『米国の支配権めぐる争い:トランプは敗北したか ウォール街は制御不能な政権の出現に驚愕した』(11/15日経ビジネスオンライン 茂木誠)について

11/16日経朝刊<中間選挙後の米国政治(下) 「さびた工業地帯」強い影響力 ケント・カルダー ライシャワー東アジア研究センター所長

ポイント
○3つの「政治的戦場」地帯が選挙結果左右
○米製造業を支援する貿易政策は変わらず
○日米貿易協定の議会承認難航する可能性

11月6日の米中間選挙は僅差の争いとなった。その中で政敵に対するネガティブ広告は史上最高に迫り、トランプ大統領自身が政敵に対して容赦ない批判を投げかけ、民主党も同じように応じた。これまで発言が穏やかだったオバマ前大統領ですら共和党、特にトランプ大統領に対して厳しい批判を繰り広げた。

2018年11月の米国は、党派対立がドラマチックに表れた政治の「戦場」となった。こうした政治的戦場の地理学的、人口統計学的な構成はどのようなものか。そしてそれはどの程度続くのか。またそれはグローバルの視点からみてどんな意味を持つのか。

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米国政治では「地理的事情」が非常に大きな意味を持つ。00年にはフロリダ州での開票がもつれ、大統領の選出が最高裁に委ねられた。それ以来、米国には3つの主要な地理的要因を持つ政治的な戦闘の場が出現した(図参照)。すなわち(1)ヒスパニック系住民の投票が重要性を増す「サンベルト地帯」(2)米国の中心地帯に東西に伸び、「さびた工業地帯」とも訳される「ラストベルト地帯」(3)ジョージア州からペンシルベニア州へと山脈沿いに伸びる「アパラチア地帯」――の3つだ。

これらの地帯の選挙結果は明らかに、過去5回の大統領選と今回の中間選挙の結果を決定付けた。来る20年の大統領選はもちろん、その後も長期にわたり、この地帯は大統領選を左右していくだろう。

サンベルトではスペイン語を話す人口が増え、ヒスパニック系の投票の重要性が増している。人口統計学的にはサンベルトは徐々に青い州(民主党支持)の傾向を強めている。今回の中間選挙では77%のヒスパニック系が民主党に投票した。その結果、アリゾナ・ネバダ両州で民主党の新たな上院議員が誕生するなど、サンベルトは今回の中間選挙で最も民主党が重要な勝利を収めた地帯となった。

次に人口の大半を労働者層の白人が占めるラストベルトでは、04年にオハイオ州での僅差の勝利でブッシュ大統領(子)は再選を果たした。16年も同様に、オハイオ州はヒラリー・クリントン氏に対するトランプ氏の予想外の勝利を導く中心的な地帯となった。

今回もトランプ氏を支持するマイク・デワイン氏がオハイオ州知事選に勝利した。またインディアナ・ミズーリ・ノースダコタ各州などで、共和党は新たに上院の議席を獲得した。

そしてアパラチア地帯では住民の多くが白人で、比較的貧困だ。鉱山業、特に石炭産業が主要な産業だ。地域住民はその貧困さゆえ、過去20年にわたり伝統的に民主党を支持していたが、ここへきて共和党支持者が増えてきた。

ノースカロライナ州は、12年の大統領選で共和党候補のミット・ロムニー氏が勝利した州の一つだ。今回の中間選挙ではラストベルト同様、トランプ支持者がおおむね勝利したが、例外はウェストバージニア州上院議員に当選した民主党のジョー・マンチン氏だ。同氏は先の最高裁判事任命でカバノー氏を推すトランプ大統領を支持し、共和党の牙城で再選を果たした。

18年の米国には社会経済的な特徴もみられる。教育という観点からみて米国が激しく分断されたのだ。例えば今回は大学教育を受けた人の51%しか共和党を支持しなかったのに対し、大学教育を受けていない人の66%が共和党を支持した。下院議員に当選した人の4分の3は、大学教育を受けていない住民が平均的な選挙区の選出だ。そうした選挙区はアパラチア地帯やラストベルト地帯といった政治的な戦いの場に集中している。

さらに米国では近年、性別による分断が著しい。今回、女性の民主党下院議員候補者に対する投票率は男性を12ポイント上回る。一方で米国の歴史の中で最多の100人を超える女性が連邦議会に進出した。

米国での政治的戦場の新しい構成は世界にとって、特に日米関係にとってどんな意味を持つだろうか。筆者は特に環境、貿易、移民政策の3つの課題へのアプローチに重要な意味を持つと考える。

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環境については、民主党はあまり制約を受けないが、共和党にとっては非常にデリケートな問題だ。石炭の主な産地であるアパラチア地帯が、共和党支持が支配的な地域だからだ。共和党員であるトランプ氏が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱表明したのも予想できたことだ。

今後トランプ政権はクリーンコール(高効率石炭火力)政策と原子力協力を十分に支持するだろう。だが19年1月以降、下院がいかに民主党にコントロールされようとも、グローバルな環境活動については支持しないだろう。

こうした米国の政治的戦場の構成は少なくとも今後10年はあまり変わらないと予想される。そしてそれは、共和党政権がラストベルトの思惑に左右されるということを意味する。従って貿易に関しては、米国の製造業を支援する政策を採り続けるだろう。

しかしこれは日本に対する関税や他の保護主義的手段を必ずしも意味しない。日本企業は既にペンス副大統領の地元であるインディアナ州のようなラストベルトの諸州でかなりの雇用を生み出しているからだ。トランプ政権と民主党支配下の下院での数少ない国内協力の可能性のある分野はインフラと製薬の2つだ。こうした協力は国際企業にも好機をもたらすだろう。

移民政策については近年、民主党が海外からの新しい国民の急増により利を得ていることは明白だ。アジア系米国人やヒスパニック系の7割前後が民主党を支持している。反対に共和党は彼らの票を争いながらも、最近は移民を抑制しようとしている。

北米自由貿易協定(NAFTA)見直しによる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を批准するには、共和党と民主党の協力が必要だ。特に労働と環境に関する条項は、民主党にも受け入れられる可能性がある。しかし近い将来、日米双方が満足する貿易協定や経済協力の合意に関する手続きが、分断された連邦議会の承認を得られるかどうか、見通すのは難しい。

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Kent E. Calder 48年生まれ。ハーバード大博士。ジョンズ・ホプキンス大(SAIS)副学長

米国の政治的地図がどうなろうと、米議会は全体としてトランプ政権とともに、中国とさらに対立を深めていくだろう。それはトランプ氏が大統領になった17年初めよりも明らかに激しくなっている。関係者の多くは、米国は中国より優位に立っていると感じている。米国株式相場の状況は比較的良好で、経済がうまく回っているのに対し、中国経済は脆弱そうにみえるからだ。また貿易に関して、米国が中国に依存する以上に、中国は米国に依存している。

しかし長期的な視点では、トランプ大統領には中国との貿易戦争をうまくコントロールしたいという動機がある。金利上昇と大型減税の効果低減により、米国経済が20年の大統領選に至る2年間にスローダウンする可能性があるからだ。トランプ大統領は成長の減速を、破壊的な関税よりも下院の民主党支配のせいにしたいと考えるだろう。従ってこれから数カ月の間に、中国とある種の短期的な貿易協定を締結する可能性は極めて高い。ただ国内での政治的戦場のロジックが、20年が近づくにつれて再び注目される前に実現しなければならない。

とはいえ米中間の貿易戦争が今後、一時的に停戦することがあっても、それは再び巡ってくる厳しい寒さの前のはかない、つかの間の「小春日和」の日々でしかないだろう。>(以上)

米国は一時的にも貿易戦争を停止しないでほしい。中共に一息入れさすことは、延命策に手を貸すことです。

11/15希望之声<罗斯:美中G20峰会或有框架协议 1月关税照加=ロス商務長官:米中のC20サミット参加で大枠協議があるかも 1月に多くの関税を賦課>米国は1月に2000億$の中国からの輸入品に25%の関税を賦課する準備をしている。ロスは「我々は1月前に正式協議を終わらすのは絶対無理。不可能である」と。関税は依然として上がるだろうとも。この言い方は、米国メデイアが“貿易代表部が口頭で企業に「関税は暫くの間停止する」と言う通知をした”という報道に対する反論となった。

ロスは「米国のリストには142項目が載せてある。時間が来れば討論する。言うまでもなく、中国が問題を解決し、全部書面化する」と述べた。「現在中国は報復行為が自国経済に与える影響を実証済で、米国からの輸入LNGの関税は25%から10%に下げる意思があると言ってきた。中国はLNGを必要としている。需要を満足さすことはできない。実際、各地のLNGの需要は変化して満足させられない。中国はいつも自身の利益を害することはできないと思っている」とも。

中国の世界覇権を米国から奪取する野心は何ら変わっていません。書状にいくら書いても彼らは守りません。やはり制裁関税を続け、この他に金融制裁も賦課して行くべきです。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/15/n2385049.html

11/16阿波羅新聞網<王岐山刚走 以色列拒绝中共专家参加国际会议 只因…——中共医疗专家因涉嫌参与非法活摘被拒参加国际会议=王岐山が来たばかりなのに イスラエルは中共の専門家の国際会議参加を拒絶 中共の医療専門家は違法臓器摘出の疑いで国際会議の参加を拒否される>中共の臓器移植専門医の董家鴻は違法に人体の臓器を摘出したことに関与した疑いで、イスラエルの国際医療会議は招待を取り消した。中国の前衛生部の官僚は「国際社会は違法臓器摘出の犯罪を追跡し、調べるべき」と述べた。

これこそ人道に対する罪でしょう。しかも董家鴻は北京清華大学長庚医院執行院長とのことで、エリートが殺人・臓器摘出という悪行に手を貸している所に、共産主義の狂気を感じます。文革時の江西省の人食いのように。おぞましいの一言です。

http://www.aboluowang.com/2018/1116/1204871.html

茂木氏の論考も、やはりユダヤ人が中心になっています。グローバリズムも共産主義もユダヤ人が発明したのですから親和性を持って当然。①国境を無くす②拡張主義が特徴でしょう。プーチンもトランプも安倍もナショナリストで民族や国民の伝統や文化を大切にしようとしています。別に国境があっても、自分以外の国に敬意を払えば良いのでは。無理してくっつける必要はありません。違った宗教の人と同化するのは難しいでしょう。生まれながらに育った国で、その国の言語を話し、その国の神を敬い、その国の食べ物や酒を楽しむこと程、人生が充実しているのではと思っています。

茂木氏によると、ユダヤ人は米中露の3国を牛耳って来たという事は、中共もユダヤ人の手先と言うことでしょうか?今トランプ政権はゴールドマン・サックスに厳しい目を向けていますが、ユダヤ人との戦争を決意した?ユダヤ人が世界覇権を握っていても良いですから、自由で平穏に暮らせれば言うことはありません。自分の利益の為に搾取や収奪、人権侵害がなされなければ、誰が上に来ようと構いません。しかし、世界統一のような考えには反対です。それこそ多様化に反するのでは。

記事

中間選挙を終え、記者会見に臨んだトランプ大統領(写真:AP/アフロ)

米中間選挙は、トランプ共和党と「反トランプ」民主党との接戦に終わった。外交上の決定権を持つ上院では共和党が勝利したが、下院は僅差で民主党が制した。下院の選挙区別得票率を見れば、東海岸とカリフォルニアが野党民主党の、中西部が与党共和党の票田であることがわかる。このことの意味については、あとで触れる。

2016年の大統領選以来、大手メディアは総力をあげて猛烈な「トランプ叩き」を展開してきた。ロシアの情報機関が大統領選でトランプ陣営を支援したという「ロシア・ゲート」疑惑にはじまり、トランプ個人の女性スキャンダルから、トランプが指名した最高裁判事候補の高校時代のスキャンダル暴露まで、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の図式である。

米国は完全に2つに分裂している。この分裂は1990年代からはじまり、ブッシュ・ジュニア時代に顕著になった。オバマは国民の統合(ユナイト)を呼びかけて当選したが、その巧みな演出にもかかわらず、対立の根深さを覆い隠すことはできなかった。トランプがこの対立を激化させたという見方は誤りである。対立の根深さが、トランプを大統領にまで押し上げたのだ。

トランプはリンカーン以来の共和党本流!?

19世紀の米国も2つに分裂しており、ついには血で血を洗う内戦に突入した。

「南北戦争」というのは日本語で、英語ではthe Civil War 「あの内戦」と呼ぶのだが、これこそ米国が体験した最大の戦争であった。犠牲者数は南北合わせて30万人。これは、日本・ドイツと戦った第二次世界大戦での米兵の犠牲者15万人の倍である。

大統領エイブラハム・リンカーン率いる北軍は、南部連合の首都リッチモンドを焼き払い、南部人が選挙で選んだ大統領ジェファソン・ディヴィスを反逆罪で逮捕、投獄した。

「敗戦国」となった南部は12年間にわたって北部軍の軍政下におかれ、「近代化」が強制された。同時期の戊辰戦争で「賊軍」とされた東北諸藩が受けたような精神的な傷跡が、南部諸州の人々(ただし白人のみ)にはいまも残っている。

南北戦争の原因は、保護貿易主義と奴隷制廃止を訴える北部の産業界と、自由貿易主義と奴隷制維持を訴える南部綿花地帯の大地主(プランター)との対立だった。南部人にとって、大量の綿花を買ってくれる工業国・英国との自由貿易は死活問題。奴隷という形で、外国人労働力が自由に入ってくることも歓迎していた。この南部人が中心になって結成した政党が「民主党」である。当時の民主党は、奴隷制を擁護する地主の政党だった。

一方、弱い産業は、常に保護主義を求める。産業革命を始めたばかりの北部人は、英国綿製品の大量流入が自分たちの弱々しい産業にとってダメージとなることを知っていた。この北部人が中心となって結成した政党が「共和党」であり、共和党初の大統領に当選したのがリンカーンである。国境線を高くして米国を守ろうとする「保護貿易主義者」という点で、トランプはまさにリンカーン以来の共和党本流といえる。

民主党、南部地主の党から移民労働者の党へ

南北戦争に敗れた民主党は、解党的危機を迎えた。保護貿易により南部の綿花産業は衰退し、「地主を守る政党」という看板では選挙資金も集まらなくなったのだ。

しかし民主党は死ななかった。「移民労働者の政党」という新しい看板を掲げたからだ。

南北戦争後の米国は、英国製品を国内市場から排除して急速な工業化を進めた。19世紀末には英国を抜いて世界最大の工業国となり、同時に世界最大の労働市場が出現した。貧しい行商人の息子に生まれ、巨大財閥のオーナーにのし上がったデヴィッド・ロックフェラーの物語は、努力次第で夢をつかめる「アメリカン・ドリーム」として語られ、階級制度や政情不安の中で生きる欧州諸国の貧しい若者たちを魅了した。

19世紀半ば以降、アイルランド人、イタリア人、東欧・ロシアのユダヤ人が大量に米国へと流入した。中国ではアヘン戦争の混乱で生まれた経済難民が、太平洋を渡って米国西海岸へ移住した。大陸横断鉄道は、中国人とアイルランド人の労働力で建設された。

英語を話すプロテスタント(ワスプ)の米国人--「草の根保守」に対し、これらの人々は「新移民」と呼ばれた。西部開拓の時代はすでに終わりつつあり、欧州からの新移民は東海岸、中国人は西海岸のカリフォルニアに居を構えた。これが民主党の新たな票田となったのである。

民主党は自らの支持基盤を拡大するため、移民の受け入れと米国市民権の付与を積極的に推し進めた。新移民の大量流入は、本来の米国人である「草の根保守」を不安にさせた。かつては民主党支持だった中西部の農民たちは、国を閉ざすことを求めるようになり、共和党支持に鞍替えしていった。移民排斥を掲げる極右のKKKが勢力を拡大し、黒人のほかユダヤ人やイタリア人、もちろんアジア人も排斥の対象となった。

(イラスト:茂木 誠)

ウォール街が3大国をコントロール下に

ユダヤ系の金融資本も米国に新天地を求めた。国境を越えた金融ネットワークを持つ彼らは、オランダのアムステルダム、ロンドンについでニューヨークへ、その活動の拠点を移していった。17世紀にオランダ領ニューアムステルダムと呼ばれたニューヨークでは、当時からユダヤ人が活動していた。オランダ時代の城壁に沿った通りは、「ウォール街」と名づけられた。

20世紀初頭、ウォール街の有力者数名が会合を行い、自分たちの手で中央銀行を設立し、通貨ドルの発行権を握ること、これを認めさせることを条件に、次の大統領選挙で民主党のウッドロー・ウィルソンを支持することで合意した。

このウィルソン政権こそ、初の「ウォール街政権」であり、その本質はグローバリストだった。欧州で第一次世界大戦が勃発すると、ウォール街は交戦国から大量の国債を引き受けた。米国は最大の債権国となり、ウォール街が国際金融の「首都」となった。

債務国である英国・フランスの戦況が思わしくなくなると、ウィルソン政権は従来のアメリカ一国主義(モンロー主義)をかなぐり捨てて、参戦した。米国が「世界の警察官」になるという発想は、このウィルソン政権にはじまる。

「世界の警察官」を実現したのは、第二次世界大戦で日本とドイツに勝利したフランクリン・ローズヴェルト民主党政権だった。米軍は史上はじめて西ドイツと日本・韓国を占領統治。次のトルーマン政権はソ連(共産主義ロシア)との冷戦を口実に米軍の駐留を恒久化した。

第二次世界大戦と米ソ冷戦は、米国に巨大な軍需産業を出現させた。ベトナム戦争を引き起こしたジョンソン民主党政権は、その利権構造の上で権力を保持していた。前任者であるケネディの不可解な死も、この利権構造と深く関わっているようだ。レーガンとブッシュ(父)の共和党政権もジョンソン路線を引き継ぎ、軍拡競争でソ連を崩壊させた。

クリントン民主党政権のもと、米ゴールドマン・サックスのロバート・ルービンはクリントン政権の財務長官となった。ロシアのエリツィン政権が財政破綻すると、ウォール街はIMF(国際通貨基金)の緊急融資の条件として、ロシア経済の自由化を迫った。この結果、石油・ガスなどロシアの国有財産の多くが、二束三文で外資や新興財閥に払い下げられた。中国はすでに改革開放政策に応じていた。

このように、米・中・ロの3大国がウォール街のコントロール下に置かれていたのが90年代だった。一握りの国際金融資本が富を独占し、労働市場の自由化が進んだ結果、賃金は上がらず、貧富の格差が拡大していった。

米国の真の支配者をめぐる争い

2000年代、行きすぎたグローバリズムに対する揺り戻しがナショナリズムの復権という形で噴出した。その先頭を切ったのがロシアのプーチン政権で、新興財閥の取りつぶしや、資源の再国有化を断行して国民の喝采を浴びた。

次が欧州諸国で、「シリア難民」という名の外国人労働者の大量流入に対する反動から、イギリスはEU(欧州連合)離脱を決定、フランスの国民戦線やドイツのための選択(AfD)など移民規制を訴える政党が軒並み躍進した。

そして米国では、メキシコからの不法移民を食い止め、安すぎる外国製品に高関税をかけると吠えたトランプが勝利したのである。

ウィルソン以来、米国政治の主導権を握ってきたウォール街勢力は、1世紀ぶりにコントロール不能な政権の出現を見て驚愕し、これを叩き潰そうと躍起になってきた。大手メディアを通じた政権バッシングは、20世紀までは有効だった。しかし誰でもネットで情報発信ができるようになったいま、トランプはツイッターという武器を手にし、情報操作を繰り返すメディアに対しては「フェイク・ニュース(嘘報道)!」と痛罵し、大衆は溜飲を下げる。

トランプはなお敗北していない。米国の真の支配者はだれか、をめぐる戦いは、まだ始まったばかりである。(敬称略)

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