9/3アノニマスポスト<『台湾は2019年から英語を公用語とする』 台湾の頼清徳行政院長(首相)が明らかに~ネット「これは正解」「脱中国政策だな」>良い話と思います。英語を使うのは、シンガポールと同じで、蒋介石・亡命政権のChinese Mandarin を使う必要はありませんから。
http://anonymous-post.net/post-1069.html
8/30希望之声<历史上的今天,8月31日:李察•基尔——勇气来自灵性的故乡=8/31は何の日 リチャードギア 勇気は魂のふるさとから来た>リチャードギアが1993年65回オスカー受賞の時、その貴重な30秒を中国の人権ついて触れた。鄧小平にチベットから兵を退くようにと。それがためハリウッドはリチャードギアをオスカーには呼ばなくなった。(ハリウッドは左翼の巣窟だから)。25年も大作映画の契約を結ぶことはできなかった。1948年8月31日は、本日と同じであるが、リチャードギアがフイラデルフイアで生まれた日である。中学時代、校内では活躍して影響力を持ちながら、ハンサムで人を魅了する彼が、大学では人気のない哲学を学んだことは、人を驚かせた。「自分の存在意義は一体何だろう?」。このような疑問が彼にはいつも付いて回った。
リチャードギアと僧侶 (Photo by Mario Tama/Getty Images)
仏教の修練を経てリチャードギアは「チベットが苦難の道を受け入れているのは無価値ではない」と理解し、信じることができた。「このような非情な境遇こそが正に善良な市民を作るためであったし、魂を磨いて浄土にいる人間菩薩になるためであった」と。
https://www.soundofhope.org/gb/2018/08/30/n2121126.html
9/3希望之声<美日最强航母南中国海联合演练 抗议中共海上霸权=米日の最強の空母は南シナ海で合同演習 中共の海上覇権に抗議する>8/31二ミッツ級原子力空母のレーガンと2隻のミサイル駆逐艦及び海上自衛隊のヘリ空母「かが」が参加した。中共は南シナ海の人工島上に妨害電波設備や対艦巡航ミサイル、地対空ミサイル、重爆撃機を配備し、マテイスは中共が「恐怖と脅迫」を推し進めていると非難した。米国はインド・太平洋地域を自由に航行したいだけである。日本の2019年度防衛予算は5兆2986億円で記録を刷新した。その内、483億円は尖閣諸島の防衛に充てられる。
https://www.soundofhope.org/gb/2018/09/03/n2131290.html
鈴置氏と高濱氏の記事の書き方の違いが分かります。鈴置氏は朝鮮日報や中央日報、VOA、ナショナル・インタレスト、トランプのツイッター等幅広く当たっているのに対し、高濱氏はCNN等左派の米国メデイア、北朝鮮の新聞だけからです。高濱氏も心情的に左派に近いものを持っていると思われます。大体、平気で嘘をつき、暴力を肯定する共産主義者の新聞を例に挙げる所がそもそもという気にさせます。まあ、でも米国のメデイアの座標軸が如何に狂っているのかが分かりますけど。
鈴置記事
韓国は米国製原潜の導入を検討する。写真は2017年4月に釜山に入港した米原潜「ミシガン」(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
(前回から読む)
文在寅(ムン・ジェイン)政権の挙動が怪しくなるばかりだ。
大国の横暴には「民族の核」で
—前回は、韓国は「北朝鮮の核の傘」に入るつもりだ、とのくだりで終わりました。
鈴置:それを明確に書いた韓国人がいます。朝鮮日報の池海範(チ・ヘボム)記者です。同社の東北アジア研究所所長でもあります。記事「『北朝鮮の核は民族の資産』という幻想」(8月8日、韓国語版)の書き出しを訳します。
最近、ある小さな集まりで左派陣営の人がこう語った。「統一後を考えれば北朝鮮の完全な非核化よりは一部の核を残した方がずっとよい。我が民族が強大国の横暴を牽制するのには、核を持つことが格段に有利だ」。
彼は「南の経済力と北の核を合わせば世の中に怖いものはない。我々の世代がこの偉業を成し遂げようではないか」とも語った。
南北が平和共存に向け協力する時代に入ることで、北の核は南北共同、すなわち民族の資産になるとの論理だ。だから北朝鮮の非核化にこだわり過ぎず、大きな枠組みで交流・協力を強化せねばならぬということだ。彼の言葉に対し、同席した何人かが首を縦に振った。
文在寅政権も夢見る
—ついに韓国人が本音を語り始めましたね。
鈴置:池海範記者も韓国人が北の核で自らを守りたいと考えるのは、ある意味で当たり前と書いています。記事はこう続きます。
「南の経済力と北の核を結合する」との発想はかなり魅力的である。一部の知識層にこれを期待する雰囲気もあるようだ。外国からの侵略と亡国の歴史を持つ韓国人が、強く豊かな統一国家を夢見るのは極めて当然のことだ。
さらに池海範記者は、文在寅政権もそう考えているであろうと指摘し、批判しました。
しかし万が一にも青瓦台(大統領府)のいわゆる「自主派」補佐陣までこんな夢を見ているとすれば、非常に危険なことである。
「北の核は民族の核」との論理を作り、宣伝してきた主役は平壌(ピョンャン)政権だ。1月25日、北朝鮮の統一戦線部が発表した「国内外の全ての朝鮮民族に送るアピール」はこう主張した。
「我が民族が握った核の宝剣は米国の核戦争の挑発策動を制圧し、全ての朝鮮民族の運命と千万年の未来を固く担保してくれる。民族の核、正義の核の宝剣を北南関係の障害物と罵倒するあらゆる詭弁とたくらみを断固として粉砕しよう」。
池海範記者は「万が一にも」と書いていますが、韓国保守の間では「万が一」どころか「青瓦台は北朝鮮の別働隊。青瓦台こそが『民族の核』を夢見ている」と考える人が多い。
保守系紙の朝鮮日報は政権から目を付けられています。はっきりと書けば「どこに証拠がある」と訴えられかねないので「万が一にも」との表現を使ったのでしょう。
6割が左派運動の出身
—「自主派」とは?
鈴置:米韓同盟を蛇蝎のごとく忌み嫌い、北朝鮮との連携を主張する人々――左派民族主義者のことです。韓国の保守は「従北派」と呼んでいます。実際、青瓦台の補佐官はそんな人たちで占められているのです。
朝鮮日報が「『運動家の青瓦台』…秘書官クラス以上の36%が学生運動・市民団体の出身」(8月8日、韓国語版)で具体的なデータを報じています。
青瓦台の秘書室と政策室、安保室の秘書官クラス以上の参謀陣のうち、全国大学生代表者協議会や各大学の総学生会長ら、学生運動出身者と各種市民団体の出身者は全64人中、23人(36%)だ。
任鍾晳(イム・ジョンソク)秘書室長が所管する秘書室に限れば、それは全体の61%(19人)に達する。
そして、文在寅政権は口では「北朝鮮の非核化」を唱えますが、やっていることは正反対。2017年4-10月に政府系の韓国電力の子会社が北朝鮮の石炭を購入していたことが最近、明らかになりました。
もちろん国連制裁を破る行為です。韓国政府は輸入仲介業者を書類送検しましたが、最大野党の自由韓国党は「政府は、石炭は北朝鮮産と知りながら放置していた疑いがある」と批判しました。
韓国政府自身も2018年6-7月、南北連絡事務所の開設を名分に、北朝鮮に石油製品80トンを引き渡しています。中央日報の「安保理禁輸品目の石油・軽油80トン…韓国政府、北朝鮮に搬出していた」(8月22日、日本語版)で読めます。
堂々と国連制裁違反
—「韓国政府は北朝鮮の別働隊」と言われても文句は言えませんね。
鈴置:文在寅政権が本気で非核化を目指すなら、外貨や石油不足に陥った北朝鮮を助けはしないはずです。米朝首脳会談の後、米国は軍事的な圧力を緩めました。北朝鮮を非核化に誘導するには経済的な圧力――制裁頼みになっているのです。
米国も韓国の左派政権が北の核武装に協力しかねないと疑っていますから牽制しました。米政府の本音を語るVOAは「 米専門家『北の石炭に信用状を発給した銀行への米国の制裁は法的に問題なし』」(8月15日、韓国語版)などを掲載し、韓国の金融機関への制裁をちらつかせました
国務省のナウアート(Heather Nauert)報道官は8月23日の会見で、南北連絡事務所に関し聞かれ「少し前に文大統領は『北朝鮮の核問題の解決なしに南北関係は進展しないというのが自分の意見であり立場だ』と語った」と指摘しました。
I think I’d go back to something that President Moon had said not too long ago, and that is his opinion and his stance that the improvement of relations between the North and South can’t advance separately from resolving North Korea’s nuclear program.
さらに「北朝鮮への石油製品の供給は制裁違反ではないか」との質問に対し「我々は全てを注意深く見守る」(We would take a look at all of that.)と述べました。
「今度やったら承知しないぞ」と韓国に警告したのです。韓国はまだ、形式的には米国の同盟国。国務省は、公式発言はこの程度の表現に留めたと思われます。
非核化圧力はかけるな
—池海範記者の記事はこうした警告を受けて書かれたのですか?
鈴置:これらの警告前に載りましたが、韓国の傍若無人の振る舞いに米政府が怒り出すことは目に見えていた。そこで「民族の核に幻想を持つな」と韓国人に訴えたのでしょう。
—どういう論理で訴えたのですか?
鈴置:池海範記者は「北の核を南が共有できる保証はない」と説明したのです。
南北関係が雪解けしたからといって金正恩(キム・ジョンウン)が核の統制権や情報を韓国と共有するわけがない。北朝鮮の核が決して民族の核にはならない理由だ。
さらに「民族の核」に希望を託せば対北制裁が甘くなり、北の核武装を助けてしまう、と強調したのです。
「民族の核」との宣伝は「北に対する強力な非核化圧力はかけるな」と言っているに等しい。北朝鮮が「部分的な非核化」あるいは「偽装非核化」により国際社会を欺く可能性があるというのに、対北制裁を解除し、信頼を培うことこそが平和構築に役立つとの理屈である。
文在寅政権はすでに、非核化の検証よりも制裁解除と軍事対決の解消により積極的だ。
普通の人も「北の核」頼みに
—韓国人はこの記事に説得されたでしょうか。
鈴置:人によると思います。米国との同盟を重視する保守派は「その通りだ。従北左派の語る『民族の核』などに騙されるな!」と考えたでしょう。この記事への読者の書き込みの多くも、そうしたトーンでした。
一方、北朝鮮との協調を唱える左の民族派は「北の核こそが民族を守る核だ」と言い続けるでしょう。彼らは確信犯です。もともと米国を誤魔化し、北の核武装を幇助するつもりなのですから。
要は米国の核か、北朝鮮の核か、どちらを頼るかの論争が韓国で始まったのです。北朝鮮の核武装は左右の陣営の色分けをより鮮明にしたわけです。
—保守でも左派でもない「普通の人々」はどう考えるでしょう。
鈴置:池海範記者の記事は――現実が普通の人々を「北の核の容認」に押しやっていく可能性が大きい。この記事は米国がいずれ米韓同盟を放棄すると示唆しました。それが逆効果になりかねない。その部分を要約しつつ翻訳します。
金正恩が核・ミサイル施設の爆破や解体などの「非核化ショー」を通じ、トランプ(Donald Trump)の11月の中間選挙を助けたら、米国は終戦宣言と平和協定の締結に応じる可能性がある。平和協定はすぐさま米軍撤収をもたらす。
「核の傘」を失う韓国
—なぜ、逆効果になるのでしょうか。
鈴置:「平和協定はすぐさま米軍撤収をもたらす」と記事にありますが、在韓米軍の撤収は米韓同盟の空洞化をもたらします。この記事は米国が韓国を見捨てる可能性が高まったことも韓国人に思い出させてしまったのです。
池海範記者は、北朝鮮が非核化したとしても「部分的な非核化」あるいは「偽装非核化」に留まるとも予想しました。この2つが現実になると韓国の安全保障は最も危険な状況に陥ります。
なぜなら北朝鮮は何らかの形で核を持ち続けるというのに、建前では「朝鮮半島は非核化した」ことになって韓国は米国の核の傘を失うからです。
韓国は北の核の前で「丸裸」になってしまいます。「表・北朝鮮の非核化の行方」で言えば、表面的にはシナリオⅢだが、実質的にはシナリオⅣになる展開です。
北朝鮮の非核化の行方
シナリオ | 北朝鮮は誰の核の傘に入るのか? | 韓国はどうする? |
Ⅰ | 中国の核の傘を確保 | 米韓同盟を維持 |
Ⅱ | 米国と同盟・準同盟関係に入る | 米韓同盟を維持 |
Ⅲ | 半島全体が中立化し、国連や周辺大国がそれを保証 | |
Ⅳ | 自前の核を持つ | 北朝鮮の核の傘に入る |
左派の天下に
—すると、どうなるのでしょうか。
鈴置:北朝鮮が「我々に逆らったら核攻撃するぞ」と韓国を脅すのは確実です。韓国の左派はそれに呼応し「北の核に頼ればいいではないか」と言い出すでしょう。
保守派も普通の人の中からも「北から核で脅されるよりは、北の核に守ってもらう方がまだまし」と考える人が出てきます。
結果、韓国では北朝鮮とスクラムを組める左派が政権を握り続け、韓国人はおカネを北朝鮮に送る見返りに核で保護してもらう境遇に陥ります。
池海範記者の記事は、保守派や普通の人にとっての「暗澹たる未来」を意図せずして言い当ててしまったのです。記事の結論が以下です。
(このままでは)韓国が北の核に屈従する世の中が到来する。5000万人の韓国民は現在の北の住民と同じく、金正恩の暴圧体制に一言も言えずに頭(こうべ)だけ垂れることになる。そんな世の中を望むのか?
この記事を読んだ人はこんな未来だけは避けたいと考えたでしょう。しかし同時に、かなりの人が「ただ、北の核に反対しようがしまいが、米国に見捨てられるのだから、どうしようもない」と絶望したでしょう。
そんな人は体を張ってまで北の核武装を止めようとは思わない。だからこの記事は逆効果なのです。
2020年には韓国も核武装可能
—韓国は自前の核武装の準備を進めてきたはずです。
鈴置:韓国の保守政権は北が核武装した瞬間、あるいは米国から見捨てられた瞬間に、核武装を宣言できるよう着々と準備してきました(「韓国が目論む『2020年の核武装宣言』」参照)。
核弾頭は韓国の技術力があれば早くて半年、遅くとも数年で開発できる。課題は核弾頭の運搬手段です。地上や地中のミサイルだと先制攻撃により撃破される可能性が高い。
そこで韓国は、弾道ミサイルを発射する垂直発射筒を備えた潜水艦の開発・建造に取り組んできました。2020年から配備が始まり、毎年1隻ずつ増やしていく計画です。潜水艦から発射する弾道ミサイルも2020年には実戦配備の予定です。
もっとも保守が政権を奪い返したとしても、核武装は政治的に難しくなりそうです。形式的とはいえ北の非核化に進んでいる時に、韓国が核武装を宣言するのは極めて難しいからです。
—北朝鮮と良好な関係の左派政権が続くのなら、北に対抗するためのミサイル潜水艦は不要になりますね。
鈴置:いえ、左派政権もミサイル潜水艦の建造は続けるでしょう。北朝鮮も核ミサイル潜水艦を持とうとしていますが、技術的にも資金的にも難しい。そこで北が弾頭を製造し、南がミサイル潜水艦を建造するという分業体制に進むと思われます。
池海範記者は「金正恩が核の統制権や情報を韓国と共有するわけがない」と書きました。しかし、核弾頭と並んで重要なミサイル潜水艦を南が提供すると言えば、北も応じるでしょう。
原潜保有にも動く
—まさに「北の核と南の経済力の結合」ですね。
鈴置:文在寅政権は原子力推進の潜水艦の保有にも動いています。原潜は通常型動力の潜水艦と比べ長時間、潜航できますから核ミサイルのプラットフォームとしてはより有効です。
2017年8月8日、中央日報が「韓米首脳が電話会談、文大統領が韓国原子力潜水艦に言及」(日本語版)で「文在寅大統領が7日、トランプ米大統領との電話会談で、就任後初めて原子力潜水艦問題に言及した」と報じています。
同紙は電話会談の内容に関し、それ以上は触れませんでした。が「大統領は大統領候補当時の2017年4月、放送記者クラブ討論会で『原子力潜水艦が我々にも必要な時代になった』と話していた」と付け加えています。
—なぜ、米韓電話協議で原潜に言及したのでしょうか。
鈴置:韓国は米国製の原潜を購入するか、リースするつもりだからです。米国では常識です。ナショナル・インタレスト(the National Interest)の「South Korea Is about to make a $7 Billion Nuclear Submarine Blunder」(2017年9月30日)などはそれも前提に書いています。
北朝鮮の核武装を助け「民族の核」を持とうとする韓国に、米国が原潜を売るとは思えませんが。
食い逃げ恐れる米国
—米朝関係が微妙になってきました。
鈴置:8月23日にポンペオ(Mike Pompeo)国務長官の訪朝計画が発表されました。しかし翌24日、トランプ大統領がその中止を指示しました。訪朝しても金正恩委員長と会えないのなら、非核化で進展は望めないと判断したのでしょう。
北朝鮮は非核化の前に朝鮮戦争の終戦宣言を出すよう要求し始めています。終戦宣言は平和協定の呼び水になりますし、さらには米韓同盟の廃棄につながります。
文在寅政権までが北朝鮮と声をそろえ「朝鮮半島に平和が戻った以上、在韓米軍は不要」と言い出すからです。
トランプ政権も米韓同盟の存続にこだわってはいません。ただ、同盟廃棄は北の核の廃棄と交換したい。非核化の前に終戦宣言すれば貴重な交渉カードである「同盟廃棄」を食い逃げされてしまいます。
当面は「中国叩き」に全力
—結局、米朝は……。
鈴置:当面、大きくは動かないと思います。米国が「中国叩き」に全力をあげているからです。トランプ政権は北朝鮮の後ろ盾である中国を押しつぶせば、北は非核化に動かざるをえないと見ています。
8月29日、トランプ大統領自身がツイッターで「北が非核化しないのは、米国と対立する中国が後ろで糸を引いているからだ」と語っています。
President Donald J. Trump feels strongly that North Korea is under tremendous pressure from China because of our major trade disputes with the Chinese Government. At the same time, we also know that China is providing North Korea with…
北朝鮮に対し「待ってろ。今、お前の親分を叩き潰すからな。そうなっても減らず口を叩けると思っているのか」と脅したのも同然です。
強打者が打席に立った時、投手は打者に集中します。1塁ランナー――北朝鮮がちょろちょろすれば、牽制球も投げるでしょうが、あくまで米国の勝負の相手は強打者の中国なのです。
—韓国のポジションは?
鈴置:ファーストです。ただ、この1塁手は敵チーム側に回りました。米国の牽制球をわざと取りそこね、北朝鮮を2塁に送ろうとしています。
(次回に続く)
高濱記事
トランプ大統領(右)とポンペオ国務長官は訪朝の取りやめを決めた(写真:ロイター/アフロ)
—今度こそ非核化交渉を軌道に乗せようと張り切っていたマイク・ポンペオ米国務長官の訪朝が急遽中止になってしまいました。原因は何だったのですか。
高濱:米政府高官は米ワシントンポストのジョシュ・ローギン外交安全保障担当コラムニストにこう漏らしています。「ポンペオ国務長官に宛てた金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長の書簡に、トランプ大統領とポンペオ長官に今回の訪朝取り止めを決断させるに足るだけの好戦的(belligerent)な文言があったからだ」
この書簡は「秘密チャンネル」とされる北朝鮮国連代表部経由でポンペオ国務長官に届けられたようです。
CNNはその具体的な内容にいついてこう報じています。「金英哲副委員長はこの書簡の中で『非核化に向けた協議は再び危うくなって(again at stake)きており、瓦解する(may fall apart)かもしれない』と警告してきた」。事情に精通した3人の米政府高官から話を聞き出したということです。
ポンペオ国務長官はこの書簡をトランプ大統領に見せてどうするかを協議しました。その協議には米中央情報局(CIA)のアンドリュー・キム北朝鮮担当官も同席していました。席上、トランプ大統領は同長官に訪朝を取り止めるよう指示し、そのことをさっそくツイッターで発信しました。「私とポンペオ国務長官は今回の同長官の訪朝を取り止める決定をした。現時点で大きな前進があるとは思えないからだ。中国が以前のように非核化プロセスで助けてくれるとは思わない。(非核化に向けての交渉は)中国との貿易問題が解決した後になる公算が大きい」
(”Why Trump cancelled Pompeo’s trip to North Korea,” Josh Rogin, Washington Post, 8/27/2018)
「朝鮮戦争終結宣言」で米軍事力の排除を図った金正恩
—金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の「懐刀」である金英哲副委員長がなぜ、ここにきて、「好戦的なメッセージ」を送り付けたのですか。
高濱:ポンペオ国務長官の訪朝はこれまで3回。米朝首脳会談前の4月1日と5月8日、会談後の7月6、7日にピョンヤンを訪問しています。米朝は首脳会談以降、非核化に向けた実質的な意見交換を水面下で続けてきました。最大の問題は北朝鮮が保持している核兵器をどうやって破棄し、それを検証(verification)するかでした。
その過程で北朝鮮は、首脳会談でも俎上に載った朝鮮戦争の終結宣言を出すよう改めて提案してきました。非核化協議と並行して協議しようじゃないかと言い出したのです。トランプ大統領による「現体制堅持」の口約束だけではやはり信用できなかったのですね。
朝鮮戦争の終結宣言を出すことで、「トランプの牙」を抜こうとしたのです。戦争状態でなくなれば、むやみやたらに攻撃を仕掛けることはできないと見たのでしょう。
—北朝鮮が保有する核施設の検証問題はこれまでの米朝間の協議でも難題中の難題でしたね。
高濱:その通りです。1994年の「枠組み合意」の時も、2003年の「6カ国協議」の時も、「検証」問題がネックとなり破綻しました。
(参考:『北朝鮮の核問題をめぐる経緯』、国立図書館「調査と情報」、国立国会図書館調査及び立法考査局外交防衛課、久古聡美、内海和美、7/12/2018)
「検証問題」のポイントは、具体的には、北朝鮮が軍事基地に保有する核兵器を含めた査察ができるかどうかですね。北朝鮮とって軍事基地は、言ってみれば「国家の主権」が及ぶ最たる「聖域」です。すんなり受け入れるわけがありません。
また一口に「検証」と言っても米国だけではできません。国連や国際原子力機関(IAEA)の関与が不可欠です。1~2カ月で済むようなものではなく、1~2年または数年かかる話です。
—素人的は、米朝が和解すれば、当然、朝鮮戦争終結を双方が宣言してもおかしくないと思いがちです。
高濱:ところが、すでに指摘したように、北朝鮮の非核化をめぐって米国は苦い経験をしてきました。
米国は、北朝鮮に「最終的かつ完全に検証された非核化」(FFVD=Final, Fully Verified Denuclearization)*をさせるためにはどうしても手放したくない「切り札」があります。「軍事力行使」という脅しです。それゆえ、朝鮮戦争終結宣言など容易に出すことはできません。
*:トランプ大統領は、米朝首脳会談を受けてポンペオ国務長官が7月上旬に訪朝した際に、それまで使っていた「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID=Complete, Verifiable, Irreversible Denuclearization)という表現を取り下げている。外交専門家たちは「核兵器関連施設の完全破棄を「verify」(検証)することを最優先議題にするため米側がトーンダウンした」と見ていた。
朝鮮戦争終結宣言を拒否することについてトランプ政権は一致団結しています。対北朝鮮強硬派のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も穏健派のジェームズ・マティス国防長官も慎重論を唱えています。
米国は「斬首作戦」をひそかに訓練?
—話は元に戻りますが、金英哲副委員長はなぜ、ポンペオ国務長官の訪朝前に好戦的なことを言い出したのですか。ポンペオ国務長官はその前日、北朝鮮問題担当特別代表にスティーブン・ビーガン氏*を指名し、訪朝に同行させようとしていました。この時期になぜ出鼻をくじくようなことをしたのでしょう。
ちなみにこの代表職はそれまで空席でした。ビーガン氏はフォード・モーターの副社長を務める人物です。
*:ビーガン氏はジョージ・W・ブッシュ政権で、コンドリーザ・ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の補佐を経験。トランプ政権でH・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が解任されそうになった時には、その後釜に座ると噂されました。もともとロシア問題の専門家。朝鮮問題は門外漢なことから今回の人事は「次のステップ」に向けた腰掛との見方も出ている。
高濱:要は「来るな、来ても何の進展もないぞ」というわけです(笑)。
金英哲副委員長はなぜ、労働党機関紙などを使わずに「秘密チャンネル」経由で「米朝協議は危うくなっており、瓦解するかもしれない」と警告したのか。
ヒントは二つあります。北朝鮮の新聞報道です。一つは8月26日付の「労働新聞」。もう一つは同27日付の「統一新報」です。
労働新聞はこう報じています。「トランプ大統領は裏表のある言動をしている。微笑をうかべながら我々と交渉しつつ、犯罪的策略をめぐらしている。日本駐留米軍の人殺し特殊部隊がピョンヤン侵入を目的とした秘密作戦の訓練に忙しい」
(”North Korean newspaper condemns ‘double-dealing’ US after Pompeo trip called off,” Reuters in Seoul, 8/26/2018)
一方、統一新報はこう報じています。これは外国向けの週刊紙です。「米国は対話を進める裏で刀を研いでいる。米軍の特殊部隊が韓国南部の海軍基地や日本などで対北朝鮮秘密訓練を行っている――と韓国のメディアが報道している。表では笑みを浮かべ対話をしているが、裏では秘密裏に斬首作戦(有事の際に敵の首脳部を排除するもの)の訓練を強行している」
(参考:「北朝鮮メディア『米国は態度に表裏』、ポンペオ氏訪朝中止で非難」、ソウル聯合ニュース、8/28/2018)
—米軍はこうした報道について何かコメントしているのですか。
高濱:ソウルの米大使館はロイター通信記者に対して「それに関する情報はない」とコメントしています。在韓米軍司令部もロイター通信記者の問い合わせにコメントしていません。おそらく事実なのでしょう。
トランプ大統領は米朝首脳会談のあと、マティス国防長官に対し三つの大規模演習を中止するよう指示しました。8月に実施する予定だった米韓合同演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン 」*や「韓国海兵隊交換プログラム」(KMEP)などです。ツイッターでは「演習には費用もかかるし、(交渉相手である北朝鮮に対して)挑戦的だ」と発信していました。
*米国防総省によると、同演習には1400万ドル(約6億円)がかかる。国防総省高官は、中止した後でも、国防長官から再開の命令があれば直ちに実施できると発言している。
韓国との合同演習は一時中止した。が、それ以外の、米軍による通常の軍事演習は続けていたのでしょうね。特に「斬首作戦」、つまり金正恩委員長暗殺作戦と聞けば北朝鮮はドキッとするでしょうね(笑)。
マティス長官は韓国との「野外機動訓練」を示唆
ポンペオ国務長官が訪朝を中止した後、マティス国防長官は28日、「乙支フリーダムガーディアン以外の他の演習を追加で中止する予定はない」と発言しました。
北朝鮮の態度次第では、すでに予定されている野外機動訓練「フォール・イーグル」については実施する可能性を示唆しています。
(” Mattis Warns U.S. Drills May Restart Without Progress on North Korea,” Daily Beast, 8/28/2018)
—何やらきな臭くなってきましたね。トランプ大統領の次の一手は何でしょう。
高濱:国務省の関係者の一人は、筆者に「トランプ大統領その人以外、誰も予測できないね」と言っています。とにかく他人の話には一切耳を貸さない御仁ですから(笑)。
トランプ大統領は今回、北朝鮮に対する認識を変えました。これまで「米朝首脳会談は成功だった」と自画自賛してきました。主要メディアに「失敗だった」「何も解決していない」と批判されればされるほどむきになって「成功だった」と言ってきました。
ワシントンでは誰も聞いてくれないので、支持者だけを集めた田舎の集会で豪語していました。しかし、ここまでくると、さすがに現実を認識したのでしょう。
口には出していませんが、金正恩委員長や韓国の文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領に対して怒り心頭に発する状況でしょう。文大統領は米朝首脳会談のお膳立てをしました。トランプ大統領は文大統領から「歴史的な米朝首脳会談を実現させたのだからノーベル平和賞ものだ」と煽てられて屋根の上に登ったら梯子を外されたわけですから。
トランプ大統領だけではありません。トランプ政権内部で、文大統領に対する不信感が高まっています。「文政権は米国の同意なしに北朝鮮との和解に向けて独走しようとしているのではないのか」という危惧の念が広がっています。
米スタンフォード大学アジア太平洋研究所のダニエル・スナイダー教授は米ワシントンポストのローギン記者にこう語りました。「米朝首脳会談に関与した米政府高官(複数)は『文大統領は単独で北朝鮮との和解を進めようと決心している。同大統領はこれ以上米国と足並みをそろえて対応する必要性を感じていないからだ』と分析している。米韓同盟関係が危うくなる恐れが出てきた」。同氏は冷静な分析で右からも左からも高い評価を受けている人物です。
(”Why Trump cancelled Pompeo’ trip to North Korea,” Josh Rogin, Washington Post, 8/27/2018
)
秋の外交の場でトランプ氏は“蚊帳の外”?
文大統領と金正恩委員長は、開城に南北連絡事務所を設置するとすでに決めています。南北朝鮮は開城工業団地や金剛山観光事業の再開に動いている。離散家族再会も実現しました。非核化などそっちのけで南北朝鮮関係の強化にハンドルを切った感じすらします。
今後の動きをみましょう。9月9日は北朝鮮建国記念日。9月12~13日には文大統領が訪朝して3回目の南北首脳会談を開く予定です。その前日の9月11日からはロシアのウラジオストクで「東方経済フォーラム」が開かれます。金正恩委員長が出席するのではないかとの臆測が流れています。そして9月25日からは国連総会が始まる。
米主要紙の外交担当記者は、筆者に「一連の動きはトランプ大統領の意向とは無関係に粛々と進められる。トランプ大統領はまさに『蚊帳の外』だよ」と言っていました。
国務省やCIAで過去20年間、北朝鮮との核交渉に取り組んできたジョエル・ウィット博士(現在ヘンリー・スティムソン研究所上級研究員)はこう予測しています。「トランプ大統領はこれからの数週間、南北朝鮮双方に対し強硬なスタンスを取りかねない*。それによって朝鮮半島の緊張はエスカレートするかもしれない。しかし同大統領はこれから連鎖的に起こる事案ばかりに気を取られて、(せっかく作り上げた)非核化を前進させる可能性を反故にしてはならない。ここはひとつ、ポンペオ長官とボルトン補佐官に具体的な交渉を任せて様子を見るべきだ」
(”Why Trump cancelled Pompeo’s trip to North Korea,” Josh Rogin, Washington Post, 8/27/2018)
*:ウィット博士はその理由に言及していない。だが、トランプ大統領は「米朝首脳会談で非核化に向けた突破口を開いた」と自負したにもかかわらず、実質的協議が進まないことや、非核化よりも南北朝鮮和解路線を突っ走る文大統領への不信感や苛立ちから何をしだすか分からない、といった認識があるのではないか。独断専行で気性の激しいトランプ大統領の行動傾向を考慮しているものと思われる。
迫りくる「ロシアゲート疑惑」追及に眠れない夜が続く(?)トランプ大統領にとって数少ない外交的成果だったはずの北朝鮮の非核化。それが怪しげになってきました。
手厳しい論評で知られるジェニファー・ルービン記者はこう書いています。「トランプ大統領は現実がどうなっているかをやっと認識した。ポンペオ国務長官をはじめとする周辺がナルシストで外交に無知なトランプ大統領におべっかをつかった結末こうなったのだ」
(”Pompeo hasn’t been straight with us on North Korea,” Jennifer Rubin, Washington Post, 8/26/2018)
米主要メディアによるトランプ政権批判のボルテージは上がるばかりです。
良ければ下にあります
を応援クリックよろしくお願いします。