『韓国は「唐と戦った新羅」になれるのか 「中国に怯むな」と叫びながら怯む韓国人』(8/4日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

8/5ZAKZAKには【韓国「赤化」危機】北朝鮮に吸収されかねない韓国と“宗主国”中国のホンネ

Kim Zhengwen

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、中国の意思に逆らい、核・ミサイル開発を進めている。実戦配備されれば、北京や上海はその射程圏内となり、到底、中国として座視できるものではない。  しかし、中国が本気で制裁を加えれば、追い詰められた金氏が「暴発南進」しかねない。たちまち米韓軍に敗北し、朝鮮半島は韓国によって統一されてしまう。ならば、中国はどうするか?  手っ取り早い方法として、北朝鮮のトップを金氏から、兄の金正男(キム・ジョンナム)氏、あるいは中国の息のかかった人物に挿げ替えるだろう。北朝鮮を「中国の傀儡(かいらい)」にして、核・ミサイルや核施設を破棄させれば、北朝鮮の脅威はなくなる。  だが、話はここで終わらない。  中国の本音は、朝鮮半島全体を赤化して「米国への楯」にしたいのだ。北朝鮮を傀儡化した中国は、かつて北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が描いたシナリオ通りに、韓国を吸収させようとするに違いない。  中国は手始めに、北朝鮮と韓国に「平和条約を結ぶよう勧告する」だろう。経済面で中国に依存している韓国は拒否できない。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約は間違いなく締結される。北朝鮮への抑止力だった駐韓米軍も存在理由がなくなり、むしろ軍事費削減のため、さっさと撤退するはずだ。  次のステップは「南北連邦国家形成」である。中国の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂する。結局、「高麗民主連邦」が実現する。

そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」だ。中国に操られた北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛ける。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じるだろう。  だが、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持する。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいかない。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となる。  「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢いる。  国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制だ。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「中国の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪される。韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのだ。  ■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮問題研究家。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80~84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』『韓国よ、「敵」を誤るな!』(ワック)など。>(以上)

8/7日経中国、ガス田にレーダー 軍事用の可能性も 東シナ海、外務省が抗議

東シナ海での中国によるガス田開発を巡り、「日中中間線」の中国側で確認された16基の構造物のうち1基で、中国が対水上レーダーを設置していたことが分かった。ガス田開発を目的とした構造物が軍事的な機能を持つ可能性もある。外務省が6日ホームページを更新し、写真を掲載した。同省は5日、北京の大使館ルートを通じ中国側に抗議した。

Chinese radar & Surveillance camera in Pacific

中国は「第12基」と呼ばれる構造物に対水上レーダーと監視カメラを設置した=外務省ホームページより

 外務省によると、2015年6月に土台の建設を確認した「第12基」と呼ばれる構造物に対水上レーダーと監視カメラが設置された。中国がガス田開発の拠点としている構造物でレーダーが確認されたのは初めて。

 政府関係者は「海洋巡視船に搭載するようなレーダーで、ガス田開発には必要ない」と指摘。レーダーはヘリポートの下に設置されている。日本政府は中国が東シナ海での軍事力強化につなげる可能性もあるとみて性能の分析を急いでいる。

 海上自衛隊元海将で金沢工業大学院の伊藤俊幸教授は「すぐに影響はないが、日中中間線付近で定点観測ができるようになる」と指摘。中国が米軍の空母などによる周辺地域への接近を阻む戦略「A2AD(接近阻止・領域拒否)」の一環とみる。「中国軍の大陸からの対艦弾道ミサイル(ASBM)と連接させれば命中の精度が上がる。対水上の次は対空レーダーの設置も考えられる」と語る。

the median line between Japan and China

>(以上)

日中中間線の石油基地はこういう展開になるのは分かっていたところでしょう。平松茂雄氏が数十年前から主張してきたことです。それを日本政府が無視してきたからです。そもそも日中中間線で折り合ったのが正しかったのかどうか。中国は、2008年にはベトナムには中間線を日本には大陸棚を主張していました。ご都合主義というか、二重基準です。日本も中間線の内側にレーダー設置をすれば良いと思います。相手がやってきたら平和的手段で同じことをすれば良い。Xバンドレーダーは現在、青森県つがる市の車力と京都府京丹後市袖志(経ヶ岬)に配備されていますが、これを中間線内に置いて中国のミサイル発射の防衛に役立てれば良いでしょう。日本向け核ミサイルの照準合わせをしている国に、野党も専守防衛の観点からも賛成せねば。ただXバンドレーダーが1000Km以上の感度を持っているのであれば、沖縄の米軍基地に配備すれば良いと思いますが。それと、安倍首相は「核兵器を保有することはあり得ず、検討することもあり得ない」(8/6日経夕刊)と明言しましたが、憲法改正を意識してのことでしょう。でも優先順位でいえば、ニュークリア・シエアリングの方が先でしょう。米国にそれを呑ませ、核への抑止力を高めないと。現実的に中国の侵略が始まれば対抗して自衛権の発動をせざるを得ません。日本国民もそれで初めて日本国憲法の欠陥に気付くはずです。超法規的措置を取らざるを得ないし、国民も事後追認、直ぐに憲法改正の道に進むのでは。

http://specificasia2.blog12.fc2.com/blog-entry-1176.html

日中中間線では、福田康夫が首相時代の「相手の嫌がることはしない」というセリフを思い出します。「相手の嫌がる」ことをし続けているのは中国で日本ではありません。こういうのが日本国を代表していたのですから。先を読んで決断するのがリーダーの役割です。橋龍と同じくハニーにでもかかったのかと思わせるほど愚かな人間です。でも選んだのは国民です。間接的ではあっても。選挙の重大さをもっと自覚せねばならないでしょう。

http://blog.goo.ne.jp/misky730/e/491f42f034e6607299358e31c0f4a4ef

http://yoshiko-sakurai.jp/2008/01/17/660

韓国はZAKZAK記事にあるように中国の属国になるように運命づけられました。自ら招いた不幸でしょう。米国も諦めているでしょう。地政学的に見て日本と台湾が米国側に残ればそれで良いと判断するでしょう。中国原潜の東シナ海から太平洋への出口をこれで抑えることができますので。朝鮮半島は中国とロシアで分捕り合戦をさせれば良いのでは。日清戦争直後、閔妃がロシアの力を借りて大院君の追い落としを図ったように、事大(=強い方に付く)主義なので。日本は朝鮮半島に関わらないのが良いです。これこそが歴史の教訓です。そうなれば従軍慰安婦の強制性の問題も米国が公式に「なかった」と発表するのでは。「朝日新聞」は壊滅的になるでしょう。今でも朝日新聞を読んでる人はショックを受けるのでは。台湾も国名をハッキリ台湾と言えるようになるし、国民党が作った憲法も改正できるようになるのでは。日本と同盟も結べるようになると思います。西側諸国が韓国を失うことは悪いことだけではないように思えます。

記事

Wang Yi-3

THAAD配備に関する中国・王毅外相の発言が韓国を右往左往させる(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

 「中国に怯むな」――と韓国メディアが叫ぶ。韓国人が「怯んでいる」からだ。

揺れるTHAAD賛成派

前回は地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備に関し、韓国の国論が大きく割れたという話でした。

鈴置:中国の顔色を見た外交部が配備の早期決定に反対する一方、米国との同盟を重視する国防部は配備決定を急いだのです。結局、7月8日に「2017年末の配備を決めた」と発表されましたが。

 保守系メディアの中でも、経済重視派で中国に近い中央日報が反対。国防を重視する朝鮮日報と東亜日報が配備に賛成と割れました。

 ただ、最大手紙の朝鮮日報が揺れ始めました。配備決定翌日の社説「『軍事主権次元のTHAAD配備』 中ロに堂々と」(7月9日、韓国語版)では、以下のように主張していました。

  • 政府は、今回の決定がどこまでも我々の軍事主権の選択であるということを正々堂々と打ち出さねばならない。
  • 北が核とミサイルを開発してきたこの20年間、中国が断固として対処し制裁したなら、こんな状況には至らなかった。
  • 中国が朝鮮半島からTHAADを取り除きたいのなら、北の誤った判断を根本的に変えさせる措置をとらねばならない。

中国に哀願

—堂々たる主張ですね。

鈴置:中国を叱りつけるノリでした。ところが、その2日後の7月11日の社説「『THAAD』だけが韓中関係のすべてではない」(韓国語版)では「そんなに怒らないで」と、中国に哀願するかのような姿勢に転じました。以下です。

  • THAAD配備が完了する来年末までに、外交、貿易、観光はもちろん、軍事を含めすべての分野で考え得るだけのありとあらゆる(報復)手段を(中国が)動員して来る可能性が高い。
  • 韓中は今後、THAAD以外の様々の面でも付き合っていくしかない間柄だ。国家と国家の関係が1つのことに縛られ、他のことまで誤るという過ちを犯してはいけない。
  • 中国は24年前の韓中国交正常化を思い出すべきだ。当時、「1つの中国」との要求に応じ、韓国は台湾との断交を余儀なくされた。しかし依然として中国は北の手を握り「2つのコリア」政策を続けているではないか。

属国の意見は聞かない

—確かに、弱気です。

鈴置:24年前の話まで持ち出して「哀願」すれば、中国は韓国の足元を見て、ますます脅すでしょう。

 そもそも中国は韓国を属国扱いするようになっています。韓国が「1つの中国」に賛成するのも、中国が「2つのコリア」を続けるのも、中国にすれば当然のことなのです。朝鮮日報の訴えなど聞くはずがありません。

 同じ7月11日に同紙の北京特派員が書いた「王毅『THAADでの弁明は通じない』と猛烈に非難…韓国を指しては『友達』と表現」(韓国語版)も、中国の鼻息をうかがう記事でした。

 THAAD配備決定を中国の王毅外相が厳しく批判したことを報じた雑報です。その中で「中国は我々にはそんなに怒っていないようだ」との希望的観測が語られたのです。関連部分を引用します。

  • 中国はTHAAD配備には強硬な発言をしつつも、韓米の間では差を付けた感じだ。(非難の中で)王毅外相が「韓国の友人たち」(朋友們)との表現を使ったのが一例だ。
  • 韓中関係に詳しいある消息通は「北の核に対する憤怒とTHAAD配備に反対する世論が交錯する韓国の空気を念頭に置いたものであり、米国に対する不満がより大きいことを示した」と述べた。

—「中国が本当に怒っているのは米国。我が国は怒りの対象ではない」と韓国人は信じたいのですね。

鈴置:中国は米韓分断を狙っています。「朋友們」という言葉を使うことで「米国を裏切って配備に反対すれば許してやるぞ」と示唆した。というのに韓国人はそこに「中国の好意」を嗅ぎ取ろうとしたのです。わらにもすがる思いなのでしょう。

どんな報復をされるか……

—朝鮮日報はなぜ、弱気に転じたのでしょうか。

鈴置:配備を決めた日は勢いもあって「中国、何するものぞ」と上から目線で書いた。でも少し時間が経って冷静さを取り戻すと、どんな報復をされるか分からない、と怖くなったと思われます。

 7月11日の社説の引用部分でも「ありとあらゆる方法で報復されるだろう」と書いています。朝鮮日報だけではありません。韓国のほぼすべてのメディアが「どんな形で報復されるか」を国民に詳しく解説したのです。

 例えば中央日報の日曜版、中央SUNDAYの「『韓中関係はこんなものだったのか』…THAAD配備で沸き立つ中国世論」(7月10日、日本語版)は「韓国を狙うための戦略ミサイル部隊の移動」「北朝鮮支援」「政府間対話・交流行事の中断」「韓国製品の輸入規制・不買運動」「訪韓観光客の制限」を予想しました。

 中国共産党の対外威嚇用メディア、環球時報も「5つの対韓制裁」を発表しています(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。

 (1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止(2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止(3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応(4)対北朝鮮制裁の再検討(5)ロシアとの共同の反撃――の5つです。この記事は中央日報を含め、多くの韓国メディアが引用しました。

「親中色」深める中央日報

—「来るなら来い」とは書かない。やはり、韓国人に中国に立ち向かう覚悟はないのですね。

鈴置:もともと、朝鮮日報は「米中二股」が社論。米国と心中するつもりなど毛頭ない。THAAD配備も、政府が決めたから賛成した側面が強い。腰が据わっていないので、中国から大きな圧力がかかれば主張を変える可能性があります。

 東亜日報もいざという時は大きくブレます。2015年9月の天安門での軍事パレードに関し当初、大統領は参加すべきでないと主張していました。が、世論が参加に傾くとそれに追従し、賛成に回りました(「“恩知らず”の韓国」参照)。

 中央日報はTHAAD配備問題を契機に、より露骨に親中色を打ち出すようになりました。左派のハンギョレはもちろん配備に反対です。「米韓日の3国防衛体制」に組み込まれるという理由を掲げました。

 今や韓国紙の中で、根っからの親米派と呼べるのは韓国経済新聞ぐらい。その「韓経」が気を吐きました。

 7月14日の社説「THAADの葛藤、この程度の危機にこんなに怖気づく社会だったのか」(韓国語版)です。7月15日には日本語版にも掲載されました。要約しつつ引用します。

臆病者の内紛

  • THAAD配備をめぐる国論分裂が深刻だ。政界は新しい政争ネタにすることを決意した雰囲気だ。実際にはない「経済報復説」を増幅させ、中国側を代弁する勢力もある。
  • 韓国社会の危機反応のしくみには沈着、科学的分析、忍耐心、勇気などが全くないということなのか、考えさせられる。軽薄な社会風潮はすでに重症だ。
  • 北の核という明示的な安保脅威にも、南シナ海の覇権を狙った中国の大胆な膨張主義を見ながらも、我々の中で争っている。
  • 危機対処ではなく臆病者同士の内紛だ。「壬辰倭乱(イムジン・ウェラン)7年戦争」当時の党派争い、「丙子胡乱」(ピョンジャ・ホラン)当時の葛藤の再現だ。

 「壬辰倭乱7年戦争」(1592-1598年)とは文禄・慶長の役のことです。戦役の前、偵察のために日本に渡った朝鮮朝の使節の中には「秀吉に侵攻意図あり」と見抜いた人もいました。

 しかし「情報の内容」よりも「誰が語るか」つまり、党派性を重んじた朝鮮の朝廷はその報告を無視し、何の戦争準備もしませんでした。

 「丙子胡乱」(1636-1637年)とは明を倒した清に攻められ、悲惨な敗戦を喫した事件です。明から清への交代という大陸の変化を朝鮮朝は読み誤ったのです。そこにも王朝の内紛が絡んでいました。

 韓国人はしばしば「我々は外からの脅威にさらされるたびに国論が分裂し、内紛を起こして亡国の危機に瀕する」と苦い顔で語ります。韓経は「今がまさにそうなのだ」と警鐘を鳴らしたのです。

恐怖を自ら膨らます

—この社説は「実際にはない経済報復説」と書いていますが。

鈴置:「実際にはない」かは、まだ判断できません。ただ、韓国人が恐怖を自ら膨らませ、報復される前から中国に対し縮み上がっているのは事実です。殴られる時よりも、その前の恐怖の方が大きい感じです。

 配備決定が発表された7月8日、韓国証券市場で化粧品など中国消費関連株が一斉に下げました。2月16日、邱国洪・駐韓大使がTHAADに関連し「配備すれば中韓関係は被害を受ける」と脅した時の再現です(「『中国大使に脅された』とうろたえる韓国人」参照)。

 中国は「報復の前から韓国が怯えている。この分では、何もしなくとも白旗を掲げてくるかもしれない」と大笑いしているに違いありません。

 「これはまずい」と考えたのでしょう、朝鮮日報の宋煕永(ソン・ヒヨン)主筆も筆を取りました。「中国の報復がそんなに怖いか」(7月16日、韓国語版)です。

  • 米中両国が表面的には笑いながらも、心の底では刃を向け合う局面が今後30年以上、続くかもしれない。その中で生き延び、成長せねばならないのが韓国だ。
  • こうした環境を悲観するあまり、中国の報復を誇張する反応もある。中国経済は落ち込んでいる最中だ。北朝鮮とは異なり、韓国が核実験したわけでもない。全面的な報復の可能性は低い。
  • ただ、傷ついた面子を癒そうと、中国が象徴的な措置を講じるかもしれない。例えいくつかの企業が倒れたとしても、安全保障のためある程度の犠牲は甘受するしかない。鞭で打たれようとも、前に進む方がいい。

ユニークな韓国の世界観

—「中国に怯むな」との訴えですね。

鈴置:メディアがそう訴えざるを得ないことこそが、韓国人が怯んでいる何よりの証拠なのですが……。

 この記事で興味深いのは「30年戦争の覚悟」を国民に求めたことです。韓国では「米中両大国が平和裏に世界を仕切る『G2』体制が始まった」との認識が一般的でした。

 宋煕永主筆はそれを否定し「米中が厳しく敵対する時代に突入した。その間でどうあがいても、我々は無傷では済まない」と警告したのです。

—「米中対立」が普通の世界観ではないのですか。

鈴置:日本や東南アジア、あるいは米国では普通です。が、韓国では「軍事力信仰に由来する危険な発想」と見なされがちです(「韓国は『尊敬される国』になるのか」参照)。

—なぜでしょうか。

鈴置:米ソ冷戦時代の韓国は、いわゆる軍事独裁政権が統治していました。1987年に民主化するまで言論の自由は大きく制限され、拷問がまかり通っていた。その言い訳が「我々は冷戦を闘っている。自由の制限はやむを得ない」でした。

 このため、韓国人の目には「大国同士が反目して世界を2分する」という世界観と、「独裁」が二重映しになるのでしょう。

 それに、韓国の二股外交は「米中共存」が前提です。米中が対立を深めれば、明清交代期のように「韓国はどちら側の国なのだ」と両方から迫られてしまいます。国の立つ余地を失うのです。

みじめな日本も屈しなかった

—でも、現実はそうなっています。

鈴置:そこでようやく指導層の一部が「米中の冷戦が始まった。覚悟を固めよう」と言い出したのです。

 何と、日本を引き合いに出して「怯むな」と呼び掛ける記事も登場しました。同じ朝鮮日報の「日本は中国の通商報復に屈服しなかった」(7月20日、韓国語版)です。

 書いたのは車学峯(チャ・ハクボン)産業1部長。2011年から2015年まで東京特派員を務めた人です。ポイントを要約します。

  • 2012年9月に日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化すると、中国は戦闘機や艦船を送り武力を誇示した。中国で日本製品の不買運動が起き、トヨタやホンダなど日本の乗用車の販売台数が半減した。訪日中国人観光客のキャンセルも相次いだ。
  • しかし当時の日本では、政府も国民もメディアも中国の報復に対する恐れを見せなかった。尖閣諸島の国有化撤回を求める声はほとんど聞かれなかった。
  • 日本が報復の脅迫に動じなかったのは国家的なプライドからだけではない。「一度屈服すれば、中国は強引な要求を繰り返すようになる」と考えたからだ。日本を参考にハラの据わった対応をすべきだ。

 2010年頃から韓国メディアは、日本を「国力を落とし続ける、みじめな国」と描くようになりました。その「みじめな国」さえも中国に立ち向かっているとの理屈で、車学峯部長は韓国人を鼓舞しようとしたのです。

卑怯な姿さらす韓国

 「フィリピンと比べても弱腰だ」と、自らを恥じる記事も登場しました。書いたのは、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムを舞台に、匿名で活躍するヴァンダービルド氏です。

 「韓国は21世紀で唯一の中国に対する事大主義国家なのか?」(7月13日、韓国語)で、ポイントは以下です。

  • OECD加盟国の中で、指導者から大多数の国民に至るまで、中国という国に屈従的な姿を見せるのは事実上、韓国だけだ。
  • 過去数年間、THAAD問題で引きずり回された韓国の態度は、中国に対する土下座以外の何物でもない。南シナ海の問題に関しても中国の顔色をうかがい「平和的解決」といった原論的な発言を繰り返してきた。韓国のこうした処し方を主権国家のそれと見なすことはできない。
  • フィリピンやベトナムは韓国と比べ、経済力など国力が劣る。しかし両国は物理的な力の不足から時に中国に押されることはあっても、韓国のように卑屈で屈従的な姿を見せたことはない。
  • 恥ずかしい事実を直視せねばならない。米国や日本はもちろん、フィリピンやベトナムを見るのもきまりが悪いほどの卑怯な姿を韓国はさらしているのだ。

日本は勝ってきたが……

—ヴァンダービルド氏らしい、祖国に厳しい論説ですね。でもなぜ、韓国は中国に立ち向かわないのでしょうか。

鈴置:ヴァンダービルド氏は、以下のように書いています。

  • こうした現象は、いわゆる「中国に事大するDNA」というものがまだ、韓国人の内面深くに巣くっていると見るしか説明できない。

 「事大」とは自分よりも大きいものに仕えることです。韓国では「中国という大国に従属的な姿勢をとる韓国人」という文脈で使われることが多い。

 ことに朴槿恵(パク・クンヘ)政権が中国に急速に傾いて以降、趙甲済氏やヴァンダービルド氏ら親米保守が「韓国人の事大主義」を批判することが増えました。

—歴史に原因があるということですね。

鈴置:ええ。韓国の指導層の1人に「なぜ、中国に立ち向かわないのか」と聞いた時、こんな答えも返ってきました。

  • 韓国(朝鮮半島の王朝)は中国(中国大陸の王朝)に戦争で勝ったことがない。だから我々は中国に立ち向かう気構えを持てないのだ。中国に勝ち続けた日本人には理解しにくいだろうが。

ベトナムも中国を撃退した

—確かに、元寇(1274、1281年)も日清戦争(1894-1895年)も、日本は勝っています。

鈴置:白村江の戦い(663年)で唐に負けた後は、ずうっと中国大陸との戦いで負けたことはありません。明と戦った文禄・慶長の役は引き分け、とのカウントですが。

 日本は第2次世界大戦(1939―1945年)では敗戦国となりました。でも、日本人は「米国に負けた」と考えても「中国に負けた」とは思っていない。

 一方、朝鮮半島の王朝は、新羅が半島から唐を追い出すことに成功した唐・新羅戦争(670-676年)の後は、勝ったことがありません。元にも清にも国土を蹂躙され、多数の国民を殺害・略奪されています。

 なお、ベトナムの歴代王朝は宋や元など「中国」を何度も撃退しています。中越戦争(1979年)でもベトナムが勝ちました。

新羅は戦争を決意した

—そこまで聞いてようやく、韓国人の異様な弱気が分かる気がします。

鈴置:その韓国で「新羅」を強調する動きが出てきました。趙甲済氏が「中国に立ち向かおう」と呼び掛ける記事を相次いで書きましたが、いずれも「唐に勝った新羅を思い出せ」という呼び掛けでした。

 その1つ「文武王は中国(唐)にどう対したか?」(7月13日、韓国語)を要約します。

  • 古代国家を建てて以来、韓民族は中国の歴代王朝に対し事大主義的な政策をとったものの、国のかたちは守り、独自の文明を作った。中国に同化され、滅びた多くの民族に比べ、注目すべきことだ。
  • 中国に対する韓民族の基本路線を決めたのが、新羅の三国統一だった。その過程で新羅は実利的、自主的であり、賢い対唐外交を繰り広げた。
  • 新羅とともに百済と高句麗を滅ぼした唐は西紀668年、総督府を置いて半島を植民地にしようとした。文武王ら新羅の指導部が(唐との戦争を決意せず)これを受け入れていたなら、我々は今、中国の一部となっていただろう。
  • 文武王の偉大さは一時的な安楽を拒否し、世界帝国との、絶望的に見えた決戦を決断したことだ。

 ナショナリストの趙甲済氏らしい檄文です。「ここで中国に立ち向かわなければのみ込まれる。それでいいのか」と訴えたのです。

朴槿恵は文武王になれるか

—韓国は「新羅」になるのでしょうか。

鈴置:相当に難しいと思います。確かに新羅は唐と戦いました。しかしその後、朝鮮半島の歴代王朝は中国の冊封体制に組み込まれていったのです。それは日清戦争を契機に朝鮮朝が清から独立するまで、千年以上にわたりました。

 ある国が冊封体制に参加するには、中国の元号や暦を受け入れるのが必須条件でした。中華文明への敬慕と文化的同質性を表明するのが服従の証(あかし)だったのです。

 朴槿恵大統領も就任するや否や中国を訪れ「文化の同質性を手がかりとした連帯」を申し出ました。国民も「韓中連帯」の深化を歓迎しました(「117年ぶりに韓国を取り戻した中国」参照)。

 朴槿恵大統領の行動は冊封体制への復帰を思い起こさせるものでした。文武王が見たら、何と言うでしょうか。「新羅の気概」はすっかり「事大主義」に上書きされてしまったように見えます。

(次回に続く)

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