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2/17日経ビジネスオンライン 福島香織『「貨幣戦争」中国の本当の敵は誰か 欧米の投機筋? 日本のマイナス金利? それよりも…』について

2/16国連欧州本部(ジュネーブ)で杉山外務審議官が慰安婦問題を説明したことに対し、火病持ちの韓国の反応としては、おとなしかったです。朝日新聞と吉田清治だけを責めたというのがあったのかもしれませんが(米国の圧力があるのかも)。彼らだって馬鹿でないから、事実は何かというのはとっくに知っているはずです。でなければ、韓国の男性は皆、臆病者の烙印を押されます。目の前で家族が銃で脅され拉致されたなら、黙って見ているだけのことはありません。奪回するため抵抗するでしょう。こんな見え透いた嘘を信じるのは阿呆だけです。中韓が事実と違っても、声高に主張するのは日本が簡単に謝り、簡単に金を払うからです。日本人の名誉を置き去りにした戦後の日本人とはいかなる存在か。日教組、左翼メデイアがやってきたことは悪すぎますが、もういくら何でも気が付かないと。

本記事にある「日本の経済の衰退のツケを我が国(中国)の庶民に支払わせる」と言うのは、余りに経済を知らない言葉です。日本がマイナス金利にしたのは、銀行に国債を買わせず融資を促す(投資・消費増)日本国内のインフレ助長策の意味だけです。中国とは関係ありません。また実体経済は良いので、安全資産として円が買われています。中国としては日本へキャピタルフライトされては困るとの思いでしょうが、何でもすぐ人のせいにしたがる民族です。もし、日本のマイナス金利が困ると言うなら、中国もすれば良い。通貨安戦争に入れば良いでしょう。元が暴落し、25兆$もある国全体の債務が益々重くなるだけです。逆に今中国は元の暴落前に、海外企業の買収を進めています。ただ、デフォルトを起こせばその資産もハゲタカに買い叩かれるのでは。

本記事を読みますと、中国は岩井克人教授の話(1/3日経)にあったように、基軸通貨(key currency)と強い通貨(hard currency)の違いが分かっていないようです。岩井教授は「国際通貨の議論が混乱しているのは、基軸通貨と強い通貨とが混同されてきたからだ。円も人民元もユーロも強い通貨である。強い通貨とは、一国の経済力を背景として、その国との貿易や資本取引で使われる通貨のことだ」 「全くカテゴリーが異なるのが基軸通貨だ。ドルが基軸通貨であるとは、韓国がチリと貿易するときにドルを使い、チリがインドと資本取引をするときにドルを使うように、米国以外の国同士の決済にドルが使われるということだ」「2008年のリーマン・ショックの時、中国はドルの覇権に異議を唱え、人民元の基軸通貨化を目指してきた。だが、強い通貨と基軸通貨とを混同している。いくら一国の経済規模が大きくなっても、その通貨がそのまま基軸通貨になるわけではない」「基軸通貨は何らかのビッグバンがなければ生まれない。米経済は19世紀後半から最強だったが、基軸通貨国は長らく英国だった。第2次大戦という大きなショックが、ようやくドルを基軸通貨に押し上げたのだ。その後、米経済のシェアは落ち、ベトナム戦争のとき、米政府は基軸通貨の座から降りようとしたこともある。ところが貨幣の自己循環論法が働き、米以外の国はドルを基軸通貨として使い続けた。ドル危機が繰り返し叫ばれても、いまだに基軸通貨のままだ」と言っています。

中国人は「白髪三千丈」の世界に住み、大言壮語、スローガンを打ち立てるのは得意ですが、儒教の影響かどうか、実務には疎いです。人民元による「一帯一路」政策が世界を救うことはなく、中国の過剰在庫、過剰労働力解消のためだけでしょう。よくもまあ、恥を知らずこんなことが言えるものだと。面の皮が厚すぎます。そうでなければ中国社会では殺されかねないのでしょうが。

米国の利上げも人民元の暴落の誘因になるため嫌がっているのが見え見えです。オバマが軍事力行使忌避の姿勢であるのなら、経済で中国を崩壊させるようイエレンは整斉と利上げをすべきです。

記事

 中国で最近の経済系ホットワードは「貨幣戦争」ではないだろうか。中国人民銀行総裁の周小川が外貨準備高を“弾薬”にして、人民元の空売り攻勢を仕掛けようとする外国投機筋を迎え撃つ姿勢を示したため、2月15日には人民元はここ10年余りで最大の上昇幅を記録したとか。2月以降の中国メディアの記事も「貨幣戦争」というワードが散見され、金融政策の“軍事化”というか、妙に勇ましい論調が多い。確かに軍事と金融こそが、国家の具体的“力”であり、その力を外国と争うという意味で、これは戦いだ。では、中国の敵は誰なのか、勝者は誰になるのだろうか。

欧米主要金融勢力集団の陰謀?

 中国で「貨幣戦争」と言えば、2006年からベストセラーになった宋鴻浜の著書シリーズを思い出す。日本でも翻訳されているので、ご存知の方も多いだろう。彼は、米国のリーマンショックなどの予想を的中させ、米ビジネスウィーク誌が選ぶ中国で最も影響力のある40人(2009年)の一人にも選ばれた。

 彼の描く「貨幣戦争」とは、有り体に言ってしまえば、欧米国際金融陰謀論だ。中国にとっての敵は欧米主要金融勢力集団となる。彼の著書『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』(武田ランダムハウスジャパン)では、彼らが将来的に中国に攻撃を仕掛ける手法についても予測していた。

 国家の辺境は陸の境、海の境、空(宇宙)の境のほかに金融の境があり、いずれの境の防衛も大事だが、中でも金融の境を攻撃され崩されれば、政権は必ず倒れる。清の滅亡は、英国金融資本の攻撃によって、中国の銀本位制が崩されたからだ、という。領土領空を守るように、金融の国境を守れなければ、いかに富国強兵をやろうとも工業が盛んになろうとも、国家は亡びるのだ。

 そして、宋鴻浜の予言通り、いよいよ今年、通貨戦争の狼煙が上がった、ということになる。

 中国メディアの報道ぶりをみれば、その先陣を切ったのが、安倍政権による「マイナス金利」ということになる。財経誌は「日本のマイナス金利ブラックスワンが中国を狙い撃ち 北京はきらめく剣でもって貨幣戦を迎え撃つ」という見出しの記事で、次のように報じている。

日銀「マイナス金利」政策が先陣?

 「日銀のマイナス金利政策はFBRの利上げを受けた国内経済刺激策である。…欧州中央銀行もおそらく、刺激策を強化してくるだろう。米国の金利政策と日本、欧州の本道に外れた行動は、報酬率が比較的高い米国資産に投資家を殺到させ、ドルのさらなる利上げ圧となっている。

 このため、米国のインフレを抑えようとする圧力がさらに進み2012年以来、米インフレ率はFRBの目標の2%に到達していない。

 我が国は実業資本の豊富な国家である。世紀の金融大決戦はすでに幕が切って落とされた。金融投機資金はすでに飢餓に耐えがたく、必ずや最後の賭けに出て、我が国に対して最大の努力をもって攻撃を発動するだろう。そして我が国を貨幣投機の天国、実業資本の地獄にするつもりなのだ」

 「(マイナス金利によって)日本経済が良くなれば、グローバル経済にとっても、中国経済にとっても当然、促進作用がある。しかし、中国商品が日本商品と競争するとき、その競争力は下降する。円のマイナス金利は短期的には我が国の株式市場を刺激するかもしれないが、長期的には我が国の経済にとって不利な一面があり、日本の経済の衰退のツケを我が国の庶民に支払わせることと同じである。

 我が国としては、日本の貨幣政策の過剰な緩和がもたらす影響を無視できない。これは“近隣窮乏化政策”であり、日銀のこの“大放水”政策の最大の影響を受けるのは隣国である。…

 華林証券策略アナリストの胡宇は、円のマイナス金利時代は、貨幣戦争の開始を意味する、という。…グローバル経済とっては、通貨切り下げ競争という負のスパイラルが激化し、株式市場にとって表面上よいニュースであっても、実際上の意味は経済の展望に対する不安を一層深めるものであり、短期的に反発があっても今後さらに下がっていくだろう、と分析する。

 我が国はどうすればよいのか。もし金融緩和政策と人民元切り下げによって、グローバル実業資本争奪戦に参戦していけば、米国資本の乗っ取り計画は無に帰し、金融投機資本は十分な栄養を見いだせず、再度金融危機が起きるだろう。現在のグローバル金融の反応はこのような心配を反映している。

 我が国はあえて“きらめく剣”をもって、“手段を選ばずに潰しにくる攻撃者”を迎え打つと同時に、伝統産業の併合を加速して生産過剰が金融リスクをもたらす原因を解消せねばならないのである。将来、我が国の為替政策は国内経済の需要に応じてスタートするべきで、人民元が順調にSDR貨幣バスケットに加入することはもとより重要だが、もし、本当に最後の手段が必要になれば、放棄すべきは放棄し、先延ばしすべきことは先延ばしすべきだろう」。

日本のマイナス金利の中国経済に対する影響はそんなに大きくない、という見立てもあるのだが、最近の中国はどうも安倍政権のやることなすこと中国に敵意があるとみなしがちである。だが、中国としては、外国投機筋から人民元を守るべく為替介入していくつもりであり、そのために、SDR加入の延期も辞さない覚悟も見せている。

ソロスの空売り攻勢か?

 チャイナデイリー(2月1日付)の「貨幣戦争?人民元が勝つ!」というタイトルの商務部国際貿易経済合作研究院研究員・梅新育の論文も話題を呼んだ。

 「2016年、ソロスは“貨幣戦争”発動を宣言し、人民元を含むアジア貨幣に空売りを仕掛けた。…ソロスの人民元に対する挑戦は成功不可能だ。2015年から人民元は対米ドル貨幣価値が下落し、中国経済の成長率は減速、株式市場は不安定だ。だが、グローバル経済総体があまりよくない状況で、中国は依然良好なファンダメンタルズを維持している。…確かに2015年中から、人民元の小幅な下落は続いているが、20年来、米ドル為替率は安定を維持し、むしろ上昇の趨勢にあった。

 大幅な人民元上昇の後、(現状のように)適度に切り下がるのは自然なことだ。中国は世界第二の経済体であり、人民元は永遠にドルにペッグされることは不可能でもある。

 国際社会での資本の流動性は非常に高く、この状況下で、中国が貨幣政策の独立性を維持したいと考えれば、人民元は正常な変動が望まれる。投資家たちは早晩、状況の趨勢が分かるようになり、この数か月前からの人民元の不安定さを再演することはないだろう。これは投資家たちの過剰な反応なのだ。…

 長期的に見れば、ドルは新興国通貨に対する強硬姿勢を維持していくだろうが、人民元は別である。目下、中国の貿易黒字は続いており、これからも継続していく。米国経済はすでに深みにはまっている。経済成長と異なる産業の盛衰には因果関係があり、同時に実体経済の基礎計画の一部である再工業化戦略を地固めするのは、かなり難しい。

 米国経済が回復したとしても、その貨物貿易状況は悪化しているだろう。…60年代以来、何度かドル危機は起きたが、悪化し続ける貿易状況と経常収支状況と財政赤字がドルの自信を打ち砕いてきた。最近のドルの人民元に対する強気の姿勢は、最終的には“トリフィンのジレンマ”に陥るだろう。

 ソロスのアジア貨幣戦争勃発を別の角度から見れば、中国にとっては一つのチャンスだ。つまり、中国とその他アジア各国の金融・財政領域および、中国が発起した“一帯一路”戦略の協力を進化させる契機となる。…中国とその他アジア新興経済体との金融領域の協力、協調はさらに強化されることだろう」

 「トリフィンのジレンマ」とはエール大学のロバート・トリフィン教授が1961年に唱えた説で、「米ドルが国際的な準備通貨であるためには、諸外国がドルの外貨準備を保有できるよう、米国は余剰流動性を供給しなければならない。このため、米国は経常赤字を容認しなければならないが、これは米ドルの信認を揺らがせかねない。だが、米国が米ドルの信認を保つために経常収支を均衡させてしまうと、国際市場へのドルの流動性供給が滞り、結果的に米ドルが準備通貨の役割を果たせなくなってしまう」というブレトンウッズ体制の抱える矛盾を指摘している。

 梅新育の論はドルの国際通貨時代の終焉に代わり、人民元が「一帯一路」戦略を通じて国際通貨にのし上がるという、中国の野望を表現したものだといえる。

最後に新浪財経の「人民元が最後に世界を救う責任を担う!」という記事。

人民元には「世界を救う重責」?

 「中国人民銀行金融研究所長の姚余棟は、米ドル利上げ後、グローバル経済の流動性が緊縮し人民元が世界を救う重責を担う情勢となった、と指摘する。…

 歴史上、我が国の北宋時代は経済が繁栄していた。それは白銀と銅の交換率が上昇するとの予測があったからだ。このため多くの白銀を備蓄したが、結果、流動性が不足し、デフレとなった。同じことが、白銀が米ドルとなって現在起こっている。姚余棟はこの例をひいて、ドルの利上げはドル不足をもたらし、グローバル経済の流動性不足を激化させる、と警告。

 ドル利上げによる資本流出は中国において非常に巨大で、12月の外貨準備は3.33兆ドル、前月比1079億ドルも減少する。これは史上最大の単月下げ幅を記録。2015年通年で、中国は累計5126.6億ドルも外貨準備を減らした。さらに3000億ドルの貿易黒字を考慮すると、2015年の中国の資本流出は8000億ドルを超える。これは全体的に言って憂慮すべき数字だ。

 マクロ的データの表層での情緒はすでに一般の個人投資家に伝播し、上海、深圳の銀行では大勢の人が群がり、かつての中国版ミセスワタナベたちはドルへの兌換に詰めかける新勢力となって、人民元為替レートの将来を不安がる人心は、すでに一種のパニック的ムードを形成している。…

 姚余棟によれば、中国が単なる製造業国家であり、貨幣が国際通貨でなければ、人民元は長期的に下げ圧力にさらされる。しかし、去年、人民元はすでにSDR入りを認められ、局面はすでに変化している。もはや中国は単なる製造業国家ではない。グローバル経済の流動性を強化するため、人民元は世界を救う重責を担わねばならないのだ。人民元が流動性を補えば、来るべき冬はさほど寒くはないだろう。…

 人民元が世界を救うには二つの前提がある。一つは、実際に人民元が国際化すること。二つに、人民元が兌換できる通貨バスケット通貨の相対的な安定だ。中央銀行はすでに同様の思考を明らかにしている。中央銀行研究局首席エコノミストの家馬駿は、『人民元レートの形成メカニズムはすでにドルにペッグされていない。完全な自由変動制ではないが、バスケット通貨の影響力は増しており、バスケットレートの安定を保持するようになっている。これが、将来的な人民元レート形成メカニズムの基調となる。この種のメカニズムを実施すれば、人民元のバスケット通貨レートに対する安定性が増し、人民元の米ドルに対する双方向の変動は一層大きくなるだろう』。…

 李稲葵(清華大学世界経済研究センター主任)によれば、ドルが回流し、人民元が国際通貨となれば、長期的にはむしろ人民元価値は上昇するという。いわく、人民元の下落は長期的には続かない。国外のマーケットは中国への空売りを唱え、また中国政府が通貨切り下げの方法で経済を救済しようとしているとも言うが、これはマーケットが煽る人民元下落予測に過ぎない。国内マーケットの場合、これは大衆のパニックが元の下落を引き起こしているのであって、目下の経済調整に非常に有害である。

 だが、フリーのエコノミスト、呉裕彬は李稲葵らに反対の観点から次のように語る。『目下の外貨準備資産の流出は5500億ドル。おそらく今年の8月ごろ、外貨準備資産は底をつく。この時、為替市場の伏兵が四方から立ち上がり、中央銀行は“兵”を調達することができず、人民元レートはただ自由落下運動の状態になるだろう』。…」

このほか、論評はいろいろあるのだが、総体的にまとめれば、中国政府の目下の貨幣戦争における戦術は、とりあえず3.3兆もの“弾薬”を使って、宋鴻浜の言うところの欧米国際金融勢力を撃退することから始まるようだ。然る後に中国経済の都合に合わせて事実上の対ドルペッグから変動為替制に移行していく。中国の国際収支状況は良好で、国際競争力も依然強いのだから、長期的に見ればむしろ上昇するはず、そうしたらドルに代わって世界金融の救世主になるのは人民元だ、という極めて希望的シナリオを描いている。

改革を断行する勇気は?

 しかしながら呉裕彬の予測のように“弾薬”が8月に尽きるという予測もある。そもそも、外貨準備を使っての人民元防衛は戦術的に誤りだという指摘もある、と仄聞している。人民元が国際通貨入りを目指すならば、早々に変動為替制に移行すべきで、それによって習近平政権が強引に2割も上げた人民元が2、3割下がるのは必要な洗礼だろう。それよりも遅々として進まぬ国有企業改革や生産調整の大ナタを振るう方が先ではないか、と。どうも、戦術的に戦略的にも、中国内部で方針が絞り切れていないような話もある。

 「通貨戦争」の狼煙は確かに上がっているようだが、中国の真の敵は、外国投機筋でも、日本のマイナス金利でもなく、痛みに耐え抜いて改革を断行する自らの勇気のなさの中にあるのかもしれない。

2/16JBプレス 裴敏欣『中国の恐怖政治の復活 共産党の聖域から、大学の講堂、会社の重役室に至るまで』、2/17ZAKZAK『吉田清治氏と朝日新聞を国連委で名指し 日本政府、慰安婦の強制連行“否定”』について

中国は伝統的に腐敗社会です。上から下に至るまで賄賂を取るのが当たり前の国です。それが、「反腐敗運動」ですって。片腹痛いとしか言えません。このような運動は一に政敵打倒のためだけです。或は下っ端が賄賂の分配を誤った場合に逮捕されるくらいのものです。

習は毛沢東の恐怖政治を真似ているのかも知れませんが、流石に文革のような紅衛兵を扇動して政敵を打倒するようなことはしません。陰険さは変わらないでしょうけど。習や王歧山だって取っているのは間違いありません。温家宝の家族の蓄財もニューヨークタイムズにスッパ抜かれました。

中国経済が二進にも三進にも行かなくなっているので、不平や異論を許すと反逆が起こると習は思っているのでしょう。だから反対派予備軍を弾圧するのです。経済的に力のあるもの、知識人等発言力のある人間を封じ込めておかないと安心できないのでしょう。しかし毛流に言えば「農村が都市を包囲する」です。膨大な数の農民工、盲流、流氓が中国には、います。いくら上の方を押えても数で優る下層階級は抑えられません。解放軍による虐殺が起きるかも知れませんが。経済崩壊後の分配について考えて見ますに、貧しきは益々貧しく、富める者は夜逃げでしょう。早く崩壊させた方が世界平和のために良い。

ZAKZAK記事は中国記事とは違いますが、早くお知らせした方が良いと思い掲載します。(既に御存知かもしれませんが)。小生詳しくはFacebookで知った次第。2/17日経朝刊にベタ記事で載っただけ。マスメデイアはグルとしか思えない。外務省にしては上出来。やればできるのでは。藤岡氏の仰るように米軍調査やマイケル・ヨン氏の論文も提出すれば(北野幸伯氏の提案でしたが)もっと良かったでしょう。嘘をずっと言ってきた中韓はどう反撃するか。朝日はいつも通り卑怯の極みです。日本政府の反撃が始まりましたのでこの事実をもっとアピールして朝日を廃刊に追い込みましょう。

記事

Fence of China

(クレアモントより)中国は毛沢東の時代以来再び、恐怖に支配される時代に入った。共産党の聖域から、大学の講堂、会社の重役室に至るまで、厳しい告発とさらにいっそう厳しい懲罰が、亡霊のように中国の政治界・インテリ界・ビジネス界のエリートたちを追い詰めている。

 恐怖は蔓延し、その跡は各所に見える。2012年12月に習近平による冷酷な反汚職の動きが始まってからというもの、同僚たちの背筋をぞっとさせるような官僚の逮捕は日常儀式になった。

 高官であっても守られることはほとんどない。腐敗した146人の「タイガー」たち(省大臣や地方長官のランクを持つ官僚)が告発されているように、高官たちもまた、しばしば警告なしに逮捕されていく。中国語の辞書には、彼らの突然の失脚を表現して、「秒杀」つまり「秒殺」という言葉が追加されたくらいだ。

 下級役人はさらにひどい打撃を食らっている。自殺報告が増加しているのはその現れだ。メディアは去年だけで28件の報告があると認めているが、実際の件数が28件よりも大幅に上回っていることは確実だろう。この動向を憂慮した共産党の指導者たちは、党支部に対して、反汚職運動が始まってからの役人の自殺データを集めよという任務を課した。

 今や、絶え間ない恐怖の中で生きているのは犯罪者たちだけではないのだ。普段どおりの計画や依頼を習慣的に承認することですら、潜在的な疑惑を生むかもしれないとして、中国の官僚組織全体が恐怖に身をすくめている。

 恐怖のうちにあるのは官僚組織だけではない。学者、人権派弁護士、ブロガー、財界のリーダーたちもまた恐怖を経験している。

 まず大学では、政府がリベラル派の教授たちを告発する通報屋を雇ったおかげで、声高にリベラル派と主張していた学者たちが次々に職を失った。次に弁護士業界では、何百もの人権派弁護士が脅迫を受けたり逮捕されたりした。

 財界のリーダーの中にも一時的に姿を消す者がいた。おそらく反汚職調査官の指図で拘留されていたのだろう。中でも、郭广昌の件は注目を浴びた。郭广昌は70億ドルの純資産を持つ中国で17番目の金持ちで財界の重鎮だ。彼は「司法調査を手伝った」として昨年12月に拘留された。そして数日後に、何の説明もなく、会社の年次会議に現れた。

*  *  *  *

 しかしおそらく、恐怖政治の復活の最も気がかりな衝撃は、外国人に対する影響だろう。恐怖の内にあるのは、西洋のジャーナリストやNGOの代表、外国人会社役員だけではない。一国二制度によって中国の司法管轄外にあるはずの香港の会社役員、出版・編集者たちもそうだ。

 2013年に、巨大製薬会社(SGK=GSKの誤り?)のイギリス人会社員が、彼の調査会社(ChinaWhys)に関する曖昧な容疑で、2年半の服役を宣告された。翌年には、彼の妻とビジネスパートナーであるアメリカ人(出生は中国)が、同じ容疑で2年の服役を宣告された。2015年の12月には、フランス人のジャーナリストが、ウイグルの少数民族に対する中国当局の扱いに関する記事を書いたかどで、国外退去処分を受けた。翌月には、NGOで働くスウェーデン人に国外退去処分が下った。今回は国家の安全保障を脅かした容疑で拘留された後のことだった。

 西洋の巨大企業は、かつては熱心に中国政府に求められていたものだが、今や警察の手入れと反汚職調査におびえている。GSKは2014円(年?)に汚職の責めで5億ドルの罰金を命じられた。これは企業に対する罰金額では最大級の額だ。アメリカの半導体メーカー、クアルコム(Qualcomm)は去年「寡占的ビジネス」だと責められ、10億ドルに近い罰金額を中国に対して支払わなければならなかった。

もっと不穏な話は、中国の指導者たちのゴシップ記事を書く香港の出版社「巨流(Mighty Current)」で働く出版・編集者が、ここ数カ月で5人も失踪したという話だ。2人に関してはどうも、意思に反して中国へ拉致されたようである。1人はスウェーデン国籍なのだが、中国のテレビ局に出るように強制された。そして、到底真実とは思えないが「自分の意思でタイから中国へ戻ってきた」と主張し、「誰も助けてくれるな」と頼んだ。

*  *  *  *

 恐怖政治が1976年の文化大革命の終焉によって終わったわけではないということは明らかだ。そう思っている人は多いし、驚くことではない。中国経済が急成長し近代化したとしても、政治制度は全体主義的特徴を保ち続けている。

 (中国)は法の支配を適用せず、保安機構の諜報員たちは実質上どこにでもいる。検閲が蔓延し、人権の保護は薄い。毛沢東思想の組織的名残はいたるところにあり、今までも決して否定されたことはないし、最高指導者が適切だと思ったときにはいつでも使われるのだ。こんにち、中国で使われているように。

 この事態に西洋は警鐘を鳴らすべきだ。西洋の指導者は、中国の恐怖政治の復活を「中国との国交を構想するための要素である」などと単に分析するだけでなく、中国にこういったやり方を考え直させるための戦略を立てなければならない。

 日ごとに高まる中国の国際的影響力を鑑みても、中国における全体主義的な恐怖政治の復活は、アジアのみならず世界に対して、広範な(かつ、ひどく不穏な)意味合いを持つことになるからである。

ZAKZAK記事

日本政府が国連で、慰安婦の強制連行を完全否定した。「政府発見の資料には軍や官憲による強制連行を確認するものはなかった」「性奴隷は事実に反する」などと説明し、国際社会に誤解が広がった背景として、吉田清治氏と朝日新聞を名指しした。事実上の“断罪”といえそうだ。  これは、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で16日午後(日本時間同日夜)に開かれた、女子差別撤廃委員会の対日審査会合で披露された。  政府代表である、外務省の杉山晋輔外務審議官はまず、昨年末の日韓外相会談で、慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に解決」することで合意したことを説明した。  そのうえで、強制連行説は「韓国・済州(チェジュ)島で女性狩りをした」とする吉田氏による「捏造」で、朝日が吉田氏の本を大きく報じたことが「国際社会にも大きな影響を与えた」と指摘した。内容は「複数の研究者により『完全に想像の産物』であったことがすでに証明されている」とも明言した。  また、「慰安婦20万人」についても、朝日が(戦時中の勤労奉仕団体の1つである)女子挺身隊を「混同した」と説明した。「慰安婦=性奴隷」との表現についても「事実に反する」と強調した。  日本政府が国連の場でこうした事実関係を説明するのは初めて。遅きに失した感もあるが、中韓主導で日本を貶める“歴史戦”で反転攻勢に出たといえそうだ。

朝日(東京本社版)は17日朝刊4面で、今回の対日審査について「慰安婦問題 国連委で日本強調」「不可逆的に解決」の見出しを付けて45行報じたが、自社の大誤報が国連で名指しされたことには一切触れていない。  慰安婦問題に精通する拓殖大の藤岡信勝客員教授は「杉山審議官の説明は及第点だ。慰安婦が性奴隷ではないことを記した米軍の客観的な資料も示して説明すれば、もっと良かった。朝日は肝心なポイントを無視して、自社の責任をほおかむりしている。世界のメディアで、日本に対する誹謗中傷が行われている責任を重く受け止めるべきだ。今回の記事は朝日の体質が表れている。まったく反省していない。報道機関として失格だ」と語っている。

石平著『暴走を始めた中国2億6000万人の現代流民』について

中国経済の不振はチャイル・ショックとも表現され、世界的に認知されて来ました。ゴールドマン・サックスがBRICSと持て囃し、投資を煽りましたが、中国の米国覇権(国際金融資本かもしれませんが)に挑戦する姿勢を見て宗旨替えしたのかも知れません。戦争するよりは経済で相手を痛めつける方が高等戦術です。でも以前のブログで書いた通り、ランド研究所の尖閣の論文を見るとチャイナマネーが跋扈しています。経済を崩壊させれば賄賂もどきの金も使えなくなります。同時に韓国経済も崩壊して、ハニーしか使えなくなります。

宮崎正弘・石平著(二人とも中国経済の崩壊を早くから予見)『私たちの予測した通り、いよいよ自壊する中国!』(P105~106)の中で石平氏は「胡錦濤が共青団を使って人の恨みを買う事を全部習近平にやらせてそれで党を掃除して、次の党大会で自分達が実質的に政権を取ると言う策略です」と述べています。それに対し、宮崎氏は「習は毛を見習うと言ってもそれだと胡がやっていることになる。国共内戦から共産党勝利の道と同じ(漁夫の利を得る)」と応じています。共産党の奥の院の権力闘争は何が真実か分かりません。団派が勝っても、習派が勝っても、共産党の統治システムが残る限り、中国人民にとっては不幸であることは間違いないです。

下は大学にも共産党の魔の手が伸びるという記事です。北京大学も査察と言うのは、日本でも東大に政府が介入するようなものです。ただ、大学の教職員は左翼が圧倒的に多い。これを見て彼らは何も感じないのかと言いたい。

2/16日経には「中国と世界 「反腐敗」で頭脳流出

「末端の腐敗を厳しく処分し、成果を民衆に実感させないといけない」。中国の習近平国家主席は1月、共産党内の会議でこう強調し、汚職摘発をすみずみまで広めるよう指示した。新たに矛先が向かう一つが、大学などの教育機関だ。

Beijing University

 

 

 

 

 

最高学府・北京大学にも春から査察が入る

The number of  Haiguizu's returns

 

 

 

 

 

■研究許可厳しく

 共産党中央規律検査委員会の「巡視組」と呼ばれる査察チームは今春から、最高学府・北京大を調査する。規律委の幹部は1月、大学で教師が不適切な言論を広めていないか監督を強化する方針も打ち出した。

 大学関係者によると、摘発を恐れるあまり研究プロジェクトの許可が各大学でおりにくくなっている。研究ができず余った予算を政府に返納する動きもあるという。ある大学教授は「自由な研究や授業をやりにくい雰囲気がある」と困惑する。

 「自由がほしかった。大学生になっても管理されるのは御免だ」

 広東省出身の周朝陽さん(21)は北京大など国内トップクラスの大学を選べる成績だったが、香港大学を選んだ。「学生補導員」と呼ばれるチューターが学業から日常生活まで管理して党に報告するシステムに耐えられなかった。卒業後も香港で働きたいという。

■150万人の差

 2000~14年に中国から海外に向かった留学生数と帰国者数を比べると約150万人が戻らずに海外にとどまっている。帰国者への優遇制度を始めた2008年以降は帰国する割合が以前よりも改善していたが、14年は出国者が前年比11%増と高い伸びを記録したのに対し、帰国者数は同3%増にとどまった。14年は習指導部が反腐敗運動を強めた時期だ。

 香港大のアナトリー・オレシエンコ准教授は「頭脳流出が起きるかどうかは中国政府が内外の人材を引きつけるために国内の自由度や開放性を高めるか、それともシステムをより厳しくするかで決まる」と指摘する。

 教育機関への統制強化は、不満が民主化などに誘導されないように抑え込もうとする習指導部の意思の表れだ。ただ、自由な研究なしにイノベーションは起きにくい。人材流出が続けば将来の成長基盤も損なわれる。北京のある知識人は「習指導部は成長よりも統制を優先している」と批判する。

(1面参照)

 新居耕治、山田周平、粟井康夫、大越匡洋、小高航、中村裕、阿部哲也、土居倫之、永井央紀、原島大介、森下寛繁が担当しました。」とありました。優秀になればなるほど、自由のない世界に帰ろうとは思いません。況してや、逮捕状もなく拘引される可能性のある国においては。

石平氏は暴動の中には就職できなかった大卒も入るのではと書いていますが、海亀族までは無理のようです。また本当に解放軍が大衆に発砲しないかどうか分かりません。どうなるにせよ、中国は軍事的にも経済的にも追い込まれています。暴動→難民(飛行機での避難民も出て来るかも。金を持っている悪い奴かもしれません)の発生に政府は対策をキチンと考えていてほしい。

内容

P.32~34

不動産バブルの崩壊は、別の側面においても中国の消費拡大に大きな打撃を与えることになるだろう。不動産価格が大幅に落ちていくなかで、不動産を主な財産として持っている富裕層や中産階級が、その財産の多くを失うことになると予想されるからだ。財産が失われた後には、多額のローンだけが残る。

中国政府が内需拡大の主力として期待している人々が、苦境に立たされることになるのだ。結果、中国の内需拡大はますます絶望的なものとなってしまう。 中国では、経済成長の失速はすでに鮮明になっている。それに加えて、不動産バブルの崩壊と、それにともなう一連のマイナス効果……中国経済の先行きは、さらに深刻な状況 とならざるをえない。

財政事情が悪化し続ける理由

不動産バブルの崩壊は、深刻な問題をも引き起こすことになる。二〇一五年三月一七日、中国財政部がこの年一月〜二月の全国財政収入の伸び率が前年同期比で三.ニ%増であったと発表した。

日本の感覚からすれば、財政収入三.ニ %増は悪くない数字だ。しかし、中国の場合は事情がまったく違う。

たとえば、ニ〇〇六年からニ〇一〇年までの五年間、中国の財政収入は毎年平均してニ一.三%の伸び率を記録してきた。とりわけ、ニ〇一一年のそれはニ四.•八%増という驚異的な数字であった。

しかし、その三年後のニ〇一四年、全国財政収入の伸び率は八.六%に……ピーク時の約三分の一に急激に落ちたことになる。そして先述の通り、二〇一五年一月〜二月の伸び率はさらに落ちて三.ニ%増にまで落ち込んでしまった。中国政府にとっては、衝撃的な数字であったに違いない。

その数年前までは、毎年の財政収入が急速に伸びていたから、中国政府は二桁の国防費増加を図り、思う存分、軍備の拡大ができた。また、国防費以上の「治安維持費」を捻出することによって国内の反乱を抑え付け、なんとか政権を死守してきたという面もある。そして、潤沢な財政収入があるからこそ、中国政府はいつも莫大な財政出動を行うことで景気にテコ入れし、経済成長を維持できたのである。

いってみれば、共産党政権の安泰と中国政府の政治•外交および経済の各面における統治能力の増強を根底から支えてきたのは、高度成長に伴う急速な財政拡大だたのでる。しかし現在の中国では、これまでのような「お金はいくらでもある」というハッピーな時代は終わろうとしている。

もちろん、財政収入が伸び悩みの状況になっていても、習近平政権は軍備拡大のテンポを緩めるようなことは絶対しないだろう。政権を死守するためには「国防費」や「治安維持費」を増やすことはあっても、削ることはまずない。ということは、中国政府の財政事情はますます悪化していくこととなるはずだ——。

P.156~157

世界史上最大の金融バブルの規模

中国国内では一時、M2 (中央銀行から発行され、国内で流通している通貨の総量)が一〇三兆元にものぼった。ドルに換算すれば、アメリカ国内で流通している貨幣総量の一•五倍である。中国の経済規模はアメリカの半分程度だから、その過剰流動性は深刻な事態といわざるを得なかった。

まさに「札の氾濫」である。

ニ〇〇ニ年初頭には、中国国内で流通する人民元の量は一六兆元程度だった。それがニ〇一三年には一○三兆元にまで膨らんだのである。十一年間で増えた流動性は、実に六• 四倍……これは世界経済史上最大の金融バブルだ。

すると中国は、二〇〇九年末から深刻なインフレに襲われることになった。これまでにも説明してきたように、食品などの物価の高騰は、貧困層をさらなる生活苦に追いやることになり、それは社会不安の拡大、さらには共産党政権の屋台骨を揺るがす事態にもつながりかねない。そのため、中国政府は「札の氾濫」で生まれたバブルから一転金融引き締めに走ることになった。

こうした流れのなか、不動産市場の生死を決める重大な措置が採られた——。

ニ〇一三年九月のことだ。北京、上海、広州などにおいて、複数の商業銀行が住宅ローン業務の停止を一斉に発表したのである。この動きは、その後も成都、重慶、南京といった地方都市の銀行でも、住宅ローン業務の停止、あるいは貸し出し制限という形で続いた。

金融不安が拡人しているなか、リスクの高い不動産関係の融資から手を引こうということだ。それは銀行の保身のためだったのだが、そのことが何をもたらしたかを説明していこう。

不動産の売れ残りが六〇〇〇万件

銀行で住宅購入のローンが組めなくなったわけだから、中国の人々は家を買うことができなくなる。大半の人は、銀行のローンで家を買うからだ。結果、全国で不動産が売れなくなり、在庫が大幅に増える。

P.214~216

中国における流動人口とは、安定した生活基盤を持たず、職場と住居を転々としている人々を指している。そんな人たちが、日本の総人口より一億人も多く存在しているのが中国という国の実情なのだ。

不安定な生活を強いられている流動人口、その大半が農村部から流れてきた農民工である。先述したデー夕の「八割が農村戸籍」とは、そういう意味だ。

ということは、現在の中国には、いつでも何かのきっかけで暴動を起こすかもしれない人々が、ニ億人以上も存在するわけである。

ニ億人以上の「暴動者予備群」—-そう考えると驚くべき数字だし、政府にとっては恐怖以外の何物でもないだろう。

それだけの数がいる以上、彼ら全体がまとまって集団的に爆発すれば、共産党政権は跡形もなく吹き飛ばされてしまうかもしれない。

ニ億人を超える現代流民、すなわち暴動者予備群に対して、中国軍は数百万人程度でしかない。本格的な暴動が、地方ではなく中央で、もしくは中国全土で一斉に起きてしまったら、それを鎮圧することは軍隊をもってしても不可能だろう。 現代流民たちが持つ潜在的な力は制御できないほどのものにまで、強まっているのだ。

高度成長に必要だった二億六〇〇〇万人

ではなぜ、これほどまでに多くの農民エたちが生まれることになってしまったのか„ 彼らはなぜ、生活基盤のあった故郷の農村から離れて、都会で不安定な「流動生活」を送らなければならなくなったのか。

実は、そこには中国の経済成長が大きく関係している。中国の経済成長とは、彼らの犠牲の上に成り立つものだったのだ。

これまで何度も書いてきたように、ここまで中国経済を引っ張ってきたのは対外輸出の継続的拡大だ。二〇一〇年までの二○年間には、中国経済全体の成長率が一〇%ほどだったのに対し、対外輪出の伸び率は毎年ニ五%以上。世界中で中国製の「安物」がシエアを拡大し続け、外貨を稼いできた。

なぜ安く商品を作ることができたのかといえば、人件費が安いからだ。そして、安い賃金で働いてきたのは誰かといえば、結局は農村部出身の労働者なのである。

若き出稼ぎ労働者たちは、内陸部の農村から沿岸地域に流れ、そこで働くことになった。働く場所はといえば、主に輸出向けの加工産業といった、低質金のエ場である。

彼らが安い賃金で働くことで、中国の対外輸出の継続的拡大、つまり安い商品を大量に売ることが可能になった。そしてそれが、中国の経済成長を支えてきた。

逆にいえば、中国が高度成長を果たすためには、ニ億六〇〇〇万人もの流動人口を必要としたということでもある。

P.254~263

流民ネットワークの誕生

農民工、すなわち現代流民たちの苦しい生活がこのまま続けば、彼らの怒りや不満は溜まる一方だ。

これまでは職場ごと、地域ごとにグループを作ったり、連帯したりしてきたが、これからはインターネットを使った連携も盛んになってくるのではないか。 「こんな生活にはもう耐えられない」「今日は仲間がこんな酷い目にあった」そんなことを報告し合う。つまり全国単位で、不当な差別や社会への絶望といった思いを共有するのである。

こうした「流民ネットワーク」を禁止しようとしても、おそらく無理だろう。「流民サイト」を一つ潰したところで、新しいサイトが出てくるだけ。その一切を漬すには、中国全体でインターネットを使えなくするしかない。

しかし、そんなことをしたら、一般市民が黙ってはいないはずだ。政府への怒りを、別の形で高めてしまうことになる。

流民たちが不満をいい合っているだけなら良いのだが、彼らは何かのきっかけで暴走する。警官の暴力などから、デモや車を燃やすといった事態に発展してきた例は、本書で見てきた通りだ。

流民たちがネットワーク化すれば、その規模はいままでよりも大きなものになるだろう。一つの街のなかだけの話ではなく、ネットで状況を知った近隣の街からも「応援」が来る可能性が高い。

ただそれでも、警察、あるいは軍の出動によって、街単位の騒乱は鎮圧されてしまうはずだ。といって、それで終わりというわけではない。

鎮圧された者たちは国への、そして社会への怒りをさらに強めて、地下に潜ることになる。そうしてでき上がるのが、より過激な反体制グループだ。

暴動、鎮圧、流民グループの先鋭化—そうした流れを繰り返していくうちに、反体制グループはどんどん巨大化していくことになる。「筋金入り」の、いい換えるなら「プロ」として反政府活動に生きる人問たちが大量に存在するようになるのだ。

新種の流民とは誰か

そうしたなかで、知識人たちもこの動きに加わることになるだろう。 経済の崩壊は誰にとっても深刻な問題だし、知識人たちは頭脳明晰だからこそ、流民たちの苦境を放っておくことができない。これまで見てきたように、そのことは「歴史の必然」だといえる。

知識人たちが反体制側に加わることで、グループはより組織化され、効率的に活動するようになるだろう。また知識人たちは流民たちのリーダー、そして代弁者となり、アピールカも強めていく。

そうなれば、彼らに共鳴する人間はさらに増える。このことは、先述の通り、中国の歴史が証明している。

そこに新たに加わることが考えられるのが、新種の「流民」だ。それは、大学を卒業しても就職できなかった若者たちである。

中国では大卒者が年々増えているが、全員が一流企業に就職したり、官僚になったりするわけではない。経済が落ち込むなかで、約〇%が就職できないといわれている。その数は、五年でおよそ五〇万人だ。

二○一四年までに、大卒の若者ニ○○万人が失業した。これに二○一五年の一五〇万人を合わせれば、大卒の求職者は三五〇万人に達することになる。彼らもまた、行き先も未来への希望も失い、現代流民になる可能性が高い。

彼らがデモや暴動を起こすことは充分にありうるし、特に農村部にある大学は就職できない卒業生が多いから、農民エたちと心情を同じくする者も多いだろう。彼らがデモや暴動を起こせば、中国にとっては新たな火種、さらに農民エから流民、そして反体制派になった組織と合体すれば、その火種はさらに大きなものとなる。 ここで重要なのは、知識人や大卒者と貧しい農民エたちが合体することだ。かつて、中国では天安門事件が起きた。このとき、天安門広場に集まった学生は一〇万人といわれている。

しかし、これから作られるであろう反政府組織は、知識人と元大学生だけで数百万という潜在的な数がいる。農民エにいたっては約ニ億人である。

まして、天安門事件には、一般市民の多くは関心を持たなかった。額に汗して働く人々にとって、あれは学生たちの「遊び」にしか見えなかったのだ。いわば「金持ちの子どもたちの革命ごっこ」だったのである。日本における学生運動も、似たようなところがあったのではないだろうか。

しかし、これから起きるであろう反体制運動は違う。知識人や元学生、労働者が一体となった運動だ。一部の富裕層を除けば、誰もが関心を持つだろうし、その勢力は凄まじいものになる。

共産党vs.農民党

仮に、この反政府組織を「農民党」としよう。

知識人、元学生、そして農民エたちの半分が参加したとして、その数たるや一億人。しかも各地でバラバラに動くのではなく、インターネットを通じてつながり、知識人のリーダーによって強固に組織化されている。

こうなれば、もう反体制勢力というより、巨大な政治組織といっていい。共産党もその存在を無視できなくなるし、弾圧や鎮圧をするのも不可能になってくるはずだ。

たとえば、である。リーダーの呼びかけによって、農民党のメンバーとその賛同者五〇〇万人が、一斉に大都会、北京に集結したとしよう。

東京ドームなどのスタジアムを想像してほしい。そこでコンサートが行われると約五万人の観客が集まる。その客たちが一斉に会場を出ると、最寄りの駅までの道は大混雑。まともに歩けないような伏態になる。

もし、その一〇〇倍もの人々が北京の主要な道路を埋め尽くし、座り込みを始めたらどうなるか。北京の都市機能は、確実に麻痺してしまう。

もちろん、いかに大量の「軍勢」がいても、現代において武力で革命を起こすことは不可能だ。しかし軍隊のほうも、彼らを排除するために大量の死傷者を出すようなことはできない。

農民党全体を逮捕することも不可能だ。警察と軍隊にはそれだけの人員がいないし中国全土の刑務所を使ったとしても、一億人を収容できるわけがない。

結局、共産党は農民党と向き合い、交渉するしかなくなるだろう。その結果はどうなるか。農民党を一方的に押さえつけることはできないから、ある程度以上、彼らの要求を認めていかざるを得ない。その形が固まるとしたら・・・・。

つまり、中国で二大政党制が実現することになる。いずれ普通選挙も実現することになるはずだ。ということは、共産党一党独裁体制が崩壊するということである。

共産党内部からの離反者たちの名前

ことは「共産党VS農民党」だけではなくなるかもしれない。

共産党のなかにいる反主流派の人間たちが、反体制勢力を利用して政治闘争を展開していく可能性もある。出世しそこなったり、抑圧されてきたりした人間たちが主流派の突き崩しを狙うのだ。

習近平指導部は、その発足以来、「トラもハエも叩く」というスローガンを掲げて党内の腐敗摘発に手を尽くしてきた。そのことで民衆の支持を得て、政府への信頼を高める効果もあった。

習近平体制にとっては、腐敗を摘発することが、権力基盤を固める有力な武器となってきたのである。

共産党の幹部たちにとって、腐敗は何かしら身に覚えがあるもの。習近平の姿勢には、 誰も逆らうことができない状態だった。しかし、腐敗の摘発は、習近平体制にとって諸刃の剣でもある。

これまで、周永康や徐才厚といった大物幹部が次々と「血祭り」に上げられてきたが、そのことは民衆の期待をますます煽ることになった。

そうなると指導部としては、腐敗の摘発の手を緩めるどころか、ますますヒートアップさせていく必要がある。それが民衆の期待に応え、習近平体制を維持することにつながるからだ。

しかし、摘発が進めば、党幹部の大半が身の危険を感じることになる。反発を招くのは自然な流れだ。ニ〇一五年七月の上海株暴落も、弾圧を受けた江沢民グループが画策したものとする報道もある。

『人民日報』の習近平への「警告」

そんななか、ニ〇一五年一月一三日付の『人民日報』が興味深いコラムを掲載している。習近平指導部による腐敗摘発に対して「三つの誤った議論」が広がっていると指摘したのだ。

その一つが「やり過ぎ論」である。これは文字通り「いまの腐敗摘発はやり過ぎである」というもの。

もう一つの「泥塗り論」は、摘発運動によって共産党の大幹部たちの腐敗の実態を暴露したことが、逆に政権の顔に泥を塗ることになるのではないかという議論だ。

三つ目は「無意味論」。政権内では腐敗が広く浸透しているのだから、どれだけ摘発しても撲滅するのは不可能。「やっても無意味」というわけだ。

「やり過ぎ論」と「泥塗り論」は、政権を守るという立場からの内部批判だろう。一方、 「無意味論」は、共産党の腐敗摘発を外部、すなわち民間の立場から冷ややかに見ているもの。いずれにしても、共産党中央委員会の機関紙である『人民日報』が、腐敗摘発運動に対する枇判の声があることを公に認めたのである。

特に党内から反発や批判の声が出ていることは、習近平体制にとって由々しき事態というほかない。

同じ一月一三日には、新華社通信も「腐敗摘発はいいところで収束すべきだ」という党内の意見を紹介した。それだけ、反発が強まっているということだ ——そこで、習近平主席はどのような手を打つか。

一つは、新華社通信が紹介した意見のように、「いいところ」で腐敗摘発の手を緩めること。そうすれば、党内の融和と安定を図ることができる。ただ、それをやることで、民衆が「裏切られた」と感じ、政権への信頼が失墜してしまう危険性がある。

もう一つの手は、民衆の期待が高まるままに、それに応えて腐敗摘発を続けること。し かしそれでは、党内からの反発がさらに強まり、やがては権力基盤を揺るがしかねない。

党内の別の派閥が反•習近平の権力闘争を引き起こす可能性もある。もし農民党が力をつけ、共産党と張り合うようになれば、そちらに味方する共産党幹部も現れるだろう つまり、現在の習近平体制は「進むも地獄、退くも地獄」という状態にあるといっていい。

そうしたなか、習近平は中央規律検査委員会の全体会議で、「反腐敗闘争は持久戦だ」と演説している。反腐敗運動を継続させていく方針を明確に打ち出したのだ。共産党内部からの離反を招く可能性があるにもかかわらず、である。

2/12日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「THAADは核攻撃の対象」と韓国を脅す中国 朴槿恵が二股外交のツケを払うのはこれからだ』について

蝙蝠外交、二股外交をすればこういう展開になることが想像できない哀れな事大主義の民族です。かつ告げ口外交までしましたから日本人の自虐史観を薄める役目も果たしました。朝日新聞を始めとした偏向左翼メデイアのおかしさに国民も遅まきながら気づき始めました。通貨スワップについても反対する国民が多いと思います。困ったからと言って今更擦り寄って来られたって相手できません。「裏切り者は地獄だぜ」という片岡千恵蔵の映画がありましたが(大分古い話です)、地獄まで飛んでいけという気持ちです。

韓国が嘘を言って米中に取り繕っているのは、米中とも分かっているはずです。信用はしないが、利用価値があるうちは利用すると言うのが大国というのが韓国は分かっていない。だから小沢一郎のような米中二等辺三角形のような話をするのです。自分にそんな力もないのに。思い上がるのも程があります。

中韓とも民族的に平気で嘘が付けます。騙す方が賢いと言う民族ですから、黒を白と言いくるめることができる人間が評価されます。慰安婦問題も事実が何であれ、このまま日本に悪を認めさせることが彼らの社会では評価されるという事です。誠実、謙虚を旨とする日本人とは民族が違います。だからと言って事実と違う事を黙って見ているだけでは臆病者の謗りを免れません。外国相手の理不尽さには徹底的に戦うべきです。

Xバンドレーダーは青森・車力と京都・経が岬に、既に配備されているようです。沖縄には残念乍ら未だのようです。翁長県知事のように北のミサイルについて他人事しか言えない人を選んだ責任は沖縄県民にあります。県民の生命の安全を願うなら、基地問題は別にして直ぐに配備すべきです。

Xband radar

(安保廃棄実行委員会HPより:http://homepage3.nifty.com/anpohaiki/beigun_kichi.html )

 

 

 

 

 

 

 

Xband Shariki & Kyougamisaki

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Xband Okinawa

車載移動式Xバンドレーダー「AN/TPY-2」を3基セットすれば全域カバーできます。

(大日本赤誠会愛知県本部HPより抜粋)

http://blog.goo.ne.jp/sekiseikai_2007/e/97c1322e3124974f4ec787ec9ef2b642

 

 

 

 

 

記事

THAAD

地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD) 写真=U.S. Department of Defense, Missile Defense Agency/ロイター/アフロ

前回から読む)

 韓国が地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備受け入れに動く。「中国の言いなりになるな」と米国に怒られたからだ。だが今度は、面子を失った中国から苛められることになる。

習近平が直接に命令

—韓国が米軍のTHAAD配備を認めるようですが。

鈴置:韓国国防部は2月7日、在韓米軍基地へのTHAAD配備に関し「米国との公式協議に入る」と発表しました。

 今後、北朝鮮の核問題で解決に向けてよほどの進展がない限り、配備を容認すると思われます。中国から極度の脅迫を受けたら、韓国は受け入れを中止するでしょうけれど。

 北朝鮮の核・ミサイル開発が進むに連れ、米国はグアムなどにTHAADを置いて迎撃体制を整えてきました。当然、有事となれば真っ先に攻撃を受ける在韓米軍基地にも配備する方針を打ち出しました。

 すると中国は韓国に対し「配備を絶対に認めるな」と圧力をかけました。2014年7月の中韓首脳会談では、習近平主席が「主権国家なら反対すべきだ」と朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に直接、要求したようです。

 中央日報が「習近平『大韓民国は主権国家……朴槿恵大統領にTHAAD拒否要請』」(2015年2月6日、日本語版)で、韓国国防関係者の話として報じています。

板挟みで「おとぼけ作戦」

—米中間で板挟みになったわけですね。

鈴置:韓国は「THAAD配備について米国から打診は一切ない」と言い張って、誤魔化そうとしました。

 2015年3月には青瓦台(大統領府)が「3NO」という言葉まで作りました。「米国から配備の要請もなく、従って協議したこともなく、だから何も決めていない」――と言うのです。しかし、ついに「3NO」という、苦肉のおとぼけ作戦も持たなくなったのです。

—突然の配備容認は、北朝鮮が核と長距離弾道ミサイルの実験をたて続けに実施したからですか?

鈴置:ええ、1月6日の4回目の核実験と、2月7日の長距離弾道ミサイル実験が引き金です。厳密に言うと「ここに至っても拒否するのか」と怒る米国に対し、抵抗できなくなったのです。

 在韓米軍が韓国を守っているのです。韓国の国民に加え、その基地を防御するためのTHAADを、守られている韓国政府が拒否する――。同盟国とは思えないやり口です。

 これ以上拒むのなら、米韓同盟には取り返しのつかない亀裂が入るところでした。米国の安全保障関係者からは「韓国との同盟はいつまで持つか分からない」との声さえ上がっていたのです。

オバマから叱られた

—日韓の「慰安婦合意」といい、米国がこのところ対韓圧力を強めていますね。

鈴置:韓国の裏切りが目に余るようになったからです。「米中星取表」で明らかなように、米中対立案件で韓国はほぼ、中国の言うことを聞くようになりました。そして2015年9月、中国が開いた抗日戦勝70周年記念式典に朴槿恵大統領が参加したのが画期となりました。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2016年2月11日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導のMDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍へのTHAAD配備 韓国は米国からの要請を拒否していたが、2016年2月7日に「協議を開始」と受け入れた
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

 この式典は中国の軍事力を見せつけるのが狙いでした。メーンイベントである軍事パレードでは、米国を射程に収めるミサイルも行進しました。

 参観した首脳は権威主義的国家のトップが多く、米国の同盟国からは朴槿恵大統領ぐらいだったのです(「韓国は『帰らざる橋』を渡る」参照)。

 天安門の壇上で習近平主席、プーチン大統領らに囲まれた朴槿恵大統領の写真は世界に配信されました。この実に分かりやすいメッセージにより、韓国の「離米従中」は米国の外交関係者の共通認識となりました(「ルビコン河で溺れ、中国側に流れ着いた韓国」参照)。

 10月に訪米した朴槿恵大統領は記者団の前でオバマ大統領から、中国の言いなりになるな、と叱られました(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

朴槿恵の世界観が崩壊

 12月末の「慰安婦合意」でも、朴槿恵大統領は妥協の絶対条件に掲げていた「国民が納得する日本の謝罪」を勝ち取れませんでした。

 「慰安婦を言い訳にして米日韓の3国軍事協力から逃げるな」との米国の圧力に屈したのです(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。

 「合意」には「問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認」との文言が盛り込まれました。韓国は「慰安婦カード」を捨てさせられたのです。これも米国の差し金だったと言われています。

 米軍関係者の最近の言説から判断して、THAADの問題でも米政府高官は韓国高官に「中国の言うことばかり聞くのなら、在韓米軍を撤収する」くらいは言ったと思います。

 そんな米国の「最後通牒」に直面した朴槿恵政権は、折れざるをえなかったと思われます。米中を競わせて操ろうとした韓国ですが、米韓同盟廃棄につながる在韓米軍撤収に踏み切る覚悟はありません。

 韓国が頼りにしていた「中国の台頭」にも疑問が付くようになりました。中国発の世界恐慌が懸念されるほどになったのです。「米国は沈む太陽、中国は昇る太陽」との、朴槿恵外交の前提となった世界観が崩壊してしまったのです。

丸腰だった韓国

—THAADは効果があるのですか?

鈴置:専門家によると、常に100%の敵のミサイルを撃ち落とせるとは限らないそうです。しかし韓国はこれまでミサイルに対する防衛能力をほとんど持っていませんでした。それから考えると大きな前進でしょう。

 韓国軍が保有する唯一のミサイルを迎撃するミサイルは旧式のPAC2。射程が短いので対応可能な時間が少なく、北朝鮮から発射されたミサイルを撃ち落とすのは難しいとされています。

 韓国は米国や日本が装備する海上発射型のSM3のような、大気圏外で迎撃するミサイルも持っていません。はっきり言えば、丸腰だったのです。

 THAADはSM3ほどではありませんが、PAC2やその発展形のPAC3よりも高空で敵のミサイルを落とせます。配備すれば丸腰状態から脱することができます。

—在韓米軍基地へのTHAAD配備は、軍事的にかなり大きな意味があるのですね。

鈴置:政治的にも極めて大きな意味があります。韓国は米国の核の傘に不信感を持ち始めました。

 仮に北朝鮮が米国に対し「南北の軍事衝突に介入したら、ロサンゼルスを核攻撃する」と宣言した時に、米国が韓国を助けてくれるのか、との疑問です。この疑いは、北が核ミサイルを持つ可能性が高まるほどに――時間とともに、深まります。

米国の傘の綻び

—だから韓国で核武装論が叫ばれているのですね。

鈴置:その通りです。米国の核の傘が信じられない以上、自分で核を持つしかない――との発想です(「やはり、韓国は『核武装』を言い出した」参照)。

 韓国にとってもう1つの解決法は、米国の核ではなく中国の核の傘の下に入る手です。北は中国に経済的に完全に依存しています。中韓同盟により、中国が韓国を助けようとした際「それなら瀋陽を核攻撃する」と北は言えないのです。

—つまり、在韓米軍に配備されるTHAADとは……。

鈴置:米国の核の傘を補強するという、心理的、政治的な意味も持つのです。米国は北朝鮮に対し核兵器で報復してくれないかもしれない。でも、北の核や通常弾頭のミサイルをそれなりに撃墜できることになれば、北の核の脅しの威力も半減するのです。

 この安心感により、米韓同盟の信頼性がかなり増す計算になるのです。そもそも、米国がTHAADを開発したのは、核を持たない同盟国を安心させるのが目的だったとの解説もあります。

 逆から言えば、中国が韓国に「THAADを配備させるな」と命じたのも、韓国人に米国の核の傘の綻びに目を向けさせ、米韓同盟を消滅に追い込むのも目的だったのです。

日本にすでにXバンドレーダー

—中国はTHAAD反対の理由に「自国の脅威になる」ことを掲げていましたが。

鈴置:THAADの一部である高性能のXバンドレーダーが中国の上空を奥地まで見通してしまうから、との理屈です。確かに中国は海岸から遠く離れた山奥に、ICBM(大陸間弾道弾)の発射基地を構えています。

 しかし日本の専門家によると、中国の主張はへ理屈だそうです。なぜなら米軍は日本の2カ所にXバンドレーダーを配備済み。新たに韓国に配備しても、さほど偵察能力は増さないからです。

 要は、中国は色々と理屈を挙げて韓国を脅し、韓国を米国から引きはがそうとしてきたのです。

—THAAD配備には自分たちの命がかかっています。それを中国の圧力くらいで拒否してきたとは……。ここが分からないのです。

鈴置:THAADが必須の武器とは思っていないからです。北朝鮮は同族である自分たちに核は使わないだろう、と韓国人は心のどこかで思っています。

中国のイジメに戦々恐々

—平和ボケは日本人だけではないのですね。

鈴置:もちろん、そんな「平和ボケ」を批判する識者もいるのですが、左傾化した韓国社会で彼らは「戦争好き」などと見なされがちです。

 それに「中国の命令には逆らえない」のが韓国の空気です。千年以上も中華帝国の一部だった後遺症です。ここが日本人には分かりづらい。米国人も「なぜ韓国人はこれほどに中国の言いなりになるのか」と首を傾げます。

—結局、THAAD配備の容認を期に、韓国は米国側に戻るのですか?

鈴置:それはまだ、判断できません。「米中星取表」の「在韓米軍へのTHAAD配備」の項目は、正式な協議が始まったことを考え、米国の「▼」を「△」と変えました。

 ただ「○」にはしませんでした。中国の横やりにより、韓国が配備に「NO」と言い出す可能性が若干ですが残っているからです。

 「THAAD」以外の対立案件は、いまだ中国優勢です。朴槿恵政権が「離米従中」外交をやめると結論を下すのは早計だと思います。

「私は悪くないからね」

 韓国は今、中国からどんなイジメに遭うか、戦々恐々としています。象徴的だったのが「THAAD配備を公式に協議する」と発表した2月7日の国防部の会見です。

 聯合ニュースの「韓米、在韓米軍THAAD配備を公式協議……北の核・ミサイルに対応」(2月7日、韓国語版)の記事に添付された動画によると、柳済昇(リュ・ジェスン)国防部政策室長の発言には以下のくだりがあります。

  • 協議開始の決定は、韓米連合司令部司令官兼在韓米軍司令官であるカーチス・スカパロッティ(Cartis Scaparrotti)大将の建議により行われた。
  • 今後、THAADが配備されても、それは北朝鮮に向けてだけ運用される。

 中国への言い訳です。「配備は米国から言われてやったこと。韓国から言い出したのではないからね」「中国向けには運用しないよう、米国には私から念を押しましたからね」と、韓国は叫んだのです。

—北朝鮮にだけ向けて運用するなんてことができるのでしょうか。

鈴置:韓国国防部は「Xバンドレーダーの探知距離を短くして運用する」とレクチャーしています。ただ、ある日本の専門家は「米軍が兵器の性能をわざわざ落として使うことは考えられない」と語っています。

北より南の大使に厳しい中国

—配備容認に中国はどう出ましたか?

鈴置:激怒しました。公式には7日、外交部が駐中韓国大使を呼び「THAAD配備のための公式の議論を始めたことに抗議し、中国の厳正な立場を表明」しました。

 なお、中国外交部は同じ2月7日に北朝鮮の駐中大使も呼んでミサイル実験に対し抗議したのですが「厳正な立場」ではなく「原則的な立場」の表明に留めました。

 中央日報は「中国、南北大使それぞれ呼んで抗議…南には『厳正な立場』、北には『原則』表明」(2月8日、韓国語版)で、国連安全保障理事会の決議に違反した北朝鮮よりも、自衛の武器導入を図る韓国に対し、中国がより厳しい姿勢をとったと指摘しました。

THAADを信じるのか

—韓国も舐められたものですね。

鈴置:中国共産党の本音を報じる環球時報の英文版、Global Timesの社説はもっと露骨でした。「Discussion of THAAD deployment is shortsighted move of Seoul and Washington」(2月7日)は威嚇そのものです。要点は以下です。

  • もし、THAADが韓国に配備されるなら、戦略と戦術の両面で中国の軍事的な調査目標に公式に選ばれるだろう。
  • 韓国や米国の言うままに、THAADの目的が北朝鮮抑止だけにあると我々は信じたりはしない。我々は韓国の戦略を現実的な視点から観察せねばならない。

 「戦略的な軍事目標に選ぶ」とは核攻撃の対象にする、との意味です。中国は核で脅し始めたのです。続いてGlobal TimesはTHAADの弱点も突きました。

  • ミサイル防衛システムは大国間の戦争で実際に使われたことはない。それゆえに効果は理論上のものに留まる。THAADの韓国配備は軍事的というよりも、政治的に重要だと見る専門家もいる。

 THAADは敵のミサイルをすべて撃ち落とせるとは限りません。敵が一度に大量のミサイルで攻撃してくれば、防ぎきれなくなるからです。

 Global Timesは韓国に対し「そんなあやふやなものを信じ、米国にすがりつくのか」と嘲笑ったのです。そして最後に、韓国を脅し「二股外交はもう、無理だぞ」「米国にいい顔をするということは、中国の顔に泥を塗ることだ」と諭したのです。

  • 朝鮮半島の緊張が高まり、ついには対決に及ぶかもしれない。こうなった際、いかなる国の利益も害さない全方位外交などというものはあり得ない。であるから関係国は中国の立場に挑戦する決定を下す前に、慎重に考えるべきである。

スワップを打ち切るぞ

—韓国はどうするのでしょう?

鈴置:展開が読めません。もう、自分の意思では動けなくなっているのです。今の時点は米国に従っています。でも、中国に本格的に凄まれたら、後戻りするかもしれません。

—中国が軍事的な脅しをかける、ということですか。

鈴置:それもあります。もっと手っ取り早い手もあるのです。経済面で脅せばいいのです。今、人民元安と原油安の2つから世界は前例のない不況に直面する、との懸念が高まっています。一部の国では金融危機が起きるかもしれません。

 中国からの資本逃避が起きて人民元が暴落すれば、真っ先に韓国が連座すると韓国紙は警戒しています。貿易でも金融でも、韓国は中国にオールインしているからです。

 というのに通貨の同盟は中国と結んだまま。米国側に戻ってはいないのです。資本逃避に見舞われた際、命綱となるのが通貨スワップです。でも韓国は日本や欧米とは結ばず、何と70%が中国頼りです(「韓国の通貨スワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2016年2月11日現在)

   
相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は30%まで。

資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

 もし中国が「THAAD配備を認めれば、通貨スワップを破棄するぞ」と言い出したら、韓国は手も足も出ないのです。

 旧正月の連休明けの2月11日、KOSPI(韓国総合株価指数)は前営業日比2.93%安い1861.54で引けました。この日もそうでしたが、2015年12月初め以降ほぼ連日、外国人が売って機関投資家が買い支えるという展開が続いています。

(次回続く)

2/10JBプレス 部谷直亮『日本外交の大転換、台湾の位置づけが一気に上昇 中台有事に日本が駆けつけることに?』について

本記事を読んで、昨年8月の首相談話を思い起こしました。「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました」にありますように、台湾を国と認め、なおかつ韓国・中国より先に言及したことにより、台湾をその両国より大事にしたいという思いが伝わってきます。蔡英文次期総統が昨年訪日した時に日本との「産業同盟」について触れていましたが、日本側から実質的に准「軍事同盟」にまで発展させる気があると言うのが本記事です。米国の考えor圧力があって岸田外相発言に繋がったのかもしれませんが、親日国台湾との付き合い方は、日本の安全存立に非常に大切な存在と認識・交流していくことであるというのは言を俟ちません。第一列島線を突破されたら簡単に日本海と太平洋で挟み撃ちになります。また台湾が自由民主主義陣営である限り、南シナ海・東シナ海に睨みがきくと言うもの。ただ中国人の子孫の外省人が支持する国民党(今は外省人でも民進党を支持する人が増えているとのことです)が消えていくこと、それに軍が中国同様、台湾軍でなく国民党軍(郝柏村がまだニュースで出てきますので)になっているように見えるのも問題です。蔡英文次期総統が時間をかけて変えていく必要があると思います。でないと情報が国民党軍を通じて中国にリークされかねません。

台南地震被害のお見舞いとして「李登輝友の会」に寄付しました。当初は日本赤十字にと思ったのですが、中華民国赤十字は中国人にありがちな横領等やっているという記事をネットで見ましたので。「李登輝友の会」は直接台南市長に渡すそうです。

また思い出したのが野田聖子です。南シナ海で起きていることを「日本とは関係ない」と明言しました。彼女が総理大臣になれば(まあなることは100%近くないと思いますが)、南シナ海はおろか台湾も「日本に関係ない」と言って見捨てるのでは。福島瑞穂と同じ日本の安全を脅かす存在です。選挙民はこんな女性を選ばないようにしてほしい。

記事

1月16日の台湾総統選挙は、民進党の蔡英文氏の圧勝によって終わりました。この件について、日本外務省は世界でも早い段階で祝意を表しましたが、その内容は驚くべきものでした。

 端的に言えば、「台湾は日本が解禁した限定的な集団的自衛権の対象である」と婉曲ながらも直載に表明したのです。

岸田外相、台湾を中国や韓国以上の存在と言明

 まずは岸田外相の台湾総統選挙の結果についての談話を見てみましょう。

(前略)

2. 台湾は日本にとって、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人です。政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えです。

(後略、太字は筆者)

 ここから読み取れる特徴は、日本における台湾の政治的地位が米国に次ぐものであり、中国や韓国よりも格上であると表明したことです。

 岸田外相は、「基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人です」と台湾を位置づけました。この発言と、以下に並べた他国に対する外務省の表現と比べればそのことがよく分かるのではないでしょうか。

・米国:基本的価値及び戦略的利益を共有する同盟国

・中国:緊密な経済関係や人的・文化的交流を有し、切っても切れない関係。同時に、政治・社会的側面において多くの相違点を抱えており、時に両国間で摩擦や対立が生じることは不可避

・韓国:日本にとって最も重要な隣国であり、良好な日韓関係はアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠(注:2015年3月までは「価値観の共有」も盛り込まれていたが削除された)

・インド:世界最大の民主主義国として、普遍的価値観を共有

・ロシア:安全保障、経済、人的交流など様々な分野において協力関係。しかし、領土問題あり

・豪州:基本的価値と戦略的利益を共有するアジア太平洋地域における戦略的パートナー

・EU:基本的価値及び原則を共有。国際社会の多くの諸問題で日本と共通の立場

・NATO:基本的価値とグローバルな安全保障上の課題に対する責任を共有するパートナー

・英国:幅広く価値を共有していることを背景に、様々なレベル・分野において緊密な協力関係

 これらをよく見ると、「大切な友人」「価値を共有」「緊密な経済・人的関係」の3要件を満たしている国家は台湾以外にありません。それを超える表現は「同盟国」「価値と戦略的利益を共有」の米国しかないのです。

 つい最近までの外務省の表現では、台湾は「台湾は緊密な経済関係を有する重要なパートナー」とされており、「大切な友人」「価値の共有」「緊密な人的関係」という言葉は含まれていませんでした。この表現は、外相は2015年3月から、外務省は同4月以降の「外交青書」から、総理は同7月以降に使い始めたものです。

 しかも外相は、2008年、2012年における馬英九氏の総統選挙勝利に際しての談話では、「祝意」を表していません。今回の談話からは、かつてないほど台湾に接近している様子が見てとれるのです。

台湾有事は存立危機事態の対象である

 では、こうした表現には日本政府のどのような思惑が込められているのでしょうか。

 それは、台湾が存立危機事態の対象である「密接な関係にある国」だと言明していることにほかなりません。すなわち、日本が「集団的自衛権を(制限付きながらも)台湾に対して発動できる」という中台への戦略的メッセージだということです。

 具体的に言えば、台湾が中国から攻撃を受けた際に、台湾軍艦艇の防護、対潜哨戒と中国軍潜水艦の撃沈、台湾本土を含むミサイル防衛、台湾軍への後方支援、機雷掃海、停船検査等を自衛隊が公海上及び日本の領域において実施できるということになります。

 日本が限定的な集団的自衛権を発動できる「存立危機事態」とは、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」とされています。これまで、台湾有事は存立危機事態に該当しませんでした。

 中国による台湾攻撃は、軍事的には南西諸島や沖縄、果ては本土の在日米軍基地にも波及しかねない危機であり、経済的には商業・軍事シーレーンに多大な影響を与えます。日本の対外貿易の23%を占める両国の戦争は、まさに「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に他なりません。

 ところが、これまでは「台湾は緊密な経済関係を有する重要なパートナー」という表現にとどまっており、「密接な関係」とは言えませんでした。今回の台湾への祝電など最近の表現によって、初めて台湾は日本と「密接な関係」にある国と言えるようになったのです。

 台湾有事が存立危機事態か否かについて問われた岸田外相の国会答弁も注目すべきものでした。

 岸田外相は答弁の中で、「密接な関係にある国」とは、(1)パレスチナのような未承認国家も含む、(2)国交がない国も含む、(3)条約等の存在は必須ではない、(4)分裂国も含む、と述べました。これは、「国交がなく、未承認でもあり、解釈によっては分裂しており、条約等もない」国、つまり台湾も含むと示唆しているわけです。

 このことからも、岸田外相が、日中関係の悪化を回避しつつ、婉曲に「台湾は存立危機事態の対象である『密接な関係の国』であり、日本の自衛権の対象である」と訴えようとしていることが伝わるのではないでしょうか。

日中関係の緊張は高まるが・・・

 こうした日本政府の姿勢は、中台情勢にどのような影響を及ぼすのでしょうか。3つのポイントを挙げてみます。

 第1に、蔡英文政権の政治的安定に大きく貢献するということです。台湾が中国との距離の微修正を試みる上で、背後に日本の影が見えるということは、国内政治、そして対中外交上の有効なカードを与えるからです。

 第2は、一定の抑止力を台湾に提供するということです。自衛隊にそのような能力が備わっているかは別として、少なくともそういう可能性と今後の方向性を示したことは、中国の対台湾侵攻計画に少なからずブレーキをかけることになるでしょう。

 第3は、これにより尖閣諸島を含む南西諸島の相対的な防衛力が高まるということです。中台の緊張が高まれば、中国は対日戦が起きても、短距離型を除く弾道・巡航ミサイル戦力を対台湾戦用に温存しなければならなくなるからです。艦艇や航空機も同様でしょう。南シナ海問題にも同様の影響を長期的に与えるでしょう。

 これらは、台湾の安定化に強く寄与するものであり、長期的には日本の戦略的安定性の強化につながるものと大いに評価すべきでしょう。

 他方で、若干のリスクも最後に指摘しておく必要があります。まず、日本が「一つの中国」の否定へと舵を切り始めたことにより、今後、日中関係の緊張は確実に高まることでしょう。また、台湾を存立危機事態の対象とすることは、「周辺事態としての台湾有事」を前提としてきた自衛隊の現在の能力を超えている面があるのも事実です。

 その意味で、対中積極外交の展開、防衛予算内における大胆な配分の見直し(少なくとも対弾道・巡航ミサイル戦力への抵抗力強化、サイバーを含むA2/AD戦力の拡充)も同時に実施されるべきでしょう。