『去ってまだ1年の「オバマ時代」を懐かしむ米国民 専属写真家が8年間撮り続けた写真集が売れに売れる』(3/19JBプレス 高濱賛)、『選挙公約をほぼ達成したトランプ大統領 近年にない達成率だが、米国内では二極化が加速』(3/15JBプレス堀田佳男)について

3/20日経朝刊<国家主義、世界で共振 中ロが強権支配固める 民主政・自由経済に試練

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がときを同じくして長期にわたる強権支配を固めた。ともに歴史的な大国の復興を掲げて欧米中心の秩序に挑み、地政学的な野心も隠さない。国際秩序の守り神であるはずのトランプ米大統領も「米国第一」を押し通す。自国優先主義が共振し、軸なき世界に混沌を広げる。民主主義と自由経済は試練のときを迎えた。

英国での元ロシアスパイの毒殺未遂事件をめぐり欧米とロシアが対立。鉄鋼などの輸入制限を打ち出した米国は台湾との間で高官の交流を促す法律も成立させ、中国が猛反発した――。最近相次いだ事件は、米ソ冷戦の終結で勝利したはずの民主主義と自由経済を軸とする秩序が揺らぐ世界を映す。約30年前、欧米が抱いた経済のグローバル化が成長と民主化をもたらすとの期待は外れた。

中国もロシアも自由化による成長の果実だけをもぎ取った。習氏は開催中の全国人民代表大会で国家主席の任期をなくし、2023年以降の続投を可能にした。プーチン氏は18日の大統領選で24年まで四半世紀の支配を決めた。「皇帝」のような強さにこだわり、独裁的な国家主義に動く。

「米国を再び偉大に」と叫ぶトランプ氏の発想は、プーチン氏や習氏に似通う。民主化の原動力となる中間層は経済のグローバル化で傷つき、米国でも白人労働者層がいわば負け組となった。その層に大衆迎合で応じるトランプ氏は国際協調をないがしろにし、中ロの国家主義と共振する。

軍事力をはじめとするハードパワーへの回帰は国家の復権の象徴だ。中国は南シナ海などで領有権を強硬に主張し、ロシアはウクライナ領クリミア半島を併合し国境を武力で侵した。トランプ政権も核兵器重視への転換を表明し、ロシアは戦略兵器の開発の誇示で対抗する。冷戦時代さながらの「核の抑止」という言葉が世界で飛び交う。

英王立国際問題研究所のロビン・ニブレット所長は多元的を意味する「ポリセントリック世界」の到来を指摘する。超大国・米国の指導力が薄れ、各国が国益次第でときにぶつかり、ときに場当たり的に合従連衡する。自国の利益優先がはびこり、イデオロギーで二分された冷戦時代よりも世界は複雑さを増した。

その潮流はすでに中東で鮮明だ。米国に対抗しシリア内戦に軍事介入したロシアは圧倒的な優位に立ち、米国の同盟国トルコやサウジアラビアまでプーチン氏にすり寄る。経済秩序も揺れ、保護主義に傾く米国を尻目に、中国の習氏が自由貿易の守護者のように振る舞う皮肉な場面も現実となった。その米中はデジタル経済の覇権も争う。

国家主義は人権などへの配慮を後回しにし、スピード感ある国家運営を演出しやすい。だが独裁が招く誤りは歯止めが利かず、独善的な指導者の判断ミスがもたらす災厄は格段に大きくなる。指導者不在の「Gゼロ」世界を予見したイアン・ブレマー氏は「この10年は秩序の見えない混沌の時代が続く」とみる。

では日本は、どんな道を歩むべきか。安倍晋三政権は森友問題で民主主義を揺るがしかねない公文書の書き換えが発覚した。そんな状況下でも、日本が欧州とともに米国を引き留め、民主国家の結束を維持する以外に、「Gゼロ」の世界の防波堤は見当たらない。

経済も混沌とした世界の行方を左右する。国家主義は汚職をはじめとするゆがみを生みやすく、持続可能性に疑問符が付く。すでにロシア経済は停滞に陥り、中国も過剰債務などの矛盾を抱える。世界で開かれた経済を守る。民主主義と自由経済の恩恵を受けてきた日本が負うべき責務だ。

(モスクワ支局長 古川英治)>(以上)

米露中を一緒くたに論じるのはおかしいと思います。米露は民主主義国で、中国は共産主義国です。中国には当然民主選挙なぞありません。ロシアの選挙の不正について、TV等メデイアで報道されていましたが、米・日にも程度の差こそあれあることです。勿論ないに越したことはありませんが。カンボジアの選挙監視団の一員として派遣された中田厚仁氏が殺害された事件もありました。民主主義と言っても成熟度は各国で違います。70%超の得票率を見ると、ロシア国民は洗脳されていると見てしまいがちですが、今の日本だって笑えません。メデイアの倒閣運動に乗せられて、簡単に内閣不支持とするのですから。自分の頭で考えるのが如何に難しいかと言う所です。

「大衆迎合で応じるトランプ氏は国際協調をないがしろにし、中ロの国家主義と共振する」と古川氏は述べていますが違うでしょう。世界の平和を乱す中露に戦うために行動しているだけです。

3/20日経朝刊<艦載機「F35B」導入 政府・自民、護衛艦の空母化検討

政府・自民党は短い滑走で離陸し垂直着陸できるステルス戦闘機「F35B」を導入する方針を固めた。年末に改定する防衛大綱や中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込む。護衛艦「いずも」をF35Bなどの戦闘機が離着陸できるよう、事実上の空母として改修することも検討する。離島防衛強化を狙うが、日本が掲げてきた「専守防衛」との整合性が課題になる。(略)>(以上)

「いずも」は建造当時から空母に変えることができるように設計されていました。専守防衛に拘ることなく抑止力を強化しなければ尖閣も中国に取られてしまいます。いずもは戦艦大和と比べ15m短いだけです。(下図で22DDHがいずも)

3/19看中国<贸易战无赢家 IMF指中国不遵守贸易规则(图)=貿易戦争で勝者はいない IMFは中国が貿易規則を守らないと指摘(ラガルド)>G20(ブエノスアイレス)前夜ラガルドは「トランプの関税賦課には理由がある。世界にはWTOの規則を守らない国があり、技術移転を要求する。中国はその突出した例である」と述べた。NYTに依れば「中国がWTO加盟時、米国が支持したのは、中国が①米国企業の中国消費市場への迅速な参入②中国の政治の自由化の実現を約束したからである。両方とも実現していない。3/17習とメルケルは電話で会談。G20で「多国間貿易での協力の重要性」についてアピールする。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/03/19/853156.html

3/19希望之声<美众院要求FBI交出上百万份有关希拉里的文件记录=米下院はFBIに百万部にも上るヒラリー文書を提出するよう要求>下院司法委員会委員長のグッドラトはヒラリーのメール事件に関し違法行為があったかを調べるため、FBIに文書の記録を提出するよう要求した。去年1年かけて司法省の監督部門長であるホロヴィッツは、FBIとオバマ時代の司法省高官がヒラリーのメール事件の扱いを適正に処理したかを調査。4月には国会議員に120万部の調査資料を渡す予定と。グッドラトはFOXに「今までに見たのは120万部のごく一部。これは残念である。監督部門の調査は重要であるし、国会がFBIを監督するのも重要である。もし、FBIが記録を出さなければ、召喚する」と述べた。ホロヴィッツの調査結果に依り、セッションズ司法長官はマッケブFBI副長官を解雇(退職金が貰える辞任を認めず)した。理由は、①情報をメデイアに漏洩②民主党との繋がり③調査員を誤導したこと。グッドラトは司法長官のマッケブ解任は適正であると述べた。マッケブは2016大統領選の調査に関与した。ホロヴィッツはかつてコミーFBI長官がヒラリーのメール事件を不起訴にしたことが正しかったのか、司法省の観察部門次長のカドックがヒラリー陣営の非公開情報を明らかにしたかどうかも調べると言っていた。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/03/19/n1631456.html

3/19希望之声<川普对中共市场改革失望 终止“美中经济对话”=トランプは中共の市場改革に失望 米中経済対話を終わらせる>理由はトランプが「中国は外国人への市場開放を逆行させている」と信じているから。習は劉鶴を訪米させ、ムニューシンと会談させた。劉鶴は彼に「米中対話の相手を選び、何を欲するのかのメモ」を要求した。財務省高官は、「トランプ政権はG20の間に志を同じくする国家が連合して、中国に対し補助金政策と投資政策に圧力をかけることを求める」と言った。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/03/19/n1631435.html

3/20日経ビジネスオンライン<「在韓米軍の撤退求めず」が促した米朝首脳会談 隠されたメッセージは「米朝平和協定」か 重村 智計>北が本当に在韓米軍の駐留を認めたままで、平和協定を結ぶかどうかです。いくら経済制裁が効いていたとしても。自国民を200~300万人も餓死させたことのある国ですよ。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230558/031900020/?n_cid=nbpnbo_mlpus

高濱氏記事と堀田氏記事を比較しますと、高濱氏記事では自分の好みが色濃く出た印象を受けます。高濱氏も堀田氏もリベラルな立場の人なのでしょうけど、堀田氏はトランプの評価は公正にしています。高濱氏はオバマに思い入れがあるのでしょう。小生はオバマは無能で、世界平和の攪乱者としか思えませんが。

トランプは北の問題も中国の問題も米国の世界覇権を揺るがせないようにうまく対処していると思います。共産主義と言う自由・民主主義・人権・法治のないシステムが世界に蔓延したことを考えるとゾッとします。自由の国アメリカが世界に君臨している方がナンボかましか。

高濱記事

米首都ワシントンの国立肖像画美術館で、自身の肖像画の除幕式に出席したバラク・オバマ前大統領夫妻(2018年2月12日撮影)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB〔AFPBB News

「米国の存在自体を変質させかねない」トランプに危機感

米国の良識を次から次へと破り捨て、「米国第一主義」を錦の御旗にばく進するドナルド・トランプ大統領。

今のところ経済がうまくいっているため、ビッグ・マネー(経済界)やビッグ・ビジネス(大企業)や与党共和党はトランプ支持を貫いているのだが、いつどうなるか分からない。

首都ワシントンで会った元政府高官の1人は、今の米国の状況を「Existential Change」と定義づけていた。つまり<米国という国家の存在自体が変質する状態>にあるというのだ。

こんな下品で、無教養で、人種差別主義者な男が大統領になって1年2か月。

本来キリスト教に根づいた人道主義や貧者救済といった国是が音を立てて崩れ、自己本位で利己的で内向きの国家に変質してしまう可能性が出てきたというのである。

下院補選敗北で陰りが見え始めたトランプ共和党

そうした中で2月に起きたフロリダ州の高校での乱射事件を受けて、3月14日には高校生らが呼びかけて全米3000か所で銃規制強化を訴える集会・デモが一斉に行われた。

事件直後、トランプ大統領は教職員に銃の訓練を行って学校の安全対策を強化するとしたことへの反発が込められていた。トランプ政治への反発は若者から出てきたのだ。

政治の世界でも変化が出始めている。

11月の中間選挙を占う前哨戦として注目された東部ペンシルバニア州・連邦下院の補欠選挙では野党・民主党の候補が共和党候補を抑えて勝利したのだ。

共和党の前議員が不倫相手に人工妊娠中絶を迫ったことが明るみに出て辞職したため、行われた補欠選挙だった。

この選挙区は、かって鉄鋼業などが栄えた地域で保守色の濃い地域。2016年の大統領選ではトランプ氏が勝つ原動力となった地域だった。

補欠選挙に勝つべくトランプ氏は選挙前に鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置を発動する大統領令を出したが、それでも共和党は勝てなかった。

ワシントンの選挙専門家の間では「いよいよトランプ共和党への支持に陰りが見え始めた」とみている。

発売1か月で20万部売れて在庫は空っぽ

Obama: An Intimate Portait: The Historic Presidency in Photographs by Peter Souza Little, Brown and Company, 2017

そうした中で全米にはバラク・オバマ第44代大統領に対するノスタルジックな風が吹き始めている。去ってからまだ1年ちょっとしか経っていないのにである。

その証左の1つが、8年間のオバマ氏の一挙手一投足を撮り続けた専属写真家、ピーター・サウザ氏の写真集「Obama:An Intimate Portrait」の爆発的な売れ行きだ。

昨年11月に発刊されるや1か月で20万を完売。オンラインで書籍を販売するアマゾンやバーンズ・ノーブルも一時は在庫がゼロになってしまった。

現在も売れに売れ、ニューヨーク・タイムズなど主要メディアのベストセラーリストの上位を占めている。

本書はいわゆる「コーヒーテーブル・ブック」と呼ばれる大型の分厚い本だ。コーヒーテーブルとはソファの横に置いて、コーヒーなどを乗せるテーブルのこと。

それにさりげなく置いてパラパラと読む豪華本のことを「コーヒーテーブル・ブック」と呼ぶのだ。

著者のサウザ氏は、ボストン生まれの63歳。名門ボストン大学(BU)大学院でジャーナリズム修士号を取得と同時にシカゴ・トリビューンなどで報道フォトグラファーとして働いた。

その後、1983年から89年までロナルド・レーガン第40代大統領の専属フォトグラファーとしてホワイトハウス入りした。

そしてオバマ氏が上院議員として政治活動を始めた時から「オバマ番」となり、1989年からホワイトハウス公式フォトグラファーとしてオバマ大統領を撮り続けた。

その間シャッターを押した回数は200万回。大統領が行くところ常にお供し、決定的瞬間を撮りまくった。

大統領専用機「エアフォース・ワン」に同乗して全世界を旅した距離は150万マイル。地球58回も回ったことになる。

撮った写真は2009年から「Flickr」(写真ビデオ専用サイト)を使って公開、ホワイトハウスを去った後はもっぱらインスタグラムなどで折に触れて公開してきた。

本書にはその中の写真から厳選した300枚が掲載されている。

サウザ氏はなぜこの本がこれほど売れている理由についてインタビューでこう述べている。

一枚一枚にオバマの品格と優しさがにじみ出る

「なぜみんな手に取って見てくれるか。そうだね。多分ノスタルジーだと思う。みんな、オバマ政権が懐かしんだと思う。特に今の政治状況を目の前にしてみんなオバマ大統領が懐かしいんだよ」

本書の中には、2011年、国際的なテロ組織「アルカイダ」の首謀者、オサマ・ビンラディンを拘束する瞬間をホワイトハウス内のセチュエーション・ルームに設置されたテレビ画面で見つめるオバマ大統領やヒラリー・クリントン国務長官たちをとらえた写真もある。

また、2012年12月14日、側近からコネチカット州の小学校乱射事件で26人の小学生が殺されたことを知らされて嘆き悲しむオバマ大統領の写真など歴史的瞬間がいくつも収められている。

この本を手にした読者からはこんな感想がサウザ氏は届いている。

「一枚一枚にオバマ大統領の優しさがにじみ出ている。オバマという私たちの大統領に対する誇りと愛が蘇ってくる」

「政敵が探してもスキャンダルが出てこない大統領はバラク・オバマだけだった。私は彼がやったことすべて好きではないが、彼のファンだったらこの本は宝物になるだろう」

オバマ氏へのノスタルジアは、「裏を返せば、下品で行き当たりばったりのトランプに吐き気を催しているまともな米国市民の偽らざる心情ではないのだろうか」(米主要紙の論説主幹)。

堀田記事

訪問先のチャドの首都ヌジャメナで演説するレックス・ティラーソン米国務長官(2018年3月12日撮影)。(c)AFP PHOTO / POOL / JONATHAN ERNST〔AFPBB News

「大変驚くべきこと」と書くべきであろう。

何かと言えば、ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)が2年前の大統領選で掲げた選挙公約が、すでに8割ほど達成されているからである。

大統領に就任してまだ1年2か月である。

筆者は1982年に渡米以来、何人もの大統領を見てきた。2007年に拠点を日本に戻してからも、大統領選と歴代政権を追っている。その中で、選挙公約の8割を就任1年目で達成した大統領がいただろうか。

突然のティラーソン国務長官解任

一方で、トランプの言動は相変わらず不適切なままだ。

暴言は後を絶たないし、閣僚や高官の辞任・更迭はすでに20人を超えた。日本時間13日夜に飛び込んできた「ティラーソン国務長官更迭」のニュースも、トランプ政権らしい急転直下の動きだった。

依然として大統領としての資質や人格には大きな疑問符がつく。だが公約を果たしているのも事実である。公約(10本)という点に特化して、どれだけ達成されているのかを順に眺めていきたい。

(1)イスラム国(IS)の壊滅

トランプは選挙中からISを壊滅させると何度も口にしていた。2017年12月、イラク軍は「IS掃討作戦が完了し、イラク全土をISから解放した」と宣言。シリアでもISはほぼ制圧されている。

それではトランプがIS壊滅の直接の功労者なのかと言えば、そうではない。

バラク・オバマ政権からの継続的な戦いと、米国をはじめとするフランス、英国、オーストラリアなどの有志連合の努力もある。ロシアの力もある。

いまは政府側と反政府軍、クルド人との抗争に変わり、別の問題が発生してきている。だがIS壊滅という結果にいたったことはまぎれもない事実だ。

(2)イスラム教徒の一時入国禁止

トランプは政権樹立直後の昨年1月、イスラム教徒が多数をしめる7か国の国民の入国を90日間禁止した。

同時に難民の受け入れも禁止。もちろんテロリストの多くが7カ国の出身者だったという理由からである。

その後、複数の裁判所からトランプの判断は移民法に違反するばかりか、人権侵害にあたるとして執行が差し止められた。

これに対しトランプは3月、変更を加えた入国禁止令を再び発令。すると今度は最高裁判所がほぼ全面的にトランプの入国禁止令を受け入れ、120日間の入国禁止が執行された。

トランプは昨年9月に3回目の入国禁止令を出している。

(3)製造業を米国内に戻す

米製造業が廃れたと言われ出したのはいまに始まったことではない。同時に、米国内に製造業を戻す動きも、トランプが最初に言い出したものでもない。

10年ほど前に「製造業ルネッサンス」という言葉が登場し、中国をはじめとする新興国に点在した米企業の工場を、米国に回帰させる動きが始まった。

ただトランプは政権発足直後、大手製造業24社の最高経営責任者(CEO)をホワイトハウスに呼び、規制緩和を約束。同時に製造工場を米国内に呼び戻すように要請した。

それに呼応するように、キャタピラーをはじめ、ゼネラル・エレクトリック(GE)、フォード・モーター、ダウケミカルズ、ボーイングなどの大手が米国内に製造工場を作ると発表した。

流れとして製造業の国内回帰につながっているのは事実。

(4)中国とメキシコの商品に高関税を課す

トランプは大統領選時、中国とメキシコ両国を目の敵にしていた。メキシコ製品に35%の関税をかけると述べたが実現していない。

ただ3月8日、通商拡大法232条にもとづき、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課すことを決定。これは中国が主な標的である。

3月23日から課税が始まるが、隣国のメキシコとカナダに対しては関係悪化を懸念して除外措置をとった。

(5)NAFTA 再交渉、TPP離脱

北米自由貿易協定(NAFTA)と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)はいまのところ、公約どおりである。

NAFTAは今月、米国、カナダ、メキシコ3国による第7回会合が終わったばかりだ。そこでカナダとメキシコが鉄鋼とアルミニウムの関税対象から外されている。

トランプがTPPに戻ってくる可能性もあるが、復帰は安倍晋三首相の説得次第かもしれない。

(6)オバマケアの撤廃

実現済み。米国の積年の願望であったはずの国民皆保健(オバマケア)は2010年、オバマ政権時代に法制化された。

だがトランプ政権は昨年12月、税制改革法の中にオバマケア撤廃条項を盛り込み、廃止することに成功した。個人レベルで医療保健へ加入する義務がなくなることが、共和党側の狙いで、その通りになった。

(7)社会保障年金には手をつけない

日本の国民年金にあたる社会保障年金。米国の社会保障年金をいじらないという方針は、歴代の大統領が踏襲している。

というのも、いまでも米国の社会保障年金は黒字で運営されているからだ。あえて公約に掲げなくてもいいことだが、トランプも手をつけていない。

(8)すべての市民に減税をし、現行の税率を7段階から3段階にする

昨年末に成立した大型減税法により、多くの人たちが減税の恩恵にあずかっている。まず法人税が35%から21%に下げられた。

個人の所得税も最高税率が39.6 %から37%になった。遺産税も減税になり、減税規模は10年間で1兆1266億ドルだ。

3段階へと簡素化する予定だったが7段階のままである。

実はトランプが大統領選で掲げていた減税額は4兆ドルから5兆ドルだった。しかし財政悪化が懸念されたため規模が小さくなっている。それでも1986年以来の大型減税で、公約は実現されたと言って構わない。

(9)メキシコ国境に壁を建設

壁はまだ建設されておらず、公約は達成できていない。しかし今月13日、トランプはカリフォルニア州を訪れ、壁の試作品8種類を見て回った。

連邦議会での建設予算はまだ具体化しておらず、建設そのものに反対する民主党との本格的な駆け引きもこれからだ。

(10)銃所有の権利を守る

公約どおりと言うより、全米ライフル協会(NRA)と共和党保守派の思惑どおりである。銃規制を積極的に推進する民主党とは対極に位置する。

繰り返される銃乱射事件により、3月11日にトランプは銃対策を発表。だが殺傷力の高いライフルの購入年齢引き上げや即売会での経歴調査強化は含まれず、ほぼNRAの言い分を聞いた形になった。

政治家として未知数が大きかったトランプ。数々の暴言やロシア疑惑、セクハラ疑惑があるなか、公約だけは実現させているのは意外といえば意外である。

民主党支持者からの支持率は相変わらず7%(ギャラップ調査)という低さだが、共和党支持者からは81%の高さを保つ。

米国内のはっきりした分極化が進んでいる証と言える。

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