『中国は「待ちハリ」…カマラ・ハリスは「反中でなく弱くて予測可能」な理想のリーダー 「北京のランダムウォーカー」第745回』(9/17現代ビジネス 近藤大介)について

9/17The Gateway Pundit<CBS Drops Devastating News for Kamala in Nevada: “We Could Only Find ONE Harris Supporter in Every Restaurant!”= CBSがネバダ州でのカマラに衝撃的なニュースを伝える:「どのレストランでもハリス支持者はたった1人しかいなかった!」>

何ら政権で実績のない(国境問題、インフレ等)カマラを支持する人がそんなにいるとは思えない。

CBSのアドリアナ・ディアスがネバダ州を訪れたが、カマラ・ハリスの支持基盤がほとんど存在しないことがわかった。

ディアスさんはリノ、ノースラスベガス、ネバダ州ナイ郡にある地元の人気飲食店を訪れ、目を見張るような体験をしたと語った。

メッセージは明確だった。ハリス氏はシルバー(=ネバダ)州で急速に支持を失いつつあり、一方でドナルド・トランプ前大統領は有権者の間でますます支持を集めているのだ。

ディアス氏はCBSディス・モーニングで自身の経験を語り、ハリス氏に対する熱意の欠如に驚いたと認めた。

リノのブラザーズ・バーベキューでは、4人の女性が国の現状、特に移民問題に対する不満を表明した。

ある女性は「​​国境について非常に心配しています。不法移民です。彼らは出て行かなければなりません。彼らはただでもらえるものを求めてここに来ているのです」と語った。

別の女性はこう語った。「彼らは、私たちがいかなる種類の移民も歓迎しないと言っていると思っているようですが、我々はそうは言っていません。人々は、合法的にここに来ることが必要と言っているのです。なぜ彼らはこの国で1日も働かず、行政に金を支払っていないのを許すため、考慮の枠外にされるのか。」

民主党員の間でさえ、ハリス氏は強力な支持を得るのに苦労している。リノでの昼食会に出席した唯一のハリス支持者である「ケン・ラスカー」氏は、民主主義が「トランプ氏と共和党によって脅かされている」と嘆いたが、バイデン・ハリス政策からますます離れつつある州の中で、彼の声は孤独なものだった。

ヒスパニック系住民の多い同州の主要地域ラスベガスでは、経済に対する懸念から有権者がトランプ氏に投票しようとしている。フードトラックのオーナー、フランシスコ・マレス氏は、物価高騰が家庭に大きな打撃を与えていると指摘した。

「タコスは以前は1ドルか1ドル50セントだった。パンデミック以降は肉が高価なため、3ドル50セントから4ドル以下にはならない。」

これがバイデン・ハリス経済の現実だ。ハリス氏が雇用の拡大と経済回復を宣伝し続けている一方で、家族は生活必需品にもっとお金を払わざるを得ないのだ。

パランプの飲食店の客も、インフレと政府支出に焦点を当てて不満を表明した。「お金を投じ続ければ問題は解決すると思っているのだと思います」と彼女は語った。「古い家と同じです。とにかく直していきましょう。時には取り壊して建て直すことが解決策になることもあります」。この力強いコメントはその後、トランプ陣営によって強調され、ハリス・バイデン政権に対する高まる不満を浮き彫りにした。

ディアス氏の報告で最も衝撃的だったのは、彼女が訪れたどのレストランでもハリス氏を支持する人はたった一人しかいなかったと認めたことだ。

「本当に信じられないのは、どのレストランでも、私たちと話しをしてくれる人たちに、ハリス支持者はたった一人しかいなかったことです。私たちはあらゆる手を尽くしました。バーで飲み過ぎたと思われる一人の男性を除いて、私は全員にアプローチしました」と彼女は語った。

https://www.thegatewaypundit.com/2024/09/cbs-drops-devastating-news-kamala-nevada-we-could/

9/17Rasmussen Reports<Did Hamas Hostage Murders Shift Opinions?=ハマスによる人質殺害は世論を変えたか?>

ハマスのテロリストによるイスラエル人人質6人の殺害は、イスラエルとパレスチナ間の紛争に対する全体的な共感に大きな影響を与えなかった。

ラスムセン・リポートの最新の全国電話・オンライン調査によると、米国の有権者の20%が、イスラエルとパレスチナの歴史を見ると、パレスチナ人により共感すると答えている。これは 5月の19%からわずかに上昇している。49%がイスラエル人により共感すると答えており、前回の調査の53%から下降している。さらに31%はわからないと答えている。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/biden_administration/did_hamas_hostage_murders_shift_opinions?utm_campaign=RR09172024DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

https://x.com/i/status/1836138933648003304

9/18阿波羅新聞網<习近平仰仗张又侠 勾兑内部恐怖平衡?矢板明夫:香山论坛成他高光时刻!中共内部出现恐怖平衡?=習近平は内部の恐怖のバランスを調整するために張又侠に頼っているのか?矢板明夫:香山フォーラムは彼のハイライトの瞬間になった!中共内に恐怖のバランスが出現?>9/12~14まで、毎年恒例の香山フォーラムが北京で開催された。表向き、このフォーラムは中共軍事科学院が主催している。しかし現実には、この背後には中共軍がいる。例年と異なり、今年は董軍国防相の演説も、それに続く中共の各レベル幹部の演説も台湾問題に直接言及しなかった。同時に、中共軍の米国に対する態度も軟化している。

頼清徳総統の就任後、両岸の対立は新たなレベルにまで高まった。中共台湾事務弁公室は連日、頼清徳が台湾独立を求めていると非難している。こうした背景から、中共国防部が今回の香山フォーラムで戦狼風の演説をしなかったのは非常に興味深い。これは、米国大統領選挙が過熱し、両大統領候補が中共に対して軟弱すぎるとお互いを非難したためだと思う。したがって、中共軍は目立たないようにして、これ以上米国を刺激せず、大統領候補の対中発言でさらなる悪循環を避けたいと考えている。

この香山フォーラムだけではない。最近、中共の米国に対する態度は軟化しつつある。中国南部戦区司令官と米インド太平洋軍司令官も電話会談した。中共が過去に一方的に停止していた米国との連絡ホットラインも徐々に復活しつつある。

もう一つの注目点は、張又侠・中央軍事委員会副主席が今回のフォーラムで大きな存在感を示したことだ。これまで、香山フォーラムは常に国防相の舞台となってきた。昨年、李尚福が双規で拘留されたため、張又侠が代理人として登場した。今年は董軍国防部長も出席したが、同氏はまだ国務委員の資格を有していない。

中共の国防部長、外交部長は国務委員がなるのが標準的だ。国務委員のレベルに達して初めて党と国の指導者と呼ばれ、言葉に重みが生まれる。国務委員ではない董軍は今では誰よりも背が低いように見える。

それに比べて、張又侠はずっとタフに見える。今回はカザフスタン国防大臣、ベトナム国防大臣などと会談したが、これはメディアでも大きく報道され、すべて本人が行った。少し前には、サリバン米国家安全保障担当補佐官とも会談した。張又侠と習近平の関係は比較的微妙だ。

当初、二人は協力関係にあった。張又侠の父、張宗遜と習近平の父、習仲勲は若い頃、第一野戦軍の相棒だった。しかしその後、習近平の軍の反汚職キャンペーンがずっと張又侠の権力を弱めた。たとえば、李尚福は張又侠によって昇進できた。李尚福は敗北し、張又侠の顔は自然に曇った。同時に、李尚福が腐敗していれば、李氏の前任で装備開発部門の張又侠がクリーンであることは困難になるだろう。

習近平は張又侠を捜査するために使える証拠をたくさん持っているはずだ。しかし最近、軍は絶えず問題を抱えており、国防部長2人が解任されている。習近平は張又侠に全体の状況を任せる必要がある。両者は完全に一致しているわけではないが、ある種の恐ろしいバランスに達しているのかもしれない。張又侠は頻繁に表舞台に登場し、国際的にもその評価は高まっているが、これが中共軍内の権力構造や勢力均衡にどのような変化をもたらすか注目される。

習もこれ以上の軍の粛清は弱軍になると思ったか?

https://www.aboluowang.com/2024/0918/2104224.html

9/18阿波羅新聞網<中国经济大萧条蔓延 无一能幸免=中国で大恐慌が拡大、誰も免れない>中国経済の厳冬期は全方面に蔓延し、住宅市場の崩壊、輸出型企業の倒産と外国移転、実体小売業の凋落、外食産業の倒産に至るまで、経済状況全体が悪化している。専門家は、ドミノ効果の次の波が自動車産業と資産安全業に影響を与える可能性があると予測している。

消費力の低下が続く中、電子商取引大手も無縁ではない。アリババの財務報告は市場の予想を下回り、京東の成長は弱く、拼多多の業績は期待ほど良くなかったことから、これらの企業の株価は急落し、これらの会社の時価総額は約550億ドル蒸発した。中国経済の霧が深まる中、外界の焦点は徐々に、誰が次の「悲劇」になるかに移っている。

サウスカロライナ大学エイキン経営大学院の謝田教授は、次に大きな打撃を受ける業界は自動車業界になる可能性が高いと述べた。同氏は、中国政府は長年にわたって補助金政策を通じて電気自動車産業を支援してきたが、多くの自動車会社は依然として多額の損失を抱えていると指摘した。補助金政策が維持できなければ、関連企業は倒産や合併・買収に直面する可能性があり、特に中国の電気自動車や自動運転技術は国際的な経済封鎖の対象となり、大規模な人員削減につながる可能性がある。

米国メリーランド州情報戦略研究所のエコノミスト、李恒清は、経済の厳冬が厳しさを増すにつれ、資産安全の問題がより顕著になるだろうと警告した。同氏は、中国人の主な資産は不動産と銀行に集中しており、不動産開発業者は銀行融資に発展を頼り、恒大集団の許家印のような不動産大手は敵国の金持ちのように見えるが、実際は多額の借金を抱えている。住宅価格が急落し、開発業者の資金連鎖が断たれると、銀行はマイナス資産となり、システミックな金融リスクの増大につながる。

李恒清は、銀行が破綻すると中国政府は預金者の損失を完全に補償することはできないと固く信じている。河南農村商業銀行の400億元超の爆発事件を例に挙げると、政府は預金額が5万元未満の少数の顧客にのみ補償しているが、この金額を超える預金者の問題は未解決のままだ。今後、全国的にこの状況はさらに悪化する可能性がある。

中国に投資や預金している人はすぐ解約したほうが良い。

https://www.aboluowang.com/2024/0917/2104052.html

何清漣 @HeQinglian 1時間

「香港国家安全法」により香港自由港が衰退へ

米議会が可決した「香港経済貿易代表部認定法」により、香港にある米国内の3つの経済貿易代表部が取り消されることになり、欧州連合(EU)もこれに追随すれば、香港の経済的地位に大きな影響を与えることになる。

香港国家安全法の施行以降、香港から外資は急速に撤退し、金融センターとしての地位は2年連続でシンガポールに後れをとっている。

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近藤氏の記事では、大統領候補討論会で、カマラが「変臉」(ビエンリエン=顔変化)のように変幻自在と述べていますが、彼はABCがカマラ陣営に①質問内容を供与②ファクトチエックはトランプだけで、カマラにはしないという約束をしたという情報を掴んでいない。カマラは当然、TVに映るときの顔つきも何度もリハーサルを重ねたのでは。

また「刷新感」がキーワードと言うが、カマラは現職副大統領で、バイデン政権の行政に責任を負っている立場である。カマラに「刷新感」があるとはとても思えない。昨日、本ブログで紹介したRasmussen Reportsによれば「Trump – Fresh Startで相手より +13、Harris – More of the Same で相手より+21」とあり、また本日の上述のCBSの記事でもカマラに刷新感があれば支持者がそんなに少なくなることはないのでは。TVでうまく答弁できたとしても、現実に副大統領として何もしてこなかったのが国民に気づかれているからです。

中共が「反中で強くて予測不能」なトランプ大統領を望まないのは当然。だから自由主義国は反共のトランプを応援すべきと思う。ハリスでは中共にいいようにしてやられるだけ。

記事

政治の世界には、「時の流れ」というものがある。「時流」を得た政治家は、まるで舟に乗って川下りをするが如く、スルスルと遊泳し、「勝機」を掴んでいく。まさに「勝ち将棋鬼の如し」だ。

逆に、「時流」に乗れない政治家は、「鮭(さけ)の川上り」のような状態になる。すなわち、いくら七転八倒しながら這(は)い進んでも、結果が伴わない。逆境に斃(たお)れてしまう。

こうしたことは、個々の政治家の実績や資質というよりは、「時流」が自分に来ているかどうかの問題である。広い意味で「運」と呼んでもいい。

キーワードは「刷新感」

現在、周知のように、日本とアメリカで同時に、国の最高権力者を決める「大一番」が展開中である。この自民党総裁選と米大統領選を見る時、私はどうしても「どの候補に時流が来ているか」という視点に立ってしまう。

日米に共通しているいまの「時流」を一言で言い表すなら、「刷新感」(さっしんかん)である。

日本は、2012年末から7年9ヵ月続いた安倍晋三政権と、その後の菅義偉政権、岸田文雄政権の残滓(ざんし)のような、自民党の裏金問題が勃発した。そこからの脱却を図ろうと、総裁選史上最多の9人が、政策を競っている。

14日は名古屋、15日は福島で、昨日16日は金沢で討論会が開かれた。まるで「自民党みそぎサーカス団」の全国興行ツアーだ。

そのキーワードが、「刷新感」である。この「時流」に一番うまく乗った候補が、最終的な勝者となる。

同様に、11月5日に投票日を迎えるアメリカ大統領選のキーワードも、同じく「刷新感」である。国内の分裂とインフレ、国外の戦争への対処……。問題山積の中で、カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領のどちらが、「刷新感」という「時流」に乗れるかを競っているのである。

そのことを占う最大の「勝負所」とも言えるテレビ討論会が、先週、アメリカ東部時間9月10日夜9時(日本時間9月11日午前10時)から、約1時間40分にわたって行われた。私はCNNのインターネット生放送で見た。

定時になるとスタジオに、テレビの視聴者から見て左側からトランプ候補が、右側からハリス候補が、ほぼ同時に入ってきた。トランプ候補は脇目も振らずに、自分の演台の位置に立った。

するとハリス候補が、ツツツッとトランプ候補のところへ歩み寄って行き、「カマラ・ハリスです。今日はよい議論をしましょう」と、笑顔で語りかけた。両雄はこの時が初対面だったのだ。

10日のテレビ討論会/Photo by Gettyimages

トランプ候補は一瞬、面食らったように顔をこわばらせた。何せ前回6月27日のジョー・バイデン大統領とのテレビ討論会の時は、互いに挨拶もせず、目を合わせることすらなかったのだ。

カメラはすでに回っているので、相手から握手を求められて、無視するわけにもいかない。そこで、トランプ候補もおもむろに右手を出し、ぞんざいな口調で「会えて嬉しい、楽しもう」と返した。

ハリス候補が見せた「刷新感」

私はこの光景を目にした時、1ヵ月ほど前にテレビで日本選手を応援していたパリ五輪の柔道の試合を想起した。試合開始早々、ハリス候補が「技あり」を決めたようなものではないか。「一本」とまではいかないが、いきなり「大技」が入ったのだ。

なぜかと言えば、「前回テレビ討論会の時の『老いぼれバイデン』と自分は違う」という「刷新感」を、テレビ視聴者に見せつけたからである。加えて同じことを、トランプ候補に対しても印象づけ、プレッシャーをかけた。

討論の最初のテーマは経済問題で、両候補が互いの持論を展開し合った。ハリス候補は、最初の方こそ緊張していたが、しばらくすると、地元カリフォルニア州が誇るハリウッドの女優顔負けの「名演技」を見せ始めた。

討論のルール上、相手の発言中に口を差し挟むことは許されない。それでハリス候補は、トランプ候補の発言中、顔の表情やゼスチャーを大仰に加えることによって、その時々の自分の「意思」を表したのだ。そしてそのたびに、テレビカメラが話し手のトランプ候補から逸(そ)れて、ハリス候補を写す。

途中からは、「わがままで頑固一徹のオヤジ」が、「いたいけで可憐な少女」をイジメているように映った。だが少女はと言えば、イジメに遭って泣くフリをしたかと思えば、時にアッカンベーもする。京劇役者の「変臉」(ビエンリエン=顔変化)ように変幻自在で、思わず声援を送りたくなってくるのだ。

逆に、トランプ候補は次第に焦りの色を濃くしていった。私は「焦ったトランプ」を、あの日初めて見た。

だが焦れば焦るほど、凝り固まったように怒り出す。あげく、「移民が犬や猫を食べている」などと、トンチンカンな発言をした。

これにはレフリー(司会者)から、「教育的指導」が入った。するとトランプ候補は、あろうことかレフリーに対しても、怒りをぶちまけた。明らかに「反則行為」であり、もうこのあたりで「勝負あった」感がある。

互いの発言内容は、もう多々報道されているので省略する。ともかく、約1時間40分にわたって行われた「試合」は、「技あり」2本、もしくは「教育的指導」3本でハリスの勝ち、トランプの負けと、私には映った。

そこで討論会を終えた時、取材ノートに「65点対35点でハリスの勝ち」と書いて、親しい人たちに、SNSやメールで送った。前回の「バイデン対トランプ」の時は、「20点対80点」と付けていた。

すると、しばらくして、CNNが緊急世論調査の結果を発表。アメリカの有権者たちの判定を総合すると、「63%対37%でハリスの勝ち」だった。これは私の判定と、ほぼ一致する。

おそらく両候補は、今後テレビ討論会を行わない。次のヤマ場は、10月1日に行われるティム・ウォルズ民主党副大統領候補(ミネソタ州知事)と、J・D・ヴァンス共和党副大統領候補(オハイオ州上院議員)のテレビ討論会だ。

だが、私は4年前に、マイク・ペンス共和党副大統領候補(当時は現職の副大統領)と、ハリス民主党副大統領候補のテレビ討論会も見たが、大統領候補の討論会に較べると低調である。すなわち、そこで大きな差がつくとは思えない。

ちなみに4年前の私の採点は、「ペンス90点対ハリス10点」で、ペンス副大統領の圧勝だった。だが、大統領選で勝利したのは、周知のように「バイデン&ハリス」の民主党コンビだった。

ということは、「ハリス優勢」という「時流」が、このまま続く可能性が高いことを示唆している。そもそも「刷新感」ということなら、78歳のトランプ前大統領よりも、59歳と若く、初の女性大統領、初のアジア系大統領など、「初物」が多いハリス副大統領の方に分がある。

米中関係のゆくえ

それでは、仮にハリス新大統領が誕生するとして、日本及びアジアはどうなっていくのだろう?それは、やはりハリス時代における米中関係の行方次第である。

そもそも中国は、ハリス大統領の誕生を喜ばしく思っているのか?それとも、トランプ前大統領の復活を望んでいるのか?

中国政府は、このほど宣言から70周年を迎えた「外交5原則」の一つに、「内政不干渉」を入れているほどで、「わが国は〇〇候補を支持する」などとは、決して言わない。新華社通信やCCTV(中国中央広播電視総台)、『環球時報』を始めとする官製メディアも、アメリカ大統領選の日々の事実報道だけを、淡々と行っている。

だが私は、2016年11月に「トランプ候補勝利」が決まった直後、ある中国人が語っていた言葉が忘れられない。私が、「ヒラリー・クリントン国務長官(民主党)と、トランプ氏(共和党)のどちらが勝利した方が、中国にとってよかったか?」と質問した時のことだ。こういう答えだった。

「中国が大国のリーダーを判断する際の要素は、主に3点ある。第一に、そのリーダーが『親中派』か『反中派』か。第二に、『強いリーダー』か『弱いリーダー』か。そして第三に、『予測可能なリーダー』か、『予測不能なリーダー』かだ。中国にとってベストは、『親中派で弱く予測可能なリーダー』だ。

クリントン候補は、『反中派で強く予測可能なリーダー』。トランプ候補は、『反中派で強く予測不能なリーダー』だ。

つまり、今回勝利したトランプ氏は、中国にとって最悪の大統領ということになる。よって、2017年以降の中米関係は、大きな嵐に見舞われる予感がする」

ざっとこんな話だった。それでは、この3要素に照らすと、ハリス副大統領はどうなるだろうか?

ハリス候補は「中国に無関心」?

まず「親中派」か「反中派」かは、正直言ってよく分からない。中国に関して、彼女が何か重要な発言をしたり、ホワイトハウスで重要な政策を主導したことがないからだ。バイデン氏は副大統領時代に6日間も訪中したが、そうした経験もない。

もしかしたら、ハリス副大統領のホンネは、「中国に無関心」なのかもしれない。実際、そのことを裏づける証言が一つある。それは少し前に、フィリピン政府関係者から聞いた話だ。

昨今、フィリピンと中国は周知のように、南シナ海のセカンド・トーマス礁の領有権を巡って、激しく争っている。フィリピン側が実効支配しているので、言ってみれば「フィリピンの尖閣諸島」だ。

フィリピンも日本と同様、アメリカの軍事同盟国なので、当然ながらアメリカにSOSを出している。フィリピンの関係者によれば、バイデン大統領はハリス副大統領を、この問題の「担当者」にしているという。

「これまでフェルディナンド・マルコス大統領とハリス副大統領は、この問題を巡って、5回も会談してきた。だが正直言って、ハリス副大統領には幻滅している。

彼女はいつでも、官僚が準備した原稿を棒読みするだけなのだ。南シナ海の問題について、深く勉強しているわけでもなければ、中国の脅威について、強い懸念を抱いている様子もない。態度はよそよそしくて、まるで他人事のようだ」

中国にとって、「中国に無関心であること」は、「反中派」よりも「親中派」に近いという解釈である。つまり、相性は悪くない。

さらにハリス候補は、副大統領候補に、前述のようにウォルズ・ミネソタ州知事を選んだ。彼こそは、中国にとって「ベスト・パーソン」である。

ウォルズ候補は、ハリス副大統領と同じ1964年、中部ネブラスカ州に生まれた。25歳になった1989年から一年間、中国広東省佛山市の佛山第一高等中学で、英語教師を務めた。

本人は後に、「熱烈歓迎を受けた最高の一年間だった」と述懐しているが、それはむべなるかなである。なぜなら、1989年6月に、首都・北京で民主化を求める若者たちを、戦車部隊が蹂躙(じゅうりん)するという天安門事件が発生。日本を含む西側諸国の駐在員や留学生たちは、一斉に中国から引き揚げてしまったからだ。

ウォルズ候補は帰国後、高校教師となり、アメフトのコーチも務めた。1994年に結婚した時も、新婚旅行は中国で、アメリカ人を中国に派遣する旅行会社まで立ち上げた。これまで30回以上も訪中している生粋の親中派なのだ。2016年以降は、中国の人権問題に懸念を示したりもしているが、州知事を務めるミネソタ州は、中国に事務所を置いて、中国からの投資を奨励している。

中国は「ハリス支持」か

ハリス候補は、母親がインド人だが、中国との縁はほとんどない。そのため大統領に就任したら、中国問題に関しては、「中国通」のウォルズ副大統領を頼りにするだろう。となると、少なくとも激しい反中政権にはならない予感がする。

次に、ハリス大統領が「強い大統領」か「弱い大統領」かと言えば、これはあくまでも相対的な問題だが、おそらくは後者だろう。現在のバイデン大統領も、前任のトランプ大統領に較べると、「弱い大統領」と中国では見られている(おそらくロシアも同様に見ている)。だがハリス大統領は、外交問題に疎い分、バイデン大統領よりもさらに「弱い大統領」になるのではないか。

続いて、ハリス大統領が「予測可能」か「予測不能」かということで言えば、オーソドックスなバイデン外交を引き継ぐだろうから、「予測可能」である。民主党外交は伝統的に、「予測可能」な外交を行う。

そうなると、ハリス新大統領は「反中でなく弱くて予測可能なリーダー」ということになる。これは中国側から見れば、ほぼ理想形である。「反中で強くて予測不能」なトランプ大統領とは雲泥の差なのだ。

前述のように、中国政府は「内政不干渉」だが、「ハリス候補へのラブコール」のような動きは、すでに見られる。例えば8月1日、アメリカを代表する外交誌『フォーリン・アフェアーズ』に、王緝思(おう・しゅうし)北京大学国際戦略研究院長、胡然(こ・ぜん)同研究員、趙建偉(ちょう・けんい)同研究員が連名で、「中国はハリスとトランプのどちらを好むか?」と題した論文を発表した。

北京大学は、私も若い頃に留学したが、隣の清華大学と並んで、中国を代表する国立の名門大学(故・李克強前首相らが卒業者)である。この論文も、共産党の「お墨付き」を経て発表していると見るべきだ。

論文には、「なぜ中国の戦略家たちは、両者(ハリス候補とトランプ候補)の差は少ないと見ているのか」という副題がついている。つまり、「どちらが大統領になっても対中強硬姿勢は変わらないだろう」と、カマをかけているわけだ。

ところが、論文を詳細に読むと、やはり中国は「ハリス支持」に思えてくる。論文は後半で、アメリカの対中戦略専門家を、次の3種類に分類している。

1. 新冷戦の戦士(NewColdWorriors)……米中の競争関係はゼロサムゲーム(片方が増えればその分もう片方が減る関係)であり、ワシントンと北京は冷戦状態にあるので、さらに攻撃的な戦術を取る必要がある。1980年代にロナルド・レーガン大統領がソ連の崩壊に向けて取った政策を見習うべきだ。代表者には、マット・ポッティンジャー元大統領安保担当副補佐官(共和党)、マイク・ギャラガー元下院議員(共和党)らがいる。
2. 競争の管理者(CompetitionManagers)……米中の競争関係はゼロサムゲームではないので、中国と共存する戦略を取ることが不可欠だ。最善の対中アプローチは、競争をリードした上で協力を申し出ること。代表者には、カート・キャンベル国務副長官(民主党)、ジェイク・サリバン大統領安保担当補佐官(民主党)らがいる。
3. 歩み寄り派(Accomodationists)……中国の影響力拡大は望まないが、中国と衝突を起こしてはならない。中国に圧力をかけるほど、中国のパワーは強化される(例えば半導体規制をかければ、それまでアメリカ製品を買っていたのに自国で開発する)。中国とは世界各地での戦争回避、気候変動阻止、公衆衛生強化など協力分野が多い。代表者には、ジェシカ・チェン・ワイズ・コーネル大学教授(民主党)、ジェームズ・スタインバーグ元国務副長官(民主党)らがいる。

この3種類の分類を見ると、中国にとって望ましいのは、1よりも2、2よりも3であることは言うまでもない。かつ、1=トランプ政権、2=バイデン政権、3=ハリス政権に見立てているようにも思えるのだ。ハリス政権はまだ発足していないので、期待も込めてということだろうが。

実際、全米には約400万人の中国系アメリカ人がいて、約650万人いるユダヤ系に次いで、強い影響力を持っていると言われる。彼らの最大の勢力圏は、ハリス副大統領の地元であるカリフォルニア州だ。当然ながら、ハリス支持に回る。

こうした趨勢の中で、日本の次期首相が、自民党総裁選9候補者の中から決まるのだ。一体誰がふさわしいのだろうか?(連載第745回)

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