『中ロ軍艦「尖閣」同時侵入、問われる日本の忍耐 「平和ボーナス」使い果たした後の厳しい現実を見据えよ』(6/15日経ビジネスオンライン 福島香織)について

憲法9条擁護派は中国の日本領海侵入をどう考えているのか聞いてみたい。集団安保法制を「戦争法案」とか呼んだ反日民進党と日本共産党は日本を中国の属国にしようとたくらんでいるのでしょう。福島氏の言うように、中国の日本の領海侵入が国民に取って、今般の参院選で本当に国防を真剣に考えるキッカケとなるかどうか。国民は舛添辞任のことしか考えないのでは。国防について従来「他人事」or「他人任せ」にしてきたことがそんなに簡単に直る訳がないと思います。中国が日本領土を砲撃して初めて気が付くのでは。それまでは尖閣についても無関心というか、そんな小さな島くらい渡しても良いというくらいにしか思っていないのではという気がします。中国人の本性を理解していないからです。彼らは一歩譲ったら、二歩も三歩も踏み込んできます。尖閣の次は沖縄、次は日本全土でしょう。日本人と中国人は考え方・発想が全然違います。何せ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族です。まともに付き合えば日本人が騙されるのは必定。世界に平気で嘘を垂れ流しますし、賄賂やハニーは当り前の世界です。

佐伯啓思は「王権神授説の王制と違い、天賦人権説に則った共和制は傭兵制度ではなく、市民が国を守ることを前提としたシステム」と書いていたような記憶があります。理解が正しかったかどうかという点と本の名前は思い出せない点が弱いですが。国民以外に誰が国を守ってくれるのですか?傭兵で近代戦は戦えません。念仏を唱えても中国の侵略は止まず、況してや憲法9条が侵略を防いでくれるわけもありません。脳内お花畑の人間は現実を見据えようとしません。中国の侵略を許し、日本を奴隷の平和の状態にするつもりですかと言いたい。

http://www.sankei.com/politics/news/140721/plt1407210014-n1.html

小生の6/11ブログにも書きましたが、尖閣接続水域侵入は現場の独断ではなく政府と一体となってやっていることです。これは福島氏も同じ見立てです。経済崩壊を目前に控え、習近平の暴走が始まった気がします。南シナ海、東シナ海の二正面作戦が取れる能力は中国にはありません。東シナ海だけでも日米合同で対処すれば中国海軍はあっという間に海の藻屑となるでしょう。ロシアは中立を保つ筈です。何が習近平をそのように駆り立てているのか、愚かな裸の王様としか言えません。権力闘争に勝つためなのでしょうが、危険すぎます。

<6/15 15時12分NHKニュース中国海軍情報収集艦 日本領海に一時侵入

15日未明、中国海軍の情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部島の沖合で日本の領海に侵入し、およそ1時間半にわたって航行したあと領海を出ました。中国海軍の艦艇が領海に入ったのが確認されたのは、平成16年以来2回目で、防衛省は警戒を続けるとともに、航行の目的を分析しています。

防衛省によりますと、15日午前3時半ごろ、中国海軍の情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部島の西で日本の領海に侵入したのを、海上自衛隊のP3C哨戒機が上空から確認しました。情報収集艦はその後、南東に向かい、およそ1時間半にわたって領海内を航行したあと、午前5時ごろ、屋久島の南の沖合で領海を出たということです。 中国海軍の艦艇が領海に入ったのが確認されたのは、平成16年に原子力潜水艦が沖縄県の石垣島沖で領海侵犯して以来で2回目となります。 沖縄の東の太平洋では、現在、海上自衛隊とアメリカ海軍、それにインド海軍による共同訓練が行われていて、防衛省によりますと、中国海軍の情報収集艦は、インド海軍の艦艇2隻の後方を航行し領海に入ったということです。 各国の軍艦には一般の船舶と同じように沿岸国の安全を害さなければ領海を通過できる「無害通航権」が国際法で認められていて、防衛省は、警戒と監視を続けるとともに情報収集艦の航行の目的を分析しています。

島の住民「本当に怖い」

口永良部島に住む屋久島町役場出張所の職員、川東久志さん(56)は「前代未聞の出来事で驚いています。このような島に中国海軍の船が近づくなんて本当に怖いです」と話していました。 また、付近の海で漁を行い、口永良部島の消防分団長を務める山口正行さん(47)は「漁に出る人は本当に気がかりだと思う。国や県は島の住民の生命や財産をしっかり守ってもらいたい」と話していました。

官房副長官「中国側に懸念申し入れた」

世耕官房副長官は、午前の記者会見で「中国艦艇がどういう目的で航行したかについては現時点では確たることを申し上げるのは控えたい。政府としては引き続き、わが国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期していく」と述べました。 そのうえで「外務省アジア大洋州局長から在京中国大使館次席に対して、先般の中国海軍艦艇による尖閣諸島接続水域への入域に続いて今回、中国海軍の情報収集艦がわが国領海に侵入したこと等に鑑みて、中国軍の活動全般に対する懸念を申し入れた」と述べました。 また、記者団が、先に中国海軍の艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域に入った際には外務省の斎木事務次官が程永華駐日大使に抗議したことを踏まえ、政府の対応の違いについて質問したのに対し「尖閣について中国は自分の領土という独自の主張をしており、当然、対応に差があってしかるべきだ」と述べました。

防衛相「意図を分析中 警戒に万全期す」

中谷防衛大臣は防衛省で記者団に対し、「中国海軍の艦艇の航行は、日米印の演習に参加し、わが国の領海内を航行していたインド海軍の艦艇に引き続いて行われたものだ。海上警備行動は発令しておらず、先方の意図や目的は分析中だ」と述べました。 そのうえで中谷大臣は「中国海軍の艦艇が領海内を通過したのは2度目で非常に例が少ない。今後も中国艦艇の動きに十分注目して、警戒監視に万全を期したい」と述べました。 このあと、中谷大臣は再び記者団に対し、「中国は近隣国であり、こういった活動については丁寧に接してくるべきだ。戦後2回目のわが国領域内の航行であり、非常に懸念がある」と述べました。

外相「最近の中国軍の動きを懸念」

岸田外務大臣は外務省で記者団に対し、「中国海軍の艦艇が先日の尖閣諸島の接続水域に続いて今回、日本の領海に入域したが、状況をエスカレートさせている最近の中国軍の動きを懸念している。政府としては、中国側にこうした懸念をしっかり伝えるとともに、警戒監視に万全を期していきたい」と述べました。>(以上)

6/15日本経済新聞 電子版 「狙いは日本艦排除」 中国軍艦、尖閣進入の深刻さ 編集委員 中沢克二

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

 6月9日午前1時ごろ、眠りにつこうとしていた首相、安倍晋三に報告が入った。この日は私邸ではなく、首相官邸脇の公邸に宿泊していた。

 「中国艦船が尖閣諸島の接続水域に入りました……」

 目覚めた安倍は付近に展開する海上自衛隊の護衛艦の動きを問い、素早く指示を出した。緊迫した中国のジャンカイ1級フリゲート艦の進入事件の謎を解くカギは、その3時間余り前にあった。

■「黙契破ったのは日本」という強弁

 「日本の軍艦が先に接続水域に入った。そして中日双方には、艦船を接続水域に入れないとの黙契がある。中国海軍は既に東(シナ)海海域の巡航を常態化した。今回は監視中に日本艦の行動を察知し、緊急対応した」

Senkaku

沖縄県・尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島(2012年9月)=共同

 共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報が伝えた中国の主張だ。簡単にいうと、先に進入したロシア艦の動きは無関係で、日本艦が先に「黙契」を破ったため中国艦船も進入した、との趣旨だ。

 もちろん中国の言う、日中の密約を意味する「黙契」など存在しない。尖閣の実効支配を確立している日本は、無用な摩擦を避けるため、通常、海上保安庁の巡視船が対処しているにすぎない。中国政府は、領土問題の存在を認めよと迫る際、「日本は過去に『棚上げ』を認めた」と主張する。「黙契」の存在の主張は同じ論法だ。

 中国の安全保障関係者から漏れ伝わる声はこうだ。

 「友であるロシアの艦隊が『航行の自由』を標榜して釣魚島(尖閣諸島の中国名)の接続水域に入っても見過ごす選択肢はある。だが、日本の軍艦が入った場合、我々、中国も入らなければならない。そして排除する必要がある。そうでなければ日本の実効支配を崩したとはいえない」

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中国海軍のフリゲート艦(2012年公開)=防衛省統合幕僚監部提供

 この論理を真に受ければ、もし日本の護衛艦が尖閣諸島を守るため領海に入れば、中国艦も侵入する可能性が高くなる。戦闘になってもおかしくない。極めて危険な状態だった。

 忘れてならないのは、中国が2012年秋以来、「日本の実効支配を崩した」と公言していることだ。日本の尖閣国有化を逆に利用して中国公船が領海を侵犯。その後も定期的に接続水域、領海に入っている。それでも、これは中国海警局所属の公船だ。日本側で対処するのは海保の巡視船になる。双方が厳しく対峙しても軍ではないため即、戦争にはならない。

 今回はロシア艦の進入が誘因とはいえ、日本艦が接続水域内を航行した。中国側は「新たな事態で放置できない」いう論理でプレーアップした。「見過ごせば中国海軍が上層部から叱責されかねなかった」。こんな見方もアジアの外交・安保専門家の間にはある。

中国と日本の艦船の動きを時間を遡って検証してみる。地図を参照してほしい。

tracking a China battleship

 6月8日午後9時50分、ロシア艦3隻が南から接続水域に入り、北に向かっていた。監視していた海上自衛隊の護衛艦「はたかぜ」がこれを追尾する。当然、すぐに接続水域に入った。ロシア艦の動きに目を奪われているが、中国側が注視していたのは実は日本の「はたかぜ」の動きだ。

 やや離れた尖閣北方海域にいた中国艦は直ちに反応した。そして一目散に接続水域を目指す。尖閣北方で監視中だった別の海自護衛艦「せとぎり」は危機感を抱き、中国艦の動きを追い始めた。このままでは接続水域に入るのは必至だ。強く警告したが、中国艦は応じない。

 この時、「はたかぜ」は接続水域内を北東に向けて航行中だ。これを知る中国艦が動きを止めるはずはない。ついに久場島の北東の接続水域に進入した。これを監視する「せとぎり」も接続水域内を航行し、今度は中国艦が万が一にも領海に侵入することがないよう警告・監視しながら追尾する。

 日中ロ3カ国の艦船6隻が至近距離で入り乱れながら並走――。大正島北西の接続水域内では、かつてない危険な事態が出現した。だが最後はロシア艦が接続水域を抜け、日中の艦船も外に出る。ひとまず危機は去った。

■中ロ連携の真相

 焦点は中ロ両海軍の連携の有無だ。ロシア艦3隻は海上演習を終え、帰路にあった。駐日ロシア大使館も「当海域では中国と関係なくロシア海軍が定例の演習を行い、日本の領海に入ることは当然ない。他の諸国、日米も主張する『航行の自由』の原則通り。心配無用」とした。

Xi Jinping-3

米中戦略・経済対話の開幕式で手を振る中国の習近平国家主席(6月6日、北京)=共同

 とはいえ中ロは2012年から日本海や黄海で海上軍事演習を実施している。中ロが広く連携している以上、中国海軍が、今回のロシア艦の大筋の動きを把握していたのは間違いない。翌6月10日からは沖縄近海で日米印の海上演習「マラバール」が始まった。そもそも中ロ艦がここで活動していた目的は情報収集とけん制にもあった。ロシア艦も演習の帰路なのに、なお付近をうろついた。

 1992年に始まった米印の演習には今年から日本も定期参加する。南シナ海での「航行の自由」作戦を実行した米空母「ジョン・C・ステニス」も姿を見せた。中国はそれを注視している。ロシアも事情は似る。ウクライナ問題などで確執がある米国に対抗するには、この地域でも一定の存在感が必要だ。東シナ海、太平洋は「日米VS中ロ」の対峙構造が明らかな緊迫した海でもある。

 一連の事情からロシア側は、進入に関して「中国と無関係」としつつも、少なくとも中国側が連携を臭わせるのは容認した。中国国防省が発表した質問に答える形式のコメントもそうだった。自ら用意した質問文は「日本メディアが中ロの軍艦が釣魚島付近の海域に進入したと報じた。どうみるか?」。説明抜きのため、全容を知らない中国国民、外国人は中ロが示し合わせたように受け取る。いわば意図を持った「やらせ質問」にみえる。

 そこには伏線がある。ロシア大統領、プーチンは6月末、訪中する。重要な中ロ首脳会談を前にロシア側も中国を追い込むことはしない。中国の演出は、ロシアを利用した「張り子の虎」と考えることもできる。かつて毛沢東、鄧小平時代にも米ソ対立を巧みに利用した似た事例がいくつかある。中国の伝統的な外交術だ。

■試された与那国島レーダー

 中国軍にはもう一つ重要な目的があった。中国語で言う「試探」。つまり接続水域進入によって自衛隊と日本政府がどの程度、素早い動きを見せるのかを探りたかったのだ。

radar of Yonaguni

150キロ先の尖閣諸島をにらむ与那国島の陸上自衛隊レーダー基地

 なぜ今なのか。それは3月28日、日本最西端の与那国島(沖縄県)に160人規模で駐屯を開始した陸上自衛隊とレーダー基地に関係する。与那国島の150キロ北には尖閣諸島がある。人口2000人に満たない静かな島に出現した巨大な5本の鉄塔には様々なアンテナが据え付けられた。尖閣周辺の海と空ににらみを利かせている。

 日本政府の動きは素早かった。安倍への報告の後、外務省は直ちに東京の中国大使館の安全保障担当公使に抗議した。中国艦の接続水域入りから僅か25分後だった。その45分後には駐日中国大使、程永華を呼び抗議した。

 見落とされている事実がもう一つある。中国艦に対処した青森県の大湊港を母港とする「せとぎり」(3550トン)は、南シナ海との縁が深い。4月12日にはベトナム南部の要衝、カムラン湾の軍港を訪れていた。直前には同じく中国と南シナ海で対峙するフィリピンの北部、スービック港に寄港。南シナ海を横切ってベトナムのカムラン湾に入った。

 カムラン湾といえば、冷戦時代に旧ソ連が軍港として使用し、対米けん制の最前線だった場所だ。今や南シナ海問題で立場は逆転した。ベトナムは中国に対抗するため米国から武器を購入し、日本の海自艦船の訪問も受け入れている。

 軍事面の実力が向上した中国海軍は、国家主席、習近平がトップに就いて以来、海洋進出を加速している。中国には強く自制を求める。力による現状の変更は極めて危険だ。そして日中間で偶発的な衝突などあってはならない。防衛当局間の早期の「海空連絡メカニズム」発効に向けた詰めた話し合いをすぐにでも始めるべきだ。(敬称略)>(以上)

記事

尖閣諸島周辺の接続水域に中国の軍艦が初めて侵入した。6月9日未明のことである。もちろんこの海域には軍艦を改造した中国海警局巡視船などがしょっちゅう侵入しては海上保安庁の巡視船に追い出されることを繰り返しているのだが、軍艦となると緊張感がまったく違う。官邸はすぐさま危機管理センターを設置し、米国とも連絡を取り合った。外務省は夜中に駐日中国大使を呼び出して厳重抗議した。中国側のこの行為には、どういう意図があるのだろう。まさかうっかり接続水域に入ってしまったというのだろうか。

「してやったり」ほくそ笑む中国

 まずロシアの軍艦も同じタイミングで接続水域に入ったため、中ロが結託して、日本を挑発したという疑いはある。ただ、ロシア軍艦が定期演習帰りにこの時期に接続水域付近を通行することは想定内。むしろ中国側が自国の領土と言い張る尖閣諸島周辺海域にロシア軍艦が入ったことを口実に、ロシア艦を監視するという建前で自らも接続水域に入った、という見方が今のところ主流である。

 ちなみに駐日ロシア大使館はツイッターで「当海域では中国と関係なくロシア海軍が定例の演習を行い日本の領海に入ることは当然ない。…ご心配不要」と、中国とは無関係であり、また尖閣諸島海域が日本領海と認めているようなニュアンスのコメントをしていた。なお、このコメントは日本語であり「尖閣諸島」という言葉を使っている。さすがにまずいと思ったのか、すぐに削除された。これが“うっかりコメント”なのか、中国に対するある種のメッセージなのかは不明。軍艦侵入そのものが、中国との共謀であれば、もう少し中国への配慮というものがあっただろうとは思う。

 ロシアの狙いは後回しにして、まず中国側の意図を考えてみよう。例えば、ロシア艦の接続水域侵入を見た中国海軍が現場の判断なのか。それとも、習近平政権の意志による計画的軍事行動なのか。

 結論を先に言うと、これは習近平政権の指示による計画的行動だと、私は考えている。

 まず、中国国防部が翌日、「釣魚島およびその付属島嶼(尖閣諸島)は中国固有の領土であり、中国軍艦が本国管轄海域を航行するのは合法であり、他国がとやかく言うことではない。きょうの端午の節句(旧暦)をすこやかに過ごしてください」と、ユーモアと余裕も感じさせるコメントを発表していることだ。この余裕に「してやったり」という中国側のほくそ笑みが見える気がする。

中国メディアで報じられている内容を整理すると次のようになる。

 8日午後9時50分ごろ、ロシア海軍艦艇3隻が先に尖閣諸島海域(中国語で釣魚島)の久場島(黄尾嶼)と大正島(赤尾嶼)の間の接続水域を北上し、海上自衛隊護衛艦“はたかぜ”に発見された。9日未明午前0時50分ごろ、一隻の中国フリゲート艦・江凱が南下し久場島東北の接続水域に侵入するも海上自衛隊“せとぎり”に発見され、U字型の軌跡を描いて大正島東北の接続水域から脱出。中国軍艦が接続水域を出たのは午前零時3時10分、ロシア軍艦が同域を出たのは3時5分。

「中ロ連携」を匂わせ、建前で逃げる算段

 日本メディアの報道の在り方はおおむね二通りだ。中ロが事前に打ち合わせた計画的行動である、というものと、中ロの連携はなかったというもの。読売新聞の10日の報道は前者で、ロシアが2012年から毎年夏に日本海や黄海で合同海上軍事演習をしているのは日米けん制が目的であり、この中ロの行動は日米印三国の10日の九州付近での合同海上軍事演習に対抗するものだという分析をしている。

 一方、産経新聞は、ロシアが先に接続水域に入ったことを中国軍艦がロシアを監視するかのように見せかけてあとから侵入したと報じ、中ロ連携ではなくロシアを中国が利用して侵入したという見方だ。防衛省・外務省は、中国が日ロ相手にこの領海に近づくな、と威嚇した、とみている。日本政府としては、中国は周到な計画をもってこの事件を起こしたと認定しているようだ。毎日新聞は、元自衛官のコメントを引用して、中国の周到な計画的行動は今後も続き、国際社会の注意を南シナ海からそらそうという意図がある、としている。

 環球時報などが、日本の新聞の引用をしながら、だいたいこのようなことを伝えている。

 軍の行動の意図などは、たとえ官報といえども勝手な解釈報道はできないのだが、こうして海外メディアの引用を反論を加えずそのまま報じるときは、だいたい図星ということである。ロシアとの連携が本当にあったかなかったかは、ひとまずおいておくが、中国としては「連携があった」と日本に思わせたいのだ。中国報道のほとんどが“中ロ軍艦”を主語にしている。そして「ロシアに文句を言わないで中国に文句をいうのはおかしい」「中国軍艦はロシア軍艦の侵入を見張るために南下したにすぎない」という建前で日本の抗議を封じ込めることができるとみている。

 13日付の環球時報は、「いよいよロシアも参入!魚釣島をめぐる大博打」と題した、少々ちゃかした感じの論評を掲載した。これがなかなか興味深い。以下引用する。

「安倍は突然たたき起こされた」

 「ドラマチックに描けばこんな感じだ:眠っている安倍は突然たたき起こされた。中国とロシアの軍艦が来たぞ! 日本の軍艦はどこだ? 日本の艦艇にその行動を妨害させようにも、衝突は怖いし、安倍はただ追随して監視するしかなく、すぐさま米国に報告する。

 焦った日本の官僚たちは、50歳を過ぎた駐日大使の程永華を午前2時に外務省に呼びつけ、てんやわんや。寝覚めの悪い大使の顔色は悪く、さすがにキレて言い返した。“釣魚島は中国固有の領土、中国側は日本の抗議を絶対に受け入れられない”。

 注目に値するのは日本側の中国とロシアに対する対応差だ。ロシア軍艦の方が接続水域侵入の時間が早く、海域航行時間も長く、艦の数も2隻多い。

 なのに難癖をつけ、抗議するのは中国だけで、ロシアに対しては文句を言わない。理由はロシアは魚釣島の領土主権を主張していなからだ、と。…

 日本はロシア大使館のツイート声明(で尖閣諸島という言葉を使ったこと)によろこんだようだが、これは外交辞令だ。そもそも外交部は軍の意図などわからぬものだ。だからすぐに削除された。…

 いくつか基本的に判断できることは以下の通り。

 ①中ロ軍艦は同時に接続海域に侵入し、ロシアが先に侵入した。②プーチンの6月訪中を前に、南シナ海問題がまさに煮詰まっているとき、中ロが連携してこの航行を行ったから、日本を十分に震え上がらせることができた。③米国のアジアリバランス政策下で、米日が協力を強化している状況で、中ロの協力強化は確かに必要で、これはイデオロギー以上に国家利益的に大きな意味がある。こうした状況からプーチンの訪中は実りあるものになるだろう。④ロシアの艦艇3隻は老朽船であり真の軍艦は一隻だけで残りの二隻は補給艦と曳航艇である。だが敏感な水域をあえて航行するプーチンの軍事外交は大胆かつ強硬である。

 最後に付け加えていえば、ロシアの過剰に大胆な部分を中国は学ぶ必要もないしできないが、少なくとも外交局面においては、もっと活発になることが中国の成功の秘訣だろう。たとえばロシアのウクライナ危機や迅速なシリア撤退のようなこの種の謀略は参考にする価値がある。特に南シナ海問題が煮詰まりつつある今、釣魚島で再び風雲を起こすことは、実際なんの不都合もないのである。釣魚島をめぐる中日の争いは表面的なものであり、実際は米国を避けて考えることのできない問題だ。釣魚島の問題は、全東アジアの大博打の一部でしかない。そこに、いよいよロシアが加わって釣魚島をめぐる大博打が今始まったわけだ。」

 中国としては、ロシアが中国海軍と同時期に接続海域に入ったことに大きな意味を見出している。つまり、南シナ海と合わせて、東シナ海問題にロシアを引き込めれば中国にとって有利だということだ。

 尖閣は日本の実効支配下にあり、日米安保の枠組み内にあるので、中国の実行支配下にある南シナ海の島嶼問題よりもある意味攻略しにくい。そこに米国と対立するロシアを引き込めればこれは中国に利する。万が一、日本とロシアの関係がこじれれば、中国にとっては願ってもないことだ。ロシア軍艦が南シナ海での国際テロ軍事演習にこの海域を通ることは、かねてからわかっていたのだから、中国がタイミングを合わせて尖閣諸島接続水域に軍艦を出すくらいのことは十分考えられる。

習近平はプーチンLOVE

 ロシアは本当のところどう考えているのだろうか。

 ロシアの本音を探る手段は今の私にはない。ただ、プーチンは稀に見る外交巧者である。年内の日本訪問の条件の駆け引きを見据えながら、6月の訪中の内容を詰めているところであろう。ロシアと中国が真の蜜月だとは思わないのだが、習近平のプーチンLOVEはかなり本気だ。

 ウクライナ危機にしてもシリア撤退の奇策にしても、習近平政権が「外交はかくありたい」とほれぼれするようなことをプーチンはやってのける。そういった中国側の気分を見越して、ロシアは4月のモスクワでの中ロ外相会談で、南シナ海問題を当事国間の直接の話し合いでの解決を求める中国側の立場を支持している。

 ロシアはベトナム・カムラン湾を軍事利用しつつASEANにおける武器輸出拡大を図っているところで、南シナ海には巨大な利権をもつ。米国の対ベトナム武器禁輸解除は、中国以上に苦々しく思っているはずだ。中国が米国の対ベトナム武器禁輸解除に対して、あまり怒った風でなかったのは、南シナ海問題にロシアを引き込み、米国と対立させる好機とみた、ということも考えられる。

 一方、シンガポールにおけるシャングリラ会議では、日米印の南シナ海における対中包囲が鮮明化する一方で、ロシアと中国は米韓の対北朝鮮目的のTHAADミサイル配備への反対で立場を一緒にするなど米(韓)VS中ロの対立構造も鮮明化した。中国としては、南シナ海問題で米ロをあおりつつ、東シナ海にもロシアを引き込みたい。ここで、ロシアは外交辞令上、「そんな領海侵犯の意図などありませんよ。中国とも関係ありません」という声明を出しながら、中国に貸しを作るぐらいのことはやっても不思議ではないだろう。

平和ボーナスなき後、試される忍耐

 南シナ海問題は、国際的包囲網が形成され、またフィリピンに親中派大統領が登場し、ベトナムにおける米ロの兵器利権対立が起きそうで、6月末にもスカボロー礁の中国埋め立てをめぐるハーグ仲裁裁判所の判決が出る、という変数が多くあるなかで、中国側も今しばらくは次の一手を攻めあぐねていよう。

 軍制改革を成功させるために南シナ海で、局地戦も辞さない覚悟で軍事緊張を高めることが中国のシナリオであることはこのコラムでも以前に解説したが、環球時報の論評にあるようにここにきて「釣魚島付近で再び風雲を起こすことは何の不都合もない」というのも本音だろう。もともと習近平シナリオには、2013年1月のロックオン事件の際に、日中間で局地戦を覚悟した軍事的緊張を演出するというものもあった。主戦場がいつ南シナ海から東シナ海に移っても不思議はないのだ。

 こういう状況は日本にとって非常に具合が悪い一方で、少しだけ好いことがある。悪いことは、日本の安全保障が脅かされ日本の領海領空を守る海上自衛隊や航空自衛隊に対するプレッシャーが並々ならぬものになるということ。好いことは、7月の参院選を前にして、有権者が安全保障の問題をより身近に迫ったものとして真剣に考えるようになることだ。

 日本政府としては、北方領土問題の交渉相手であるだけでなく、東シナ海や南シナ海を含む、アジア太平洋「大博打」大会の主要プレーヤーであるロシアの思惑を見越しつつ、その外交をうまくこなすことがまず肝要かもしれない。第二次大戦以後の平和のボーナスはそろそろ使い果たされ、いよいよ神経を消耗する厳しい時代になった。一人ひとりの忍耐が試されているのだと思う。

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『AIIBは成功するのか?中国でも疑いの声 ADBと初の協調融資へ、それでも立ちはだかるアジアのリスク』(6/14日経ビジネスオンライン 姫田小夏)について

中国企業の海外でのM&Aは人民元暴落前に買えるだけ買っておこうとの腹積りではないかと思います。下記の日経の記事でピムコの創業者のコメントがいみじくも語っていますように「資金繰りに限界」がいずれやって来ます。ジャンプ、ジャンプ或は別の銀行・ノンバンク(融資平台)からの借換で当座はしのげるかもしれませんが、日本のバブル崩壊のように、誰かがいずれババを引き、連鎖倒産が起きて行くでしょう。3経済主体で30兆$もの債務は完全には返済できません。数字が大きすぎます。倒産→失業者増大→社会不安→暴動頻発→共産党打倒の流れとなるかどうかですが。しかし、日経もやっと中国の真実の姿を報道するようになりました。

<6/15日本経済新聞 電子版 シリコンバレーに映る中国マネーの明と暗  編集委員 梶原誠 

 米西海岸のサンフランシスコはシリコンバレーに近く、ハイテク企業を担当する投資銀行家が大勢集まっている。その一人で、30年以上の経験を持つエリック・エドモンドソン氏が興味深い話をしていた。「起業家たちは今、”BAT”に自社を買ってもらうのを目標にしつつある」と。

Keisuke Honda

本田圭祐選手も所属するセリエAのACミランの買い手にはアリババや百度がちらついた。写真はロイター

 「BAT」とは中国の百度、アリババ集団、騰訊控股(テンセント)の3社の頭文字でつくった言葉だ。急成長を遂げ、中国ハイテク企業の代名詞になった3社は豊富な資金力を使って世界で買収を繰り返す。最近もサッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)のACミランの買収交渉を巡り、アリババや百度が買い手として取り沙汰されたばかりだ。

■「BAT」に買収される会社めざす起業家

 起業家たちは今、そんなBATに認められて買収の対象になるような会社をつくろうと励んでいる。

 自社株の売却は、株式公開と並んで「出口」と呼ばれる起業家の一里塚だ。株の買い手はこれまでマイクロソフト、オラクル、インテルなどの米大手企業が主に担ってきた。それに中国企業が加わろうとしている兆しは、世界企業の勢力図の変化を物語る。

Makoto Kajiwara

梶原誠(かじわら・まこと) 88年日本経済新聞社入社。東京、ソウル、ニューヨークで記者を歴任し、現在は香港が拠点。編集委員・論説委員としてアジアの窓から世界を見ている。興味分野は「市場に映るものすべて」

 BATら中国企業の動きは、買収によって自らのブランド力を高めたり、新たな技術や顧客基盤を得たりする攻めの戦略の一環だ。もっぱらアジアや欧州向けではあるが、海外企業の買収は「一帯一路(新シルクロード)構想」を担う中国の政策でもある。

 ただ、シリコンバレーを歩いてみると、それだけではない中国マネーの存在も聞こえてくる。

 「『ダム・マネー』(愚かなマネー)っていわれているんですよ」。30歳代の米国人の起業家の一人は、地元でこう陰口をたたかれる中国マネーの存在を明かす。

 もうかるかどうかがまだはっきりせず、米国のベンチャーキャピタルも避けて通るのに、気前よくお金を出してくれるお金の出し手だ。「ドット・コム」と社名につくだけで資金が集まった2000年までのハイテク株ブームを思い起こさせる投資判断である。

 「中国から逃げてきたマネー」。これが起業家の読みだった。

 世界の主な金融機関で構成する国際金融協会(IIF)によると、中国からは昨年、差し引き7000億ドル近い空前の規模の資本が流出した。ペースは落ちたとはいえ、今年も流出は続いている。

■中国からの逃避資金、投資判断は甘く

 これらのなかには中国経済の先行きを不安視し、その結果である人民元の先安観を嫌う中国の富裕層の逃避資金も含まれる。そんな中国マネーがシリコンバレーの出来たての企業にも流れ込んでいるのではないか。中国から離れるのが第一の目的なので、投資判断は自然と甘くなる。

Bill Gross

債券王ビル・グロス氏は「中国の危うさは中国の人々が知っている」と指摘する

 中国からのマネー逃避を中国経済への警告ととらえる投資家が、カリフォルニア州南部の海沿いの街、ニューポートビーチにいた。「債券王」の異名を持つビル・グロス氏だ。ピムコを創業し、世界的な機関投資家に育てた同氏は今、米運用会社ジャナスのポートフォリオ・マネジャーだ。

 同氏の警戒は,国内総生産(GDP)の150%を超えたとの試算もある民間企業の過大な債務に向いている。

 「企業はもうけを借金返済や利払いに回すのに精いっぱいで、生産的な投資どころではなくなる」。そしてこう締めくくるのだ。「中国は利下げなどで問題が露呈するまでの時間を稼げる。だがこのままだといつか資金繰りに限界が来ることは、中国の人々自身が知っている」。高級住宅やリゾートが密集するニューポートビーチにも、中国マネーが押し寄せているのだ。

 世界にあふれ出した中国の巨大マネー。そこには攻めと守りという、2種類のマネーが混在している。>(以上)

本記事はAIIBも問題含みと言うものです。パキスタンのグワダル港は明らかに軍事目的です。マラッカ海峡が封鎖されても中東からの原油の輸入を可能にするためと思われます。「中国はここを「中パ経済回廊」の起点に位置づけ、内陸部の新疆のカシュガルからグワダルまでの約3000キロの陸路開通にも乗り出している」とありますが、地図で見ますと、カシュガルからグワダルまで一直線で、高速道路でも作るのかもしれません。パキスタンもそこまで中国に認めるかどうかです。普通に考えればいくら中国のお金とはいえ、中国兵を高速で派兵できるような道路を作らせることは考えにくいです。戦争になればミサイルかジェット機で道路は簡単に崩壊・陥没させられるでしょうけど。新疆もウイグル族の土地ですので、有事の際は安全とはなりません。

AIIBは審査能力が低いので、ADBの力を借りねばならず、そうすれば当然中国の思いのままの融資にはなりません。単独で融資すれば焦げ付きが増えるだけでしょう。AIIBの参加国が100国になったとして、銀行の実力とは無関係です。株主の多い民間銀行がそれだけで評価されることがないことと同じです。どれだけ利益・付加価値を上げられるかが勝負です。アフリカと同じで中東にも部族問題があり、一筋縄では行かないでしょう。中国の在庫処分・失業者派遣を図ろうとしても民族感情の問題があり、うまく行かないでしょう。

記事

Renminbi

中国主導の国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への参加国が100近くに達する見込みだという(写真はイメージ)(c)AFP〔AFPBB News

 中国の主導で設立された国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の参加国数が、2016年末までに100近くに拡大する見通しだという。実現すればその規模は、日本と米国が主導する「アジア開発銀行(ADB)」(67カ国と地域が参加)をしのぐ。

 また6月10日には、AIIBとADBの初めての協調融資が発表された。パキスタンの高速道路建設に対して、AIIBとADBがそれぞれ1億ドルを融資するという。これは中国の勝利を意味するのだろうか。

 AIIBは、中国が提唱する「一帯一路」構想を金融面で支え推進する役割を担う。一帯一路とは、アジアと欧州をつなぐ陸と海の巨大な“シルクロード経済圏”構想だ。

Joe Hockey

「AIIB」の設立協定に署名するオーストラリアのジョー・ホッキー財務相(2015年6月29日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News

「『一帯一路』構想はかつての欧米列強のやり方に着想を得たものだ」──こう語るのは、中国経済と60年近く向き合うベテラン研究者の1人だ。

 19世紀半ば、英国は清国をアヘン貿易の恰好の市場ととらえ、大量のアヘンを清国に売りつけた。アヘンの密輸をやめさせようとする清国と英国は衝突し、アヘン戦争(1840~1842年)が勃発する。戦争で清国が敗れると、英国は南京条約により上海、広州などを開港させた。

 開港した5つの港では自由な貿易ができるようになり、英国人は家屋を賃借したり、賃借した土地に家屋を建てることができるようになった。物資が集積する港には住宅のほか倉庫や店舗が建ち並び、街として繁栄する。清国は外交上の主権を失ったが、経済的には潤うことができた。

 そして21世紀の今、中国が19世紀の欧米列強と同じことをしようとしていると、この研究者は指摘する。つまり、中国がAIIBによってアジアの新興国を“開港”させ、中国の過剰在庫という“アヘン”を売りつけようとしているというわけだ。

中国が世界で港の建設に続々と出資

 新興国にとってインフラ建設は最重要課題だが、膨大な建設費がかかる。港湾行政に詳しい専門家は「新興国は自国だけでは予算を確保できないため、日本も多くの円借款などを提供しています」と語る。

 新興国では、インフラ建設に必要な技術も人材も不足している。「日本はアジア、アフリカに技術者を派遣したり、国内に毎年多くの研修生の受け入れるなどサポートしています」(同)。

 日本はODAを通じて、これまで多くの国にインフラ建設の支援をしてきた。しかし近年は、各国の港湾建設において中国のプレゼンスが高まっている。

 中国は現在、アジアを中心に港の建設に乗り出している。パキスタンのグワダル港、アフリカのジブチ港、イエメンのアデン港、バングラデシュのチッタゴン港、スリランカのコロンボ港、モルジブ港、ミャンマーのチャウピュー港、ギリシャのピレウス港など、中国の出資によって建設される港は枚挙にいとまがない。

中でも注目を集めるのがパキスタン南西部のグワダル港である。2013年、中国は同港の港湾管理権を取得し、2015年には同港の経済特区について43年の運営権を取得した。

 グワダル港は西はアラビア海、東はインド洋を結ぶ海上の要衝である。中国はここを「中パ経済回廊」の起点に位置づけ、内陸部の新疆のカシュガルからグワダルまでの約3000キロの陸路開通にも乗り出している。グワダル港の開発を急ぐ背景には、米国の中東における主導的地位を覆し、エネルギーや軍事面での安全保障を強化しようという狙いがある。

Gwadar

印のついた場所がパキスタン・グワダル港。中国は自国からグワダルまでの陸路開通も目指している。(Googleマップ)

国内でも「AIIBの枠組みは前途多難」の声

 中国政府は「一帯一路」によって「互聯互通(fulian futong)」が実現するという。互聯互通とは、アジア諸国が互いに「連結」することである。

 だが、中国では「本当に連結できるのか?」という懐疑的な声もある。

「上海経済評論」(東方早報、2015年9月発行)は、AIIBという枠組みの構築は前途多難であり楽観できないとする論評を掲載した。その理由の1つに次のような指摘がある。

「アジアの政治制度や経済体制、発展水準や文化教育、宗教はみな違う。国によっては政治的に不安定で、部族間の分裂や内乱が発生しているところもある。アジアの多くの国家では賄賂が横行し、法律は十分に機能しない。領土問題を抱える国もある」

その論評は、インフラ建設の資金を必要としている国ほど問題を抱えていることを指摘している。

 パキスタンのグワダル港にしても、建設地のバローチスタン州は政情が不安定な地域である。ここで生活するのは遊牧民のイラン系バローチ族で、国の6割の人口を占めるパンジャブ族とは反目する関係にある。パキスタン政府とも対立し、テロリストも潜伏すると言われている。米シンクタンクによれば、バローチ族は、中国やシンガポールなど外部の勢力が入ってくることを警戒し、国際的な港湾や輸送センターが建設されることに抵抗しているという。

 港の開発とともに闇の土地取引は盛んになり、土地を追われるバローチ族も後を絶たない。グワダル港が晴れて輸送上のハブとなったとしても、恨みを買った部族に襲われる可能性は否定できない。

 いかにAIIBが「互恵互利」を掲げたとしても、中国だけが参加国の利権を貪るという構図では、地元の反発は避けられない。また、経済効果を“エサ”にして参加国を増やしても、参加国同士の利害は対立し、連携は深められないだろう。

 AIIBの設立当初、中国は豊富な資金力で押し切れると思ったのかもしれない。しかし、“アジア連結”のリスクを低く見積もり過ぎていたのではないだろうか。

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『アジア安保会議で日米印が急接近 日本は米印の「かすがい」に』(6/13日経ビジネスオンライン 長尾 賢)について

「世界は皆腹黒い」。その中で日本の立ち位置をどう定めて行くのかが今後の日本の命運を分けると思います。現実を見ると、理想社会からは遠いですが、「よりましな国」と付き合っていくしかないと考えます。政治家の選択と同じです。基本は自由、民主、基本的人権、法治が守られ、人種差別や特権が少ない国と付き合うことです。

米国は大統領選でフロリダのテロや銃の問題が取り上げられています。日本と米国では「自衛」の概念の違いがあります。日本は刀狩以降武器を一般人が持つことは殆どなく、米国は土地をインデイアンから奪う為、銃は手放せなくなりました。憲法修正第二条も銃の携帯の権利を認めていると主張する人もいます。

http://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2657/

中国は西側諸国の敵国です。ソ連が崩壊した今、共産主義の大国は中国しかありません。共産主義の何がいけないかと言うと、「自由、民主、基本的人権、法治」総てがないからです。立派な法律を作ってもそのとおり運用された試しがありません。一党独裁の共産党の存在が許されると言うことはイコール人類の不幸と思います。今度の意参院選では反日民進党は日本共産党と手を結ぶことにしました。反日という所がハッキリ分かって良いのでは。鉄槌を下されるでしょう。

中国はキャベツ戦術を止めて、軍艦を尖閣の接続水域に侵入させました。いよいよ野心を露骨に見せてきました。宥和政策は禍根を残します。中国包囲網を敷き、経済制裁や禁輸することにより共産党支配を止めさすことが必要です。軍事的に見て、日米VS中国では1週間で日米の勝利となるという記事もありました。ただ、中国の民主化ができたとしても民族の特質は変わらず、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という本性は変わりません。民主化になっても、付き合い方は付かず離れず辺りでしょう。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20160611/plt1606111530001-n1.htm

朝鮮半島は「火病」持ち、「息を吐くように嘘を言い」という民族ですから、関わらないことです。「非韓3原則」を徹底し、国際的なでっち上げについては事実を持って反論していくことが必要です。

インドは民主主義国かつ人口大国、インデイラ・ガンジーの人口抑制策が失敗して以降、インドの歴代の政権では、人口抑制策を強化することがタブー視されるようになりました。また民主主義国であっても、貧しい国にありがちな腐敗問題も大きな問題です。それと歴史上染み込んできたカーストについて憲法上の差別は禁止されていますが、実際はまだまだで、今後工業化して発展していくときの足枷になるでしょう。それでも日本との関係は仏教発祥(実際は釈迦はネパール生まれですが)の国、ラース・ビバリー・ボースやチャンドラ・ボース等のインド国民軍を支援し、英国からの独立を助けました。中国と違い、歴史上も領土上もトラブルがありません。同盟国として将来有望でしょう。

日米豪印の内、豪はターンブル首相になってから親中に傾いています。英国のキャメロン・オズボーンと一緒でチャイナマネーに幻惑されています。豪は中国移民を増やしてきていますので、民主選挙をすれば中国有利の政策が採られるのは自明。安易な移民・難民受け入れは国柄を変えます。自分の生まれ育った国を良くして行くのは国民の務めです。安易に国籍を移すのはどうか。スパイの可能性もあります。

http://www.focus-asia.com/socioeconomy/economy/407988/

http://www.recordchina.co.jp/a94851.html

伊藤忠の瀬島龍三も佐々淳行の本、『私を通りすぎたスパイたち』によれば、ソ連の”infiltrator”(=スリーパー、スパイ)とのこと。ソ連と言い、中国と言い、伊藤忠は売国企業です。丹羽宇一郎の中国大使時代の公用車の国旗強奪事件を思い出します。CITICに6000億も注ぎこむところですから、商社1位の座も長くはないでしょう。

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安全保障について少し詳しい人ならシャングリラ会議という名前を聞いたことがあるかもしれない。正式にはアジア安全保障会議(Asia Security Summit)という。世界各国の国防大臣などが毎年、シンガポールに集まり、アジアの安全保障について意見交換をする場である。2014年には安倍晋三首相も参加した。筆者も初めて招待されたので、心から喜んで参加し、インドの国防大臣に質問する機会も得た(写真1、注1)。

そこで本稿では、会議において何が焦点になったのか、特に日米印の急速な接近に焦点をおき、日本にとっての意味について報告する。

Ken Nagao

写真1:シャングリラ会議にて(筆者がバングラデシュの研究者に頼んで撮影したもの)

(注1)会議のビデオおよび議事録は以下のこちら

日米印3か国の協力関係が際立った

今年の会議は6月3~5日に開かれた。焦点は3つ。1つ目は、米国が中国に対し国際ルールに従うよう要求し、中国が激しく反論した点である。

アシュトン・カーター米国防長官は、以下の点を強調した。

  • 米国はまだ軍事的に強く、地域で重要な存在であること
  • ルールを定め、そのルールの違反者は取り締まるシステムを米国が主導して構築しようとしていること
  • 中国が南シナ海で進めている人工島の建設はルール違反であること

そのうえで、中国に対し、南シナ海の問題を国際法廷で解決しようとするフィリピンの努力に応じるよう求めた。これに対し中国側は、問題が軍事化しているのは米国のせいだと強調するとともに、フィリピンを激しく非難した。

2つ目はロシアが米国を非難したことである。北朝鮮の核ミサイルを迎撃するために、米国は韓国においてミサイル防衛システムの配備を進めている。この米国の動きに中国は強く反対。ロシアも、中国のこの立場を支持してミサイル防衛反対を唱えた。ロシアの態度は、昨今進むロシアと中国の安全保障上の接近を示している点で興味深い。

そして、3つ目が本題だ。今回の会合の焦点は日米印3か国の協力関係が特に際立った。これは注目すべき動きだ。このシャングリラ会議は15年目を迎えるのだが、これまでインドにはあまり焦点が当たってこなかった。ところが今年は、インドの国防大臣が出席。日米や東南アジア諸国の国防大臣たちもインドの役割について再三言及し、インドが注目を集める会合となった。

米印が協力する3つのテーマ

なぜインドが注目を集めたのだろうか。実は、過去半年、米国とインドの関係強化が劇的に加速しており、シャングリラ会議も、その動きを反映したものとみられる。昨年12月以来、首脳同士が会合する機会が増えた。米国防長官と印国防大臣、米太平洋軍司令官、インド陸軍参謀長などの高官たちが次々と相手国を訪問している。

4月には、インド空軍の戦闘機が日本を経由してアラスカに飛び、米印空軍共同演習レッド・フラッグに参加した。6月7日にはインドのナレンドラ・モディ首相が訪米。6月10日からはインド海軍の艦艇も沖縄の南で日米印海軍共同演習マラバールを実施する。このマラバールはヘリ空母や対潜水艦用の哨戒機も参加して、対潜水艦戦などを行う演習になる。そして今月はさらに日米印の外務省高官級の協議も計画されている。

何を協議しているかというと、具体的な協力案件は大きく3つある。1つは、南シナ海問題を念頭に海洋安全保障協力を進める動きだ。海南島からインド洋にかけての海域を航行する中国潜水艦に関する情報の共有や、米印が南シナ海において共同パトロールを実施する計画(まだパトロールの実現可能性は低い)などである。

2つ目は、軍事交流を拡大するための協定だ。双方の基地を利用する際に必要な補給品や燃料を融通しあう協定や、通信を容易にする協定を話し合っている。これらの協定がまとまると、これまでの10年に60回という活発な米印間の軍事交流が、さらに活発になる可能性がある。

3つ目は、防衛装備品の取引だ。インドが進める国産原子力空母の建造に米国が協力することを話し合っている。米国が、空母用のカタパルト(飛行機を急加速して離陸させる装置)について技術上の協力をしたり、レーダーを搭載した空母用の早期警戒機(E-2D)を供給したりする可能性がある。これらの装備を中国の空母は保有していないから、インドの空母は中国の空母を上回る性能をもつことになる。

多国間の新しい安全保障ネットワーク

なぜ米印はこのように協力を深めるのだろうか。シャングリラ会議においてカーター米国防長官が強調したのは、多国間「ネットワーク」の構築だ。これまで、アジアでは、米国を中心とする複数の2国間システムが安全保障を担ってきた。具体的には、日米、米豪、米韓、米フィリピンといった同盟関係である。しかし、米中の軍事力の差は縮まってきている。2000年から2015年までの間に、米国は13隻の潜水艦を新規に配備したが、中国は42隻も配備した。だから、米国一国に依存するシステムは、このままでは、徐々に機能しなくなっていく。

そこで、多国間ネットワークなのである。2国間だけでなく、日米豪、日米韓、日米印といった3か国間や多国間の協力関係を組んでネットワークを形成する。これには、米国を含まない日豪印や印越の関係まで含む。こうした多国間の協力関係のネットワークを基盤に、皆でルールを定め、ルールを守る体制をつくる。これが、米国が目指す理想である。

古い同盟と新しい「同盟」(ネットワーク)の概念図

the form of new alliance

出所:長尾賢「日印「同盟」時代第11回:日豪印「同盟」で日本の安全保障が変わる!」『日経ビジネスOnline』(日経BP社)2015年8月19日

その中で、米印関係はカギになっている。インドの力が伸びているからだ。米国の力が不十分でも、新たに力をつけた国がそれを補う体制ができていれば、システムは盤石となる。

マノハール・パニカール印国防相の演説をみると、インドは米国に協力することを考えているのがわかる。その演説は、紛争や力による脅しを平和的に解決する安全保障システムが必要であることを述べた上で、インドがいかに周辺国と友好的に交流しているか、バングラデシュとの海上国境紛争を国際法廷で解決したことなどを強調したものであった。インドは責任ある大国であることを示し、各国と協力する意思を示したのである。

日本が果たすべき役割

これらの動きは日本にとってどのような意味があるのだろうか。実は日本には、以前には見られないほどの大きなチャンスがあるのかもしれない。

まず考えられるのは、米国とインドを仲介する役割だ。米国はパキスタンとの協力関係を必要とし、インドはロシアとの協力関係を必要としている。パキスタンやロシアが絡む問題が起きると、米印関係が悪化しかねない。

しかし、もし日米印の3か国の枠組みであれば、米印関係が悪化して米印の協議が中止になっても、日米印の協議は継続できる可能性がある。米国もインドも、日本に会うという理由で出席するからだ。そして出席すれば、意見交換し、理解しあうチャンスが生まれる。だから日米印のほうが、米印より強固である。日本は参加するだけで「かすがい」になれるチャンスがある。

もう一つは、責任ある安全保障提供者としての役割だ。米国が構想する安全保障ネットワークの中では、あまり大きな軍事力を持たない東南アジアの国々も含め、すべての国々が一定の役割を果たす必要がある。しかし、これらの国々にはその能力がない。例えば、一昨年マレーシア航空の旅客機が失踪したときに、その事実が露呈した。離陸した旅客機がどこへ飛んで行ったのか、当初はどの国もわからなかったのだ。レーダー網などがしっかりしていないからである。

ここに日本の出番がある。日本がもつレーダー網などの能力を、これらの国が必要としている。日本は安全保障の提供者として、これらの国々を支援する役割を担うことができる。それは責任ある大国としてふさわしい役割である。

しかも、これは同じような構想を進める米国やインドなどとも積極的に協力し合える分野だ。実は、筆者が3月にインドへ行ったとき、インドの研究者から提案があった。日印で南シナ海の島々(特にベトナムの島々)の通信網を一緒に造ろうというのだ(注2)。

すでに日印間で安全保障にかかわる具体的なインフラ整備が進んでいる。インドの戦略的重要地の発電所建設(アンダマン・ニコバル諸島)や、インド洋の戦略的重要地での港湾建設(イランのチャーバハール港)、道路建設(インド北東部)などだ。これらのプロジェクトは、関係各国との友好関係を増進しながら日本の存在感を高めることができるだろう。

(注2)この提案した研究者はインド世界問題評議会(Indian Council of World Affairs)のディレクター、パンカジ・ジャ博士(Dr. Pankaj Jha)である。東南アジアの安全保障情勢に詳しい。

ただ、日本が、こういった協力関係のチャンスを十分生かすには、日本が相手の国益を理解すると同時に、日本の国益について相手に十分理解してもらう必要がある。情報の受信と発信だ。今回のシャングリラ会議の場で特に感じたのは、情報の受信・発信の場としてとても優れていることだ。民間の担当者と軍の現役の担当者がオープンに意見交換する場が設定されていて、各国は自国の国益について率直な情報発信しやすい。

例えば、フランスは、自国がアジアでどのような国益を有しているか、オールカラーのわかりやすい冊子をつくり、配っていた(写真2)。内容は、フランスとアジアの貿易量といったあまり軍事的ではない情報から、この地域にフランス軍が軍事力を展開しており、どの基地にどの程度程度の部隊が駐留し、どのような軍事作戦を行った経験があるのかに至るまで、軍事的な情報もわかりやすい図で提示している。そういったことが自由に話し合える雰囲気があり、フランスは積極的に利用しているのだ。

日本人としては、こうした情報発信の差が、オーストラリアにおける潜水艦コンペで日本がフランスに敗れた一因であると、感じる。日本も、自由かつオープンに意見交換できる場の設定をつくり、情報の発信に努めるべきである。

だとすれば、日本国内でも同じような場のセッティングが必要となる。安全保障に関する国際会議は有用だし、防衛装備品取引に関わる国際展示会なども、場として有用だろう。それらの場においては、民と軍が率直に意見交換できるようにすることが特に必要だ。民は幅広い多くの情報を持っているが、国防分野となると軍が持つ情報も多いからだ。

例えば、民間の研究機関や防衛関連企業だけでなく、軍直属の研究機関(シンクタンク)を含めた交流はどうだろうか。日本では防衛研究所、防衛大学校以外に、陸海空の幹部学校が研究機関としての機能を果たし始めている。米国ならば陸、海、空軍がそれぞれもつ大学がある。インドにもそれぞれ陸、海、空軍に研究機関がある(注3)。

これらの組織は、現役の軍人だけでなく、民間からも研究者を雇い、メディアでも発信する開かれた機関として活動し始めている。軍という情報管理の厳しい組織においても、比較的オープンで意見交換をしやすい。ぜひ民・軍の交流を考える際には、利用すべきである。

多国間の安全保障ネットワークが構築されつつある世界の中で、こうした努力は日本の国益につながるはずだ。

(注3)インドの陸海空軍シンクタンクは以下。民間向けにも広く積極的に活動している。 陸軍Center for Land Warfare Studies 海軍National Maritime Foundation 空軍Center for Air Power Studies

france & security in AP

フランスがシャングリラ会議の会場で配布していた冊子(筆者撮影)

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『広島演説当日、プーチン大統領が激怒した理由 米ロの相互不信の根源「NATO拡大せず」の密約はあったのか』(6/10日経ビジネスオンライン 池田元博)について

「NATOの東方拡大はせず」の密約は、米国とも口約束としてあったようです。ロシアは米国が約束を破ったと主張していますが、文書化されていない弱みがあります。しかし、「欧州が東方に攻め寄せることはないと」という約束をドイツがソ連にしなければ、ドイツは統一できなかったでしょう。西ドイツの東ドイツの統合は1990年、EUが出来たのは1993年です。ソ連が崩壊したのは1991年12月、エリツインのロシア大統領時代は1991年7月から1999年12月までです。エリツイン時代にロシア経済はガタガタになりましたから衛星国まで気を配る余裕はなかったので、NATOの東方拡大も黙認されたのでしょう。プーチンになって新興財閥征伐をし、資源企業を国営化して混乱を収束させたので、ワルシャワ条約機構はなくなったものの、地政学を復活させることができました。

https://www.foreignaffairsj.co.jp/articles/201412_shifrinson/

http://d.hatena.ne.jp/maukiti/20141129/p1

MDのルーマニア・ポーランド配備、韓国のTHHADの配備にロシアは反対するのは当然でしょう。ロシアの核戦力を無力化する可能性がありますので。オバマの言う核廃絶は現実を見ると、実現は不可能と思われます。ロシアが核兵器を削減するメリットがありませんので。中国は米ロの間隙をぬって核兵器を増やしているのではと推測しています。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016052801001218.html

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12118549262

日本も真剣に防衛について国民一人ひとりが考えないと。トランプが大統領になれば否応なしに考えざるを得なくなります。外圧でしか国民が考えないというのも情けないことですが。国民主権が泣きます。偏向メデイアと日教組、学者の戦後利得者のせいであります。核保有(ニュークリアシエアリングも含む)も含めた活発な議論を国民レベルでしていかないと。

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オバマ米大統領が被爆地の広島を訪問し、改めて「核なき世界」の実現を訴えた。しかし、米ロの核軍縮交渉は停滞したままだ。その背景には北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大をめぐるロシアの根深い対米不信がある。

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5月27日、被爆地の広島を訪れ、改めて核廃絶を訴えたオバマ米大統領(写真:代表撮影/AP/アフロ)

 「核保有国は恐怖の論理から脱し、核兵器のない世界をめざす勇気を持たなければならない」――。5月27日、オバマ米大統領が被爆地の広島を訪れた。米国の現職大統領として初めての歴史的な訪問だった。自ら推敲(すいこう)を重ねたという17分間に及ぶ「広島演説」の肝はやはり、オバマ大統領が唱え続けてきた核廃絶への訴えだった。

広島演説の当日、怒りをぶちまけたプーチン大統領

 まさに、その当日のことだ。米国と並ぶ核大国であるロシアのプーチン大統領は、ほかならぬ米国への強い怒りをぶちまけていた。「我々の話を誰も聞こうとしないし、誰も交渉をしたがらない」。ギリシャを訪問し、チプラス首相との首脳会談後の共同記者会見の場だった。

 プーチン大統領が問題視したのは、米国が主導する欧州でのミサイル防衛(MD)計画だ。米国はそのために、米ソが1972年に締結した弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退し、「国際的な安全保障の基盤を弱体化させた」(大統領)。さらに、今年5月にはMD計画の一環としてついに、ルーマニア南部で地上配備型の迎撃ミサイル発射基地の運用を始めた。ポーランドでも同様の発射基地の建設を進めており、大統領は「ロシアの核戦力を脅かす」とかみついたのだ。

 米国がABM制限条約からの脱退を通告したのは、ブッシュ前政権下の2001年末のことだ。その翌年に失効した同条約まで改めて持ち出して米国を批判したのは、MD計画がいよいよ、ロシアの安全保障を揺るがす現実の脅威となったという危機感からだろう。

「核なき世界」への痛烈な皮肉

 ロシアもこの間、手をこまぬいていたわけではない。欧州のMD計画は「イラン対策」という米側の説明を受け、ロシアも構想の代案を提案したことなどもあった。ところが、米国はロシアの提案を受け入れなかった。これが「我々の話を誰も聞こうとしない」と憤るプーチン発言の背景だ。

 「(米国は)イランの核計画の脅威に備えると言ってきたが、その計画は今、どこにあるのか。イランの核合意を主導したのはまさに米国ではないか」とプーチン大統領。MDをめぐるロシアの対米不信は募る一方だ。

 もちろん、オバマ大統領の唱える「核なき世界」と、欧州のMD計画は直接には関係しない。だが、米ロは2010年に調印し、翌年に発効した新戦略兵器削減条約(新START)以降、核軍縮で全く歩み寄れていない。その最大の要因がまさに、MDをめぐる対立だ。ロシアはこの計画が「自国の核抑止力を無力化する」と反発し、米国との新たな核軍縮交渉に応じていないのだ。

 その意味で偶然とはいえ、オバマ大統領の「広島演説」の当日にぶち上げたプーチン大統領の対米批判は、「核なき世界」への痛烈な皮肉だったともいえる。

東方拡大でロシアへの国境に迫るNATO

 こうしたロシアの根深い対米不信の底流には、北大西洋条約機構(NATO)を基軸とする欧州の安全保障体制への不満がある。とりわけ、米国がNATOの枠組みで進めるMD計画と、NATOの東方への拡大を毛嫌いしている。

 NATOは東西冷戦下の1949年にソ連に対抗する軍事機構として発足した。かつて東側ブロックの軍事機構だったワルシャワ条約機構は東西冷戦の終結で消滅したのに、NATOは加盟国を増やして東方拡大に動き、ロシアの国境へとどんどん近づいている。MD計画などを通じて防衛体制も着々と強めている。NATOは冷戦時代さながらの「対ロ包囲網」を構築するための軍事機構ではないかと、ロシアは疑心を強めているわけだ。

 実は、米欧とロシアの対立を決定的にしたウクライナ危機も、ロシアのNATO不信が一因だったともいえる。

 ウクライナ危機は政権運営をロシア寄りに軌道修正したヤヌコビッチ政権(当時)が14年春に親米欧派の市民らによって倒され、その動乱のさなかにロシアがウクライナ領のクリミア半島を併合したのが発端だ。プーチン大統領は当時から同国の政変を「米国の陰謀」と糾弾し、ウクライナのNATO加盟を阻止するためにクリミアを併合したことを示唆している。実際、大統領はクリミア併合を宣言した時の演説で、「(西側は)何度も我々を裏切った」と表明。NATOの東方拡大と国境付近での軍事施設の配備を批判している。

 「米国の陰謀」説に関しても、ロシアが好んで引用する〝証拠〟がある。15年1月末、米CNNによるオバマ大統領のインタビューだ。米大統領はウクライナ危機を招いたプーチン政権を批判するなかで、「我々がウクライナの政権移行を仲介した」と発言したのだ。ロシアのラブロフ外相は即座に反応し、「オバマ氏は政権移行という中立的な表現で、米国がウクライナ反政府勢力による政権転覆に関与したことを認めた」と指摘。ヤヌコビッチ政権の追い落としに米国が加担した〝事実〟が裏付けられたとした。

「約束違反」であり「西側の裏切り」

 ウクライナ問題でも明らかなように、ロシアにとって「NATOの旧ソ連圏への拡大阻止」は安保政策上の最重要課題になっている。旧ソ連のバルト3国はすでにNATOに加盟しているので、西側寄りとされるウクライナ、ジョージア(グルジア)、モルドバの加盟阻止が喫緊の命題となる。

 ただ、仮にNATOの影響力がこの3カ国に及ばなくても、ロシアのNATO不信が消えることはない。そもそもロシアは、NATOの東方拡大そのものを「約束違反」であり「西側の裏切り」とみなしているからだ。

 では、「NATOは拡大せず」という〝密約〟はあったのだろうか。

 プーチン大統領は今年1月、独ビルト紙のインタビューで、1990年当時のソ連側と西独の政治家エゴン・バール氏らとの「一度も公表されていない」会談記録を明かした。バール氏は旧西独のブラント政権下で東方外交を主導した人物として知られる。そのバール氏は「少なくとも軍事機構としてのNATOは中欧に拡大してはならない」と言明したという。同氏はさらに東西ドイツの統一に当たってNATO拡大ではなく、欧州の中心に新たな連合を作る必要性も強調したというのだ。

 NATOの拡大問題については、独シュピーゲル誌もドイツ側の記録として、ゲンシャー西独外相が90年2月10日、シェワルナゼ・ソ連外相(いずれも当時)に「我々は統一ドイツのNATO加盟が複雑な問題を提起していることを熟知している。しかし明らかなことは、NATOは決して東方に拡大しないということだ」と述べたと報じている。

 ソ連は結局、「NATOは東方に拡大しない」との約束を前提に、東西統一後のドイツのNATO残留を容認したとされている。ただし、「NATO拡大せず」との明文化された条文があったのかどうかは、明らかではない。当時はソ連の崩壊はもちろん、NATOの拡大も想定外だったのだろう。

核戦力をめぐる米ロの攻防は激化の一途

 そのNATOの東方拡大は99年、チェコ、ハンガリー、ポーランドの3カ国の加盟で始まった。米ロ間で事実上の手打ちがあったのは、97年のヘルシンキ首脳会談だった。米側はクリントン大統領、ロシア側はエリツィン大統領だった。米国がこの首脳会談で3カ国加盟の見返りに約束したのが、ロシアのG8(主要8カ国)入りだった。

 NATOの東方拡大はその後も続き、2004年には旧ソ連の構成共和国だったバルト3国も加盟した。一方でロシアは、14年春のクリミア併合を機にG8の枠組みから排除された。ウクライナ危機をきっかけにバルト・東欧諸国はロシアの脅威をことさら訴えるようになり、米国はNATOの対ロ防衛能力の強化に動き始めた。ロシアはそんな米国への対抗意識をむき出しにし、核兵器の近代化や再配備に努めているのが現実である。

 米ロは世界の核弾頭の9割以上を保有する。核廃絶に向けては米ロが率先して核軍縮に取り組む必要があるが、現状ではその機運は全くみられない。英エコノミスト誌は今年1月、米国の現政権が30年間で1兆ドルを投じ、核兵器の更新を計画していると報じた。オバマ大統領の唱える「核なき世界」の理想と、核戦力をめぐる米ロの激しい攻防が続く現実。その落差はあまりに大きい。

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『それでもサンダース氏が降りない理由 最も好感度の低い2人による激戦が始まった』(6/10日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

6/10「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

< 『もしサンダースがクリントンとチケットを組めば。。。。  トランプの当選は覚束なくなる』 

 オバマ大統領の秘策は、民主党予備選で最後までクリントンを猛追したバーニー・サンダースを説得し、「副大統領」のチケットを組ませることになる。そのために、オバマはサンダースをホワイトハウスに招く。

 民主党がふたつに分裂するほどの戦果をあげたサンダースが、もし、この仲介案を受けると民主党は一気に団結するため、トランプの当選の可能性は稀薄となる秘策である。

 予備選の結末はでた。残る問題は党大会での正副大統領チケットが、どのようなコンビとなるか、其れが次の見所だろう。>(以上)

6/12「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

< 『役者はそろったが、帷幄は不協和音でギシギシと   トランプ、組織が団結に遠く、そして資金集めは立ち後れ

 人気投票ではヒラリー・クリントンと五分五分のドナルド・トランプ陣営、しかしクリントン陣営と決定的な差違は、組織化の立ち後れ、資金集めがようやく開始されるという泥縄的な遅れである。

 まず帷幄をみるとメンバーは揃いつつある。

 戦略チーフはフィクサーとして著名なポール・マニフォート、主将格は真っ先にトランプを支持したクリス・クリスチーヌ(ニュー・ジャージー州知事)。

 資金集めの応援団長格にブッシュ陣営の責任者だったウッディ・ジョンソンとジョン・カスティマテイディスが加わって、共和党からもベテランのライス・プライパスが急遽加わり、なんとか陣営の中核部分が形成された。

 選挙スタッフはと言えば、トランプは70名しかしない。

一方のクリントン陣営にはウォール街や労組からの派遣組で732名のもスタッフ。十倍の開きがある。

 資金面はどうか。クリントンはすでに10億ドルを集めた。

 トランプはこれまでの予備選で5600万ドルを使い果たし、資金切れとなる。

ようやく本格的な資金集めを開始するが、目標は10億ドル。半分も集まらないと予測されている。

 ウォール街と金持ちが依然としてトランプに冷淡だからだ。

 この遅れを取りもどそうと、トランプ陣営は6月10日にニューヨークのフォーシーズンズ・ホテルに幹部を集め、初めての資金キャンペーン対策会議を開催した。

 しかしカスティマティデスはいう。「彼の効果的なテレビ出演をCM費用に換算すれば、優に10億ドルに値する」と強気である。

 さて最大の難題は組織化だろう。

 共和党組織が強いのはニュー・ジャージー州、メリーランド州、そしてカリフォルニア州だが、選挙本番で死命を制するほどの影響力を持つフロリダ、ウィスコンシン、ペンシルバニア、オハイオ州でトランプ選対の組織化が遅れに遅れている。

 ところでバーニー・サンダースはまだ民主党の予備選から撤退しないが、もし「副大統領候補」としてのチケットを引き受けるとなると、トランプの勝ち目はまずなくなると見られている。

しかしサンダース支持者は「それなら棄権する」「トランプに入れる」というウィング現象も予測される状況下、直近の「ワシントンポスト」(6月11日)の世論調査では、第三候補のグレイ・ジョンソン(リバタリアン党)へ投票が相当数流れそうだという。

 1980年のカーター vs レーガンではアンダーソンが第三候補として出馬し、7%を取った。

92年にはブッシュ vs クリントンにロス・ペローが出馬し、19%もとって、優位といわれていたブッシュ落選となった。

 2000年にはラルフ・ネーダーが「緑の党」からでて、3%だったが、こんどはクリントン、トランプともに「嫌い」「大嫌い」とする反応があまりにも強力であり、思わぬ第三党の大飛躍があれば、予測はさらに難しくなる。>

①副大統領に誰が指名されるかによって投票行動が変わるかも・・・民主はサンダースになればトランプに勝ち目はないでしょう。ただヒラリーが受け入れるかです。選挙戦中、互いに遣り合ってきた関係で、プライドの高いヒラリーが呑むかどうかです。6/12日経には「エリザベス・ウオーレン上院議員」の名前が副大統領候補として挙がっていました。これが実現すれば、民主党は大統領・副大統領とも女性になります。ただ、ウオーレンは反ウオール街の立場ですので政策の擦り合わせには苦労するでしょう。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48069

共和党はコンドリーザ・ライスを副大統領にすれば黒人・女性で民主党に対抗できると思いますが、ライスは人種差別主義者と目されるトランプでは受けないでしょう。誰にするのかは予想がつきません。

②第三党の存在・・・リバタリアン党のジョンソンが出れば間違いなく共和党にはダメージで民主党が勝つことになるでしょう。トランプを支持しない共和党員の票が流れますので。

③ヒラリーへのFBIの聴聞・・・ベンガジ事件や私用メールアドレス使用問題で嘘をついてきたヒラリーにどこまでFBIが迫れるかです。この結果如何では大統領候補から辞退も考えられます。そうなれば民主党候補は誰になるのか?

ヒラリーの腐敗も槍玉に挙がっています。中国人から違法に献金を受けたのではないかとの疑惑です。彼女が大統領になれば中国にキツイことは言えないでしょう。共和党が勝ってほしいと思います。

http://www.sankei.com/world/news/160610/wor1606100002-n1.html

記事

—カリフォルニア州などの予備選・党員集会が6月7日に終了。民主、共和両党の大統領候補が事実上決定しました。もっとも、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官(64)も共和党のドナルド・トランプ氏(69)も7日の予備選前に、指名に必要な代議員数を獲得していましたから何となく拍子抜けした感がありますが…。 (6月7日実施された両党の予備選・党員集会の投票結果、各候補者が獲得した代議員の総数はこちら

Hillary Rodham Clinton-3

米民主党の大統領候補への指名を確実にしたクリントン氏(写真:The New York Times/アフロ)

高濱:これで2月1日にアイオワ州から始まった予備選は、6月14日に行われるワシントン特別区を残すのみとなりました。長い長い闘いでした。

 史上初の女性大統領が誕生するのか、それとも政治歴ゼロのビジネスマンが第45代大統領になるのか――どちらが大統領になっても前代未聞の米大統領が誕生することになります。

史上最も好感度の低い候補者同士が対決

 もう一つ、クリントン、トランプ両候補ともに米国民からものすごく嫌われている点が気になるところです。5月中旬に実施された世論調査によると、クリントン氏の「非好感度」(unlikeability)は61%、トランプ氏は56%でした。

 なぜそれほど嫌われているのか。

 政策ではなく性格や態度が対象になっているようです。クリントン氏は「傲慢さ」「お高い」、トランプ氏は「人を見下した態度」「品のなさ」といった項目が上がっています。

 もっとも、「非好感度」が高いからといって大統領になる資格がないわけではありません。「好感度」が低くかったリチャード・ニクソン氏が第37代大統領になった例もあります。ただ一般有権者の目線で見ると、「好感度」はある意味で政策面より重要かもしれません。

 米有力紙の政治エディターの一人は筆者にこう述べています。「本選挙に勝つにはクリントン、トランプともにいかに好感度を高めていくかが極めて重要になる。が、一度有権者のマインドに入り込んだ好き嫌いの感覚を払しょくするのは至難の業だ」 (”Clinton’s negatetives surpass Trump’s,” Dana Blanton, FoxNews.com, 5/18/2016)

ヒラリー、トランプの「アキレス腱」はこれだ

 指名に必要な代議員数を獲得したあともトランプ氏の無責任な毒舌は続いています。これが続くようですと、クリントン氏の思うつぼになりかねません。

 当初、泡沫候補と見なされていたトランプ氏の発言は、半ばエンターテインメントとして、ある程度見過ごされてきました。しかし、いやしくも今は、共和党という二大政党の一つの大統領候補への指名を確実にしました。これからは、これまでのようにはいきません。一つ一つの発言が厳しくチェックされます。

 多民族・多文化国家の米国には数々の禁句(タブー)があります。とくに人種、宗教、性別に関する禁句は法的にも禁じられています。

 トランプ氏の暴言に政治的行動を起こした地方議会があります。カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のアナハイム、ディズニーランドのある町です。その市議会に4月下旬、トランプ氏の発言を非難する決議案が上程されました。

 賛否両論が拮抗し、結局、同決議案は棚上げされました。「主要政党の大統領候補の発言をめぐって地方議会が非難決議案を論議するのは前代未聞」(同市議会関係者)だそうです。 (”Anaheim City Council to consider resolution denouncing Donald Trump,” Jason Song, Los Angeles Times, 4/25/2016)

 またトランプ氏には詐欺疑惑も浮上しています、自らが不動産投資オンライン講座と称して設置した「トランプ大学」の授業料返還訴訟問題です。この事件を担当した判事(メキシコ系)について、トランプ氏はテレビのインタビューで人種的侮蔑発言をしました。それでなくともメキシコ系移民を「レイプ犯」と言ってのけるトランプ氏のこと、米メディアは「トランプ氏はレイシスト(人種差別主義者)だ」とレッテルを張っています。

 一方のクリントン氏はいまだに「メールゲート」疑惑を引きずっています。私的メールで国家機密が漏えいしたかどうか、真相究明を進めてきた米連邦捜査局(FBI)が近日中に最終判断を下すようです。

 また、夫君と一緒に創設した「クリントン財団」への寄付金を外国政府などから集めるため、国務長官としての職権を乱用したのではないか、といった疑惑も指摘されています。サンダース氏は選挙演説の中でこの問題を取り上げました。 (”Sanders finally raises challenge to Clinton Foundation cronyism,” Larry O’Connor, hotair.com., 6/6/2016)

サンダースが副大統領になる可能性

—民主党全国党大会は7月18~21日までフィアディルフィアで、共和党大会は7月25~28日までクリーブランドでそれぞれ開かれますね。

高濱:クリントン氏とトランプ氏にとって、11月8日の本選挙までの約150日は二つのステージに分けられます。第一ステージは、それぞれが党大統領候補に正式に指名される全国党大会までの約50日間。第二ステージは党大会から11月8日の本選挙までの約100日です。

 第一ステージにクリントン氏がやらねばならない最大の仕事は、撤退を拒否しているバーニー・サンダース上院議員(74)を説得して候補者から降りてもらうこと。そして出来るだけ早期に党内一致結束体制を確立したいところです。

 指名を事実上獲得したとはいえ、同じ党の候補者に連日、自分を批判する発言をされるのは、クリントン氏にとって厄介です。反論せざるを得ませんが、すればするほど党内の亀裂が深まってしまう。トランプ氏との一騎打ちに注がねばならないエネルギーが削がれてしまいます。

 6月7日に6州予備選・党員集会が終わったあとも、サンダース氏は最後まで戦うと息巻いています。全く撤退する気はなさそうです。

 サンダース氏に降りてもらうため、クリントン氏はなんらかの条件を出さねばならないでしょう。可能性の一つはサンダース氏を処遇面で優遇すること。クリントン氏の周辺では「サンダース副大統領起用説」がまことしやかに流れているそうです。

 サンダース氏は5月29日、副大統領候補を受け入れる可能性があるかをテレビ・インタビューでただされて、こう答えています。「今、私の頭は民主党大統領候補の指名を勝ち取ることでいっぱいだ。そのあとどうなるか、わからない」。

 インタビューアーはこう応じました。「典型な政治家の発言だ。それで十分だ。あなたはその(副大統領候補を受け入れる)可能性を否定していない」 (”Bernie Sanders Is Sounding A lot Like A Guy Who May Want To Be Vice preesident,” Jason Easley, politicalusa.com., 5/29/2016)

トランプにとっての「時の氏神」は誰か

 一方のトランプ氏はクリントン批判のオクターブを一気に上げたいところです。が、それよりもなによりも党大会前にどうしてもやらなければならない最優先課題は、党内エスタブリッシュメント(保守本流)との和解にメドをつけることです。

 全国党大会を取り仕切るポール・ライアン下院議長の支持は取り付けました。しかし前々回の大統領選で共和党大統領候補に指名されたジョン・マケイン上院議員や、前回の候補となったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事のほか、ブッシュ一家が党大会欠席を早々と決めています。トランプを指名する党大会なんかには出られるか、というわけです。

 政治的、道義的、個人的理由からトランプ氏を忌避する共和党員はこうした大物だけではなさそうです。そっぽを向いている共和党の大幹部たちとどうやったら和解できるのか。誰が仲介役になってくれるのか、トランプ氏にとっての「時の氏神」は誰なのか、注目されます。

サンダースが最後まで撤退しない三つの理由

—話を民主党に戻します。サンダース氏は指名獲得が不可能になったのに、どうして撤退しようとしないのですか。

高濱:三つほど理由があると思います。一つは、「貧富の格差を是正する」という自身の政治理念を最後の最後まで訴えたいのです。大統領選ほど効果的に訴えられる場はありません。

 その政治理念に照らして見てみると、「貧富の格差是正」に不熱心なクリントン氏は既成体制派であり、「ウォール・ストリート」に象徴される大企業の代弁者ということになります。

 サンダース氏は自らを社会民主主義者だと言って憚りません。一方のクリントン氏は自らをリベラル派と言わずに、むしろ「プログレッシブ」(改革者)と呼んでいます。

 最近発行された「Alter Egos: Hillary Clinton, Barack Obama, and The Twilight Struggle over American Power」の著者、ニューヨーク・タイムズのマーク・ランドラー氏はクリントン氏を評してこう書いています。「ヒラリー自身、かって『私の政治信条は生まれ育った保守主義的環境に根付いている』とまで言っている。その後民主党に転向、リベラル派の弁護士として社会の不正義や女性差別、人種差別に立ち向かってきた。だがヒラリーのプログレッシブな言動はあくまで保守的な基盤に根差していたと言える」

 社会民主主義者のサンダース氏からしてみれば、同じ民主党員とはいえ、保守主義的の基盤に根差したクリントン氏とは相いれないものがあるのでしょう。

 そのクリントン氏を当初から全面的に支援してきたのは党内エスタブリッシュメントです。サンダース氏が大統領選に立候補して改めて認識したのは、クリントン氏が一般民主党員の票とは無関係な「特別代議員」の票を独占的に集め、指名に必要な代議員数を獲得した事実です。確かにクリントン氏は特別代議員712人のうち571人(6月7日現在)を獲得しています。

 サンダース氏は、民主党のこうした旧態依然としたルールを変えるべきだと主張しています。けれども党執行部は現段階では耳を貸そうとしていません。

 二つ目は、サンダース氏自身が口癖のように言っている以下の理由です。「ここで引き下がるわけにはいかない。撤退は民主主義の常識の範囲を著しく侵す行為につながるからだ」。

 政治ジャーナリストのダニエル・デペトリス氏はこのサンダース氏の発言を次のように読み解いています。「サンダース自身、代議員獲得争いで負けたことは十分わかっている。ただし、予選選挙が進む中で、『代議員数争い』とか『従来からの選挙常識』といったものが、有権者のパッションや現状に対する憤りによってかき消され、隅に追いやられた」。

 「確かにサンダースは、(民主党大統領候補には指名されることのない)死人が歩き続けているようなものだ。彼は選挙運動を、民主党内の旧態依然とした悪習を外部に暴露する伝達手段として使っているのだ。自分の始めたことは、『党を改革する』という道義に基づく本物の一揆だと信じて疑うことがない」 (”Wjy Bernie Sanders Won’t guit,” Daniel R. DePetris, The National Interest, 5/26/2016)

 三つ目は、この「老兵」を最初から今まで支持し続けてくれた若者たちへの「仁義」(Duty)のようなものかもしれません。

 世論調査で、サンダース氏は17~29歳までの若年層から150万票を獲得していることが判明しました。これに対して、クリントン、トランプの両氏に流れた若年層の票の合計は120万票。つまり、二人の合計よりも30万票多い票を得たことになります。若者はどこの国でも理想を追い求めます。「貧富の格差是正」もさることながら、「公立大学授業料免除」も若者にアピールしたのでしょう。 (”Updated–Total Youth Votes in 2016 Primaries and Caucuses,” The Center for Information & Research on Civil Learning and Engagement, 4/28/2016)

 2月以降、サンダース氏を密着取材してきたソーシャルメディアの記者は筆者にこう述べています。「若者たちは手弁当で選挙運動を続けている。サンダースはこれまでついてきた若者たちを裏切るわけにはいかない。代議員獲得争いでは敗れたが、自分を応援してくれ、票を投じてくれた党員990万人の生の声を7月の党大会会場に届けなければならないと考えているのだ」。

第三の党「リバタリアン党」はトランプ票を食うか

—第三政党「リバタリアン党」から6月29日、ゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事が立候補しました。クリントン氏とトランプ氏の一騎打ちに影響を与えるでしょうか。

高濱:リバタリアン党は共和党と同じく「小さな政府」を目指しています。連邦政府の支出を削減することで均衡財政と減税を実現すると主張する「財政保守」の党です。ただし社会政策は民主党寄りです。同性結婚の権利を擁護しており、人工妊娠中絶にも寛容です。

 リバタリアン党を取材するテレビ局の政治記者の一人は筆者にこう解説しています。「ジョンソンは08年大統領選でロン・ポール下院議員(16年の大統領選に共和党から立候補したランド・ポール上院議員の父親)を支持するなど共和党穏健派とのつながりが深い。今回の出馬はトランプに乗っ取られた共和党の反トランプ分子の受け皿になろうとする意味合いがある」。

 となると、ジョンソン氏の立候補によって票を奪われる可能性があるのはトランプ氏です。NBCとウォールストリート・ジャーナルが5月19日に実施した世論調査では「第三の候補に投票するか」との質問に、「検討する」と答えた人が47%もいました。 (”More Americans Consider Third-party Options,” Byron Tau, Wall Street Journal, 5/24/2016)

 また前述のFoxニュースの世論調査の支持率では、トランプ氏42%、クリントン氏39%に続き、ジョンソン氏は10%を獲得しています。トランプ氏を忌避する共和党支持者がジョンソン氏に流れることは十分考えられます。 (”Fox News Poll: Trump tops Clinton, both seen as deeply flawed,” Dana Blanton, FoxNews.com., 5/18/2016)

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『北京の地下住民「ネズミ族」と止まらない格差 上海ディズニーと格差(4) 「持つ者」の心の葛藤と現実主義』(6/9日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

鼠族について『互動百科』(中国版Wiki)には「“鼠族”指靠租地下室来生活的一群人,他们大多像老鼠一样生活在地下。因为收入不高,又为了在大城市生活,只能待在地下室。2014年1月,外媒报道:高房价催生“鼠族”,北京28万人住地下室。另有同名漫画作品《鼠族》,作品讲述了阿特父母从纳粹大屠杀中逃生的真实经历,曾获得普利策奖项。」(鼠族は地下室を借りて生活する人を指す。彼らの大部分は鼠と同じような生活を地下でしている。収入が高くないのに、大都市で生活したいので、地下室で暮らすしかない。2014年1月、海外の報道によると「不動産の高騰が鼠族を生ぜしめた。北京では28万人が地下で暮らしている。他には同名の漫画で鼠族というのもあり、作品中作者のアトの父母がナチの大虐殺(そう言えば南京大虐殺記念館も“侵华日军南京大屠杀遇难同胞纪念馆”と表記されています。日本語表記は屠殺になります)から逃げる真実の体験が述べられていて、ピューリッツァー賞を獲得しました」とありました。以前には蟻族もいて「中華人民共和国の都市部に生活する安定的な職を得られない大卒者集団」とのこと。

http://matome.naver.jp/odai/2137427535216293801

鼠族の数は『互動百科』では28万人とありますが、本記事の100万人が実数に近いでしょう。中国は都合の悪い数字は少なく公表するからです。

日本でも貧困ビジネスが話題になりました。タコ部屋に押し込み、生活保護を受給させ、その中から家賃を払わせるもの。大阪では中国人の生活保護の不正受給が問題になったことがありました。日本は外国スパイに甘いだけでなく、外国の一般人にも甘いです。日本人の本当に困っている人には手が差し伸べられていないのでは。もっと外国人の生活保護受給者を監督し、必要に応じ本国に帰還させるべきと思います。

http://www.yawaran.net/news/column7.shtml

http://ironna.jp/article/502

本記事に出て来る中国人の姿は普通でしょう。公の概念がなく、自己中心なのは当たり前です。世話になっても恩を感じず、場合によっては九州の身元保証をしていた社長夫婦を襲い、夫を殺害、妻に重傷を負わせるようなことさえ起こります。

http://c212pv76.jugem.jp/?eid=1227

自由のない国ですから、兄のように米国に行けば、中国には戻らないでしょう。ただ、家族が人質になる可能性もありますが。鄧小平の「先富論」は間違いだったことが明らかになってきました。自己中な中華民族の特質を無視、経済的自由だけを認め、政治的自由を認めないため、格差は広がるばかり、かつ腐敗も底なし沼の様相を呈するまでになりました、仮初の豊かさ(30兆$の負債を抱えた中国経済)であっても、軍事で暴走、他国を侵略するに至りました。自己中の極みです。鼠族・蟻族とも社会矛盾を解決するため立ち上がらなければならないのに、自分の利益しか考えないので難しいでしょう。

記事

ジンジン(26)から去年の秋、「弟のハンション(23)が北京で地下室アパートの経営をするようになった」と聞かされた時には、へえ、あの出前の仕事も続かなかったハンションが、今やアパートのオーナーになったのか、成功したものだ、結婚も決まったし、出稼ぎ労働者として身を粉にして働いてきた両親もこれで一安心だろう、とまず思った。

上海で働く両親と離れ、祖母と2人で暮らしていた安徽省の農村にある自宅で私が初めてハンションに会ったのは彼が中学2年生の時だった。その後、大学に進んで欲しいという両親の希望に反し、「勉強が嫌いだから」と高校にも進学せず両親のいる上海に出て来て飲食店の出前など短期間で職を転々とした彼だったが、専門学校ぐらいは出ていないとどうにもならないと周囲に説得され、田舎に戻って自動車修理の専門学校に進み、内陸の重慶で米国の自動車会社系列の自動車修理工場に修理工として就職した。

堅い仕事に就いたと周囲が喜んだのもつかの間、長時間の重労働に耐えられずすぐに辞めてしまった。ちょうどそのころ、北京で駐車場の管理の仕事を請け負う会社を立ち上げた親戚が見かねて、北京に来いと声をかけてくれ、その仕事を手伝うようになったが、今度はいつまで続くのだろうかと両親は案じていた。

 このような経緯を知っていただけに、ハンションがアパートの経営をするようになったと聞いた時には、反射的に、ああ、北京での生活は順調なのだな、学歴もないのによく短期間で頭金を貯めて中古のアパートが買えたものだ、よく頑張っているなと、単純に彼の今の境遇を喜んだのだ。

 ただ、少し落ち着いてから、ジンジンの言葉を改めて反芻してみた。アパートはアパートでもハンションが経営するのは「地下室」だという。「地下室」という言葉が、私の口の中にザラリとした苦いものを残した。

 中古のアパートを購入しそれを貸しに出しているのだろうと勝手に思い込んでいたが、どうやらそうではないらしい。

 北京の地下室のアパートは、お金さえあれば買える、という類いのものではない。「権力」というにはいささか大げさだが、お金で買うことができない「権利」を持った人間との絡みを持たなければ、地下室のアパート経営にかかわることはできないのである。

basement in Beijing

地下室アパートの入り口と階段。暗い闇の先に部屋が並んでいる(北京市内)

100万人が地下に住む

 不動産の高騰に拍車がかり、「地上」に家を借りることができない地方出身の低所得者が、本来住居用でない地下の空間に設けられた狭い部屋に住み始めているということが最初にクローズアップされたのは、2008年の北京五輪前後のことだろうか。その後、地下居住者の数は増え続け、ピーク時には100万人にまで膨れ上がったと言われる。これら地下住民は、地下に巣を作って暮らすネズミのようだとして「鼠民」という呼ばれ方をする。

北京にあるこうした地下のスペースは、冷戦時代の1950~60年代にかけて、ソ連(当時)の侵攻を警戒して防空壕として掘られたものだという。当初、これら防空壕に住居を設けることに制限はなかったというが、地方から北京への人口流入が続き、地下に居住する人の数が膨張するにつれ、治安や防災の面から問題視されるようになった。そして2011年の条例改正で、本来は居住用途でない地下の空間を住居として貸し出すことが禁止された。ただその後も地下居住者が目に見えて減少したということはない。中国当局は春節(旧正月)や国慶節(建国記念日)などに合わせて毎年、犯罪などの撲滅キャンペーンを張るが、地下室もこうした節目に合わせて年に数回、取り締まりが強化され、キャンペーンが終わると緩むということが繰り返されているようである。

地下室ビジネス参入の条件

basement in Beijing-2

平均的な地下室アパートの1室

 とはいえ、条例で禁止されているのだから、誰でもがこの「市場」に参入できるわけではない。マンションの管理を請け負う不動産会社が地下室の賃貸の元締めであるケースが大半だ。管理会社はさらに別の会社や個人に店子探しや家賃の徴収などを下請けに出す。ハンションはまさにこの部分に位置している。そして、徴収した家賃は管理会社と折半する。さらに管理会社はこの中から、その地域を管轄する「組織」に必要に応じて一部を上納するという図式である。

 北京の賃貸住宅の平均価格は2015年、4463元(約7万6000円。偉業我愛我家市場研究院調べ)。これに対して、ハンションは2カ所の地下スペースに計13室を管理しているが、家賃は平均すると月額600元(約1万円)だ。

 つい最近、私は北京でハンションに地下室を案内してもらった。今年の春節に例年にないほどの大規模な取り締まりがあって、いったん住民が全員出て行ってしまったとのことだったが、それでも8割が既に埋まっていた。4畳半から6畳ほどのスペースに入り切らない家財道具を廊下に並べている光景は地上の安アパートと同じだが、空気は澱んでいる。自然光がまったく入らない真の闇の奥に潜む自分の住み処に向かって毎日、階段を下りて行くのは想像するだけでも気が滅入る。ただ、600元という家賃は、地上の相場からするとやはり格安だ。

「共食い」の葛藤と現実の選択

basement in Beijing-3

各戸の家財道具が並ぶ廊下。電灯を点けると暗闇に造花が浮かび上がった

 ハンションが地下室ビジネスをしていると聞いて、私は正直、「条例で禁止されている商売をやっている」という点を咎める気持ちはまったく起こらなかった。「上に政策あれば、下に対策あり」と言われる中国である。これと類似するケースは日常茶飯に存在するのだから。

 ただ、北京の地下住民の問題には、都会の人間が、地方から出て来た人たちの窮状につけ込んで食い物にしている、という構図がある。ジンジンとハンションの両親が働く上海では、北京のような地下住居は多くないのだが、それに代わる存在が、やはり居住が許されてない取り壊しが決まった廃虚だ。ジンジンとハンションの両親も、正規の住宅に比して格安の廃虚を転々とし、ひっそりと生活してきた。

それだけに、自分の両親や自分自身と同じ境遇にある人たちを相手に地下室ビジネスをやるのは、ハンションにとって、共食いをするに等しいことだとも言える。その点について、ハンションに葛藤はないのかが気になった。聞けば、800台を収容する「正業」の駐車場の管理の仕事だけで、ハンションは毎月1万5000元(約25万円)前後の収入があるのだという。臨月の妻は産休に入っているが、やはり仕事を持っている。それだけの収入があれば、何も地下室の経営をしなくても、比較的余裕のある暮らしができるはずだ。駐車場経営の実績を評価して、管理会社はハンションに地下室管理を持ちかけたのだろう。ただ、余裕の出た地方出身者が、格差を利用した商売をしていたら、都市の人間と地方出身者、強者と弱者の格差はこの国から未来永劫、なくならないだろう。

個人の利益の最大化

 とは言え、面と向かってハンションにこの気持ちをぶつける勇気は、私にはなかった。そこで、より交流がある兄のジンジンに私の考えを伝えてみた。するとジンジンは、「北京に家のない、地方から裸一貫で出て来た若者が、4000元や5000元(6万8000~8万5000円)の給料から5000元の家賃をどうやったら出せると言うんですか? 安い住宅を提供して、弟は住人たちから感謝されていますよ」と気色ばんだ。

 北京を発つ前、お兄さんは、安いお金で住居を提供してくれているあなたに住民たちは感謝している、と言っていたけど、あなた自身もそう思う? とハンションに聞いた。するとハンションは、「兄貴はそんなこと言ったの?」と苦笑いし、すぐに真顔になって、「感謝なんかされてないよ」とつぶやいた。そして、「地下室アパートの件は、運に恵まれて、それをつかんだ、そういうことなんだ」と言った。

 ジンジンは、国の研究所に付属する大学院の博士課程で大気汚染の改善を研究している。学費は全額免除、かつ研究所の業務を補佐しているということで、月2000元(約3万4000円)程度だが報酬も得ている。卒業後も研究所に残って就職するには海外に3年間留学するのが条件だとのことで、ジンジンも米国に留学する予定だが、「チャンスがあれば、そのまま米国に移住したい」という希望を常に口にする。

basement in Beijing-4

地下室で見かけた人影

 それを聞く度に私は、あなたのようなエリートが海外に移住してしまったら、PM2.5に苦しむ中国の問題はだれが解決するの? 国に尽くすのがあなたのような若いエリートの使命ではないのか。ある程度の条件が揃ったり権利が手に入ったりすると、問題を解決しようとしないでひたすら権利を行使する側に回ってしまうのが、中国の最大の問題だと言って説教する。ジンジンは、オジサンの説教を「うーん。それはそうですね」と毎回真面目に聞いてくれるし、理解もしてくれているようだ。

 しかし、ジンジンも、そしてハンションも、実際に取る行動は恐らく、国よりも、格差の是正よりも、個人の権利や利益を最大化するかどうかに基準を置いて判断するのだろうと、彼らの話を聞いて思う。そしてそれが、中国のリアルに基づいた彼らにとっての最適解なのだろうな、とも。

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『「米国から免罪符を貰った日本」に憤る韓国 「オバマは韓国人慰霊碑を無視した」(1)』、『「コリアン・ロジック」で逆恨みする韓国 「オバマは韓国人慰霊碑を無視した」(2)』(6/9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

6/10日経朝刊で小原凡司氏は中国の軍艦の尖閣接続水域侵入について、「日ロ双方の艦艇に対抗か」として「中国は尖閣を中国領と明記した領海法を制定し、国連海洋法条約に規定する無害通航を認めていない。中国海軍の艦長は中国が主張する「領海」に進出する可能性があるロシア海軍の艦艇と、それを警戒監視する海上自衛隊の護衛艦に対処したのではないか。ロシアと共同で行動したのではないだろう。中国が接続水域に入ったと言っても、尖閣諸島の久米島と大正島の付近をなめるような抑制的な動きだ。中国が事態をエスカレートさせる意図はないように思える」とありました。それなら、南シナ海も無害通航を認めないのでしょう。現実には尖閣も南シナ海も米艦艇、海自艦が遊弋しています。抑止できないのは中国海軍の実力が伴っていないからでしょう。

接続水域侵入はアドバルーンの一種で、当然中国政府と一体となってやっていると思われます。斎木次官が程駐日大使へ「政府と軍は連携を取れているのか」という抗議(6/10日経朝刊)したのは、政府と軍が別々な行動を取っているという前提です。胡錦濤時代は上海派が軍の中枢を握っていて江沢民が嫌がらせで胡錦濤の知らない所で軍を動かしていましたが、習は軍の人事を自派で固めました。勿論、上海派の軍人の怨念は物凄いものがあると思われますが。接続水域侵入は、6/6小生のブログで書いた「サラミ・スライス戦略」の一環で、日本と米国の対応の仕方をジックリ見極めようとしているのでは。ただ「民間漁船」を侵入させてという「キャベツ戦術」には反します。軍艦が出れば海自艦が出動し、ひいては米軍の出動も可能となりますので。

韓国の歴史を加害者と被害者と区別して見る見方はおかしいのでは。それであれば韓国の最大の加害者は中国ではないか。中国に文句も言わず、日本にだけ難癖をつけるのは二重基準です。そもそも、加害者と被害者の区別を誰がするのか?判断基準は法律or道徳になるのでしょう。それは世界各国で違いがあります。中華・小中華の自己中と韓国の事大主義の為せる業でしょう。日本人の誰もがオバマの訪広で免罪符を貰ったなんて思っていないでしょう。「和解が進んだ」とだけ。中韓は日本との歴史戦で日本の名誉を失わせ、金を強請り取ることしか考えていません。欧州の和解はドイツに対して寛容な国があったればこそです。「千年たっても加害者と被害者の立場は変わらない」という国家元首のいる国とは永遠に和解できないだけでなく、正真正銘の敵国と認識すべきです。戦争の善悪はともかく、戦争は人類の歴史上繰り返されて来たもので、今も世界のどこかしこで起きています。国際法上も戦争は「国際紛争の解決手段」として違法ではありません。侵略戦争は違法ですが、自衛戦争と侵略戦争の区別は難しく定義も明確ではありません。実質、戦争は現実的に起きていることを見ると、国際法上合法と見るしかないのでは。石川明人准教授は『戦争は人間的な営みである』という本を書いています。小生は、他の動物には見られない同種の生物への攻撃をするのは多分人間だけと思っています。知的レベルの高い動物としての性かも。

http://okigunnji.com/?p=1052

韓国国民は特異体質の持主です。「妬み」「嫉み」「恨み」「駄々こね」「嘘つき」「強請り」「タカリ」と挙げればキリがありません。「火病持ち」で合理的精神のない未熟な民族です。韓国・中国がここまで増長した原因は日米の甘やかしにもあります。日米両国はもっと毅然たる態度で臨むべし。カーター国防長官の韓国外しは当然です。韓国はレッド・チームも同然な行動を取ってきた訳ですから。もう後戻りはできないのでは。時すでに遅しです。韓国は中国の属国に、北朝鮮は米国と平和条約を結び、捻じれが起きるかもしれません。日本とロシアも対中包囲網として平和条約締結が必要となるでしょう。山縣有朋ですら、ロシアと結んで英米に対抗し、中国には武力を用いて積極的に介入しようという意図を有していたのですから。(川田稔 著『原敬と山県有朋―国家構想をめぐる外交と内政』)

6/9記事

carter in Singapore

6月4日、シンガポールで開催されたアジア安全保障対話で、米国のカーター国防長官が列挙した「安全保障のネットワークに前向きな国」に韓国は含まれなかった(写真=AP/アフロ)

前回から読む)

「やはり、オバマ(Barack Obama)は日本に免罪符を与えた」と韓国で不満が渦巻く。

たった150メートルなのに

—オバマ大統領が5月27日、広島の平和記念公園を訪れました。韓国メディアはどう反応しましたか?

鈴置:どの新聞の社説も「オバマ大統領が韓国人被爆者に十分に気を配らなかったこと」を中心に論じました。

半面「米中の間で韓国が二股外交を展開し得る空間が一気に狭まった」との指摘は見当たりませんでした。

朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問が「大局を見落とすな」と懸念した通りになりました(「韓国は『尊敬される国』になるのか」参照)。

保守系紙、中央日報の社説(5月28日、日本語版)の見出しは「惜しまれるオバマ大統領の広島訪問=韓国」でした。

「惜しまれた」のは、韓国人被爆者の慰霊碑に大統領が足を運ばなかったことです。その部分を引用します。

  • オバマ大統領は原爆犠牲者慰霊碑に献花し、故人を追悼した。しかしそこからわずか150メートルの距離にある韓国人犠牲者慰霊碑には足を運ばなかった。演説で「数万人の韓国人」に言及しただけだ。韓国人の慰霊碑に行って韓国人の霊を慰めるべきだった。
  • オバマ大統領は韓半島の非核化にさえ言及しなかった。米国の核兵器が韓国人に残した傷と、韓半島の厳然たる現実に背を向けたまま日本との歴史的な和解に傍点を打った(強調した)広島訪問が、我々を残念な気持ちにさせた。

安倍に与えた免罪符

—オバマ大統領は演説で「数万人」ではなく「数千人の朝鮮半島出身の人々」と語っていませんでしたか。

鈴置:韓国では、広島と長崎を合わせて3万人の韓国人が原爆によって亡くなったとされています。中央日報は米大統領の発言を「韓国説」に合わせて書き変えたと思われます。

東亜日報も5月28日に社説を載せました。日本語版では「原爆慰霊碑を訪れた米大統領、北朝鮮の核を頭上に載せて暮らす韓国」の見出しで掲載されました。

ただ、大元の韓国語版の「日本の原爆慰霊碑を訪れた米オバマ、北の核の解決はどうするのか」と内容がかなり異なります。そこで韓国語版をテキストにし、ポイントを翻訳します。

  • オバマ大統領は韓国人原爆被害者にも言及したが、150メートル離れた韓国人慰霊碑にはついに訪れなかった。我々としては物足りなさを感じる他はない。
  • 彼は原爆投下に対し謝罪の発言はしなかった。しかし安倍晋三総理と並んで献花し、日本人被害者を抱擁する姿を全世界に見せた。
  • これにより「被害者イメージ」を政治的に利用しようとする安倍政権に免罪符を与えたと言えよう。

左派も保守もオバマに不満

—いまだに「日本の被害者コスプレ」「米国から免罪符」と書いているのですね。

鈴置:韓国メディアはオバマ大統領の広島訪問前から、小ずるい日本がうまく立ち回って免罪符を得ようとしている、と報じてきました(「日本の『被害者なりすまし』を許すな」参照)。

広島訪問の後は「オバマが韓国人慰霊碑を無視した」と強調されたこともあって「ずるい日本」と「日本を許した米国」への憤まんが増幅したのです。

左派系紙、ハンギョレの社説は「オバマ大統領は原爆投下で民間人が被害を受けたことに関し明確に謝罪していない」と書きました。これは保守系紙にない批判でした。が、基本的な主張は保守系紙と同じ「韓国にはちゃんと謝らなかった」との難詰でした。

「方向を誤ったオバマ大統領の広島訪問」(5月28日、日本語版)のポイントが以下です。

オバマ大統領が韓国人慰霊碑に足を運ばなかったのは言い訳の余地がない。韓国人被爆者は日本の植民地支配と原爆の被害を同時に受けた、まさに最も罪とは無縁の民間人だ。

オバマ大統領は式典に日本人被爆者を参加させながら、現地を訪れた韓国人原爆被害者とは会おうともしなかった。

安倍政権は早くも今回の訪問を「被害者日本」のイメージ作りに活用している。

なお、「被害者日本のイメージ作り」に関し、この社説は具体例を挙げていません。記事の中でこの文章だけがぽつんと浮いています。

ハンギョレも声を大にして「被害者コスプレ」と批判してきたので、それを裏付ける事実が出て来なくとも「安倍がコスプレに活用し始めた」と書かざるを得なかったのでしょう。

音無しの朝鮮日報

—最大手の朝鮮日報の社説は「広島訪問」をどう書いたのですか?

鈴置:それが何と、社説では一切取り上げなかったのです。ほぼすべての韓国紙が社説で論じたというのに……。異様でした。

冒頭でも触れたように「広島訪問」2週間前の5月13日、姜天錫論説顧問が「広島での米日の平和ショーを見守る韓国人慰霊碑」(韓国語版)を書いたばかりでした。

「我々はオバマ広島訪問に関し『韓国人も謝罪の対象になるのか』という点にこだわっている。米中が対決姿勢を明確にするという世界の大勢の変化を見落とせば、また、国を滅ぼす」との主張です。

大記者がそう論陣を張ってしまった以上「韓国はちゃんと謝ってもらえなかった」ことを軸にした社説はさすがに書きにくかったと思われます。

もちろん「韓国人被爆者」には一切触れずに、姜天錫顧問張りの「大局論」を載せる手もあります。でも、そんな社説を載せたら「韓国人被爆者をなぜ無視したのか」と抗議が殺到したでしょう。

そこで朝鮮日報の論説委員会はこの日「広島」に関してはパスすることにしたと思われます。

保険をかけた?

—少数説は語りにくいのですね。

鈴置:それは日本でも同じことです。反対に、他の人と同じことを言っておけば、誰からも文句は来ない。

ただ、朝鮮日報も「保険」をかけたくなったのかもしれません。5月30日になって「萬物相」という名物コラムに、姜仁仙(カン・インソン)論説委員が「広島のオバマ」(韓国語版)を書きました。

このコラムは「オバマ大統領は150メートル離れた朝鮮人の慰霊碑は訪れなかった」と一言だけ韓国人被爆者に触れた後、以下のように――他紙の社説と同様の主張を展開しました。

  • 原爆で被害を受けた最初の国とのイメージが強くなるほど、日本が第2次世界大戦の加害者であるとの歴史は曖昧になる。
  • 米国は、広島訪問は謝罪ではないと明言した。だが、日本の被害国のイメージを浮き彫りにした。日本が誠意ある謝罪をしていないという事実は薄れた。

一犬、虚に吠ゆれば

—なるほど。大記者、姜天錫論説顧問の「顔」は立てつつも「免罪符論」では他紙に追従したのですね。

鈴置:韓国では一度、被害者に認定してもらえば相手を高みから攻撃できます。だから当然、日本もその作戦で来ると思い込んでいる。

そこでメディアは、謝罪はなかったのに、その事実には目を向けず「また、日本にやられた」と悔しがっているのです。韓国人は「自分の影」に怯えたのです。

でも、皆が怯えたので韓国では「日本が免罪符を得た」ことになってしまいました。まさに「一犬、虚に吠ゆれば万犬、実を伝う」です。

—そう言えば中央日報の社説が、日本の政府だけではなくメディアに対しても「オバマが広島へ行っても、免罪符を貰ったといい気になるなよ」と予め威嚇していましたね。

鈴置:「オバマ大統領の性急な広島訪問は遺憾=韓国」(5月12日、日本語版)です。その部分は以下です。

  • 日本の世論はオバマ大統領の広島訪問自体を謝罪として受け止める可能性が高い。すでに日本メディアはオバマ大統領の広島訪問を「歴史的事件」として特筆大書している。
  • 戦犯国が被害者に化けるという、あきれるような事態が生じないよう、日本政府・メディアは我田引水式の解釈や過度な意味付けを自制しなければいけない。

日経も朝日も

—日本のメディアは「謝罪はなかった」と書いています。

鈴置:実際、そうだったからです。別段、中央日報に脅されたから「謝罪はなかった」と書いているわけではありません。

日経新聞の大石格編集委員は5月28日の1面のコラム「『歴史的訪問』どう生かす」で「オバマ大統領は謝罪のために被爆地に足を運んだのではない」とはっきり書きました。

朝日新聞は5月28日付の社説「核なき世界への転換点」でオバマ大統領が謝罪はもちろん、原爆投下への責任に触れることもなかったとして「失望の声も上がった」と書きました。

日経の記事が「それでもなお、今回の訪問が日米双方の心に残るわだかまりを解きほぐす大きな一歩になった」と前向きに評価したのとは異なります。

でも日本では――米国でもそうですが、広島訪問への評価は様々であるにしろ「謝罪はなかった」という事実は共有されたのです。

というのに韓国だけが「事実上の謝罪により、日本は免罪符を得た」と信じ「自分は外された」とひとり不満を募らせているのです。

始まった「本当の韓国外し」

—韓国は、大丈夫でしょうか。

鈴置:大丈夫ではないと思います。「日米から外された」と韓国が勘違いして怒っているうちに、本当に米国から外され始めました。

カーター(Ashton Carter)米国防長官は6月4日、シンガポールで開かれた安全保障対話での演説で「原則に立脚した安全保障のネットワーク(principled security network )」の重要性を繰り返し強調しました。

米国とアジアの国々が安全保障に関する多国間の協力体制を作る――との構想です。もちろん、軍事力でアジアの海に勢力を拡大する中国が念頭にあります。演説のテキストと動画はこちらで見られます。

カーター長官は安全保障のネットワークに前向きな国の名をいちいち挙げ、その国と米国の具体的な協力の中身も紹介しました。挙げられた国は日本、豪州、フィリピン、インド、ベトナム、シンガポールの6カ国です。

ここには韓国の名は出てこず「北朝鮮の挑発に対応するための米日韓3国協力」のくだりでチラリと登場しただけでした。

米韓同盟はいつまで持つのか

—露骨な「韓国外し」ですね。

鈴置:米国が「外す」のは当然です。韓国は中国と敵対するのを避けようと、米韓同盟を対北朝鮮専用に変えようとしている。韓国自身がこっそりと外れようとしているのです。事実上の対中包囲網の参加国リストに、韓国の名がないのは驚くべきことではありません。

今回のカーター演説のニュースは「韓国は枠外の国」と米国がはっきりとさせたことです。これを聞いて「米韓同盟がいつまで持つか分からない」と考える日本の専門家が増えました。

というのに韓国人は「憎い日本に免罪符を出した米国」に、ひとり身を焦している。お門違いのうえ、世界の流れを見落とした議論に没頭しているのです。姜天錫論説顧問が「韓国人よ、目を覚ませ!」と叫びたくなるのは当然でしょう。

(次回に続く)=6月10日に掲載予定

6/10記事

Abe and OBama in Hiroshima-2

日米両国政府は「謝罪」を抜きにすることで、オバマ大統領の広島訪問を乗り切った(写真=AP/アフロ)

前回から読む)

感情のまま、思い付きで動く韓国外交。それを懸念する声が、さすがに内側から出てきた。

謝罪はオバマでなく安倍に求めよ

前回は、韓国は自分たちだけで通じる独自の世界観と理屈で動いている、との話でした。

鈴置:それを誰かが指摘するのかな……と思って見ていたら、6月1日に朝鮮日報の蘇于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員が「ベトナム、広島、リ・スヨン」(韓国語版)を書きました。

2005年から2010年まで東京特派員を務めた後、国際部長などを歴任した記者で、名文家としても名高い。この記事は実に興味深いのです。

主張の骨格は前回にも紹介した、朝鮮日報の姜天錫論説顧問の「オバマ広島訪問の本質を見落とすな」と同じです。

ただ、枝葉に当たる部分で「韓国人特有のロジックが外国では奇妙に受け止められるであろう」と指摘したのです。

記事の構成上は「枝葉」に当たりますが、その割には書き込んであるので筆者は、本当はこれを書きたかったのではないかと思えます。以下、その部分を引用します。

  • 米大統領の広島行きで日本の戦争責任と植民地支配の責任が薄らぐ可能性がある。だから韓国は反対し、懸念してきた。だが、その思い通りにはならなかった。
  • すると今度は反対側の歴史を持ち出した。米国の原爆により数万人の韓国人が命を落とした。韓国は被害国だ。だから米大統領が広島に行くなら、韓国人慰霊碑も参拝せねばならない、という理屈だ。
  • 我々はこうした論法を当然だと考えている。しかし、支配・被支配の善悪論理に慣れていない他国は二律背反的に聞くかもしれない。
  • 韓国は「原爆投下を招いたのは日本だ」と信じている。「韓国人の犠牲が出たのも日本のせい」だ。
  • そうだとするなら、韓国人慰霊碑への訪問を要求する相手は日本の総理ではないのか。なぜ米大統領に韓国人慰霊碑への訪問を要求するのか。米大統領の広島訪問を懸念して反対する一方で、韓国人慰霊碑への訪問を要求するのは矛盾ではないのか――。
  • こうした視点から、米大統領に様々の要求をする韓国をおかしいと考える人々が世の中には存在する。

日本になら何をしてもいい

—全くその通りですね。日本がすべて悪いと言うのなら、韓国人被爆者への謝罪を米国の大統領ではなく、日本の首相に要求すべきでした。韓国人はなぜ、こんな奇妙な理屈をこねるのでしょうか。

鈴置:蘇于鉦論説委員は理由をはっきりと書いていません。以下はあくまで私の見方です。

オバマ(Barack Obama)大統領が広島に行くかもしれないと聞いて「日米関係が深化する」と恐れ、本能的に反対した。行くことが決まった後は、少しでも「深化」の度合いを減らそうと「謝るな」と米国に要求した。「行くこと自体が謝罪だ」との意見が出たので、今度は「自分がのけ者になる」と慌て「韓国にも謝れ」と言い出した……。

韓国は『尊敬される国』になるのか」で説明したように、韓国という国は日本が得になると見たら、理屈抜きでとにかく邪魔をします。その結果、しばしば言動のつじつまが合わなくなってしまうのです。

蘇于鉦論説委員は「支配・被支配の善悪論理」という抽象的な表現を使っています。これは「我が国を植民地化した日本に対してなら何をしてもよいとの韓国人の行動原理」を指していると思われます。

米国の「うんざり」が「嫌韓」に

—日本が絡むと冷静に考えられなくなる、ということですね。

鈴置:簡単に言えばそういうことです。特に、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は条件反射的に動きます。しかし韓国人はその脈絡のなさと言いますか、奇妙さに気づかず「自分を無視する世界」に不満を募らせるのです。

2015年にも朴槿恵政権は、安倍首相の米上下両院議会演説を阻止しようと執拗に米国に働きかけ、失敗しました(「『安倍演説阻止』に向けた韓国の動き」参照)。

「安倍演説阻止」に向けた韓国の動き(2015年)

2月14日 聯合ニュース「在米韓国人、安倍首相の議会演説阻止に動く」と報道
3月4日 訪米した韓国国会の鄭義和議長、安倍首相の米議会演説に関し米下院議長に「日本の真の謝罪と行動が必要」
3月19日 聯合ニュース「米議会、安倍総理の上下院合同演説を許可する方向」と報道
3月20日 韓国外交部「安倍首相は米議会演説で歴史への省察を示すべきだ」
3月29日 韓国の尹炳世外相「安倍首相の米議会演説と70年談話が日本の歴史認識の試金石になる」
4月2日 鄭議長、訪韓した民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務に「日本の首相は米議会演説で過去を認め謝罪すべきだ」
4月2日 尹外相、ペロシ総務に「安倍演説は侵略、植民地支配、慰安婦に関しすでに認めた立場を具体的な表現で触れねばならない」
4月2日 朴槿恵大統領、ペロシ総務に「慰安婦問題の解決は急務」
4月16日 日米韓外務次官協議で韓国の趙太庸第1次官「安倍演説は正しい歴史認識を基に」と注文
4月21日 韓国国会の羅卿瑗・外交統一委員長、リッパート駐韓米大使に安倍首相の歴史認識について懸念表明
4月21日 WSJ「韓国政府が安倍首相の米議会演説に韓国の主張を反映させるべく米広報会社と契約」
4月22日 韓国の柳興洙駐日大使、戦後70年談話で「(侵略、植民地支配、反省の)3つの言葉を使うよう期待」
4月22日 韓国外交部、バンドン会議での安倍演説に関し「植民地支配と侵略への謝罪と反省がなかったことが遺憾」
4月23日 米下院議員25人「安倍首相が訪米中に歴史問題に言及し、村山・河野両談話を再確認する」ことを促す書簡送る
4月23日 韓国系と中国系の団体、元慰安婦とともに米議会内で会見し「安倍首相は演説で謝罪を」と要求
4月24日 韓国外交部「尹外相とケリー米国務長官が電話、歴史対立を癒す努力で一致」と発表
4月24日 ブラジル訪問中の朴大統領「日本に、正しい歴史認識を基にした誠意ある行動を期待」
4月24日 ローズ米大統領副補佐官「安倍首相に対し、過去の談話と合致し、地域の緊張を和らげるよう働きかけている」
4月24日 メディロス米NSCアジア部長「歴史問題は最終解決に達するよう取り組むことが重要」
4月28日 安倍首相、ワシントンでオバマ大統領と会談
4月29日 安倍首相、米上下両院で議会演説。日米同盟の強化を訴え万雷の拍手受ける

「日本の肩ばかり持つ米国」に怒った韓国人は「それなら我々は中国側に行こう」とも言い出しました。逆恨みです(「『ヴォーゲル声明』に逆襲託す韓国」参照)。

一方、日米離間を図る韓国に対し、米国の外交界は大いに不信感を抱きました。安倍演説阻止を狙った官民挙げての活動に「韓国疲れ」(Korea Fatigue)という単語までできたのです(「米国の『うんざり』が『嫌韓』に変わる時」参照)。

なお、韓国独特の奇妙な主張を――つじつまが合わず、時には韓国自らに損をもたらす論理を「コリアン・ロジック」と呼ぶ日本のビジネスマンもいます。

「広島訪問」では「米議会演説」の時ほどには、朴槿恵政権は露骨な反対運動を繰り広げませんでした。ただ、韓国メディアによると、水面下では米国政府に訪問に対し「強い懸念」を伝えたり、韓国人慰霊碑へのオバマ大統領への献花を要求したりしたようです。

「議会演説阻止」の失敗に懲りて政府は表に出ず、メディアに米国説得の応援を頼んだ感もあります。「日本の『被害者なりすまし』を許すな」で説明したように、韓国各紙の「ヒロシマ・キャンペーン」には異様な熱が入っていました。

たった1行も書いてないのに

蘇于鉦論説委員は、こんなことをやっていると世界から――ことに米国から奇異の目で見られるぞ、と警告したのです。このコラムでは、以下のくだりが続きます。

  • ホワイトハウスは、大統領の広島訪問は原爆投下に対する反省や謝罪を意味するものではないと何度も主張してきた。日本の戦争責任に免罪符を与えるものでないとも言った。
  • 日本の政府と主要メディアはやはり、たった一言も、1行もそうした解釈をしなかった。事実、オバマ大統領は謝罪しておらず、頭を下げもしなかった。ひたすら、「核兵器のない世界」を強調した。
  • オバマ大統領が韓国人慰霊碑を訪問しなかったことも、同じ脈絡で理解できる。韓国を無視しているからではなく、自身の訪問が歴史問題、特に植民地支配問題として解釈されたくなかったからではないか。そんな友邦をできるだけ理解すべきではないだろうか。

蘇于鉦論説委員は、韓国は事実関係及び、米国の真意を誤認していると指摘、「現実を素直に見ようではないか」と呼び掛けたのです。

「日本政府と主要メディアはたった一言も、1行もそうした解釈をしなかった」とのくだりに、その思いがこもっています。

勘違いし続ける韓国人

日米両国政府は「謝罪なしの広島訪問」で合意していたのです。「歴史をどう見るか」あるいは「歴史の責任」に関する議論に足をとられることを避けるためでした。

広島訪問は、任期満了間際のオバマ大統領の実績作りの側面が大きかった。しかも日米関係悪化という巨大なリスクもあった。

そこで両国政府は、双方の責任を露骨に問うことのない「謝罪なし」によって乗り切ったわけです(「日本の『被害者なりすまし』を許すな」参照)。

もし、韓国が米国を批判したいのなら「米国が日本に対し謝罪しなかったのは不当だ。それにより日本も謝罪を逃れたではないか」と言うべきだったのです。

というのに韓国人は勘違いして「事実上の謝罪だった。けしからん」と米国へのフラストレーションを高めてしまいました。蘇于鉦論説委員はそれを諌めたのです。

オバマは日本ばかり可愛がる

—韓国人の誤認により、何か問題が起きたのですか。

鈴置:まだ、表面化はしていません。しかし、この手の誤認は、韓国にとって極めて危険です。韓国の唯一の同盟国である米国への不信感をどんどん膨らますからです。

新聞記事はともかく、それへの書き込み欄や交流サイト(SNS)は「オバマは日本に騙されて免罪符を渡した」「結局、米国は日本ばかり可愛がる」「韓国はいつも無視される」「それなら我々は中国側に行こう」といった韓国人の怒りで満ちています。もちろん、韓国メディアの虚報が原因です。

前回、東亜日報の社説の日本語版と韓国語版が大きく異なると説明しました。早版に「まずい部分」があったために大きく書き直した。しかし早版を翻訳して作る日本語版では、そのまま掲載されてしまった――のではないか、と思われます。

以下は、日本語版の「原爆慰霊碑を訪れた米大統領、北朝鮮の核を頭上に載せて暮らす韓国」(5月28日)だけに載っている文章、つまり遅版になって削除されたと見られる部分です。

(1)韓国は、日本が加害者から被害者に化ける状況に拍手することはできないということを米国は知らなければならない。 (2)核のない世界を主張しながらも、いざ北朝鮮の核に対しては「戦略的忍耐」で一貫したオバマ大統領が、今回朴槿恵大統領を招待して北朝鮮(の)核への日米韓共同対応を強調しなかったことは残念だ。

米国に八つ当たり

—米国に対し高飛車ですね。

鈴置:東亜日報もオバマ大統領に対し「韓国人慰霊碑に行け」と強硬に要求していました。5月12日の「米オバマ大統領の初の広島訪問を注視する」(韓国語版)では以下のように書いています。

  • オバマ大統領は韓国人慰霊碑も訪れ、日本の過ちに間接的にでも警告することを望む。

韓国人読者の前でこれだけ突っ張って見せたのに完全に無視された。そこで「高飛車」に書いたのでしょう。ただ、あまりの高姿勢に、どこかからモノ言いが付いて慌てて差し替えたのではないかと思います。

ことに(2)はめちゃくちゃな理屈です。「オバマが広島へ行くなら我が国の大統領も誘うべきだった。誘いがないのはけしからん」との難癖です。

朴槿恵大統領は中国の目を気にして「日米韓」の協調行動を徹底的に避けています。誘われたら広島へ行ったと考える外交関係者は、まずいないでしょう。

今回の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)にも日本から招待されたのに、アフリカ歴訪の先約があることを理由に断ったとされています。もちろん「中国包囲網」に加わったと見なされないためです。

現実から完全に遊離した主張――八つ当たりそのものでした。早版の社説のまま行っていたら、東亜日報はソウルでも物笑いの種になっていたでしょう。

ますます現実と遊離

—韓国人の、現実とはかけ離れた世界観や奇妙なロジック。知れば知るほどに驚きます。

鈴置:前回も話しましたように、米国が韓国を見限る可能性も出てきた。それでも韓国では天動説的な議論が続いているのです。

—6月4日のカーター(Ashton Carter)米国防長官のシンガポール演説のことですね。

鈴置:軍事力で勢力を拡大する中国を念頭に、カーター国防長官は「原則に立脚した安全保障のネットワーク(principled security network )」の結成を呼び掛けました。

米国とすでに協力を進めている国の名を挙げましたが、そこに「韓国」はありませんでした。同盟を結んでいる日本、豪州、フィリピンはもちろん、同盟のないインド、ベトナム、シンガポールまで「リスト」入りしたというのに。

「韓国の天動説」は最近、特にひどくなっている感じです。趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムのヴァンダービルド氏は孤軍奮闘、声をからして警告を発してきました。

こんな中、ようやく大手紙にも自分たちの「奇妙な現実認識」への反省が載り始めたというわけです。懸念するのは蘇于鉦論説委員だけではありません。

(次回に続く)

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『北京震撼、習主席が狙う次の超大物』(6/8日経電子版 編集委員 中沢克二)について

中沢氏は宮崎氏のメルマガを読んで、確認の上で安心して記事にしている気がします。

6/1宮崎正弘の国際ニュース・早読み」  常軌を逸してきたのか、習近平の反腐敗キャンペーン 次の標的は李源潮(国家副主席)か。団派と正面衝突へ

 江沢民率いた上海派を敵に回して、政敵を次々と葬り、国民の喝采をうけてきた習近平だが、この反腐敗キャンペーンも軍人からは恨みを買い、つぎに連立政権のパートナーだった団派と、正面衝突する愚を犯した。  胡錦涛率いる団派(共産主義青年団)は、李克強首相が経済政策立案のポストから外されて、怒り心頭。ふたりが全人代の雛壇でお互いにそっぽを向いている写真は、ひろく世界に配信された。この写真から読み取れるのは太子党vs団派という対立構造が深化し、後戻り出来ない状況へ陥った現実を象徴している。  さきに習近平は胡錦涛の懐刀だった令計画を失脚させた。この余波で令の弟である令完成が秘密ファイルを持ち出して米国へ亡命した。  そしてまた団派に衝撃が走った。 李源潮(国家副主席、政治局員)の側近六人を、取り調べ、失脚させようとしていることだ。彼は江蘇省書記を務めたキャリアがある。  かつて李源潮が江蘇省書記時代に、かれの周りを固めて「ダイヤモンドの六人衆」と言われたのが、李雲峰(江蘇省副省長兼党委常任委委員)、仇和(雲南省副書記)、王眠(遼寧省書記)、楊玉沢(南京市委員会書記)、季建業(南京市長)、趙少康(江蘇省前秘書長)である。  博訊新聞網(5月30日)によれば、この六人が近く中央紀律委員会の調査対象になると報じている。  李源潮は次期党大会(2017年秋)で政治局常務委員会入りが確実とされる団派のホープである。 もし李の側近連中を失脚させる目的があるとすれば、最終の標的は団派の一角を崩す、習近平の深謀遠慮であり、李克強首相の顕著なばかりの影響力低下とあいまって、団派を正面の敵と見据えたことでもある。  しかし一方において、習近平の反腐敗キャンペーンの元締めとなって精力的な活動をつづけてきた王岐山が、最近、習から離れつつあり、習近平政権の権力基盤は大きく揺らいできたとう観測がある。  王岐山の習近平から離脱ともいえる最近の動きに多くのチャイナウォッチャーが注目している。>(以上)

中国と言うのはつくづく三国志の世界だと思います。昨日の敵は今日の友、くっついたり離れたりです。合従連衡策で独りの強いパワーを持つ国が出ないように牽制し合います。習が党書記になった当初は団派+太子党VS上海派だったのが、今は太子党VS団派+上海派となっています。習+王岐山が本当にしっかり結びついているのかも気になる所です。胡錦濤、江沢民、曽慶紅の反撃が北載河会議を前にしてどのように演じられるかです。共産党宣伝部は劉雲山(上海派)が握っています。習の近辺のスキャンダルが出て来るかも知れません。或は米国にいる令計画の弟・完成が重大機密をリークするかもしれません。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160607/frn1606071140001-n1.htm

記事

「習近平(国家)主席が狙うのは超大物だ。とんでもないことが起きかねない」。5月末から北京の政治関係者らは、集まればこんなひそひそ話をしている。減速が目立つ経済などそっちのけだ。震撼(しんかん)が走ったきっかけは、5月30日の共産党中央規律検査委員会の発表。江蘇省の常務副省長、李雲峰が重大な規律違反の疑いで拘束された。彼は党中央委員会の候補委員でもある。

 虎退治の隊長、王岐山はどこに――。中国のインターネットメディアは李雲峰の摘発直後にこう発信した。中央規律検査委トップは4月20日に演説をした後、1カ月以上も動静が伝えられていなかった。報道は行間に「王岐山の潜伏は大物摘発の準備」という事実をにおわせた。

■「本丸は国家副主席、李源潮」説

 なぜ、この江蘇省副省長が大物なのか。話は2000年前後に遡る。李雲峰は江蘇省の交通の要衝にして酢の名産地である鎮江市近郊の出身だ。昨年6月、このコラムで「『江沢民を鎮める』 主席の旅に隠された呪文」と題し、鎮江を舞台にした習近平による元国家主席、江沢民けん制の構図を紹介した。この物語に李雲峰は絡んでいる。

Li Yuanchao

全国政治協商会議の開幕式に出席した李源潮政治局委員(3月3日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕

 江沢民への配慮から「江を鎮める」と読める鎮江の名を冠した大橋とするのを取りやめた頃、李雲峰は、江蘇省共産党委員会の副秘書長だった。省内の重要な政治調整を担っており、江蘇省出身の時のトップ、江沢民への様々な根回しにも一役買った。

 その頃、李雲峰が直接、仕えた江蘇省のトップは現在の国家副主席で党政治局委員の李源潮だった。12年の党大会では「チャイナ・セブン」の有力候補だったが、夢はついえ、国家副主席という外向けの顔の地位に就いた。65歳の李源潮は5月5日、自民党副総裁、高村正彦を団長とする日中友好議員連盟訪中団と会談している。9000万人近い共産主義青年団(共青団)要の人物だ。

 李雲峰は江蘇省を基盤とする李源潮の側近として出世の階段を昇った。李源潮の地元、江蘇省での「大秘書」で、言わば官房長官役。カネの流れを含め、全ての秘密を知る人物だ。彼を失った李源潮のショックは大きい。

 習と王岐山のコンビが、李雲峰を通じて李源潮をけん制する真意はなにか。そこには今、習が置かれた厳しい状況が関係する。5月3日、党機関紙、人民日報は、習が4カ月も前に中央規律検査委の会合で演説した全文を公表した。反攻への烽火(のろし)だった。

 「ある者は交代期に組織が彼を処遇しないと知り、なお側近を送って説き伏せ、票をかき集め、非組織活動をする。地方に独立王国を築き、中央の決定に面従腹背の態度をとる。己の政治上の野心のため手段を選ばない」

 極めて激しい口調だ。断罪された元重慶市トップ、薄熙来(前政治局委員)の例が、現状を指摘している。つまり習が口にした活動をしたとみなされれば、すぐに塀の中に送られる。李雲峰はそれに該当した。では誰のためにやったのか……。

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全国政治協商会議の開幕式を終えて習近平国家主席(左)に話しかける王岐山政治局常務委員(3月3日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕

■起死回生の大粛正

 「習近平による大々的な巻き返しだ。夏の『北戴河会議』の時期も近い。王岐山と組み、来年の党大会まで突っ走ろうとしている」。北京の政治ウオッチャーは起死回生に向けた大粛正を予感する。

 習は、今年1月から配下の地方指導者らを通じて、自らが別格の指導者であることを示す「核心意識」を定着させる運動に踏み切った。従来の集団指導制ではなく、習による「一局体制」を目指す練りに練った策だった。

 だが、これはいったん頓挫する。対抗勢力ばかりか、身内のはずの「紅二代」からも「一連の手法は党規約が禁じる個人崇拝の臭いがする」との批判が巻き起こったのだ。メディア締め付け、経済減速の深刻化への不満も相まって風当たりは強まる。習の独走に「待った」がかかった。3年間、飛ぶ鳥を落とす勢いだった習は初めて立ち往生した。

 ここで習と距離がある共青団が揺さぶりをかけた。標的は王岐山だった。共青団の有力者で前国家主席、胡錦濤の側近だった令計画まで手にかけた実動部隊トップへの当て付けである。共青団系のネットメディアは、王岐山一家と極めて親しい任志強を執拗に攻撃した。

 任志強は「紅二代」の不動産王にして、ネット言論界で著名なブロガーだった。歯に衣を着せぬ舌鋒(ぜっぽう)は、党中央宣伝部によるメディア統制を厳しく批判した。ネット上では「正論だ」と注目を集めたが、党中央宣伝部が黙っていなかった。

 加勢したのが共青団系メディア。「任志強が強気なのはなぜか」とあえて指摘したのだ。彼と親しい王岐山の存在を暗示していた。結局、任志強は党の末端組織から一定の処分を受けたが、その結果は、党中央宣伝部系+共青団系VS王岐山、の構図でみると痛み分けの印象だ。

 習の旗色が思わしくない中、注目すべき動きがあった。共青団出身で党序列ナンバー2の首相、李克強がかつてなく活動的になったのだ。李克強は習の母校、清華大学にまで乗り込む。縄張りを侵したばかりでなく、習の専権事項のはずの「反腐敗」にも積極的に言及し始めた。しかし、ここでひるむ習と王岐山のコンビではなかった。それが、いきなりの李雲峰の摘発である。

 李雲峰のボスである李源潮と、李克強は、中国の経済学の泰斗、厲以寧の教え子だ。北京大学で薫陶を受けた同門である。2人には共青団以外に学問上の縁もあった。李源潮への圧力は、李克強へのけん制にもなる。

Li Keqiang's speech-2

全人代が開幕し、政府活動報告をする李克強首相(3月5日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕

 とはいえ習が警戒するのは政治センスに乏しいとみる李克強本人より、共青団を仕切る実力者らの動きだ。「胡錦濤が引退し令計画も消された今、共青団の重要な核の一人は李源潮」。共青団関係者が令計画の摘発直後に語っていた。李源潮は党中央組織部長も務めた切れ者である。

 習は既に手を打っていた。党組織部長時代に李源潮が精魂を傾けて作り上げた党幹部登用を規範化するルールを骨抜きにしたのだ。年齢、試験の成績、仕事上の実績・評定などを核とする評価方法は、唯一、絶対的なものではない、との宣言だった。李源潮ルールなら、数に勝る共青団から“成績優秀”な人材が必ず高級幹部の地位に上がって来る。習はこれを良しとしなかった。

 能力ある人材を登用し、能力がないものは首にしたり降格したりできる――。これが習時代の新しい基準だという。つまり、習は自分の近い人材を自在に登用できる。年齢制限に柔軟性を持たせた点も臆測を広げた。

■李克強首相、そして江沢民派へのけん制

 実は、江蘇省の虎退治には、李克強ら共青団へのけん制の他にもう一つ意味があった。同じく江蘇省を基盤にする江沢民グループへの圧力である。

 李雲峰は李源潮の側近ではあるが、江蘇省の地元人脈から江沢民閥にもつながる。江蘇は長く「江沢民王国」だった。習としては、万が一にも、李克強や李源潮が属する共青団系と江沢民系が連携して自分に対抗する事態は避けたい。だからこそ共青団と江沢民の派閥が交錯する江蘇省を再び徹底的に攻めた。

 既に江蘇省無錫出身で江沢民派の元最高指導部メンバー、周永康は断罪した。江沢民や周永康に近い南京市トップだった楊衛沢も塀の中だ。彼らの末路を見た李源潮はおいそれとは動けまい、とみての一手だ。李源潮は側近が拘束された直後の6月1日、あえて共青団中央などが主催する座談会に出席し、健在をアピールした。闘いは始まったばかりだ。

 仮に現職の政治局委員である国家副主席、李源潮本人に手を付けるなら、2012年の薄熙来以来の大事件になる。当時、北京では中南海周辺での銃声事件やクーデター騒ぎもあった。習には二つの道がある。一つは李源潮を実際に摘発する選択肢だ。リスクも高いが、来年に迫る党大会人事を考えれば効果は絶大だろう。一方、李源潮と共青団が恭順の意を示すなら、「寸止め」にする手もある。

 もう一人、鍵を握るのは共青団の裏にいる前国家主席、胡錦濤の動きだ。そして江沢民ら長老の思惑も絡む。夏の「北戴河会議」に向けて、複雑かつ危うい駆け引きが続く。(敬称略)

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『天安門から27年、香港「独立派」乱立の意味 6月4日、混乱の追悼集会で考える香港の今と未来』(6/8日経ビジネスオンライン 福島香織)について

宮崎正弘氏も天安門事件について触れていますので本記事と比較して読んでみると面白いでしょう。

6/7「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」  天安門事件から27年を閲し、学生運動はどこへ消えたか? 香港も東京も反中国共産党の気勢はあがらず 

六月四日、天安門事件から二十七年が経って香港では十三万人規模の集会が開催された。  ただし民主派団体がばらばらで結束せず、学生らは香港大学、中文大学でそれぞれが独自の集会を拓いた。 「反中国共産党」だけが合意点で全体の運動はダイナミズムを欠き、整合性はなかった。  香港の民主諸派の分裂は中国の工作員の潜入や脅し、嫌がらせなどが原因であり、しかし若者達はかえって反抗心を高めた。  欧米でも留学生等による集会があった。  さて日本でも四谷で数百人の在日中国人、留学生、これを支援する日本人が「六四天安門事件27周年記念集会」に集まり気勢を挙げた。  おりから来日中だったラビア・カディール女史も駆けつけ、ウィグルにおける人権弾圧の現状を報告した。このほかダライラマ猊下日本代表のルントック氏も演壇に立った。  なかでも注目されたのが天安門事件当時北京大学一年生、学生指導者として指名手配第一号となった王丹氏が記念講演に立ったことだろう。  ところが、である  筆者は王丹氏の講演を聞いて苛立ちを隠せず、おおきな違和感を抱いた。  彼は六月三日に現場を離れたので、実際に広場で何が起きたかは知らないと言った。また潜伏先に関しては公開しないのがルールだからおくにしても、なぜ米国に亡命できたのか背後の力関係や米国のコネクションに関しては語ることがなかった。  そればかりか中国共産党を「打倒する」との決意表明がなく、語彙はきわめて撰ばれたもので活動家の言辞としては迫力にかけた。本人は自らを歴史学者と言った。  かれは「理想」「勇気」「希望」という三つのキーワードを用い、中国の民主化を説くのだが、「国家は悪」「政府は必要悪」という立場で、中国の学生運動は「五四運動」の影響を受けたと語りだした。  五四運動は、今日の解釈では学生、労働者が立ち上がった反日の原点ということになっているが、実態はアメリカの宣教師が背後で日本のイメージ劣化を仕掛けたもので、当時、中国に学生は少数、企業は殆ど存在せず、したがって労働者はいない。 米国に仕組まれた五四運動が天安門事件の学生運動の思想的源泉というのは納得しがたい。 つまり米国の歴史解釈の立場を援用しているにすぎない。  ▼天安門広場の学生運動の指導者らは詩を忘れたカナリアか さらに王丹氏は「民主主義の基本は三権分立だけでは足りず、第四の権力としてのメディア、そしてメディアを監視する社会運動が必要である」となんだか、日本の左翼が訊いたら喜びそうなことを述べた。  そのうえで台湾の「ひまわり学生運動」と香港の「雨傘革命」が「日本の安保法制反対のシールズ運動に繋がった」と総括し、会場はやや騒然となった。 日本の実情を知らないからか、それとも本質的にこの人物は反日家なのか。いや、あるいはアメリカでの生活が長すぎたためにすっかり民主主義なるものをアメリカのリベラリズムの主張と取り違えたのか。   理想とはなにかと問えば「北斗七星に喩えられ、いつも空を見上げ目標を失わない指標であり、どういう形態であろうが、学生運動は支持する」とした。  アメリカで十年、ハーバード大学で歴史学の博士号を取得し、いま台湾の清華大学で教鞭を取る王丹氏にはアメリカ流の民主主義ドグマが染みつき、市民社会(中国語では「公民社会」)の実現が夢であるという。 「市民」とは、これまた胡散臭い語彙である。  その昔、サルトルが「アンガージュ」(参加)と言いつのって若者を左翼運動に誘う煽動をしたように、あるいはサルトル亜流の大江健三郎のヘイワの念仏のように中国の民主化という大目標はそこで論理が空回りするだけで会場には虚しい空気が漂っていた。  天安門事件当時の学生指導者たちは、ウ(ア)ルカイシが台湾で孤立し、芝(柴の間違いです)玲ともう一人はファンドマネジャーとしてウォール街で活躍し、少数をのぞいて「詩を忘れたカナリア」となった。>(以上)

天安門の生き残りでまともなのはウアルカイシ(ウイグル人)ぐらいで後は堕落した人たちでしょう。ウアルカイシが台湾内で孤立と言うのは、国民党政府が牛耳ってきたせいもあるという気がします。今後、政権は民進党に変わり、香港・チベット・ウイグルとも連携していってほしい。日本も共産党が潰れるようにいろんな工作をして行ったらよい。明石元二郎の例もあるでしょう。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140609/frn1406091140003-n1.htm

王丹は、所詮は中国人でその限界が見えます。SEALDSを評価するなど、余りに無知としか言えず、容共的な姿勢は民主化追求の夢と矛盾します。宮崎氏の言ってるように、ハーバードで歴史を学んだ影響もあると思います。ハーバードで米国の3大原罪であるインデイアン虐殺、黒人奴隷、原爆投下をどう教えているのか王丹に聞いてみたいものです。

福島氏の記事で、香港人の台湾移住が人気急上昇中とのこと、この流れは止まらないでしょう。言葉の問題(広東語と台湾語の違いはありますが、使用する漢字はどちらも繁体字(日本の旧字体とほぼ同じ)、普通話で意思疎通できます)で苦労しなくて済みますので。李嘉誠も香港から英国へ資産を移していると言われていますし、香港に優秀な人材はいなくなってしまうかも。台湾も中国共産党の言う一国二制度がどんなものかハッキリ分かったでしょう。英国との約束も反故にされつつあります。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ですのでくれぐれも騙されないように。

http://soneaozora.jugem.jp/?eid=1303

本記事中、「解放軍香港駐留部隊に対し、いざというときの覚悟をしておくようにという通達はすでに雨傘革命のときに出されている。」とあり、第二の天安門事件が起きるかも知れません。当時と違い、今はSNSが発達、ましてや米国衛星がその映像をリアルタイムで全世界に発信するでしょう。そうなれば中国共産党の命運は尽きたものになるでしょう。

記事

meeting for a memorial of Tenanmen incident in Hongkong

6月4日、香港で開かれた「天安門事件」追悼集会。参加者減少が意味することとは…(写真:AP/アフロ)

 例年、6月4日の天安門事件紀念日の前後になると中華圏は落ち着きがなくなる。27年目の今年、私は香港でこの日を迎えた。というのも今年の香港はとくにざわついて、不安定な気がしたからだ。2014年秋の雨傘革命はその目的を達成できなかったという意味で“挫折”というかたちで終わったのだが、その後の香港では、民主派とは別の主張の独立派が台頭している。これをどう見ればよいのか。今回は香港の今とこれからについて考えてみたい。

学生会が追悼集会欠席、形骸化を批判

 6月4日の夜、恒例の天安門事件犠牲者追悼のキャンドル集会がビクトリアパークで行われた。キャンドルを掲げながら香港市民たちが天安門事件の犠牲者への哀悼を捧げ、民主と自由への希求の気持ちを新たにする集会だ。主催者の香港市民支援愛国民主運動連合会(支聯会)によれば参加人数は12万5000人。2009年以来最低の参加人数となった。年々天安門事件に対する香港人の記憶が薄れていることは確かで、例えば6月2日のニュース番組で新興香港メディアの香港01の記者が街角で若者らに天安門事件の発生年はいつ? 胡耀邦って誰? と突撃取材しても、正しく答えられる人はほとんどいなかった。

 同時に、天安門事件を追悼するやり方に対しても、異論が出始めており、例えば例年この集会に参加していた学生会(全香港大学専門学院学生会)はこの集会が形骸化していると批判して今年初めて集団欠席を決めた。学生たちは支聯会の根本主張の一つである「中国に民主を建設する」という部分に抵抗感を持っていた。

 民主党や支聯会らいわゆる民主派とよばれる人々の考え方は、香港は中国返還以降、中国の一部でありながら一国二制度のもと民主と自由、法治という核心的価値が守られている高度の自治が保障されるのであって、この「高度の自治」を決めた中英共同宣言の適応期限である2047年までに、中国を民主化させることが、香港の民主と自由、法治という価値を守るただ一つの道というものだ。

 だが、これに対して「独立派」という考え方が、特に雨傘革命以降に台頭してきた。学生会を含む若者たちの多くが、すでに「一国二制度」など崩壊しており、英中共同宣言など無効と考えている。彼らが望むのは、香港の独立、すなわち中国と縁を切ることだという。中国の民主化については口を出さないかわり、香港の中国化に対して激しく抵抗するという立場である。

 今年のビクトリアパークでの追悼キャンドル集会では式典中、この独立派の一番過激な主張の若者たちが数人乱入して、支聯会側ともみ合いになった末、つまみ出されるアクシデントもあった。こんな事件も、前代未聞であった。

この“独立派”とはどんな人たちなのか。

 独立派を名乗る政党・団体の中で、一番過激なのは今年3月に設立した香港民族党だ。代表は陳浩天。香港はいま、中国の植民地状態であると考え、この中国支配から独立すべきだとして、「民族自強」「香港独立」を中心思想に掲げる。独立のために武力革命も辞さないという立場であり、低層の若者に人気がある。

 同じく過激なのは本土民主前線。香港大学文学院の学生である梁天琦が2015年1月に結成し、主に90年代生まれの若者で構成される。梁天琦は2016年1月の立法会新界東地方選挙区補選に出馬し、得票率15・38%、第三位の票数で落選した。非暴力運動の雨傘革命の失敗を反省して「武をもって暴を制す」を戦略の中心におく。「我々の目的は、いかなる手段をとろうとも、完全な自由・正義・平等を確立することだ」といったマルコムXの格言をしばしば標語に掲げる。今年春節の夜に、旺角で警察と暴力衝突を起こしたのもこの団体で、補選の選挙費用の一部でガソリンを購入し放火した疑いも持たれているのだが、一部の若者の間では非常に強い支持を集めている。

「ピカチュウを広東語に戻せ」

 比較的穏健な独立派としては、現在、作家の黄洋達が代表を務める熱血公民。文化による中国共産党への抵抗を掲げて2012年に結成した。任天堂の「ポケモン(ポケットモンスター)ゲーム」の中国語表記が広東語ではなくて普通話(中国語)であることに抗議していた青少年の声を受けて、5月30日に香港の日本領事館前の抗議デモを主催したのはこの熱血公民である。

 ポケットモンスターのキャラクターのピカチュウは過去20年近く、香港で「比卡超(広東語の発音はピカチュウ)」と呼ばれていたが、任天堂は香港を含む中華圏マーケットでの公式名として中国語の皮卡丘(広東語発音はぺイカーヤウ、中国語発音はピカチュウ)とした。香港の若者たちは自分たちの愛するピカチュウを中国語表記で呼びたくない、と大反発し、任天堂宛てに香港で発売する製品の名前を広東語表記に直すように請願書を出していた。

 黄洋達はポケモンゲームのファンでもなんでもないのだが、これを中国による文化侵略ととらえて、抵抗運動を展開。一部のファンからはポケモンの政治利用、と批判もあるのだが、中国の経済圧力によってテレビメディアの字幕が繁体字から簡体字に代わるといった事件がしばしば起きている中国で、広東語・繁体字防衛は香港アイデンティティの根幹にかかわるテーマにもなっている。

現役立法会議員の黃毓民が2011年に社会民主連戦から分裂して創設した普羅政治学苑、「香港城邦論」の著者で元嶺南大学の助教授である陳雲が2014年に香港基本法の改憲を訴えて作った香港復興会も穏健独立派に分類されるだろう。熱血公民と合わせてこの三政党は「独立に反対しない」という立場で、公民投票による行政長官のリコール制度や香港市民による新しい憲法制定を訴えている。

 このほか、雨傘運動参加者が設立した新政党としては、すでに補選で九龍城区の区議1議席を獲得している青年新政、雨傘革命の学生リーダーとしてメディアによく登場した香港学生連盟(香港専上学生聯会=学連)の前事務局長・周永康(アレックス・チョウ)らが結成した香港列陣、やはり雨傘革命で時の人となった元学民思潮のリーダー、黄之鋒らが結成した香港衆志(デモシスト)がある。

「独立派」小政党が大乱立

 彼らは非暴力を主張し、香港前市民による公民投票によって独立するか否かを決める「民主自決」を訴えている。過激派の民族党などよりは比較的幅広い支持を得ているが、一部の若者の間では「(雨傘の失敗で非暴力では何もできないとわかっているのに)何がやりたいのかいまひとつわからない」「雨傘革命のリーダーとして持ち上げられて調子に乗っている」との批判も聞こえた。

 これに加えて人民力量、社会民主連戦などが香港本土化主義(香港こそが本土であるという主張)の穏健派独立派として40代以降の中年層に人気がある。もともと汎民主派に分類されていた新民主同盟も、雨傘以降は香港本土化主義路線に転向した独立派といえる。さらに汎民主派から分離して中間派を名乗る新思維、民主思路などがある。このほか、英国で運動家の馬駿朗が香港独立党を設立し、香港の英国回収による英連邦制を訴えている。

 こうした「汎独立派」の小政党が乱立する中、今年9月の立法会(議会)選挙にどれだけの独立派候補が送り込めるかは、今の段階では推測もできない。しかも、これら「汎独立派」は独立という言葉でひとくくりにするには、その定義の差が「武力革命」から、「赤化(中国化)を防ぐ」、「香港の言語と文化を守る」の程度までと幅が広く、独立派政党・団体同士がその主義主張を批判しあい、微妙にいがみ合っている。旧来の一国二制度維持の前提に立つ民主派とも分裂しているので、実のところ香港市民の中国共産党による支配、政治的経済的影響力に抵抗する団結力という意味ではむしろ弱まっているのかもしれない。

だが、注意すべきことは、2012年以前には「香港独立」という言葉を口にする香港市民などほとんどいなかったのが、雨傘革命をきっかけに、「独立」というものを考える人が出てきたということなのだ。

「D&G」で目覚め、「雨傘の挫折」の先に

 2012年を節目とするのは2012年1月の尖沙咀D&G(ドルチェアンドガッパーナ)事件が、香港本土意識の目覚めのきっかけであったとする説が有力だからだ。これは人気ブランド店D&Gの店内写真を香港人が撮影しようとしたら、「知財権保護」のルールを理由にガードマンに制止されるのに、中国人観光客の写真撮影は許されているという不平等の実態が香港蘋果日報記者らの取材で明らかになり、この香港人と中国人に対する店側の不平等対応に怒った香港市民がD&G店に一斉に写真撮影にいくという抗議活動に発展した。

 D&Gイタリア本社が謝罪声明を出すことで騒ぎは収まったが、これは経済を牛耳る中国人が香港の法を無視できるという現実をあぶりだすことになり、一気に香港人の嫌中感情が高まり、香港と中国は違うという本土意識に火をつけることになったという。この年の夏に、香港人の小中高校生に中国人として愛国心を育成するカリキュラム「国民教育」義務化に抵抗する学民思潮の大規模デモが起き、秋に義務化が撤回されるのだった。

 こうした反中・嫌中感情が次第に高まる中で2014年に中国国務院の香港統治に関する白書の発表、全人代による普通選挙のやり方を規定する選挙改革案の発表が行われ、これに抵抗する雨傘革命が起きるのである。

 この雨傘革命という「非暴力の抗議」は79日という長期にわたって続いたが、中国の強硬な態度を変えることができず、その後、中国公安当局による銅鑼湾書店株主書店員拉致事件という香港の司法の独立を完全に無視した事件も発生。一国二制度はすでに崩壊しているという現実が突き付けられた。

 多くの香港市民が狼狽し、経済力やコネがあるものは海外移住を模索し、金もコネもない低所得層の若者の間では「雨傘のような非暴力でだめなら、暴力で戦うしかないではないか」という過激な考えがでてきた。香港の知人たちにも意見を聞いて回ったが、経済的余裕のない人ほど「戦うしかない」という考えに傾いている。一方、海外脱出できる人たちは、真剣にその算段を考えている。最近はカナダやオーストラリアではなく、民進党政権になった台湾が移民先として人気急上昇中だという。

 熱血公民の黄洋達に直接意見をうかがう機会があったが、彼は「市民の3割前後が広い意味での“独立派”」と分析している。「D&G事件前までは、ほとんどの香港市民は香港が中国の一部であるという現実を踏まえて、香港の将来を考えていた。だが雨傘革命以降は、香港は中国の一部ではない、この現実を変えたい、変えなければという人は増えている。今後、その数は増えていくだろう」。2月半ばから4月5日までに民主思路が外部機関に委託して行った世論調査では18~29歳の若者で香港独立の支持者は20%で、うち多くが暴力的抗争手段を受け入れるという立場だったという。

民主希求の団結力が乱れる一方で、過激な意見の台頭が見えている香港のこうした現状について、中国の良心的知識人から「これはかなり危険な状況だ」と不安を耳打ちされることが多くなった。香港の某大学に客員教授として滞在していたある著名中国人知識人は「香港民族党のような主張が台頭してくると、いまの習近平政権は忍耐力がないので、何をするかわからない。香港は一線を越えようとしている」と警告する。

 実際、全国政治協商会議の委員(中国の参院議員に相当)でもある香港基本法研究センター主席・胡漢清は4月12日の記者会見で、香港民族党の発足について「これは言論の自由の保障の範囲を超えている」「反逆罪、扇動罪に当たる」「香港民族党が(立法会選挙で)勝つようなことがあれば、それは香港人の敗北である」と極めて強い恫喝を行っている。また公民投票で香港独立を問うこと自体が扇動意図の罪に当たるとも言っている。

 こうした中国側の脅しはおそらくは口先だけではない。というのも、この香港の独立派台頭の背景には全米民主主義基金(NED)の支援が疑われているからだ。香港紙巴士的報が今年3月9日の香港本土民主前線の梁天琦と黄仰台の二人と駐香港米国領事館員の密会写真をスクープしており、その後、中国系香港紙「大公報」などが密会内容を匿名のタレこみメールとして報じている。

 それによると米領事館の政治経済部領事が、活動費不足を訴える彼らに対し、NEDを通じた経費支援の申請のやり方をアドバイスしていたという。中国は少なくとも、いまの香港の独立派台頭の背後に米国の仕掛けがあると考えている。万が一「アラブの春」のような状況が香港でおこれば、それを鎮圧することに躊躇はないはずだ。解放軍香港駐留部隊に対し、いざというときの覚悟をしておくようにという通達はすでに雨傘革命のときに出されている。

“革命的”変化は同時多発的に

 香港市民はもともと争いの嫌いな人たちである。動乱があるたびに中国から、戦わずに逃げ延びてきた人たちであり、英国植民地統治のもとで与えられた自由を謳歌してきた人たちだった。もし、本当に今後、過激な独立派が台頭していくとしたら、それは明らかに中国の対香港政策の失策である。中国政府が穏やかな香港人をそこまで追いつめたのである。逆にいえば、中国政府の統治能力はこの数年の間に急激に衰えているということなのか。

 香港滞在中、現役の立法会議員で一番過激な発言で知られる長毛こと梁国雄にお会いし、彼に「独立派が台頭し、中国政府と香港市民の対立が激化して、武力鎮圧がおきるという懸念はないか」と尋ねたら、「香港と中国政府の対立よりも、ウイグル族と中国政府、チベットと中国政府の対立の方がよっぽど危険じゃないか。台湾もあるぞ」と笑っていた。

 香港独立など、普通に考えれば冗談でもありえない。だが、中国政府の統治能力が急激に衰えてきているということはいえるかもしれない。香港の独立派がどれほど広がっていくかは、さておき、中国全体とその周辺に今何か変化の兆しがないか、改めて観察してみることはタメになるかもしれない。過去の歴史を振り返れば、“革命”的変化というのは中核となる勢力の弱体化に伴って同時多発的に起きるものだから。

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『広く伝えたいアフリカに対する日本の貢献 8月27~28日にTICAD(アフリカ開発会議)が開催』(6/6日経ビジネスオンライン 御立尚資)について

6/5日経朝刊記事「風見鶏 なぜ同日選は消えたのか」の中で、最後のセンテンスに「内閣支持率は上昇し、自民党中堅議員はなお悔しげだ。「衆院解散はいつやるのか。絶好の機会を逃したのではないか」」とあるし、また6/6日経朝刊記事には「総裁選も絡む「衆院解散」 浮かぶ3シナリオ」の記事では早期の衆院解散もあるようです。小生の5/31ブログで衆院解散・参院同日選もあるのではと書きましたが、残念ながらそうなりませんでした。日経記事を読みますと「何故」と思いましたが。公明党の横槍では。何せ法律通り3ケ月だけ住民票を移動して候補者を当選させ、その後また元に戻すことをしていますので。同日選は彼らにしてみれば重点候補選択の余地が狭まる訳で避けたい思惑があります。また、軽減税率(小生は旧民主党の給付付き税額控除の方が優れていると思っています)の手柄を選挙で訴えたかったのに消費税増税延期され、一矢報いたかったこともあるのでは。自民党も公明党の力を借りないと当選できないのでは嘆かわしいですが。

「総裁選も絡む「衆院解散」 浮かぶ3シナリオ

expectation of dissolution of the Diet

安倍晋三首相が7月の参院選に合わせた衆参同日選を見送ったことで、永田町の関心は次の衆院解散・総選挙の時期に移ってきた。2017年4月に予定していた消費税率10%の引き上げは19年10月まで2年半延期され、解散時期の自由度は増した。参院選の結果を踏まえ、18年9月の自民党総裁の任期延長を視野に入れると、衆院選と総裁選の密接な関連が浮かび上がる。

 (1)年内~17年1月の通常国会冒頭

 「確実に勝ちが見込める機会はそう多くない。解散するなら早い方がよい」。首相に衆参同日選の実施を進言していた首相周辺は、経済が比較的好調で、野党の支持率が低いうちに解散した方が有利と主張する。民進党の岡田克也代表も3日、「年内の可能性が高い」との見方を示した。

 議席占有率6割を超える勝利を収めた12年と14年の衆院選はいずれも12月。自民党若手議員は「政治は縁起が大事だ」と話し、参院選で勝利した場合、12月中の選挙が有力との見方を示す。12月に予定するロシアのプーチン大統領の来日時に北方領土問題を前進させ、その成果を掲げて解散に踏み切るとの説も取り沙汰される。

 ただ、次期臨時国会では、環太平洋経済連携協定(TPP)関連法案や、消費増税延期を盛り込む税法改正案など重要法案が山積し、その後には17年度予算編成が控える。政治日程への影響を考えれば、17年度予算の審議が始まる前の来年1月の通常国会冒頭解散も有力になってくる。

 (2)17年通常国会~臨時国会

 首相が17年4月からの消費税率10%への引き上げを再延期したため、これまでは困難とされてきた17年中の解散も選択肢となった。17年度予算を成立させた同年4月以降の衆院選でも増税の影響がないからだ。

 ただ、この場合のハードルは高い。1つが先の通常国会で成立した改正公職選挙法の影響だ。小選挙区を「0増6減」する新しい区割りは来年夏以降の適用となり、一般的に制度変更の前後は解散・総選挙はしにくいとの見方がある。仮に新しい区割りの適用前であれば「定数削減を回避する思惑があるのでは」と批判され、適用後であれば「候補者調整が間に合わない」との問題が出てくるためだ。

 2つ目は連立を組む公明党が国政選挙並みに重視している東京都議会選が17年夏に予定されていることだ。支持母体の創価学会が大規模な組織戦を展開するため、同党はこの時期の衆院解散・総選挙になれば集票力が分散しかねないとして消極的な姿勢を示す。

 (3)18年の自民総裁任期満了前

 現在の衆院議員の任期は18年12月までだが、首相の総裁任期はその前の9月末までだ。自民党則は延長を認めないが、過去には中曽根康弘氏が任期切れまで3カ月となった1986年夏、衆参同日選挙に踏み切って大勝し、その功績が認められ、特例で総裁任期を1年延長した例がある。今回も任期切れ直前で解散し、大勝すれば任期延長にも道を開くとの計算が働く。

 東京五輪を2020年夏に控え、首相が任期中の実現に意欲を示す憲法改正も任期延長が不可欠だ。消費税率10%への引き上げ時期が任期切れ後の19年10月となったことも任期延長論の根拠となる。稲田朋美政調会長は5日のフジテレビ番組で安倍首相の総裁任期延長について「自民党内のルールなので安倍首相が首相(総裁)を続行している可能性は十分ある」と述べた。

 もっとも総裁任期満了前の解散の場合、いったん年内から年明けにかけて衆院解散に踏み切り、さらに総裁任期満了前に2度目の解散に踏み切る「小刻み解散」のタイミングとなる可能性もある。首相は14年に衆院任期を2年以上残して解散して圧勝した。衆院選の間隔を短くして党内の求心力を保つと同時に、野党の選挙準備が整わないようにする狙いだ。

 一方、党内には「衆院で3分の2を失わないために今回は同日選を見送ったのだから当分、解散はないだろう」(ベテラン議員)として18年まで解散できないとの見方もある。ただ同年12月までの衆院の任期満了時期に近づくほど有利なタイミングで解散できる余地が狭まり、実質的な解散権を行使できぬまま「追い込まれ解散」になりかねないリスクをはらむ。>(以上)

TICADは1993年~今度で6回目となり、初のアフリカ開催とのこと、もっともっと外務省はマスメデイアに働きかけてPRすべきです。アフリカに植民地支配のなかった日本、勤勉で親切かつ誠のある日本人はアフリカ人に信頼されていると思います。経済成長著しい上、人口増も予測されている中、日本の持っている資金・技術だけでなく和の精神も伝えられたらと思っています。中韓の得意とする賄賂では一部の人間しか豊かになれず、協調して物つくりに励むことにより豊かになる実感を得て貰えればと思っています。ただいざと言うときの自衛隊の海外派兵の保証と武器使用のネガテイブリスト化は必須です。

2014年9月にチュニジアへカルタゴ遺跡を見に旅行しました。その時のガイドさんはチュニジアの大学の英文科卒のエリートで日本の奨学金を得て日本に留学したことがあるとのことでした。(2009年にトルコに行ったときのガイドさんも英文科卒でした。トライリンガルは当り前のようです)。2008年にエジプトへ行ったときのガイドさんは敬虔なイスラム教徒で、客が我々夫婦二人でしたので宗教の議論をいろいろとした記憶があります。また、小生が支援しています上橋泉柏市議のご子息もチャドで活躍しています。

アフリカも国連の票数で大きな役割を果たします。小生は、日本は常任理事国入りに拘ることはないと思っていますが、(それより国連憲章の敵国条項を早く削除せよ、これはロシアとの平和条約締結後か?)中韓の国連を舞台にした反日活動に大きな抑止力になると思います。中国のように資源奪取だけが目的で、地元の人の雇用もなく=技術移転無し、場合によっては囚人を送り込むような国のやり方と違ったやり方をすれば信頼を勝ち得ると思います。日本のビジネスマンももっと頑張らねば。

記事

TICAD 5

(写真:AP/アフロ)

 今年8月27日から28日の2日間、ケニアのナイロビでTICAD Ⅵ(第6回アフリカ開発会議)が開催される。

 伊勢志摩サミット、そしてそれに続くオバマ大統領の広島訪問という大きな外交イベントの陰に隠れる形であまり注目を浴びていないが、今後10~20年を考えると、G7、G20だけでなく、アフリカ諸国と日本の関係強化につながるTICADに、もっと光が当たってもいいはずだと考えている。

 人類全体にとって重要な貧困や飢餓撲滅、あるいは感染症対策――。こういった課題の解決のためにアフリカの開発が重要であることは論をまたない。

 さらに、今世紀中にも世界全体の人口がピークを打つと考えられる中、数少ない人口増加が見込まれ、所得レベルの向上とあいまって、「次の成長市場」としてのアフリカの重要度は極めて高い。以前のコラムでも紹介したが、2040年にはアフリカの労働人口はインドや中国を上回ると想定されているのだ。総人口も、その頃には20億人を超えると推定されている。

 さて、6回目を迎えるTICAD(Tokyo International Conference on African Development)。この会議は、名称にTokyoと冠している通り、日本政府主導で、1993年以来、5年に一度日本で開催されてきた。共催者として、アフリカ連合委員会、国連、UNDP(国連開発計画)、世界銀行が名を連ねている。

 日本が、国際機関や民間セクターを巻き込み、「アフリカの経済開発」を促進するための会議を20年以上にわたって実施してきたわけだ。

 前回のTICAD Ⅴには、39名の国家元首クラスがアフリカ51カ国から参加、開発パートナーとなる域外諸国31カ国、国際機関72機関、さらにはNGO/NPOも多数参加した。

 植民地時代の旧宗主国ではない日本が主導するということにも大きな価値があるのだが、これだけ続けてくると単に集まって話し合うというだけでなく、さまざまなポジティブな結果が具体的に出てきている。

 アフリカの成長を考える上では、それを担う人材の育成がカギとなる。

500人の若者がTICADプログラムで日本に留学

 たとえば、資源開発の専門的知識を教育するプログラムが設けられ、2016年1月までに2000人以上が参加し、研修を修了している。また、2014年、15年だけでも500人弱のアフリカの若者が、TICADから発生したプログラムで、日本に留学してきている。現地での学校教育環境を改善するプログラムに至っては、2014年末の数字だが、実に770万人の子供たちへの支援が行われてきた。

 これ以外にも、安全な水へのアクセスを担保するための給水整備支援など、単純なODAやインフラ建設だけでなく、実にさまざまな意味のある開発支援が日本主導でおこなわれてきている。

 さて、こういった価値を生んできたTICADなのだが、正直なところ、日本国内では十二分に知られていない。もっと言うと、アフリカの現地、さらには開発やビジネス上のパートナーとなる欧米諸国でも、アフリカにおける日本の貢献は、ごく一部にしか伝わっていないのが実状だと感じている。

 メディア等でも、よく中国や韓国のアフリカ進出との比較がなされるが、こと開発支援とそのポジティブな結果だけに絞っても、日本の貢献が知られていないのはもったいないこと、この上ない。今後一層、ビジネス上も外交上も重要度を増す地域で、日本の国としてのブランド価値を高めていくための、広報・マーケティングへの徹底的な注力が必要なのではないだろうか。

 この広報・マーケティング下手は、アフリカについての日本国内での知識と理解が不足していることもその一因である。アフリカの変化は速く、さらにアフリカ54カ国の中での違いも大変大きいため、具体的なイメージが伝わりにくいのだ。

 旧宗主国だった欧州各国では、メディアでアフリカ諸国が取り上げられる頻度が(日本と比較すると)非常に高い。この点でも、新興経済については、アジア中心の情報流通となりがちな日本では、もう一段深いレベルでのアフリカ各国についての知識獲得と普及を、意思をもっておこなうことが不可欠だ。

経済の成長スピードが速いサブサハラ各国

 少しだけ、実例を挙げておこう。

 まず、変化の速さ。低開発イメージが強いサブサハラ各国。具体的にはサハラ砂漠以南の49カ国を指すのだが、2000年代には、実に年率5.8%の経済成長を遂げている。十数年で、経済規模が倍になるスピードだ。その後、世界的な資源価格下落の影響下でも、2015~17年に年3~4%の成長が予想されている。

 アフリカ各国間の違いも、イメージのずれが生じる原因となる。

 IMFの2014年ベースの統計によれば、購買力平価ベースでの一人当たりGDPアフリカ上位3カ国は、 赤道ギニア 3万2千ドル セイシェル 2万6千ドル ガボン   2万3千ドル と、中進国以上、先進国に極めて近いレベルに達している。

 ところが、下位3カ国を見ると、 中央アフリカ 607ドル コンゴ    704ドル マラウィ   780ドル とアフリカ内上位国の30分の1以下であり、地域内でも極端な違いがあることが明白だ。

 さらに、各国ごとの違いと変化の速さとが掛け算になることも多い。たとえば、1990年代半ばに民族紛争、その後の大虐殺が大きく報道されたルワンダ。21世紀に入り、民主選挙が行われ、政情や治安はまったく違ったレベルで安定している。女性の社会進出も大きく進み、閣僚の26%、国会議員の57.5%が女性だ。世界銀行のビジネスのしやすさのランキング(Doing business)でもルクセンブルグについで62位。中国の84位やベトナムの90位よりもはるかに上に位置づけられている。

 今回のTICAD Ⅵは、実は初めて日本ではなくアフリカ、ケニアで開催される。これに合わせ、日本のさまざまな企業が参画するアフリカ域内の国を超えた地域インフラ整備のイニシアティブも打ち出される模様だ。

 日本で行われたサミットとは違い、放っておくと、メディアでもあまり取り上げられずに終わってしまうかもしれないが、ぜひぜひ、我々も注視し、さまざまな広報・マーケティングを世界各地で行ってほしいと思う。これを通じて、アフリカの変化、そして各国さまざまな実状について、少しでも日本国内での理解が進むことを期待したい。

 さらに、ぜひとも日本のこれまでの貢献も含め、広く日本ブランドを高める機会になれば良いなと考えている。もちろん、読者のみなさまの中にも、非常に詳しい方はいらっしゃるだろうが、より広い方々がアフリカと日本について、知見を高めてくださることを期待してやまない。

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