『中国で役人のうつ病と自殺者が増えているワケ 1カ月で7人が自殺を図り、6人が死亡したケースも』(6/8日経ビジネスオンライン 北村豊)について

6/9阿波羅新聞網<中共官媒呛两韩终战宣言「无效」美国际法专家打脸=中共メデイアは南北による朝鮮戦争終結宣言は無効であると 米国の国際法専門家は面子を与えず>中国が参加しない終戦宣言は無効であると中国メデイア。これに対し米国の国際法専門家は「朝鮮戦争時、中国は義勇軍の参加で、その名義で停戦に署名した。中国政府として正式に署名したものは未だない。終結宣言は政治的署名であって、法律的なものではない。中国を参加させる必要は必ずしもない」「但し南北両国のサインに米中両大国がサインすれば、ドイツ統一方式と同じで裏書きとなる」と。

http://www.aboluowang.com/2018/0609/1127008.html

6/8ニコニコ動画・CNN<ジュリアーニ: 金正恩が米朝首脳会談の再開を土下座して懇願してきたw>この動画に出て来るクラッパー元DNI長官は、あの悪名高いステイール文書に関わり、ヒラリーやオバマを助けるために、トランプのロシア疑惑をデッチ上げた人物です。CNNにリークしたのは彼です。「お前が言うな」です。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm33332199

http://lovetrumpjapan.oops.jp/2018/03/13/former-dni-james-clapper-allegedly-leaked-to-cnn/

6/9VOA中文版<美议员吁拉美国家勿信北京虚假承诺与台断交=米議員は中南米諸国に北京が台湾との断交と偽の中国との国交を信ずるなと呼びかけ>この1年で中米パナマ、ドミニカの台湾断交を受け、米国議会は中国の中南米での積極外交に注意を払うようになった。下院外交委員会名誉委員長のイリアナ・ロス・レテイーネン(キューバ移民、共和党)は6/8ワシントンで「中南米諸国は金でもって偽の中国との国交を信じてはいけない」と述べた。彼女は6/7ホンジュラス大統領のフアン・オルランド・エルナンデスに会い、「中国は台湾と断交させて中国と偽の国交を結ばせようとしているが、あまたの例が示す通り、金をばら撒いても、それに見合った現金は入って来ない。中国の言うことは信じるな」、「中国はルールを守らず、腐敗している。いつも要人に賄賂を贈り籠絡しようとする。台湾は金で中国とは対抗できないが、彼らが中南米やアフリカの要人と会った時に、金で置き換えられない価値があるものを忘れてほしくないというのを訴えている」と言った。エルナンデスは答えて曰く「ホンジュラスは貧しく、いろんな国から支援を受けなければならない。しかし米国・台湾はホンジュラスの盟友である」と。レテイーネンは「台湾は既に中南米で2ケ国失った。もう1ケ国も失えない。ドミノ効果を起こすかもしれないので」、「中国は西半球で長期的戦略目標を持ち米国の民主主義と影響力を削ごうとし、専制を世界に広めるのに都合の良い秩序を作ろうとしている。もう1ケ国でも台湾と断交し、中国と国交しさえすれば米国の影響力は益々弱まる。このため米国は台湾と中南米諸国との関係を維持し、民主主義国・台湾と共に立つ。貿易・兵器売却・外交と協力する場面は沢山ある。中国の攻撃を撃退するのにとどまらず、民主主義を世界に広めていくのに手助けとなる」と。最近レテイーネンは訪台し、蔡総統と会い、「民主・自由は台湾が強調すべき特徴で、中南米国が貧困の為、資金援助をほしがり、中国がパトロンになっているが、口だけで金は不足している」と述べた。

米国陸軍戦争学院戦略研究所のイバン・エリスは「中国が奪った中南米国は米国の近くに位置する。戦略的価値は重要だ。トランプ政権は中国に対抗して、外交せねば。2008年に両岸が外交休戦をしたが、中国は積極的外交をずっとしてきた。この15年間、中南米では中国の為すがままだったのに、台湾外交部は気に留めていなかった。既に外交休戦の実態はないのだから、台湾は相応の対応をとるべき」と。相変わらず中国は嘘をついて裏でいろいろ工作して来たという事です。

思い起こすのは、モンロードクトリンで「南米はアメリカのもの。他国、特に欧州は口を出すな」というものです。高校で習うのは後半部分だけで「欧州の悪癖から新天地を隔離する」と米国が進んだイメージで語られていたように思います。多分左翼の歴史観が埋め込まれていたのでしょう。でも米国の裏庭にも中国が手を出してきたと米国が自覚すれば、虎の尾を踏んだことになると思います。

しかし、中国を此処までのさばらせてきた米国の責任は重大です。ソ連に冷戦で勝利した時点で中国にも冷戦を仕掛けるべきでした。「豊かになれば民主主義や自由を尊重するようになる」何て中国人と付き合ったことのない人間のセリフでしょう。民族の本質を知らないのにも程があります。

今まで米国が台湾外交に足枷を嵌めて来た咎めが出たのだと思います。中南米での中国の影響力拡大の主たる原因は決して台湾だけの問題ではなく、米国の容共政策にあったと思っています。陳水扁を独立派として応援せず、売国・馬英九を放置しましたから。キッシンジャーの言うことを聞いてきたのが悪いと思います。

https://www.voachinese.com/a/taiwan-china-latin-america-20180608/4431417.html

6/8 VOA中文版<美軍南中國海行動未必有助於其它主權聲索方=米軍は南シナ海での行動で主権を主張する国の助けにはなりそうもない>B-52がスプラトリー諸島の周りを飛び、トランプ就任以降7回も航行の自由作戦をしたが、中国は「爆撃機を恐れず」と発言した。主権主張国は米軍の行動に公開で支持し、自分達の主張に生かすことがなかった。中国軍に不満はあるけれども、禁漁になるまで沿岸警備艇を出すのみ。

https://www.voacantonese.com/a/b-52s-south-china-sea-20180608/4429999.html

米国の反中姿勢がハッキリしてきました。良いことです。多国間で中国大陸に封じ込める必要があります。その為にはトランプの言うようにロシアをG8として迎入れた方が良いのでは。中国はG7と同じ日程でSCO(上海協力機構)を開催しました。ロシアを中国寄りに追いやるのでなく、西側に引き付けておいた方が中国も無茶できなくなります。

北村氏記事で、中国の役人の自殺について触れられていますが、実際はネットの発表数字より多いかもしれません。中共は不都合な数字は隠蔽しますから。1700人という数字は文革時代より酷いというニュアンスで書かれていますが、文革は自殺より殺人の方が多かったはずです。今の時代の方が未だ毛時代よりは良いかと。ただ賄賂を取っていない人がいない社会で何故彼らだけがという不条理な気持ちは残るでしょうが。譬え民主化したとしても収賄の悪癖は残るでしょう。華僑が経済を牛耳る東南アジアを見れば分かります。

記事

中国語で“官員”とは、「任命を経て一定の職務を担当する政府職員」を意味する。その官員に関するネット上の不完全な統計によれば、中国では2012年11月から2016年7月末までの間に1235件の“党(中国共産党)”“政(中国政府)”“軍(中国人民解放軍)”の官員による自殺事件が発生し、782人が死亡した。そのうち、広東省、江蘇省、北京市、遼寧省、安徽省の5省・市では自殺で死亡した官員が100人を上回った。

2012年11月とは、中国共産党第18期全国代表大会(以下「党18期全国大会」)で“習近平”が選出されて“中央委員会”総書記に就任した時期である。要するに、習近平が中国共産党の最高指導者である総書記に就任してから3年8カ月の間に782人の官員が自殺で死亡したということである。

官員の自殺は年を追うごとに増大

一方、香港の英字紙「サウスモーニングポスト」は2016年6月20日付の記事で、「習近平が2012年11月に政権を握って以来、自殺あるいは非正常に(たとえば、河で溺れる、あるいは酒に酔って)死亡した官員はすでに120人に上り、前任の“胡錦濤”が2003年から2012年11月まで政権にあった時に報じられた68人よりも倍近い数字になっている」と報じている。ネット上の統計とサウスモーニングポストの記事では、期間が同じにもかかわらず、官員の死亡者数に前者が782人に対して後者は120人と大きな違いがある。これは数字に含めた官員の階級が異なるからと考えられ、前者は階級に限定しない官員全体のうちの自殺による死亡者数であるのに対して、後者は一定の階級以上に限定した官員のうちの自殺による死亡者数なのだろう。

2017年10月、香港の“中国人権民運信息中心(China Information Center for Human Rights and Democracy)”は、党18期全国大会の開催から現在まで官員の自殺は年を追うごとに増大していると報じ、次のように述べた。すなわち、2016年だけで1700人に達する“副科級(係長クラス)”以上の官員が自殺で死亡したが、これは1966~1976年の“文化大革命”の時と比べてより一層深刻な1年だった。なぜなら、文化大革命の期間中に自殺がピークに達したのは1967年であったが、その年に自殺した官員は約1300人であったからである。多くの情報源から得た中国官員の自殺状況に関する調査によれば、2015年における“副科級”以上の官員の自殺死亡者は1500人であったが、2016年には1700人に増加した。この状況は2017年にはもっと悪化することが予想される。

2017年4月にシンガポールの華字紙「聯合早報」は「データが示す党18期全国大会以降の官員自殺者数の顕著な増大」と題する記事を掲載して下記の内容を報じた。

(1)“北京師範大学”政府管理研究院の院長“唐任伍”は、“反腐敗(腐敗反対)”と自身の能力が新しい情勢下の業務要求に追い付かないことが、官員に対する圧力を倍増する原因であると分析した。その圧力によって精神的に追い込まれた官員の多くが“抑郁症(うつ病)”を発症するのである。

(2)“中国科学院”の“心理研究所”「国家公務員心理健康応用研究センター」の研究データによれば、2009年から2016年までに自殺した官員の人数は243人だが、年毎の人数は以下の通り。

2009年:21人、2010年:25人、2011年:22人、2012年:17人、2013年:10人、2014年:59人、2015年:50人、2016年:39人 <累計:243人>

(3)自殺した官員の人数は、党18期全国大会後の最初の年(2013年)に10人まで減少したが、その翌年(2014年)には5倍に増大して59人になった。その後は減少に転じて2016年には39人になったが、それでも党18期全国大会の前年(2011年)の22人よりも明らかに数字は大きい。一方、中国政府寄りの学者による統計によれば、官員の自殺で最も一般的な方式は“跳楼(ビルからの飛び降り)”であり、その主な原因は“抑郁症(うつ病)”である。

国監察委の設立と関係あり?

さて、米国の中国語ニュースサイト「“阿波羅新聞網(アポロニュースネット)”」は2018年5月29日付で、「1カ月足らずで7人の官員が自殺、状況の異常が関心を集める」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

【1】1カ月足らずの間に、中国の官界では少なくとも7人の官員が自殺をはかり、そのうち6人が死亡した。ある人権活動家は、その原因は2018年3月に新設された“国家監察委員会”(以下「国監察委」)と関係があり、官員は国監察委に調査されるのを恐れて自殺を選択するのだと思うと述べた。また、ある憲法学者は、“中国共産党中央委員会”(以下「党中央」)による腐敗反対活動が一向に手加減されないため、一部の官員たちは疑いなく恐慌を来し、長期にわたって巨大な心理的圧力を受けている。中国共産党第19期全国代表大会で新たな腐敗反対専門部門として国監察委が設立されたことは、党中央が汚職腐敗行為に対する処罰に改めて注力することを意味する。

【2】メディアによれば、5月に相前後して少なくとも7人の官員が自殺した。自殺したのは、浙江省“寧波市”党委員会宣伝部副部長の“胡虎森”(享年47歳)、北京市政府副秘書長の“王暁明”(享年58歳)、江西省“上饒市”の“広豊区”副区長で公安局長の“鄭金車”(享年53歳)、江蘇省“建湖県”老幹部局長の“成萬東”(享年不詳)、“天津農商銀行”党委員会書記兼“董事長(頭取)”の“殷金宝”(享年54歳)、浙江省“衢州市”紀律委員会書記で監察委員会主任の“李伯来”(45歳)の7人だったが、李伯来を除く6人は全員が死亡した。

【3】王暁明、鄭金車、殷金宝、成萬東の4人は先週(5月20~26日)次々と自殺を図って死亡した。殷金宝は天津農商銀行へ転任後1年足らずで、官員として順調に昇進していたのに、突然に執務室でリストカットして亡くなった。また、成萬東は“浙江大学”で開催された建湖県主催の指導幹部に対する7日間の指導能力向上研修の期間中に自殺したため、研修で何があったのかと外部の注目を集めた。

【4】上述した人権活動家は、「わずか1カ月の間にこれほど多くの官員が自殺したのは、国監察委が設立された後に汚職腐敗の取り締まりを強化する旨の内部文書が伝達され、調査で汚職腐敗行為が判明すれば厳しい懲罰を受けねばならないので、死ねば調査が打ち切りになると考えて、自殺を遂げたのではないか」と述べた。

北京市副秘書長の王暁明は5月21日に執務するビルから飛び降り自殺して亡くなったが、彼の家族によれば、医院の診断記録が示しているように、王暁明は長期にわたって“抑郁症(うつ病)”を患っていたという。上述の中国科学院心理研究所の研究データによれば、2009年から2016年までの8年間に自殺した243人の官員の年齢は43歳から55歳の間で、その半数がうつ病であったと診断された。中国のSNSにあるネットユーザーは、「我が家には官員が3人いるが、3人とも申し合わせたようにうつ病で、そのうちの義兄はもう少しで自殺するところだった」と投稿した。

中国の官界ではうつ病はタブー

この点について北京市のある批評家は、次のように述べている。すなわち、現在の官員は昔に比べて厳しい状況にある。現在の役人は給与も非常に高い訳ではなく、“高薪養廉(給与が高いので汚職腐敗行為をせずに清廉潔白)”ではない。過去は権力を用いることで高給でなくとも役得があり、官員として収入が少なくとも、個人の利益で補うことができた。しかし、現在では習近平による官員に対する締め付けは昔に比べて厳しいものがあるだけでなく、世論やインターネットによる監視もあり、官員稼業は楽なものとは言えない。

こうした厳しい環境下で重い圧力を受け続けることで、官員の中にうつ病患者が多発することになるが、中国の官界ではうつ病はタブーなのである。それは、「うつ病を患った官員の抜擢は許されない」という組織の規定があるからで、うつ病を患った官員はうつ病であることをひた隠して健康を装っているが、ひとたび国監察委が官員の汚職腐敗行為を調査するとなると、処罰を恐れて自殺の道を選ぶことになる。

“中国人民大学”の「国家発展・戦略研究院」副院長の“聶輝華”教授は、汚職腐敗官員が自殺するのは3つの利点があるからだと述べているが、その3点は以下の通り。

(1)汚職腐敗行為の証拠を消し去り、同僚を守る。
(2)家族が持つ既得利益を守る。
(3)犯罪者となって侮辱を受けるのを免れ、自身の名声を守る。

正規の治療を受けているのはわずか4.9%

ところで、広東省“広州市”に本部を置く週刊紙「南方週末」は2018年2月1日号で『“抑郁症氷山(うつ病氷山)”』と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

【1】世界保健機関(WHO)は、2020年までにうつ病が“心脳血管病(心臓・脳血管疾患)”に次ぐ人類にとって第2の重大疾病となると予測している。毎年うつ病を原因とする自殺で死亡する人は100万人に上るが、うつ病の発症率は11%だから、10人に1人がうつ病になる可能性がある。2009年に英国の医学雑誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された論文には、中国でメンタルヘルスサービスを必要とする人は2.48億人に上っているが、そのうちで専門家の支援を求めたことのある人は8%であり、正規の治療を受けているのはわずか4.9%に過ぎないと書かれている。

【2】1カ月前(2018年1月)に中国で最大の民営精神専門医院である“温州康寧医院”が株式上場を果たして社会に波乱を引き起こしたが、その株主を呼び込むためのキャッチフレーズは「中国では精神病を患う人の数が急速に増大している」という文句だった。これより9年も早い2009年に“中国疾病予防制御中心(センター)”の「精神衛生センター」が発表したデータによれば、中国には各種の精神障害患者が1億人以上いて、そのうちの1600万人以上が重度の精神障害患者数であるという。従い、中国の総人口は13.9億人(2017年末時点)だから、国民の14人に1人は精神障害患者であるということになる。

【3】現在の中国には1億人以上の精神障害患者がいて、そのうちの1600万人以上が重度の精神障害者である一方で、うつ病の患者は約8000万人いると推定されている。しかし、2015年の“衛生統計年鑑”のデータによれば、中国には精神科の資格を持つ専門医は2万7000人、心理治療士は5000人余りで、合計3万2000人しかいないのが実情である。中国の精神衛生に携わる医師と看護師の人数は増加が緩慢で、世界の中高所得国の平均水準が人口10万人当たりの精神科医師は2.7人、精神科看護師は5.35人であるのに比べて大きな差がある。

【4】ところが、南方週末の記者の調査によれば、中国国内には精神科の専門医と心理治療士が合計3万2000人いるというデータには多大な水増し分が含まれていて、14%の精神科専門医は何らのトレーニングを受けたこともないし、29%の人は大学の教育証明書を持っているだけだという。中国では精神衛生に携わる医師と看護師の社会的地位は低く、福利厚生も劣ることから、全体の素質も低いのが実態で、精神科の医師は専門医師と言える水準には到達していないのである。

13.9億人の人口に対して精神科医と心理治療士がわずか3万2000人しかおらず、しかも精神科医は専門医の水準に到達していない実態があり、一方には8000万人と推定されるうつ病患者がいる。これではうつ病を治癒して患者を削減することは難しい。中国は急速な経済発展を遂げたが、今では中進国の罠に陥って発展が停滞し、人々は社会の厳しい現実に直面して重圧に押しつぶされ、うつ病患者が増えることはあっても減ることはないのである。

2012年11月に中国共産党中央委員会総書記に就任した習近平は、2013年1月に「トラ退治とハエ駆除」を同時に行う旨の重要演説を行い、“反腐敗(汚職腐敗反対)”闘争の開始を宣言した。この闘争を陣頭指揮したのは習近平の盟友であり、党中央政治局常務委員で、党“中央紀律委員会”書記の“王岐山”であった。王岐山が指揮した反腐敗闘争では、2013年から2017年までの5年間で120人の閣僚級の高級官員が逮捕され、そのうち105人が起訴された。また、摘発された官員は130万人に上り、25万4419人が汚職腐敗で立件された。

「王岐山に会うくらいなら、閻魔に会った方が良い」

中国の官界では“寧見閻魔、不見老王”という言葉が流行している。この意味は「老王に会うくらいなら、閻魔(えんま)に会う方が良い」だが、実は香港の文豪で中国侠客小説の大家“金庸(きんよう)”の作品「書剣王仇録」にある“寧見閻魔、莫見老王”(意味は同上)を引用したものである。後者の“老王”は輸送業者の用心棒で、人々に恐れられた剣客の“王維揚”であったが、前者の“老王”は王岐山を指す。「王岐山に会うくらいなら、閻魔に会った方が良い」とは言い得て妙だが、汚職腐敗行為を行った官員にとってはそれほどに恐ろしいのが王岐山であるということである。

中国では官員自殺の多発を“自殺潮(自殺ブーム)”と呼ぶが、その原因を作ったのは習近平であり、官員を自殺に追い込んだのは王岐山である。王岐山は2017年10月に党政治局常務委員と党中央紀律委員会書記を引退し、2018年3月からは国家主席の習近平に次ぐ国家副主席に就任しているが、その威光は依然として強いものがあり、反腐敗闘争を裏で指揮していると言われている。

筆者は常々、「中国はモグラ叩きゲームの国で、何かを取り締まるキャンペーンが始まると、人々は穴倉に潜み、嵐の過ぎるのを待ち、キャンペーンの圧力が緩むと徐々に顔を出し、何もなかったように、従来通り悪事を働く」と説明している。習近平が主導し、王岐山が陣頭指揮した反腐敗闘争は5年を経過してもなお継続している。

このため、嵐の過ぎるのを待ち望んでいたうつ病患者の官員たちは、「王岐山に会う」、すなわち「王岐山の指揮の下で行われる汚職腐敗調査を受ける」のを恐れて、次々と自殺を遂げ、上述した3つの利点を享受しているである。「すまじきものは宮仕え」と言うが、たとえ権力を持ち、汚職腐敗で懐を肥やせるとしても、自殺するくらいなら、官員にはならない方が良さそうだ。

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