『米国留学中国人「自由礼賛」卒業スピーチの波紋 「中国批判」と批判され、ネットで「忠誠と謝罪」表明へ』(6/2日経ビジネスオンライン 北村豊)について

6/4は天安門事件の28周年記念日でした。相変わらず、中国は報道を統制し、昨日は朝6時台のNHKニュースでは「中国でのNHKのニュースの中で天安門事件を報道した2分間、画面が真っ黒になり、何も見えず、音も出ない状態になった」とのこと。中国人はもっと共産党政府の嘘に怒るべきでしょう。貧しい時代だったらいざ知らず、「走出去」や海外旅行で傍若無人の振る舞いにより顰蹙を買うぐらい外国と接することが多くなっているので、共産党政権のやり方がおかしいとすぐ気づくはずです。でもそれを発言すれば、北村氏の記事のように「物言えば唇寒し」のようになります。こんな社会が理想とは思えません。でも中国人の本性は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」ですから、中共政府を賢いと思っているのかも。

「南京事件」も「従軍慰安婦」も中共が仕掛けた歴史戦の嘘です。やっと、日本人も「従軍慰安婦」は嘘だったというのに気付いてきましたが、「南京事件」はまだまだです。「事件」と言われるほどの殺戮があったかというと、通常の戦闘行為でそれ以上でもそれ以下でもないと言ったところが正解でしょう。中国は国民党のように平気で「黄河決壊事件」を起こし平気で数十万人も人民を殺すことをしましたし、毛沢東は大躍進や文革で少なくとも2000万人以上を殺したと言われています。政党が変わっても為政者は平気で人民を殺せる国です。共産主義の特質ではなく、中国・漢民族の特質です。

デービッド・ケイ国連特別報告者(個人の立場)の「日本の報道の自由の危機」というのも左翼の手が伸びているためです。まあ、彼にとって事実はどうでも良く金が稼げれば良いと言ったところでしょう。デービッド・ケイだけでなく、ケナタッチ国連特別報告者について「特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」とグテーレス事務総長が明言したことで分かります。左翼・リベラルが裏で金を渡してやっているだけです。国民も国連と名前がついたのを有難がるのは一種の舶来病と思った方が良い。杉田水脈氏のHPやツイッターにも載っています。

http://www.sankei.com/politics/news/170602/plt1706020053-n1.html

http://blog.livedoor.jp/sugitamio/archives/8882295.html

https://twitter.com/miosugita

話は変わり、北のミサイルについて国民の避難訓練の記事が6/5日経朝刊に出ました。日経も大部分の記事にロックがかかり、URLだけでは全文が見れないため、朝刊の記事を貼り付けます。未知の脅威 手探りの試み ミサイル避難訓練相次ぐ 住民の理解促進課題に

北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返していることを受け、攻撃を想定した住民避難訓練をする自治体が出始めた。ミサイルは発射から7~8分程度で日本に届くとされ、避難に与えられた時間はさらに短い。地震や津波といった自然災害と異なる「前例のない脅威」への対処でもあるだけに、自治体は戸惑いつつも手探りで訓練に取り組んでいる。

3月17日朝、秋田県男鹿市北浦地区で「ブウォー」という聞き慣れないサイレン音が響いた。武力攻撃など有事の際に国民に警戒・避難を呼びかける「国民保護サイレン」だ。この日実施された日本初の弾道ミサイル攻撃時の避難訓練の開始を告げるもので、小学生や住民らは指定された建物内への避難を2分程度で完了した。

米軍基地も標的

北朝鮮は昨年、20発以上の弾道ミサイルを撃ったほか、今年は既に9回計12発を発射。一部は秋田県沖合の日本海の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。実際に半島有事になれば米軍の拠点である在日米軍基地にミサイルを撃ち込む構えも示している。

こうした動きに危機感を強めた国が、秋田県と男鹿市に協力を求めて実現したのが男鹿での訓練だった。ミサイル攻撃時には、爆風や破片などから身を守るため、いかに素早く建物や地下に身を隠せるかがカギになる。小規模でも実動訓練を実際にやってみることで課題を洗い出し、さらに報道などを通し攻撃時にとるべき行動を国民に知ってもらうのが国の狙いだった。

4月21日、内閣官房と総務省消防庁は都道府県向けにミサイル脅威に関する説明会を都内で開催。具体的な避難方法を住民に周知するとともに、各自治体でも訓練をするよう要請した。

最初に動いたのは自衛隊の重要施設のある青森県むつ市だった。「避難方法に関する文書を市のホームページに載せるだけでは市民に十分伝わらないのではないか」――。宮下宗一郎市長の一声で、国の説明会から約3週間後の5月11日、住民約40人を公共施設の窓のない場所に誘導する訓練をスピード実施した。同市はその後、参加者が頭部を守りつつ身をかがめた訓練の写真をホームページ上で公開した。

続く6月4日には、山口県と同県阿武町が国と共同で、福岡県大野城市も市単独でそれぞれ訓練を実施した。大野城市はもともと同日に総合防災訓練を計画しており、国からの要請を踏まえ「急きょ訓練メニューにミサイル避難を組み込んだ」(危機管理課)。

月内には山形県酒田市、新潟県燕市が国・県と共同訓練を実施する。福岡県の吉富町は町全体に国民保護サイレンを鳴らし、中学生や教職員、一部の住民ら約400人の大規模な避難を試す訓練を県と共催する。このほか、長崎県が7~8月ごろに検討中で、長野県軽井沢町は「訓練をしたいという意思を県に伝達済み」(消防課)という。

内閣官房でミサイル攻撃時の国民保護を担当する伊藤敬・内閣参事官は「複数の都道府県から相談がきており、今後も共同訓練を実施していく」と語る。訓練の動きは今後も広がりそうだ。

ミサイルを想定した訓練は初めての試みだが、「警報を聞いて避難行動に移るという点では、自然災害と基本は同じ」(山口県防災危機管理課)という。それよりも一部の県が苦心しているのは「訓練実施について市町村や住民の理解をどう得るか」だという。

秋田県で日本初のミサイル避難訓練が実現できたのは、佐竹敬久知事が防衛問題への関心が強いうえ、男鹿市が1983年の日本海中部地震の津波被害をきっかけに防災意識の高い自治体になっていたことが役立った。

迎撃は不可能に

自治体の防災意識は、地震発生や台風来襲の多寡など地域の環境によって濃淡がある。さらに、「弾道ミサイル攻撃」という未体験の人為的災害ともなると、住民の理解はなかなか及ばない。「現在、市町村に訓練実施の意向の有無を確認中だが、ピンときていないところもあるようだ」(ある県の担当者)

北朝鮮が5月14日に発射したミサイルは高度2000キロメートルまで上昇し、推定マッハ15かそれ以上の速度で着弾。自衛隊のミサイル防衛網では迎撃がほぼ不可能なレベルに達したようだ。国民の命を守るミサイル避難訓練を着実に広げるには、国、自治体、国民が目の前の脅威について共通の認識をつくれるかどうかにかかっている。>

遅れに遅れた訓練 大都市部の対応焦点

北朝鮮が日本に届く中距離弾道ミサイルの発射実験を初めてしたのは1993年だった。ただ、日本では「自衛隊のミサイル防衛(MD)網があるから迎撃できる」といった建前論が支配的で、ミサイル避難訓練の実現は遅れに遅れた。

流れが変わったのは昨年夏。複数のミサイルを同時発射する北朝鮮の「MDすり抜け」の意図に危機感を強めた内閣官房と総務省消防庁が、ついに「ミサイル避難訓練」実現へ動き始めた。

「津波のときは高台へ逃げるように、ミサイルが来るときは建物や地下室に退避すればいいのだな」「建物や地下がない場合は、伏せるだけでも立派な避難行動になる」――。いち早く訓練を計画・実施した自治体の職員たちは今、対処法を急速に学びつつある。山口県が早々と訓練を実施することにしたのは「1回目を早めに済ませれば、それを踏まえて他の市や町にも迅速に広げていくことができる」(防災危機管理課)と考えたからだった。未体験の脅威への「段階的アプローチ」である。

訓練実施は、日本海沿岸や朝鮮半島に近い九州北西部が先行している。今のところ、人口の集中する大都市部で訓練を実施する動きは表面化していない。

北朝鮮の相次ぐミサイル発射が示す通り、脅威はそこに現実にある。もはやタブー扱いが許されなくなった「ミサイル避難訓練」の実施は、自治体の首長や職員が住民をより確実に守ろうとする意思と方策を持っているか否かを知る目安になってきたようだ。

(編集委員 高坂哲郎)>(以上)

確かに高坂編集委員の述べた通り、九州西北部が先行しているというのは、4/6に小坪慎也行橋市議がブログに載せてからのことで、政府もそれに動かされて、自治体に住民への「国民保護ポータルサイト」の広報につき協力要請しましたのではと思っています。ま、国民一般のレベルでは正常性バイアスがかかり、「起きる筈がない」と言う人が大半です。

https://samurai20.jp/2017/04/j-alert/

https://w-kohei.com/2017/04/26/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BD%93%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%B0%91%E4%BF%9D/

「ミサイル避難訓練」の報道自体も少ないです。国民の生命及び財産を守るのが政府の第一番目の使命です。避難訓練もしない、ガスマスクの配布もしないのでは、国民の命を軽視しているとしか言えません。でも東京メトロが運転を休止した時に、「ミサイル避難訓練は騒ぎ過ぎ」とか言って、水を差す輩が居る訳です。自分が勝手に死ぬのは良いですが、多くの国民を巻き込むのは止めてほしいし、国民もこんな声に騙されてはいけないと思います。危機管理の要諦は「最悪を想定し、準備する」、「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」です。企業も声を上げないのはおかしいです。BCP(Business Continuity Plan)で多くのセミナーを開いてやっているのに、ミサイル避難訓練をしているなんて聞いたことがありません。まあ、左翼・リベラル・在日からクレームが入るのを恐れて発表しないだけかもしれませんが。経団連が音頭を取り、「自社の人材保護の観点から避難訓練を」と誘導すれば良いのに。もし、核や生物化学兵器が飛来すれば、少子化問題どころでなく、忽ちに人口大幅減となることが予想されます。GDPを云々する経済評論家はもっと騒いで良いのでは。なお、7/1には「士気の集い」主催で国民保護についてのセミナーを開きます。詳しくは本HPの「トップページ」をご覧ください。

http://jp.reuters.com/article/idJP2017060401001211?il=0

http://www.news24.jp/articles/2017/06/04/07363346.html

6/2二階堂ドットコムの記事に<海上自衛隊が合同作戦並びに攻撃作戦を立案中

残ってしまうので文書での明示や公式の命令はされてないようだが、情報5省庁(内調・防衛・外務・公調・警察庁)+2庁(海保・総務省消防庁)の安全保障会議出席省庁は、「有事の際に」ということでそれぞれの機関が行う「戦時特別体制」の立案が極秘になされている。それこそ「忖度」の世界で、政府は一切、そのような命令を出していないし、公式の記録にもない。あっても特定機密となる。

ミサイル防衛など、日本の矢面に立つのは海上自衛隊。上陸作戦をやることがあるとすれば特別警備隊であろうが、そこまでは人数が少ないので無理だろう。陸上作戦は米軍に任せることになるだろうね。

陸上イージスシステムを設置するという案もあるが予算と国会的な問題で先に進まないようだ。

外務省は北朝鮮の動向を探るならスイスとフランス、まぁ広義で言えばヨーロッパが重要ということを知っているようだが情報が取れないだろうね。そりゃぁ、普段の仕事もあるし仕方ない。でも、いつまでもトランプの直電とか、米軍に頼ってるようじゃしょうがないだろう。もっと情報収集を強化しないと。日本の場合は法律によって活動が抑制されるから、民間に投げるしかないのかもしれない。でもそうすると民間人は守ってもらえないし当該国でスパイの疑いをかけられ逮捕される場合もある。

いやはや、我が国はいつになったらまともに海外情報収集ができるようになるのかねぇ。>というのもありました。真偽の程は分かりませんが。自衛隊は敵と戦うため、国民は自分で自分の身を守るしかありません。それは戦争になれば、どの国でもそうならざるを得ないからです。平和憲法で脳内お花畑になり、他人が守ってくれると70年間も思ってきたため、脳が麻痺してしまっているのでしょう。現実は違うという事を肝に銘じなければ。

北村氏の記事を読んで、自由の貴さに気付いた楊舒平に「南京虐殺」と「従軍慰安婦」について意見を求めたいと思いました。「言論の自由」の本質は「政府を批判できる自由」だからです。共産党政府の言っていることをそのまま信じるだけでは楊舒平の気付いたという自由の味も半ばなりけりでは。良く調べてから発言してほしいと思います。何故アイリスチャンが自殺したか?戦勝国である米国と中国は日本を悪者にするという点では利害が一致しています。

でも、中共のやり方は本末転倒で、本来「汚染された空気」をなくすよう努力すべきでしょう。それを、一介の女子学生がユーモアを交えて紹介したからと言って、目くじらを立てるようなレベルではないと思います。所詮独裁国家の限界なのでしょうけど。本来、彼女を非難するのでなく、国民に「言論の自由」を与えるべきでしょう。またすぐ中共にご注進する他の留学生のレベルも推して知るべしです。中共の国民総動員法や反スパイ法の影響かもしれませんが。

共産主義の理念が崩壊したため、経済発展と愛国主義しか中共を支える論理がなくなってしまったわけです。日本の左翼は「愛国」というとすぐに目くじらを立てますが、中国の「愛国」にも注文を付けなければ。日本の左翼・リベラルはご都合主義で論理破綻しているのが国民にもやっと分かってきたと思います。外国への内政干渉と言うなら、靖国や教科書問題で中韓がうるさく言って来るのもそうでしょう。左翼・リベラルは中韓を排撃してください。

記事

中国外交部報道官の陸慷氏は「中国国民は態度表明に責任を負わねばならない」と語った。写真は2015年のもの。(写真:ロイター/アフロ)

5月21日、米国メリーランド州のカレッジパーク(College Park)にあるメリーランド大学カレッジパーク校(University of Maryland, College Park)で卒業式が開催された。同校の卒業式では式の始めに教職員と学生によって選ばれた卒業生の代表がスピーチを行うことが毎年の慣例となっている。今年の卒業式が始まるとメリーランド大学学長の“Wallace D. Loh(陸道奎)”がステージに上がり、「今年、卒業生の代表として選出されたのは“Shuping Yang(楊舒平)”です」と紹介し、彼女に登壇を促した。

楊舒平がステージに上ると、学長は彼女の肩を抱きながら、会場に向かって「ご両親はどこにおられますか。差支えなければ、お立ちください」と呼びかけた。すると、これに応じて、楊舒平の母親が立ち上がり、手にした花束を高く掲げて会場から沸き上がる拍手に答えた。学長は母親に向かって、「貴女は娘さんを誇りに思っているでしょう。私たちも同様の気持ちです」と述べた。続けて、学長は楊舒平に専攻は何だったかと尋ね、楊舒平が「心理学と演劇で、第二外国語はドイツ語です」と答えると、学長は大きくうなずき、微笑みながら、楊舒平にスピーチを始めるよう促した。そして、楊舒平は演台に立ち、はっきりした口調でスピーチを始めた。

楊舒平が行った卒業スピーチの全文は以下の通り。

さわやかで新鮮で、すがすがしく自由な空気

【1】教職員の皆さん、学友の皆さん、父母の皆さん、友人たち、今日は。私はメリーランド大学の2017年度卒業式でスピーチできることを大変光栄に思います。人々はしょっちゅう私に「貴女はどうしてメリーランド大学へ来たの」と尋ねます。私はいつも決まって「さわやかで新鮮な空気」と答えます。5年前、中国から留学に来た時、私は5枚のマスクを準備していました。飛行機から降りて、ダラス空港ターミナルから離れる時、私はマスクを装着する準備をしつつ、米国で最初の空気を吸い込みましたが、マスクはすぐに仕舞いました。ここの空気はとってもさわやかで甘く、すごく贅沢なものに思えました。私には意外でした。私は中国のある都市で生まれ育ちましたが、小さい時から外出には常にマスクを装着していました。マスクを着けなければ、病気になります。しかし、ダラス空港でここの空気を吸ったその時、私は自由を感じたのです。

【2】私の目には霧も見えないばかりか、呼吸困難になることもなく、息苦しさも覚えなかった。毎回呼吸するたびに喜びを感じたのです。今日、私はここに立っていても、未だにあの自由の感覚を思い出さずにはいれません。メリーランド大学では、もう一つのすがすがしい空気が私を感動させてなりませんでした。それは自由という空気です。米国へ来る前、私は歴史の授業で独立宣言を学びましたが、「生命、自由、幸福の追求」といった言葉は私にとって何の意味もありませんでした。私はただただこれらの言葉を暗記して試験に臨み、好成績を収めました。メリーランド大学へ来るまでは、私にはこれらの言葉がそれほど奇怪で、抽象的で、異質なものに思えました。

【3】私はついに、自由が米国ではそれほどまでに神聖なものだということが分かったのです。メリーランド大学での日々、私はいつもディスカッションの授業で自分の観点を表明するよう励まされました。私は指導教官の観点に疑問を呈することができ、ネット上では教授たちを採点することまでできました。しかし、私を最も驚かせたのは、メリーランド大学が創作した劇『“Twilight Los Angeles(たそがれのロサンゼルス)”』を観た時に受けたカルチャーショックでした。『たそがれのロサンゼルス』は、Anna Deavere Smithが演出した、1992年のロサンゼルス暴動に関する劇です。黒人のRodney King(ロドニー・キング)を逮捕して暴行を加えたのをビデオに撮られた4人のロサンゼルス警官が、裁判で無罪となったことから、暴動が始まりました。丸6日間、人々は街に群れ、都市は混乱に陥りました。

ここでは自由に発言してよいのだ

【4】『たそがれのロサンゼルス』の中で、学生の演者たちは公然と人種差別主義や性差別、政治問題を論じていました。私は驚きました。私は今までこのような話題を堂々と討論できるとは思っていませんでした。あの劇は私が今まで見たこともない政治的な話であり、観衆に批判的に考えさせるものでした。私はずっとこのような話について語りたい強い願望を持っていました。但し、このような話ができるのは権力部門で、権力部門だけが真実を確定することができるのだと固く信じていました。しかし、メリーランド大学で様々な集団の中に溶け込む機会を得て、私は多くの異なった角度から真実を見ることができるようになりました。それから間もなくして、私はここでは自由に発言してよいのだということを理解したのです。私の発言が重要であり、貴方の発言も重要であり、私たちの発言も重要なのです。

【5】市民参加は政治家だけの任務ではありません。私は、学友たちがワシントンD.C.の通りを行進し、大統領選挙に投票し、各種事業のために募金を行ったのを見ました。私は誰もが参加と変革を支持する権利を持っていることを見て来ました。私は今まで一個人が市民参加しても改革はできないと思っていました。しかし、ここにいる私たちが一致団結すればできないことはありません。手を携えれば、私たちは社会をもっと開放的で平和なものにできます。

【6】2017年度卒業生の皆さん、私たちは批判的な思考を育み、人間性を気遣い、感知する教養教育を取り入れた大学を卒業します。私たちは各種分野の知識を身に付け、社会の挑戦に立ち向かう準備ができています。ある者は大学院へ進み、ある者は職業に就き、ある者は探検の旅を始めるかもしれません。しかし、私たちが何をしようとも、自由と民主主義は与えられるものではないことを忘れないでください。自由と民主主義は勝ち取る価値がある新鮮な空気なのです。自由は酸素であり、自由は激情であり、自由は愛です。フランスの哲学者ジャン・ポール・サルトルがかつて述べたように、自由は一種の選択であり、私たちの未来は今日や明日に私たちが行う選択によって決まるのです。私たちは皆が人生の次章を書く劇作家なのです。一緒に人類の歴史を書こうではありませんか。友人の皆さん、新鮮な空気を享受し、決して放してはなりません。ありがとうございました。

さて、楊舒平がスピーチを終えると、会場の聴衆は割れんばかりの拍手を楊舒平に送り、彼女がメリーランド大学での学生生活を通じて習得した「新鮮な空気」の重要性について賛意を表明したのだった。上述した楊舒平のスピーチは極めてまっとうな内容であり、誰が考えても問題はなさそうに思える。しかし、彼女が中国からの留学生であることが災いし、そのスピーチの内容が大きな問題に発展したのである。

中国を真っ向から批判し、辱めた

楊舒平がメリーランド大学の卒業式で行ったスピーチの内容は、卒業式に出席していた中国人留学生にとっては祖国の中国を辱めるものと言えた。スピーチの内容に不満を持ち、反発した中国人留学生の誰が、どのようなルートで「楊舒平のスピーチ」の動画を中国国内に伝えたかは定かではないが、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」の国際版である「環球時報」およびそのネットサイトである「環球網(ネット)」は5月22日付で、前者は記事として、後者は動画そのものを報じたのであった。

環球時報は、楊舒平がメリーランド大学の卒業式で行ったスピーチは、中国の学生や全米各地の留学生の不満を誘発し、動画が中国国内に伝わった後はインターネット上における質疑を引き起こしたと報じた。環球網は当初はスピーチ全体の動画を英語と中国語の字幕付きで配信していたが、その後にこれを転載した“網易視頻(網視動画)”などはスピーチの冒頭と結語だけに編集して、肝心な内容を割愛した動画を配信した。これは恐らくスピーチの内容に危機感を覚えた当局が各プロバイダーに対し、そうするように指示を出したものと思われる。とにかく、楊舒平が米国で行ったスピーチの内容は間もなく中国国内に伝わり、ネット上に立てられたこの件に関するスレッドは、賛否両論が激しく対立して炎上した。

要するに、楊舒平はスピーチの中で、中国の環境と自由度を何度も非難したのである。空気の汚い中国では常にマスクを常用する生活を送っていたから、米国も同様だろうと考えてマスクを5枚も持参したのに、実際に吸った米国の空気は新鮮で驚いた。また、中国では種々の敏感な問題について真実を確定するのは権力部門に限定されていたが、自由と民主主義を標榜する米国では誰もが自由に思ったことを発言することが許されている。我々、卒業生はこの「新鮮な空気」を享受する権利を決して手放してはならない。楊舒平はそう述べたのだが、それは国土の大部分を深刻な大気汚染の脅威にさらされ、中国共産党の専制下にあり言論の自由を封じられている祖国の中国を真っ向から批判し、辱めたものであった。

5月24日、中国政府“外交部(外務省)”が開催した定例記者会見の席上で、外交部報道官の“陸慷”に対して外国人記者から中国人留学生の楊舒平がメリーランド大学の卒業式で行ったスピーチに関する質問が出された。それは、「中国国内では楊舒平のスピーチ内容に対し憤慨するムードが盛り上がっているが、中国人留学生、特に米国への留学生は責任を負う形で中国に関する発言を表明する義務があると、中国政府は考えているのか。中国駐米国大使館はこのことに介入するのかどうか。中国政府は中国人留学生に対し言って良い事、悪い事の手引書を発行しているのか」という質問だった。

この質問に対して、陸慷報道官は以下のように答えた。

中国国民は態度表明に責任を負わねばならない

(1)いかなる中国国民も何かについて態度を表明する時はその責任を負わねばならない。それは中国に関する問題だけでなく、いかなる問題に関しても同様である。また、中国駐米国大使館が今回の件に介入したとか、中国政府が留学生に手引書を発行しているとかいう話は、今まで聞いたことがない。

(2)事実上、貴方が提起した問題は外交問題ではないので、答える必要はないのだが、貴方が質問をしたし、ネット上でも多くの評論が展開されているので、私は敢えて二言だけ述べる。すなわち、多くのネットユーザーは、いかなる国家も誇れる一面を持ち、同時にどの国家も発展過程の中に多かれ少なかれ発展中の問題があると考えていると思う。ある国民が自分の国家を評論する時には、それがどのような場合で、どのような方式で評論するかを考えるものである。そして、誰もが彼あるいは彼女が祖国に対してどのような感情を持っているかを、その評論の中から感じ取ることは難しいことではない。

(3)貴方が言及した当該学生は卒業式後に公開で態度表明を行ったが、それをある者は遺憾を表明したと述べた。彼女は自分が祖国を愛しており、学業を成就したら帰国し、祖国のために貢献したいと述べた。もし、これが事実なら、私はこう言いたい。目下、中国は国外に非常に多くの留学生がいる。中国から出国した後は、彼ら若者たちのある事柄に対する見方や認識は一つの発展や変化の過程を経ることになるだろう。但し、彼らが最終的には心の底から自分の祖国を愛し、祖国に貢献することを願うのであれば、中国政府は彼らを励まし、支持し、歓迎すると私は信じている。

陸慷報道官が言及したように、中国国内で自分のスピーチが波紋を巻き起こしたことを知った楊舒平は、中国最大のソーシャルメディアである“微博(Weibo)”を通じて弁明を行った。その内容は以下の通り。

「今回のスピーチがもたらした反響は私の予想を大きく超えて、不安を感じています。ここに以下の通り事態を説明すると共に謝罪する次第です。私は自分の祖国と故郷を深く愛していますし、国家の繁栄発展を深く誇りとしています。また、今後自分が国外で学んだ事を活かして中国文化を発揚し、国家のために積極的に貢献したいと考えています。スピーチは、自分の留学体験を卒業生の仲間と分かち合う目的だけのもので、国家および故郷を否定し、貶める積りは全くありませんでした。ここに深く謝罪すると同時に衷心より皆さまのご理解を賜りたく。今後は今回の件から学んだ教訓を活かす所存です。また、私のスピーチのさらなる分析、ひいては人身攻撃を止めていただくよう希望します。ありがとうございます」

楊舒平は米国留学を通じて、彼女が米国という国と社会に対して感じた素直な気持ちを卒業スピーチで述べたのだった。しかし、彼女が中国という一党独裁の専制国家の国民である以上は、自由と民主主義で構成された新鮮な空気に言及することはタブーであり、越えてはならないレッドゾーンであったのだ。

亡命した学長はスピーチを称賛

彼女が学んだメリーランド大学は、「米国の軍系大学(Militarized Universities in America)」の第1位に位置づけられ、CIAなどの米国情報機関と緊密な関係にあると言われている。一方、メリーランド大学と中国との関係は1979年から始まり、同大学に設立されたOffice of China Affairs(中国事務弁公室)を通じて、累計で1万人以上の中国政府の官僚や大学管理者が研修を受けているという。但し、これを裏側から見れば、中国事務弁公室を通じて、米国が中国における情報活動を強化していることにつながるのである。

文頭で、メリーランド大学学長の“Wallace D. Loh(陸道奎)”と述べた。Loh学長は1945年に中国・上海市生まれで、世が世なら「上海のDonald Trump」と呼ばれたであろう上海の大地主の息子であった。1949年10月に中華人民共和国が成立したことで、Loh学長の一家はペルーへ政治亡命を果たし、ペルーでの悲惨な生活を経て米国へ移り住んだのである。そうした経歴を持つLoh氏がメリーランド大学の学長であり、今回のスピーチ事件がLoh学長が主導する卒業式の中で発生したことは何か関連があるのだろうか。

なお、メリーランド大学は楊舒平のスピーチについて声明を発表したが、その要点は下記の通り。

楊舒平は我が校の優等生であり、委員会が5月21日の卒業式でスピーチを行う卒業生として選出した。彼女はメリーランド大学で学べたことの喜びを表明する機会を得て、自身の経験に基づいて留学を通じて感じたことを卒業生たちと分かち合ったのである。メリーランド大学は、楊舒平が彼女の観点と独自の見解を分かち合う権利を持つことを支持するのを誇りとすると同時に、彼女が卒業式で行ったスピーチを称賛するものである。

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