『プーチン氏はなぜ大勝で再選されたのか 史上初の過半の得票。経済の低迷打破には人事刷新がカギ』(4/13日経ビジネスオンライン 池田元博)について

4/13杉浦正章<トランプ一触即発の状態でけん制>化学兵器がシリアで本当に使われたのか、使われたとしたらアサドがやったのか、反体制派がやったのかは藪の中です。でも、ロシアだけでなく、中国と北朝鮮に対する牽制にはなったでしょう。

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/archive/20180413

4/13鍛冶俊樹<シリア化学兵器は北朝鮮製か?>鍛冶氏は米軍のシリア撤退を防ぐために、反体制派が化学兵器を使った可能性もあると指摘。また「前回の化学兵器が北朝鮮製だとするならば今回も北朝鮮製だと見るのが当然の理である。北朝鮮の狙いは米軍を中東に釘づけにして対北攻撃を回避する事だ。一方米国は英仏をシリアに代理介入させて、米軍主力を予定通り東アジアに振り向ける算段であろう。」とも述べています。可能性がいろいろとあり、真相は分かりません。ただ、非戦闘員の犠牲は少なくすべきです。

http://melma.com/backnumber_190875_6669936

4/15News US 崩壊ニュース<【ロシア発狂】シリアのミサイル防衛システム、ゴミだと判明www プーチンのメンツ丸潰れキタ>米軍発表ですが下記の写真を見るとロシア製のミサイル防衛システムは機能していなかったのでは。ロシアがこの程度であれば、中国が持っているという(本当かどうか分かりませんが?)ミサイル防衛システムはもっと劣るでしょう。これで中国も米国を舐めて行動しにくくなります。渡邉哲也氏のfacebookには「朝鮮半島有事、対応次第で台湾が独立国家として国際社会に復帰できる可能性がありますね。 台湾が米国をはじめとした西側諸国軍の一員として参加した場合、戦勝国の仲間入りする可能性がある。 敗戦側の北と連携する中国はこれに強く反対できない。 ボルトンあたりが考えていそうです。」とありました。

http://www.news-us.jp/article/20180415-000009w.html

4/15ZAKZAK<東アジアの民主主義危機で中国と台湾の識者らシンポジウム>「幸福の科学」もいろいろ活動していますね。自由を守るためでしたら、ドンドンやってほしい。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180415/soc1804150003-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

4/16北野幸伯メルマガ<米英仏、シリア攻撃~真のターゲットはプーチン

皆さんご存知と思いますが、アメリカ、イギリス、フランスが、シリアを攻撃しました。

<米ミサイル攻撃105発 シリア化学兵器施設3拠点に 朝日新聞DIGITAL 4/15(日) 1:11配信

トランプ米政権は13日、シリアでアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、報復として米軍が英仏との共同作戦で化学兵器関連施設3拠点をミサイル攻撃し、破壊したと発表した。

米国防総省は14日に会見を開き「全てのミサイルが目標に到達した」と強調。

一方、アサド政権を支援するロシア軍に損害が出ないよう攻撃対象は慎重に選ばれたが、ロシアは強く反発しており、米ロの緊張が高まるのは避けられない。>

アメリカがシリアをミサイル攻撃するのは、昨年の4月につづいて2回目。前回も、「アサドが化学兵器を使ったこと」が名目上の理由でした。前回と今回の違いは、イギリスとフランスが攻撃に参加したこ

とですね。

この話、「今日はここまで、さようなら」ともいえる話です。しかし、「過去からの流れ」と「グローバルな動き」を見ると、何が起こっているかはっきりわかります。

▼「米ロ代理戦争」としての「シリア内戦」

振り返ってみます。シリア内戦は、2011年にはじまりました。「アラブの春」が流行っていた頃です。

欧米、サウジアラビア、トルコなどは、「反アサド派」を支持しました。一方、ロシア、イランは、アサドを支援しました。この内戦は、最初から大国同士の「代理戦争」だったのです。ロシアとイランがバックにいるので、アサドはなかなか倒れない。我慢の限界に達したオバマは2013年8月、「アサドを攻撃

する!」と宣言します。ところが、同年9月、「やっぱりアサド攻撃やめた!」と戦争をドタキャンし、世界を仰天させました。

これでオバマは、「史上最弱のアメリカ大統領」と批判された。なぜ「ドタキャン」したのでしょうか?

理由は二つありました。

一つは、プーチンが、「アサドは化学兵器を使っていない!」という情報を大拡散したこと。

<プーチン大統領は記者会見で「シリア政府がそのような兵器を使ったという証拠はない」と述べた。また、シリア反体制派に武器を提供するという米の計画を批判し、「シリア政府が化学兵器を使ったとの未確認の非難に基づいて反体制派に武器を提供するという決定は、状況をさらに不安定化させるだけだ」と語った。プーチン大統領はまた、反体制派が化学兵器を使ったことを指し示す証拠があるとし、「われわれは化学兵器を持った反体制派がトルコ領内で拘束されていることを知っている」と述べた。

さらに、「反体制派が化学兵器を製造している施設がイラクで発見されたという同国からの情報もえている。これら全ての証拠は最大限真剣に調査される必要がある」と強調した。>(ウォール・ストリート・ジャーナル2013年6月19日)

世界ではいまだに、「アメリカは『イラクに化学兵器がある!』とウソをついて戦争を開始した」記憶が新しい。

それで、「オバマは、ウソをついてるんちゃうの?」と慎重になった。

そして、第2の理由は、イギリスがオバマを裏切ったこと。

<シリア軍事介入 英、下院否決/米、対応苦慮/仏、参加崩さず

【ベルリン=宮下日出男、ワシントン=小雲規生】

シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑で、英下院は軍事介入に道を開く政府議案を否決した。有志連合による介入を準備してきたオバマ米政権には痛手となる>(産経新聞 2013年8月31日)

こうしてオバマは、「プーチンのせいで」戦争ドタキャンに追いこまれた。「オバマはうそつきだ!」と大胆に主張するプーチン。オバマは、激怒したことでしょう。「戦争ドタキャン事件」から2カ月後の2013年9月、ロシアの隣国ウクライナで、「反ヤヌコビッチ大統領デモ」が起こります。ヤヌコビッチは、「親ロシア」。そして2014年2月、革命が起こり、「親ロシア」ヤヌコビッチが失脚。激怒したプーチンは、同年3月、「クリミア併合」をして世界を仰天させました。「シリア戦争ドタキャン直後」に起こったこの事件。普通に考えても、「偶然じゃないよね」と思えるでしょう。そのとおり。「ウクライナの革命は、俺がやったのだ」とオバマは、認めています。

「ロシアの声」2015年2月3日付から。

<オバマ大統領 ウクライナでの国家クーデターへの米当局の関与ついに認める

昨年2月ウクライナの首都キエフで起きたクーデターの内幕について、オバマ大統領がついに真実を口にした。恐らく、もう恥じる事は何もないと考える時期が来たのだろう。CNNのインタビューの中で、オバマ大統領は「米国は、ウクライナにおける権力の移行をやり遂げた」と認めた。別の言い方をすれば、彼は、ウクライナを極めて困難な状況に導き、多くの犠牲者を生んだ昨年2月の国家クーデターが、米国が直接、組織的技術的に関与した中で実行された事を確認したわけである。

これによりオバマ大統領は、今までなされた米国の政治家や外交官の全ての発言、声明を否定した形になった。これまで所謂「ユーロマイダン」は、汚職に満ちたヤヌコヴィチ体制に反対する幅広い一般大衆の抗議行動を基盤とした、ウクライナ内部から生まれたものだと美しく説明されてきたからだ。>

「う~む本当だろうか~~???」

それでも信じることができない人は、「YouTube」で「Obama admits he started Ukraine revolution」を

検索してみてください。

シリアに話を戻します。シリアには、「アサド派」と「反アサド派」があった。ところが、「戦争ドタキャン」後、新たな勢力が台頭してきた。それが、いわゆる「イスラム国」(IS)。ISは、「反アサド派」から独立し、勢力を急速に拡大していきました。ISは、残虐行為とテロを繰り返す。オバマも放置できなくなり、2014年8月、「IS空爆」を開始します。

ところが、ISは、依然として「反アサド」でもある。それで、「ISは、敵で味方」という変な状態になった。結果、アメリカの空爆はまったく気合が入らず、ISの勢力は拡大する一方でした。

2015年9月、プーチン・ロシアがIS空爆を開始。プーチンの目的は、「同盟者アサドを守ること」。オバマのような迷いがないので、ISの石油関連施設を容赦なく空爆した。それで、ISは、弱体化したのです。

▼「戦術的勝利」をおさめたプーチン

さて、シリア、ウクライナにおける米ロ代理戦争は、現状どうなっているのでしょうか?思いだしてください。ロシアは、アサドを支援する。アメリカは、反アサドを支援する。

アサドは、いまだにサバイバルしています。フセインやカダフィのように殺されてもおかしくないのに、ま

だ政権を維持している。それどころか、アサドは、ロシアとイランの支援を得て、IS,反アサド派を駆逐し、ほぼ全土を掌握するまでになっています。そう、プーチンは、シリアで「米ロ代理戦争」勝っているのです。実際、彼は2017年12月11日、シリアで「勝利宣言」を行い、ロシア軍撤退を命じています。

ウクライナは?まず、ウクライナからクリミアを奪った。東部ドネツク、ルガンスク州は、事実上の独立状態を維持している。こちらの方も、勝っています。

 

▼アメリカのターゲットは、プーチン

しかし、プーチンは、一瞬たりともリラックスできません。

なぜ?

クリミア併合後、ロシアは、「経済制裁」と「原油価格暴落」ボロボロになってしまった。2018年3月1日、プーチンは、「裏世界史的大事件」を起こします。年次教書演説で、フロリダ州を攻撃する映像を見せ、アメリカを脅したのです。

<「フロリダ州を核攻撃」のビデオ、プーチン大統領が演説に使用 CNN.co.jp 3/2(金) 10:40配信

(CNN) ロシアのプーチン大統領は1日に行った演説の中で、無限射程の核弾頭が、米フロリダ州と思われる場所を狙う様子をアニメーションで描写したコンセプトビデオを披露した。フロリダ州には米国のトランプ大統領の別荘がある。>

<プーチン大統領は演説の中で、極超音速で飛行でき、対空システムも突破できる「無敵」ミサイルを誇示。「ロシアやロシア同盟国に対する核兵器の使用は、どんな攻撃であれ、ロシアに対する核攻撃とみなし、対抗措置として、どのような結果を招こうとも即座に行動に出る」と強調した。プーチン大統領が披露したビデオでは、何発もの核弾頭が、フロリダ州と思われる場所に向けて降下している。>(同上)

この演説で、欧米の指導者たちは、「反プーチン」で一体化してしまいました。3月4日、ロシアのスパイでありながらイギリス諜報に情報を流していた「ダブル」スクリパリさん殺害未遂事件が起こります。メイ首相は、即座に「これはロシアがやった!」と宣言しました。

3月18日、プーチン、大統領選で圧勝。

3月26日、欧米を中心に25か国が「ロシア外交官追放」の決定を下します。

ロシアは、即座に報復しました。

4月6日、アメリカ財務省は、対ロシアで新たな制裁を発動。

<米国>対露制裁対象に38個人・団体 対決鮮明に 毎日新聞 4/6(金) 23:45配信

【ワシントン高本耕太、モスクワ大前仁】米財務省は6日、2016年米大統領選介入を含むサイバー攻撃などロシアの対外「有害活動」に関与したとしてロシアの計38個人・団体に対する制裁措置を発表した。

オリガルヒ(新興財閥)関係者や政府高官らプーチン大統領の周辺人物の多くを対象としており、ロシアとの対決姿勢を鮮明にした。>

この制裁ですが、すでにアメリカ国内で「資産凍結」がはじまっているようです。そして、「プーチンの友人たち」がターゲットになっている。

4月14日、アメリカ、イギリス、フランスは、ロシアの同盟国シリアをミサイル攻撃。

アメリカは、さらにロシア制裁を強化する方針です。

<米、露企業に制裁方針…シリアの化学兵器関連 読売新聞 4/16(月) 1:33配信

【ワシントン=大木聖馬】ヘイリー米国連大使は15日、米CBSテレビのインタビューに対し、シリアのアサド政権の化学兵器開発・使用をロシアが支援していたとして、米政府が16日にも独自の制裁を発動する方針を明らかにした。ロシアが反発し、米露関係がさらに冷え込むのは必至だ。>

▼アメリカの巧妙な戦略

プーチンに対するアメリカの戦略は、非常に巧妙です。

〇情報戦 =  プーチン悪魔化せよ!

例をあげれば、

・プーチンは、国家ぐるみのドーピングを指示した?

・プーチンは、化学兵器を使って、裏切り者を消した?

・プーチンは、アサドに化学兵器を使わせた?

〇外交戦 = プーチンを孤立させろ!

・スクリパリ暗殺未遂を受け、25か国がロシア外交官を追放

・今回は、アメリカ単独ではなく、英仏がシリア攻撃に参加

〇経済戦 = 制裁をますます強化し、ロシア経済を破壊しろ!

・クリミア併合

・ロシアによるアメリカ大統領選介入疑惑

・スクリパリ暗殺未遂

・アサド支援

などなど、とにかく口実を見つけ、どんどん制裁を強化していく。プーチンが、アグレッシブになれば、またそれが「制裁強化」の口実になる。アメリカは、「軍事力」を使わずに、プーチンを追いつめている。

皆さん、「なんでアメリカは、アサド排除を目指さす、一日で攻撃を止めたのだろう?」と考えませんでしたか?別にアサドが政権にいてもいいのです。彼が次回、シリアにわずかに残った反アサド派を攻撃する。すると、米英仏は、「アサドは、また化学兵器を使った!」といって、ミサイル攻撃するでしょう。

そして、またロシアが反発する。欧米は、「ロシアは、アサドが化学兵器を使うのを容認している!」と宣言し、ますます制裁を強化するでしょう。

今のアメリカの対ロ戦略は、80年前の対日戦略と変わりません。>(以上)

プーチンは、proxy war の場面で、欧米に戦術的には勝っていても、戦略の階層で言う上位概念の戦略の所で負けているというのが北野氏の見立てです。

今度のミサイル防衛が失敗だとするとロシア製兵器の信頼性が落ち、輸出にも影響を与え、経済が益々苦しくなる恐れがあります。

池田氏の記事では、プーチンの国民的人気は落ちていないとのことですが、これから経済的な締め付けがますます厳しくなり、個人資産凍結も西側は課すようですから、人気急落の可能性もあります。プーチンを裏切るのも出て来るかもしれません。

記事

3月のロシア大統領選で、現職のプーチン大統領が予想通り再選された。得票率は過去最高となり、史上初めて有権者の過半数の支持を得た。首相時代も含めて、すでに18年近くもトップの座に君臨しているのに、今回の選挙で大勝した要因は何か。

(写真=アフロ)

「すでに多くの人たちが指摘しているが、今回の選挙は恐らく我が国の歴史で最も透明で、もっとも清潔だったと言えるだろう」――。今月3日、プーチン大統領はロシア中央選挙管理委員会のパムフィーロワ委員長と会談し、3月18日に投開票された大統領選の運営を高く評価した。

中央選管の労をねぎらう意図なのだろうが、プーチン氏の発言には当然のことながら、自らが「公正な選挙」で大勝したとの自負がうかがえる。実際、今回の大統領選ではいくつかの選挙区で不正が発覚したものの、2011年12月の下院選の時のような大規模で組織的な票の水増しや不正操作はなかったとされている。

確かに大勝だった。中央選管が発表した最終結果によれば、投票率は67.5%で、プーチン氏は76.69%を得票した。得票率は過去最高だ。しかも今回は1億900万8428人の全有権者のうち、約5643万人がプーチン氏に投票した。ロシアの大統領選で初めて、全有権者の過半数の支持を得たことになる。

圧勝で“マンネリ”の懸念を払拭

大統領府はかねて、プーチン再選戦略として投票率、得票率いずれも70%台の達成を暗黙の目標に掲げていた。投票率こそ7割に満たなかったものの、全有権者の過半数の支持を集めたことで、通算4期目の政権を担う正統性を十分に確保したといえるだろう。

投票結果を詳細に分析すると、2012年の前回大統領選との違いがいくつか浮き彫りになってくる。最大の特徴は、有権者の多い都市部で軒並みプーチン氏の得票率が上昇したことだろう。

とくに前回の2012年の大統領選で、プーチン氏の得票率が47%と過半数に達しなかったモスクワでは今回、70.9%まで伸びた。第2の都市サンクトペテルブルクでも、前回の58.8%が今回は75%に達した。

このほか、エカテリンブルクが56.9%→73.9%、ニジニノヴゴロドが60.6%→76.2%、チェリャビンスクが60.6%→72.1%、サマラが59.7%→75.3%といった状況だ。こうした都市部での票の大幅な上乗せが、プーチン氏を圧勝へと導く原動力となった。

もちろん、カバルダ・バルカル共和国(プーチン氏の得票率は93.38%)、チェチェン共和国(91.44%)など、伝統的にプーチン氏の人気が高いカフカス地域、あるいはロシアが2014年に併合したウクライナ領の「クリミア共和国」(92.15%)のように、得票率が90%台を超えた連邦構成主体も少なくない。

半面、地域別でプーチン氏の得票率がもっとも低かったのはサハ共和国(64.38%)。以下、アルタイ地方(64.66%)、沿海地方(65.26%)、ハバロフスク地方(65.78%)、サハリン州(66.92%)と続き、主に極東・シベリア地域での得票が伸び悩んだ。とはいえ、今回はプーチン氏の得票率が5割を切る自治体はひとつもなかった。

プーチン氏は首相時代も含めてすでに18年近くもトップの座に君臨し、次の任期でさらに6年がプラスされる。さすがに長期政権のマンネリズムへの不満が国内で広がって当然のようにみえるが、今回の選挙は国民の根強いプーチン人気を改めて実証する結果となった。

もちろん、プーチン氏圧勝の裏には政権側の様々な仕掛けもあった。ひとつは投票率、得票率を上げるための工作だ。

プーチン大統領は大統領選投票日の2日前の3月16日、急きょテレビに出演し、「わが国がどのような道を歩むのか。ロシアとわが子どもたちの未来は、ロシアの国民一人ひとりの意思に左右されるのです」と国民に訴えた。

プーチン氏は続けて「我々は一人ひとりが皆、わが祖国の行く末を考え、案じていることでしょう。ですから皆さん、日曜日には投票所に来て、偉大な祖国、愛すべき我がロシアの未来を選択する権利を行使してください」と投票を呼びかけたのだ。現職大統領としての要請ではあるが、自らも出馬する大統領選への投票を呼びかけること自体、極めて異例だ。

政権側は同時に、国家公務員、国営企業や国営銀行の従業員、軍関係者などに対し、投票に行くように半ば強要したとされる。国家機関や企業によっては、投票所に出向いた自身の写真をネットで送信するよう義務づけたところもあったという。

もうひとつは、大統領選の立候補者の絞り込みだ。プーチン政権の腐敗や汚職の実態を暴露し、若者を中心に人気の高い反政権派ブロガー、アレクセイ・ナワリヌイ氏は「横領罪などで有罪判決を受けている」(中央選管)として出馬を認められなかった。

結局、8人の立候補者で競われた選挙戦は、プーチン氏を除けば、ロシア共産党のパーベル・グルディニン氏が11.77%を得票したのが最高だった。一方、プーチン氏の「恩師の娘」として話題を呼んだテレビ司会者、クセーニヤ・サプチャク氏の得票率は1.68%にとどまった。サプチャク氏は「すべてに反対する人々のための候補者」を標榜したものの、ナワリヌイ支持者たちの不満の受け皿として“政権が裏で擁立した候補”のイメージを拭えなかったようだ。

プーチン大統領は投票日翌日の3月19日にさっそく、クレムリンに大統領選の他の候補者たちを一堂に集めて会合を開いた。大統領は席上、「重要なことは国家の利益となる建設的な作業のために、我々が将来に向けて力を結集していくことだ」と述べ、政権への協力を呼びかけている。“官製”選挙だったとの疑いは拭えない。

ちなみに立候補を認められなかったナワリヌイ氏は、「投票のボイコット」を国民に呼びかけたが、これが皮肉にも、投票率とプーチン氏の得票率を高めたとの説がある。国家公務員や国営企業社員などに選挙参加の動員令がかかるなか、あえて選挙に行かなければ「ナワリヌイ支持派」とみなされかねず、多くの有権者がいらぬ不信を招きたくないという理由で投票に参加したというのだ。

英国で起きたロシア人の元情報機関員の暗殺未遂事件が追い風に

真偽はともかく、もうひとつプーチン氏の勝因に挙げられているのが、英国で3月初めに起きたロシア人の元情報機関員の暗殺未遂事件だ。英政府は旧ソ連製の神経剤「ノビチョク」が襲撃に使用されたとし、ロシアによる犯行と断定。ロシアは関与を否定したものの、事件への報復措置として英国に駐在するロシア外交官23人の国外追放を決めた。

大統領選の投票日直前に、英ロ関係は一気に緊迫した。プーチン大統領はまさに「大統領選のさなか」にロシアが襲撃事件を起こすはずがないと主張している。とはいえ、プーチン政権はかねて米欧の圧力に屈しない「強いロシア」路線を掲げ、国民の根強い支持を集めてきた。それだけに英ロの緊張は結果的に、プーチン再選へのさらなる追い風になったとの見方がでているわけだ。

プーチン大統領は3月23日、中央選管が大統領選の最終結果を発表した日に、国民に向けて再び演説した。7300万人以上の有権者が投票に参加し、このうち5600万人以上が自分に投票してくれたとし、「我が国の歴史で支持率が最高の水準になった」と感謝の意を述べた。

さらに、国民の多くが自分を高く信頼してくれたのは「とりわけ(世の中を)良い方向に変えてくれるという期待感からだろう」と自ら分析。そのような評価は過去の実績と結びついているのだろうが、「我々には真の突破口が必要だ」と強調した。

新たな雇用創出、経済の効率性の拡大、実質収入の増加、貧困の減少、インフラ整備、教育や健康など社会分野の発展、環境や住宅問題の解消……。「突破口」を切り開くべく、大統領は次の任期で優先的に取り組む課題も掲げた。

ただし、2012年からの3期目は、原油価格の下落や米欧の経済制裁の影響もあって、2015~2016年に2年連続でマイナス成長に陥るなど経済は大きく低迷した。原油依存の経済構造からの脱却も一向に進んでいない。米欧の制裁圧力が一段と強まる中、次の任期でよほど抜本的な構造改革を断行しない限り、「突破口」を切り開くのは不可能だろう。プーチン氏にその意思はあるのだろうか。

それを占う最初の試金石は、5月の就任式後に公表される人事だろう。すでにプーチン政権下で長らく外交の司令塔となってきたラブロフ外相の引退説がささやかれている。最大の焦点はいうまでもなく首相職だ。メドベージェフ首相が続投するのか、あるいはアレクセイ・クドリン元財務相など、あらたな人材を抜てきするのか。

仮に人事面の刷新がなければ、次の任期でも抜本的な経済改革は望み薄で、経済の停滞は避けられない。選挙で大勝したプーチン氏への国民の期待感も早晩、薄れていくと予測せざるを得ない。

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