『FBI長官解任劇と米大統領執務室の録音疑惑 「ウォーターゲート」事件を彷彿させる「トランプゲート」』(5/16日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプ大統領が弾劾される可能性は50% FBIコミー長官の解任で一気に着火が早まった時限装置』(5/15JBプレス 堀田佳男)、『バイアスがかかっている米国の「FBI長官解任」報道 日本人も知っておくべき米国メディアの政治的スタンス』(5/17JBプレス古森義久)、『ロシアに機密、同盟国亀裂 トランプ氏漏洩疑惑』(5/17日経朝刊)について

ニュース報道を見ていますと、トランプを追い落とししたい連中がアメリカ国内にワンサカいるという感じがします。そもそも、トランプがロシア外相と話した話が簡単に外に漏れることの方が、問題が大きいはずです。確かに同盟国に事前了解を取らずに、機密を第三国に漏らすのはマズイと思いますが、トランプが同盟国(イスラエル)から得た情報かどうかも知らなかった可能性もあります。政権内部に潜む敵の炙り出しをして、政権内部の大事な情報が漏れないようにしませんと。

米国・民主党はユダヤ・グローバリズムに染まってしまったのでしょう。本来は、ヒラリーこそ国家反逆罪で刑務所入りさせねばならないのに。スコット・トローやジョン・グリシャムを読むと、知識人は民主党を応援するのが当然というような書きぶりです。ユダヤに支配されたメデイアの影響と思われます。日本でも、反日民進党(旧民主党)が朝日新聞を筆頭とした反日左翼メデイアの寵愛を受けています。森友問題だけでなく、加計問題でも共同謀議を巡らしたのではと思われます。まあ、日付、所属、文責も書いていない文書は組織の中ではありえません。民間企業においても、責任の所在が分からなくなりますので。今回の文書も、同和の菅野完辺りがでっち上げたものでしょう。左翼はデッチアゲが得意です。田中上奏文(ソ連)、南京虐殺(中共)、慰安婦(北が裏で糸を引く挺対協)等を見れば、左翼に牛耳られたマスメデイアの言説を鵜呑みにするのは愚かと言うもの。加計問題は「第二の永田メール事件」になるでしょう。こういう氏素性の分からない怪文書の類で、貴重な国会審議の時間を費やすことは職務怠慢の謗りを免れません。民進党議員の賃金カットをしたいです。

高濱氏も堀田氏も米国民主党や共和党主流派のメデイアからだけ情報を取っているのでは。トランプ側近へのパイプが無いと思われます。ですからトランプが大統領選で勝利するのを予測できませんでした。堀田氏は予測が外れたため、丸坊主になったこともありました。弾劾ができなかったら、また丸坊主になる羽目に陥るかも。それに比べて、古森氏は共和党のトランプに近い筋から情報を入手しているのではと思います。毎日を辞めて産経に入社したくらいですから、事実に基づかない報道をする左翼ジャーナリズムを憎悪する気持ちは人一倍あると思います。やはり、事実を基に判断するのが大切かと。

高濱記事

米連邦捜査局(FBI)長官を突然解任されたジェームズ・コミー氏(写真:ロイター/アフロ)

食い違う解任理由の説明

—ドナルド・トランプ米大統領が5月9日 、ジェームズ・コミー連邦捜査局(FBI)長官を突然解任しました。いろいろな憶測が飛び交っていますが、解任の本当の理由は何だったのですか。

高濱:解任の理由や経緯についてトランプ大統領と側近の説明が食い違っていて、メディアの報道も二転三転しています。整理してお話ししましょう。

シーン・スパイサー報道官ら側近が記者団に当初語っていたのは、こういうことでした。トランプ大統領は、ジェフ・セッションズ司法長官ら から「コミーFBI長官は、ヒラリー・クリントン元国務長官の私用メール問題に関する捜査情報を明かすなど重大な誤りを犯した。解任に値する」との進言を受け、それを受け入れた。

セッションズ司法長官が解任を進言した理由は、部下のロッド・ローゼンスタイン司法副長官(17年1月13日にトランプ氏に任命され、4月25日に就任したばかり)からの一通のメモランダムだったそうです。

ホワイトハウス側近筋によると、このメモランダムにはこう書かれていた。「メール問題に関するコミー長官の対応は検事や捜査官が絶対にしてはならないと教わる典型的な誤りだった。しかも、その後の議会証言でも、この誤りを認めようとしなかった。長官はFBI内の信頼を完全に失っている」

—つまり大統領がコミー長官解任に踏み切ったのは、自分の意思ではなく、司法省やFBI内部からの批判の声を受けての判断だった、というわけですね。

高濱:そうです。ところがトランプ大統領はNBCテレビ(5月11日放映)とのインタビューで「解任を決めたのは自分自身の判断。誰からの進言でもない」と言い出したのです。

—トランプ大統領得意の朝令暮改ですか(笑)。

高濱:というよりも、ホワイトハウス内部の情報管理が混乱しているように見えます。ホワイトハウス内で、コミー長官解任に関する意思の疎通ができていなかったのか。側近たちもつじつま合わせをするために右往左往しているんですね。

録音テープの存在を示唆して“前長官口封じ”

さらにトランプ大統領は12日、ツイッターでこんなことを言い出したのです。「ホワイトハウスがつねに完璧で正確な情報を提供すると期待しないほうがいい。そんなに正確な情報が欲しいのであれば、報道官による毎朝の定例記者会見なんか止めて週2回くらいにしよう。そのうち1回くらいは私が直接質問に答えてもいい。あるいは記者会見など止めてしまい、質問には書面で回答するのが一番いいかもしれない」

ホワイトハウス記者会は、「説明責任や透明性、米国民の知る権利を低下させる」として抗議声明を発表、トランプ政権との対決姿勢を露わにしています。

さらに米ニューヨーク・タイムズが「大統領はコミー長官(当時)に会った際に、大統領への忠誠を誓わせた」と報ずるや、トランプ大統領は直ちに反論。「コミーとはこれまでに3回話をしている。1回目は夕食を共にしたいという誘いを受けて応じた。あと2回は電話だ。『FBIが進める捜査の対象に私が入っているか』と質すと、3回とも入っていないと言っていた。コミーは長官に留まりたいと私に頼んでいた。私は考えておこうと答えた」

まるでマフィアのボスがライバルを脅す時に使うような捨て台詞すら吐いています。「ジェームズ・コミーよ、俺たち二人の会話を録音したテープがこの世に存在しないなどとゆめゆめ思わないほうがいいだろう」

この発言はまさに「やぶへび」もいいところです。大統領執務室に録音装置を持ち込み、そこでの会話や電話の内容を録音していると仄めかしたのですから。FBI長官の解任という電撃行動が、40年前のリチャード・ニクソン第37代大統領時代に起きた「サタディ・ナイト・マサカー」(Saturday Night Massacre=土曜日夜の虐殺事件)*を彷彿させて、世間を騒がせていた矢先のタイミングでした。 *:サタディ・ナイト・マサカーは、ニクソン大統領が73年10月20日、ウォーターゲート事件究明のために任命されたアーチボルド・コックス特別検察官を解任した事件。これに反発したエリオット・リチャードソン司法長官とウィリアム・ラッケルズハウス司法副長官が辞任した。

ニクソン大統領以後の7人の大統領は、録音テープなど残しておくと、いつ裁判所や議会が提出を要求するかもしれないと止めていたんです。これに対してトランプ大統領は就任後4か月というのに録音装置を仕掛けていた可能性を自らばらしてしまった!メディアが騒がないほうがおかしいわけです。

ニクソン大統領の場合、この録音テープの存在が明らかになったため、コックス特別検察官がそのテープの提出を求めました。ニクソン大統領はこれを拒否したものの、結局、最高裁がテープの提出を命じました。

その結果、ニクソン氏がウォーターゲート事件のもみ消し工作を側近に指示していることが明らかになります。このあと、議会での弾劾決議、そして辞任(74年8月)と、急な坂道を転げ落ちるように動きが加速しました。

ウォーターゲートよりもマグニチュードは大?

—疑惑を捜査する捜査機関の最高責任者の首を切ったり、大統領執務室に録音装置を仕掛けたりする。トランプ大統領は、ニクソン氏と相通じるところが大ありですね。

高濱:その通りです。「ウォーターゲート事件」を長年研究してきたテキサスA&M大学のルーク・ニヒター教授はこう述べています。「ニクソンは誰にも分らないように秘かに自分のテープに録音していた。(トランプ大統領は録音していることを正々堂々示唆している点で)ニクソンの録音テープ(が政治と社会に与えた影響)よりも比較にならないほどマグニチュードが大きい」。録音テープの存在を仄めかすだけでなく、そのテープを、解任したコミー氏の口封じに使うことを示唆しているわけですから。同教授は、トランプ大統領の神経の図太さにあきれ返っているわけです。 (’”Trump Warning to Comey Prompts Questions on ‘Tapes’” Peter Baker and Michael D. Shear, New York Times, 5/12/2017)

これに対してコミー前長官も黙ってはいません。NBCテレビの質問に答えて「私は何らやましいことなどない。トランプ大統領と私との会話を録音したテープがあるというなら結構なことじゃないか」と発言し、一歩も引く気配を見せていません。 (”Trump’s warning to Comey deepens White House crisis,” Jordan Fabian, The Hill, 5/12/2017)

FBI長官の後任候補に上院共和党ナンバーツーら6人の名

—今後は、どのような展開になるのでしょう。いわゆる「ロシア・コネクション」(トランプ政権とロシアとの怪しげな関係)疑惑の追及はどうなりますか。

高濱:トランプ大統領はあくまで強気で、FBI長官の後任人事に取り掛かっています。

大統領側近筋によると、後任リストにはジェームズ・マッカビーFBI長官代行、上院共和党ナンバーツーのジョン・コーニン院内幹事、アリス・フィッシャー元司法副長官、マイケル・ガラシア元ニューヨーク控訴裁判事、マイク・ロジャー元下院議員、レイ・ケリー元ニューヨーク市警コミッショナーの6人の名前が上がっています。

元FBI高官の一人は、ロイター通信の司法担当記者に「後任リストはカタストロフィック(Catastrophic=破滅的)だよ」と述べています。

おそらく、「カタストロフィック」はダブル・ミーニング(掛詞)だと思います。一つは、トランプ大統領がこのリストの中から誰を任命したとしても、後任長官として議会が承認するかどうかわからない、という意味。

もう一つは、このリストは、「ロシア・コネクション」疑惑をめぐり、トランプ政権がカタストロフィックな状況に陥る可能性をシンボリックに暗示しているという意味です。つまり、大統領に忠誠を誓って任命された後任長官が議会の承認を得るには「ロシア・コネクション」疑惑を解明すると宣誓せざるをえません。となれば、新長官は議会・世論と解明阻止を狙う大統領との「板挟み」になってしまいます。宣誓した通りに職務を遂行すれば、大統領を裏切ることになる。すると、トランプ大統領は新長官をまた解任する。トランプ政権そのものがカタストロフィックな状況に陥るでしょう。 (”The Coming Comey Succession Crisis,” Steve Valdeck, Just Security, 5/11/2017)

トランプ大統領が目の敵にしてきた主要メディアの雄、ニューヨーク・タイムズは、ここぞとばかりに疑惑の徹底究明を求めています(5月11日付け社説)。

「トランプ大統領は、多くの疑問点があるにもかかわらず、トランプ政権とロシアとの関係を取りざたするのは『完全ないたずら』(total hoax)だと主張している」

「これまでに指摘されている具体的な疑問点は以下の通りだ。①トランプ・ファミリーのロシア関連ビジネス。②以下の人物たちとロシアとの関係――マイケル・フリン元大統領国家安全保障担当補佐官、ジェフ・セッションズ司法長官、ポール・マナフォート前トランプ選挙対策委員長、カーター・ページ外交政策顧問、ロジャー・ストーン氏(非公式な相談役)。FBI当局はこれらの人物について徹底的に調査する責務がある。米国民は真実を知る権利がある」 (”The Trump-Russia Nexus,” Editorial Board, New York Times, 5/11/2017)

上下両院の情報委員会は、FBI関係者を召喚して「ロシア・コネクション」の実態調査を引き続き続ける予定です。

—トランプ大統領の一連の言動について、共和党支持者の間でも厳しい意見が出始めているようですね。

高濱:マック・ブーツ外交問題評議会 上級研究員は、ウォーターゲート事件当時のことを思い起こして共和党議員たちに次のように呼びかけています。同氏は、ジョン・マケイン上院議員やマルコ・ルビオ上院議員の外交政策アドバイザーをかって務めた生粋の共和党良識派エリートです。

「共和党は小さな政府、自由貿易主義、伝統的なアメリカの価値観、道義に基づいた外交政策、米国憲法を重んずる政党であり続けた。ところが今ホワイトハウスで政治を司る御仁のやっていることはことごとくこれに反している」

「74年、下院司法委員会に所属する6人の共和党議員は、21人の民主党議員に賛同してニクソン大統領の弾劾決議案に賛成票を投じた。その年、ベリー・ゴールドウォーター上院議員、ヒュー・スコット上院共和党院内総務、ジョン・ローズ下院共和党院内総務の3人はホワイトハウスに押しかけ、もうこれ以上は守り切れないとニクソン大統領に最後通告を突きつけた。この3人のように、党に対する忠誠心よりも党に対する献身的な愛情を重んじる者が今の共和党にはいないのだろうか」 (”When Will Republicans Stand Up to Trump?” Max Boot, New York Times, 5/12/2017)

トランプ大統領は、「捜査対象に入っていない」との証言をコミー氏から3回にわたって得ていると豪語しています。そうなのになぜ、「ロシア・コネクション」疑惑解明に全力投球してきたコミー氏を解任したのか。

きしくも録音装置の存在まで仄めかして「サタディ・ナイト・マサカー」を思い出させ、ウォーターゲートならぬ「トランプゲート」の様相を呈してきました。トランプ大統領の出方次第では、疑惑解明の火の手はさらに燃え上がりそうです。トランプ城の本丸にまで迫る勢いです。

堀田記事

米上院司法委員会の公聴会で証言する連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官(当時、2017年5月3日撮影)〔AFPBB News

当選直後から言われてきたことが、にわかに現実味を帯びてきた――。

ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)が弾劾裁判にかけられるかもしれない、ということだ。弾劾裁判は裁判所ではなく連邦議会上院で行われるが、まず下院の司法委員会が弾劾裁判を開くかどうかを決める。

そのためには、国民の声が醸成されなくてはいけない。そして司法委員会が調査を始めるべきかの決議案を採択させるところからスタートする。

最初からシステムの話で恐縮だが、実は米国ではトランプを大統領から引きずり下ろす動きがすでにある。複数の反トランプ派の市民団体はネット上で弾劾裁判を求める署名活動を始めている。

コミー長官解任前に96万5568人の署名

例えば「インピーチ・ドナルド・トランプ・ナウ(トランプを今すぐ弾劾せよ)」という団体は、5月13日時点で96万5568人の署名を集めている。

署名者の多くはFBIのジェームズ・コミー長官の解任ニュース以前にサインをしており、今後はさらに数字が増えるとみられる。

ここで注視すべき点は、「トランプ嫌い」の市民による感情的な動きだけではトランプを弾劾できないということだ。法的にトランプを罷免させるに足る十分な証拠と議論を尽くせるかが焦点になる。

トランプはコミー長官解任について、「コミー長官はいい仕事をしていなかったから」とホワイトハウスで述べた。この理由は説得力がないばかりか、解任を正当化できる言説になっていない。

別の理由として、ヒラリー・クリントン氏のメール問題の扱いが不適切だったこと、セッションズ司法長官とローゼンスタイン司法副長官がコミー長官解任を進言したことも報道されたが、後づけという印象を拭えない。

それよりも、FBIが選挙中のトランプ陣営とロシア政府の密接な関係を捜査していたため、トランプは捜査を止めさせるためにコミー長官を解任にしたとの見立てが最も整合性が取れている。世界中のメディアが伝える通りである。

ロシア政府が選挙結果に関与したとの疑惑は、ワシントンポスト紙が昨年12月9日に報道している。同紙は情報元を公表していないが、「CIA(米中央情報局)はロシア政府がトランプ勝利に関与したと結論づけた」と断定的に伝えた。

ニューヨーク・タイムズ紙も同時期、ほぼ同じ内容の記事を掲載しており、CIAの関係者が両紙に情報をリークしたとみるのが妥当だろう。

それではFBIはこの時点で、どういう見方をしていたのか。

当時、FBIはロシアの関与については「結論づけることはできない」としていた。結びつけるだけの自信がないというのだ。昨年末の時点で、FBIはロシア関与説においてはCIAに抜かれた感がある。

探られ暴かれたくない事実

しかしは最近になって、コミー長官の音頭のもと、FBIは予算を増額してロシアの関与を捜査しようとしていた。その矢先、トランプは長官を解任したわけだ。

冷静に考えると、トランプにやましい点がなければ長官解任は必要なかっただろう。静観していても状況は変わらないからだ。トランプにとって、探られたくない、暴かれたくない事実が隠されていると推察する方が自然である。

現時点で、ロシア関与の詳細は公表されていない。選挙結果を揺るがすだけの策謀をロシア政府が行ったかは分からない。

昨年11月の大統領選の投票率は54.7%で、総得票数は1億2883万票。ヒラリー氏の方が286万票も多かったが、選挙人システムのせいで、トランプが勝利を収める。ロシアが選挙結果を左右するだけの力があるとしたら、何なのか。

ロシア政府がサイバー攻撃によって選挙結果をゆがめられるとすれば、思いあたるのはウィスコンシン州、ペンシルバニア州、ミシガン州の3州である。

奇しくも、民主党クリントン氏が勝つと思われた州で、一部で電子投票が取り入れられていた。ヒラリー氏が3州で勝っていればトランプ大統領は誕生していない。仮説の域を出ないが、3州において、ロシアの関与が最も疑われている。

実は昨年末、3州で得票の再集計が行われた。だがヒラリー氏に数十票の加算があっただけで、最終的な結果はひっくり返らなかった。

コミー長官が解任された直後、FBI職員には衝撃が走ったという。トランプが今後、論理的な解任理由を公表する可能性が少ない以上、多くの職員はトランプのロシア疑惑を徹底的に捜査するはずだ。

第2のウォーターゲート事件に進展する可能性は現段階では50%というのが、筆者の見立てだ。少なくとも、FBIやCIAを含めた諜報機関、メディア、そして連邦議会は捜査を続行させるだろう。

ウォーターゲート事件の時は逮捕者が出た。だが、トランプの「ロシアゲート」ではまだ事件性は認められない。今後、諜報機関やメディが物証を含めた違法性のある証拠を入手できるかがカギになる。

時限爆弾の時計が1時間進んだ

それでも連邦議会、特に民主党議員の中にはすでにトランプを弾劾に追い込むつもりの者もいる。

コネチカット州選出のリチャード・ブルーメンソール上院議員はCNNとのインタビューで、「コミー長官の解任は、ニクソン大統領の時のような弾劾裁判へと進む可能性がある」と述べた。

また同じく民主党のマーク・ポーカン下院議員(ウィスコンシン州)は述べている。

「トランプを弾劾裁判にかけるための時限装置を設置すべきだ。時計はすでにチクタク動きはじめている。少なくとも、コミー長官解任で1時間は時計が進んだはずだ」

世論調査によると、トランプを支持する共和党員の7割以上はコミー長官解任劇があっても、トランプを支持しつづけている。しかし、全有権者の半数以上はトランプへの猜疑心を増幅させている。

民主党全国委員会のトム・ペレス委員長は、「ニクソン政権時の『土曜日の夜の虐殺』(独立検察官の解任)よりも、(トランプにとって)状況は悪いかもしれない。選挙時のトランプ陣営とロシア政府が共謀して選挙結果に影響を与えたことは明らかだ。別に宇宙工学を学んでいなくとも、誰でも分かるはず」と、弾劾へと時計が動き始めている点を指摘した。

次の流れとして重要なのは、ジョン・マケイン上院議員(共和)が推している独立調査委員会の設置だろう。

トランプ弾劾へと動く潮流はゆっくりしているが、トランプ政権第1期が終わる前に、トランプはホワイトハウスを去らざるを得なくなる状況が来るかもしれない。

古森記事

2016年米大統領選へのロシア政府介入疑惑について米下院情報特別委員会の公聴会で証言するジェームズ・コミーFBI長官(2017年3月20日撮影)。(c)AFP/Nicholas Kamm〔AFPBB News

米国でトランプ政権と民主党寄りの大手ニュースメディアが対決している状況については、たびたびこのコラムでも伝えてきた。

米国のメディア界では、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストといった大手新聞、CBS、NBC、ABCのテレビ3大ネットワーク、そして日本も含めて国際的な影響力を発揮するようになったCNNテレビなどが、国内政治を報じる際に民主党寄りのリベラル派を支援する姿勢を強く打ち出している。

一方、共和党保守派を代弁するドナルド・トランプ大統領に対する報道姿勢はきわめて厳しい。トランプ大統領の政策を徹底的に糾弾し、トランプ政権を有利にする動きやトランプ支持層の主張などは軽視もしくは無視しようとする。

だから日本でそうしたメディアの情報だけに接していると、トランプ大統領は明日にも弾劾され、辞任に追い込まれるかのようにもみえてくる。米国民の大多数が同大統領の退陣を望んでいると思っている人も多いかもしれない。

ところが実態は決してそうではない。

トランプ大統領を支持する米国民は間違いなく多数存在するし、大統領の弾劾を決める立法府の連邦議会もトランプ大統領にとっての与党、つまり共和党が多数の議席を占めているのだ。

FBI長官の解任は不当で違法?

こうした状況のなかで、トランプ政権が新たな攻撃にさらされている。

今回の騒動の原因は、トランプ大統領がFBI(連邦捜査局)のジェームズ・コミ―長官を突然解任したことである。

反トランプの大手メディアは、トランプ大統領が完全に不当で違法な解任措置をとったかのように報じている。その伝え方は、まるで国家の危機が起きたかのような事態の深刻さを感じさせる。

具体的には、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNなどがこぞって以下のような解説をしている(いずれも大統領選中からトランプ陣営を叩いてきたメディアである)。

「FBIは、2016年の大統領選でトランプ陣営とロシア諜報部が共謀して民主党のクリントン候補を不利にする工作をした疑いを追及していた。トランプ大統領は、その捜査活動を妨害する意図でコミ―長官を解任した」

メディアの中には、ニクソン大統領を辞任させたウォーターゲート事件の再現のように報じるところもある。日本のメディアもそうした米国大手メディアの解説を転用する形で、「トランプ大統領が不当にFBI長官を解任した」「ウォーターゲート事件の再来」と報じている。

「解説」の3つの大きな欠陥

だが、こうした解説をそのまま受け止めるのは危険である。

ワシントンで、反トランプキャンペーンを展開する大手メディア以外の情報を注意深く追ってみると、この「解説」の欠陥がすぐに浮かび上がる。

第1に、「トランプ陣営とロシア諜報部が共謀して選挙結果を操作した」という主張にはなんの具体的な根拠も示されていない。

FBIはこの疑惑の捜査を2016年7月に開始した。もちろん捜査当局が捜査中の事件の内容を明らかにすることはない。だがこの種の重大テーマの捜査や調査がこれほど長く続けば、非公式のルートを通じてなにかが出てくるのが普通である。だが10カ月ほどが過ぎても、具体的な証拠はなにも示されていない。民主党も大手メディアもなんら証拠を示すことができていないのだ。

またFBIが、大統領の地位さえも揺るがしかねない重大捜査を始める際は、単なる「疑惑」の段階を越えて、捜査の必要性を裏づける有力な証拠が必要である。だがその証拠はまったく提示されなかった。本当にそんな証拠が存在するのかという疑問さえも浮かんでくる。

第2に、コミー長官の解任は「トランプ大統領がFBIの捜査を妨害するため」とされているが、コミー氏には解任されるべき別の理由があった。

トランプ大統領は、FBI長官の解任を提案したのは(コミ―長官の直接の上司となる)セッション司法長官とローゼンスタイン同副長官だと断言している。

解任提案の内容は公表されている。コミー長官の行動で問題視されているのは、昨年の大統領選の終盤段階で、コミー長官が民主党のヒラリー・クリントン候補のメール不正使用事件に関する刑事訴追の適否に関して二転三転の声明を出したことだ。

コミ―長官は当初「クリントン氏は刑事訴追にはならない」と言明した。ところがその後すぐに新た証拠が出たとして「刑事捜査を再開する」と宣言する。だが、その後に「クリントン氏は刑事訴追の対象にはならないだろう」と再び発言を覆したのである。

この二転三転の談話は主に民主党側の怒りを買った。議会でも民主党の下院院内総務のナンシー・ペロシ議員、上院院内総務のチャック・シューマー議員がこぞってコミー長官を批判し、「FBI長官としては不適格だ」と述べた。

反トランプメディアの代表格であるニューヨーク・タイムズは今回のコミー長官解任の原因について、「コミ―長官がロシアの選挙介入事件の捜査の経費増額を求めたため、トランプ大統領は捜査の進展を恐れて同長官の解任に踏み切った」と報じた。だが、FBIのマカベ長官代行は公式の場で「この事件の捜査経費はすでに十分にある」と否定している。

第3は、ウォーターゲート事件と今回のFBI長官解任を比べると、政治状況が大きく違っている点である。

米国の大手メディアは今回のFBI長官解任をウォーターゲート事件になぞらえる。1973年10月、ニクソン大統領はウォーターゲート事件を担当するコックス特別検察官を解任した。この解任は内外で大きな反発を招き、一気に大統領の弾劾、辞任へとつながった。

だがウォーターゲート事件では、コックス特別検察官解任の時点で、ニクソン大統領の不正を裏づける具体的な証拠がすでにいくつか浮かんでいた。その種の証拠がまったく出ていない現状とは、明らかに異なっている。

しかも、当時の連邦議会は、共和党のニクソン大統領を糾弾し弾劾を目指す民主党側が上下両院とも多数を占めていた。一方、現在の上下両院は与党の共和党が多数を占めている。司法の究極の柱となる最高裁判所も、トランプ大統領が任命した新判事により保守派が多数となってしまった。こうした状況から、今回のFBI長官の解任がトランプ大統領の弾劾、辞任につながる可能性はきわめて低い。

どのメディアがどんな姿勢で報道しているのか

以上のような事実関係や状況の分析は、現在の米国の大手メディアからはなかなか出てこない。

ワシントン・タイムズやFOXテレビといった保守派寄りのメディアはこうした情報を報道しているが、日本の多くのメディアは、どうしても民主党寄りの米国メディアの報道に流されがちのようである。

言うまでもなく日本としては、トランプ政権の実態をリアルタイムで正確に知っておくことが必要である。そのためには、一体どのメディアがどんな姿勢で報道しているのかを観察する姿勢が必要だ。民主党寄りメディアの報道にばかり依存しない多角的な視線が欠かせない。

日経記事

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領が過激派組織「イスラム国」(IS)に関する機密情報をロシアに漏らした疑いが15日、浮上した。米国と同盟国の情報機関の連携に支障をきたしかねない。外交・安全保障の機密情報は「インテリジェンス」と呼ばれ、政策立案の基礎になるだけに中東のIS掃討など国際秩序の安定を揺るがす可能性も出てきた。

トランプ米大統領は10日のロシア外相との会談で機密情報を漏らしたとされる=ロイター

米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、トランプ氏が機密情報を漏らしたのはホワイトハウスで10日に会談したロシアのラブロフ外相とキスリャク駐米大使。「私は素晴らしい情報について毎日説明を受けている」。トランプ氏は自慢げに、同盟国から受け取ったISの機密情報を明かしたという。

トランプ氏は16日、ツイッターの投稿で大統領の正当な権限だとしたうえで「テロや航空安全に関する事実をロシアと共有したかった」と釈明、情報を伝えたことを実質的に認めた。マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は同日「大統領の会話は適切だった」と記者団に語った。 インテリジェンスの世界では、同盟国から受け取った情報を別の第三国に提供する場合、提供した国の了解を事前に得る暗黙のルールがある。米国は今回、その了解を得なかった。米政府高官は「米国からロシアに情報が了解なく漏れたことを同盟国が知れば、その国との関係は打撃を受ける」との危機感を示した。

トランプ氏が漏らしたISに関する機密情報はどの国から提供されたものかは明らかではない。航空機に持ち込んだパソコンを使ったISのテロ計画の詳細、米情報機関の協力者がテロの脅威を探知したIS支配地域の都市の名前など、機微に触れる情報を伝えたとの見方がある。

ISの情報収集に関与している協力者の活動地域などがロシアを経由してISに把握されれば、その人物が危険にさらされかねない。米国は有志国連合でISを掃討しているが、このIS包囲網にほころびが出る可能性もある。ロシアは有志国連合に参加していない。

米国はシリアやイラクなどでISの動向を上空から常時監視。IS戦闘員の動きを見極め、リーダーらを特定しようとしている。その作業は現地の協力者が不可欠で、秘密保持は重要だ。

ISにとどまらない。米国は英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの英語圏5カ国で「エシュロン」と呼ばれる共同の通信傍受システムを構築。電話やメール、ファクス、無線、衛星通信などを傍受し、機密情報を共有している。日本も中国やロシアの潜水艦のスクリュー音などを米海軍と共有・分析し、情報を蓄積している。

米国が同盟国の機密情報を第三国に無断で伝えれば、米国や同盟国がどの程度の情報収集能力を持っているのか、相手に推測させることにつながる。ロシアはクリミア半島の併合後、米国と同盟を結ぶ大半の欧州諸国にとって脅威になっている。与党・共和党重鎮のマケイン上院議員は「強く懸念している」と語り、元米政府高官は「機密情報や安全保障を扱うことにどんな重みがあるか。あまりに無自覚だ」とトランプ氏を批判した。フォームの始まり

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『米中の「密約」 漂う危うさ 本社コメンテーター 秋田浩之』(5/17日経朝刊)、『3人の日本人議員が米国で訴えた北朝鮮以上の脅威 日本が最大の脅威とみなすべき国は?』(5/14JBプレス 古森義久)について

トランプの行動はなかなか読めないと言ったところでしょう。でも、相手に簡単に出方を予想されてしまうこと程、「与し易し」という印象を与えます。金正恩が偏執狂というのは合っていますが、トランプは違います。アメリカ・ファースト、セイフテイ・ファーストです。北の打ち上げたミサイルは、ハワイやアラスカは今は無理でも、今グアムに届くのであれば、いずれ米大陸まで届くのは時間の問題です。米国は黙ってはいられないでしょう。秋まで待つこともないのでは。

日本にとって目先の脅威は韓国を含む朝鮮半島です。日本単独ではこの脅威の除去は出来ません。米国と共に、半島の非核化、生物・化学兵器の除去をしませんと。早めの外科手術が必要と思っています。大多数の日本人は平和ボケし過ぎです。昨日の本ブログにも書きましたが、スイスと日本では核シェルターの保有率が全然違います。まあ、永世中立国で、男子は徴兵義務のある国ですから。

朝鮮半島の問題を片づければ、真の敵中国と向き合わなければなりません。北朝鮮は継戦能力がないため、核や生物化学兵器に頼らざるを得ませんが、中国は違います。石油は需要を賄うほど採掘できなくても、海外から購入できます。一帯一路がその役目を果たすと考えています。AIIBは中国を利するだけなので、日本の加盟には反対です。東シナ海や南シナ海での侵略行為は中国の帝国主義の野望の第一歩です。ここを許せば、ドンドン侵略の矛先を広げ、世界を中国のモノにするつもりです。米国が中国の野望に気付き、早いうちにストップをかけませんと。奇しくも、防衛大臣や防衛政務官経験者3人が米国のCSISで「中国こそが真の脅威」というのは正しく合っています。

2016/3/31日経<凍り付く油田の街・大慶 中国石油失速、現地を歩く 5万人一時解雇の観測も   成長に急ブレーキがかかった中国石油天然気(ペトロチャイナ)など中国国有石油大手。膨張するエネルギー需要をまかなおうと各社が掘り進めてきた中国国内の油田に異変が起きている。その代表格が中国東北部の黒竜江省大慶市に広がる「大慶油田」だ。3月中旬、現地を訪れると、稼働を止めた石油掘削機が「墓標」のように並び、人々は不況の影におびえていた。

ススキ野原の向こうに音もなく静かにたたずむ石油掘削機が見えた。1年前まではモーター音を響かせ地下から石油をくみ上げていた大慶経済の屋台骨。地元住民の張さん(39)がつぶやく。「あいつら、間もなく取り壊されるんだ」

数万基の石油掘削機が点在する大慶市。今ではその半分近くが稼働を止めている。「習大大(習おじさん)が来てからすべてがおかしくなった」。張さんが声を潜めて言う。

習近平国家主席が中国東北部を視察に訪れたのは昨年7月。黒竜江省幹部との会議で習氏はこう発言したという。「そんなに多くの掘削機を動かしても電気の無駄遣いだ」。景気減速で原油需要が細り価格も下がっている。それでも原油をくみ上げ続ける大慶油田の非合理性を習氏は指摘した。

それから急激な変化が大慶市を襲う。市内の掘削機が次々に緊急停止し、油井が閉められていく。2015年の大慶油田の生産量は3838万トンとピーク時から3割減った。油田運営会社の売上高は964億元(約1兆6700億円)と前年比で半減。同社を傘下に持つペトロチャイナの業績悪化の主因にもなった。

大慶市は域内総生産(GDP)の6割を油田に頼る。270万人の人口の1割が油田運営会社の社員で、その家族や関連産業も含めれば、石油に携わる人たちは人口の半分に達する。原油減産が地元経済に与えるインパクトは計り知れない。

「去年の今ごろは月に80~90台は売れていた。それが今は半分だ」。日産自動車系の「東風日産大慶易嘉店」の営業担当者が顔を曇らせる。油田関係者が現金一括払いで新車を買う例も珍しくなかったが、昨夏以降は客足がぱったり止まった。

市中心部で威容を誇る市政府ビル。「政府は我々の生活を保障しろ」。3月中旬、40人以上のタクシー運転手が大声を張り上げていた。不景気でタクシーを利用する人が急減。その不満のはけ口を政府に求めた。一時は武装警察が出動する騒ぎになったという。

市内最大級の商業施設に入店する米系コーヒーチェーン「スターバックス」では連日苦情が絶えない。「コーヒー1杯22元は高すぎる。こんな時なんだから、安くすべきだ」。収入が減った市民が訴える。

大慶市は270万人の人口のうち半分が石油に携わる

市政府も手をこまぬいていたわけではない。1年半前にはスウェーデンの高級車大手ボルボ・カーの乗用車工場が本格稼働。売れ筋のSUV(多目的スポーツ車)などを生産し、部品メーカーの誘致も活発だ。それでも新たに生んだ雇用は1千人程度にすぎない。

「市民の半分が不眠症にさいなまれている」。21日付の地元紙「大慶晩報」はこう報じた。仕事のストレスが原因という。不安に拍車をかけるのが、大慶油田が今夏に実施するという5万人規模のレイオフ(一時解雇)計画だ。

「あと3年で定年なんだ……」。寒空の下、油井の改修にあたるベテラン作業員(52)に出会った。プレハブに泊まり込み、昼夜問わず働いてきたという。だが今、周囲に連なる石油化学工場で煙を出しているのは半数程度。「何とか30年やってきたんだがね」。あきらめにも似た表情でそうつぶやくのがやっとだった。

▼大慶油田 1959年に発見された中国最大の油田。ロシアに接する黒竜江省のハルビンとチチハルの間に位置する。海外技術に頼らず中国独自に開発をなし遂げた模範職場として、かつて「工業は大慶に学べ」とのスローガンが全国で流行した。最盛期には日本の原油輸入量の3割に相当する年5千万トン以上の生産量を誇った。失脚した共産党の元最高指導部メンバー、周永康氏ら「石油閥」の出身母体としても有名だ。>(以上)

トランプもメデイアやグローバリスト、政府内部の敵と戦っている最中です。でも岩盤支持層が94%もいますので。習近平も江派との戦いの最中です。ただ、一党独裁だけあって、メデイアは習の見方です。ただ、人事については、党主席の思い通りには行かず、政敵・団派の胡春華広東省書記を持ち上げざるを得ませんでした。内なる敵はトランプ・習共に存在するという事です。トランプが敵を打ち破って、中国と対峙することを期待して止みません。

https://www.houdoukyoku.jp/posts/10882

http://www.sankei.com/column/news/170504/clm1705040006-n1.html

日経記事

ここまであからさまに態度を変えるとは……。思わずこう言いたくなるほど、トランプ米大統領の対中姿勢が融和に傾いている。

1月の大統領就任前は、通商や外交問題でことごとく中国の対応を批判していたが、ここにきて目立つのは習近平国家主席をほめちぎる発言やツイッターだ。

「われわれの相性はすごくいい。互いに好意を持っている。私は彼のことがとても好きだ。彼の妻も素晴らしい」

「彼はとても聡明(そうめい)だ。順応性と呼んでもいい」

4月12日、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の取材で、習氏をこう持ち上げてみせた。

必ずしも外交辞令だとばかりはいえない。公表されていない外国要人との会話でも、習氏を評価しているからだ。

トランプ氏の対中姿勢が大きく変わる転機になったのは、4月6~7日の習氏の訪米だ。フロリダ州の別荘に彼を招き、計7時間にわたって会談した。

いったい、どんな「密約」が交わされたのか。米中の関係者らによると、おおむね次のようなやり取りが浮かび上がる。

習氏はフロリダに対米貿易黒字を減らすための行動計画を携えていった。それに先立つ3月下旬、中国は実はひそかに、米製品の購入拡大などの計画を並べた即効策を打診したが、米側から「もっと根本的な解決案を」と突き返されていた。そこで、構造改革を含めた本格的な対策を用意し、訪米の手土産にしようとしたのだ。

ところが中国側の当ては外れた。トランプ氏の関心は「9割以上」、北朝鮮問題にあったからだ。

会談初日。トランプ氏はシリア攻撃にもふれ、いざとなれば、北朝鮮への軍事オプションを排除しない姿勢をにじませた。かなり激しく圧力をかけたという。

「まだ、何も(成果を)得られていない。まったく何もだ」。その日の夜、テレビカメラの前でトランプ氏はこう吐き捨てた。

そうして迎えた2日目。習氏は中国首脳としては極めて異例の「賭け」に出た。側近に席を外させ、サシの会談を中心に北朝鮮問題を話したのだ。彼が説いたのは、主に2つの点だったという。

第1に、中朝の歴史をひもとき、北朝鮮がいかに大国同士の対立をうまく利用し、生き残りを図ってきたかを説明した。

米ソ冷戦下の1950年、北朝鮮は中ソの支援を当て込んで韓国に侵攻した。60年代に入り中ソが対立を深めると、北朝鮮は双方に近づき、競わせるように援助を引き出そうともした。

習氏はこうした事例を念頭に、米中がぎくしゃくすれば北朝鮮の思うつぼになってしまうとして、大胆な連携を訴えた。

むろんこれだけでトランプ氏が納得するはずがない。そこで第2に、中国としても北朝鮮の核武装は決して認めないと強調。6回目の核実験を阻むため、圧力を強めると約束した。具体的な制裁案にふれた可能性もある。

トランプ氏が習氏への賛辞をしきりに発信するようになるのは、この後だ。習氏を公然と褒め、約束通りに北朝鮮へ圧力を強めるよう迫っている面もある。

だが、フロリダ会談を経て、2人が取引関係によって結ばれようとしていることも事実だ。具体的には、次のような「ディール」が交わされたとみるべきだ。

北朝鮮問題で中国は石油供給の一時停止も含む制裁を検討する。その代わり、米国は北朝鮮の崩壊を恐れる中国に配慮し、圧力だけでなく対話のメッセージも送る。

これを裏付けるように、ティラーソン米国務長官は5月3日、北朝鮮に侵攻したり、政権を転覆したりする意図はないと表明した。

北朝鮮対策で米中が連携を深めることは好ましい。が、トランプ氏に不安も感じざるを得ない。中国の協力を得るためなら、なりふり構わず他の問題での取引に応じる姿勢がうかがえるからだ。

「中国が北朝鮮問題で我々と連携している時に、なぜ私が中国を為替操作国と呼ぶことがあるだろうか」。4月16日のツイッターで彼はこうつぶやき、中国を為替操作国に指定するという、選挙中からの公約を棚上げした。

秋田浩之(あきた・ひろゆき) 政治部、北京支局、ワシントン支局などを経て、外交・安全保障担当の編集委員兼論説委員。近著に「乱流 米中日安全保障三国志」

台湾問題でも同様だ。「いま、習氏が困難に陥るようなことはしたくない」。4月27日、ロイター通信にこう語り、北朝鮮問題で中国が尽力しているうちは、台湾の蔡英文総統との2度目の電話会談を手控える意向を示した。

トランプ流の交渉術なのかもしれないが、こうした政策は2つの側面で大きなリスクをはらむ。

短期的には、対北政策で協力しさえすれば、他の懸案では米政権が自分たちに譲歩してくれる、と中国側が思いかねないことだ。

特に気がかりなのは南シナ海問題である。中国外交筋からは「もはや米国は南シナ海でうるさいことは言わない」との声が聞かれる。実際、中国の人工島付近を航行する作戦を米軍が実行しようとしたところ、国防総省が3回、却下したとの報道もある。

中期的には、取引外交はいずれ収支が合わなくなり、行き詰まる恐れがある。

中国は結局、米国が期待するほどには北朝鮮を追い詰めず、トランプ氏が不満を爆発させる。南シナ海では、新たな危機が起きる。来年秋の中間選挙が近づけば、トランプ氏は通商問題で中国に手心を加えづらくなる……。

ちょっと考えただけでも、さまざまな破綻のシナリオが浮かぶ。

古森記事

中国・北京の天安門広場で行われた抗日70年行事の軍事パレードで閲兵する習近平国家主席(2015年9月3日撮影、資料写真)。(c)AFP/GREG BAKER 〔AFPBB News

日本の防衛政策について高い見識をもつ国会議員3人がワシントンで開かれた討論会に出席し、日本への脅威や日米同盟の課題などついてトランプ政権に説明した。

現在、北朝鮮のミサイルや核開発が日本にとっても切迫した危機のように見える。しかし3人とも、北朝鮮よりも中国の脅威に重点をおいて米国側に訴えていたことが印象的だった。

3人が揃って中国の脅威に言及

5月1日、ワシントンの大手研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」が「トランプ政権への日本の戦略」と題するパネル討論会を開いた。パネリストとして招かれたのは日本の中谷元前防衛大臣、小野寺五典元防衛大臣、長島昭久元防衛政務官の3人である。いずれも現職の国会議員であり、防衛問題に関して日本でも有数の権威とされる政治家たちだ。

討論の進行役は、CSIS副所長で日米の安全保障の専門家、マイケル・グリーン氏が務めた。この討論会の目的は、「日本がトランプ政権と防衛や外交の諸問題に取り組むうえでの国家安全保障戦略や外交について思考を深め、論じる」ことである。会場には米国側の200人以上の関係者が集まり、盛況となった。

司会役のグリーン氏は中谷、小野寺、長島の3議員を防衛問題に関する「日本のベスト・アンド・ブライテスト」(最良で最も聡明な人たち)と紹介した。

左よりグリーン氏、中谷氏、小野寺氏、長島氏。(CSISサイトのイベント報告ページの動画より)

討論会では、まず中谷氏が次のようにスピーチした。

「北朝鮮の金正恩委員長は、政権の存続を賭けて核兵器と長距離弾道ミサイルの開発を急いでおり、日本にとっても切迫した深刻な脅威となっています。トランプ政権はその脅威を阻止するために、軍事的な対応を含めてのすべての手段のオプション(選択肢)を検討しているようですが、日本はその米国の努力を全面的に支持します」

中谷氏は10分ほどのスピーチの最後に、日本が平和安保法制関連法を成立させ、新しい防衛ガイドラインを採択したことに触れ、日本の安全保障の最大の対象は中国であることを強調した。

小野寺氏も、まず北朝鮮の脅威について語った。

「北朝鮮の弾道ミサイルは、地上配備のミサイルに固形燃料が使われて発射準備の時間が短くなったことや、潜水艦発射のミサイルの開発の進展で、脅威がさらに増大しました。日本側にも、北朝鮮からのミサイル攻撃に対する防衛策はいろいろありますが、決して十分ではありません。日本は北朝鮮からミサイルを撃ち込まれたら即座に反撃して、さらなるミサイル発射を防ぐ攻撃能力を保持する必要があります」

小野寺氏は、このように日本の防衛強化について、これまでの路線を越える大胆な提案を行った。しかし、やはりスピーチの後半では中国に触れ、中長期的には北朝鮮よりも中国の軍事的脅威が重大な意味を持つと強調した。

長島氏は、自分が4月に民進党を離党したことを述べ、民進党の防衛政策に不満があったことも離党の理由の1つだったと説明した。そのうえで北朝鮮の脅威について次のように語った。

「トランプ政権が『力による平和』の原則に沿ってアジア・太平洋地域で軍事抑止力を保つことは、北朝鮮の脅威への対応として歓迎します。トランプ政権が掲げる、北朝鮮を完全に非核化するという目標も支持します。北朝鮮の核は全廃させることが必要であり、核開発の“凍結”を目標とすることはできません」

そして、長島氏もやはり中国の脅威について詳しく語った。

「日米同盟で最重要なのは、やはり中国の軍事的脅威の増大に対する共同の対処です。とくに中国側の『接近阻止・領域否定(A2/AD)』戦略への米軍の対応を日本も支援すべきです。中国軍は東シナ海での活動も強め、尖閣諸島に対する水陸両用作戦の実行能力も急速に高めています。尖閣をめぐる有事はいわゆるグレーゾーンの事態の発生も予測されるため、日本は米軍の協力を得て対応態勢を強化せざるをえません」

北朝鮮より中国のほうが重大な脅威

3人の議員のスピーチや報告が終わった後、討論会は質疑応答の時間となった。その際、会場のある男性が「日本は、そもそも北朝鮮と中国のどちらをより大きな軍事的脅威とみなしているのか」と質問した。その男性は、米国の大手安全保障シンクタンク「ランド研究所」の研究員だという。

注目すべきなのは、中谷氏、小野寺、長島氏の3人とも、中国のほうが日本にとってより重大な脅威であると答えたことである。

3人はそれぞれ次のように答えた。

「日本にとっては、やはり中国の軍拡による膨張が最も恐れるべき対象です。海洋で領土を拡張する動きは日本の尖閣諸島にも向けられており、いま、尖閣をどう守るかが国家をあげての重要課題となっています」(中谷氏)

「中国の南シナ海での軍事拡張は、日本への海上輸送路への悪影響を考えても重大な脅威です。断じて許容できない行動です」(小野寺氏)

「日本の安全保障にとっては、やはり中国の動きに最大の懸念を感じます。中国の南シナ海での領土拡大に対しては、日本も米国に協力して今まで以上に積極的で大規模な抑止の行動をとるべきだと思います」(長島氏)

以上のように3議員とも、中国の軍事的脅威に対する警告をトランプ政権に発信したのである。討論会は北朝鮮の脅威への対処に終始するだろうと予測していただけに、3人が口を揃えてこの場で中国の脅威を訴えたのは意外だった。

日本は一体どの国を最大の脅威とみなして安全保障政策を立てていくべきか。その指針が3人の議員によって示されたと言えそうだ。

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『北朝鮮のミサイル発射が増幅する米韓の不協和音 北の「先手」に操られる文在寅政権』(5/14日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

韓国は2月に慰安婦合意見直しを国連条約組織に、黄大統領代行時代に申請したとのことです。北の影響を受けたNGOが裏で蠢いたのでしょうが、韓国政府の知らない所では動けないはずです。合意も守れないで日本を一方的に非難するのは許せません。キチンとその都度反論していかないと。経済的・軍事的にも助けることをしないように、国民がもっと怒りませんと。

http://www.sankei.com/politics/news/170514/plt1705140006-n1.html

http://www.sankei.com/politics/news/170514/plt1705140049-n1.html

国連拷問禁止委員会はスイスのジュネーブにあります。川口マーン惠美氏の『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』によれば、スイスは自国民の人権を弾圧してきた歴史があります。そんな国が日本を批判するのに手を貸すことはできないでしょう。勿論、韓国が裏で金を出していることは間違いないと考えます。

「P.86~91

一九七〇年まで続いた奴隸市場

二〇一六年四月ニ七日、スイスの下院は、かつて国家が強制労働をさせた子供たちに対して補償金を支払うことを決めた。

この強制労働は、戦時下に外国人の子供をこき使ったという話ではない。被害者はれっきとしたスイス国民で、スイスは一八〇〇年から一九七〇年ごろまで、なんと一六〇年以上も貧困家庭や離婚家庭の子供たちを教育という名目で強制的に「保護」し、孤児院に入れたり、「里子」として斡旋したりしていた。

これはもっと侮蔑的な「Verdingkind =子供召し使い(?)」という言葉で呼ばれていたのだが、この差別的雰囲気をうまく日本語に訳せないので、ここでは「里子」としておく。 「里子」の引き取り手は、主に安い労働力を欲していた農家などだったが、ときに炭鉱で働かされたり、薬物実験に回されたりする子供もいたという。

いくつかの州においては、「里子」を取引する市場が定期的に開かれた。そこで子供たちは家畜のように吟味されたというから、まさに奴隷市場だった。

ただし、本当の奴隸市場とは違い、引き取り手はお金を支払うのではなく、「里親」として国から養育費をもらった。競売とはちょうど反対で、養育費を少なく要求した人から順に、子供をもらえたのだという。そして子供の人権は一切剥奪され、実質的には、「里親」 となった人間に生殺与奪の権利が与えられた。

こうなると、子供たちの運命は「里親」によって決まる。多くの子供たちは四、五歳ぐらいから、賃金も小遣いももらえないまま、ただ、働かされた。戦後は、最低限の義務教育は受けさせてもらったが、それより以前は学校などとは縁がなかった。

虐待は日常茶飯事で、さらに運の悪い子供たちは、飢えや寒さや性的虐待にも見舞われた。妊娠すれば堕胎させられ、断種や強制避妊も行われた。しかし、虐待がわかっても、警察や行政はほとんど介入することはなかった。

要するに、子供たちは社会のクズのような扱いを受け、お金がないのでいつまでたっても自立できず、農奴の状態を抜け出せぬまま一生を終えることも稀ではなかった。

一九一〇年には、スイス全土で一四歳未満の子供たちの四%もが、「里子」に出されていた。歴史家マルコ・ロイエンベルガーによれば、児童労働は国家の政策として、組織的に行われていたという。

首都のあるべルン州ではとくに多く、「里子」の割合は子供の約一〇%に上ったそうだ。 一九六〇〜七〇年代には、数万人いたと見られており、もちろんその多くはまだ生きている。

子供の強制収容が中止された年は

驚くべきことに、この「里親」制度が正式に中止されたのは一九八一年である。この年ようやくスイスは、これまで行ってきた子供の強制的な収容や「里親」への引き渡し、 手術や堕胎、強制的な養子縁組などを停止した。

そのあとニ〇〇五年には、法務省の指示で過去の「里親」制度にメスが入れられ、下院が法改正を提案したが、いつの間にかうやむやになり、六年後には立ち消えになってしまった。

それ以後、政府の動きはなかったが、そのうち被害者を支援する市民グループが立ち上り、国民イニシアティブの署名を集め始めた。それを見て、知らぬ存ぜぬでいられないと知った政府はニ〇一三年、法務大臣の名で公式に謝罪。いまではかつての「里子」は被害者という名前に変わっている。

翌二〇一四年には、民間の組織が補償基金を設立し、四〇〇人の被害者に一人約八〇〇〇スイスフランの補償を支払っている。そして同年、十一万の署名を集め終えた前述の市民グループが、被害者のための新たな五億スイスフラン規模の補償基金の設立を国民イニシアテイブとして発議した。

それに対して政府は、この発議が国民投票に持ち込まれるのを防ごうと、慌てて対案を下院に提出した。そして、補償規模が三億スイスフラン程度に切り下げられたこの対案が、この章の冒頭に書いたように二〇一六年四月、下院で可決されたわけである。

これを市民グループ側が了承すれば、国民投票なしで一件落着である。その場合、補償を受ける被害者の数はおよそ六五〇人で、一人当たり二万から二.五万スイスフランの額になるという。

スイスで根絶されるべき人種とは

スイスのやり方は、ロマに対しても徹底的に過酷だった。ロマとはいわゆるジプシー(差別語)で、東欧やパルカン半島に多く住んでいる。それらの国では、ロマはいまでも激しい差別を受けているが、その対応の仕方は、基本的に「無視」である。早い話、ロマはいないものとして社会が構成されている。

社会が受け入れないから、ロマたちはもちろん、ちゃんとした職にも就けない。多くの町のあちこちで物乞いをしたり、ゴミを漁ったりしているが、普通の人の目には、その姿さえ見えないも同然なのだ。

アルバニアでもブルガリアでも、現地ではそれを如実に感じた。「ロマがいるから、ハンドバッグに気をつけて」と注意してくれる人の目には、ロマは煩わしい害虫と変わりがなかった。なるべく遠くの集落に住み、なるべく社会に害を与えずにいてくれればそれでよいのだ。ロマの人権はもとより、状況の改善などを本気で考える人は、政治家にもほとんどいないというのが、私の印象だった。

ところがスイスは違った。ロマは根絶されるべき人種だというのがこの国のエリートの考えであったようだ。それゆえ、無視はせず、赤ん坊が誘拐のように連れ去られ、施設に閉じ込められたり、「里子」に出されて強制労働に従事させられたりした。収容施設では寒くて薄暗い独房に閉じ込められ、親に会わせてもらうことも一切なし・・・そんなロマの子供たちがたくさんいたという。

また子供だけでなく、大人も多くが強制的に施設に収容され、断種が積極的に行われた。スイスのロマは、生まれてから死ぬまで犯罪者のように扱われたのだ。

ロマの子供の「保護」は、一九一二年に設立された「青少年のために」という公共団体の主導のもとに行われ、とくに一九二六年からは浮浪児援助の部局が設けられ、ロマ対策に当たり、スイス政府も一九三〇年ごろから積極的に協力し始めたという。

ここら辺の事情は、福原直樹氏の著書『黒いスイス』に詳しい。同書から少し引用させていただく。

<スイスでは司法当局が詳細な「誘拐計画」を作成し、内務省が団体(筆者註:「青少年のために」)に助成金を出し始めた。同年(筆者註:一九三〇年)の団体への政府助成金は一万五〇〇〇スイスフラン。この政府の助成は一九六七年まで続き、団体の誘拐部局の経費の七〜ニ五%が、政府の助成で賄われていたという。ちなみにこの年に助成金が打ち切られたのは、問題への反省からではなく、当時の財政引締め策の一環だった>

同氏によれば、「青少年のために」は現在も、チューリヒで活動を続けているということだ。

P.146~148

日本の核シエルター普及率の衝撃

スイスではいまも「有事」という言葉が現実味を伴っている。国民は有事には蜂起する覚悟らしい。

彼らの国防意識は、危機感の高さにも表れている。第二次世界大戦ごろから、アルプスの深い山中には岩山をくりぬいて頑丈な要塞:が築かれ、軍事基地が隠されていた。数年前までは機密だった要塞だ。

冷戦後、少しずつ解体されていったが、もちろんすべてを放棄したわけではない。いまなお機密のものもあるだろう。国境を越える橋やトンネルには、有事の際、速やかに国境を封鎖する準備が整っている。

また、つい最近までは、スイスの家は必ず地下に核シェルターを備えなければならないという法律もあった。ドイツではどこの家にも地下室があるので、そのようなものを少し強化した防空壕かと思ったら、そうではなく、本当にコンクリートと金属でできた頑丈な核シエルターが各戸に設置されていた。

しかも、非常食、衛生設備、酸素ボンベなどを完備し、ニ週間は暮らせるものでなくてはならないなどと決められている。自治体の担当の部署から、抜かりはないか見回りに来ることもある、という話だった。

そこまで設置を徹底していた核シエル夕—だったが、ニ〇一二年、ついに法律が改正され、自治体に一五〇〇スイスフランを払って、最寄りの公共シエルターに家族分のスペ―スを確保すれば、自宅には設けなくても済むことになった。一九六〇年より続いてきた国防対策の一つが、ようやく緩和されたのである。

公共シエルターは、全国に五〇〇〇基あまり。病院や学校といった公共の建物の地下にあるシエルタ—と合わせると、その数は三〇万基にも上るという。全人ロの114%の収容が可能だ。

ところで世界での核シェル夕―の普及率は、イスラエルが100%、ノルウェーが98%、アメリカが82%、ロシアが78%、イギリスが67%、シンガボールが54%、そして日本は0.01%だそうだ。

もっとも、広島の原爆投下時の状況について様々な知識のある日本人にしてみれば、核シエルタ—と聞いてもあまりピンと来ない。いつ駆け込むのか、いつ出るのかなど、様々な疑問が湧いてくる。しかし、それはさておくとして、やはりいちばん衝撃的なのは、日本人は危機感が完全に欠落しているという事実に気づかされることではないか。」(以上)

渡邉哲也氏は開城工業区を再開すれば、米国は韓国にも金融制裁する可能性があるとのこと。米国も躊躇することなく、制裁を課し、経済的に韓国を崩壊させればよいでしょう。裏切りを常とする民族ですので。

韓国は北が核を持てば、半島統一後、自前で核を持ち、日本に落とせると考えているようです。日本もそうであれば核を持つべきです。米国かインドから買えば良いでしょう。その後、電磁レールガンやレーザーの研究をするのは勿論、敵基地攻撃できるミサイルを持つようにしませんと。

でも、その前に、北に核とICBMを持たせるわけには行きません。ソウルが火の海になろうと、米軍は北を是非攻撃してほしいです。秋まで待つ必要もないでしょう。ロシアのプーチンも北の核保有に反対とのことですし。

http://melma.com/backnumber_45206_6528935/

http://melma.com/backnumber_45206_6528917/

記事

北朝鮮のミサイルが発足直後の文在寅政権を揺さぶる(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

米韓の間で不協和音が生じた。北朝鮮との対話に動く文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、トランプ(Donald Trump)大統領が「待った」をかけたのだ。状況を見切った北朝鮮は5月14日、弾道ミサイルを発射、韓国を揺さぶり始めた。

「焦るな」とトランプ

鈴置:トランプ大統領は5月12日、米NBCのインタビューに答え「文在寅大統領は(南北)対話に前向きだ。対話には反対しないが、条件が整ってからすべきだ」と語りました。

米議会が設立した自由アジア放送(RFA)の記事「トランプ『南北対話は適切な条件下でのみ可能』」(5月12日、韓国語版、韓国語と英語の音声付き)はトランプ大統領の発言を原語でも報じています。以下です。

  • He’s more open to discussion. I don’t mind discussion. But it’s under certain circumstances.

RFAは「北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄する意思を見せる前に南北対話をすべきではない」との米国のメッセージだと解説しています。

要は「北朝鮮との対話を焦るな。焦るといい結果は出ない」と、文在寅大統領を諭したのです。トランプ大統領は「1、2カ月待てばもっといい答が得られる。様子を見よう」とも文在寅大統領に呼び掛けました。

  • I could probably give you a much better answer to that in a month or two months. We’re going to see what happens.

米国が軍事的な圧力を、中国が経済的圧力をかけているのでいずれ北朝鮮は譲歩するだろう、と見通したのです。

カネを北に送りかねない韓国

—わざわざ文在寅大統領にクギを刺したのは?

鈴置:韓国の新政権は米国でも「反米親北」と見なされています。放っておくと「南北対話」と称して北朝鮮にカネを送りかねない。せっかく世界に呼び掛け、実行している圧力が無になると懸念したのです。

文在寅大統領は「当選したら米国よりも先に北朝鮮に行く」と宣言していました。国連の対北経済制裁に応じて閉鎖・中止した開城工業団地と金剛山観光事業に関しても「再開する」と公約していました。

在韓米軍基地に配備されたTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)も「政権をとったら見直す」と約束していました。

選挙期間中に発言の一部は軌道修正して見せましたが、韓国世論は「偽装転向」と疑っています(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。

本性をあらわした文政権

実際、5月10日に文在寅政権がスタートすると、すぐにその「本性」があらわれました。

翌5月11日、韓国の統一部は開城(ケソン)工業団地の再開は国連制裁に違反するか」との記者団の質問に対し「検討する必要がある」と答えました。

聯合ニュースの「開城団地再開は国連制裁に違反か 韓国統一部『検討が必要』」(5月11日、日本語版)などが一斉に報じました。

文在寅政権発足前、統一部ははっきりと「違反である」と記者に答えていました。RFAの「統一部『開城工業団地の再開は、国連制裁に違反』」(2月7日、韓国版)が報じています。

自由アジア放送も対韓牽制

それが突然、後退したのです。もちろん、統一部の姿勢が変わったのは文在寅大統領への「忖度」からです。

新大統領は再開を公約し、それは国連制裁違反には当たらないと明言していました。役人ごときが逆らうわけにはいきません。

朝鮮日報の「文『開城工団は国連の対北制裁にない・・・大量の現金は国際制裁と歩調を合わせればよい』」(韓国語版)は、文在寅氏が4月28日に「開城工団は対北経済制裁に含まれていない」と述べていたと報じています。

米国のRFAは執拗にこの問題をウォッチし、韓国語版で報じ続けています。「韓国の新政権がどうするか、米国は見ているよ」ということでしょう。

5月11日にも「『開城工団再開』が安保理制裁違反かどうかに注目」(韓国語と英語の音声付き)で「統一部の変節」を報じました。

さらに米国の専門家の「文在寅大統領が米国だけでなく国連の制裁と調整せずに再稼働すれば、今後の大きな悩みの種(troublesome)となる」との意見を紹介しました。

THAADで軍事主権放棄

—米国が韓国を疑いの目で見るのも当然ですね。

鈴置:THAADの問題でも文在寅大統領は米国を裏切って中国側に行くのではないかと疑われています。5月11日、習近平主席と電話会談しましたが、そこにも微妙なくだりがありました。

朝鮮日報の社説「四面楚歌という安保の現実を示した米中日トップとの通話」(5月12日、韓国語版)は以下のように書きました。

  • 習近平主席は異例にも当選を祝う電話をかけてきて「(THAADに関わる)中国の重大な憂慮事項を(韓国が)重視し、実質的な行動をとるよう期待する」と語った。
  • 文大統領はこれに対し「北朝鮮の追加の挑発がなければTHAAD問題の解決は容易になる」と答えた。両国の発表を見れば、北朝鮮が追加の挑発さえしなければ、中国の希望通り、THAADを撤去するかのように聞こえる。
  • もし実際にそうなったなら、北の核・ミサイルに対する軍事的な備えを放棄したことになり、外国が我が国の軍事主権に介入する道を開く先例となる。

中国に安保代表団

こんな批判に文在寅大統領は馬耳東風。習近平主席との電話会談を受け、直ちに中国にTHAADと北朝鮮の核を議論する代表団を送ることを決めました。

左派系紙のハンギョレは当然のことながら、前向きに報じました。「韓中関係復元に向け『THAAD外交』始動」(5月12日、日本語版)から要約しつつ、引用します。

  • 文在寅大統領が11日、習近平国家主席との電話会談で「THAADおよび北朝鮮核問題を議論する代表団」を中国に派遣する計画を明らかにするなど、THAAD外交を始動させた。
  • 前日の就任演説でTHAAD問題について「米国、中国と真剣に交渉する」と明らかにしたことから一歩踏み込み、中国との対話準備に本格的に乗り出した。
  • 文大統領は、国内的に国会批准同意の過程を通じて公論化過程を経るものと見られる。外交的には公論化過程で確認された国民世論をもとに、米国、中国などとの協議に乗り出すものと予想される。

国会でTHAAD配備に確実に賛成するのは第2党の自由韓国党(107議席)と第4党の「正しい政党」(20議席)。全議席は300ですから「配備賛成法案」が可決する可能性は低い。

仮に第3党の「国民の党」(40議席)が賛成に回っても国会を通りません。韓国には与野対決法案は5分の3の180票の賛成がないと採決に回せないという奇妙な法律があるからです。なお、与党の「共に民主党」は第1党で120議席です。

国会がTHAAD配備を認めなければ、これを「国論」として米国には撤去させる一方、その実績をテコに中国には北朝鮮の核などで韓国に有利に動いてくれと言うつもりでしょう。

米韓は信頼の危機

—韓国の保守は?

鈴置:悲鳴をあげています。北朝鮮専門家の李東馥(イ・トンボク)氏が趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに「文在寅政権の出帆と目に見えるようになった韓米間の『信頼の危機』」(5月12日、韓国語)を書きました。

  • 米国務省のアダムス(Katina Adams)報道官が「韓国の新政権と変わらない協力を期待している」「THAADの配備は同盟国間の合意」と強調した。
  • 「期待する」との発言の底には「現実にはそうはならない可能性がある」との不安感がある。「同盟国の合意」の強調には「合意したことは履行すべきだ」との警告が含まれている。
  • 文在寅政権が韓米間の信頼の危機の原因を提供しているのなら、国民的な次元で必要な措置を考えねばならない。

韓国の新政権に対するアダムス報道官の発言は聯合ニュースの質問に答えたもので「State Department: U.S. looks forward to continuing close cooperation with S. Korea’s next president 」(5月9日、英語版)で読めます。

—トランプ政権も「警告」していたのですね。

鈴置:もちろんです。文在寅氏の「反米親北」は公知の事実でしたから。ホワイトハウスも当選を祝うメッセージ(5月9日)の中で「両国の同盟を引き続き強化したい」と表明し「同盟をないがしろにするなよ」とクギを刺していたのです。

「非核化の機会」逃す文政権

—でも、文在寅大統領は米韓同盟をないがしろにし始めた。

鈴置:それだけではありません。北朝鮮の核武装を事実上、認める方向に動く可能性があるのです。

韓国の元外交官の千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長が東亜日報に「文大統領は平和的な非核化の機会を逃してはならない」(5月11日、韓国語版)を書きました。要約します。

  • 即興的な言動で多くの国で嘲笑されるトランプ大統領。だが、韓国にとっては転がり込んできた宝物になりうる。これほどに北朝鮮の核問題を熱心に解決しようとする米国の大統領はいなかったし、今後も出そうにない。
  • 米国と協力し、北朝鮮が核を放棄せざるをえないほどに圧迫の強度を高めてこそ北は非核化交渉に出てくるし、南北対話の条件も熟す。
  • 軍事的オプションに反対することを、戦争の危機から国を救う選択と間違いやすい。先制攻撃に対する信頼性を失わせる言動は、北が制裁に決然と対抗するよう煽るだけだ。
  • 南北対話の再開に焦るあまり、窮地に追い込まれた北に息をつかせれば、千金のような非核化の機会を逃す。米国と中国でさえ難しい非核化を、南北首脳会談を通じて実現しようなどという幻想を捨てるべきだ。

日本が恐れるべき「中途半端な解決」

—南北首脳会談は対北制裁の輪を壊す、ということですね。

鈴置:仮に韓国により制裁の輪が壊されても、米国が黙って引き下がるとは思えません。ただその際、完全な核問題の解決には至らず、中途半端に終わってしまう危険性を千英宇氏は訴えています。

  • トランプ大統領が非核化を事実上放棄し、核・ミサイル実験の中断と凍結を目指して北朝鮮との交渉にはいってしまうかもしれない。それは北の核武装の正当化を意味しかねない。

こうなったら日本も非常に困るのです。北朝鮮が米国に届く核ミサイルは放棄するものの、日本に届く分に関しては保持してよい、ということになるからです。

韓国に保守政権が誕生していれば日韓で力を合わせ、米国が「中途半端な結末」に走らないよう防ぐことができたかもしれません。

—保守政権ならできましたか?

鈴置:確かに難しかったかもしれません。そもそも韓国には米国と軍事的にも協力し、北朝鮮の核を完全に解決しようとの空気が乏しいからです(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。米国と完全なスクラムを組もうという李東馥氏や千英宇氏はいまや少数派です。

そして韓国では「米国から軍事攻撃を教えられたら北に相談する」という文在寅政権が誕生してしまったのです(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。

対話したければカネを出せ

—北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し、文在寅大統領も非難しました。韓国も軌道修正して米国側に戻りませんか?

鈴置:大統領の「非難」に惑わされてはなりません。政権発足後初の北朝鮮のミサイル発射を受け、5月14日朝、青瓦台(大統領府)は国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開きました。

そこでの文在寅大統領の発言のうち「対話」関連部分を聯合ニュース「文大統領 北の挑発に断固対応=『態度変化あってこそ対話可能』」(5月14日、日本語版)から拾います。

  • 北との対話の可能性を開いてはいるが北が判断を誤らないよう、挑発に対しては断固たる対応をとるべきだ。対話可能性を探るからといって誤判するな。
  • (北朝鮮との対話については)北側の態度に変化があったときに可能になるということを示すべきだ。

要は(1)対話路線は変えない(2)弾道ミサイル発射を中断するなど、北朝鮮が穏健路線に転じれば対話――つまりは開城工業団地などを通じた対北送金の再開に踏み切ってもよいということです。

韓国の大統領がこう表明したため、北朝鮮は今後「弾道ミサイルを撃つぞ」と脅すことで、韓国から様々の譲歩を引き出せるようになったのです。北は韓国に以下のように言えばよいからです。

  • 「ミサイルを撃ったら対話しない」などと偉そうなことを言っていいのか。我々が対話にこだわっているのではない。対話ができなければ困るのはお前ではないか。対話など意味がないと言っていた保守派から大笑いされるからな。「対話」を不可能にするミサイル発射が嫌なら、俺が要求するモノをさっさと持ってこい。

主導権を北に握られた韓国

初めから「対話」を掲げてはいけないのです。足元を見られてしまいます。主導権を北朝鮮に握られた韓国は、どんどん振り回されていくでしょう。そんな韓国をトランプ大統領は「やれやれ」といった顔で見ていると思います。

(次回に続く)

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『西洋格闘技に20秒で惨敗した中国伝統武術の現実 「伝統武術はどれも詐欺だ」…勝者の挑発、真の意味は』(5/12日経ビジネスオンライン 北村豊)について

小生が太極拳に持つイメージは健康体操で、少林拳のような武術とは違っていると感じていました。太極拳はゆっくりした動きがベースとなり、相手に対する受けも攻めも間に合いません。Wikiで調べますと“快架”と呼ばれる速い動きのものもあるそうですが。

ボクシングと太極拳では戦わずして結果は見えていたのでは。ボクシングVS少林拳でやるべきでしょう。下の映像は当日の闘いの映像です。徐暁冬はグローブを嵌めていないのが分かります。本記事中、「“李連傑(ジェット・リー)”は、太極拳が徐暁冬の挑戦を受けて再戦することを支持すると表明した。」とありますが、李連傑は少林寺出身なので、少林寺の精鋭を出して試合させた方が良いのでは。ただ、異種格闘技はアリ・猪木戦のようにルールも違うので、プロレスのようにショー化しやすいでしょう。プロレスを本気でやれば死人が出ますので。木村・力道山の試合も後味が悪い結果となりました。まあ、興業としてやればどうしてもショー化します。金儲けの手段になりますので、武道の真髄を極めるやり方からは遠くなると思います。勿論、生活がありますので、道場を開き、教えることで対価を得ることは賛成です。

https://youtu.be/KkQNA6tgcks

中国はなんでも「金」「金」の世界です。強欲なのはグローバリズムを世界に展開して、富を収奪しようとするユダヤ人と一緒です。宗教であっても、金の世界から逃れられません。習近平は「一帯一路」を使って世界制覇を企てていると見て良いでしょう。習の言う「中華民族の偉大な復興の夢」というのはそう言うことです。スリランカを見ていればよく分かるでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6528385/

http://dwellerinkashiwa.net/?p=6097

日本は、強欲な世界から引いて生きて行った方が良いと考えます。日本には昔から三方良し、「売り手良し」「買い手よし」「世間良し」の考えがありました。米国のやり方が良いとは思えません。日本企業も「三方良し」を現代風にアレンジした公益資本主義の生き方を目指した方が良いと思います。原丈人氏の『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』を読了しましたので、参考になる部分を紹介します。

「P.20~21

グローバル化による格差とテロの拡大

「グローバリズム」とは、決して美しいものではありません。米国などの大国が、自分の文化、言語、ビジネス慣習などを他国に押しつけるための口実にすぎません。

ですから、「グローバル化の波に乗り遅れてはならない」「日本の企業も、英米型の経営を見習うべし」といった掛け声を耳にする度に、「ちょっと待って欲しい」と違和感を覚えます。「グローバリズム」という美名の下で、世界や日本で起きていることを直視できていないと感じるからです。

アメリカの主要企業のCEOの年間報酬は、1936年から80年代初頭まで、 100万ドル(約1億1000万円)で推移していました。ところが80年代半ばから急激に増え始め、2008年のリーマン•ショックの直前には、1400万ドル(約15億 4000万円)にまで達していました。その一方で、あまり知られていないのは、アメリカの30代男性の年収の中央値が、 74年から04年までの間に12%も下がっていることです。平均値は上がっているのに、中央値が下がっている。その意味するところは、格差の拡大です。GDPが増えて国の経済が成長し、富裕層への富の集中が加速する陰で、中間層から下に位置する人たちの収入は減り続けているのです。

CEOの報酬はうなぎ上りなのに一般従業員の給料は下がり、雇用も失われていく。 これが、英米発のグローバル化と金融の自田化がもたらした現実です。 格差の拡大は、アメリカだけの問題ではありません。

2017年1月、オックスファムというNGOの組織が、「世界で最も裕福な8人と、 世界人ロのうち経済的に惠まれていない半分に当たる36億7500万人の資産額がほぼ同じだ」とする報告書を発表しました。8人の資産の合計が4260億ドル(約48兆7000億円)にも達し、世界人口73億5000万人の半分の合計額に相当するというのです。また、1988年から2011年にかけて、下位10%の収人は年平均3ドルも增えていないのに対し、上位1%の収入は182倍になったとも指摘しています。

格差は不満を生み、不満は紛争の種となり、世界を不安定にします。日本でも格差が広がり、子供の貧困も大きな問題になっています。

P.236~241

あとがき

経済は文化をつくり、技術は政治をつくる。しかし人間の本質は変わらず。

今後世界の人口は、途上国を中心にさらに30億人程度増加すると予想されているが、地球上のすべての人々が、平和で豊かに暮らせる世界を望んでいるはずである。

こうした世界を実現するには、経済の新しい仕組みが必要となる。資本主義自体も、 いずれ新しい仕組みにとって代わられるだろう。

しかし当面の間は、資本主義が続くことも間違いない。ならば理想論にとどまらず、まず現実的に世の中を変えることが重要だ。その原動力となり得るのが、本書で論じてきた「公益資本主義」だ。そう私は確信している。 「公益資本主義」の理念を実際の経営で実現するには、次の3つがポイントとなる。 第1に企業が持続的に発展し、社会に貢献するために、亊業を中長期的に捉える経営をしなければならない。

第2に、企業が持続的に発展するには、果敢にリスクを取って、新しい事業に挑戦しなければならない。

同じ事業を繰り返すだけでは、企業は存続できない。企業には、「創業者魂」とか「企業家精神」などと称されるチャレンジング・スピリットが常に求められるのである。会社規模が大きくなり、その歴史が長くなっても、その点は決して変わらない。

第3に、利益は、会社の成功に貢献した「社中」(注:ステークホルダーのこと)のすべてに公正に分配しなければならない。

自由闊達に新しい事業を創造し、大いに利益を上げて社員を豊かにし、社会に貢献することが、会社の重要な使命だ。そして会社の発展には、未来への投資のために内部留保を適正に蓄えることも肝要となる。内部留保を嫌う株主もいるが、内部留保からなされる未来への投資こそ、次なる事業の基盤となり、やがて利益を生みだし、結果的に株主も潤うのである。

「会社は株主のものだ」と思い込んで、株主が白己利益を最大化しようとして会社を動かす米国式の時代は終わりつつある。まもなく大きなパラダイムシフトが起き、「会社は社会の公器である」という考え方が、「今世紀の常識」となるはずだ。

世界中の「国家」と「企業」を区別せずに、経済規模を比較すると、いまや上位の半数近くが民間企業だ。国連加盟国は196力国あるが、50力国強しか上位100にランクインしていない。この傾向は加速する一方で、国家より経済力のある民間企業の数は、今後 ますます増えるだろう。こうした状況で、株主だけを優遇すれば、貧富の格差はさらに拡大する。

「会社は株主のものだ」と信じる投資家は、同額の利益なら、できるだけ短期間で実現するよう求める。こうして事業サイクルは、ますます短期志向となり、長い期間を要する研究開発事業よりも、米国の金融ファンドのような投機的事業がもてはやされることになる。 そして短期成果を狙う事業再生ファンドのようなアクティピストが、実体経済を支える企業が時問をかけて蓄積してきた富を収奪する。これほど「効率の良い」ビジネスモデルはない。しかも「合法的」だ。しかし、こうしたビジネスモデルには、多くの人が理不尽さを感じているはずである。

かつての奴隷商人も同じであった。

英国の奴隸商人は、「合法的」に「素晴らしいヒジネスモデル」を生みだし、莫大な利益を得た。英国からガラス玉や武器をアフリカへ持ち込み、アフリカから黒人をアメリカへ輸出し、アメリカから穀物や綿を英国に持ち込むという「三角貿易」は、当時の「最先端の高収益ビジネスモデル」であった。

現在は人身売買は、「非合法」で、いくら利益率が高くとも、「みずから誇れるビジネス」として成立しないが、往時はそうではなかった。彼らがどれほどみずからのビジネスを誇らしく思っていたかは、奴隸貿易商の本拠地であったリバプールに行けば一目瞭然だ。鎖をつけられた黒人奴隸のレリーフが、いまだ往時を象徴する建物のファサードに飾られているのである。

極端なアクティビストや莫大な規模で投機的金融を操る者たちは、今は「合法的」でも、 いずれ奴隸商人と同じ運命を辿ることになろう。歴史に汚点を残さないためにも、根本的な事業理念を見直すベきだ。

証券金融市場で投機的取引が大半を占めるようになれば、市場は過熱化し、バブルが生まれ、金融がゼロサムゲーム化し、富の.二極分化が進む。バブルは必ず破裂するが、その時、中間層は貧困層に落ち、富裕層はますます富み、スーパー・スーパー富裕層が生まれるのだ。

莫大な規模で投機を仕掛ける米英へッジファンドと彼らに資金を提供する超富裕層は、 途上国通貨を空売りし、暴落させ、その国民を貧困のどん底に落とすことによって巨万の富を得る。そして、その莫大な利益のごく一部のみ国際機関や大学やNPOに寄付することで、栄誉ある賞や資格を得る。

これは超富裕層による完全なマッチポンプの茶番劇だ。世界中の一般層は、こうした状況に辟易し、「人類の平等を目的とする民主主義はもはや機能しない」と諦めかけている。

1990年代初頭から始まった金融規制の自由化の下で、一国の経済規模をも上回るような莫大な資金を動かす投機家が、ICTテクノロジー(情報通信技術)の力を利用しながら、瞬時に国境を越えて跋扈するようになった。その結果、先進国で中間層が激減したのである。

民主主義が機能するには、中間層が不可欠だ。その中間層が没落することによって、今日、民主主義は、機能不全を起こしているのである。

「民主主義国家」の代名詞とも言える英米でさえ、かつての中間層が貧困化している。そこで有権者は、「将来のこと」よりも「今日明日のこと」、「建設的な前向きの意見」よりも「現状の不満」を基準に投票するようになってしまった。英国EU離脱の国民投票も、 米国大統領選挙も、こうした市民の不満や怒りの表われだ。

おそらく、皆さんが本書を手に取ってくださる頃には、我が国政府が、「四半期決算短信における業績予想の様式」を削除する方針を決定し、発表しているであろう。

2005年に財務省参与に、その後、内閣府参与に就任して以来、「企業経営における短期主義の是正」をー貫して主張してきたが、その実現に向けて、ようやく第一歩を踏み出せそうだ。

約3500社ある日本の上場会社のすべてが、四半期ごとに要求される業績予想義務から解放されることには、極めて大きなメリットが期待できる。四半期決算のための费用と時間を節約できるだけでなく、経営者や中間管理職の経営観を短期主義の呪縛から解き放つからだ。」

記事

(Barcroft Media/Getty Images)

4月27日に四川省“成都市”のある“武館(武術道場)”で“格闘狂人”こと“徐暁冬”と“太極大師”こと“雷雷”の“約架(決闘)”試合が公開で行われた。38歳の徐暁冬は中国伝統の格闘技“散打(さんだ)”出身で、自称「中国総合格闘技(MMA:Mixed Marshal Art)の第一人者」。これに対して雷雷は、公称42歳、本名は“魏雷”、“陳家太極拳”と共に太極拳の双璧をなす“楊氏太極拳”の継承者であると自称し、自ら興した流派“雷公太極拳”の創始者である。2人の対決は、太極拳を含む中国伝統武術と西洋格闘技の雌雄を決する一大イベントとして注目を集めた。

成都市は雷雷の居住地で、北京市を本拠とする徐暁冬は飛行機で成都入りした。半ズボンにサンダル履きで試合会場入りした徐暁冬は、黒色で両肩に赤色を配した半袖シャツと黒色の半ズボンに着替え、赤色の運動靴を履いて入場した。一方の雷雷は、白色の“太極拳服”に黒色の“太極褲(パンツ)”を履き、伝統的な格式を備えている風情を漂わせ、右手の掌で2個の胡桃(くるみ)を擦り合わせながら威風堂々と入場した。入場した雷雷は用意した“功夫茶(中国茶道)”のお茶を決まり通りの小さな茶碗で飲み、自分が太極拳の達人であるということを所作で示そうと懸命の演出を試みていた。

2人が入場すると、司会者が両者の名前を呼び上げて2人を観客たちに紹介し、それに続いてレフリーが紹介された。レフリーは2人を呼んでルールを説明し、それが終わると2人は握手を交わした後に離れて対峙し、レフリーの試合開始の合図を待った。会場には格闘技の試合で使われる常設のロープを張ったリングはあったが、太極拳に敬意を表した徐暁冬が譲歩してリングを使わず、リング横に格子柄のマットを敷いた床が試合場となった。

最初のジャブから血まみれKOまで、わずか10秒

レフリーが試合開始を宣言すると、徐暁冬は両拳をボクシングスタイルに構え、雷雷は両手の5本の指を軽く開き、右手を下段、左手を上段に構えて相対した。観衆が固唾を呑んで見守る中、両者はにらみ合いながら試合場を左回りに一周した後、徐暁冬が先制の左ジャブを打ち込み、雷雷がこれを避けようとした刹那、徐暁冬の右フックが雷雷の左顔面に炸裂した。雷雷はパンチを食らって茫然自失となり、この機を捉えた徐暁冬が一気呵成にパンチを浴びせて攻め込むと、雷雷は横向きに倒れ込んだ。徐暁冬は倒れた雷雷の頭部にパンチを連打し、雷雷は身動きできず、レフリーが試合の中断を宣言した。試合開始から試合中断までわずか20秒、徐暁冬の圧勝であり、雷雷は完膚なきまでに打ち負かされた。

試合中断により立ち上がった雷雷は血まみれの顔面をタオルで拭いながら、苦痛に顔をしかめて立ちすくんでいた。その後、レフリーから試合を再開するかと問われた雷雷は再開を断念する旨を表明し、徐暁冬の勝利が確定した。レフリーを真ん中に右に徐暁冬、左に雷雷が並び、レフリーは徐暁冬の右手を挙げて徐暁冬の勝利を宣言した。徐暁冬が最初のジャブを放ってから、レフリーが試合の中断を宣告するまではわずか10秒だった。それが中国伝統武術と西洋格闘技の雌雄を決する一大イベントの結果であった。「大山鳴動して鼠一匹」とはこのことか、実に呆気ない幕切れだった。

さて、上記の試合はインターネットの“視頻(動画)”サイトを通じて全国に配信された。徐暁冬は従前から「太極拳を始めとする伝統武術はどれも詐欺だ」と公然と言い募り、“武術打假(武術の偽物を撲滅する)”と述べて、中国の伝統武術に対し宣戦布告を行っていた。これは伝統武術を飯の種としている武術の道場主や師範たちにとって、生活を脅かす由々しき問題である。危機感を覚えた武術家たちはネット上で徐暁冬と論戦を繰り広げたが、確固たる信念を持って発言する徐暁冬と激論を戦わせてもらちが明く話ではない。そうこうするうちに、徐暁冬に戦いを挑む者が現れた。これは徐暁冬にとって「飛んで火にいる夏の虫」であり、望む所であった。挑戦者として名乗りを上げたのが、成都市で雷公太極拳の道場を営む太極大師こと雷雷であった。雷雷が徐暁冬の挑戦者として名乗りを上げ、4月27日に成都市で“約架(決闘)”試合が行われることはネットを通じて全国に広く知れ渡っていたのだった。

西瓜を果肉を破壊、鳩を飛べなくする秘技

「伝統武術はどれも詐欺だ」と断言した徐暁冬が、決闘試合では雷雷をわずか20秒でKOした。徐暁冬は試合前に「“太極拳不堪一撃(太極拳はひとたまりもない)”」と豪語していたから、言葉通りの結果になった。徐暁冬が雷雷を挑戦者に選んだのには理由があった。それは2015年11月24日に国営テレビ局“中央電視台(中央テレビ)”のチャンネル4「体育在線」の特別番組「“体験真功夫(本当のカンフー体験)”」の楊氏太極拳特集に成都市在住の武術家として雷雷がゲスト出演したことに起因する。

同番組の中で、雷雷は中国の十大武術師範の1人と位置付けられ、「雷雷は北京出身で、タイの格闘技“泰拳(ムエタイ)”と朝鮮の“跆拳道(テコンドー)”を学んだ後に楊氏太極拳に転向した。ムエタイとテコンドーの段位は低かったものの、実戦に長けていたため、その経験を活かして太極拳で格段の進歩を遂げ、今では楊氏太極拳の創始者“楊露禅”の継承者になった」と紹介された。番組では雷雷の道場の練習風景を紹介した後に、雷雷が中国武道の“形意拳”を学んだ外国人エリックと練習試合を行い、雷雷がエリックを圧倒して勝利した。次に雷雷が丹田に集めた気を西瓜に向けて吐き出しながら軽く西瓜の表面を押さえると、表面には何ら変化がないのに、中身の果肉は破壊されていた。その次に雷雷は“雀不飛”という秘伝の技に挑戦する。これはハトが飛ぼうとして脚を踏ん張る瞬間に、その力を消失させて飛ばせなくするという秘技で、雷雷はいとも容易にハトが飛翔するのを抑制してみせた。

「体験真功夫」が中国の十大武道師範の1人と報じた雷雷が、決闘試合で徐暁冬にわずか20秒でKOされたことに中国国民は大きな衝撃を受けた。決闘試合の後で、メディアのインタビューに答えた徐暁冬は、雷雷が出演した「体験真功夫」の楊氏太極拳特集について次のように述べた。

【1】試合の後で、私が「体験真功夫」に出演していた記者に連絡を入れたところ、記者は泣きながら次のように述べた。すなわち、西瓜は布団をかぶせて上からたたいで果肉を破壊しておいたものだし、ハトは脚を透明のプラスチック紐で手にくくり付けて飛べなくしたもので、いずれも脚色したインチキな映像だった。

【2】そこで、私があんたたち中央テレビはこともあろうにインチキをやるのかと言うと、記者は「中央テレビを侮辱することは許さない。我々は中央テレビと契約を結んでいる外部組織で、中央テレビではない」と答えた。これに対して私が、「それならあんたたちは中央テレビの4チャンネルで馬鹿な番組を放送しているということか」と返すと、記者は放送するしないの権限は我々にあるわけではなく、中央テレビのトップが決めることだと答え、「放送した番組中で視聴者は誰もハトの脚をプラスチック紐で結んでいたことには気付かなかったじゃないか」と述べた。

中国武術の各流派へ公開挑戦状

「体験真功夫」という真の中国武道を紹介する番組がインチキな内容を放送していた事実は、徐暁冬が主張する「伝統武術はどれも詐欺だ」を裏付けるものであり、その思いをますます募らせるものとなった。試合後に判明したところによれば、雷雷は自身の“微博(マイクロブログ)”に20年のフィットネス経験を持ち、40歳で100kgのベンチプレスを挙げることに成功したと自慢気に書き、自身が持つ“高級保健按摩師”の証明書を掲載していた。

証明書は2008年3月4日付と2013年1月29日付の2通で、そこには出生:1978年6月8日<注1>、“文化程度(学歴)”:“大専(高等専門学校)”とあり、職業欄には“保健按摩師(等級:技師)”とあった。武術師範だけでは食べて行けないからか、雷雷の本業はマッサージ師であったのである。

<注1>公称は42歳だが、実年齢は38歳であった。

決闘試合で徐暁冬が雷雷をわずか20秒でKOしたことにいきり立ったのは、伝統武術を詐欺呼ばわりされた上に、雷雷の敗北で面子を失った全国の伝統武術家たちであった。一方の徐暁冬は“武術打假(武術の偽物を撲滅する)”の旗印の下、ネットを通じて3人の武術家を指名すると同時に武術の各流派に対して公開の挑戦状を送り付けた。その3人とは、 “李天金”(アリババ集団会長“馬雲(ジャック・マー)”の護衛)、“王占軍”(陳式太極拳第12代継承者、太極拳世界大会優勝者)、“一龍”(少林寺第一武僧と名乗る武闘家)であった。また、各流派とは、少林寺、崑崙(こんろん)派、峨眉(がび)派、青城派、崆峒(こうどう)派、武闘派、陳家溝太極拳などであった。彼らはそれぞれ徐暁冬の挑戦を受諾する方向で検討を始め、先行して陳式太極拳の王占軍が挑戦を受ける旨を表明した。

各流派が徐暁冬の挑戦を受けようとする風潮に慌てたのは国家認定の非営利組織“中国武術協会”だった。中国武術協会は中国武術の発展、普及、技術向上を目的とする全国的な社会団体である。5月3日、中国武術協会は徐暁冬と雷雷の“約架(決闘)”事件に関し、「中国武術協会は“約架”などの法律・規則違反の行為に断固反対する」旨の声明を発表した。その概要は以下の通り。

(1)徐暁冬と雷雷の“約架”事件はメディアや社会の注目を集めているが、中国武術協会はこの種の“約架”行為が“武徳(武術のモラル)”に背(そむ)くものであり、違法の可能性があることから断固反対する。

(2)武術は中華民族の伝統体育項目であり、民族の優秀な伝統文化であり、体を強くし、自分の身を守り、修行を積む功能を備えている。伝統武術は武術の根源であり、伝統武術の継承と発展には武術界各位の努力が必要である。各省、区、市の武術協会および関連組織は類似の“約架”事件が再発しないよう有効な措置を採っていただきたい。

「決闘」を禁止する協会の役員は…

ここで問題となるのは、中国武術協会の役員構成である。協会役員は、主席3人《“栗勝夫”(中国武術9段)、“李成銀”(中国武術9段)、“朱天才”(太極大師)》、秘書長1人《耿軍(中国武術7段、少林武術9段)》、副秘書長3人《“張東武”(中国武術7段)、“白安有”(中国武術6段)、“楊暁明”(不詳)》の合計7人で構成されている。これら7人の中の李成銀と楊暁明の2人を除く5人は、河南省“焦作市”の管轄下にある“温県陳家溝”を源流とする陳氏太極拳および河南省“登封市”にある少林寺の関係者である。突き詰めて言えば、彼ら5人は、少林寺“方丈(住職)”の“釈永信”と親密な関係にあるということができる。釈永信は少林寺住職であるだけでなく、“中国仏教協会”副会長、“河南省仏教協会”会長であると同時に、中国の国会議員に当たる“全国人民代表大会代表”でもある。  釈永信は少林寺をカネ儲けの手段として利用し、多数の企業を設立して商業化を図り、稼いだカネをばらまくことで権力者と密接な関係を築き、現在の地位を得たとされる。今や絶大な権力を有する釈永信は、職権濫用、派手な女性関係などから破戒坊主として少林寺関係者から度々告発されているが、巧妙に危機を乗り越えて今なお地位を保っている<注2>。

<注2>釈永信については、2015年8月7日付の本リポート『ネットで告発「少林寺住職は生臭坊主」』参照。また、少林寺の商業化については、2008年10月31日付の本リポート『お金はいりません「大悲寺」 商魂たくましい「少林寺」』参照。

少林寺は北魏太和19年(495年)創建の古刹で、“少林武僧(少林寺の僧兵)”が研究発展させた“少林功夫(少林カンフー)”で名高く、『“天下功夫出少林, 少林功夫甲天下(天下のカンフーは少林カンフーを起源とし、少林カンフーは天下第一)”』と言われている。その少林寺の関係者が中国武術協会を牛耳っているのが現実だが、果たして役員の肩書にある中国武術や少林武術の高段位は本物なのか、一体誰が彼らの高段位を認定したのか。この疑問は中国武術の各流派にも共通するのかもしれないが、徐暁冬にとって最終的な標的は中国武術協会を牛耳る役員たちではないのか。

偽物の撲滅か、道場の宣伝か

それが徐暁冬が主張する「伝統武術はどれも詐欺だ」の真の意味であるように思える。徐暁冬はメディアのインタビューを受けた際に、「自分は決して中国伝統武術を否定するものではなく、中国武術界にはびこる偽物を、“太極大師”などと名乗る輩(やから)を含めて撲滅したい」と述べている。

中国武術の歴史は“商”(紀元前1600年~紀元前1046年)、“周”(紀元前1046年~紀元前249年)に遡ると言われ、数千年にわたって伝承されて来た。武術は攻撃するための技である反面、精神面の修養を重視し、安易に人を傷付けたり、名利を求めて演技することは固く戒められていた。ところが、1949年に中国共産党が政権を執り、中華人民共和国が成立すると、真の中国武術は根こそぎ消滅を余儀なくされ、一部の武術家は反動的であるとして銃殺された。その後、“国家体育委員会(後の“国家体育総局”)”の管轄下に置かれた中国武術は伝統武術が持っていた“内涵(内面の修養)”を失い、見せ掛けだけの武術に変質し、偽物の武術家が大手を振るって闊歩するようになったのである。

徐暁冬がこうした中国武術の変質に不満を感じ、改革の狼煙を上げたのかどうかは定かではない。徐暁冬は、自身が運営する武術道場を宣伝する目的で、雷雷との一戦の勝利を活かして“炒作(メディアを通じての宣伝)”を行っているに過ぎないとの説も一部では囁かれている。徐暁冬の挑戦を受けた中国伝統武術の各流派は今後どのように対応するのか。中国の庶民は“約架(決闘)”試合の実現を楽しみにしているが、各流派は中国武術協会からの通達を無視して“約架(決闘)”を行うことができるのだろうか。果たして、その結果はいかに。

2013年8月7日付の全国紙「中国青年報」によれば、中国には健康のための武術愛好家が7000万人以上存在し、段位取得目的の武術学習者は100万人を超え、有段者はすでに25万人以上に達しているという。また、中国武術は69の国と地区に普及し、外国人の有段者は3409人に上っているという。

中国武術大会で1975年から1979年まで5年連続の優勝という快挙を成し遂げ、1982年に映画「少林寺」で主役を演じてカンフー俳優としてデビューした“李連傑(ジェット・リー)”は、太極拳が徐暁冬の挑戦を受けて再戦することを支持すると表明した。

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靖国神社

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本日靖国神社に行ってきました。
毎月1回参拝しています。
5/21~25までハワイですのでテストです。
実は本日麹町まで戸嶋靖昌の絵を
見に行った時にスマホを落とし、
液晶画面にヒビが入りましたので。

『プーチン大統領が「シンゾー」と言わないワケ プーチン・安倍会談に垣間見えたすれ違い』(5/12日経ビジネスオンライン 池田元博)について

北朝鮮がまたもや弾道ミサイルを発射しました。高度2000Kmを越え、30分飛翔後、日本海に落下とのこと。2/14TV「新報道2001」に出演していた香田洋二元司令官は「ICBMではないか」とのことです。トランプがどう出るかです。中国は結局北を抑えることはできないと思っているのでは。南も大統領府秘書室長には逮捕歴のあるガリガリの左翼の任鍾晳を選びました。機密は間違いなく、北へ漏れるでしょう。米軍の北への攻撃は、韓国軍無しで米軍と後方支援の自衛隊で行われる可能性が高まりました。勿論、北が南を攻撃して来れば韓国軍は、応戦するでしょうけど。戦時作戦統制権は米軍にありますので、国内での戦闘行為だけで、北への攻撃は認めないというか、韓国軍そのものが進撃する意欲もないのでは。韓国の国民情緒だけで物事がうまく行くと思うのは妄想に過ぎません。まあ、日本も憲法9条があれば戦争にはならないと思っている似非平和主義者がゴマンといますので、他国を笑えませんが。

北が何故この時期にミサイルを撃ち、しかも30分後に落下させたかです。ノルウエーで非公式ながら外交交渉もしているというのに。やはり、金正恩の面子の問題とクーデターを抑える狙いがあったのでは。また一帯一路の会議初日にぶつけたことで、習近平の面子も潰せました。飛行距離を伸ばせば、米国からICBMと思われるので、瀬戸際でわざと自爆させたと思っています。米軍の攻撃の大義名分を逸らす形です。

さて、本記事ですが、プーチンも相当国内の圧力が強くなっている感じがします。次の大統領選が来年の3月にはあります。メドヴェージェフの腐敗の問題が暴露され、「上はうまいことやっている」と国民に思わせたのは失点です。大統領選までは自分の失点に繋がることは避けるでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=_eAkoZPVSQw

トランプも議会やメデイアの牽制で、ロシアと近づき、中国と対峙することがしにくい状況です。ユダヤ・グローバリストの力が相当強いという事でしょう。金に汚いという意味で中国人と一緒です。クシュナーがいてもあれだけトランプの粗探しに狂奔するのですから。ヒラリー民主党程悪いのはいないのに頬かむりし続けます。その中で、西側でプーチンと話ができ、トランプにも繋げることができるのは安倍首相だけです。この利点を生かし、来年の大統領選挙後を見据えて、ロシアと交渉して貰えば良いのでは。

記事

モスクワで4月27日に開かれた日ロ首脳会談。プーチン大統領と安倍晋三首相による会談後の共同記者発表は、質問を一切受け付けない形式だった。それでも互いの思惑の違いを垣間見させるものがあった。

4月27日、モスクワで開かれたプーチン大統領・安倍首相の会談ではすれ違いが垣間見えた(写真:ロイター/アフロ)

「尊敬する皆さん!尊敬する首相! 日本の首相である安倍晋三氏との会談は建設的な雰囲気で行われました」――。

ホスト側として最初に発言したプーチン大統領はまず、昨年12月の大統訪日以降の日ロ協力の現状に言及。今年になって両国間の貿易額が増え、2015年は13億ドルだった日本の対ロ投資額も昨年は17億ドルに増加したと、具体的数字も示しながら成果を強調した。

今回の会談結果に関しても、エネルギーや原子力協力、文化交流など経済・人道分野の話を延々と続けた後、ようやく北方領土での共同経済活動や元住民の墓参などに触れ、続いて緊迫する北朝鮮情勢に言及した。

こうした話の順序もさることながら、プーチン大統領の記者発表を聞いていて、気になったことがある。「安倍さん」「安倍首相」「首相さん」と、安倍首相について終始、敬称で通したことだ。結局、大統領の口からは「シンゾー」というファーストネームは聞かれなかった。

対する安倍首相の記者発表はどうか。最初は「プーチン大統領」と呼んでいたが、途中から「ウラジーミル」とファーストネームを連呼するようになった。

特に日ロの平和条約問題に触れたくだりでは熱が入った。「双方の努力の向こうに、私とウラジーミルがめざす平和条約がある」「ウラジーミルと手を携えて、平和条約締結への道を2人で進んでいきたい」といった具合だ。

安倍首相とプーチン大統領の会談は、第1次安倍内閣の時代も含めると通算で17回目。首相からすれば個人的な関係づくりも進み、互いにファーストネームで呼び合える深い仲になったと強調したかったのだろう。だが、プーチン大統領の冷静な対応ぶりをみると、両首脳の温度差はやはり否めない。

「北方領土は渡したくない」というプーチン大統領の本音

プーチン大統領も確かに、平和条約問題に一切触れなかったわけではない。「日本はロシアにとって重要で有望なパートナーだ」とし、「両国間の最も難しい問題」も解決する用意があると述べた。

さらに平和条約問題の解決策は日ロの「戦略的な利益に合致し、両国民に受け入れられる」ものでなければならないと指摘。この脈絡で北方領土での共同経済活動について話し合ったとし、共同経済活動や元島民らの墓参などの往来簡素化を進めることが「両国間の信頼と相互理解を醸成する」と強調した。

出所:日本外務省

プーチン氏は2000年の大統領就任以来、日ロの北方領土交渉を進めるための基軸として、1956年の日ソ共同宣言を掲げてきた。この宣言は北方4島のうち、歯舞、色丹両島を平和条約締結後に日本に引き渡すと規定している。大統領は「どのような条件で引き渡すかは明記されていない」としつつも、共同宣言そのものは両国議会が批准しており、「法的に有効だ」としていた。

ところが、今回のモスクワ会談後の共同記者発表では、プーチン大統領から日ソ共同宣言に関する言及は一切なかった。これまで持論としてきた共同宣言を封印し、北方領土での日ロ共同経済活動の成否で平和条約締結の有無を判断しようという思惑が明らかにうかがえる。

いくら国内で強大な権力を持つとはいえ、国民の批判が集まる領土の割譲はたとえ1ミリであってもしたくないというのがプーチン氏の本音だろう。

共同経済活動が失敗すれば北方領土交渉の継続は困難

大統領にとって幸いなことに、昨年12月の日本での首脳会談合意を受け、北方領土での共同経済活動をめぐる交渉が平和条約締結交渉とほぼ同義語になった。仮に共同経済活動がうまくいかなければ、「日本は北方領土に関心がない」とみなし、領土問題を含めた平和条約交渉を打ち切ることもできるわけだ。

実は、日ロは過去にも共同経済活動を議論した経緯がある。1998年11月、当時の小渕恵三首相がモスクワを訪問し、エリツィン大統領(当時)と会談した際に、北方領土での共同経済活動に関する委員会の設置で合意。それに基づいて実務レベルの日ロ協議が重ねられたが、結局は実現しないまま立ち消えとなった。

ただ、当時の小渕・エリツィン会談の合意には、共同経済活動委員会とともに国境画定に関する委員会の設置も盛り込んでいた。仮に共同経済活動が実現できなくても、領土交渉を継続できるように“保険”をかけていた。

昨年末の合意にはこうした“保険”がない。日本としては北方領土に関する日ロの「法的立場を害さない」という厳しい条件下で、共同経済活動を是が非でも実現せざるを得ない状況に追い込まれたともいえる。

こうした危機感もあってか、日本側が提案している事業案は北方4島周辺のクルーズ船観光など、法制度の問題を比較的クリアしやすいものを中心に並べている。まずはひとつでも何とか事業案を具体化し、平和条約締結交渉の追い風としたい考えだ。

ところがロシア側は、現地のインフラ整備に利用しようという思惑もあってか、島民の住宅改修、ホテル建設、発電所の設置など、「法的立場」の問題で難航しかねない事業案を数多く掲げる。もともと「(4島が)ロシアに帰属しているのだから、ロシアの法律で実施するのは当然だ」(ウシャコフ大統領補佐官)との意見が根強いことも背景にある。

日本側は5月中にも官民調査団を現地に派遣。日ロ双方はその上で共同事業案を固め、個別プロジェクトごとに法制度を含めて実現に向けた協議を進めていく予定だ。実際に具体化できれば人的交流や相互理解も進み、平和条約締結に向けた環境整備に寄与するだろうが、実現に向けた道のりは険しそうだ。

ロシアは安倍首相を「他の西側諸国の首脳とは違う」と評価

今回の安倍首相の訪ロは、日ロ関係とともに国際情勢をめぐる協議も焦点となった。特にシリアと北朝鮮情勢だ。

シリア情勢をめぐっては、ロシアが後ろ盾となっているアサド政権による化学兵器使用疑惑が浮上。米国のトランプ政権がアサド政権軍への巡航ミサイル攻撃に踏み切った。ロシアはこれに反発し、ただでさえ冷え込んでいる米ロ関係に大きな亀裂が走った。

核やミサイルの挑発を繰り返す北朝鮮に対しても、米トランプ政権は原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島付近に派遣するなど軍事的圧力を強めた。米国は中国にも北朝鮮への圧力を求め、中国は北朝鮮が核実験を強行すれば制裁を強めると警告したとされる。こうしたなか、貨客船「万景峰号」によるロ朝間の新定期航路の新設を決めるなど、国際社会の結束を乱すような動きをみせたのがロシアだ。

安倍政権はトランプ政権によるシリアや北朝鮮への対応を、いずれも積極的に支持した。逆にロシアとの立場の違いが浮き彫りになる中での訪ロだっただけに、注目されたわけだ。

今回の首脳会談の会談時間は合計で約3時間10分。このうち国際情勢は約90分間に及んだ最初の少人数会合で協議し、続く約50分間の通訳だけを交えた首脳間のサシの会談は、主に日ロの平和条約問題を話し合ったという。

安倍首相は会談後の共同記者発表で「北朝鮮に対して国連安全保障理事会決議を完全に順守し、さらなる挑発行為を自制するよう働きかけていくことで一致した」と表明した。ただ、「万景峰号」の問題には触れなかった。シリア情勢に関しても「ロシアの建設的な役割」への期待を示しただけだ。

安倍首相の訪ロ後、トランプ大統領とプーチン大統領による電話会談があり、首相が仲介したとの説もあるが定かではない。むしろ日本では国際情勢をめぐる日ロの立場の相違、とりわけ日本の米国寄りの姿勢が日ロの平和条約交渉の先行きをより一層暗くするとの観測が大勢だった。

ところが、これについてはロシア側の見方は異なる。ロシアの政権与党「統一ロシア」の幹部の一人は「安倍首相は他の西側の多くの首脳と違い、独自の外交政策をみせている」と指摘。米ロ関係が冷え込むなかで、あえて訪ロした首相の姿勢を評価した。

カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長も「たとえ米ロ関係が対立したとしても、日本との関係はより良くなる」と強調。ウクライナ危機を受けた米欧の対ロ経済制裁が続く見通しのなか、日本との投資・技術協力をロシア経済の再生にいかすべきだと主張する。

たとえ各回の成果が乏しくても、安倍首相がプーチン大統領と頻繁に会談を重ねていくことは、日ロ関係の将来に寄与する可能性があることも留意しておくべきなのだろう。

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『鄧小平一族の企業「安邦」、急ブレーキの意味 習近平政権の干渉は、金融自由化とは異なる方向へ』(5/10日経ビジネスオンライン 福島香織)について

5/12新唐人電視台の『台媒:朝鮮握中共太多把柄 金正恩才是最危險爆料人=台湾メデイア:朝鮮は中共の多くの弱みを握っている。金正恩は秘密を暴露するには最も危険な人物である。』の中に、「台灣《自由時報》5月10日發表署名評論文章表示,當前中共顯然還不想與朝鮮〝決裂〞,是因為中共還有許多把柄在朝鮮當局手裡,〝一旦被爆出,也是一場核爆,可能比朝鮮的核爆還厲害。〞

文章分析指稱,早在三、四十年以前,在中共的默許下,澳門成為了朝鮮間諜實施跨國謀殺、綁票等惡行的基地。震驚世界的朝鮮間諜綁架韓國藝人案、仰光爆炸案、中東韓國客機爆炸案、印製假美鈔以及洗黑錢等等案件,中共都是直接或間接的〝幫凶〞甚至炸韓國客機的金賢姬就是在中國培訓的。

此外,在近十幾年間的所謂〝六方會談〞期間,中共和朝鮮當局暗中勾結,〝耍弄美國〞。

文章指,上述內幕都是握在朝鮮當局手中的〝把柄〞,一旦被金正恩抖出來,中共的〝恐怖份子面目〞就將〝無處藏身〞。

5/10台湾の「自由時報」は署名記事を発表、中共は当面朝鮮と決裂したいと思っていないのは明らかとした。これは朝鮮当局に多くの弱みを握られているためで、“暴露されれば、核爆弾のようになる。恐らく朝鮮の持つ本物の核爆弾より威力がある”と。

その文章曰く「3,40年前に中共の黙認の下で、マカオを朝鮮のスパイ基地として、外国での謀殺や拉致を実施してきた。世界を驚かせた韓国の映画監督や女優を拉致、ラングーン爆破事件、中東での大韓航空機爆破事件、偽$印刷とマネロン等の事件について中共は直接・間接的に支援し、あまつさえ大韓航空機爆破事件の金賢姫は中国で訓練を受けた。

この他に、この10数年間の6者会談で、中共と朝鮮当局は手を結び、「米国を弄んでやろう」としてきた。此の内幕は、朝鮮当局に弱みを握られているため、金正恩が一旦ばらせば、中共の「テロリスト」の姿は隠すところがなくなる。」と。

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2017/05/12/a1324364.html

北を動かして世界に悪いことをしてきたのが、中共という所でしょう。マッチポンプでマッチを北が、ポンプを中国が果たしてきたという所です。まあ、同じ悪辣な共産主義体制ですから。米国もグローバリストが世界的に「民主主義」を広めることを大義名分として、政権転覆の策動をして来ました。トランプはそれに乗らないために、メデイアからバッシングされる訳です。当初トランプが考えていた米ロの関係改善が、メデイア・議会(特に野党・民主党)・法執行機関の反発により、うまく行きません。それに引き換え、米中間は貿易で中国に点数を稼がせています。グローバリストの思惑通りになっている気がします。「一帯一路」は経済面の中国の影響力拡大もさることながら、軍事的な意味合いも大きいと考えます。海上封鎖されても、石油を陸上から運べるようにとか、兵士の大量派遣とか、金やモノを支援して、諸外国に言う事を聞かせるようにすることが狙いです。早く中国のバブルがはじけることを願っています。

本記事は、中共の権力闘争の一コマです。習派VS江派で、秋の党大会までに安邦の呉小暉は解任・逮捕されるのでは。習は鄧小平越えを狙っているとの福島氏の見立てです。鄧は社会主義市場経済を導入し、経済強国にしたものの、貧富の格差が米国以上に拡大しました。結果の平等を保証するシステムなのに、おかしいでしょう。政治的には三権分立がない、民族的にはバクチ好き、長い腐敗の伝統からこうなることは予測できたはずです。でも習が高潔であるはずがありません。中国人である限り、必ず賄賂は付いて回ります。大躍進・文革で自国民を大虐殺した毛沢東(ヒットラー、スターリン以上に殺戮)に憧れているようですから、彼が力を持てばそのような独裁者になることは見えています。米国、特にグローバリストに反対のトランプが良く中国を見て、対応することを望んでいます。

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急成長してきた安邦保険集団。習近平政権が急ブレーキをかける意図とは(写真:AP/アフロ)

中国の代表的“紅色企業”安邦保険集団が揺れている。

紅色企業とは、革命に参加した主要ファミリーが経営や資本にかかわっている企業を指すが、この企業のCEOは鄧小平の孫娘・鄧卓芮の婿・呉小暉。つまり、鄧小平一族の企業という、中国最強と見られる免罪符を持っていた。しかも、中国建国十大元帥のひとり陳毅の息子・陳小魯も董事を務めている。鄧小平と陳毅という最強の革命ファミリーの名前を背景に、呉小暉は“中国のバフェット”と呼ばれる手腕で一民間企業・安邦集団を巨大化し、中国2位の保険収入を誇るまでに成長させた。

だが、この安邦の躍進に習近平がブレーキをかけている。その意図はどこにあるのだろうか。

保監会が処罰、財新が暗部報道

5月5日午後、中国保険監督管理委員会(保監会)は安邦保険集団傘下の安邦人寿保険株式会社に対して、三カ月の新規製品の発売禁止処分を決定した。これは安邦人寿の発売する安享5号というハイリスクユニバーサルライフ保険が、規制・監督を逃れて市場秩序を乱しているなど、二種類の保険商品に違反が見られたことに対する処罰ということになっている。

その前の4月、安邦による米保険会社のフィデリティ・ギャランティ生命買収などに保監会がストップをかけた。香港紙蘋果日報によれば、安邦の海外資産比率が高すぎるのが理由という。キャピタルフライトを食い止めるために、中国当局が海外投資を抑制しているにもかかわらず、安邦が言うことを聞かないので、本格的に圧力をかけ始めた、と見られている。

一方、この動きに呼応するように中国の国際経済情報紙・財新週刊が安邦保険の暗部に関するキャンペーン報道を張ったが、呉小暉はこの報道が事実無根、名誉棄損として財新傳媒集団の主筆で著名女性ジャーナリスト、胡舒立に対して訴訟を起こすと言い始めている。

安邦といえば、2014年、名門・ウォールドーフ・アストリア・ニューヨークホテルを19.5億ドルで爆買いしたことで、世界の注目を浴びるようになった。たしか、2016年も、米プライベートエクィティファンドのブラックストーンの所有するストラジック・ホテルズ・アンド・リゾーツ株の買収に合意している。

そのほかにもスターウッドホテルズ・アンド・リゾーツワールドワイドをめぐるマリオットとの買収合戦(頓挫)や、ブラックストーンが所有する日本不動産の買収交渉(決裂)や、米大統領トランプの娘婿クシュナーのファミリー企業とのマンハッタンオフィスタワー「666フィフス・アベニュー」の再開発計画(中止)など、“海外の爆買い”のニュースが話題となった。その勢いは、向かうところ敵なし、安邦を誰も止められない、といわんばかりのものだったが、今年春になって急ブレーキがかかった。

3回の結婚で駆け上がる

安邦とはどんな会社なのか。

設立は2004年。保険金融業界においては“新兵”と呼ばれた安邦保険が設立わずか13年で総資産1.9兆元の帝国となった最大の理由は、設立者メンバーでCEOの呉小暉が、2003年、鄧小平次女・鄧楠の娘、鄧卓芮のハートを射止めたことが大きいといわれている。

ちなみに彼女は三番目の妻で、すでに離婚している。その前の妻は、浙江省副省長、杭州市長の娘。その前の最初の妻は地元官僚の娘。1966年生まれ、浙江省の農民出身の呉小暉が、こうした紅色ファミリーの仲間入りができたのは、彼が有能であったことと同時に、相当の色男で、婚姻のチャンスをフルに出世に利用してきたからだといえる。

県の工商局で働いたのち、時の下海ブーム(公務員から民営企業家になる改革開放時のブーム)に乗って、自動車セールスの仕事を開始。浙江省で上海汽車の自動車のセールスで業績を上げ、上海汽車最大の代理店に成長させた。また陳毅の息子、陳小魯が運営する上海のインフラ建設投資会社で働いていた縁で、鄧卓芮を紹介され彼女と結婚、その翌年に陳ファミリー、鄧ファミリーの後押しを受けて安邦保険を設立したわけだ。一部では朱鎔基の息子の朱雲来も、江沢民の息子の江綿恒も、董事の席に名を連ねていたという。

そういう“訳あり”の企業だから、これまでも強引な手法でビジネスを展開しても、許されてきた。

たとえば、2015年暮れに明らかになった、広東省の不動産最大手・万科集団に対する広東省のコングロマリット・宝能投資集団による敵対的買収、俗にいう「万宝の戦」のとき、ホワイトナイトとして万科株を買ったのが安邦だった。だが、この買収後の安邦の帳簿上の赤字は20億元以上と囁かれた。つまり、帳簿上、明らかに無理のあるような買収も、意に介さぬ企業ということだ。そういう無茶ができるのも鄧小平ファミリー企業という看板のおかげとも言える。

そもそも安邦の扱う保険は、短い期間で高利回りを提供するハイリスク商品が主流。一方、資産運用は流動性の低い長期株式投資が中心で、もし、信用不安などにより保険払い戻しラッシュが起きたら、すぐに資金ショートするリスクが潜在している、とは言われていた。安邦の信用は、鄧小平と陳毅のファミリーがかかわっている、という看板だけに担保されているとも言える。

大掃除の狼煙も意に介さず

習近平政権が4月9日、保監会トップの項俊波を重大な規律違反で取調べ中と発表したことは、いよいよ、最大の利権の温床となっている金融・保険業界の大掃除に取り掛かるぞという狼煙とも受け取られている。

だが金融・保険業界の最大の問題は、太子党、紅二代と呼ばれる、革命英雄一族の利権が絡んでいることだ。習近平の反腐敗キャンペーンはなんのかんの言っても太子党仲間を避けてきた。習近平自身が習仲勲の息子、堂々たる紅二代であり、姉をはじめ彼のファミリーも、ごく最近までこうした利権の恩恵に思いっきり預かってきたのだ。

しかし、多くの紅二代ファミリーは、習近平の反腐敗キャンペーンがいつか紅二代、太子党にも向くやも知れぬと感じて、徐々に株を譲渡したり、撤退を始めている。また、習近平政権が必死でキャピタルフライトを制御しようとしているのを受けて、多少とも海外買収を自粛しようという動きになってきた。太子党たちの海外への資金移動や資金洗浄を請け負ってきた香港の大富豪が謎の失踪を遂げた影響も大きい。

ところが、一部企業は、習近平の指導など意に介しない。そのひとつが安邦であった。

この安邦をターゲットにする裏の意味として、可能性は二つあると思われる。

鄧小平越え、上海利権塗り替えの野望

一つは、鄧小平や陳毅がなんぼのもんじゃい、といわんばかりの習近平の強気を示した、ということ。呉小暉は2015年の段階で鄧卓芮と夫婦関係を解消しているので、鄧家とは無関係となっているとはいえ、ごく最近まで安邦の信用の担保は鄧ファミリーだったのだ。鄧小平ファミリー企業ですら、習近平はヤルときはヤルぞ、という姿勢を見せれば、いまだ資産の逃亡をあの手この手で講じている他の太子党および紅色企業への威嚇は十分すぎるほどだろう。

なにより、習近平は密かに自分が鄧小平を超えるということを目標にしているフシがある。自分を“核心”と呼ばせるキャンペーンを仕掛けたことも、鄧小平が作り上げた共産党秩序を破壊しようとしている点も、毛沢東リスペクトを過剰に行うことも、香港一国二制度に対する暴力的な揺さぶりも、どこか鄧小平への対抗意識を感じさせる、というのは気のせいだろうか。

もう一つは、権力闘争の文脈で見る安邦叩きというセンである。

安邦の設立には、江沢民の利権企業であった上海汽車とのかかわりがあった。そのことからもわかるように、上海閥とのつながりはもともと深い。その関係で、曾慶紅とも深い関係があると言われている。2015年の財新や南方週末の記事によれば、2010年に安邦が成都農商銀行へ56億元を出資した背景に、当時の成都市書記・李春城が絡んでいることをほのめかしている。李春城は周永康の腹心であり、すでに失脚しているが、曾慶紅を頂点とする四川閥に含まれている。

そもそも金融・保険業界は上海閥勢力が幅を利かせている。90年代から金融都市として発展を遂げてきた上海出身の官僚がなんのかんの言っても経験値もあって優秀である。大卒エリート共産党官僚の集団である共青団もその優秀さゆえ、この業界では幅を利かせている。こうした上海閥系、共青団系の利権を習近平派に塗り替えていこうという動きはかねてからあるのだが、こうした大掃除を速やかにするためには、彼らのバックとなっている太子党、紅二代の有力者には速やかに退いてもらわなくてはならない。

思い出すのが、2015年に民生銀行の若き頭取、共青団のホープの毛暁峰が失脚した事件。これを機に安邦は民生銀行の株を20%近く手に入れた。じつは、このとき、安邦の内幕暴露バッシング報道が、南方週末などによってかなり力を入れて展開された。だが、この時点では、呉小暉をつぶすことはできなかった。勘ぐれば、このとき安邦の整理もするつもりだったが、当時はまだ鄧小平ファミリーによる庇護の力が強かったので、呉小暉は生き残った。

王岐山の指示? さらに混沌

だが、やがて安邦も粛清の対象になるという警告は十分に出されていた。鄧小平や陳希、朱鎔基の一族らは、急いで安邦の持ち株を整理し、あるいは離婚をし、沈む予定の船から降りた。習近平は一応身内的な紅二代たちが、船を下りたのを見届けて、安邦叩きを始めたとも言える。

在米亡命中国人政治評論家の陳破空は、財新の執拗なまでの安邦叩き報道の背景には、王岐山との権力闘争も絡んでいるとの見方をラジオフリーアジアで語っている。

財新の胡舒立は王岐山との関係が深いといわれる。郭文貴事件報道でも言えるのだが、財新のバッシング記事は往々にして王岐山の代理権力闘争的な面も見られる。

今回、安邦集団(呉小暉)が財新(胡舒立)に宛てた抗議の手紙にはこうある。

「我々はすでにあなたと財新に対し訴訟を起こすことを決定した。胡舒立女士は、利益集団のために事実を捏造し世論を間違って誘導することをやめるべきだ。あなた方がさらに、“人を探して圧力をかけてくる”ようなことをしないように願う」

人を探して圧力をかける、の人とは王岐山を指していることは、誰もが考えることである。

暗にこの報道が王岐山の指示であることをほのめかせているのだ、と呉小暉は訴えているのである。

ならば、王岐山と安邦にどういった利害対立があるのか。王岐山は郭文貴の告発によって、まさに海南航空集団との癒着疑惑が表面化しつつある。そこから、国内外の目をそらすために安邦を攻撃しているのか。あるいはもっと、深い理由があるのか。

いずれにしても、習近平政権の安邦叩きの目的が、腐敗を厳罰に処すとか、金融・保険業界の権力との癒着を断つとか、金融引き締めでバブル退治とか、そういう単純な話ではないと思う。そして、この金融・保険業界における反腐敗キャンペーン強化によって、業界の濁りが消えて、外国の投資も増えて、金融改革が進み、活性化するのか、と言うと当然、そうもならないだろう。

要するに共産党の指導という名の、習近平政権の干渉がきつくなり、本来向かうべき金融の自由化と真逆の方向へ舵を切っているのだから。

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『日本は北朝鮮の特殊部隊やテロリストの上陸を阻止できるのか』(5/9ZAKZAK)について

トランプも北朝鮮とノルウエーで非公式協議をしたり、「金正恩と会っても良い」と言ってみたりと、外交で問題解決しても良いとのスタンスも見せています。一方、空母ロナルド・レーガンを横須賀基地から出して硫黄島で訓練するなど軍事的圧力もかけ続けるなど、硬軟両様です。

トランプは、コミーFBI長官を解任し、昨年大統領選で不法移民の不正投票の調査への大統領令にも署名しました。FBI長官の更迭は、ヒラリーのメールサーバー事件(国家機密を外国に売り渡し、クリントン財団に寄付させるため)やベンガジ事件(ISへの武器引き渡しの情報が漏洩し、リビア大使が暗殺される)を炙りだす可能性があります。不法移民の不正投票は民主党の伝統的な手段で、今後これが使えないようにすることが共和党の勝利への道です。本当に民主党と言うのは日米ともにヒドイ政党です。日本は民進党と名前を変えましたが。次の選挙では社民党と同じく消滅するかもしれませんが。

北朝鮮のテロリストだけでなく、日本に巣食う朝鮮総連や民潭(ここにも北の工作員が潜り込んでいると思われます)もテロを起こす可能性があります。自衛隊や警察で鎮圧できれば良いでしょうけど、手薄になる可能性もあります。民間人を監視の目として使うようにシステム化しておくことが良いのでは。スマホや携帯の写真が地元警察にアップでき、それで警察が警官を差配、足りなければ自衛隊の出動も要請するような仕組みを考えて行かねば。テロリストの武器が何かによっても一般国民が撮影できるかという問題はあります。また、毒ガス散布の時に警官用のガスマスクと化学知識は必要と思われますが、大丈夫かどうかです。平和に狎れ、ずっと危機を考えて来なかったためやることは沢山あります。与野党で協力してと言ったって、「共謀罪」辺りで審議拒否するくらいですので(野党は慌てて別案を出すとのこと。妨害以外の何物でもない)。こんな政治家を当選させる国民が悪いでしょう。立法府は法律を作るのが仕事です。妨害して法律を作らせないのであれば職務怠慢で賃金カットしろと言いたい。

今の所、米朝戦争にまで行きませんが、猶予は秋の共産党人事までと思っています。その間に①金正恩が亡命②核・ICBM放棄が実現すれば戦争は起きないでしょうけど、確率はかなり低いと考えます。南の文大統領の北ヘのアプローチの仕方も変数の一つとなります。渡邉哲也氏のfacebookによれば「制裁破りを韓国がすれば米国の金融制裁を受け、$が使えなくなる」とのこと。日本企業もウオンを貰っても仕方ないでしょう。早々と韓国から撤退すべきです。

記事のように、自衛隊のテロへ見積りが甘い可能性もあります。敵国・中国の揺さぶりも考えられますので、自衛隊員の配置には目配りが必要とは思いますが、精度を上げて行ってほしいです。

記事

核実験の継続を示唆するなど、予断を許さぬ北朝鮮情勢。日本政府はミサイル攻撃時に国民をいかに守るのかといった防衛策や、有事の際に日本に大量流入するかもしれない難民をどうやって保護するのかといった対応策を急ぎ検討しているという。  だが、仮に有事につけ込んで北朝鮮国内で訓練を積んだ軍の特殊部隊が日本への侵入を企てたら、果たして上陸を「阻止」することなどできるのだろうか--。朝鮮半島問題研究家で近著に『北朝鮮恐るべき特殊機関』がある宮田敦司氏がシミュレーションする。 * * *  安倍晋三首相は4月17日に開かれた衆院決算行政監視委員会で、北朝鮮難民が大量に日本へ漂着した際に、工作員や特殊部隊員が混ざっている可能性について触れている。  〈日本政府は最大数万人の難民が船で日本海を渡ってくると想定しており、日本海側に数カ所の拠点となる港を選定し、その拠点港において身元や所持品を調べ、北朝鮮の工作員やテロリストの入国を防ぐ。また、北朝鮮が韓国を攻撃した場合は韓国からも難民が来ると想定し、臨時収容施設の設置計画を検討するとしている〉(毎日新聞・電子版/2017年4月28日)  つまり、特殊部隊員が難民を装って日本へ侵入する可能性があるのだ。政府は「工作員やテロリストの入国を防ぐ」としている。テロリストとは人民軍偵察総局に所属する特殊部隊員を指していると思われるのだが、どのように「入国を防ぐ」のか筆者には想像できない。  工作員やテロリストが、武器や爆発物などを所持したまま検査を受けることは考えにくいし、そもそも、工作員やテロリストが民間人と一緒に検査を受けることはないだろう。最後まで難民を装って侵入するつもりならともかく、漂着した海岸に上陸する可能性が高いからだ。

2003年から2005年にかけて、防衛庁(当時)と陸上幕僚監部が、北朝鮮軍の特殊部隊員が侵入した場合の対応について検討したことがある。現在の防衛省が新たな対応策を策定したという報道がないため、おそらくこの計画は現在も踏襲されていると思われる。  防衛庁は、日本海沿岸に高速艇や潜水艇で侵入を試みる特殊部隊に対し、海上自衛隊が80パーセントを撃退、陸上自衛隊が沿岸部で残る勢力の4分の3を撃退。残り5パーセントが内陸部への侵入に成功すると想定している。  侵入する人数については、防衛庁は数百人、陸上幕僚監部は800~2500人と想定している。  防衛庁はもともと数千人の特殊部隊員による侵攻を想定していたのだが、米軍が「多くても数百人」と主張したため、日本側が歩み寄って「数千人」を「数百人」に変更し、基本的に自衛隊が単独で対処することにしたという経緯がある。  ◆特殊部隊の捜索  特殊部隊員が内陸部に侵入した場合、陸自は6000人で対応するとしている。その内訳は、上陸地点を囲む第一次包囲環(網)に3000人。第一次包囲網の内側に普通科、戦車部隊など約1000人が二次包囲網を形成して追い詰める。このほか、包囲する部隊の戦闘を後方で支援する施設、対空防護部隊などに2000人を配備するというものである。  本稿では防衛庁が想定している「十数人」というのを12人と仮定して計算する。偵察総局の特殊部隊員の最小行動単位は3人といわれているため、上陸した兵員が12人の場合、4組のグループに分かれる可能性が高い。このため、4組が侵入したとするとして計算すると、捜索に2万4000人(6000人×4組)が必要となる。

◆帳尻合わせの机上の空論  防衛庁の想定では、海自が80パーセントを「撃退」するとしているが、日本へ接近する北朝鮮海軍の艦艇の数がわからないうえ、漁船で上陸を図るだろうから、「80パーセント」とする根拠となる数字が分からない。  また、「撃退」の方法も分からない。「撃沈」するのは簡単だが「撃退」するのは相当難しい。体当たりして妨害するのだろうか。  それに、漁船をいきなり撃沈するわけにはいかないだろうから、停船させて「護衛艦付き立入検査隊」が船内を調べることになる。しかし、もしこの漁船に特殊部隊員が乗り組んでいたら、海自は死傷者の発生を覚悟しなければならない。  陸自も沿岸部で残る勢力の4分の3を「撃退」するとしているが、海自と同様にその手段がわからない。海岸から威嚇射撃しても一時的に沖合に逃げるだけだろう。  それに、「撃退」したからといって、素直に北朝鮮へ戻るという保証はない。燃料が続く限り、何度でも上陸を試みるだろう。自衛隊に妨害されたからといって、おめおめと北朝鮮へ戻ったら、どんな処罰が待っているかわからない。  防衛庁が参考にしたという韓国での上陸事件「江陵潜水艦座礁事件」では、座礁した潜水艦の乗組員および工作員計26人に対し、韓国陸軍は東京都の3倍の面積を約50日間にわたり1日最大6万人を投入して掃討作戦を実施した(実際には、潜水艦乗組員は上陸直後に集団自殺したため、捜索対象は工作員3~4人。最終的に1人を発見できないまま捜索終了)。  東京都の3倍の面積を捜索した理由は、偵察局所属の工作員が山岳地帯を一日で移動できる距離を考慮した結果である。  このような大規模な捜索が行われた「江陵潜水艦座礁事件」の、どの部分を参考にしたら6000人という数字になるのか、その根拠が全く分からない。韓国と同様に6万人というのなら理解できるのだが。

◆通じない朝鮮語  上陸した特殊部隊員との戦闘の主力は、陸自の中央即応集団(約4500人)となるだろう。陸自は小平学校で韓国語の教育を行っているため、中央即応集団の一部の隊員も韓国語の教育を受けているだろう。しかし、小平学校の教育内容は「韓国語の標準語」であるため、最前線で韓国語が通じることはないだろう。  北朝鮮特殊部隊員との戦闘の主力は、陸自の特殊作戦群(約300人)と西部方面普通科連隊(約660人)となるだろう。特殊作戦群の一部の隊員は韓国語の教育を受けている。しかし、最前線で韓国語が通じることはないだろう。  自衛隊が不審者を発見した場合、その人物が北朝鮮の特殊部隊員である可能性があったとしても、いきなり射殺するわけにはいかない。特殊部隊は韓国へ侵入する場合は、民間人を装うか、韓国軍を装うことになっている。このため、日本でも民間人を装って行動するだろう。  相手が特殊部隊員であることを確認するために、自衛隊は日本語と韓国語で「誰何(すいか)」することになる。しかし、相手が朝鮮語で返答してきたら、おそらく意味が分からないだろう。  最前線では怒号のようなやり取りになるだろうから、特殊作戦群の通訳を担当する隊員はかなり高度な語学力が必要となる。  ◆“非現実的”な想定  防衛庁の計画は、特殊部隊の能力を十分に考慮しているとは思えず、非現実的であると言わざるを得ない。陸上幕僚監部が出した数字のほうが現実的だ。  陸自に有事に迅速に対処するための「中央即応集団」、海自に特殊部隊である「特別警備隊」が創設されたことで、自衛隊は将来起こりうる事態に対処することが可能となりつつある。これらの部隊の訓練は厳しく、隊員個人の能力も高い。アメリカ軍の特殊部隊とは規模が違うため単純に比較することはできないが、個々の隊員の能力はアメリカ軍に匹敵しているだろう。  しかし、隊員の能力がいくら高くても、数字を合わせるだけでは、北朝鮮の特殊部隊の上陸を阻止できないし、上陸した部隊を壊滅させることもできない。防衛庁は侵入する特殊部隊員の人数を「数千人」から「数百人」に1ケタ減らしているわけだが、政治的な理由で簡単に減らしていいのだろうか?  これまでは現場(制服組)の意見を無視した、政治家や官僚主導による数字の帳尻合わせで良かったのかもしれないが、そろそろ現実を直視しなければならない時期に入っているのではないだろうか。  ここに書いたことが、筆者の杞憂であることを願いたい。  ●みやた・あつし/1969年愛知県生まれ。朝鮮半島問題研究家。1987年航空自衛隊入隊。陸上自衛隊調査学校修了。北朝鮮を担当。2005年航空自衛隊退職。2008年日本大学大学院総合社会情報研究科博士後期課程修了。近刊に『北朝鮮恐るべき特殊機関』(潮書房光人社)がある。

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『中国の「ブタ少将」が突然持ち上げられ始めた不思議 祖父は毛沢東、ネタ将軍をもう笑ってはいけない』(5/8JBプレス 安田峰敏)について

毛新宇はすっとぼけた男との印象を受けます。それが人気キャラになっているのに、共産党は無理に神格化するつもりでしょうか。無粋の一言です。共産党は経済がダメになりそうなので強権を以て人民を弾圧するつもりです。「人民的名义=人民の名に於いて」というTVドラマが3月~4月にかけて放映されて人気を博したとのこと。何となく王岐山のやっていることをプロパガンダのために創作劇として放映したとしか思えません。ただ「人民的名义」は最高検察庁が作ったので、王岐山は不満に思い、中央紀律検査委員会でTVドラマ「脊梁=背骨」というのを対抗して作ったとのこと。権力争いの一部でしょう。

中共は「五毛」や「スパイ密告への奨励金制度」等、市民監視を強化しています。裏を返せば、習がそれだけ焦りを感じているという事でしょうけど。日本の左翼メデイアは共産党の危険性については一切報道しませんが。

本記事にありますように、中国と北朝鮮が戦争になった場合、或は米国が北朝鮮を攻撃するときに備えて、毛新宇を神格化して、「あの当時は中国が参戦したので今の北朝鮮があるのに、恩を忘れて」と国民に刷り込むためなのでしょう。共産主義は文化・芸術・歴史・経済・政治、総ての分野においてプロパガンダします。嘘が多く含まれるため、価値のないものになります。プロレタリア文学や彫刻などその最たるものでしょう。

記事

さんざんネタにされてきた毛沢東の孫はなぜいきなり賞賛され始めたのか?

中国に『環球人物(グローバル・ピープル)』という、グローバルな人物を特集するコンセプトの国際時事誌がある。登場するのは、トランプ、朴槿恵、カストロといった各国の元首や、孫文や溥儀などの歴史的人物が多い。

ただ、『環球人物』は党中央機関紙『人民日報』の傘下メディアだけに、国家元首である習近平がしばしば表紙を飾るほか、国策ドラマの主役俳優などが登場することも少なくない。特に中国国内の存命人物が特集される場合は、党中央から政治的に正しいと認定され、政策的に後押しをしたいという意図を反映している場合が多いようだ。

今年4月、そんな『環球人物』誌の表紙を意外な人物が飾った(下の写真)。毛新宇(もうしんう)、すなわち新中国建国の父である毛沢東の男系唯一の孫である。

『環球人物』。毛新宇が登場したのは20174月1日号(右)である。

(*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図版をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49937

党中央党校の修士号と中国軍事科学院の博士号を持ち、2008年には全国政治協商会議(日本の参議院に相当)の議員に就任、2010年には40歳にして当時の中国で最も若い少将に任官するという、華やかな政治経歴と軍歴で知られる「エリート将官」だ。

いじられ続けてきた「ブタ少将」

もっとも、この毛新宇は従来、中国のネット世論上で有数の愛されキャラとして知られてきた。理由は彼の華やかな経歴ゆえではない。ストイックな革命戦士の子孫にしてはユーモラスすぎる外見と、メディアの取材を受けた際に発する独特の“カンピューター”発言の数々に加えて、書法家としても知られた毛沢東の子孫とは思えないほど個性的な文字を書く点がネタとしてバカ受けしていたためである。

中国のネット上において、毛新宇はしばしばネタにされてきた。

有名なところでは、2010年12月にフェニックステレビのインタビューを受けた際の以下の動画が秀逸だ。

https://youtu.be/lvNHaizhkpk

当時、私は毛新宇ウォッチャーの1人としてこのインタビュー内容を意訳したことがあるので、一部を以下に紹介しておこう。

*  *  *  *

インタビュアー:現代社会にはさまざまな問題があります。特に20~30代の若者が非常に関心を持っている、例えば不動産価格の高騰といった問題についてですね、閣下は平時よりご関心をお持ちになっておられるのでしょうか。

毛新宇:あーん、うーむ・・・。不動産となあ・・・。いや、実のところを言うと、自分はこの手の話にはあんまり詳しくないのだなあ。わははは。

インタビュアー:そうですか。

毛新宇:まあ不動産について言うなら、こういうことは重視するべきではないこともないのではないかな。うん。

インタビュアー:あの、『カタツムリの家』という中国の人気ドラマをご覧になったことはございますか?

毛新宇:あーん、見たことないなあ。

インタビュアー:はあ。

毛新宇:あーん、しかしだな、不動産の問題とはいわゆる1つの現実的な問題だと思うし、いわゆる1つの気づきのようなものを自分に与えてくれるなあ。自分はだね、教育問題と生態環境問題と国防軍隊の建設問題と企業の発展問題に興味を持っているわけだが、今後は君が指摘してくれた例のあの、民生の方面についてもだね。実のところ自分はこの問題について強調しておきたいことがあるのだよ。ええと、民生の方面ではやはり医療問題を重視するべきだと思うね。医療と不動産こそ、民生の方面で特に重要な二大問題だ。

インタビュアー:ええ、最近は「房奴(=不動産奴隷)」という言葉も非常に流行していますね。

毛新宇:そうだなあ・・・。いわゆる1つの不動産、いわゆる1つの医療がだね、最も現実的で困ったことなのだよ。

インタビュアー:はあ。

毛新宇:特に両者を比べると、やっぱり医療の問題が重要なんだがね。だって、人間の健康に関わるからな。

インタビュアー:閣下は不動産については・・・。

毛新宇:医療の問題というのはいわゆる1つの、つまり薬代の問題だよ。薬ね。薬代の問題。まあ実のところ医療と教育の問題というのはだな、やはりいわゆる、1つのまあカネの問題からは不可分の問題だなあ。病院に行ってもカネがかかる。特に、やはり薬代の問題だ。

インタビュアー:はあ、ははは・・・。

*  *  *  *

彼の個性について大体ご理解をいただけたかと思う。ゆえに従来、中国のネット上では毛新宇をネタにした数多くのコラージュ画像や爆笑動画が数多く作られてきた。あだ名はずばり「ブタ少将」である。

上記のフェニックステレビのインタビュアーの姿勢からも分かるように、2010年代の前半ごろまではネット世論のみならず政府系の正規メディアですらも、彼を小馬鹿にしたような報じ方が目立った。

「エリート将官」毛新宇の華やかな学歴や肩書きは、彼の血筋に敬意を払った中国政府による一種の恩恵処置にすぎない。従来、毛新宇が本当にそのキャリアにふさわしい能力の持ち主だと思っていた中国人は、きっと彼本人をのぞけば世界に誰一人としていなかったことだろう。

表紙を飾りベタ褒めという異常事態

それゆえに、今年4月の『環球人物』で毛新宇が巻頭18ページを使って特集されて表紙を飾ったのは、通常ならば到底ありえない異常事態だった。しかも、記事の内容は一貫してベタ褒め調であり、従来のようなネタ扱いはまったくなされていない。例えば冒頭のリードは以下のような文面である。

“毛新宇は中国人民解放軍軍事科学院軍事戦略研究部の副部長であり、少将でもあり、また部隊を率いつつ科学研究をおこなう学者でもある。学術研究と政治協商会議の調査研究のことを語りだせば、彼は常に理路整然としており、話は滔々として絶えることがない。もちろん、記者と彼との何回かの面談では、話の内容は彼の学問と職務のみにとどまらず、彼の家庭と生活にも及んだ。話題が祖父(注.毛沢東)や両親・伯父(注.毛沢東の長男・毛岸英)のことに及ぶたび、彼の談話は深い情緒で満たされた”

本物の毛新宇が「常に理路整然と」話をする人物か否かは、先に引用したインタビュー内容を一見しただけでも明らかだろう。

おまけに毛新宇は、普段の『環球人物』で特集が組まれている「グローバル人材」の政治家や企業家と比べて、能力や政治的な地位・人望などのいずれの面も比較にすらならない。なんせ公人としての彼は、『爺爺激励我成長(祖父は私の成長を応援してくれた)』といった一連の毛沢東関連書籍の刊行や、同様の内容の講演ぐらいしか業績がないのだ。

『環球人物』の今回の特集がいかに不自然か、すでにおわかりいただけたかと思う。

突然の賞賛報道が意味するもの

今回、毛新宇がやたらに持ち上げられはじめた背景の1つは、やはり習近平体制の成立後の中国における、イデオロギー面での締め付けが関係していると思われる。

そもそも従来の中国における「毛新宇いじり」は、当局による言論統制環境がユルみ、婉曲な形さえ取ればネット世論やメディアが政府批判をかなり活発に行うことができた胡錦濤政権時代(2003~2013年)ならではの出来事だったと見ていい。だが、毛沢東の縁者をお笑いのネタにする行為は、ひいては中国共産党・人民解放軍の権威や紅二代(革命元勲の師弟、習近平もこれに属する)の名誉を傷付ける。ゆえに現在のおカタい習近平政権のもとでは、彼をバカにするのはまかりならぬというわけである。

また、記事からはもう1つの怪しいメッセージも読み取れなくはない。キーワードは朝鮮戦争だ。かつて中国は北朝鮮を援助して朝鮮戦争を戦い、中国国内でこの戦争は「抗美援朝戦争」(「美」はアメリカの意)と呼ばれている。毛沢東の長男で、毛新宇の伯父にあたる毛岸英がこの戦争に従軍・戦死したいわくつきの戦争でもある。

『環球人物』の毛新宇特集は、朝鮮戦争についてしばしば言及している。毛新宇が1986年に他の高級幹部の朝鮮戦争戦死者遺族とともに北朝鮮を初訪問したこと、このときと1990年に金日成に2度会ったこと、従来の訪朝経験は5回あって最新の訪朝は2010年であることなどを記しているほか、毛岸英の戦死についても再三紹介している。

北朝鮮の核危機の進展と中朝関係の悪化が伝えられる現在、わざわざ毛沢東の孫の口から、北朝鮮の建国時に中国が払った犠牲や中国側が売りつけた恩義、往年の金日成とのつながりについて詳しく語らせたのは、やはり中国当局による国内向けの一種のメッセージが含まれていると見るべきだろう。

5月3日、北朝鮮の朝鮮中央通信は「敵対勢力(=アメリカ)とぐるになっている」と中国を名指しで批判する異例の主張を行った。今後、中朝関係のさらなる悪化や局地的な軍事衝突が発生した場合に備えて、中国当局が「恩知らずの北朝鮮」という国内向けの宣伝を展開していく小さな布石の1つであったと考えてもいい。

従来は中国ネット世論の「楽しいおもちゃ」だったネタ将軍が、最近になってシャレにしづらい政治的な意味を担わされはじめたのは、個人的には実に世知辛い思いがする。面白がって大爆笑するしかないネタなのに「笑ってはいけない」。そんな近年の中国のイデオロギーの締め付けを反映する話だと言えるのではないだろうか。

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『米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国 同盟の義務を放擲したうえ逆恨み』、『文在寅大統領が誕生。米韓同盟は「持つ」のか 反米親北政権」が招く北東アジアの更なる混乱』 (5/9日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『中朝関係崩壊、正恩氏暴挙に北内乱寸前 懸念は韓国大統領選、米国重大決断も』(5/9ZAKZAK)について

人の不幸を願い、嘘に塗り固められた妄想に生きる民族が朝鮮人です。北も南も一緒です。韓国の大統領には予想通り文在寅が選ばれました。今後、米・中・北・南の思惑がどういう展開になるのかは全く分かりません。南の軍部の中には北に内通するのもおり、文に対し、クーデターを起こす力はないでしょう。日本の自衛隊は、民主主義的手続きを経て共産主義政権が樹立された場合(万が一にもないと思いますが、5/9参院・予算委で安倍首相は小池晃共産党書記局長に「小池さんが総理になったら、私が自衛隊は違憲ですかって訊くんですよ。その時違憲って答えたら、その瞬間、自衛隊は解散ですね」と煽ってましたが)、クーデターが起こせるのでしょうか?三島の死を無駄にはしてほしくありません。毛・スターリン・ポルポト等の共産主義国家の虐殺・粛清・密告等、人を人とも思わないことが為されてきた歴史を振り返れば、軍事国家が未だマシに見えます。共産主義が日本に蔓延るとすれば中共の侵略以外にはないと思いますが。国民が一致団結して中共の侵略を撥ね返さないと。

今後の展開で、北が核とICBMを諦められるのかどうか?金正恩がクーデターで打倒されるのかどうか?米軍が空爆でなく、斬首作戦を実行するのかどうか?ただ、文と南の軍部が、国連軍の作戦行動を洩らす可能性があります。裏切りには「お仕置き」が必要です。戦時作戦統制権を米軍が握っている間に、米軍単独で行動し、北の金正恩を排除すれば良いでしょう。在韓米軍と日本にミサイルが飛んでこなければ、ソウルが北のロケット砲で火の海になろうと知ったことではないと米国は思うのでは。ただ金正恩を排除しても北の軍が核とICBMを諦められるかどうかがポイントですが。

米朝戦争の影の主役と言われる中国がどう出てくるかも見物です。経済制裁で本当に石油を止められるかどうか?(青山繁晴氏の情報に依れば、中国はハリス司令官のクビを差し出さないと制裁しないと本気で言ってるそうです。http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2052.html)止めれば、金正恩は狂って中南海に核ミサイルをぶち込むかもしれません。米国にミサイルが届かなくとも、北京でしたらノドンかテポドンで充分届きます。中国は「なんちゃってミサイル防衛システム」しか持っていません。データリンクしていなければ、マッハで飛んでくるミサイルは撃ち落せません。報復で核ミサイルをお見舞いするだけです。でも北の核ミサイル発射後、瀋陽軍が北京に進軍するかもしれません。米国も中朝の争いには関与できないでしょう。秋の中国共産党大会と米軍の動きに注目しておきましょう。いろんな動きが出て来る筈です。でも日米の目標は、第一ステップは北の脅威の排除、第二は中国の脅威の排除です。

http://www.thutmosev.com/archives/67097279.html

鈴置記事

「北朝鮮の核問題を解決するためのすべての選択肢がテーブルの上にある」とする米国に対し、韓国は明確な支持を表明しない。ペンス副大統領と黄教安大統領代行の会談でも、進展はなし(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

国家の存亡がかかる時というのに、韓国は米国から「捨て駒」扱い。日本に八つ当たりして憂さを晴らすのが関の山だ。

「属国扱い」で大騒ぎ

—「中国の属国扱いされた」と韓国人が怒っている、という話で前回は終わりました。

鈴置:ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)との会見でトランプ(Donald Trump)大統領が「韓国は歴史的に中国の一部だった」と語りました。「WSJ Trump Interview Excerpts: China, North Korea, Ex-Im Bank, Obamacare, Bannon, More」(4月12日、英語版)です。

韓国メディアは大騒ぎ。記者会見などを通じ、米中両国政府に発言の真意を質しました。保守系3紙はこぞって社説で怒りを表明しました。

中国政府にも質したのは「(4月6、7日の)米中首脳会談で習近平主席からそう説明を受けた」とトランプ大統領が語ったからです。

—韓国人は「属国ではなかった」と言い張るのですか?

鈴置:「属国問題」に関し、韓国には定番の「説明」があります。今回も東亜日報がその理屈を展開しています。

4月20日の社説「『韓国が中国の一部だった』との習近平の認識 韓中関係の障害に」(韓国語版)から引用します。

  • 近代以前、中国と周辺国は朝貢関係を結んでいた。知識のない人が見れば、帝国と植民地の関係に見えるが、実態は西洋の主権国家同士の関係と変わらないというのが歴史学界の定説である。

貢女も独立門も

—本当ですか?

鈴置:強弁です。朝鮮半島の歴代王朝は中国の歴代王朝に朝貢し、冊封体制下にありました。王が即位するには中国の皇帝の承認が要りました。若い女性も制度的に貢いできました。それを指す「貢女」(コンニョ)という言葉もあります。

これらからすれば「主権国同士の関係だった」とはとても言えません。「歴史学界の定説」部分も「韓国の歴史学界の定説」と言うべきでしょう。

ソウルには1897年に建てられた「独立門」という名の建造物があります。日清戦争(1894―1895年)の結果、朝鮮朝は清の冊封体制を離脱することができました。

その「独立」を内外に示すために作られた門です。韓国人もそれまでは「独立していなかった」と認識していたことを証明しています。

—なるほど。

鈴置:ただ、朝鮮半島の人々は「中華帝国の一部」であることを誇りとしてきました。韓国語のSNS(交流サイト)では「日本人は劣った民族である」といった会話が盛り上がります。日本人が中華帝国の外の「化外の民」――野蛮人だったとの認識からです。

一方で、韓国人は中国に根深い恐怖心を抱いています。地続きの超大国、中国との戦争で負け続け、支配されてきたためです。

韓国メディアが「天皇」を「日王」と表記するのは、「皇」という漢字を使えるのは中国だけなのに、日本ごときに使っては中国から叱られると考えるからです。

日本の植民地になったこともない

—昔、朝貢していたにしろ「今はもう、属国ではない」と主張すればいいのではないですか。

鈴置:そう思います。誰しも過去は変えられないのですから。しかし韓国人はそう考えません。理由は2つあります。

韓国が豊かになるほどに「我が国はずうっと独立国だった」と思いたくなったのです。「系図買い」の心境です。

だから日本の植民地支配も「なかったこと」にしようと「あれは日本の不法占拠だった」と強調し始めたのです。

もう1つは中国が再び強くなるに連れ、その言うことに逆らえなくなったことです。「属国に戻りつつある」と内心忸怩たるものがあるからこそ「昔は属国だった」と指摘されると、逆切れするのです。

米中が対立する案件の多くで、同盟国の米国ではなく中国の言いなりになる(「米中星取表」参照)。そんな韓国を見て、米国人が首を傾げます。「世界最強の同盟国をないがしろにして、何であんな非民主主義国にゴマをするのか」というわけです。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2017年5月8日現在)

 

案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD(ミサイル防衛)」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 韓国は「要請もなく協議もしておらず決定もしていない(3NO)」と拒否していたが、朴槿恵大統領の弾劾訴追後の2017年2月28日にようやく米軍への用地提供を決定
日韓軍事情報保護協定 (GSOMIA) 2012年6月、中国の圧力もあり韓国が署名直前に拒否。締結を望む米国に対し、朴槿恵大統領は「慰安婦」を理由に拒否。しかし下野要求デモが激化した2016年11月突然に締結
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の「明確な対中批判要請」を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にもかかわらず韓国は参加
 

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

彼らに「冊封体制」下の人々の旧・宗主国への恐怖心を説明すると、ようやく疑問が解けたという顔をします。トランプ大統領がWSJにわざわざ「韓国は中国の一部だった」と語ったのも、そんな納得感からかもしれません。

なお、ベトナム人には韓国人のような鬱屈はありません。ベトナムの王朝も中国の王朝に朝貢したことがありましたが、戦争でしばしば勝ったからです。最近では中越戦争(1979年)で、中国の侵略軍を散々に打ち負かしました。

中国人も「ベトナムは属国だった」などと下には見ません。そんなことを言えば「属国に負けたのか」と笑われてしまうからです。

THAADの代金を払え

—韓国人は「本当のことを言ってしまった」トランプ大統領に不信感を持ったでしょうね。

鈴置:不信感は膨らむ一方です。「トランプの暴言」がその後も続いたからです。トランプ大統領は4月27日、ロイターに対し「韓国政府はTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の代金として10億ドル(約1100億円)払うべきだ」と語りました。

記事は「Exclusive: Trump vows to fix or scrap South Korea trade deal, wants missile system payment」(4月28日、英語版)です。

在韓米軍へのTHAAD配備問題は、韓国が米中の間で板挟みになったいわくつきの案件です。結局、北朝鮮との緊張が高まる中、4月26日未明に慶尚南道星州(ソンジュ)に緊急配備されました。

この発言も、これまた各紙が一斉に取り上げる「社説ネタ」になりました。韓国政府は国民に対し「土地は韓国が提供するが、THAADの機材は米国が負担する」と説明していたからです。

中央日報の社説「理解できないトランプ大統領の『THAAD費用10億ドル要求』=韓国」(10月29日、日本語版)は韓国人の当惑を隠しませんでした。ポイントは以下です。

  • 韓米は昨年、THAAD展開および運営費は米国が負担し、韓国は場所を提供することで合意している。ところが突然、国家間の合意を無視して韓国に追加負担を要求した。
  • THAADのために防衛費分担金(韓国側負担駐留経費)を増額するのも限界がある。昨年は9441億ウォン(約940億円)だった。トランプ大統領の内心は分担金の大幅引き上げのようだ。今年末に始まる防衛費分担金交渉で相当な増額は避けられない見通しだ。

保守候補は不利に

—トランプ大統領が要求した10億ドルは韓国の防衛分担金の1年分に相当します。

鈴置:ええ、巨額の負担増となります。韓国人にとって、もっとショックだったのは、この発言が大統領選挙で左派候補を勢い付かせるものだったことです。

THAAD配備で韓国は中国からいじめられています。韓国製品の不買運動や中国人の韓国向け観光旅行の制限が続いています。

THAADの配備場所を提供したロッテグループは、消防法違反として中国全土の量販店を閉めさせられました(「中国が操る韓国大統領レース」参照)。

THAADを容認する保守・中道候補はただでさえ苦しい立場にあります。そこに米国大統領が「巨額の代金を支払え」と命じてきたのです。選挙戦でますます不利になるのは確実です。

すかさずというべきか4月28日、配備に反対する「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補は、配備容認に転じた中道の「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補に対し「10億ドルを我々が負担しても配備に賛成するのか」「(韓国が配備に)無条件で賛成するから、費用も出せということになる」と攻撃しました。

その様子は日経の「THAAD配備費1100億円 トランプ氏、韓国に要求」(4月29日)が報じています。

米国は同盟を打ち切るつもりか

韓国人の心をよぎったのは「米国から見捨てられる不安」でした。文在寅候補が当選すれば、親北反米政策にカジを切ると見られている。というのに、国民の反米感情をかき立てる「中国の一部」発言や「THAADの代金を払え」発言で、韓国の反米派の当選を後押しするトランプ大統領……。

もう、米国には韓国との同盟を維持する意思はないのではないか――と韓国人、ことに親米保守は絶望的な心境に陥りました。

韓国経済新聞の社説「トランプ大統領の相次ぐ対韓圧力、『韓米同盟見直し』の信号弾か」(5月2日、日本語版)が、そんな懸念を吐露しています。

  • トランプ大統領発言は、妙なことに北朝鮮を扱う最近の中国の動きとも重なる。北核阻止レベルでは望ましいが、中国の対北朝鮮警告・メッセージも非常に激しく直接的だ。
  • あたかもトランプ―習近平会談で、両者間に方法論的な共感が形成されたのではという考えになるほどだ。
  • 血盟の韓米同盟であっても運営方式や発展方向ではいくらでも変わる可能性がある。韓国には費用負担増加以上になることも考えられる。

オブラートに包んで書いていますが、要は「中国が北朝鮮に核を放棄させる一方、米国は韓国との同盟を打ち切るか、形骸化する」との談合が進んでいるのではないか、との恐怖感です。

そうした米中の「大きな取引」の可能性は、すでに世界のメディアが指摘しています(「『米韓同盟』も『中朝』も賞味期限切れだ」参照)。

同盟国の義務にそっぽ

—なぜトランプ政権は突然、韓国に冷淡になったのでしょうか。

鈴置:韓国の自業自得です。この肝心な時に、米国の同盟国としての義務を果たそうとしないし、今後も果たすつもりがないことを韓国が明らかにしたからです。

米国政府は「北朝鮮の核問題を解決するためのすべての選択肢がテーブルの上にある」と繰り返し表明しています。「対話を捨てたわけではないが、軍事行動も辞さない」との宣言です。

日本政府は当然、「テーブルの上にある」表明を支持しました。米国と足並みをそろえることで対北、対中圧力を増すためです。

例えばペンス(Mike Pence)副大統領が4月18、19日に日本を訪れた際の安倍晋三首相の発言は以下でした。外務省のホームページの「ペンス米国副大統領による安倍総理大臣表敬」から引用します。

  • 安倍総理からは、外交を通じて平和を守ることが重要であることは言うまでもない、同時に、対話のための対話では意味がない旨述べつつ、北朝鮮が真剣に対話に応じるよう、圧力をかけていくことが必要である旨発言し、トランプ政権が、これまでの「戦略的忍耐」という考え方をとらず、「全ての選択肢がテーブルの上にある」という考え方に立って問題に対処しようとしていることを、我が国として評価している旨述べました。

「テーブルの上」表明を支持せず

—確かに、日本は明快に米国の軍事行動を支持しています。

鈴置:ところが韓国政府は「すべての選択肢がテーブルの上にある」との表明を支持しないのです。ペンス副大統領は訪日前の4月16、17日に韓国を訪れて、大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相と会っています。

不思議なことに、韓国の国務総理室のホームページの「報道・解明資料」欄(韓国語)に、普通なら載るはずのペンス副大統領との会談に関する報道資料が見当たりません。

会談後の記者会見で、ペンス副大統領は「テーブルの上」発言を繰り返し、先制攻撃も辞さない姿勢を明確にしました。が、黄教安首相は北朝鮮の軍事行動への「反撃」は強調したものの、「先制」には言及しませんでした。

朝鮮日報の「ペンス『戦略的忍耐は終わった 北はトランプを試すな』」(4月18日、韓国語版)などでそれが分かります。

—なぜ、韓国政府は「テーブルの上」を支持しないのでしょうか。

鈴置:第2次朝鮮戦争の勃発を恐れているのです。

—いくら戦争が嫌といっても、このまま行けば北朝鮮は核武装します。韓国にとって国の命運がかかった問題のはずです。

鈴置:韓国人は戦争を決意できないのです。全面戦争となれば、ソウルは北朝鮮の長距離砲やロケット砲の攻撃にさらされる可能性が高く、日本以上に被害が大きいと考えられています。

それに米国の軍事行動を支持しただけで、中国との対立が深まるからです。中国は米国の軍事行動に反対していますから、賛成すれば、中国からどんなしっぺ返しをされるか分かりません。今でさえTHAAD配備問題で、中国から激しくイジメられているのです。

「スクラム拒否」の候補者ばかり

—そうは言っても、国の存亡がかかっている問題です。

鈴置:韓国には、前にも説明したように「旧・宗主国」への服従心と絶望的なまでの恐怖感があるのです。

今回の大統領選挙に出馬した有力候補者5人全員が軍事攻撃には及び腰で、「あくまで話し合いで解決すべきだ」と主張しています。

4月13日、5人を集めた1回目の討論会が開かれました。聯合ニュースの「大統領選挙討論 米国の対北先制攻撃を仮想した質問に多様な処方―1」(4月13日、韓国語版)で関連部分を読めます。

司会者は真っ先に「もし、米国が北朝鮮に軍事行動を実施しようとした際、どうするか」と聞きました。

5人の候補者のうち4人が「米中と電話で協議する」と答えました。この答は答になっていません。韓国がいくら米中と相談しても、煮詰まった状況下で米国の軍事行動は止められないからです。

保守の「正しい政党」の劉承旼(ユ・スンミン)候補だけが「北朝鮮による我々への攻撃が差し迫った時は、米国による先制攻撃は自衛権的な措置だ」と語りました。

が、「テーブルの上」を支持するとまでは言わず、「米国と緊密に協議する」と答えました。要は「話し合い」路線です。

5人の発言をトランプ大統領が聞いたら、韓国という国に落胆したことでしょう。なぜなら現時点で必要なのは、米日韓がスクラムを組んで北朝鮮と中国に圧力をかけることです。

というのに、誰が大統領に当選しても韓国の次期政権は「テーブルの上」に賛同しないことが明らかとなった。

中国や北朝鮮から「最大の利害関係者でお前の子分の韓国が、軍事オプションに反対しているぞ」とあざけ笑われてしまいます。

トランプ大統領が「韓国は中国の一部だった」と見下すような発言をしたのも、「THAADの代金を支払え」と安保のただ乗りは許さない姿勢を明確にしたのも無理はないと思います。

米国兵士の命をかけて米韓共同の敵に立ち向かっているのに、韓国は中国の顔色を見てそっぽを向いているのです。

北朝鮮に通報する

—「ただ乗り」に米国が怒るのは当然ですね。

鈴置:それどころではありません。反米親北の「共に民主党」の文在寅候補の答は米国を激怒させるものでした。先の記事から引用します。

  • まず、米国の大統領に電話し、我々との同意がない米国の一方的な先制攻撃は認めないことを知らせ、留保させる。次に、全軍に非常命令を下し、国家非常体制を稼働する。
  • ホットラインを初めとする複数のチャネルを通じ、北朝鮮に対し米国の先制打撃の口実となるような挑発を即刻中断するように要請する。その過程では中国とも協調する。

—「米国が先制攻撃するぞ」と北朝鮮に知らせるというのですね。

鈴置:そこです。それでは奇襲を旨とする先制攻撃になりません。驚きの発言です。文在寅候補は無意識のうちに語ったのでしょうが「北朝鮮側の人」と見なされても文句は言えません。

—韓国では文在寅候補への非難の嵐が起きたでしょう。

鈴置:いいえ。そんな非難の声は高まりませんでした。普通の韓国人も「北朝鮮へのタレこみ」が問題とは考えなくなっているのです。

「テーブルの上」を支持しないことに関しても同様です。韓国メディアで、これに対する疑問は全くといってよいほど提議されていません。韓国人は米国と共に戦うつもりなどないのです。

米空母に怯える韓国人

—「米国への裏切り」を批判する記事が出ないというのもすごい話ですね。

鈴置:厳密に言うと、ほんの数本ありました。「韓国の弱腰」に関しては、朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員の「米空母が来るといってなぜ我々が怯えるのか」(4月12日、韓国語版)です。

  • 一昨日の夜、日本のNHKが朝鮮半島の緊張状況を報告した。米原子力空母艦隊の移動をレポートしたうえで「北爆説」を紹介した。米政府の強硬姿勢から見て、デマと片づけるわけにはいかないとのニュアンスだった。
  • だが、NHKは実行されにくいとも報じた。韓国政府が自国民の被害を懸念し北爆に反対するからということだった。これを裏付ける発言が直ちに韓国政府から出た。統一部は「北爆説はさほど心配する必要はない」と言った。
  • 外交はゲームだ。ゲームには戦略がある。強攻策は相手の恐怖心を刺激して譲歩を誘導する戦略だ。空母の再配備と北爆説もこれに該当する。
  • 先日、米国は、シリアを爆撃した。「妥協か、さもなくば爆撃」という明確なシグナルを北朝鮮に送ったのだ。その時、世界は(米国の強攻策を)信じた。
  • ところが、今はそう確信しない。北爆説によって北朝鮮よりも深い恐怖に陥って動揺し、反対する韓国という国があるからだ。敵国を脅そうとした時に同盟国がまず怯えるというのなら、どんな強攻策も通じない。

「米国を裏切る」自覚なし

—米国の脅迫が北ではなく、南を怯えさせてしまったとは……。

鈴置:文在寅候補の「北へのタレこみ」を批判したのは中央日報のコラムニスト、チョン・ヨンギ氏でした。「韓国、平和だけを叫べば周辺国から蔑視される」(4月17日、日本語版)です。

  • 文在寅候補は米国が先制攻撃を準備する場合「北朝鮮にホットラインを通じて挑発を直ちに中断することを要請する」とした。戦争を防止するという忠実な気持ちは理解する。
  • だが、金正恩委員長にとって文候補は攻撃の情報を事前に知らせる有難い韓国人で、米国にとっては戦争秘密を敵国に渡す信じられない同盟になり得る。

—チョン・ヨンギ記者の言う通りですね。

鈴置:でも「米国への裏切り」を指摘する空気はほとんどないのです。それこそが韓国の危機です。

「米国を裏切っている」との自覚が全くないから、「米国に見捨てられかけている」という現実に目が行かないのです。

だからトランプ大統領が「韓国は歴史的に中国の一部だった」とか「THAADの代金を支払え」などと韓国を見放すと、韓国紙は筋違いの怒りに身を焦がすのです。

前者に関しては「韓国は大統領が不在だ。そのすきを突いて中国や日本が米国に嘘を吹き込んでいる」といった論調が主流です。

後者は「トランプはしょせん商売人。ゼニカネでしか世界を見ていない」といった説明がなされることが多い。韓国という国の迷走に従い、メディアの論調もますます冷静さを欠いてきました。日本に対する「八つ当たり」です。

戦争を煽る憎き安倍

—また、ですか。今度はどんな「八つ当たり」ですか?

鈴置:日本が戦争を煽っている、との主張です。今や、韓国紙の社説の定番です。典型的なのが中央日報の「半島の不安感あおる日本、自制すべき」(4月19日、日本語版)です。

  • 最近、日本が韓半島(朝鮮半島)危機を利用し、度が過ぎる姿を見せている。韓国外交部の報道官は昨日、「仮想状況を前提に誤解を引き起こしたり、韓半島の平和と安定にマイナスの影響を及ぼす言及は自制しなければいけない」と指摘した。
  • 外交部が韓半島有事の際の過度な対応を示唆した日本側の発言に遺憾を表明したのは当然のことだ。

連日のように韓国紙が「日本が戦争を煽る」と書くものですから、韓国政府も日本批判に乗り出したのです。中央日報の引用を続けます。

  • 安倍首相は4月12日、「さまざまな事態が起こった際、拉致被害者の救出に向けて米側の協力を要請中」と述べた。他人の不幸を利用して実益を得ようという話として聞こえる。
  • 安倍首相は翌日、「北朝鮮がミサイル弾頭にサリンを装着して発射する可能性もある」と主張した。確認されていないことを話して軍事力増強を合理化しようとの疑いを招く発言だ。
  • さらに韓半島有事に関連し「上陸手続き、収容施設の設置および運営、 わが国が庇護すべきものにあたるか否かのスクリーニングといった一連の対応を想定している」と述べた。戦争勃発を前提に韓国人が難民になって押し寄せる状況を想像したのだ。隣国の国民の自尊心に触れる発言だ。

日本の大地震を願う

—なぜ、日本の危機対応を非難するのでしょうか。

鈴置:日本人は半島危機を望んでいる、と韓国人は信じています。韓国のSNSでは何かあるたびに「日本に大地震が起こればいい」との希望が口々に語られます。自分が他人の不幸を望んでいるので、他人もそうに違いない、と韓国人は考えるのです。

それに「日本人は悪い奴だ」と八つ当たりしていれば、第2次朝鮮戦争の恐怖から目をそらすこともできます。米国や中国から馬鹿にされたり、脅される憂さも晴らすことができるのです。

—韓国人が現実を見つめることはあるのでしょうか。

鈴置:5月9日投票の選挙で、よほどリーダーシップの強い大統領が当選し「北朝鮮の核武装という国難に立ち向かおう」「米国とスクラムを組み、戦争のリスクをとっても戦争を防ごう」と国民に呼び掛ければ、そうなるかもしれません。

しかし5人の有力候補者を見渡しても、国民の力を結集できそうな人は見当たらない。「米国の軍事力行使をどう考えるか」と聞かれ「話し合う」と答える人ばかりなのです。

ただ、韓国の保守の間では「とにかく親北反米の候補の当選だけは阻止しよう」との思いがあります。「文在寅大統領」が登場すれば直ちに米韓同盟が崩壊する恐れがあるからです。

中道候補の凋落

その恐怖感が保守政党「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補への支持率を一気に押し上げました。当初、保守派の一部は、文在寅候補ほどには「左」でなく、保守候補よりも当選可能性が高い安哲秀候補に投票するつもりでした。

しかし初回の討論会が開かれた4月13日以降、安哲秀候補の支持率はつるべ落とし。THAAD問題でも姿勢がいまひとつ不鮮明で、強いリーダーシップが求められる時に、それを示すことができなかったのです。

安候補に票を投じようと考えていた保守派はその姿を見て、暴言を吐くけれど指導力がありそうに見える洪候補に鞍替えしたのです。

在野保守の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も一時期は「次悪の選択」として安候補への投票を呼び掛けていました(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。が、4月30日を期に、洪候補支持に切り替えました。

とりあえずは5月9日投票の大統領選挙に注目です。

(次回に続く)

前回から読む)

5月9日投票の韓国大統領選挙で、左派「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補の当選が確実となった。当選が確定し次第、準備期間を置かず直ちに大統領に就任する。北朝鮮の核武装を巡り、米朝の軍事的緊張が高まる中で「反米親北政権」がどう動くかが焦点となる。

「北との融和」唱える文在寅

文在寅候補は5月9日午後11時50分過ぎ、ソウルの中心部の光化門広場で「国民の念願する改革と統合という2つの課題すべてを果たす」と演説した。

文在寅氏の勝利は、2期9年間続いた保守政権への幻滅が原動力となった。韓国では朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領を弾劾する過程で、政府や財閥など「力を持つ者」への不満が噴出。「進歩・革新」を掲げる文在寅氏はその波に上手に乗った。

保守勢力は文在寅政権の登場を防ごうと、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏に期待をつないだ。同候補は選挙終盤で支持を急速に伸ばしたが、及ばなかった(「韓国大統領候補の支持率の推移」参照)。

今後の展開を読むためのポイントは2つ。まずは外交だ。文在寅氏は「当選したら米国よりも北朝鮮に先に行く」と語るなど「融和」を対北政策の柱に掲げる。

選挙の討論会でも「米国が対北軍事行動を起こそうとしたら、北朝鮮に連絡しその挑発を抑える」と述べ、「先制攻撃を北に通報するのか」と批判されたこともある(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。

警戒強める米国

米国も文在寅政権に警戒感を強める。「反米親北」で名をはせた盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の盟友で、同政権(2003―2008年)では大統領秘書室長を歴任したからだ。

米議会が設立した自由アジア放送(RFA)は「北朝鮮、中国の代わりに韓国の新政府と密着可能性」(5月4日、韓国語版)で、北朝鮮が韓国の次期政権との経済協力を模索するとの専門家の予測を引用した。

CSISの中国専門家のグレーザー(Bonnie Glaser)中国学部長兼先任研究員が語ったもので、ポイントは以下だ。

  • 米国の要請に応え、中国が北朝鮮への圧迫に乗り出したのは確かだ。ただ、まだ原油供給の中断などには乗り出してはいない。
  • 北朝鮮が中国の役割の身代わりにロシアを選ぶのは容易ではない。しかし来週にもスタートするであろう、進歩的な傾向の強い韓国の次期政権との積極的な経済協力を通じ、北朝鮮は中国の圧迫に耐えることができるだろう。
  • 韓国の新政権が新たな政策を打ち出し、より大きな経済支援に出るなど南北交流を活発化すると北朝鮮の指導者、金正恩は期待できる。

中国は「反米政権」を利用

北朝鮮へのドル送金のパイプとなっていた開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光事業に関し、文在寅氏は「再開を検討する」と表明してきた(「『市街戦が始まる』と悲鳴をあげた韓国紙」参照)

文在寅新政権がこれらをテコに北朝鮮との関係改善に動けば、米国が主導する北朝鮮包囲網に大きな穴が開く。

トランプ(Donald Trump)政権はそれを防ぐため、韓国の新政権を圧迫すると思われる。しかし反対に、トランプ政権が北朝鮮との対話を始める契機になる可能性も少しだが残る。

「反米政権」の誕生を中国が利用するのは確実だ。在韓米軍へのTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)配備に関し、撤去を求め中国は韓国に圧力をかけ続けている(「中国が操る韓国大統領レース」参照)。

文在寅氏は選挙期間中、一貫して「THAAD配備の可否は新政権が決めるべきだ」と主張してきた。中国がこの問題で文在寅新政権を自陣営に引き込めば、米韓の間に亀裂が入るのは確実だ。それは中国にとって念願の在韓米軍撤収につながる道である。

保守政権の不正を暴く

「文在寅政権」を占う、もう1つのポイントは激しい左右対立だ。対北朝鮮政策、THAAD配備など政策面で新政権と親米保守派が激突するのは間違いない。

その対立に油を注ぐのが左右の政治勢力の間の「遺恨」である。文在寅氏は「大統領になれば積弊清算特別調査委員会を立ち上げる」と繰り返し述べている。「過去9年間の保守政権の不正の責任を追及する」との宣言だ。

韓国では政権が変わるたびに前政権の非を暴いて貶めることが定例化している。政権末期になると大統領の家族の不正がメディアによって報じられ、次期政権の顔色を読んだ検察が摘発に乗り出すこともあった。

このため初代の李承晩(イ・スンマン)以降、第11代の朴槿恵まで、名目的な大統領2人を除き、権力を振るった9人の大統領全てが国外追放になるか、暗殺されるか、自殺するか、不正事件の摘発で名誉をはく奪されるという悲惨な末路を迎えている(「韓国歴代大統領の末路」参照)。

  • 韓国歴代大統領の末路
①李承晩(1948年7月―1960年4月) 不正選挙を批判され下野、ハワイに亡命。退陣要求のデモには警察が発砲、全国で183人死亡
②尹潽善(1960年8月―1962年3月) 軍部のクーデターによる政権掌握に抗議して下野。議院内閣制の大統領で実権はなかった
③朴正煕(1963年12月―1979年10月) 腹心のKCIA部長により暗殺。1974年には在日韓国人に短銃で撃たれ、夫人の陸英修氏が殺される
④崔圭夏(1979年12月―1980年8月) 朴大統領暗殺に伴い、首相から大統領権限代行を経て大統領に。軍の実権掌握で辞任
⑤全斗煥(1980年9月―1988年2月) 退任後に親戚の不正を追及され隠遁生活。遡及立法で光州事件の責任など問われ死刑判決(後に恩赦)
⑥盧泰愚(1988年2月―1993年2月) 退任後、全斗煥氏とともに遡及立法により光州事件の責任など問われ、懲役刑判決(後に恩赦)
⑦金泳三(1993年2月―1998年2月) 1997年に次男が逮捕、懲役2年判決。罪状は通貨危機を呼んだ韓宝グループへの不正融資関与
⑧金大中(1998年2月―2003年2月) 任期末期に3人の子息全員が斡旋収賄で逮捕
⑨盧武鉉(2003年2月―2008年2月) 退任後、実兄が収賄罪で逮捕。自身も2009年4月に収賄容疑で検察から聴取。同年5月に自殺
⑩李明博(2008年2月―2013年2月) 2012年7月、実兄で韓日議員連盟会長も務めた李相得氏が斡旋収賄などで逮捕、懲役2年
⑪朴槿恵(2013年2月―2017年3月) 2016年12月9日、国会が弾劾訴追案を可決。2017年3月10日、憲法裁判所がそれを認め罷免。3月31日に収賄罪などで逮捕され、4月17日に起訴

盧大統領自殺の恨み

保守系で、最大手紙の朝鮮日報は5月2日の社説「文候補は『盧武鉉の悲劇』を報復するために執権するのか」を載せた。以下、要約だ。

  • 文在寅候補は遊説で「朴槿恵前大統領の友人が国家権力を利用して不正に蓄財した財産はすべて国家が環収する。李明博(イ・ミョンバク)政権による4大河川をめぐる不正などすべて改めて調査し、不正に蓄財された財産があれば環収する」などとした。
  • 裁判が終了した事案を再び取り上げ問題視する文氏の狙いは、もしかすると李明博政権で行われた盧武鉉政権に対する捜査、盧元大統領の自殺に対する恨みを晴らすことにあるのではないだろうか。

韓国社会には不安感が広がる。左右対立の激化に加え、米韓同盟廃棄への恐怖からだ。「米国に守ってもらえない韓国には住みたくない」と明かす韓国人が増す(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。

東北アジアは激動の時代に

もちろん、「反米親北」の新政権に真っ向から立ち向かおうと決意する保守派もいる。その1人、在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏は「国民抵抗権」の発動を主張する。

自由と民主主義をうたう大韓民国憲法を否定する政権に対しては実力で戦う権利が国民にはある、との呼び掛けだ。

親米保守派の中にはクーデターも念頭に置く人もいる。建国以来、韓国では2度クーデターが成功したが、いずれも社会が混乱し急速に左傾化した時だった(「『民衆革命』は軍事クーデターを呼んだ」参照)。

北朝鮮の核武装を阻止しようと動く米国と日本。その真っ只中に登場した韓国の「反米親北」政権。展開を読むのは難しい。1つ言えるのは、どう転んでも東北アジアの混乱がより深まることだ。

(次回に続く)

ZAKZAK記事

北朝鮮はゴールデンウイーク中の5日、「米国と韓国の情報機関が、北朝鮮の最高首脳部を狙った生物・化学テロを企てた」と主張し、米韓両国は完全否定した。背景には、世界最強の米軍に包囲された金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が追い詰められ、国内でクーデターや内乱の兆候が出てきたことがあるという。中国の習近平国家主席による制裁強化の動きと、米国の対北戦略を無にしかねない韓国大統領選(9日投開票)後の動きとは。米国は、韓国新大統領の言動次第で「在韓米軍撤退」「同盟解消」の重大決断に踏み切るのか。ジャーナリストの加賀孝英氏による独走リポート。  「正恩氏は、習氏を『裏切り者』『無能』などと罵(ののし)っている。北朝鮮メディアも中国を直接批判するなど、中朝関係は崩壊した。正恩氏は、米軍特殊部隊の『斬首作戦』や『限定空爆』に異常におびえて、側近すら疑い、わめき散らしている」  旧知の米情報当局関係者はこう語った。そして、「正恩氏は狂乱状態だ」と明かした。  ご承知のように、北朝鮮の秘密警察、国家保衛省は5日突然、「正恩氏を狙った暗殺計画が最近発覚して、粉砕した」「主導したのは、CIA(米中央情報局)と、韓国の国家情報院(国情院)」「米国はテロ国家だ」と、激しく非難した。国営メディア「朝鮮中央通信」が伝えた。

北朝鮮が主張した「暗殺計画」は驚くべきものだ。概要は次の通りだ。  《CIAと協力した国情院が2014年、ロシア極東で働く北朝鮮労働者1人を買収した。主導したのは国情院の李炳浩(イ・ビョンホ)院長だ。韓国の工作員は、北朝鮮労働者と直近で4月20日に接触した》  《80回以上の指示があり、計12万ドル(約1350万円)以上の工作資金が渡された。正恩氏が軍事パレードに出席したときなどに、放射性物質や毒性を含む生化学物質を使う計画だ。標的に接近する必要がなく、死に至るのは半年か1年後。CIAにとっては最善の方法だ》  米韓両国は、即座にこれらを否定した。  言っておくが、北朝鮮は、国連安保理決議を無視して核・ミサイル開発を強行し、今年2月には異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏を猛毒の神経剤VXで暗殺した。そんな凶悪テロ暴走国家、北朝鮮に、他国を批判する資格などない。  旧知の外事警察幹部は「実は十数年前から、米韓情報当局は北朝鮮の軍内部に協力者をつくり、北朝鮮の民主化、金王朝転覆工作を仕掛けてきた」といい、続けた。  「だが、今回の『暗殺計画』はデタラメだ。笑い話だ。北朝鮮は米国をテロ国家呼ばわりして、米国が北朝鮮をテロ支援国家に再指定し、制裁強化に動くのを阻止したい。それで話をつくった。それだけ、正恩氏は追い詰められ、必死ということだ」

事実、北朝鮮内部で大変なことが起きている。以下、複数の米韓情報当局、米軍関係者から入手した情報だ。 「正恩氏は11年に3代目を世襲してから、4回以上の暗殺未遂に遭っている。朝鮮人民軍の犯行とされる。危機感を覚えた正恩氏は、中国から極秘裏に高級ジープなどを輸入し、金日成(キム・イルソン)主席の生誕記念日(4月15日)に、軍幹部にプレゼントして忠誠心を買ってきた。その数、2000台以上という。ところが、昨年から途絶えた。一方で、残酷な粛清と処刑を繰り返し、軍部の怒りは爆発寸前だ」  私(加賀)は前回連載(4月24日発行)で、次の情報を報告した。  (1)正恩氏は、4月15日に「6回目の核実験」を強行する予定だった。だが、米国に「核実験をやれば先制攻撃する」と脅かされて、震えあがり、直前で延期した。  (2)口先だけのぶざまな姿を見て、軍の一部が憤慨し、クーデターの兆候が出てきた。正恩氏は「核実験をやらなければ名誉回復はできない」と追い込まれて、半狂乱になっている。 核実験は8日現在、行われていない。  さらに、北朝鮮人民が怒りを爆発させている。  「軍が、人民から『慰問』名目で、食糧や日用品を強制徴用し始めた。飢餓が始まっている。ガソリン価格も高騰した。農作物に不可欠な肥料も、石炭輸出とバーターで中国から輸入していたが、制裁で断たれた。今年秋の収穫は絶望的だ。朝鮮労働党庁舎の前で、市民が抗議の割腹自殺をした。人民が怒りの声をあげ始めた」

そして、情報は次のように続いている。  「正恩氏がいつどこにいるのか、極秘情報がリークされている。ミサイルの秘密基地の位置、地下秘密基地網の地図、正恩氏の隠れ家…など。米軍の攻撃を受けたら、正恩氏は逃げられない。丸裸だ」  ドナルド・トランプ米大統領は、中国を使って、北朝鮮に「核とミサイル開発の完全放棄」を求めている。妥協はない。加えて、5月末まで、日本海に世界最強の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第一空母打撃群を展開させる。事実上の海上封鎖を行い、北朝鮮をしめ上げる。さらに、中国がパイプラインを通じた原油の禁油に踏み切れば、北朝鮮は3カ月ともたない。クーデターが起きて、正恩体制は100%倒れる。  だが、重大な懸念がある。韓国の問題だ。  米政府関係者は「悪夢の事態が考えられる」といい、続けた。  「韓国大統領選で、最大野党『共に民主党』の文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選すれば、韓国は『反日反米』『従北』路線に突き進む。文氏は『当選直後の訪朝』『南北首脳会談』『北朝鮮への経済支援』を正恩氏に約束している。これが実行されれば米国の努力は水の泡だ。米国内には在韓米軍撤退、韓国との同盟関係解消論も出ている。韓国の真意を問うことになる」  まったく迷惑な国だ。朝鮮半島情勢は依然として緊迫している。正恩氏が玉砕、自滅覚悟で暴走する危険は消えていない。日本は不測の事態に備えなければならない。  ■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。

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