクリーンショット

UOCAVA は、外国人市民の無制限の投票への扉を開きます。

FAVP または連邦投票支援プログラム アプリケーション (連邦政府の Web サイト) 、または民主党が資金提供している Web サイト VoteFromAbroad.orgで投票登録した UOCAVA 有権者に関する追加の詳細をいくつか示します。

  • 申請者は投票したい州または住所を自由に選択できます。
  • これらの登録者が、記載した住所にかつて住んでいたことがあるか、またはその州と何らかのつながりがあるかを確認する人は誰もいません。
  • ほとんどの州の有権者は電子メールで投票用紙を受け取り、返送するため、選挙監視員にとって保管の連鎖が不可能となっている。 

もちろん、これは安全でも安心でもありません。

そして民主党は、ゲートウェイ・パンディットやその他のメディアがこの過程に光を当てていることに憤慨している。

https://www.thegatewaypundit.com/2024/10/north-carolina-appeals-court-rejects-gop-challenge-will/

10/30Rasmussen Reports<The Most Important Election in Your Lifetime? 73% Say ‘Yes’= 人生で最も重要な選挙?73%が「はい」と回答>

有権者の大多数は今年の大統領選挙が重要だと考えているが、自分の支持する候補者が勝てなければ大半が怒るだろう。

ラスムセン・レポートの最新の全国電話およびオンライン調査によると、米国の有権者の 73% が今回の大統領選挙は生涯で最も重要な選挙だと考えている。反対する人はわずか 16% で、わからないと答えた人は 10% である。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/biden_administration/the_most_important_election_in_your_lifetime_73_say_yes?utm_campaign=RR10302024DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

https://x.com/i/status/1851424720417382759

10/30阿波羅新聞網<川普将大赢?雷根前顾问曝4迹象:沉默的他们被忽略=トランプ大勝利なるか?元レーガン大統領顧問が明らかにする4つの兆候: 黙っているかれらは軽んじられる>米国大統領選挙まで残りわずか1週間となったところで、故レーガン米国大統領の元政治アナリスト、クレイグ・ケシシアンは、世論調査データでは把握できない隠れ有権者が急増する可能性があるため、選挙情勢はそれほど接戦ではないと予測した。実際、トランプ大統領の支持者は非常に多いかもしれない。

  1. サンベルト地域の共和党は台頭している:ネバダ州とアリゾナ州の「サンベルト」地域では、期日前投票で共和党有権者が民主党有権者を上回った。
  2. ハリケーン被害者との連帯: ノースカロライナ州では、ハリケーン・ヘレンの影響で多くの現地家族の生活が破壊された。しかし、共和党支持者が中心だった被災者たちはひるむことなく、期日前投票に積極的に参加した。
  3. 鍵となるペンシルベニア州:ペンシルベニア州は今回の選挙で特に鍵となっており、もしトランプがこの州で負ければ、選挙人団での勝利への道は大きく妨げられるだろう。ペンシルベニア州でのトランプの支持率は現時点でハリスをわずかに上回っており、同州の選挙がトランプに有利になる可能性があることを示している。
  4. 民主党支持者の揺れ:ミシガン州などの伝統的な民主党支持地域では、一部の少数民族系有権者(アラブ系米国人など)がトランプ支持を増やしており、特にミシガン州のアラブ系有権者は過去において安定して民主党を支持してきたのだが。さらに、民主党の主要な盟友の間にも不安の兆しがあり、例えば、ペンシルベニア州の民主党上院議員ボブ・ケイシーは、選挙戦でトランプと協力した経験を強調し始め、選挙に対する懸念を示した。

https://www.aboluowang.com/2024/1030/2122902.html

10/30阿波羅新聞網<李升蔡降 习近平再度高调反改革=李は上昇、蔡は下降、習近平は再び反改革を高らかに>最近、中共の最高指導部の権力構造に変化の兆候が頻繁に現れ、中共が経済救済のための段階的な計画を突然打ち出したため、10/29、中共の政治経済生態は隠密で混沌としたものとなった。10/29中共の時局の大きな動向は注目に値する。

党メディアは、10/29午前、中共第20期中央三中全会の精神を学習し実行するための省・省レベルの指導幹部を対象とした特別セミナーが中央党学校で開催されたと報じた。習近平は重要な演説を行った。残りの常務委員6名と韓正が開会会議に出席した。

李強の権力が高まり、蔡奇は我関せず

習近平は改革に手かせ・足かせをはめる

https://www.aboluowang.com/2024/1030/2122877.html

10/30看中国<动静异常 蔡奇或被王小洪取代 习以退位做政治交易?(图)=異例のニュース、蔡奇は王小洪に取って代わられたかも、習の退位は政治取引のためか? (写真)>中共第20期中央三中全会以降、さまざまな異常な兆候が現れており、各界は中共の最高指導部に重大な変化が起こったのではないかと推測しており、その中には中共指導者習近平党首の軍権剥奪、蔡奇中央弁公室主任の事故、そして王小洪公安部長の昇進も含む。ある分析では、7月のクーデターに貢献した王小洪は他派閥からも認められており昇進する一方、蔡奇は辞任する可能性が高いと考えている。

習の一尊の地位が失われる

蔡奇は辞任するかもしれない

王小洪が異常な動静

王小洪は中共中央弁公室主任に就任する可能性がある

クーデターに協力した王小洪は他派からも認められた

陳破空は、王小洪の昇進には2つの理由があると分析し、第一に、同氏は7月のクーデターに尽力し、政治長老の温家宝や革命第二世代、張又侠など他の派閥からも認められていたことだ。

三中全会中に重大事件の詳細が伝わり、その二日目に、習近平は一人で張又侠を辞職に追い込みたいと考え、張又侠に引退するよう説得し、装備部門とロケット軍高官に起こったすべてのことで張又侠を責めた。

「張又侠は習近平の言うことを聞かなかっただけでなく、言い返して習近平を嘲笑した。その結果、習近平は脳卒中で倒れた。その後、張又侠は会議を掌握し、張又侠も政治長老たちを解放した」。張又侠は王小紅を探し、王小紅は勢いを見て取り、自分の剣は銃口よりも強くないと感じ、また習が意識を失い病院に送られたため、張又侠と協力して政治的長老の監視を止めることに同意した。政治長老らの解放後、温家宝達は三中全会の後半に参加した。

https://www.secretchina.com/news/gb/2024/10/30/1072053.html

何清漣 @HeQinglian 9時間

周女史は「世界にフリーランチはない」ことを知らなければならない。もし私が台湾人なら、蔡政権のような米民主党の進歩的な政策に随い、島民のLGBTQI+比率を15%以上に増やすようなことをせず、お金を出した方が良い。

引用

矢板明夫 @Yaita_Akio 22h

一昨日の朝、ベテランメディア人の周玉蔻のラジオ番組「ニュース爆竹」に出演した。米大統領選挙について、司会者とこんな会話をした。

周玉蔻「しかし、トランプは台湾に保護費を支払って欲しいと?」 矢板明夫「それはいいですね!台湾もお金がないわけでない。支払えば国家の安全を守れるなら、なぜ支払わないのか?」

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https://x.com/i/status/1851260441827451329

何清漣 @HeQinglian 6時間

「黒人の中国系米国人」?書き間違いを疑う、正しくは「米国の路上で強姦しようとした中国系米国籍黒人」のはずだが、黒人はもともと米国人であり、正式にはアフリカ系米国人と呼ばれる。近年では、ソマリアとハイチが来源地に追加される予定である。

引用

MR.486 @kiss486 10月29日

米国の路上で強姦しようとした中国系米国人の黒人男性が、その場で警察に射殺された。

すっきりしたかどうか?

何清漣が再投稿

米国暁言フォーラム Cheyenne’s Forum  Q TOWN @cheyennexli 5 時間

朗報!最高裁判所、不法移民の選挙人名簿からの排除を支持。

「憲法はあなたがどう受け止めるかを気にしない」

米国憲法を擁護するために毅然とした姿勢を保ってくれた保守派判事に感謝する!

同時に、左翼裁判官の憲法軽視が改めて全面的に証明された。憲法を尊重しない人が裁判官になる資格はあるのか問いたい。

qtown.mediaより

何清漣 @HeQinglian 1時間

レーガン大統領の世論調査チームのプロジェクトディレクターだったクレイグ・ケシシアンは「デイリー・テレグラフ」に次のように書いた:選挙情勢は思ったほど膠着していないが、レーガンの大勝利のような状況は起こらないことを示している。 https://dailymail.co.uk/news/article-14013063/trump-harris-early-vote-swing-states-polls.html

1.サンベルト(SUN)

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https://x.com/i/status/1851600914572013997

何清漣 @HeQinglian 2時間

これは西風が東に広がるというもので、全裸デモは10年以上前から欧米で流行しており、ポリコレで、中国の「進歩的」な人々も真似している。欧米では集団行動がよくあるのに対し、中国人は家族までは至らず、個人で行動している。

2020年の米国でのBLM運動における集団抗議活動とプライド月間パレードを参考にすると、オーストラリアではこの2日間で数千人が橋の上に集まり、裸で抗議活動を行った。

引用

MR.486 @kiss486 16h

中国人の中には、特に女性は、喧嘩したり怒ったりすると、野良犬のように服を脱いで全裸になる人もいる。

したがって、多くの中国人には実際恥という概念がない。路上でパンツを脱いで肛門を露出してからウンチをしたり、怒って裸になって胸や陰部全体を露出したりするが、彼らは気にしない。

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横山氏の記事では、「アブラハム合意」を成し遂げたトランプが大統領に復帰しない限り、中東戦争もロ・ウ戦争も解決しないのでは。

記事

ガザ北部から南部へ避難するパレスチナの人々(2023年11月12日、写真:ロイター/アフロ)

2024年10月26日、イスラエル軍は10月1日のイランからのミサイル攻撃への報復措置として、イランの軍事施設を攻撃したと発表した。

イラン軍は、防空システムがイスラエルの攻撃を防いだものの兵士2人が死亡したほか、一部地域で被害が出たとしている。

米メディアは、さらなる攻撃の応酬を防ぐため、イスラエルからイランに対し事前に標的などを伝えていたと報じた。

今回のイスラエルの攻撃は、事前にイランに対して攻撃目標を通知、かつ目標を軍事目標に限定するなど、極めて抑制的であった。

これは米国、特にジョー・バイデン大統領の意向を受け入れて、紛争の拡大を防ごうとしたものであろう。

他方、イランも、10月1日のイスラエルに対するミサイル攻撃の後の声明で、イランは軍事・安保施設のみを標的としたと主張し、またイスラエル側が報復攻撃をしなければイラン側の攻撃はこれで終わるとも説明、事態をエスカレーションさせたくない意向を明らかにした。

今回、イスラエルが、イランの核施設を攻撃するのではないかという事前予測もあったが、イスラエルがペルシャ湾に接しているイランの核施設を攻撃しなかったことは、日本にとっても幸いなことであった。

なぜなら、日本は、原油の多くをペルシャ湾沿岸国から輸入しているからである。

さて、米国のジョー・バイデン大統領は10月2日、イスラエルがイランによるミサイル攻撃の報復としてイランの核施設を攻撃することを支持しないと述べた。

イスラエルは米国の説得を受け入れ、核施設を除く限定的な攻撃を行ったとみられる。

一方、ドナルド・トランプ前米大統領は10月4日、イスラエルはイランによる弾道ミサイル攻撃への報復として、イランの核施設を攻撃すべきだとの認識を示唆した。

このバイデン氏とトランプ氏の発言の違いはどこからくるのであろうか。バイデン氏は、イランはいまだ核兵器製造の決断をしていないと見ており、トランプ氏は、既に核兵器製造の決断をしていると見ている。

このような見方の違いからであろう。イランの核兵器製造能力については後述する。

ところで、これまでの中東紛争は、イスラエルがイランを報復攻撃すれば紛争は中東地域全体に一気に広がり、原油供給に大きな支障が生じ、原油価格が高騰するリスクが高まると見られていたが、現実には現在の原油価格は安定している。

なぜか。

今、イスラエルを武力攻撃しているのは、イスラエルを国家として認めず、反イスラエルを国是するイランとイランが支援する「抵抗の枢軸」のみである。

抵抗の枢軸とはヒズボラのほか、パレスチナ自治区ガザのハマスやイエメンの親イラン武装組織フーシ派、シリアやイラクの新イラン武装勢力のネットワークを指す。

共通するのは、イスラエルや米国に「抵抗」するとして、対決する姿勢を示していることである。シーア派一色ではなく、ハマスのようにスンニ派も含まれている。

かつて幾度となくイスラエルと戦火を交えたアラブ諸国は、イスラエルを強く批判しながらも厳しい対応を避けている。

なぜか、それは「アブラハム合意」と呼ばれるイスラエルとアラブ諸国との国交正常化が進んでいることによるものであると筆者は見ている。

以下、初めに最近のイスラエルとイランの武力衝突の経緯について述べ、次に、イランの核兵器製造能力について述べる。

最後に、イスラエルとアラブ諸国との国交正常化、いわゆる「アブラハム合意」について述べる。

1.最近のイスラエルとイランの武力衝突経緯

①2020年1月3日、イラン革命防衛隊のコッズ部隊(注1)のトップ、カセム・ソレイマニ司令官がイラク・バグダッドで米軍の空爆によって死亡した。

(注1)イスラム革命防衛隊に所属するコッズ部隊は、イランが国外テロ集団を育成・支援する主なメカニズムとなっている。イランは、コッズ部隊を使って外交政策目標を達成し、諜報活動を補足し、中東を不安定化している。2011年、コッズ部隊は在ワシントンDCにおいて駐米サウジアラビア大使の暗殺を計画した。

②2023年10月7日、ガザ地区のハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、ガザ戦争が勃発した。

③2024年4月1日、イラン革命防衛隊は、シリアの首都ダマスカスに所在するイラン大使館領事部がイスラエルによって攻撃され、将官7人が死亡したと発表した。

イランのホセイン・アクバリ駐シリア大使は、イスラエルの「F-35」戦闘機が「私の居住場所と大使館の領事部、イランの駐在武官を残忍に襲った」と語った。

④2024年4月14日、イランはイスラエルに対する報復攻撃として、無人機、巡航ミサイル、弾道ミサイルによる攻撃に踏み切った。

イスラエル軍報道官によると、攻撃には無人機約170機や巡航ミサイル30発以上、弾道ミサイル120発以上が使われた。

イランだけでなくイラクやイエメン領内からも発射された。イスラエル軍は「99%」を迎撃したが、弾道ミサイルの一部が着弾したと発表した。

同攻撃は、イランによるイスラエルに対する初の直接攻撃である。イランは、同攻撃は4月1日に行われた在シリアのイラン大使館領事部ビルに対する空爆への報復だとしている。

⑤2024年4月19日、米紙ニューヨーク・タイムズによれば、イスラエルとイランの複数の当局者はイランのイスファハン近くの空軍基地への攻撃を確認した。

ただ、イラン国営メディアは「大規模な攻撃や爆発は報告されていない」としている。

イスファハン州のナタンズにはウラン濃縮施設などがあるが、国際原子力機関(IAEA)も「イランの核施設に被害はない」と明らかにした。

イラン当局者は同紙に対し、小型ドローンが攻撃に使われ、イランに潜入したイスラエルの工作員などがイラン国内から発射された可能性もあると語った。

イスラエルからの公式な反応は出ていないが、イスラエルのイランに対する報復攻撃と見られている。

⑥2024年7月31日、ハマスは、最高指導者イスマイル・ハニヤ政治局長が殺害されたと発表した。

ハニヤ氏は、ハマスの政治部門トップを務める。イラン革命防衛隊系メディアによると、7月31日午前2時頃、テヘラン北部のハニヤ氏の住居が誘導ミサイルによって空爆されたという。

ハニヤ氏は7月30日に開かれたイランのペゼシュキアン新大統領の宣誓式のため、テヘランを訪れていたという。

AP通信によると、ハニヤ氏は2019年にガザを離れ、カタールで亡命生活を送っていた。

他方、パレスチナ自治区ガザの戦闘は、ヤヒヤ・シンワル氏が率いている。

⑦2024年9月17日および18日、レバノンでは、ポケベルなどの通信機器の爆発により37人が死亡した。

ハマスを支援するために行動しているヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師は19日に演説を行い、「イスラエルはあらゆる法律とレッドラインを越えた」と非難し、「厳しい報復としかるべき処罰を受けるだろう」と述べた。

⑧2024年9月20日、イスラエル国防軍は、レバノンの首都ベイルートに空爆を行い、ヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」のイブラヒム・アキル司令官を含む複数のヒズボラ幹部を殺害したと発表した。

⑨2024年9月22日、ヒズボラは、イスラエルに対する報復の一環として、イスラエル北部のハイファ近郊を攻撃したと発表した。

⑩2024年9月23日、イスラエル国防軍は、レバノンにあるヒズボラの拠点に大規模攻撃を行った。

レバノンの保健省によると、9月23日の空爆による死者数は492人、負傷者数は1645人となったとしている。

⑪2024年9月28日、イスラエル国防軍は、レバノン・ベイルート南部ダヒエへの空爆で、レバノンを拠点とするヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師(注2)を殺害したと発表した。

ヒズボラは同日、ナスララ師が死亡したと声明を出した。

(注2)ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師は、内戦下のレバノンに侵攻し、南部占領を続けたイスラエル軍を2000年に撤退させたとして、対イスラエル闘争の「英雄」とアラブ諸国で広く認知されてきた。

イスラエルのネタニヤフ首相は、ナスララ師の殺害について、「歴史的な転換点」だと評価した。

同首相はナスララ師を「人殺しの名人」と呼び、「イランの抵抗の枢軸の中心にいるエンジンだった」とした上で、イスラエルの目的を達成するにはナスララ師の死が「必要な条件」だったと強調した。

米国のバイデン大統領はナスララ師の死について声明を出し、次のように述べた。

「ハッサン・ナスララと、当人が率いたテロ組織ヒズボラは、40年にわたり恐怖で支配する間、何百人ものアメリカ人を殺害した」

「米国人、イスラエル人、レバノン民間人の数千人を含む大勢がその被害者となっていただけに、イスラエルによる空爆で彼が死亡したことは、一定の正義が実現したことを意味する」

イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、ナスララ師の殺害を受けて、5日間の服喪を指示した。さらに、その死が「報復されないままにはしない」と述べた。

⑫2024年10月1日、イランは、弾道ミサイル約180発をイスラエルに向けて発射した。

報道によれば、落下した破片でイスラエル人2人が負傷、ヨルダン川西岸でパレスチナ人1人が死亡。

イランのイスラム革命防衛隊は、イスラエルが報復すれば反撃すると警告した。

10月1日のイスラム共和国通信(IRNA)によると、イラン・イスラム革命防衛隊は10月1日、ハマスのイスマイル・ハニヤ政治局長、レバノンのヒズボラ指導者のハッサン・ナスララ師などの死亡や、パレスチナやレバノンでの犯罪に対する報復措置として、イスラエル中心部の重要な軍事・安全保障目標を攻撃したと述べた。

さらに、イスラエルが反撃した場合には、イランはより厳しい報復措置を取ると警告した。

⑬10月2日、バイデン大統領は、米国がイスラエルによるイラン核施設への攻撃を支持するかという記者団からの質問に対し「答えはノーだ」と応じた。

⑭10月4日、トランプ氏はノースカロライナ州ファイエットビルで開かれた対話集会で「イランについてどう思うか。あなたなら核施設を攻撃するか」と聞かれ、「攻撃したいのはそこだろう。バイデン氏は間違っている。核施設こそ攻撃対象ではないか」との見解を示した。

⑮10月5日、イスラエルのネタニヤフ首相は、イランから受けた攻撃について、「史上最大の弾道ミサイル攻撃で、このような攻撃を容認できる国はない」とした上で、「自国を防衛し、これらの攻撃に対応する義務と権利がある」と述べ、報復を明言した。

⑯10月15日、米紙ワシントン・ポストは、ネタニヤフ首相はイランの弾道ミサイル攻撃への報復として、イランの石油施設や核施設でなく軍事目標を攻撃する意向をバイデン政権に伝えたと報じた。

⑰10月16日、米CNNは、情報筋の話として、イスラエルが計画しているイランへの報復攻撃の準備が整ったと報じた。

イスラエルは攻撃を軍事施設に限定すると米側に伝えたという。米当局者は、11月5日の米大統領選前に報復攻撃があるとみている。

実行された場合のイランなどによる反攻に備え、米国は防空支援のため、イスラエルにミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD:サード)」を配備し、米兵約100人を派遣している。

⑱10月17日、イスラエル国防軍は、パレスチナのガザ地区で行った作戦で、2023年10月のイスラエルに対する奇襲攻撃を首謀したとされるハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏を殺害したと発表した。

発表によるとイスラエル軍は10月16日、ガザ地区南部での作戦でハマスの戦闘員3人を殺害し、そのうちの1人が17日に行ったDNA鑑定などの結果、シンワル最高幹部と確認された。

⑲10月26日、イスラエル軍報道官は、攻撃開始を告げる声明を発表し「イランの軍事的な標的に精密な攻撃を加えている」と述べた。

約3時間半後に作戦終了を宣言した。イランの複数地域を空爆し、ミサイル製造施設や地対空ミサイル装置などを標的にしたとしている。

⑳10月26日、米ニュースサイト「アクシオス」は、イスラエルはイランに「複数の第三者」を通じて、今回の攻撃の標的を事前に大まかに伝え、その上で、イランの反撃でイスラエルの民間人に被害が出るようなことがあれば、より強力な攻撃を実施すると強調したと報じた。

さらにアクシオスは、イランへのメッセージを伝えた「第三者」の一人は、オランダのカスパー・フェルドカンプ外相だったと報じた。

2.イランの核兵器製造能力と製造の決断

(1)要約

イランは、2015年に米英独仏中ロの6カ国と締結した核合意の枠組みが、2018年の米国の離脱によって崩れていくのに伴い核開発プログラムを加速させており、いざ決断した場合に核兵器を製造して完成するまでに要する時間は、刻々と短縮されつつある。

(2)ブレークアウト・タイム

核合意当時の米国は、イランが核爆弾1個分の高濃縮ウランを取得するまでの時間(ブレークアウト・タイム)として最低1年かけさせることが核合意の主な目的だった表明していた。

ところが2018年、米国がトランプ前政権の下で核合意から離脱するとともに、イランへの制裁を復活した。

これで自国の石油輸出が抑えられ、経済に痛手を受けたイランは翌2019年に核合意に違反して核開発活動を進め始めた。

イランの核関連施設の査察を行っている国際原子力機関(IAEA)の最新四半期報告(2024年8月24日)によると、濃縮度最大60%のウランの保有量は3カ月前よりも22.6キロ増え164.7キロとなり、IAEAの定義に従えば、さらに濃縮度を高めれば核爆弾4個分に迫る量に達した。

つまり、イランのブレークアウト・タイムは今やほぼゼロになっている公算が大きい。

付言するが、現在、イランが核兵器級のプルトニウムを保有しているという情報はない。

しかし、2003年11月10日のIAEAの報告書には「イランが長期間にわたり、カライ電器工場その他の様々な場所で、ウラン濃縮やプルトニウム分離を含め、核物質を用いた転換や加工、照射といった原子力活動をIAEAに申告することなく繰り返し行っており、IAEA保障措置協定の義務に明白に違反していたことが盛り込まれている」とあるので、完全に否定することはできない。

(3)兵器化

ウラン濃縮以外にも、イランが核兵器のための残りの要素を加えて完成させ、弾道ミサイルなどのプラットフォームに搭載できるほど小型化するのにどのぐらいの期間がかかるのか、という疑問もある。

これはイランが関連するノウハウをどの程度持っているかが非常に不透明なので、ウラン濃縮度よりもずっと判定が難しい。

米国の情報機関とIAEAは、イランには2003年に停止した総合的な核兵器開発計画があったとみている。

しかし、その一部は2009年まで継続されていたというのが2015年にIAEAが公表した報告書の見解である。

イランはこれまで核兵器開発プログラムの存在を否定しているものの、最高指導者ハメネイ師はイランがそれを望めば、世界の指導者は「我々を決して阻止できない」と述べている。

(4)核兵器製造の決断

英国のロイター通信社は2024年10月11日、米国のバイデン政権高官と国家情報長官室(ODNI)報道官は、イランは依然として核兵器の製造を決断していないとみられると述べたと報じた。

また、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官も、イランの最高指導者ハメネイ師が2003年に決定した核兵器開発計画の停止を撤回した形跡はないと述べたと報じた。

(5)筆者コメント

2023年3月1日、米国のコリン・カール国防次官は、イランは「12日間ほどで核爆弾1個分の核分裂性物質を製造できる」との分析を明らかにした。

カール氏は同年2月28日の下院軍事委員会の公聴会で「イランの核開発は異例の進展を見せている」と証言。

トランプ前政権がイラン核合意から離脱した2018年には核爆弾1個分の核分裂性物質を製造するのに1年かかっていたと指摘し、急速に進む核開発を早急に止める必要性を訴えた。

また、国務省のネッド・プライス報道官は2023年3月1日の記者会見で「イランが核兵器を保有することはない。米国が許さない」と強調した。

イラン核合意を検証するIAEAは2023年2月28日、イラン中部の施設で、濃縮度が核兵器級の90%に近い83.7%のウラン粒子を検知したとする報告書をまとめている。

イランの核兵器製造能力であるが、1980年代後半に北朝鮮がイランへミサイル技術を提供してきた。また、技術者の往来やミサイル関連部品の提供も伝えられている。

以来、イランは北朝鮮のミサイル技術に依存し、また北朝鮮は外貨獲得手段として、両国の協力関係が構築されてきた。

イランの北朝鮮からの輸入事例は次の通りである。

▲1987年頃:北朝鮮、「スカッドB」ミサイルをイランへ提供

▲1988年頃:イラン、「シャハブ1」ミサイル開発

▲1990年頃:北朝鮮、「スカッドC」をイランへ提供

▲1994年頃:北朝鮮、「ノドン」ミサイルおよび関連部品を提供

イランは北朝鮮のノドンミサイルをベースに「シャハブ3」ミサイルを1998年に開発した。

シャハブ3は、1段式の液体燃料ロケットで、全長16メートル、射程は1300~1700キロ、760~1000キロのペイロード重量をもつと考えられている。

改良型の最大射程は約2000キロに達すると見られる。10月1日のイスラエル攻撃にも用いられたとされる。

さて、兵器化にとって最も難しい弾頭の小型化であるが、北朝鮮は核兵器の小型化・弾頭化を実現し、これを弾道ミサイルに搭載する能力を既に保有しているとみられている。

この技術がイランに提供されていると考えれば、イランが核兵器製造を決断すれば、完成するまでに要する時間は、筆者の個人的な推測であるが1年、長くても2年というところであろう。

米国は「イランが核兵器を保有することはない。米国が許さない」と言うが、北朝鮮の非核化に失敗したことは厳然たる事実である。

同じ轍を踏まぬよう米国には頑張ってもらいたい。日本も米国を支援するために何ができるかを真剣に考えるべきであろう。

3.アラブ諸国とイスラエル国交正常化の進展

本項は、防衛省・防衛研究所東アジア戦略概観2022における西野正巳氏著「アラブ諸国とイスラエルの国交正常化の進展:2020年のアブラハム合意とその後の展開」を参考にしている。

(1)キャンプ・デービッド合意

1978年9月、ジミー・カーター米大統領はメリーランド州の山荘キャンプ・デービッドにエジプトのアンワル・アッ=サダト大統領とイスラエルのメナヘム・ベギン首相を招き、2週間を共に過ごした。

翌年1979年3月、平和条約が調印され、エジプトは1967年第3次中東戦争で占領されていたシナイ半島を取り戻した。

しかし、パレスチナの占領地からのイスラエル軍撤退や彼らの民族自決権は無視されたままであった。

サダトとベギン両氏はノーベル平和賞を受賞したが、エジプトは他のアラブ諸国から国交を断絶され孤立した。

(2)オスロ合意

1993年にノルウェーの仲介でPLOとイスラエルの当事者間の話し合いが初めて行われ、中東和平に関するオスロ合意が成立した。

1993年9月13日、米ワシントンのホワイトハウスで、「オスロ合意」調印式が行われ、ビル・クリントン大統領を前に、長らく戦火を交えてきたイスラエルのイツハク・ラビン首相(労働党)とパレスチナのヤーセル・アラファト議長が握手を交わした。

オスロ合意の内容は次のとおりである。

①イスラエルを国家として、PLOをパレスチナの自治政府として相互に承認する。

②イスラエルが占領した地域から暫定的に撤退し、5年にわたって自治政府による自治を認める。その5年の間に今後の詳細を協議する。

「オスロ合意」に基づき、パレスチナ暫定自治協定が成立し、1994年にパレスチナにはパレスチナ自治行政府が設立されることになった。

以下、爾後のパレスチナの略史を述べる。

・2004年11月にアラファトPLO議長・パレスチナ自治政府(PA)長官が逝去したことを受け、2005年1月、PA長官(現在の呼称は大統領)選挙が実施され、マフムド・アッバース氏が就任し(PLO議長も兼任)、現在に至る。

・2006年1月、パレスチナ立法評議会(PLC)選挙でイスラム原理主義組織であるハマスが過半数の議席を獲得。

2007年3月、サウジアラビアの仲介でパレスチナ諸派間の挙国一致内閣が成立したが、2007年6月、ハマスが武力でガザ地区を掌握したのを受けて、事実上、西岸とガザが分裂状態となり、パレスチナ立法評議会(PLC)は現在に至るまで停止状態である。

・2024年3月、アッバース大統領の指名に基づき、ムハンマド・ムスタファ首相が新内閣を組閣。

・2024(3?)年10月7日、ハマス等のパレスチナ武装勢力によるイスラエルに対するテロ攻撃が発生。

(3)ワシントン宣言:イスラエル・ヨルダン平和条約

イスラエルとヨルダンとの和平交渉を仲介したクリントン米大統領は、ヨルダンに対してイスラエルとの平和条約に署名するよう圧力をかけ、ヨルダンの債務免除を約束した。

1994年7月25日、米ワシントンD.C.において、クリントン大統領が立会人としてイスラエルのラビン首相とヨルダンのフセイン国王が、両国の戦争状態終結を宣言する「ワシントン宣言」に署名した。

1994年10月26日、イスラエルとヨルダンはイスラエル南部地区エイラートの北、ヨルダン国境付近のアラバの谷で開催された式典で、クリントン大統領の立ち合いの下、平和条約に署名した。

平和条約締結をエジプトは歓迎したものの、シリアは完全に無視した。また、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラが条約に反対した。

(4)アブラハム合意

2020年8月15日、イスラエル・アラブ首長国連邦(UAE)間で国交正常化を含む「アブラハム合意」が成立した。

1カ月後の9月11日にはバーレーンが、12月10日にはスーダンとモロッコがイスラエルとの国交樹立に合意したことが発表された。

こうして、短期間にアラブ諸国4カ国がイスラエルとの国交樹立に合意した。

「アブラハム合意」の名称の由来は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3宗教の共通の祖先アブラハムにある。

アラブ人とユダヤ人は中東戦争で長年戦ってきたが、合意には、アラブ人とユダヤ人はアブラハムという共通の祖先の子孫であることが明記されている。

アブラハム合意は、中東のイスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒らの共存を呼びかけている。

当初は、UAEとイスラエルの国交正常化を指していた「アブラハム合意」が、その後バーレーンやスーダン、モロッコがこれに倣ってイスラエルとの関係正常化に踏み出した現象を総括してアブラハム合意と呼ばれることがある。

この成果は、仲介を行ったトランプ米大統領のレガシーである。そして、国交樹立に合意したアラブ諸国は、米国から見返りを得た。

UAEは、米国から「F-35」戦闘機を購入できる見込みになった。

スーダンが得た見返りは、米国によるテロ支援国指定の解除である。

モロッコが得た見返りは、モロッコの西サハラに対する主権を米国が承認したことである。

また、ペルシア湾を挟んで向かい合う大国イランに脅威を感じているバーレーンは、「敵の敵は味方」という考えからイスラエルとの国交樹立を図ったものと思われる。

2020年のこの一連の国交樹立は、イスラエル・パレスチナ間の和平交渉の進展とは無関係に実現した。

これは、UAEなどのアラブ諸国が、イスラエル・パレスチナ間の和平交渉の進展とイスラエル・アラブ諸国間の国交樹立をリンケージさせる従来の立場を脱却したことを意味する。

それでも、一連の国交樹立は、ほかのアラブ諸国からほぼ非難されなかった。

逆に、UAEとイスラエルの国交樹立合意直後の2020年9月、サウジアラビアは、UAEと行き来するすべての航空機に、領空通過を許可した。

これは実質的に、イスラエル・UAE間を運航する航空機への領空通過許可である。

つまり、サウジアラビアは、イスラエルと国交を結んだUAEにむしろ便宜を図った。

この事実は、まだイスラエルと国交を持たないアラブ諸国も、「イスラエル・パレスチナ間の和平交渉の進展とは無関係にアラブ諸国はイスラエルと国交を樹立してよい」と認識していることを含意する。

かつて、エジプトがイスラエルと国交を結んだ際、対外的にはアラブ諸国からボイコットされ、国内では大統領が暗殺された。

だが、2020年にイスラエルと国交を樹立した国々は、不利益を被らず、ほぼ利益だけを得ている。

そのため、他のアラブ諸国も今後、イスラエルとの国交樹立に踏み切る可能性があると見られている。

(5)筆者コメント

アラブ諸国は近年、イスラエルに接近し、2020年にUAEなどが国交を正常化した。

そこで優先されたのは、パレスチナ国家樹立の「大義」よりも安全保障や経済面での実利だった。

このような変化をもたらした要因として次の4つが考えられる。

①アラブ諸国は、イスラエルと4次の中東戦争で戦ってきたが、イスラエルには戦争では勝てないと思っている。

②パレスチナ人の多くはパレスチナ自治政府(PA)を腐敗した無能な組織と見なしており、PAは徐々にではあるが確実に、かつては盤石だった近隣諸国からの政治的・財政的支援の多くを失ってしまった。

③中東からの米軍撤退など中東におけるパワーバランスの変化により、イランの存在が非常に大きくなってきた。

イランを脅威と感じるアラブ諸国は、イスラエルを「敵の敵は味方」と見ている。

④脱石油依存を目指すアラブ諸国にとってイスラエルの経済力や高いIT技術力は魅力的である。

以上のことから、サウジアラビアなど他のアラブ諸国も今後、イスラエルとの国交樹立に踏み切る可能性があると筆者は見ている。

おわりに

2021年8月17日、茂木敏光外相(当時)は、中東諸国訪問に際し、アル・クドウス紙(パレスチナ)に寄稿した。要旨は次のとおりである。

「日本は、将来の独立したパレスチナ国家とイスラエルが平和かつ安全に共存する『二国家解決』を支持し、関係者との政治対話、当事者間の信頼醸成、パレスチナ人への経済的支援の3本柱を通じて積極的に貢献していくとの立場であり、様々な日本独自のイニシアティブを推進している」

日本政府は、将来の独立したパレスチナ国家とイスラエルが平和かつ安全に共存する「二国家解決」を支持している。筆者も「二国家解決」が唯一の実現可能な解決方法であると考えている。

「二国家解決」とは、イスラエルとパレスチナとの間の領土紛争解決策の一つであり、諸外国によるパレスチナ国への国家承認によって、「イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する」を目指すことを意味する。

この解決案は1974年に、国連が1948年の国連総会決議第194号に基づいて提案したものである。しかし、国連総会決議第194号には境界線(または国境)が示されていない。

2021年4月7日、バイデン大統領はヨルダン国王アブドゥッラー2世との電話会談で、「二国家解決」への支持を表明したとされる。

他方、2020年1月28日、トランプ大統領(当時)はホワイトハウスで自らの中東和平案を発表した。

同席したのは、イスラエルのネタニヤフ首相のみであった。

エルサレムについて、イスラエルの不可分の首都とし続けることを約束する内容になっている。

パレスチナにとってプラスの要素が2つある。

500億ドル(約7.5兆円/為替レート150円)に上る経済支援が手に入ること。そして悲願のパレスチナ国家の樹立が承認されることである。

しかし、その条件として、パレスチナに様々な「妥協」を迫っている。主な内容は次のとおり。

▲エルサレムはイスラエルの首都とする。パレスチナ側は分離壁の外側にあるエルサレム周辺地区を首都にしてもよい。

▲ヨルダン川西岸にイスラエルが建設した130か所以上の入植地については、そのほとんどについてイスラエルの領土とすることを認める。

▲中東戦争で故郷を追われたパレスチナ難民について、現在、イスラエル領となった故郷に帰還する権利を認めない。

▲パレスチナは軍事力の保有は許されず、イスラム原理主義組織ハマスは武装解除する。また他国と同盟を結んではならない。

この案を、パレスチナ自治政府のアッバース議長は、和平をカネで買おうとする企みだと非難し、「この和平案は必ず失敗する」と語気を荒らげた。

2024年11月5日の米大統領選でトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、アラブ諸国は、アラブの大義よりも対米関係を優先して、パレスチナに和平案を受け入れるよう、圧力をかけるのであろうか、注目される。

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