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『人生を翻弄された上海人が始めた政府への抵抗 仕事を追われた彼が年金より大切に思ったものとは』(7/27日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

7/27ダイヤモンドオンライン記事より<安倍首相もハマった、マスコミが疑惑だけで罪人を作る3つの方法

http://diamond.jp/articles/-/136478?utm_source=weekend&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

7/27KSL-Live!の記事<安倍内閣支持率77%、首相質疑終了後のSNS調査ではマスコミと真逆の結果>に依れば、安倍内閣はネットでは高い支持率を誇っています。ただ、マスメデイアは窪田順生氏の記事のように、この層は無視して、情弱=情緒的宣伝に弱い層に訴える戦術を採っています。北と中国への迫りくる脅威に目をそむけ、左翼メデイアのでっち上げ情報に踊らされるというのであれば、共産主義国の情報統制された報道を其の儘受け入れるのと変わりありません。自由がある社会なのに、衆愚にされているのに気が付かないでいます。ただ窪田氏の言うような倒閣にまでは至らないでしょう。勿論左翼メデイアの攻撃は続きますが、先ず代わりがいません。安倍氏も第一次内閣時に自民党から足を引っ張られて退陣した教訓を踏まえて行動しています。今自民党内で足を引っ張っているのは、空気の読めない党の裏切り者の石破だけです。彼は自民党の秘書の方からは「裏切り者」として嫌われています。先ず後を狙う所まで行かないでしょう。

http://ksl-live.com/blog10153

7/28facebook記事より<【ブラックジャックになれ】優等生的医者では治せない中国ガン

「中国ガン・台湾人医師の処方箋」より(林 建良著、並木書房出版)

https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E…/…/ref=sr_1_2…

ブラックジャックは日本的発想

中国ガンに対し、日本はどのような対応をとるべきか。これほど深く、広く、そして速度の速いガンに対しては、一般的な手法、普通の優等生的な治療法では歯が立たない。つまり、今の日本の体制、思想では対処しようがないと断言できる。

そこで日本は普通の医者ではなく、「ブラックジャック」にならなければならない。

日本の医者はルールに縛られ、認められている治療しか行わない。そもそも日本の医者は、頭の良さよりは根性で勝負する受験戦争を勝ち抜いた人間たちだ。医学生はルールだらけの医学部で学んだ後、社会に出た途端、高い地位を手にする。だから、ほとんどの医者はその地位を守ってくれる医学界の軌道からはみ出ることをせず、忠実に医学界のルールに従っている。

それに対して手塚治虫が描いたブラックジャックは、医師会に所属したり、大学病院に勤務したりするような優等生的な医者ではない。医学界どころか、世の中には認められないような存在である。彼は他人の批判を恐れず、型破り、破天荒な発想、哲学を持ち、きわめて大胆な治療を行う。その哲学は「どんな方法を使ってでも、この病気を治す」である。そして、自分の独自の発想でやりたい治療を行う。

この作品の魅力がいかに大きいかは、全世界に多くのファンがいることを見ればわかるだろう。ブラックジャックが二十数ヵ国の言葉に翻訳され、広く読まれ、愛されている。それはブラックジャックの義侠心が感動を与えているだけでなく、彼の大胆とも言える手法が、荒唐無稽の発想からではなく、それなりに現実性を持っているからだろう。

なぜルールを最重要視する優等生国家である日本に、そのような異端児、一匹狼のブラックジャックが生まれたのだろうか。だが、一台湾人の目からみれば、日本だからこそブラックジャックが生まれたのだと思う。ブラックジャックは極めて「日本人的発想」なのだ。

  • 東大医学図書館にブラックジャック全巻

私自身、台湾の医学部にいたときにこの作品を読んでいる。当時、台湾でコミックとは、買うものではなくレンタルするものだったが、同級生が講堂で医学講義を受けているとき、私は何十冊もの『ブラックジャック』を借りてきて、家の中で「勉強」していた。

しかし、これを笑ってはいけない。なぜなら「白い巨塔」といわれる大学の医学部の、そのまた頂点である東大医学部の、その知識を象徴する医学部図書館に入ると、一番手前の本棚に置かれているのは『ブラックジャック』全巻である。つまり東大医学部ですら、ブラックジャック的な創造力と冒険心がなければ、病気を治すことなどできないと考えているのだ。

日本にブラックジャックが生まれたことは、歴史を見ればわかる。信長、秀吉、家康などの戦国時代の武将たちは、みな型破りな発想を持った存在だった。明治維新の志士たちも同じで、体制の中で当然と思われていることを打破し、新たな体制を作りあげた。彼らが作った体制とは、近代国民国家という、それまで日本には存在しないものだった。

昭和時代に入ってからの大東亜共栄圏構想なども、EUなどの今日のグローバル経済圏の一つの原型になっている。満州国の建国も、今ではよその土地に国家を造るなどとんでもないことだと批判されるが、そこに数百万人もの中国人が喜んで住みついたのだから、まさに日本人の創造力と冒険心が生み出した歴史上の奇跡である。実際、台湾と同様、日本人が建国した満州国は現在の中国東北経済圏の産業基盤になっている。

ルールに縛られて活力を失っている今の日本人は老人のように見えるが、かつてはこのように、未知の世界に飛び込んで成功を収めてきたのである。だから、かつての活力を取り戻すことができれば日本はブラックジャックになれるのだ。

  • ブラックジャックならどうするか?

ブラックジャックなら、どのような大胆な手法で中国ガンを退治するのだろうか。ブラックジャックを読んで医者になった私は、いつも「師匠」なら、どうするのかと考える。既成の概念にとらわれず、細心かつ大胆な中国ガン治療法とはなにか。

中国ガンの治療方針は、以下の事実を認識した上で立てなければならない。

1、ガン細胞は完全に殲滅できないこと。

2、治療には痛みが伴うこと。

3、ガン細胞の強い抵抗に必ず直面すること。

4、日本がイニシアチブをとらなければいけないこと。

中国ガンは普通のガンと違い、十三億の人間を外科的手法で摘除することは当然不可能である。そこが中国ガンを退治する一番の難点であろう。だからこそ、ガン細胞を殲滅するではなく、無害化する以外に取るべき方法はない。どうやって無害化できるのか、ブラックジャックならどうするのか?

中国ガンを治療するにあたって、一番の困難は恐らく日本国内からの抵抗であろう。まず経済界からは株が大暴落からやめろとの大合唱が起こり、外務省からは中国が報復するからやめろと邪魔をするだろう。国民からも余計なことをするなとの非難の声が起こるだろう。

このような反応は想像ではなく、確実に起こると言ってよい。

  • 「中国を刺激するな」という金科玉条

ガン治療の難しいところは、ガン細胞の狡猾さと強い生存本能と戦わなければいけないことだ。中国ガンも然り。世界第二の経済力を持つ核保有国で、国連安全保障理事会の常任理事国でもある中国ガンは、日本以上に影響力を持ち、軍事力を使うこともためらわない。

このような中国を怒らせないでガン治療することは至難の業だ。しかし、中国ガンを退治しなければ、地球全体が壊滅してしまうことは明らかなのだ。

戦後の日本は国際政治に主導的な役割を果たさず、経済のみに専念してきた。中国のことに関しても同じアメリカ任せだった。

日本は中国と国交を樹立して以来、中国の嫌がることをしない、中国が聞きたくないことを言わないようにしてきた。「中国を刺激するな」という姿勢をかたくなに、まさに金科玉条として守ってきた。だから、資金も技術も投入して中国の経済発展に貢献するだけでなく、「反日」という中国社会のガス抜き機能にも一役買っている。

つまり、日本は中国ガンにとって、栄養分を供給してくれるだけでなく、中国社会が時たま服用しなければいけない「ナショナリズム」という名の安定剤にもなるありがたい存在なのだ。

しかし、いくら中国に贖罪意識が感じていたとしても、中国ガンの牙は日本に向けられていることを忘れてはいけない。やがて全世界を侵食してしまう中国ガンが真っ先に飲み込もうとしているのは、日本と台湾なのだ。

  • 日本にしかできない神業とは

中国問題をアメリカ任せにしている日本は、実は中国と二千年以上、対等に渡り合ってきた国だ。日本の中国研究は世界でも屈指なのだが、その正しい知識は政界や財界に反映されていない。それどころか、日本の政財界もマスコミも、中国の真実から目を背けている。

アメリカは太平洋国家と言っても、思想や知識の面ではやはり西欧中心である。さらに一神教のキリスト教国家であるため、思想的には善と悪がはっきりしており、灰色的な中国思想の深層部分を完全に理解することは難しい。

その点で日本は違う。二千年以上の中国に対する累積知識は世界のどの国をも凌駕している。だから戦争のトラウマがあるにせよ、日本がイニシアチブをとらず、中国問題をアメリカ任せにすることは無責任な態度だと言わざるを得ない。この厄介な中国ガン退治は、日本が主導して挑む以外に方策はないのだ。

では、師匠のブラックジャックなら、中国ガンをどう治療するのか?

私が台湾のガンセンターで研修していたとき、センター長の先生がよく口にしていたのは「手術は成功しても、患者が死んでしまったケースは、医者の驕り以外なにも残らない」という戒めだった。

現実世界にはこのようなことがよくある。妥協しない外科医ほどガン患者を死なせる。中国ガンを退治することも同じであるが、重要なのは地球が健康になることだ。ガン細胞を一つ残らず綺麗にとろうと、広範囲の組織を摘除して患者を痛めつけたうえ、死なせてしまうような治療ではなんの意味もない。

だから、中国ガンの治療は限定的切除と広範囲な免疫療法によって、中国ガンを無害化する以外に道はない。このような神業はブラックジャックを生み出した日本しかできないのだ。>(以上)

7/28facebookより河添恵子氏の記事<『正論』8月号に掲載しました中国権力闘争★人間相関図(河添恵子オリジナル)です。この度、失脚した重慶書記の孫政才。一帯一路のカネ横領、オンナ問題&私生児もいる、妻は民生銀行の夫人グループでカネ貢がれ・・・。と、お決まりのスキャンダルが中国語メディアから続々と出ています。

その孫政才を早くに引き上げたのは温家宝前首相や賈慶林であり、何ら派閥には入っていませんでした。ところが、江沢民派にズブズブ→吉林省で工作(吉林閥ドンの張徳江の手足に)→「親北朝鮮」関連人物、といった具合になってしまったのです。まさに江沢民派≒北朝鮮関連が粛清されています。

しかも、次人事には胡錦濤前国家主席もリベンジで関わっています。北戴河会議を前に実のところ、習近平と胡錦濤は手を結んでいます。胡錦濤の息子もロケット出世をしてきています。

まさに暑い夏です!

7/28宮崎正弘氏メルマガ<CIA分析官「ロシアより中国が米国の敵ではないのか」   米議会に巣くうロシア嫌い、トランプ政権、ロシア制裁に拒否権発動か?>

http://melma.com/backnumber_45206_6562336/

昨日も書きましたが、米国議会は真の敵を見抜けないでいるというか、裏には中国の工作が進んでいるという事でしょう。特にマケインがひどいのでは。共和党でありながらいつも民主党に投票をするとダイヤモンドの記事にありました。

http://president.jp/articles/-/21817?page=3

7/28 日経朝刊中国、銀行などの制裁「撤回求める」 北朝鮮巡り日本に

【北京=永井央紀】中国外務省の陸慷報道局長は28日の記者会見で、日本政府が北朝鮮への独自制裁として中国の銀行などを資産凍結対象に加えたことについて「絶対に受け入れられない。即時撤回を求める」と反発した。「日本が我を通すなら、中日関係や朝鮮半島問題での協力に必ず重大な障害をもたらす」とも強調した。>(以上)

この中国の銀行と言うのは共同通信に依れば、米が制裁指定した「丹東銀行」のこと。日経や時事通信は名を伏せていますが。中国の報道官の発言は日米離間や、これ以上西側諸国が加わって制裁しないようというのと、米国の「中国銀行」をも制裁指定の牽制にあります。温泉施設探査の社員6人の内、4人をやっと解放したような危険な国です。経営者は社員をそんな国に送り込んで良いのかと思います。何時も言っていますように中国経済を拡大すれば、それが軍拡に使われ、or賄賂に使われることによって日本の立場を危うくするものになります。自分だけが良ければとか自分だけが助かればと言うのは、日本人ではなくなるという事です。日本は中国が何を言おうとも整斉と制裁を課すべきです。

山田氏記事は共産党の有無を言わさぬ土地収用の実態を書いたものです。毛沢東が土地を渡すからと言って小作農を騙して革命を起こし、その後約束を反故にして、土地を召し上げて全部共産党のモノにしてしまったことが原因です。中国では土地の強制収用の問題は頻発しています。日本だったら左翼が生活権の侵害と言って大騒ぎするでしょうけど。彼らの理想の国は平気でやってのけるし、日本の左翼は中国を非難することもありません。左翼は平気で嘘をつくし、二重基準の持主です。こういう国にならないように左翼と戦わねば。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1475687374

http://www.thutmosev.com/archives/66670713.html

なお、中国のレンタサイクル2店(悟空単車、3Vbike)が倒産したとの記事がありました。中国人に借りたものを返す習慣はないので、失敗するとは思いましたが。

http://www.recordchina.co.jp/b181555-s0-c20.html

記事

友人が15年以上働いた新聞スタンドの跡地。地面の色が変わっている

年金生活を指折り数えて楽しみにしている上海人の友人がいた。

いつも携行している小さなノートに毎月「年金支給まであと4年11カ月」「あと3年9カ月」と残りの日数を更新して書き込んでいた。年金支給の開始は60歳の誕生月から。60歳なんてまだ若い、急に仕事をしなくなったら毎日暇をもてあますだろうと聞くと、「仕事をしなくて済む方が仕事をしなきゃならないよりいいに決まってるだろう。日本人は働きバチだって言うけど、そんなこと考えるなんて、ホントなんだなあ」と呆れ顔で言われたものだ。

その彼が、「2年2カ月」を最後にカウントダウンノートの更新を止めた。今年の2月のことだ。この月、彼は突然仕事を失った。いや、奪われた、と言う方が正確だ。ともあれ、あれだけ楽しみだった年金の支給が急にどうでも良くなった。嫌々やっていると思っていた仕事に、実は愛着を抱いていたのに気付いたということもある。ただ何より、これで恐らく、彼は一度も、自分の意思で自分の仕事の去就を決めることができずに彼の仕事人生を終えることになるのだろうということに、なんとも納得のいかない思いが突き上げてきて、他のことはどうでも良くなってしまったのである。

彼の仕事は新聞スタンドの経営だった。10年間務めた国有の腕時計工場を39歳の時にリストラに遭い、2年間の失業を経て2001年から始めた仕事だ。経営といっても元締めの会社があり、1部1元(16円)の新聞を売って得る彼の取り分は0.14元。残りの0.86元は会社に納めるのだから、経営というよりもスタンドの管理者か売り子という方が近い。

彼が新聞スタンドの仕事に就いた理由が国有企業のリストラだったように、当時の中国は時代に乗り遅れ経営が立ち行かなくなった赤字国有企業が足かせになり、経済が停滞していた。しかし、中国が次の経済大国になるのは間違いないと、海外が中国の市場に注目をし始めたころでもあった。海外の雑誌もそれは同じで、2005年ごろまで主に女性ファッション誌の中国語版の刊行が相次いだ。日本勢も小学館の「Oggi」や扶桑社の「LUCi」、講談社の「with」等はこのころに進出したものだ。上海では同時並行で地下鉄網の整備が進んでおり、地下鉄に乗って通勤する「白領」(ホワイトカラー)がオシャレだという認識が生まれていたが、日本の女性誌はそれまでの中国の雑誌にはなかった「30日間の着回しコーデ」のような特集を組み、若い世代を中心に好評を博した。

こうして海外の雑誌が中国の大都市で売れ始めた中、国有企業をリストラされた人たちの受け皿として生まれたのが上海の新聞スタンド「東方書報亭」だった。「居民委員会」と呼ばれる地域の自治会兼監視役のような組織と所轄の公安に新聞スタンドをやりたいと名乗り出ると、所轄内の適当な場所に、大ぶりの家庭用物置のような形をしたガラス張りで屋根のついた小屋を無償で用意してくれたのだ。

1992年に14.2%をつけた中国のGDPは、彼が失業した1999年には7.7%まで減速した。しかしその後、彼が新聞スタンドを始めた2001年は8.3%、2003年には10.0%と2桁成長を回復し、高度成長の波に再び乗り始める。上海の新聞スタンドは、計画経済時代の中国を支えてきた国有企業が淘汰の波にさらされる端境期と、中国経済の復調、雑誌を通じた海外文化の流入という3つの要素が重なったことで生まれた、この時代ならではの失業対策だった。そして私も、この海外雑誌ブームのおこぼれにあずかる形で上海で働き始め、雑誌を売る最前線の取材をきっかけに、新聞スタンドの彼と知り合ったのだった。

紙媒体の斜陽と自転車シェアリングの台頭

最近、急速に増えているレンタル自転車の駐輪場

ところがその後、インターネットの普及で紙の本や雑誌が衰退し始める。中国は例外で難を逃れたなどということが起こるはずもなく、上海の彼の新聞スタンドもみるみる売り上げが減っていった。少しでも売上減を補おうと、3年前から店に電気鍋を持ち込み、そこでゆで卵とトウモロコシを作って道行く人に売り始めた。たいした稼ぎにはならなかったが、それでも、過去2年は、本業の新聞雑誌の売上げよりも、ゆで卵や飲料等の売上の方が多い月もあるほどだった。ゆで卵が売れたと言うより、それほど紙の新聞雑誌が売れなくなっていたということである。一時期、上海のOLに絶大な人気を誇ったOggiの中国語版も2014年9月を最後に休刊に追い込まれていた。

そして今年の春節(旧正月)明けの2月。彼は市当局から、新聞スタンドの閉鎖を通告された。理由は、「ゆで卵の販売を無許可でしていた違法行為」だという。ただ、スタンドを閉鎖する補償金として1万元(16万円)を支給する他、新たな就職先として、駐輪場の管理だったら手配するという。ゆで卵を売ったという違法行為が閉鎖の本当の理由であるならば、当局には立ち退きの補償金の支払いも、就職先の紹介もする義務はない。紙媒体の衰退と命運を共にし風前の灯火でありながら公道を占拠して邪魔な新聞スタンドをさっさと撤去して、もっとカネを生むことに有効活用したいという当局の意向があるのは明らかだった。

時を同じくして、上海では違法建築を利用した営業を理由に、飲食店等の強制取り壊しが市内各所で進められていた。多くの日本人が住む虹橋地区でも6月中旬、前の週まで数10軒の食堂が並びB級グルメを求める人でごった返していたレストラン街が、翌週訪れてみると、店舗がブルドーザーで根こそぎ地面から引きはがされ、跡形もなくなるという事態が起きた。たまたま現場に出くわした私は、作業員らが整地するのを遠巻きにして眺めている近所の人たちのグループの1つに声をかけ事情を尋ねると、やはりここでも違法建築が取り壊しの理由だとのことだった。そこには道路に面して団地が並んでいるのだが、主に1階に住む上海人の住人が、本来公道であるはずの部分に違法に張り出して増築し、飲食店や商店として貸していたということらしい。

後日、乗り合わせたタクシーの運転手と、一連の違法建築取り壊しの話になった。すると上海人の彼は、「違法建築が理由だって本気で信じてるのか。おめでたいな。あれはな、違法建築を使って安い飲食店を経営している地方の農村から来た農民工を上海から追い出すのが目的なんだよ」と言う。それを聞いた私は、そこで商売をしていた農民工からいきなり生きていく糧を奪って、上海当局はいったい、彼らに明日からどう生きていけと思っているのかなと返した。すると上海人の運転手は気色ばんで、「そんなことオレたちの知ったことじゃない。上海は人が溢れてるんだよ。農民工を養う余裕はもうないんだ。とっとと故郷に帰ればいいんだ」と言った。

ただ、相手が上海人なら上海から追い出すわけにもいかない。そこで、ゆで卵販売という違法行為を理由に新聞スタンドを辞めさせ、衰退する紙の新聞雑誌と入れ替わるように中国で爆発的に流行りだしマネーも集まる自転車シェアリングで需要の増えた駐輪場の管理人に最低賃金で仕事に就かせる。こうして、これまでなら地方からの出稼ぎ農民工に担わせたであろう低賃金の仕事は上海人の下層の人々に就かせ、あぶれた農民工は違法を理由に追い出す。違法ゆで卵から、こうした構図が見えてくる。

あっという間に壊されたB級グルメのレストラン街

「自分の意思」というささやかな抵抗

結局、新聞スタンドの彼は、閉鎖と補償金は受け入れたが、斡旋された駐輪場の仕事は断った。3つ年上の妻が今年5月から年金が支給されるので、蓄えを切り崩せば2人ならかつかつ食べていけるというのもあった。ただ、最後の仕事ぐらいは、国に指図されずに自分の意思で決めたいと思ったのだという。

文化大革命(1966-76年)のまっただ中に学齢期を過ごし満足な教育を受けられなかった新聞スタンドの彼は、19歳で初めて就職し3年働いた国有の家具工場、その後6年働いた国有のミシン工場、10年務めた国有の腕時計工場、そして政府の失業対策で生まれた新聞スタンドと、最後はすべてが国によるリストラで職を追われた。すべてが国の都合であり、個人の都合は一顧だにされなかった。新聞スタンドの仕事を奪われたとき、この仕事に愛着とやりがいを感じていたことに初めて気付いた。駐輪場の仕事だって、いざやれば立派にやり遂げる自信はある。でも、仕事には何の落ち度もないのに、また国の都合で辞めさせられるかもしれない。それはもうまっぴらだと思った。だからせめてもの抵抗として、「次の仕事を紹介してやれば文句はないだろう」というこれまでと同じ当局のやり方に、今回初めて、ほんのわずかだが、抗ってみたのだった。

「これまでずっと、国の頭数ぐらいにはなれているんだろうと思っていた。でも、定年退職の歳も間近になって、あっさりとこれまでと同じことをされた時、これまでだって、この国はオレのことなんか数の内に入れてなかったんだろうな、と思った」と、新聞スタンドの彼は、真面目な顔で言った。

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『早くも空回り、文在寅の「民族ファースト」 左派政権になっても「妄想外交」は続く』(7/26日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

森友・加計問題の報道姿勢で、日本のマスメデイアの劣化もここに極まれりと思っていたのですが、良く考えますと、最初から良い時なぞなかったのではと思い直しました。メデイアは一部を除き、「詐話師集団」です。挙証責任を被告(人)に転換することなぞ普通にはあり得ないでしょう。ないものを無いと証明するのは「悪魔の証明」と言われています。それはそうです。歴史上(時間)も世界的(空間)にもないという事を証明せざるを得なくなる訳ですので。況してや、最も説明が合理的と思われる青山参議院議員の質問と加戸前愛媛県知事の答弁をスルーするのですから。

日本のメデイアは「中国共産党の喉と舌」の役割を果たしているのではと考えます。時々中国に不利な情報を交えて報道しますが。それも手の内でしょう。人民日報や環球時報と同じ論調だと流石にばれるので。そう思って見た方が合っていると思います。でもメデイアや野党の印象操作に簡単に騙される国民も如何なものかと思います。中国人の常識は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うものですが、その定義で行けば、大部分の日本人は馬鹿と言うことになります。メデイアや野党は中国人と一緒で「自分は騙しおおせて賢い」と勝ち誇った気持ちでいるのでしょうが、それは情報弱者にしか通用しません。若者とネットで情報を取っている者にとっては、安倍内閣の支持率は高いです。情報弱者の高齢者はやがてなくなりますからフェイクニュースに金を払ってまで見ないし、TVも雑音としか感じないので見なくなるでしょう。TVのスポンサーもネットに置き換わる時代が来るでしょう。

7/20ネットギーク調査

http://netgeek.biz/archives/99765

7/20ニコニコアンケート

https://enquete.nicovideo.jp/result/91

政権もやられ放しではなく、切り返していかねば。本来は支持率が高いときに手を付けるべきでした。企業が成長している時にリストラするのと同じです。苦境にあってからリストラするのでは被害が大きくなるばかりです。先ず、新聞・書籍に対して再販価格維持制度を止めること。今は電子書籍の時代です。取次も置き換わって、ネット業界が電子書籍も販売しています。またNHKは害になるだけなので、民放に臣籍降下させ、国営放送を新たに作り、国会中継チャンネルと海外向け(英語、スペイン語、中国語、フランス語、ロシア語、アラビア語、韓国語)で放送すれば良いでしょう。メデイアの「断章取義」、「報道しない自由の行使」をしないでありのままを見て貰えば良いでしょう。お笑い番組は民放がやるでしょうから。それとTVの電波の入札はして民放各社から相応の負担をして貰うべき。また放送法における外国人の経営参与ももっと厳しく審査すべきです。

http://www.nippan.co.jp/recruit/publishing_industry/current_status.html

韓国と北朝鮮は下記の宮崎氏の記事を真剣に考えた方が良いでしょう。勿論日本人もですが。

7/28宮崎正弘氏メルマガ<「大統領が命令すれば中国への核攻撃も辞さない」、米太平洋艦隊司令官、豪国立大学安全保障セミナーで警告>

http://melma.com/backnumber_45206_6562115/

北の恫喝外交も南の蝙蝠外交も朝鮮半島の事大主義のDNAの為せる業なのでしょう。北は強者に擦り寄る代わりに粋がって見せるチンピラヤクザそのもの、南は朴槿恵もそうでしたが駄々捏ねを世界にアピールして自分を大きく見せるやり方です。両方とも力のないのは見抜かれていますので、誰からも信用されません。「五面楚歌」というのは日米北中露のこと?「四面楚歌」は百戦99勝を誇った項羽の最後の場面のことで、韓国の近い将来を暗示していると考えます。北との赤化統一か、国連管理になるのかいずれにせよ、鈴置氏は「大韓民国」は消滅するという思いなのでしょう。

記事

趙明均統一部長官が7月17日、文在寅大統領が掲げた「ベルリン構想」の後続措置を説明、南北対話を提案したが…。(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

韓国の「外交迷走」がひどくなる一方だ。

対話提案は空振りに

—韓国が北朝鮮との対話に動きました。

鈴置:そして無視されました。7月17日、文在寅(ムン・ジェイン)政権は軍事会談と赤十字会談をそれぞれ7月21日、8月1日に開こうと提案しました。ホットライン――直通電話を北側が断っているので、記者会見を通じての呼び掛けでした。

軍事会談に関しては、開催予定日の7月21日になっても何の返事もありませんでした。国防部は同日「7月27日まで提案は有効だ」と発表しましたが、なしのつぶてです。こうしたことから、赤十字会談も無視されるとの見方が多いのです。

「空振りに終わりそうなラブコール」に対し、韓国の保守系紙は極めて冷ややかです。中央日報は社説「南北軍事会談が不発、一歩目からつまずいた『ベルリン構想』」(7月22日、日本語版)で以下のように書きました。

南北軍事会談がこのようにつまずくのは、準備なく急いだ側面もあるだろう。大統領の「ベルリン構想」の成果を早期に出そうという焦りが作用しているのだ。実際、政府がこのように重要な会談を推進する場合、事前の整地作業と会談後の代案まで用意する必要があった。

日米との不協和音

—「ベルリン構想」とは?

鈴置:文在寅大統領がドイツでのG20(20カ国・地域)首脳会議に参加した際、7月6日にベルリンで演説し、表明した構想です。

「条件が整えば金正恩委員長とも会う」と述べ、南北首脳会談による核・ミサイル問題の解決を訴えました。

朝鮮半島の問題は外国の力を借りずに、朝鮮民族の手で解決しようとの発想です。7月21日に提案した「軍事」と「赤十字」の2つの会談は、その首脳会談の露払いということでしょう。

—「焦り」とは、中央日報も厳しいですね。

鈴置:北朝鮮は米国との直接対話を望んでいます。韓国と対話を始めたらそれが遠のく可能性が高い。だから、北朝鮮から肘鉄砲を食うというのは読み筋でした。

それなのに、韓国は裏交渉もせず呼び掛け、恥をかいたというわけです。多くの韓国人がそう考えたと思います。提案による副作用もありました。中央日報の社説はこう続きます。

国際的な環境と北朝鮮の状況に対する評価も不足していた。その結果、政府の突発的な南北会談提案に北朝鮮は反応せず、日米との不協和音だけが高まった。

「韓国政府に聞け」

韓国が対話を呼びかけた瞬間、米国が牽制しました。ホワイトハウスのスパイサー(Sean Spicer)報道官(当時)は7月17日の会見で韓国の対話提案について聞かれ、以下のように答えました。

Well, obviously those comments came out of the Republic of Korea and I would refer you back to them.

That being said, I think the President has made clear in the past with respect that any type of conditions that would have to be met are clearly far away from where we are now.

まず「韓国政府に聞く問題だ」と述べ、米国は提案の相談にあずかっていない、あるいは相談があっても同意はしていないことを示唆しました。そのうえ「現状は対話に出るには遠い状態だ」と提案自体を批判したのです。

7月4日に北朝鮮が米国まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の試験を実施しました。米国と日本が全力を挙げて北朝鮮に圧力を強めています。というのに韓国は北朝鮮に逃げ道を用意しようとしたのです。

米国は軍事的手段も辞さない姿勢を打ち出しています。しかし南北対話が始まれば、その間は軍事行動に出にくい。米国や日本の目には、北朝鮮の核武装の時間稼ぎを韓国が幇助すると映ります。

約束は守らない

—6月末の米韓首脳会談で両国は足並みを揃えて北朝鮮を圧迫することを約束したのでは?

鈴置:ええ。共同声明でも対話に関しては「北朝鮮が正しい道を選べば」と、ちゃんと条件を付けました(「『戦闘モード』に韓国を引き込んだ米国」参照)。

しかし、文在寅大統領は約束を堂々と破った。そこで中央日報の社説は「日米との不協和音だけが高まった」と大統領を批判したのです。

—なぜ、約束を守らないのでしょう。

鈴置:韓国では「約束は守るもの」ではないのです。日本との「慰安婦合意」も破っています。ソウルの日本大使館前の慰安婦像を撤去しません。それどころか釜山の総領事館の前に新たに立った慰安婦像も黙認しています。

文在寅大統領は米韓首脳会談の直後、7月1日に在米韓国人の集まりで「南北関係は周辺国に頼らず、我々が運転席に座って主導していく」と語りました。

朝鮮日報の「文大統領『南北関係は運転席に座る』」(7月3日、韓国語版)などが書いています。

運命は民族の手で

韓国人には「自分の国の運命は常に周辺大国が決めてきた」との思いがあります。それに対し文在寅大統領は、保守政権は米国の言うことに従ってきた、しかし左派が政権を握った以上、我が民族が自らの運命を切り拓く――と宣言したのです。

「民族の主体性」こそが、韓国左派の存在意義なのです。トランプ(Donald Trump)大統領との約束など、初めから守るつもりなどないのです。

帰国直後の7月2日には「朝鮮半島問題は我々が対話を通じて主導的に動くことへの米国の支持を取り付けた」と語っています。

これも朝鮮日報の「文大統領『南北関係は運転席に座る』」(7月3日、韓国語版)などが報じています。

「米国との約束を破るだろうな」と危機感を強めていた保守系紙は、韓国政府が対話を提案すると直ちに――北朝鮮の無視が判明する前に――批判に乗り出しました。

朝鮮日報は「譲歩しては頬を殴られてきた南北対話、また繰り返すのか」(7月18日、韓国語版)で、次のように主張しました。

7月4日の北朝鮮のICBM発射を受け、国際社会は新たな制裁を協議している。米国は北朝鮮と取引のある外国企業に制裁を加える「セカンダリー・ボイコット」に本格的に動き出した。

韓国政府は軽率な南北対話が国際社会の流れに反するとの懸念に耳を傾けるべきだ。文大統領は韓米首脳会談で緊密な協力を行うことで一致した。今回の対話提案が米国の十分な支持を得られているか気になるところだ。

下手な求愛はやめろ

いざ、スパイサー報道官が韓国を批判すると、朝鮮日報は翌日も社説を掲載し「北朝鮮を喜ばせるだけの文在寅外交」を糾弾しました。

韓米首脳会談、3週間で出てきた不協和音」(7月19日、韓国語版)で、ポイントは以下です。

首脳会談後、わずか3週間で韓米の意見の食い違いが表面化した。どのみちそりの合わない両国政府だが、予想より早い葛藤だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)はこの状況を見て笑っていることだろう。深刻な問題である。

東亜日報も7月18日の社説「南北軍事・赤十字会談を提案、対北朝鮮放送と離散家族」(日本語版)で米国との約束違反を批判しました。

政府は韓米首脳会談で、南北関係における韓国の主導的役割に対して了解を得たと強調している。しかし、非核化の進展がない南北対話を米国や国際社会がただ見守ることはできないだろう。

北朝鮮に対する求愛は、今回の提案が最後でなければならない。北朝鮮の拒否にもかかわらず、それにしがみついたり、会談が開かれても北朝鮮の時間稼ぎや分離術策に振り回されたりしてはならない。

制裁と対話の並行は、文大統領がG20首脳会議で国際社会に提示した原則であり約束でもある。

やはりタリバン政権

—「求愛はやめろ。北朝鮮にしがみつくな」とは。東亜日報も厳しいですね。

鈴置:中央日報も対話提案の翌々日に同様の社説を載せましたが、提案を、何と「不祥事」と決めつけました。「南北対話の提案が韓日米の対立につながるのか」(7月19日、日本語版)です。

文在寅政権の誕生で米韓関係に修復不可能な亀裂が走ると保守は恐れていた。文在寅氏が秘書室長など要職を務めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003―2008年)当時、あまりの「反米親北」ぶりに、米国からは同盟破棄の声まで挙がっていたからです。

米国の外交界は盧武鉉政権の中枢部は「タリバン」――つまり過激な民族主義者が占拠したとも公然と語っていたそうです(「文在寅政権は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

6月29、30日にワシントンで開く米韓首脳会談を、韓国の保守は恐る恐る見つめていた(「『韓国の鳩山』に悲鳴をあげる保守系紙」参照)。別段、対立が表面化しなかったので、ほっとしていたところに南北対話の提案です。

保守系紙は「やはり文在寅政権は反米に走った」と衝撃を受け、激しい言葉で政権を批判し始めたという構造です。

「不祥事」に付け込む

—ところで、北朝鮮はなぜ、軍事会談を受けなかったのでしょうか。

鈴置:確かに、南北対話に応じれば米韓の亀裂を大きくすることができます。しかし、その利点と比べれば米国との直接対話の可能性を減じる不利益の方が大きいと判断したのでしょう。

ただ「文在寅政権のミス」には付け込む作戦に出ました。北朝鮮は軍事会談の提案は無視しました。が、7月20日の労働新聞が興味深い論文「全民族の大団結に統一がある」を載せました。

1972年の南北共同声明(7・4声明)の意義を長々と論じたものですが、後ろの方に以下のくだりがあるのです。

南朝鮮当局が相手を公然と敵対視し、対決の意図を明白にしながら「関係改善」などと云々するのは全く話にならない。世論を欺瞞する行為と見るほかはない。

南朝鮮当局は反民族的な対決と敵対の悪弊を清算し、同族を尊重し、統一の同伴者としてともに手を携える英断を下さねばならない。

労働新聞に呼応したハンギョレ

—「英断」とは?

鈴置:米韓合同軍事演習の縮小・中止、あるいは在韓米軍の撤収、さらには米韓同盟の破棄を指していると見られています。

北朝鮮はこの論文を通じ「対話してほしいなら、腹を固めよ。民族を重視する左派なのだから、軍事演習ぐらいやめたらどうだ」と謎をかけたのです。

—文在寅政権は「英断」を下すのでしょうか。

鈴置:左派系紙のハンギョレはさっそく労働新聞に応えました。7月21日の夕方から掲載した社説「南側の対話提案に『こだましない北』」(韓国語版)はこう書きました。

南北関係が改善しない限り、朝米関係が良くなることは事実上、不可能だ。北が南側の提案を一蹴せず、考慮するかの姿勢を見せているのは幸いだ。

8月実施の韓米合同軍事演習「ウルチ・フリーダムガーデン」(UFG)の撤廃あるいは縮小を北が要求してくるかもしれない。政府はこうしたすべての可能性に対し、深く準備しておくべきだ。

主導権のない韓国

—韓国は合同軍事演習の中止を提案されたら受けるのでしょうか。

鈴置:北との融和を唱え、政権に近いハンギョレが「準備せよ」と書いているところからして、演習中断が文在寅政権の本音でしょう。

大統領の外交安保特別補佐官である文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学特任名誉教授も6月16日、ワシントンで「演習の縮小を交換条件に北朝鮮に核・ミサイル活動の中断を求めるべきだ」と語っています。

この発言により、米国は文在寅政権を決定的に疑うようになったのですが(「『米韓合同演習』を北に差し出した韓国」参照)。

—そうでした。でもそもそも、韓国が朝鮮半島問題で主導権を握ることができるのですか。

鈴置:そこがポイントです。韓国の民族主義者は握るのが当然と考えている。しかし現実には難しい。

東亜日報は社説「米中経済対話決裂、『中国の圧迫で北の核解決』は遠い道だ」(7月22日、韓国語版)でそれを突きました。

北朝鮮の核・ミサイルはこうなった以上、韓国だけでも韓米同盟だけの問題ではなく、米国の問題となっているのだ。

北朝鮮が米国まで届くICBMを開発した以上、米国は自分の身を守るために動く。韓国防衛のための米韓同盟とは関係なくなっている。韓国の意見など聞かれない現実を見つめよ、ということです。

東亜日報はここまでは書いていませんが、仮に南北対話が始まっても米国が必要と判断すれば北朝鮮への空爆は実施する――と見る専門家もいるのです。

反民族主義者に認定

—「韓国に主導権はない」。これが妥当な認識ではないのですか?

鈴置:そうなのですが、そこまではっきりとしたもの言いをすると韓国では敗北主義者と非難されかねません。あるいは民族内部の問題の解決を大国に委ねる反民族主義者に認定されます。

東亜日報が「米中経済対話」を論じる中でさりげなく「不都合な真実」を指摘したのも、そうした理由からかもしれません。

朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問も文在寅政権の内政を批判するコラムの最後で「不都合な真実」にチラリと触れています。「強者と格闘してこそ真の改革だ」(7月22日、韓国語版)から引用します。

米上院に「北朝鮮が検証可能で不可逆的な非核化の道に進む前に開城(ケソン)工業団地を再稼働できないようにする」法案が提出された。韓米同盟の歴史で聞いたことも見たこともない話だ。

ブレーキとアクセルが助手席の下に付いている自動車の運転席の限界だ。

G20会議から帰国後の「(北の核)が我々の最も切迫した問題というのに、我々には解決したり、合意を導く力がない」との大統領の述懐が現実になった。

国の内外で大風呂敷を広げても何の得もない時が来たのだ。

車両運搬車の上の愛車

記事中の「開城工業団地」は北朝鮮への外貨支援のパイプとなっていた南北共同のプロジェクトです。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展に対応、朴槿恵(パク・クネ)政権(2013―2017年)が中断しました。文在寅政権はこの再開を公約に掲げています。

姜天錫論説顧問は、理想がどうであろうと米国の掌の上に載っている現実をベースに政策を組み立てるしかない、と言いたかったのでしょう。

—「ブレーキとアクセルがない運転席」とは?

鈴置:「運転席に座る許可を米国から得た」と誇る大統領への強烈な皮肉です。もっと厳しく言えば、文在寅大統領の握るハンドルは偽物かもしれない。

確かに自動車の運転席には座っている。しかしその車ごと、トランプの運転する車両運搬車に載っている。

国民からすれば、窓の外の風景は動いている。父親はそれらしくハンドルを回したりし時々、振り向いては「どうだ、お父さんの運転は上手いだろう」と誇る。

でも本当は、韓国という小型車は大型車の上に載っていて、他人の行きたい方向に運ばれて行くだけなのです。

助手席で方向を指示

—身も蓋もない例えですね。

鈴置:韓国にはやりようもあったと思います。文在寅大統領には車両運搬車の助手席に座り、運転席に座るトランプ大統領のハンドルさばきに注文を付ける手があった。トランプ大統領がいくら我が強かろうが、忠実な同盟国の意見を完全に無視することはできません。

でも「民族ファースト」を掲げる文在寅政権は就任早々、米国を裏切った。日米韓のスクラムを壊し、南北対話に走ったのです。これで米国に影響力を行使することは困難になってしまった。

米軍が韓国に配備したTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の問題でも米国を激怒させました。THAADの完全な配備は環境影響評価を実施してから、との方針を打ち出したからです。

そのうえ、左派の団体がTHAAD基地を封鎖し、燃料の搬入など運用を妨げている。しかし警察は見て見ぬふりです(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

文在寅大統領は訪米中に「環境影響評価が配備を覆すためのものであるとの疑念を捨ててほしい」と、いかにも近い将来に配備を認めるかのごとくに語りました。

ハンギョレの「THAAD配備めぐる米国の疑念は払拭したが・・・中国をどう説得するかが課題に」(3月5日、日本語版)などが発言を報じています。

が、帰国後も大統領は左派団体のやりたい放題を放置したまま。米国が韓国を信頼するわけがありません。

それどころか、在韓米軍を撤収する可能性も出てきました。北のミサイルから韓国と在韓米軍を守るために配備した、THAADの運用を韓国が国をあげて邪魔するのですから。

深まる「五面楚歌」

—在韓米軍を撤収して米国は北朝鮮への攻撃ができるのですか?

鈴置:在韓米軍基地がなくとも先制攻撃は十分に可能です。米国は地上戦をやるつもりはない。一方、空軍基地は近過ぎて却って使いにくい。

—韓国外交は迷走を続けますね。なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか。

鈴置:自分に都合のいい世界像を設定し、それをベースに外交を組み立てるからです。朴槿恵政権がそうでした。

米中双方にとって韓国が必要不可欠な国になったと思い込み、両国を競わせ、操る作戦に出た。両大国の力を背景にすれば日本と北朝鮮を叩ける、とも本気で考えた。

こんな現実から遊離した妄想外交の結果、周辺国すべてから怒りを買い、孤立しました(「文在寅政権は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

一方、左派の文在寅政権は同民族の北朝鮮と手を組めば、周辺大国に対抗できると考えた。彼の信奉する本によれば、米帝国主義に対し世界の人民は立ち上がり、大同団結して戦って勝利する――はずなのです(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。

ところが現実には北の同族でさえ、韓国からの共闘の申し出を鼻で笑い飛ばし、逆に利用しようとするだけでした。北朝鮮とすれば当然です。脅威は韓国ではなく、圧倒的な核戦力を持つ米国です。米国との関係改善を図ってこそ生き残れるのです。

韓国の「五面楚歌」は深まるばかり。歴代政権の妄想外交の果てに韓国は周辺国から軽んじられ、無視される存在になってしまったのです。国の運命がかかる重大な時というのに。

(次回に続く)

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『相次ぐ“政商”たちの受難、習近平の真意は?「共産党員らしい資本家」が抱える大いなる矛盾』(7/26日経ビジネスオンライン 福島香織)について

7/27ロイター<コラム:米中蜜月の終焉、経済戦争突入か=斉藤洋二氏>

http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKBN1AB08G?pageNumber=3&sp=true

7/27Money Voice<次の暴落の原因。中国が抱える「5000億ドル債務爆弾」はいつ炸裂するか?=斎藤満>

http://www.mag2.com/p/money/269871?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_thu&utm_campaign=mag_9999_0727

7/27ロイター<米FOMC、資産縮小「比較的早期に」:識者はこうみる>

http://jp.reuters.com/article/fomc-highlights-idJPKBN1AB2QE?sp=true

中国の共産党大会が終わるまでは、米国は金利上げをせずに債務の大きい中国を助けるという事でしょうか?習近平を助けても、恩義に感じるはずはありません。2012年の反日デモで井戸を掘ったと言われる松下はどう扱われたか、天安門事件の後の西側からの経済制裁にあった中国を天皇訪中までして助けた日本をどう扱ったか、靖国参拝しないで胡耀邦を助けた中曽根総理以降の総理の靖国参拝はどうなったかを考え合わせれば、中国は裏切りが常套手段というのが分かるでしょう。孫子の兵法に「兵は詭道なり」、「兵は詐を以って立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す者なり」とあるように、今でも中国人の発想は兵法に基づいています。トランプも騙されないように。斎藤満氏の言うように早く丹東銀行だけでなく、中国銀行にも制裁をかけなければ。

農水省は米牛肉へのセーフガード発動の説明に米国まで行くのこと。22年前の法律(7/27日経朝刊より)をそのまま適用していいものかどうか。こうなる前に法を変えておくべきだったでしょう。米国が中国の鉄鋼の輸入関税をかけようとしている時に。米国からすれば、日本も不公平なやり方をしていると、鉄鋼の輸入関税を正当化するのでは。タイミングが悪すぎです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170727/k10011075891000.html

福島氏の王健林の記事は、習近平に逆らう者or機嫌を損ねる者は誰であっても許さないという事でしょう。まさしく毛沢東以上の帝王を目指していると言ったところでしょうか?でも中国では「政権は銃口から生まれる」と言われています。毛や鄧と違い、習近平は軍の経験はないため、どこかで転ぶ気がします。まあ、経済人も、軍人も習近平を信じているのはいなくなるのでは。クーデターか暗殺でしょう。

7/27宮崎正弘氏メルマガより、<(読者の声2)貴誌が速報した万達集団ですが、王健林は、手持ち財産をかたっぱしから処分しはじめ、となると中国財閥ナンバーワンの位置からすべりおちることは明白。その後の動きはありますか?

(TY生、静岡)

(宮崎正弘のコメント)中国当局が7月10日に「信用調査」を命じて以来ホテルとテーマパークのあらかたを売却する方針が公表され、全額を借入金の返済に充てると発表しました。

ところが売却先の「融創中国」(天津)は同業者で業界七位ですが、手持ち資金はなく、その半分の金額を、王健林が個人財産を担保に銀行から借りて融資するというのですから、奇怪千万です。

案の定、この「見せかけ」売却がばれ、あわてて王健林は売却先を変更し、富力地産(広州)にホテルを、テーマパークを融創集団にと、ふたつに分けての売却とし、さらに後者への融資は行わない旨の発表があった。

それでも万達は子会社の「万達商業地産」の借り入れが3兆2000億円にも上り、株式市場が大揺れとなりました。万達全体の有利子債務は13兆円を超えます。

このままビジネスが萎めば、「第二のダイエー」になることは明らかです。

また海外の映画館チェーンの買収も海外送金が事実上不可能となって中止を余儀なくされており、マレーシアのクアラランプールでの新都心建設プロジェクトへの応札も取りやめました。

習近平一族と親しいとされた万達集団にも規制の網が及んだことは、すでに海外資産買収の勢いが削がれ、同種の買収工作をすすめてきた腹星集団(北海道の星音リゾート買収で有名)、安邦保険などへ波及しています。

中国の景気後退は激甚なのです。

しかし背後にあるのは、外貨保有の急速な落ち込みに急ブレーキをかけてきた当局が、最も効果的な方法とはメディアに突出する中国の有名企業の海外への送金をばっさりと制御し、当局が取り調べの本気度をしめすための「見せしめ」に利用したのではないか、と思います。>(以上)

7/27日経朝刊にも関連記事が載っています。中国、5社標的の深謀 海外M&Aで急成長締め付け 指導部人事巡り闘争のあおり? 

中国当局が海外M&A(合併・買収)で急成長してきた大手企業への締め付けを強めている。経営トップが身柄を拘束され、買収案件の調査も相次ぐ。標的となった5つの大企業の創業者は共産党幹部の子弟との人脈が取り沙汰される。締め付けは金融安定を狙った資金流出規制の一環とされるが、今秋の最高指導部人事を巡る闘争のあおりとの見方も広がる。

金融の安定狙う

「我々と一緒に来てください」。6月9日夜、中国保険大手、安邦保険集団董事長の呉小暉が当局に身柄を拘束された。翌朝、監督官庁の中国保険監督管理委員会(保監会)の幹部が北京の安邦本社に姿を現し資料押収を始めた。当局が海外企業の「爆買い」で急成長した5社を標的にした取り締まりの始まりだった。

中国メディアによると5社とは安邦に加え、復星集団、大連万達集団、海航集団、浙江羅森内里投資。創業者の大半は中国建国に功績があった幹部の子弟である「紅二代」らに近いとされる。紅二代の影響力を背景に金融機関などから巨額の資金を調達し、買収を重ねた。「金融の安定を揺るがしかねない高リスクの融資や資本流出を止めなければ」。危機感を持つ当局がついに動いた。

安邦の呉は副首相などを歴任した陳毅の息子と親しく、鄧小平の孫娘とも結婚していたことで知られる。自動車リースから身を起こし2004年に安邦を設立。総資産額は2兆元(約33兆円)規模にのぼる。

14年の米名門ホテル、ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークの買収発表で世界的に知名度が上がった。海外での買収・出資額は直近までで160億ドル(約1兆8千億円)。その6割は内外の大手金融機関からの融資で、買収企業の資産を担保に新たな融資を受けていた。「買収承認などで安邦を優遇してきた」(業界幹部)という保監会主席の項俊波が今年4月に解任され、潮目が変わった。

北海道の「星野リゾートトマム」などを買収した復星は、総資産は5千億元規模だが、負債比率は70%超という。董事長の郭広昌は元国家主席の江沢民を筆頭とする「上海閥」と近いとされる。

「長老」封じ込め

「調査の裏には北戴河会議で長老の発言権を封じ込める狙いがある」。地方政府幹部は声を潜める。北戴河会議とは毎夏に北京近郊の避暑地、北戴河で党長老と現指導部が重要事項を話し合う場だ。今秋の党大会では最高指導部の大幅な入れ替えがある。国家主席の習近平が権力固めのため、対抗勢力に圧力をかけているという見立てだ。

不動産大手の大連万達の董事長、王健林は軍出身の中国一の富豪だ。不動産取引などで「軍や政府の幹部に利益が出るよう配慮した」(関係者)との声がある。海外買収に2千億元以上を投じてきたが、当局の調査開始直後にホテルの大半を売却すると発表した。

イタリアの有名サッカーチーム「ACミラン」を買収した浙江羅森内里も調査対象となった。締め付けも相まって中国企業の対外投資は急減。今年1~6月の対外直接投資は前年同期比45.8%減の481億ドルだった。

今後の注目は海航だ。董事局主席の陳峰は航空会社の運営から買収を重ね、資産規模1兆2千億元の複合企業に育てた。

陳は、腐敗撲滅を担う党中央規律検査委員会書記、王岐山の「老朋友(古い友人)」だ。王が1980年代に中国農村信托投資のトップを務めていた際の部下だった。

今春、米国逃亡中の中国人政商が王の親族と海航の癒着を暴露。一方、陳は7月初めのドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議の晩さん会に習夫妻と参加し、結びつきの深さをうかがわせた。

五大企業の調査は権力闘争の色彩を帯びる。だが経営破綻や解体に追い込まれれば内外の金融機関は痛手を負い、中国の信用リスクにも影響を及ぼしかねない。

=敬称略 (北京=多部田俊輔)>(以上)

記事

7月19日、王健林(写真左)率いる大連万達が、孫宏斌率いる融創中国へ娯楽事業を売却、北京で調印式を行った。政商たちそれぞれの思惑や如何に(写真:ロイター/アフロ)

党大会が秋に控える中、習近平の権力闘争が激化している。だが振り回されるのは、何も政治家だけとは限らない。政権とは近づきながら、政治とは距離を置いてきた“政商”たちの周辺もざわざわしている。いったい何が起きているのか。

権力闘争の視点では腑に落ちない

中国の“政商”とは一般に、政権や力のある政治家に近づき情報や便宜を得る代わりに、政治家や共産党に富、上納金をもたらす資本家、企業家のことだ。彼らは、いち早く政策情報を取得したり株式市場の動きを予測することで、ビジネスチャンスをものにしたり、リスクを回避するための手を打ったりすることができる。

ただし米国の軍産コングロマリットなどと違って、彼らは政治を自らの都合のために動かそうとしたり、政治に介入しようとしたりはほとんどしない。政権には近いが政治には無関心。そして、この政治への無関心が、ときに政策の無視にもつながる。

新たな規制が打ち出されるという情報を、いち早く得ると、その規制に従うのではなく、その規制の網を抜ける対策を立てる。それでも、自分の“親分”である有力政治家にたっぷり上納金を納めれば、見逃してもらえたのだ。なので、企業家の失脚というのは、おおむね彼らがすり寄った政治家の失脚と連動する。政治家同士の権力闘争に、企業家、資本家が巻き込まれるのである。

賢い企業家、資本家たちは、風見鶏のように政治の風向きに忠実で、比較的軽々と“親分”を乗り換える。こうした風向きが読めなかったり、義理を優先したりしてしまうと、生き残れないのが政商である。企業家、資本家が失脚すると、まずその背後の政治家、パトロンが誰なのか、どういう権力闘争において犠牲になったのか、というのを調べるのがいわゆる中国屋の視点である。ところが、習近平政権の昨今の“政商いじめ”は、どうも、こうした権力闘争の視点だけでは、腑に落ちない部分がある。

例えば、王健林である。中国トップ三本の指に必ず入るほどの大富豪でもある大連万達集団の創始者にしてCEO。彼の“親分”はもともと大連市の書記であった薄熙来だった。彼は、鼻が利くので、薄熙来が失脚する前に、薄熙来と喧嘩別れしていた。そして、革命軍人の血統を利用して、太子党(革命参加者の子弟、ファミリー)に人脈を広げ、賈慶林、王兆国ら江沢民派とも、劉延東や温家宝ファミリーの共青団派とも、ビジネス、利権関係を築いていた。当然、習近平の姉夫婦にも近づき、株式の譲渡を通じて蓄財させてやった。最近は、王健林は習近平ファミリーの「ホワイト・グローブ」、つまり蓄財のためのマネーロンダリングや資金移譲を手伝うグレーゾーンの仕事を行う、習近平派の政商ともっぱらみなされていた。

その王健林の足元がこの夏、揺らいでいる。

国内総資産を投げ売り、慈善事業に出資

王健林は7月になって国内のホテル、不動産など国内総産資産の8~9割を投げ売りしたうえ、貴州省に貧困農村に計15億元の貧困救済プロジェクト基金を設立するなどの思いついたような“慈善事業”への取り組みを発表した。貴州省は習近平の弟分、陳敏爾がこの間まで書記をやっていた地方であったので、習近平へのおもねりと解釈されている。

ほぼ同時期、ブルームバーグ、財経などの報道を総合すれば、中国当局は万達に対する融資を銀行に禁止するなど懲罰を開始したもようだ。理由は万達の海外投資などいくつかの案件について規則違反があった、という。党大会前に負債率を削減し金融リスクを圧縮するために、資産を売り払えという圧力があったのではないか、という見方もある。こういう話が流れてくると、貴州の貧困プロジェクトが禊になるのか、果たして、彼の失脚が確定していくのか、万達関連株に虎の子を投じてきた株民たちは気が気ではなかろう。

万達集団については、6月中旬、国家銀行監督管理委員会から「対外投資の勢いが比較的激しく、銀行間のエクスポージャー(出資金や貸付金がリスクにさらされる度合い)が比較的大きい」として調査対象になっていた。この直後、万達集団傘下の企業が6月22日に、ネットで流れた「大手銀行が万達関連の社債売却命令を当局から受けた」という“噂”がきっかけで株価が10%暴落したこともあった。つい一年前まで「打倒ディズニー」を公言し、ハリウッドを買い占める勢いであった王健林が、急激に勢いを失った。国内のソフトパワー強化戦略もハリウッド買収も習近平の好みにあった戦略だと思われていただけに、彼が寵愛を失ったのは、どういうわけなのか、といぶかしがられた。

7月21日に王健林自身が「国家の呼びかけに従い、我々は主な投資を国内に向ける」と中国メディアにコメントしていたが、発言を額面通りに受け取れば、過剰な海外投資が、キャピタルフライトを食い止めようと必死であった習近平政権の方針に背いていると受け取られ、“懲罰”を受けての反省の弁ととれる。

しかしながら、これまでの暗黙のルールであれば、“政商”ならば、他の企業家が許されない行いも、見逃されてきた。政商は、政治には口を出さないが、政治家は資本家たちの金儲けに口を出さないのだった。自分たちにキックバック、賄賂さえしっかり入れば。おそらくは、王健林自身も今年になるまでは、自分は習近平政権から特別扱いされるのだと思い込んでいたのではないだろうか。

ここで、万達のホテル・不動産資産を格安で取得できた融創中国のCEO、孫宏斌が何者であるか、という話になる。孫宏斌は動画大手企業・楽視の会長の座を、創業者・賈躍亭から奪ったことでも話題になった。これは楽視の経営難を、孫宏斌がホワイトナイトとして救済した、と報じられていたが、その中身をよくみれば、乗っ取りというか、王朝の交替である。

賈躍亭はもともと、習近平に失脚させられた令計画と密接な関係を持つ政商であり、習近平のスキャンダルを握ったまま米国に逃亡したとされる令計画の弟・令完成が運営するPE企業からも投資を受けていたと聞く。このことから、胡錦涛政権下のネット戦略の主軸企業の一つと見られていた。令計画失脚後、楽視株が習近平派にかなり暴力的な方法で買い集められていたことは、それなりの筋から聞き及んでいる。この賈躍亭の行く末は、皆がかたずをのんで見守っていたが結局、孫宏斌によって楽視から追い出され、楽視の血液は完全に入れ替えられた。

譲った? 逃亡準備? 先手?

こうしてみると孫宏斌は習近平の寵愛を受け、王健林は寵愛を失った、という風にもみえるが、興味深いのは、この融創中国に万達はホテル不動産76軒、遊園地13個を632億元で売却したのだが、その資金の大半を万達が銀行から融資を受けた金を、融創に融通したのだった。

この背景について、様々な見方が飛び交っている。一つの見方は王健林は習近平から見放されて、圧力をかけられて資産の8割以上を、習近平の新たな政商・孫宏斌に譲った、というもの。あるいは、自分が失脚させられると身の危険を感じた王健林は、できるだけ自分の資産を早く処分して、経済犯罪の証拠を隠滅しようとした、あるいは、逃亡の準備をしている、という見方。

だがこれとは別に、王健林は、その広い人脈によって、習近平が党大会以降に打ち出そうとしている経済戦略の情報を得ており、先手を打って対策を立てている、という見方もある。すなわち、党大会以降、不動産資産が大幅に値下がりしたり、ホテル・映画・エンタメなど娯楽業界が打撃を受けるような政策が打ち出されると王健林は見越して、その損害を減らすために、孫宏斌に協力を仰いだのではないか、と。楽視の新会長に収まった孫宏斌にしてみれば、ワンダの映画館ブランドは利用価値があり、映像エンタメ業界の先輩である万達に運営・宣伝・戦略についてサポートが得られれば、大いに助かる。

党大会後に不動産バブル崩壊がくるのではないか、という噂は、北京不動産業界の雄、潘石屹率いるSOHO中国が6月までの3年間に、不動産資産の大半を処分していることからも、ささやかれるようになった。総額は236億元はくだらない。もはや不動産業の時代ではない、というのが潘石屹の言い分で、今後は「AIの時代であり、そういう時代に不動産は値上がりしない」と証券日報に語っているが、本当にそれが理由なら、彼らは何か根拠になる情報を得ているのかもしれない。

ところで、王健林だけでなく、もう少し政商界隈を俯瞰すると、習近平というのは、どうも従来の“政商”の在り方自体を変えたいようにも見える。

タブーを覆し、アンタッチャブルを拘束

今年の出来事を振り返ってみると、明天系の大富豪、蕭建華の香港における失踪事件がある。

北京五輪プロジェクトでは暗躍した盤古投資の創始者であった“闇の政商”こと郭文貴が、米国に逃亡したあと今年に入って海南航空集団(海航)と習近平政権の反腐敗キャンペーンの陣頭指揮を執っていた王岐山ファミリーとの癒着を暴露して以降、海航も不合理な海外投資を理由とした銀行の調査対象になっている。海航集団の創始者にして会長の陳峰は、7月、習近平のドイツ行きに随行した唯一の中国企業代表。海航がドイツ銀行の最大株主だからだろうが、習近平政権にとって利用価値のあるお気に入りの政商の一人であることも間違いあるまい。それでも調査対象にされているわけだ。

同じ理由で医薬品大手の復星国際集団、小売流通大手の浙江羅森内里も調査対象にされている。復星のCEOである郭広昌は上海のゴッドファーザーの異名をもつ上海閥に近い政商で、これまで江沢民派の庇護を受けていたが、習近平の初訪米に随行した企業家でもあり、習近平との関係も悪くない、はずだった。汚職の噂は絶えず、実際、何度も“失踪”(非公式に当局の取り調べを受けている)しているのだが、その都度切り抜けてきている。浙江羅森は今年4月、イタリアサッカーチームのACミランが買収。サッカー好きの習近平の意向かと思いきや、その情報が習近平の耳に入ったとき、習近平は机をたたいて激怒したとか。

一方、鄧小平ファミリーの威光を利用して、中国二位の保険企業となった安邦保険集団CEOの呉小暉が不正な海外買収を理由に失脚し身柄拘束された。呉小暉は鄧小平の孫娘婿に当たる。紅色企業家と呼ばれる建国に貢献した革命家たちの子孫資本家たちは、不正な融資を受けようが、無茶な投資を行おうが、アンタッチャブル、誰も文句が言えない雲の上の存在だったが、そのタブーを習近平政権は覆した。

こうした出来事を並べていくと、権力闘争と思われるものもあるが、権力闘争の文脈だけでは読み解けない。王健林も陳峰も郭広昌も、習近平に腹を見せておもねっていた忠実な政商たちで、彼らへの懲罰的な圧力の本質は、ひょっとすると、純粋に共産党員にあるまじき、金儲けの仕方や資金洗浄、資金移譲が許せないということかもしれない。習近平は大手民営企業の海外投資を指して「投資家たちが、こんな方法で資金洗浄をしているとはけしからん」と怒っているとか。これが本当ならば、習近平が政商たちに求めるのは、金銭的利益のキックバックではなく、共産党員らしさ、党の方針、指導に忠実であることかもしれない。

とすると、今はイケイケ、ドンドンで海外投資展開をみせているアリババの馬雲やテンセントの馬化騰も、いつ厳しい圧力や懲罰にさらされるともわからない。

“経済音痴の経済統制”の行く先は

しかし、共産党員らしい資本家、ってなんだろうか。そこの時点で大いなる矛盾がある。鄧小平時代以降は、この矛盾をうやむやにする賄賂という潤滑油が利用され、資本家を党員に組み入れてきた。資本家は党員であることを利用してよりよく金儲けできた。だが、反腐敗キャンペーンを掲げる習近平政権は、資本家である党員に贅沢禁止を言い渡し、党のために尽くすように求める。

つまり習近平政権が目指すものは、実のところ経済の発展ではなく、経済のコントロール強化であり、習近平を核心とする党、つまり習近平自身が、金融市場から一企業の海外M&Aに至るまで従えたいということだ。しかも習近平自身は相当な経済音痴といわれている。そういう方向性が党大会以降も、より強化されていくとしたら、中国経済の先行きは相当暗いのではないか。

上半期は、政府の交通インフラ投資など財政出動の影響もあってGDPは通年目標の6.5%を越えているが、この数字も党大会前の経済の安定を演出するためのものだとすれば、秋以降につけが回ってくるかもしれない。党大会後の不動産バブル崩壊説は噂では済まないかもしれないし、資本家たちが国内資産を整理して中国から逃げ出したいと考えるのも無理はないかもしれない。

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『習近平が内外に見せる強権支配はいずれ「しっぺ返し」を受ける』(7/25ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

7/26宮崎正弘氏メルマガ<ベネズエラに続いてパキスタンのデフォルトが近い>

http://melma.com/backnumber_45206_6561180/

7/25ロイター<中国が西沙諸島に映画館開設、領有の既成事実化狙い>

http://jp.reuters.com/article/china-southchinasea-entertainment-idJPKBN1AA0WS

7/24日経<ベトナム、南シナ海ガス田掘削中止と報道 「中国が圧力」>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H3A_U7A720C1FF2000/

7/24ロイター<中国、南シナ海の「安定維持」望む=外相>

https://jp.reuters.com/article/china-southchina-sea-idJPKBN1A910J

中国はトランプがロシアゲートでモタモタしている間に南シナ海の内海化を進めようとしています。下院はロシア外交に対する大統領権限を制約する法案を通しました。7/26日経<米下院、対ロ制裁強化法案を可決 大統領権限を制限>と。米国は真の敵が誰かが分かっていないのでは。中国が北を使って米国に牙を向かせているというのに。早く中国銀行に制裁を課すべきです。でないとASEAN諸国は中国に從わざるを得なくなるでしょう。中国の世界制覇の第一歩となります。後から気付いても遅いです。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGT26H0Y_W7A720C1EAF000/

7/26日経電子版米国から「習近平・王岐山連合」を狙う刺客  編集委員 中沢克二 

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

今、中国のビジネスマンらが親しい仲間と集って一杯飲む場で、決まってヒソヒソ話のネタになる二大テーマがある。一つは米国にいる中国の大富豪、郭文貴。ツイッターやYouTube(ユーチューブ)を通じて日々、最高指導部メンバー、王岐山の家族に深刻な腐敗があると主張し続けている。もう一つは、先に中国で空前の高視聴率をたたき出した連続テレビドラマ「人民の名の下に(人民的名義)」だ。

後者は「反腐敗運動」を進める共産党の正義を宣伝するという、一見するとお堅い官製の勧善懲悪ドラマである。だが、中身はそれにとどまらない。

たとえば企業と癒着した悪役である某省の公安庁(警察)トップは、口封じの殺人に手を染める。自分を捜査する検察特捜チームの責任者を偶然の交通事故に見せかけて殺そうと謀るが、最後は銃を自ら口に突っ込んで自殺に追い込まれてしまう。

■「殺人」や冷蔵庫の札束…官製ドラマが空前の視聴率

別の汚職にまみれた小役人は、秘密の部屋の冷蔵庫の中に大量の人民元の札束を隠し持っていたが、発覚すると「怖くて1元たりとも使っていないんだ」と泣き崩れる。共産党のお墨付きを得て、驚くべき汚職の実態をリアルに描写した大胆さが大いに受けた。

米国から王岐山氏を攻撃し続ける富豪の郭文貴氏(4月30日、ニューヨーク)=ロイター

ドラマには郭文貴とも取引関係にあった中国の富豪、肖建華が失踪した香港の「フォーシーズンズホテル」をもじったエピソードも登場した。香港の架空ホテル「スリーシーズンズホテル(三季酒店)」で、中国国家級指導者の息子が悪事の謀議をするのだ。ドラマではあるが、現実と同時進行だった。

ちまたで話題の二大テーマの共通点は、国家主席の習近平が進めた汚職撲滅の表と裏の話題であることだ。反腐敗ドラマには、秋の共産党大会人事を前に習近平の5年間の政治的業績を国民に宣伝するという意味があった。だからこそ共産党の権威を失墜させかねない、どぎつい腐敗の実態を描写することも特別に許可したのだ。

その習近平の業績宣伝に、米国から水をかけたのが郭文貴だ。北京五輪の頃、不動産などで巨万の富を築いた彼は、関与する北京大学の関連企業の腐敗問題をきっかけに海外に脱出した。民主運動家でもない中国の富豪が海外から顔出しで最高指導部メンバーに絡む腐敗を告発するというのは、かつてない動きだった。

郭文貴は、新進気鋭の中国の航空会社、海南航空に絡む王岐山の妻一族の問題を取り上げて、耳目を集めた。最近は、ドイツも巻き込まれている。メガバンクのドイツ銀行と、その大株主になった海南航空グループの資金問題に関する発言である。

一連の大騒動は、中国内の権力闘争が先鋭化している証拠でもある。もはや、かつての暗闘ではなく、一般人の目にも裏の死闘の一端が触れ始めた。しかも今回は、米国から巨大な火の手が上がり、交流サイト(SNS)などを通じて、情報を遮断するはずの中国内にも浸透した、「劇場型」の闘いである。

たとえば日本で首相や閣僚らに重大な疑惑が浮上すれば、国会の衆参予算委員会で野党が証拠を示しながら繰り返し追及し、マスメディアも検証・報道する。そんな民主的システムがない中国では、思わぬところから指導部攻撃の火の手が上がり、噂が噂を呼んで、波紋が広がっていく。

ちなみに郭文貴は、重慶市トップを解任され、重大な規律違反の疑いで調査を受けていると正式に発表された孫政才を「素晴らしい政治家」と持ち上げていた。2人は共に山東省の出身だ。習近平の後継者レースのトップ集団にいた孫政才は今、郭文貴が攻撃する王岐山の指揮下にある党中央規律検査委員会の調査を受けている。

中国政府お墨付きの反腐敗ドラマでは、汚職に手を染めた某市の副市長が米国に逃亡するが、結局は密航請負組織の蛇頭(スネークヘッド)の監視下で、食堂の皿洗いに身を落とす。最後はアフリカの鉱山に逃亡し、悪役の国家級指導者の息子が雇った敏腕スナイパーに銃殺されるという派手な結末が待っている。

中国政府はドラマのストーリーよろしく、郭文貴を“極悪人”として追い詰めようとする。郭が生出演した米政府運営の公共放送「ボイス・オブ・アメリカ」の番組は、局上層部の指示により途中で打ち切りとなった。言論の自由を揺るがす前代未聞のスキャンダルは「中国政府の圧力」がちらつく。

中国外務省は、国際刑事警察機構(ICPO)が郭文貴に「国際指名手配書(赤色)」を出したと、あえて明かした。ちなみにICPOトップの総裁には中国公安部副部長だった中国人が就いている。

■「マール・ア・ラーゴ」から王岐山氏を攻撃

習近平国家主席(左)に話しかける王岐山政治局常務委員(2016年3月、北京の人民大会堂)

それでも、当の郭文貴本人は、米大統領トランプが持つフロリダの別荘「マール・ア・ラーゴ」のコンドミニアムに陣取るなど、派手に暮らしている。米政府が中国の要求に沿って郭を引き渡す兆しもない。中国政府が追う悪人が皿洗いに身を落とすという、ドラマのストーリーとは正反対の皮肉な展開だ。

権力闘争を巡って注目すべきなのは、習近平の盟友、王岐山に矛先を絞るという戦術だ。王岐山の妻の親族が海南航空に絡んで巨利を貪っていると指摘し、習側の指示を受けて、その疑惑を秘密裏に調べたという。

これは、秋の最高指導部人事で王岐山を「68歳引退」の内規を破って続投させるかどうかを巡って、激しい論争があるという構図を浮き彫りにした。「仮に習主席が望んだとしても、党内からは激しい反対の声があがる」(内情を知る関係者)。反腐敗運動で痛手を受けたライバル勢力や長老らが、その出所だ。

12年に習指導部が発足した後、令計画(前国家主席の胡錦濤の元側近、無期懲役で服役中)ら、有力者の失脚が相次いでいる。その「闇の政局」の舞台裏に関して郭文貴が発する言葉も目を引く。

たとえば「令計画の息子が死亡した高級車フェラーリの大破事故を巡る真相」と称する内容。令計画が隠蔽を図ったフェラーリ事故の処理は、5年前の最高指導部人事の結末を決めた重大な出来事だった。郭文貴は自らを「令計画の息子の事故を発生段階から知っていた数少ない人物の一人」と語る。

北京の書店には、ベストセラーになった反腐敗ドラマ「人民の名の下に」の原作本が積まれている

かつて郭文貴は、スパイ摘発などを担う中国国家安全部の人脈に属していた。郭と関係の深い国家安全部元副部長の馬建は、すでに拘束され、テレビ画面を通じて“自白”もした。彼は国家安全部を仕切った元最高指導部メンバー、周永康(無期懲役で服役中)につながる人物だ。

郭文貴が秘密の一部を知っていた可能性もある。ただし、最近の“暴露話”に関する真偽は確認できない。背後にいるであろう勢力の全容も見えにくい。官製の反腐敗ドラマは完結するまで、最後に失脚する巨悪の国家級指導者の実際の顔が一切表れなかった。たしかに孫政才は消えたが、米国から発信する大騒動の裏にいるとみられる超大物の顔は、ようとしてうかがい知れない。ここでもドラマと現実が重なる。

とはいえ、飛ぶ鳥を落とす勢いの「習近平・王岐山連合」にくさびを打ち込もうとする思惑だけは透けて見える。つまり「離間の計」だ。

危険な郭文貴をどう扱うかは、習指導部にとって非常に難しい問題だ。だから中国メディアも、この問題を正面から取り上げなかった。しかし、状況は7月10日に一変した。国営テレビ、国営通信など主要メディアが郭の違法な情報取得などを大々的に取り上げ、反撃に出たのだ。

■王岐山氏の去就が人事の起点

中国の公式報道には王岐山の名前が登場しないので、郭が追及する問題の核心は見えてこない。そこが「一体、何が起きているのか」と、かえって庶民の関心を引いている。ある意味で、郭の戦略は成功しているのだ。目立てば目立つほど、米国内で自らの安全を確保しやすい。勇気ある告発をしたために虐げられている“政治犯”という地位を固める好機である。

郭の暴露話は、実際に最高指導部の人事に影響を与えるのだろうか。現時点では、習近平と王岐山は固い絆で結ばれている。前週紹介したように、王岐山は重慶のトップだった孫政才の失脚と、習側近である陳敏爾の抜てきに大きな役割を果たした。

とはいえ、習近平が王岐山を最高指導部メンバーに残すには、なお越えなければならないハードルが存在する。「68歳引退」の内規を破るためには、誰もが納得する口実が必要だ。いずれにせよ、王岐山の去就は次期最高指導部人事の枠組みを決める出発点となる。(敬称略)>(以上)

習近平と王岐山には任志強との絡みで不仲説もありましたが、1年以上たっても、王岐山の地位は安泰なので噂に過ぎなかったのでしょう。そうなるとやはり秋の人事で、王岐山の処遇に関しウオッチすれば、習の権力基盤の安定度が見て取れると思います。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/032700037/

真壁氏の記事で、習が毛沢東以上の権力奪取を狙っているという見方は正しいです。毛は中国大陸だけに革命は留めましたが、習は近隣国への野望を隠し立てしていません。宇宙戦争や海洋進出を見ていますと、正しく米国の覇権に挑戦し、世界を赤く染めようとしているのに気づくはずです。世界は中国の野望を押し留めるために、経済制裁と金融制裁と両方で封じ込めるべきです。

記事

Photo:AP/アフロ

例によって中国では、秋の共産党大会を控え、権力闘争が熾烈を極めている。2期目の政権運営を狙う習近平国家主席は、政治ライバルへの取り締まりを強め、主要ポストに自分の息のかかった人物を据える一方、対立する大物政治家を追い落とす姿勢を明確にしている。

権力闘争とは恐ろしいものだ。そうした中国の闘争を見ていると、日本という自由で平和な国に生まれてよかったとつくづく思う。

既に習近平は“中国建国の父”である毛沢東をも上回る権力を手に入れ、終生、中国を支配していこうとさえ見える。今後、同氏は財政出動を中心に国内経済の安定を図り、支持率の一層の上昇を図ることだろう。

一方、対外的には中国の力の外交を推し進めることになるはずだ。中国は、近隣諸国にとっては実に付き合いにくい国になってしまった。ただ、中国の南シナ海での強権的な政策は明らかに間違っている。長い目で見ると、中国が永久にアジアの中心として君臨することは考え難い。いずれかの段階で、現在の強権的な政策に対する”しっぺ返し”を受けることになるはずだ。

熾烈な権力闘争 重慶市トップ拘束の衝撃

習氏は2012年の総書記就任以来、綱紀粛正を掲げ、政治的ライバルの“摘発”を行ってきた。これまでは、江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席らに近いとされる人物が、現役を退いた後に摘発されることが多かった。

ただ今回は事情が違う。重慶市トップの座を解任された孫政才氏は、現職の政治局委員だ。重慶市は共産党の直轄都市であり、発展の象徴である国家中心都市に指定されている。そのトップは25人からなる政治局委員が就任することと決められている。

中枢都市トップの更迭と身柄拘束の報道は、習氏が従来の共産党の運営方針を根本から書き換え、自らを中心とする支配体制の整備に力を入れ始めたことの表れかもしれない。それは、習氏の権力を、これまでになく高い次元に昇華させることを目指した動きといえる。

今後、習氏の息のかかった人物がその後継者候補に挙がるなど、国家主席を中心とした支配体制が強化されていく可能性は高い。習氏が権力闘争を民衆の目に見える形で進め、その支配力の強大さを誇示する展開も考えられる。

中国共産党に詳しい専門家によると、孫氏の解任を受けて、共産党内部にはこれまで以上に習氏に対する畏怖が広がっているようだ。地方の党大会では、中央委員や、その候補にも挙がっていない末端の党員が、地方トップなどの要職に抜擢された。“御恩と奉公”さながらに、習氏は序列の低い党員の登用を進め、求心力と支配力を強化している。

“紅二代”(建国に貢献した共産党や軍幹部の子)への取り締まりも始まった。従来、紅二代は綱紀粛正の対象とはならないとの見方が多かった。しかし、保険会社のトップを務めていた紅二代の一人が摘発された。それに加えて、現職の政治局委員の身柄が拘束されたことも踏まえると、習氏は、自らに忠誠を誓わない者は排除する意思を、明確に、中国全土に示したといえる。

昨年10月の6中全会において、習国家主席は中国共産党の核心に位置付けられた。足元では国営通信社が習氏を軍の“最高統帥”と報じてもいる。突き詰めて考えると、習氏は、終生、中国の支配者であることを目指し始めたようにさえ見える。そこには毛沢東に並び、それを超える力を手に入れようとする野望があるように見える。

支持率上昇を狙う 習政権の財政政策出動

習氏は党の核心である自らを中心に、中国共産党=国家の意思決定を行い、シルクロード経済ベルト(一帯)、21世紀海上シルクロード(一路)を通して、その影響力をアジア、アフリカ、欧州地域にまで及ぼしていこうとしている。中国は長期的な国家プロジェクトとして、自国を中心とするヒト・モノ・カネの流れを整備し、海外の需要を取り込むことを狙っているのである。

「一帯一路」構想の下、中国は鉄鋼などの過剰生産能力をアジアなどの各国に輸出するとともに、人民元の流通範囲を拡大させようとしてきた。東南アジア各国に加え、中国はカザフスタン、モンゴルなどとも通貨スワップ協定を結び、一部ではその期間を延長している。すでに1月には、浙江省の義烏(イーウー)と英ロンドンを結ぶ直通の貨物列車の運行が始まった。

問題は、目先の経済をどう支えるかだ。国内では、過剰生産能力の解消が進まず、不動産バブルへの懸念も高まっている。すでに、民間セクターの債務残高はGDPの200%を超えた。これは、1980年代後半から1990年代にかけてのわが国に匹敵する。わが国の過去の事例を見れば明らかなとおり、バブル崩壊後には不良債権処理とバランスシート調整が不可避だ。

中国はその痛みを恐れ、インフラ投資を増やすことで、経済成長率を人為的に支えている。今後、不動産投資の減少などによって景気の減速懸念が高まった場合には、一段の財政措置が取られるだろう。習氏が支配基盤を強化するためにも、国内の経済が低迷し、民衆の不満が高まる展開は避けなければならない。当面、中国経済が財政政策頼みの展開となる可能性は高まっている。

この状況が続く間、中国経済の需給のミスマッチは放置される可能性が高い。今は収まっているが、将来的に、中国からの資本流出が増える可能性も排除できない。その場合、人民元には下落圧力がかかるだろう。

経済への懸念が高まれば共産党政府は財政出動を増やし、景気支援に注力するだろう。それが一時的な経済の安定にはつながるだろう。問題は、市場が債務リスクや資本の流出圧力に耐えられなくなったとき、世界経済に無視できない影響が発生する恐れがあることだ。

長期的には 中国の強権主義は明らかな誤り

政治・経済に関する不安はあるが、世界第2位の経済規模を誇る中国の動向は無視できない。昨年半ば以降、中国の財政出動は半導体や資源の需要を高め、韓国、台湾などの景気が回復してきた。それに従い、わが国の景気も上向いてきた。

長い目で見れば、近隣諸国に対する強権主義は大きな間違いだ。中国経済が上昇を続け、勢いを保っている間は近隣諸国も表立っては中国との対立関係を明確にしたくはないだろう。しかし、中国経済に陰りが見え始めれば、近隣諸国の態度は変わる可能性が高い。蹂躙された感覚は、いずれ憎しみに変わるかもしれない。そうなったとき、中国は、現在の誤った政策のツケを払うことになるはずだ。

ただ、現在の中国経済には無視できない勢いがある。その意味では、近隣諸国は中国と距離を置くのではなく、うまく付き合うことを考えているはずだ。わが国も、中期的な展望を持って大人の対応をすればよい。

具体的には、全て中国に迎合するのではなく、持続性や公正さを重視しつつアジア経済の発展に関する議論を進めればよい。それと同時に、各国の主権を脅かす中国の動きに対しては毅然とした態度を示す必要がある。

6月、安倍政権は一帯一路に対する慎重姿勢を改め、そのポテンシャルを評価し始めた。この変節を懸念する専門家もいる。しかし、中国との関係が冷え込むと、わが国がアジア・極東地域で孤立するリスクが高まる。北朝鮮問題への対応なども考えると、中国と冷静に対話できるだけの関係を持つことは国益に適うだろう。

昨今のアジア経済を見ても、習国家主席が推し進める一帯一路は、経済面では一定の成果を収め始めている。同時に外交面では海洋進出による領海侵犯など、国際司法の判断に反する問題も多い。そうした懸念からアジア各国には、TPP11などの経済連携に関する議論を進め中国からの影響を回避したい、との潜在的な考えがあるはずだ。

米国が自国第一の政治を重視する今、わが国は一帯一路や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、中国が主導する経済プロジェクトに関わっていくべきだ。それによって、アジア各国などの不安をくみ取り、信頼関係を強化することができるはずだ。

それは、わが国を中心とする経済連携を議論するためにも欠かせないと考える。わが国は貿易、投資や競争などに関するルールの統一を公正な観点で進め、アジア経済の連携を強化すべきだ。その中で、わが国の主張に賛同する国には、積極的にインフラ支援などを行えばよい。

こうした取り組みを進めることが、親日国の獲得につながる。親日国が増えれば、国際社会における発言力も増すだろう。わが国は経済連携などの是は是、海洋進出や保護主義などの非は非と、是々非々の立場を明確にし、公正な経済連携の議論に中国を巻き込んでいくべきだ。口で言うほど容易ではないが、それがアジア各国からの信頼獲得や、欧州各国との関係強化にもつながるはずだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

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『世界のスーパースターたちの「汚染」が次々と明るみに 米司法省の捜査が佳境に入ったマレーシアの1MDB横領事件』(7/21JBプレス 末永恵)、『中国の「高速鉄道外交」、中止や延期が相次ぐ』(7/22Money Voice)について

マレーシアのナジブ首相は賄賂問題で反米のマハテイールに糾弾されていました。ナジブ首相はマハテイールの陰謀と主張していたようですが。米国は賄賂の有無より反米のマハテイールでない方に肩入れし、15年にはTPP交渉のため、その時点では追及しなかったようです。

http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/201507_nakamura_1.html

http://sp.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160601-OYT8T50000.html?page_no=1

米国司法省が米国の芸能人相手に本件を問題にし出したのは、トランプ政権発足が影響しているのかも。ハリウッドは民主党支持者が圧倒的に多いし、デイカプリオのように環境保護で一儲けを企む者もいるでしょう。ヒラリー自体が国の情報を外国に売り、クリントン財団に寄付させていたわけですから。米国も弱体化する訳です。グローバリストは金儲けの為には悪魔とも手を組むし、共産主義者とも手を組みます。ただ、トランプ政権もスパイサー報道官が辞任したりでガタガタの様子。これでは北や中国にぶつかれる訳はありません。上下両議員はロシアとの関係改善を大統領の手から奪おうとしています。グローバリストに騙され、真の敵が見えてないと思われます。第二次大戦で日本を敵にしたのと同じです。

7/24日経電子版米大統領報道官、対ロ制裁強化「政権は支持」 

【ワシントン=共同】米共和、民主両党が一部修正で合意したロシアに対する制裁強化法案について、サンダース大統領報道官は23日、ABCテレビのインタビューで「政権は法案を支持する」と表明した。制裁強化はトランプ大統領が模索する対ロ関係改善の障害になりかねないため、トランプ氏が拒否権を発動するかどうかが注目されていた。

ただ、ホワイトハウスの広報部長に起用されたスカラムチ氏は23日、CNNテレビのインタビューで「大統領は法案に署名するかまだ決めていない」と述べ、サンダース氏と食い違う説明をした。ワシントン・ポスト紙は「混乱を招くメッセージ」として、政権内の意思統一が不十分であることを批判した。

法案はウクライナ情勢や昨年の米大統領選への干渉を受けた対ロシア制裁の徹底を政府に促し、制裁の緩和や解除には議会の審査が必要と定めて大統領の権限を制限した。サンダース氏は「制裁を含め、ロシアへの厳しい対応を支持する」と表明した。

一方、スカラムチ氏はロシアが選挙干渉を行ったかどうかについてトランプ氏が最近「やったかもしれないし、やっていないかもしれない」とスカラムチ氏に語ったと明らかにし、トランプ氏はロシアが関与したと断定した米情報機関の分析を受け入れていないとの見解を示した。

サンダース氏は前任のスパイサー氏が21日に辞任したのに伴い、副報道官から昇格した。AP通信によると、スカラムチ氏は8月15日に正式に広報部長に就任する。>(以上)

7/23日経電子版対ロ制裁 米与野党合意 大統領の権限制限、トランプ氏反発も 

【ワシントン=共同】米上下両院で多数派の共和、少数派の民主両党の指導部は、既に上院を通過しているロシアに対する制裁強化法案について一部修正した上で合意した。複数の米メディアが22日報じた。法案は制裁の緩和や解除には議会の審査を必要とすると定め、トランプ大統領の権限を大きく制限する内容。対ロ関係の改善を目指すトランプ氏は、重要法案で初めて拒否権を発動するかどうかの難しい選択を迫られる。

法案は下院の採決を経て夏季休会前の月内にもホワイトハウスに回される可能性があるという。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、複数の政権高官は、ロシアゲート疑惑の捜査進展で苦しい立場のトランプ氏が拒否権発動に踏み切ることは想像しがたいとの見方を示した。

法案は6月中旬、賛成多数で上院を通過したが、制裁の緩和、解除時の議会審査のあり方などを巡り調整が難航。制裁強化の影響を受ける米エネルギー関連企業も難色を示していた。上院で通過した法案はロシアのほか、イランに対する制裁強化も盛り込まれていたが、今回合意した修正案には既に下院が可決した北朝鮮への制裁強化法案も統合された。フォームの始まり

>(以上)

中国政府がマレーシアの鉄道事業に許可を出さなかったとしたら、余程外貨が逼迫していると思われます。ナジブは親中派のイメージがあり、日本が鉄道事業に協力したとしても、中国の嫌がらせで方針変更されるかもしれません。契約時に破棄する場合の懲罰的損害賠償請求可として契約額の3倍を明記しておいた方が良いと思います。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6203_1.php

Money Voiceの記事も中国の鉄道事業が頓挫している内容の紹介です。「一帯一路」もうまく行っていないという事です。折角のチャンスなので日本も主体的に動けばよいと思いますが、メデイアは加計問題というでっち上げ事件で執拗に政府を攻め立てて、チャンスもモノにできない、北と言う脅威に対応できないようにしています。左翼は北の核ミサイルで日本の人口が激減し、歴史あるものを破壊したくてしようがないのでしょう。

7/23日経電子版の記事では内閣支持率39%に続落 「政権におごり」65% 本社世論調査

日本経済新聞社とテレビ東京による21~23日の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率は39%となり、6月の前回調査から10ポイント下がった。不支持率は10ポイント上がって、2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最高の52%となり、支持率と逆転した。

学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題が影響したとみられる。第2次政権以降のこれまでの内閣支持率の最低は安全保障関連法が衆院を通過した15年7月の38%。安倍政権が安保法以来の厳しい局面に入ったことを示す。内閣支持率の前月からの下落幅は、15年6~7月の9ポイントを上回って最大だった。

第2次安倍政権が発足してからすでに4年半以上が経過しており、政権に「おごりがある」とする回答は65%に上った。「おごりがあるとは思わない」は25%だった。

政党支持率は自民党が35%と前回から5ポイント下がった。民進党は2ポイント低下の6%で、民進党が発足した昨年3月以降では最低となった。無党派層は41%と9ポイント上昇した。

調査は日経リサーチが21~23日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。1069件の回答を得た。回答率は48.6%。

>(以上)

敵の憲法改正阻止が奏功している気がします。国会で発議ができても国民投票で国民が賛成に回らないようにするためです。まあ、TVと新聞だけしか見てないとこうなる結果は見えていましたが。日経の読者は仕事が忙しく、ネットで情報を取る暇もないのでしょう。「洗脳」=「Manchurian candidate」がピッタリ当て嵌まります。もっとincredulousにならないと。

JBプレス記事

中国の資産購入ラッシュが続くマレーシア。中国政府の狙いは2つ。まずは、1MDBが手がけるマレーシア最大級の再開発事業「バンダー・マレーシア」の整備地区に開通するマレーシアとシンガポール間の高速鉄道受注への布石を打つこと。もう1つは、米中間の緊張が走る南シナ海紛争でのマレーシアからの支持獲得。1MDBで130億ドル(約1兆5000億円)の巨額の負債を抱え、リンギットの貨幣価値が下がる中、ナジブ政権に貸しを作り、中国支援の拡大を企む(中国中鉄=CREC=が参画のクアラルンプール市内の再開発地、筆者撮影)

スーパーモデル、ミランダ・カーさん(34歳)は、前夫の俳優、オーランド・ブルームさんが熱心な創価学会インターナショナル(SGI)の会員だったことで、当初、自身も創価学会に入信。そんな日本との縁もあり、日本の各企業とCM契約を結ぶなど、日本でも特に人気がある世界のセレブとして知られる。

その彼女が世界のメディアを賑わしている。

5月に、携帯アプリ「スナップチャット」のCEO(最高経営責任者)で総資産50億ドル(約5600億円)、“世界で最年少の億万長者”といわれるエヴァン・スピーゲルさん(26歳)と再婚し話題をさらっただけでなく、6月末には、米司法省に810万ドル(約9億円)相当の宝石を返還したことが明らかになったからだ。

ジョー・ロー氏から贈られた億単位のジュエリー

同宝石は、マレーシアの政府系投資会社「1MDB」の不正流用資金絡みで現在、米国をはじめ、英国、スイス、イタリア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦、オーストラリア、シンガポール、香港、タイなど世界10カ国で、不正疑惑の中心人物として捜査対象となり、刑事訴追がささやかれるマレーシア人の若き大富豪、ジョー・ロー氏(34歳)から贈られたもの。

2014年から1年間ほどミランダさんの恋人だった同氏が彼女にプレゼントした宝石は、ピンクダイヤモンドのペンダント(480万ドル=約5億3800万円)やハート型のダイヤモンドのネックレス(180万ドル=約2億100万円)などで、億単位の超豪華なジュエリーばかり。

いずれも1MDBの公金から不正に購入された疑いが強く、ミランダさんが米当局に引き渡したというわけだ。

1MDB不正流用・横領事件は、日本のメディアで初めて、約2年半前の2015年3月と4月、JBPressの本コラムで報道した「消えた23億ドル~マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑(1)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250(2)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43277(3)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43331」(日本貿易振興機構=ジェトロ=の経済産業省所管、国のシンクタンク「アジア経済研究所」が調査論文で参考文献として引用=http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/201507_nakamura_2.html)に関連するもので、スイスでは同事件に関わった取引銀行(BSI)がすでに刑事訴追を受けている。

日本のメディアは当時、報道していなかったが、ここ2年間で米司法省の捜査が進み、今回、世界のセレブ、ミランダさんが巻き込まれたこともあり、米国のメディアが一斉に報道。「週刊新潮」(7月13日号。筆者の解説記事掲載=https://www.dailyshincho.jp/article/2017/07170559/?all=1)など日本のメディアも詳細を暴露するなど、ここにきて日本でも関心が高まっている。

そもそも今回のミランダさんの宝石返還は、6月15日に米司法省が起こした民事訴訟で明らかになったもの(参考=https://www.justice.gov/opa/pr/us-seeks-recover-approximately-540-million-obtained-corruption-involving-malaysian-sovereign)。

米司法省は、「1MDB」に関する不正流用疑惑で、米ロサンゼルスの連邦地裁に、約5億4000万ドル(約600億円)の資産差し押さえを申し立てた。

本コラムでも報道した昨年7月の提訴(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47506 )と合わせ(136ページに及ぶ訴状=参照1=https://www.justice.gov/archives/opa/page/file/877166/download、参照2=https://www.youtube.com/watch?v=_gBNuJCGezY&app=desktop)、1MDB関連の資産の差し押さえ請求額はこれで、合計約17億ドル(約1900億円)にも上った。

今回、米司法省はさらに膨大な251ページの訴状(参照=https://www.justice.gov/opa/press-release/file/973671/download)の中で、45億ドル(約5000億円)以上の資金が、1MDBの幹部などによって横領され、巨額な宝飾品や不動産、さらには世界的に著名なピカソの絵画などが“爆買い”されたと告発。

泥棒政治による米国史上最大の横領事件

「不正流用された資金をマネーロンダリングするため企てられた国際的な陰謀」と厳しく糾弾。この一連の事件が「泥棒政冶(盗賊政冶)による米国史上最大の横領摘発事件」と名指しで、マレーシアのナジブ・ラザク政権を批判。

さらに、同首相が不正資金を流用、“影の最高権力者”でマレーシアのイメルダ夫人と揶揄される大浪費家、ロスマ夫人(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44463)が、ミランダさんの9億円をはるかに超える約30億円のピンクダイヤモンドのネックレスを受理していたと指摘。

今回、国際的な刑事訴追が噂れる1MDBの投資ブローカー(1MDBの資金運用責任者)のジョー・ロー氏が贈答品を贈っていたのは、ロスマ夫人やミランダだけではない。

ハリウッド映画「タイタニック」の主演で国際的俳優のレオナルド・ディカプリオさんも、前回の訴状では「ハリウッド映画俳優1」と記されていたが、今回の訴状では実名で告発された。

米司法省での記者会見でも言及された上述のピカソの絵画は、ミランダさんより事前に、ディカプリオ氏が司法省に返還したもの(330万ドル相当)。

訴状によると、ジョー・ロー氏は偽名、「エリック・タン」という名前で、ディカプリオ氏にプレゼントしていた。さらに、司法省が同氏に返還を命じた中には、マーロン・ブランドのオスカー像(60万ドル相当)のお宝をはじめ、バスキアのコラージュ(900万ドル相当)やアーバスの写真(80万ドル相当)が含まれるというから、驚きだ。

1MDBの不正資金で設立、運用されていた映画会社「レッド・グラナイト・ピクチャーズ」製作の米アカデミー賞候補、ディカプリオ主演作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の権利差し押さえも敢行されたが、ディカプリオ氏の“容疑”は、完全に晴れたわけではない。

それは同映画会社の創設者でマレーシアのナジブ首相の義理の息子、アジズ氏(ロスマ夫人の連れ子)やジョー・ロー氏との密接な関係だ。

訴状では、2012年に3人がラスベガスで1週間のカジノ豪遊をするために1100万ドル(約13億円)が1MDBからロー氏の個人口座に振り込まれ、1日に115万ドル(約1億3000万円)が浪費されたことがあったという。

数百万円の高級シャンパンを贈呈

さらに、環境保護団体のディカプリオ財団への寄付の名目で数百万円もの高額なシャンパンが贈呈されたり、南アフリカのワールドカップサッカーに招待されたりと、ディカプリオ氏を巡る疑惑は枚挙に暇がない。

最も特筆すべきは、いまだディカプリオ氏の広報担当も明確にしていない米司法省に差し押さえられたアカデミー賞候補作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の出演料2500万ドル(約28億円)の返還についてだ。

映画会社の設立、運営資金だけでなく、同会社の100%出資で製作された同映画への出演料。自ら返還し、潔白を晴らした方が今後の俳優人生にも“汚名”を着されずにすむだろうに・・・。

しかし、すでに、暗雲は立ち込めている。

トヨタ自動車の「プリウス」や「レクサスLS」などのエコカーを早くから保有し、アカデミー賞授賞式にはベントレーやベンツで来場するハリウッドスターと一線を画し、プリウスで登場。環境活動家としても知られていたディカプリオ氏の“影”の部分が、1MDBの事件がきっかけで暴露され始めた。

自ら代表を務める環境保護団体「レオナルド・ディカプリオ財団」(https://www.leonardodicaprio.org/)の不透明な資金の運用が明らかになってきた。

同団体は、非営利組織(NPO)でなく、寄付顧問基金(DAF)で、米国では、法的には支出と収入の公開義務はない。しかし、環境活動の慈善事業を実施する組織としている手前、チャリティの運営資金、経費、収益の実態を明らかにする“社会的責任”があると、批判する環境関連団体が出てきた。

その1つが、今回の事件の震源地、マレーシアの熱帯雨林の保護・保全活動を行う環境慈善団体、「ブルーノ・マンサー基金」だ。ディカプリオ氏に、下記の公開状を送った。

同団体は、ディカプリオ氏とアジズ氏およびローとの親密な関係が、熱帯雨林の破壊につながっていると指摘。政治腐敗が深刻なマレーシアでは、賄賂と引き換えに、政府が森を伐採しているからだ。

米大統領選にも影響を及ぼす

「ディカプリオは、世界の環境保全を訴えてきたのに、賄賂と引き換えに森の伐採に“加担”している。不正流用資金で受理した映画のギャラは、我々の税金。我々と使命を同じにするなら、腐敗したお金を受理するのは、恥ずべきことで返還するべき!」と痛烈に批判している。

さらに、ディカプリオ氏の“腐敗疑惑”は、外交や米大統領選にも影響を及ぼしている。

ドナルド・トランプ政権が離脱し、国際問題となっているパリ協定の署名式に熱心な環境問題活動家として招かれ出席したディカプリオ氏。彼のプレゼンスは、各国の政治的な格好の“広告塔”としての役割を担っただけに、国際社会にも大きな影を落とそうとしている。

また、昨年の米大統領選では、ヒラリー・クリントン氏の資金集めのパーティがディカプリオ氏の自宅で開かれるはずだったが、直前になって、著名な歌手のジャスティン・ティンバーレイク氏の自宅に変更されるというハプニングが起きた。

通常は考えられないことだが、「1MDBの事件が、ディカプリオ財団と関与していれば、クリントン氏にとって不利な材料となる可能性があったから」(米政冶アナリスト)という見方が有力だ。

ハリウッドでは、ディカプリオ氏に次ぎ、ミランダさん、「次は自分の番かと」、びくびくしているスターもいるだろう。

ヒルトンホテル創業者の孫、パリス・ヒルトンさんをはじめ、女優のリンジー・ローハンさん、さらには、歌手のアリーシャ・キーさん・・・。驚愕の公金不正流用事件が揺さぶる、米映画界や芸能界を巻き込んだ“余震”は計り知れない。

また、余震は米国だけではない。2年半前の本コラムでも解説(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250)したが、1MDBの事件は、日本が受注を目指す2026年開業予定のマレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画にも大きな影を落とす。

クアラルンプールの高速鉄道駅は、1MDBが手がける再開発プロジェクト「バンダー・マレーシア」で整備予定の地区に建設されるからだ。同計画は高級住宅街やオフィス街が立ち並ぶマレーシア最大級の再開発事業。

日本が受注目指す高速鉄道事業にも影響

1MDBがもともと同建設予定の土地を所有していたが、2015年末時点で、1兆5000億円以上(マレーシアの国家予算の約20%、GDPの約5%に相当)の負債を抱えていたところ、中国の国有鉄道建設「中国中鉄」などの企業グループが、2015年12月、約74億リンギ(約2000億円)で1MDBの負債と不動産の60%を、肩代わりすることで一旦合意。

中国は、再開発事業に投資することで高速鉄道受注を有利に展開させようと狙っていたと見られたが、今年5月になって突然、交渉は不調に終わり、ナジブ首相は再びスポンサーを募ることを発表。

マレーシア政府は計画が白紙となった原因は、中国中鉄側が支払い義務を履行しなかったこととしているが、「中国政府が中国中鉄に投資の許可を出さなかったため。中国政府は昨今、資本規制を厳重にしており、特に地政学的に利益が得られないと見る事業には慎重になっている」(中国の投資アナリスト)という。

2国間にまたがる高速鉄道は、日中の企業が激しい受注競争を展開しているが、開発全体が遅れることは必至で、日本が受注を目指す高速鉄道計画のスケジュールにも影響する。

高速鉄道の入札を、マレーシアとシンガポールは今年の10月から12月、運行も2026年としているが、遅延になる可能性が高い。

中国が狙っていたのは、そもそも、「事業費約2兆円」ともいわれる高速鉄道事業だったが、1MDBの負債処理の行方が不透明になったことで、「これまで中国が優勢だった高速鉄道受注戦も、日本が勝ちに行く希望が出てきた」(マレーシアの企業投資家)とする見方もある。

マレーシアを震源地とする「米国史上最大の泥棒政冶(盗賊政冶)による横領摘発事件」の“余震”は、まだまだ世界を揺るがすだけでなく、日本が切望する高速鉄道の行方をも左右する事態となっている――。

Money Voice記事

最新の調査で、中国政府の主導する「一帯一路」経済圏構想のインフラ計画の一環である高速鉄道の輸出戦略は、キャンセルが相次いでいることが明らかになった。理由は収益計画の不透明さや現地の経済状況にあわないためだと伝えられている。  英フィナンシャル・タイムスと米シンクタンク国際問題研究センター(CSIS)によると、世界18カ所で約束された中国資本の鉄道建設計画は、総価値1,430億ドル(約14兆円)に達する。うち1件が竣工済み、5件が建設中、12件は計画中だ。  同紙の推計によると、中止されたミャンマー、リビア、アメリカ、メキシコ、ベネズエラでの5件の建設計画の価値は475憶ドル(4.7兆円)に上る。これは、現在建設中の5件の合計249億ドル(約2.4兆円)のおよそ2倍になる。  また、計画中の12件に含まれるインドネシア、セルビア、ラオスなどの3件では、現地の電力配給能力に合わないとして、中止される可能性があると指摘した。  さらに、中止の要因は、中国側の「鉄道外交」に対する不信感との見方がある。2014年、メキシコの中止の決定について、同国のエスパルサ通信運輸大臣は「合法性、透明性を欠く」と述べた。  なぜ、キャンセルされながらも、鉄道外交は推進されているのか。背景には、中国共産党政権による独自の「政商結託」の問題がある。中国政府との強い繋がりと保証を受けられる国営企業は、リスクを顧みず、借金を積みあげて、はばからずに損失を重ねている。計画が成功すれば、共産党や国営企業の幹部の昇進に繋がる。  国有鉄道と高速鉄道プロジェクトを管理する中国鉄道公社は、3.8兆元(約50兆円)の負債を抱えており、ギリシャの政治債務残高をはるかに上回る。同紙が伝える関係者の話では、中国の高速鉄道2万2000キロの多くが、赤字稼働だという。  台湾政治大学経済学教授・荘奕キ氏は大紀元の取材に対し、発展途上国を広大なインフラ計画で貫く「一帯一路」構想のリスクの多さを指摘する。高速鉄道は数百キロと非常に長く、地形の複雑さもあり、運用コストに見合っていないとしている。荘氏は「人口が多い地域でも経済水準は低く、市場規模や購買力も小さく、実質の利益はほとんどない」とみている。  さらに、現地の経済事情に合わない高速鉄道計画を受け入れた国の多くは、中国からの援助や多額の融資を抱えており、中国経済への依存がますます強くなると警告している。 (翻訳編集・佐渡道世)【ニュース提供・大紀元】

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