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3/30日経ビジネスオンライン 篠原匡『“トランプ大統領”のディールとゼロサム 在日米軍撤退発言の背後にある思考パターン』、3/31日経『トランプ氏「日本、自衛か負担増を」 駐留米軍巡り』について
トランプはタフネゴシエーターというだけで、歴史観や世界観を持ち合わせていないタイプでしょう。ヘタな考えがないから白地のカンバスに絵を描くように周りが支えれば大化けする可能性もあります。日本の核武装についても言及していますが、パンダハガーのキッシンジャーでさえも2007年くらいから「日本の核武装は見たくはないが驚きもしない」とずっと言ってきたくらいですから。非核三原則は法律ではなく政策レベルの話なので、いつでも変えることができます。国是とか言って、国が無くなったら国是も意味を成しません。後は国民の覚悟の問題です。日本共産党は中国の核保有、しかも保有数量も明らかにしない国に抗議もしていません。中国の金で暴力革命を下心として持っているとしか思えません。
トランプに言われるまでもなく、日本は防衛に真剣に取り組み、米軍基地は縮小していくべきと思っています。自衛隊に米軍の肩代わりをさせていくべきです。ただ、日本単独で中国の脅威に対抗は出来ません。ATO(Asian Treaty Organization)を米国中心に、日豪印台+ASEANで作って、中国を封じ込めるのが肝要かと。ロシアは中立か味方に引き入れて包囲網を完成させないと、中国は暴発するでしょう。沖縄の米軍基地は地政学上の戦略要地です。半径2000Kmの円を描けば、アジアのメインの都市が入ります。尖閣・石垣を守るためには米軍基地の存在は大事です。比がスービック基地を米軍再貸与するのと同じです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H14_Z10C16A3NNE000/

共和党主流派もあれほど嫌っていたクルーズを後押しし出しました。トランプの楽勝になるかと思っていましたが、まだまだ先が読めません。
日経ビジネスオンライン記事
“不動産王”が投下した爆弾が波紋を広げている。
米大統領選における共和党候補指名争いで首位を快走しているドナルド・トランプ氏。「メキシコ国境に壁を作れ」など過激な言動で知られるが、3月26日に米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)で掲載されたインタビューで、日米関係の礎である日米安全保障条約の見直しについて持論を展開した。

トランプ氏は、日本が駐留経費負担を大幅に増やさない限り、在日米軍を撤退させる可能性を示唆した(写真:AP/アフロ)
「米国が攻撃を受けても日本は何もしないが、日本が攻撃を受ければ米国は全力で駆けつけなければならない。これはかなり片務的な条約だ」。さらに、大統領に就任した際には、日本が駐留経費負担を大幅に増やさない限り、在日米軍を撤退させる可能性を示唆した。また、「日本が核武装することはそれほど悪いことではない」と、日本の核保有についても容認する姿勢を見せている。
日米安保に爆弾を投下したトランプ氏
これまでトランプ氏は安保条約の不公平感については言及していたが、安全保障や対日外交について具体的に述べたことはあまりない。米軍撤退に触れたのも初めて。それだけに、日本政府関係者に衝撃が走った。菅義偉官房長官は「政府としてコメントを控える」と述べた上で、「日米安保体制を中核とする日米同盟は我が国の基軸。米国と緊密に連携していくことに変わりない」とコメントしている。
トランプ氏がスーパーチューズデーで大勝を収めた直後、ワシントンの日系企業関係者と同氏の対日戦略について議論したことがある。結論から言えば、政策と言えるような政策を提示しておらず、経済面や外交面で日本に対してどういうスタンスを取るのか、材料がなさ過ぎて判断できないという話に終わった。ただ、その時に企業関係者が分析したトランプ氏の“思考パターン”が今回の見直し発言の底流にあるように思う。それは「ディール」と「ゼロサム」だ。
実業家のトランプ氏は1970年代以降、トランプタワーをはじめとするマンハッタンの再開発やカジノ建設などのビッグディールをいくつも実現させてきた。その一端は、1987年に出版した『The Art of Deal』に詳しい。これは、トランプ氏のビジネスにおける鉄則や成功の裏側をつまびらかにした自伝で、彼が数々の不動産取引をいかに成功に導いてきたのかが描かれている。
“優れたディールメーカー”の本質
トランプ氏自身、今回の指名レースで自身を偉大なるディールメーカー(取引交渉者)と位置づけ、自分であれば米国を再び偉大な国にできると喧伝している。だが、ディールという言葉を突き詰めればいかに有利な条件でビジネスを展開するかという話であり、優れたディールメーカーとは、押したり引いたり駆け引きを駆使して最も有利な条件でビジネスを進められる人間のことだ。
今回の在日米軍の撤退についても「ディール」という切り口で捉えることができる。在日米軍は米国のアジア戦略の要であり、負担の多寡で存在意義を語るべきではないが、物事を交渉と捉えてなるべく有利な条件を引き出そうとする彼の考え方が色濃く表われているように見える。
もう一つのゼロサムは、失ったものを取り返すという思想だ。
トランプ氏が商標登録している選挙スローガン、“Make America Great Again”は米国を再び偉大な国にするという彼の強烈なメッセージである。だが、足元を見れば、米国が偉大な国に返り咲く材料はあまりない。
「パイの奪い合い」の結果としての偉大な米国
シェール革命で米国は原油自給の道を切り開いたが、足元の原油安でシェール関連企業は死屍累々の山を築いている。財政悪化も頭痛の種で、世界の警察官として影響力を行使したのも昔の話だ。そもそも米国民自体が政府に、外交面で影響力を行使することよりも、経済など国内問題を解決することを望んでいる。
その状況下で、偉大な米国を取り戻そうと思えば、どうしてもパイの奪い合いにならざるを得ない。奪われた雇用をメキシコや中国から取り戻せ、巨額の貿易黒字を中国や日本から取り戻せ--。その発想は、貿易を通じてウィンウィンを追求するというよりもゼロサムに近い。ウィンウィンという発想そのものに疑問が呈されているという面もあるのだが…。
「トランプ氏が大統領になれば、ギブアンドテイクの面が強まるだろう。日本にとっていいことはほとんどないと思う」と先の企業関係者は語っていた。今回の在日米軍撤退発言にどれだけ深い意図があるのかは分からないが、ディールメーカー、トランプ氏が大統領になれば、この手の牽制球が続くのかもしれない。
日経記事
【ワシントン=川合智之】米大統領選の指名を争う共和党候補者の対話集会が29日開かれ、不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は日本が北朝鮮の脅威に対抗するため核武装するのは「時間の問題だ」と述べた。日本が駐留米軍の費用負担を大幅に増やさなければ米軍は撤退するとして「日本が我々に金を払うか、自衛するかだ」と迫った。
トランプ氏は「北朝鮮はすでに核兵器を持っている。我々が(日韓核武装の)引き金を引きたいのではない」と主張。核保有国を増やさない政策は「変えなければならない時が来るだろう」と述べた。
トランプ氏は米国は軍事費などによる巨額の財政赤字国だとして、アジアや欧州を米が防衛することは「米国が破産するほどの大きな利益ではない。もはやそんな余裕はない」と指摘。「日本が自衛すれば我々は裕福になる」と強調した。
トランプ氏は自身の選対責任者が女性記者の腕をつかんで暴行した疑いで29日訴追されたことについては「彼女の方が私を2度つかんだ」と反論した。米CNNテレビによると、監視カメラには選対責任者が女性記者の腕をつかむ様子が映っており、トランプ氏の説明は虚偽だとしている。
29日には米大統領選の共和党候補指名争いから撤退したウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事(48)が、保守強硬派のテッド・クルーズ上院議員(45)への支持を表明した。党内はトランプ氏の指名阻止で結束する動きを加速しており、これまで共和主流派と敵対していたクルーズ氏をあえて支持する異例の事態となっている。
クルーズ氏への支持を表明した主流派は2012年大統領選で共和候補だったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事や、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事ら。トランプ氏を支持するのはニュージャージー州のクリス・クリスティー知事ら一部にとどまる。
一方、トランプ氏は昨年9月、共和候補に誰が選ばれても結果を支持するとの誓約書を共和党全国委員会に提出したが、対話集会では「支持しない」と表明。お互いの妻を批判するなど対立が過熱しているクルーズ氏への対抗心をあらわにした。
下は3/31日経『米大統領選が映すもの(上) 共和党、原理・価値観の危機 国際秩序、揺らぐ恐れ 久保文明 東京大学教授』記事より

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3/30日経ビジネスオンライン 福島香織『習近平は「十日文革」で“友達”を失った 「鬼平」「軍師」「大番頭」が消え、揺らぐ足元』、3/29ZAKZAK『AIIB、早くも“機能不全” 格付け問題未解決 中国政府内で内紛も』について
3/28小生ブログで石平氏の「王岐山が習近平より上と言うのはwishful thinking」と言いましたが、福島氏記事を読みますと中国内ではいろんな見方がされているという事です。王>習ではないものの習は寂しき王様になっていることが分かります。中国も集団指導体制になり、毛沢東や鄧小平のような建軍時代のカリスマは現れなくなりました。まあ、共産軍は日中戦争時逃げ回っていただけですが。
中国人は「散沙の民」とか「一人の時は龍、三人寄れば豚になる」と言われるだけあって、日本人と違い団結するのが苦手です。自己犠牲の精神が薄く、「俺が俺が」となります。自己主張する民族ですから。
共産党内部が分裂するのは良いことです。このまま友人がいなくなれば、習近平も暗殺されるかも知れません。強権政治の結果が、哀れな末路となって終結するかもしれません。習の代わりに誰がリーダーになっても中国経済の立て直しはできないでしょう。3経済主体で30兆$もの債務を負ってデフォルトの連鎖になるだけでしょう。ハイパーインフレにして国民生活を犠牲にして借金を減らすかと言うとこれも暴動→再革命となって怖くて共産党は出来ないでしょう。中国所有の不動産を外国に売却していけば、借金返済は可能かもしれませんが、生産手段の公有を目的とした共産党統治の否定に繋がります。人権抑圧をしている共産党が潰れることは理想ですが。
ADBはAIIBを助けることはありません。敵に塩を送ることができるのは相手が日本人の時だけです。世界は忘恩の徒で成り立っていると考えた方が良い。軍事膨張主義の中国を経済的に助けることは、やがてブーメランのように日本に跳ね返ってきます。日本共産党や反日民進党は3/29「戦争法案反対」デモを国会周辺でやっていましたが愚かです。「戦争反対」なら日本政府でなく、中国政府に向けて北京でやって見ろと言いたい。偏向マスコミも喜んでデモの様子を映すから始末が悪い。深く考えない人は日本政府が悪いと脳内に刷り込まれてしまいます。マスコミ、野党はどこが戦争法案なのか、国際政治動向(中国の東シナ海や南シナ海での動き)を踏まえて説明する責任があります。煽情的に念仏を唱えorレッテル貼りをして他者を悪者にするのは左翼の常套手段です。騙されないように。
福島記事

写真は2015年3月の王岐山(左)と習近平。今年2月に起きた「任志強バッシング事件」をきっかけに、2人の関係に亀裂が?(写真:ロイター/アフロ)
習近平と王岐山の関係に亀裂が走っている、という話を聞いた。“十日文革”と揶揄される任志強バッシングがそのきっかけだという。任志強は王岐山の幼馴染にして今なお深夜に電話で話し込むような大親友関係であり、2月以降に盛り上がった任志強バッシング報道は実は王岐山バッシングであったことは誰もが感じとっていたことだろう。私は劉雲山VS王岐山・習近平の戦いの文脈でこの事件を読んでいたのだが、現地の中国の政治ウォッチャーたちが読み解く権力闘争構図はそう単純ではないようだ。
任志強がどういう人物か、簡単に説明しておこう。
父親は元商業部副部長まで務めた高級官僚・任泉生。本人は不動産大手・華遠集団総裁を務めたことのある太子党の不動産王である。2014年に企業家から足を洗っているが、中国不動産協会副会長など役職を務める不動産業界のドンであることは変わりなく、また北京市政治協商委員(市議に相当)、北京市西城区人民代表(区議に相当)という役職にも就いている。
「中国のトランプ」を一斉にバッシング
本人がその回顧録でも明らかにしているように、中央規律検査委員会トップの王岐山と幼馴染で、その親密な関係を隠しもしていない。王岐山は言うまでもなく、習近平政権の反腐敗キャンペーンを指揮する“中国汚職改筆頭”の“鬼平”であり、官僚・企業家たちから蛇蠍のごとく嫌われ恐れられている人物であるが、その王岐山の親友であることを背景に、任志強は“中国のドナルド・トランプ”のあだ名がつくほどの放言癖がある。
中国の大手メディアが足並み揃えて一斉に“任志強バッシング”を始めたきっかけは2月19日。習近平が党総書記としてCCTV、人民日報、新華社を視察に訪れたとき、CCTVが習近平に忠誠を誓っていることをアピールするために、テレビ画面に大きく「CCTVの姓は党、絶対忠誠を誓います。どうぞ検閲してください」と卑屈な標語を掲げたことに対して、任志強が「人民の政府はいつ党の政府になった?」「すべてのメディアの姓が党になって人民の利益を代表しないようになったら、人民は忘れ去られて片隅においやられるんだ!」といった批判をネットの微博上でつぶやいた。
この発言は、ネットユーザーらのみならず、体制内知識人にも大いに受けた。任志強は党中央メディアの卑屈な習近平擦り寄りぶりを批判しているのだが、その本質は個人崇拝をメディアを通じて仕掛けている習近平自身に対する批判でもある。
これに対し22日、中国の大手ネットメディアらは「任志強は西側憲政民主の拡声器だ」「任志強は民衆の代弁者のふりをして、民衆の反党反政府の憤怒の情緒を扇動している」などとバッシングを開始した。これは、あたかも、文革のつるし上げの様相であった。
2月28日には、大手ポータルサイト新浪と騰訊の任志強のアカウントも国家インターネット情報弁公室の命令で閉鎖させられた。
「山を隔てて牛を打つ」権謀術数の只中で
だが中国メディアおよび中央宣伝部がかくも威勢よく任志強バッシングを展開した本当の狙いは、別に習近平への忠誠心からではなく、任志強の発言が反党・反政府的であったからでもない、と見られている。
任志強バッシングを最初に開始した「千龍ネット」(北京市党委宣伝部主管のニュースサイト)が掲げた「誰が任志強を“反党”的にさせたか」という一文では「任志強が夜中に頻繁に電話する指導者」(王岐山を指す)を挙げており、要するに任志強が恐れることなく習近平政権批判めいたことを言える黒幕は王岐山だ、ということをほのめかしている。
「指桑罵槐」というか「山を隔てて牛を打つ」というか、権力闘争や権謀術数の激しい中国では往々にして、このようなけんかのやり方をする。つまり、中国メディアと中央宣伝部が任志強バッシングで本当に矛先を向けているのは王岐山だった。あるいは、習近平に忠誠を誓うふりをしながら、習近平と王岐山の中を割こうとする中央宣伝部の画策かもしれない。
中央宣伝部は中国メディアを統括する党中央機関。新華社、CCTV、人民日報は中央宣伝部直属のメディアである。中央宣伝部を指導する党中央政治局常務委員はもともと江沢民派に属し、目下習近平とは微妙に対立関係にある劉雲山であり、中央宣伝部部長は胡錦濤派に属し、やはり習近平とは微妙に対立関係にある劉奇葆。劉雲山も劉奇葆も汚職の噂が絶えず、いつ王岐山率いる中央規律検査委の取り調べ対象となっても不思議はない。彼らが任志強バッシングの体を借りて王岐山攻撃を始めた、あるいは習近平と王岐山の間に亀裂を入れようとしている、というのが中国政治ウォッチャーの見立てであった。
この任志強バッシングを受けて北京市西城区党委員会は、任志強に対して党籍剥奪処分などを行おうとしたのだが、王岐山は2月28日、汚職Gメンこと中央規律検査委員会巡視隊を中央宣伝部に派遣し突然の“ガサ入れ”を行って、中央宣伝部およびメディアを黙らせるとともに、3月1日に中央規律検査委機関紙「中央規律検査監察報」上に「千人が唯々諾々と語るより一人の士の諤々とした発言の方がまさる(千人之諾々、不如一士之諤々)」と題した原稿を発表させる。
タイトルにある“一士”が任志強を指していることは間違いなく、中央規律検査委、つまり、王岐山は習近平礼賛メディアを批判する任志強を表立って擁護したことになる。ちなみに、その直後に前回のコラムで取り上げた「無界新聞・習近平引退勧告公開書簡事件」が起きたのだ。この件については、習近平が激怒して犯人探しが猛烈な勢いで行われているところだという。新疆ウイグル自治区主管の新興ニュースサイト・無界新聞は閉鎖が決まり、この件に関与した疑いで著名コラムニスト賈葭ほか30人前後が、身柄を拘束され取り調べを受けている。私の聞いている範囲では、身柄拘束された人たちのほとんどが事件に無関係の“冤罪”らしいが、取り調べがあまりに厳しいので、あることないこと“自白”してしまい、それが権力闘争に利用される可能性もありそうだとか。
その時、習近平が止めなかったゆえに
この事件の真相はまだ不明であり、任志強バッシング事件とのつながりがあるかどうかも分からないのだが、一つ言えるのは、主だったメディアは“党への忠誠”を声高に叫んではいるが、彼らの言う党への忠誠は必ずしも習近平への忠誠ではない、ということである。3月3日の人民日報は「ある指導者はメンツを失うのを恐れ、群衆の批判の言葉を聞こうとしない」という題の論説を掲載。この“ある指導者”が習近平を指すとしたら、中央規律検査委巡視隊の進駐を受けて、中央宣伝部が王岐山批判から習近平批判に転じた、という見方もできる。
3月23日、新浪微博のあるアカウントが「北京市西城区の規律検査委員会で、ほらふき任(志強)の党籍剥奪が決定された」というコメントを発信。すぐさま削除され、これは習近平と王岐山の対立を煽るための「デマである」との見方が一部消息筋の間で伝えられたが、その一方で、習近平は本気で任志強潰しに動き始めている、という情報もやはり一部消息筋に出回っている。習近平は実はメディアが自分を礼賛しすぎるのを苦々しく思っており、メディアが任志強バッシングを始めた時、自らやめるように指示した、という情報も大紀元など体制外華字メディアで報じられているが、同時に、任志強・王岐山バッシングの時、習近平はメディアを止めようとしなかったので、王岐山と習近平の亀裂はもはや決定的となった、という話も耳に入っている。私はどちらかというと後者の情報を重視している。
実際のところ、政権のメディア・言論統制のひどさ、習近平政権の経済政策や外交政策の危うさに対する不満は、体制内知識人たちや官僚の間に高まっており、歴史学者でコラムニストの章立凡や中央党校教授の蔡霞、独立派の経済学者・茅予軾、上海財経大学教授の蒋洪らが任志強を表立って擁護することで、習近平政権の政策の過ちへの批判姿勢を示している。
“文革”勝ち抜き、王朝滅亡の分析本を推薦
任志強バッシング事件は、中央宣伝部が習近平と王岐山の間に亀裂を入れようという狙いで仕掛けたのは事実かもしれないが、私の観察したところ、王岐山が習近平との関係を修復するために、任志強に批判をやめさせるように働き掛けた形跡はない。結果的に十日文革が、習近平と王岐山の権力闘争の形となったのは否めない。
3月8日の任志強の誕生日の写真を人民公安大学教授の黎津平が微博に流していたが、その時の任志強は紙でできた赤い王冠をかぶり、手にバースデーケーキを持って花束やご馳走に囲まれており、その表情は“文革”を勝ち抜いた自信に溢れていた。3月23日には、公式ブログで推薦図書として清朝が滅亡した理由を分析した「帝国的潰敗」(張鳴著)などを紹介しており、ネットユーザーたちはこれを共産党王朝を滅亡に導こうとしている習近平政権への批判、皮肉と受け取っている。
2月19日の習近平のCCTVなど3大中央メディア訪問を機に始まった三大メディアによる習近平礼賛報道は、一種の“文化大革命”の発動であったと捉えられている。メディアを使って習近平個人崇拝を展開し、一気に習近平は毛沢東的な絶対権威の地位を築く腹積もりだった。毛沢東の文革は10年続いたが、だが習近平の“文革”は、任志強(あるいはそのバックの王岐山)に阻まれ、10日で終わった。だから一部知識人や体制外メディアでは任志強事件は「習近平の十日文革」と皮肉られているわけだ。
この十日文革によって習近平と王岐山の関係に決定的亀裂が入ったかどうかはひとまず置いておくとして、最近、習近平は友達がずいぶん減ってしまった、というのは事実のようである。
話は少し遡るが、劉少奇の息子で解放軍上将であり、習近平の“軍師”の立ち位置にあった親友・劉源が2015年暮れ、軍制改革を前に完全引退を表明したのは、実は劉源自身が習近平と距離を置きたかったためだという。習近平は軍制改革の中で新たに設立する中央軍事紀律検査委員会書記(中央軍事委副主席兼務)のポストに劉源を迎え、彼に軍内汚職の徹底摘発を行わせることで軍を掌握するつもりであったが、それを劉源は辞退した。なぜか。
太子党の大ボス・曾慶紅にこう諭されたという。「軍の汚職摘発の筆頭がどれほど危険かをよく考えないといけない。官僚相手の汚職摘発を行う王岐山ですら何度も暗殺の危機にさらされている。軍の汚職摘発は相手が武器と部隊を持っているのだから、命がいくつあっても足りない。習近平のために、そこまで泥をかぶる必要があるのか」。こう説得されて、劉源は習近平と友達であり続けるのが怖くなったのだという。
「習近平のために泥をかぶる者は、もういない」
もう一人、習近平と友達をやめたそうな動きをしているのが栗戦書だ。栗戦書は習近平が河北省時代から交流を持ち、今は中央弁公庁主任という立場で“習近平の大番頭”とも呼ばれている側近だ。だが、彼は最近、習近平と距離を置こうとしているらしい。聞くところによると、全人代で、栗戦書が「習近平を核心とする党中央」(いわゆる習核心キャンペーン)を提言するシナリオがあった。だが、十日文革の顛末を見た栗戦書は、習近平の求心力が意外に小さいことに気づき、全人代で習核心キャンペーンを打ち出すのをやめたという。
今、共産党中央で何が起きているのかは、外からは非常に分かりにくい。博訊や明鏡といった体制外華字ネットニュースの報じる内容は、参考にはなるが、いざ体制内の情報通に話を聞いてみるとかなり解釈が違ったりする。
一つだけ、はっきりしているのは、習近平政権の経済、外交、軍政そしてイデオロギー政策については、官僚や共産主義青年団派だけでなく、太子党内にも不満が広がっているということ。「習近平のために泥をかぶって仕事しようという政治家も官僚はもういない。あの王岐山ですら愛想を尽かしている」。現地の情報通はこうささやく。
来年の第19回党大会までに、さまざまな権力闘争が展開されるのだろうが、従来のような胡錦濤・李克強派(共産主義青年団)VS習近平派という単純な構図ではなく、習近平派の中から、習近平に引導を渡そうという人物が出てくる可能性も少し頭に入れておく必要がある。
ZAKZAK記事
中国主導で昨年末に設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)が大誤算を重ねている。参加国数の数を誇るが、実態は日米や欧州との協調融資に頼り、独自の資金調達は先が見えないという羊頭狗肉。さらに習近平政権肝いりの別組織との内紛も生じかねない状況だ。 AIIBには創設メンバーとして57カ国が参加したが、中国出身の金立群総裁は、報道各社のインタビューでさらに30~40カ国が参加に関心を示していることを明らかにした。一部は打診レベルだとしながらも「多くの国が参加することになるだろう」と述べている。 規模の上では、日本と米国が主導するアジア開発銀行(ADB)に加盟する67カ国・地域を超える可能性が高まったことを誇りたいようだが、まだ中身は伴っていない。 大きな懸念材料である格付け問題は未解決だ。開発銀行は通常、融資資金を調達するために債券を発行するが、最大の出資国である中国の格付けが反映されるAIIBは、ADBのように「トリプルA」格を取得するのは困難で、当面、無格付けで債券を発行する方針とみられる。 先行して中国とブラジル、ロシア、インド、南アフリカ共和国のBRICS5カ国が設立した「新開発銀行」も、債券発行で「トリプルA格」を取得したのは、中国国内の2つの金融機関だけというお手盛りぶりだ。 米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスは今月に入って、中国の信用格付け見通しを引き下げている。
金総裁は「われわれは既存の国際金融機関のコピーにはならない」と強調し、効率とスピードを重視した「革新的な」新組織を目指すとしているが、確かに開発銀行としてのハイリスクぶりは前例がない。 融資資金を利率の高い借り入れで調達するにせよ、参加国からの出資金でまかなうにせよ限界がある。ADBや欧州復興開発銀行(EBRD)との協調融資で、先進国の助け舟を受けるしかないのが実情だ。 組織運営でも中国のもくろみ違いが生じていると指摘するのは、『米中経済戦争 AIIB対TPP』(東洋経済新報社)の著書がある週刊東洋経済編集長代理の西村豪太氏。 「欧州諸国が雪崩を打ってAIIBに参加したことは中国にとっては“うれしい誤算”。うるさ型の先進国がメンバーとなったことでAIIBのステータスは上がったものの、中国のペースで運営することには限界が出てしまった」と語る。 中国のための銀行だとの批判をかわすために体裁を取り繕ったところ、身動きが取りづらくなっているというのだ。 こうしたなか、AIIBと、中国が別に設置したファンド「シルクロード基金」のさや当てが生じかねないという。西村氏はこう分析する。 「中国政府はストレートに国益を実現する投資はシルクロード基金に任せ、AIIBは国際協調路線の象徴とするという役割分担を考えているのではないか。ただ、AIIBは財政部、シルクロード基金は人民銀行が主導しており、両者は犬猿の仲。きれいなすみ分けが可能かは流動的な要素が残る」 習政権のメンツと野望にまみれた資金が世界を混乱させるのか。
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3/29日経ビジネスオンライン 高濱賛『トランプの外交ブレーンに知日派おらず クルーズ陣営には「ネオコン」が結集』について
トランプが大統領になれば、ゴルバチョフのように米国の世界覇権は崩壊すると言うのが北野幸伯氏の見立てです。勿論トランプの今の発言通りの政策展開をすればという前提ですが。ルトワックが言うようにレーガンの前例もありますから、トランプが大統領になれば現実主義に転換する可能性も勿論あります。
http://archives.mag2.com/0000012950/20160329000000000.html
トランプはモンローイズムを徹底させ、内向きになるのでしょうか?モンローは米大陸への欧州の不当な干渉には徹底的に戦うとしましたが、後には米大陸の西漸金運動に繋がりました。先人たちが営々と築いてきた利権を簡単に放棄することは考えにくい。でも今のスタッフはアジアを知っている人が少ないという事で不安です。また露骨な人種差別が見え、日本人は日系人の強制収容所送りをしたFDRとイメージがダブります。如何に大化けするとしても・・・・。ただ中国から金を貰っていたヒラリーを大統領にするならトランプの方がマシかと。
ジェブ・ブッシュはクルーズを応援とのこと。ネオコンがスタッフと言うのがチト気になりますが。ネオコンは元々のルーツは左翼リベラルなので。でも対中強硬派なので、彼が現時点では一番良いかと。ブッシュ(息子)やレーガンの時のスタッフが多いと言うので。
ヒラリーのスタッフは知日派が多いと言ってもキャンベルを筆頭に日本弱体派です。ビンの蓋論で自主防衛させないと考えている連中です。中国よりも日本を心の中で敵視していると思われます。民主党は日本の旧民主党同様、碌でもありません。
記事

—アリゾナとユタの西部2州の予備選、党員集会ではドナルド・トランプ氏とテッド・クルーズ上院議員とが星を分け合いました。
クルーズ氏の外交ブレーンにはネオコンの面々が名を連ねる(写真:AP/アフロ)
高濱:アリゾナ州は得票率1位の候補が全ての代議員を獲得する「勝者総取り」でしたからトランプ氏は58人を全部取りました。これで獲得代議員数は739人。指名に必要な代議員数は1237人ですからあと498人です。(3月22日現在)
一方ユタ州は「比例配分」です。しかし、今回から1位の得票率が50%を超えた場合には、「総取り」する例外規定が導入されたため、クルーズ氏が代議員40人を制しました。これで獲得代議員数は465人となりました。 (”Live March 22 Election results,” Lily Mihalik, Los Angeles Times, 3/22/2016)
すでに予備選から撤退した保守穏健派のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が23日、クルーズ氏を支持すると公言しました。同氏は共和党保守本流から圧倒的な支持を得て、いわゆるスーパー代議員数を一時は最も多く確保していた。ブッシュ氏がクルーズ氏についたことで、ブッシュ氏の「指名推薦人」がクルーズ氏に大量に流れることが予想されます。「ストップ・ザ・トランプ」の動きに拍車がかかる可能性があるわけです。
予備選をベルギー連続爆破テロが直撃
—ところで22日の予備選の最中に外交面でいくつもの大事件がありました――オバマ大統領の歴史的なキューバ訪問、ベルギーでの連続テロ、北朝鮮のミサイル実験。各候補者はこうした国際情勢にどう反応したのでしょうか。
高濱:これまで予備選では景気や雇用問題、それに不法移民問題など米国民にとって身近な事案が焦点でした。ところがここにきて米国民にも関わり合いのある国際的な出来事が相次いで起こりました。
ベルギーの連続爆破テロは、すでに過激派組織「イスラム国」(IS= Islamic State)が犯行声明を出しており、ISへの対応をめぐって各候補が発言しています。
トランプ氏はISのテロについて、「拘束したテロ容疑者から情報を得るために水責めなどの厳しい尋問をするべきだ」と発言しました。これに対し、マイケル・ヘイデン元CIA(中央情報局)長官が反論すると、「三軍の最高司令官が命じたら軍は従うべきだ」と制した。しかし、「拷問」が国際法(国連拷問等禁止条約=1987年採択)に違反していることを指摘されると、渋々撤回しました。
ベルギーの連続爆破テロが起こると、「(法が許すなら)水責め以上のことをやる。(テロリスト容疑者から)情報を引き出す必要がある」と言い出しました。朝令暮改の繰り返し、です。
民主党の指名を狙うヒラリー・クリントン候補は、さすが国務長官を経験しているだけに「水責めのような拷問に頼るべきではない。テロとの戦いは他の同盟国と一致協力して行うべきだ」とトランプ氏を批判しています。
米主要シンクタンクの上級研究員の一人は筆者にこうコメントしました。「予備選の最中に大きな外交事案が出てくるのは良いことだ。各候補者のステーツマンとしての力量が白日の下にさらされるからだ。このトランプという男の発言は、外交が未経験であるというだけではない。何か大事件があるとすぐ感情的に反応する一般大衆を代弁している、いや、彼自身がその一般大衆の典型的な一人にすぎない」。
—共和党の保守強硬派のクルーズ氏はどのような反応を示していますか。
高濱:クルーズ氏は「もし自分の住んでいる街に(イスラム過激派分子のような)不穏な行動をとる可能性が大きいグループがいるなら、治安当局による監視を一層強めるべきだ」と述べています。これはイスラム教徒が密集して住んでいる地域に対する警察の監視・警戒態勢を強化することを意味しています。具体的には電話・インターネットの盗聴から警官による24時間パトロール体制を考えているようです。
これに対しオバマ大統領は、訪問先のアルゼンチンで記者会見し、「こうした提案(クルーズ氏の提案)は間違いであり非米国的だ。米国が行ってきたイスラム教過激派対策を弱体化させるだけだ」と激しく批判しています。
クリントン氏も23日、スタンフォード大学で行った演説で、イスラム教徒密集地域で監視・警戒態勢を強化することに真っ向から反対しました。返す刀でトランプ氏が主張しているイスラム教徒の米国入国禁止案や「水責め」実施に反対し、「口先のレトリックで我々の共有する価値や安全を強化することはできない」とトランプ、クルーズ両氏の主張を退けています。
テロ対策をめぐる民主、共和両党の意見の食い違いは、本選挙での一つの大きな争点になりそうです。 (”Clinton at Stanford: Global alliances key to ending terrorism,” Clifton B. Parker, Stanford News, 3/23/2016)
指名に向けて一歩一歩前進しているクリントン氏は、ここにきて、対抗馬のバーニー・サンダース上院議員との論争ではなく、本選挙をにらんだ方向に戦術転換を図っています。
キューバとの関係改善支持するトランプ
—オバマ大統領のキューバ政策について各候補はどのような反応を示していますか。
高濱:クリントン氏は08年の大統領選では対キューバ禁輸解除に反対の姿勢をとっていました。しかしその後「禁輸は目的達成には役立たない」との理由から賛成に回りました。
今回は「共和党の対キューバ政策は、この国を冷戦のレンズで見ているようなものだ。対キューバ禁輸は今直ちに解除すべきだ」と主張しています。
そして「もし私が大統領になった時に米議会が禁輸解除に反対していたら、私は大統領令を発動して解除する」とまで言い切っています。
トランプ氏は対キューバ関係を改善することに賛成です。ただキューバの人権抑圧政策を厳しく批判しており、「関係改善はいいことだが、私ならオバマ大統領よりももっといい取引をしただろう」と述べています。
オバマ大統領の今回のキューバ訪問は大々的に報道されているものの、政治体制や人権をめぐる首脳同士の違いを埋めるに至っていません。国交正常化も時間をかけてやるということで画期的な成果があったわけではありません。オバマ大統領は米議会に対して対キューバ禁輸の解除を求めることになりますが、大統領選後の民主、共和両党の対決懸案の一つになることは必至です。
キューバとの関係改善について共和党内にはいろいろ議論があります。真っ向から反対しているのは、トランプ氏を急追しているクルーズ氏です。父がキューバ移民で反カストロ派です。
クルーズ氏の主張は単純明快です。「オバマ大統領のアプローチはカストロが望んでいる経済援助と国際社会での合法性をくれてやるようなものだ。カストロと交渉するときには反カストロ派を参加させるべきだ。禁輸解除は人権抑圧を完全にやめさせるが前提となる」。 (”Cuba: Campaign 2016, The Candidates & the World,” Council on Foreign Relations, 2016)
クルーズは徹底した反中・嫌中
—今月31日には習近平・国家主席が核サミット出席のため、ワシントンを訪れます。各候補者たちの対中姿勢はどのようなものでしょうか。
高濱:クリントン氏は第1期オバマ政権の国務長官として、対中交渉を第一線で担った経験がありますから、今のオバマ対中外交をそのまま継承するでしょう。つまり「米中関係は友でもなければライバルでもない。対北朝鮮問題から温暖化まで国際的なチャレンジを克服するために不可欠な関係」との位置づけです。そのために相互信頼と協力精神を引き続き保たねばならないと考えています。
むろん中国の軍事力増強、南シナ海・東シナ海における海洋権益拡大や軍事進出、さらには中国国内で行われている人権抑圧には厳しい姿勢を終始とっています。
中国に対して最も強硬なのはクルーズ氏です。とくに中国の軍事力増強を警戒しており、台湾にF16戦闘機を供与するようオバマ政権に強く要求しました。また中国のサイバー攻撃に対するオバマ政権の対応を批判し続けています。
クルーズ氏はレーガン政権の「力による平和」という対ソ連政策を高く評価し、「この方式を対中にも適用すべきだ」と主張しています。
15年10月、習近平国家主席が訪米した際には、「在ワシントン中国大使館前の広場を『劉暁波広場』と命名しようではないか」と他の上院議員に呼びかけたりしました。劉暁波・元北京師範大学講師はノーベル平和賞を受賞した人権活動家。クルーズ氏は、中国政府が同氏を投獄したことに抗議したのです。
トランプは日中の為替操作を批判
—北朝鮮のミサイル実験についてはどうですか。
高濱:各候補者は北朝鮮による挑発行為を厳しく批判しています。しかしながら、クリントン氏がより一層厳しい経済制裁措置をとるよう提案している以外、他の候補の発言に具体的なものはありません。
トランプ氏は「北朝鮮をコントロールしているのは中国だ。北朝鮮は中国なしには飯も食えない。北朝鮮の行動をやめさせるのは中国の責任だ」と批判。クルーズ氏は「北朝鮮に核武装させたのはオバマ政権だ。クリントンとオバマは対北朝鮮外交で過去に何度も失敗をおかしてきた」とこき下ろしています。
トランプの時代錯誤な対日批判に米識者も辟易
—対日政策ではトランプ氏が抜きんでて強い対日批判を繰り返しているようですね。
高濱:その通りです。トランプ氏の対日批判について米ニューヨーク・タイムズ(3月7日付)が「トランプ、80年代の対日通商の長広舌を持ち出して日本を手ひどく批判」という見出しで報じています。 (”Donald Trump Laces Into Japan With a Trade Tirade From the ’80s,” Jonathan Soble and Keith Bradsher, New York Times, 3/7/2016)
記事は、米通商代表部(USTR)の副代表だったグレン・フクシマ氏の次の発言を引用しています。「トランプ氏の対日発言は70年代後半から90年代中葉、卓越した米国の経済力を脅かすライバルと日本が見られた時期を思い出させる。日本経済が20年にわたる不況に見舞われたにもかかわらず、米国の雇用を掠め取る経済的ライバルとしてよみがえっていると考えていること自体、興味深い」。
トランプ氏は日米安保体制の在り方についても「もし日本が敵に攻撃されたら米軍は応援にいくのに、米国が攻撃されたときに日本は支援しない、というのは片務的だ」と言い出しています。さらに、中東から日本に原油を輸送するタンカーを守っているのは米軍だとして「そのカネは日本が払うべきだ」とも言っています。
まさに70年代から80年代に米国を席巻した「ジャパン・バッシング」(日本叩き)を21世紀中葉になって持ち出しているわけです。
たまりかねたゼーリック前世銀総裁など100人の共和党系外交・安全保障問題専門家が3月3日に共同書簡を発表して、「トランプ氏の日本へ対する防衛対価要求はゆすり以外の何物でもない」と厳しくいさめています。
トランプ氏の時代錯誤な対日批判に共和党系の学識経験者も辟易としているのです。
—なぜ、トランプ氏はこんな発言をするのでしょうか。
高濱:トランプ氏は日米安保体制や通商問題について詳しいわけではありません。
不動産ビジネスの経営者として耳にしたことやビジネス関係者たちとの話しの中で出てきた「対日不満」をストレートにぶちまけているだけです。それを、中学生でもわかるような表現でアジ演説するので、愛国心に燃えた比較的教育程度の低い一般大衆には受けるわけです。
大統領になったときに日米同盟関係をどう堅持、強化していくのか、といったステーツマンとしての自覚など今の段階ではないということなのでしょう。
しかしトランプ氏もやっと外交ブレーンを集めたようですから、今後はもっと冷静で理路整然とした対日政策を打ち出すことを期待したいところです。
トランプ外交ブレーンはテロやエネルギーの専門家
—外交・安全保障、通商問題が予備選中盤に入ってにわかにクローズアップされてきました。各候補者にアドバイスしているブレーンにはどんな人たちがいますか。
高濱:トランプ氏の外交ブレーンを総括しているのはアラバマ州選出のジェフ・セッションズ上院議員です。
外交チームのメンバーは、まずレバノン生まれで米国に帰化したウォリッド・ファレス博士。反イスラム教でキリスト教信者です。それから米メリルリンチのパートナー、カーター・ページ氏。石油エネルギーの専門家、ジョージ・パパドポウリス氏。元国務省査察官のジョー・シュミット氏、それからケネス・ケロッグ米空軍退役中将らです。
対日、対アジア政策の専門家は今のところ見当たりません。 (”Donald Trump names foreign policy advisors,” Philip Rucker and Robert Costa, the Washington Post, 3/2/2016)
クルーズ陣営には「イラン・コントラ事件」関係者が復活
クルーズ氏の外交ブレーンは、レーガン政権やジョージ・W・ブッシュ政権で外交安保政策を担当したネオコン(新保守主義派)のメンバーが名を連ねます。徹底したイスラム教嫌い、オバマ嫌いの保守強硬派の人たちです。
超保守派シンクタンクの米センター・フォア・セキュリティ・ポリシーを創設したフランク・ガフニー氏がその中心。さらに、エリオット・アブラムス外交問題評議会研究員、フレッド・フレイツ元CIA分析官、アンドリュー・マッカーシー「センター・フォア・ロー&カウンターテロリズム」理事長たちが名を連ねます。
アブラムス氏は、レーガン政権の時、イラン・コントラ事件に直接関与した人物の一人です。イラン・コントラ事件とは、国家安全保障会議(NSC)がイランに対し、85年夏から86年秋にかけてイスラエル経由で対戦車ミサイルや対空ミサイルを秘密裏に輸出し、その代金の一部をニカラグアの反政府右派ゲリラ「コントラ」への援助に流用していた事件です。米国は当時、イランを「テロ支援国家」リストに載せており、武器の輸出は法的に禁じられていました。この事件は、高い人気を誇ったレーガン大統領の統治能力の欠如を浮き彫りにしたものでした。 (”Here Are Five of Ted Cruz’s Most Fanatical Foreign Policy Advisors,” Sara Lazare, Alternet, 3/17/2016)
クリントンは東アジア政策にキャンベル元国務次官補
—国務長官を務めたクリントン氏の外交チームは、大統領候補者の中では一番規模が大きく、充実しているそうですね。
高濱:その通りです。総括者はオバマ政権で国家安全保障担当大統領副補佐官を務めたジェイク・サリバン元プリンストン大学教授です。ヒラリー・クリントン大統領が誕生すれば、国家安全保障担当大統領補佐官になると噂されています。
同氏を軸にシニア・グループがあり、そのメンバーはレオン・パネッタ元国防長官、トム・デニロン元国家安全保障担当大統領補佐官、ミシェル・フロノイ元国防次官(政策担当)、マデレーン・オルブライト元国務長官たちです。
その下に、国・地域別、政策別などに分かれたサブ・ブループがあります。アジア、欧州、中東などから人権問題、テロ、サイバーなど、国務省さながらに細分化されています。
対日、対中政策ではクリントン国務長官の下でアジア政策を取り仕切ったカート・キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が控えています。ということはクリントン政権の東アジア政策はオバマ政権を踏襲することを意味しますね。
関係者の一人は筆者に「サブ・グループは現在進行形のベトナム選挙からベルギーの連続テロまで最新情報を入手して分析している。その結果がクリントン候補の演説や記者会見にも反映している」と指摘しました。
一方、対抗馬であるサンダース候補の外交ブレーンには、ローレンス・コーブ氏やレイ・テケイ博士らが名を連ねています。コーブ氏は、リベラル派シンクタンクの「センター・フォア・アメリカン・プログレス」の研究者。テケイ博士は、外交問題評議会に籍を置く、イラン系米国人の中東専門家です。
クリントン氏の外交チームに比べると規模的にも質的にもちょっと見劣りがします。 (”Inside Hillary Clinton’s Massive Foreign-Policy Brain Trust,” John Hudson, Foreign Policy, 2/10/2016)
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3/26JBプレス 古森義久『悪評ふんぷん、またやらかした国連事務総長 武装勢力を擁護してモロッコ政府を怒らせる』について
韓国人を国際機関のリーダーにするとヒドイ目に遭うという典型例です。と言っても国連事務総長(韓国では世界大統領と呼んで自己満足していますが)なんてP5の間を取り持つだけ、ガリも反米ということで2期目はなくなりました。潘基文は無能の方が長くできると言う例証のようなものでしょう。日本も潘が事務総長として立候補した時に推薦したのですから何をか言わんやです。次期韓国大統領になる(何故世界大統領が韓国大統領に格落ち立候補するのか頭の中が分かりませんが)ため、中国の戦後90周年抗日記念行事に朴とともに参加しました。公平性を考えず、自分のメリットしか考えない小中華の典型的な人間です。朝鮮人をまともに相手しても穢れるだけですが、降りかかる火の粉は払わなければなりません。慰安婦問題だって、吉田清治の捏造、朝日新聞の誤報、河野の強制を認める発言等、左翼リベラルがタッグを組んで、裏で中国や北が糸を引く日本貶めに参画した構図です。でもその後、自民党がずっと放置してきたことが問題です。自民党政治家も金かハニーで買収されていたと思われます。野中に代表されるような旧田中派の政治家はダメです。日本人ももっと国際問題に関心を持たないと、左翼リベラルの好き勝手にされます。
3/27日経電子版にはトランプの記事が。<トランプ氏、日本の核兵器保有を容認 米紙に語る
【ワシントン=吉野直也】米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走る不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は大統領に就任した場合、日本の核兵器保有を容認する考えを示した。日本が在日米軍の駐留経費負担を増額しなければ撤退させる方針も明らかにした。日米安全保障条約の見直しにも言及した。これまで日米安保を「不公平」とは述べてきたが、米軍撤退に触れたのは初めて。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が26日に掲載したインタビューで語った。トランプ氏は「米国は世界の警察官はできない。米国が国力衰退の道を進めば、日韓の核兵器の保有はあり得る」と述べ、北朝鮮や中国への抑止力として日韓の核保有を認めた。
「核の傘」は核保有国の抑止機能を非核保有国にも及ぼす状態を指す。日本の安保政策は米国が提供する「核の傘」のもとに成り立っており、日本の核保有論はその根本的な転換となる。米軍が矛(敵地攻撃)、自衛隊が盾(専守防衛)という役割を定めた日米安保や日本の憲法との整合性の問題も出てくる。
日本は唯一の被爆国として核兵器の廃絶を訴えている。トランプ氏の発言は日米同盟関係だけでなく、アジアや世界の安保秩序に直結する問題をはらんでおり、波紋を広げそうだ。
トランプ氏は在日米軍に関して「米国には巨額の資金を日本の防衛に費やす余裕はない」と説明。在日米軍の駐留経費の大幅な増額を拒んだときには米軍を撤退させるのかとの質問には「喜んでというわけではないが、答えはイエスだ」と答えた。
米国主導で進める中東の過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を巡っては「サウジアラビアなどアラブ諸国が地上軍を派遣してIS壊滅に取り組まない限り、原油購入を見合わせることもあり得る」と表明した。
現在、米軍は特殊部隊は送っているものの、大規模な地上軍は派遣していない。空爆中心のIS掃討の効果は限定的との見方が多い。トランプ氏はそうした分析を背景にサウジなどに圧力をかけるのが主眼とみられる。共和党の指名争いでトップを維持していることから最近、外交・安保に関する発言が増えている。>
外交にトウシロの大統領候補としか思えません。外国に米軍基地を置いているのは米国にもメリットがあるから置いてきたわけで「アメリカを再び偉大に」と言っているのと矛盾するのでは。日本と台湾の地政学的重要性、特に沖縄米軍基地の存在の重要性について認識していません。米海軍の思いは、沖縄は第二次大戦の戦利品ですので。
ただ、日韓に核保有を認めると言うのは良いことです。NPTの複雑さについても吹っ飛ばす発言です。何せNPTは日本を監視するための条約ですから。韓国の戦時作戦統制権もすぐ韓国に返したらよい。日本は何が起ころうとも傍観しているだけ。日本の核配備の憲法問題はありません。この記者は分かっていて、さも問題があるように書いていますが。捏造と同じ。あの福田康夫内閣官房長官でも「法理論的には持てる。持っていけないとの理屈にはならない」と言っています。『横畠裕介内閣法制局長官は18日の参院予算委員会で、核兵器の使用は憲法違反に当たるのかとの質問に対し「わが国を防衛するための必要最小限度のものに限られるが、憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えてない」との見解を表明した。同時に「海外での武力行使は必要最小限度を一般的に超えると解している」と述べ、現実的ではないとの見方も示した。』とありました。
http://www.daily.co.jp/society/main/2016/03/18/0008903964.shtml
問題は国民の核アレルギーです。ミサイルが飛んで来ないと気が付かないのかもしれませんが、それでは遅すぎます。P5だけが核の独占使用を認められるというのは合理的・論理的ではありません。単に戦勝国というだけです。中共、ロシアは戦勝国継承国ですが。
記事

今年末に退任する韓国出身の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が、米国のメディア上で「無能、軽率で不公正だ」と非難され、その言動が国連憲章に違反すると糾弾された。
最近、潘総長は、モロッコが実効統治している西サハラ地域でモロッコと対立する武装組織に肩入れをする言動をとり、モロッコ政府の反発を招いた。そうした言動をはじめとする潘総長の数々の失敗を明らかにした記事が「ニューヨーク・タイムズ」に大きく掲載された。日本に対して公正さを欠く言動をとってきた潘総長は、国際的にも悪評のようである。
潘総長が重ねてきたいくつもの失敗
ニューヨーク・タイムズ(3月21日付)は、「国連の軽率なリーダーがモロッコでまたまたやらかす」という見出しの寄稿記事を掲載した。副見出しは「潘基文は分離主義の反乱勢力を激励し、国連憲章をまたも裏切った」とあり、潘総長を厳しく非難する記事だった。
記事の筆者は米国主体の外交政策機関「大西洋評議会」の役員で、モロッコの雑誌発行者のアハメド・チャライ氏である。チャライ氏はこの記事で、潘総長は「国連の低い基準でみても非常に無能で不正に満ちた時代を画した」と断じる。そして、潘総長は2006年に現職に就いてから、制度的にも個人的にもいくつもの失敗を重ねてきたと評した。
そうした失敗の実例としてチャライ氏は以下を挙げる。
・国連が中央アフリカ共和国へ送った平和維持部隊が、ここ2年ほどの間、性的暴力を続け、地元では信頼よりも恐怖を広めている。
・アフリカのエボラ出血熱が国連機関の対応の不備によってさらに拡大した。
・2010年にハイチでコレラが発生した際、潘総長は対処の責任を負うことから逃げ、国連の専門家5人から非難された。
・国連職員を不当に縁故採用したとして、2011年に国連の監査機関から非難された。
・2016年1月に、パレスチナのテロ組織の殺傷行為に理解を示す言動をとり、結果的に現地の紛争をあおった。
・シリアのアサド政権が内戦で自国民50万を殺した際も、ロシアのプーチン大統領がウクライナのクリミアを奪取した際も、またリビアの内戦で国家が事実上崩壊した際も、いつも「中立」の名の下に効果的な措置をとらなかった。
国連憲章を裏切った西サハラ地区での言動
さらにチャライ氏は、潘総長の西サハラ地区での言動が「国連憲章を裏切った」と批判する。
潘総長は3月上旬、モロッコ政府が実効支配している西サハラ地区を国連代表として訪れた。その際、モロッコの実効支配を「占領」と呼び、モロッコ政府に戦いを挑む武装組織「ポリサリオ戦線」の主張を全面的に認める形での「平和的解決」を促した。
ポリサリオ戦線は、元々西サハラ地区に住んでいた原住民が独立を求めて立ち上げた組織である。西サハラ地区の主権を主張し、同地区でサハラ・アラブ民主共和国の独立を宣言している。しかし、欧米諸国も日本も国家とは認めず、国連も加盟を許していない。
チャライ氏は、中立のはずの国連事務総長がポリサリオ戦線の主張を支持するような発言をしたことは国連代表としてまったく不当であると糾弾した。
モロッコ政府も当然、潘総長の発言に猛反発した。西サハラ地区に駐留している国連平和維持軍の撤退を求め、同維持部隊からモロッコ軍の要員を一方的に引き揚げた。モロッコ国内では潘総長の言動を非難する激しい抗議運動が続いているという。
潘総長は日本に対しても、韓国政府の意向を汲み取るかのような発言が多い。とくに慰安婦問題では韓国の主張を全面的に支持して、日本を非難してきた。また、2015年9月には、北京で開かれた抗日勝利式典に国連代表として参加し、日本側から「公正を欠く」という批判を受けている。
日本もこの際、潘総長の偏向した言動を退任前にまとめて公表し、国連事務総長としていかに不適任であったかを明らかにしてみてはどうだろうか。
3/27日経 FT『フェイスブック創業者の過信 中国への接近の代償 』、日経 中沢克二『日本も巻き込むアジアの新冷戦(風見鶏)』、3/25産経ニュース 石平『習近平氏よりも格上の実力者が浮上してきた 頓挫した「独裁者」への道』について
ザッカーバーグもハニーにかかったのかも。中国系米国人の妻とはハーバードで一緒でした。美人とは言えないおばさんタイプだからハニーではない?

マードックの元中国人嫁は人民解放軍総政治部のスパイだったと言われますから、中国とのパイプがこれだけ強いことを考えると、今はスパイでなくとも今後スパイにされる可能性もあります。米国はザッカーバーグの言動には注意しておかないと。重要情報が洩れる可能性があります。
夫妻のFacebook株持ち分の99%寄付と言うのも色褪せます。まあ、節税対策と言うのもあるでしょうけど。自由を犠牲にしてまで金を儲けたいのかと言いたい。絶対に中国共産党はFacebookサーバーを覗くことを要求し、実行するでしょう。検閲の対象とし、共産党の不都合なことを書けば、逮捕状なしで拘引することでしょう。中国人ユーザーが侮蔑するのも当たり前です。
「拍馬屁」は、元々は2組の馬が通りすぎるときに、「良い馬」と言うのを表現するため相手の馬の尻を叩いて褒め合った賞賛の意味が現代は転じて阿諛の意になったとのこと。英語ではkiss ass とかapple polisherとか言われるんでしょう。
中沢記事を読むと、中国は愚にもつかない脅しをかけて来て、本当に愚かです。レアアースの禁輸で学ばなかったのでしょうか。中国人の観光客が来なければ、それはそれで良いでしょう。他国にドンドン売り込みをかけるようになるだけです。今日本人は中国人が嫌いな人が増えて来ています。2005年に小生が中国から帰って来た時に中国の実態を話した時とは隔世の感があります。何せ真実を話すと国粋主義者扱いでしたから。中国人観光客が増えたり、中国に観光に行ったりで中国人と言うのがどういう民族か肌で感じ取れるようになったからでしょう。南シナ海は日本のシーレーンで死活的に重要、核心的利益のある海です。中国の好きにはさせません。反日民進党や野田聖子の言うような展開にはさせません。3/29集団安保法制が施行され、米軍の後方支援が南沙・西沙でできるようになります。米軍の航行の自由作戦に参加できるという事です。トランプよ、良く見ておけ。
3/27日経の書評欄に聶 莉莉著『「知識分子」の思想的転換』の紹介がありました。費孝通や潘光旦が共産党の脅しに屈し、思想的転向せざるを得なかったとのこと。郭沫若を思い起こしました。
石平記事は習近平と王岐山彼の関係についてwishful thinkingが多分に入っている気がします。党内の権力争奪で内部分裂するのは理想ですが。
FT記事
映画「ソーシャル・ネットワーク」の冒頭、マーク・ザッカーバーグ役を演じる俳優がデート相手に向かって、天才級IQを持つ中国の人の数は米国の人口よりも多いと言う。米フェイスブック創業者のザッカーバーグ氏はこの伝記映画は不正確で自分は傷ついたと述べた。だが、脚本家のアーロン・ソーキン氏は明らかに1つ、的を射ていた。ザッカーバーグ氏の中国への執着ぶりだ。

19日、北京を訪れ中国共産党の指導者の劉雲山氏(右)と握手する米フェイスブック創業者のザッカーバーグ氏=新華社・AP
■ザッカーバーグ氏、天安門広場でジョギング
ザッカーバーグ氏が3月第3週に中国を訪問したことは大変な注目を集めた。同氏はひどいスモッグの中、天安門広場でジョギングをし、インターネットなどコンピューターネットワーク上の社会に属していると自負している中国人や欧米人の一部の「ネチズン(netizens)」から「ごますり」と嘲笑された。何千人もの人が彼のフェイスブックページを訪れ、紫禁城を笑顔で走り抜ける彼の写真を痛烈に批判したのだ。
海外に暮らす多くの中国人ネチズンは、1989年の天安門事件の痛ましい歴史を無視したザッカーバーグ氏を攻撃した。北京の住民が耐えているひどい大気汚染がないかのように振る舞った彼を愚弄する人もいた。通常、広場を監視し、イベントや集会を開く人を誰でも逮捕する多くの治安警官がなぜ写真に写っていないのか不思議に思った人もいた。
ザッカーバーグ氏がどうやって中国国内からフェイスブックに写真をアップロードできたのか問う人もいた。ツイッターやグーグル、ユーチューブと同様、フェイスブックも政府の検閲体制によってブロックされているからだ。
米大手ハイテク企業は、中国の検閲は反対意見を遮断するだけでなく、百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)、アリババといった国内トップ企業を保護する狙いのいわば非関税貿易障壁だと主張している。だが、ザッカーバーグ氏はそうした仲間で唯一、中国にへつらうことで、この魅惑的な市場への再参入を執拗に追求してきた。
今回、スーツ姿でプロパガンダと思想統制の責任を負う共産党指導者、劉雲山氏に会い、彼の話に熱心に耳を傾ける様子は国営テレビに大きく取り上げられた。その報道によると、ザッカーバーグ氏は「ネット分野で中国が遂げた前進を称賛し、サイバースペースでより良い世界を築くべく中国の仲間たちと協力すると語った」という。
■中国系米国人と結婚、初歩的な中国語話す
中国系米国人と結婚したザッカーバーグ氏は、初歩的な標準中国語を話す。2014年には、中国に取り入ろうとする大きな取り組みの中で、中国のネット統括責任者に自分の持っている習近平国家主席の演説集を見せた。同氏は「中国の特色ある社会主義を理解してもらうべく」スタッフにも同じ本を数冊買ったと語ったという。
だが、こうした努力は、彼が利用者として取り込みたい人たちには受けが良くなかった。今回、訪問した直後に、中国人ネチズンだけでなく厳しく統制されているメディアの一部からも同氏には多くの冷笑が浴びせられたため、国家プロパガンダ当局が検閲指令を出したほどだった。
「ザッカーバーグ氏の中国訪問について悪意のある報道は統制するように。大げさな報道をしないこと」。リークされた通達には、こう書かれていた。
この反応は、ザッカーバーグ氏のアプローチが抱えるリスクを浮き彫りにする。まず倫理的な問題がある。弁護士やフェミニスト、人権活動家、書店関係者が逮捕されたり「姿を消したり」している時に、この市場にこれほど熱心に参入しようとするのは、道義的に問題があるように見える。
■中国参入、最も厄介な条件でのみ実現
純粋に金もうけの観点からでさえ、同氏のアプローチがどれほど効果的かは定かでない。グーグルやツイッターなどと異なり、フェイスブックに代わる企業で大成功した中国企業は存在しない。従って同社の参入を阻む強力なロビー団体は存在せず、同社の中国参入禁止が解除される可能性は十分ある。
しかし、ブロック解除は最も厄介な条件の下でのみ実現する。フェイスブックのサーバーを中国に置き、ユーザーの個人的な情報とやり取りを公安機構に渡し、「デリケート」なコンテンツを削除するために大勢の検閲官を雇うと約束することなどが条件となる。
ザッカーバーグ氏は中国に参入する代償の一部として、こうした条件の多くを受け入れるかもしれない。だが共産党が締め付けを強めるにつれ、いずれ同氏がどうしてもできないことを要求してくるだろう。その時点で当局に、忠実な小さな愛犬だった同社が裏切ったと見なされ、同社は厳しく罰せられることになる。
ザッカーバーグ氏も知っているかもしれないが、中国語でゴマすりは「拍馬屁(パイマーピー)」と言う。「馬の尻をたたく」という意味だ。だが、これと関係した言い回しがあり、それは馬の尻を強くたたきすぎ、馬の足に手をすべらせたら多分に頭を蹴られると警告している。
By Jamil Anderlini
(2016年3月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中沢記事
北朝鮮が“水爆”を搭載した長距離弾道ミサイルを発射。大海を越えて米国とみられる大陸に着弾し大音響と共に陸地が沈み行く。
衝撃的な宣伝映像は昨年末、北京でひときわ目立つ銀色のドーム、国家大劇院で上映されるはずだった。美女で名をはせた北朝鮮のモランボン楽団の軽快な演奏と共に。公演は土壇場で中止され美女らは足早に北京を去った。直前に金正恩第1書記が“水爆”保有を宣言したのが中国の習近平国家主席の怒りを買った。

周辺環境が厳しい中国は北朝鮮に秋波を送っていた。南シナ海で米国と対峙する中、朝鮮半島での影響力維持は重要だ。ミサイル映像だけなら容認できる。先に訪朝した序列5位の劉雲山氏も平壌で似た映像を見た。中国側は名は伏せつつ、「指導者」が公演を鑑賞すると約束していた。
金第1書記は期待したという。「最高指導部7人の誰かだ。習主席の可能性もある」と。それなら中国が北朝鮮の核保有を事実上、認めたことになる。
だが“水爆”発言に衝撃を受けた中国は国家大劇院に出向く指導者のレベルを一気に落とし、最後は某省次官が出席すると伝えた。今度は金第1書記が怒り、楽団を引き揚げた。そして数日後に命令書に署名し、年明けに“水爆”とミサイル発射の実験に突っ走る。
国連の対北朝鮮制裁は中国の怒りもあって厳しい。それでも民生品を外したため中国が北朝鮮経済を支える構造は同じだ。美女楽団のドタバタ劇が示すように中国は北朝鮮に手を焼く。しかし地政学上、見捨てる選択肢はない。今も中朝は形の上では同盟関係だ。
核実験とミサイル発射は中国と韓国の蜜月関係にくさびを打ち込み、中国の意図を超えてアジアに新たな冷戦構造を生み出した。
朝鮮半島を巡る中朝ロと日米韓の対峙だ。米軍の地上配備型高高度ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備問題がそれを象徴する。中国は自らの核ミサイルも無力化されると反発し、ロシアも同調した。
中国は“対韓制裁”もにおわせる。中国で人気の韓国ドラマ、音楽の流入を事実上、制限する巧妙な手だ。中国は南シナ海問題でフィリピン産バナナ輸入を制限。中国の民主活動家、劉暁波氏にノーベル平和賞を贈ったノルウェー産サーモン輸入を絞った実績がある。
新たな冷戦構造は米中がさや当てを演じる南シナ海問題と連動する。米空母が南シナ海で中国の動きをけん制した後、朝鮮半島付近での米韓合同演習に参加した。習主席は国内で軍改革が佳境の今、朝鮮半島でも、南シナ海でも譲れない。
本音を言えば北と南の二正面作戦は厳しい。南シナ海での対峙は米国、ベトナム、フィリピンに限りたい。もし米国と組む日本が関与すればゲームが複雑化し、中国に不利だ。日本の安全保障法も気になる。
中国当局者らが日本にくぎを刺す。「南シナ海に日本は関係ない」。最近、中国の研究機構関係者が日本人を前に奇妙な論理を口にした。「日本が南シナ海問題で騒ぐと訪日中国人観光客が減りますよ」と。
安倍晋三首相が進めるベトナム、フィリピンなどとの連携をけん制する観測気球である。まだ本気ではない。中国の李克強首相は「(対日関係は)改善の動きがあるが、なお脆弱」と語った。似た趣旨だ。
中国は日本での閣僚級の日中ハイレベル経済対話、日中韓首脳会談の早期開催にも留保を付ける。南シナ海が理由だ。アジアの新冷戦は日本も巻き込みつつある。ワシントンで始まる核安全サミットでの日米中首脳の動きを注視したい。
石平記事
今月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃した。式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのである。
衆人環視の中で、習主席の部下であるはずの王氏が取ったこの「なれなれしい」行動は、主席の権威をないがしろにする「軽薄なる行為」とも映った。その背景には一体何があったのか。
その2週間ほど前の2月19日、習主席は中央テレビ局など3大メディアを視察し、メディアが党への忠誠に徹すべきだとの訓示を行った。それに応じて、3大メディアは一斉に、「メディアは共産党のものだ、党に絶対の忠誠を誓いたい」と宣した。
しかし民間からは早速反発の声が上がってきた。習主席の訓示と3大メディアの姿勢に対し、真っ正面から痛烈な批判を浴びせたのは、中国の不動産王で、政治批判の鋭さで「任大砲」の異名をもつ任志強氏である。
3700万人のフォロワーを持つ自分の「微博」(ミニブログ)で、彼はこう発言した。「メディアはいつから党のものとなったのか。メディアが人民の利益を代表しないなら、人民によって捨てられるのだ」と。
発言はいたって正論だが、問題は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの習主席に盾突くようなことを言ったら一体どうなるのか、だ。
案の定、任氏の微博のアカウントは直ちに閉鎖され、官製メディアによる「任志強批判キャンペーン」が一斉に始まった。任氏が所属する北京市西城区の共産党組織も、党員である任氏に対する処分を検討し始めた。この一部始終を見て、民間では「これは文化大革命の再来ではないか」と危惧する声が上がり、動揺が一気に広がった。
こうした中で、今月1日、中国共産党規律検査委員会の公式サイトに注目の論評が掲載された。
論評は、「千人の唯々諾々より、一人の志士の直言の方がよい」という昔の言葉を引用して、指導者が「直言」に耳を傾けるべきだと諭した。
タイミングからすれば、この論評が諭そうとしている相手は、他ならぬ習主席その人であろう。さらに興味深いことに、論評を掲載した公式サイトの持ち主は党の規律委員会であり、そのトップを務めるのは、習主席唯一の盟友とされる王岐山氏である。
要するに、王岐山氏が習主席を諭したことになるのだ。その2日後、全国政協の壇上で、王氏がおうような態度で習主席を呼び止めた場面を目にして、多くの人々はうなずくことができた。なるほど、共産党の「本当の実力者」は誰であるのか、がこれでよく分かったのではないか。
おそらく王岐山氏も、こういう「視覚的効果」を計算してわざと上述の行動に出たのであろう。彼は、自分の習主席に対する優位性を衆人の前で示すことができた。
習主席の就任から3年、その最大の「政治実績」となったのは腐敗摘発であるが、考えてみればそれは全部、規律検査委員会トップの王氏の手柄であった。そして、摘発権という絶大の武器を手にして党内で権勢を振るった結果、いつの間にか、王氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がったのである。
実は上述の規律検査委員会サイトの論評掲載を境目に、任志強氏に対する批判キャンペーンがピッタリと止まった。2月25日掲載の本欄が取り上げた、習主席を「核心」として擁立するような動きもそのあたりから息切れとなった。どうやら本当の実力者が浮上してきた中で、「独裁者」への習主席の道が閉ざされたようだ。

