11/4日経ビジネスオンライン 福島香織『中国「二人っ子政策」、それは“朗報”ではない 「国家管理出産」では経済減速を乗り越えられない』について

「計画出産も計画経済も止めろ」と福島氏は言っていますが、それを止めたら共産党のレーゾンデ-トルがなくなるでしょう。夢の話です。問題は共産主義でなく、中国人の国民性にあります。経済で見た場合、富の分配がいつの世にもうまく行ってこなかったと言えます。「苛政は虎より猛なり」の諺が象徴しています。自己中の中国人ですから自分が儲かれば他人はどうでもよいという発想ですし、権力者は「清官三代」と言われるように清官であっても蓄財に励みます。中国のGDP構成比で消費の割合が低く出るのはここいらに原因があります。大衆に富を渡さず、貧しいものは益々貧しくなります。何清漣は「腐敗は中国の歴史であったけれども、一番ひどいのは共産党支配」と言っていたと思います。権(ポスト)銭(金)交易です。周永康の賄賂受領額が1兆6000億円と言うのですから、他の要人たちはどのくらい取っているのかです。「共産主義は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る。」と言われますが、「必要」額を超えているし、周永康に能力があったとも思えません。共産党支配の一番ダメなところは「三権分立」「選挙による国民の為政者への監視」がない所です。

中国元のIMFのSDR入りが確実視されているという話で、今般のASEAN国防相会議では「元」の力を見せつけ、AIIBからの融資を梃子にして「南シナ海」問題の共同声明を見送りにさせたようです。ASEAN諸国も中国の軍門に下れば、チベット・ウイグル・南モンゴルのように虐殺、領土の蹂躙と言うのが分かっていないのでしょうか?日本の経済団体も大挙して北京に押し掛け、愚かとしか言いようがありません。「敵を詐術によって勝つ」のが中国兵法です。官民の発表数字は勿論出鱈目、国全体が過重債務なのに、人民元を発行して、他国に元での支払いを押し付けようとするでしょう。日本企業は$払いで契約しないと痛い目に遭います。出来れば付き合わない方が良い。経済を富ませることは中国の軍拡に手を貸すことにもなるし、駐在員の人質化を認めることになるからです。

中国で「ふたりっ子政策」より問題なのは、「都市戸籍」と「農村戸籍」の存在と「档案」の存在でしょう。「都市戸籍」と「農村戸籍」では生活する上での待遇格差が激しく、この是正がなくならない限り、総体としての格差も縮まりませんが、自己中の中国人はやらないでしょう。また「档案」は共産党支配の根幹を為すもので、敵を「家族を含めた経歴」で縛るものですのでこれも共産党支配が続いている間は止めないでしょう。ピルズベリーは「中国に騙されて来た」とやっと気づいたようですが、遅すぎです。もっと下の人間と付き合えばいろいろ見えたでしょうに。日本のエリートと言われるのも同じ。今頃言っても遅いとしか言いようがありません。中国の民主化何て百年早いとしか言いようがありません。

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 中国でおよそ35年間続いていた”一人っ子政策”が廃止された。これからはどんな夫婦も二人まで出産してもいい”二人っ子政策”になるという。これは目下、目立った成果が報じられていない五中全会(18期中央委員会第五回全体会議)で決定されたほぼ唯一の”朗報”であり、とりあえず歓迎の声で迎えられている。

 早速、”ご近所で子づくりに励む声が聞こえる”、”二人目解禁になってから、夜の微博の書き込みが減った”といったつぶやきがネットの上で散見され、東京株式市場でも紙おむつや粉ミルクなど新生児関連の株価が上昇した。来年は中国でベビーラッシュが起きるであろうと言われている。なので、ポジティブなニュースとしてとらえられるべきなのだが、ここであえて懸念もあることをまとめておきたい。

五中全会「唯一の朗報」が抱える懸念

 五中全会は25日から29日まで開かれ、最終日にコミュニケが採択された。蛇足ながら中央委員会全体会議は中国において毎年秋に開かれ、翌年以降の重要政策および人事を決める党中央の最重要会議である。毎年春に行われる国会もどきの全人代(全国人民代表大会)には実は政策も法案も決める実質的権限はなく、中央委員会全会の決定をなぞるだけである。五中全会の最大の注目点は第13次五か年計画の内容と政治局人事であったが、人事も経済成長目標も打ち出されなかった。おそらくは人事と経済数値については議論が紛糾したまま、まとまらなかったのだろう。

 だが、その代わり、「人口バランスの発展を促進し、計画出産育成の堅持を基本国策とした上で、人口発展戦略を完璧なものとするために、一組の夫婦に二人の子供を出産育成する政策を全面的に実施し、人口老齢化に積極的に対応していく」という一文がトップニュースになった。

 これを受けて、国内外メディアは一胎化政策(一人っ子政策)廃止と大きく報じた。

 一人っ子政策問題は1970年代末に段階的に導入され、80年9月25日の「人口増加抑制に関する問題で全共産党員・共青団員に対する公開書簡」の発表をもって正式に全国での導入が推進された。

 中華民国時代4億人であった人口が1980年にはおよそ10億人に急増し、60年代からすでに人口急増は中国政府の課題であった。この人口の急増が食糧不足を引き起こし、社会の現代化を大幅に遅らせるという問題提起が70年代からさかんになり、文革終了とともに試験的に導入が始まっていた。

計画出産委員会による厳罰という名の蛮行

 この政策推進にあたっては計画出産委員会という組織が設立され、全国各地の農村単位までその支部が作られた。その政策の実行は極めて厳格で、一人目を出産したあと避妊手術を受けるなどして「一人っ子宣言」した夫婦に対しては奨励金や医療、教育費の一部免除、退職金の割り増しなど七つの優遇を受ける一方、この政策に違反した夫婦は厳しいペナルティを課せられた。その代表的なものが年収の6倍から10数倍に上るという罰金であり、また二子目の妊娠が発覚したときの強制堕胎措置、また賃金カットや昇進の停止といったものだった。

 一部の農村の計画出産委員会の役人たちの罰金の取り立てや強制堕胎のむごさは、21世紀に入ってからも大きな人権問題として批判の的になった。

 盲目の人権活動家で2012年に自宅軟禁状態から脱出し米国大使館に亡命した陳光誠は、山東省臨沂市当局の一人っ子政策を理由にした強制堕胎や罰金徴取の違法性を訴えたことが、当局の恨みを買ったために不当逮捕、軟禁、虐待の憂き目にあった。払う罰金がない場合は、暴力的な家探しをして家財道具のすべてを奪ったり、嫌がらせに家屋を破壊したり、泣きながら抵抗する女性に強制堕胎手術を行ったりする計画出産委員会の蛮行が、しばしば告発されていた。役人が超生(政策違反で生まれた子供)を無理やり奪って、養子縁組組織(人身売買組織)に転売する事件もあった。妊娠七カ月を過ぎた段階で見せしめ的に強制堕胎した例も報告されている。

 農村では男尊女卑の価値観が根強く、一子目、二子目が女児の場合、違反を知りながら男児が生まれるまで出産を続けることも多かった。最初に生まれた女児たちは間引かれたり、戸籍を与えられなかったり、売り飛ばされたりして存在しないことになった。結果的に、男児が増え女児が減少する出生性別比の不均衡が現れ、農村では女児100人に対して男児が120人前後という極端な女児不足が続いた。2020年までに結婚相手に不自由する結婚適齢期男性が3000万人前後にのぼるという推計も出された。

政策転換を阻んだ年200億元の利権

 私が北京に赴任した2002年ごろから人口学の専門家は一人っ子政策の転換を訴えていたが、中国政府は農村部ではまだ人口が多すぎる、という理由でその主張を無視し続けていた。当時、農村の労働力は4億~5億人と推計され、うち1.5億~2億人が余剰労働力だと言われてきた。この余剰労働力が都市に流入すれば都市資源があっと言う間に食いつぶされてしまうおそれがあり、一人っ子政策転換は戸籍制度改革問題とセットで政権がなかなか手を付けられない鬼門の政策であった。一方で、一人っ子政策が時代遅れになってきたという認識も芽生えており、農村部では各地の条例により一子目が女児や障害児であった場合、インターバルをあけて二子目を産んでよいとする政策の緩和も始まった。

 2011年ごろから余剰労働力がほぼゼロになり、いわゆるルイスの転換点を迎えたと言われるようになった。だが、50万人以上の職員を抱える計画出産委員会という巨大な役所が得る、年間200億元超えの「超生の罰金」はすでに大きな利権構造をもち、官僚たちは依然、この政策転換に抵抗していた。

 だが、いよいよ一人っ子政策を維持する公式の理由がなくなり、本格的緩和が模索される。夫婦がともに一人っ子の場合、二子目出産を認める双独二胎政策が導入され、続いて2013年暮れ、片親が一人っ子の場合は二子目出産を認める単独二胎政策に切り替わる。1100万夫婦が二子目を生む対象であったが、1年たち、二子目出産を申請したのはわずか70万組と政府の期待に大きく反した。こうして今年夏ごろから一人っ子政策を全面的に二人っ子政策に切り替える方針が固まっていた。ただ既得権益グループの抵抗も強く、実施は来年に持ち越されるのではないかと言う観測もあった。

 こうしてついに、一人っ子政策の歴史が終わったわけだが、国内外の反応は意外に芳しくない。まず、政策転換の理由は、一人っ子政策の非人道性を反省したのではなく、純粋に経済対策として行ったと言うことに対し、一人っ子政策反対派の人権活動家は比較的冷ややかだ。陳光誠はAFPのインタビューにこうコメントしていた。「きょう一人っ子政策をやめても、少子高齢化問題の解決にはあと50年かかる」「彼らはただ制限を少し緩和しただけで、やはり本来個人に属する出産の権利を厳格にコントロールし続ける」。

 実際五中全会コミュニケでも、「計画出産政策は国家の基本政策として堅持する」としており、出産が女性の権利として自由になるというわけではなく、また計画出産委員会が解体されるわけでもない。むごい方法で堕胎させられたり罰金を徴収される悲劇が無くなるのは朗報だとしても、「そのうち二人目出産が義務化される」「二人目を出産しないと罰金が科されるんじゃないか」と揶揄する声もネット上には散見された。

労働力不足が招いた外国人違法就労問題

 肝心の労働力不足、少子高齢化問題の緩和も、この政策自体に即効性があるわけではない。

 来年生まれた子供が一人前の労働力に成長するのは少なくとも18年後だ。中国は将来10年の間に18歳から22歳の人口が4000万人減り、20歳から40歳の働き盛りの人口は1億~3億人減るという推計がある。この中国の労働人口1億人分を補うために、中国はどうすればいいのか。

 労働力不足に関していえば、この数年、広東省などでは「洋黒工」と呼ばれる外国人の違法就労者急増が社会問題としてメディアでも論じられはじめている。アフリカ諸国やミャンマー、パキスタン、ベトナムなど東南アジアからの不法移民の中国の工場での不法就労が急増していて、それが治安悪化などを引き起こしている。一人っ子世代の若者の工場労働に対する賃金や労働環境の要求が高く、安価な労働力を武器にしていた中国の製造現場に一人っ子世代労働者が寄り付かなくなった。その穴を、工場側は、より低賃金、悪条件で働くアフリカ人や東南アジア人の違法就労で補おうとしているのだ。

 移民は、中国にとっても極めてリスクが大きい。最大の懸念が治安の悪化。さらにイスラム教徒やキリスト教徒ら、中国にとってコントロールしにくい思想、信条を持つ人が多く、各地で地元中国人との間で文化的衝突を起こすほか、国内の少数民族の過激派と結びつくのではないかという不安もあり、彼らが定住化すれば新たな民族問題に揺れる可能性もある。世界で四番目の移民輸出国の中国が、実は国内の不法移民問題で悩んでいたわけだ。

 労働者不足に続いて大きな懸念は、少子高齢化問題だ。高齢者の社会福祉システムの整備が完成していない中国では子供が老親の暮らしを支える。60歳以上の人口は2010年11月の段階で総人口の13.3%だが、2042年には総人口の30%を超えると推計されている。労働人口と扶養される高齢者の人口比は2020年で1:3。健康な老人であれば、現行の55歳定年、60歳定年を延長し、高齢者労働力を活用して労働力不足を補うという方法もあるのだが、中国の場合、60歳を過ぎて労働意欲のある高齢者は日本よりずっと少ないように思われる。

 一つの大きな懸念は、政策が変わったことで、むしろマイナスの影響が起きるかもしれない、ということである。子供の教育費が日本などよりもよっぽど割高な中国で、都市民や豊かな農民があえて二人目を生む選択をするかという問題もあるが、たとえば昔の男児重視、男尊女卑的伝統にとらわれたままの貧困農民層・労働者層ほど、子供を多く生み、現役労働力世代が、高齢者の扶養と増えた子供の養育の板挟みになってますます貧困化し、貧富の格差がより激しくなるかもしれない。

計画出産も計画経済も、もう限界

 結局、一人っ子政策の転換は中国の目下直面する経済成長急減速の特効薬ではないのだ。経済成長のための具体的政策があり、給与が順調に増えていくという期待があり、生まれてくる子供に未来のある社会を用意できるのだと思うからこそ、若い夫婦が子供をもう一人産もうと考える。それが正しい順番だろう。

 経済のために、国家のために、子供を何人産めという政策自体が実は極めていびつで、党と政府が出産という家族のプライベートに介入することは、企業の人事や株の売買に行政指導が入ることと同様、国家の成長の伸びしろをたわめることになると私は思っている。

 改革開放以来最大の経済減速期を迎える中国が、次の発展段階の軌道に乗るためには本当ならば「一人っ子政策廃止」ではなくてこう言わなくてならないだろう。

 計画出産も計画経済も廃止する、と。

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