今ハワイに来ています-1

昨日からハワイに来ています。12日までこちらです。時間が不規則に投稿することになりますが宜しく。bluetoothを使って入力しています。
滞在先のエンバシースイートの裏です。

image

近くのABCストアです。

image

昼食-1

image

12/4日経ビジネスオンライン 北村豊『富豪を誘拐、見知らぬ女性を絞殺させた狂気 脅された富豪は、罪に処されるべきか』について

如何に中国人の発想と日本人の発想が違うかという事を日本人はもっと自覚しないと。「人類は皆兄弟」というのは、敵が騙しやすい日本人を相手にするときに使って、利用する目的のためです。日本人も、相対化して見れば、如何に世界は薄汚れているか気付くはずです。

請託殺人ですから4人組は殺人罪の共同正犯になるのか教唆犯になるのか分かりませんが、当然殺人罪を構成するでしょう。中国ですから2審で即日死刑となると思います。こちらにあります「犯罪阻却事由」は日本で言う「違法性阻却自由」で、「脅従犯」は「強要された緊急避難行為者」に近いと思います。日本でも脅されて殺人を起こした裁判例があります。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/98-6/matumiya.htm

日本でもこう言うことがもっと起こるようになるかもしれません。「悪友」と付き合えば似た発想になるからです。中韓へのビザ緩和はすべきではありませんし、帰化条件ももっと厳しくすべきです。

この記事で主張されていますように、殺された人の遺族に、殺人を強要された人は補償金を支払うべきです。1億元を払わずに済んだのですから。その1割でも払うべきでしょう。

記事

11月10日、四川省の“宜賓(ぎひん)市”で同市一の富豪が何者かに誘拐された。誘拐された富豪は犯人一味に手製の拳銃を突きつけられて身代金の支払いを要求された。命の危険を感じた富豪は身代金の支払いに同意したが、犯人たちの要求はそれだけに止まらなかった。犯人たちは富豪に彼らが別途誘拐して来た女性の殺害を要求したのだった。要求に従えば生きられるが、従わなければ殺される。生か死か。富豪が選んだのは、見知らぬ女性を殺害することだった。やむなく富豪は女性をロープで首を絞めて殺害したが、犯人たちはその絞殺の過程をビデオに撮っていた。犯人たちはそのビデオ映像を富豪が殺人を犯した証拠として残した上で、富豪を解放したのだったが、それは富豪に事件を公安警察へ通報させないためだった。

身代金1億元の支払いに同意したが…

 中国メディアが一斉に報じた「宜賓“首富(第一の富豪)”が誘拐され、脅されて殺人を犯した事件」の概要は以下の通り。

【1】宜賓市は四川省の南部に位置し、その境を貴州省と雲南省に接している。人口は554万人であり、このうちの80%以上が農業に従事している、純然たる農業地域である。一方、面積は1万3283km2であるが、これは日本で第4位の面積を持つ長野県(1万3562km2)とほぼ匹敵する広さである。なお、中国一の大河“長江(揚子江)”は、上流の“金沙江”と“岷江”が宜賓市で合流することによって始まることから、宜賓市は“万里長江第一城(長江第一番目の都市)”として知られている。

【2】誘拐された富豪は“章英啓”(53歳)、宜賓市を本拠とする“伊力集団有限公司”(以下「伊力集団」)の“法人代表(法定責任者)”である。章英啓はかつて宜賓市内の某工場に勤めていたが、工場を辞めた後に商売の道に入って成功を収め、1993年に伊力集団を設立した。伊力集団はその後順調に成長を続け、単一の化学製品の生産から始めた業務は締付金具、水力発電開発、不動産開発、石炭開発、貿易、高速道路建設などにまで発展し、今や宜賓市のみならず四川省内でも知られた押しも押されもしない企業となっている。伊力集団は傘下に多数の子会社を有するが、子会社を合わせた従業員は2000名余りである。また、伊力集団の販売ネットワークは全国30の省・自治区・直轄市に及んでおり、その製品は欧州、南米、中東、東南アジア、韓国、台湾などへ輸出されている。なお、伊力集団は宜賓市の優秀民営企業として認定されている。

【3】その伊力集団の代表である章英啓が誘拐されたのは、11月10日の夜9時頃だった。章英啓は宜賓市中心部を流れる長江の南岸に位置する“翠屏区”の住宅団地“南岸雪絨花園”内の高級マンションにある自宅へ帰ろうと、マンションのエレベーターに乗ったところを襲われて誘拐された。エレベーター内で誘拐犯たちは唐辛子スプレーを噴霧して章英啓の自由を奪い、手足を縛った上で「さるぐつわ」を噛ませ、目隠しをした。その後、犯人たちは章英啓を車に乗せて、同じ翠屏区内にある金沙江沿いの辺鄙な場所に彼らが事前に借りていた1軒の農家へと運び込んだ。農家に到着すると、犯人たちは章英啓に手製の拳銃を突き付け、2016年3月までに身代金1億元(約19億円)を支払うように要求した。拳銃を突き付けられては、否も応もなかった。章英啓は1億元の身代金を期限内に支払うことに同意した。同意したのだから、解放されると思ったが、そうはいかなかった。

【4】犯人たちは、章英啓にその場にいた若い女性を殺害するように要求したのだった。その女性は章英啓と同様に犯人たちによってどこからか誘拐されてきたものと思われた。拳銃は依然として突き付けられている。女性を殺害しなければ、自分が殺される。「生か死か、それが問題だ」とはハムレットの科白(せりふ)だが、当時の章英啓はまさにハムレットの心境だった。自分が生きるためには女性を殺害するしかない。章英啓は犯人たちに「殺す」と答えた。犯人たちは章英啓の手の戒めを解き、その手にロープを握らせると女性の首にかけて絞め殺すように命じた。人を絞め殺すことに逡巡がなかった訳ではないが、拳銃を突き付けられての緊迫した状況下では、罪悪感にさいなまれながらも、章英啓には一気にロープを絞めるしかなかった。犯人たちはこの絞殺の一部始終をビデオに撮った。ビデオの映像は章英啓が殺人を犯した証拠であり、それが彼らの手元にある限り、章英啓は事件を公安警察へ通報せずに約束通り身代金を支払うものと、犯人たちは確信していたものと思われる。

「殺人ビデオ」と引き換えに解放

【5】こうして、章英啓は殺人のビデオ映像と引き換えに解放された。翌11日の午前4時頃、章英啓は“宜賓市公安局”(以下「公安局」)に対して事件を通報し、「10日夜帰宅途中に誘拐され、脅されて見知らぬ女性1人を殺害させられた。誘拐犯には巨額の身代金の支払いを要求されている」旨を告げた。通報を受けた公安局は、速やかに捜査に着手し、11日午後1時頃、“劉強”(39歳)、“岳紅”(43歳)、“陳偉”(39歳)、“馮治”(44歳、女)の4人を容疑者として逮捕したのだった。公安局の捜査チームは、章英啓が誘拐された直後の時間帯に南岸雪絨花園の駐車場から出て行った車を突き止めることにより駐車場の借主を特定し、迅速な逮捕にこぎ着けたものだった。

【6】公安局の調査によれば、犯人一味の4人は半年前位に章英啓の自宅がある「南岸雪絨花園」内の高級マンションの1階に部屋を借り、同時に車1台分の駐車場を借りていた。また、9月頃には金沙江沿いにある1軒の農家を借りて、章英啓を誘拐するための事前準備を行っていたことが判明した。主犯の劉強(39歳)は商売で巨額の損失を出し、借金を抱えて苦しんでいた。そこで思い付いたのが富豪の章英啓を誘拐して身代金を奪うことだった。半年ほど前、劉強は、岳紅、陳偉、馮治の3人に声をかけて仲間に引き入れ、章英啓誘拐計画を練り、事前に高級マンションの1部屋と駐車スペース並びに1軒の農家を借りた。彼らは章英啓が住む高級マンションの1階に借りた部屋から章英啓の行動を監視し、彼の規則的な帰宅時間を把握していた。

【7】犯人一味4人を逮捕した後、公安局は章英啓が監禁され、女性が絞殺された現場となった農家を捜索し、炉の中で焼却された女性の遺体を発見した。遺体から採取したDNAおよび遺留品、さらに犯人一味の供述から、女性は宜賓市内の“建設路”に林立するマッサージ店の1軒、「“温馨按摩”」に勤めるマッサージ師の“西妹”(23歳)<仮名>であることが判明した。同店の経営者によれば、西妹は11月10日夜11時頃に仕事を終えて1人で帰ったとのことだったが、目撃者は西妹が店を出た時に1人の男が待っていたと証言している。恐らく西妹は店を出た所で、犯人一味の誰かに騙されて車に乗せられ、犯行現場となった農家へ連れ込まれたものと思われる。その目的は章英啓に殺害させるためだった。

「誰に責任を追及すればよいのか」

【8】西妹は宜賓市から南西に約200km離れた“凉山彝(い)族自治州雷波県”に実家があり、少数民族の彝族である。11月20日は彝族の新年で、西妹は近々故郷へ戻る予定であったのだという。23歳の彼女はすでに3人の子持ちであった(男4歳、女3歳、女1歳半)。そればかりか、彼女は8人兄弟の長女で、下には7人の弟と妹がいた。父親は3年前に死に、母親は父親の死後に再婚して去ったため、これら弟妹の生活も彼女と次女の2人が支えていた。しかし、雷波県では賃金も安く、貧しい生活を支えて行くことは困難で、西妹は宜賓市へ出稼ぎに出たのだったが、それが悲しい結末を迎えようとは思いもよらぬことだった。

【9】11月18日にメディアが報じたところでは、章英啓は11月11日早朝に解放された後に、会社へ立ち寄ってから医院へ入院したが、現在は自宅で休養しているという。また、章英啓の妻はメディアの質問に対して、「私たちは被害者だ」と答え、「事件が公になって以来、私や家族は毎日大量の電話を受け、まともに生活ができない状態が続いている。全ては公安局の調査結果を待つしかない」と述べている。一方、章英啓に絞殺された西妹の妹(次女)はメディアに対して、「姉の西妹を直接絞殺した章英啓の責任を追及してよいものかどうか、一体誰に責任を追及すればよいのか、全く分からない。とにかく、誰かが姉の死に責任を負わねばならないのだが」と述べたという。

さて、この事件は中国社会に大きな衝撃を与えた。誘拐された被害者が誘拐犯に脅されて見知らぬ他人を絞め殺したのである。人々は前代未聞の事件に驚きを禁じえなかったばかりか、被害者の犯した殺人が罪として裁かれるか否かを論じ合った。拳銃を突き付けられて殺すと脅されて犯した殺人は罪になるのか。はたまた罪は問われず、無罪放免となるのか。被害者に殺された西妹は殺され損で終わるのか。被害者は西妹に賠償する義務はないのか。

「選択の自由」はあったのか

 北京の著名弁護士である“張新年”はこの事件について次のような解釈を示している。

(1)2015年8月に“全国人民代表大会常務委員会”で可決された「刑法修正案(9)」は、第239条には「財物をゆすり取る目的で誘拐を行い、誘拐された人を殺害した者は、無期懲役あるいは死刑、並びに財産没収に処す」という新規定があり、この事件の犯人一味4人は無期懲役あるいは死刑に処されるに違いない。一方、誘拐の被害者であり、事件の通報者である章英啓が脅迫されて行った殺人に刑事責任を追及できるかについては状況を精査してみる必要がある。

(2)事件当時、章英啓が犯人一味による脅迫と支配を受けて、行動を制御され、意思の自由を完全に喪失し、自己の行動に選択の余地がなかったのであれば、“犯罪阻却事由(違法性を退ける事由)”が成立するので、章英啓は刑事責任を問われず、全ての責任は犯人一味が負うことになる。しかし、もし当時、章英啓に選択の自由があったのであれば、章英啓の殺人は共同犯罪中の“脅従犯(脅迫されて従った犯罪)”を構成することになる。刑法第28条には「脅されて犯罪に加わった者に対しては、犯罪の情状に応じて罰の軽減あるいは処罰を免じねばならない」と規定されている。さらに、これに加えて、自首あるいは重大な手柄を立てた場合は、刑法第67条と第68条および刑事訴訟法第173条の規定により不起訴とすることができる。

なお、2008年10月に河南省“平頂山市”で本件と類似の事件が発生したことがあった。それは、金銭財物をゆすり取る目的で、8人組の犯罪集団が平頂山市“新華区検察院”職員の“夏某”を誘拐した後、夏某とは一面識もない女子大学生の“王科嘉”を誘拐した事件だった。犯罪集団は夏某から1000万元(約1億9000万円)をゆすり取るために、夏某を脅して王科嘉と性的関係を結ばせた後、夏某に王科嘉をロープで絞め殺させた。犯罪集団は夏某が王科嘉を絞殺する一部始終をビデオに撮り、脅しの材料としたのだった。2008年11月8日、王科嘉の遺体は平頂山市の郊外にある鉱山の立て坑の中で発見された。

 10月14日に夏某からの通報で事件を知った“新華区公安分局”は捜査の末に犯罪集団の8人を逮捕したが、事件を通じて夏某はずっと目隠しをされ、王科嘉を強姦した時も、絞殺した時も、常に犯罪集団から力で強制されていたことが確認された。この結果、夏某は被害者として殺人の罪は免じられ、全ての犯罪は犯罪集団の責任に帰されたのだった。

「何らかの罪に処すべき」62%

 ところで、章英啓の事件が報じられると、ネットの掲示板にはネットユーザーが多種多様な意見を書き込んだ。その中で最大の争点となったのは、章英啓が脅迫されて行った殺人に対する量刑をどう考えるかという問題だった。この点に関して、多数のニュースサイトがアンケート調査を実施したが、あるニュースサイトが行った調査結果は以下の通りであった。

(A) 脅されて殺人をしたとはいえ、殺人は処罰されるべき。<36%>

(B) 脅されて殺人をしたもので、自首もしたのだから罰は免じられるべき。<36%>

(C) 脅されて殺人をしたのだから、軽い罰に処すべき。<26%>

(D) その他 <12%>

 (A)の「殺人は処罰されるべき」と(B)の「罰は免じられるべき」という正反対の意見が同率の36%というのは興味深いが、(A)に(C)の「軽い罰に処すべき」を加えると62%になり、章英啓も何らかの罰に処すべきという意見が大勢を占めていることが分かる。

 上述した張新年弁護士の見解から考えて、章英啓は平頂山事件の夏某と同様に、殺人の罪を免じられることになると思われるが、章英啓が富豪である以上は、理由はともかく、自身が手にかけて殺害した西妹の家族に対してそれなりの慰謝料を支払うことを考えるべきだろう。章英啓が西妹の家族に慰謝料を支払ったという話はいまだ報じられていないが、そうあって欲しいと筆者は希望するものである。

12/3日経ビジネスオンライン 鈴置高史『日本を「一撃」できる国になりたい 「日韓併合」をバネに核武装』について

戦うなら朝鮮半島同士でやってほしい。間違っても日本を巻き込むことのないように願います。でも多くの日本人は平和に狎れ、戦争のことを考えません。敵国が誘導してきた結果ですが、早く呪縛を解きませんと。「備えあれば患いなし」、「汝平和を欲さば 、戦への備えをせよ(Si vis pacem,  para bellum=ラテン語)」です。企業の危機管理も国の危機管理も同じでしょう。緊急事態が発生したら、如何にダメージを少なくするか、国民への正確な情報提供と再発防止策を実行する。勿論、緊急事態にならないような予防策を張り巡らしておくことが肝要です。戦争にさせないためには強い抑止力が必要です。強国との同盟、充実した装備(含む核)、兵士の練度が抑止力となります。

日本のマスメデイアは国民を思考停止にさせようとしています。彼らの態度こそが戦争へと導くものです。バランス・オブ・パワーが崩れたときこそが戦争が起こりやすい。特に隣に領土的野心を持った悪の帝国があります。左翼メデイアは不買をして経営が成り立たないようにしないと。2・26事件のように銃弾でメデイアを制圧することはできません。平和裏に論調を変えるには迂遠ですがそれしかないと思っています。

靖国のトイレの爆弾犯は韓国人という発表がありました。靖国で放尿した韓国人については大手メデイアでは余り報道されず、ネットの世界だけか小さな扱いだったと思います。神をも恐れぬ所業です。爆弾犯は「反日教育」で育ったテロリストです。11/23は新嘗祭で参拝者が多かったはずです。テロリスト安重根を英雄と看做す国柄ですからどうしようもありませんが。事実に反する「従軍慰安婦」で日本を貶めようとしているのですから間違いなく敵国です。先ず、ノービザ入国は撤廃、次に戦略品の輸出停止等身をもって分からせないと。

米中両強国の間に挟まって身動きが取れなくなっている韓国。歴史的に事大主義を採って生き延びてきましたが、核の現存する時代、両方にいい顔はできません。どちらかを選択するように迫られるでしょう。政経分離と言う訳には行きません。米国離れを起こせばTPPには入れて貰えないでしょう。崩れゆく中国経済と共倒れの道を歩みます。12/3ZAKZAK『韓国経済にブーメランか 中韓FTA批准も深刻デメリット 敗者連合の様相』『中国経済崩壊で「韓国のデフレ不況突入は確実」と三橋貴明氏』の記事にあります。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151203/frn1512031140001-n1.htm

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151203/frn1512031540007-n4.htm

関税自由化率の低いRCEPでは他国は魅力を感ぜず、入る国は少ないでしょうし、中国に利用されるのは分かっているでしょう。

日本も核保有を、アメリカを説得して進めなければなりません。メデイアや共産党・極左の言うことに染まるのではなく自分の頭で安全について考えなければ。子子孫孫が悪の国に隷従することは避けたいでしょう。

記事

前回から読む)

 北朝鮮の核開発を引き金にした韓国の核武装論。今や「韓国の孤立」が後押しする。

北の核武装は秒読み

—前回は、韓国の核武装論に本腰が入ったという話でした。なぜ今、なのでしょうか。

鈴置:北朝鮮の核開発が進み、近く実戦配備される可能性が高まったからです。北は2006年以降、3回の核実験を実施しました(表「北朝鮮の核実験」参照)。

  • 北朝鮮の核実験
回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による

 核爆発の規模も尻上がりで、すでに相当の威力の核爆弾を開発済みと見る専門家が多いのです。残る課題はミサイルに積めるよう小型化することで、4回目はそのための実験と見られています。

 2-4年に1度という過去の実験のペースから見て、北がいつ4回目の実験を実施してもおかしくない状況です。それに成功すれば直ちに実戦配備に入るのは確実です。

 北朝鮮は日本と韓国に届く短・中距離弾道ミサイルは開発済みです。2015年5月9日には「潜水艦からの水中発射実験にも成功した」と発表しています。もちろん通常動力型の潜水艦です。

 地上基地とは異なって潜水艦は敵の先制攻撃を受けにくい。このため核保有国にとって、弾道ミサイルを水中から発射できる潜水艦を保有することは必須なのです。

 ただ、本当に北朝鮮が弾道ミサイル搭載型潜水艦を実用化したかは、疑問視する向きが多いのです。11月28日にも実験したようですが、韓国政府は失敗したと判断しています。

東京を守るためにロスを犠牲?

—なぜ、韓国と比べ日本では北の核が騒ぎにならないのでしょうか。

鈴置:日本人が平和ボケしているからです。北朝鮮が核兵器を実戦配備すれば、日本の安全は大きく揺らぎます。北にとって日本は“立派な”仮想敵国なのです。でも、日本には北の核は対韓国用と思い込んでいる人が多い。

 もう1つは、米国との同盟に対する信頼感の差でしょう。日本人は米国の核の傘に入っているから、北朝鮮や中国の核攻撃は受けないと信じがちです。

 でも、米国の核の傘は揺らぎ始めています。前回に紹介した米ケイトー研究所(Cato Institute)の「U.S. should retire outdated alliance with S. Korea」(10月21日)という論文で、筆者のドーグ・バンドウ(Doug Bandou)シニア・フェローは以下のように書いています。

  • 現在、北東アジアでは中国、ロシア、北朝鮮という悪漢だけが最終兵器を持っていて、米国の同盟国である民主国家はいずれも持っていない。その結果、米国はソウル、東京、台北を守る代わりに、ロサンゼルスを危険にさらす羽目に陥っている。

見捨てられやすい韓国

 「なぜ、日本を守るために米国が核攻撃のリスクを引き受けねばならないのか」との指摘です。もちろん、非介入主義を掲げているケイトー研究所は、米国の平均的な意見ではありません。

 しかし、米国で左右を問わず孤立主義が力を増していることを考えると、見過ごせない指摘です。

 一方、韓国は米国の孤立主義が増すというのに中国に急接近したので、ますます「見捨てられやすく」なってしまいました。これが韓国の核武装論を加速しているのは間違いありません。

 10月16日、米韓首脳会談後の共同記者会見で、中国の南シナ海の軍事基地化を念頭にオバマ大統領が以下のように語りました。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領をすぐ横に置いての発言です(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

朴大統領にも伝えたのだが、1つだけ、中国に言い続けねばならぬことがある。それは中国が国際的な規範とルールに従うことだ。もし中国がそうしない時には、韓国が我々と同様にしっかりと声を上げて批判することを望む。

韓国を難詰したオバマ

—韓国紙は「『韓国の中国傾斜論』は事実誤認だ。日本人が言って回っているに過ぎない」と書いていましたが。

鈴置:それに加え、韓国のメディアや政府は「米韓同盟は盤石である」とも言い張っていたのですが、さすがにオバマ大統領の「難詰」はこたえたようです。

 朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問は「内外の戦争」(11月3日、韓国語版)で、韓国に怒り出した米国への困惑を率直に記しました。ポイントは以下です。

  • 米国は昨日までの米国ではない。朴大統領との共同会見で、オバマ大統領が中国の国際的な規範違反に関し「韓国も声を出すこと」を公開的に要求した事実を見れば分かる。
  • これは明らかに意図した外交的な逸脱だ。これまでなら仮に会談でそんな話が出たとしても、公開はしなかった。したとしても「憂慮」を表明する水準に留まった。この、韓国も声を出せとの注文は難詰に近い。はっきりと米国は変化したのだ。
  • 共和党の大統領候補であるトランプ(Donald Trump)が連日「韓国の安保ただ乗り論」を言って回る。米国メディアがTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備や、朴大統領の中国の抗日式典参加などをことあげしては韓国の親中路線を批判する記事を大きく載せる。そんなムードに乗って、オバマ大統領までも慇懃無礼に韓国を追い詰める格好だ。

「一撃」は滅亡のキーワード

—米国が韓国に怒るのは当然でしょうが、直ちに韓国を「見捨てる」とも思えません。

鈴置:眺める者はそう考えます。しかし、捨てられたことのある当事者、つまり韓国人は「見捨てられ」に神経質です。その象徴が「一撃」という言葉です。

 「一歩踏み出した韓国の核武装論」に引用した朝鮮日報の「釜山沖で考えた生存の一撃」(11月5日、韓国語版)。核武装を唱える楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹が、さらに一歩踏み込んで原子力潜水艦を持とうと訴えた記事です。

 楊相勲主幹は「一撃の手段」という言葉を使って原潜の保有を主張しましたが、本心は核ミサイルを搭載した原潜の保有と思われます。世界で原潜を持つのは核兵器保有国だけなのです。「一撃」は見出しだけではなく、本文にも繰り返し出てきます。以下です。

  • 韓国は、必要な時に相手に「一撃」を加えることができなければ、ある日突然何をされるか分からない。
  • 米海軍関係者のアドバイスは、どうすれば韓国が一撃の手段を持ち、最低限の抑止力を維持できるかに対する答えだ。
  • 問題は相手に一撃を加えるには、ただの潜水艦ではなく原子力潜水艦を持たねばならないとの事実だ。

 実は「一撃」は、韓国が植民地に転落した際のキーワードなのです。金大中顧問の別の記事「韓国の安保ただ乗り論」(10月6日、韓国語版)にも「一撃」がでてきます。以下です。

ルーズベルトにも見捨てられた

  • 100年前、セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)大統領は朝鮮を指して「自分のために一撃もできない国」と見捨てた。我々は1世紀後の今、「一撃」を加える独自の力を持っているのか自問せざるを得ない。

 同じ朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員も、国際部長時代の9月23日に「国を口先で守るのか」で「一撃」について言及しています。

 関連部分は次の通りです。日露戦争直前の話で、以下に出てくる「負ける国」とはロシアのことです。

  • (約110年前)当時、米国公使だったホレース・アレン(Horace Allen)は高宗の親米的姿勢に感動した。彼はロシアを引き入れることにより、朝鮮半島で日本を牽制すべきだとホワイトハウスの説得に動いた。韓国の独立を支援しようとしたのだ。
  • セオドア・ルーズベルト大統領はアレンに反問した。「あなたはなぜ、負ける国を支持せよと言うのか」「自分のために一撃も加えることのできなかった国のために、米国は介入できない」との有名な文句を残したのもその頃だ。

日本に吸収された方がいい

 朝鮮日報のシニア記者3人が1カ月半のうちに3回も引用したセオドア・ルーズベルト大統領の発言「一撃もできない国」の原文は以下です。

  • We cannot possibly interfere for the Koreans against Japan. They could not strike one blow in their own defence.

 なお、この文句はアレンへの発言記録には見当たらず、ジョン・ヘイ(John Hay)国務長官への1905年1月28日の手紙に残っています。

 日本に吸収されつつある朝鮮朝――当時は「大韓帝国」を名乗っていましたが、米朝修交通商条約(1882年)を理由に米国の保護を期待しました。

 しかし、ルーズベルトは「日本に対し一撃もできなかった――自分の国を守る能力も意思もない韓国は、日本帝国に吸収された方が幸せだ」と考え、実際そう書いたのです。ヘイ国務長官への手紙には以下の文章が続きます。

  • It would in fact be best for the Koreans if their country was absorbed into the Japanese empire.

 そしてこの手紙が書かれた半年後の1905年7月に、米国はフィリピンの支配権を日本に認めさせる代わりに、日本による朝鮮支配を認める「桂―タフト協定」を結んだのです。

—朝鮮日報は「Strike one blow=一撃」が好きなのですね。

鈴置:同紙に限らず、韓国の知識人には「約110年前、敵に対する一撃の能力も意思も持たなかったため米国から見捨てられ、日本に併合された」という共通認識があるのです。

「千年の無礼」が復活

—そこで「再び米国に見捨てられそうになった今、一撃の能力――核抑止力を持とう」と叫ぶ人々が出てきたのですね。

鈴置:その通りです。「一撃の能力も意思もなく」植民地に転落することになった屈辱の瞬間を国民に思い起こさせれば、核武装への支持が集まると韓国の指導層が考えるのは自然なことなのです。

—韓国は「離米従中」しています。米国を頼れないのなら、思い切って中国を頼ればいいのでは?

鈴置:それには米韓同盟を破棄し、中国と同盟を結ぶ必要があります。しかし韓国人は、そこまでのハラを固めてはいない。結局、米国だけではなく中国にも心底からは頼れず、頭を抱える羽目に陥ったのです。

 先に引用した朝鮮日報の金大中顧問の「内外の戦争」(11月3日、韓国語版)も「韓国に怒りだした米国」のくだりに続き、次のような記述が続くのです。

  • 今回の(10月31日の中韓)首脳会談でも、中国側の報道によれば、中国はEEZ(排他的経済水域)の再調整により、離於島(イオド)を我がものにしようとしたという。
  • 人口と国土面積の大きさに比例して、EEZも広くなければならぬと言うのだ。「千年の無礼」が復活した感がある。

再び属国扱い

—EEZを人口と国土面積で決めるとは?

鈴置:中国と韓国の間には黄海があります。しかし主張が大きく異なるため、両国は黄海のEEZを確定できません。

 韓国は両国の中間に線を引いて、それをEEZの境界線にしようと主張します。しかし中国は人口と国土の大きさを考慮すれば、中国のEEZはもっと韓国側に張り出すべきだと言い張るのです。

 中国の主張に従えば、韓国が離於島という暗礁の上に建てた観測基地も中国側のEEZに入ります。もちろん「人口と国土」でEEZを決めるとは前代未聞です。

 しかし、中国は韓国に首脳会談で堂々と中国が主張する、無理筋のEEZを受け入れるよう要求するようになった。

 今後のEEZ交渉の過程で、中国は韓国に対し黄海や陸上での米韓合同演習の中断など、無理難題をふっかける可能性もあります。

 韓国は再び属国扱いされるようになったのです。金大中顧問が「『千年の無礼』が復活した感がある」と書いたのは「『千年余に渡る宗主国としての上から目線』が復活した」との怒りからです。

フィリピンの失敗

—なぜ今、「千年の無礼」が復活したのでしょうか。

鈴置:米韓間に隙間風が吹き始めたからでしょう。米国の後ろ盾をなくした韓国は、弱気になって言うことを聞くはずと中国が考えたと思われます。

 1992年に米海軍がフィリピン・スービック海軍基地から撤収すると、中国海軍は直ちに南シナ海での活動を活発化しました。

 1995年にはフィリピンが実効支配していたスプラトリー(南沙)諸島のミスチーフ礁を奪いました。20年前、米比関係に隙間風が吹いたのを、中国は見逃さなかったのです。

—確かに20年前のフィリピンと似ていますね。

鈴置:先ほどの「一撃」ではありませんが、110年前を思い出す韓国人も増えています。国際的な環境が日清、日露戦争当時と似てきたと訴える記事がしばしば韓国の新聞に載るようになりました。

 当時、日本は英国という海洋勢力の先兵となって大陸の大国に戦いを挑んで、自らも大国に駆け上がった。一方、韓国は国の針路を定められず、大国の間をうろうろとして滅んだ――との内容です。

四面楚歌と核

そして、以下のように語る韓国人が出てきました。

現在は、英国の代わりに米国が日本をして中国に戦いを挑ませている。大陸勢力と海洋勢力の対決が再燃したのだ。

朴槿恵政権は19世紀末から20世紀初めと同じように、大国の間を迷走するばかりだ。そして米国や日本の後ろ盾を失いつつある我が国に、中国は「怖い顔」を見せ始めた……。

 金大中顧問の「内外の戦争」は米国や日本との関係悪化という現実に加え「怖い顔を見せ始めた中国」への恐怖も語っているのです。

 韓国人は自分が四面楚歌に陥ったことにようやく気づきました。そんな心細い状況下で「核を持とう」とささやかれたら、韓国人の多くが思わず「そうだ!」と叫ぶでしょう。

 四半世紀前、冷戦体制が崩壊する中で中ソに見捨てられた北朝鮮は核開発に本腰を入れました。今、南でも同じことが起きているのです。

(次回に続く)

12/2日経ビジネスオンライン 福島香織『習近平の軍制改革は、成否問わず世界のリスク 権力闘争で不安定化、改革推進で強軍化』について

習近平は政敵を倒すためにいろいろ仕掛けてきていると言うのは誰しも理解していると思います。反腐敗運動は「自分のことは棚に上げ」と言うものの、庶民は職権濫用で私腹を肥やしてきた権力者の打倒には喝采を送っていると思います。ただ、軍の改革は非常に難しいでしょう。軍の経験がない習に軍人は面従腹背で臨むのでは。今までのポストも減り、商売(兵器横流しや、売春宿の経営等違法行為)もできなくなると暴力装置である軍が黙っているかどうかです。クーデターもあり得ます。日本の長い歴史を持った天皇制と違い、共産党の治世は短く、主席の首は簡単に切れるでしょう。

習の言う「強軍政治」は北朝鮮のスローガンである「先軍政治」をパクったものとしか思えません。中国も北朝鮮と同じレベルと言うか、北朝鮮から見れば中国は修正主義で、「社会主義市場経済」や「中国特色的社会主義」は偽物のように見えのでしょう。共産主義と言う思想の正統性はどちらにあるかとなると北朝鮮でしょうが、両方とも残虐性においては引けを取りません。まあ、共産主義が間違っているのは歴史が証明していますが。

軍も権銭交易がおこなわれていて、ポストを得るにもお金が必要な組織では、国と言うか共産党に対する忠誠心何て持つはずがありません。戦闘になれば一目散に逃げるでしょう。督戦隊が必要となる所以です。

習の言う「全面的法治」なんてどの口で言うのか分かりません。一番法治に相応しくないのは共産党の存在です。「没有共産党就有新中国」です。

軍政と軍令を今頃分けるのは遅すぎでしょう。日本も戦前からそうなっていました。軍令部がしっかり戦区をグリップできる保証はありません。日本の関東軍のようになるかもしれません。軍人が結束して下剋上を起こす可能性もあります。

毛沢東は朝鮮戦争時、国民党残党を戦地に送り込み敵に殺させ、また鄧小平は中越戦争時、文革派を殲滅させるように敗北したと言われています。内政が外交・戦争を決めていく典型例です。習の敵と思われる軍人は戦争で始末される可能性があります。ということは日本を攻撃してくる可能性もあります。備えが肝心です。

記事

 2013年の三中全会で予告されていた通り、習近平の軍制改革がいよいよ始まった。かなり前倒しの感がある。11月24日から26日までに北京で中央軍事委員会改革工作会議が開かれ、そこで「軍制改革方案」が決定された。2020年までに今の陸軍中心の軍区制から空海軍中心の戦略区制に改編、軍令と軍政を分離させる。また9月3日の軍事パレードで宣言したように30万人の兵力を削減し、巨大な政治体であり腐敗の温床であった解放軍を高度に情報化した先進国並みにプロフェッショナルな近現代軍に作りかえるのが目標だ。

 この大規模軍制改革とは具体的にどのようなものか、習近平の狙いはどこにあるのか、そして軍制改革が国際社会にどんな影響をもたらすのか、今現在出ている情報を整理してみたい。

強軍興軍の通らねばならない道

 この決定によって、全面的な強軍化戦略の実施の堅持が明確化されたという。中央軍事委国防と軍隊改革深化指導小組長の習近平は、会議の席で「国防と軍隊改革の深化こそ中国の夢、強軍の夢の時代的要求に合致しており、これは強軍興軍の通らねばならない道であり、また軍隊の未来を決定する鍵でもある」と強調した。

 具体的にどのような改革が実施されるのかを見てみよう。

 まず、なぜ今、軍制改革をやろうとしているのか。

 公式には、習近平の掲げる「二つの百年」目標実現のためという。つまり①共産党成立100年(2021年)までに中国で全面的なゆとりある社会(小康社会)を打ち立てること、②中華人民共和国設立100年(2049年)までに社会主義現代国家を打ち立てること、を実現するためである。国際社会の複雑な変化に対応し、中国の特色ある社会主義を堅持、発展させ、”四つの全面”(習近平の国家統治のための戦略布石、全面的小康社会の建設、全面的改革の深化、全面的法治国家の推進、全面的党治の厳格化)の協調的推進に、必ず必要なのが軍制改革による強軍興軍化である、という。

 軍制改革の骨子は主に四つ。①今の軍区制を廃止して戦区制(戦略区制)にする。②軍令と軍政を分離し、軍の司法機構を一新する。③30万兵力を削減し200万兵力とする。④軍の”有償サービス”の全面的廃止。

旧ソ連式の軍区制から米軍式の戦区制へ

 まず、①から解説しよう。軍区制から戦略区制に代わると、どうなるのか。

 従来の解放軍の軍区制とは、旧ソ連の軍管区制度にならったもので、中国が国境から敵に侵略されることを想定して陸軍を七つの地域に密着した軍事組織・軍区に分けている。例えば瀋陽軍区は北朝鮮、成都軍区はインド(チベット独立派)、北京軍区はモンゴル、南京軍区は台湾(日本)、蘭州軍区はロシアやウイグル独立派、済南軍区は対外敵が想定されていない予備軍区というふうに。軍区の司令にその地域の作戦を実施する上でのかなり強固な指揮権があり、そこに所属する海軍、空軍、第二砲兵(ミサイル部隊)の指揮権も、兵站や兵力の配置なども軍区の指令が基本的に担う。また軍区には政治委員も設置され、軍政権も軍区ごとに強い。地域の密着型の極めて政治性の強い軍組織であることから、利権の温床ともなりやすく、軍閥化もしやすい。軍内派閥もだいたいこの軍区の出身によって形成されてきた。49年に軍区制が導入されて以来統廃合はあっても、軍区制自体が変えられることはなかった。

 一方、戦区制とは、米軍の統合軍がモデルのようで、戦略・作戦目的ごとに陸、海、空軍の統合軍が設置され、指揮系統も統合作戦指揮系統が置かれる。中国が今現在想定する戦争は国境から外敵の侵略に対応するものではすでになく、南シナ海・東シナでの空海軍やミサイル部隊を主力とした紛争だ。あるいはテロや内乱といった非対称戦闘だ。そう考えると陸軍の地域密着型軍区の強い指揮権は意味をなさないうえ、その強い政治性は中央にとって脅威でしかない。軍区制はかなり前から時代遅れと言われ胡錦濤も廃止しようとあがいたが、軍区=陸軍の利権でもあり、強い抵抗にあって頓挫していた。今のところは七大軍区が四大戦区(北京、南京、成都、広州)に改編される見通しだ。

②について。従来、解放軍の実権は四大総部(総参謀部、総政治部、総装備部、総後勤部)が握っており、中央軍事委主席の統帥権など名目でしかなかった。だが改革では「軍政と軍令の切り離し」を進め、軍令権を統合作戦指揮系統に置くという。統合作戦指揮系統は中央軍事委直轄となる。つまり最高軍令権を名実とも習近平が掌握することになる。

最高軍令権を習近平が掌握、軍縮という名の粛清

 また、これまでは中国の軍は軍政権を握るものが軍令権も動かしている部分があった。軍事は軍政権(軍事行政、装備、兵站など軍隊建設に関わる政治)と軍令権(作戦統帥権など軍事力の直接的使用に関わる権力)からなっている。平和時、軍令権はあまり存在感がない。むしろ軍政を握るものが軍の権力の中枢を握ることになる。逆にいえば、それが平時の軍の常態である。だが、習近平が軍令権と軍政権を分離し、軍令権については自らが掌握することにした。これは、平時から戦時体制に変わる準備ともいえる。軍令権の中には仮想敵国の想定や戦術戦略研究の方針も含まれるという。

 この改革が進めば、これまで軍の実権を握っていた四大総部は、中央軍事委の決定に従って実務に専念する職能機関に格下げになる見通しだ。中でも総政治部の権限は大幅に弱体化する。

 さらに、軍中の司法機構が一新されるという。

 中央軍事規律委員会は軍の腐敗を摘発、裁く機関である。だが、今の状況では、この軍司法機構は身内意識が優先して厳しい裁きはあまりできなかった。長らく軍政を握っていた習近平の政敵・徐才厚(失脚、すでに死亡)の人事、影響力が強く残っており、徐才厚残党一層のためには、現行の軍司法機関では甘い、というわけだ。軍事中央規律委の独立性を確立し 新たに軍事政法委を作るなど、大幅な軍の司法機構改革するもようだ。

 ③について。30万人削減は9月3日の大閲兵式での演説で、習近平があたかも軍縮が目的のようなかっこうで発表したことだが、これは軍縮ではない。軍のスリム化による強軍化であると同時に、軍の徐才厚、郭伯雄(ともに習近平の政敵として粛正された)の残党の粛正発表と受け止められている。七大軍区の改変も、徐才厚派閥の多い瀋陽と郭伯雄派閥の多い蘭州の軍区おとり潰しが裏目的と見られている。

 また、この30万人の内訳は多くが「非戦闘員」と言われている。汚職の温床化している装備部の圧縮が真っ先に挙げられている。また30万人中17万人は、陸軍の江沢民系、徐才厚系、郭伯雄系ら将校クラスともいわれている。習近平夫人の彭麗媛の出身母体である総政治部歌舞団はじめ文藝工作関係者や八一映画フィルム製作所などの宣伝工作要員ら1万人も対象になるようだ。この軍のスリム化は2017年までに完了させるという。

 ちなみにリストラされた兵員がどこに行くかは、不明。新疆方面の武装警察に対テロ要員として編入されるという説もあるが、将校クラスともなれば、そうした再就職は難しい。それなりに軍内実権ももっていた彼らが大人しくリストラされるかどうかも、習近平の力量が試されるところだろう。

最後に④について。軍の有償サービスとは、軍が経営する民間向けの商業活動である。1998年、江沢民政権下では一応、軍の商業活動は表向き禁止となったが、実際のところは暗黙裡に認められている分野は多々あった。また軍病院や軍事学院、軍の倉庫の民間開放や軍所属の歌舞団や文藝工作団のテレビ番組出演なども認められてきた。軍の土地の使用権が商業マンション用に譲渡されたりもした。これらは軍の利権・腐敗の温床となっているということで、これらを一切認めない方針に切り替わる。この軍の利権を徹底摘発する過程で、おそらくは政敵排除を進めていくと思われる。

やってもやらなくてもリスク

 習近平が会議席上、「軍民融合」を訴えているが、これはこれまで軍部の握っていた商業サービス部門を民間に任せていくという考えも含まれているようだ。こうした刺激が、軍事産業系企業などの活性化につながるとの期待もある。

 こうした軍制改革を実際2020年までに行うとなると、かなりの力技が必要であり、またリスクもある。リスクとは軍内部にくすぶっている不満が、何かの形で表面化することだ。

 今のところは、苛烈な粛正による恐怖で軍内部の不満を抑え込んでいるが、30万のリストラによって生活の糧を奪われる者や、有償サービス全面禁止によって利権を奪われる者の恨みの深さを想像すると、たとえばクーデターが起こっても不思議ではない。徐才厚の出身軍区である遼寧軍区など、まるごと消滅するかもしれないのだから、窮鼠猫を噛むではないが、一か八かの勝負に出ることもあるかもしれない。なにせ、軍というのは、大量の武器を所持している、最も実行力のある組織なのだ。実際、習近平が、徐才厚残党の反撃を非常に警戒していることは今年の北載河会議でも口に出している。

 それでも、そのリスクを承知で、軍制改革を進めようとするにも、当然の理由はある。

 軍の今の状況を放っておいてもリスクなのだ。すでに徐才厚、郭伯雄という軍の制服組の二大派閥の親玉が粛正され、軍の動揺ははかりしれない。その粛正を徹底し、習近平が新たな親玉として実力を兼ね備えなければ、軍が習近平の敵となる可能性がある。またドイツの華字メディア・ドイチェヴェレはメルカトル中国問題研究所の専門家の言葉を引用してこの軍改革が「解放軍のバルカニゼーション(互いに対立する小単位に分裂すること)を避けるため」という見方を示していた。

もう一つの理由は、軍制改革をやり遂げねば習近平政権が政権の座に安穏とできない、ということ。江沢民、胡錦濤の両政権と大きく違うのは、毛沢東に続く中国の強人政治家・鄧小平の欽定であるかないか、だ。鄧小平の欽定でない習近平は、鄧小平に匹敵するような軍の掌握ができて、初めて「銃口から生まれた政権」共産党のリーダーとして認められるのだ。

中国は、どう転んでもリスクであり脅威

 そう考えると、この軍制改革は極めて内政的な要因、つまり権力闘争的要因で行われるものと見て間違いない。だが、軍制改革の内容が国土防御を中心とした軍区制から対外戦略を中心とした戦区制に転換するというものである以上、日本のように対立する利害もある隣国にしてみれば、これは中国の軍事的脅威の質的増大に他ならない。しかも、中国は内政があって外交がない、あるいは内政のために外交を行うような面は多々あり、非常に内政的理由で、中国が良好な隣国関係や国際社会での評価や信頼を犠牲にすることも過去にあった。

 解放軍のバルカニゼーションも、クーデターも、国際社会にとっては当然大きなリスクなのだが、習近平が軍制改革を成功させ強軍化を実現すれば、南シナ海や東シナ海の紛争リスクも上昇する。つまり、今の中国はどう転んでも、リスクであり脅威なのだ。

 その様々なリスクと脅威に、日本はどう対応していくのか。何度も問いかけてきたことを、今一度、問いかけたい。

11/14水間政憲ブログ『緊急拡散希望《ユネスコ記憶遺産登録と日本解体法案》』について

中国人の学術論文の撤回が物凄い数であることに世界は気づいてきています。一人日本のみが世界からとり残されています。大学や理化研には夥しい中国人が入って来ています。何故敵国に技術や知識を簡単に与えるのか分かりません。また、東大の森口や早稲田の小保方などは中国人のメンタリテイそのものです。東洋ゴムや東芝の経営者もそうです。日本人の精神性も劣化してきたのでしょう。悪と付き合えば「朱に交われば赤くなる」です。南京虐殺が嘘というのもこれで分かるでしょう。「南京虐殺」は日教組やメデイアがGHQや中国のお先棒を担ぎ、デッチ上げに加担して国民を騙してきたものです。ユネスコには説明責任があるし、日本は反論材料が沢山あるので実証的に論破していけば良いと思います。

夫婦別姓は日本の伝統文化をひっくり返す意図があります。中国と同じようにしたいのでしょう。岡田英弘によれば一番寝首をかきやすいのが妻だから別姓にしていると書いていました。本来国民から選ばれていない官僚である裁判官が法律を作る効果を与えること自体間違っている(三権分立)と思いますが、それが現実です。肚が据わった政治家が少なく、すぐメデイアが作った世論に迎合しようとします。日弁連などは左翼集団の集まりで日本の弱体化を狙うものですし、裁判官も戦後の日本国憲法で育っているため信用できません。世界史的発想をする人たちはいないでしょう。でも、少しでも「夫婦別姓」に影響を与えることができるのであれば手紙をと思いますが、eメールと違い面倒です。

記事

■国内外この1ヶ月間のニュースは、戦後の秩序が壊れ始めている事を如実に示しています。パリではテロが勃発し、非常事態が宣言されています。被害者の皆様方にはお悔やみを申し上げます。

この根元には「移民問題」と「エネルギー問題」が絡み合っています。

フランスの場合、リビアのカダフィ大佐の政権が崩壊するきっかけになったリビア爆撃を強力に実施したのは、フランス空軍だったのです。今回のパリのテロには、そのときの因果応報が否定できないのです。そのフランスは、中近東の問題にも深く関わっており、今回のテロは一過性の問題ではありません。このテロの根底には、中近東やアフリカからの移民も絡み合っており、収束するには長い時間がかかることは確かでしょう。ヨーロッパの移民問題は、ヨーロッパ諸国のアフリカや中近東政策がもたらしており、その混乱は日本にも陰を落としています。

つい最近も渋谷のトルコ大使館での在留者投票で、クルド民族のトルコ国内問題が日本で勃発したのであり、遠い国の問題ではなくなったのです。

このような国際情勢下で、近代文明の根底を揺るがす問題として、学術論文の偽装によって、今年3月、英国の出版社が43件の論文を撤回した中で41件が中国人のものだったのです。

8月にはドイツの学術誌が撤回した論文64件の大部分が中国人のもので、また10月には国際的な出版社「エルゼビア」が撤回した9件の論文の全ては中国人のものだったのです。

現在、中国の「不正文化」が世界に蔓延し始めたことは、近代文明の崩壊を意味します。 この問題は、この度問題になった「南京資料のユネスコ世界記憶遺産登録」も、学術論文の「不正」と同じ問題なのです。

日本解体を目指す反日日本人は、国家の基本法を破壊することに集中して、じわりじわり実施して来ています。それが明らかになったのは、「国籍法改悪案」に始まり、昨年、改悪された愛人と正妻の子供の遺産相続権の均等化でした。

そして、本年12月16日に最高裁判決が下される「夫婦別姓法案」です。

いままでの流れから、最高裁が「夫婦別姓」を認める裁決を出すと、それを踏まえた法案が国会で裁決されることは明らかですので、最高裁判事に国民の声を届けて、裁決の基礎にしていただけば、少数派の意見は採用されないと思っております。

実際、少数派の意見の法案が通り、代替わりすることで3世代家庭の表札は4枚になったり、〇〇家の墓石が使用出来なくなり、新しい墓石が中国製などと、笑えない状況も想定されます。

また、子供の名前は誰が決めるか、子供の人権にも係わる大問題も含んでいます。これは、日本の伝統文化が根底から破壊される事に、国民は気付いておりません。

この最悪の状況を阻止するには、国会議員に期待しても無理なことですので、最高裁判所判事に直接お願いするしか方法はないでしょう。

最高裁事務総局に問合せしたところ、ファックスで受けることは出来ないが、そうゆう事でしたら「手紙でお願いします」とのことですので、下記にハガキか手紙で要請していただければ、反日勢力の策動を阻止できると思っております。

【夫婦別姓最高裁判決:2015年12月16日】

■【最高裁判所】〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号

『事務総局「夫婦別姓公判」担当気付〇〇判事殿』

  • 最高裁判所の裁判官;大法廷15名一覧表

◆最高裁判所長官;寺田 逸郎

◆最高裁判所判事;櫻井 龍子

◆千葉 勝美

◆岡部 喜代子

◆大谷 剛彦

◆大橋 正春

◆山浦 善樹

◆小貫 芳信

◆鬼丸 かおる

◆木内 道祥

◆山本 庸幸

◆山崎 敏充

◆池上 政幸

◆大谷 直人

◆小池 裕

以上、15名の過去をインターネットで調べて、手紙かハガキで意見を要請してください。

■現在、NHKは夫婦別姓を賛成へと印象操作した偏向報道しておりますので、抗議は以下のFAX番号へしてください。

【NHK】意見受付FAX番号:03‐5453‐4000

※ジャーナリスト水間政憲;インターネットだけ転載フリー〈条件・全文掲載〉http://mizumajyoukou.blog57.fc2.com/

11/29日経『中台首脳会談 成果と先行きは 直接対話の枠組み構築 台湾・淡江大学中国大陸研究所所長 張五岳氏』について

Zhang Wu Yue張五岳氏について調べました。民進党の元主席の施明徳等と「台湾と中国大陸の関係についての5原則」を提案した人です。

大一中架構,或稱處理兩岸問題五原則,是台灣政治術語,於2014年5月27日由前民進黨主席施明德、前中華民國國家安全會議秘書長蘇起、前海基會董事長洪奇昌、前海基會副董事長焦仁和、前陸委會主委陳明通、前中華民國外交部部長程建人、淡江大學中國大陸研究所所長張五岳等七人在其共同發表的《處理兩岸問題五原則》宣言中共同提出。施明德等人希望用這個架構來取代一中原則。其旨為:海峽兩岸在一個中國架構下,建立起一個「不完整的國際法人」。

前行政院長郝柏村原計畫加入連署;但因郝柏村堅持加入「兩岸同屬中華民族」,與施明德意見不同,因此最後未加入。(郝柏村は「台湾と大陸は同じ中華民族」と言ったが、施明徳の反対で本件は盛り込まれなかった)

在處理兩岸問題五原則中,提出:

1.尊重現狀(現状を尊重する)

2.兩岸為兩個分治政府(台湾と大陸はそれぞれの政府を有する)

3.大一中架構取代一中原則(「大一中架構」=2国家論や台湾独立に反対するが、「一中原則(一つの中国で、中華人民共和国がそれを代表し、台湾は中国の一部分)」は支持しない。施明徳は中国とは何を指すかについては解釈しない立場である。)

4.兩岸共組一個不完整的國際法人,以共識決處理雙方關切的事務,作為兩岸現階段的過渡方案。(台湾と大陸は不完全な国家であって、共通認識(92共識を指すのか不明。小生は、92共識はでっち上げと思っています)を以て両方とも関心を持って事務処理することを決め、双方とも現段階を過渡的段階とする)

5.兩岸在國際上享有參與聯合國等國際組織、與其他國家建立正常關係的權利。(双方とも国際機関等の組織において普通の国家としての権利を持つ)

来年の総統選では民進党・蔡英文の勝利は揺るがないでしょうが、中国の出方が気になる所です。特に「92共識」の存在がスタートラインとなると蔡英文は益々中国離れを起こすのでは。中国経済も悪化してきているので、台湾企業も大陸から逃げ出した方が良いと思います。債権回収できなくなります。日本と「産業同盟」を結び、東南アジアの華僑相手にビジネスした方が良いのでは。

記事

中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統は7日、シンガポールで歴史的な握手をした。1949年の中台分断以降、初めてとなる首脳会談は東アジアの安定に結びつくのか。中台関係に詳しい台湾の淡江大学中国大陸研究所の張五岳所長と、オバマ政権で対中政策を練ったエバン・メデイロス前米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長に聞いた。(この部分はありません。張五岳氏だけです。)

 ――1949年の中台分断以来の歴史的な首脳会談が実現しました。

 「両岸(中台)は過去7年間、経済を中心に交流を推進してきた。両首脳が直接会って、この成果を強固にする狙いがあった。さらに台湾では2016年1月に総統選挙が控えており、(政権交代で)両岸関係が大きく変化する可能性がある。両首脳はその前に会い、両岸関係の安定を維持するために積極的に関与したいと考えたのだろう」

 ――なぜこのタイミングで会ったのですか。

 「習氏にはまず中国の内部事情がある。台湾の政権交代が実現した場合、両岸関係が難しくなって習氏への批判が強まる可能性がある。習氏は中国の歴代指導者ができなかった首脳会談で自らの実績をアピールし、権力基盤を固める狙いがあった」

 「中国は東シナ海や南シナ海で、日本や米国との摩擦に直面している。この7年間の台湾海峡は穏やかだったが、台湾が政権交代後に日米に接近した場合、中国にはプレッシャーとなる。その前に首脳会談を開き、両岸の平和を演出したかったのでないか」

 「馬氏は08年に総統に就任して以降、両岸関係の発展に努めてきた。一方、内政問題でつまずき、自分は正しい評価を受けていないと感じている。馬氏の任期は16年5月までだが、誰しも任期が終わる前には自らの理想を追求するものだ。首脳会談は、たとえ会うだけでも自らの政権の集大成になると考えたはずだ」

 ――両首脳は中国と台湾は不可分の領土であるという「一つの中国」の原則を確認し合いました。

 「習氏も馬氏も(「一つの中国」の原則を認めるが、内容はそれぞれが解釈するという)『92年コンセンサス』に言及した。これこそが両岸関係の平和発展の最大のカギとなることを世界に宣言した形だ。台湾の総統選で(台湾独立志向を持つ最大野党の)民進党の蔡英文主席が当選した場合、この『92年コンセンサス』を受け入れるのかを突きつける狙いがある」

 「習氏には会談で馬氏というより蔡氏にメッセージを送る狙いがあった。両岸関係で『92年コンセンサス』の重要性が一段と強固になったことを見せつける半面、これに代わる新たな了解事項や信頼関係があれば蔡氏と会うのは不可能でないことを示唆した」

 「中国は両岸関係を長期的な視点でとらえている。今回は両岸の首脳が直接対話するという前例をつくったことが重要だ。こうした前例があれば、もし中断しても再開することが可能だ」

 ――馬氏は会談で台湾当局が名乗る「中華民国」の名称などを使ったことをあえて公表し「習氏と対等の会談だった」と主張しています。

 「公開のあいさつでは互いに不快感を与えることは言わなかった。ただ非公開の会談部分では、習氏も『台湾独立に反対する』などと言いたいことを言った。事前にそうした合意があったのだろう」

 ――会談は総統選で劣勢の与党・国民党への追い風になるとの見方もありましたが、効果は小さいようです。

 「習氏も馬氏も会談によって選挙の結果が変わるとは思っていない。蔡氏は両岸関係で『現状維持』の政策を打ち出しており、一定の支持を得ている。ただ今回の会談は蔡氏が総統就任後に、両岸関係を推進できるかという大きな課題を突きつけた。蔡氏が20年の総統選で再選できるかにも影響してくる」

 「中国が『92年コンセンサス』を通じて台湾に要求していることは、『一つの中国』と『台湾の独立反対』を認めることだ。民進党が『台湾の独立反対』を容認することは中国も期待していないが、少なくとも『両岸は国と国の関係でない』ことを何らかの形で示すことを要求してくるだろう」

 ――中国と民進党が折り合えないと、どうなりますか。

 「中国は台湾に揺さぶりをかけるだろう。両岸が実施している経済協定の交渉や、閣僚級の直接対話はストップしそうだ。(中国人観光客の台湾訪問など)民間ベースの交流は完全には止まらないだろうが、縮小するはずだ」

 「(来年1月の)総統選が終わったら蔡氏の5月の総統就任を待たずに、中国と民進党はコミュニケーションを取り始めるはずだ。ただ蔡氏が最終的にどう対応するかは私にもまだ分からない」

(聞き手は台北=山下和成、写真は熊谷 俊之)

 Chang Wu-Ueh 台湾の政治大学で博士号取得。2008年から現職。台湾の官庁の諮問委員なども務める。55歳。