『中国主導の半島有事が「十分あり得そう」な理由 習近平が長期独裁を狙う時、“着火先”は台湾より半島?』(4/19日経ビジネスオンライン 福島香織)について

4/20JBプレスの4/18FTの記事です。

トランプとキムと核の誤算のリスク 緊迫する半島、米国の先制攻撃はあるのか?

北朝鮮軍第966大連合部隊の指揮部を視察する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長。国営朝鮮中央通信(KCNA)配信(2017年3月1日配信、資料写真)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

1950年には、ワシントンでの軽率な発言と平壌(ピョンヤン)での誤算の組み合わせが朝鮮戦争の勃発につながった。今、朝鮮半島で新たな戦争が勃発する可能性について世界が熟慮する中で危険なのは、米国と北朝鮮の政府が再び計算を誤り、紛争に陥ってしまうことだ。

多くの歴史家は、朝鮮戦争勃発の発端はディーン・アチソン米国務長官が1950年1月にワシントンのナショナル・プレス・クラブで行った講演にあったと考えている。長官はアジアにおける米国の「防衛ライン」について語り、朝鮮半島はその線の外に位置すると示唆した。

平壌では、北朝鮮指導者の金日成(キム・イルソン)氏が、米国は韓国を防衛しないという明確な意味合いに留意した。5カ月後、北朝鮮軍は38度線を越えて南へなだれ込み、韓国を侵略した。

しかし、金氏は計算を誤った。米国が戦ったのだ。朝鮮戦争は数十万人の死者を出し、米軍と中国軍の直接的な戦闘につながった――そして、いまだ正式に終わっていない。今日に至るまで、朝鮮半島の平和は正式な和平条約ではなく、休戦協定によって保たれている。

アチソン長官が無関心を示唆したのに対し、ドナルド・トランプ大統領は決意を示している。米国は北朝鮮の核開発プログラムを阻止すると誓い、先制的な軍事行動に出る用意があると強くにおわせている。

だが、今回もまた、北朝鮮が予測不能な形で攻撃に出る明確なリスクがある。

北朝鮮の現指導者で、金日成氏の孫にあたる金正恩(キム・ジョンウン)氏は、祖先の軍国主義と孤立主義、そしてパラノイアを受け入れた。もし金正恩氏が米国は本当に自分の体制を攻撃する構えだと結論づけたら、最初に攻撃する気になるだろう。同氏が素早く動く動機は、米国の戦争計画には北朝鮮指導者を殺害する早期の試みが含まれているというメディアの報道によって一段と強まったに違いない。

最近の軍事演習から見て取れる北朝鮮の軍事ドクトリンは、敗北や破滅を回避するために核兵器を先制使用することを想定している。学識経験者のジェフリー・ルイス氏は最近、フォーリン・ポリシー誌への寄稿で、次のように論じた。

「金の戦略は核兵器を早期に使用することに依存している・・・米国が彼を殺したり、特殊部隊が北のミサイル部隊を発見したりする前に使う、ということだ・・・やるのであれば、金は最初にやらなければならない」

北朝鮮はまだ米国西海岸に届く核ミサイルは開発していないものの、韓国や日本を攻撃できる、核兵器が搭載可能なミサイルは恐らく持っている。北朝鮮との国境から55キロほどしか離れていない韓国の首都ソウルは間違いなく、破壊的な迫撃砲の嵐にさらされやすい。そして日本と韓国は、北朝鮮の化学兵器に大きな不安を抱いている。

米国が北朝鮮攻撃を検討しているというトランプ氏の強い示唆は、中国に対し、朝鮮半島の従属国を「差し出す」よう圧力を加えることを意図している。この作戦は奏功するかもしれない。中国政府は北朝鮮での出来事をあからさまに警戒しており、北朝鮮政府への圧力を強めるかもしれない。

一方、金体制が実は見かけの威張った態度からうかがえるよりもずっと怖気づいており、今後、核開発プログラムを凍結する可能性もある。

だが、トランプ政権の好戦的な戦略が目的を果たすことは確かに考えられるものの、それよりは北朝鮮が引き下がらない――ひいてはトランプ戦略が失敗に終わる――公算の方が大きい。その場合、トランプ氏はジレンマに直面する。

同氏の「非常に強力な大艦隊」は任務が完了しないまま朝鮮半島から引き揚げるだろうか。トランプ政権は、公に約束した非常に厳しい措置として、場合によっては中国とともに経済制裁の強化策を提示できるだろうか。

トランプ氏は臆面もなく発言と方針を変えることができる。だから、北朝鮮問題について、トランプ氏がただ引き下がる、または本人がずっと求めてきた劇的な変化として現状を受け入れることは間違いなくあり得る。

だが、その一方で、トランプ氏が北朝鮮への先制攻撃が実行可能な選択肢だと確信したという可能性もある。そのような結論は、標準的な軍の助言――1度の集中攻撃で北朝鮮の核プログラムを「抹殺する」のは不可能であり、それゆえ、そのような攻撃の後には、韓国と日本、アジア域内の米軍基地が報復の危険にさらされるとする助言――に真っ向から反することになる。

米軍は、北朝鮮への先制攻撃に伴うリスクを十分に認識している。このため、H・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が、ベトナム戦争の最中に政治家に率直なアドバイスを与えなかったことで米軍幹部らを痛烈に批判する本を書いたことを思い出すと、心強くなる。

これに対するリスクは、トランプ氏が――大統領として混沌としたスタートを切った後――、軍事行動こそが自分が有権者に約束した「勝つ」イメージのカギを握ると結論づける危険だ。大統領は、シリアを爆撃したことで得た超党派の喝采を享受した。シリア攻撃のすぐ後、トランプ氏はアフガニスタンに巨大な従来型爆弾を落とし、息子のドナルド・トランプ・ジュニアは――爆弾の絵文字付きで――歓喜をツイートした。

トランプ大統領のインナーサークルには確かに、トランプ政権は本気で北朝鮮への「先制攻撃」を検討していると思っている人がいる。だが、もし金正恩氏が同じ結論に達したとしたら、先に核の引き金に手を伸ばすかもしれない。

By Gideon Rachman

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北朝鮮に時間の利益を与えないためには、どこかの時点で金正恩を排除するか、戦うしかありません。識者が言っています通り、北朝鮮問題は日本を脅威に晒したノドンの開発完了前に、日本が主体的に解決しなければならなかったものでした。太平楽に溺れ、「治に居て乱を忘れず」の警句も隅に追いやり、享楽主義に只管耽ってきたのが日本人です。せめて今回の危機に際し、真剣に日本の安全について、国民一人ひとりが考えるべきです。

反日共産党は、4/14しんぶん赤旗の中で、志位委員長が「米国は軍事的選択肢をとるな――外交交渉のなかで北朝鮮の非核化を、・・・重大なことは、安倍首相が、トランプ政権のこうした動きを手放しで歓迎する姿勢をとっていること」と述べています。これは論理倒錯としか言えません。悪いのは、日本に向け核・毒ガスミサイルを向けている北朝鮮ではないですか。米国はその脅威を除去しようとしているだけです。共産主義者だけあって善悪の判断が常人とは違います。文句を言うなら、同じ共産主義者として、核放棄を説得して来ればよいでしょう。こういう人間が日本にまだ残っているのが不思議です。サイレントマジョリテイとはいっても、ノイジイマイノリテイに引きずられるのは国を誤らせる元です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-14/2017041401_01_1.html

福島氏の記事で、六か国協議に戻ることはないでしょう。それこそ時間の利益忌を北に与えるだけです。このままでは米国と北との衝突は不可避に見えます。中国の金正恩亡命計画?は頓挫したと思われます。4/18FNNテレビは

「北」問題「中国はキープレーヤーではない」

北朝鮮問題に十分対応していないとの指摘に反論した。

17日、中国外務省の陸慷報道官は「中国は、半島核問題の火つけ役でもないし、問題発生に関わるキープレーヤーでもない」と述べた。

韓国を訪問しているアメリカのペンス副大統領が、北朝鮮問題について、中国に対処を求めたのに対し、中国外務省の陸報道官は「中国はキープレーヤーではない」と述べ、全ての関係各国が対話を通じて解決を目指すべきだとの考えを示した。

また陸報道官は、北朝鮮のミサイル実験について、「全ての関係国がお互いを刺激し、火に油を注ぐような行動を避けるべきだ」と述べ、自制を促した。>(以上)とあります。

http://jp.reuters.com/article/nk-crisis-china-idJPKBN17L0PX

ソンイルホは最大の被害を受けるのは日本とか抜かし、日本人妻を人質に泣き落としにかかってきています。でも、彼女らはまだ日本国籍を持っているのでしょうか?朝日新聞の犠牲者と言われますが、自分の選んだ道です。拉致被害者とか中国残留孤児とは違います。取引材料として使う方も使う方ですが、テロリストとは取引しません。

またロシアにも近づいています。「万景峰」号がロシアと定期航路を5月に新設とのこと。あらゆる手を使って米国へのとりなしを図っていると思います。それだけ北も必死なのでしょうけど。

http://www.sankei.com/world/news/170419/wor1704190052-n1.html

米国はEMPやMOABを使っても敵のミサイル攻撃を無力化すべきです。日本はテロ攻撃だけ防げばよい。トランプは習近平から「韓国は歴史的に中国の一部だったことがある」と聞いたとの話です。まあ、千年属国の話をしたのだろうと思いますが。でも台湾と違い、韓国には同情しません。トランプがどういう意図でこの話を持ち出したのか分かりません。「戦後統治を韓国に任せるが、中国は韓国を属国にしてきた歴史があるのだから、うまく裏でコントロールしろ。その代り戦争に手を出すな」と言ったところでしょうか。

http://www.sankei.com/world/news/170420/wor1704200034-n1.html

記事

緊張高まる朝鮮半島、“着火”するのはトランプか習近平か、駆け引きは続く(写真:AP/アフロ)

4月16日の北朝鮮のミサイル発射が失敗し、トランプが失敗はカウントしない、報復しないと言ったので、どうやら北朝鮮有事は少しだけ遠のいたようだ。しかも、米国はTHAAD配備について、次の大統領が判断すべきだ、として先送りを示唆した。中国に対しての譲歩と見ていいだろう。為替操作国認定も先送りにしており、これが北朝鮮制裁に対する協力への見返りであることも公式に述べている。かわりに、中国は北朝鮮をなんとかせい、と押し付けられた格好だ。

中国はより厳しい北朝鮮制裁を強いられることになり、石油(重油)禁輸や金融制裁に踏み切らざるを得ないだろう。中国の石油禁輸などの制裁計画案は昨年のうちにすでに策定されている。中国による石油禁輸は2003年2月に一度3日間、“パイプライン補修のため”の名目で行われたが、この圧力によって北朝鮮を米中朝の三者協議に引きずり出し、それが六者協議につながったことを思えば、これを実行すれば、効果はあるかもしれない。だが、この措置は、北朝鮮を本気で追いつめることになり、下手をすれば北朝鮮が暴発しかねない。中国はそういう事態にどのような対応を想定しているのだろうか。

金正恩に「中国亡命」を説得中?

改めて言うと、中国の同盟国としての北朝鮮の今の体制の存続が中国の根本利益に当たる。なので、米国主導の南北統一や体制変革は絶対に容認できない。ぎりぎり容認できるとしたら金正恩個人の排除までだ。一応米国側は北朝鮮のレジーム変革には興味を持っていない、と言明しているので、そのあたりは中国に配慮している。

中国の理想としては、中国側の説得に応じて、金正恩政権が核兵器の全面放棄をすることだが、それが簡単にできたら苦労はしない。体制を存続させながら、もう少し性格の穏当な「話し合いのできる」指導者に交代させることができれば、米中ともに納得できるだろう。嘘か本当か、中国当局が金正恩に自国に亡命するように説得中という情報も韓国メディアから流れているが、もし万が一、米国の攻撃前に金正恩が中国に亡命すれば、次の後継者選びおよびその後の情勢は中国主導の展開になるやもしれない。後継者としては過去マカオで中国の庇護下にあり、今は米国の庇護下にあるハンソルが、筆頭にあがることになるだろう。もっとも、金正恩がそんな説得に応じるようであれば誰も苦労はしまい。

ところで、米国のような超軍事大国にとって北朝鮮のミサイルが本当に脅威かというと、そうではないだろう。ロシアの軍事専門家も、今の北朝鮮に米国本土に核弾頭をぶち込めるミサイル技術はない、と見ている。せいぜい届くとしたら、佐世保や岩国あたりの在日米軍基地である。ミサイル実験の失敗も、本当に北朝鮮の技術的問題のせいだけなのか。米軍によるジャミングのせいという可能性もゼロではないだろう。

米国にとって、北朝鮮の脅威とは北朝鮮の兵器がイランやシリアに流れることである。シリアで使われた化学兵器も金正男を殺害した毒薬もサリンだった。シリアの生物化学兵器技術は、30年来の軍事協力関係がある北朝鮮が提供したといわれている。この上、小型核弾頭までシリアに持ち込まれてはえらいことなので、米国としては強硬策に出た。

国境に派兵、航空便とワタリガニ漁船は停止

そういう状況で、中国が北朝鮮有事をどのぐらい具体的に考えて準備しているか。これは米国系華字ネットニュース・多維がまとめていたので参考にさせてもらう。

4月15日の太陽節に起き得る有事に備えて中国は中朝国境に兵力15万を配備した。これは公式には否定されている。だが、難民の大量流入を防ぐための国境警備強化は従来からあるマニュアルどおりである。同時に、北京・平壌間の航空便を停止した。航空会社側は「チケットが売れていないので取り消した」と説明しているが、実際のところは有事警戒といえる。今後も長期的に続くとすれば経済制裁の意味もあろう。また延坪島付近の中国漁船も姿を消した。これは違法漁業だが、ワタリガニの季節の今頃は、中国漁船でにぎわっているのが常である。漁民がいちいち北朝鮮情勢に気を配っている可能性は低いので、これも当局の指示で出漁を抑えられたと見られている。

中国としては4月15日前後に、何かが起こる可能性は低いとみていたが、それでも相応の警戒はしていた。14日夜に王毅外相はロシアのラブロフ外相と電話会談し、シリアおよび朝鮮半島における共通の関心事の“戦略的コミュニケーション”を行った。細部の内容は公開されていないが、要するに、半島問題については戦略的に手を結ぼう、ということらしい。

中国が想定する北朝鮮有事リスクは、①北朝鮮の核兵器がコントロール不能になって、東北部が核汚染の危機にさらされる、②大量の難民が押し寄せる、③有事の影響で地縁政治と大国関係が変化する、の主に三つだ。北京に核ミサイルがぶち込まれる、というリスクもゼロではないが、中国も数千発と推計される核弾頭を地下施設に隠し持っている核兵器大国である。中国が北朝鮮に先制攻撃する意思は今のところなく、いくら北朝鮮が中国に腹を立てたからといって、いきなり核攻撃をしかける可能性はさすがに低かろう。

リスクの中で最も懸念されているのが、実際のところ、有事そのものよりも有事後の地縁政治および大国関係の変化、つまり北朝鮮の体制が変化し、半島における米国の軍事プレゼンスが強化されることにあるといえるだろう。逆にいえば、これが米国側の最終目的であろうと見られているので、これを防ぐためには、半島で微妙に利害対立のあるロシアとの意思疎通、連携は不可欠となる。

ロシアの発言を中国が対米牽制に利用

トランプ政権は発足当初、親ロシア人脈の台頭が注目されていたが、最終的にはロシアコネクションスキャンダルによって弾劾の可能性をおそれたトランプが、「プーチンに弱みは握られていない」ことを証明するためにシリア・アサド政権の攻撃に踏み切った、という見方がある。シリア攻撃に反対していたバノンは国家安全保障会議(NSC)メンバーから外され、更迭が噂され、トランプ政権の方向性はロシアを宿敵とする従来の共和党路線に立ち返る可能性が濃厚となった。

そういう状況で、中国はすかさずロシアとの関係強化にテコ入れしてきている。ロシアは北朝鮮問題に対しては「米国が金正恩政権転覆を考えているならそれは受け入れらない」という立場を明確にしている。さらにロシアメディアは「北朝鮮が米国を攻撃できる能力は実際のところないのに、米国が北朝鮮に戦争をしかけるようなことがあれば、2021年までの期限がある中朝友好協力互助条約に従って中国は再び米国と戦うことになる」というロシアの軍事専門家の意見などを報じ、中国メディアもこれを転電している。トランプスキャンダルを握っているという噂もあるロシアの発言を中国も対米牽制に利用しているともいえる。

ちなみに、中ロが合同でTHAADに対抗するミサイルシステムを構築する噂が一時流れたが、これについては、ロシアの軍事専門家が環球時報のインタビューに「可能性は低い。中ロが同盟関係になる可能性も低い」と答えている。中ロも根本的には利害対立関係にある。ただし、中ロで“米ペンタゴンの危険な選択”に対抗していく方針は言明している。

米国は西大西洋地域に配備されている三つの空母戦闘群を半島付近に向かわせた。北朝鮮が今後、核実験を行えば、米国としては先制攻撃もあり得る、という牽制を形で見せているわけだ。半島有事の可能性はいったん遠のいたかもしれないが、なくなったわけではない。だからこそ、中ロとも空母・カール・ビンソンに対しては偵察艦を出しており情報収集に動いている。

中国の戦争肯定派、北の「支援」と「打倒」に二分

ところで中国の一般人の間では北朝鮮有事に対して、どのような見方が多いだろうか。

これはネットで軍事問題について討論をするのが好きなミリタリーオタクに限っての意見かもしれないが、半島で戦争が起こるなら、積極的に戦闘に参加すべきであるという意見が多い。中国世論は基本的には戦争に肯定的である。こうした積極参戦派の意見も二通りあって、北朝鮮に味方して参戦すべきだという意見と、米国と一緒に金正恩政権をつぶすべきだという意見に分かれている。

北朝鮮応援派の意見は、「中国にとって北朝鮮は北の大門、この土地を守るために中国は歴史上、6回戦争をしてきた。この土地を守ることが中国の中心利益であり、米国に半島で勝手に軍事行動を起こすことを許してはいけない」というものだ。中朝友好協力互助条約を結んでいる以上、中国と朝鮮は軍事同盟関係にある、というのも根拠にある。

米中協力派の意見は「金正恩の横暴は中国も手を焼いている。だが、米国に半島で単独で軍事行動を起こさせることだけは許してはいけない。それなら中国も一緒に戦争に、そして金正恩排除に参加して、米国に勝手にさせないようにするべきだ」。半島問題の本質が米中のどちらが北朝鮮に対して主導権を握るかという点にあるとすれば、どちらもあり得る、ということでもあろう。

さて中国が今後、具体的にどのような展開を考えているのか。

一つ重要な要素は5月9日の韓国大統領選挙である。韓国の大統領が親北朝鮮派の文在寅となれば、中韓ロの連携によって米国の軍事的行動を抑止し、北朝鮮を再び六カ国協議の席に戻すことができる確率は高まる、と少なくとも中国は期待を寄せている。

「六カ国協議」で時間稼ぎ、その先は…

そう、いまだに六カ国協議なのだ。だから武大偉のような過去の人が、いまさらのように韓国を訪問したり、北朝鮮を訪問しようとしたり(北朝鮮側が拒絶してできず)している。六カ国協議では、北朝鮮の核問題は根本的に解決できないことは明白だ。できるとしたら、北朝鮮を核保有国と認定し、不拡散を約束させるぐらいだろう。核の完全放棄は、金正恩政権をつぶさないかぎり考えにくい。

ちなみに中国内部には、北朝鮮はすでに核兵器保有国であり、そろそろそれを認めるのが現実的だという意見が少なからずあり、もし米国の方を多少なりとも説得できるとしたら、北朝鮮の正式な核保有国認定も視野に入れていそうだ。そうでなければ、六カ国協議は時間かせぎでしかない。

いや、中国にとっては時間稼ぎでもいいのだ。では、いつまでの時間稼ぎだろうか。

それは、中国にきわめて反抗的な金正恩を、中国主導の軍事行動によって排除するまで、ではないだろうか。2021年に中朝友好協力互助条約の期限が切れるタイミングは、習近平が引退する直前、もしくは三期目継続による長期独裁体制の確立を狙っている最中かもしれない。仮に従来の共産党システムを破壊して、長期独裁政権を築こうというならば、党内と人民を納得させるような政治的必要状況を作り出す必要がある。それが台湾進攻作戦ではないか、という人が多いが、こうなってきてみると、中国主導の半島有事も十分あり得そうな気がしてくる。

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