『元海将が大胆予測、米朝チキンゲームの先にある「二つのシナリオ」』(9/20ダイヤモンドオンライン)、『トランプ政権はレッドラインを決めた グアムを狙えば米国は自衛権行使で報復攻撃

マスメデイアは今回の衆院解散について「解散の大義がない」と喧しいですが、杉浦氏の言うように勝てるときに選挙をするのは常道でしょう。負けると分かっていて勝負をするのは馬鹿なだけ。任期までの追い込まれ解散であれば負けると分かっていてもやらざるを得ません。憲法45条で衆院議員の任期が定められていますし、首相の解散権も憲法7条で定められています。「権利の上に眠る者は保護に値せず」の格言もあります。況してや護憲をずっと主張してきている左翼メデイアは二重基準の謗りを免れません。どうしても解散をストップさせたいのであれば、田崎氏の言う「憲法改正」してから文句を言えばと思っています。

9/20杉浦正章氏ブログ<解散の「大義は後から貨車で来る」>

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20

「エコドライブ日記」ブログより<9/18TV「ひるおび」の中で、八代英輝氏「憲法には解散に大義を要するとは一言も書いてない。郵政解散はワンイシューで国民生活の全てを決める乱暴なやり方。総選挙は国民投票とは違う。これまでを評価しこれからを託す議員を選ぶもの」、伊藤惇夫氏「北朝鮮情勢緊迫中、政治的空白(選挙期間)があっても良いのか?」、八代英輝氏「(今回の選挙は)今までの緊張状態についての対応の評価の場でもある」、伊藤「総理に自由に解散権を持たせても良いのか?」、田崎史郎氏「じゃあ、憲法改正しますか」、伊藤「そうね」>

9/19「ぼやきくっくり」ブログ<9/18放送 DHCシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」>で青山繁晴氏が解散の件や首相のインド訪問について解説しています。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2104.html#sequel

伊藤俊幸氏と高濱氏の記事で、伊藤氏は米国の外交努力に力点を置いて見ていますが、高濱氏の方は軍事力行使もありうるとの見立てです。外交と軍事力行使は国益を賭けた戦いの車の両輪です。もう既に戦争は始まっていて、ただ軍事力行使がまだと言うだけです。国際社会が経済制裁を北朝鮮に課し、北朝鮮の外交官の追放(メキシコ、クウェート、ペルー、スペイン)や北朝鮮からの大使召還(イギリス)まで進んできました。これらが奏功し、北の核開発やミサイル開発が一時的に止まることがあれば、米国も攻撃を様子見するでしょう。ただ金正恩は国民を餓死させても核・ミサイル開発に突き進むのでは。米朝戦争は不可避でしょう。同盟国を守るにはトランプの言う“totally destroy North Korea”しかありません。小生はB61-11や「あらゆる爆弾の母」を使用するのではと思っています。マテイス長官も「ソウルを危険に晒さぬ軍事手段「ある」」と言っていますし。これしか方法はないのでは。ただ今回、<核兵器禁止条約 国連で署名式 50の国と地域が署名>しました。これがB61-11の使用に影響を与えるかどうかです。地下核施設の破壊に使われたとしても。核兵器禁止条約は左翼に利用されるのであれば、国家の安全は担保できなくなると思っています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170921/k10011150101000.html

ダイヤモンドオンライン記事

核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と、「予防攻撃」を示唆して抑え込もうとする米国との「チキンゲーム」はエスカレートするばかりだ。その行方はどこなのか──。

北朝鮮の核開発や「9・11」後のテロ対策などを、在米防衛駐在官や情報部長時代などに経験し、朝鮮半島情勢や安全保障政策を熟知する元海将の伊藤俊幸・金沢工業大学院教授は「二つのシナリオが考えられ、どちらも日本には難しいことになる」と話す。日本を覆う朝鮮半島リスクとは何なのかを聞いた。(聞き手 ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

>>前編『元海将が指摘「北のミサイルは狙った所に飛ばない可能性がある」』はこちら

「核保有」と「核放棄」 米朝で前提が違う

──金正恩・北朝鮮労働党委員長と、トランプ米大統領の威嚇合戦が止まりません。

 実は、北朝鮮も米国も、お互い対話がしたいのです。北朝鮮が懸命に核を開発しているのは、米国と平和条約交渉をし、米国の「不可侵」を約束させたいからです。

 というのも、朝鮮戦争はまだ終わっておらず、平和条約を締結していないから心配で仕方がないのです。先代の金正日氏もそうでした。米国を、平和条約の交渉のテーブルに着かせるには、米国に届く核兵器を持つことだと。軍事介入を許して体制が崩壊したリビアのカダフィやイラクのフセインにならないように、米国と対等に交渉できるというのが、北朝鮮の根っこにある考え方です。それを受け入れるかは別にして、北がそう思っていることをベースとして理解する必要があります。

しかも金正恩政権になって、「核保有国になる」という国家方針が一段と明確にされました。

 昨年、36年ぶりに開かれた労働党大会で金正恩委員長は、核開発と経済発展を追う「並進路線」をぶち上げました。「並進」というのは、核を持つことで米国と軍事的に対等の立場に立てるので、その分、通常兵器にかける予算を普通の経済活動に向けられるという意味です。つまり、核と経済発展は国家建設の“両輪”なのです。

 だから北朝鮮としては、まずは核保有国になることが最優先で、この国家方針は簡単には変えられない。それに対し米国は、北朝鮮が核を放棄したら交渉に応じるという姿勢です。

 双方が対話を求めていても、前提が「核保有」と「核放棄」で全く違うのですから交わりようがありません。底流には、こうしたせめぎあいがあって、ここにきて両方の綱引きが先鋭化している状況です。

 ミサイルが発射されたり、空母が出動したりすると、それイコール戦争と捉えられるのですが、いま米朝が展開しているのは、交渉のテーブルに載せるための「外交手段」として、軍事力行使を選択肢として見せている。  つまり、「条件闘争のための軍事外交」という表現ができるかもしれません。

6回目の核実験で 吹き飛んだ対話ムード

──しかしそれが行き詰まっているわけですね。

 北朝鮮が挑発的行為を一時中断したら、話し合いに乗ってもいいという「中間案」を、韓国の文在寅大統領が唱えたこともありました。北がミサイル実験をいったん中断したら話し合いを始め、そこから核放棄を実現しようという思惑でした。

 この提案は、今年6月の米韓首脳会談でトランプ大統領からダメ出しをされるのですが、その後、マティス国防長官やティラーソン国務長官が、これに近いことを言い出します。米国が、北朝鮮との話し合いのハードルを、「核放棄」から「挑発行為の中断」に下げたというので、一時、対話ムードが強まりました。

 この「モラトリアム(一時中断)」の提案は、中国もロシアも乗れるわけです。

 ところがその後、北朝鮮が6回目の核実験をやってしまったので、対話ムードは吹き飛んでしまった。トランプ大統領は、それ見たことかと、圧力をかけて北を抑え込む方針に戻ってしまいました。

 国連も、石油輸出制限などの制裁強化を決議しましたが、北朝鮮の武力挑発をやめさせるのは難しいでしょう。

米国は北の「核保有国」化を 前提に動き出している

──今後の展開をどう予想しますか。

 一つは、「チキンゲームが続いて、何も解決しないまま緊張が続き、下手をすれば戦争に発展する」というシナリオです。

 もう一つは、「米国が北朝鮮を『核保有国』と認め、それを前提に、北の核攻撃を封じる核抑止体制を作る」というシナリオです。どうも米国は、裏で後者の方向で動いている気がします。

 というのは、インドやパキスタンも6回核実験をして、結局は核保有国として認められました。北朝鮮も同じ回数の核実験をやっていますので、理由はともかくとして認めざるを得ないと、米国は考え始めていると思います。

 米韓両国は、2013年に北が3回目の核実験をした際、短距離ミサイルの「スカッド」に積めるぐらいの大きさの核弾頭が作れるようになったと、認識しています。

 だから、韓国国内への「THAAD」(超高高度迎撃ミサイル)の配備や「5015」という新しい作戦が策定されたのです。

 それまでの作戦計画は、北の先制攻撃を受けて、韓国側がいったんは押し込まれるものの、そこを耐えて押し返すという「通常兵器」による戦争シナリオでした。

 しかし、北が核兵器を持ったことで前提条件が変わった。押し返すまでの間に、核戦争で壊滅的な被害にあってしまう。そこで、相手が戦争を始める兆候を見つけたら、先にミサイルや核施設をたたく先制攻撃を基本とした計画に変更されたのです。

「斬首作戦」も、戦争を指揮する金正恩氏への通信系を遮断し、孤立させた後に捕捉、あるいは殺害するという、新しい作戦の附随作戦としてあるわけです。

 米国が新しい作戦計画に切り替えたのは2015年、オバマ政権と朴大統領の時ですが、正恩氏にとってはかなりのプレッシャーになっています。だから米韓合同演習が行われるたびに、ミサイルを発射するなど、過敏に反応するわけです。

「核シェアリング」による核抑止 NATOでの成果を朝鮮半島に

──しかし、米国が北朝鮮の「核保有国」化を認めるとなれば、影響が大きいのではないですか。

 韓国国内では、「北の核保有を認めるなら、自前で核を持つべき」という議論が強まることになるでしょう。今は米国の「核の傘」の下にあって、韓国が核ミサイル攻撃を受けることになれば、米国が核兵器を使って応じる。そうなると、攻撃したら自分も致命的な打撃を受けるので、北も核を使えない。韓国にしてみれば、「自国優先を掲げるトランプ大統領が、本当に核ミサイルを撃って守ってくれるのか」という思いがあるわけです。

 それなら、自分たちで核を持てば、南北間で「相互確証破壊」ができるわけですから、北の核を、「使えない核」にすることができるという考えです。しかし、NPT条約もあり、米国が許さないでしょう。代わりに米国が提案すると思われるのが「核シェアリング」です。

──「核シェアリング」とは何ですか。

 これは、米国の開発した核爆弾を韓国国内に置いて、管理は米国が行うものの、使う際には韓国の空軍機に載せて使わせるという手法です。これは、旧ソ連を封じ込めるためにNATOで行われた方法です。

 米国は、欧州に中距離核(INF)を配備して、欧州とモスクワで相互確証破壊が成り立つようにしました。それまでは、遠く離れたワシントンとモスクワとの間で相互確証破壊が確立していたわけですが、モスクワにとってはすぐそばの欧州との間で、相互確証破壊の状況になってしまった。しかもこれに対応するための軍拡自体が非常に重荷になっていました。それで当時のゴルバチョフ大統領は、INF撤廃条約締結に動き、最後は旧ソ連自体が崩壊することになりました。これと同じことを米国は朝鮮半島で行う可能性があるのだと思います。

「非核3原則」見直しで 国論が二分される事態に

──日本への影響はどうですか。

 同時にこの動きを見ている日本も、「核シェアリング」の問題を突きつけられるでしょう。先日、石破茂・元防衛相が、テレビ番組で「非核三原則」の問題に言及しました。「米国の核の傘で守ってもらうといいながら、日本国内に置かないという議論は正しいのか」と。発言が唐突に出て来た印象を受けましたが、日米間で、水面下で「核持ち込み」の議論が出ているのかもしれません。

 日本の場合は、核を「持たず、作らず、持ち込ませず」の方針をどうするか、大変な議論になるでしょう。

 当然、自分らも核を持つという議論は出てくると思います。核を持たないで「核保有国」北朝鮮との交渉になれば、日本は何事も従属的な立場に立たたざるを得なくなると。元気のいい人たちは、核武装論を言い出すでしょう。

 「核シェアリング」論は、そうした強硬論を抑える側にあるわけです。

「持たず」「作らず」を変えるとなれば、3原則の根幹を変えることですから、それこそ大議論になります。そこで「持ち込ませず」に絞って議論する。

 それでも難しい判断になると思います。米軍の核が日本本土に置かれるとなると、中国やロシアも反発を強めるでしょう。

 戦略的、論理的に議論をするなら、北が「核保有国」になれば、日本も米軍に核の持ち込みを認めて相互確証破壊の形を採ることで、北が日本に核・ミサイルを撃てない状況を作るべきでしょうが、広島・長崎を経験した日本としての感情論などからは受け入れられないということになり、国論を二分する議論にならざるを得ないでしょう。

伊藤俊幸(いとう・としゆき)/1981年に防衛大卒業後、海上自衛隊入隊。潜水艦「はやしお」艦長などを務めた後、在米日本大使館防衛駐在官、防衛省や海上幕僚監部の情報部長として、北朝鮮の核開発、「9・11」テロなどの安全保障、危機管理を担った。海上自衛隊呉地方総監を最後に2016年退官。現在は金沢工業大学虎ノ門大学院教授(リーダーシップ論、安全保障論)

高濱記事

(写真:KCNA/UPI/アフロ)

—金正恩・朝鮮労働党委員長は、9月15日の中距離弾頭ミサイル(IRBM)発射を成功させ、「核戦略の完成がほぼ終着点に達した」と高らかに謳い上げました。国連安全保障理事会(安保理)の制裁決議も何のそのといった感じですね。

高濱 北朝鮮に核ミサイル開発を放棄させるためには、米国は北朝鮮に対して、経済面で死活的なダメージを与えるしかありません。その障害になっているのが中国なら、その中国を制裁するしかありません。

 となると、北朝鮮問題は米中貿易問題へと発展せざるをえません。

 米中間には為替、貿易、投資、知的所有権問題など摩擦要因が既にいくつもあります。これらは北朝鮮問題があるなしかかわらず、既に交渉の俎上に乗っているアジェンダです。

 米国が北朝鮮に絡んだ対中制裁措置を打ち出せば、中国も報復に出るでしょう。経済制裁とは、まさに兵器を使わぬ「戦争」です。

 ワシントンでは、日本や韓国に対して「高度に洗練された軍備の導入を支援」(トランプ大統領が示唆)する問題、韓国への核兵器再配備、日本との「ニュークリア・シェアリング」(核兵器の共有)構想*などが注目を集め始めています。これに一番敏感に反応しているのは中国です。

 米国は、北朝鮮がこのまま「核保有国」となれば日本も韓国も黙っちゃいないゾ、と脅しているのでしょう。米国はこうした「軍事的要素」を経済的制裁に絡めて、中国を揺さぶろうとしているのです。

 現に、中国の崔天凱駐米大使が15日、「中国が北朝鮮を核保有国とみなすことは決してない」と発言しました。

*自民党の石破茂元幹事長が9月7日、米国が核兵器を日本に配備することについて議論するよう提起。北朝鮮の核・ミサイルへの抑止力を強化する方策として「非核三原則」の見直しを促した。米軍事専門家の間でも注目を集めている。 (参考:「自民・石破氏、米核兵器の配備議論を=非核三原則見直し、政府「考えず」、時事通信、9/5/2017)

ホワイトハウスは一体

—これまで米国が取り得る選択肢は、軍事行動を除けば、制裁と対話。そして、「第三の道」が取りざたされてきました。「第三の道」とは、米国が有する軍事力、外交力、経済力、発信力などすべてを同時並行的に使ったものです(関連記事:「北朝鮮、対話でも制裁でもない『第三の道』)。

高濱 そうです。日米の常識ある軍事外交専門家のコンセンサスは、「米国は軍事行動を口にするけれども、実際に北朝鮮を先制攻撃することはできない」だと思います。もっと言えば、北朝鮮も韓国も中国、ロシアもそう思っている。その意味ではトランプ大統領は舐められているのです。

 米議会の外交、軍事各委員会の幹部議員たちが9月6日、ジェームズ・マティス国防長官、ティラーソン国務長官、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長、ダン・コーツ国家情報長官を招いて、対北朝鮮戦略についてブリーフィングを受けました。かん口令が敷かれているので詳しい内容は明らかになっていません。

 しかし、会合の後、議員たちが記者たちに漏らしたコメントを総合すると、「トランプ政権の外交軍事最高責任者たちは極めてプロフェショナルで、『bluster』(北朝鮮に対する恫喝)を行う考えはなかった」「大統領の過激な発言と閣僚たちの冷静な発言とは表裏一体のものだということがわかった」というものでした。

 つまり「サージカル・アタック」(外科手術的攻撃=核・ミサイル関連施設の一部を攻撃)とか、「斬首作戦」(金正恩委員長暗殺)といった「恫喝」をする気はないということです。 (”Trump officials brief lawmakers on North Korea,” Rebecca Kheel, The Hill, 9/6/2017)

ボルトン元国連大使が大統領の「北朝鮮攻撃命令」を暴露

—金委員長は、「先制攻撃したいがそう簡単にはできない」という米国の本心をお見通しなのでしょうか。在京の北朝鮮ウォッチャーの中には、金委員長は米国の出方を冷静に分析しながら危険なゲームを続けていると見る向きがあります。米国ではどうみていますか。

高濱 さて、それはどうか。

 朝鮮情勢に詳しい元米政府高官の一人は、こう指摘しています。「金委員長及びその側近たちが、民主主義国家の政策決定、つまり戦争に関する大統領の権限、米国と同盟国との軍事同盟関係などについて、完全に理解できるとは思わない。国際情勢のイロハをそれほど知っているとは思わない。国体護持(つまり金王朝護持)、国家存続が世界から見て絶対的価値などないことを知らない」

 「核戦力を手に入れること以外に国体を護持できる道はないと考えているのだろう。核兵器を保有して米国と対決できると信じていたイラクのサダム・フセイン大統領(当時)やリビアのカダフィ大佐(当時)が無残な最期を遂げたのを『他山の石』している。だが、国家経済が破たんし、国民が餓死する国家が滅亡した歴史は数限りない。今やっている瀬戸際外交はギャンブルに過ぎない」

—しかし現実問題として、北朝鮮が今のペースで核ミサイル開発を続ければ、半年後には米本土に届くICBMを手にすることになります。それよりも今、金政権を一撃のもとに粉砕すべきだ、という声が米国内にあるのではないですか。

高濱 トランプ政権の外交国防チームの一人、ジョン・ボルトン元国連大使が9月9日、保守系ニュースサイト「ニューズマックス」とのインタビューでこう発言したのです。「(北朝鮮が米領グアム沖への「火星12」発射計画を発表した)8月10日、トランプ大統領は激怒し「米国の国益を脅かす北朝鮮のミサイル攻撃に対しては常に軍事行動をとるようにマティス国防長官に命じた。北朝鮮がグアムへの発射を取りやめたので実際には軍事行動はとられなかった。米国の領土を脅かす北朝鮮のミサイルに対抗して軍事行動をとることは明らかな自衛権の行使である」

 「大統領は、北朝鮮が韓国及び日本を危険にさらす事態が起こった際にも、同盟条約上の義務を遂行するために、日韓を狙うミサイルを米軍が迎撃することを検討している」 *北朝鮮は、グアム沖へのミサイルは発射せず、8月26日には短距離ミサイル3発を、同29日には北海道上空を通過する「火星12」を発射した。いずれも日韓を標的にしたものではなかった。 (”Report: Mattis Gets Trump’s OK to Blast N. Korean Missile Out of The Sky, ” Jack Davis, www.westernjournalism.com., 9/9/2017)

米主要メディアは、なぜか、ボルトン氏が暴露した大統領命令について報道していません。

 それはともかくとして、トランプ大統領が考えている北朝鮮に対する「レッドライン」がこのボルトン発言からおぼろげながら分かってきます。つまり北朝鮮がグアムを含む米国領土に向けてミサイル攻撃すれば、軍事行動をとる。グアム攻撃は「レッドゾーン」だというわけです。

報復攻撃なきサージカル・アタックを模索

—軍事行動とは、具体的にはどのようなものですか。

高濱 ボルトン氏は言及していません。米軍事関係者の何人かに聞くと、次の三つのケースが浮上します。

(1)北朝鮮がグアムを狙ってIRBMを発射すると同時に、陸上と海上に配備している迎撃ミサイルで撃墜する。

(2)北朝鮮がグアムを狙ってIRBMを発射する兆候が察知できた時点で、発射基地に対し、陸上および海上に配備した弾道ミサイルを撃ち込む。

(3) (1)の場合も(2)の場合もミサイル発射基地だけでなく、北朝鮮の核ミサイル施設や通常兵器配備の基地に対する「サージカル・アタック」を断行する。

 トランプ大統領がどのケースを想定してマティス長官にスタンバイの命令を出したのか。ペンタゴンは、すべてのケースを想定して準備万端整えているはずです。

—これはボルトン発言と直接結びつく話ではないのですが、ご指摘の(1)(2)のケースは北朝鮮が報復攻撃に出る可能性が大ですね。となれば、ソウルが焦土化したり、米軍基地のある日本本土が狙われたりします。同盟国である日韓が犠牲になっても米国は先制攻撃を仕掛けるのでしょうか。

高濱 米国は先制攻撃はしない、と考えるのは早計だと思います。

 筆者が何人かの米軍事専門家と話をしていて感じるのは、米国はやはり「米国第一主義」の国だということです。国益を守るために必要とあらば、同盟国が多少損害を受けても躊躇せずに軍事行動に出る。純軍事上の認識が非常に強いことを思い知りました。

 無論、北朝鮮からの報復攻撃を同盟国が受けることなく「サージカル・アタック」が実行可能かどうか、ペンタゴンは以前から検討しています。

 例えば、「サージカル・アタック」の標的を核・ミサイル施設だけでなく、北朝鮮軍の主要基地、さらには最高指揮官・金委員長のいる中枢機関まで含めて「同時多発的に攻撃」することです。瞬時に国家機能をマヒさせてしまう。イラク攻撃がこのケースでした。

 北朝鮮が「レッドライン」を踏み越えた、あるいは踏み越えようとした瞬間に米国がどのような軍事活動に出るか。米主要紙の政治コラムニストは筆者にこうアドバイスしています。「大統領がトランプだけに何をするかわからん。今のワシントンは『Trump Derangement Syndrome』(トランプ錯乱症候群)に罹っている。固定観念に問われていると危険だよ」

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『「南の核」の矛先が向くのは北か 「戦術核の再配備」が開けるパンドラの箱』(9/20日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

9/19産経ニュース<ソウルを危険に晒さぬ軍事手段「ある」 マティス米国防長官が言明>

http://www.sankei.com/world/news/170919/wor1709190053-n1.html

9/20ロイター<トランプ大統領、北朝鮮の「完全破壊」を警告 初の国連演説で>

http://jp.reuters.com/article/nk-un-total-0919-idJPKCN1BU27C

2つのニュースは「米国が本気で北朝鮮に全面攻撃をかけるかもしれない」と世界に思わせるニュースです。そう読み取れないとしたら脳がやられていると思った方が良いのでは。ただ、それが何時起こるのかは分かりません。11/4~6のトランプ大統領の訪日まで攻撃はないと思います。米国は「核放棄」、北は「核保有」を主張しているのでどこまで行っても平行線です。時間の利益を北に与えることを米国はしないでしょう。全面攻撃あるとすれば12月以降になるのかもしれません。衆院解散・総選挙のスケジュールを首相の思い(来年総裁選後の解散)から早めたというのはそれが為ではと。

http://biz-journal.jp/2017/09/post_20652.html

勿論、米国による北の「核保有」を認める外交的解決のシナリオもあります。そうなれば、日本も核保有を主張しなければ。何時も言っていますように、少なくともニュークリアシエアリングは実現しなければなりません。左翼は日本を中国か北の属国にすることを狙っていますので大反対の論陣を張るでしょうが、日本が日本でいられるかどうかの分水嶺になると思います。愚民民主主義で日本がなくなることは避けたい。「奴隷の平和」か「危険な自由」どちらを選択するかの瀬戸際に来ているのでは。似非平和主義者“pacifist”に騙されないように。

鈴置氏の記事にあるように、韓国が核を持てば日本に核を落とす可能性が大です。小生は「韓国は日本の敵」とずっと言ってきました。反日教育をあれだけして、所謂「従軍慰安婦」や「徴用工」等捏造した歴史で日本を屈服させようとしている訳ですから。それが見えないようでは「あきめくら」と言われても仕方がありません。日本の左翼メデイアの責任も大きいですが、この情報化時代にいつまでも既成の権威の言うことを有難がって鵜呑みにする人は戴けません。情報弱者の典型です。昔の熊さん、八っつぁんの時代と比べても落ちるのでは。昔は庶民レベルで為政者を信じていましたが、今は反体制を気取るのがかっこよいと思っている薄っぺらな人が増えていると感じます。自分を知識人orそれに近いと思っている人に多いように見受けられます。朝日新聞なんて左翼新聞の典型で平気で嘘を書きまくっているのに、まだ読んでいる人が結構いる所に問題の深さが窺われます。まあ、本当の危機が我が身に降りかからないと気付かないのでしょう。これを想像力の欠如と言います。真の知性とは危険を先読みし、あらゆる手段を用いて予防する、それができる勇気をもつことと思います。東大に代表される学力偏重のエリートには、これが一番欠けているのでは。

9/19JBプレス 伊東乾<香港、中国、シンガポール、韓国に負ける日本の大学 この10年間で追い越され引き離される事態を招いた本当の理由>

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51095

を読みますと、日本の大学が「象牙の塔」内で身内意識に凝り固まっているというのが分かります。ランキングはこちらの記事。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51030

ランキングは国際性や留学生がポイントとして入っているので、高低をそれ程気にする必要はないと思っています。小生は安易に敵国からの留学生を受け入れるべきでない、少なくとも反日教育をしている国からの留学生の受入には断固反対します。北の核技術だって、在日がその一翼を担ったと言われています。これは愚かとしか言いようがない。ただ、学界には世界に向けて発信する努力が足りないのでは。英語でも中国語でも日本の存在を高めるor日本の主張を堂々と述べる学者が何人いるのかと思ってしまいます。9/19本ブログに、9/11のEast Asia Forumへ賈慶国・北京大学教授が英語で寄稿したのを紹介しました。共産党統治の中で北京大教授と雖も党の意向に背いた意見は述べられません。言論の自由の問題は別として、それでもこのように世界に中国の主張を堂々と述べています。翻って日本の学者でこのようにできる人がどのくらいいるかです。反体制を気取れば講演の口がかかり、本も出版できて稼げるからというのが日本の所謂知識人と言われる人に多いのでは。これではダメで、本当に知の世界で外国語を用い戦ってほしいと願っています。ないモノねだりかもしれませんが。

鈴置記事

北朝鮮の6回目の核実験を受け、9月11日にソウルで行われた抗議デモ(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮を追って、韓国も核武装を目指す。その矛先は北に向くのか、東南に向くのか。

訪米団も署名運動も

前回は、韓国の保守が戦術核兵器を再び韓国に配備するよう米国に求め始めた、という話でした。実現しますか?

鈴置:北朝鮮の核武装は極めて深刻な段階に至りました。今後、何が起こるか、予断を許しません。これまではあり得ないと考えられていた戦術核の再配備も、ないとは言い切れません。

保守政党で野党第1党の自由韓国党は9月13日「再配備」を説得するため、訪米団を派遣しました。

朝鮮日報の「『戦術核配備』要求に訪れた野党議員団に米『核の傘を信じよ』」(9月16日、韓国語版)は「米国務省は『核の傘を信じよ』との原則的な立場を崩さなかったが、韓国民の不安に新たな対策が要ることは共感した」と誇る訪米団の談話を報じました。

これに対し左派の与党「共に民主党」は「(外国の力を引き込んで政争に勝とうとする)事大主義」と批判しました。

自由韓国党は9月16日には、再配備に向け1000万人署名運動を開始すると宣言しました。中央日報の「自由韓国党代表『南北核均衡成し遂げるまで1000万署名運動』」(9月17日、日本語版)で読めます。

—国内対立が米国に飛び火したのですね。

鈴置:韓国ではあまり指摘されないのですが、再配備は軍事的には意味がない、というのが定説です。保守派の再配備要求は「北朝鮮が米国まで届く核ミサイルを保有したので、米国はいざという時に守ってくれなくなる」との懸念からです。

専門用語で言えば「拡大核抑止が働かなくなる」――米国が自分の国に核ミサイルが撃ち込まれるリスクを冒してまで韓国を防衛しはしない、との恐怖です。

しかし核の引き金を米国が握る以上は、核兵器をどこに置こうが関係ない。マティス(James Mattis)国防長官も9月13日、再配備に関する記者の質問に答え「核抑止力に配置の場所は重要でない」と答えています。やり取りは国防総省のサイトで読めます。

NATO式の「核共有」も

—再配備した戦術核の「引き金」を韓国が持つ可能性はないのですか?

鈴置:あり得ます。NATO(北大西洋条約機構)の一部の国と、米国が実施している核シェアリングという方式があります。

例えば旧西独は「いざという時は米大統領の許可を得て、自国に配備された米国の戦術核兵器を使える権利」を確保しました(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。

韓国の再配備論者は当然、これも考えていますし、米国でも「やむなし」と表明する専門家が出始めました。

CNAS・アジア太平洋安全保障プログラムのクローニン(Patrick Cronin)シニアディレクターは8月21日、朝鮮日報の姜仁仙(カン・インソン)ワシントン支局長に、以下のように語りました。

戦術核の話を切り出すこともできなかったワシントン 『NATO式核共有』検討も」(9月15日、韓国語版)から引用します。

万が一、北朝鮮が核兵器を配備する水準まで行けば、韓国も核兵器を持つしかない。不幸なことだが、それが論理的な結論だ。NATO式のデュアル・キー(dual key)方式も考えられる。

ただ「デュアル・キー」つまり「核シェアリング」はあくまで「鍵は2つ」です。韓国が核を使うのには、もう1つの鍵を持つ米国の許可が要るのです。

核抑止論が専門の矢野義昭・元陸将補は「核シェアリングは象徴的な権利に過ぎない」と評しています(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。

日本を脅す核に

—韓国はシェアリング方式で核を再配備させた後、米国に「鍵を寄こせ。自分1人で使う」と言い出しませんか?

鈴置:保守はそれも念頭に置いていると思います。まずは再配備、そして核シェアリング、最後に核使用権限の完全な移管――。

韓国が一挙に「自由になる核」を持つと、中国からいじめられます。それなら段階を踏んで、というわけです。先ほど再配備は軍事的に無意味と申し上げましたが、こういう目標があるのなら「合理的」です。

もっとも最後の段階まで行くと、韓国は日本に対し「俺は核を持ったぞ。言うことを聞け」と言い出しそうです。

米国はそれもあって、自前開発を含め韓国に核を持たせたくない。「北を向く核」のはずが、いつのまにか「日本に向ける核」になる可能性が高いのです。

—それにしても、韓国保守の再配備へのこだわりようは異様です。

鈴置:情緒的な理由も大きいと思います。理屈では米国のICBM(大陸間弾道弾)に守られている。しかし、目と鼻の先の北朝鮮が核兵器を持った以上、身近に核を置いた方がより安心できるのです。

隣の家に強盗が住んでいる。いざとなれば交番から警察官が駆けつけてくるはずだけど、自分の家にもピストルぐらいは置いておきたい、との心情です。核アレルギーの強い日本ではそこまで考えない人が多いのでしょうけれど。

68%が再配備に賛成

—韓国の世論は?

鈴置:韓国社会世論研究所(KOSI)が戦術核の再配備に関し、国民に意見を聞いています。調査期間は2017年9月8―9日。それによると、68.2%が再配備に賛成、25.4%が反対でした。

—核武装論、つまり自前の核を持とうとの主張も高まっているのですか。

鈴置:高いのですが、厳密に言うと「高止まり」です。韓国ギャラップ2017年9月第1週の調査によると「核保有に賛成」が60%、「反対」が35%でした。調査期間は9月5―7日です。

しかし、いつもだいたいこんな数字なのです。グラフ「韓国人の核保有に関する意識」をご覧下さい。いずれも北の核実験の直後に聞いていますが、大きな変化はありません。

なお、こうした世論を背景に韓国軍はいつでも核武装できるよう、着々と準備を進めてきました(『孤立する韓国、「核武装」に走る』参照)。

—今回の核実験で核武装論者が急に増えたわけでもないのですね。

鈴置:その通りです。逆に言えば、北が核実験を何度しようが、30%前後の人が核武装に反対し続けているのです。これの方がニュースかもしれません。

強盗ではなく親戚

—どういう人たちでしょうか。

鈴置:北朝鮮は韓国を攻撃するつもりはないし、核も使わないと信じる人たちです。核を使えば同じ民族を殺し、自らの国土を荒らすことになる。同胞がそんなことをするはずがない――との思いです。

—先ほどの例えで言えば……。

鈴置:隣に住むのは強盗ではなく親戚、と考える人々です。韓国ギャラップは2017年9月第1週の調査で「北朝鮮は戦争を仕掛けてくるか」も聞いています。

「可能性がある」が37%。一方「可能性がない」が58%にのぼります。25年前の1992年6月には69%が「可能性がある」と答え、「可能性がない」とした24%を大きく上回っていました。

南北関係の変化に応じ、微妙に上がったり下がったりしますが、長期的には「北は攻めてこない」と考える人が増えてきました。朝鮮戦争(1950―1953年)の記憶が薄れたことに加え、2000年と2007年に南北首脳会談を実施したことが影響していると思います。

朝鮮の核武装は人類史の功績

北朝鮮も韓国人の安心感を増す努力を重ねています。保守に言わせれば「油断させるための努力」ですが。

北朝鮮は日米分断に全力をあげる」で紹介した、朝鮮中央通信の「朝鮮アジア太平洋平和委員会 敵対勢力の新たな制裁圧迫を非難」(9月7日)。

この記事は米国に対しては自分を核保有国として認めるよう要求し、日本には「米国に追従するな」と核で脅しました。ところが韓国にはやけに「優しい」のです。

韓国を揶揄する表現で満ちていますが「核攻撃するぞ」と脅す文言は一切ありません。それどころか、北の核武装により朝鮮半島が平和になるぞ、との懐柔用のくだりまであるのです。その部分を翻訳します。

朝鮮の水爆実験成功により、朝鮮半島をはじめとする極東地域とアジア太平洋地域での米国による核戦争の危険性が大きく抑制され、世界平和と安定を保障し得る信頼への担保が備わったことは、世界の人が激賞すべき人類史的な功績である。

—「人類史的な功績」ですか……。

鈴置:他の人類にとっては「厄災」です。が、「核さえ持てば米国に攻撃されない」と信じている、北朝鮮やその支持者にとっては「功績」です。

戦争狂の米国の方が危険

—でも現実には、核武装したからこそ攻撃されそうになっている。

鈴置:北朝鮮の指導層は今を乗り切って米国に核保有を認めさせれば――米国との間に核均衡を作り出せば、明るい未来が待っていると国民に教えています。自分たちもそう信じたいのでしょう。

—それを信じる人が韓国にもいるのですか?

鈴置:北朝鮮を支持する人たちはそう、信じています。そこまで信じなくとも「米国は戦争狂だ。朝鮮半島で戦争をやりたがっている。北朝鮮よりも危険だ」と考える人は韓国に結構います。

2017年3月23日に韓国で出版された『運命から希望へ』という本があります。分析心理学者のイ・ナミ・ソウル大学医学部外来兼任教授が当時、大統領選挙に出馬する意向を固めた文在寅(ムン・ジェイン)氏に所信と政策を聞きました。要は選挙対策用の本ですが、イ・ナミ兼任教授は以下の質問をしています。

ところで我々、普通の人の考えでは、トランプ(Donald Trump)はあまりに保守的で企業に好意的なようで、武器商らと関係があるようです。彼らは戦争をすれば米国経済がよくなると考えるでしょう。我が国で局所的な戦争をすれば武器も売れ、米国経済の助けになるので、いつかは戦争を起こしてやろうと考える人もいませんか?(246ページ)

イ・ナミ兼任教授は北の核武装が「人類史的な功績」とは言っていません。でも、米国が戦争を起こしかねないと信じています。そんな人の耳には「北の核は朝鮮半島の核均衡を通じ、平和をもたらす」との論理は、ある程度の正当性を持って響くと思います。

北の核は民族の核だ

—その質問に、文在寅氏はどう答えましたか。

鈴置:1994年の核危機の例を挙げ、米国は北爆を計画したが、こちら側の被害も大きいので断念した――との趣旨で答えています。

「米国は戦争好き」との発言を暗に認めたうえで「だから対話しかない」と自説の正しさを訴えたのです。

—対話で北朝鮮は核を放棄すると未だに考えているのでしょうか?

鈴置:文在寅大統領は「対話で解決する」との旗印を降ろしていません。トランプ大統領に叱られたので「圧力強化」などと言ってみせていますが(「トランプは満座の中で文在寅を叱った」参照)。

左派の発想からすれば、韓国が北朝鮮との関係を改善すれば、その核は危険ではないのです。上手くすれば「民族の核」として共有できると考えているのです。

ムクゲノ花ガ咲キマシタ

その夢を描いたのが小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』(1993年)です。南北が協力して核兵器を作り、日本に核ミサイルを撃ち込んで侵攻する、という粗筋です。日本語版では侵攻部分は削られていますが。

書いたのは左派の作家、金辰明(キム・ジンミョン)氏。100万部のベストセラーとなり、映画化もされました。よほど韓国人の心に響いたのでしょう。

日本では「反日小説」として受け止められました。もちろんそうなのですが「民族を分裂させて自分たちを支配する米国」への怒りを表出した作品でもあります。

左派に限らず、韓国人の心の奥深くにある米国に対する複雑な感情を代弁する一方、この本は人々を民族和合と自主独立へと駆り立てました。

文在寅大統領のスローガンが「自主国防」です。米国の軍事力のくびきから脱し、北朝鮮の同胞と手を取り合う――のが大方針です。

南北和合がそんなにうまくいくのかなあ、と思いますが、とにかく左派は「米国との同盟」よりも「民族の団結」が大事なのです。

原潜保有に動く韓国

—「核を否定しない左派」ということですか?

鈴置:「左派は核に反対する」というのは日本だけの発想です。日本にだって少し前まで「米国の核はいけないが、ソ連の核は防衛用だからいいのだ」と真顔で唱える左派がいたではないですか。

文在寅政権は核武装に不可欠な原子力潜水艦の保有に動いています。これを見ても大統領が反核派でないことが分かります。

原子力潜水艦がないと、核武装は完成しません。敵の先制攻撃で核ミサイル施設を打撃されたらお終いだからです。原潜は長期間、水中に隠れることができるため、先制攻撃を受けた後にも反撃できる貴重な「第2撃能力」を有します。

8月7日の電話協議で、文在寅大統領はトランプ大統領に原潜保有を打診しました(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。

9月17日の米韓首脳の電話協議に関連、朝鮮日報は「今週(国連総会の場で)開かれる米韓首脳会談で、韓国の原潜計画推進に向け、両国が協力するとの原則で合意される模様」と報じました。

韓米首脳が電話協議 800万ドルの対北支援問題は事前協議で回避」(9月18日、韓国語版)で読めます。

米国離れする韓国に対し、米国が本気で協力するとも思えませんが、とにかく文在寅政権は「原潜一直線」なのです。

「文在寅の原潜」は北朝鮮製の核を搭載するのかもしれませんし、自前の核を積むのかもしれません。いずれにせよ、その核が北を向かないことは確かです。

米韓同盟がなくなれば

—左派も保守派も韓国は核武装の準備を進めている……。

鈴置:その通りです。違いは、保守は米国との同盟を維持しながら核を持つ。左派は北の同胞と手を握りつつ核を持つ――点です。

—では、保守派の核なら日本に向かない、ということですか?

鈴置:とりあえずは。しかし韓国が米国から見捨てられる可能性が増しています(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

米国との同盟を失った韓国は自主国防を目指すか、中国にすり寄ってその衛星国として生きるかの選択を迫られます。が、いずれの場合も韓国は自前の核が欲しくなります。

前者の場合、通常兵力だけでは中国の脅威に耐えられない。後者の場合も核を持たないと中国に飲み込まれてしまうからです。

米国との同盟を失って、仮に自主独立の旗を掲げても中国の勢力圏に引きずり込まれていく韓国を、日本は仮想敵と見なすでしょう。韓国もまた、日本をそう見るでしょう。その時は「韓国の核」が日本を向くことになります。

現在、日本は北朝鮮の核武装という死活的な問題に直面している。でも実は、それに伴う韓国の核武装にも目配りする必要に迫られているのです。

北朝鮮がもう1つ

—韓国の核武装を論じた、矢野義明・元陸将補との対談の見出し。「10年後には『北朝鮮』がもう1つ?」としました。2015年6月の記事でしたが、まさにそうなってきました。

鈴置:見出しの方向は正しかった。しかし「10年後」は楽観的過ぎたかもしれません。

(次回に続く)

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『習陷政治對手纏鬥 紅二代不費分文合法成億萬富豪股東——何清漣: 中國經濟公私之變:國家資本主義為國本從未改變=習近平は政敵と混戦に陥る 革命二世代目はタダで合法的に億万長者の株主には成れず 何清漣:中国経済セクターの変化について 国家資本主義が主であることにに変化なし』(9/16アポロネット)について

Facebook記事の記事から引用します。

<央视说,这是邪教,遇到请报警。可是俺不敢报警,俺怕我一报警中共国保就会把我逮起来以”煽动颠覆国家政权罪”或”颠覆国家政权罪”关押重判我,或把我病死了!因为全世界都知道哪国的共产党才是世界上最大的邪教组织……

CCTVによると, これはカルトで、警察に通報しなければ。しかし、警察に通報するつもりはない。中国共産党が私を”国家政権扇動転覆罪”や”国家政権転覆罪”で拘禁・重罪で逮捕するか病死させるかだ。世界は彼の国の共産党が世界で最も大きなカルト集団だというのを知っている。>と。

9/19日経には中国の旅行予約サイト最大手、携程旅行網(シートリップ)の孫潔・最高経営責任者(CEO)に訪日客についてのインタビューした記事が載っていました。それによると、記者が「福建省など一部の地方都市で訪日団体を制限する動きがある」と聞いたのに対し、答えは「その件は把握しておらず、コメントできない」と。白々しいことができるのが中国人です。これは、外貨流出規制が一般庶民にも及んできているという事でしょう。外貨準備が相当減っているのでは。関連する記事が9/16東京新聞夕刊にありました。<中国、訪日団体旅行を制限 爆買いで資本流出警戒?>

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201709/CK2017091602000251.html

本記事は「深圳法制報」の記者で江沢民に睨まれ米国に亡命した何清漣女史の記事です。出て来る数字は少なく感じますが、中国の問題の深さは見えます。米国が「強欲資本主義」とすると、中国は「掠奪社会主義」と言う事ができるのでは。これが「結果の平等」を目指す共産国の宿痾と言うもの。三権分立していないから、為政者は「悪」を好き勝手できます。邪魔になるのは粛清するだけです。弱者に慮り等必要がないという世界です。中国の官僚は庶民を抑圧するための機関です。

本記事には中国が経済的に崩壊すると断言していませんが、何清漣・程暁農・(訳:中川友)著『中国-とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国”のカラクリ』の中で「中国は直近(20~30年)に経済崩壊することはないが長期的に見て衰退していくだけ。資本主義と違い倒産の概念が違い、国家が総てコントロールできるため。膨大な債務の問題も人民元増刷で乗り切ろうとする」と解説しています。そもそもこの本の原題は『中国:潰而不崩的紅色帝国=中国:潰れそうで潰れない共産党帝国』ですから。ただ、筆者たちが注意喚起しているのは「中国が外に向けて負の影響を撒き散らすプロセスでもある。例えば、海外への中国人の大量移住、環境汚染の外国への流出、国内の矛盾から目を逸らせるために対外的な衝突を仕掛ける等々」(P.21~22)です。これは小生が本ブログで何度も採り上げてきました。亡命中国人が想像しているという事は、中共はその通り動くという事です。日本のチャイナタウン、水問題、尖閣での戦争を考えておかないと大変なことになります。

記事

十九大前,中國經濟政策最顯眼的變化,是讓民營資本入股國企,但卻不享有話事權。有人驚呼,這是在倒退。這解釋過於皮相。

與毛澤東時代消滅一切私有經濟活動的計劃經濟體制不同,鄧小平開創的共產黨資本主義並不堅持制度教條主義,對企業所有制的方針靈活多變,只有一點未變,即從未放棄國有經濟的主導地位,對私營企業則視政治需要調整政策。理解這一點,必須理解中共極權統治“三個壟斷”的特點:政治壟斷(一黨專制)、資源與經濟壟斷、文化壟斷(控制媒體、教育和宗教)。其中資源方面的壟斷是土地、礦產、森林、水源全歸國有;經濟上的壟斷是指堅持以國有經濟為主導,重要企業必須國有,放棄經濟壟斷,就無法維持政治壟斷與文化壟斷。

1、壟斷國企成“特殊利益集團”

如前所述,1990年代後期,國有企業無法產生效益並成為包袱之時,朱鎔基在“建立現代企業制度”的國企改革中,始終堅持的“抓大放小”這一方針,通過對中小國企的改制養成了一批共產黨員資本家;與此同時,通過政策傾斜對大型國企進行資產重組,造就了一批控制國計民生的超大型國有壟斷企業,如鐵路、金融證券、電力、交通、能源、房地產等行業,形成了一批經濟寡頭。在2001-2010的這段時期內,這些通過壟斷形成的經濟寡頭成為中國政府的主要經濟支柱。在各種政策的強力扶持下,這些國企早就成了中國的經濟寡頭,能夠對中央政府的經濟政策施加強有力影響。這些國企中,政商勾兌尋租成為一個相當普遍的現象。一些具有官員背景的強勢民營企業依附於這些壟斷型國企,以公權力為靠山和保護傘,肆無忌憚地賺取超額利潤,甚至尋求非法資本回報。比如周永康的兒子周濱就利用其父在石油系統任職的關係網,從事各種與石油有關的生意謀取暴利。

胡錦濤於2003年接任中共掌門人之後,對私營經濟的政策與實踐開始分裂。國務院在2005年就制定了“非公經濟36條”,承諾凡是競爭性產業,都允許民營資本進入;凡屬已經和將要對外資開放的產業,都允許對內資民營經濟開放;並允許非公有資本進入壟斷行業和領域。但實際上,也就是在那段時期,在不少有利可圖的領域內開始了“國進民退”,民航業是國進民退現象最典型的一個行業。國務院國有資產監督管理委員會又主導了一輪“國進民退”,讓國有資本進駐一些競爭性行業並逼退民營資本,民用航空業是這輪“國進民退”的重點領域。2009年,中國首家獲批的民營航空公司鷹聯航空由四川航空公司斥資2億元持掌鷹聯航空76%股份,成為首家退出民營陣營的航空公司。

與習近平時期相比,胡溫時期的言論空間相對寬鬆,民營資本與他們的黨內代理人及部分知識精英一道,發起了一場批評國企經濟寡頭是特殊利益集團的討論。不少人撰文批評以“兩桶油”(中石油、中石化)為代表的壟斷型國有企業,認為這些企業利用壟斷資源與壟斷經營的優勢,以及政府賦予的定價權,排除競爭,高成本,低服務,是推動價格上漲的罪魁禍首,比如以地產、石油、電力等壟斷企業為代表的“特殊利益集團”,聯手推動價格上漲。還有人批評國有壟斷企業無償佔有公共資源,利用政府給予的壟斷地位獲取超額利潤,但最後只有這些企業本身與政府能夠分享其利,公共資源的真正主人――民眾除了通過別無選擇的消費貢獻銀子之外,利潤與民眾福祉無關,這些國企連為社會創造的就業機會也遠遠低於民營資本。

在長達幾年的批評聲中,國企成了腐敗、壟斷、低效的代名詞。北京理工大學經濟學教授胡星斗將這場輿論戰的內容加以總結,寫了篇《壟斷企業十宗罪》:1、阻礙了中國現代化的實現。2、支撐了集權與人治,破壞了法治。3、破壞了市場經濟秩序,形成官僚市場經濟、權力市場經濟。4、造成了嚴重的腐敗。國際組織曾經對154個國家進行調查,結論是國有經濟比重越大的國家越腐敗。5、形成了分配不公,擴大了貧富差距。6、妨礙了老百姓致富。壟斷國企對私人企業產生擠出效應。7、催生了既得利益集團,阻礙了改革。8、導致了經濟低效率。9、形成了重複建設、產能過剩的巨大浪費。10、扼殺了民族創新能力。在上述各種問題當中,批評意見的焦點主要是與其他行業相比,壟斷型國企收入太高,國企領導層年收入逾百萬外加分紅、公款高消費,胡星斗提供的數據是:“壟斷國企的職工佔全國職工的8%,但其工資總額佔全國的65%。國企老總利用公共資源創造的財富,成了其個人揮霍的錢庫,比如中石化原老總陳同海受賄近兩億,平均每天消費4萬多元。

當政者的反駁也非常多,《人民論壇》“特別策劃”組推出《李榮融困局——當前國企十大爭議話題剖析》專題報道是代表作。國有資產管理委員會首任主任李榮融認為,國企承擔的重大使命與特殊地位,讓它在輿論的風口浪尖上飽受煎熬。民眾罵聲一片,一是經驗層面的評價,二是媒體的誤解曲解。至於國進民退、與“民”爭利、效率低下、分紅太少都是偽命題。在一一批駁以後,李榮融強調,以公有製為主體的基本經濟制度是社會主義制度的基石,否定國企,實質就是要否定公有制,而否定了公有制,自然否定了社會主義制度,否定了社會主義制度,則黨的領導地位則隨之喪失。

2、國有企業成為吞食資源、虧損腐敗的經濟怪獸

中國政府之所以要維持大型國企的政治經濟地位,主要出於政治需要。國家控股的大型企業被視為“共和國長子”,政府給予各種政策傾斜加以扶持。例如,政府通過壟斷土地、礦產等資源和壟斷重要行業,讓國企擁有產品定價權,攫取巨額利潤輸送給中央財政。在中國經濟的鼎盛時期,中國國有資產管理委員會發布的《國務院國資委2009年回顧》顯示,從2002到2009年中央所屬企業上繳稅金年均增長21.6%,國企的稅負均值是私營企業稅負綜合平均值的5倍多,是股份公司稅負平均值的2倍。同時,國企也是政府對外援助和對內實施政治及社會控制所需經費的小金庫。例如,中國高層官員去外國訪問時,經常隨帶大量採購合同或援助項目,這些支出往往通過國企支付。

此外,國企的工資、福利和工作穩定性都遠遠優越於私營企業和外資企業,到這樣的企業就業,幾乎成為中國人職業選擇時僅次於公務員職業的次優選擇,因此,國企往往成為官僚、權貴親屬的謀職之地。美國彭博社的一篇報道揭露,共有103位在國企任高管的紅二代,曾用MBO(經理人持股)的名義讓自己致富,他們領導或運營的國企2011年總市值為1.6萬億美元,相當於中國年度經濟產出的1/5強。在21世紀前十年的國企改革中,這些紅二代通過MBO的方式,不費分文攫取了大額股份;在資產數億或者數十億的超大型國企中,持股哪怕不到1%,也是一塊巨型蛋糕。

國企與紅色家族之間既然形成了家國一體的利益輸送管道,這些被管理層大肆攫利的企業不可能經營良好。隨着近年來中國經濟的衰退,國企的黃金歲月結束了,成為銀行壞賬的主要源頭,拖累了中國的國有銀行。自2014年以來,中國媒體上大量出現“殭屍企業”一詞,指那些嚴重虧損、依賴銀行貸款在維持運轉的國企。截至2015年底,在中國股市上這樣的“殭屍企業”就有266家,佔10%,集中於鋼鐵、煤炭、水泥、玻璃、石油、石化、鐵礦石、有色金屬等八大行業。中國進入“世界500強”的企業有100家,其中16家是虧損企業。例如,“中國鋁業”號稱“A股虧損之王”,2014年度凈虧損為163億元人民幣;“鞍鋼集團”有800億銀行債務,2015年凈虧損43.76億,“渤海鋼鐵”債務達1,920億。這些進入“世界企業500強”的大型國企長期處於低效虧損的狀況,使得中國金融系統有如得了敗血症的病人,這頭剛為國企輸入紅色的新鮮血液(注入資金),那頭就流出黑血(即壞賬)。

屈指算來,這是中國1978年改革開放以來的第三輪壞帳了。三輪壞帳的形成各有原因,但有一個原因是不變的,即國企靠銀行不斷輸血維持。興業策略研究報告估計,如果在兩年內這些殭屍企業全部倒閉,70%的有息負債成為壞賬,影響債務約10,671億,年均5,300多億。其中10%為債券,90%為銀行債務。

2012年是中共十八大權力交接的敏感時期,習近平雖然接掌了中共最高權力,但陷入政治對手的纏鬥之中,國企問題暫時退出公共視野。胡溫時期那輪有關國企的爭論所指出的各種弊端,只有國企管理層與員工的巨大收入差距被列入解決的清單位之中。2016年1月,央企開始執行國企高管降薪資方案,把負責人與普通員工的收入差距從12倍調整為7-8倍,全國各地的國企高管平均降薪30%。全國25個省份公布了國企高管降薪方案,大多數將國企老總的基本年薪限制在了普通員工的2倍以內,把總體年薪限制在8倍以內;限制幅度最大的寧夏,將高管的總體年薪限制在了普通員工的5倍以內。2017年9月15日,官方宣布“多地推進國企改革細化方案”,要點就是“國企市場化薪酬改革提速”。

可以預見,只要國企的運行機制不改,民營資本在政治壓力下入股國企,只是讓國企獲得了“免費貸款”,除了國企經理層薪酬過高獲得解決之外,所有問題依舊,對政府來說,唯一的意義就是將銀行的負擔轉嫁到民營企業頭上。

來源:美國之音博客

第19回共産党大会前に、中国の経済政策で最も目立った変化は、民間資本を国営企業に投入、但し株主権は行使できずと言うもの。驚いて言うには、「(改革の)後退」ではないかと。これは皮相的な解釈に過ぎる。

毛沢東時代の私的経済活動を一切認めない計画経済体制と違い、鄧小平が切り開いた共産党資本主義は制度の教条主義をなくし、企業所有制を認め変化を活発にしたが、変わらないことはただ一点、国有企業の経済的な主導的地位を放棄せず、私営企業に対しては政治的に政策調整する必要があると看做したことである。この点を理解するには、中国共産党の“3つの独占”を理解する必要がある。:政治(一党専制)の独占、資源と経済の独占、文化の独占(メディア、教育と宗教を支配)。そのうち、資源の独占は土地、鉱物、森林、水源等全部国有である。経済の独占は国有企業を主とする経済にするため。重要な企業は国有でなければならず、経済の独占を放棄することは政治と文化の独占もできなくなるという事である。

1.国営企業の独占は“特殊な利益集団”を産む

前述のとおり1990年代後期に、国有企業は収益を伴わず、お荷物になった時、朱鎔基の“現代的企業制度の建設”の国営企業の改革中に言われたのは、 “大企業は監督し、小企業は規制緩和する”で、中小企業の制度改革により共産党員の資本家を育てようとした。これと同時に、大型国営企業に資本再編をする傾斜方式を採り、国家経済と民生を制御する超大型の国有企業を作り、鉄道、金融証券、電力、交通、エネルギー、不動産などの業界のように、経済的寡占を形成した。

2001-2010の時期に、経済的寡占が中国政府の主たる経済的支柱になった。各種の政策の強力な支援の下、これらの国営企業はとっくに中国の経済的寡占になって、中央政府の経済政策に強く影響を与えることになった。これらの国営企業の中には、政商やレントシーキングが混ざり合い、普遍的な現象になった。役人の中には民営企業に対し強気なのがいるが、独占型国営企業に属し、公権力の保護を当てにして、ほしいままにふるまい、超過利潤を受け取り、更には違法な資本回収を求めることも。周永康の息子周浜が、父が石油閥にいた時には、石油関連の商売に従事して暴利を得た。

胡錦涛は2003年に中国共産党総書記となったが、私営経済政策とその実践において分裂し始める。国務院は2005年に “公営企業でないための36条”を制定し、競争できる産業を許し、民間資本が入ることを許可した。過去や将来における外資への開放できる産業は、国内の民間資本にも開放することを許可すると。かつ公営でない資本が独占業界に入ることをも許可する。ただ実際には、その時期には、少なからず “国進民退(国有が民間所有を締め出す)”が起きていて、航空業界がその典型である。国務院・国有資産監督管理委員会は“国進民退”を主導し、国有企業を競争から守り、民間企業を追いやった。民間航空業界は“国進民退”の重点領域だった。2009年に、中国で初めて民営航空会社となった鷹聯航空は、四川航空が2億元を投資して鷹聯航空の76%の株を持つことで、民営航空会社から追い出された。

習近平の時期と比べ、胡温の時期の言論空間は相対的にゆったりとしていた。民営資本と彼らの党内代理人と一部の知識人達はいっしょに、国営企業の経済寡占が特殊な利益集団を産むことへの批判もしたりした。多くの人が “両桶油”(中国石油と中国石化のこと)を独占型国有企業の代表として批判した。これらの企業は資源を独占、かつ独占経営の優位性の利用を考え、政府が与えている価格決定権により、競争を排除、高コスト、低サービスなのに、価格上昇させた張本人である。例えば不動産、石油、電力など独占企業の代表としての“特殊な利益集団”は共に手を携えて価格上昇を推進した。更に、国有独占企業は無償で公共資源を占有し、政府の与えた独占的地位を利用して超過利潤を得、最後にこれらの企業と政府が利潤を分かち合う時に、公共資源の本当の主人である民衆は別に選ぶこともなくお金を使い貢献することを除いて、利益と民衆の福祉は関係なく、これらの国営企業は社会を創造する就業機会でさえ、民営資本より遙かに低いと言って批判する人もいる。

長く数年にも亘る批判の内、国営企業は腐敗、独占、非効率の代名詞になった。北京理工大学経済学教授の胡星斗は輿論戦の内容に加えて《独占企業の10の原罪》を書いて総括した。:1、中国の現代化の実現を阻害した。2、集権と人治を支え、法治を破壊した。3、市場経済の秩序を破壊して、官僚の市場経済・権力の市場経済を形成した。4、激しい腐敗を引き起こした。国際組織は以前に154の国家に対して調査を実施し、結論は国有の経済的比重が大きい国家は益々腐敗すると。5、分配の不公平は、貧富の差を拡大した。6、庶民が富むことを妨害し、独占国営企業が私企業を追い出す効果を生じさせた。7、既得権益の集団を産んだことは、改革を阻害した。8、経済の低い効率を引き起こした。9、重複投資をし、過剰設備により巨大な浪費を齎す。10、民族の創造開発能力を扼殺した。

上述の各種の問題のうち、批判的な意見の焦点は、主に他の業界と比べて、「独占国営企業は売上が多く、国営企業の役員は年収が百万元を越え、更には配当もあり、公金で贅沢をし、胡星斗が提供するデータでは“独占国営企業の職員は全国職員の8%を占めるが、給料総額では全国の65%を占める。国営企業のトップは公共資源が作る富を利用して、その個人の金庫として金を湯水のように使い、例えば中石化のトップの陳同海は2億近く収賄し、平均すれば毎日4万元以上消費できる。”」と。

政権担当者の反論は非常に多く、《人民フォーラム》“特別企画”として《苦境の李栄融――現在の国営企業の十大争点の分析》として報道したのが代表作である。国有資産管理委員会の筆頭主任の李栄融は、「国営企業が引き受ける重大な使命と特別な地位は、輿論という風が最も強く波が最も高いところで、苦しみをいやというほど受ける。民衆の罵声は、一つは経験に基づく評価で、二つ目はメディアの誤解・曲解である。国進民退において“民”と利を争い、非効率、低配当というのは全て偽である」と。一つ一つ反駁して、李栄融は「公有制を主体的な基本的経済制度とすることは社会主義制度の礎石で、国営企業を否定することはイコール公有制を否定することである。公有制を否定すれば、自然に社会主義制度を否定することとなり、党のトップの地位も失われることになる」と強調した。

2、国有企業は資源を呑み込み、赤字で腐敗した経済的怪獣である

中国政府が大型国営企業の政治経済的地位を維持することは、主に政治的必要からである。国が株主の大企業は“共和国の長男”と見なされ、政府は各種政策を通じ、助けている。例えば、政府は土地を独占することを通して、鉱物資源と独占且つ重要な業界は、国営企業として製品価格決定権を発揮させて、ぼろ儲けをし、中央の財政に組み込む。中国の経済が盛んな時期には、中国国有資産管理委員会が発表した《国務院国有資産監督管理委員の2009年回顧》によれば、2002年から2009年の中央に属する企業の税金納付の年平均上昇率は21.6%も伸びて、国営企業の税負担平均値は私営企業の税負担平均値の5倍も多い。それは株式会社税負担平均値の2倍だ。同時に、国営企業は、政府が外国に対する援助と国内に対して実施する政治的社会的な経費の出どころである。例えば、中国高官が外国訪問する場合、よく大量の仕入契約あるいは援助プロジェクトを手土産にするが、これはよく国営企業によって支払われることとなる。

また、国営企業の給料、福祉と仕事の安定性は私営企業と外資企業と比べ遙かに優越している。このような企業に就職することは、中国人が職業を選ぶ際には公務員に次ぐ選択になり、これがため、国営企業はよく官僚になったりして、権力者の親族のネポテイズムとなる。米国のブルームバーグ社の報道によれば、「国営企業の革命二世代目の高級幹部103人はMBO(マネジメントバイアウト)を使い、自分の懐を潤した。彼らが指導・運営する国営企業の2011年の総市場価格は1兆6千億ドルで、中国の年間の経済的な産出額の1/5強に相当する。21世紀になる前の十年にあった国営企業は改革中で、革命二世代目のMBOの方式によって、コストもかからず、多量の株を強奪した。資産が数億、あるいは10億の超大型の国営企業の中で、持ち株がたとえ1%としても、それは巨大になる。」と。

国営企業と赤い一族の間には国・家族一体の利益を運ぶシステムが作られている以上、管理層がいくら頑張っても経営が良くなることはない。近年の中国経済の衰退は、国営企業の黄金時代が終わり、銀行の不良債権となり、中国の国有銀行の足手まといともなっている。2014年から、中国のメディア上に “ゾンビ企業”の文字が大量に現われた。夥しい損失を出しても、銀行ローンをジャンプさせて、国営企業が維持できるように依頼する。2015年末まで、中国株式市場の “ゾンビ企業”は266社になり、10%を占め、鉄鋼、石炭、セメント、ガラス、石油、石油化学、鉄鉱石、非鉄金属などの8大業界に集中する。

中国は“フォーチュン誌の企業500社番付”の企業に100社も入るが、そのうちの16社は赤字企業である。例えば、“中国アルミ業”は“A株の赤字王”として有名で、2014年の純損失は163億元である。“鞍鋼集団”は800億元の銀行債務があり、2015年の純損失は43.76億元、“渤海鉄鋼”の債務は1,920億に達する。これは“世界企業上位500社”に入っている大型国営企業が長期に亘り、非効率・赤字に陥っていることを表し、中国の金融システムを敗血症の病人のようにさせて、国営企業のために頭に赤い新鮮な血液(資金注入)を輸血すると、直ぐにその頭は黒い血を流し出す(即ち赤字)。

指折り数え、これは中国の1978年の改革開放以来の三輪の不良財務諸表である。三輪の不良財務諸表の形成にはいろんな原因があるが、1つの原因は不変である。即ち国営企業は銀行により絶えず輸血して貰い維持する。興業政策の研究報告によれば、もし2年以内にこれらのゾンビ企業がすべて倒産すれば、有利子負債の70%は不良債権になり、約10,671億の債務に影響して、年に直せば5,300億である。そのうちの10%は証券として、90%は銀行債務である。

2012年は中国共産党第18回大会があり、権力争いで微妙な時期でした。習近平は中国共産党の最高権力を握っていても、政敵との闘いに陥っている。国営企業の問題は一時的に視野からはずされる。胡温の時期に、国営企業の論争に関して指摘された各種の不正行為は、ただ国営企業管理層と従業員の巨大な所得格差が解決されたというだけで終わる。2016年1月、中央の企業は国営企業上級管理職減俸案を実施し、責任者と一般従業員の所得格差を12倍から7-8倍にするため、全国各地の国営企業の上級管理職は平均で30%減俸することにした。全国の25省は国営企業上級管理職減俸計画を公表して、大多数の国営企業のトップの基本的年収は一般従業員の2倍に制限し、全体の年収の差が8倍以内に制限される。制限の幅が最大なのは寧夏回族自治区で、上級管理職の全体年収は一般従業員の5倍内に制限される。2017年9月15日、政府筋は“多くの国営企業の改革推進案”を宣言した。要点は “国営企業の市場化のため給与の改革を加速する”である。

予見できるのは、国営企業の運営体制を変えなければ、民営資本は政治的圧力の下、国営企業に組み入れられ、国営企業に“無償の銀行ローン”を獲得させて、国営企業の経営層の高報酬問題を解決する以外、すべての問題は依然として残り、政府について言えば、唯一の意義は銀行の負担を民営企業に転嫁しただけである。

来源:ボイスオブアメリカのブログ

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『ミサイル乱射の中、「親北」に突き進む韓国 文在寅は「核再配備」という踏み絵を蹴り飛ばした』(9/18日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『ミサイル開発の一方で、暗くて寒い北朝鮮の暮らし 統計データから見えてくる北朝鮮のエネルギー事情』(9/18JBプレス 川島博之)について

9/15宮崎正弘氏ビジネスジャーナル記事<米国内で日本と韓国の核武装容認論が急浮上…中国への核攻撃も議論>

http://biz-journal.jp/2017/09/post_20608.html

9/13ZAKZAK<核の黒幕暴く!北最強制裁採択の裏で注目される支援国家の存在 米紙「海外で技術吸収する科学者の卵」>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170913/soc1709130006-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsPhoto

9/16産経ニュース<北朝鮮への軍事行動、米国民の58%が支持 「平和解決できない」25ポイント大幅増 ギャラップ世論調査>

http://www.sankei.com/world/news/170916/wor1709160020-n1.html

今度の総選挙で野党は「解散の大義名分がない」と言っていますが、大ありです。これだけ北の脅威が迫り、「日本の4つの島を核爆弾で海中に沈める」と言っている訳ですから、宣戦布告と思ってよいでしょう。憲法改正や国防の装備(ニュークリアシエアリングも含めて)向上のための予算措置等、国民の意見を聞いた方が良いと思います。安倍首相の判断一つでしょうが。ただ、緊迫した情勢の中にあっても、10/22or29の選挙であれば戦争は起きないとの判断からです。11/4~6にトランプ大統領の訪日がありますのでそれまでは米軍の攻撃はないと思います。

何時もいっていますように「朝鮮総連」、「朝鮮高校」はテロの拠点になり得ます。本来総連の建物は明け渡しを強制執行すべきと思うのですが、やりません。これを口実にして北がミサイルを日本に撃ちこむことを恐れているのでしょうけど。でもそれだと、米朝間で戦端が開かれたときに、日本人の犠牲者が増えるのでは。そうなってからでは遅いのですが、今の日本人は教訓を与えられないと気付かないのでしょう。まあ、まだメデイアの洗脳にドップリ浸かったままですから。

鈴置氏の記事で、文大統領が西側社会に対する裏切り者というのがハッキリして来ました。でも選んだのは韓国民です。ワイマール憲法下でヒットラーを選んだドイツ国民と同じような歴史的評価を下されるかもしれません。二度の世界大戦を戦ったドイツ国民と、日本と共に第二次大戦を戦ったのに戦勝国と詐称する韓国民を一緒にしてはドイツ国民に失礼かも知れませんが。

川島氏記事は途中で切れています。ただ北朝鮮の一人当たりエネルギー消費量が北方にあるにも拘わらず低いということは分かります。民生部門が核やICBMの犠牲になっていることが分かります。本来であれば国民が革命を起こし、金正恩の斬首をすれば良いのでしょうけど、近代にいたっては火力の差が軍と庶民の間では開き過ぎました。軍を味方につけなければ革命は無理でしょう。結局、国際社会が金王朝を打倒しなければ北朝鮮人民に安寧は訪れないという事です。国際社会と言っても中露は米国一極支配を邪魔するため、金一族に力を貸している状況ですから、西側自由社会の圧力・軍事力で金王朝を打倒するしかないでしょう。

9/15ヤフー記事<北朝鮮の「無謀な」ミサイル発射に「世界規模での対応を」、NATO事務総長>

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170915-00000044-jij_afp-int

9/11East Asia Forumの賈慶国(Jia Qingguo)北京大学教授の寄稿を読みますと、「米中戦争が起きる前提で、中国は不測事態対応計画を立てないとダメ」と言うもの。中国も戦争は不可避と見ているのでは。ただ彼(中国?)が要求するのは5つ。

①北の核の戦後処理。誰が管理するのか。北には持たせられない。米軍が核不拡散を建前として管理するのは反対。一方、米軍が38度線を越えて朝鮮半島に出るのにも反対。バランスが良いのは中国が北の核の管理をすること。

②北朝鮮の難民が中国に押し寄せる対応として、PLA(人民解放軍)が北朝鮮内に入り、安全地帯としてのキャンプを作り、そこで管理する。

③戦後治安は誰が担うのか?韓国軍、国連平和部隊、他の部隊?中国は米軍が38度線を越えて出て来るのは反対。

④戦後、朝鮮半島の統治形態をどうするのか?国際社会は、新しい北朝鮮政府にするのか、国連主体で統一朝鮮半島政府の準備の為に国民投票を実施させるのか?

⑤THAADの在韓米軍配備の撤回

http://www.eastasiaforum.org/2017/09/11/time-to-prepare-for-the-worst-in-north-korea/

流石に中国人だけあって抜け目のない要求をしています。まあ、北よりは中国の方がMADの信頼度の確率は上がるでしょうけど。でも最終的な敵は人権を抑圧する共産主義国です。忘れないように。

鈴置記事

9月15日、北朝鮮が日本越えのミサイルを発射(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮が日本を越える弾道弾を撃つ中、文在寅(ムン・ジェイン)政権が「反米親北」路線を突き進む。戦術核兵器を韓国に再配備する構想を蹴り飛ばしたのだ。韓国の保守からは「大統領は国を守る気があるのか」と悲鳴があがる。

日本列島を海の中に押し込む

—9月15日朝、北朝鮮がまた日本越えのミサイルを撃ちました。

鈴置:8月29日の弾道弾と同様、北海道の上空を通過しました。北朝鮮は威嚇を日常化することで、日本人を屈服させるつもりです。

日本は米国とともに経済制裁や軍事的な圧力をかけ続けてきた。それを止めないと核を撃ちこむぞ、と脅しているのです(「北朝鮮は日米分断に全力をあげる」参照)。

9月13日の朝鮮中央通信は、以下のような朝鮮アジア太平洋平和委員会の声明を伝えました。日本語版からそのまま引用します。なお、文中の「島国夷」「ウェノム」「チョッパリ」は日本人に対する侮蔑語です。

米国の制裁策動に便乗して軽率に振舞った日本の島国夷に対する指弾の声も激しく出ている。

千年来の敵であるウェノムのざまを見るほど目に火がつくようだ、わが人民に千秋にすすげない罪を犯しておきながらも謝罪をまともにせず、米国の「制裁」の笛に踊りながら憎らしく振る舞う奸悪なチョッパリらをそのまま放っておけない、日本列島の上空を飛び越えるわれわれの大陸間弾道ロケットを見ながらもいまだ気を確かに持てず、意地悪く振る舞う日本のやつらにはっきり気概を示すべきだ、取るに足りない日本列島の4島をチュチェの核爆弾で海の中に押し込むべきだ、日本はこれ以上われわれの近くに置く存在ではない、これがわが軍隊と人民の激昂した声である。

韓国は取り込んだから次は日本

—相次ぐ日本越えのミサイルは明らかに「米国との共闘を止めろ」というメッセージですね。

鈴置:その通りです。日米両国政府はしばしば「日米韓の北朝鮮包囲網」と言いますが、韓国はすでに切り崩されました。次は日本、ということです。

文在寅大統領は9月14日、CNNとのインタビューで「北朝鮮の核の脅威に対抗するために、韓国が核兵器を独自に開発するとか、戦術核兵器を再配備することに賛成しない」と述べました。

聯合ニュースの「文大統領『核保有で朝鮮半島の平和を保障できず』……核開発・再配備に反対」(9月14日、韓国語版)が伝えました。

北朝鮮の核武装が現実のものとなったため、韓国では保守の野党や保守系メディアが在韓米軍への戦術核の再配備を訴えています。

「再配備」と呼ぶのは、1990年頃まで米軍は韓国に原子砲や航空機搭載用の小型核爆弾を配備していたからです。韓国と北朝鮮は1991年12月に南北非核化共同宣言を合意しました。これに伴い米軍も核兵器を撤収したのです。

米国はどこに核兵器を置いてあるかは確認しない政策をとっているので、代わりに韓国の大統領が「すでに核兵器は存在しない」と宣言することで「撤収」を担保しました。

なお「ソウル五輪(1988年)の頃にはすでに韓国から核兵器はなくなっていた」と言う専門家もいます。当時、在韓米軍の訓練科目から「核防御」がなくなったためです。

保守党は党論に

—非核化宣言ということは……。

鈴置:南北双方が核兵器を製造、保有、使用せず、さらには核燃料再処理施設、ウラン濃縮施設を持たないことを約束したのです。当然、北朝鮮の核武装はこの宣言に完全に違反しています。

今、韓国には「核兵器の独自開発を進めよう」との意見が高まっています。ただ、すぐには実現できないなどの理由から、保守は「再配備」を求めているのです。

野党第1党の自由韓国党は8月16日「戦術核の再配備」を党論に定めました。聯合ニュースの「韓国党『朝鮮半島への戦術核の再配備を党論に採択』」(8月16日、韓国語版)が詳しく報じています。

9月3日の6回目の核実験を受け、第2野党で中道の「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表も9月6日「再配備」に関し「今後、皆で論議して方向をお話したい」と述べ、含みを持たせました。

聯合の「安哲秀、『THAAD配備に他策なし』・・…米戦略資産も常時循環配備」(9月6日、韓国語版)が伝えました。

青瓦台と国防部にできた溝

—文政権は反対ですね。

鈴置:そうです。ただ、青瓦台(大統領府)と国防部の間には溝が生まれ、なおかつそれが表面化しています。

8月30日、宋永武(ソン・ヨンム)国防長官がワシントンでマティス(James Mattis)国防長官と会談した際に戦術核の再配備にも言及した、と報じられました。

聯合ニュースの「韓国への戦術核・原子力潜水艦配備にも言及=韓米国防相会談」(8月31日、日本語版)で読めます。

これに対し青瓦台は「再配備の要請はしなかった」と直ちに否認しました。聯合の「戦術核の再配備、検討したことない=韓国大統領府高官」(9月1日、日本語版)によると、以下です。

(青瓦台の)高官は「政府は国際的な核不拡散体制を尊重しており、その規範内ですべての政策を維持してきた」と説明。

宋氏の発言に対し「われわれの自主国防力強化に向けた国内の状況を説明する過程で戦術核に言及したもの」との認識を示した。

宋氏本人からも、戦術核の配備が望ましいとの趣旨ではなかったことを確認したという。

ワシントンから強力な援軍

—宋永武国防長官は青瓦台に叱られたでしょうね。

鈴置:そう思います。しかしこの後、軍や保守党には強力な援軍が到来しました。9月8日、米NBCが「Trump Team Prepping Aggressive Options for North Korea」で「韓国への戦術核の再配備も排除しない」との匿名のホワイトハウス高官の談話を報じたのです。原文は以下です。

In addition, the administration is not ruling out moving tactical nuclear weapons to South Korea should Seoul request them, a White House official said, though many consider such a move a nonstarter. It would break with nearly three decades of U.S. policy of denuclearizing the Korean Peninsula.

これで勢いづいたのが韓国の再配備論者です。韓国党はトランプ大統領に再配備を要請する手紙を送ることを決めたほか、国内政局の争点に浮上させるため、世論喚起に動きました。

東亜日報の「最大野党自由韓国党、『戦術核再配備』要請でトランプ大統領宛て書簡へ」(9月11日、日本語版)が伝えています。

保守系の2紙も9月11日、改めて社説で再配備を米国に求めるよう主張しました。東亜日報の社説は「米国で出てきた戦術核再配備論、THAADを記憶せよ」(日本語版)、朝鮮日報は「文政権はどんな対案があって国民を守る機会を見逃すのか」です。

9月10日には米国防族の大御所、マケイン(John McCain)上院議員が「数日前、韓国の国防長官が核の再配備を求めた。これを真剣に検討せねばならぬ」とCNNに語りました。

発言は「John McCain: North Korea must know price for aggression is ‘extinction’」によると以下 です。

“The Korean defense minister just a few days ago called for nuclear weapons to be redeployed,” McCain told anchor Jake Tapper, adding he thought “it ought to be seriously considered.”

首脳会談で約束したではないか

さらに米政府が運営するVOA(アメリカの声)が、戦術核の再配備を拒否する文在寅政権を暗に批判する記事を載せました。

国務省、『朝鮮半島に戦術核配備を検討』との主張に『全ての手段で北を圧迫と約束』」(9月12日、韓国語版、談話部分は英語と韓国語)です。

国務省のチェ(Grace Choi)東アジア・太平洋担当報道官の「トランプ大統領と文在寅大統領は北朝鮮に最大の圧迫を加えるため、すべての手段を動員しようと合意した。両大統領は連合戦力の強化も約束している」という談話から始まっています。

“President Trump and President Moon Jae-in agreed to maximize pressure on North Korea using all means at their disposal. They also pledged to strengthen joint military capabilities.”

確かに米韓首脳は6月の米韓首脳会談で「北朝鮮に対抗するための連合戦力の強化」を約束しています。共同宣言にも入れています(「『戦闘モード』に韓国を引き込んだ米国」参照)。

VOAは再配備に関し、米政府がどんな方針かは報じませんでした。が、チェ報道官の発言を読んだ人は「米国は再配備に前向きだな」と思います。「文在寅がまた、米国を裏切ったな」と考える人もいるでしょう。

韓国を揺さぶる朝鮮中央通信

—THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の追加配備を認めたので、文在寅政権は「反米親北」を棚上げしたかと思っていました。

鈴置:追加配備は認めました(「トランプは満座の中で文在寅を叱った」参照)。しかしそれはあくまで「臨時配備」です。

本格的な環境影響評価を今後実施することになっていて「環境を悪化させることが判明したから、THAADは持ち帰れ」と米軍に言える余地は残してあるのです。

朝鮮中央通信はこのところ、連日のように「THAAD配備を認めた南の傀儡(かいらい)」を非難しています。9月13日には「THAAD非難記事」を3本も載せました。

しつこく非難するのは、状況が変化すれば文在寅政権がTHAAD撤収を米国に要求すると北朝鮮が考えているからでしょう。

一方、戦術核は一度、再配備したら撤収は容易ではない。国民の反対運動が起きるのは間違いありません。韓国では6割前後の国民が核保有に賛成しているのです。反対は約3割です。「戦術核の撤収」は政権が倒れるほどの政争になりかねません。

—配備したままにしておけばいいのでは?

鈴置:そんなことになったら「米国の核の傘」にもっと深く取り込まれ、北朝鮮との軍事対立の構図が固定化すると文在寅政権は考えているのでしょう。

目先の話で言っても、南北対話を北に応じてもらえなくなります。南北和解こそはこの政権の存在意義です。だから米国にどれだけ叱責されても北に対話を懇願するのです

米国のカードをまたも潰した

—米政府は「戦術核再配備」を公式に言い出すのでしょうか。

鈴置:文在寅大統領がはっきりと反対した以上、言い出しにくくなりました。米韓の亀裂を世界に見せることになってしまいます。

文在寅大統領がCNNを通じきっぱり断ったのも、米国からの「再配備の声」を止める目的だったと思います。野党が調子づくのを防ぐためです。

なお、米国の「非公式の再配備論」は、強力な国連の北朝鮮制裁に応じるよう、中国とロシアに圧力をかける目的もあったと思います。米国は国連安保理での北朝鮮制裁決議の「尻」を9月11日に切っていました。それを前に、脅し材料を見せたのです。

—「再配備」がブラフに過ぎないなら、米国に実害はなかったのでは?

鈴置:大ありです。韓国の大統領が否定したことで、米国は「再配備」を中ロ向けの交渉カードとして使えなくなりました。韓国が嫌がるというのに米国が無理やり戦術核を持ち込むわけにもいきません。

韓国が北朝鮮との対話を言い続けることで、米国が主導する「対北圧力」の力を弱めてきたのと同じ構図です。そして「再配備」は米国が韓国に突き出した「踏み絵」にもなっていた。それを文在寅大統領は蹴り飛ばしたのです。

8月15日、文在寅大統領は事実上の中立宣言を発し、米国の対北攻撃を牽制しました(「韓国の無神経な『中立宣言』に米軍が怒った」参照)。

9月1日、北の6回目の核実験が予想される中、青瓦台が「米韓両首脳は電話協議で北朝鮮との対話が大事だと再確認した」と発表し、トランプ大統領からツイッターで叱責されました(「トランプは満座の中で文在寅を叱った」参照)。

9月14日には韓国政府は北朝鮮への人道支援を検討すると発表しました。「再配備拒否」はこれら一連の「反米親北」政策の一環なのです。度重なるサボタージュに、米政府は怒り心頭に発していることでしょう。

激化する国内対立

保守系紙は9月15日も社説で文在寅大統領に対し「戦術核の再配備拒否」など北朝鮮の顔色ばかりうかがう政策を改めるよう要求しました。

朝鮮日報の社説「文大統領は『戦術核に反対』、政府は北支援を検討」(韓国語版)は「我が国の安保状況は足元に火が付いた状況だ。というのに他人事のように語る、安保の責任者の発想には驚くしかない」と断じました。

東亜日報の社説「米、北の金蔓(かねづる)断つ『セカンダリー・ボイコット』で圧迫せねば」(韓国語版)も「戦術核が不要と言うのなら、国家と国民を守る方法は何なのか、軍の統帥権者はこの場で語らねばならない」と厳しく指弾しました。

米国との同盟を大事にするか、同じ民族同士で共闘するか――。韓国の分裂が本格化します。

(次回に続く)

川島記事

北朝鮮・南浦の西海閘門ビーチ周辺で修繕工事をする作業員(2017年7月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/Ed JONES〔AFPBB News

北朝鮮の人々はどのような暮らしをしているのだろうか。日本ではもっと経済制裁を強めろとの大合唱だが、そんな状況下での庶民の暮らしぶりを探ってみたい。

アントニオ猪木議員の訪朝などに伴って平壌の映像が流れるが、あれは北朝鮮特に豊かな地域を写したものだろう。北朝鮮を訪れた報道関係者が伝える情報は、平壌の中心部に限られている。それは永田町と銀座を見て日本人の生活について語るのに等しい。

ここでは、もっとマクロな観点から北朝鮮の現状を推定してみたい。食料事情については、先に本コラム「統計データから見えてくる北朝鮮の意外な食料事情」で触れたから、今回はエネルギー事情について見てみたい。

電気は貴重品、エネルギーの5割は石炭から

国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)は北朝鮮についてもデータを発表している。図1に民生部門における1人当たりのエネルギー消費量を示した。ここでは全消費量から工業部門と輸送部門の消費量を除いたものを民生部門とした。

図1 民生部門でのエネルギー消費量(2013年) (単位:石油換算トン、出典:IEA)

北朝鮮の1人当たりのエネルギー消費量は石油換算で1年間に0.13トン。図に示した国々の中では最も少なく、日本や韓国の6分の1でしかない。日本や韓国ではエネルギー源として電気の割合が高いが、北朝鮮は電気の割合は低い。電気だけを見れば日本の19分の1である。

北朝鮮では森林面積が急速に減少している。1990年には820万ヘクタールあったが、2013年は516万ヘクタールになった。23年間に37%の森林が消失した。熱帯雨林の減少が問題なっているブラジルのアマゾン川流域でも、このような急激な減少が観察されることはない。

北朝鮮の農村など地方に住む人々は、エネルギーが不足しているために山の木を伐採して燃料にしているようだ。それは1990年頃から進行し始めた。そのため、現在、多くの山が禿山に変身している。

通常、森林から薪を採取してもまた新たな木が育つために、適切な伐採を続ければ、森林面積が減少することはない。しかし、北朝鮮の人々は森林の持続性を考える余裕もなく、森林を伐採し続けているようだ。

だが、禿山が出現するほどの伐採を行っても、そこから得られるエネルギーは石油換算で年間0.03トンに過ぎない。それは中国の0.14トン、ベトナムの0.13トン、インドの0.11トンに比べて著しく少ない。その理由は、北朝鮮は寒冷でかつ降雨量も少ないために、樹木の成長速度が遅いためだろう。中国の南部やベトナム、インドは雨量も多く気温も高いために木材の成長が速く、容易に薪炭が得られる。

森林面積の急速な減少は降雨時の山崩れなど災害をもたらす。しかし、冬の暖房に事欠く人々は、そのようなことにかまっている余裕はない。明日の燃料の方がより大切だ。森林面積の急激な減少は、地方に住む人々がかなり切羽詰まった生活を強いられていることを物語っている。

先のレポートでも述べたように、北朝鮮の庶民は飢餓に苦しむことはないが、肉や卵はたまにしか食べられない生活を強いられている。そして、暖房用のエネルギーにも事欠いている。多くの庶民は毎年冬の寒さに震えながら、心底では1日も早く圧政から解放されることを祈り続けているのだろう。

日本より韓国のエネルギー消費量が若干多いが、これは冬が寒く暖房用に多くのエネルギーを必要とするからと考えられる。北朝鮮は韓国よりも寒いが、北朝鮮の消費量は、国土の多くが熱帯や亜熱帯に位置し、暖房に多くのエネルギーを必要としないインドやベトナムよりも少ない。

アジアではいまだに多くの人が農村に暮らしている。ベトナムはなんども訪れたことがあるが、農村部の庶民は決して豊かではない。エネルギー消費量から類推するに、北朝鮮の農村部の人々はベトナム農民よりも貧しい暮らしを強いられている。

ベトナムの状況から想像すると、北朝鮮の農村部では冷蔵庫のある家は少なく、家庭電気製品は電灯とテレビだけと思われる。北朝鮮のテレビ局が面白い番組を放送しているとも思えないので、一般家庭での視聴時間は短く、水爆実験の成功を伝えるニュースの時などだけ一家そろって見るのだろう。図1を見れば分かるように、北朝鮮の庶民にとって電気は貴重品である。“ながら視聴”のような無駄遣いはできない。

北朝鮮の家庭が使用するエネルギーの54%は石炭に由来する。寒冷な北朝鮮において、石炭は主に暖房に使用されていると考えられる。

北朝鮮は多くの石炭を産出する。2013年の生産量は1860万トンにもなる。ただ、外貨獲得の手段の乏しい北朝鮮は、その約半分を輸出している。国内消費量は885万トンだが、その中の133万トンは発電に使用し、工業部門も570万トンを使用している。それはミサイルや原水爆を作るために使われているのだろう。その結果、民生用に回る石炭は175万トンに過ぎない。これは全生産量の10%以下である。

これでは暖房だけでなく、煮炊きのエネルギーにも困るだろう。そんな困難な状況が意外なデータから確かめることができる。

北朝鮮で森林面積が急減している理由

図2は北朝鮮の土地利用を示したものである。図中、森林の面積はFAO(国連食糧農業機関)の専門家が衛星画像などを用いて推定したものだ。

図2 北朝鮮の土地利用 (単位:100万ヘクタール、出展:FAO)

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『改めて国歌認定された抗日「義勇軍行進曲」異聞 日本に留学した劇作家が作詞。賞賛、逮捕、歌唱禁止を越えて』(9/15日経ビジネスオンライン 北村豊)について

9/17NHKニュース<臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し>

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170917/k10011142751000.html

10/22補欠選挙と同じ日に合わせて総選挙が行われる可能性があります。10/29総選挙となれば10/22補欠選は総選挙に吸収されるとのことですが。10/18中国共産党大会終了後の米軍攻撃がいつ行われても大丈夫なように早めた可能性もあります。

9/15ZAKZAk<「10月衆院選」議席予測で自公300超、小池新党が第3党浮上の衝撃 民進支持率はジリ貧>の予想のように「維新」を入れれば衆院の2/3は確保できるというのであれば、野党の態勢が整っていない今がチャンスと言うところでしょう。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170915/soc1709150008-n1.html?ownedref=articleindex_not%20set_newsList

北村氏の記事で分かることは、中国が如何にご都合主義かという事です。中国の現在の国歌(将来も続くかどうか分かりません。共産党が崩壊すれば別な国歌になる可能性もあります)である「義勇軍行進曲」の作詞者“田漢”を文革時には裏切り者扱いして、毛沢東の死後名誉復活したことやユダヤ系ロシア人の作曲者の存在をなかったことにしてしまうことなどがそうでしょう。満州事変から抗日が始まったと言いますが、満洲は元々漢民族の土地ではなく、満州族の土地です。万里の長城の存在を考えれば分かるでしょう。南モンゴル、ウイグル、チベット同様彼らに返すべき土地です。中共は歴史を改竄・捏造した虚構の上に成り立っている国です。

毛沢東は「日本の侵略のお蔭で、中国大陸を共産党が手に入れることができて感謝している」といった話を佐々木更三社会党委員長にしています。日本は愚かにも、左翼に利用されて戦争を拡大していったという事です。それが今でも中国にいろんな意味で利用され続けています。北の挑発も裏に中国(例え瀋陽軍と雖も)がいるのは明らかです。中国を利する行動(日本企業の中国進出や投資等)は利敵行為です。

5/22人民網は<外国人が驚く中国の新「四大発明」>として、高速鉄道、ネットショッピング、支付宝(アリペイ)、シェア自転車を挙げています。

http://j.people.com.cn/n3/2017/0522/c94475-9218688.html

どこが中国人の発明なのか、言葉の定義をきちんとしてから発表した方が良いのでは。高速鉄道なんて日本の新幹線のパクリでしょう。ただ総延長距離は世界一かもしれませんが、赤字もまた膨大になっている筈です。ネット購買・決済やシエア自転車も中国人の発明ではないでしょう。それでも中国の新「四大発明」と言い切ることができるのは恥を知らないからです。

北村氏の言うように日本人は「中国は国歌にまで抗日を盛り込んでいる反日国家である」ということを胸に刻んでおいた方が良いでしょう。日中友好何て彼らが日本を利用する手段です。騙されないように。

記事

1949年10月、“国歌”を演奏する中華人民共和国軍楽隊(写真:Ullstein bild/アフロ)

9月1日午後、中国の「第12期全国人民大会常務委員会第29回会議」は第3回全体会議を開催し、票決により『国歌法』を採択した。同法は2017年10月1日から施行される。

中国では1990年に『国旗法』が、1991年に『“国徽法(国章法)”』がそれぞれ制定された。国旗法は“五星紅旗”を国旗と定めているし、国章法は穀物の穂と歯車の丸い縁の中に五つの星と天安門を配した図案を国章と定めている。しかしながら、その後20年以上にわたって『国歌法』は制定されずに放置され、2004年に憲法で国歌は「義勇軍行進曲」と規定されたものの、それ以上の法的裏付けはないままに歌い継がれて来た。2017年6月22日に『国歌法(草案)』が全国人民代表大会常務委員会第28回会議に上程され、8月28日の修正案審議を経て、『国歌法』は9月1日に正式に採択されて成立した。

改ざんによる侮辱には15日以下の拘留も

国歌法は全16条で構成されるが、重要と思われる条項を示すと以下の通り。

【第1条】国歌の尊厳を擁護し、国歌の演奏・歌唱、放送、使用を基準化し、国民の国家概念を増強し、愛国主義の精神を発揚させ、社会主義の核心的価値観を育成・実践するため、憲法に基づき本法を制定する。

【第2条】中華人民共和国の国歌は「義勇軍行進曲」である。

【第3条】中華人民共和国の国歌は、中華人民共和国の象徴と標識である。全ての国民と組織はすべからく国歌を尊重し、国歌の尊厳を擁護しなければならない。

【第4条】下記の場合は国歌を演奏・歌唱しなければならない。 (1)全国人民代表大会会議と地方各級人民代表大会会議の開幕、閉幕。中国人民政治協商会議全国委員会会議と地方各級委員会会議の開幕と閉幕、(2)国旗掲揚式、(3)重要な外交活動、(4)重要な体育競技会、(5)その他、国歌を演奏・歌唱することが必要な場合、など

【第7条】国歌を演奏・歌唱する時は、その場にいる者は起立しなければならず、国歌を尊重しない行為をしてはならない。

【第8条】国歌の商標や商業公告への使用、個人の葬儀活動など不適切な使用、公共の場所のバックグラウンドミュージックなどへの使用をしてはならない。

【第15条】公共の場で故意に国歌の歌詞や曲を改ざんして国歌の演奏・歌唱を歪曲、毀損した、あるいはその他の形で国歌を侮辱した場合は、公安機関による警告あるいは15日以下の拘留とし、犯罪を構成する者は法に基づき刑事責任を追及する。

日本では『国旗及び国歌に関する法律』(略称:国旗国歌法)が1999年8月13日に公布されて即日施行となったが、同法は「第1条:国旗は、日章旗とする、第2条:国歌は、君が代とする」の全2条で構成されており、中国の国歌法とは好対照をなしている。ちなみに、日本の国旗国歌法には国歌斉唱時に起立する規定が明文化されていないが、中国の国歌法は多くの諸国と同様に起立が明確に義務付けられている。

国歌法が成立した9月1日に記者会見を行った全国人民代表大会常務委員会「法律・制度作業委員会」“国家法室”主任の“武増”(女性)は、ある記者から「国歌(義勇軍行進曲)を携帯電話の着信音やアラーム音に使うのは違法か」と問われて、言葉に詰まり、明確な回答をすることができなかった。これが適法か違法かは興味深いところであるが、最終的な結論はどうなるのか。

新たな長城を築こう

ところで、中国の国歌である「義勇軍行進曲」とはどのような内容なのか。曲は中国関連のニュース番組やスポーツ番組で中国国旗が掲揚される際に演奏されるので誰もが何度も聴いたことがあるはずである。しかし、その歌詞の内容を知っている人はそれほど多くないと思われる。そこで、「義勇軍行進曲」の歌詞を示すと以下の通り。

《義勇軍行進曲》 起来!不願做奴隷的人們! (立ち上がれ! 奴隷になるのを望まぬ人々よ) 把我們的血肉築成我們新的長城! (我らの血と肉で我らの新たな長城を築こう) 中華民族到了最危険的時候, (中華民族が最大の危機に到る時) 毎個人被迫着発出最后的吼声。 (誰もが最後の雄叫びを余儀なくされる) 起来!起来!起来! (立ち上がれ! 立ち上がれ! 立ち上がれ!) 我們万衆一心, (我々万民が心を一つにして) 冒着敵人的炮火,前進! (敵の砲火を冒し、前進!) 冒着敵人的炮火,前進! (敵の砲火を冒し、前進!) 前進!前進、進! (前進! 前進! 進め!)

主題は「十四年抗戦」

「中華民族が最大の危機に到る時」とは何を意味するのか。それは日本の侵略であり、「義勇軍行進曲」は抗日戦争を主題としている。2017年1月、中国政府“教育部”は学校教材の抗日戦争の記述を従来の“八年抗戦”から“十四年抗戦”に改めると発表した。“八年抗戦”とは、1937年(昭和12年)7月7日に発生した“七七事変(盧溝橋事件)”から1945年(昭和20年)9月9日に日本国支那派遣軍総司令官の岡村寧次が“中華民国”陸軍総司令の“何応欽”に投降するまでの8年間続いた抗日戦争を指す。一方、“十四年抗戦”とは、1931年(昭和6年)9月18日に中華民国遼寧省の“柳条湖”で発生した“九一八事変(柳条湖事件)”から1945年9月9日の日本軍の投降までの14年間の抗日戦争を意味する。

抗日戦争は、1931年9月の柳条湖事件から1937年7月の盧溝橋事件が勃発するまでの期間は中国の東北地方に限定されたが、盧溝橋事件を契機として日本軍は中国への侵略を本格化させた。中国政府は抗日戦争の開始を従来は盧溝橋事件以降としてきたが、これを6年遡って柳条湖事件以降に変更して“十四年抗戦”としたのである。要するに、中国国歌である「義勇軍行進曲」は、中国を侵略する日本に抵抗する戦争に参加する義勇軍兵士の士気を鼓舞するための歌なのである。但し、日本軍と戦った主役は国民党軍であって、共産党軍は脇役に過ぎなかったはずだが、不思議なことに中国の歴史ではそれが改ざんされて、共産党軍が主役に転じている。

今年は日中国交正常化45周年に当たるが、その記念式典で両国国歌が演奏されたとすれば、日本は古歌に由来する「君が代」で戦争色は全くないのに対して、中国は抗日戦争に参加する義勇軍兵士の士気を高める「義勇軍行進曲」という奇妙な構図がそこにはある。

日本に留学した劇作家が作詞

さて、国歌として法的に認定された「義勇軍行進曲」はどのように作られたのか。同曲の作詞者は“田漢(でんかん)”であり、作曲者は“聶耳(じょうじ)”であるが、その概略は以下の通り。

【1】田漢(1898~1964年)は、湖南省“長沙市”出身の劇作家、詩人である。1917年に日本へ留学して東京高等師範学校で学び、同じく日本留学中であった“郭沫若”<注>などと親交を結ぶ。帰国後、多数の戯曲を発表して中国を代表する劇作家となり、“南国芸術学院”を創設。1932年に中国共産党に入党し、1935年に自ら脚本を書いた抗日映画『“風雲児女(風雲の男女)”』の主題歌の作詞を依頼されたが、国民党政府に逮捕され、獄中で『風雲児女』主題歌として「義勇軍行進曲」の歌詞を作る。1949年10月に中華人民共和国が成立すると、田漢は中国政府“文化部”の芸術局長に任命された。その後、田漢は中国劇作家協会主席となって活躍した。

<注>郭沫若(1892~1978年)は中国の政治家、文学者、歴史家。1914年に来日し、岡山県の第六高等学校を経て九州帝国大学医学部卒業。日本人女性を妻に迎えたが、1937年に盧溝橋事件が起こると妻を残して中国へ戻る。戦後は政治家として活動した。

【2】聶耳(1912~1935年)は、雲南省“昆明市”出身の音楽家。貧しい医者の家庭に生まれ、幼少から音楽に親しむ。“雲南省立第一師範学校”卒業後、18歳で上海市へ出て間もなく田漢と知り合う。音楽活動に従事し、左翼劇作家連盟音楽チームに所属して多数の映画音楽を作曲。1933年田漢の紹介で中国共産党へ入党。1935年、田漢が獄中で「義勇軍行進曲」の歌詞を作ったことを知ると自ら曲作りを志願して作曲を開始した。これを知った国民党政府が聶耳を逮捕する可能性が高まったことから、中国共産党の指示を受けて日本経由でソ連へ向かうことになった。聶耳は1935年4月18日に東京へ到着した後、「義勇軍行進曲」の原曲を修正し、田漢の歌詞を3回修正して曲を完成させ、完成した楽譜を中国へ送付した。7月17日、神奈川県藤沢市鵠沼海岸で遊泳中に溺死。享年23歳。

【3】聶耳が作曲した「義勇軍行進曲」は主旋律だけで、実際には当時上海で活躍していたユダヤ系ロシア人の作曲家「アーロン・アヴシャロモフ(Aaron Avshalomov)」が伴奏を付けて完成した。しかし、中国はアーロン・アヴシャロモフの名を作曲家から消し去り、その功績を聶耳に一本化したのだった。

【4】1949年秋に“北平市(後の北京市)”で「中国人民第1期政治協商会議」が開催されたが、この会議の中で国歌をどうするかが議論され、田漢作詞、聶耳作曲の「義勇軍行進曲」こそ国歌にふさわしいとの意見が出された。但し、田漢の原詩にある「中華⺠族が最⼤の危機に到る時」はすでに過去の事で、国歌には不適当との意見が出て、聶耳の曲だけを採用して、田漢の詩は捨て、詩は郭沫若に依頼しようかとの案も出た。しかし、最終的にはフランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」の例を挙げて、田漢の詩の歴史的意義を尊重することで決着した。

【5】この決定に対して“毛沢東”と“周恩来”の2人は、田漢の原詩は素晴らしく、“居安思危(治に居て乱を忘れず)”の精神も含まれていると絶賛した。1949年9月25日、毛沢東は“中南海”で座談会を開催して、国歌、国旗、国章などの問題を討議したが、この席上で討議を重ねた末に「義勇軍行進曲」を中国国歌とすることで意見が一致した。その後の政治協商会議で全員一致を取り付け、毛沢東が「義勇軍行進曲」を中華人民共和国国歌に採用する旨を正式に宣言した。

【6】しかし、それから17年後の1966年に毛沢東が“文化大革命”を開始すると、田漢は日本留学の影響で思想が毒されているなどの理由で紅衛兵によって批判され、逮捕・投獄されて過酷な虐待を受け、1968年に糖尿病、尿毒症などを併発して獄中で死亡したが、極悪人として死後の名前を“李伍”という仮名で呼ばれる始末だった。1970年、田漢は“四条漢子(四大悪人)”の1人に認定され、1975年には“叛徒(反逆者)”として中国共産党から永久除名の処分を受けた。これ以降、田漢が作詞した歌曲は歌唱することができなくなり、「義勇軍行進曲」も演奏だけで歌詞を歌うことは禁止された。1976年に文化大革命が終結したことにより、1979年に田漢の名誉は回復され、1982年に「義勇軍行進曲」は国歌としての地位を回復した。

【7】2004年、第10期全国人民代表大会第2回会議は“中華人民共和国憲法”を修正して、「義勇軍行進曲」を正式に国歌と明記した。中華人民共和国憲法の第4章は以下の通り。

憲法第4章:国旗、国歌、国章、首都  第136条:中華人民共和国の国旗は、五星紅旗である。       中華人民共和国の国歌は、義勇軍行進曲である。  第137条:中華人民共和国の国章は、真ん中に五星が照らす天安門であり、周囲は穀物の穂と歯車である。  第138条:中華人民共和国の首都は北京である。

日本には文化交流会、紀念広場

「義勇軍行進曲」を国歌と決める際に、フランスの「ラ・マルセイエーズ」の例を参考にしたというが、「ラ・マルセイエーズ」はフランス革命の時の革命歌であり、あくまでフランス国内の内乱で歌われたものだった。これに対して、「義勇軍行進曲」が対象としている敵は侵略者の日本軍であり日本なのである。そのような歌曲を国歌として未来永劫に演奏・歌唱し続けることは、何を意味するのか。この点を考えると「日中友好」という言葉が絵空事に過ぎず、中国が常に反日を政治カードとして持ち出して来る理由が理解できる。

田漢の姪に当たる音楽家の“田偉”(65歳)は日本へ嫁ぎ、現在は「NPO法人田漢文化交流会」の理事長を務め、音楽を通じて日中友好に努めているという。また、藤沢市の鵠沼海岸には1954年に藤沢市民の有志により聶耳の記念碑が建てられ、1986年には没後50年を記念して聶耳の胸像レリーフが建てられると同時に周囲一帯が整備されて聶耳記念広場が作られた。また、毎年7月17日の命日には聶耳追悼式典が挙行されている。

日本へ留学して日本文化の影響を受けた田漢、不幸にも若くして日本で客死した聶耳。聶耳は日本を経由してソ連で向かうはずだったが、居心地が良かったのか3か月間も日本に滞在し、死の当日は鵠沼海岸で遊泳を楽しんでいた。2人は決して日本と無縁ではなかった。その2人が作詞・作曲した抗日映画「風雲児女」の主題歌である「義勇軍行進曲」が、9月1日の国歌法成立によって正式に中国の国歌となったのである。国際スポーツ大会で中国選手が優勝し、その栄誉をたたえて「義勇軍行進曲」が演奏される中を五星紅旗が掲揚される際には、その歌詞が抗日の義勇軍を鼓舞するものであり、反日を意味していることを思い起こさねばならない。

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『ミサイル防衛を偏重しすぎている日本 「国産よりアメリカ製品を優先」の不思議』(9/14JBプレス 北村淳)について

9/8~11に時事通信が実施した9月の世論調査の結果です。9/15発表。「核・ミサイル開発を進める北朝鮮は現実の脅威と感じるかを聞いたところ、「感じている」が81.3%で、「脅しの域を出ておらず感じない」の15.4%を大幅に上回った。一方、北朝鮮対応を踏まえ、防衛省の来年度予算概算要求が過去最大となったことについては、「賛成」51.1%、「反対」32.4%、「どちらとも言えない・分からない」16.5%となった。」とのこと。北の脅威を感じている人が多いのに、防衛予算を増やすのに反対する人が1/3近くいるというのは驚きです。どうしたら脅威を除去できるのか真面に考えたことがないのでしょう。憲法9条が守ってくれると思っているのでしょう。頭上にミサイルが飛んできて初めて悟るタイプです。

本記事の一番下に添付しました樋口譲次氏の9/7<核施設のみならず一瞬で北朝鮮の全焦土化狙う米国 中露の支援断ち切るには不可欠、求められる日韓の覚悟>にありますように、中ロは裏で北を支援しています。

杉浦正章氏の9/15ブログには①中露の北への制裁の抜け穴・密輸について②ムニューシンの金融制裁について触れています。

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/

小生も北の核の脅威を除去するには①IEEPA法に基づく金融制裁②樋口氏の言う米軍による北への全面攻撃(「金正恩の斬首作戦による体制転覆はもちろんのこと、韓国の首都ソウルを火の海にすると豪語する軍事境界線沿いに配備された1万3600両といわれる大砲や多連装ロケット砲の一挙制圧、陸海空軍基地や地下に造られた攻撃拠点・兵器弾薬庫の破壊など、国土が消滅するくらいの全面攻撃になることは避けられないのではなかろうか。」)。B61-11と「あらゆる爆弾の母」を使って北の兵器を無力化するの2つだろうと思います。

北村氏の「ミサイル防衛システムに頼りすぎるのは危険」という考えには賛成です。敵の飽和攻撃にはミサイル防衛システムは無力ですので。それでも無いよりはあった方が良いと思います。ただ数の問題は防衛予算との兼ね合いであり、自衛隊の通常兵力向上とどう絡ませるかが問題です。早く防衛予算をGDPの2%である10兆円にすれば良いと考えますが、前述の時事の世論調査にありますように、防衛予算を増やさなくて良いというのが1/3もまだいる訳ですから。所詮、危機は他人ごとなのでしょう。日本の未来に対して無責任すぎます。

日本もインドの核を秘密裡に購入して、インドから中国と北を狙えるようにしておいてほしい。サウジがパキスタンの核を持っているのと同じように。ただ、秘密裡と言うことは抑止力にならないこととその2国はMADが通用しない国であることが難点です。しかし、米国が北に核保有を認めるのであれば日本も堂々と核保有を主張しなくては。原爆投下で被害を受けた日本の核報復を防ぐ狙いで定められたNPT体制の崩壊です。核兵器だけの問題ではなく、P5を中心とした国連の在り方に疑問を呈し、戦後レジュームを変える力になる可能性を秘めていると思います。

記事

北朝鮮平壌近郊で発射台から離れる北朝鮮の中距離弾道ミサイル「火星12」とされる写真。朝鮮中央通信提供(2017年8月29日撮影、30日公開、資料写真)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

北朝鮮が核搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)を手にすることが確実になったため、アメリカでは、ミサイル防衛局(弾道ミサイル防衛システム開発の元締め)はもちろんのこと、連邦議会の議員も多くの人々も、弾道ミサイル防衛システムの強化を唱え始めている。具体的には、北朝鮮から飛来するICBMを迎撃するために、アラスカ州とカリフォルニア州に配備されている「GMD」(米本土防衛用弾道ミサイル防衛システム)から発射するインターセプター(迎撃用ミサイル)の数を増やすべきだという主張である。

日本でも、「イージス・アショア」(地上配備型の弾道ミサイル防衛システム)導入の声が急激に力を得ているようである。

既存のBMD態勢で十分という声も

アメリカで弾道ミサイル防衛(BMD)の強化が叫ばれているのは、北朝鮮のICBMがアメリカ本土に到達するかもしれないという新たな脅威が誕生してしまったからである。これまでも、ロシアと中国のICBM攻撃に対処するためのBMD態勢は、完璧ではないものの充実させる努力を続けてきてはいた。

しかし、長年にわたって互いに「核攻撃~報復核攻撃」という恐怖の均衡でバランスを取りつつ共存してきたロシアや中国と違って、北朝鮮の出方はアメリカにとっては読み切れない。そのため、北朝鮮の核戦力は、ロシアや中国の核戦力とは比べようがないほど貧弱とはいうものの、まさに新たな脅威としてアメリカ(それもグアムやハワイだけではなくアメリカ本土)に降りかかっているのである。

そうした北朝鮮の脅威に対応して、弾道ミサイル迎撃用インターセプターの数を増強せよ、という声が上がるのは無理もない流れといえる。

しかしながら、GMDやTHAAD(米陸軍が保有する地上移動式弾道ミサイル防衛システム)を増強する、といった考えに対して、「これまでロシアや中国からの脅威に備えていたBMD態勢で北朝鮮のICBMに対処できないわけではない」という声も上がっている。

つまり、北朝鮮のICBMはたとえ完成してもロシアや中国のICBMより性能が数段劣るし、数も極めて少ない。また、北朝鮮から発射されたICBMがアメリカ本土へ飛来する飛翔コースと、中国(満州エリア)からの飛翔コースは近接している。したがって、ロシアや中国からのICBM攻撃に対処する既存のBMD態勢をもってすれば、北朝鮮のICBMは十分対処可能ということになるのである。

BMDに頼り切ってはならない

それだけではない。多くの弾道ミサイル専門家たちは、そもそも慌ててGMDやTHAAD、SM3(イージス艦から発射される)などのインターセプターを大増強したところで、「北朝鮮のICBMを必ず撃破できるわけではない」と警告している。なぜならば「現在、調達可能なBMDの迎撃信頼性は、増強に熱心な政治家たちが考えているほど高くはない」からである。

例えば「BMDに頼り切ってはいけない」といったスタンスの人々は、「最も数多くの迎撃実験を行っているSM-3の迎撃成功率ですら85%であり、その数字も“成功するように設定された実験”によって得られた確率である」と注意を喚起している。

彼らはBMDそのものを否定しているわけではない。「迎撃率が100%にはほど遠い」という現在のレベルではBMDを「過度に信頼してはならない」と言っているのだ。

そのうえで、「インターセプターの迎撃性能を飛躍的にアップさせない限り、BMDのシステム本体やインターセプターの購入に大金を投じても、迎撃効果、そして抑止効果は向上しない」として、北朝鮮による“新たな脅威”に乗じてBMD関連予算を増強しようとする動きを強く牽制している。

気前よくBMDを購入する日本

日本でも、北朝鮮のICBM騒ぎに乗じてBMDを強化しようという動きが露骨に強まっている。

しかしながら、日本にとって北朝鮮の弾道ミサイルによる脅威は、アメリカ攻撃用のICBMやグアム攻撃用のIRBMが完成するはるか以前から存在し続けている。また、弾道ミサイルの脅威は、北朝鮮からだけでなく中国からもロシアからも受け続けており、中国やロシアの弾道ミサイルによる軍事的脅威は北朝鮮の比ではない。

それにもかかわらず、北朝鮮がアメリカ攻撃用のICBM(米本土攻撃用)やIRBM(グアム攻撃用)を完成させると、ちょうど来年度の防衛予算概算要求の時期とダブっていたことも相俟って、日本国防当局はイージス・アショアの導入といった極めて高価なBMDシステムをアメリカから購入する方向に踏み出した。

弾道ミサイル防衛システムの本家本元のアメリカでは、「十二分に信頼が置けるレベルに達するまでは頼り切ってはならない」という声も上がっており、過度の調達にブレーキをかけようという動きも見られる。しかし、日本ではそのような議論が戦わされることもなく、再びアメリカから超高額兵器を購入しようとしているのだ。

「通常戦力」の飛躍的強化が必要

繰り返しになるが、日本が直面している軍事的脅威は北朝鮮の弾道ミサイルだけではない。上述したように中国やロシアの弾道ミサイルはさらに強力だ。

中国人民解放軍は弾道ミサイルに加えて、大量の長距離巡航ミサイルを日本に撃ち込む能力を持っている。また、中国海洋戦力によって、南シナ海を縦貫している海上航路帯が寸断されかねないし、南西諸島も大きな軍事的脅威を受けている。

このような様々な脅威に対処するには、弾道ミサイル防衛以外の防衛力、すなわち海上自衛隊、航空自衛隊、そして陸上自衛隊の通常の戦力を充実させること、それも飛躍的に強化させることが必要である。なけなしの防衛予算を超高額弾道ミサイル防衛用の装備に振り向けてしまうと、各自衛隊の通常の戦力を充実させることができなくなってしまう。

国産よりもアメリカ製品を優先?

防衛省はイージス・アショアのような超高額兵器をアメリカから購入する方向性を打ち出す一方で、陸上自衛隊が調達しようとしていた国産の装甲車両などは半分に減らしてしまう方針のようだ。

不思議なことに、国産兵器の調達は減らしても、アメリカから購入するMV-22オスプレイ(メンテナンス費用も超巨額)やAAV-7水陸両用強襲車(技術的には国産が可能)などの輸入は減らさない。これでは、「どこか国民の知り得ないところで、アメリカからの超高額兵器の購入を促進しようというキャンペーンが推し進められているのではないか?」と疑われても仕方がない。

いずれにせよ、弾道ミサイル防衛システムを生産して日本に売り込もうとしているアメリカ自身で議論になっているように、現状の弾道ミサイル防衛システムは「頼り切ってはいけない」レベルなのだ。そのようなレベルにある超高額兵器に大金を投入する前に、自衛隊の通常の戦力レベルを高めないと、日本の防衛レベルは降りかかっている脅威を跳ねのけることができない。中国からはもちろん北朝鮮からも軍事弱国としてますます侮られることになってしまうであろう。

[もっと知りたい!続きをお読みください] <核施設のみならず一瞬で北朝鮮の全焦土化狙う米国 中露の支援断ち切るには不可欠、求められる日韓の覚悟>

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50989

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『実はナチズムに冒された国家だった米国 米民主党とナチスの「腐れ縁」を暴露した衝撃の書』(9/13JBプレス 高濱 賛 )について

9/15宮崎正弘氏メルマガの書評から坂東忠信『寄生難民』(青林堂)

「偽装難民」のことは知っていたが、表題の「寄生難民」とは新種のたかりだろうか?

日本の生活保護の制度を勿怪の幸いと巧妙にたかる「経済難民」は朝鮮人、ついで中国人である。

日本に難民申請するのも中国人が一番かと思いきや、近年はネパール、インドネシア、バングラデシュなどが上位を占めている。難民申請はついに一万人を超えた。

外国人労働者受け入れに前向き、というより発狂的に積極的だったのが財界人である。自民党もこれにならう。日本の伝統とか文化とかの価値がわからない、少子化の穴はこうやって埋めることができるという経済優先の短絡的打算があるからだ。

ドイツの教訓がある。シリア難民に当初優しかったドイツの豹変ぶりをみよ。

ドイツ経済界は労働力不足を補えると難民を歓迎していた。ところが難民がドイツだけで百万を超え、しかも難民がドイツ人女性をレイプする凶悪犯罪が頻発して、メルケルの人気は突如下落した。最初は難民がレイプしている事件をドイツのメディアは報道しなかった。

似ている。

アメリカは不法移民1100万を抱えるが、不法滞在がわかれば容赦なく壁の向こう側に追い払っている。そのうえトランプはメキシコとの国境の壁をさらに高くして、この工事代はメキシコに請求するとした。

今度は不法移民の子供たち(ドリーマー)への特別待遇(DACA)を向こう半年で撤廃するので、議会はこの対策を考えよ、とした。

メディアとカリフォルニア州のIT産業幹部らは人材を失うとして反対しているが、大方のアメリカ人有権者は賛成である。左翼の職業活動家が反対をとなえて蠢いているだけである。

日本はしかしながら「他人に優しい」、「思いやりの深い」、いや深すぎる国であり、難民はかわいそう、なんとか助けたいと、世界の常識では考えられない他人思いの発想をする。だから今後、うなぎ上りに難民が増えるだろう。

不法に日本に来るのは『犯罪』であり、かわいそうという同情心をまず捨てなければならない、と坂東氏は強調する。

かれらは「避難先の国が自分たちを優遇することを期待し、優遇しなければ優遇させようとしますし、長期滞在すれば生活要領を得てどうしたら避難先で本国人並みの権利や福祉を手に入れることができるか、さらにはどうしたらその決定権を握ることができるかを考え、模索し、実行します。こうして民族団体を押したて、裏社会だけでなく政界まで食い込み、法を制定し、自治体では他の外国人に比して優遇を得る前例をつくり、自らその功績を『特権を勝ち取った』とまで宣言した特定民族がいるじゃありませんか」

最近の特徴は「なりすまし旅券」、その上、彼らはて手ぶらでやってくる。

今後、もし朝鮮半島が有事となっても、北朝鮮からの難民が押し寄せることは少ないだろうと専門の坂東氏が予測しつつ、その理由を述べている。

怖いのは『難民』が「移民」となることである。そして次のイナゴの大群は『中国環境難民』が大量発生する、いやな予兆があることだ。

いったい大量の難民が移民となって日本に定住したら、この国はどうなってしまうのか。それなのに、メディアは難民がかわいそうだという。在日特権を取り上げるな、人権を守れと獅子吼する。

日本は国家としての骨格ばかりか、ついには脳幹も侵されてしまった。現状がいかなる惨状に陥っているか、本書を読むと背筋が寒くなる。」(以上)

9/14保守速報ブログ「安倍首相、訪問先のインドでの大歓迎 ・・・外国首脳初の9Kmに及ぶパレード等異例の歓迎」

http://hosyusokuhou.jp/archives/48801041.html

1月に訪問したフィリピン・ダバオでの歓迎ぶりも。メデイアは報道しません。憎き安倍の活躍ぶりは。

https://www.youtube.com/watch?v=yf-Idx3pL0k

高濱氏の記事を読んでの感想ですが、「ナチス」の正式名称は「国家社会主義ドイツ労働者党」です。どう見ても左翼としか思えません。「社会主義」、「労働者党」と言えば。北一輝の『日本改造法案大綱』を思い起こすことができます。左翼も右翼も似た所があるのでは。社会改造をするためには暴力を厭わず、個人の自由(裏には責任と秩序が伴う。これが無ければ単なる放縦)を封殺するものです。今の中国共産党がしていることを見れば分かるでしょう。

そう言う意味で保守主義と右翼は違っていると思います。保守主義は良きもの(伝統や文化・芸術)を守るために戦う人々をさすと思っています。外国勢力やその手先が国体変更や政府転覆を狙う場合や全面戦争になった場合、超法規的に非常事態宣言や戒厳令の発動は認めますが、平常においては個人の自由を尊重します。そうでなければ良きものは守れません。

またナチスは白人至上主義ではなく汎ゲルマン主義で、ゲルマン民族のレーベンスラウム(生存圏)の拡大を目指したものと思っています。左翼が右翼を「白人至上主義」「ナチス」呼ばわりするのは違うのでは。

宮崎氏の書評で、板東氏の『寄生難民』で述べていますのは正しいと思います。日本には在日組織が大手を振ってまかり通り、池袋はチャイナタウンとして白昼堂々中国人同士ですが、レイプ事件が起きるような有様です。「自国でやれ」と言いたい。また「朝鮮総連」や「朝鮮学校」は北に忠誠を誓い、パチンコで儲けた資金を北に送金することによって核やICBMの開発資金の一部となっていました。北のミサイルが日本を狙っているにも拘らずです。メデイアが大事な情報を伝えないからです。

デニシュ・デサウザ氏の言う「一般大衆は『真っ赤な大嘘』ほど信じる」というのは正しいでしょう。米国でも日本でもメデイアは左翼が牛耳っています。大きく見れば左翼は国や民族の違いを尊重せず、世界を統一しようとするグローバリストと言えます。日本でも「南京虐殺」や「従軍慰安婦」の嘘を、朝日新聞を筆頭とする左翼メデイアによる発信で国民は信じ込まされて来ました。GHQや中国、北朝鮮が裏で動いていたのは間違いありません。少しでも違うことを言えば、「歴史修正主義者」扱いです。小生も会社で「人種差別主義者」、「国粋主義者」扱いされましたが。“And yet, it moves”です。

オバマは外交上無能であっただけでなく、米国を2つに分断した人物との印象があります。まあ、オバマの前から続いてきたのかもしれませんが、それ程ひどくはなかったのでは。黒人VS白人、民主党VS共和党、リッチVSプア等二極分化し間に入るものがありません。寛容精神は失われ、PC(ポリテイカルコレクトネス)が幅を利かせ、「弱者ビジネス」が跋扈して白人への逆差別が起きています。日本でも生活保護で在日が優遇され、「弱者ビジネス」が跋扈し、日本人への逆差別が起きている(ヘイトスピーチ対策法等)のは板東氏の指摘の通りです。敵は移民・難民の形を取り、人口侵略しようとしていると思わねば。笑って真剣に考えないと、後で痛い目に遭います。それが移民国家アメリカの現状と思った方が良いでしょう。DACA“deferred action for childhood arrivals”やサンクチュアリシテイの存在は情緒優先、法治を否定するものです。

記事

米カリフォルニア州バークレーにあるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア・パークで、右派の集会に抗議するカウンターデモの参加者ら(2017年8月27日撮影)。(c)AFP/Amy Osborne〔AFPBB News

互いに「ナチス呼ばわり」する米極右と極左

ドナルド・トランプ政権誕生以来、米国内で「ナチス論争」が巻き起こっている。

平たく言えば、「お前はナチスだ」、「何を言うのか、お前こそ、ナチスだ」という言い争いである。その一方で「ネオナチス」と「アンチナチス」同士の流血事件があちこちで起きている。

ナチスと言えば、米国人が最も嫌悪する存在。第2次大戦で勝利した米国の最大の誇りは、ドイツ・ナチスを打ち破ったこと。それによってナチスの世界制覇を防いだという自負心がある。

ところがトランプ政権が誕生して以来、それまで米社会の片隅に追いやられていた「ネオナチス」が息を吹き返している。

人数はそう多くないが、バージニア州シャーロッツビルで起こった騒乱は、元々「ネオナチス」が南軍のリー将軍像撤去に抗議して行った集会が誘因だった。

なぜ、「ネオナチス」が出没し始めたのか。

ホワイトハウスには極右であることを自他ともに認める連中*1が入り込み、大統領の傍で政策立案にアドバイスする者まで出ている。

トランプ大統領をホワイトハウスの外から支援する応援団的極右メディア「ブライトバート・ニュース」も存在感を増している。「ネオナチス」はトランプ周辺に「ナチスの匂い」を感じ取ったのだ。

*1=トランプ大統領のアルタエゴ(分身)と言われたスティーブ・バノン氏は8月末、首席戦略官を更迭されたが、バノン氏が連れて来たステファン・ミラー補佐官(兼首席スピーチライター)ら極右分子は今も健在なのだ。

極右の胎動に極左も敏感な動きも見せ始めている。「反ナチス」集団、「アンティファ(Antifa=Anti-Fascist)」がそれだ。黒覆面姿で極右の集会に殴り込みをかける。

「シャーロッツビルの騒乱」はまさに両者による「睨み合い」に端を発していた。極右に対する善良で非暴力の反対派市民の反発と片づけるほど単純なものではないのだ。

トランプ曰く「極右の中にも尊敬できる人物はいる」

「ナチス」とは何か。一般の米国人が考えるのは、「白人至上主義者」(白人優越主義者)、人種差別主義者、反ユダヤ・反黒人・反有色人種(むろん日本人も含まれている)主義者。

彼らの主張は、一言で言えば、こうだ。

「今の米国はユダヤ人に牛耳られ、同性愛主義者や非キリスト教のイスラム教徒や有色人種移民に寛容すぎる、異常な社会だ。建国当初の欧州系白人を中心とした国家改革すべきだ」

主要メディアは、こうした「ネオナチス」は、極右であり、狂信的ナショナリストだとレッテルを貼っている。

The Big Lie: Exposing the Nazi Roots of the Americn Left by Dinesh D’Souza Regnery Publishing 2017

ところがトランプ大統領は、「シャーロッツビルの騒乱」直後、両者を喧嘩両成敗。極右の中にも「尊敬すべき人たちはいる」と言い切った。

主要メディアはむろん激しく大統領を叩き、共和党内でも抗議の声が上がった。トランプ大統領は前々から「白人至上主義的人物」だと憶測されていた。

それがこの発言で「白人至上主義者に同情的な人物」という烙印を押されてしまった。

「リベラル系メディアの中には、トランプ大統領周辺に漂う『白人至上主義的雰囲気』をとらえて<トランプ、トランプ支持者、共和党保守はナチス容認者だ>と激しく批判している。これが一般市民の間に浸透すれば、来年の中間選挙で共和党は極めて不利になる」(米主要紙ベテラン政治記者)

こうした空気を一掃しようと試みた保守派識者の本がこのほど出版された。「The Big Lie: Exposing the Nazi Roots of the American Left」(真っ赤な大嘘:米左翼のナチス・ルートを暴露する)。

本書のセールスポイントはこうだ。

「トランプがナチス的だと宣伝するリベラル派の主張は『真っ赤な大嘘』だ。歴史を紐解けば、民主党リベラル派ほどナチスと持ちつ持たれつの関係にあった米政治勢力はなかった」

「一般大衆は『真っ赤な大嘘』ほど信じる」

著者はインド系米人ジャーナリストでドキュメンタリー映画制作者のデニシュ・デサウザ(56)氏。

インド・ムンバイ生まれ。17歳の時、交換留学生として米国に留学。ダートマス大学で英米文学を専攻したのち、数々の論文を書いて、論壇では高い評価を受けてきた。

プリンストン大学発行の月刊誌「ザ・プロスペクト」の編集長などを経て、レーガン政権では政策担当顧問に抜擢された。

その後、保守本流の識者としてリベラル批判の本を次々と出す一方、ドキュメンタリー映画制作にも携わってきた。一時期、キングズ・カレッジ学長も務めている。

タイトルの「Big Lie」(真っ赤な大嘘)という表現は、ヒトラーの自伝「我が闘争」の一節に出てくる。著者は、「今、米国に『真っ赤な大嘘』がまかり通っている」と切り出す。

「一般大衆は小さな嘘よりも大きな嘘の犠牲になりやすい。なぜなら一般大衆は小さな嘘なら見抜くことができるが、嘘があまりにも大きいとそれが嘘だと言うことに躊躇するからだ」

「一般大衆は真っ赤な大嘘が嘘だとは思わない。虚偽であるとの疑いは頭の片隅にも浮かばないし、大上段から構えた厚かましい大嘘を疑えるだけの能力を持ち合わせていないのだ」

「いい例がユダヤ人に関する大きな嘘だ。一般大衆は、ユダヤ人と言えば、みな大資本家だ、いや皆ボリシェビキだという嘘を信じてしまう」

「ユダヤ人の男は、金髪の北欧女性に強い性欲を持てないないほどの不能者だと信じているようだし、ユダヤ人はそもそも文化的には取るに足りない民族だとか、世界制覇を常に狙っているとか、根拠のない嘘を信じ込んでいる。これはみな大きな嘘だからだ」

そして、この種の「真っ赤な大嘘」があたかも「真実」であるかのように受け入れられていると、著者は断定する。その1つがトランプ大統領に関する「真っ赤な大嘘」だと指摘する。

「リベラル派、特に左翼の連中は、トランプはヒトラーやムッソリーニの米国版だと言う。共和党はナチスの生まれ変わりだと言って憚らない。この『ファシズム・カード』は、トランプはファシストだから早く追放しろという保守派への脅しとしてしばしば使われている」

「彼らは、ナチズムが究極的にはヘイトクライムに通じる憎悪を具現化させたものだと主張する。私はこの左翼どもの邪悪な主張を歴史的事実を提示することでひっくり返してみせる」

「私に言わせれば、民主党、特にそのリベラル派の連中こそ、これまでナチスの脅迫手法を散々使ってきた真のファシストなのである」

「ニュルンベルク法」は「ジム・クロウ法」を“盗作”

何やら、にわかには信じがたい主張なのだが、著者は過去におけるナチスと民主党(特に南部民主党)との関わり合いについて、以下のように列挙している。

一、1935年にナチス党が制定した「ニュルンベルク法」は、米国南部11州(民主党)が1876年から1964年まで堅持してきた人種差別を盛り込んだ「ジム・クロウ法」からヒントを得たものだ。

後者にある「非白人」(黒人、インディアン、黄色人種など)を前者は「非アーリア人種」(ユダヤ人)に差し替えただけである*2

*2=この分析は、イエール大学法科大学院のジェームズ・ホイットマン教授の研究を引用している。「Hitler’s American Model: The United States and the Making of Nazi Race Law」, James Q. Whitman. Prinston University Press. 2017

一、ヒトラーが検討する政策の1つとして考えていた「レーベンスラウム」(生存圏)構想は、1800年代、民主党が決定していた原住民居留地(インディアン居留地)政策を参考にしていた。

同構想自体はヒトラー政権発足以前からあったが、ヒトラーはポーランドを併合してドイツ人を移住させ、東方への防壁にすることなどを考えていた。

一、民主党のウッドロー・ウィルソン第28代、フランクリン・ルーズベルト第32代大統領は、社会主義やファシズムの強い影響を受けていた。

特にウィルソン大統領はヒトラーやムッソリーニが作った宣伝機関を真似たメディア監視機関を堂々と設置した。

自分に反対するメディアや反対勢力に圧力をかけたり、脅迫したりした。反抗勢力を拘束したり、投獄したりしたのもウィルソン大統領だ*3

*3=ウィルソン大統領の反対勢力への抑圧政策については、保守派コラムニストのジョナ・ゴールドバーグの著書、「Liberal Fascism :The Secret History of the American Left, From Mussolini to the Politics of Change」, Jonah Goldberg, Crown Forum, 2009が引用されている。

「左翼ファシズムへの転換点はオバマだ」

著者は前述の保守系メディア、「ブライトバート・ニュース」とのインタビュー*4でさらにこう述べている。

「今、米国には根深いファシスト的傾向が見受けられる。皮肉なことにそのファシスト的傾向は反ファシストを錦の御旗にして行進している」

「言い換えると、奴ら(リベラル派)は反ファシズムの衣をまといながらトランプや保守勢力を追い落とそうとしているのだ」

「リベラル派の牙城となっている学界が言い出し、それが主要メディアやハリウッドによって伝播されている『真っ赤な大嘘』とは、トランプがあたかもヒトラーの再来であるかかのような主張をしていることもある」

「確かにトランプは『米国第一主義』を唱えるナショナリストだ。ところが多くの知識人までがナショナリスト=ファシストだと思っている」

「冗談ではない。ナショナリストはファシストではない。そんなことを言ったらガンジーもマンデラもチャーチルも皆ナショナリストだ」

「かっての米国は、保守とリベラルが激論を戦わしてきた。1980年代のロナルド・レーガン(第40代大統領)とティップ・オニール(民主党重鎮、下院議長)とは激しくやり合った」

「議論が終わり、政策が決定した後、2人はビールを飲み交わす仲だった。こうした保守とリベラルとの関係は消滅してしまった」

「左翼ファシズムへの転換点はバラク・オバマ(第44代大統領)を選んだ時点からだった。民主党は、ビル・クリントン(第42代大統領)までは良かった。ところがオバマになって民主党はギャングスタ―イズム(暴力団的志向主義)に大きく舵を切った」

「ヒラリー・クリントン(前民主党大統領候補)もオバマと同じ穴の狢に過ぎなかった。反対する勢力に対して連邦捜査局(FBI)を使って盗聴し、国内歳入庁(IRS)を使って銀行口座をチェックするなどファシスト的手法を行使したのは奴らだった」

*4http://www.breitbart.com/radio/2017/08/04/dinesh-dsouza-big-lie-fascism-crept-deeply-bowels-left/

本書を通読して感ずるのは、激しさを増す米極右と極左の「ナチス呼ばわり」の根っこの深さだ。

1つだけはっきりと分かったことは、これほどヒトラーを忌み嫌う米国人と米社会の土壌には密かに、しかし間違いなく染み込んでいるヒトラーとの「腐れ縁」だ。

罵り合う極右も極左もその体内にはヒトラー的「白人至上主義」が潜んでいるのだ。これは非白人である第三者には分からぬブラックホールなのかもしれない。

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『中国「仮想通貨取引全面禁止」のインパクト 自由な通貨 vs 党による管理、攻防の行方は…』(9/13日経ビジネスオンライン 福島香織)について

9/14日経によれば中朝国境の街、制裁で打撃 繊維禁輸に就労許可禁止

中朝貿易の約7割が経由する中国の国境都市、遼寧省丹東には数十のアパレル工場が点在し、多くの工場が「低賃金で勤勉」(貿易関係者)とされる北朝鮮労働者を雇用している。ただ11日に採択された国連安全保障理事会による制裁決議は、国境都市の経済をじわじわと追い詰めることになりそうだ。

中国の国境都市には北朝鮮労働者を雇う紡績工場が点在する(遼寧省丹東)

丹東中心部にあるアパレル工場。敷地内には衣料品やその原料が入っているとみられる段ボール箱が積み上げられ、トラックがひっきりなしに往来していた。関係者によると、この工場では受注した生産の一部を北朝鮮の加工工場に委託している。

丹東の工場も生産現場の担い手の多くは北朝鮮人だ。かつて中国は自国の安い労働力を武器に「世界の工場」となったが、近年は所得の増加に伴い、中国人では採算が合わなくなった。その救世主として現れたのが、隣国からの労働者だった。

北朝鮮労働者の給料水準は月2千元(約3万3700円)程度と、中国人労働者のほぼ半分だ。給料の大半を北朝鮮政府に渡さなくてはならず、これも貴重な外貨獲得手段の一つとなっている。また、勤務態度も真面目で「中国人のようにあれこれ文句を言うこともないし、辞めない」(関係者)ことも重宝される理由のようだ。

こうした工場では、北朝鮮人と中国人の労働者を隔離している。工場ラインは北朝鮮人だけで稼働し、専用の宿舎を用意。防犯カメラの設置など監視の目も厳しいという。北朝鮮が、労働者が他の外国人と交わることを嫌うためとみられる。

中国には約9万人の北朝鮮労働者がいるとされ、多くは丹東や吉林省延辺朝鮮族自治州の琿春など東北地方の中朝国境都市に集中する。東北地方は中国でも最も景気の悪い地域だけに、低コストの北朝鮮労働者は貴重な存在となっている。

だが、今回の国連安保理による制裁決議では、北朝鮮からの繊維品禁輸に加えて、北朝鮮労働者に対する就労許可の更新も禁止した。「当面は問題ないが、現在いる北朝鮮労働者の就労ビザが切れた後は、どうなるだろうか」。丹東の繊維産業関係者は展望を持てないでいる。(丹東で、原島大介)」とのこと。

また、中国は北の核実験による汚染への懸念で、北が聖なる山(金正日が生まれたとされる)と崇めている長白山(北朝鮮では白頭山という名称)への出入りを禁止したようです。

中国も本気で制裁に加わる積りなのかどうか、心の中は違っても外形上はそう言う振りをしないと貿易でトランプに締め上げられると判断したからでしょう。「上に政策あれば下に対策あり」でいくら習が「やれ」といっても裏で動くのが中国人です。日経はこれで中国をヨイショしたつもりなのでしょうけど。敵と味方が分からない人達です。

クシュナーの訪中はキャンセルとのこと。買収される危険性があり、良かったと思っています。

http://melma.com/backnumber_45206_6582924/

宮崎正弘・石平・福島香織共著『日本は再びアジアの盟主になる トランプvs.習近平!米中激突で漁夫の利を得る日本』には「中国の株価急落以後、世界の株式市場に悪影響が拡がった。FRBはこの点を重視し「中国の株式暴落はアメリカ経済にも相当な悪影響を及ぼす恐れがある」として数時間以内に緊急のサマリーを送った。

では中国はどうだっただろうか? 2015年7月27日の上海株式暴落直後、中国は必要な資金を証券会社に供給して急場をしのいだが、下落傾向に歯止めはかからなかった。中国人民銀行は急遽、金利を下げ、问年8月12日には人民元を2%切り下げるなど緊急な措置を講じ、同時に次の対策の検討に入った。

ところが大きな障害にぶつかった。

中国人民銀行には政策決定の権限が制限されており、重要な政策変更などの決定と承認は共産党中央委員会政治局常務委員会の「裁可」を待たなければならないという独裁国家特有のシステム上の欠陥である。だから最高責任者であるべき周小川(人民銀行総裁)は、20 15年8月の株式大暴落から2016年3月の全人代(全国人民代表大会)まで、8力月も雲隠れして公式の場に現れず、ダボス会議にも欠席する有様となった。

中国には情報の透明性が決定的に欠けている。政策出動の工作によってしばらく小康状態は維持されるだろうが、いずれ大暴落がやってくるだろう。

中国経済が「ハードランディング」した場合、債務残高のうちの4割が不良債権化すると想定される。つまり円換算で1320兆円もの不良債権が生じるだろう。これは日本のパブル破綻の比ではない。日本のバブル崩壊による不良債権は120兆円だったから、その10倍以上にもなる。

日本のバブルが破綻した時よりも1ケタ大きい破壊力で、史上空前のバブル経済大爆発が起きれば、世界も日本もとんでもないことになる。」(P.82~83)

「中国のビジネス慣行を「不公平」と訴えてきたトランプ大菝領は、そうした中国勢のハリウッド買収を「政治的プロパガンダに利用される恐れが大きい」として批判的な姿勢を強めている。現に米連邦議会下院議員16名が連署で「こうした中国資本のハリウッド買収の背景を調査するべきだ」とする書面を司法省に送りつけている。たしかにアメリカは「国家安全保障に関わる企業の外国からの買収」を禁じている。映画が「政治的プロパガンダ」に利用されるとすれば「国家安全保障」を大きく揺るがすことになろう。 渡邊哲也氏の『トランプ!世界が変わる日本が動く』(ビジネス社)に鋭い指摘が2つある。

第1にアメリカは中国に対して核兵器並みの強い武器を持っていると指摘している。 それはIEEPA法(国際緊急経済権限法)で、「米国の安全保障上、重要な脅威となる人や団体などの資金を凍結し、米国企業との取引を遮断できる」(中略)「大統領令だけで実施が可能であり、議会の承認は必要ない。つまり、中国と軍事的に厳しい緊張関係に陥ったさいには、中国の持つドルとドル資産を凍結したり、没収したりすることができる」という。

第2にアメリカは中国に対して企業会計の透明性を強く求めることができるが、「中国に対して大きな経済的打撃を与えることさえできる」。つまりGDPの墟や企業業情報の不透明性、企業業績のデタラメぷりを中国がいつまでも続けられず、トランプ政権は「金融面での中国の瓦解を狙う可能性」がある、と指摘している。」(P.88~89)

オーウエルの『1984年』にも似た統制社会

こうした年々増大する暴動リスクを考えると、中国共産党にとっての最大の敵の1つはやはり人民である。おそらく習近平自身がそう認識していると思われる。というのも、習近平政権になってから社会の管理統制システムが急激に強化された印象があるからだ。

インターネット統制やメディア統制の強化については、ここで今さら説明を繰り返さない。 メディア統制どころか、もっと恐ろしいのは中国の全人民を完全に管理、監視、コントロールする市民総格付けシステムを構築しようとしていることだ。

社会信用システムと名付けられる制度の導入は2014年から地方ですでに始まっており、2016年12月現在、上海市や浙江省杭州市、重慶市など少なくとも36の地方都市で試験導入されている。このシステムは2020年までに全国統一システムとして完成する予定だともいわれている。

具体的には市民情報を完全にネットワーク化し、点数によって信用格付けを行うシステムだ。たとえば、納税額、銀行ローンの返済状況、投資額、学歴、職歴、.ボランティアや寄付などの慈善行為参加の有無、あるいは脱税や収賄、不正乗車や信号無視などのルール違反、 人口抑制政策などの政策違反などに応じて加点•減点が行われ、人民1人ひとりがその社会信用度を点数化される。それをA;、B、Cなどと格付けされ、その格付けに応じて、海外外旅行に行くときの審査、営業許可証などの発行スピード、就職、公募への参加の可否、銀行のローン申請審査スピードや金利などにも影響してくる。収賄、脱税、詐欺、あるいは深刻なモラル違反などを犯し、信用度が特に低い人物は、期限を決めてブラックリストに入れられ、場合によっては出国禁止、あるいは高速鉄道や航空機の発券禁止といった処罰を受けることもある。

建前上の目的は中国の社会秩序、社会信用環境および経済流通システムを一体化させて、構築するため。これによって、逃亡、怠惰、詐欺など、中国社会にあふれているモラルの問題を解決したいという。

だがこれはかなり恐ろしい問題もはらんでいる。たとえば重慶市では、市の発展改革委員会、工商局、人民銀行重慶営業管理部などが共同で運営するインターネットサイト「信用重慶」上で、こうした市民の信用スコアや行政当局による賞罰、ブラックリスト掲載者が調ベられるしくみになっている。企業などが個人相手に雇用や取引を行う前に、事前に相手の信用度がわかる、といえば便利そうに聞こえるが、個人の賞罰、違反履歴がまる裸にされるということで、これはプライバシーの侵害どころのレベルではない。間違いを犯した市民を徹底的に社会的死に追いやる公開処刑と同然だ。殺人犯やレイプ犯ですら基本的人権が保護 される西側先進社会ではにわかに信じられないシステムだ。」(P.147~149)

福島氏記事は人民元が基軸通貨になれないので仮想通貨の場面で主導権を握ろうと言うもの。多分、量子暗号で先を行っている自信がそうさせているのだと思われます。「一帯一路」やAIIBがどの程度成功していますか?中国は次から次へと目新しいものを出してきて目先を変えて、「世界をリードするのは自分達」と必死になってアピールしていますが、誰も振り向かないでしょう。欧米諸国は経済的に中国を利用できれば良いというスタンスです。中国の目標は米国に替わって世界覇権を握ることにあると思いますが、共産主義と言う人権抑圧装置を具備したシステムでは先進国には相手にして貰えないでしょう。せいぜいロシアとアフリカの独裁国家くらいでは。北朝鮮の問題が解決できれば次は中国です。

福島氏によればシャドーバンキングの規模が「18.8兆ドルという推計を出しているリポートもある」というし、宮崎氏によれ中国の不良債権は1320兆円(債権総額3300兆円の4割)とカウントしています。早くバブル崩壊して中国が分裂し、民主化してほしい。中国人の民族的特質(騙す方が賢く、騙される方が馬鹿)は変わらなくとも、戦争のリスクは大幅に減ります。何せ軍拡できなくなります。ただソ連崩壊に見られたように、核兵器の管理をどうするかは考えておかないと。

米国もいざとなればIEEPA法を発動して、中国経済のバブル崩壊を促してほしい。中国に戦争を仕掛けられたり、世界制覇されることを考えれば、経済で痛みを受けた方がマシです。

記事

中国が全面的にICO(仮想通貨)の取引禁止に踏み切った。そのせいで元建てビットコインは大暴落。9月8日までの一週間で20%ほど値下がりしたとか。今のタイミングで決断したのは、党大会前に金融リスク要因を少しでも減らしたいから、らしい。党大会後に中国経済のハードランディングは避けられないとみて、資本家や企業家、小金持ちの官僚・政治家たちは資金移動や資金洗浄の道を探しているのだが、習近平政権は徹底してキャピタルフライトへの監視の目を光らせている。近年、資金洗浄、資金移動の手法として需要がのびていたICOも9月4日、ついに全面的に取引所閉鎖の通達を出されたという。中国のICO大手三大取引所、OKコイン、ビットコイン・チャイナ(BTCチャイナ)は8日までに、この情報を確認しており、中国では当面、仮想通貨は締め出されることになる。

26億元以上が凍結・払い戻しに

改めて説明すると、ICOというのは、ブロックチェーンというコンピューターの分散型台帳技術を使って作り出すデジタルトークン・暗号通貨・仮想通貨のことだ。ビットコインやイーサリアムといった名前がよく知られているだろう。その仮想通貨によるクラウドファンディングで資金調達をしてプロジェクトを遂行したり、あるいは資金洗浄、資金移動に使うことが中国ではこのところのブームだった。

ICOの魅力はとにかくその価値の乱高下の激しさだ。わずか数カ月で3倍から10倍の価値になるなど普通だ。ときには1000倍の収益率もあるとか。中国人はもともと博打が好きなので、一攫千金的なビジネスに惹かれる傾向がある。さらに中国の電気代の安さが、コンピューターによる高速計算が必要な仮想通貨を“掘り出す”マイニングを行うのに適しており、玉石混交の仮想通貨投資に熱狂する一種のバブル状態に突入していた。

仮想通貨は中国の一般市民の家計にはほとんど影響はないが、2017年上半期のICO発展状況報告(国家インターネット安全技術専門家委員会)によれば、中国国内で65のICOプロジェクトがスタートしており、その累計融資規模は26.16億元、参加人数は10.5万人以上。つまり10万人以上が、65の仮想通貨プラットフォームによって集めた26億元以上の資金が事実上凍結、あるいは払い戻し処理を受ける、という話だ。この数字はむしろ控えめで、実際は200万人以上が仮想通貨投資を行っているという統計もある。

中国当局側の規制理由の建前は、仮想通貨によるクラウドファンディングなどは一種の非合法融資であり、金融詐欺やねずみ講などの違法犯罪活動にかかわる行為、金融秩序を著しく乱すもの、というものだ。一説によると、中国の仮想通貨は700種類ぐらいあり、そのうち、まともな仮想通貨は1%に満たず、その他は詐欺まがいのものだとか。また匿名取引を可能にするICOはテロや反政府活動に資金が流入する可能性もあり、当局の監視をぬって北朝鮮を含めて第三国に資金移動することも可能という点では、中国で規制がかかるのは時間の問題とも思われていた。

公式不良債権は51兆元、実態は…

ただ、この半年間で、ここまで企業家、資本家たちがICOバブルに熱狂したのは、習近平政権下での、いわゆる企業家や資本家への管理・監視強化の動きとも関係がある。対外投資一つ、国外資本の購入一つ、いちいち党の許可を受けなければならないようになっていく中、中国の正規金融システムが関与しない仮想通貨は柔軟な資金調達や資金移動の裏口という面もあった。

中国の金融状況を少し整理しておくと、中国が目下抱える最大の経済リスクは言うまでもなく金融リスクである。英格付け会社フィッチ・レーティングスの中国⾦融アナリストがまとめたリポートでは中国の金融システムが抱える不良債権は公式数字を6.8兆ドル上回り、今年末までに最低7.6兆ドル(51兆元)、不良債権比率は公式値の5.3%を大きく上回る34%と発表したことが、フィナンシャル・タイムスなどによって報じられた。四大銀行の不良債権比率が今年6月時点で5年ぶりに低下したとして、改善傾向にあるとの報道もあるが、実際のところは、不良債権受け皿会社(バッドバンク)に不良資産を移しただけで、数字のごまかしともいえる。ウォールストリート・ジャーナルの最近のコラムによれば、バッドバンク業界二位の中国信達資産管理会社は大手銀行の不良資産の6割を引き受けているが、すでにその処理能力を超えており、引き受けた不良債権の減損額はこの半年で2倍以上に膨らんだという。

しかも、習近平が打ち出す新シルクロード構想「一帯一路」戦略に従って、大手銀行四大銀行は目下最低でも一行につき100億ドル以上の融資を命じられている。当たり前のことだが、一帯一路戦略は経済利益を見込んだプロジェクトではなく、中国の軍事上の戦略の意味が大きい。一帯一路に投じられた資金が回収される見込みはまずないのだから(というより途中で頓挫するプロジェクトも多々あると予想される)、これは中国四大銀行がさらに不良債権を背負わされていくだろう、ということでもある。

シャドーバンキングの影

さらに中国の金融リスクを複雑化しているのは、シャドーバンキングの存在である。シャドーバンキングは、当局の金融引き締めの網をかいくぐって地方政府やデベロッパーが資金を調達するために発達したが、その規模は金融管理当局の管理監督が及ばないだけあって不確かである。ムーディーズはその規模を8.5兆ドルと推計しているが、18.8兆ドルという推計を出しているリポートもある。中国が昨年、金融リスク回避のために債権市場のレバレッジ解消、不動産投機への資金抑制を行ったがため、今年に入ってシャドーバンキング経由の資金調達が再び増えているという。シャドーバンキングを規制すれば、債券市場の流動性が細り暴落するといわれ、債券市場を安定させるためにレバレッジ抑制強化するとシャドーバンキングが活発化し、リスクが一層複雑化する、という悪循環に陥っている。

中国はこれまでシャドーバンキングによる理財商品のデフォルトをできるだけ回避する方向で来たがために、シャドーバンキングによる理財商品人気は一向に萎えていない。今後はデフォルト発生を増加させることで、痛みを承知で金融市場の健全化を進めるべきだという考え方も党内で出てきているのだが、そうなると金融のシステミックリスクに波及するおそれもある。

こうしたリスクを内包しながら金融市場を安定させる微妙なかじ取りは、かなりのセンスが必要とされるはずだが、習近平政権はこの一年の間で、中国保険監督管理委員会(CIRC)主席だった項俊波を含む金融規制当局のトップ4人中3人を更迭、失脚させた。その後釜は習近平に忠実なイエスマンばかりの「お友達人事」と揶揄されている。同時に銀行、証券、保険を含む金融業界全般に積極介入し、党のコントロールを強化する方針を打ち出している。

金融安定優先も、かじ取りは…

これは、習近平政権当初に打ち出されている金融市場の自由化、規制緩和に逆行する方針転換となる。規制強化、党の介入強化は、おそらくは中国の経済成長エンジンに大きなブレーキをかけることになるが、習近平としては経済成長を多少犠牲にしても金融の安定化を優先させたい、ということだろうか。だが、習近平にこうしたリスクを内包する金融市場のかじ取りをうまくできるほどの経済センス、金融センスがあるかどうかについては、疑問を持つ人が多い。なにせ、習近平はすでに二度、マクロ経済政策で大きな失敗をやらかしている。一度は株高誘導による国有企業債務危機の緩和政策。これは2015年夏の上海株大暴落「株災」という散々な結末で終わった。もう一つは2015年夏の人民元大幅切り下げ。これは国内外を震撼させ、人民元の信用低下を招いただけで、目的を達成しないまま軌道修正された。

なので、中国の金融市場は、党大会までは安定優先で無理やりリスクを抑え込み経済の安定成長を演出したとしても、その後は、習近平は何かをやらかす可能性は非常に高く、それがリーマンショックより10年ぶりの金融危機の引き金になるのではないか、と中国の投資家たちは気が気ではない。この半年の、仮想通貨への投資バブルは、既存の証券や理財商品や不動産や人民元とは違う、新しい投資対象に資産を分散させたいという心理も手伝ったとみられる。中国の今回のICO規制は、こうした投資家に対する嫌がらせめいたものも感じる。そのあたりが、米国やシンガポールのICO規制と本質的に違うところだろう。

では今後中国で、ICOは全面的に排除されてしまうのだろうか。そうではないだろう。中国当局はブロックチェーンシステムについてはむしろ非常に期待を寄せており、人民銀行は「法定数字貨幣(仮想通貨)」の研究開発加速を打ち出して専門部署まで設けている。これは中国が官製仮想通貨を創設し、いち早く流通させ、まだその命運の定まっていない仮想通貨・暗号通貨の主導権を握りたいということらしい。

「一幣、二庫、三中心」で「党の完全管理」へ?

人民銀行数字貨幣研究所長の姚前が昨年9月に行った講演録がネット上に掲載されていたので、それを参考にすると、中国としての設計原則として、コントロールの中心化、電子マネーのような生活の中で使えるような携帯化、簡易支払い機能、匿名性、安全性を確保するという。

さらに「一幣、二庫、三中心」という抽象的概念をあげている。中央銀行が管理する暗号通貨は一種類とし、それを発行庫(人民銀行クラウド)と商業銀行庫(私有の仮想通貨を貯金するクラウド銀行)の二つに置き、認証センター、登記センター、ビッグデータセンターの三つのセンターによって管理するという。そう遠くないタイミングで、モデル地区で試験導入されるという話もある。

人民銀行が管理する仮想通貨が他の仮想通貨に先んじて中国国内で広がれば、一つには金融リスク監視や経済全体の取り引きの追跡が簡単となり、経済インフラそのものを劇的に変える可能性がある。そしてその市場の大きさを考えれば世界の基軸仮想通貨の地位も狙えるかもしれない。これは党が完全管理する金融という野望への一つの道となるかもしれない。実際、中国国内のスマホ(電子マネー)決済利用率が98%に上る中で、個人の消費追跡はビッグデータ化され、市民管理に応用されつつあるという。中国にこうした長期的目標があると考えれば、今回のICO規制は、人民銀行版仮想通貨ができる前に、競合するライバル仮想通貨を完全に排除しておく、という意味にもとれる。

だが、これは暗号通貨の代表であるビットコインが掲げる「中央銀行の存在しない国境のない自由な通貨」という理念と完全に真逆の発想で、よくよく考えると、こんな通貨に支配された世界はなんか怖い。中国のフィンティックがすごい、とやたら持ち上げる記事が最近増えたが、未来をよりよく変えるイノベーションというポジティブなイメージでは到底受け取れないでいる。

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『北朝鮮は日米分断に全力をあげる 新たな安保理制裁も効果なし』(9/13日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

本記事を読んでの感想ですが、確かに北はこの程度で済んで良かったと思っているでしょう。ただ一応国連安保理での全会一致の採択でしたから、世界を敵に回しているという自覚はあるでしょう。ただ、9回目の制裁がかかっても北の朝鮮は止むことはないと思われます。我々は国連と言うのは国際平和維持のためには機能しない機関と思った方が良いでしょう。最終的に安全を担保できるのは国家だけです。勿論、多国間同盟による安全の確保も可能ですが、力がなければ同盟も結んで貰えません。石破氏が「非核三原則の見直し」に言及していますが、「持ち込ませず」だけではなくて「ニュークリアシエアリング」まで踏み込んでほしかったです。これであればNPT違反ではなく、既に実例もありますから。ただ抑止力として実効性があるかどうかは分かりません。北の核保有が認められるのであれば日本の核保有も認めさせるべきです。

敵(北や中国)は日本のマスメデイアを使って日米離間、彼らに敵対する安倍内閣打倒を叫ばせるでしょう。悲しいかな、それを鵜呑みにする日本人がまだまだ多いという事です。敵の出方は予想されるので、政府としてはやられ放しになるのは無能という事です。時間を言い訳にするのは許されません。事態は切迫しています。多くの日本人同様政府も危機感が足りないのでは。5月に安倍氏は自民党総裁として憲法改正への発言後、メデイアが森友・加計で如何にバッシングして内閣支持率を落としてきたかを考えれば分かるでしょう。今度も朝日を筆頭に左翼メデイアは「米軍の存在が悪い」、「安倍が悪い」の大合唱になると思います。国際法違反の行動をしているのは北なのに。ここをどのように乗り切るかは政府として考えておかないと。電波オークションはやらないよりやった方が良いに決まっていますが、遅すぎです。

http://www.sankei.com/politics/news/170912/plt1709120003-n1.html

以前にもブログ『ぼやきくっくり』からの引用で、青山繁晴氏の発言を取り上げました。米軍が北を攻撃するとすれば、限定戦争でなく全面戦争となるという事を。ただ本記事にあります通り米軍は戦術核(B61-11、バンカーバスター小型水爆)を使って兵器廠を無力化すると思っています。今の日本人は根拠もなく「戦争は起きない」と思っている人が多いです。メデイアがそういう報道をしないからです。日本のメデイアは敵の道具ですから期待するだけ無駄でしょうけど。口コミやネットで広めていくしかありません。本記事の最後に鈴置氏がいみじくも書いています。「日本語のネット空間では「米国も含め世界が平和を望んでいる。戦争を欲しているのは日本の安倍だけだ」という文句も飛び交うようになりました。「やはり、こう来たな」という感じです。」と。ネットは圧倒的に保守派が強いと思っていますが、数は少なくとも敵の指示に従って投稿する五毛帮みたいな輩が居るという事です。騙されないように。

記事

国連安保理は北朝鮮制裁決議を全会一致で採択したが…(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

9月11日、国連安保理が新たな制裁案を採択したが、北朝鮮に核・ミサイルを放棄させる効果は期待できない。味をしめた北朝鮮は核武装を世界に認めさせるため、日米分断など陽動作戦に動くだろう。

原油は現状維持

—安保理が採択した9回目の北朝鮮制裁案は?

鈴置:効果は期待できません。肝心の原油の全面禁輸が盛り込まれなかったからです。新たな制裁案では現状水準で凍結するに過ぎません。金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対する資産凍結・渡航禁止も外されました。

—一体、何が新しいのですか?

鈴置:北朝鮮の繊維製品の輸出禁止と、国連加盟国における北朝鮮労働者への就労許可の禁止です。ただ後者に関しては、中国やロシアで現在働く労働者の送還は見送られました。

米・日は原油の完全禁輸と、北朝鮮の外貨獲得手段の封鎖など強力な制裁を目指しましたが、中ロの反対で完全に骨抜きになりました。

水爆を持ったことに留意せよ

—北朝鮮は喜んでいるでしょうね。

鈴置:「しめた!」と躍り上がったことでしょう。今後は「水爆とICBM(大陸間弾道弾)を持った北朝鮮」を世界に認めさせるために全力をあげると思います。

北朝鮮の路線は明確です。9月7日に朝鮮中央通信が配信した記事「朝鮮アジア太平洋平和委員会 敵対勢力の新たな制裁圧迫を非難」が北の意図をよく示しています。

この記事はまず、米国に対して北朝鮮を核保有国として認め、制裁や軍事的威嚇を止めるよう要求しました。以下がその部分の全訳です。

なお、記事の一部は聯合ニュースの「北朝鮮が韓米日を威嚇 『制裁に執着すれば断固たる対応に直面』」(9月8日、日本語版)で、日本語で読めます。

米国は朝鮮の水爆保有により変化した地位と重みを慎重に考慮し、もう打つ手もないというのに空元気を出して、めったやたら暴れまわるのは止めねばならない。

朝鮮の水爆実験の成功に込められた極めて大きな意味と、厳しい警告をいまだにきっちりと判別できず、昔ながらのやり方にとらわれ制裁と圧迫に執着するなら、米国としてとても甘受できない、類例のない断固たる対応に直面するであろう。

いつも、後悔は先に立たないものだ。

米国がほざく「北を全滅」などの暴言と、悪だくみの妄動が国益を利するか、そうではないか、深思熟考せねばならない。

—「上から目線」ですね。

鈴置:核を持ったからではありません。北のメディアはいつもこうなのです。「オレはお前より上の存在だ」と叫んでいるのです。韓国政府が日本政府に対し、説教調の声明を出すのと同じことです。

—韓国外交部が年中言って来る「歴史を直視せよ」ですね。

鈴置:その通りです。話を北朝鮮に戻します。よほど国連制裁の強化が怖かったと見えます。世界では「どうせ中国やロシアが制裁強化には応じないだろう」と見る向きが多く、実際そうなったのですが。

同時に「北の全滅」を極度に恐れているのも分かります。制裁の実効が上がらない場合、しびれを切らした米国が北の核・ミサイル施設を先制攻撃してくると恐れているのでしょう。

—「全滅」と言っていますね。

鈴置:9月3日、マティス(James Mattis)国防長官が「米国やその同盟国を攻撃すると脅すなら、大量の軍事的対応で悪漢国家を全滅(total annihilation)させることもある」と語りました。これに反応したのでしょう。

マティス長官の言い回しは、米政治誌POLITICOの「Mattis warns of ‘massive military response’ if North Korea threatens attack」(9月3日)で読めます。

平壌も核攻撃の対象

—核・ミサイル施設への攻撃だけで、北朝鮮は「全滅」するのですか?

鈴置:専門家はしばしば「ピンポイント攻撃」とか「外科手術的な攻撃」という言葉を使います。民間人の被害を極力抑えるため、軍事施設だけを攻撃する、との含意があります。

ただそうは言っても今、北朝鮮を攻撃するとなると全面戦争に近いものになりそうです。地上戦までやるつもりは米国にはありませんが。

先制攻撃する場合、米軍はまず第1撃で北朝鮮のレーダー基地とミサイル施設、司令部を叩きます。核兵器の製造工場や倉庫は後回しです。とりあえずは運搬手段であるミサイルを叩かないと、核で反撃されることになるからです。

でも北朝鮮はミサイルを地下に隠していて、場所の特定が困難です。先制攻撃されても反撃し得る――第2撃能力を持っているのです。

第2撃能力を消滅させるには過去にミサイルを発射した場所と、隠匿していそうな場所、すべてを同時に攻撃する必要があるのです。ある米軍関係者は「場所を完全に特定できない以上、広範囲に叩ける戦術核も使うだろう」と予測します。

北朝鮮は8月29日、ミサイル「火星12」を首都、平壌(ピョンヤン)の順安(スナン)国際空港から発射しました。米軍は当然、平壌も先制攻撃の対象とします。

—なぜ、北朝鮮は敢えて平壌の空港から発射したのですか?

鈴置:米国に対し「平壌からもミサイルを撃てるぞ。首都という人口密集地を米国は攻撃できるか」と挑発する狙いだったと思われます。もちろん米国は人口密集地だろうと攻撃します。そうしないと米国や同盟国が核攻撃されるからです。

9月3日のマティス国防長官の「全滅(total annihilation)」発言は「平壌からの発射」への返答だったのかもしれません。

米国の手足は止めよ

—北朝鮮はどうするつもりでしょうか。

鈴置:日本で、先制攻撃への反対論を盛り上げると思います。すでに日本に対し「米国に協力したら、核で攻撃するぞ」と脅し始めています。

先ほど引用した朝鮮中央通信の9月7日の記事は、米国に現状追認を求める一方、日本を威嚇しました。

日本は自らの立場をはっきりと悟り、これ以上米国の手足として醜悪に振る舞うことは止めねばならない。

日本反動層に対する骨髄に徹する恨みを抱いているわが軍隊と人民は、米国にへつらって反共和国制裁騒動に先頭で加担してきた現日本当局の罪科まで徹底的に清算する時だけを待っている。

我々の水素爆弾の実験成功以来、驚き慌てる日本の醜態にはやはり、むかつかざるを得ない。

人々はそれが軍事大国化実現に拍車をかけるための浅薄な計略と見抜いている。

日本は、恐ろしい打撃力と命中効果を持った多種多様な原爆と水爆、弾道ミサイルを保有した世界的な軍事強国である朝鮮民主主義人民共和国が、最も近くにあることを心に刻まなければならない。

最初の2つの文章と最後の1文で「核攻撃されたくないなら米国に追従するな」と脅しました。そして3番目と4番目の文章で「安倍政権の軍国主義化へのたくらみ」を指摘しました。

「北を刺激するな」

—隣に登場した核保有国が怖くないのか、ということですね。

鈴置:日本語のネット空間には、この記事が載ったころから「核を持った北を刺激してはならない」との言説が一気に目立つようになりました。北朝鮮の意向に沿って「経済制裁や米国の軍事行動を支持したら大変なことになる」と言い出した人たちがいるわけです。

それまで北朝鮮に近い人は「日本は対話すべきだ」「米朝の仲介の労を日本がとるべきだ」などと言っていたものですが。

—なぜ、彼らは「対話」を言わなくなったのでしょうか。

鈴置:「対話」を言われると北朝鮮が困るからです。強力な核兵器と米国の西海岸に届くであろうミサイル持った以上、北朝鮮はその新たな現状を変えたくはないのです(「北朝鮮にはもう、対話など必要ない」参照)。

対話は程度の差はあれ現状の変更を話し合うわけですから、北朝鮮にとって「百害あって一利なし」です。

もし、世界で「対話しよう!」との声が高まれば「対話に応じない北朝鮮」の姿が浮き上がってしまいます。だから「対話ムード」が盛り上がらないよう、北朝鮮は「核とミサイルは交渉の対象ではない」と繰り返すのです。

反安倍勢力をテコ入れ

—この記事は安倍晋三政権も批判しています。

鈴置: 「日本の軍事大国化」を批判する、日本の反安倍勢力を使って、米国との共闘を止めさせるつもりでしょう。

米国は韓国の協力がなくても「第2次朝鮮戦争」は何とか戦えます。しかし、在日米軍基地と日本の補給力がないと戦えません。北朝鮮もそれはよく分かっていますから、反安倍勢力へのテコ入れに必死なのです。

日本語のネット空間では「米国も含め世界が平和を望んでいる。戦争を欲しているのは日本の安倍だけだ」という文句も飛び交うようになりました。「やはり、こう来たな」という感じです。

(次回に続く)

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『大卒青年たちを死に追いやる中国マルチ商法の闇 各地で頻発、背景に就職難、大学は出たけれど…』(9/8日経ビジネスオンライン 北村豊)、『習政権、中国伝統医術を政治利用』(9/11日経ビジネス The Economist)について

9/11小坪慎也ブログ<拡散】朝鮮大学、在校生に総決起を指示。「日米を壊滅できる力整える」金正恩氏に手紙【敵国だと思ったらシェア】> 北への制裁決議が国連安保理で、全会一致で通りました。中露を巻き込めば妥協せざるを得ません。中露とも米国の一強支配を終わらせようと裏で北を助けているのですから、茶番と言えば茶番です。でも10/18の中国共産党大会が終われば、軍事オプションを発動するかもしれません。単なる休戦ですから。宣戦布告も当然ないでしょう。或はもっと厳しい経済制裁、他国を巻き込んだ金融制裁をするかも知れませんが。朝鮮総連、朝鮮学校はテロリストの巣窟と見て良いのでは。生物兵器や化学兵器が隠匿されている可能性もあります。警察・外事は何をしているのでしょうか?

https://samurai20.jp/2017/09/shukai/

9/11NHK安倍内閣支持率

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170911/k10011135251000.html

http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

9/10NNN安倍内閣支持率

http://www.news24.jp/articles/2017/09/10/04372134.html

安倍内閣の支持率が回復したとのニュース、それでも2月のように不支持率が20%台までは行きません。如何に国民がメデイアの嘘放送に弱いかという事を表しているかと思います。このままのペースではメデイアの狙い通り、憲法改正は出来なくなったと思っています。それなら、山尾の不倫問題、日本ファーストの態勢が整わない内に衆院解散に踏み切るかもしれません。

9/12加藤嘉一氏記事<中国は党大会を目前に控え「米朝戦争」を最も警戒している>

http://diamond.jp/articles/-/141835

加藤嘉一氏は中国を「法治国家」と書いていますが、中国に長く住んでいてその認識しか持てないのであれば「めくら」であり、知っていて言っているとすれば中国共産党の代弁者=プロパガンダ広報官でしょう。小生は後者と思っています。こういう駄文というか害のある文章(中国の北への参戦条項、殆ど死に体)を掲載するのを見るとダイヤモンド社も見識がないとしか思えません。まあ、表現の自由は守らないといけませんが。

宮崎正弘・石平・ 福島香織共著『日本は再びアジアの盟主になる トランプvs.習近平!米中激突で漁夫の利を得る日本』の中で宮崎氏は「中国政府発表の数字は眉唾ものばかり

中国の「ジニ係数」は、2014年には0.73に達している。この数字は北京大学の独自調査で、産経新聞によれば、「中国の国内個人資産の3分の1を上位1%の富裕家庭が握り」 「極端な富の偏在が進行している」(同紙、2016年12月25日)。

ジニ係数とは、所得格差を測る指数で、1に近いほど不平等さが高いことを示す。数年前まで中国のジニ係数は0.62あたりが最悪値といわれていた。この数字は西安のある大学の独自な調査に基づいたもので、アメリカの華字紙などが盛んに報じていたが、中国の公式発表はなかった。なにしろ国家統計局の公式の数字ですら0.462である。通常、0.4を 超えると、社会が擾乱状態に陥るとされ、0.5を超えると内乱になるケースがある。

2016年1月19日、国家統計局長の王保安は「2015年の中国の経済成長率は6.9%」と発表したが、そのわずか1週間後に「重大な規律違反」で失脚してしまった。ようするに誰も国家統計局の数字など信用していないということだ。したがって中国国家統計局が2016年のGDP成長が6.5 と言っているのも、まったくの眉唾である。

中国は富裕層の外貨持ち出しを急激に警戒し、多様な規制をかけてきたが、海外企業買収の上限枠設定、外貨持ち出しの両替制限から、ATMの利用制限、ついには銀聯カードの新規発行停止を決定した。それでも巧妙な手口でせっせと外貨は海外へ持ち出されている。外貨準備高は急激に落ち込んでいる。1つは地下銀行、もう1つはぺ—パー化させた有価証券の持ち出しで、いずれもマフィアが牛耳る世界である」(P.60~61)と紹介しています。

北村氏の記事のように、中国人の大多数は貧しいという事が宮崎氏のジニ係数の話で分かると思います。如何に富の分配がうまく行っていないかです。「結果の平等」を標榜する共産国がこれですから。本記事の学生について、ポンジスキームに騙される方が悪いといえば悪いですが、一番悪いのは多分公安です。会社から賄賂を取って見逃していると思います。中国ではよくあること。賄賂文化を元から断たないと駄目ですが、中国数千年の歴史の重みがありますので望むべくもありません。

エコノミスト記事にありますTCMとは伝統中国医学 (Traditional Chinese Medicine)のことです。また「死んだいも虫に寄生する菌類」というのは冬虫夏草のことです。でもwikiでは芋虫ではなく、オオコウモリガとのこと。中国は冬虫夏草を捕るためブータンの国土を侵略したとも言われています。また国際条約で禁止されている象牙も習近平の専用機で密輸した事件もありました。こういう行為のどこが加藤氏の言う「法治国家」なのでしょうか?民主主義の手続きに依らず、立法化したものを国民に強制するだけの国、対外的な約束は守らなくても良いというのが加藤氏の言う「法治国家」なのでしょう。中国で学ぶと、北京大学出の先輩の富坂聰氏同様考えがおかしくなるようです。

TCMの基本は医食同源にあると思います。医食同源の考えは、体の不調な部分を補うために、動物のその部位と同じ器官を食す、人間に近ければ近いほど良い(ですからカニバリズムが起きる訳です)と言うものです。そう言う説明をTVで見た記憶があります。エコノミスト記事にありますように、これでは欲望最大の中国人のことですから、動物虐待や種の絶滅に繋がりかねず、危険です。どうせ習近平が国威発揚を狙ったプロパガンダでしょう。毛沢東ですらその効果を疑っていたというのですから。

悪の帝国・中共(現在中国大陸を統治しているという意味です)は滅ぼさないとなりません。今回の朝鮮半島問題がその引き金になり、分裂するのが良いと思うのですが。またネットでは北の核とICBMは南進の為で、米国の参戦を防ぐためだという意見もありました。

<2017-07-03中共の崩壊はどう起きるか>

http://kaiunmanzoku.hatenablog.com/entry/2017/07/03/101705

北村記事

7月14日の午後6時55分、天津市の“静海区公安局”(以下「区公安局」)に死体発見の通報が入った。現場は天津市の西南部に位置する“静海区”の郊外を走る国道G104の傍らにある濁った池で、死体は背中を上にして水に浮いていた。地元の消防隊が引き上げた遺体は男性で、服装は整っていた。上着のポケット内にあった身分証から、死者は山東省“徳州市”の管轄下にある“武城県郝王庄鎮仁徳庄村”出身の“李文星”(23歳)と判明した。

同夜、区公安局の警官が李文星の家族に連絡を取り、李文星が死体となって発見されたことを連絡して、速やかに天津市へ来て遺体の確認を行うよう依頼した。翌日、天津市入りした李文星の家族は遺体と対面して本人であることを確認した。7月20日、家族同意の下で監察医による李文星の遺体解剖が行われた結果、死因は溺死と判定されたが、不思議なことに、遺体の胃袋は空っぽの状態で、死亡当時の李文星は餓死寸前であったことが判明した。

資源探査を学んだが…

李文星とその妹の“李文月”は、1994年の1月に“龍鳳胎(男女の双子)”として仁徳庄村の貧しい農民家庭に生まれた。出生時、男の子は呼吸がなく、女の子は低体温であったが、医院の応急処置によって命を救われた。しかし、李文月は病弱で治療費の出費がかさみ、李家の生活は困窮していた。李文星は小さい頃から学業優秀で、“高考(全国大学統一入試)”で遼寧省“瀋陽市”にある一流大学“東北大学”に合格したが、家計を考えて入学手続きを逡巡して、父親に叱られた。東北大学生となった李文星は李一族で唯一の大学生であり、李一家の希望だった。李文星は昨年(2016年)6月に東北大学の“資源勘査工程専業(資源探査工程学科)”を卒業した。

将来に希望を抱いて東北大学の資源探査工程学科を卒業したものの、専攻した学問を活かせる良い就職先はなかなか見つからなかった。就職したら故郷の家族に仕送りをしたいと考えていた李文星は焦りを覚え、世間で人気の“JAVA程序員(JAVAプログラマー)”になろうと考えた。JAVAプログラマーなら給料も高いし、出張もない。彼の専攻はコンピューターとは無縁であったにもかかわらず、李文星は無謀にも夢をかなえようと北京市へ移り、コンピューター関連の専門学校へ入学した。大学時代に李文星と宿舎で同居していた友人は、今年の年初に別の仕事を李文星に紹介したが、李文星の決意は固く、即座に断られたという。

専門学校の授業を終了した李文星は、5月15日からインターネットの著名な求人サイト“BOSS直聘”を通じてJAVA関連企業の求人広告に応募を開始し、何社にも履歴書を送信した。しかし、どこからも返事はなく、焦りを覚え始めた5月19日に“北京科藍軟件系統公司(北京科藍ソフトウエアシステム)”(以下「北京科藍公司」)という名の企業からメールを受け取った。李文星は知らなかったが、このメールは北京科藍公司という実在する企業の社名を騙(かた)った“李鬼公司(インチキ会社)”から発信されたものであった。当該インチキ会社は“傳銷(マルチ商法)”集団が求職者をおびき寄せるための手段であったことにより、李文星は最終的に死を遂げることになったのだった。

北京科藍公司からのメールで連絡を受けた李文星が、そこに記載されていた番号へ電話を掛けて電話面接を受けた結果、ハンドルネーム“五殺楽隊”という人物から合格通知のメールを受け取った。そこには速やかに天津市の“静海火車站(静海鉄道駅)”(以下「静海駅」)へ来るよう指示があり、列車の時刻表を調べた李文星は翌20日の午後1時20分に静海駅へ到着する旨をメールで返信した。5月20日、李文星は北京駅から列車に乗り、午後1時20分過ぎに静海駅に降り立った。その後の李文星の足取りは不明だが、7月8日に故郷の母親へ電話を入れ、「誰かが電話でカネを要求して来ても、絶対に支払わないように」とだけ言って電話を切ったことが確認されていた。

騙されたことに気付いたはずだが…

ニュースサイト「“中国青年網(ネット)”」は8月6日付で李文星事件について以下のように報じた。

【1】“蝶貝蕾(ちょうばいらい)”は2005年に発足した“傳銷(マルチ商法)”集団で、全国各地にはびこり、多数の被害者を出し、度々大がかりな取り締まりを受けながらも、依然としてしぶとく生き残っている。求人サイト“BOSS直聘”に北京科藍公司の名前を騙って求職者を陥れる罠を仕掛けたのは、“蝶貝蕾”の天津支部に属する“陳〇”だった。李文星から5月20日午後の列車で静海駅に到着する旨の返信メールと受け取った陳〇は、上司である“張●”に報告し、張●はその上司である“胡△”に報告した。胡△は部下の“江▲”に静海駅で李文星を出迎えるよう指示した。

【2】静海駅で李文星を出迎えた江▲は、李文星を静海区の“静海鎮上三里村”にある仲間の“艾◇”が管理する部屋へ連れて行った。その後、李文星は同じ静海鎮の“楊李院村”にある胡△が管理する部屋へ移され、最後は楊李院村にある仲間の“李◆”が管理する部屋へ移された。恐らく李文星は“艾◇”が管理する部屋に連れていかれた時点で騙されたことに気付いたはずだが、狼たちが捕らえた獲物を逃がす訳がなく、常に厳しい監視の下に置かれ、身の危険を感じて逃げ出すことができなかったのだろう。

【3】8月6日早朝、静海区はマルチ商法撲滅行動を展開し、2000人余りの取締官を動員して“村・街・社区(村・通り・地域)”など418カ所でローラー作戦による捜査を行い、午前11時までにマルチ商法の拠点301カ所を摘発し、マルチ商法メンバー63人を捕捉した。拘束した“蝶貝蕾”メンバーの供述から、静海鎮で“蝶貝蕾”集団の監視下に置かれた李文星は強制的に入会金を支払わされて正式に集団メンバーになり、死亡する前の時点では監視を解かれて集団内で自由に活動することが許されていたことが判明した。但し、李文星が溺死した原因は解明されておらず、さらなる調査が行われている。

実は、8月3日に北京紙「新京報」の記者が李文星の死体が発見された池から100m程離れた下水溝でマルチ商法集団が捨てたと思われる“傳銷日記(マルチ商法日記)”などの物品を発見した。この周辺の住民によれば、この地域にはマルチ商法集団のメンバーが集まる拠点があり、1年中多くの人々が拠点に居住し、常に授業を受けていた。しかし、彼らは1週間前に突然姿を消したので、どうしたのかと思っていたら、彼らの拠点近くの下水溝に布団、衣類を含む大量のゴミが捨てられていたという。彼らは見た目には正常だったが、住民たちと話をすることはなく、衣服は汚れ、ズボンには泥が付いていた。また、記者が発見したマルチ商法日記には手書きで“蝶貝蕾”の内部構造や“蝶貝蕾”集団が取り扱う商品を販売する際に必要な騙しの話法などが書かれていて、その中には「当社のビジネスパートナーは“広州蝶貝蕾精細化工有限公司”である」といううたい文句のインチキな記述もあった。

2900元の化粧品購入を強要され…

この発見によって、李文星と“蝶貝蕾”集団との関係は明白なものとなったのだが、「新京報」は同じ記事の中で、“苦肉計(苦肉の策)”を用いて、“蝶貝蕾”の拠点から必死の思いで逃げ出した25歳の“李冬”の体験を報じている。その概要は以下の通り。

(1)北京市内の某理工系大学を卒業した李冬は、今年5月に求人サイト“BOSS直聘”で“北京泰和佳通”という名の企業が“軟体測試人員(ソフトウエアテスト員)”を募集しているのを見つけた。李冬はこの企業に応募したが、採用試験は電話面接だけで、李冬の就業経験などを聴取した2日後には合格の連絡があり、天津市の静海駅へ出向いて来社するようにと指示があった。静海駅で出迎えを受けて向かった先は1軒の農家で、そこには20人程の人数がいた。これを見て李冬は非合法組織だと悟って逃げ出そうとしたが、そのうちの1人に首を絞められた。窒息する寸前に許しを乞うて助かったが、死の恐怖に打ちのめされた。それからは李冬に3人の監視が付き、1人が李冬に話をし、他の2人は李冬の左右を取り囲んだ。

(2)それからの毎日は昼間にこの農家にいるのは短い時間だけで、警察を避けるために、組織のリーダーがメンバーたちを荒野や田畑へ連れて行き、1日中マルチ商法の講義を聴かされた。李冬と同様に合格通知を受け取って静海駅へ来た人の多くが、駅から農家の門前まで連れて来られた時点で騙されたと気付き、Uターンして逃げようとするが、組織の人数は多かったから、たちまち捕まって連れ戻されるのだった。

(3)この組織は“蝶貝蕾”という名のマルチ商法集団で、扱っていたのは化粧品であった。騙されて連れて来られた人は2900元(約4万6400円)で一組の化粧品を購入することを要求される。2900元を支払った人は下っ端から格上げされて“老板(店主)”と呼ばれるようになり、優秀な“老板”は副班長に相当する“懈(かい)”に格上げされる。その上は班長に相当する“大扛(だいこう)”、さらにその上は班主任に相当する“導”となる。“導”がメンバーたちにマルチ商法の授業を行い、記憶力の良い“老板”にメモを取らせて暗記させてから、新入りに対して授業を行わせる。

逃亡失敗で監禁され…

(4)そうこうするうちに、“大導”と呼ばれる上級幹部が現れてメンバーたちに授業と称する洗脳を行う。すなわち、4~5カ月で代理店になれる。代理店になれば収入が増えて裕福になれる。その前提は化粧品を十数組購入することだが、それには4~5万元(約64~80万円)が必要になるから、化粧品の販売を名目に親戚や友人を騙してカネを巻き上げろ。こうして、“大導”は“蝶貝蕾”の違法活動を正当化し、カネ持ちになれるとメンバーを煽り、徐々に肉親や親類、友人、さらには赤の他人を騙すことに罪悪感を覚えなくさせるのだった。なお、李冬によれば、化粧品というのは概念に過ぎないようで、彼は最初から最後まで化粧品の実物を見たことがなかったという。

(5)“蝶貝蕾”集団内のメンバーは全員が大学を卒業したばかり、あるいは卒業して1~2年の人たちで、中には就労経験を持つ者もいた。彼らの組織を発展させるには、末端のメンバーを増やすしかないので、現有メンバーの友人を引き込んだり、ネットの求人サイトで求職者を騙して招き入れるしかない。李冬は“蝶貝蕾”の拠点で約20日間を過ごしたが、その間に李文星を見かけた。当時、彼らは警察の目を避けて、基本的に人里離れた場所で毎日トランプ遊びに興じていた。李文星もトランプに参加したが、彼は言葉少ないタイプで、内向的に見えた。しかし、3~4日後に李文星は別の場所へ移されたのか、見かけなくなった。

(6)李文星がいなくなってから数日後に、李冬は“蝶貝蕾”の拠点から逃げ出すことを決意した。李冬が目まいで倒れた振りをすると、彼らは意識を取り戻させようと脚をライターの火であぶり、タバコの火を鼻の頭に押し付けた。脚も鼻も火傷を負ったが、何の治療もしてもらえなかったので、脚の火傷は悪化した。李冬は“導”に医者に行かせて欲しいと訴え続けたところ、下手をすれば厄介なことになると考えた“導”は、800元(約1万2800円)払えば解放してくれると約束した。李冬は友人にメールを入れて1000元を借り、“導”に800元を支払って自由の身となり、手元に残った200元で列車の乗車券を買って、姉の所へたどり着いたのだった。李冬はわざと彼らに身体を傷つけさせて、治療を理由に解放を求めて成功した。これこそ正に苦肉の策の脱出行であった。

李冬は“蝶貝蕾”からの脱出に成功したが、内向的な李文星は飢餓状態で溺死した。恐らく、李文星は逃亡を図って失敗し、食事を与えられぬまま監禁されていたのだろう。李文星は見張りの隙を見て逃げ出したが、走っている途中で誤って池に落ち、空腹で体力が衰えていたために溺死したのではなかろうか。無念の最後であった。

天津市では李文星の死体が発見されたのと同じ7月14日に、静海区に隣接する“西青区”でも若い男性の死体が発見された。調査によって死体は山東省“臨沂市郯城県”出身の“張超”(25歳)であることが判明した。検死の結果、遺体に外傷はなかった。張超は“内蒙古科技大学”の卒業生で、李文星と同様にマルチ商法集団に騙されて7月10日に静海区へ来たばかりだった。その後の調べで、張超は熱中症を発症したため、仲間によって車で天津駅へ運ばれる途中で病状が悪化したため、無慈悲にも置き去りにされたことが判明した。これ以外にもマルチ商法関連で若者が死亡する事件は全国各地で次々と発生している。

撲滅できるか

李文星事件はメディアによって大々的に報じられた。このため、上述したように、天津市静海区は8月6日にマルチ商法集団の一斉取り締まりを実施し、“蝶貝蕾”を含むマルチ商法集団の拠点を摘発し、多数のマルチ商法メンバーを捕捉したのだった。但し、それは静海区に限定した取締りであり、広大な中国のほんの一部分に過ぎない。

中国各地ではマルチ商法集団がはびこり、関連の犯罪が激増し、集団によってメンバー入りを強制された人およびその家族が破産したり、自殺するなどの悲劇が頻発している。今やマルチ商法集団は中国国民共通の怒りの対象であり、全国各地の公安局はマルチ商法集団の取り締まりを強化している。そうした最中に発生したのが李文星事件であり、この事件を契機としてマルチ商法集団撲滅の動きは全国的に活発化するものと思われる。

筆者は8月4日付の本リポート『幹部釈放を求め「ねずみ講」会員6万人が北京へ』で、「“善心滙(ぜんしんかい)”」という名のねずみ講に関する記事を報じたが、中国語の“傳銷”は「マルチ商法」とも、「ねずみ講」とも訳される。一般的に両者の違いは、前者には商品が介在するが、後者には商品の介在はなく、カネだけが動くとされる。上述した“蝶貝蕾”の場合は商品が存在しないようだから、実質的にはねずみ講と言ってよいのかもしれない。

いずれにせよ、“善心滙”を代表とするねずみ講と“蝶貝蕾”を代表とするマルチ商法は、中国政府にとって徹底的に取り締まって撲滅すべき標的の一つとなった。中国共産党総書記の習近平は、「党と国家の存亡の危機」を回避して、国民の信頼を取り戻すために「トラ退治とハエ駆除」を標榜して汚職官僚の摘発に全精力を傾注した。これと同様に、国民の怒りを解消して信頼を勝ち得るためには、ねずみ講とマルチ商法の撲滅は不可避なものとなっているのである。「トラ」と「ハエ」に新たに「ねずみ」が加えられたと言える。

The Economist 記事

中国政府は、中国の伝統医術を普及させるべく、法律まで作って後押ししている。「伝統文化の擁護者」とのイメージを習近平国家主席に持たせる狙いだ。毛沢東も同様の策を講じた。政治的な思惑の裏で、環境や絶滅危惧種への悪影響が懸念される。

TCMで使用する薬物を調合している。調合師はテストに合格する必要がある(写真=Imaginechina/アフロ)

「かつて十分な科学的根拠に欠けるとして疑問視されていた中国の伝統的な医術が、まさに世界を席巻しようとしている」。中国国営通信の新華社は2016年、ある記事の中でこう論じた。

むろん、これは戯れの誇張だ。たとえ中国共産党であっても、効果の定かでない古来の療法で近代医学に取って代わろうなどと計画しているわけではない。

だが同党はこうした治療法(一般にTCMとして知られる)を世界中に広めようと本腰を入れている。国内においても、TCMを施術する病院や診療所のネットワークを広げていく意向だ。

中国では近年、TCMが急速に成長している。これを施術する中国の病院は03年には約2500だったが、15年末には4000余りに増加した。中国国内で免許を持つTCMの施術師の数は、この6年の間に50%近く増加して45万人を超えた。

中国政府は「孔子学院」のネットワークを通じて、米国や英国など様々な国におけるTCM教育に助成金を出している。中国政府の意向を伝える英字紙「チャイナ・デイリー」は同紙のウェブサイト上で「世界はTCM時代に入りつつあるか」と問いかける記事を掲載した。答えがイエスなら中国政府は大喜びだろう。だが、人類や、TCMに材料を提供している自然界にとっては、必ずしもそうではなさそうだ。

毛沢東が支持獲得に利用

中国においてもTCMは、いつも今のようにもてはやされてきたわけではない。中国の最後の王朝である清朝が1911年に滅んで以降、中国の新たな指導者たちはTCMを迷信に基づく行為としてはねつけてきた。

TCMは煎じ詰めると、はり治療や、各種薬草や動物の様々な器官から取った成分を混ぜ合わせた調合薬による治療を少々超えたものにすぎない。

そこに神秘的な色合いが加わることもしばしばある。気と呼ばれる力が人体の健康に影響を与え得るとの考えだ。

中華人民共和国の設立時に最高指導者となった毛沢東はTCMを信頼していると公言する愛好者だった。農民の間でTCMの人気が高いことを知っていたからだ。農民こそが、毛沢東が取り組むゲリラ活動を支える原動力だった。

TCMは料金が安いことも利点の一つに挙げられる(毛沢東は裏では、お付きの医師の一人にこう打ち明けていた。「TCMの普及を促す必要があることを理解しているが、私個人としては効果を信じてはいない」)。

現在の中国を率いるリーダー、習近平国家主席は、毛沢東以上に強くTCMを支援している。習政権は2016年に「白書」を発表。その中で、TCMを推進していく計画を提示するとともに、「(TCMは)人類の文明化の進展に好影響を与える」と主張した。同白書は、TCM産業は中国経済の「新たな成長エンジン」になるとも記している。

 

TCM部門の設置を義務化

今年7月、すべての一般病院にTCM部門を開設するよう地方政府に義務づける法律が施行された。同法はまた、TCMと、中国が「西洋医学」と呼ぶものを同列に扱うよう求めている。

習氏の努力はある程度の恩恵をもたらす可能性がある。TCMが健康な食と生活の実現に一役買うなら、称賛されるべきだ。通常の医療にも造詣の深いTCMの施術師は、著しく立ち遅れている中国のプライマリーケア制度の穴を埋められるかもしれない。

西欧社会におけるTCMの受け入れは進まない(写真=Imaginechina/アフロ)

とはいえ危険もある。より多くの資源をTCMに配することで、科学に基づく医療に向けるお金が減ることになる可能性がある。これはTCM振興がもたらす落とし穴だ。TCMによる治療の大半はプラセボ効果がある程度で、悪くすると疾病治癒という本来の役割を果たせない。危険を伴うことすらあり得る。

中国の薬理学者、屠呦呦(ト・ユウユウ)氏が15年に、中国国内で取り組まれた研究成果を対象とするノーベル賞を初めて受賞した。同氏は、TCMにおいてマラリアに効果があるとされる物質から、有効な化学物質を抽出するのに成功した。

中国政府はこのことがTCM全体の有効性を実証していると主張する。だが、TCMは実際には、屠氏がノーベル賞を受賞するに至った研究に、インスピレーションを与えただけだ。ノーベル委員会もこの点を強調する。伝統的な医療の効果が認められるようになる場合は常に、その背後に確たる医療メカニズムが存在している。

TCMの推進は、環境に打撃を与え、絶滅危惧種の生存を危険にさらすリスクを増幅しかねない。チベット高原では、一獲千金を狙う者たちがTCMで珍重される死んだいも虫を探して草原を破壊している。このいも虫に寄生する菌類がTCMにおいて人気なのだ(公式には使用が認められていないものだが)。この菌類の価格は、同じ重さの金よりも高い。この薬剤が性欲を活性化させる証拠はない。

南アフリカの草原地帯(サバンナ)では角を切り取られたサイの死骸が横たわっている。サイの角は関節炎に効くとされており、粉末にして利用される。中国にあるTCMの闇市場では1kg当たり数千ドルが相場だ。こうした例は枚挙にいとまがない。

TCMの振興を図るよう習氏を突き動かしている動機の一部は政治的なものだ。熱烈な愛国者、かつ中国文化を擁護する者とみられることを願っている。だが、効果の定かでない治療法に助成金を支給するよりも、科学の進展を支援するほうが、中国にもたらすものは大きいだろう。

©2017 The Economist Newspaper Limited Sep. 2-8, 2017 All rights reserved.

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