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3/10日経ビジネスオンライン 鈴置高史『米国から「ピエロ役」を押し付けられた朴槿恵 北朝鮮への「最強の制裁」にも浮かぬ顔の韓国人』について

蝙蝠外交をすればどういう結末に陥るかは普通に考えれば分かりそうなもの。それができないのは民族性の為せる業では。「火病」という宿痾を持ち、情緒優先社会で合理的判断ができない、かつ反日以外に生きる目標を持たない民族です。中国の千年属国だったことを忘れ、文句の言い易い日本にストーカー行為をし続ける下劣な連中です。

韓国の国会議員が日本国旗を踏みつける写真や、日本の首相の顔に×を付けたり日本国旗を燃やしたりする韓国民の写真を見たことは沢山ありますが、昭和天皇の生首写真をネットに上げるとは何をか況やです。三島由紀夫は『サロメ』を愛しましたが、韓国民はサロメの結末を知らないのでしょう。やがて怒れる日本国民から鉄槌を下されるでしょう。その前に北から攻撃されて回復不能なダメージを受けるかもしれませんが。民度が低い民族と言うのは言を俟ちません。

the freshly served head of emperor

韓国は米中から馬鹿にされているというのにやっと気づいたようです。大国の間に入って振り回すだけの力があると思いこむことが如何に危険なことか身を持って経験するようになるでしょう。日本に統合される時だって、目立った反抗はなかったくらいと言うか、一進会は統合を進めていたくらいですから。被害妄想、誇大妄想で生きている国はツケを払わされることになります。それがチエスの”pawn”という表現に表れているのだと思います。あるときは中国に、あるときは米国に擦り寄り、而も都合の悪いことは全部日本のせいにして逃げるというのは成熟した国家のやる事ではありません。

北が攻撃を仕掛けても、日本は傍観すべきです。国家元首の生首写真をアップして平気でいられる精神異常の民族とは関わらない方が良い。何があっても助けることは避けるべきです。通貨スワップなぞは論外です。

記事

 

taiks about deploying THHAD between US & S.korea

3月4日、THAAD配備について米韓がようやく公式協議入りしたが、先行きは不透明(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

 米国から梯子を外された――。北朝鮮に対する「最強の制裁」が発動されたというのに、韓国人は浮かぬ顔だ。

裏切り者の韓国

—北朝鮮に対する制裁がようやく決まりました。

鈴置:3月2日、国連安全保障理事会は全会一致で制裁決議を採択しました。今年に入って、北朝鮮が4回目の核実験と長距離弾道ミサイル実験を実施したからです。

 米国の国連大使によれば「ここ20年間の国連制裁のうち、最も強力なもの」です。しかし韓国紙は暗いムードの紙面を作っています。

—「どうせ中国は決めたことを守らない。制裁は尻抜けになって北朝鮮に核を放棄させるなんて無理」との諦めからですか?

鈴置:それが第1の理由です。もう1つは、制裁案を米中が固める過程で、韓国が「ピエロ」を演じる羽目に陥ったからです。

 北朝鮮の核・ミサイル実験を受けて2月7日、韓国は在韓米軍基地への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の導入を認めました。

 2014年以降、米国が韓国に圧力をかけ続けた結果です。韓国を防衛するために在韓米軍基地が存在します。それを守るためのTHAAD配備なのです。これに難色を示す韓国は、米国からすれば裏切り者そのものでした。

 「北の核」の実戦配備が現実化した今、米国は韓国に対し「それでも配備を拒否するというなら、在韓米軍を引き揚げる」くらいは言ったと思います。

米国のドタキャン

 韓国が逡巡したのは中国の、これまた強力な圧力からです。中国は「THAADが韓国に配備されれば、そのレーダーにより自国のミサイルの動きを米国に捕捉される」との理由を掲げ、認めないよう韓国を脅してきました。

 米中の間で板挟みとなった韓国は、最後は米国の要求を入れ配備容認に動いたわけです。当然、その後も「核攻撃の対象にする」と中国から威嚇されています(「『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」参照)。

 韓国人は中国に反発しながらも「どんなイジメに遭うのか」と首をすくめる毎日です(「 『中国大使に脅された』とうろたえる韓国人」参照)。

 さて韓国に配備をのませた米国は、具体策を詰めるため韓国と合同実務協議団を設置することにしました。

 米韓両国は2月23日に設置の約定書を交わすことになっていたのですが、この日になって突然、米国側が延期を申し入れ、セレモニーはキャンセルされました。

中国との駆け引きに転用

 結局、国連で対北制裁が決まった後の3月4日、米韓は約定書を交換しました。10日間も遅れたのは、米国が中国との駆け引きのカードとして「THAAD配備」を利用したためでした。

 東亜日報の社説「米中のTHAAD・平和協定の気流変化、韓国は不意打ちを食らうのではないか」(2月27日、日本語版)がその間の事情と、韓国で高まった米国への不信感を率直に書いています。以下がポイントです。

  • ワシントンで2月25日、ハリス(Harry Harris, Jr.)米太平洋軍司令官が記者会見し「(韓国と)THAAD配備を協議することで合意したからといって、必ず配備するわけではない」と述べた。
  • 2月24日、ケリー(John Kerry)国務長官の「THAAD配備に汲々としない」との発言と比べ、さらに一歩後退した表現だ。
  • 米国の北朝鮮制裁に中国が積極的に参加する代わりに、米国がTHAAD配備による中国の憂慮を減らす方向で、米中が戦略的取引をしたようだ。
  • 朴槿恵(パク・クンへ)大統領は「THAADの配備は安全保障と国益によって検討していく」と語っていた。
  • それだけに韓国は苦しい立場となった。米中の駆け引きの可能性を、政府が果たして分かっていたか疑問だ。

碁盤の石に転落

 米国の強い要求に屈し、中国に脅されながらもTHAADの配備を認めた。というのに裏で米国は中国に「対北制裁案で譲歩してくれるなら配備をやめてもいい」と言っているようだ――という展開に、韓国人は腰が抜けるほどショックを受けたのです。

 そこで東亜日報をはじめとするメディアは政府に「『THAADのカード化』を米国からちゃんと知らされていたのか」と食ってかかったわけです。

 確かに、約定書を交わすセレモニーのドタキャンを食った時の韓国国防部の慌てぶりを見ると「韓国政府は米国から手の内を一切、知らされていなかったのだな」と考えるのが自然です。

 興味深いのは、韓国が梯子を外されたと気づくだいぶ前から中国が「このままでは、あんたはピエロになるよ」と忠告というか、警告していたことです。

 約定書の交換が突然に延期されたのが2月23日。その1週間前、ケリー国務長官やハリー司令官が「後退発言」を繰り出す10日以上も前の2月16日、環球時報が社説で「THAADを配備すれば韓国は、中・米両大国が打つ碁盤の石に転落する」と書いていました(「表・THAADを巡る米韓中の動き」参照)。

THAADを巡る米韓中の動き(2016年)
1月6日 北朝鮮、4回目の核実験
1月7日  
朝鮮日報、社説で核武装を主張
与党セヌリ党幹部2人、核武装に言及
1月13日 朴大統領、国民向け談話で「THAAD配備は国益に基づき検討」
2月7日  
北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験
韓国国防部「THAAD配備に関し、米国と公式協議に入る」
中国外交部、北朝鮮と韓国の双方の大使に抗議
Global Times社説「配備すれば戦略・戦術の両面で軍事目標に」
2月16日  
環球時報・社説「配備すれば韓国は中・米の碁盤の石だ」
朴大統領、国会演説で「配備の協議開始も抑止力の一環」
2月17日 王毅外相、平和協定締結のための米朝協議を提唱
2月21日 WSJ「2015年末、米朝が平和協定に関し秘密交渉」
2月23日 米国、配備に関する合同実務団結成のための約定書交換を突然に延期
2月24日 ケリー国務長官「配備に汲々としない」
2月25日 ハリス米太平洋軍司令官「必ず配備するわけではない」
3月2日 国連安保理、対北朝鮮制裁を採択
3月4日 米韓、配備に関する合同実務団結成のための約定書を交換

中国の忠告は親切心から?

 この新聞は中国共産党の対外威嚇用メディアで、社説は「中韓は互いに冷静になるべきだ」(中国語版)。英語版のGlobal Timesでは「China, Korea must keep clear mind」です。英語版こちらでは碁石ではなく、チェスのポーン(Pawn)に例えています。

  • It will make the Blue House further lose its national independence, and become a pawn in the game between major powers.

—「青瓦台(韓国大統領府)は国としての独立性を一層失い、大国間のゲームのポーンになる」とはなかなか厳しいですね。

鈴置:「独立性を一層失う」――。要は「すでに独立国ではないのだが、さらに……」ということですからね。日本語に翻訳すれば「お前は将棋の歩だ」あるいは「捨て駒に過ぎないのだ」と言い切ったわけです。

—なぜ、中国はわざわざ韓国に「あんたはピエロを演じているよ」と教えたのですか。

鈴置:中国のやることですから、親切心からとは思えません。「米国に騙されているぞ」と韓国人の心を揺さぶるのが目的でしょう。

 韓国が「米国の裏切り」に気づく前にそれを指摘しておけば、効果はより大きいのです。実際、韓国各紙は環球時報のこの社説を引用し「碁盤の石」という表現を使うようになりました。

小憎らしい元・属国

 左派系紙のハンギョレは「韓国は米国の『碁石』にすぎないのか」(2月23日、日本語版)という寄稿を載せました。書いたのは金東椿(キム・ドンチュン)聖公会大学教授。ポイントは以下です。

  • ついに中国から「碁石」に過ぎないという屈辱的な言葉まで聞くことになった。
  • ウィキリークスが公開した資料によれば、米国が韓国に軍隊を維持している理由は北東アジアで自国の「利益」を守るためのものであり、特に「韓国が米国産兵器の主要顧客」であることを強調している。
  • 米国は北朝鮮の崩壊、あるいは朝鮮半島の統一には関心がない。 中国を屈服させ、米国の市場を拡大できるか否かが彼らの死活的利害だ。
  • 米中間に局地的衝突が起きても戦場は朝鮮半島であり、最大の犠牲者は韓国と北朝鮮の人民であろう。
  • 旧韓末、休戦協定期のように韓国は再び周辺国に自身の命運を任せなければならない存在に転落している。 政権にとって利益になるならば「超大国の防具」であっても構わないというのか?

—「碁石」という言葉を手がかりにして、ダイナミックに「反米論」を展開しましたね。

鈴置:古典的な左派の従属理論――韓国は米帝国主義に従属する存在だ、という主張です。久しぶりに見ました。

 中国は、米国が切ってきた「THAAD配備」というカードを上手に加工して「碁石」とし、反米用の素材として韓国に撃ち込んだのです。この寄稿はそれが功を奏したいい例です。

 もちろん中国が「碁石」と揶揄したのは、韓国が小憎らしかったこともあったでしょう。米国の軍事力を背景に「THAADを配備するぞ」と言い出した韓国――。中国人の目には、元・属国のくせに生意気な振る舞い、と映ったはずです。

THAADでのませた強い制裁

—「碁石」だろうが「ピエロ」だろうが、THAADのカード化によって中国に「極めて強い制裁」をのませたのではないのですか?

鈴置:その通りです。今後、中国が対北制裁の手を緩めた際にも、米国は再び「THAADカード」を発動して中国に圧力をかけることができます。

 THAAD配備を具体化するための米韓の実務協議は、これから始まります。実務協議は開かないか、あるいはゆっくりと進めておき、中国が本気で制裁に動かないと判断したら、協議のテンポを一気に速める――という手もあるのです。

 ハリス米太平洋軍司令官の「配備を協議することで合意したからといって、必ず配備するわけではない」との発言は、そうした作戦が念頭にあるのかもしれません。

 ただ韓国も、面白くはないにしろ「カード化」自体は我慢せざるを得ないでしょう。なにしろ今、一番大事なことは対北制裁の効果を上げることなのですから。

いつの間にか仲間外れ

—では、韓国メディアは何が不満なのでしょうか。

鈴置:「カード化」を米国から知らされていなかったことです。こんな調子なら韓国の運命に関わる、もっと重要なことまで自分の知らないうちにどんどん決められてしまう――と危機感を持ったのです。

 タイミング良くと言うか悪くと言うべきか、米国と北朝鮮が2015年末に、国交正常化や在韓米軍撤収につながる可能性の高い秘密交渉に入りかけていたことがこの頃、明らかになりました。

 この秘密交渉に関しても韓国政府は米政府から知らされていなかったのではないか、と韓国各紙は疑っています。

 米国と中国、果ては北朝鮮までが自分の知らないところでこっそり朝鮮半島の将来に関し話し合っている――と韓国人は疑心暗鬼に陥ったのです。「THAAD」だけならまだしも、「韓国」という国の運命までがカード化されたら大変です。

 韓国人は「米中を手玉に取り、両大国の力を生かして日本と北朝鮮を叩く」という“天才的な朴槿恵外交”に酔ってきました。

 そこに突然降ってわいた「周辺国に命運を任せる」予感。いくら楽観的な韓国人でも、これでは落ち込まざるを得ないのです。

そのあたりは次回に詳しく聞きます。

(次回に続く)=3月14日に掲載予定

3/9日経ビジネスオンライン 福島香織『拍手は?トイレは?「全人代」の意外な見どころ 「習近平の不満」と「習近平への不満」が醸す不安感』、3/9日経電子版『習近平氏と王岐山氏「衆人環視の密談」広がる臆測』について

要人の健康問題に関するタブーは世の東西を問わず、民間企業ででもあります。況してや秘密主義の共産党では。それでも記者が鵜の目鷹の目で何かを見つけようとしていますのは、本記事で分かりました。確かに李克強は下放中も勉強に勤しみ、農民と交わることもなかったとのこと、頭が良い分だけ肚が据わってない印象を受けます。やはり、下放されてもっと厳しい状況に置かれた、習近平や王岐山の方が度胸はあると思います。腹黒くなければあの時代は生き延びれなかったでしょうから。

福島氏記事にありますように、財政支出は債務を増やすだけで、根本解決でなく、デフォルトの先送り策です。これが持続可能とは思えません。貨幣増刷で乗り切ろうとするのでしょうけど、人民元のキャピタル・フライトを引き起こします。資本規制をすれば、中国の在米資産凍結を招く可能性もあります。

国有企業のリストラで600万人の解雇、軍人30万人のリストラは共産党打倒の革命を引き起こすかも知れません。地方や軍が簡単に言うことを聞くとは思えません。

南方都市報は昔から骨のある新聞でした。何清漣も深圳法制報の記者でしたから、南の方が度胸があるのかも知れません。結局彼女は米国亡命せざるを得なくなりますが。南方都市報は広州市で発行されています新聞で、同じ系列で発行している南方週末は社説差し替え命令を受け、共産党に抗議の意を示したことがありました。また、オバマのインタビュー記事の掲載ストップ指示に、抗議して二ページの下半分を白紙で発行したこともありました。葉剣英が牛耳っていた土地ですから一筋縄では行きません。小生が住んでいた感想としては無法地帯と言った印象でした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%96%B9%E9%80%B1%E6%9C%AB%E7%A4%BE%E8%AA%AC%E5%B7%AE%E3%81%97%E6%9B%BF%E3%81%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6

「●東京新聞(TOKYO Web)

■中国週刊紙記事 差し替え 記者スト 市民も抗議

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013010802000089.html

2013年1月8日 朝刊

7日、広東省広州市の「南方週末」が入るビルの前で、言論の自由を訴える市民ら=今村太郎撮影

 【広州(中国広東省)=今村太郎】広東省の週刊紙「南方週末」の記事が当局の指示で削除、差し替えられた問題で、同紙記者の一部が七日、抗議のストライキを始めた。共産党宣伝部によって厳しく管理される中国メディアが、当局側と激しく対立するのは極めて異例。広州市にある同紙本社ビル周辺には市民数百人が集まり、「言論の自由を」と書いた紙などを手に、同紙を支持している。 

 南方週末は六日夜、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で、記事差し替えを否定する声明を発表。だが、記者らは「当局の圧力を受けて出された偽の声明」と反発し、ストライキを宣言。本社ビル前では七日朝から「われわれには言論の自由が必要だ」「南方週末を支持する」と書いたビラを持った市民が集まり、正門前にビラや花束を並べた。警戒に当たる警官隊約五十人に抗議する市民もいたが、排除はされなかった。

 同紙は三日発売の新年特別号で「中国の夢、憲政の夢」と題し、憲法に基づく民主政治の実現などを主張する記事を掲載する予定だった。だが、広東省の共産党・宣伝部の指示を受け、中国の発展を強調する内容に差し替えられた。同紙の元記者らは省宣伝部の〓震(たくしん)部長の辞任を求め、対決姿勢を強めている。

 南方週末は、独自の調査報道や踏み込んだ政治評論で知られ、たびたび当局の介入を受けてきた。二〇〇九年十一月には初訪中したオバマ米大統領に単独インタビューしたが、宣伝部の指示で掲載を中止。この際は、インタビュー記事のスペース(二ページの下半分)をほぼ白紙で発行し、抗議の意思を示した。 ※〓は度の又の部分が尺」

福島記事

bowing Li Keqiang

全人代でお辞儀をする李克強と、隣に座る習近平。誰が拍手をしたのか、しなかったのか、健康状態はどうか、読み取るべき情報がそこかしこに(写真:ロイター/アフロ)

 中国の全国人民代表大会(全人代)が5日開幕した。一足先の3日に開幕した全国政治協商委員会とあわせて両会と呼び、日本では国会のようなもの、と紹介される。だが、はっきり言って、政策や法案の中身は前年の秋までに決められており、その審議も採決も議員に相当する人民代表や政協委員が自由に議論したり反対票を投じられるようなものではないので、政策決定上はほとんど意味のない一種の政治儀式である。

 では、なぜ世界各国のメディアが、わざわざ現地に赴き、この無意味そうな儀式を懸命に取材するのかというと、一つには現場にいなければ分からない、政権の“空気感”を確認したいという思いがあるだろう。なにせ、中国の最高指導者たち政治局常務委員7人が人民大会堂の大ホールのひな壇に揃うのである。その表情やしぐさすべてが、外国人記者たちにとっては普段得られない情報である。今年の全人代の見どころを、いくつか拾っていきたい。

「健康」は?「関係」は?「核心」は?

 まず全人代では、中国の指導者たちの健康状態をチェックするのが記者たちにとっては結構重要な仕事である。今年の全人代の初日に行われる李克強首相の政府活動報告のときに話題になったのは、お辞儀したときに見えた李克強の頭頂部の髪がずいぶん薄くなったことだった。

 そして、李克強が政府活動報告を読み終えて席に戻るとき、出席者は全員拍手するのが慣例なのだが、隣に座っていた習近平は拍手をしなかった。それどころか視線を合わせたり会釈したりすることもなかった。胡錦濤政権時代、温家宝が首相として政府活動報告を読み上げたときは、席に戻ったときに胡錦濤と温家宝は握手をするのが常であった。

 この全人代開幕日の政府活動報告宣読は、拍手を入れるタイミングまで、事前に決められている。今年、拍手が起きたのは45回。去年は51回。2014年も50回以上だった。今年はかなり拍手が少なかった。こうしたことから、記者たちは習近平と李克強の関係がかなり冷え込んでいること、ストレス負けしているのはおそらく李克強の方であること、習近平自身はこの政府活動報告の内容(政府活動報告は李克強が起草)にかなり不満を持っていそうなことなどを推測するのである。

仮に習近平がこの政府活動報告に不満だとすると、いったいどこが気に入らないのだろうか。

 これも、推測の範囲でしかないのだが、習近平サイドは、この政府活動報告で「習近平同志を“核心”とした党中央の指導のもとに」といった文言を入れてほしかったのかもしれない。だが、政府活動報告は“習近平同志を総書記とした党中央”という表現にとどまっている。

 実は、今年に入ってから、習近平を“核心”と位置付ける発言が安徽や広西など地方の党委書記から出ている。“核心”というのは、唯一の権力の中心と位置付ける言葉であり、この言葉が使われるのは権力掌握の証ともされている。毛沢東、鄧小平は間違いなく党中央の核心に君臨。江沢民は鄧小平によって“核心”と位置づけられたが、胡錦濤政権ではついぞ使われなかった。つまり、胡錦濤は江沢民との権力闘争の中で最後まで核心になりえなかった。

 習近平は今年になって、“核心”という言葉を使わせようと、地方からじわじわ裏工作を謀っているようで、全人代では“核心”呼びを定着させるつもりではないか、という予測が事前にあった。それが、できなかったのはまだ、抵抗勢力が強いということだろう。

「定年でも残留」が長期独裁の布石に

 もう一つ、記者たちが驚いたのは、全人代開幕後1時間半を過ぎたころの政府活動報告中、党中央規律検査委書記の王岐山が突然、席を外したことである。汚職摘発の辣腕を振るってきた王岐山が突然、ひな壇から姿を消したので、ひょっとすると、何か突発事件が起きたのではないか、とざわめきが起きた。

 5分後に何事もなく戻って来たので、ひょっとしてトイレか?と記者たちは思った。だが続く第2回全体会議でも開始から1時間半後に8分ほど離席。この現象について、記者たちの間では王岐山は頻尿ではないか、という噂が駆け巡ったという。

 今後の権力闘争の行方を占う上で、王岐山の健康状態は鍵である。2017年秋の第19回党大会で本来なら内規上の定年年齢に達している王岐山が政治局常務委に残留することになれば、その前例をもって習近平がその5年後の第20回党大会で引退をせずに、長期独裁政権を樹立する根拠となりうる、と見られているからだ。だが、王岐山が頻尿だとすると、2015年11月に、王岐山が28日にわたって動静不明になったことが、健康問題ではないかという推測も成り立つ。当時は、王岐山が失脚したのではないか? あるいは新たな大物政治家の取り調べが始まっているのではないか? という噂が流れていた。

 次に、記者たちの仕事は、政府活動報告の中身の分析である。まず今年のGDP成長率目標として「6.5%から7%」という数字が挙げられたことの意味。政府活動報告ではその年のGDP成長率目標の具体的数字が盛り込まれるが、このように何%から何%という幅のある目標値が挙げられるのは初めてである。

 2015年の全人代同様、7%前後という目標値を挙げたいのだが、いくら何でも信憑性がなさすぎるので、表現をぼかしたのではないか、と見られる。実際のところ6.5%成長も無理目であり、昨年の成長率6.9%も、全人代で目標値を7%前後と言ってしまった故に、こじつけた数字だろう。実際は6%にも満たない、5%以下ではないか、というのが国内外のアナリストたちの見解である。

 いわゆる李克強指数(電力消費、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高。GDPの数字があてにならないので、この3つの統計によって実際の経済状況を把握せよと李克強が言ったとされる)では、昨年の電力消費の伸びは0.5%増、鉄道貨物輸送量は昨年上半期だけで前年比10%減、銀行融資残高は2015年末で前年比14.3%増なので、正直これで6・9%成長がかなうのは不思議である。

一層の元安へ? 債務爆弾、今年こそ備えよ

 2016年の財政赤字は2.18兆元、GDP比3%に引き上げたのは、予想通りとはいえ、それなりの衝撃を与えた。これは1998年から2003年のアジア金融危機のときに当時の朱鎔基首相が財政出動をとった時以来の高さ(朱鎔基はこの時、数字公表を拒否)であり、2008年のリーマンショックで、胡錦濤政権が4兆元の財政出動を行ったときですら、財政赤字のGDP比は2.8%にとどまっていた。

 昨年のうちに当局者からGDP4%以上の財政赤字も大丈夫だ、という発言が出ていたので、今年は過去最大規模の積極財政方針をとるだろう。日本や米国の財政赤字比率からすれば、大したことないじゃないかと思う人も多いだろうが、マネーサプライ(M2)が対GDP比200%以上の中国の場合、これはかなり大胆な挑戦であり、生産過剰と不良債権化がむしろ進み、一層の元安に直面する、といった予測もある。

 ちなみに地方専項債権の4000億元はこの財政赤字には入っていない。中国の総債務(政府、企業、家計)は2014年半ばでGDPの282%(米マッキンゼー報告書)、すでにGDP比300%を超しているという報道もあるので、中国の債務爆弾爆発に対する衝撃に今年こそ備えが必要かもしれない。

 もう一つの注目点は、十三次五カ年計画(十三五計画、2016~2020年の経済計画)の中身だ。2021年は中国共産党建党100年目であり、習近平政権の二つの100年目標の一つである2021年に全面的小康社会(そこそこゆとりある社会)の建設を実現するための最後の経済計画である。インフラ建設の強化が打ち出され、中でも北京と台北間の高速鉄道計画が話題をさらった。もちろん、台湾サイドの意向などお構いなしの「言うだけ」計画で、中台統一を警戒する台湾は大反発している。

十三五計画の肝は「安楽死」、改革の分業は崩壊

 十三五計画で一番、キモとなっているのはインフラ建設資材を生産する鉄鋼、石炭、アルミ、ガラス、セメント分野のいわゆるキョンシー企業、ゾンビ企業とよばれる万年赤字国有企業の“安楽死”問題だ。過剰生産分の資材をインフラ建設強化で消化しつつ、ゾンビ企業を整理して、これに伴う失業者対策に1000億元を拠出して基金を創るという。今後2~3年で600万人前後をレイオフ(一時解雇、事実上の失業)するという予測が伝えられているが、90年代、自ら憎まれ役を買ってでた鬼宰相の朱鎔基ですら道半ばであった国有企業改革を、ストレスに弱そうな李克強に貫徹できるか。失業者問題は中国社会の不安化を一気に加速する可能性もある。

 今回の政府活動報告でも「改革」と言う言葉を70回前後連呼していたが、連呼されるほどに、今の中国に改革を断行できる力量は見えない。2013年の三中全会(第三回中央委員会全体会議)で打ち出された“リコノミクス(李克強経済学)”では法治化、市場化、政府介入の減少こそが改革の骨子であった。ところが現実には、株価も為替も政府介入、行政指導の連続であり法治化、市場化はむしろ遠のく印象だ。

 今やリコノミクスという言葉は忘れさられ、キンペノミクス、シーコノミクス(習近平経済学)という言葉を使うようになった。つまり、国家主席と首相の本来あった分業体制は完全に崩れている。江沢民と朱鎔基は相当仲が悪かったが、少なくともこの分業体制は機能しており、首相が全面的に指揮と責任を引き受けて改革に取り組むことができた。それと比べると、今回、90年代以上に困難な経済改革に、誰が責任をもって命がけで取り組むかというと、そういう人物が見当たらないのも、中国経済改革の先行きの暗さの一因だろう。

 肝心の習近平は、独裁志向と自らの個人崇拝志向をますます強めており、メディアに対する忠誠を恥ずかし気なく求め、これまでならば許されてきた程度の批判でさえ、処罰の対象とするようになった。表向き習近平礼賛を合唱するメディア関係者の腹の中の怨嗟の声は、外国人の私たちにも漏れ伝わるレベルである。習近平の独裁志向と、批判や提言を自らに対する反逆ととらえる性格は、結果的に国務院(内閣)、政府機関の職能を弱め、官僚の心理的サボタージュを引き起こしている面もあると指摘されている。

 国内の経済政策や外交政策の仕切りのほとんどは、習近平を中心とする党中央の小組が執り行っているが、習近平は経済から外交、軍制改革までの責任を一人で負えるほどのスーパーマンではない。結果として米中対立の先鋭化や中国株式市場への信用失墜、香港の核心的価値の決定的喪失といった事態が起きていて、これらは紛れもなく中国の国益を損なっている。

行き詰まり感とバランスの悪さと不満感と

 全人代開幕直前の4日夜、中国国内の比較的新しいネットニュースサイト「無界新聞」に、「習近平同志に党と国家の指導職を辞職することを要求する」と題した匿名の“忠誠の共産党員”による公開書簡が掲載され、一時はサイトがダウンする事態も起きた。

 「無界新聞」は「財経」誌を発行している財訊集団と新疆ウイグル自治区、アリババが出資して新疆地域に対する宣伝工作、世論誘導のために昨年4月に立ち上げた、いわば習近平政権肝いりサイトである。サイト関係者はハッキングされたと説明しているそうだが、習近平の政策の失敗を並べたて、国家と党のために引退してくれと訴える公開書簡が、中国のニュースサイトに掲載されたのだから、やはり党内部の習近平に対する不満の高まりを反映した“政治事件”と見る向きが強い。そうした国内党内の不満は、全人代のような場で多少なりとも話し合いで解消するのが、本来の役割なのだろうが、チベット自治区代表団が習近平バッチをつけてきたことからもわかるように、習近平への忠誠アピールを競うようなムードになっているのである。

 今年の全人代の空気が示すのは、中国の改革には期待できそうにないという行き詰まり感、党中央と国務院機能のバランスの悪さ、そしていつ何が起きても不思議ではないほどの党内人士の不満感、不安感ではないだろうか。

日経記事

中国の“絶対権力者”になりつつある国家主席、習近平に背後から手をかけて呼び止め、対等に話しながら退場する反腐敗の鬼、王岐山――。

 3月3日、極めて珍しい光景が出現した。北京で開幕した全国政治協商会議の全体会議が終わり、「チャイナ・セブン」といわれる習ら最高指導部メンバーがひな壇から順番に退場する際の一幕だ。

 衆人環視の下での密談である。2千人以上の全国政協の委員、1千人もの記者らが見守るなか、政治局常務委員の王岐山は、ボスである習に何を言ったのか。これが注目の的だ。次々と大物を捕まえた、泣く子も黙る共産党中央規律検査委員会の書記だけに、である。

 一考に値する推測がある。権力者への諫言(かんげん)のあり方、そして翌4日に発表される反腐敗の大物摘発が話題だったのでは、というのだ。幕の向こうに習と王岐山が消えてからも会話は続いただろうから、2つのテーマくらいは話題にできたかもしれない。

■トップへの諫言問題が話題か

Xi & Wang Qishan

政治協商会議の開幕式を終えて習近平(左)に話しかける王岐山・政治局常務委員(北京の人民大会堂)=写真 小高顕

 前者には根拠がある。王岐山が仕切る共産党の中央規律検査委員会などの機関紙。そして同委と中国監察省が合同でつくる公式サイトだ。全国政協の開幕直前、司馬遷による史記の記述などを引いて、諫言の重要性を指摘する文章をほぼ同時に発表していたのだ。

 「唯々諾々と従う1千人のイエスマンは、ただ一人の志ある人物による諫言に及ばない」

 意訳すると、こんな内容だった。中国の戦国時代、強国への道を歩む秦国の政治家だった商鞅と、その腹心の関係。名声の高い「貞観の治」で知られる唐王朝第2代皇帝、李世民と臣下の関係を例に挙げている。

 耳に痛い諫言をする人物を遠ざけてはいけない。それができれば、歴史に名を残す偉大な人物になれる。文章が説く趣旨だ。筆者は王岐山ではない。とはいえ、いまは言論統制が非常に厳しく、全国政協の委員や全国人民代表大会(全人代、国会に相当)代表らの口も重い。その時代に“危険な文章”を公式掲載するには、王岐山の許可が必須だ。

 「これだけ高度なテクニックを要する文は、王岐山自らがアイデアを考えたに違いない」。北京の知識人の見方だ。

その後の展開が興味をひく。中央規律検査委の“公式見解”はすぐに流布され、これを引用して言論の自由を説く文章がインターネット上に次々登場した。すると一部の文章が「問題あり」とされ、削除されたのだ。

 言論統制の元締めは党中央宣伝部や、新設された国家インターネット情報弁公室である。削除の基準は、中央宣伝部などが示す。そして宣伝部の担当は、党内序列5位の政治局常務委員、劉雲山である。

Liu Yunshan

政治協商会議に出席した劉雲山・政治局常務委員(北京の人民大会堂)

 読み解きはこうなる。「中央規律検査委の王岐山と、中央宣伝部の劉雲山の言論問題への見解は異なる。もしかしたら対立しているのでは……」。知識人らのひそひそ話である。ネット上に書くと削除されてしまうので、昔のように口コミ(中国の言葉で「小道消息」)で広がっている。

■「中国版トランプ」への集中砲火

 もう一つ、面白いエピソードがある。今、中国のネット上で熱い議論が交わされているのは、「不動産王」の言論だ。彼の名は任志強。歯に衣(きぬ)着せぬ舌鋒(ぜっぽう)の鋭さで、有名なネット言論人でもある。

 任志強のブログの内容が党内で批判を浴びている。「中国メディアの姓はすべて共産党で、党に忠誠を誓うべきだ」という党が打ち出したスローガンに敢然とかみついたのだ。

 「すべての(中国)メディアの姓が党で、人民の利益を代表しないなら、人民は見捨てられたということだ」

 任志強はブログで繰り返し反発した。メディアは一般大衆の利益を代弁すべきだ、と主張しているのだ。正論である。彼の反発は、習が2月19日に国営、中央テレビなど三大メディアを視察したのがきっかけだった。

 任志強は「太子党」に属する。旧商業省次官を務めた父を持つ。首都防衛の要、第38集団軍に所属した軍人の出身で、後に不動産大手、華遠集団を率いた。共産党員であり、労働模範として表彰を受けている。北京市の政協委員でもある。

 不動産王で舌鋒が鋭いといえば、米共和党の大統領候補を争っているドナルド・トランプと似ているが、中国の不動産王も負けてはいない。

 この任志強。実は王岐山と極めて親しい。弟子といってもよい。文化大革命の嵐が吹き荒れた1960年代、北京の中学校で先輩、後輩の仲だった。年上の王岐山が任志強の指導員まで務めた。

 その任志強が劉雲山の中央宣伝部の系統から集中砲火を浴びるなか、王岐山は習を呼び止めた。共産党のしきたりからして、指導部の一員でもない任志強の個別問題に、王岐山が直接言及するはずもない。とはいえ、もっと大きな「習の治世と諫言のあり方」を話題にすることはできる。例えば、「中央規律検査委の文章を読んでください」というように。「周辺にこう推測させるだけで十分効果は得られる」。関係者は指摘する。

王岐山は翌4日に発表した元遼寧省、吉林省トップの中央委員、王珉の摘発について報告した、という推測ももっともらしい。全国政協と全人代の期間中に格の高い中央委員の摘発を公表するには、トップである習の承認が不可欠だ。時間がないなか、王岐山は習を呼び止めて立ち話せざるを得なかったのかもしれない。

National politics & business conference

3日に開幕した全国政治協商会議(北京)=写真 小高顕

 とはいえ、王岐山と任志強の個人関係、中央規律検査委機関紙や公式サイトの文章を見れば「諫言問題説」にも十分な説得力がある。

 そもそも習と王岐山は親しい。文革の際、2人は陝西省の黄土高原に位置する延安近くに「下放」され、そこで知り合った。習は15歳、王は20歳の知識青年。王はまだ幼い習を自らの洞窟式の住居に泊め、読書も指南した。ちなみに同じころ、後の不動産王、任志強も延安付近に「下放」されていた。

 いまや習は、中国の権威あるトップだ。だが、旧交がある先輩、王岐山には、習を後ろから呼び止めるだけの度胸があった。それも公衆の面前で。他の誰もそんな恐ろしいことはできないが。これは指導部内での人間関係の機微でもある。

■南方都市報の編集者は解雇

 先週、このコラムで広東省の新聞、南方都市報が勇気をもって習政権のメディア統制を批判した経緯を紹介した。紙面づくりを担当した気骨ある女性編集者はその後、解雇された。編集責任者も処分を受けた。理由は「政治的な配慮を欠き、紙面に重大な欠陥をもたらした」というものだった。やはり党中央宣伝部などの怒りに触れたのだ。

 言論をどこまで統制するのか。この問題は、ネット上や巷(ちまた)の大きな話題であり、今後も尾を引きそうだ。そして習近平、王岐山、劉雲山らがどう動くのか。来年、2017年には5年に1度の党大会がある。最高指導部人事を前にした「力比べ」も絡むだけに非常に興味深い。(敬称略)

3/7JBプレス 森清勇『中国の南シナ海要塞化を見逃す米国の凋落と歴史観 このままでは日本、台湾、ASEANとの同盟関係維持も困難に』、3/8西村眞悟メルマガ『平和を望むならば戦いに備えよ』について

藤岡信勝氏のFacebookより引用。日教組打倒のために非常に良いことです。広島の中学生の自殺も日教組が強いく教育そっちのけで政治活動をしているせいで起きた事件ではと思っています。

「検定中の教科書を教員など採択関係者に見せ、金品を渡していた事案につき、新しい歴史教科書をつくる会は、3月7日、教科書発行10社を東京地検特捜部に刑事告発した。この日、文部科学大臣に告発の報告と申し入れを行い、文科省記者クラブにおいて記者会見を行った。以下、つくる会のFAX通信から転載する。

【新しい歴史教科書をつくる会は、3月7日、一連の検定中教科書「贈収賄」事案について、東京地検特捜部に該当する教科書会社10社の社長を「贈賄」の罪で刑事告発しました。続けて、文部科学省において文科大臣宛に刑事告発の報告と併せて下記の申し入れを行い、その後記者会見を行いました。

 申し入れ及び記者会見には、髙池勝彦会長、石原隆夫副会長、岡野俊昭副会長、藤岡信勝副会長、荒木田修理事が出席し、各々よりこの問題の重大性を説明しました。

平成28年3月7日

文部科学大臣 馳 浩 様

(一社)新しい歴史教科書をつくる会会長 高池 勝彦

          検定中教科書「贈収賄」事案についての要望

この度、教科書発行各社が検定中教科書を教員らに見せ、金品などを謝礼に渡していた事実が明らかになりました。文部科学省は各社からの報告を公表し、さらに実際の教科書選定・採択への影響の有無を、全国都道府県教育委員会に3月中旬までに報告するよう指示されました。このことに私どもは謝意と敬意を表します。

今回の事案は、教科書業界と公務員である教育委員会・教師との間で起きた、下記の法律に抵触した重大な「犯罪行為」です。

・「刑法第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)及び198条(贈賄)」の違反

・「地方公務員法第29条(懲戒)」の違反

・「独占禁止法」の違反           (各法律については資料LinkIcon参照)

当会はまず上記の「刑法第198条」への違反について、本日3月7日、該当各教科書会社を東京地方検察庁に刑事告発したことをご報告いたします。

さらに本事案は独占禁止法に基づく規制(「教科書業における特定の不公正な取引方法」)にも逸脱しており、まさに教科書無償措置法の根幹を揺るがす未曾有の大不祥事です。本来、子供や生徒に対し、不正行為を否定する教育をすべき立場の教員や教科書業界の倫理感が疑われます。「子供たちに顔向けできるのか?羞恥心があるのか?」を問いたい思いです。

よって私どもは文部科学省に対し、教育行政の信用回復と再発防止のために、下記の6点について速やかな検討・実施を切に望みます。

(1)文部科学省は、今回指示した各都道府県教育委員会からの報告の結果を精査し、影響があったとされた教育委員会は「教育委員会名とその報告内容」を公表すること。また該当する教育委員会の採択地区については、採択の無効化とやり直しを検討すること。

(2)謝礼を受け取った当事者は全員氏名を公表し、処分を科すこと。

(3)教育現場で教育に関する不正行為を発見した者は、身分保障も含め安心して、文部科学省へ直接通報できるシステム(内部通報制度)を構築すること。

(4)1月20日の教科書発行各社からの報告にあたり、義家弘介文科副大臣は、「報告漏れが発覚した場合は指定の取り消しも含めて必要な措置を講じることも辞さない。徹底的な調査を行っていただきたい」との発言をされているが、各社より報告されたものは「氷山の一角」にすぎない可能性が極めて高い。これまでの膿を一切出し切るために、文部科学省主導で調査を続行すること。さらに、全国各教育委員会に対して、報告漏れの事案の有無について、既に退職している教育関係者への聞き取りなども含め徹底した調査を指示すること。

(5)その調査報告いかんでは、義家副大臣の発言通り、該当する発行会社を教科書発行停止などの厳罰に処すること。

(6)現行の制度では、無償措置法の趣旨により適った教科書採択が行われることを目的とした、現場教員などによる「調査研究制度」や「共同採択区制度」がある。しかしそれらの実態は、日教組等の教職員経験者による恣意的な運用などにより、本来の趣旨にそぐわないものとなっている。それが結果的に今回のような不祥事を生んでいる。

文部科学省はこれらの制度の問題点について早急に検討・見直しを行い、今後、国民にとってより透明性の高い公正な教科書採択が行われるよう改善をはかっていただきたい。

最後に、本事案発覚の経緯は、昨秋からの報道の追及と文科省からの指導によって隠しきれないと判断した各教科書会社が、言わば自首した形で行われたものです。2月24日には、該当教科書会社10社が文科大臣に謝罪をおこないました。

しかし、本件は大臣の厳重注意をもって一件落着として幕を引くような軽微な事案ではありません。当会は、文部科学省の本件の対応について、今後も引き続き注目して参る所存です。大臣に於かれましては、一層の指導力を発揮していただきたいと思います。(以上)】」

さて、本記事ですが台湾を含めたATO(Asian Treaty Organization)を早期に作って対応しなければ。米国の対応が遅いのはオバマのせいだけではなく、金に転んでいる要人が一杯いるためです。日本も米国とニュークリアシエアリングの交渉をして行かないと。その際、日米安保条約が破棄される場合、一部の核を日本に譲渡する内容で締結してはどうか。やがては破棄されなくても譲渡されるようになれば良い。オフショア・バランシングとか言うのなら日本にも核を持たせないと。

中国の全人代の李首相の発表で、後半ずっと汗をかいていたことがTVで話題になっていました。それはそうでしょう。自分の思い、考えと違うことを無理やり言わされたのですから。従来ですと、政治・外交は主席、経済は首相と分けていたのに、習が無理やり「財経小組」を作ってリーダーとなり、李克強から実権を奪いました。でも全人代で李に発表させたという事は、経済が立いかなくなったら(というかここまで債務が膨れ上がれば、誰がやっても回復できないでしょう)、李の首を斬ると言うのを中国全土にアピールしたのです。それで、李は汗をかいたというのが真相では。習の腹黒さが窺えます。こうでなければ中国のトップにはなれないのでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族なので。

やはり、中国の経済を崩壊させるのが軍事膨張の野心を止めるのに一番良いと思います。財務省の通貨スワップの議論や外務省のODAは止めるべきです。こいつらは学力が高いだけで、世の中が見えてない連中です。支援をすればどういう結末を迎えるか分かりそうなもの。まあ、老後の天下り先の心配ばかりしている官僚たちですから、矜持を持って仕事せよと言っても難しいのかも知れませんが。保身ばかりが目立ちます。自己中心な日本人の典型です。

記事

Philippino's protesting action in front of Chinese consulate

フィリピン・マニラの中国領事館前で抗議活動を行うベトナム人とフィリピン人たち(2016年2月25日撮影、資料写真)〔AFPBB News

 南シナ海における中国の傍若無人の行動を見るにつけ、アジア重視にピボットしてリバランスしたはずの米国に疑問が湧いてくる。

 カリブ海と南シナ海では米国にとっての意味が異なることは分かる。しかし、ソ連がキューバにミサイルを持ち込んだ時の対応に比して、中国の南シナ海における行動に対しては余りにも対応が鈍い。

 軍首脳たちは対応が遅れれば遅れるほど、大きな犠牲が伴うことを進言しているようであるが、2回ほど「航行の自由」作戦を行っただけである。「世界の警察官ではない」と宣言した大統領には別の思惑があるのかもしれない。そうした米国の対応を見越して、中国は急ピッチで南シナ海の軍事拠点化を進めている。

 内向きのバラク・オバマ政権で、果たして日本の安全は保障されるのか。日本はどういう立ち位置で行動すればいいか、今一度真剣な考察が必要であろう。

台湾の政権交代を追い風に

 台湾では先の総統選挙で親日的な蔡英文氏が大差で勝利し、5月に8年ぶりの政権交代が行われる。同時に行われた立法院選挙でも民進党が過半数を超す議席を確保し、与党による安定した議会運営が期待される。台湾の現状維持は日本のシーレーン維持のためにも不可欠である。

 しかし、中国が主張するように南シナ海が中国領となり、内海化して対空ミサイルや戦闘機・戦闘爆撃機を配備し、さらに防空識別圏を設定すると、海上自衛隊や米第7艦隊は通りにくくなる。それはとりもなおさず台湾の孤立化であり、その先にあるのは台湾の香港化であろう。

 その結果、台湾海峡とバシー海峡の自由航行が阻害されることになれば、南シナ海を通る日本のシーレーンは遮断され、ASEAN(東南アジア諸国連合)との通商は大きな打撃を受けることになる。

 もちろん、中東からの原油輸送も南シナ海の航行ができなくなれば迂回が必要で、長大な航路となり、経済的損失は計り知れない。また、台湾を拠点に東シナ海における中国の活動は一段と加速され、尖閣諸島が大きな影響を受けることは必定である。

 このように考えると、日本と価値観を同じくする台湾が健在することは、何よりも日本の安全保障にとって不可欠の要件である。

 いまは台湾が頑張ってくれているから海峡通過が可能であるが、中国の影響下に入ったならば、万事休すである。中国は尖閣を自国領にして、台湾に影響を及ぼしたいと思っている。そうした意味で、尖閣諸島の重要性も浮かび上がってくる。

 台湾の命運は日本の安全保障にもかかわる。リチャード・ニクソン政権(当時)の動きに慌てて、台湾をあっさり切り捨てた日本であるが、中国が国際社会の声を無視する形で南シナ海の内海化を図っていることに対応して、日本は対台湾関係で新たな施策を取るべき時ではなかろうか。

 先の国会での安保法案が理解されにくかったのは、緊迫している国際情勢についての議論を野党が避けて憲法論議に持ち込んだからである。

 南シナ海の現実に照らして、一段と法案の重要性が認識されなければならない現在である。破棄法案を提出する野党の無責任はいくら批判してもし過ぎることはないであろう。

日本の立ち位置

 中西輝政・京都大学名誉教授は「愚かにも、ここ20~30年、日本では政府も国民も鄧小平以後の中国は平和志向に変わった、と妄想した」(『正論』2015年3月)と悔しがる。

 日本が自国に都合がいいように妄想したこともあろう。しかし、日本が独自にとり得る中国に関する情報が少なく、米国がもたらす情報で行動せざるを得なかったということが大きい。

 その米国には前科がある。戦前の米国は「日本帝国主義に痛めつけられた中国」という認識が強く、南京攻略戦を中国が南京大虐殺に仕立てるのに多大の協力もした。中国の報道はおかしいと米国民に呼びかけたラルフ・タウンゼント元上海副領事などは戦争中、フランクリン・ルーズベルト大統領によって牢獄につながれたほどである。

 戦後の米国は「可哀そうな中国」ではないが、しっかり支援してやれば米国に応えてくれるといった認識から同盟国である日本と天秤にかけ、時には中国に肩入れして日本敵視政策をとる状況もあった。

 日本人の中国専門家、もっと広く国際問題専門家と言われる人たちの講演をいくつか聞いたが、米国は中国をこう見ているという話が主体で、日本も米国と同じ視線で中国を見ておれば大丈夫だろうと言った論評がほとんど。独自に10年後、20年後を語る話はあまり聞けなかったように思料する。

 中国の政治的状況や軍政関係など、内部からしか得られないような内容の話をすれば、自国民でさえ容赦なく逮捕する国への入出国が難しくなることもあり得よう。そうした配慮から話を控えているのかも知れないと惻隠の情で聞いていたが、根本的な情報が欠落しているというのが実態のようであった。

 そうしたところに、米国から次々に対中警戒の声が上がってくると、日本の報道機関はそうだったのか、それほどまでに中国の傍若無人ぶりが増大して危険な状況になりつつあるのかとびっくりし、慌てて報道し始める仕儀である。

日本は独自の核抑止力を欠いているので、米国に強く言えない。あるいは米国の対中政策と違った行動をとり得ない、あえて行動しようとすると圧力がかかるなどの目に見えない同盟の枷がかけられていることもあろう。

 先の北朝鮮のミサイル発射に関連して自衛隊が対処行動をとったことに関し、某氏はこの態勢をそのまま維持して、対中布陣としてはどうかという意見を出していた。対北朝鮮対処だけでなく、いや北朝鮮対処以上に中国対処が日本にとっては重要であることが忘れられているように思えるがいかがであろうか。

 いまは日本の立ち位置が定かでないように思える。

中国の詭弁に寛容すぎる

 南シナ海では「(中国の)軍事拠点化の進展を示す証拠が日々、浮上している。深刻な懸念対象だ」(「産経新聞」平成28年2月19日)とジョン・ケリー米国務長官が非難した。これは昨秋訪米した習近平主席がオバマ大統領と記者会見に臨んだ時、「南シナ海を軍事拠点化にしない」と語ったことを念頭に述べたものである。

 3000メートル級の滑走路が何本も完成し、戦闘機の配備が明らかになり、また対空ミサイルの配備も明らかになると、中国は意味不明な「防衛体制は昔から存在する」「主権国家の自衛権に合致する」などと反論するようになってきた。

 尖閣諸島の帰属や南シナ海について、以前は「古代から中国のものであった」などと国際法を無視して何の根拠にもならない発言を繰り返してきた。中国流の詭弁でしかないが、こうした詭弁は今に始まったことではない。

 中国と1969年以来かかわり、米政府への助言もしてきたマイケル・ピルズベリー氏が「騙されてきた」と近著『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』で告白している。

 正確には「騙されていた」と言うよりも、「信じようとしないままずるずるときた」ということであろう。

 なぜなら、彼はビル・クリントン政権時代の国防総省とCIA(米中央情報局)から「中国のアメリカを欺く能力と、それに該当する行動について調べよ」と命じられ、中国が隠していた秘密を調べており、「(中国の)タカ派が、北京の指導者を通じてアメリカの政策決定者を操作し、情報や軍事的、技術的、経済的支援を得てきたシナリオ」を発見していたからである。

 そのシナリオこそ「100年マラソン」と呼ばれるもので、「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだったと述べる。

ピルズベリーは中国がどうなるとみていたかを、「間違っていた前提」として5つにまとめている。

(1)つながりを持てば完全な協力がもたらされる。 (2)中国は民主化への道を歩んでいる。 (3)はかない花、中国(と思てきた)。 (4)中国はアメリカのようになることを望み、実際、その道を歩んでいる。 (5)中国のタカ派は弱い。

 いま分かったことは、すべての前提が間違っていたということである。

 どうしてこうなるのか、孫子の兵法に見るように、中国の戦略は「戦わずして勝つ」のを最上の策としており、そのために謀略をめぐらし、相手の謀略に打ち勝つことを奨めている。こうして力がつくまでは「平和的台頭」を信じ込ませてきたのだ。

 日本が防衛白書などで「中国の軍事力増強は不透明である」と警鐘を鳴らしても、中国は常に「平和的台頭」であり「覇権国になることはない」と繰り返すばかりであった。南シナ海での埋め立てや滑走路などの敷設に対して、「軍事化を意味しない」と言ってきたのと同類である。 

オンショア・バランシングの米国へ

 オバマ大統領が「米国は世界の警察官ではない」と語ったのは、シリアで化学兵器が使われた疑惑が持ち上がり、米国の対応が問われた2013年9月10日である。

 これは「9.11」の12周年を迎える前日のことであった。それを発火点にしたかのように、シリア情勢は一段と混乱し、ロシアはクリミア半島を侵略した。

 「オバマ大統領のホワイトハウスが現在関心を持っている世界情勢は、ロシア・ウクライナ問題、そして中東とそれに関連した国際テロが依然として大きなウェートを占めている」(『正論』2015年3月)と田久保忠衛氏は述べ、「中国の台頭、ひいては危険で野心的な膨張主義は、アジアに局面を限れば目立ってきたと感じている程度だと言わざるを得ません」とみていた通りであった。

 第1期オバマ政権は中国閉じ込めの色彩が強かったが、第2期になると、アジアへ回帰してリバランスの宣言をしたにもかかわらず、「オフショア・バランシングに変わってきたのではないか。中国と直接対峙するのは日本など同盟国や友好国で、アメリカはそれらをオフショア(沖合)、つまり後方から支援し、対抗行動をとるという戦略」(同上)で、なかなか動こうとしなかった。

 米国は昨2015年7月、4年ぶりに「国家軍事戦略」を公表した。

中国の南シナ海における人工島造成が国際的な海上交通路にまたがり、中国軍の兵力配置を許すことや、ロシアはウクライナ軍事介入で武力行使も厭わないなどと分析しているが、「米国と同盟・友好国のネットワークは世界の安全と安定の礎となる類まれな強さがある」とし、「集団的な軍事力を高めることなどにより、侵略を阻止する」(「産経新聞」平成27年7月3日)と強調するだけで、米国が指導力を発揮するような文言はない。

 こうした米国の動きにリアリストたちが危機感を抱き声を上げ始めた。

 ピルズベリーの上記著書やジョン・ミアシャイマーの『大国政治の悲劇―米中は必ず衝突する』、さらにはアーロン・フリードバーグの『支配への競争―米中対立の構図とアジアの将来』などが相次いで出版される。

 これらの著書は『孫子』『春秋左氏伝』『三国志演義』などの古典、あるいは鄧小平が語っていた「韜光養晦、有所作為」(才能を隠して控えめに振る舞い、成すべき事は成すという意味)などの用語を多用して論述している。カギは中国の古典にあり、中国の計略にはまったという印象を強く醸し出そうとしていることが分かる。

 米国が今後も我関せずのような態度を続ければ、中国が地域覇権国になることは必定であろう。しかし、米国が地域覇権国となって以降、米国は他の国が地域覇権国となることを許したことはない。その流れからすると、米国は台頭する中国を抑えなければならない。

 そのことをミアシャイマーは自著で、「現地の国々(筆者注:日本やベトナム・フィリッピンなど)が潜在覇権国(注:中国)を自分たちの力で閉じ込められない場合には、沖合に位置しているオフショア・バランサー(注:米国)というのは、実質的にオンショア、つまり岸に上がらなければならなくなる」と述べている。

米国の日本理解

 他方で、米国の行動を見ると、世界の警察官でないどころか、同盟国の警察官でもないように見受けられるというのは言いすぎであろうか。

 米国には、もともとモンロー主義という考えがあり、最小限アメリカ大陸にだけは敵性国家を近づけないし、いざというときには引き籠ればいいという考え方である。キューバ危機はそうした意識の顕現であった。

 南シナ海については「航行の自由」を主張しながら、中国の軍事拠点化にさしたる異議申し立ても行動もとろうとしない。米国の力を期待していたASEANの国々は米国を見限りつつあるのではないだろうか。

 南シナ海では中国が数年前から人工島を築き作業していたことが分かっていた。昨年は飛行場の完成、そして民間機の飛来、その後は戦闘機の発着である。今年になると対空ミサイルの搬入が明らかになった。それにもかかわらず、米国は中国の行動を抑制させるまでには至っていない。キューバの時と大違いである。

 こうした米国の動きを見ていると、日米同盟で日本の安全はどこまで保証されるのか、理解が困難になる。米国務長官や国防長官は「尖閣は日米安保5条の適用を受ける」としばしば発言していたが、米国が本当に守ってくれるのか心配でならなかった。

 そこへ、国賓として迎えたオバマ大統領が同様の発言をしたことで、これ以上の保証はないと言わんばかりに日本はすっかり安心した。

過去の歴史や米軍占領後の尖閣を射爆場として使っていたことなどからして、「領有権」は明確であるように思えるが、あえて「領有権は日中両国の問題」と突き放す。

 こうしたことから、「安保条約の範囲内」の意味については、有識者の間でも意見が分かれている。ざっくり言って、米国が最大限の関与、すなわち戦争に訴えてでも日本の味方をしてくれるという意見から、リップサービスで中国を牽制するだけで、実際に中国が動き抑止が破綻すれば関わりを放棄するという意見まである。

 西尾幹二氏は「アメリカの対外政策をみていると、ことごとくまるで絵に描いたようなご都合主義で、私たちはアメリカを本当に信じることができるかどうかわからないという局面に、身を置いている。(中略)アメリカ人は余りにも他国を理解しようとしない。そしていまはオバマ政権の軽率かつ臆病な判断によって世界最大の軍事大国が外交的失敗を繰り返している」(『正論』2016年3月号)と書いている。

 中国発の情報の間違いと日本発の正しさを米国民に伝え続けたタウンゼントに対する米国の仕打ち、戦後の米国の行状を見ただけでも、米国の国益次第で日本は翻弄されかねない。

おわりに

 台湾は日本へのシーレーンを扼する戦略的要衝である。親中政権から親日政権に代わるのを好機と捉え、日台友好を深めると同時に、経済的深化を強める必要がある。

 日本単独の中国進出は危険が伴うことが多いが、台湾は中国での損失が少ないと聞く。このことは、日中の関係に台湾を噛ませることで損失の少ないルーチンを築く機会でもある。

 中国は法の支配を守らない、民主主義を否定する、IS(イスラム国)を批判しないなど、従来確立されていた国際秩序を破壊する行動を平然と行っている。

 また、中国や半島の国々の要人や広報官の声明などを聞いていると、あたかも詭弁術の講義のようである。これが国際政治の現実という理解も必要であろう。

 他方、米国はいま中国のこうした詐術に気づいたかのように主張するが、それも詭弁であるように思える。米国はとっくに中国の言行を知っていたはずである。ただ、自信過剰が災いしたとは言えよう。

 いま米国の地域覇権が脅かされそうになり、日本やASEANの結束を呼びかけているが、米国益絡みの思惑で一蓮托生にされてはかなわない。

 日本自身の立ち位置をしっかり確立することが求められているようである。

メルマガ記事

中共の首脳は、全人代で、「海洋強国」を建設すると宣言し、 東シナ海・南シナ海そして西太平洋に覇権を拡げて「中国の海」とするための「軍事闘争への備えを統一的に推進する」国防費を提示した。 その額、日本円で約十六兆七千億円であり我が国の国防費の三・三倍である。 しかし、この公表された国防費は総額の二分の一に過ぎないと指摘されている。これは経済の失速のなかでも断じて軍事拡張を止めない姿勢を示したものである。

  産経新聞社説は、この状況に関して 「自ら敵を増やすつもりか」 という強烈な題名を与えて異常性を強調した上で、 「習主席は異常な軍拡を思いとどまり、各国と手を携える道を探らなければならない。 経済の回復にも国際協調は不可欠だ」と結んでいる(二十八年三月六日)。この社説の終わり方に、じょ、じょ、冗談言うな、となった。さんざん相手の異常性を強調しておいて、 なんやこれは、異常な相手に、国際協調を勧めても聞き入れるはずがないではないか。そもそも、異常、なんやから。

 よって、産経新聞の社説の結論とは逆に、この相手に、国際協調を勧めるのはもう止めようと強く訴えたい。何故なら、軍拡を続ける独裁権力に対する「宥和」こそ、戦争の引き金になる「最も危険な錯誤!」であると歴史が教えているからである(チャーチルの第二次世界大戦回顧)。第二次世界大戦勃発の直前まで、つまりドイツのポーランド進撃直前まで、イギリスもフランスも、ヒトラーに国際協調を勧めていたことを忘れてはいけない。

 すなわち、我々は、頭から対中宥和思考を排除した上で、相手の「実態」を把握し、如何にして相手を抑止するか決断し実行に移さねばならないときがきている。その決断が、本稿の表題「平和を望むならば戦いに備えよ」である。

 この観点から眺めるならば、現在、韓国では、アメリカ軍と韓国軍が大規模軍事演習を展開し、 南シナ海には、アメリカの原子力空母ジョン・ステニスを中心とする空母打撃群が展開している。

 また、我が国においても、 昨日三月七日、秘匿性に優れた最新鋭潜水艦「じんりゅう」が三菱重工神戸造船所から就役して「そうりゅう型潜水艦」が次々と生まれており、フィリピン海域の海底に我が潜水艦が遊弋していると聞いている。いうまでもなく、秘匿性の高い潜水艦は、一発で空母を撃沈できる。

 これらを総合すれば、中共の全人代で喋っている連中と中共の軍隊は、海洋においてかなりの圧力を受けて抑止されており、八十年前の昔に、何の圧力も受けずにラインラントに進駐できて 舞い上がったヒトラーの状況とは違うと思われる。

 アメリカ国内は、現在、不動産王と上昇志向が化粧をして歩いているような二人による内向きの大統領選の最中だが、軍事行動に消極的でアメリカの威信と国際的信頼感を失墜させたオバマ政権末期を迎え、オバマに辟易した国防長官と軍が、歴史の教訓に忠実な、きっちりとした行動を始めたと評価する。

 さて、原子力空母ジョン・ステニスの空母打撃群の周りには、「見たこともないほどの中国人民の艦船が来ている」ということだ。 この情報に接して、思い出したのは、日中条約締結前の福田赳夫内閣の時、突如、尖閣周辺海域に百隻を超える中共の武装漁船が群れた情景である。之を見た福田内閣は驚き腰を抜かす。そして、そのタイミングを計っていた鄧小平の「尖閣棚上げ」提案に飛びつく。つまり、この時、我が内閣は、「自国の領土を他国に棚に上げてもらってホッとする」、 という馬鹿よりもひどい痴呆を演じるのである。そして、この武装漁船の「船員」達は、リストラにあった元人民解放軍の兵士であったというわけだ。

  そこで現在、中共では、「軍の近代化」のために大リストラが行われているのだが、アメリカ空母打撃群の周りにいる「見たこともないほどの中国人民の艦船」は、福田赳夫内閣を慌てさせて「尖閣棚上げ」効果を獲得した例に倣って、中共首脳が、ひょっとして「スプラットリー諸島棚上げ」が転がり込むかも知れないと思って、リストラ兵士を繰り出しているかも知れないと思う次第だ。何れにしても、アメリカ空母打撃群の周辺に出てきた「見たこともないほどの中国人民の艦船」は、アメリカ軍の行動が、中共に効いている証拠である。

 なるほど、中共(中国共産党)は、軍備を増強して海洋に進出している。しかし、そのカラダの内部は、ガン細胞が増殖を続けている。その内蔵が腐れば生体は維持できない。従って、脆弱である。いたずらに、中共の軍備増強を怖れる必要はない。対中軍事行動は、明らかに平和を確保する。対中宥和は、中共を増長させ危険な軍事的冒険を誘発させる。よって、我が国は、「平和のための戦略」を確立し、軍備の充実に邁進する時に至っている。

 その「平和のための戦略」の大きな柱は、台湾そしてフィリピンからインドネシアというアセアン諸国との連携である。この中共を取り巻く「海洋の輪」が機能すれば、中共の「海洋強国」は停止する。陸上から飛び立ってイギリスの太平洋艦隊の旗艦である戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスを撃沈した戦訓を思い起こすべきである。この「海洋の輪」が機能すれば、東アジアの海を乗っ取ろうとする中共の野望は必ず破綻する。

 最後に、最も警戒すべきことを記す。それは、中共の「対日工作」を見くびってはならないということである。冒頭に示した産経新聞の社説でも、中身は中共の「異常性」を説きながら、締めくくりは「中共に国際協調を勧めよう」というまことにしおらしい結論で終わるではないか。血に飢えた猛獣が平和の鳩になると本当に思っているのか。

 昨年に延々と続けられた国会における安保法制の議論の中で、「中共による南シナ海の埋め立てと軍事基地化工事の脅威」については民主党からはもちろん、自民公明の与党からも質問は出なかった。南シナ海に関する質問は、「日本のこころ」からだけであった。この国会は、明らかに中共に「配慮」していた。これを「異常」だと思わねばならない。反対から言えば「異常」と思っていないことが「異常」なんだ。すなわち、中共の工作活動が国会すなわち政府与党と野党に及んでいる。 つまり、我が国国会は、中共に協力していたのである。一部は意識して、一部は無意識に。

 かつて、ソビエトのKGBのスパイであるレフチェンコは、「日本の世論をソビエトに有利になるように仕向ける」任務を受けて日本に来て、我が国の政界、官界、財界、マスコミ界等のエージェントと接触し工作活動を展開した。そして、アメリカに亡命して次の通り証言した(一九八二年)。「日本人はソビエトに協力しているという意識なく協力してくれた。日本はスパイ天国である。」ソビエト無き今、我が国において、この「スパイ天国」を満喫しているのは何処の誰か。中共の工作員ではないか。彼らは現在進行形で言うだろう。「日本人は中共に協力しているという意識なく協力している。 日本はスパイ天国である。」まさに、レフチェンコの証言通りのことが、昨年の国会で起こっていたのである。それどころか、昨年起こっていたことは、今も各所で起こり続けている!

 そこで、痛恨、無念の思いを以て言っておく。昨日、田母神俊雄元航空幕僚長の事務所等を東京地検特捜部が家宅捜索した。その容疑は、「勇気ある内部告発者」の告白に基づく政治資金の業務上横領であると発表され、マスコミはその通り官に「言われるままの疑惑」を流している。これによって、全国津々浦々の日本国民に、我が国を取り巻く中共の軍事的脅威を権威を以て伝達できる軍事専門家が沈黙させられるのだ。

 これを喜ぶのは、何処の誰だ。喜ぶのは国内と国外にいる。都知事選挙から二年以上も経過したこの時期に、突然為された検察特捜部による田母神俊雄事務所家宅捜索が、「スパイ天国」における中共の工作活動と無縁の公明正大なもの、すなわち、社会正義の実現、であると、言い切る材料はない。

 つまり、政界における中共の工作に影響された国策捜査ではないと言い切れないということだ

3/8JBプレス 横地光明『習近平がヒトラーに変貌する日への備えは万全か 「ミュンヘンの宥和」が大惨事に発展したことを忘れるな』について

横地氏の論理展開は至極当然と思いますが、一番問題なのは国民レベルで危機の認識が共有されていないことです。左翼・リベラルに偏ったメデイアと学会(含む日教組)、傍観を決め込む経済界と悪条件が重なっています。国民はこのままでは「奴隷の平和」という事態になることを想像できないのでしょう。左翼は共産党支配を受けたいと思っていますので、確信犯でしょうけど。

自民党の責任は大きいです。マスコミのバッシングを恐れるあまり、長期的戦略を持たず、その場を糊塗してきて、左翼・リベラルに譲歩してきたためです。でもネットの発達により少しずつ情勢は変わってきました。朝日新聞のリストラ(OBへの新聞無料配布取りやめ、賃金カット)は、その表れでしょう。朝日新聞社員・配達員の不祥事も相次いで起きています。駅や電車内で女性に暴行、救急車への唾吐き等。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160305/k10010432541000.html

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160305-00000554-san-soci

逮捕されても、傲慢としか言いようがない言いぐさです。こんな新聞がクオリテイペーパー扱いされてきたことが日本の不幸です。日教組が受験対策で勧めてきたのが大きいのでしょうけど。朝日は日本共産党・中国共産党・朝鮮労働党の「喉と舌」です。日本国民のことは全然考えていません。戦前も尾崎秀美(大阪朝日記者)のスパイ事件で日本を誤導してきました。不買でドンドン売り上げを下げる必要があります。また「押し紙」問題もありますので、こういう不正をしながら「社会の木鐸」を標榜するのはチャンチャラおかしいと思います。公取に糾弾した方が良い。

3/8には朝日新聞から電話で「新紙面になったので一定期間無料で配達できます」と言うので「即座に「要りません」と断りました。相当の焦りがあるものと見受けられます。でも何故自宅の電話番号を知ったのでしょう。大事な個人情報ではありませんか。言っていることとやっていることが違いすぎます。どうせなら思想調査をすれば、勧誘の電話はなかったでしょうけど。

自民党は自分でPRするTVチャンネルを持てば良いでしょう。既存のTV放送局には入札制を入れず、安くしか電波利用料を取っていないので、同じようにすれば良い。週1回限られた時間でも良いでしょう。憲法改正の必要性を党として国民にもっと説明しなければ、国民投票で支持は得られないでしょう。既存のメデイアは憲法改正反対なので。横地氏の仰っています「自分の国は自分で守る」ことも丁寧に説明していかなければ、メデイアの「戦争反対」のアピールに負けてしまいます。

記事

Steria Hacking Challenge

仏パリ(Paris)西部のムードン(Meudon)で行われたハッキングのコンテスト「ステリア・ハッキング・チャレンジ(Steria Hacking Challenge)」に参加する学生〔AFPBB News

米紙の衝撃的報道

 JBpressは最近立て続けに尖閣諸島をめぐる日中交戦に関し、「衝撃のシミュレーション『中国は5日で日本に勝利』」(1.27部谷直亮氏)、「オバマ政権最期の今年、中国は尖閣を攻撃する」(2.3古森義久氏)なる驚くべき記事を報じた。

 前者は米ランド研究所のデヴィッド・シラパク氏の尖閣事態シミュレ―ション公開リポートの紹介である。

 「日本の右翼が尖閣に上陸すると中国海警が逮捕し海警と海保が衝突、日中の艦艇・軍用機が展開し中国艦の空自機への発砲から日中交戦が始まり、米潜水艦が中国艦を撃沈すると中国は米国西部をサイバー攻撃、また対艦ミサイルで海自艦艇を撃沈、中距離ミサイルで日本本土を攻撃。米国は日本の空母参戦と中国本土基地攻撃要請を拒否し、中国は5日間で尖閣を占領」とその内容を伝えた。

 後者は28.1.25付ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された米ハドソン研究所のルイス・リビー氏らの論文『北京の次の先制行動は東シナ海だ』(Beijing’s Next Gambit, the East China Sea ;By Arthur Herman and Lewis Libby)に関するもの。

 「中国は日本と密接な関係を持ちながらも突然尖閣に軍事行動を開始し両国の軍事衝突になる。オバマ政権は日米安保発動の日本の強い要請を抑え日本は引き下がり外交的解決を求めるが、国際調停で中国の主張がより支持され尖閣領有権主張が日中対等に扱われることになる」との主張とそれへのコメント記事。

 これに対し、元航空自衛隊空将の織田邦男氏は、ランド研究所のリポートについて「あまりにも稚拙なシミュレーション」と批判(本誌2.4)する。

 「そんな前提はあり得ない。米が潜水艦を参戦さても中国が軍事行動を停止せず、米国がサイバー攻撃で大きな社会混乱を起こされても参戦しないはずがない。近代戦を支配する航空戦に少しの配慮もなく話にならない。これらは米政府にあまり深入りするなとの警告を促すものであり、あるいは中国の思惑を入れての仕業(コミットメント・パラドックス)である」と主張し大方の賛同を得ているようだ。

 確かにその可能性も高い。しかし、中国が米空母2隻の行動でミサイル発射を中止(1996年:台湾総統選挙)したのはまだ対艦ミサイルを十分保有しなかった時代のことで、現在の米中の相対的力関係とは著しく違っている。中国の軍事力を少しでも過小評価するようなことは危険である。

 前者が海自の撤退収容で終わるのは、あたかもベトナム戦争の最期を見るようだし、後者には、アドルフ・ヒトラーによるチェコスロバキアのズデーテン地方割譲要求を認めた「ミュヘン宥和」の歴史的愚挙を想起させられた。

 こうした歴史を振り返れば、中国が日本と通常の関係を保ちながらも突然短期局部的軍事行動を仕かけることは十分考えられる。

 米国はその尖閣攻撃事態発生に対し、大統領を含む政府高官が「尖閣は安保5条の適用範囲で米国は日本を必ず護る」としばしば公約している。しかし、実際にはミュンヘン宥和のような事態が発生する恐れはないだろうか。

 もし、尖閣諸島が中国から攻撃された場合、米国は自らの国際的信頼性が一気に地に落ちることを承知で、日本の要請を抑えて中立を守り、日本本土が中国の中距離ミサイルで大被害を受けても、空母を大西洋に逃がしたり、国際調停で中国の尖閣領有権の主張を認めたりする可能性は否定できない。

 現実問題として、中国が尖閣諸島に対して本格的侵攻を行う危険性はそれほど高くはないかもしれない。しかし、前者のシミュレーションは地位の確立した専門家のものであり、後者の論文はブッシュ政権の国防次官補らによる論文で「最善を期待し最悪に備える」べき安全保障の原則からして軽々しく扱ったり無視していいものではない。

米国は尖閣諸島防衛を公約していても軍事支援を発動しないことがある。国家防衛に強い意志と能力を欠くものは見捨てられるという国際政治の非情さを忘れてはならない。

 政府も国民も等しく短期的局部的な中国の軍事行動はいつでもあり得ることを覚悟し「自分の国は自分で守らなければならない」現実に目覚め、その指摘する日本の安全保障上の根本的欠陥是正の警鐘を真剣に受け止め、すみやかにこれらを改善しなければならない。

尖閣防衛には何が必要か、彼らの警告

 政府は尖閣事態に対する米国の公約履行の確証を高めるべく施策するとともに、防衛省・自衛隊は尖閣事態に対しこれを抑止・対処するため、南西方面を防衛努力の焦点としてその対応を急いでいる。

 例えば陸上自衛隊では、島嶼奪還部隊のための水陸両用部隊の整備、与那国島への沿岸監視隊、石垣島への対艦・対空ミサイル部隊と警備部隊の配置、奄美大島への対艦・対空部隊配置、「オスプレイ」の導入、作戦部隊の軽快な輸送展開のための師団・旅団の軽量化を進めている。

 海上自衛隊はイージス艦2隻の迎撃ミサイル「SM-3」の装備化と2隻の新造、潜水艦6隻の増加を図る計画である。また航空自衛隊は既に九州から1個飛行群を那覇に移し第82航空隊の部隊と合わせ第9航空団を新設し「F-15」を倍増し40機体制とした。

 海上保安庁も保安官・巡視船を増加し石垣島に尖閣海域監視専任部隊を設けた。

 しかし彼らが指摘しているのは、そのような戦術レベル次元を超えて戦略レベルあるいは国家安全保障レベルの欠陥なのである。

 すなわちこの論文とシミュレーションが指摘する最大の問題は、再言するが中国は予期しない時に突然軍事攻撃を仕かけることがあり、その場合米国は予ての国家公約(オバマ大統領や国防長官や軍高官の発言)にもかかわらず尖閣事態に軍事支援を避けることがありうるという深刻な問題だ。

 第2次世界大戦を誘発してしまった「ミュンヘン宥和」が尖閣諸島を舞台に再現されないと誰が断言できるだろうか。中国の習近平国家主席がヒトラーのような野望を抱いていないと確信できるのだろうか。

 日本がもっぱら米軍に期待している抑止力を欠き、我が国本土までが一方的に中国のミサイル攻撃に晒され、またそのサイバー攻撃によって社会インフラ、政官軍経のシステムが機能を失う危険性は常に念頭に置いておかなければならない。

 またこれらのリポートは、作戦部隊の作戦輸送展開と戦力発揮のためこれを支援さるための兵站的支援確保に信頼性が乏しく、加えて航空基地などに掩体(えんたい=敵の砲弾から身を守る土嚢などの装備)が全くなく甚だ脆弱であることも指摘している。

 中国が容易に兵を動かすのは、国境における短期的攻撃がインド(1959、62)、ソ連(69)とベトナム(79)の例でも知られる。インドとソ連の両国は敢然と戦いこれを阻止したが、ベトナムは海上戦力が弱く西沙諸島では固有領土の島嶼を軍事占領された。

 中国は核大国のソ連とさえダマンスキー島で戦い半分を領有化(1969)した。決して油断できる相手ではない。

 日本が尖閣諸島を絶対に守り抜く強い意志と現実的態勢を示し中国に乗ずる隙を与えず、またいかに日米安全保障条約の信憑性を確立するかが問題である。しかし今日までの施策ではその保証は薄弱で抜本的見直しが必要である。そして諸々の形骸的防衛政策を刷新することも不可避である。

日米安保条約信憑性の確立

 中国が尖閣に武力攻撃をすれば、米国は日本の救援に必ず必要な武力を行使する姿勢が確信されれば、核大国同志の米中の戦いは最終的には核戦にも繋がる恐れがあり、ともに国家の存非のリスクを懸ける決意しなければならないので、両者の武力対決は強く抑止されよう。

 したがって平素からいかに米国が日本に対する中国の武力使用に対して、不退転の決意で日本防衛に参戦する不動の意図をコミットするばかりでなく、日米の現実の関係と軍の態勢と活動を示すことによって中国に誤解を生じさせないかが肝要になる。

 しかし、この論文などが示すように日米は、いまだ真の運命共同体ではない。一般米国民の世論のみならず政権当事者も、無人の岩礁の日中の争いになぜ米国の青年の血を流さなければならないかと考えるのは当然だ。

 そして、仮に中国がアジア・西太平洋を支配しても、ハワイ以東を支配できれば米国の安全は保障され経済繁栄に支障はないとの意見もある。米国の国力の相対的衰退と現在進行中の大統領予備選挙からも米国政治の内向き傾向がさらに強まることが容易に観察できる。

 日米同盟信憑性の確立は容易でない。しかしやらなければならない。

 第1は尖閣諸島の持つ日本・ASEAN(東南アジア諸国連合)・米国にとっての至高な戦略的価値と安全保障上の象徴性を米国政府と国民に一層認識させる努力だ。

 第2には日本自身が米国にとって失い得ない国際戦略上の大きな価値を持つことだ。強い経済力・外交力に加え強い防衛力を構築し、アジア・太平洋の安全保障にしぶしぶ関与するのではなく、覚悟を持って積極的に先導し、米国を巻き込みASEAN・豪・ニュージー-ランド・印と共に中国の国際法侵害対処に行動しなければならない。

 これはちょうどヒトラーの修正主義の領土拡大の野望を前にし、英国が米国を巻き込み現状維持派の諸国に訴え国際情勢を指導したのに似ている。

抑止目的達成のための政策の刷新

 我が国の防衛政策の第1はもちろん抑止である。しかしながらその実態は抑止のための能力を整備しないばかりか愚かにもそれを機能しないような政策ばかりを進めている。

 具体的に示そう。古くは鳩山一郎総理の時代から「我が国に対して誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない。――(したがってその)誘導弾等の基地を叩くことは法理的に自衛の範囲に含まれる」(衆院内閣委S31.2.29)との一貫した立場を取りながら、「我が国防衛力は周辺諸国に脅威を与えてならない」とし「専守防衛」を政策の基本にしている。

 この「専守防衛」なる軍事用語は世界にないが、「侵攻を受けたら立ち上がり、防衛力の行使を発動し日本を防衛するとするものである」とされる。このため戦闘機の行動半径を抑えるため態々その空中給油装置を外したたり、対地攻撃能力の保有を禁止し、ミサイルの射程を厳しく制限してきた。

 このため、日本への侵略を考える周辺国は日本の持つ防衛力に脅威を感ずれば感ずるだけその企図が封ぜられ即ち抑止されるのに、その脅威をなくし、加えて不意急襲的第一撃で自衛隊の各基地の航空機、護衛艦が一挙に壊滅させられる公算を大きくし、かえって相手を侵攻の誘惑に駆り立てる危険性を高めている。

 したがって、抑止を政策の基本とするならば、敵に乗ぜられない隙のない強靭な防衛力を備え周辺に無言に厳然たる脅威を与え、特に強力なサイバー能力を整備するとともに、我が国を攻撃する基地を破壊できるよう航空機の對地攻撃能力を整備し、かつ中国や北朝鮮の中距離弾道弾攻撃基地を叩き得る誘導弾を整備しなければならない。

 こうした論議に対して、日本が中距離誘導弾(弾道あるいは巡航)を持っても、奥地からさらに長い射程のミサイルで国家中枢を狙われ、その攻撃の意図を封ずることはできない。したがって中国の中距離ミサイルに対抗せんとするのは誤りであるとする説がある。

 しかしその考え方は、戦争はいつどんな場合でも無限界に全面戦争に拡大するとして、戦争にあるラダ―(ladder:堺域)の存在を無視するものである。

 また中国はミサイルの射程を増大すればするだけ、ますます日・米・豪・インドなどが結束してその対抗施策を講ずることを危惧し、中国が最近、ミサイル開発を抑えようとしているとする主張がある。

 しかしそれは自説の合理性を裏づけようとする一方的理屈ではないのか?

 それが事実であれば、中国のアジア西太平洋から米国勢力を駆逐せんとする意図を放棄した明確な証左や、南シナ海における領有権争いのある岩礁を埋め立てて造成した軍事基地を放棄するなどの確たる事実でこれが証明されなければならない。

 しかもリスクが高い侵害ほど発生の蓋然性は少なく、その大きい蓋然性のあるリスクに備えることに合理性が有り、日本が中距離ミサイルを保有する大きなメリットを忘れてはならない。

 この中距離ミサイルを、我が国で独自に開発国産化するには、相当の期間と経費を投入しなければならない。しかるに幸にも、米海軍にはトマホーク巡航ミサイル(射程1250、1650、2500、3000キロの各種、価格1億円前後)があり、海自艦はその発射装置VLS(MK41)を既に装備しておりミサイルの購入と計画飛行制御装置の導入だけで済む。

 仮に対中国用に1000発、北朝鮮用に200発の計1200発を整備したとしても費用は1200億円程度であり、これはいずも級大型護衛艦の建造費に相当するが、何年間かに分けて整備すれば何隻かの耐用艦齢の延長によって、費用の捻出が可能でありその防衛効果は絶大である。

サイバーセキリティ能力の抜本的強化

 サイバー戦争は第5の戦いの空間として、平戦両時に、しかも瞬時に、国家・軍事機能が全面的に麻痺混乱喪失させ得る特殊な脅威を有する。サイバー攻撃は兵器開発の詳細な図面も容易に知らない間に盗み取られ、その危険性は往時の暗号文傍受解読の比ではない。

 ロシアは世界最強のサイバー戦能力を有すると言われるが、中国が絶えず米国日本に陰に陽にサイバー攻撃を仕掛けていることは公然たる事実だ。そのため中国が強力な該軍事組織(61398部隊等)を持ち、加えて民間に膨大(800万人とも)な専門家集団を養成していることはよく知られているところである。

 中国が開発中といわれる第5世代ステルス戦闘機「J-20」が米国などが開発し、空自が導入を図っている「F-35」と外形がそっくりであるが、これもサイバー戦の重大な一面として認識しなければならないであろう。

 このため、米軍は大将を長とする数千人規模の統合軍を設け、韓国もサイバーコマンドを保有(公表6800人)し国防費の3%を振り当てていると言われる。

 翻って、我が防衛省・自衛隊のそれを見ると地位と名は立派な統合部隊だが前者に比べれば真に貧弱な憐れな憂うべき存在でしかない。

 防衛省は速やかに民間のホワイトハッカーを急募し、少なくとも現情報本部位の態勢を整備しサイバー戦の攻防兼備の能力のある部隊に画期的に強化し、政府も特命大臣を置きサイバーセキリティに国を挙げて取り組まなくてはならない。

自衛隊を戦い得る体制への緊急措置

 自衛隊は形は何とか揃っているが、よく観察すれば実戦能力に乏しく瞬発力を発揮できても、人的物的に縦深性を欠いていることを認めざるを得ない。

 陸上自衛隊の部隊は米国が32万10個師団の整備を求めたのに18万で13個師団を編成したから、師団と称しても人員も装備も少なく、国内戦を理由に兵站機能を極端に絞り、戦闘員も多くの任を兼務するから少しの損害発生で全部隊の機能が大きく失われる宿命的脆弱性を持っている。

 しかも財務省は、定員に対してさらに充足率を課しているから初めから本来の能力を発揮できない。もとより自衛隊の装備・弾薬・燃料・部品の備蓄は甚だ乏しいうえ、これを必要方面に移動する十分な手段が準備されていない。

 陸上自衛隊は南西方面の事態に対応するため、1個機甲師団、3個機動師団、4個機動旅団を整備しようとしているが、これらの南西諸島への部隊・装備の緊急輸送も陸自および空自の航空輸送力は大きな限界があり、海上自衛隊も輸送艦は僅か3隻しか持たず、民間ヘリーなどの庸船を前提としている。

 だが、果たして業務に就いている船の緊急確保が可能なのか、何より危険な業務につく多くの船員の協力が得られるかの保証は全くなく、それには国家的な法的準備がなければ不可能である。

 参考に記しておくが、1個作戦師団の必要輸送所要は40万トンとされるのが常識である。陸自の師団は規模が小さく軽いからその4分の1、旅団は規模が師団の2分の1であるから8分の1、機甲師団を2分の1として計算しても所要合計は実に70万トンにも上る。

 この所要を容易に確保可能できるだろうか。最近北朝鮮のミサイル発射実験に備え、イージス艦(SM-3Aは射高300キロ・射程数100キロ位)とPAC-3部隊(射程20キロ程度)が展開したが、日本のBMD (弾道ミサイル防衛)は層が薄く、防護空域が限定され過ぎる。PAC―3は本来陸軍の野戦の拠点防空用のものだ。

 したがって速やかにSM-3B(射程、射高は1000キロが期待される)を開発装備化するとともに空自各高射隊はそれぞれPAC-3の半分をTHAAD(射高約150キロほど)に換装することが必要だ。

 陸・海自使用の対艦ミサイルの射程は短か過ぎるし、中国海警にはフリゲート艦の転用船があり更に軍艦仕様の超大型巡視船を建造中と報ぜられるが、そんな船に体当たりされては商船仕様の海保の巡視船はひとたまりもない。

 戦時所要の大きく拡大が予想される予備役自衛官は、我が国の社会制度と特殊な社会環境から質量ともに致命的な欠陥を持っている。

 新しい防衛計画では統合機動防衛力整備の名の下に、北海道以外の師団・旅団から戦闘力の骨幹である戦車と火砲を外すそうであるが、これでは作戦部隊でなく、警備師団(旧陸軍の後方警備にに任じた独立混成旅団)に過ぎなくなる。

 「国防力の相対的優劣は国際関係に影響を及ぼす」(「国際政治」モーゲンソー)と言われるが、最近力信奉のロシアが対日姿勢を強硬にしているのは、これが反映しているのかもしれない。

まとめ

 ある高名な国際政治学者は、国際情勢が不安定になったのは、「米国が弱くなり中露が強くなったのでもなく、中露が地域覇権を模索しながらもバラク・オバマ政権が軍事介入に消極的になったからだ。しかし次の政権が戦う姿勢になれば世界の不安定さは加速するだろう」と言っている。

 立派な国際政治学者の御託宣であればそういう公算が高いのであろう。しかし核大国の米ソが対立した冷戦時代は安定し、その終焉とともに世界は一挙に不安定不確実の情勢に陥り、世界の誰もが不安に悩ませられたのも否定し難いものがある。

 したがって、米国の次期政権がその第一流の国力と軍事力を背景に、国際秩序を侵すことは軍事力使用してもこれを許さないとの厳然たる政策を採用すれば、かえって世界情勢は安定するのではなかろうか。

 思うに、日本が世界最大の長期負債を抱え、少子化で人口問題が危機的状態に陥り、自国の防衛が形骸化の姿にあるのは「環境に適応できない種は生き残れない」(ダーウィン)のに世界の情勢変化に目をつぶる国民におもねり、政権がその維持にまた政治家が票を求めることを優先し、国家の長期的基本問題を放棄してきたからである。

 万一の場合に備え、国防の象徴尖閣防衛を事態的に確実にするためには早急に警察官僚が警察原理で作った国防政策と自衛隊を軍事原理で刷新することが現下日本の国家的緊急課題である。

3/5ZAKZAK『中国、400兆円巨額損失も 米「空売り王」予言 600万人リストラ地獄…』、3/6日経『中国5カ年計画、成長持続へ投資 交通網に年34兆円超』・『中国経済 続く難局 5カ年計画「年6.5%以上の成長」』について

経済的に中国の打つ手は何もない、と言うか、あるにはありますが、総て現状を悪くする、傷を深くするだけです。G20でお墨付きを貰った財政出動も、ゾンビ企業を生き延びさせ、過剰債務を増やすだけです。金融政策としての緩和政策はキャピタル・フライトを招くのでこれは採れないでしょう。外貨準備高がドンドン減っていき、中国と雖も数字の誤魔化しが効かなくなります。

黒田日銀総裁がアホなことに中国に助け舟を出した資本規制は、元のSDR入りで普通に考えたらやれないと思うのですが、何せ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族ですから、ラガルドの面子を潰すことなど何とも思わないでしょう。それでも、中国からの資金が出るのを防ぐだけで、プラス面はありません。逆に新たな資金の流入を防ぐでしょう。誰も引き出せない銀行に預金しようとは思わないでしょうから。経済成長は資本の投入量増大+労働力の投入量増大+生産性上昇で表せます。この面から見れば資本規制は明らかに経済を停滞させます。

減税は経済成長しない限り、やはり債務を増やします。構造改革は言うは易く、行うは難しです。何せ、中国で蔓延ってきた利権を引き剥がすことになりますので。習近平の暗殺かクーデターを引き起こすことになります。それは剛腕・習と雖もやれないでしょう。結局、口先だけ、数字を誤魔化してデフォルトの連鎖、ハードクラッシュするだけでは。

構造改革で、李国強は空港建設や高速道路、高速鉄道建設を考えているようですが、需要もないのに債務を増やすだけです。B/Cの概念は社会主義経済には無いようです。産業の高度化は中国人には無理でしょう。自由な発想を妨げる共産党支配が続く限りは。また真面目に研究開発することより、パクリや盗みで安易に稼ごうとする中国人のDNAがある限り無理でしょう。

過剰設備を廃棄した場合のGDPへの影響ですが、総務省統計局のHPには「生産物の価値である国内生産額から中間投入の合計を差し引いたものは粗付加価値と呼ばれ,その合計が国内総生産(GDP)である(ただし,SNAでは家計外消費は中間投入とする)。粗付加価値は,雇用者所得(SNAでは雇用者報酬),営業余剰(SNAでは営業余剰・混合所得),資本減耗引当(SNAでは固定資本減耗),間接税,補助金からなる。雇用者報酬は,被用者への報酬であるが,賞与などを含む現金給与の他にも,社会保険への雇主負担,退職金,食事・通勤定期券などの現物給与などが含まれる。固定資本減耗は,減価償却費に資本偶発損を加えたものである。減価償却費は固定資産の更新に備えて積み立てられる資金を指し,企業会計上の概念と同じである。資本偶発損とは,事故や災害などによって通常予想される損害に対応するものである。」とありました。これだけでは固定資産廃棄損をGDPでどう算入するのか分かりません。未償却残高全部を減価償却費として計上するのか(これだとGDPは増えることになります)、廃棄するので資産(ストック)が無価値になるので何もしない(会計上、減価償却費は発生せず廃棄損を計上。GDP上は中立、±0とするのか)なのか、良く分かりません。

どちらにせよ中国のGDP数字はインチキ数字です。昨年はマイナス3%くらいが妥当な数字でしょう。GDPに限らず中国の発表する数字はデタラメです。企業の発表する財務諸表も。合理的精神が欠落している中国人のメンタリテイのせいです。このメンタリテイがある限り、法治の概念が根付くのは難しい。たとえ共産党統治が無くなったとしても。

ZAKZAK記事

中国経済の先行きに警戒感が強まるなか、5日に全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕した。習近平指導部で初めて独自に経済政策「第13次5カ年計画」を策定するが、財政、金融ともに景気対策で打てる手は限られ、企業の過剰債務や銀行の不良債権に欧米の投資家や格付け会社は強い懸念を示す。さらに最大600万人のリストラなど、習指導部が抱える課題は山積している。  16日までとみられる会期中には、今年の国内総生産(GDP)成長率目標が打ち出される。2015年の成長率は6・9%と政府目標の7%は未達で、今年は「6・5~7・0%」など幅を持たせた目標が全人代で確認される可能性もある。  ただ、中国のGDP統計をまともに信じる向きは少なく、市場関係者の関心は景気失速や株・為替市場の混乱を止められるのか、習指導部の次の一手に集まっている。  まず注目なのが積極的な財政支出だ。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、楼継偉財政相は「債務増大による財政出動の余地がある」と強調している。  しかし、第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏は、「過去の財政依存が過剰設備や過剰債務問題を招いたこともあり、財政出動にはあまり期待できない。減税や企業のコストを減らす施策が中心となるだろう」とみる。

 財政支出と並ぶ景気対策である金融緩和については、中国人民銀行は1日付で預金準備率の引き下げを行ったが、西濱氏は「過度な緩和は人民元安を招くのでやりにくい。通貨安や資本流出を防ぐために資本規制を導入すべきだという声もあるが、人民元の国際通貨化を強調してきた政権のメンツがまるつぶれになってしまう」と指摘する。財政、金融政策ともに手段が限られ、その効果も不透明のようだ。

 地方政府や企業が抱える過剰債務問題への懸念も大きい。米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。格付けは「Aa3」(ダブルAマイナスに相当)に据え置いたが、引き下げも視野に入れる。政府債務の増大や、資本流出による外貨準備高の減少、構造改革の不透明さなどを理由に挙げた。

 金融機関の過剰融資に伴う不良債権を警戒するのは英格付け大手のフィッチ・レーティングス。借り入れ比率がすでに高い状況で、中国の銀行が再び急速な融資拡大を持続することを危惧する。

 全人代では構造改革も強調するとみられるが、欧米の市場関係者からは疑いの目で見られているようだ。

 ブルームバーグによると、米サブプライム危機を事前に予測し、大もうけしたことで知られ、「空売り王」と呼ばれるヘッジファンドマネジャー、カイル・バス氏は、中国の銀行システムが不良債権で資産10%を失えば、中国の銀行の損失額が約3兆5000億ドル(約400兆円)になると予測した。リーマン・ショック時に米国の銀行が抱えた損失の4倍余りになるという。

日経記事

【北京=小高航】中国の第12期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第4回会議が5日、北京で開幕し、李克強首相は2016年の実質経済成長率の目標を15年の7%前後から6.5~7%に引き下げると表明した。16~20年の第13次5カ年計画も同日発表し、年平均6.5%以上とする成長目標を示した。構造改革を進める一方で交通網整備に年2兆元(約34兆円)超を投じるなど、インフラ投資で景気を下支えする。

Target of Chinese  economic groth

李首相は所信表明演説に当たる政府活動報告で「長年蓄積した矛盾とリスクが顕在化し、経済の下押し圧力が増している」と述べた。鉄鋼や石炭などの産業で利益を出せない「ゾンビ企業」を淘汰し、構造改革を徹底すると強調した。

 一方、世界で中国の経済減速への警戒が強まるなか、財政支出や民間資本を活用したインフラ投資により経済の失速を防ぐ方針も鮮明にした。16年に鉄道投資に8千億元以上、道路の建設に1兆6500億元をさく。現在全国に200強ある空港についても、20年までに50カ所新設する。

 高速鉄道では北京と香港を結ぶ路線を新設するなど、総延長を20年までに現在の1.5倍の3万キロメートルに延ばす。中国メディアによると新5カ年計画期間中の鉄道投資総額は最大3兆8千億元(年平均7600億元)を見込む。10年に8400億元だったピークには及ばないが、高水準の投資を続ける。

 中国では鉄鋼やセメントの余剰設備解消が大きな課題となっている。中国政府は不振企業の淘汰・再編を徹底するとしているが、失業増や賃金減で個人消費への悪影響も懸念される。高速鉄道などインフラ投資を通じて鉄やセメントの需要を生み出すと同時に、雇用を維持する狙いもある。

 ただ、事業採算性を度外視したインフラ投資を繰り返せば、関連企業の財務悪化や新たな余剰設備を生む恐れがある。

 一方、李首相は技術革新(イノベーション)を通じた産業の高度化を「国家の発展の中核に据える」と述べ、成長戦略に重点を置く姿勢を示した。人件費上昇で中国の製造業の国際競争力は低下しており、産業の高度化を進めなければ目標とする経済成長率は達成できないとの焦りもにじむ。

【北京=大越匡洋】中国の習近平指導部は5日開幕した全国人民代表大会(国会に相当)で、2020年まで年平均6.5%以上の「中高速成長」を保つ目標を正式に表明した。世界が中国リスクを強く意識するなか、設備過剰の解消など「供給サイドの改革」を通じて経済の効率を高める道筋を描く。経済の停滞回避に向けた難局は長期化が避けられず、雇用の悪化なども懸念される。

「『新経済』の発展を加速する」。李克強首相は5日の政府活動報告で、技術開発や新産業の創出を後押しし、新たな成長のけん引役とする構想を訴えた。だが現状は「新経済」の育成どころか、景気の足を引っ張る「古い経済」の後始末のメドがついていない。

ゾンビ企業淘汰

 製造業の設備過剰や利益を出せない「ゾンビ企業」が「古い経済」の代表格だ。08年のリーマン・ショック後の4兆元の景気対策で、多くの産業が3~4割の余剰設備を抱えた。効率の悪い企業が温存され、消費者がほしい商品やサービスを提供できない。それが経済成長を鈍らせている。

Chinese plan for 5 yesars習指導部が唱えたのが、減税などで企業負担を軽くする一方で「古い経済」にメスを入れる「供給サイドの改革」だ。李首相は鉄鋼や石炭の設備過剰の解消や「ゾンビ企業」の淘汰を明言した。長く意識された構造問題の解決に重い腰を上げた格好だ。

 だが道は険しい。

 河南省の国有炭鉱で働く40歳代の男性は最近、月に1、2日しか出勤していない。石炭価格の下落で会社の業績が悪化。国有企業ではすぐに解雇されないが、今後、こうした「隠れ失業」があぶり出される。中国政府でさえ、石炭・鉄鋼業だけで180万人の余剰人員が生じるとみている。

改革意識乏しく

 地方政府が景気を下押しする構造調整にどれだけ本気で取り組むかという課題もある。沿岸部の広東省と内陸の重慶市は全人代の直前、相次いで「供給サイド改革案」を公表した。広東は最低賃金の上昇を抑えて企業負担を減らし、重慶は200社の「ゾンビ企業」を整理すると表明した。

 もっとも、広東、重慶のトップは胡春華、孫政才の両氏。次期最高指導部入りをめざす両氏が習氏への「忠誠」をいち早く表明した色合いが濃く、地方に広く改革意識が浸透したとは言い難い。

 習指導部が今回公表した20年までの第13次5カ年計画は、産業の高度化などで年平均6.5%以上の成長を保つ未来を描く。ただこの想定も、20年に国内総生産(GDP)を10年比で倍増する目標の実現に必要な成長率を逆算した結果で、「実現は簡単ではない」(清華大学の白重恩教授)。

 李首相は今年、財政・金融政策で景気の下支えを強め、6.5~7%の成長をめざすとした。一方で、貿易額の伸びの数値目標は示せなかった。国内外の不確実性が増し、習政権の経済運営に重くのしかかっている。

 中国の5カ年計画と政府活動報告 中国共産党が5年間にわたる経済・社会の運営方針や目標を盛るのが5カ年計画。今回の第13次(2016~20年)計画は習近平指導部が初めて立案した。この中期計画を踏まえ、毎年の施政方針を深掘りして示すのが政府活動報告。首相が経済成長率の目標や財政、金融政策などの具体策を表明する。

専門家の見方

成長目標に幅、妥協の産物 丸川知雄・東京大教授

 2016年の成長率目標を6.5~7%と幅を持たせたのは、改革推進と景気対策の間の妥協の産物といえる。

 6.5%という数字は景気を冷やしてでも過剰生産能力や過剰債務の解消を推し進めるという意味合いがある。もともとこの数字が既定路線だったが、人民元相場や株価の急落で景気刺激を求める声が強まり、7%まで幅を持たせて景気を悪化させないというメッセージも込めたのだろう。

 中国はすでに高速鉄道や道路の整備がある程度進んでいて、今後インフラなど公共投資を増やしても、景気刺激効果が上がるか、疑問が残る。

減税効果、目標達成のカギ 伊藤信悟・みずほ総合研究所アジア調査部中国室長

 新5カ年計画などからは、中国が金融不安や雇用不安を生じない範囲で構造改革を進めていく姿勢がうかがえる。経済成長率の目標は予想通りだ。成長率の目標はいわば公約で、中国がどういう手段で目標を達成するかを注視すべきだ。