『なぜ中国メディアは「江歌事件」に殺到するのか 日本で起きた留学生殺人事件が“国内問題”を覆い隠す』(12/13日経ビジネスオンライン 福島香織)、『1000万人が凍える中国「暖房変換政策」の失態 大気汚染対策「石炭禁止」強行も、工事遅延と天然ガス不足で…』(12/15日経ビジネスオンライン 北村豊)について

11/16facebook記事

<這個國家每天都有新鮮事=この国は毎日何か新しいことがある。

「私は雲南人で12歳になるが、多くの男に強姦され、その後無理やり売春させられ、犯罪集団に入れられて違法活動に手を染め、2年刑務所に入ること9回。昆明警察の監獄に入っていた時に精神をおかしくする薬を打たれた。多くの人が関心を持ってほしい。私を救って。皆さんに感謝します」>。韓国の慰安婦の婆さんと同じで、齢が合いません。これは公然たる詐欺では。まあ、誰も恵はしないでしょうけど。

12/16中国観察<陳世峰求複合時已有新女友 江媽哭暈至休庭(組圖) 看中国=陳世峰(江歌の殺人犯)は二人に会いに行ったときには既に新しいガールフレンドがいた 江歌の母親は裁判中に泣いて眩暈の為休廷した 看中国>「江歌の母親は裁判時に殺人犯に死刑を要求(自分の命で罪を贖え)、犯人も「聞こえた」と。母は犯人の謝罪の手紙を読んでも心から反省しているようには見えないとも。江歌事件の五日目の審理は午前中に終了。次の開庭は12月18日開庭、12月20日判決予定。」

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/bads/2017/12/16/383908.htm%E9%99%B3%E4%B8%96%E5%B3%B0%E6%B1%82%E8%A4%87%E5%90%88%E6%99%82%E5%B7%B2%E6%9C%89%E6%96%B0%E5%A5%B3%E5%8F%8B-%E6%B1%9F%E5%AA%BD%E5%93%AD%E6%9A%88%E8%87%B3%E4%BC%91%E5%BA%AD%E7%B5%84%E5%9C%96.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

11/23・29本ブログでも江歌事件については伝えました。その時にも言いましたが、最高裁は一人殺しても死刑にできるように判例を変更すべきです。“eye to eye, tooth to tooth”、“以眼還眼、以牙還牙”です。江歌の母親は450万人の死刑の署名を集めたそうですが、署名の多寡で法が捻じ曲げられてはならず、そうすれば韓国と同じで国民情緒が法に優先する非法治国家になってしまいます。江歌の母親には可哀想ですが、MAX無期懲役になるのでは。日本の裁判員も江歌の母親には同情するでしょうけど、日本人が起こした事件と仮定すれば、死刑は無理でしょう。福島氏と違い、犯人の陳世峰とその女友達の劉鑫が悪いと思っています。劉鑫がドアを開ければ江歌は助かったかもしれません。劉鑫は法的責任は問われなくても、道徳的に見れば問題です。江歌は巻き添えを食って殺されたのですから。陳世峰も新しい女友達が出来たのですから、劉鑫のことなぞ忘れれば良いだけです。中国人と言うのは本当に恐ろしい。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7644

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7693

北村氏の記事は共産国家、官僚主導の経済のおかしさを追及したものです。ああいう国に生まれなくて良かったと心底思います。日本の左翼はああいう国を理想としている訳で頭の中を疑います。左翼新聞・左翼政党を応援している人は日本を共産化する手助けをしていると自覚すべきです。

福島記事

久しぶりに刑事事件の裁判を傍聴した。日本ではあまり関心は高くないが、中国のネット世論を騒然とさせている江歌事件の初公判が12月11日に東京地裁で行われた。私は傍聴券の抽選に当たり、検察側、弁護側の冒頭陳述及び争点などを聞くことができた。

この公判には、ネットテレビ番組「局面」など中国メディア15社前後が殺到しており、傍聴できるかどうかもわからないのに、日本にわざわざ本社から長期出張で記者を派遣するメディアも少なくなかった。私が抽選に当たったというと1万円で買いたいという人もいたくらいだ。フェニックステレビの地裁前生中継は昼の時間帯だけで100万人以上のネットユーザーが閲覧していたという。

いったいなぜ、ここまで報道が過熱しているのか、今、中国では山ほど深刻な社会事件が起きているのに、この異国・日本で起きた留学生の痴情のもつれによる殺人事件に、中国社会の関心が集中するのか。そのわけを今回は少し考えてみよう。

痴情のもつれに巻き込まれ…

江歌事件の概要を改めて説明したい。簡潔にするために被害者も容疑者も敬称を略す。2016年11月3日未明に東京都中野区で、法政大学に留学していた女子研究生・江歌が、女友達で大東文化大学留学生の劉鑫の元彼であった大東文化大学大学院の院生・陳世峰に殺害された事件だ。

3人はいずれも中国人留学生で2016年に東京で出会った。劉鑫は2016年5月から陳世峰と3カ月同棲していたが2016年8月に性格が合わずに別れ、その後、9月から同郷(青島市)のよしみで仲良くなった被害者の江歌のところに同居していた。だが、陳世峰は、劉鑫をあきらめきれず、ストーカー行為を繰り返していた。11月2日午後、中野区の江歌・劉鑫が同居しているマンションに陳世峰が現れ、このとき一人で家にいた劉鑫は江歌に微信で相談、江歌は警察に通報するようにいったが、劉鑫は警察に通報しなかった。江歌が帰宅して、陳世峰に帰るよう説得。その後、江歌は大学へ行き、劉鑫はアルバイトに出かける。陳世峰は劉鑫のあとをつけ、電車の中で、微信で劉鑫の下着姿の写真を添付送信して、復縁しないとこの写真を両親に送り付ける、といった脅迫を行った。

事件はその夜に発生した。検察側の冒頭陳述によれば、その後、陳世峰はナイフと着替えを準備して再び、江歌のマンションにいき、部屋の一階上の三階外階段のところで、二人の帰宅を待ち伏せていた。ちょうど午前零時を回ったころで、二人は一緒に帰宅した。劉鑫は先に部屋の中に入り、江歌はポストの確認などした後、遅れて上がってきた。陳世峰はドアの外で、江歌ともみ合い、ナイフで左首を刺したほか、14カ所にわたって顔や手、背中などを刺した。江歌は出血多量で、搬送先の病院でなくなった。陳世峰は、着替えたのち、タクシーで逃走した。陳世峰の大学院の研究室には、ナイフの包装が残っており、検察側はこの包装の中身が、犯行に使われたナイフだとしている。

ちなみに弁護側の冒頭陳述はかなり食い違っていて、殺害に使われたナイフは陳世峰が用意したものではなく、ストーカー行為に恐怖を感じていた劉鑫が護身用に玄関先に置いておいた果物ナイフという。

大きく食い違う主張

劉鑫が部屋に先に入ったあと、江歌が遅れて部屋に入ろうとしたとき、陳世峰が後ろから江歌の肩をつかみ、驚いて叫び声を上げた江歌に、劉鑫がとっさに玄関先にあったこのナイフを渡したという。劉鑫は家に入りかけた江歌を、恐怖のあまり押し出してドアの鍵を閉めてしまった。このとき、劉鑫の「鍵を閉めちゃったから、もう怒鳴らないで」といった発言があったという。部屋から閉め出された恐怖でパニックに陥った江歌が、自衛のためにナイフで陳世峰を刺そうとしたのを、陳世峰がやめさせようと、もみ合ううちに、ナイフが江歌の頸部に刺さってしまったという。

陳世峰は、これを見て、江歌の命が助かれば、両親に膨大な治療費など経済負担を負わせることになる、どうせ自分の人生は終わりだから、止どめを刺して自分一人で責任を負おう、あるいは、顔を見られているのは江歌だけだから、彼女を殺してしまえば、うまく逃げ切れるかもしれない、と考え、倒れた江歌をさらに十数回刺したという。

弁護側の主張は、死因は最初のひと突きの左総頸部動脈損傷による失血死であり、この死因となった傷を負わせた段階では殺意はなく、その後に間違った責任感から殺意を持ったので「殺人未遂」と主張している。着替えも準備したのではなく、家を出たときは、コインランドリーに行くつもりで出たのであって、着替えは準備したものではない、という。江歌宅に行ったのも、江歌に復縁を手伝ってもらおうと相談するつもりであり、一緒に飲むためにウィスキーを持っていったという。ちなみに、ウィスキーの瓶は現場に残されており、瓶口の部分から陳世峰のDNAが検出されている。

事件の詳細は、ナイフの持主、殺意、計画性のいずれも検察側・弁護側の主張が大きく食い違う。11日から5日間にわたって連続で陪審員制度裁判を行い、20日に一審判決が出る予定だ。

事件そのものは、単純に言えば男女関係のもつれに、親切にも仲裁を買って出た友人が巻き込まれて犠牲になってしまったというもので、被害者と遺族のやりきれなさは想像に余りある。だが、実のところ、中国では比較的よくあるパターンの殺人事件である。おそらく、この事件が中国で起きたとしても、これほど中国メディアは熱心に取材しなかったかもしれない。では、なぜこの事件が中国世論の関心をここまで集めたのか。傍聴席に来ていた中国人記者らにその理由を聞いて回ると、次のような点を挙げた。

200万人の署名と「道徳問題」

理由の一つは、江歌の母親・江秋蓮が、来日して陳世峰の死刑を求めて、署名活動を行い、11月までに、なんと200万人もの署名を集めたことだろう。江秋蓮は、江歌が一歳の時に離婚し、女手一つで育てあげ、日本にまで留学させた自慢の娘であった。しかも、殺害動機の根本原因は陳世峰と劉鑫の男女関係であり、江歌は善意の第三者だ。また事件発生直前まで、微信電話で母娘は会話をしていた。一人っ子政策下のシングルマザーの希望の星であった娘を突如理不尽に奪われる悲しみは、当然世間から強い同情を集めた。

また、事件の起きた場所は、日本という治安がいいことで有名な国であり、その一方で、日本の裁判による量刑は、おそらく中国で行われる裁判よりもずっと軽い。この理不尽感が、中国で発生する同様の事件より強い、という。

さらにいえば、この江秋蓮の行き場のない悲しみとそれに対する中国社会の同情は、容疑者の死刑を願うだけでなく、劉鑫に対する非難、攻撃に発展し、中国メディアがこれをさらに世論としてあおる形の報道を展開したことも大きい。

劉鑫はドアに鍵を閉めて江歌を部屋に入れなかった。弁護側の陳述によれば、江歌は陳世峰ともみ合いながら、肘で何度もベルを押し続け、ドアを開けてもらおうと懇願していたという。娘の最後の様子の詳細を知りたい江秋蓮は、事件後に何度も劉鑫に面会を申し入れたが、劉鑫は一度も江歌の母親に会おうとしなかった。

悲しみが怒りに転じた江秋蓮は、劉鑫の自宅や電話番号などを探しあて、ネット上の公開書簡を発表して劉鑫に謝罪を求めた。これを受けて劉鑫の父親が、江秋蓮に対して「プライバシー侵害だ」と抗議の電話を掛け、劉鑫の母親も江秋蓮をののしるなどしたが、こうした電話録音がネットメディアで公開されると、劉鑫とその家族に対し、ネットユーザーたちが抗議の電話をかけるなど、あたかも全中国人民がつるし上げを行うような騒ぎになった。殺人事件から「中国人の道徳問題」を問う事件となったのだ。この劉鑫批判報道が、視聴率やネットニュースの閲覧数を稼ぐため、エスカレートしていった。

だが、冷静に考えてみれば、24歳のうら若い女性が、殺意を持って現れた元彼と友人がもみ合っているのを、玄関のドアを開けて助にいく勇気がなかったとして、そこまで責められることだろうか。ドアを開けてしまえば、容疑者も家の中に入り、二人とも殺害されてしまったかもしれない。江秋蓮の悲しみ、怒りは理解できるものの、今の中国社会に道徳という言葉で、劉鑫に社会的制裁を与える資格があるのか。もちろん日本でも、社会の多くの人が、法の裁きが不公正・理不尽だと感じたとき、この“世論の暴力”がしばしば発動されるが、少なくとも劉鑫は脅迫にあった被害者でもあり、裁かれる側ではない。

誤解を招くことを恐れずに言えば、私には今の中国の社会問題において、この江歌事件はそこまでクローズアップして報じるほどのニュースバリューなのだろうか、と疑問を感じた。むしろ、メディアが世論の関心をこの事件に誘導しているような気もするのだ。

重要度より自由度か

中国では11月、何かヒリヒリするような社会不安感情を刺激する事件がいくつか起きている。日経ビジネスオンライン「中国・キタムラリポート」などでも紹介されている北京市大興区の安宿火災から始まった「低端人口排除事件」は、人権問題として、それこそ道徳の問題として、中国人が向き合い、政府や党にその姿勢の是非を問いかけるべき事件だろう。北京の私立幼稚園で起きた教師による園児の連続虐待事件も、権力に関わる背景がありそうな気配だ。これら事件は発生後まもなく、当局による「事実の否定」が発表され、中国メディアでほとんど報じられなくなった。微博などSNSでも、このテーマは、検閲、削除対象となっている。

江歌事件は、昔からある男女関係のこじれが原因の殺人の動機であり、低端人口排除や幼稚園の連続虐待事件は、背後に中国の権力の存在が感じられる事件だ。だが、中国メディアにしてみれば、習近平政権下でのかつてないほど厳しいメディアコントロールがあり、中国国内の政治がらみの社会問題事件を自由に取材したり、報じたりできない。むしろ日本で起きた殺人事件の方が取材しやすいし、報じる自由度が高い。日本で起きた殺人事件で道徳世論を盛り上げるのは、結果的には中国国内で起きている政府や党に世論の批判の矛先が向きかねない社会事件を多い隠す効果もあるのではないだろうか。

私は、そういう疑問を持ったので、傍聴券のために並んでいた上海から出張してきた記者に、「中国では報道統制が厳しく取材しにくいから、日本で起きた事件に全力投球しているんじゃないの? この事件を報じることによって、報じられるべき社会事件が中国できちんと報じられていないのではないの?」と意地悪く聞いてみた。すると、「そんなことないですよ、私たちのメディアは、比較的がんばっていますよ。江歌事件だって取材しても報道できない可能性もあるんですよ」と否定した。

「法治がない証拠だ」

だが、こうした中国人記者とのやり取りを聞いた、ある法政大学法学部に在籍中の中国人留学生は「殺人事件を道徳問題で論じることは、中国に法治がない証拠だ。中国のメディアは、そこをおかしい、と問題提起しなくてはいけないのではないか」と指摘。さらに「中国で起きている切実な社会事件から世論の関心をそらすために、日本で起きた殺人事件をことさら大きく報道している面はあると思う。また、日本に憧れを持っている若者に対して『日本も安全ではない』『怖いところだ』といった“政治宣伝”の面もあるんじゃないか」と、なかなか辛辣な意見を呈していた。

ちなみに、上海メディア記者が指摘したように、江歌事件は、ヒートアップしすぎたせいもあって、若干の報道抑制が指示されており、今や完全に自由に報道できる状況ではなくなったらしい。法政大学留学生が言うように、この事件も切り口によっては、法治国家の在り方を問うテーマになりうるし、世論の過熱は、どちらの方向に流れても当局にとっては厄介なのだ。

さて、私自身が、この殺人事件について論評することは、現在進行形で裁判が行われ起訴事実の部分を争っているところなので、やめておこう。ただ、司法の独立という概念がなく、世論の流れや政治的目的によって、しばしば恣意的な裁判結果が出る中国から取材にきたメディアに、やはり日本は法治国家なのだ、と知らしめる公正で疑いのない裁判と判決を期待する。

北村記事

大気汚染対策で石炭から天然ガスへの燃料転換を強行するも、工事遅延とガス不足で、暖房なしの生活を強いられる庶民。その怒りの熱だけが高まる。

全国紙「中国青年報」は12月5日付で「暖房時期の開始から20日過ぎても、暖房改造工事の遅延で、河北省“曲陽県”では多くの農村の小学校で暖房がない」と題する記事を報じた。曲陽県は河北省の中西部に位置する“保定市”の管轄下にある人口55万人の小都市で、“定瓷(ていじ)”と呼ばれる白磁の産地であると同時に彫刻の里として知られている。

さて、中国の“長江(揚子江)”以北では冬季の“取暖期(暖房時期)”は11月15日~3月15日とされていて、学校や官公庁、公共機関では11月15日から暖房が始まる。近年は暖冬で多少はしのぎやすくなったものの、長江以北では11月に入ると寒さが身に染みるようになり、暖房が恋しくなるが、学校や官公庁には暖房がない。筆者も商社の北京駐在員時代には寒さに震えながら国営の“進出口公司(貿易会社)”のビルで商談を行った経験を持つが、室内で息が白くなり、厚着をしても足が震えるほどの寒さで、とにかく11月15日の暖房開始日が待ち遠しかった。

石炭から天然ガスへ転換を目指すが…

上述の記事には小学校の校庭に並べられた椅子の上にノートを置き、レンガを敷き詰めた地面に座って授業を受ける子供たちの写真が掲載されていたが、冬の太陽は厚着をした子供たちの背中を照らし、地面には子供たちの影が長く伸びていた。中国青年報の記者が取材した12月4日の保定市の気温は最高が4℃、最低が-7℃だったから、暖房のない教室は凍てつく寒さと言える。記事によれば、曲陽県“齊村鎮”にある多くの小学校では室外授業を増やし、子供たちに太陽光を浴びさせたり、走り回らせて暖を取らせているが、低学年の子供の中には手足が霜焼けになり、患部が腫れて痒くなった者も少なくなく、事情を知らない親から「何で冬に蚊がいるんだ」と聞かれる始末だったという。

この原因は曲陽県が県内にある全ての学校で進めている暖房方式の転換、すなわち“煤改電(石炭を電気に換える)”改造工事の遅延によるものだった。これは石炭燃焼による大気汚染を防止するために、中国政府が発した「“禁煤令(石炭禁止令)”」に伴う“煤改電”および“煤改気(石炭を天然ガスに換える)”の一環だが、多数の地域で改造工事が遅延したため、学校のみならず一般の住宅も暖房が使えなくなり、大問題に発展したのだった。

2016年7月1日、中国政府“環境保護部”は『“京津冀大気汚染防治強化措施(2016-2017年)(北京市・天津市・河北省大気汚染防止措置2016~2017年)”』(以下『防止措置2016~2017年』)を発表した。北京市・天津市・河北省における微小粒子状物質(PM2.5)の年平均濃度を引き下げることを目的としたもので、2017年までの引き下げ目標を、北京市は60μg/m3、そのうち南部4区(豊台区、通州区、房山区、大興区)は65μg/m3前後、天津市は60μg/m3前後、そのうち武清区、宝坻区、薊県は全市平均以下、河北省は67μg/m3前後、そのうち保定市、廊坊市はそれぞれ77μg/m3、65μg/m3前後と設定した<注1>。

<注1>日本の環境基準では,PM2.5の1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下となっている。

その上で、2+4都市(北京市・天津市+河北省の保定市・廊坊市・唐山市・滄州市)を重点地域、1+2都市(北京市+保定市・廊坊市)を重点中の重点地域に定め、農村の無石炭化や車両の排ガス汚染防止、工業汚染の防止などの推進を策定した。また、河北省の保定市と廊坊市は全力を挙げて農村部の“電代煤(石炭に換えて電気)”と都市部の“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”計画<注2>を推進し、石炭炊きの小型ボイラーの淘汰を強化することを策定した。さらに強化措置として、2017年10月末までに北京市・天津市・河北省の平原地区では基本的に“無煤化(無石炭化)”を実現し、保定市の市街区内にある全ての“城中村(都市の中に取り残された伝統的な村落)”で“電代煤”を実現し、保定市北部地区と廊坊市行政区域内の農村で“電代煤”の推進を加速することが策定された。

<注2>“電代煤”および“気代煤”は、家庭の暖房を従来の石炭燃焼から電気あるいは天然ガスの壁掛けボイラーによる暖房あるいは集中暖房に変更することを意味する。

2017年3月、環境保護部は2月17日付の『“京津冀及周辺地区2017年大気汚染防治工作方案(北京市・天津市・河北省及び周辺地区の2017年大気汚染防止作業計画)”』(以下『2017年作業計画』)を発表した。これは前年の『防止措置2016~2017年』を発展させたもので、その対象地域は従来の2+4都市(北京市・天津市+河北省の4都市)から拡大されて2+26都市になった。2+26都市とは、北京市・天津市+河北省の8都市(石家荘市・唐山市・保定市・滄州市・衡水市・邢台市・邯鄲市)+山西省の4都市(太原市・陽泉市・長治市・晋城市)+山東省の7都市(済南市・淄博市・済寧市・徳州市・聊城市・濱州市・荷澤市)+河南省の7都市(鄭州市・開封市・安陽市・鶴壁市・新郷市・焦作市・濮陽市)であった。このうち、山西省の4都市はいずれも石炭を産出する「産炭都市」である。

「青空防衛戦」に3段階の指令

『2017年作業計画』の主要任務は7つの項目で構成されるが、その第3項目には次のような内容が書かれている。

【3】冬季クリーン暖房重点プロジェクトを実施する。2+26都市を北方地区冬季クリーン暖房計画の第1回実施範囲とする。“城中村”、“城郷結合部(都市部と農村部の隣接地域)”および農村地区の“散煤”管理を全面的に強化し、北京市、天津市、廊坊市、保定市では10月末までに“禁煤区(石炭禁止区)”建設の任務を完成させ、実施範囲をさらに拡大させて冬季クリーン暖房を実現する。その他の都市は輸送ラインを10月末までに完成させ、天然ガスが良ければ天然ガス、電気が良ければ電気の原則で、各都市は5万~10万戸の“以電代煤(電気で石炭に換える)”あるいは“以気代煤(天然ガスで石炭に換える)”による集中暖房の工事を完成する。工業の低級余熱や地熱エネルギーなどの利用を拡大する。

さらに、環境保護部は2017年8月21日に『“京津冀及周辺地区2017-2018年秋冬季大気汚染綜合治理攻堅行動方案(北京市・天津市・河北省および周辺地区2017~2018年秋・冬季大気汚染総合管理難関突破行動計画)”』(以下『2017~2018年行動計画』)を発表して、「2017~2018年秋・冬季の大気汚染防止活動に全力で取り組み、断固として“藍天保衛戦(青空防衛戦)”に勝利しよう」と呼びかけた。『2017~2018年行動計画』には次のような記述がある。すなわち、2017年の上半期に各地区各部門は大気汚染防止活動を着実に推進して成果を上げたが、北京市・天津市・河北省および周辺地区における大気の環境情勢は依然として深刻であり、特に秋・冬季の大気汚染防止には弱い部分があるので、的確な措置を採り、秋・冬季大気汚染防止活動を着実に行わねばならない。

要するに、環境保護部は、2016年7月の『防止措置2016~2017年』、2017年3月の『2017年作業計画』、さらに2017年8月の『2017~2018年行動計画』という形で3段階の指令を発することにより、2(北京市・天津市)+河北省・山西省・山東省・河南省の合計26都市における大気汚染防止活動を推進して「青空防衛戦」に勝利しようとしたのである。

これを受けて、2+26都市の各地では2017年10月1日から“禁煤令(石炭禁止令)”が発令され、石炭を燃焼させる設備・施設の新築、拡張が禁止され、企業や個人による燃焼用石炭の販売、輸送が禁止された。各地の地元政府は暖房が始まる11月15日前に“電代煤(石炭に換えて電気)”、“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を実現するための工事を急いだが、工事の開始が遅かった地域では11月15日前に工事の完了が間に合わず、夜間は氷点下になる気候の中で当該地域の人々に暖房無しの生活を余儀なくさせることになった。学校や各家庭にあった石炭炊きのボイラーや壁掛けボイラー、石炭ストーブは政府命令に従って撤去していたから、違反は承知でこっそり石炭を燃やして暖を取ろうとしても肝心の燃焼設備そのものがなかった。文頭に述べた河北省曲陽県の小学校で厳寒に中で子供たちが校庭に座って授業を受けていたのは、上述した事情によるものだった。

石炭を燃やして行政拘留5日

ところで、国営通信社の「中国新聞社」は12月4日付で下記の記事を配信した。

12月3日、山西省“忻州(きんしゅう)市”公安局“環境安全防衛支隊”の「大気汚染巡査チーム」は夜間巡回中に建設現場で3カ所の火種を発見した。その場で煙の分析を行ったところ高濃度の二酸化硫黄などの有害物質が含まれていることが判明したので、調査を経て同チームは労働者の“王〇偉”が石炭を燃やして暖を取ったことを確認して逮捕し、同人を“行政拘留”5日間に処した。

行政拘留とは治安を乱した者に対する行政処罰であり、公安機関が裁決の権限を持つ。忻州市は2+26都市に含まれていないが、中央政府の呼び掛けに応えることで成績を上げる目的で厳しい措置に出たものと思われる。このニュースを知ったネットユーザーたちは、工事現場の労働者が暖を取るのに石炭を燃やしたからと言って行政拘留5日間はひどすぎるし、それがだめなら屋外で働く者は何を燃やして暖を取れというのかと抗議の声を上げたが、地元公安局は“王〇偉”が大気汚染巡査チームの説諭に真面目に対応しなかったばかりか、石炭以外にプラスチックバッグや古タイヤなどの廃棄物を燃やして有毒ガスを排出したことが理由だとして抗議を退けた。

ところで、上述した『2017年作業計画』にある主要任務の第3項目には「“散煤”管理を強化し」という記述がある。2015年12月21日付の「中国能源報」が報じた“散煤”に関する記事には、「“散煤”は家庭で暖を取ったり、飲食などに用いる石炭を指し、通常の状況下では小型の工業用ボイラーにも用いられる。“散煤”には未だに明確な定義がないことから、その使用状況に対する統計も正確なものとなり難い。推定では、我が国の燃料用石炭のうちの20%~25%が“散煤”であり、毎年の消費量は6億~7億トンと思われる」とある。“散煤”とは、採掘されたままの石炭で、選炭(原炭に含まれる無機物を分離・除去すること)をしていない低品位の石炭を指す。これを燃やせば二酸化硫黄などの有毒ガスが大気中に排出されて、PM2.5の濃度上昇に貢献することになる。

頼みの天然ガスも不足

中国政府が大気汚染防止措置の重点に置いたのは、“散煤”の使用を抑制することだった。従い、PM2.5が深刻な北京市を中心とする2+26都市で“禁煤令(石炭禁止令)”を発令して、“電代煤(石炭に換えて電気)”と“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を推進したのだった。

しかし、その結果は関連工事の遅延により多数の地域で暖房を使えずに凍える人々が発生し、その数は2+26都市で1000万人以上に達したという。河北省の廊坊市・保定市の“禁煤区(石炭禁止地区)”だけでも、105.4万戸の庶民が暖房に問題が発生、あるいは暖房が全くない状態を余儀なくされたのである。問題はそれだけではなかった。2+26都市を含む北方地区で“煤改気(石炭を天然ガスに換える)”が実施されたことにより、北方地区の天然ガスの需要が急上昇し、天然ガスの消費量も大幅に増大したため、“供不応求(供給が需要に応じきれない)”の状況となったのである。

中国政府“国家能源局(国家エネルギー局)”発行の『中国天然ガス発展報告(2017)』によれば、2017年の天然ガス消費量は2303億~2343億m3で、一次エネルギー消費に占める天然ガスの比率は7%に達し、前年に比べて245億~285億m3増加、その伸び率は11.9%~13.8%と予想していた。しかし、11月15日の暖房開始による需要と“煤改気(石炭を天然ガスに換える)”による新たな需要が重なったことにより、天然ガスは供給不足に陥った。このため、その影響は内陸部の陝西省“西安市”にまで及び、西安市内の170カ所以上の団地では天然ガスの供給が途絶え、暖房が使えなくなったという。天然ガスの供給不足により各地の“燃気公司(ガス会社)”は“限気通知(天然ガス供給制限通知)”を発表し、ユーザーに対して必要に応じて天然ガスの供給を停止する旨を通告した。

北方地区の2+26都市およびその周辺地域の人々が厳冬の中で凍えている実情がメディアを通じて大々的に報じられ、“煤改電”・“煤改気”工事の遅延や天然ガスの供給不足に対する批判が高まったことで、世論の圧力に負けた環境保護部は、12月4日付で2+26都市の各地方政府に対して“特急文件(緊急通達)”を出した。それは『“散煤”総合管理を遂行して大衆が温かく冬を過ごせることを確保する任務に関する文書』と題するもので、大衆が温かく冬を過ごすのが第一原則であり、暖房時期に入り、プロジェクトの工事が完成していない地域あるいは地方については、過去の石炭を用いた暖房方式あるいはその他の代替方式をそのまま継続してよいという趣旨であった。

緊急通達で撤回も、不満は充満

中国政府が一度出した行政指令を強行することなく、譲歩して指令内容を緩和することはあまりない。今回の緊急通達は環境保護部がその面子を失うものであり、できれば避けたかったと思うが、国民が厳冬の凍てつく寒さの中で暖房なしで震えている実態を目の当たりにしては、致し方なかったのだろう。今回の事態は中央政府の計画だけが先行して、各地方政府の行動が遅々として伴わなかったことに起因する。また、環境保護部は国家エネルギー局と冬季における天然ガスの需給バランスを十分に協議しないまま、2+26都市計画を推進したことが、天然ガスの供給不足をもたらしたと考えられる。

環境保護部の緊急通達により凍える人々の暖房問題が解決すれば良いが、過去の石炭を用いた暖房設備はすでに撤去されているはずで、工事完了までの一時的な代替設備が急きょ用意される可能性は少ないように思える。全ての人々が暖房のある生活に戻るにはまだ時間がかかるだろうし、天然ガスの供給量を急激に増やすことはできない。多少の暑さは冷房がなくてもしのげるが、厳寒の寒さは暖房なしではしのげない。

大気汚染を防止してPM2.5を抑制するという国家を挙げての意気込みは認めるが、国民を極寒の中で震えさせては、人々の政府に対する反感を増大させる効果しか望めない。一方、環境保護部が2016年7月から3段階の指令を出して準備を整えたのに、地方政府の対応が遅れたのはなぜなのか。“煤改電”・“煤改気”工事は多大な資金を必要とする。財政難に陥っている地方政府にとって諸手を挙げて歓迎するものではないということも考えられる。「面従腹背」は権謀術数渦巻く中国官界の常套手段だが、それが庶民に影響を及ぼすようでは庶民が面従腹背をするようになり、不満がいつか爆発することになりかねない。

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