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3/25日経ビジネスオンライン 北村豊『黒竜江省長「誤発言」が招いた炭鉱労働者の憤怒 坑内環境の厳しさと悲惨な生活と急増する抗議行動』について

本記事にありますように、リストラ後の受け皿になる産業が中国にはなく、失業→流民になるしかありません。炭鉱労働者に代表される肉体労働者の配転は難しいです。まともな教育を受けていませんから他産業に移そうとしても難しいです。日本の炭鉱産業も斜陽となり、閉山が相次ぎましたが、他の産業が高度成長の波に乗り、雇用吸収力として働きました。肉体労働者も働く場がありましたから。中国は中国系企業が人件費高騰で海外へ出て行く時代です。中国人企業経営者の資産保全の意味もありますが。

何せ中国人は主張する民族ですから、デモ・ストはどんどん増えて行くでしょう。2006年から中国は暴動件数を発表しなくなりましたが、理由は前年度件数が87000件で06年は10万件を越える可能性があるからと思われます。今は多分20万件超でしょう。データの採り方にも依るでしょうが。おとなしいと思われています日本人ですら大正7年の米騒動や昭和7年の「米よこせ運動」が起きていますから、食べるものに事欠くようになれば、暴動件数は飛躍的に上がると思います。何せ中国人の食事に関する拘りは凄いものがありますから。だから世界三大料理の一つと言われるようになった訳です。富裕層が富の分配を修正すれば良いのでしょうが、強欲中国人に期待しても無理と言うもの。鄧小平の先富論は中国人の性格を考えれば間違いでしょう。今は“未富先老”の状態ですので。

左翼の発想では、内部矛盾の解決策として、外部との摩擦を引き起こす=戦争の道を歩むのではないかと思っています。一党独裁・軍事国家で国民の監視、言論の自由がありませんから。昔のソ連、今の中国や北朝鮮もそうです。青山繁晴氏は中国と北が手を組み、日本を襲う可能性もあると。地下シエルター、地下街をもっと作らないと、と呼びかけています。集団安保に反対している日本民進党や日本共産党、社民党は国民の生命財産に関心がないように見えます。「今そこにある危機」が見えていません。参院選(衆参同時選になると思いますが)には左翼・リベラル政党には投票しないようにしましょう。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1860.html

鈴木貴子議員の質問主意書に対する閣議決定で「共産党は破防法の監視団体」と決めたのは当然です。今でも暴力革命を否定していませんから。外国勢力と組み、日本を共産党支配の国にしようとしていますので。外患誘致罪の適用もしてほしいと思います。

http://www.sankei.com/politics/news/160322/plt1603220039-n1.html

記事

 3月5日に開幕した中国の国会に相当する“全国人民代表大会”(略称:全人代)の第12期第4回会議は、12日間の日程を終えて3月16日に閉幕した。最終日の16日午前中には、人民代表総数2943人中の2859人が出席して全体会議が行われた。全体会議では全人代期間中に提出された「政府活動報告」、「第13次5か年計画綱要」など、9項目の議案に対する表決が行われ、全議案が賛成多数で承認された。これを受けて、“全人代常務委員会委員長”の“張徳江”が締め括りの発言を行った後に、人民代表全員が起立して国歌を斉唱し、その直後に張徳江が閉幕を宣言して全日程を終えた。

 さて、今回の全人代期間中に内外メディアの注目を最も集めたのは、黒龍江省の国有石炭企業で発生した炭鉱労働者による抗議デモだった。それは全人代開幕の翌日、3月6日に開催された黒龍江省の人民代表たちによるグループ会議における発言に起因するものだった。

「給与の遅配もなければ、収入減もない」

 全人代期間中には、一級行政区(省・自治区・直轄市)の人民代表が各行政区別に集まり、グループ会議を開催し、それをメディアに公開することが慣例化している。3月6日に開催された黒龍江省のグループ会議の席上で、ある記者が黒龍江省長の“陸昊(りくこう)”に国有の石炭企業「龍煤集団」の改革について質問した。

 これに対して陸昊は次のように回答した。

【1】2013年以来、龍煤集団はすでに従業員を25.4万人から22.4万人まで3万人削減している。それにもかかわらず、現状のところ1万トンの石炭生産に必要な人数は48人であり、全国平均の3倍以上に達している。一方、龍煤集団が毎年従業員に支払う給与の総額は100億元(約1800億円)近いが、黒龍江省の財政収入は年間でわずか300億元(約5400億円)前後に過ぎない。従い、たとえ龍煤集団が資金繰りに行き詰まったとしても、省レベルの財政では到底支援することはできない。

【2】昨年9月、黒龍江省政府は龍煤集団に対して組織的な配置転換を行うよう厳命を下した。それは、組織的な配置転換と大胆な組織の簡素化により人員を一挙に49%削減するというものだが、これは龍煤集団の問題解決における最重要課題である。龍煤集団の余剰人員は主として“井上員工(地上勤務の従業員)”(以下「地上勤務員」)である。龍煤集団の規模から言えば、地上勤務員の規模は最高でも4万~5万人でなければならないが、実際には10万人もの地上勤務員がいる。このため、彼らにはすでに給与の「欠配(支払われるべき給与が出ないこと)」が発生している。但し、“井戸下作業員工(坑内労働者)”8万人については、現在までのところ、給与の遅配もなければ、収入減もない。

陸昊省長が記者の質問に答えた龍煤集団は、2008年に黒龍江省国有資産監督管理委員会の出資で組織された大型の国有企業である。同集団は傘下に42の炭鉱と16の選炭場を持つ、黒龍江省を代表する石炭企業で、2009年には全国石炭企業ランキングの第12位、全国石炭企業生産量ランキングの第7位に位置していた。しかし、2013年以降は、優良企業であったはずの龍煤集団が、中国の景気低迷と続発した炭鉱事故の影響を受けて大幅な赤字に転落し、3万人の人員削減と同時に、資金難による給与の遅配欠配に陥ったのだった。

「嘘を言うのもほどほどにしろ」

 龍煤集団はその傘下に、中核企業の“龍煤股份公司(株式会社)”、採炭を行う“鶏西鉱業集団”、“鶴崗鉱業区”、“双鴨山鉱業集団”などの炭鉱企業、および選炭、探査、機械設備、研究所など、各分野の子会社を持っている。子会社の一つである双鴨山鉱業集団(以下「双鴨山集団」)は、2013年に赤字に転落し、当初は遅配であった給与は欠配になった。給与の欠配は、2014年に2か月分、2015年に5か月分となり、現在では毎月500元(約9千円)が支払われているだけという状況にあり、双鴨山集団の従業員たちは生活苦にあえぎながらも、忍耐の日々を過ごしている。

 そんな中でメディアを通じて、陸昊省長が全人代の会議で、「坑内労働者8万人については、現在までのところ、給与の遅配もなければ、収入減もない」と述べたことを知った双鴨山集団の坑内労働者たちは激怒した。俺たちが給与の欠配に苦しんでいるというのに、給与の遅配もなければ、収入減もないとは何事だ。嘘を言うのもほどほどにしろ。彼らは3月9日にストに突入し、2日後の11日には数千人が「我々は生きねばならない。我々は食べねばならない」と書かれた横断幕を掲げて“双鴨山市”の街頭をデモ行進した。翌12日には、デモ隊はその数をさらに増し、「“陸昊睜眼説瞎話(陸昊は公然と嘘をつく)”」、「“共産党還我們銭(共産党は我々のカネを返せ)”」などと書いた横断幕を掲げてデモ行進を行った。

 その抗議活動は14日に急きょ動員された軍と警察の部隊によって鎮圧されるまで続いた。

それでは、双鴨山集団の坑内労働者の生活はどのようなものなのか。“香港理工大学”応用社会学部副教授の“潘毅(はんき)”<女性>は、3月16日付で左派系ウェブサイト“鳥有之郷(ユートピア)”に、「龍煤集団双鴨山鉱業労働者の状況調査」と題する記事を掲載した。そこには2013年7月に潘毅が自ら双鴨山市を訪れて実地調査した際に確認した坑内労働者の生活状況が書かれていたが、その概要は以下の通り。

朝4時起床、地下700mで食事なし

(1)双鴨山鉱区は長いこと人から見向きもされなかった。鉱区の町は大きくはなく、数条の東西に走る長さ1000mほどの道路の両側には、1980~90年代に建てられた5階建ての宿舎ビルが立ち並んでいる。それは典型的な古い国有企業の労働者居住区そのものだった。町の東西には比較的大きなスラム街があり、1657戸、合計4411人が住んでいた。

(2)早朝の午前4時、空が白み始め、まだ多くの人々が眠っている時間に坑内労働者の1日が始まる。起床して朝食を作り、朝食を食べて一息つくと、6時に携帯電話で招集がかかり、彼らが住むスラム街から舗装もされていない道を炭鉱入り口へと向かう。坑内労働者が集合すると、班長が坑内における安全生産規則を読み上げ、全員で無事に帰還することを宣誓する。宣誓の後、各自で坑内作業着に着替え、装備を点検して坑内へ降りる準備を整える。午前7時に8時間の労働を終え、顔中を煤と灰にまみれた坑内労働者の一隊がトロッコで地上へ帰還し、これに代わって別の一隊がトロッコに乗り込む。

(3)過去20年間の採掘で、現在の採掘地点は深さ700mの地点にある。このため、トロッコは坑内労働者を地下700mにある作業地点まで運ぶが、トロッコに乗り込んだ時から8時間の労働が始まる。白い顔で坑内に入り、黒い顔の鉄人のような格好で出てくるのは、炭鉱労働者の証と言える。坑内労働者の多くは食べ物を何も持たずに坑内へ入り、8時間の労働が終わるまで空腹のまま過ごすが、それはすでに彼らの習慣となっており、労働の進度には何ら影響しない。

(4)このような労働は1週7日間、休みなく続く。毎日、7~15時、15~23時、23~7時の3交代制で、10日に1度の割合で勤務時間は変更される。出勤すると、坑内へ降りるのに1時間、坑内から上るのに1時間を要し、これにシャワーの時間を加えると坑内労働者の勤務時間は10時間を超えるし、12時間を超えることもある。大部分の坑内労働者は毎月28~30日働く。土曜日、日曜日の仕事には残業代は付加されず、祝日の場合のみ賃金は2倍となる。

(5)午前7時に勤務を開始した坑内労働者は午後3時に地上へ戻るが、シャワー、着替えを終えた後は、事務所へ出向いて業務終了を登録し、それから自宅へ帰る。彼らが住むスラム街は仕事場に近い。居住区は土地が狭く、坑内労働者は仕事も生活も常に一緒ということから、深い仲間意識で結ばれている。夕刻の明かりが灯っても、彼らには暇つぶしや娯楽を楽しむ気力もなく、夜8時頃には眠りに就く。彼らには翌日の辛い仕事が待っている。

潘毅の記事によれば、坑内労働者の給与は、最前線の“一線作業員”が5000元(約9万円)、補助作業を行う“二線作業員”が3000元(約5万4000円)前後とのこと。これに対して地上勤務員は総体的に安く1500元(約2万7000円)前後だという。しかし、地上で週5日勤務すればよい幹部職員たちは、坑内へ降りることはほとんどないのに、5000~7000元(約9万~12万6000円)の高給を享受しているのだという。

 潘毅が双鴨山市を訪れたのは2013年7月であったから、双鴨山集団はまだ大幅な赤字には転落していなかったものと思われる。双鴨山集団の最盛期には坑内労働者が7000人以上いたが、潘毅が調査を行った時には、石炭の生産量も減り、坑内労働者は5000人前後に減少していたという。現在、双鴨山集団にどれだけの坑内労働者がいるのかを示すデータは見つからないが、坑内労働者の配置転換は行われていないように思われる。

中国高官らしからぬ潔い訂正も…

 ところで、3月12日に北京で「龍煤集団苦境脱却発展特別会議」を招集した陸昊省長は、「龍煤集団の坑内労働者に給与の欠配や各種保険料の未納があり、少なからぬ労働者が生活に困難を来している」ことが判明したと述べ、自身の前言の誤りを認めた。また、陸昊はメディアに対しても、「私の発言が誤っていた。どのレベルの報告が誤っていたか、その原因が何かにかかわらず、誤りは正さねばならないし、問題は解決せねばならない」と語り、中国の高官としてはめったにない潔い態度を示すと同時に、「“要吸取報告失実的教訓(報告が事実と合わないという教訓を汲み取らねばならない)”」と述べて、深い反省を表明したのだった。

 陸昊は1967年生まれの48歳。北京大学の経済管理学部を卒業後に経済学修士号を取得。2008年に41歳の若さで“中国共産主義青年団(略称:共青団)”の中央書記処第一書記となり、2012年11月には中国共産党の第18期中央委員会委員に選出された。エリートとして将来を嘱望されている陸昊にとって、全人代開催中という大事な時期に自身の誤った発言により地元の黒龍江省で大規模な抗議行動が起こったことは、大きな汚点となる。その原因となったのは下級官僚からの誤った報告だったが、陸昊が坑内労働者の実態を誤認した真の原因は、黒龍江省のNo.1である省党委員会書記の“王憲魁”の隠蔽工作によるものだった。

 陸昊は2013年6月に黒龍江省の省長に就任したが、その前任は王憲魁であった。2010年に省長に就任した王憲魁は、龍煤集団を2011年から毎年1回視察していながら、“報喜不報憂(良いことは報告するが、悪いことは報告しない)”方針の下、龍煤集団の深刻な経営状況を隠蔽する一方で、龍煤集団に対しては早急な黒字転換を命じていたのだった。このため、陸昊は龍煤集団の経営悪化は認識していたが、炭鉱にとって最も重要な戦力である坑内労働者の生活までが悪化しているという報告を全く受けていなかったのだった。

さて、陸昊省長が北京で発言の誤りを認めた3月12日、黒龍江省政府も声明を発表して龍煤集団に給与の遅配や欠配があることを認めた。同日、龍煤集団も双鴨山集団で共産党員幹部会議を開催し、翌13日に同集団のウェブサイトに次のような文章を掲載した。すなわち、「3月6日に全人代で開催された黒龍江省グループ会議で、省政府の主要指導者がメディアに述べた龍煤集団の坑内労働者の給与に関する話は、当集団の企業報告の内容が不正確であり、不十分であったことに起因する。今回の問題の責任は全て当集団にある」。

急増する抗議行動にどう対処?

 一方、3月12日の深夜に緊急会議を開催した双鴨山市政府は、双鴨山集団の坑内労働者による“討薪(給与支払い要求)”デモを“群体上訪(集団陳情)”と認定するが、それは理性的、穏健な範囲内にあり、過激な行為が発生しないことが条件であると声明を発表した。しかし、双鴨山市政府は同時に、「鉄道の妨害、生産設備の破壊、連携や扇動は重大な違反行為であり、ひとたび発生したら徹底的に打撃を与える」と警告を発した。この結果、3月14日までに30人以上のデモ参加者が逮捕されたことで、坑内動労者による抗議行動は沈静化したのだった。

 香港に拠点を置く中国労働者の支援団体「中国労工通訊(China Labour Bulletin)」の統計によれば、中国の労働者による抗議行動は、2011年には185件だったが、2014年は1379件となり、2015年には倍増して2774件となり、2016年は1月だけで503件に上っているという。双鴨山集団の坑内労働者による抗議行動は、全人代の最中に行われた陸昊省長の誤発言により引き起こされたことで、メディアの注目を浴びて内外に報じられた。しかし、これは氷山の一角に過ぎず、メディアに報じられない労働者による抗議行動は数え切れないほどに多いのが実情である。

 3月5日の全人代初日に「政府活動報告」を行った“国務院(内閣に相当)”総理の李克強は、「過剰生産能力の削減」と発展・競争の能力を喪失し、赤字を垂れ流しながら財政支援を受けて生き延びている「ゾンビ企業の処置」<注>を提起したが、その矛先は過剰生産能力が著しく、ゾンビ企業がのさばっている石炭業界と鉄鋼業界に向けられている。過剰生産能力の解消に最も効果的なのは従業員の配置転換だが、その規模を中国政府は、石炭業界130万人、鉄鋼業界50万人と公表している。

<注>ゾンビ企業については、2016年3月18日付の本リポート『「ゾンビ企業」解体が招く“600万人失業”』参照。

 資金繰りがひっ迫し、赤字を垂れ流す龍煤集団は、明らかにゾンビ企業だが、現在22.4万人いる従業員は配置転換を名目に大幅に削減されるだろう。そこには双鴨山集団の坑内労働者も含まれることは間違いない。配置転換は転換先の職場があってこそ成り立つものであり、経済的な地盤沈下が著しい黒龍江省には新たな職場を斡旋する能力はないと言っても過言ではない。これが正しいとすれば、配置転換は名目に過ぎず、削減された大多数の人々は失業者とならざるを得ず、人々は職を求めて新たな抗議行動を起こすに違いない。労働者による抗議行動は、今後ますます増大するものと思われるが、中国政府はこれにどう対処しようというのか

3/23日経ビジネスオンライン 福島香織『無界新聞「習近平引退勧告」公開書簡事件その後 中央宣伝部に異変? 相次ぐ「反体制」メディア事件』、3/23日経電子版 中沢克二『最高指導部内に不協和音 習主席の集権どこまで』について

両記事とも習の権力奪取がうまく行っていないことを示唆しています。

3/25NHK朝のニュースで中国が銀行協会を設立して、外国銀行に加入を働きかけ、日本の大手三行も参加するとのこと。大手三行といえば東京三菱、みずほ、三井住友でしょう。入らなければ中国でのビジネスで祟りがあるぞと脅されたのでしょう。中国では脅すのは日常茶飯事ですから。でも銀行経営者はハニーにかかっているかもしれません。それですと必ず入るでしょう。日本政府がAIIBに入らないので、民間と言う搦手から攻めてきています。それだけ中国政府はデフォルトを恐れているのでしょう。日本の民間銀行の信用を利用して延命しようとしている訳です。AIIBやブリクス銀行がうまく行っていないので新たな手を出してきたのでしょう。国営企業が殆どの(特に銀行)中国が、世界の民間銀行の協会を作ると言うのですから、お笑い種です。日本にとっては中国経済が崩壊するチャンスなのに、手を貸すとは、将来を見通す力に欠けます。中国と戦争になった時に、日本人のリーダーの愚昧さに気付くでしょうが、そのときは既に遅しです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160325/k10010455621000.html

3/25日経の「経済教室」でも筑波大名誉教授の進藤栄一に「アジア投資銀参加検討を」という記事を寄稿させました。小生の記憶によれば、エルドリッジの『オキナワ論』の中で、彼の「天皇メッセージ」の資料を見せてほしいとの申し出を断った人物だったと思います。小生の好きでない五百旗頭真の研究室にエルドリッジは入りましたが、彼は総てオープンにしたそうです。進藤と言う人物の狭量さが浮かび上がります。進藤は猪木正道や高坂正堯の弟子にしてはお粗末。リベラル・アカでしょう。だから不都合な真実が暴露されるから、資料も見せなかったと思われます。左翼のブログを引用します。

http://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180/e/42b34f8b3c2a60a508bcf5a36eacf99e/?cid=512579e267d284fc364efebd393afe91

日経もこのタイミングでこの記事を載せるとは。経営陣がハニーにかかったとしか思えません。中国共産党と連携してアピールしているのでしょう。

福島記事

Xi in Xinhuashe

2月19日、習近平主席は主要国営メディアを視察。党への忠誠を求めるが、その行方やいかに(写真:新華社/アフロ)

 中国で知識人やメディア・出版関係者が突如、音信不通となり、連絡が取れなくなることがあまりに頻繁になったため、もはや大ニュースにもならなくなった。恐ろしいことである。最近では日本の法政大学に在籍する東アジア国際関係の専門家、趙宏偉教授が2月末に北京に向かったあと連絡が取れない状況であるという。また、中国や香港で人気のコラムニスト、賈葭が3月15日午後以降、連絡が取れず行方不明であるとか。二人とも、それぞれの別件で中国当局に身柄を拘束されていると思われている。

 今回、取り上げたいのは賈葭の件である。趙教授の身柄拘束理由はまだはっきりとわかっていないが、賈葭事件は全人代(全国人民代表大会)開幕前日に無界新聞のネット上に掲載された「習近平引退勧告」公開書簡に絡むと見られている。

良識的な中国人知識人を秘密裡に拘束

 香港を拠点にするラジオフリーアジアによれば、賈葭は15日午後、北京国際空港で北京市公安当局に連行された。彼の弁護士が北京市公安局首都空港分局から得た情報だという。アムネスティインターナショナルは19日に、中国政府に対して、賈葭に関する状況を公開するよう声明を出した。

 賈葭は新華社「瞭望東方週刊」や香港「鳳凰週刊」の編集者を歴任したあとコラムニストとして独立。香港に在住しながら、中国や香港の雑誌に寄稿、またウェブマガジンなどの編集にも携わってきた。最近は『我的双城記』(北京三聯書店出版)を上梓し、必ずしも反共産党的な人物ではない。きわめて良識的な中国人知識人であり、中国国内外にファンが多い。

 周辺の情報を突き合せれば、3月4日に「忠誠の党員」という匿名で新疆ウイグル自治区主管のニュースサイト無界新聞に「習近平引退勧告」公開書簡が掲載された件に関わっていると見られている。無界新聞のCEOはかつて賈葭の同僚であった欧陽洪亮であり、賈葭はくだんの公開書簡をいち早く見つけて、すぐに削除するように欧陽に知らせたのだという。だとすると、彼が秘密裡に拘束されたのは、単なる事情聴取の可能性もあるのだが、家族には一切の連絡がなく、今の習近平政権の異常なまでのメディア弾圧を鑑みれば、その身の安全は当然心配されるのである。

この無界新聞「習近平引退勧告」公開書簡に絡んで、音信不通となっているのは、賈葭以外にも4人いる。香港蘋果日報によれば、無界新聞のCEOの欧陽洪亮、主筆の黄志傑、そしてセキュリティシステム担当の技術員2人。この情報のネタ元は、人権活動家の北風で、彼はツイッター上でも発信している。

無界新聞は「ハッキングされた」と回答

 事件を振り返ると、無界新聞サイトに習近平の引退を促す公開書簡が掲載されたのは3月4日。書簡中には、習近平政権がとった経済、外交、社会、文化における失策を列挙し、その責任を取って習近平同志は国と党の指導職務を辞任すべきだと主張。

 書簡では「我々は忠誠の共産党員だ。両会(全人代と政治協商会議=国会に相当)開催に際し、我々がこの書簡を送り、あなたに党と国家の指導職務の辞任を要求する。この要求は党の事業、また国家と民族の前途を考慮したものである」とあり、「習近平同志、あなたには党と国家を未来に向かって率いていく能力が備わっていない。総書記の職務に適任ではない。我々は党の事業の発展と国家の長期の安定、あなたとあなたの家族の安全のために、党と国家のすべての職務を辞任し、党中央および全国人民に別の能力者を選ばせて、我々を積極的に未来に導いてもらいたい」と、恫喝を含んだ言葉で結んでいる。

 個人崇拝キャンペーンを始め、自分に批判的な発言をする記者や知識人を次々と失脚させている習近平がこの挑発的な恫喝すら含んだ公開書簡を黙って見過ごすはずはなく、当然犯人探しが始まっている。

 無界新聞サイト側は、国家インターネット情報弁公室の初期の問い合わせには、「ハッキングされた」と回答し、国外の民主活動家や反共産党勢力によるハッキングの可能性を匂わせたが、国家インターネット情報弁公室の技術チームが無界新聞のサーバを分析した結果、外部からのハッキングの痕跡はなく、今のところ、内部犯行説が強い。無界新聞のサーバは「中国で最も安全」と称されるEC最大手のアリババ集団が提供するものであり、確かにハッカーの仕業とは考えにくい。文中の主語が「我々」となっているので、“単独犯”ではないと見られている。

ただ、今回、身柄を拘束されている賈葭が、この件に直接関与していた可能性は薄いのではないかというのが、周辺情報から得た私の感触である。たまたま、無界新聞の編集責任者らと昵懇であったために巻き添えを食ったのではないだろうか。

 では誰の仕業なのか。

新疆ウイグル自治区党委書記が関与?

 この公開書簡に関して、米国に拠点を置く華字ニュースメディア博訊は、新疆ウイグル自治区党委書記の張春賢の関与の可能性を報じている。

 博訊によれば、中南海は事件を極めて重視、中央宣伝部、国家インターネット情報弁公室に調査を命じており、その最初の矛先はCEOの欧陽洪亮に向かっている。この欧陽洪亮は実は張春賢の妻で元CCTV美人キャスターの李修平の親友である。

 実は張春賢は、全人代開催中、新疆代表団の会見で、記者らから「習近平の指導を支持するか」と質問を受けたとき、「その話は改めて」と言葉を濁していた。「習近平同志の指導を支持する」と即答しなかったことが、張春賢の関与を疑わせる根拠の一つともなっている。

 張春賢は2009年7月5日に発生した“新疆騒乱”後、当時の書記であった王楽泉の後任として新疆問題の解決を託され、湖南省党委書記から新疆ウイグル自治区党委書記に異動。胡錦濤の信任が非常に厚い胡錦濤派の政治家と言われている。この時、胡錦濤政権の意向を受けて、ウイグル融和政策を打ち出した。

 しかし博訊によれば、張春賢は、当時の中央政法委員会書記の周永康とも昵懇で、張春賢の妻・李修平と周永康の妻である賈暁燁はともにCCTVキャスター出身の親友関係にあったという。周永康は、習近平政権によって汚職の罪で失脚させられた大物政治家である。また、同じく習近平政権によって失脚させられた令計画との関係も深いという。

無界新聞は新疆ウイグル自治区政府が主管であり、そこに時事経済誌・財経などを発行している財訊集団とタオバオなどで有名なEC最大手アリババ集団が1億元を超える初期投資を行い、北京に本部を置いて百人を超えるベテラン編集者、記者を招集して昨年4月に立ち上げられた。

犯人は陳情者ではなく内部に? 誤植事件も

 アリババのトップは、ジャック・マー(馬雲)、財訊集団のトップは王波明。王波明は、中信証券の前董事長・王東明の兄弟でもあるが、王東明は、昨年6月の上海株式市場の乱高下問題の責任を取らされる形で、辞職した。上海株式市場の乱高下問題は、私が仄聞する限りでは、習近平の無理な株高誘導政策が破たんした、という評価が多く、そのことで責任を取らされた証券会社幹部らの間には強い不満が残っているという。

 こうした情報を繋ぎ合わせた博訊の見立ては、今回の「習近平引退勧告」公開書簡事件の背景には、政治的陰謀があるかもしれない、というものだ。少なくとも習近平の眼からみれば、張春賢は、非常に怪しい人物、習近平政権に“謀反”の動機ありの人物、ということになる。

 博訊の報道によれば、中央宣伝部がこの事件を、黒竜江省の陳情者の仕業ということで片付けようとしている動きがあるという。だが、「陳情者の仕業」というのは、おそらくは冤罪者をスケープゴートとして適当にでっちあげたものだ、という見方を示している。

 また、張春賢と新疆ウイグル自治区党委宣伝部長の李学軍、中央宣伝部副部長の蒋建国はともに湖南閥に属することから、この事件は中央宣伝部内部にも関係者がいるのではないか、という見方がある。少なくとも、海外の民主活動家のハッキングでもなく、陳情者の仕業でもなく、党内部の“政治事件”と考えるべきだろう。

この無界新聞事件に続いて、新華社の“誤植”事件があったことも、ここで触れておくべきだろう。3月13日夕方に新華社のサイトに掲載された「全人代記者手記:昆泰ホテルの内外から中国の経済的自信をさぐる」中で、「中国最高指導者・習近平」とあるべきところを「中国最後指導者・習近平」と誤植され、14日まで放置されていた。新華社の校閲体制の厳しさを知っていれば、こんな誤植は、まずあり得ない。党総書記に関わる政治的間違いを見過ごせば、校閲記者だけでなく上司もふくめで全員クビが飛ぶので、“習近平”の文字の前後は、目を皿のようにして何度も繰り返してチェックを入れる。

 とすれば意図的に校閲記者たちが見逃したとしか思えない。もちろん、極めてまれに、純粋に技術的な誤植のミスはあるのだが、何年かに一度あるかないかのレベルである。この“誤植”は14日まで放置されていたという。14日になって博訊が報道したため、まもなく修正された。新華社は、中央宣伝部直属の通信社。この件から、中央宣伝部は習近平に掌握されておらず、内部で激しい権力闘争が行われているのではないか、という推測もある。

「ペン」の掌握に手こずる習近平

 こうした事件からうかがえることは、習近平政権が掲げる「メディアの姓は党」というスローガンを復唱している党中央メディア内部でも、習近平の厳しすぎるメディアコントロールへの不満をくすぶらせ、党中央宣伝部内部にも習近平に反感を持つものが少なくないのではないかということだ。

 現中央宣伝部長の劉奇葆は共産主義青年団出身の胡錦濤派であり、習近平から睨まれている政治家の一人。いわゆる汚職Gメンである中央規律検査委員会特別巡視隊が2月28日から中央宣伝部に対して、取り調べを行っているが、この一連のメディアの政治事件となにか関係があるのではと勘ぐる声もある。

 共産党を支える二本の棒(杆子)は銃(軍事力)とペン(メディア・宣伝力)。この二本の棒を掌握できるかどうかが、習近平政権の安定性を左右する。だが、少なくともペンの掌握には、習近平は相当手こずっているような印象を受ける。中央メディアから、習近平政権への反乱が起きたとしても、私はさほど意外な気はしない。

中沢記事

「これまで習近平(国家主席)の『一人舞台』だった中国だが、ここにきて最高指導部内で不協和音が聞こえ始めた。来年の重大な人事に向けて顕在化するかもしれない」

 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を終えた北京で、中国政界の風向きを測っている関係者がつぶやいた。

 端緒は意外なところに現れた。中国共産党の序列第4位、兪正声の発言である。14日の全国政治協商会議の閉幕時、同会議の主席である愈正声はこう挨拶した。

■消えた「核心意識」と「一致意識」

Yu Zhengsheng

全国政治協商会議の閉幕式であいさつする兪正声氏(14日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕

 「政治意識、大局意識、責任意識を一層強める…」

 兪正声の前に座る委員らの中でも、政治的な嗅覚が鋭い諸氏は、ハッとして顔を上げた。本来なら、政治意識、大局意識、核心意識、一致(中国語で『看斉』)意識、と4つをそろえて言わなければならない場面だった。なぜなら共産党の指導部が全員そろった政治局会議での事実上の合意事項だからだ。

 兪正声は4つのうちの、後半の2つを言わなかった。「核心意識」と「一致意識」を省き、代わりに「責任意識」と言い放った。

 「核心意識」と「一致意識」は、習の権力固めの上で極めて重要は言葉だ。「核心」は習を指している。共産党の単なる指導者であるばかりではなく、全てを仕切る一段上の地位を意味する。習は、年初から子飼いの地方指導者らに次々とこの言葉を言わせて、政治的に定着させていった。

 3月の全人代までに、かなりの数の地方指導者らが先を争うように「核心」を口にした。そこに「一致意識」も加わる。これは「右にならえ」との意味である。ここでは「核心」となった習にならえ、というニュアンスになる。戦略はほぼ成功したはずだった。

 「兪正声は4つのうち2つをあえて言わないことで、簡単には習の核心という地位を認めず、習になびくこともない、と宣言したのだ。一種の抵抗だろう」。別の研究者の分析である。

 問題となるのは、兪正声が言及した「責任意識」である。この責任は、政協委員のみならず指導者、とりわけ習や、首相の李克強にも向けられていた。メッセージは、リーダーとしての職責をきちんと果たそう、というものだ。

■仏頂面、不機嫌だった習

ill-tempered Xi

政協の閉幕式に出席した習近平国家主席(14日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕

 習は不機嫌だった。確かに兪正声の報告があった全国政協会議の閉幕式の際、習は仏頂面。眠さからか、不機嫌さからかは不明だが、常に頭が揺れており、写真を撮ろうにも焦点を定めにくかった。

 兪正声は政治的にどんな立場にいるのか。そもそも元国家主席、江沢民に近い。長年、中国政界で力を持ってきた機械工業閥、上海閥の一員でもある。

 江沢民も、上海のトップだった当時の兪正声の仕事ぶりについて、外国人客の前で「兪正声は良くやっている」とあえて褒めている。現最高指導部で言えば、江沢民の人脈には、思想・宣伝担当の劉雲山、石油閥系の張高麗らがいる。

 習は、長く「院政」を敷いてきた江沢民の力をそごうと「反腐敗」運動を発動した。江沢民グループの重鎮だった周永康や、軍の制服組トップだった徐才厚(故人)、郭伯雄らを摘発し、牢の中に追いやった。今、習と江沢民は微妙な関係にある。

一方、兪正声は、最高指導者だった鄧小平の一族と極めて親しい。鄧小平の息子、鄧樸方(身体障害者福利基金会会長)の秘書役だった経歴からだ。1980年代には、この立場で鄧樸方と共に来日し、旧首相官邸で当時の首相、中曽根康弘と会っている。

 兪正声には、江沢民の系列と鄧小平一族に連なる「太子党」(高級幹部の子弟ら)という二重の人脈がある。なかなか強い。

 しかも兪正声の父は、毛沢東の妻、江青の元夫だ。江青は、悲惨な文化大革命(1966~76年)を主導した「4人組」の1人である。兪正声自身も「太子党」の一員だ。一方、1980年代には、安全部門にいた実兄が米国に“亡命”し、米中央情報局(CIA)に情報を提供するという一族にとって不名誉な事件もあった。

 「(当時9人だった最高指導部の)最後の1人になんとか滑り込みたい」。2012年の人事を前に、兪正声は周囲に意欲を語っていた。

 ところがフタを開けてみると、2人減って7人になった最高指導部の序列4位。既に67歳という高齢にも関わらず、予想外の大抜てきだった。江沢民系と鄧小平系の2つのバックのなせる技だった。

 兪正声は、親しい人物らに現政権での自らの役割について「自分はバランサーになる」と説明している。習、江沢民系、鄧小平系など各グループの間に争いが起きそうな場合、仲裁役になるという意味だ。

 今、まさにそういう時期に突入している。皆、来秋以降の共産党大会での最高指導部人事を見据えている。前哨戦は始まっているのだ。習は権力集中に成功しつつある。それでも人事を自由自在に行うにはなおハードルがある。長老らの力は侮れない。

■「多様性」に言及

 兪正声は始めから習にケンカを売っているわけでなない。なぜなら、3月3日の全国政協会議の開幕式での報告では、幅広い層、党派から選ばれる政治協商会議委員の中の共産党員だけに適用するという限定付きで「核心意識」と「一致意識」に触れた。留保付で習への礼儀は尽くした。ところが、11日後の閉幕式では、これを「責任意識」にすり替える意地を見せた。

 開幕式の兪正声報告では、もう一つ注目すべき言い回しがあった。「具体的な問題の見方や認識には違いが生じる。多様性を尊重するなかで一致を求める」。多様性にも繰り返し言及しているのだ。異例である。この言葉も臆測を広げた。

 今、習をトップとする中国では多様性を許さない雰囲気が強まっている。前々回、前回とこのコラムでこうした問題に触れた。不動産王のネット言論人、任志強の言論封鎖、習への「個人崇拝」などだ。

 1945年生まれの兪正声は現最高指導部内では最も高齢である。既に70歳。党大会の際、68歳以上の人材は引退するとの内規に従うことになる。それだけに怖いものはない。不協和音が強まる中、今後、どう立ち回るのか。注目したい。(敬称略)

3/23ZAKZAK 加治俊樹『安倍内閣を待ち受ける南シナ海問題という第2の「キューバ危機」』について

ケネデイは日本での人気は高いようですが、リベラルな民主党員ですので女性にも自由で、不倫も多くしていました。FDRやビル・クリントン然り。ただケネデイはソ連とのキューバ危機を海上封鎖で乗り切った胆力は評価すべきと思います。日本の政治家で核戦争になるかもしれない場面でここまで決断できるのは殆どいないでしょう。ふやけた政治家ばかり。でも選んでいるのは国民ですから。

オバマの対中国宥和政策が中国を増長させ、軍事膨張させてきたとばかり思っていましたが、日本もそのお先棒を担いでいたとは。左翼偏向マスコミや9条教徒に代表されるアカ・リベラル人士が邪魔をして、日本の共同防衛をやりにくくしているためと思っています。中国の力が小さいときに叩いておかないと、後々戦争になった時に犠牲は大きくなります。3経済主体で30兆$の債務を抱えていると宮崎正弘氏のメルマガにありました。経済崩壊して、軍事に回す金がなくなり、おとなしくなれば良いですが、そうならなければ、米国の軍事費削減を鑑みれば、時間の利益は中国側にあります。

やはり、経済制裁で中国を孤立化させるのが良いと思いますが、オバマは自分の名を歴史に残すためキューバと国交回復しようと必死です。でも人権問題でキューバは譲歩しません。上院の多数を占める共和党は批准しないでしょう。共産主義国に人権を問いても、時間の無駄というもの。ケナンの封じ込め政策が民主化、人権擁護に一番の近道というのは歴史の教える所です。日高義樹氏の『中国敗れたり』の本で指摘されていましたように、衛星からの指示なく自動で浮上する機雷を中国沿岸に敷設する海上封鎖は最終手段でしょうが、ABCD包囲網のようなもので中国の貿易に打撃を与えれば良い。下図は中国のGDP構成比の推移です。伊藤忠のデータより。グラフを見ますと固定資産投資が50%近く、家計消費が40%近く、純輸出が10%くらいです。中国国家統計局の発表しました数字で信憑性に疑問が付きますが。輸出にダメージを与えれば経済的に効果的と思います。「ADBがAIIBとの共同融資を認めたことは良いこと」と3/24日経朝刊・FT記事に載っていました。英国はAIIBメンバーだから、融資審査能力のないAIIBをADBが助けることは良いことと判断するのは当然です。米国のFATCAが欧米の米国離れを招きました。FATCAはテロのマネロン防止策とはいえ、欧州はタックスヘブンで稼ぐことができなくなり、中国に近づいて行ったのが真相のようです。米国もやりすぎでしょう。また、ADBにAIIBを助けるのを認めると言うのは、日本人総裁であっても米国の承認がなければできないでしょうから、米国の対応は中途半端です。日本は外交敗北が続いています。

http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/files/2015/20150427_C.pdf

China GDP 2014

日本も覚悟を決めないと。「平和」と念仏を唱えても「平和」が守れるわけはありません。自明の理です。隣に領土拡張の野望を持った国がありますので、こちらが戦争を望まなくても、向こうから仕掛けてくるでしょう。FDRが日本に先に手を出させるように仕向けたように。でも日本は隠忍自重して先に仕掛けることのないように注意しないと。日本の左翼・リベラルは、大東亜戦争は侵略戦争とGHQの刷り込み其の儘の発想です。これはおかしい。倉山満の『お役所仕事の大東亜戦争』の中に<はじめに——戦後七十年にトドメを刺す

日本はいつまで敗戦国のままなのか。

この調子では、永遠に、であろう。だが、この調子をいい加減にやめなければならない。戦後七十年、“あの戦争”は何だったのかの総括が求められている。 左は侵略と決めつけ、右はその反発として聖戦だとカヨワイ声を上げる。 結論を言おう。侵略は論外である。聖戦は間違いである。間違いで悪ければ、全体像を説明できないと言おう。ではあの戦争,すなわち大東亜戦争とは何だったのか。 「お役所仕事」である。>とありました。

小生は「自衛」のための戦争と思っています。戦争指揮のまずさ、戦略の無さはありましたが。敗戦の反省を生かし、多国間で防衛するATO(Asian Treaty Organization)の早期創設が望まれます。

記事

■第2のキューバ危機か  昨年の春、国立公文書館で米国の大統領だったケネディの展覧会が開催された。言うまでもなく、ケネディは日本でも人気の高い大統領だったし、今の駐日米大使キャロライン・ケネディはその長女に当たる。まさに日米親善のために絶好の企画であることは論を待たない。(総合オピニオンサイト iRONNA)

Base in South China Sea

1月24日に撮影された南シナ海・クアテロン礁の北部。左上にレーダー施設があり、右下にも建設中のレーダー施設がみえる(CSISアジア海洋透明性イニシアチブ・デジタルグローブ提供、共同)

 しかし、なぜこの時期か、私はそこに安倍総理のある種の決意を強く感じた。というのも本展覧会の開催が発表されたのは、一昨年12月9日だが、その7カ月前の5月には、中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で人工島を造成し、その上に滑走路の建設を計画していることが明らかになっている。同年10月には、パラセル(西沙)諸島に滑走路が完成し、11月にはスプラトリー諸島での建設中の滑走路が衛星画像で確認された。  そんな状況で、ケネディと聞けば安全保障通なら反射的に思い浮かぶのはキューバ危機である。1962年、旧ソ連は米国に近接したキューバに核ミサイル基地の建設を開始し、偵察機が撮影した航空写真でそれを察知した米ケネディ政権は、基地の撤去を求めてキューバを海上封鎖した。  当時キューバはソ連の衛星国であり、そこに核ミサイルが設置されれば、米国を含むカリブ海沿岸諸国は核攻撃の射程範囲になる。現在、スプラトリー諸島に戦闘機が配備されれば、南シナ海の制空権は中国のものとなり、沿岸国は従属を強いられる。ならば、これを阻止する手立ては半世紀前と同様、海上封鎖ということになろう。  展覧会では、キューバ危機にまつわる数々の資料が展示されており、そこには当時、訪米していた佐藤栄作自民党幹事長(後に総理)の日記も公開されていた。佐藤氏は安倍総理の大叔父であり、その日記を敢えて公開するのは、国民にキューバ危機を身近に感じて貰いたいとの総理の意向であろう。  展覧会が開催される直前の2月には、人工島が異常に拡大しているのが報道された。ヒューズ礁は2004年2月に380m2だったのが2015年1月には7500m2と200倍に拡大していたのだ。  展覧会が開催されている最中の4月にはスプラトリー諸島のファイアリークロスで滑走路の建設が始まったことを示す衛星画像が公開され、フィリピンのアキノ大統領が強い懸念を示した。

■バンドン会議で見せたリーダーシップ  同月、安倍総理はバンドン会議60周年首脳会談で「国際紛争は平和的手段によって解決する」べきと演説し、南シナ海問題でリーダーシップをとる姿勢を明確にした。  そもそもバンドン会議とは、1955年にインドネシアのバンドンで開かれたアジア・アフリカ首脳会議で、そこで植民地解放が宣言された。ところが、この会議には欧米列強やソ連は招かれなかった中で、日本だけが優先的に招かれたのである。  つまり当時のアジア・アフリカ諸国は欧米やソ連を植民地帝国として非難していたが、日本は植民地解放の盟主として評価されていた訳だ。いうまでもなく第2次世界大戦のさなか1943年(昭和18年)東京でアジア初の首脳会議「大東亜会議」が開かれ、そこで植民地の解放が高らかに宣言されたことを、各国の指導者は鮮明に記憶していたのである。  ところが、戦後は戦勝国側の歴史観ばかりが喧伝されたため、いつの間にか解放者であった日本が侵略国にされてしまい、2005年のバンドン会議50周年のアジア・アフリカ首脳会議では、当時の小泉総理は、「日本の侵略」を謝罪するという愚挙を犯し、バンドン会議や大東亜会議を記憶していた東南アジアの人々を失望させたのであった。  この謝罪を機に東南アジアの主導権は日本から中国に移り、中国は南シナ海侵略を本格化させることになったのである。  60周年に際して、安倍総理は、「日本の侵略」とか「謝罪」などの表現は一切用いず、「国際紛争は平和的手段によって解決する」というバンドン10原則の一節を引用する形で、中国の南シナ海侵略を批判した。  これに励まされた形で同月末、マレーシアで開かれたアセアン首脳会議では、中国の南シナ海埋立てを非難する議長声明が出されたのである。

米中確執 高まる南シナ海危機

 この翌月すなわち昨年5月には、米国防総省は中国の南シナ海スプラトリー諸島の人工島の面積が4か月間で4倍に膨らんでいると発表した。同時期に米軍はオバマ大統領に同島周辺海域に米軍艦艇を進入させ、工事を阻止しなければ滑走路が完成してしまうと警告したが、許可されたのは偵察機による周辺飛行だけだった。

 もし、このとき米軍艦艇が進入していればスプラトリー諸島に滑走路は完成しなかったであろうが、オバマの不決断の結果、9月に同諸島ファイアリークロス礁に戦闘機離発着可能な3000m級の滑走路の完成が確認され、同諸島の他2カ所でも同様の滑走路が建設中であることも確認された。

 オバマが米軍艦艇の進入すなわち「航行の自由」作戦を許可したのは10月である。いかにも遅すぎるの感が否めないが、なぜ10月まで動かなかったのか?一体オバマは何を待っていたのか?

 米国は常に同盟国の意向を重視する。もし戦争になった場合、味方になって共に戦ってくれるかを確認しなければ、軍事的行動を取らないのが歴史的通例だ。キューバ危機ではケネディはフランスに使者を送り時の大統領ドゴールに確認を取っている。

 ならばオバマも同盟国の確認を取っていたのであろう。同盟国の確認とは集団的自衛権を行使するかの確認である。その確認をとるのに、そんなに時間の掛かる国は、世界に一つしかない。日本である。

 平和安全法制いわゆる安全保障関連法が国会で成立したのが9月19日のことである。集団的自衛権の行使を一部容認したこの法制は、反日勢力によって骨抜きにされてしまったが、少なくとも米国とともに戦うことを明言することはできるのである。

 だが法制が施行されるのは、4月以降である。米国は4月以降に南シナ海における軍事作戦を本格化させるべく下準備に入っている。2月にカルフォルニアで米アセアン首脳会談を開き、航行の自由を声明したのも、キューバ危機のとき、米国が中南米諸国の同意を得るべく米州機構を開催したのに酷似する。対する中国も南シナ海西のパラセル諸島には戦闘機を配置し、中央部であるスプラトリー諸島に戦闘機を配備する時期を伺っている。

 4月以降、第2のキューバ危機ともいうべき南シナ海危機が勃発する公算は極めて高いのである。 (総合オピニオンサイト iRONNA)

3/22JBプレス 渡部悦和『オバマを驚愕させたプーチンのシリア撤退 軍事巧者に世界は脱帽、しかし市民に甚大な被害』について

シリアの問題はオバマの面子だけに拘ってきたという気がします。アサドの退陣を要求するなら陸上部隊を派遣してでもアサドを駆逐せねばならず、その覚悟がないのに一方的な要求をしても無理と言うもの。実力以上に背伸びした行動を取るのは、ブッシュがネオコンに唆されて取った行動と一緒では。まあ、日本がロジを考えず(考えたけど制空権、制海権を敵に奪われたら兵站は確保できません)戦争突入したようなものです。オバマがアサドの首を取ることに固執するなら、習近平の首を取れと言いたい。シェールガスやシェールオイルで中東に対する米国の位置づけは低下しているはず。アジアへのリバランス政策は一体どうしたのかと聞きたい。相変わらず口先だけの男かと思います。

習近平の妻が暗殺されそうになっていたという記事がFacebookに載っていました。

<2016/03/19 08:47

「習主席夫人暗殺を計画した警察官逮捕」 中国ネット記事削除 中国ネットメディア報道後に記事本文削除 「軍改革不満勢力が関連か」

Xi Jingping & Peng Liyuan-2

 習近平中国国家主席の妻、彭麗媛夫人暗殺を図った人物が摘発されたという報道が流れたが、記事の見出しだけを残し削除されたことが分かった。

 米国にサーバーがある中国語圏のインターネットメディア博訊(boxun)は17日、「単独報道:彭麗媛、今年2月に暗殺の危機免れる」という見出しの記事を掲載した。博訊はこの記事で、北京の消息筋の話として「彭麗媛夫人が先月暗殺の危機を免れた。同夫人を狙った人物は現役の人民武装警察官だった」と報じた。

 報道によると、暗殺の陰謀が摘発されたのは、春節(旧正月)連休が終わったばかりの時期だったとのことだ。中国最高指導部警護組織・中央警衛局が、何者かが彭麗媛夫人を狙っていることを傍受によりキャッチしたという。追跡した結果、陰謀の張本人は意外なことに北京で勤務する現役の武装警察官だったと博訊は伝えた。

 博訊に情報提供した情報筋は「この人物は彭麗媛夫人が外出した時に犯行を試みようとしたが、中央警衛局が極秘に逮捕した。目的・動機が何なのか、個人の犯行なのか、それとも背後に誰かがいるのかは今のところ明らかになっていない」と語った。博訊はこの情報筋の話を引用、この陰謀は習国家主席の軍改革に伴う軍内部の不満と関連があるのではと推定している。

 しかし、博訊の記事は18日現在、見出しだけが残されたままで、記事本文は消えている。見出しをクリックすると、「確認中」というメッセージと、最初の記事を見た人々が書き込んだコメントが18件残っているだけだ。博訊は反中国傾向のあるインターネットメディアで、中国国営メディアでは見られない中国指導部の腐敗や大規模なデモ・流血事件などを報道してきた。北京では「米国の情報機関が運営している」といううわさも一部で流れている。2013年には人気女優チャン・ツィイーの「性上納説」を報道し波紋を呼んだが、後に謝罪声明を出した。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版>

人民武装警察は警察というより、治安維持のための準軍事組織です。

習の権力把握は未だしという所でしょう。今後リストラ、特に軍部の30万人削減が現実のものになれば大きな動乱となるでしょう。

ロシアのプーチンは狡猾なだけあって、オバマとか習近平とか違ったリーダーです。支持率も80%超と高いです。経済がうまく行かなくなれば下がっていくことは予想されますが、今度のシリア部分撤兵は考えた上での判断です。オバマとか習近平とかのように身の丈を考えずに行動するタイプではありません。リアリストです。安倍首相もオバマが何を言おうともプーチンと会って、ルトワックのいう中国封じ込めについて、中立か協力を要請すれば良い。経済協力もして北方領土は後回しでも良いと思います。今は中国の脅威に対抗すべきです。韓国もやがて中国に取り込まれるかもしれませんので。ロシアを取り込むことは地政学的に大変重要です。

http://www.sankei.com/world/news/160111/wor1601110001-n1.html

記事

Russian battleplanes in Syria

シリア・ラタキアにロシアが設けた空軍基地に駐機するロシア軍の戦闘機(2016年2月16日撮影)〔AFPBB News

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、3月14日、「我々の主要な任務は達成された」として、シリアに派遣したロシア軍の主要部隊を3月15日以降撤退させることを命じた。

 そして、プーチン大統領の命令に従い、ロシア軍の航空機「Su-24」、「Su-25」、「Su-34」が3月15日に逐次撤退を開始し、その迅速さは世界を驚かせた。

 昨年9月末に突然ロシア軍をシリアに投入し世界を驚かせたのだが、空爆作戦の終了と主力部隊の撤退の鮮やかさに世界は驚いたのである。その撤退のタイミングの良さは見事であると評価せざるを得ない。

 なお、ロシアの空爆による戦果は、出撃回数9000回、破壊した石油精製施設・輸送施設209か所、奪還した地域400か所、奪還した面積10000平方キロである。ロシア軍の空爆目標については、下図を参照してもらいたい、青い点で示されている。

 一方、米国政府は、ロシア軍の撤退を予想していなかったようで、驚きをもってこの撤退を受け止めた。昨年9月にプーチン大統領がシリアに空軍を投入した時に驚愕したバラク・オバマ大統領やジョン・ケリー国務長官は、プーチン大統領の果断な決断に驚かされ続けている。

Areas of control in Syria

図「シリアにおける各勢力分布図・空爆のターゲット」(出典:BBC)

 シリア問題の主導権を握ったのは明らかにプーチン大統領であり、オバマ政権の対シリア外交は、プーチン氏の果断な行動に対する後手後手の対応になっていると評価せざるを得ない。

 筆者にとってプーチン大統領は比較的理解しやすい指導者である。なぜならば、彼の実施する作戦はある程度の軍事的合理性を持っているからである。その作戦を計画・実行するロシア軍の実力も認めざるを得ず、我が国もロシア軍には心して対処せざるを得ない。

 しかし、二正面(ウクライナとシリア)作戦という愚を犯したために、ロシア軍の継戦能力の限界が半年程度だと分かったし、ISIL(いわゆる「イスラム国」)によりロシア民航機を爆破され、トルコ空軍の「F-16」により領空侵犯したSu-24を撃墜されるという失態を演じてしまった。

 プーチン大統領のシリアでの軍事作戦は高く評価する点もあれば、低く評価せざるを得ない点もあり、この論考では客観的な分析に留意する。

我が国で公開されている資料を読むと、外交的な視点での分析が多く、その視点のみではロシア軍の軍事作戦を理解することはできない。本稿においては、軍事と政治(外交)の関係に焦点を当てながら筆者の意見を記述したいと思う。

 キーワードとして、カール・フォン・クラウゼヴィッツの「戦争論」の一節を使用する。

 例えば、「戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならない」「政治的交渉の方針は戦争におけるあらゆる事象を支配し、結びつけ、戦争間から講和に至るまで一貫して維持される」「戦争は相手に我が意志を強要するために行う力の行使である」などである。

1 今回の撤退の状況をいかに認識するか?

 プーチン大統領は、シリアに派遣したロシア軍の主要部隊を3月15日以降撤退させることを命じた。

 しかし、その後のロシア政府の発表では、ロシア軍部隊が完全に撤退するのではなく、ロシアが使用している基地(フメイミム空軍基地、タルトゥース海軍基地)を防衛するために2個大隊(約800人)が残留し、最新の地対空ミサイル S-400も基地防空のために残留する。

 そして、少数の航空機が残り、必要な空爆を継続すると報道*1されていて、本当に撤退するのかという懸念を示す者もいる。この撤退がいかなるものなのかを、3月16日時点での情報で分析すると、以下のようになる。

  • ロシア軍の撤退は、空爆に参加した主要な航空機の撤退であり、ロシア軍すべての撤退ではない。しかし、ロシア軍が半年間実施してきた空爆作戦は終了したと判断する。

 ただ、必要な空爆のための必要最小限の航空機を残すという情報があるが、「バッシャール・アル-アサド政権軍を支援する空爆が完全にゼロになるのではない」というアサド大統領に対する配慮、そして何よりも残留するロシア軍自体を防護するための航空機は残すという意味であろう。

  • 駐留を継続する地上部隊および地対空ミサイル(S-400)部隊は、フメイミム空軍基地およびタルトゥース海軍基地を防護することになる。

 両基地は、ロシアが中東で確保している唯一の基地であり、両基地を保持することは将来のロシア軍の中東での作戦や影響力の保持に必要だと判断している。基地さえ確保していれば、航空機は機動力があるので、いつでも帰って来て空爆を継続することは可能である。

 基地を防護する部隊は、再展開可能な航空戦力と相まって、反アサド国家(米国とサウジアラビア)に対する抑止力になるという説もある*2

*1=BBC, Syria conflict: Russia to continue air strikes after withdrawal, 2016 March 15

*2=http://www.vox.com/2016/3/14/11224544/putin-syria-russia-withdraw

2 なぜシリアで軍事介入したのか?

 プーチン大統領は何故このタイミングで撤退を決断したのかに答えるためには、なぜシリアで軍事介入したのか、つまりシリアにおける軍事作戦の目的を明らかにしなければいけない。

  • シリアにおける作戦目的

・プーチン大統領は、シリアでの空爆の目的について、「アサド政権を安定させ、政治的な妥協が可能な状況を作ることだ」と述べている*3。彼にとっては作戦目的が限定され明確なものであったことが理解できる。

 実際に、ロシア軍の空爆により、アサド政権に有利な戦況になり、反アサド勢力を含めた和平協議が開催されることになり、その目的は達成された。この点を理解すれば、今回のロシア軍撤退の決断も理解できる。限定された目的が達成されたから撤退するというのは筋が通っている。

・中東における諸問題解決におけるロシアの重要性を世界に認識させること。同時に、「強い指導者」としてのプーチン大統領を国内外にアピールし、その結果としてのロシア国内での支持率の維持・向上を図ること*4。まさに「戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならない」のである。

・シリアにおけるロシアの影響力の拡大特に軍事基地の確保である。

・ロシアのクリミア併合やウクライナ東部への介入に反発した欧米の対ロ制裁の緩和を期待する。

  • ロシア軍のシリア派兵は海外派兵の諸原則に合致するか?

 米国では、海外での軍事行動を決定する際には、コリン・パウエル元統合参謀本部議長・元国務長官の意思決定の8原則を満たしているか否かが問われる。

 8原則の中でも特に次の4原則が重要である。

「死活的に重要な国家安全保障上の利益が脅威を受けているか?」 「明確で達成可能な目標を持っているか?」 「リスクとコストは十分かつ率直に分析されたか?」 「終わりなき介入を避けるために妥当な出口戦略はあるか?」

 この4原則をロシア軍のシリア派兵に適用し分析してみる。

・「死活的に重要な国家安全保障上の利益が脅威を受けているか?」

 「死活的」とは、国家が生きるか死ぬかということであり、シリアのアサド大統領を延命させることが、ロシアの国家安全保障上の死活的に重要な利益だとは思えない。この点に関してはかなり無理がある。中東におけるロシアの重要性を世界に認識させるという強い感情が勝ったと思われる。

・「明確で達成可能な目標を持っているか?」

 この点に関しては、「アサド政権を安定させ、政治的な妥協が可能な状況を作ること」という明確で達成可能な目標を持っていて、合格である。

・「リスクとコストは十分かつ率直に分析されたか?」

 ロシアの軍事作戦の最悪の事態を十分に分析したとは言えない。その結果として、ロシア民航機がテロリストの攻撃目標になってしまったし、領空侵犯によりロシア軍のSu-24が撃墜されるという結果になってしまった。

・「終わりなき介入を避けるために妥当な出口戦略はあるか?」

 この点に関しては、妥当な出口戦略があったことが、3月14日の撤退命令で明らかになっている。

 以上を総合評価すると、「パウエルの基準に完全には合致しない、かなりリスクのあるロシア軍のシリア派遣であった」という結論になる。

*3=ロシア国営テレビ「ロシア1」の10月11日、プーチン大統領に対するインタビュー放送

*4=Elizabeth A. Wood, “Roots of Russia’s War in Ukraine”, Woodrow Wilson Center

3 なぜ、このタイミングで撤退するのか?

 世界中で、「なぜこの時期にプーチン大統領は空軍の主要部隊の撤退を決断したのか」という議論がなされている。

 筆者は、今回のロシア軍のシリア撤退は、プーチン大統領の2正面(ウクライナ正面とシリア正面)同時作戦による作戦経費上の制約が直接の原因であると分析している。

 財政上の制約により、米国が陥っているような作戦の長期化、泥沼化を避ける思いが強く、作戦期間半年での撤退につながったと推測している。財政上の理由で撤退するとは言えないので、「シリアでの軍事作戦の任務を達成した。

 今後は14日に再開された和平協議に積極的に外交活動により貢献する」という大義名分が成立する3月14日を利用した撤退宣言であったと思う。

 先に結論を述べてしまったが、プーチン大統領がなぜこの時期に撤退を決意したかについては、次の4点が可能性として考えられるが、相互に密接に絡み合っている。

  • 継戦能力が限界にきていた。

 そもそも、ロシアにはウクライナとシリアの二正面において長期的に作戦する能力(継戦能力)はない*5

 特に2014年のクリミア併合以降における原油価格の大幅下落および欧米諸国による経済制裁により、聖域だった国防費さえ削減(2015年の当初国防費を5%削減)せざるを得ない厳しい財政状況にある*6

 シリア空爆作戦においては、空爆用の弾薬(ミサイルなど)の在庫が残り少なくなっていると予想するが、緊急生産による調達も難しい。当初搬入した航空機等の武器に対する燃料や部品の補給および整備も困難になったと予想する。

 米軍サイドの情報として、継続的な空爆作戦をするためには航空機などの交代をしなければいけないが、その兆候はなかったという分析がある。

 最新鋭の戦闘爆撃機Su-34が典型的で、ロシア中から作戦機をかき集めてきたものの、第2弾の航空機が欠乏している可能性もある。つまり、継戦能力が限界に来ていた可能性がある。

 なお、ロシア軍の戦費は1日当たり500万~750万ドル(約5億6500万~8億4750万円)で、米軍の戦費の6分の1だという*7

  • 作戦目的を達成した。

 つまり、ジリ貧状態にあったアサド政権の勢力圏を拡大し、政権の延命を達成した。また、2月末に一時停戦を達成し、3月14日に再開したシリアのアサド政権と反体制勢力による和平協議の環境作りにも成功した。

 これ以上シリアで作戦を継続すると、メリットよりも負担が大きくなる。作戦目的達成後は速やかに撤退するのが正しい選択である。

  • 最初からシリアでの作戦期間を短期間と限定していた。

 当初予定の作戦期間が経過したので、予定通りに作戦を終了する。この予定通りの作戦終了であるとすれば、プーチン大統領およびロシア軍の出口戦略はしっかりしていると評価できる。

  • アサド大統領に和平協議を受け入れさせるため。

 ロシア軍の空爆開始以前からアサド政権内におけるロシアの影響力はイランの影響力よりも弱かった。

 空爆によりロシアの影響力は上昇したが、最近は再びロシアの影響力は低下し、アサド大統領に対する統制が効かなくなった。和平協議に頑固な姿勢を崩さないアサド大統領に圧力をかけるために航空機主力を撤退させたという説もある*8

 実際には、上記の理由は相互に関連していて、それぞれが撤退の理由であったかもしれないが、最も重要な要因は「継戦能力が限界にきていた」ことであろう。

*5=Lydia Tomkiw,“ Can Russia Afford To Fight Two Wars In Syria And Ukraine?”, IBT

*6=http://thediplomat.com/2015/11/russias-military-spending-to-increase-modestly-in-2016/

*7=Lydia Tomkiw,“ Can Russia Afford To Fight Two Wars In Syria And Ukraine?”,IBT

*8=http://www.vox.com/2016/3/14/11224544/putin-syria-russia-withdraw

4 プーチン大統領およびロシア軍の軍事作戦に対する評価

  • 肯定的評価:作戦目的と能力の一致

 プーチン大統領は、軍事作戦の本質をかなり理解し、果断な決心ができる指導者である。彼は、作戦目的をロシアの能力に合致させている。ロシアの能力をはるかに超えた作戦目的を設定してはいない。

 例えば、彼のウクライナにおける作戦目的は、ウクライナがロシアのクローンになることではなくて、ウクライナがEUに接近することやNATO(北大西洋条約機構)に加盟することを防ぐことであった。

 クリミア併合作戦は、ロシアの能力に合致したシンプルで達成可能な目標に限定し、迅速に決断し行動をしたのである。

 プーチン大統領の作戦は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領が、米軍の能力を超えるイラクやアフガニスタン全土の民主化を作戦目的として行った軍事作戦とは一線を画するものである。目的を能力に合致させることは良き戦略家の証明である*9

 プーチン大統領のシリアにおける作戦目的が、崩壊の瀬戸際にあったアサド大統領を支援し、その政権を延命させることであったとすれば、その目的はかなり達成された。そして、今回の撤退命令の下達も、シンプルで現実的でロシアの限定した能力に合致している。

 以上を総合すると、戦争論の一節である「政治的交渉の方針(戦争目的*10)は戦争におけるあらゆる事象を支配し、結びつけ、戦争間から講和に至るまで一貫して維持される」がおおむね達成されていると評価できる。

  • 否定的評価:プーチンが受けた打撃など

 しかし彼のシリアでの作戦は、筆者がJBpress掲載の論考*11で予想したように手痛い打撃を受けてしまった。

 まず、ロシア自身がISIL(「イスラム国」)のテロの洗礼を受けてしまった。つまり、ロシアの民航機がISILのテロ行為のために爆発・墜落し、多くの犠牲が出たが、これはプーチン氏にとって大きな打撃であった。

 また、ロシア軍のSu-24がトルコ軍のF-16に撃墜されてしまった。これは、トルコの度重なる警告にもかかわらず、ロシア軍のSu-24がトルコ領空を侵犯したために発生したが、国際的な面目が丸つぶれで、しかもトルコとの関係を極度に悪化させてしまった。

 さらに、あまりにも乱暴な空爆(民間人と反政府勢力の区分をしないで実施する空爆、ロシア軍が使用したのは安価ではあるが無誘導の弾薬が主体の精度が悪い空爆)は、ロシア軍の意志を反アサド勢力に強要する効果はあったが、一方で多くの民間人を犠牲にし、国際的な非難を浴びている。

 また、ロシア軍の空爆は、多くの難民を発生させてしまい、世界各国から非難を浴びている。ロシアの空爆は、ロシアの世界における孤立を促進してしまった側面がある。

 また、ウクライナ正面での紛争が終了していないにもかかわらず、また欧米諸国の経済制裁および低迷する原油価格による経済危機の状況において、新たな戦端を中東シリアにおいて開いてしまった。

 経済危機状況下における2正面作戦が長期間継続できるわけはない。シリアでの戦費は膨らみ、併合したクリミアを維持管理する経費は増大し、ウクライナ東部では親ロシア勢力の支援のために負担をせざるを得ない。

 この2正面作戦は確実にロシアの国家財政に大きな影響を及ぼしてしまった。決定していた2015年の国防費を5%削減しなければいけなかったのがその証左である。

 また、今回の撤退により、今まで支援してきたアサド大統領との関係も悪化する可能性がある。支援される側は、支援する国に対してずっと支援してもらいたいものであるが、和平交渉を直前にして撤退されると、アサド政権側の交渉能力は低下せざるを得ない。

 今回のロシア軍の撤退は、アサド大統領にとって打撃になったと思うし、プーチン大統領の思惑通りに和平協議がすんなりと成功するとも思えない。

 肯定的評価と否定的評価を総合すると、ロシア軍の空爆作戦は、作戦的には一定の成果をもたらしたが、戦略的には失敗であったと分析する。

*9=Stephen M. Walt、“Who Is a Better Strategist: Obama or Putin ?”、Foreign Policy、October 9,2015

*10=「戦争目的」は、筆者が理解を容易にするために付加した。

*11=米国の最優先課題は中国、ロシアの挑発に乗るな!プーチン大統領のシリア空爆は派手だが長続きはしない、JBpress, 2015.10.19(月)

5 プーチン大統領に主導権を握られた米国の対シリア外交

 オバマ政権は、今回のプーチン大統領のシリア撤退命令に対して、「予測していなかった。突然だった」と驚きを隠していない。

 ロシア軍のシリア介入開始に驚き、撤退にも驚いていたのでは米国の立場がない。米国は、対シリア外交については、プーチン大統領に主導権を握られたのは明らかである。

 米国の対シリア外交の問題点と指摘されるのは、アサド大統領に対する処遇をどうするかという点である。

 ロシアが主張する、「アサド大統領を最初から除外したシリアの将来像に関する議論ではなく、アサド大統領を含めた将来像の議論をすべきだ」という意見は米国内のリアリスト派の意見でもある。

 オバマ政権があまりにもアサド大統領の即時退陣にこだわったために現実的な外交ができず、有効な解決策を提示できなかったという指摘は傾聴に値する。

 米国の対シリア政策は、矛盾し達成困難なものであった。「アサドは出ていけ」と言いながら、アサド後継がジハーディストになることを拒否し、穏健な反アサド勢力が後継になることを望んだが、そのようなアサド後継になる穏健なグループなどは存在しないのである。

 そのために穏健なグループを養成しようとして見事なまでの失敗をしてしまった*12

*12=Stephen M. Walt、“Who Is a Better Strategist: Obama or Putin ?”、Foreign Policy、October 9,2015

6 ロシア軍の作戦開始から撤退までの教訓

  • ロシアの国力の実態は、長期間の2正面作戦が困難であることは明白である。ことさらロシア軍の脅威に怯える必要はない。ロシア軍の実力をあるがままに評価し、これに適切に対処すればよい。
  • プーチン大統領は、軍事力の活用が巧みであり、戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならないことをよく理解している。

 ただ、実際に軍事力をもって戦争する必要はない。軍事力を背景とした外交を巧みに行えばいいのである。この点で、世界最強の軍事力を保持しながらも、それを背景とした外交を効果的に展開できない米国の奮起を期待したい。

  • 作戦の目的を能力に合致させることは極めて重要である。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は、米国の能力を超えた作戦目的を設定して失敗した。オバマ大統領は、使用する能力を制限した作戦目的(例えば、空爆のみによるISILの撃破)を設定しがちである。
  • オバマ外交の特徴であるリベラルな価値観(自由、民主主義、基本的人権、国際法など)に基づく外交にはメリットもあれば、ディメリットもある。「国民を虐殺したアサド大統領は許容できない。彼を即座に排除し、彼を排除したシリアの将来像の議論をしなければいけない」という主張などはその典型である。より現実的な外交が求められている。
  • 今回のロシア軍主力部隊のシリアからの撤退を受けて、ロシアに対する経済制裁を簡単に解除してはいけない。相変わらず、ロシア軍がウクライナ東部を占領する親ロシアグループを支援している。制裁解除は、ロシア軍の再建に手を貸すことになる。

3/22JBプレス 老田章彦『まさかのトランプ爆走に苦悩する米国のインテリたち 白人ブルーカラーの怒りは止められない』、3/20現代ビジネス 渡辺将人『共和党主流派「期待の星」ルビオはなぜ敗れたか トランプ旋風の裏側で』、3/18JBプレス 高濱賛『独走トランプを一喝し、震え上がらせた元CIA長官 法律を冒し続けてきたスパイ一代記』について

トランプも言いたい放題ばかりではなく、大統領になった時のスタッフを発表し、安心感を与えようとしています。単なる当て馬でなく、野心を実現しようと必死です。トランプが米国を二分したという議論もありますが、二分したのはオバマ時代からです。宮崎正弘氏のメルマガにスタッフの記事が載っています。問題はトランプがヒラリーに勝てるかです。共和党員ですらトランプが共和党の大統領候補になればヒラリーに入れるとういう人も少なくありません。どう軌道修正していくかでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6344940/

ルビオは先を急ぎすぎたかもしれません。ブッシュ家を敵に回してはフロリダ知事も覚束ないでしょう。

日米関係で言えば、トモダチ作戦を展開したロバート D エルドリッヂ著の『オキナワ論』を読みました。どうも沖縄に巣食う左翼が彼を海兵隊から放逐するよう画策した感じですね。どこまで左翼は悪逆非道なのか。沖縄県民に「天皇と日本政府は沖縄を見捨てた」と刷り込んだりしましたが、事実は違います。普天間基地も海抜95mと言う高台にあるため津波の心配もありません。小生は危険除去であれば学校等を普天間から先に移すべきと考えます。基地の移転は無しにしても良いのでは。エルドリッヂ氏は移すのであれば勝連が良いとのこと。基地反対運動は中国人や朝鮮半島人、反日左翼が主体で沖縄県人はどの程度いるのでしょうか?翁長も浦添の軍港移設工事を認め、辺野古移転を認めないというのでは、左翼に共感してと言うよりは、土地賃貸料で食っている人たちの為の反対運動なのでは。所詮、「金目でしょ」。

http://thefact.jp/2016/1205/

また、Facebookを見ていましたら、朝日新聞が英字版では誤報の謝罪をしないどころか、慰安婦の強制性を認め、犠牲になったのは朝鮮半島人との書き方の由。中・鮮人と同じで平気で嘘がつける人間です。侮蔑さるべき下種です。 なでしこアクションのHPより。

http://nadesiko-action.org/?p=9983

3/22記事

Trump in North Carolina

米ノースカロライナ州ヒッコリーで選挙集会に臨んだドナルド・トランプ氏(2016年3月14日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Image/Sean Rayford〔AFPBB News

 トランプ現象という、誰も経験したことない嵐がアメリカに吹き荒れている。

 メキシコに費用を負担させて国境に壁をつくるといった荒唐無稽な政策を掲げ、アメリカ最大のタブーである人種差別の姿勢すら隠そうとしない候補者が、多くの国民の喝采を浴びている。

 アメリカ史上かつない異常事態ともいうべき状況にどう対応すればいいのか、トランプ氏の対立候補以外にも大いに困惑し悩んでいる人たちがいる。

トランプ政権入りを目論んでいるのは誰だ

 共和党の指名候補争いの序盤戦「スーパー・チューズデー」でトランプ氏が華々しい勝利をおさめた翌日、トランプ氏への反旗を高々と掲げた人たちがいた。

 長年アメリカの外交・安全保障政策を支えてきた有識者60人が、トランプ氏の排外的な外交政策はアメリカの安全を危機にさらすものだとして公開書簡で厳しく批判したのだ。

 注目すべきは、60人の有識者のすべてが共和党員または共和党の支持者だったこと。そして、右派・中道派・ネオコンまで幅広い人材がそこに含まれていたことだ。なかには、トランプ氏が共和党の候補に指名された場合は「本選で民主党クリントン氏に投票する」とまで発言した人もいる。「共和党良識派の反撃がついに始まった」「公開書簡に署名をしたのは誰か」とメディアは盛り上がった。

 一方、首都ワシントンでは、この現象を逆の方向から見ている人が少なくなかった。彼らの間で話題になったのは、「誰が署名をしたのか」ではなく「誰がしなかったのか」だった。

背景にはアメリカの政界ならではの事情がある。アメリカの政策に強い影響を与える大統領特別補佐官や各省庁の要職には、官僚でもなく政治家でもない“第3の人材”がつくことが多い。その多くはシンクタンクの研究員や大学教授といった知的エリートで、政府での数年間の任期を終えると、再び研究や教育の世界へ戻っていく。そして外部からの政策提言が評価されると、再び政府に呼ばれて働く。このような官と民の間の人事サイクルが厚みのあるエリート層を育て、アメリカ政治を支えている。

 今回の公開書簡に名をつらねた共和党系の60人は、「共和党トランプ政権」に参加したり外部から関与したりするチャンスを投げ捨ててしまったに等しい。

 逆に、公開書簡に署名しなかった人は、もしもトランプ氏が大統領になった場合、政権入りする可能性が残されている。だからワシントンでは、署名をしなかった人に注目が集まったというわけだ。

 たとえば、1990年代から政府機関と民間の往復を始め、ジョージ・W・ブッシュ大統領の外交ブレーンにもなった大手シンクタンクの研究員、スミス氏(仮名)がその1人だ。スミス氏は今回の選挙に向けて、共和党本流とされていたある候補者と連絡をとりながら、着々と自らの足場を固めていた。ところが選挙戦が始まってみると、頼みにしていた候補者はトランプ旋風に吹き飛ばされ撤退してしまった。スミス氏が公開書簡に署名しなかったのは、新政権への関与をまだ諦めていないからではないかという人もいる。

アメリカを分断させるトランプ氏

 共和党系か民主党系かを問わず、アメリカのインテリ層はトランプ旋風という未曽有の混乱のなかで困惑し対応を決めかねている。

 アメリカが指導力を失った「Gゼロ」後の世界についての著作で知られるイアン・ブレマー氏は、スタンフォード大学で博士号を取得後、わずか28歳でシンクタンク「ユーラシアグループ」を設立した気鋭の政治学者だ。ニューヨークに本拠を置くブレマー氏は、目下の選挙戦への困惑を次のようにツイートしている。

「ニューヨークとワシントンにはたくさんの知人がいるが、そのうちの誰ひとりとしてトランプ支持者に出会ったことがないという。これは大問題だと思う」

 つまり、都会のホワイトカラーでトランプ候補を支持する人は極めて少ないということだ。

 一方、トランプ支持者の中核となっているのは白人のブルーカラーである。彼らの多くは工場で働いているが、工場の海外移転や低賃金の移民労働者の増加などによって職を奪われ、不満を募らせていた。サービス業で働くブルーカラーも賃金の安い仕事を移民と奪い合わなければならない。白人ブルーカラーの怒りは高まる一方だった。

 その怒りをたくみに利用して勢力を伸ばしたのがトランプ候補だった。「偉大なるアメリカの復活」を力強く約束し、「悪いのは中国や日本」「敵はメキシコ人」などと問題を単純化してみせるトランプ氏に彼らは熱狂した。

 トランプ氏に煽られて熱狂するブルーカラーたちと、冷静な目を保とうとするホワイトカラー、インテリ層。両者のギャップはここ数カ月で急速に広がっている。ブレマー氏の目にはそれが大きな問題と映っているようだ。

「最悪の衝動」を呼び起こされた人々

 ブレマー氏のトランプ氏への懸念はそれだけではない。キーワードは「差別」だ。

 今回の選挙戦ではトランプ氏の人種差別的な姿勢が議論を呼んでいる。差別の撤廃はアメリカ社会最大の課題の1つであり、選挙での差別発言は「一発退場」につながることも多い。

 だが、トランプ氏は白人ブルーカラーからの受けをねらってか、マイノリティーへの差別的な姿勢を強めている印象さえある。白人至上主義団体「KKK」の元幹部から支持表明を受けたことに対しトランプ氏がはっきりと拒否の言葉を述べなかったことは、多くのアメリカ人をあ然とさせた。

 人種差別の姿勢を隠そうともしない候補者が選挙戦で生き残っているどころか、先頭を走っている。繰り返しになるが、これは異常事態というほかない。

 スーパー・チューズデーの4日後、NBCテレビの人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」は、トランプ陣営のテレビコマーシャルの体裁をとったパロディー映像を放送した。穏やかな地域社会に暮らす勤勉で善良な白人がトランプ氏を支持する理由を語るという設定だ。

 ある男性は「トランプは経済を、ここから、ここまで、引き上げてくれるだろうね」と言いながら腕を持ち上げるが、そこにはナチスの腕章が巻かれている。

 また、白い服にアイロンをかけながら「トランプは大胆な政治家よ。私の本音を代弁してくれるわ」と語る女性が服を裏返すとKKKのマークが・・・という内容だ。

 どぎつい冗談だと笑ってばかりもいられない。支持者のなかにはトランプ氏に同調して、心の奥底にあった差別感情を解き放ってしまった人が少なくない。トランプ氏の集会では、反トランプを叫ぶ人に暴力をふるう支持者が増えている。そういう人たちを相手にブレマー氏のような人が理性的に政治を語り合おうとしても話が噛み合うとは思えない。

ブレマー氏は、大衆をここまで引っ張ってきたトランプ氏について「人の心の奥底にある最悪の衝動を利用した低俗な人気取り」だと切り捨てた。研究者としての心のうずきが聞こえてくるようだ。

 ほんの数カ月前まで、まさかこんな状況になるとはアメリカのインテリ層は誰も予想していなかった。彼らはどんな思いで新しい大統領の誕生を迎えることになるのだろうか。

3/20記事

Rubio in Florida

フロリダ州で敗北して撤退を決めたルビオ候補。共和党主流派「期待の星」であり、日本の外交筋も期待を寄せていたが……〔photo〕gettyimages

「反トランプ」連合はなぜ生まれないか

「ミニ・スーパーチューズデー」は、トランプがフロリダ州とオハイオ州という勝者総取りの大票田で勝利すれば、トランプ指名は決まったようなものだとされていた。

しかし、ルビオ候補が事前の予想通りフロリダ州で敗北して撤退したものの、オハイオ州現職知事のケーシックは地元での強さを見せて逃げ切った。

共和党内には党大会での逆転を狙う勢力も存在するが、他方で「トランプを受け入れて、トランプを操縦していこう」という打算的かつ戦略的な「受容派」も急速に増大し始めている。フロリダ州でのルビオの劣勢が決定的になったあたりから、その兆候があった。

主流派「期待の星」ルビオには、日本の外交筋も期待を寄せていた。ルビオ敗北の舞台裏に、トランプ旋風の意外な理由があった。

* * *

トランプ以外が代議員競争で首位を奪うことは困難な情勢の中、無理な「一本化」よりも、勝者総取りの大票田で、複数の非トランプ候補がそれぞれ強い州で勝利し、トランプ単独での過半数獲得を阻止するのが抵抗のシナリオだった。

しかし、ルビオが大票田フロリダ州で完敗し、このシナリオも現実性は薄くなった。

「反トランプ」が一本化できないのは、反トランプのフロントランナーが主流派ではなく、宗教右派系の「ティーパーティ保守」クルーズだったからだ。日和見主義だが「フレキシブル」でもあるトランプ以上に、原理主義クルーズは危険視されており、上院でも「外れもの」だった。クルーズをエスタブリッシュメントが支持することは困難だった。

前回の論考「続発する「反トランプ」抗議デモ」でも述べた通りだが、ある連邦議会補佐官は「銃をこめかみに突きつけられ、トランプかクルーズか、どちらか1人を選べ! と究極の選択をさせられれば、トランプを選ぶ」とすら言う。この認識は両党にまたがっている。

クルーズ支持者はルビオやケーシックに入れないし、ルビオやケーシックの支持者は「反トランプ」でクルーズを支持するのは自殺行為だと考えてきた。そうこうしているうちにトランプがトントン拍子に勝利した。

「トランプ旋風」4つの理由

2016年トランプ旋風の理由として、改めて4つの要因を確認しておきたい。

①トランプの第三候補化を懸念しての「党内への取り込み」策が、甘い判断に過ぎた(トランプが共和党に怒って飛び出さないように、初動ではトランプ批判を意図的に控えた)

②共和党の候補者が多く出馬し過ぎた(トランプだけ票田が他と重複していないので利益を得た)

③非トランプのフロントランナーが原理的クルーズだったこと(主流派は支持できない)

④ジェブとルビオという主流派内の身内争い(後述する)

これらの外部要件が揃っていなければ、どんなに経済格差が深刻化して、不法移民がメキシコから流れ込み、大衆の怒りが暴発していても、トランプがここまでスムーズに勝利できなかった。

第1に党幹部が公認指名に影響を与えられない予備選制度、第2に、第3候補が出れば相手側に漁父の利を与えるリスクが付きまとう二大政党制のジレンマが根底にある。つまり「トランプ旋風」は制度的には、起こるべくして起こった現象で、諸条件さえ重なれば、これまでいつ起きてもおかしくなかった。

以前も「トランプ旋風が止まらない!? アメリカでいま何が起きているのか」で述べたように、ジョージ・ウォーレス、ロス・ペローなどの「旋風」過去例との違いは、共和党内部で勝者を目指したトランプの本格的な共和党乗っ取り策だ。

今後アメリカの政治学者の間では、アメリカ式デモクラシーの特質とされてきたこの開放的予備選制度とアメリカ特有の二大政党制の問題が深く議論されていくことになろう。

ここにきて民主党エスタブリッシュメントから「だから、特別代議員制度を共和党も導入したほうがいいのだ」との声まで聞こえる。

特別代議員とは、主として議員や知事など党幹部に与えられた権限なので、「ワシントンの意向」が草の根の民意をひっくり返すものだとして批判も根強い。だから、ヒラリーは「正統性」を高めるために、特別代議員の加算なしに、各州の民意による代議員だけでの圧勝を目指してきた。

ブッシュ家の逆鱗に触れたルビオ

そもそもルビオに勝ち目はあったのか。

日米外交筋の間では、ヒラリー以外ではルビオ人気が突出していた。上院外交委員会所属で政策を知っており、日本に対して深い理解があった。外務省も以前からルビオに注目し日本に招き、2014年の安倍総理への表敬訪問でも、東アジアの安全保障について日本の立場を支持する意向を表明している。

外交の安定的な継続性という点では、共和党側ではルビオというのが共通認識だった(ただ、それだけに過度な「親日」期待から、日本のプレスからの質問や、東アジアについての質問に答えてくれないと取材現場ではイメージ上のギャップが増幅されたようだが)。

しかし、これは外交フロント、特に日本目線からのルビオ像(期待)であって、アメリカの国内政治の文脈での政治家ルビオは、深刻な脆弱さを抱えていた。

第1に、フロリダ州地盤でありながら、知事だったジェブ・ブッシュの組織の支援が得られなかったことだ。

両者の関係は、元々は悪くなかった。1998年のルビオの初の公職選挙以来(ウエストマイアミ市)、ジェブは「保護者」として支援してきた。ルビオもフロリダ州議会議長としてジェブの政策を支え、両者の関係は「ウィン・ウィン」に見えた。

2016年大統領選にジェブが出るなら、弟子のルビオは「待つ」のが筋という暗黙の了解が支援者筋にはあった。しかし、ルビオには魔が差した。「ブッシュ王朝」の継続に思いのほか、共和党有権者が不満を抱えていて、兄のジョージ・W・ブッシュ前大統領の不人気も根強かったからだ。

なるほど筆者も2015年夏にジェブの支援者の内輪の会合で、元知事本人と面会したことがあるが、カウボーイのイメージの兄とは真逆で、神経質でいい意味で繊細な人物で、それだけに草の根の人気が今ひとつなのも頷けた。ルビオも同じように感じたかもしれない。「今出れば行けるかも」と。

しかし、これがブッシュ家の逆鱗に触れた。「弟子が師匠を追い落としたようなものだ」と関係者は言う。

ジェブの支援者との暗黙の約束を破って出馬しただけでなく、ジェブを上回る代議員を獲得。ジェブは自分が知事を務めた州まで生き残れず撤退し、政治人生の晩節を汚された。それもこれも可愛がっていた弟子の裏切りによるものだ。

フロリダ州共和党幹部は、ルビオがアイオワで3位になった直後、「ルビオでの一本化」について質問した私に、匿名条件にこう断言した。

「ブッシュ家はルビオの野郎を許さない」

「ルビオ大統領誕生だけは許せない」と、ジェブと2回のブッシュ政権に特に忠誠心の高い層は息巻いていた。ジェブが知事として張り巡らしたフロリダ全土の組織は、ルビオのために活発には動かず(動くなとまでは命じていないだろうが)、ジェブは最後まで公にルビオを支持しなかった。

「トランプ阻止」のためですら支持できない深いわだかまり。これがルビオのフロリダ敗北の1番の理由である。トランプの高笑いが聞こえる。

裏切られたフロリダ州の有権者

第2に、今年上院の再選年のルビオが、上院議席を放棄して、大統領選挙に出ることを宣言したことだ。

一般的には「背水の陣」として評価されそうな「決意」に見える。しかし、それはフロリダ州外の「他人の目線」だ。フロリダ州の有権者は裏切られたと感じた。

日本と同じでアメリカも議会では、再選回数が権力への道だ。委員長ポストは再選を重ねないと手に入れられない。当然、地元への利益誘導も再選が前提だ。

同じスペックなら若い方を当選させるのは、フレッシュな才能云々の「建前」とは無関係で、寿命までの当選回数を冷酷に考えての判断だ。あまり高齢の新人では、再選回数が期待できない。

だから、ルビオと同じ再選年のランド・ポールは、早期に大統領選を離脱して、上院選に戻り、ケンタッキー州の支持基盤に誠意を尽くした。かくしてランドはまた、地元の支持層の協力も得た上で大統領選挙に出られる。

ルビオの若さに「永久再選」の利益をあてこんで応援したタニマチ筋は、突然「ぼくは、やっぱり大統領になります」と言いだして、議席を放棄する態度に激怒した。

それでも、育てた若手が大統領になるのであればと応援してきたが、フロリダ州共和党の顔であるジェブにまで逆らうのはどうかと「ルビオ離れ」の空気が渦巻いていた。支援組織の心の結束がこれほど弱いキャンペーンは、筆者も見たことがなかった。

なぜルビオはジェブに譲って将来のチャンスまで待てなかったのか。

オバマを意識していたからだという周囲の声がある。たしかにオバマも連邦上院1期目で彗星の如く飛来して大統領になった。しかし、今回まで負け知らずのルビオと違い、オバマは2000年に連邦下院で大敗している。予備選で地元の黒人議員に負け、それから反省に反省を繰り返し、黒人同胞の心と掴む方法を身につけた。

「外交通」という日本での好印象とは裏腹に、上院でのルビオの立法成果は少ない。実際、50個の州という「国」でできているアメリカでは、州知事が連邦議員の臨時任命権まで持つ「上司」であり、州知事のほうが小さな実績をワンマンで残しやすい。

「選挙区に説明しやすい実績が作れない上院をルビオはつまらない、知事は羨ましいと思っていた」と関係者は語る。

まだ上院に残る選択肢もあるが、将来的にはルビオは可能性があれば州知事、その他の道を考えるのかもしれない。いずれにせよ、ブッシュ家への「詫び」が先かもしれない。

「あいつはキューバ系だ」

第3に、ヒスパニック系という属性を活かしきれなかったことだ。

キューバ系は実はヒスパニック系の「主流」であるメキシコ系などと緊張関係にある。「ルビオはヒスパニック系だから、支持しますよね?」とメキシコ系の有権者に聞けば、「あいつはキューバ系だ。俺たちと違うから」という答えがよくかえってくる。

カストロの圧政を逃れ「反共移民」になった初期のキューバ系は、中南米系の中で唯一共和党支持だった。最近の若者は民主党支持も増えているが、ヒスパニック社会の中での「異端感」は消えていない。

また保守的な政策とヒスパニック系への親和性が矛盾する問題もある。クルーズもキューバ系で、片言程度のスペイン語がしゃべれるが、公の場でほとんど話さないのは、バイリンガル教育を否定し、移民は英語を学ぶべきとの自らの主張と矛盾してしまうからだ。

ルビオもティーパーティの支援で当選したにもかかわらず、超党派の移民制度改革法案に参加したりして、ヒスパニック系の武器を活かす方向で穏健派に「転向」した前科がある。保守派内に「あいつは保守の仮面を被った親不法移民派だ」という疑念を残した。

共和党候補なのにヒスパニック系という属性は、本選でかなりの武器になる。民主党はそれを恐れて「ルビオ相手だとヒラリーが危ない」と言っていた。しかし、予備選ではそれが足かせになってしまった。

折しも、キューバとは民主党のオバマ大統領が国交を回復。88年ぶりに現職大統領として歴史的な訪問を実現するという時期であるだけに、ルビオとクルーズの共和党「キューバ系」という独自の記号は、かつての「反共」のアナクロニズムを漂わせるだけに終わってしまったのかもしれない。

カリスマが欠けている

そして第4に、政治家としての臨機応変さだ。

フロリダ州での地上戦が絶望的になったルビオは、終盤戦ますますメディア戦略や支持者への雨あられのようなメール散布に依存したが、「ロボット・ルビオ」の悪印象がテレビ討論で刻印され、「空中戦」も総崩れだった。

筆者はニューハンプシャー州予備選直前、同州ハドソンでルビオの小さな集会に参加した。たまたま聴衆が貧血か何かで倒れる騒ぎが起きた。幸い救急隊が駆けつけて、病人はすぐに運び出された。

しかし、演説中だったルビオは立ち尽くしたままで、どうしたらいいのか分からないといった風だった。

米メディアのカメラは回り続けていた。米メディアは「事件」を悪意をもって報じなかった。武士の情けというより、トランプを利すネタだったからかもしれない。

しかし、「オバマやビル・クリントンなら、いやレーガンだったら、タウンホールミーティング中に目の前で人が倒れたらどうしただろうか」と現場では疑問の声がくすぶっていた。腕まくりをして手を貸さないまでも、集会の中止と人命優先を叫んだのではないか。

それは「ポピュリズム演出」かもしれない。しかし、アメリカ大統領は危機に即して、臨機応変に対応してほしいと有権者は願っている。

「人気取りの行為と思われようと、あのときのマルコには、マイクを握って何か言って欲しかったよ。悔しいよ」と支持者はこぼしていた。ルビオはその意味で、政治家にしておくには、真面目過ぎるのかもしれない。嘘があまりつけない人物なのだと思う。

「ルビオは未熟過ぎる」と批判していた共和党重鎮の評論家たちが、現場でルビオに会って「あいつ、いい奴だった」と評価を変える行為に何度も遭遇してきた。

しかし「会ったらいい人で、対外的にはカリスマが欠けている」のでは大統領としては難しい。「会ったら気に食わない奴」でもいいから、対外的にカリスマを示せていれば問題はないのだが。

次回以降は現実味を増したトランプ指名をめぐる問題について考察する。

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Trunm in Ohio

米オハイオ州クリーブランドで開かれた、選挙集会で演説するドナルド・トランプ氏(2016年3月12日撮影)〔AFPBB News

「ミニ・スーパー・チューズデー」も勝ち抜いた不動産王

 「暴言王」のドナルド・トランプ氏の独走が止まらない。

 「スーパーチューズデー」に次ぐ前半、第2の山場、「ミニ・スーパー・チューズデー」で圧勝したトランプ氏は米共和党大統領指名レースを順風満帆で突き進んでいる。これで、指名に必要な代議員数1237人まであと646人(AP通信社調べ)と迫った。

 その「ミニ・スーパー・チューズデー」前夜から米国は異様な局面を迎えている。トランプ氏の歯に衣を着せぬ人種差別発言に耐えかねた反トランプ分子が抗議行動を起こしたのだ。

 トランプ氏の行く先々ではこれら分子がトランプ支持者と激しい小競り合いを繰り広げ、流血の事態にまで発展している。予備選はもはや共和党内の指名争いの枠を超えてこの国を分裂させている。

現状打破を唱える2つの異なる反既成体制勢力

 候補者に期待する現状打破派にも2種類ある。

 1つは8年ぶりにホワイトハウスを民主党から奪還したいとする共和党保守派本流とそれを支持するウォールストリート(金融・経済界)。彼らは、本選挙で何としてでも民主党候補を打ち負かす選挙に勝てる保守本流候補を指名したいと考えている。

 もう1つは、白人が謳歌できた「50年代のアメリカへの回帰」を夢見る白人高齢者やブルーカラーたちだ。メキシコ移民への侮辱発言やイスラム教徒の一時入国禁止提案など排外的な主張を続けるトランプ氏に共鳴し、1票を投じてきた。

 共和党保守本流が推してきたマルコ・ルビオ上院議員だが、「ミニ・スーパーチューズデー」でも地元のフロリダ州でもトランプ氏に完敗。他の州でもジョン・ケーシック・オハイオ州知事に抜かれて最下位に転落。投票終了後に、ルビオ氏は予備選から撤退してしまった。

 死にもの狂いとも言える共和党保守本流のルビオ支援工作は裏目に出てしまった。既成体制が物心両面からルビオ氏を応援すればするほど、草の根保守層はこれに反発したためだ。

 ルビオ氏に代わって「ストップ・ザ・トランプ」の任を負わされているのが、超保守派の一匹狼、テッド・クルーズ上院議員だ。ところがクルーズ氏については、ウォールストリートの大企業幹部の1人は苦虫をつぶしたようにこう漏らしている。

 「企業税課税や富裕層優遇税廃止を唱えるクルーズはトランプよりも厄介な存在だ。クルーズが指名されるくらいならトランプを手なずける方がまだましだ」

過激派分子に対する拷問で朝令暮改を繰り返すトランプ

 実現不可能に近い「思いつき政策(?)」(はっきりとした政策にすらなっていない)を次から次へと打ち出すトランプ氏。文字通り、朝こう言ったかと思うと、夕方には前言を翻す。あきれるほど朝令暮改を繰り返した。

 そのトランプ氏に、いい加減なことを言うのもほどほどにしろと一喝した男がいる。泣く子も黙る米中央情報局(CIA)の元長官だ。その人物の名は、マイケル・ヘイデン退役空軍大将。ヘイデン将軍こそ、本書の筆者である。

 トランプ氏がイスラム教過激派分子に対する「過激な尋問」、つまり拷問を容認したことに対してだった。

 トランプ氏は、ブッシュ政権当時、テロリスト容疑で捕まえたイスラム教過激派分子に対する「拷問」を容認するかどうか、大統領として情報機関にそうするよう命令するか、と記者に質問された。

 これに対し、トランプ氏はこう言い切った。

 「奴らが人質にした我々の側にいる人間の首を残虐に切り落とし、その画像を全世界に流している。こちらとしても捕まえた奴らを水責めして、情報を取るのは当たり前のことだ。私が大統領ならそう命令を下す」

「トランプ大統領の命令より国際法を尊重する」

Hayden's book

Playing to the Edge: American Intelligence in the Age of Terror (スパイ工作は違法とつねに背中合わせ:テロ時代のアメリカの情報活動) by Michael W. Hayden Penguin Press, 2016

 ヘイデン少将は直ちにテレビ・インタビューで一喝した。

 「水責めは明らかに過酷な尋問(拷問)を禁じている国際法(国連拷問等禁止条約=1987年採択)違反だ。たとえトランプさんが大統領なり、そうやれと命令しても米軍および情報機関将校たちは応じない。国際法を冒してまでトランプさんの命令などには従わないはずだ」

 これを聞いたトランプ氏は、即座に、「3軍の最高司令官たる大統領である私がやれと言ったら軍はそれを実行する。それがリーダーシップというものだ」と激しく反論。

 ところが数時間後、その舌の根の乾かぬうちに「アメリカは法や条約に縛られており、私は大統領になっても軍やその他の当局に法を破るような命令はしない」と前言を撤回した。

 相手がCIA元長官だと、すぐ前言を覆す、この口から出まかせ男にフォックス・ニューズの美人キャスターは「あなたはなぜそう何度も前言を覆してばかりいるんですか」と鋭く突かれて黙りこくった。

 この事案のあやなどは国際法にも国際情勢にも疎い、トランプ支持の白人大衆たちには理解できないだろう。が、トランプ氏の軽薄さと知性のなさに開いた口がふさがらないのはヘイデン将軍だけではない。

過去41年間スパイ人生を送った根っからのスパイ

 ヘイデン将軍は米空軍情報将校として1967年から2008年まで兵役を務めた。その間1999年にはビル・クリントン大統領に国家安全保障局(NSA)局長に任命され、ブッシュ政権発足後も留任。

 2005年には国家情報局副長官に昇格、さらに2006年にはレオン・パネッタ米中央情報局長官の後任に任命され、2009年までブッシュ、オバマ両政権下で反テロ戦争におけう情報組織のトップとして活躍した「米国の諜報活動に最も精通した人物」(米上院情報活動特別委員会スタッフ)だ。

 ヘイデン将軍が指揮をとった諜報スパイ活動は、ずばりイスラム過激派組織テロ活動への挑戦だった。

 アルカイダの首謀、オサマ・ビン・ラディンや幹部の拘束・殺害活動はもとより、拘束したテロリスト容疑者に対する尋問など枚挙にいとまがない。

 なかでもトランプ氏を一喝した「水責め」容認発言は、ヘイデンにとっては忘れがたい作戦の1つだった。法を侵して大統領の命令に従った屈辱の作戦だったからだ。

 ヘイデン氏はブッシュ大統領から「すでに身柄を拘束しているアルカイダ容疑者の口を割らせるために水責めでも何でも使って情報を入手せよ」との命を受ける。

 それは極秘工作として進められ、重要なテロリスト情報を得ることにつながりはした。だが将軍は釈然としなかった。その思いがトランプ発言に対する一喝となったのだろう。

 ブッシュ大統領はこれと並行して、裁判所の許可を経ずに、米情報機関が海外に住むテロリストと米国内に住んでいる永住者、市民権保持者とのインターネットや電話の交信を傍受する許可を与えた。

 つまり大統領が直接命じた不法盗聴、いわゆる「ステラ―ウィンド」工作だ。

 これは9・11テロ事件以降、秘かに導入された秘密通信情報収集計画で、個人の電話番号やメールアドレスを取得したのち、その通信・チャット内容を入手するものだ。2004年に司法省が見つけ出すまですべて司法省抜きで実施されていた。

「法律の外で生きるなら自分に正直に」

 ヘイデン将軍は本書の中で、ボブ・ディランの「Absoltutely Sweet Marie」の一節を引用してこう書いている。

 「法律の外で生きようとすれば、君は正直じゃなきゃダメだよ。とくに自分に対しては常に正直じゃなきゃね」

 ブッシュ大統領に命じられて実施に移した「水責め」は、オバマ政権発足直後、発覚してしまう。この関連の司法省の極秘メモが上院情報活動特別委員会に提出されたのだ。

 その内容は、「CIAの残虐行為」「CIAの国際法違反」としてメディアに流された。民主党主導になった上院情報活動特別委員会でヘイデン将軍は厳しく追及される。

 国家機密保守義務という枠の中で、将軍は、テロとの戦争を強いられる中でいかにしたら、国家の安全を第一線で守れるかについて弁明する。が、議員たちはむろんのことメディアは理解しようとしない。

 本書では、そうしたヘイデン将軍の「苛立ち」と「弁明」が繰り返される。

 題名になっている「Playing to the Edge」とは、フットボールで線上ギリギリのところで相手側とボールを奪い合うプレーを指す。ここでは、スパイ活動はまさに合法、違法すれすれのところで演じる危ないプレーだと、将軍は指摘したいのだろう。

 スパイ一筋に生きてきた将軍の座右の銘、それが「Playing to the Edge」だったのだ。

テロリスト発見に不可欠な「ステラーウィンド」工作

 特に世論の激しい批判を浴びた「ステラーウィンド」工作について将軍はこう指摘する。

 「これにより我々は米市民の電話やインターネットにアクセスした。が、それはあくまでも厳しく制限された状況下で行われた」

 「例えばあなたが今まで聞いたこともない人物から電話を受けたとする。蓄積されているデータベースを情報活動のプロがその人物の電話番号をチェックした結果、海外のテロリストと関わり合いがある電話であることが判明する。そのことから直接的、間接的にテロリストのルートを探り当てる重要な情報となる」

 「国民にはプライバシーの権利がある。だが、国民は安全な生活を営む権利もある。根本的には我々はサイバー上の安全保障を必要としている。と同時にコミュニケーションの自由も保たれねばならない」

 少なくともアメリカ合衆国という、国民の自由と権利を守り、なおかつ国際法を遵守することを国家的な理念として掲げてきた民主国家において、この二律背反にどう対処するか。

 一党独裁の中国や北朝鮮とは違うのだ。ヘイデン将軍をはじめスパイたちはつねにそのことについて真剣に悩んできた、と将軍は吐露している。そのことを少しでも国民には分かってほしい、と訴えている。

 トランプ氏への一喝は、そんなスパイたちの苦悩も知らずに分かったようなことを言うなという現場からの物言いと言っていい。