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3/9WSJ EDWARD N. LUTTWAK『Suffering From Trumphobia? Get Over It Before the 1980 election, Reagan’s opponents said he would ignite a nuclear holocaust. Didn’t happen.(トランプ恐怖症の苦悩?それは1980年の選挙の前に終わった話。レーガンの相手は、彼が核で虐殺を起こすと言ったが、そうはならなかった。)』について
エドワード・ルトワックのウオールストリートジャーナルへの寄稿記事です。誤訳があればご容赦ください。戦略論の大家もトランプ大統領の現実化に目を背けることはできないと考えているようです。レーガンの例を引いて今は過激発言で大衆の支持を受けていますが、本選が近づけば普通の保守政治家に戻るだろうと。そうしなければクリントンには勝てませんので。確かにSNSを利用した選挙は今までのTV広告を多用したお金のかかる選挙と区別されます。その意味ではイノベーターです。広告会社は真っ青でしょう。日本の政治にもネットの活用をもっと認め、米国と同じく戸別訪問も認めた方が良い。公職選挙法は厳しすぎて、政治家を知るチャンスを少なくしている気がします。
3/11日経電子版の記事にもトランプが豹変する可能性を示したものがありました。
<トランプ氏、暴言封印 討論会で主流派に支持呼びかけ
【ワシントン=吉野直也】米共和党は10日夜、大統領選の候補指名争いの大票田であるフロリダ州でテレビ討論会を開いた。15日の大票田決戦を控え、首位を走る不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は自身のトレードマークである暴言を封印し、党主流派に支持を呼びかけた。指名争いから撤退したキリスト教保守派で元神経外科医ベン・カーソン氏は11日、トランプ氏への支持を表明した。

フロリダ州の討論会の休憩時間に言葉を交わすトランプ氏(左)とクルーズ上院議員(10日)=ロイター
「共和党主流派はこの現実を利用すべきだ」。トランプ氏は討論会で、無党派を含む幅広い層から支持を得ていると説明し「反トランプ」の立場を鮮明にする主流派に再考を促した。トランプ氏の指名を阻止したい主流派内には7月の党大会で決選投票に持ち込み、トランプ氏以外の候補を担ぐ構想もある。
トランプ氏は予備選・党員集会を通じて共和党の新たな支持層を掘り起こしていると強調し、「(民主党の本命候補)ヒラリー・クリントン前国務長官(68)も倒せる」と語った。
トランプ氏にとってキリスト教保守派に人気が高かったカーソン氏の支持が得られたことも追い風だ。カーソン氏と2位につける保守強硬派のテッド・クルーズ上院議員(45)の支持基盤は重なっており、同氏に打撃を与えられると読む。
クルーズ氏は討論会でホワイトハウスがある首都ワシントンでも「トランプ氏は(大統領ではなく)スミソニアン(博物館)のトップとしては歓迎されるだろう」と皮肉った。主流派の党大会での画策にも触れ「惨事だ。投票者の意志を尊重すべきだ」と主張した。
主流派のマルコ・ルビオ上院議員(44)は「あらゆる選挙は重要だが、今回の大統領選は世代間闘争だ」と支持を求めた。伸び悩むルビオ氏は地元フロリダで敗北するような事態になると、撤退が現実味を帯びる。世論調査ではトランプ氏に先行を許しており、厳しい戦いを強いられている。
15日の大票田決戦はフロリダ、オハイオなど各州で予備選・党員集会がある。フロリダやオハイオは首位候補が州の代議員を独占する「勝者総取り」方式で、ここでトランプ氏が勝利すれば、指名獲得への流れが一気に加速する。>と。
日本にも厳しい物言いをするトランプですが、大統領になれば変わるでしょう。中国に対してはクリントンのように中国から金を貰って来たわけでないので、米国の覇権に挑戦していることが分かれば対峙すると思います。そのためには日米同盟を基軸とした自由主義諸国の結束こそが大事と理解するでしょう。
記事

The candidate meets the press in Jupiter, Fla., March 8. PHOTO: JOE RAEDLE/GETTY IMAGES
By EDWARD N. LUTTWAK
March 9, 2016 6:13 p.m. ET
Unlike the fear of Islam, which is a rational response to Islamist violence across the world, the fear of Donald Trump really is a phobia. There is a precedent for this: the panicked Reaganphobia that preceded the 1980 election. We heard that Ronald Reaganwas a member of the John Birch Society—whose essential creed was “Better Dead Than Red.” He therefore rejected “mutual assured destruction,” the bedrock strategy of the liberal consensus to guarantee coexistence by nuclear deterrence. Reagan, it was said, believed in “counterforce,” that is in a disarming first strike to win a nuclear war.
Mr. Trump irritates many with his vulgarities but Reagan was insistently depicted as a threat to human survival, so that most of the columnists and editorial writers of the quality press reluctantly called for Jimmy Carter’s re-election, despite the clamorous failures of his hopelessly irresolute administration. In Europe there was no reluctance. In London, Paris and Bonn, then the capital of West Germany, the re-election of Jimmy Carter was seen as a necessity to keep the bomb-thrower Reagan out of the White House, and well away from the nuclear button.
So many eminent people, including W. Averell Harriman, adviser to five U.S. presidents and chief negotiator of the 1963 Limited Test Ban Treaty, asserted that Reagan wanted to start a nuclear war that the KGB went on maximum alert from inauguration day for more than two years, forcing its officers around the world to take shifts on 24-hour watches of all U.S. strategic air bases to detect the telltale simultaneous launchings of a nuclear first strike.
In 1983, two years into his first term, Reagan did send U.S. troops into action to fight a war . . . in tiny Grenada, whose 133 square miles was the only territory that Reagan invaded in eight years. As for nuclear weapons, Reagan horrified his advisers at the 1986 Reykjavik Summit with Mikhail Gorbachev with his eagerness for nuclear disarmament, thereby disclosing that he didn’t even believe in strike-back, let alone in attacking first. He wanted ballistic-missile defenses, not ballistic missiles.
Mr. Trump’s lack of good manners may be disconcerting, but as president his foreign policies are unlikely to deviate from standard conservative norms. He would only disappoint those who believe that the U.S. should send troops to Syria to somehow end a barbaric civil war, or send troops to Libya to miraculously disarm militias, or send troops back to Iraq to preserve its Iran-dominated government, or send more troops back to Afghanistan where the Taliban are winning because of the government’s incapacity and corruption.
President Trump would do none of the above. He will send troops home from Afghanistan and Iraq, while refusing to intervene in Libya or Syria, or anywhere else in the Muslim world, where U.S. troops are invariably attacked by those they are seeking to protect. Real conservatives want to conserve blood and treasure, not expend them lavishly to pursue ambitious political schemes.
As for trade, yes, Mr. Trump has called for tariffs against China and Mexico. Most economists now agree that wage stagnation in the U.S. and other advanced countries is caused by imports from China and other newly industrialized countries. Tariffs are unlikely, but one should expect vigorous antidumping measures, instead of allowing entire industries to be submerged.
What about the racism then? Born and raised in New York City, Mr. Trump has met one or two people during his life who are not white Anglo-Saxon Protestants. He is unlikely to be startled by an encounter with a person of “Hispanic” or “Latino” origin. He has worked successfully with any number of African-Americans, and he has certainly shared a meal or two with Jews, including his son-in-law, Jared Kushner.
True, Mr. Trump launched his campaign by denouncing the supposed crimes of illegal immigrants from Mexico. But given his personal history, one may seriously doubt the sincerity of his anti-Mexican sentiments. He must certainly find ways of undoing the damage—starting with a fulsome apology—but nobody should view Mr. Trump as a racist because of those remarks.
That said, Mr. Trump is unlikely to persist with the State Department’s “resettlement” programs that keep flying Iraqis, Somalis and assorted others to Maine and other states supposedly in need of diversity—although the locals think otherwise.
The hysteria in certain circles notwithstanding, a Trump presidency would offer only the prosaic changes of any conservative administration: less activism across the board, with a view to saving some money; less environmentalist extremism; fewer “programs” instead of more of them; and no special efforts to add to minority representation in new categories, such as the transgender Supreme Court nominee that some are calling for.
In practice, these are all changes at the margin—a matter of 5% less spending rather than 5% more. In this election, though, that in itself would offer a clear alternative to the huge increases in government spending advocated by Bernie Sanders and followed by Hillary Clinton. While Mrs. Clinton may not follow through, one should not count on her insincerity.
So those who are planning to emigrate if Mr. Trump is elected president—one heard lots of emigration vows when Reagan was winning—might wait a week or two after inauguration day before fleeing. They might discover that President Trump is as good an administrator of the public weal as he was in his presidential campaign—the cheapest by far, and successful too.
Mr. Luttwak’s books include “The Endangered American Dream” (Simon & Schuster, 1993) and “The Rise of China vs. the Logic of Strategy” (Harvard, 2012).
3月8日、候補者はフロリダ州のジュピターで記者会見した。写真: ジョーRAEDLE
エドワード・N.ルットワークの意見
2016年3月9日午前6時13分午後ET
世界に広がるイスラム教徒の暴力に対し合理的な対応はイスラム教を恐れることではないように、ドナルド・トランプを恐れることは恐怖症としか言いようがありません。前例があります。1980年の選挙を前にレーガン恐怖症と言われてパニックに陥りました。ロナルド・レーガンはジョン・バーチ協会のメンバーであり、協会の根本的な信条だった「アカの支配であれば死んだ方がマシ」の信奉者と聞きました。 彼はそれゆえ核抑止による共存を保証する寛大な合意の基本戦略である相互確証破壊(MAD)を拒否しました。レーガンは、核戦争に勝つためには敵を無害化する一撃、つまり「反撃能力」を信じていたと言われています。
トランプ氏は、その下品さにより多くの人を苛立たせていますが、レーガンは人類の生存を脅かすものとしてずっと描かれ、故に高級紙のコラムニストや論説委員のほとんどはジミー・カーターの絶望的に決断できない管理能力のなさにも拘わらず、しぶしぶ彼の再選を求めました。ヨーロッパではカーターは全く抵抗がありませんでした。ロンドン、パリ、西独の首都ボンでは、ジミー・カーターの再選は、爆弾投下魔レーガンをホワイトハウスから遠ざけ、核のボタンから離すので良いことと看做されていました。
多くの優れた人物、中でもW. アヴェレルハリマンは5代に亘って米大統領の顧問として仕え、1963年の部分的核実験禁止条約の交渉責任者でもありましたが、KGBがレーガンの就任日から2年以上も最大の警告を続けて来た核戦争を開始したいとレーガンは考え、すべての米国の戦略空軍基地において、核の一撃の発射の証拠となるものをチエックするために、スタッフに24時間監視のためのシフトを取る、と主張しました。
1983年、彼の1期目の2年目ですが、レーガンは小国のグレナダに米軍を派兵しました。そこは133平方マイルの領土しかないのに、8年間ずっと侵略しました。 核兵器について、レーガンは1986年のレイキャビクサミットでミハイル・ゴルバチョフとの会談で核軍縮について熱心に話をして顧問を震え上がらせ、彼は報復攻撃を信じてもいないが、やられ放しにもしない。ほしいのは弾道ミサイルではなく、ミサイル防衛だと明らかにしました。
トランプ氏の行儀の悪さにまごつくかもしれませんが、大統領になれば、彼の外交政策は、標準的な保守の規範から逸脱しそうにありません。米国は何とか野蛮な内戦を終わらせるためにシリアに軍隊を送ったり、民兵を奇跡的に武装解除するためにリビアに軍隊を送ったり、イランに支配された政権を維持するためにイラクに戻って部隊を送ったり、政府の無能と腐敗のためタリバンが支配しているアフガニスタンに再度派兵すべきと信じる人々を彼はガッカリさせるかもしれません。
トランプ大統領となれば、上記のいずれもしないでしょう。米軍は保護を求める人々によって絶えず攻撃されるようなイスラム世界や、リビアやシリアに介入することを拒否しつつ、アフガニスタンとイラクから撤兵させるでしょう。本当の保守派は、政治的野心を追求するためにムダに生命・財産を費やすのでなく、それらを守るものです。
貿易に関して、トランプ氏は、中国とメキシコに対する関税を要求しています。多くの経済学者は、現在米国および他の先進国における賃金の停滞は、中国やその他の新興工業国からの輸入が齎したものということに同意します。関税の見込みがなければ、人々は業界全体が沈下する前に、強力な反ダンピング措置を期待します。
それから人種差別についてはどうでしょう?ニューヨーク市で生まれ育ったトランプ氏は、彼の人生の中で1人か2人出会ったWASPではありません。彼はルーツが「ヒスパニック」または「ラティーノ」の人と出会っても、びっくりしそうもありません。彼は多くの黒人とも働いて結果を出し、確かに彼の義理の息子ジャレッドクシュナーを含むユダヤ人との食事を共にしています。
実の所、トランプ氏は、メキシコからの不法移民の犯罪を非難することによって彼の選挙キャンペーンを開始しました。しかし、彼の個人的な歴史を考えると、人は彼の反メキシコ感情が本物かどうか疑うかもしれません。彼の発言のせいで人種差別主義者と看做されないように、充分な謝罪から始めて、ダメージを受けない方法を見つけなければなりません。
トランプ氏は多様性の必要からイラクや、ソマリア、他の組み合わせからメイン州や他の州に「移住」させる国務省の計画に固執していないよう見えます。現地の人の思いとは関係なく。
特定の集団のヒステリーにもかかわらず、トランプ大統領となれば、保守派の平凡な行政に変わるでしょう。お金を節約するため、部局を跨る活動を少なくし、過激派の環境保護活動も少なくします。「計画」を増やすのでなくより少なくします。例えば誰かが要求している性転換した最高裁判事候補のような新しい分野で少数者を代表するものを加えていくことに特別な努力は要しません。
実際、これらは全て許容範囲の変化です。5%より多く消費するより5%少なく消費するという問題です。この選挙では、政府支出の大幅な増加を提唱するバーニー・サンダースとそれに従うヒラリー・クリントンに対して明らかに代替案を提供するでしょう。クリントン氏がそれに従わないかもしれませんが、彼女の不誠実さを期待しないでください。
トランプ氏が大統領に当選したら移住を考えている人は、レーガンが勝った時にも移民の誓いをたくさん聞いたものですが、脱出する前に、就任日から一週間か二週間待った方が良いかもしれません。大統領選挙のときにはるかに安いコストで成功したように、トランプ大統領は公共の福祉の良い管理者であることを発見するかもしれません。
ルットワック氏の本は、「絶滅のおそれのあるアメリカン・ドリーム」(サイモン&シュスター、1993)と「戦略の論理対中国の台頭」(ハーバード、2012)が挙げられます。
3/11日経ビジネスオンライン 北村豊『習近平、3大国営メディアに「党の代弁」要請 全権掌握へ、「江沢民の牙城」に乗り込む』について
習近平VS劉雲山(上海派)の争いはどう決着が付くかです。でも敵陣に乗り込む勢いからすれば、習の方が有利と見ます。劉は薄熙来と同じ運命を辿るかも。上海派は追い込まれています。逆転できるネタがあればとっくに出しているでしょうから。上海派は法輪功の弾圧をしてきていますので、信者に憎まれています。もし、習と上海派の立場が逆であれば信者から有益な情報が取れたかも知れませんが。
でも本記事の新華社の上部の媚び諂い方は中国人の典型です。まあ、問題を起こせばすぐ首になるから致し方ない面はありますが。それでも、社員のレポートでやんわり批判できるようになっただけ、昔と比べれば進歩したと言えるでしょう。勿論すぐ削除の憂き目にあったとしても。昔なら有無を言わさず拘束、人知れず殺されたと思います。IT技術の進歩で発表する場ができたことは大きいでしょう。昔は壁新聞の時代ですから。
任志強のような人は今後も出て来るでしょうが、習は力で押さえつけようとするでしょう。「国民の為」という大義名分は「共産党の利権の為」に今でもすり替わっています。自由競争の結果で格差が広がったのなら仕方のない面もありますが、銭権交易で不当に富を収奪してきたのは弁解の余地はありません。打倒さるべき政体です。
やはり、中国経済を崩壊させるのが世界平和の近道と考えます。中国が民主化したとしても民族性は変わらないでしょうから距離を置いて付き合うことが肝要です。勿論、中国がそんなに簡単に民主化するとは思っていませんが。日米欧は民主化の助けになる事であれば未だしも共産党の延命に手を貸すのは止めてほしい。黒田日銀総裁のように資本規制を言って中国を助けるような言動は慎むべきです。財務省も国賊が多いです。自分は頭がいいと思いこんで驕るのでしょうけど。学力は緊急時には役に立ちません。平時の時に前例踏襲するには便利でしょうけど。
記事

3月5日から始まる第12期“全国人民代表大会(略称:全人代)”第4回会議を目前に控えた2月19日、中国共産党総書記の“習近平”は、中国国営メディアである“人民日報”、“新華社”、“中央電視台(中央テレビ)”を順次視察し、“党和政府的媒体姓党(中国共産党と中国政府のメディアは中国共産党の代弁者である)”と強調した。
中央テレビを視察した際には、中央テレビの職員が「中央テレビは“姓党(党の代弁者であり)”、絶対に忠誠ですから、どうぞ検閲してください」というプラカードを掲げて、習近平に媚びを売った。また、その後に行われた“高層宣伝工作会議(首脳部宣伝業務会議)”の席上、習近平は「メディアは党と政府の宣伝の拠点であり、“必須姓党(党の代弁者でなければならない)”」と述べた。
新華社、最高指導者の査察を熱烈歓迎?
その2日後の21日、ある新華社の職員はインターネットの掲示板に匿名で、習近平視察に際しての新華社の対応振りについて書き込んだ。この書き込みは瞬くうちにネット上で伝播されたが、たちまち削除された。その書き込みの全容は以下の通り。
【1】“春節(旧正月)”明けの出社2日目の2月15日、1枚の表を受け取り、個人情報を書き込んだ。聞くところによれば、それは政治審査表で、新華社職員の中から500人の“歓送隊伍(見送り隊)”を選ぶためのものであり、私はその中に1人に選ばれたのだった。なお、見送り隊とは別に“歓迎隊伍(出迎え隊)”も組織された。私は一貫して歓送迎などという儀礼的な行事には興味を持っていなかったが、上司がこれは政治的任務であり、参加しなければならないと言うので、どうしようもなかった。“習大大(習近平おじさん)”<注1>は我が国の最高指導者であり、非凡な人であり、機会があれば彼を見たかったし、それは自分にとっても光栄と思えた。2月18日午後の退勤時に、上司は私たちに、習近平が明日視察に来るので、明日は鮮やかで美しい衣装を着てくるようにと命じた。
<注1>“習大大”は習近平の愛称として作り出された言葉。“大大”はパパあるいはおじさんを意味する。庶民に親しまれる習近平を演出するのが目的か。
【2】今日(19日)家を出る時、私はいつも通り紺色のダウンコート(年齢も高いので保温が一番)を着て、赤いスカーフ(多少は色鮮やか)を首に巻いた。新華社ビルに到着すると、周辺には“便衣(私服警官)”、“武警(武装警察)”、“特警(特殊警察)”がくまなく配備されていた。8時50分に私たち500人はそれぞれ勤務する階から1階へ降りて講堂へ集合するよう命じられた。但し、その時には携帯電話などの電子機器の携行は禁止された。執務区域はすでに警戒が厳しく、出るだけで、入ることは許されなかった。指揮者は私たちに今後の予定を次のように説明した。すなわち、このまま1時間座って待ち、その後順番に列を作って安全検査を受けてから、南門の内側に整列して、習近平が新華社ビルを出てくるのを待ち、見送りを行う。
【3】これと同時に、指揮者は私たちに次のように指示を出した。もし習近平が見送りの人たちと握手をしようとするなら、握手するのは1列目の人だけに限定し、2列目の人は手を伸ばしてはならない。習近平が通り過ぎる時にはただ拍手して「“総書記好!(総書記こんにちは)”とだけ言い、自分勝手に声を掛けてはならないし、“近平,您好(近平、今日は)”といった類のプラカードや横断幕を掲げてはならないし、1列目の人は手袋などの使用も禁止。
【4】講堂ではあてがわれた番号順に座ったので、左右に座った人と必ずしも顔見知りというわけではなく、誰もが顔を見合わせるだけで手持無沙汰で、たまたま知り合いがいると世間話に花を咲かせた。私は本を読んでいたので、時間つぶしはさほど苦にならなかったが、近くに知り合いがいて話しかけてきたので、読書に専念できなかった。講堂内にいる人々を見渡すと、非常に多数の人が色鮮やかな衣装を身に着けていた。顔見知りで、間もなく定年退職する爺さんはすごく目立った。彼はめでたい日に着る真っ赤な綿入れの上着を着て、真新しい青色の中折帽をかぶっていた。彼は、日頃は濃いグレーの衣装ばかりで帽子などかぶったことなどなく、まるで春節に母親によっておめかしさせられた赤ちゃんみたいだと、皆は陰で彼を笑っていた。
【5】数十分が過ぎた頃、指揮者が安全検査の後はトイレに行くことはできないから、急いでトイレを済ますようにと指示を出した。人々は一斉にトイレへ殺到し、トイレの前には長蛇の列ができた。その後、待つこと1時間、1時間半、2時間と過ぎても、一向に安全検査を受けるようにとの指示はなかった。座るのに飽きた人々は講堂の入り口に集まったが、警戒は依然として厳重で、ビルの入り口には武装警察官が乗ったマイクロバスが停まっていて、車の窓から武装警察官が見張っていたので、人々はただ待つしかなかった。新華社の敷地内にある高層の住宅ビルの窓からは、武装警察官の頭が見え隠れし、武装警察官は住民の家にまで入って警備を行っているようだった。朝出勤と同時に、執務室の窓はすだれを巻き上げるよう指示を受け、併せて狙撃手に撃たれるから窓際でうろうろするなと注意喚起もあった。一方、この間も指揮者は盛んに携帯電話で連絡を取っていたが、何も動きはなかった。
「肩すかし」の対価はコメディ映画とまんじゅう
【6】この日の天気は暖かくないばかりか、風もあった。講堂の入り口に立って、自分の執務室の窓を見上げると、小鳥のように飛んで執務室へ入り、自分の椅子に座ってゆっくりと熱いお茶を飲み、ネットにログインしたいとつくづく思ったものだった。11時15分頃、執務ビルから出て来た1人の保安係が講堂入り口にたむろしている人々に対して、「あんたたち解散だ。総書記はもう帰った」と呼びかけた。一瞬の沈黙があったのち、失望と怒りが入り混じった声が鳴り響いた。そして500人の見送り隊は解散となり、人々は三々五々執務室へ戻った。ある者は総書記に会えなかったことを悔しがり、ある者はようやく自由の身になったことを喜んだ。誰かが「今日は“愚人節(エープリルフール)”か」と言えば、またある者は「我々500人はきっと政治審査をパスしなかったので、臨時的に閉じ込められたんだ」と冗談を言った。
【7】その日の午後、見送り隊は通知を受け取ったが、その内容は次のようなものだった。
午前中の行事は都合により取り消しとなった。皆さんの理解と協力に感謝の意を表し、映画『“美人魚(マーメイド)”』<注2>を特別上演します。日時は2月23日午後12時20分から、今日の見送り隊の番号札が入場券となります。同時に“慶豊包子舗(慶豊包子店)”<注3>の優待券50元(約1000円)を発給します。
<注2>『美人魚』は2016年春節元旦(2月8日)に封切られた映画で、富豪と人魚のロマンチックコメディ。 <注3>“包子”は中華まんじゅうを意味する。“慶豊包子舗”は2013年12月28日の正午に習近平がお忍びで立ち寄り、列に並んで順番を待って“包子”を食べたことで有名になった。
さて、国営メディアは“中国共産党中央委員会宣伝部(略称:中宣部)”の管轄下にあり、中宣部を主管しているのは、中国共産党中央政治局常務委員の“劉雲山”(序列第5位)である。劉雲山は“江沢民”元総書記のグループに属し、1993年に中宣部に着任してから副部長に就任し、2002年10月から2012年11月まで中宣部長を務めた。劉雲山退任後の現職の中宣部長は“中国共産主義青年団(略称:共青団)”グループに属する“劉奇葆”だが、政治局常務委員として中宣部を主管する劉雲山の力は強く、劉奇葆は名目上の中宣部長と言える。
「暗殺」恐れ厳重警備、ネット上では猛批判も
中宣部は中国共産党のイデオロギーや宣伝活動を統括する部門で、新聞、出版、教育、テレビ、ラジオなど広範な部門を指導、監督しているが、劉雲山は頻繁に習近平の意向に逆らう姿勢を示しており、中宣部は最後に残された江沢民グループの牙城と化していると言われている。従って、劉雲山は、習近平にとって目の上のたんこぶと言うべき存在なのである。その敵の牙城に習近平自身が視察を名目に乗り込んだのが、2月19日の一台(中央電視台)、一報(人民日報)、一社(新華社)の視察であった。
だからこそ、国営メディアの視察であるのにかかわらず、万が一の暗殺を恐れる習近平は、警備を極力厳重にし、新華社の視察では当初予定していた500人編成の見送り隊の送迎を受けぬまま、密かに新華社を後にしたのだった。習近平は2012年11月の総書記就任の当初、“軽車簡従出行(地位のある人物が供回りを質素にして出かける)”ことを公言したが、今や大量の兵士による厳重な警戒がそれに取って代わっているのである。
ところで、冒頭で紹介したように、習近平は「メディアは党と政府の宣伝の拠点であり、“必須姓党(党を代弁しなければならない)”」と述べた。従来、党メディアは“党的喉舌(党の代弁者)”と言われてきたが、“党媒姓党(党メディアは党の代弁者)”はその度合をさらに強めることを意味している。この発言に敢然とかみついた人物がいた。
それは“任志強”である。任志強は1951年3月生まれの64歳。2007年に亡くなった父親の“任泉生”は中国政府“商業部”の元副部長だった。1981年まで12年間を軍人として過ごした任志強は、その後不動産開発に従事し、1993年に“北京市華遠集団”を設立して“総裁”となる。彼の事業は順調に発展し、不動産業界では名の知られた存在となった。
任志強は優秀な“中国共産党員”であり、以前には北京市“西城区”の人民代表に選出されたことがあり、現在は“中国人民政治協商会議北京市委員会委員(略称:北京市政治協商委員)”である。
任志強は折に触れてネット上の自身の“微博(マイクロブログ)”にコメントを書き込んでいたが、その直截で批判的な口調はネットユーザーたちの人気を集めた。任志強の“微博”はフォロワー数が3700万人いるとされ、ネット上の重要人物を意味する“網路大V”の1人として知られている。
「人民の政府はいつから共産党の政府になったのか」
その任志強が上述した中央電視台のプラカード「中央テレビは“姓党(党の代弁者であり)”、絶対に忠誠ですから、どうぞ検閲してください」と習近平の“党媒姓党”発言に反発したのだ。彼は2月19日夜に“微博”で発表した文章の中で次のように述べた。
(1)人民の政府はいつから中国共産党の政府に変わったのか。使っているのは共産党の活動資金なのか。これは好き勝手に変えることはできない。納税者のカネを使って納税者にサービスを提供しないようなことをするな。
(2)対立する2つの陣営を徹底的に分けることはできるのか。全てのメディアが共産党の代弁者で、国民の利益を代表しないなら、国民は打ち捨てられ片隅に忘れ去られるだろう。
これに対して、国営メディア「北京日報」傘下のニュースサイト「千龍網(ネット)」は2月22日付で『誰が任志強に反党の自信を与えたのか』と題する文章を掲載した。その内容は、任志強が“党媒姓党(党メディアは党の代弁者)”に反駁して攻撃したと指摘し、任志強は共産党員であるにもかかわらず、その党員としての自覚を喪失したと論じたのだった。千龍網の文章を皮切りに、中国メディアは相次いで任志強を次のように糾弾した。すなわち、任志強は長期にわたり、党規約や政治規則に違反した言論を発表してきた。その行為はその宣誓を行った入党宣言と相反し、党員としての原則を忘却したばかりか、党のイメージに損害を与えた。党員が反党の言論を発表すれば、その威力と損害は非党員が同様のことを行うのとは比べものにならない。このような党内の反党分子は党規約と規律処分条例に照らし除去しなければならない。
2月28日、“中国国家互聯網信息辨公室(中国国家インターネット情報弁公室)”は“新浪(sina.com)”、“騰訊(QQ.com)”などのポータルサイトに対して、任志強のアカウントを閉鎖するよう命じた。アカウントが閉鎖されたため、現在、任志強の“微博”は「ごめんなさい。このアカウントは異常が出たので、当面訪問できません」と表示されるのみ。翌29日には、北京市西城区党委員会が『任志強の重大規律違反を正確に認識することに関する通知」を発表し、党員が党の方針・政策と一致しない言論を公表することは、それがインターネット上であろうともメディア上であろうとも、全て党規則が許すものではないと表明した。西城区党委員会は「中国共産党規律処分条例」に厳格に照らして、任志強を厳粛に処罰するという。
それは「裸の王様」への道
2015年10月に公布された『中国共産党規律処分条例』は、党員に対する規律処分を5段階に分けている。その内訳は、警告、厳重警告、党内職務解任、党籍保留のまま謹慎処分、党籍解除となっている。情報筋によれば、上述した北京市西城区党委員会の通知には、任志強と呼び捨てにして、敬称の“同志”を付けていないことから、任志強は最も重い党籍解除の処分になると思われるという。
2月19日の国営メディア視察を通じて、メディアの忠誠を確認した習近平は、今後宿敵の劉雲山を排除する形で、全権力を一手に握り、皇帝としての地位を確実なものとしようとしている。習近平にとって、任志強のような歯に衣着せない論客は、害虫以外の何物でもなく、排除するに越したことはないのである。イエスマンだけを重用する裸の王様の運命は、どうなるのか。それは神のみぞ知るである。
3/10日経ビジネスオンライン 長尾賢『海洋安保をめぐって激化する本物のスターウォーズ 日印は宇宙空間でも連携するべき』について
中国の衛星破壊事件では、宇宙ゴミ(スペースデブリ)が沢山出て、他の衛星を脅かしました。人の迷惑を顧みない国です。
http://www.sankei.com/world/news/150325/wor1503250042-n1.html
中国は三戦(世論戦、法律戦、心理戦)の他に、戦闘領域を宇宙・深海・インターネットの世界に広げています。昨年7/1国家安全法により定められました。日本も今までの戦争の概念に閉じこもっていたのでは、敗れることになります。第二次大戦の敗戦はABCD包囲網を築かれた時点で決まったようなものです。中国の軍事暴発を防ぐためにはATO(Asian Treaty Organization)による同盟構築が重要です。条約締結よりは具体的行動の積み上げで信頼関係を重ね、然る後に条約締結の流れが自然かと。中国包囲網を作ることが重要です。3/8王毅外相は日本に「日中関係の改善について日本側の対応が妨げになっている」と注文を付けて来ましたが、それだけ日本の行動が中国の軍事行動の牽制(南シナ海での)になっているという事です。中国の嫌がることはドンドンした方が良い。
インドとの宇宙部門での提携もした方が良いでしょう。「はやぶさ」が地球に帰還できるだけの技術力を持っている日本だから、インドと日本が協力して宇宙空間から中国の行動を監視できるようにした方が良いと思います。勿論、日米豪印で情報も共有化すべきです。またインドと核技術でも協力しあい、いざと言うときはインドから核を有償譲渡して貰えるだけの関係が作れれば良いと思います。
記事
海洋安全保障をめぐって宇宙空間でも競争が起きている。映画のスターウォーズほど派手ではないが活発な動きだ。今月、東京で「安全保障分野における日米宇宙協議」が行われた。先月は米国とインドが宇宙利用に関する協議を行い、海洋安全保障についても話し合った。
特にインドは具体的な動きを進めつつある。南シナ海を囲むベトナム、ブルネイや、インドネシアにも衛星追跡局(厳密には、データ受信追跡テレメタリー局)を設置する計画だ。すでに1月、ベトナムの施設は完成した(図1参照)。
こうした動きは何を意味しているのだろうか。それは地域の安全保障情勢、そして日本の国益にとってどのような意味を持つのか。本稿は、海洋安全保障と宇宙空間のかかわりと、特にインドが進める宇宙利用に焦点をおき、日本の国益について考察する。
図1:インドが衛星追跡局を整備しつつある国々(オレンジ色)

出所:筆者作成(インドは、インド洋のモーリシャス、アンダマン・ニコバル諸島=インド、東南アジアのベトナムのホーチミン市、ブルネイ、インドネシアのビアク島、南太平洋のフィジーに、衛星追跡局を設置する)
海洋安全保障と宇宙空間が交わる3つ交差点
このトピックを考える際に、まず気になるのは、そもそも宇宙が海洋安全保障にどうかかわるのか、ということだ。一見すると明確ではないかもしれない。しかし、実は大きなかかわりが出始めている。それは大きく3つに分かれる。南シナ海を例に説明しよう。
1つ目は、南シナ海で何が起きているかを知るために宇宙が活用されている。例えば、南シナ海で中国が進める人工島建設や対空ミサイルの配備動向を把握するため、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)は人工衛星を使った画像を利用している。南シナ海のように、人があまり住んでおらず、周辺各国のレーダー網の整備も十分でない海で何が起きているのか把握するには、衛星の力に負うところが大きい。
2つ目は、自分がどこにいるかを把握すること。中国が建設している人工島から12カイリの海域に米国が軍艦を航行させる場合、衛星を利用した位置測位(GPS)システムが有用だ。
3つめは通信である。状況をいち早く届けるのに衛星通信を使用するのである。衛星通信は妨害されづらく、軍事用には最適だ。
このように現代の海洋安全保障のシステムは、平時から衛星に依存している。そして、もし戦争になった場合、衛星はより重要性を増す。特に、最先端の武器を保有している米国は衛星に依存する度合いが大きい。艦艇から巡航ミサイルを発射し敵の拠点を攻撃する場合、敵の拠点がどこにあるのかを衛星で把握し、発射したミサイルがどこを飛んでいるかを衛星で把握しながら誘導する。これらの情報を衛星を通じて通信し、命中したのかどうかまで衛星を使って確認する(図2参照)。
図2:巡航ミサイル発射と人工衛星のかかわり概念図

出所:筆者作成
結果、心配事が出てきたのである。2001年、米国議会が設置した宇宙委員会(正確には「米国国家安全保障宇宙管理・組織の評価委員会」)が報告書を発表した。この報告書が、米軍が衛星を使ったシステムに依存していること、衛星を攻撃される脆弱性があることを指摘したのである。
実際、2007年、中国が衛星を破壊する実験を行った。地上から打ち上げたミサイルで、宇宙空間の衛星を破壊したのだ。衛星を破壊されれば、南シナ海で何が起きているのか把握できなくなる。把握できても攻撃できないかもしれない。これは海洋安全保障上、重要な問題である。米国も日本も、そしてインドも、宇宙の安全保障上の利用について認識を改めざるを得なくなった。結果、インドの宇宙利用が今、急速に進み始めている。
衛星追跡局防衛は軍事行動の理由になる
インドの宇宙利用はどの点で急速に進んでいるのだろうか。最初にみるのは、何が起きているか把握するための衛星である。南シナ海沿岸国に衛星追跡局を配置したのはこの一環とみられる。これらの施設は、インドの衛星が撮影した画像情報を受信する役割を担う。同時に、沿岸国に情報を提供する。インドがベトナムに設置した施設は、南シナ海で何が起きているか、インドとベトナム双方が把握するための重要な情報源になる。
この施設にはもう一つの役割がある。もし中国がこの施設を脅かす軍事行動を起こした場合、インドは自国の施設を守るために軍を派遣することができる。2012年12月、インド海軍の当時の参謀長がインドとベトナムが共同資源開発している施設の安全確保を理由に挙げて、インド海軍を派遣する用意があることを述べた。インド国防相が2015年12月に訪米した時には、南シナ海における米印共同パトロールについて話し合ったようだ。
こうした動向から見て、インドが将来、南シナ海に海軍を派遣することは、まったくあり得ない話ではなくなりつつある。インドの衛星追跡局の誘致は、そのきっかけを作る役割を持ち、政治的に重要なものである。
2つ目はGPSをはじめとする位置測位衛星について。この分野でもインドの取り組みは積極的だ。インドは複数のシステムを複合的に構築している。GPSに加え、ロシア製のGLONASS、そしてインド国産のシステムIRNSSも構築している。こうすることで、特定の国に依存することのない外交的な自由が得られる。軍事的には、どれか1つの衛星が攻撃された場合でも、代替システムを確保することができる。
3つ目の通信衛星についても同様だ。特にインドが2013年に打ち上げた衛星は、インド海軍が本国と通信する能力を飛躍的に向上させた。以後、インド海軍はインド洋北半分だけでなく、さらに遠方でも軍事作戦が可能になったといわれている。
衛星を攻撃する能力を、衛星を守る抑止力に
そして、やはり衛星破壊兵器について動きが出始めた。インドは、日本と同じように、宇宙の軍事利用に反対する「宇宙の平和利用」を掲げてきた国だ。だから、この種の兵器の開発を長年にわたって忌避してきた。しかし、中国が2007年に衛星破壊実験を行って以降、インドが独自に開発しているミサイル防衛システムの開発計画(本来は弾道ミサイルを迎撃するためのもの)の中で、衛星破壊兵器も一緒に開発しているといわれている。インドの国防研究開発機構の長は2010年に、衛星破壊兵器を開発しているとはっきりと言及したことがある(注)。
なぜインドに衛星破壊兵器が必要なのか。衛星破壊能力を保有することは、自国の衛星を守ることにつながるという論理があるからだ。例えば中国がインドの衛星を攻撃することを考えたとしよう、もしインドが中国の衛星を攻撃する能力を持っていれば、報復を恐れる中国は攻撃を躊躇するかもしれない。
つまりインドは、衛星を利用して東南アジア各国との協力関係を構築するとともに、インド海軍の行動範囲を拡大しようとしている。その努力を、中国に衛星を破壊させないように、宇宙における抑止力を高めながら行っているのだ。非常に手堅い動きである。
(注)インドの衛星破壊兵器についてはGroup Captain RK Singh, “Indian Anti Satellite Weapon: Necessity, Urgency and the Way Ahead”, USI Journal, Jan-Mar 2013, Vol. CXLIII, No.591 (The United Service Institution of India, New Delhi), pp.85-92に詳しい。
衛星を守るべく、日米印で協力を
こうしたインドの動きは、特にアジア地域で高まる海洋安全保障上の脅威と連結している。中国が東シナ海、南シナ海、そしてインド洋などで活動を活発化させる中で、海洋安全保障を支えるための宇宙空間での活動を活発にしているのだ。
では、こうした環境における日本の国益は何か。日本の衛星も攻撃に対して脆弱ではないのか、考えなくてはならない。インドはすでに米国と、宇宙分野とミサイル防衛の両方で協力しつつある。日本も米国と宇宙分野、ミサイル防衛分野で協力しつつある。だとすれば、日本とインドは協力するべきではないのか。
協力できる分野は少なくとも2つある。インドが他の東南アジア各国と宇宙分野で連携を深めるならば、日本、インド、東南アジアで衛星を介した情報共有や、東南アジア各国が衛星を活用するための日印協力が可能なはずだ。施設の重複を避けるなど、より効率的なシステムを作ることができるかもしれない。
2つ目はミサイル防衛と衛星破壊兵器に関する協力だ。衛星破壊兵器について、日本は深刻にとらえる必要がある。衛星攻撃は相手国に効果的なダメージを与えるが、人を殺傷しない。だから、安易に使用される可能性がある。日本の衛星を破壊する動機をもつ国が現われたとき、その国の意思をくじいて抑止する力は何か。日本には手段が必要だ。
日本はインドとミサイル防衛で協力できないか。米国を含めたミサイル防衛の中で、衛星破壊兵器の技術も共有できないか。検討してみる価値があるはずだ。
3/10日経ビジネスオンライン 鈴置高史『米国から「ピエロ役」を押し付けられた朴槿恵 北朝鮮への「最強の制裁」にも浮かぬ顔の韓国人』について
蝙蝠外交をすればどういう結末に陥るかは普通に考えれば分かりそうなもの。それができないのは民族性の為せる業では。「火病」という宿痾を持ち、情緒優先社会で合理的判断ができない、かつ反日以外に生きる目標を持たない民族です。中国の千年属国だったことを忘れ、文句の言い易い日本にストーカー行為をし続ける下劣な連中です。
韓国の国会議員が日本国旗を踏みつける写真や、日本の首相の顔に×を付けたり日本国旗を燃やしたりする韓国民の写真を見たことは沢山ありますが、昭和天皇の生首写真をネットに上げるとは何をか況やです。三島由紀夫は『サロメ』を愛しましたが、韓国民はサロメの結末を知らないのでしょう。やがて怒れる日本国民から鉄槌を下されるでしょう。その前に北から攻撃されて回復不能なダメージを受けるかもしれませんが。民度が低い民族と言うのは言を俟ちません。
韓国は米中から馬鹿にされているというのにやっと気づいたようです。大国の間に入って振り回すだけの力があると思いこむことが如何に危険なことか身を持って経験するようになるでしょう。日本に統合される時だって、目立った反抗はなかったくらいと言うか、一進会は統合を進めていたくらいですから。被害妄想、誇大妄想で生きている国はツケを払わされることになります。それがチエスの”pawn”という表現に表れているのだと思います。あるときは中国に、あるときは米国に擦り寄り、而も都合の悪いことは全部日本のせいにして逃げるというのは成熟した国家のやる事ではありません。
北が攻撃を仕掛けても、日本は傍観すべきです。国家元首の生首写真をアップして平気でいられる精神異常の民族とは関わらない方が良い。何があっても助けることは避けるべきです。通貨スワップなぞは論外です。
記事
3月4日、THAAD配備について米韓がようやく公式協議入りしたが、先行きは不透明(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
(前回から読む)
米国から梯子を外された――。北朝鮮に対する「最強の制裁」が発動されたというのに、韓国人は浮かぬ顔だ。
裏切り者の韓国
—北朝鮮に対する制裁がようやく決まりました。
鈴置:3月2日、国連安全保障理事会は全会一致で制裁決議を採択しました。今年に入って、北朝鮮が4回目の核実験と長距離弾道ミサイル実験を実施したからです。
米国の国連大使によれば「ここ20年間の国連制裁のうち、最も強力なもの」です。しかし韓国紙は暗いムードの紙面を作っています。
—「どうせ中国は決めたことを守らない。制裁は尻抜けになって北朝鮮に核を放棄させるなんて無理」との諦めからですか?
鈴置:それが第1の理由です。もう1つは、制裁案を米中が固める過程で、韓国が「ピエロ」を演じる羽目に陥ったからです。
北朝鮮の核・ミサイル実験を受けて2月7日、韓国は在韓米軍基地への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の導入を認めました。
2014年以降、米国が韓国に圧力をかけ続けた結果です。韓国を防衛するために在韓米軍基地が存在します。それを守るためのTHAAD配備なのです。これに難色を示す韓国は、米国からすれば裏切り者そのものでした。
「北の核」の実戦配備が現実化した今、米国は韓国に対し「それでも配備を拒否するというなら、在韓米軍を引き揚げる」くらいは言ったと思います。
米国のドタキャン
韓国が逡巡したのは中国の、これまた強力な圧力からです。中国は「THAADが韓国に配備されれば、そのレーダーにより自国のミサイルの動きを米国に捕捉される」との理由を掲げ、認めないよう韓国を脅してきました。
米中の間で板挟みとなった韓国は、最後は米国の要求を入れ配備容認に動いたわけです。当然、その後も「核攻撃の対象にする」と中国から威嚇されています(「『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」参照)。
韓国人は中国に反発しながらも「どんなイジメに遭うのか」と首をすくめる毎日です(「 『中国大使に脅された』とうろたえる韓国人」参照)。
さて韓国に配備をのませた米国は、具体策を詰めるため韓国と合同実務協議団を設置することにしました。
米韓両国は2月23日に設置の約定書を交わすことになっていたのですが、この日になって突然、米国側が延期を申し入れ、セレモニーはキャンセルされました。
中国との駆け引きに転用
結局、国連で対北制裁が決まった後の3月4日、米韓は約定書を交換しました。10日間も遅れたのは、米国が中国との駆け引きのカードとして「THAAD配備」を利用したためでした。
東亜日報の社説「米中のTHAAD・平和協定の気流変化、韓国は不意打ちを食らうのではないか」(2月27日、日本語版)がその間の事情と、韓国で高まった米国への不信感を率直に書いています。以下がポイントです。
- ワシントンで2月25日、ハリス(Harry Harris, Jr.)米太平洋軍司令官が記者会見し「(韓国と)THAAD配備を協議することで合意したからといって、必ず配備するわけではない」と述べた。
- 2月24日、ケリー(John Kerry)国務長官の「THAAD配備に汲々としない」との発言と比べ、さらに一歩後退した表現だ。
- 米国の北朝鮮制裁に中国が積極的に参加する代わりに、米国がTHAAD配備による中国の憂慮を減らす方向で、米中が戦略的取引をしたようだ。
- 朴槿恵(パク・クンへ)大統領は「THAADの配備は安全保障と国益によって検討していく」と語っていた。
- それだけに韓国は苦しい立場となった。米中の駆け引きの可能性を、政府が果たして分かっていたか疑問だ。
碁盤の石に転落
米国の強い要求に屈し、中国に脅されながらもTHAADの配備を認めた。というのに裏で米国は中国に「対北制裁案で譲歩してくれるなら配備をやめてもいい」と言っているようだ――という展開に、韓国人は腰が抜けるほどショックを受けたのです。
そこで東亜日報をはじめとするメディアは政府に「『THAADのカード化』を米国からちゃんと知らされていたのか」と食ってかかったわけです。
確かに、約定書を交わすセレモニーのドタキャンを食った時の韓国国防部の慌てぶりを見ると「韓国政府は米国から手の内を一切、知らされていなかったのだな」と考えるのが自然です。
興味深いのは、韓国が梯子を外されたと気づくだいぶ前から中国が「このままでは、あんたはピエロになるよ」と忠告というか、警告していたことです。
約定書の交換が突然に延期されたのが2月23日。その1週間前、ケリー国務長官やハリー司令官が「後退発言」を繰り出す10日以上も前の2月16日、環球時報が社説で「THAADを配備すれば韓国は、中・米両大国が打つ碁盤の石に転落する」と書いていました(「表・THAADを巡る米韓中の動き」参照)。
| THAADを巡る米韓中の動き(2016年) | |
| 1月6日 | 北朝鮮、4回目の核実験 |
| 1月7日 | |
| 朝鮮日報、社説で核武装を主張 | |
| 与党セヌリ党幹部2人、核武装に言及 | |
| 1月13日 | 朴大統領、国民向け談話で「THAAD配備は国益に基づき検討」 |
| 2月7日 | |
| 北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験 | |
| 韓国国防部「THAAD配備に関し、米国と公式協議に入る」 | |
| 中国外交部、北朝鮮と韓国の双方の大使に抗議 | |
| Global Times社説「配備すれば戦略・戦術の両面で軍事目標に」 | |
| 2月16日 | |
| 環球時報・社説「配備すれば韓国は中・米の碁盤の石だ」 | |
| 朴大統領、国会演説で「配備の協議開始も抑止力の一環」 | |
| 2月17日 | 王毅外相、平和協定締結のための米朝協議を提唱 |
| 2月21日 | WSJ「2015年末、米朝が平和協定に関し秘密交渉」 |
| 2月23日 | 米国、配備に関する合同実務団結成のための約定書交換を突然に延期 |
| 2月24日 | ケリー国務長官「配備に汲々としない」 |
| 2月25日 | ハリス米太平洋軍司令官「必ず配備するわけではない」 |
| 3月2日 | 国連安保理、対北朝鮮制裁を採択 |
| 3月4日 | 米韓、配備に関する合同実務団結成のための約定書を交換 |
中国の忠告は親切心から?
この新聞は中国共産党の対外威嚇用メディアで、社説は「中韓は互いに冷静になるべきだ」(中国語版)。英語版のGlobal Timesでは「China, Korea must keep clear mind」です。英語版こちらでは碁石ではなく、チェスのポーン(Pawn)に例えています。
- It will make the Blue House further lose its national independence, and become a pawn in the game between major powers.
—「青瓦台(韓国大統領府)は国としての独立性を一層失い、大国間のゲームのポーンになる」とはなかなか厳しいですね。
鈴置:「独立性を一層失う」――。要は「すでに独立国ではないのだが、さらに……」ということですからね。日本語に翻訳すれば「お前は将棋の歩だ」あるいは「捨て駒に過ぎないのだ」と言い切ったわけです。
—なぜ、中国はわざわざ韓国に「あんたはピエロを演じているよ」と教えたのですか。
鈴置:中国のやることですから、親切心からとは思えません。「米国に騙されているぞ」と韓国人の心を揺さぶるのが目的でしょう。
韓国が「米国の裏切り」に気づく前にそれを指摘しておけば、効果はより大きいのです。実際、韓国各紙は環球時報のこの社説を引用し「碁盤の石」という表現を使うようになりました。
小憎らしい元・属国
左派系紙のハンギョレは「韓国は米国の『碁石』にすぎないのか」(2月23日、日本語版)という寄稿を載せました。書いたのは金東椿(キム・ドンチュン)聖公会大学教授。ポイントは以下です。
- ついに中国から「碁石」に過ぎないという屈辱的な言葉まで聞くことになった。
- ウィキリークスが公開した資料によれば、米国が韓国に軍隊を維持している理由は北東アジアで自国の「利益」を守るためのものであり、特に「韓国が米国産兵器の主要顧客」であることを強調している。
- 米国は北朝鮮の崩壊、あるいは朝鮮半島の統一には関心がない。 中国を屈服させ、米国の市場を拡大できるか否かが彼らの死活的利害だ。
- 米中間に局地的衝突が起きても戦場は朝鮮半島であり、最大の犠牲者は韓国と北朝鮮の人民であろう。
- 旧韓末、休戦協定期のように韓国は再び周辺国に自身の命運を任せなければならない存在に転落している。 政権にとって利益になるならば「超大国の防具」であっても構わないというのか?
—「碁石」という言葉を手がかりにして、ダイナミックに「反米論」を展開しましたね。
鈴置:古典的な左派の従属理論――韓国は米帝国主義に従属する存在だ、という主張です。久しぶりに見ました。
中国は、米国が切ってきた「THAAD配備」というカードを上手に加工して「碁石」とし、反米用の素材として韓国に撃ち込んだのです。この寄稿はそれが功を奏したいい例です。
もちろん中国が「碁石」と揶揄したのは、韓国が小憎らしかったこともあったでしょう。米国の軍事力を背景に「THAADを配備するぞ」と言い出した韓国――。中国人の目には、元・属国のくせに生意気な振る舞い、と映ったはずです。
THAADでのませた強い制裁
—「碁石」だろうが「ピエロ」だろうが、THAADのカード化によって中国に「極めて強い制裁」をのませたのではないのですか?
鈴置:その通りです。今後、中国が対北制裁の手を緩めた際にも、米国は再び「THAADカード」を発動して中国に圧力をかけることができます。
THAAD配備を具体化するための米韓の実務協議は、これから始まります。実務協議は開かないか、あるいはゆっくりと進めておき、中国が本気で制裁に動かないと判断したら、協議のテンポを一気に速める――という手もあるのです。
ハリス米太平洋軍司令官の「配備を協議することで合意したからといって、必ず配備するわけではない」との発言は、そうした作戦が念頭にあるのかもしれません。
ただ韓国も、面白くはないにしろ「カード化」自体は我慢せざるを得ないでしょう。なにしろ今、一番大事なことは対北制裁の効果を上げることなのですから。
いつの間にか仲間外れ
—では、韓国メディアは何が不満なのでしょうか。
鈴置:「カード化」を米国から知らされていなかったことです。こんな調子なら韓国の運命に関わる、もっと重要なことまで自分の知らないうちにどんどん決められてしまう――と危機感を持ったのです。
タイミング良くと言うか悪くと言うべきか、米国と北朝鮮が2015年末に、国交正常化や在韓米軍撤収につながる可能性の高い秘密交渉に入りかけていたことがこの頃、明らかになりました。
この秘密交渉に関しても韓国政府は米政府から知らされていなかったのではないか、と韓国各紙は疑っています。
米国と中国、果ては北朝鮮までが自分の知らないところでこっそり朝鮮半島の将来に関し話し合っている――と韓国人は疑心暗鬼に陥ったのです。「THAAD」だけならまだしも、「韓国」という国の運命までがカード化されたら大変です。
韓国人は「米中を手玉に取り、両大国の力を生かして日本と北朝鮮を叩く」という“天才的な朴槿恵外交”に酔ってきました。
そこに突然降ってわいた「周辺国に命運を任せる」予感。いくら楽観的な韓国人でも、これでは落ち込まざるを得ないのです。
そのあたりは次回に詳しく聞きます。
(次回に続く)=3月14日に掲載予定
3/9日経ビジネスオンライン 福島香織『拍手は?トイレは?「全人代」の意外な見どころ 「習近平の不満」と「習近平への不満」が醸す不安感』、3/9日経電子版『習近平氏と王岐山氏「衆人環視の密談」広がる臆測』について
要人の健康問題に関するタブーは世の東西を問わず、民間企業ででもあります。況してや秘密主義の共産党では。それでも記者が鵜の目鷹の目で何かを見つけようとしていますのは、本記事で分かりました。確かに李克強は下放中も勉強に勤しみ、農民と交わることもなかったとのこと、頭が良い分だけ肚が据わってない印象を受けます。やはり、下放されてもっと厳しい状況に置かれた、習近平や王岐山の方が度胸はあると思います。腹黒くなければあの時代は生き延びれなかったでしょうから。
福島氏記事にありますように、財政支出は債務を増やすだけで、根本解決でなく、デフォルトの先送り策です。これが持続可能とは思えません。貨幣増刷で乗り切ろうとするのでしょうけど、人民元のキャピタル・フライトを引き起こします。資本規制をすれば、中国の在米資産凍結を招く可能性もあります。
国有企業のリストラで600万人の解雇、軍人30万人のリストラは共産党打倒の革命を引き起こすかも知れません。地方や軍が簡単に言うことを聞くとは思えません。
南方都市報は昔から骨のある新聞でした。何清漣も深圳法制報の記者でしたから、南の方が度胸があるのかも知れません。結局彼女は米国亡命せざるを得なくなりますが。南方都市報は広州市で発行されています新聞で、同じ系列で発行している南方週末は社説差し替え命令を受け、共産党に抗議の意を示したことがありました。また、オバマのインタビュー記事の掲載ストップ指示に、抗議して二ページの下半分を白紙で発行したこともありました。葉剣英が牛耳っていた土地ですから一筋縄では行きません。小生が住んでいた感想としては無法地帯と言った印象でした。
「●東京新聞(TOKYO Web)
■中国週刊紙記事 差し替え 記者スト 市民も抗議
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013010802000089.html
2013年1月8日 朝刊
7日、広東省広州市の「南方週末」が入るビルの前で、言論の自由を訴える市民ら=今村太郎撮影
【広州(中国広東省)=今村太郎】広東省の週刊紙「南方週末」の記事が当局の指示で削除、差し替えられた問題で、同紙記者の一部が七日、抗議のストライキを始めた。共産党宣伝部によって厳しく管理される中国メディアが、当局側と激しく対立するのは極めて異例。広州市にある同紙本社ビル周辺には市民数百人が集まり、「言論の自由を」と書いた紙などを手に、同紙を支持している。
南方週末は六日夜、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で、記事差し替えを否定する声明を発表。だが、記者らは「当局の圧力を受けて出された偽の声明」と反発し、ストライキを宣言。本社ビル前では七日朝から「われわれには言論の自由が必要だ」「南方週末を支持する」と書いたビラを持った市民が集まり、正門前にビラや花束を並べた。警戒に当たる警官隊約五十人に抗議する市民もいたが、排除はされなかった。
同紙は三日発売の新年特別号で「中国の夢、憲政の夢」と題し、憲法に基づく民主政治の実現などを主張する記事を掲載する予定だった。だが、広東省の共産党・宣伝部の指示を受け、中国の発展を強調する内容に差し替えられた。同紙の元記者らは省宣伝部の〓震(たくしん)部長の辞任を求め、対決姿勢を強めている。
南方週末は、独自の調査報道や踏み込んだ政治評論で知られ、たびたび当局の介入を受けてきた。二〇〇九年十一月には初訪中したオバマ米大統領に単独インタビューしたが、宣伝部の指示で掲載を中止。この際は、インタビュー記事のスペース(二ページの下半分)をほぼ白紙で発行し、抗議の意思を示した。 ※〓は度の又の部分が尺」
福島記事
全人代でお辞儀をする李克強と、隣に座る習近平。誰が拍手をしたのか、しなかったのか、健康状態はどうか、読み取るべき情報がそこかしこに(写真:ロイター/アフロ)
中国の全国人民代表大会(全人代)が5日開幕した。一足先の3日に開幕した全国政治協商委員会とあわせて両会と呼び、日本では国会のようなもの、と紹介される。だが、はっきり言って、政策や法案の中身は前年の秋までに決められており、その審議も採決も議員に相当する人民代表や政協委員が自由に議論したり反対票を投じられるようなものではないので、政策決定上はほとんど意味のない一種の政治儀式である。
では、なぜ世界各国のメディアが、わざわざ現地に赴き、この無意味そうな儀式を懸命に取材するのかというと、一つには現場にいなければ分からない、政権の“空気感”を確認したいという思いがあるだろう。なにせ、中国の最高指導者たち政治局常務委員7人が人民大会堂の大ホールのひな壇に揃うのである。その表情やしぐさすべてが、外国人記者たちにとっては普段得られない情報である。今年の全人代の見どころを、いくつか拾っていきたい。
「健康」は?「関係」は?「核心」は?
まず全人代では、中国の指導者たちの健康状態をチェックするのが記者たちにとっては結構重要な仕事である。今年の全人代の初日に行われる李克強首相の政府活動報告のときに話題になったのは、お辞儀したときに見えた李克強の頭頂部の髪がずいぶん薄くなったことだった。
そして、李克強が政府活動報告を読み終えて席に戻るとき、出席者は全員拍手するのが慣例なのだが、隣に座っていた習近平は拍手をしなかった。それどころか視線を合わせたり会釈したりすることもなかった。胡錦濤政権時代、温家宝が首相として政府活動報告を読み上げたときは、席に戻ったときに胡錦濤と温家宝は握手をするのが常であった。
この全人代開幕日の政府活動報告宣読は、拍手を入れるタイミングまで、事前に決められている。今年、拍手が起きたのは45回。去年は51回。2014年も50回以上だった。今年はかなり拍手が少なかった。こうしたことから、記者たちは習近平と李克強の関係がかなり冷え込んでいること、ストレス負けしているのはおそらく李克強の方であること、習近平自身はこの政府活動報告の内容(政府活動報告は李克強が起草)にかなり不満を持っていそうなことなどを推測するのである。
仮に習近平がこの政府活動報告に不満だとすると、いったいどこが気に入らないのだろうか。
これも、推測の範囲でしかないのだが、習近平サイドは、この政府活動報告で「習近平同志を“核心”とした党中央の指導のもとに」といった文言を入れてほしかったのかもしれない。だが、政府活動報告は“習近平同志を総書記とした党中央”という表現にとどまっている。
実は、今年に入ってから、習近平を“核心”と位置付ける発言が安徽や広西など地方の党委書記から出ている。“核心”というのは、唯一の権力の中心と位置付ける言葉であり、この言葉が使われるのは権力掌握の証ともされている。毛沢東、鄧小平は間違いなく党中央の核心に君臨。江沢民は鄧小平によって“核心”と位置づけられたが、胡錦濤政権ではついぞ使われなかった。つまり、胡錦濤は江沢民との権力闘争の中で最後まで核心になりえなかった。
習近平は今年になって、“核心”という言葉を使わせようと、地方からじわじわ裏工作を謀っているようで、全人代では“核心”呼びを定着させるつもりではないか、という予測が事前にあった。それが、できなかったのはまだ、抵抗勢力が強いということだろう。
「定年でも残留」が長期独裁の布石に
もう一つ、記者たちが驚いたのは、全人代開幕後1時間半を過ぎたころの政府活動報告中、党中央規律検査委書記の王岐山が突然、席を外したことである。汚職摘発の辣腕を振るってきた王岐山が突然、ひな壇から姿を消したので、ひょっとすると、何か突発事件が起きたのではないか、とざわめきが起きた。
5分後に何事もなく戻って来たので、ひょっとしてトイレか?と記者たちは思った。だが続く第2回全体会議でも開始から1時間半後に8分ほど離席。この現象について、記者たちの間では王岐山は頻尿ではないか、という噂が駆け巡ったという。
今後の権力闘争の行方を占う上で、王岐山の健康状態は鍵である。2017年秋の第19回党大会で本来なら内規上の定年年齢に達している王岐山が政治局常務委に残留することになれば、その前例をもって習近平がその5年後の第20回党大会で引退をせずに、長期独裁政権を樹立する根拠となりうる、と見られているからだ。だが、王岐山が頻尿だとすると、2015年11月に、王岐山が28日にわたって動静不明になったことが、健康問題ではないかという推測も成り立つ。当時は、王岐山が失脚したのではないか? あるいは新たな大物政治家の取り調べが始まっているのではないか? という噂が流れていた。
次に、記者たちの仕事は、政府活動報告の中身の分析である。まず今年のGDP成長率目標として「6.5%から7%」という数字が挙げられたことの意味。政府活動報告ではその年のGDP成長率目標の具体的数字が盛り込まれるが、このように何%から何%という幅のある目標値が挙げられるのは初めてである。
2015年の全人代同様、7%前後という目標値を挙げたいのだが、いくら何でも信憑性がなさすぎるので、表現をぼかしたのではないか、と見られる。実際のところ6.5%成長も無理目であり、昨年の成長率6.9%も、全人代で目標値を7%前後と言ってしまった故に、こじつけた数字だろう。実際は6%にも満たない、5%以下ではないか、というのが国内外のアナリストたちの見解である。
いわゆる李克強指数(電力消費、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高。GDPの数字があてにならないので、この3つの統計によって実際の経済状況を把握せよと李克強が言ったとされる)では、昨年の電力消費の伸びは0.5%増、鉄道貨物輸送量は昨年上半期だけで前年比10%減、銀行融資残高は2015年末で前年比14.3%増なので、正直これで6・9%成長がかなうのは不思議である。
一層の元安へ? 債務爆弾、今年こそ備えよ
2016年の財政赤字は2.18兆元、GDP比3%に引き上げたのは、予想通りとはいえ、それなりの衝撃を与えた。これは1998年から2003年のアジア金融危機のときに当時の朱鎔基首相が財政出動をとった時以来の高さ(朱鎔基はこの時、数字公表を拒否)であり、2008年のリーマンショックで、胡錦濤政権が4兆元の財政出動を行ったときですら、財政赤字のGDP比は2.8%にとどまっていた。
昨年のうちに当局者からGDP4%以上の財政赤字も大丈夫だ、という発言が出ていたので、今年は過去最大規模の積極財政方針をとるだろう。日本や米国の財政赤字比率からすれば、大したことないじゃないかと思う人も多いだろうが、マネーサプライ(M2)が対GDP比200%以上の中国の場合、これはかなり大胆な挑戦であり、生産過剰と不良債権化がむしろ進み、一層の元安に直面する、といった予測もある。
ちなみに地方専項債権の4000億元はこの財政赤字には入っていない。中国の総債務(政府、企業、家計)は2014年半ばでGDPの282%(米マッキンゼー報告書)、すでにGDP比300%を超しているという報道もあるので、中国の債務爆弾爆発に対する衝撃に今年こそ備えが必要かもしれない。
もう一つの注目点は、十三次五カ年計画(十三五計画、2016~2020年の経済計画)の中身だ。2021年は中国共産党建党100年目であり、習近平政権の二つの100年目標の一つである2021年に全面的小康社会(そこそこゆとりある社会)の建設を実現するための最後の経済計画である。インフラ建設の強化が打ち出され、中でも北京と台北間の高速鉄道計画が話題をさらった。もちろん、台湾サイドの意向などお構いなしの「言うだけ」計画で、中台統一を警戒する台湾は大反発している。
十三五計画の肝は「安楽死」、改革の分業は崩壊
十三五計画で一番、キモとなっているのはインフラ建設資材を生産する鉄鋼、石炭、アルミ、ガラス、セメント分野のいわゆるキョンシー企業、ゾンビ企業とよばれる万年赤字国有企業の“安楽死”問題だ。過剰生産分の資材をインフラ建設強化で消化しつつ、ゾンビ企業を整理して、これに伴う失業者対策に1000億元を拠出して基金を創るという。今後2~3年で600万人前後をレイオフ(一時解雇、事実上の失業)するという予測が伝えられているが、90年代、自ら憎まれ役を買ってでた鬼宰相の朱鎔基ですら道半ばであった国有企業改革を、ストレスに弱そうな李克強に貫徹できるか。失業者問題は中国社会の不安化を一気に加速する可能性もある。
今回の政府活動報告でも「改革」と言う言葉を70回前後連呼していたが、連呼されるほどに、今の中国に改革を断行できる力量は見えない。2013年の三中全会(第三回中央委員会全体会議)で打ち出された“リコノミクス(李克強経済学)”では法治化、市場化、政府介入の減少こそが改革の骨子であった。ところが現実には、株価も為替も政府介入、行政指導の連続であり法治化、市場化はむしろ遠のく印象だ。
今やリコノミクスという言葉は忘れさられ、キンペノミクス、シーコノミクス(習近平経済学)という言葉を使うようになった。つまり、国家主席と首相の本来あった分業体制は完全に崩れている。江沢民と朱鎔基は相当仲が悪かったが、少なくともこの分業体制は機能しており、首相が全面的に指揮と責任を引き受けて改革に取り組むことができた。それと比べると、今回、90年代以上に困難な経済改革に、誰が責任をもって命がけで取り組むかというと、そういう人物が見当たらないのも、中国経済改革の先行きの暗さの一因だろう。
肝心の習近平は、独裁志向と自らの個人崇拝志向をますます強めており、メディアに対する忠誠を恥ずかし気なく求め、これまでならば許されてきた程度の批判でさえ、処罰の対象とするようになった。表向き習近平礼賛を合唱するメディア関係者の腹の中の怨嗟の声は、外国人の私たちにも漏れ伝わるレベルである。習近平の独裁志向と、批判や提言を自らに対する反逆ととらえる性格は、結果的に国務院(内閣)、政府機関の職能を弱め、官僚の心理的サボタージュを引き起こしている面もあると指摘されている。
国内の経済政策や外交政策の仕切りのほとんどは、習近平を中心とする党中央の小組が執り行っているが、習近平は経済から外交、軍制改革までの責任を一人で負えるほどのスーパーマンではない。結果として米中対立の先鋭化や中国株式市場への信用失墜、香港の核心的価値の決定的喪失といった事態が起きていて、これらは紛れもなく中国の国益を損なっている。
行き詰まり感とバランスの悪さと不満感と
全人代開幕直前の4日夜、中国国内の比較的新しいネットニュースサイト「無界新聞」に、「習近平同志に党と国家の指導職を辞職することを要求する」と題した匿名の“忠誠の共産党員”による公開書簡が掲載され、一時はサイトがダウンする事態も起きた。
「無界新聞」は「財経」誌を発行している財訊集団と新疆ウイグル自治区、アリババが出資して新疆地域に対する宣伝工作、世論誘導のために昨年4月に立ち上げた、いわば習近平政権肝いりサイトである。サイト関係者はハッキングされたと説明しているそうだが、習近平の政策の失敗を並べたて、国家と党のために引退してくれと訴える公開書簡が、中国のニュースサイトに掲載されたのだから、やはり党内部の習近平に対する不満の高まりを反映した“政治事件”と見る向きが強い。そうした国内党内の不満は、全人代のような場で多少なりとも話し合いで解消するのが、本来の役割なのだろうが、チベット自治区代表団が習近平バッチをつけてきたことからもわかるように、習近平への忠誠アピールを競うようなムードになっているのである。
今年の全人代の空気が示すのは、中国の改革には期待できそうにないという行き詰まり感、党中央と国務院機能のバランスの悪さ、そしていつ何が起きても不思議ではないほどの党内人士の不満感、不安感ではないだろうか。
日経記事
中国の“絶対権力者”になりつつある国家主席、習近平に背後から手をかけて呼び止め、対等に話しながら退場する反腐敗の鬼、王岐山――。
3月3日、極めて珍しい光景が出現した。北京で開幕した全国政治協商会議の全体会議が終わり、「チャイナ・セブン」といわれる習ら最高指導部メンバーがひな壇から順番に退場する際の一幕だ。
衆人環視の下での密談である。2千人以上の全国政協の委員、1千人もの記者らが見守るなか、政治局常務委員の王岐山は、ボスである習に何を言ったのか。これが注目の的だ。次々と大物を捕まえた、泣く子も黙る共産党中央規律検査委員会の書記だけに、である。
一考に値する推測がある。権力者への諫言(かんげん)のあり方、そして翌4日に発表される反腐敗の大物摘発が話題だったのでは、というのだ。幕の向こうに習と王岐山が消えてからも会話は続いただろうから、2つのテーマくらいは話題にできたかもしれない。
■トップへの諫言問題が話題か
政治協商会議の開幕式を終えて習近平(左)に話しかける王岐山・政治局常務委員(北京の人民大会堂)=写真 小高顕
前者には根拠がある。王岐山が仕切る共産党の中央規律検査委員会などの機関紙。そして同委と中国監察省が合同でつくる公式サイトだ。全国政協の開幕直前、司馬遷による史記の記述などを引いて、諫言の重要性を指摘する文章をほぼ同時に発表していたのだ。
「唯々諾々と従う1千人のイエスマンは、ただ一人の志ある人物による諫言に及ばない」
意訳すると、こんな内容だった。中国の戦国時代、強国への道を歩む秦国の政治家だった商鞅と、その腹心の関係。名声の高い「貞観の治」で知られる唐王朝第2代皇帝、李世民と臣下の関係を例に挙げている。
耳に痛い諫言をする人物を遠ざけてはいけない。それができれば、歴史に名を残す偉大な人物になれる。文章が説く趣旨だ。筆者は王岐山ではない。とはいえ、いまは言論統制が非常に厳しく、全国政協の委員や全国人民代表大会(全人代、国会に相当)代表らの口も重い。その時代に“危険な文章”を公式掲載するには、王岐山の許可が必須だ。
「これだけ高度なテクニックを要する文は、王岐山自らがアイデアを考えたに違いない」。北京の知識人の見方だ。
その後の展開が興味をひく。中央規律検査委の“公式見解”はすぐに流布され、これを引用して言論の自由を説く文章がインターネット上に次々登場した。すると一部の文章が「問題あり」とされ、削除されたのだ。
言論統制の元締めは党中央宣伝部や、新設された国家インターネット情報弁公室である。削除の基準は、中央宣伝部などが示す。そして宣伝部の担当は、党内序列5位の政治局常務委員、劉雲山である。
政治協商会議に出席した劉雲山・政治局常務委員(北京の人民大会堂)
読み解きはこうなる。「中央規律検査委の王岐山と、中央宣伝部の劉雲山の言論問題への見解は異なる。もしかしたら対立しているのでは……」。知識人らのひそひそ話である。ネット上に書くと削除されてしまうので、昔のように口コミ(中国の言葉で「小道消息」)で広がっている。
■「中国版トランプ」への集中砲火
もう一つ、面白いエピソードがある。今、中国のネット上で熱い議論が交わされているのは、「不動産王」の言論だ。彼の名は任志強。歯に衣(きぬ)着せぬ舌鋒(ぜっぽう)の鋭さで、有名なネット言論人でもある。
任志強のブログの内容が党内で批判を浴びている。「中国メディアの姓はすべて共産党で、党に忠誠を誓うべきだ」という党が打ち出したスローガンに敢然とかみついたのだ。
「すべての(中国)メディアの姓が党で、人民の利益を代表しないなら、人民は見捨てられたということだ」
任志強はブログで繰り返し反発した。メディアは一般大衆の利益を代弁すべきだ、と主張しているのだ。正論である。彼の反発は、習が2月19日に国営、中央テレビなど三大メディアを視察したのがきっかけだった。
任志強は「太子党」に属する。旧商業省次官を務めた父を持つ。首都防衛の要、第38集団軍に所属した軍人の出身で、後に不動産大手、華遠集団を率いた。共産党員であり、労働模範として表彰を受けている。北京市の政協委員でもある。
不動産王で舌鋒が鋭いといえば、米共和党の大統領候補を争っているドナルド・トランプと似ているが、中国の不動産王も負けてはいない。
この任志強。実は王岐山と極めて親しい。弟子といってもよい。文化大革命の嵐が吹き荒れた1960年代、北京の中学校で先輩、後輩の仲だった。年上の王岐山が任志強の指導員まで務めた。
その任志強が劉雲山の中央宣伝部の系統から集中砲火を浴びるなか、王岐山は習を呼び止めた。共産党のしきたりからして、指導部の一員でもない任志強の個別問題に、王岐山が直接言及するはずもない。とはいえ、もっと大きな「習の治世と諫言のあり方」を話題にすることはできる。例えば、「中央規律検査委の文章を読んでください」というように。「周辺にこう推測させるだけで十分効果は得られる」。関係者は指摘する。
王岐山は翌4日に発表した元遼寧省、吉林省トップの中央委員、王珉の摘発について報告した、という推測ももっともらしい。全国政協と全人代の期間中に格の高い中央委員の摘発を公表するには、トップである習の承認が不可欠だ。時間がないなか、王岐山は習を呼び止めて立ち話せざるを得なかったのかもしれない。
3日に開幕した全国政治協商会議(北京)=写真 小高顕
とはいえ、王岐山と任志強の個人関係、中央規律検査委機関紙や公式サイトの文章を見れば「諫言問題説」にも十分な説得力がある。
そもそも習と王岐山は親しい。文革の際、2人は陝西省の黄土高原に位置する延安近くに「下放」され、そこで知り合った。習は15歳、王は20歳の知識青年。王はまだ幼い習を自らの洞窟式の住居に泊め、読書も指南した。ちなみに同じころ、後の不動産王、任志強も延安付近に「下放」されていた。
いまや習は、中国の権威あるトップだ。だが、旧交がある先輩、王岐山には、習を後ろから呼び止めるだけの度胸があった。それも公衆の面前で。他の誰もそんな恐ろしいことはできないが。これは指導部内での人間関係の機微でもある。
■南方都市報の編集者は解雇
先週、このコラムで広東省の新聞、南方都市報が勇気をもって習政権のメディア統制を批判した経緯を紹介した。紙面づくりを担当した気骨ある女性編集者はその後、解雇された。編集責任者も処分を受けた。理由は「政治的な配慮を欠き、紙面に重大な欠陥をもたらした」というものだった。やはり党中央宣伝部などの怒りに触れたのだ。
言論をどこまで統制するのか。この問題は、ネット上や巷(ちまた)の大きな話題であり、今後も尾を引きそうだ。そして習近平、王岐山、劉雲山らがどう動くのか。来年、2017年には5年に1度の党大会がある。最高指導部人事を前にした「力比べ」も絡むだけに非常に興味深い。(敬称略)






