藤岡信勝氏のFacebookより引用。日教組打倒のために非常に良いことです。広島の中学生の自殺も日教組が強いく教育そっちのけで政治活動をしているせいで起きた事件ではと思っています。
「検定中の教科書を教員など採択関係者に見せ、金品を渡していた事案につき、新しい歴史教科書をつくる会は、3月7日、教科書発行10社を東京地検特捜部に刑事告発した。この日、文部科学大臣に告発の報告と申し入れを行い、文科省記者クラブにおいて記者会見を行った。以下、つくる会のFAX通信から転載する。
【新しい歴史教科書をつくる会は、3月7日、一連の検定中教科書「贈収賄」事案について、東京地検特捜部に該当する教科書会社10社の社長を「贈賄」の罪で刑事告発しました。続けて、文部科学省において文科大臣宛に刑事告発の報告と併せて下記の申し入れを行い、その後記者会見を行いました。
申し入れ及び記者会見には、髙池勝彦会長、石原隆夫副会長、岡野俊昭副会長、藤岡信勝副会長、荒木田修理事が出席し、各々よりこの問題の重大性を説明しました。
平成28年3月7日
文部科学大臣 馳 浩 様
(一社)新しい歴史教科書をつくる会会長 高池 勝彦
検定中教科書「贈収賄」事案についての要望
この度、教科書発行各社が検定中教科書を教員らに見せ、金品などを謝礼に渡していた事実が明らかになりました。文部科学省は各社からの報告を公表し、さらに実際の教科書選定・採択への影響の有無を、全国都道府県教育委員会に3月中旬までに報告するよう指示されました。このことに私どもは謝意と敬意を表します。
今回の事案は、教科書業界と公務員である教育委員会・教師との間で起きた、下記の法律に抵触した重大な「犯罪行為」です。
・「刑法第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)及び198条(贈賄)」の違反
・「地方公務員法第29条(懲戒)」の違反
・「独占禁止法」の違反 (各法律については資料LinkIcon参照)
当会はまず上記の「刑法第198条」への違反について、本日3月7日、該当各教科書会社を東京地方検察庁に刑事告発したことをご報告いたします。
さらに本事案は独占禁止法に基づく規制(「教科書業における特定の不公正な取引方法」)にも逸脱しており、まさに教科書無償措置法の根幹を揺るがす未曾有の大不祥事です。本来、子供や生徒に対し、不正行為を否定する教育をすべき立場の教員や教科書業界の倫理感が疑われます。「子供たちに顔向けできるのか?羞恥心があるのか?」を問いたい思いです。
よって私どもは文部科学省に対し、教育行政の信用回復と再発防止のために、下記の6点について速やかな検討・実施を切に望みます。
(1)文部科学省は、今回指示した各都道府県教育委員会からの報告の結果を精査し、影響があったとされた教育委員会は「教育委員会名とその報告内容」を公表すること。また該当する教育委員会の採択地区については、採択の無効化とやり直しを検討すること。
(2)謝礼を受け取った当事者は全員氏名を公表し、処分を科すこと。
(3)教育現場で教育に関する不正行為を発見した者は、身分保障も含め安心して、文部科学省へ直接通報できるシステム(内部通報制度)を構築すること。
(4)1月20日の教科書発行各社からの報告にあたり、義家弘介文科副大臣は、「報告漏れが発覚した場合は指定の取り消しも含めて必要な措置を講じることも辞さない。徹底的な調査を行っていただきたい」との発言をされているが、各社より報告されたものは「氷山の一角」にすぎない可能性が極めて高い。これまでの膿を一切出し切るために、文部科学省主導で調査を続行すること。さらに、全国各教育委員会に対して、報告漏れの事案の有無について、既に退職している教育関係者への聞き取りなども含め徹底した調査を指示すること。
(5)その調査報告いかんでは、義家副大臣の発言通り、該当する発行会社を教科書発行停止などの厳罰に処すること。
(6)現行の制度では、無償措置法の趣旨により適った教科書採択が行われることを目的とした、現場教員などによる「調査研究制度」や「共同採択区制度」がある。しかしそれらの実態は、日教組等の教職員経験者による恣意的な運用などにより、本来の趣旨にそぐわないものとなっている。それが結果的に今回のような不祥事を生んでいる。
文部科学省はこれらの制度の問題点について早急に検討・見直しを行い、今後、国民にとってより透明性の高い公正な教科書採択が行われるよう改善をはかっていただきたい。
最後に、本事案発覚の経緯は、昨秋からの報道の追及と文科省からの指導によって隠しきれないと判断した各教科書会社が、言わば自首した形で行われたものです。2月24日には、該当教科書会社10社が文科大臣に謝罪をおこないました。
しかし、本件は大臣の厳重注意をもって一件落着として幕を引くような軽微な事案ではありません。当会は、文部科学省の本件の対応について、今後も引き続き注目して参る所存です。大臣に於かれましては、一層の指導力を発揮していただきたいと思います。(以上)】」
さて、本記事ですが台湾を含めたATO(Asian Treaty Organization)を早期に作って対応しなければ。米国の対応が遅いのはオバマのせいだけではなく、金に転んでいる要人が一杯いるためです。日本も米国とニュークリアシエアリングの交渉をして行かないと。その際、日米安保条約が破棄される場合、一部の核を日本に譲渡する内容で締結してはどうか。やがては破棄されなくても譲渡されるようになれば良い。オフショア・バランシングとか言うのなら日本にも核を持たせないと。
中国の全人代の李首相の発表で、後半ずっと汗をかいていたことがTVで話題になっていました。それはそうでしょう。自分の思い、考えと違うことを無理やり言わされたのですから。従来ですと、政治・外交は主席、経済は首相と分けていたのに、習が無理やり「財経小組」を作ってリーダーとなり、李克強から実権を奪いました。でも全人代で李に発表させたという事は、経済が立いかなくなったら(というかここまで債務が膨れ上がれば、誰がやっても回復できないでしょう)、李の首を斬ると言うのを中国全土にアピールしたのです。それで、李は汗をかいたというのが真相では。習の腹黒さが窺えます。こうでなければ中国のトップにはなれないのでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族なので。
やはり、中国の経済を崩壊させるのが軍事膨張の野心を止めるのに一番良いと思います。財務省の通貨スワップの議論や外務省のODAは止めるべきです。こいつらは学力が高いだけで、世の中が見えてない連中です。支援をすればどういう結末を迎えるか分かりそうなもの。まあ、老後の天下り先の心配ばかりしている官僚たちですから、矜持を持って仕事せよと言っても難しいのかも知れませんが。保身ばかりが目立ちます。自己中心な日本人の典型です。
記事
フィリピン・マニラの中国領事館前で抗議活動を行うベトナム人とフィリピン人たち(2016年2月25日撮影、資料写真)〔AFPBB News〕
南シナ海における中国の傍若無人の行動を見るにつけ、アジア重視にピボットしてリバランスしたはずの米国に疑問が湧いてくる。
カリブ海と南シナ海では米国にとっての意味が異なることは分かる。しかし、ソ連がキューバにミサイルを持ち込んだ時の対応に比して、中国の南シナ海における行動に対しては余りにも対応が鈍い。
軍首脳たちは対応が遅れれば遅れるほど、大きな犠牲が伴うことを進言しているようであるが、2回ほど「航行の自由」作戦を行っただけである。「世界の警察官ではない」と宣言した大統領には別の思惑があるのかもしれない。そうした米国の対応を見越して、中国は急ピッチで南シナ海の軍事拠点化を進めている。
内向きのバラク・オバマ政権で、果たして日本の安全は保障されるのか。日本はどういう立ち位置で行動すればいいか、今一度真剣な考察が必要であろう。
台湾の政権交代を追い風に
台湾では先の総統選挙で親日的な蔡英文氏が大差で勝利し、5月に8年ぶりの政権交代が行われる。同時に行われた立法院選挙でも民進党が過半数を超す議席を確保し、与党による安定した議会運営が期待される。台湾の現状維持は日本のシーレーン維持のためにも不可欠である。
しかし、中国が主張するように南シナ海が中国領となり、内海化して対空ミサイルや戦闘機・戦闘爆撃機を配備し、さらに防空識別圏を設定すると、海上自衛隊や米第7艦隊は通りにくくなる。それはとりもなおさず台湾の孤立化であり、その先にあるのは台湾の香港化であろう。
その結果、台湾海峡とバシー海峡の自由航行が阻害されることになれば、南シナ海を通る日本のシーレーンは遮断され、ASEAN(東南アジア諸国連合)との通商は大きな打撃を受けることになる。
もちろん、中東からの原油輸送も南シナ海の航行ができなくなれば迂回が必要で、長大な航路となり、経済的損失は計り知れない。また、台湾を拠点に東シナ海における中国の活動は一段と加速され、尖閣諸島が大きな影響を受けることは必定である。
このように考えると、日本と価値観を同じくする台湾が健在することは、何よりも日本の安全保障にとって不可欠の要件である。
いまは台湾が頑張ってくれているから海峡通過が可能であるが、中国の影響下に入ったならば、万事休すである。中国は尖閣を自国領にして、台湾に影響を及ぼしたいと思っている。そうした意味で、尖閣諸島の重要性も浮かび上がってくる。
台湾の命運は日本の安全保障にもかかわる。リチャード・ニクソン政権(当時)の動きに慌てて、台湾をあっさり切り捨てた日本であるが、中国が国際社会の声を無視する形で南シナ海の内海化を図っていることに対応して、日本は対台湾関係で新たな施策を取るべき時ではなかろうか。
先の国会での安保法案が理解されにくかったのは、緊迫している国際情勢についての議論を野党が避けて憲法論議に持ち込んだからである。
南シナ海の現実に照らして、一段と法案の重要性が認識されなければならない現在である。破棄法案を提出する野党の無責任はいくら批判してもし過ぎることはないであろう。
日本の立ち位置
中西輝政・京都大学名誉教授は「愚かにも、ここ20~30年、日本では政府も国民も鄧小平以後の中国は平和志向に変わった、と妄想した」(『正論』2015年3月)と悔しがる。
日本が自国に都合がいいように妄想したこともあろう。しかし、日本が独自にとり得る中国に関する情報が少なく、米国がもたらす情報で行動せざるを得なかったということが大きい。
その米国には前科がある。戦前の米国は「日本帝国主義に痛めつけられた中国」という認識が強く、南京攻略戦を中国が南京大虐殺に仕立てるのに多大の協力もした。中国の報道はおかしいと米国民に呼びかけたラルフ・タウンゼント元上海副領事などは戦争中、フランクリン・ルーズベルト大統領によって牢獄につながれたほどである。
戦後の米国は「可哀そうな中国」ではないが、しっかり支援してやれば米国に応えてくれるといった認識から同盟国である日本と天秤にかけ、時には中国に肩入れして日本敵視政策をとる状況もあった。
日本人の中国専門家、もっと広く国際問題専門家と言われる人たちの講演をいくつか聞いたが、米国は中国をこう見ているという話が主体で、日本も米国と同じ視線で中国を見ておれば大丈夫だろうと言った論評がほとんど。独自に10年後、20年後を語る話はあまり聞けなかったように思料する。
中国の政治的状況や軍政関係など、内部からしか得られないような内容の話をすれば、自国民でさえ容赦なく逮捕する国への入出国が難しくなることもあり得よう。そうした配慮から話を控えているのかも知れないと惻隠の情で聞いていたが、根本的な情報が欠落しているというのが実態のようであった。
そうしたところに、米国から次々に対中警戒の声が上がってくると、日本の報道機関はそうだったのか、それほどまでに中国の傍若無人ぶりが増大して危険な状況になりつつあるのかとびっくりし、慌てて報道し始める仕儀である。
日本は独自の核抑止力を欠いているので、米国に強く言えない。あるいは米国の対中政策と違った行動をとり得ない、あえて行動しようとすると圧力がかかるなどの目に見えない同盟の枷がかけられていることもあろう。
先の北朝鮮のミサイル発射に関連して自衛隊が対処行動をとったことに関し、某氏はこの態勢をそのまま維持して、対中布陣としてはどうかという意見を出していた。対北朝鮮対処だけでなく、いや北朝鮮対処以上に中国対処が日本にとっては重要であることが忘れられているように思えるがいかがであろうか。
いまは日本の立ち位置が定かでないように思える。
中国の詭弁に寛容すぎる
南シナ海では「(中国の)軍事拠点化の進展を示す証拠が日々、浮上している。深刻な懸念対象だ」(「産経新聞」平成28年2月19日)とジョン・ケリー米国務長官が非難した。これは昨秋訪米した習近平主席がオバマ大統領と記者会見に臨んだ時、「南シナ海を軍事拠点化にしない」と語ったことを念頭に述べたものである。
3000メートル級の滑走路が何本も完成し、戦闘機の配備が明らかになり、また対空ミサイルの配備も明らかになると、中国は意味不明な「防衛体制は昔から存在する」「主権国家の自衛権に合致する」などと反論するようになってきた。
尖閣諸島の帰属や南シナ海について、以前は「古代から中国のものであった」などと国際法を無視して何の根拠にもならない発言を繰り返してきた。中国流の詭弁でしかないが、こうした詭弁は今に始まったことではない。
中国と1969年以来かかわり、米政府への助言もしてきたマイケル・ピルズベリー氏が「騙されてきた」と近著『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』で告白している。
正確には「騙されていた」と言うよりも、「信じようとしないままずるずるときた」ということであろう。
なぜなら、彼はビル・クリントン政権時代の国防総省とCIA(米中央情報局)から「中国のアメリカを欺く能力と、それに該当する行動について調べよ」と命じられ、中国が隠していた秘密を調べており、「(中国の)タカ派が、北京の指導者を通じてアメリカの政策決定者を操作し、情報や軍事的、技術的、経済的支援を得てきたシナリオ」を発見していたからである。
そのシナリオこそ「100年マラソン」と呼ばれるもので、「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだったと述べる。
ピルズベリーは中国がどうなるとみていたかを、「間違っていた前提」として5つにまとめている。
(1)つながりを持てば完全な協力がもたらされる。 (2)中国は民主化への道を歩んでいる。 (3)はかない花、中国(と思てきた)。 (4)中国はアメリカのようになることを望み、実際、その道を歩んでいる。 (5)中国のタカ派は弱い。
いま分かったことは、すべての前提が間違っていたということである。
どうしてこうなるのか、孫子の兵法に見るように、中国の戦略は「戦わずして勝つ」のを最上の策としており、そのために謀略をめぐらし、相手の謀略に打ち勝つことを奨めている。こうして力がつくまでは「平和的台頭」を信じ込ませてきたのだ。
日本が防衛白書などで「中国の軍事力増強は不透明である」と警鐘を鳴らしても、中国は常に「平和的台頭」であり「覇権国になることはない」と繰り返すばかりであった。南シナ海での埋め立てや滑走路などの敷設に対して、「軍事化を意味しない」と言ってきたのと同類である。
オンショア・バランシングの米国へ
オバマ大統領が「米国は世界の警察官ではない」と語ったのは、シリアで化学兵器が使われた疑惑が持ち上がり、米国の対応が問われた2013年9月10日である。
これは「9.11」の12周年を迎える前日のことであった。それを発火点にしたかのように、シリア情勢は一段と混乱し、ロシアはクリミア半島を侵略した。
「オバマ大統領のホワイトハウスが現在関心を持っている世界情勢は、ロシア・ウクライナ問題、そして中東とそれに関連した国際テロが依然として大きなウェートを占めている」(『正論』2015年3月)と田久保忠衛氏は述べ、「中国の台頭、ひいては危険で野心的な膨張主義は、アジアに局面を限れば目立ってきたと感じている程度だと言わざるを得ません」とみていた通りであった。
第1期オバマ政権は中国閉じ込めの色彩が強かったが、第2期になると、アジアへ回帰してリバランスの宣言をしたにもかかわらず、「オフショア・バランシングに変わってきたのではないか。中国と直接対峙するのは日本など同盟国や友好国で、アメリカはそれらをオフショア(沖合)、つまり後方から支援し、対抗行動をとるという戦略」(同上)で、なかなか動こうとしなかった。
米国は昨2015年7月、4年ぶりに「国家軍事戦略」を公表した。
中国の南シナ海における人工島造成が国際的な海上交通路にまたがり、中国軍の兵力配置を許すことや、ロシアはウクライナ軍事介入で武力行使も厭わないなどと分析しているが、「米国と同盟・友好国のネットワークは世界の安全と安定の礎となる類まれな強さがある」とし、「集団的な軍事力を高めることなどにより、侵略を阻止する」(「産経新聞」平成27年7月3日)と強調するだけで、米国が指導力を発揮するような文言はない。
こうした米国の動きにリアリストたちが危機感を抱き声を上げ始めた。
ピルズベリーの上記著書やジョン・ミアシャイマーの『大国政治の悲劇―米中は必ず衝突する』、さらにはアーロン・フリードバーグの『支配への競争―米中対立の構図とアジアの将来』などが相次いで出版される。
これらの著書は『孫子』『春秋左氏伝』『三国志演義』などの古典、あるいは鄧小平が語っていた「韜光養晦、有所作為」(才能を隠して控えめに振る舞い、成すべき事は成すという意味)などの用語を多用して論述している。カギは中国の古典にあり、中国の計略にはまったという印象を強く醸し出そうとしていることが分かる。
米国が今後も我関せずのような態度を続ければ、中国が地域覇権国になることは必定であろう。しかし、米国が地域覇権国となって以降、米国は他の国が地域覇権国となることを許したことはない。その流れからすると、米国は台頭する中国を抑えなければならない。
そのことをミアシャイマーは自著で、「現地の国々(筆者注:日本やベトナム・フィリッピンなど)が潜在覇権国(注:中国)を自分たちの力で閉じ込められない場合には、沖合に位置しているオフショア・バランサー(注:米国)というのは、実質的にオンショア、つまり岸に上がらなければならなくなる」と述べている。
米国の日本理解
他方で、米国の行動を見ると、世界の警察官でないどころか、同盟国の警察官でもないように見受けられるというのは言いすぎであろうか。
米国には、もともとモンロー主義という考えがあり、最小限アメリカ大陸にだけは敵性国家を近づけないし、いざというときには引き籠ればいいという考え方である。キューバ危機はそうした意識の顕現であった。
南シナ海については「航行の自由」を主張しながら、中国の軍事拠点化にさしたる異議申し立ても行動もとろうとしない。米国の力を期待していたASEANの国々は米国を見限りつつあるのではないだろうか。
南シナ海では中国が数年前から人工島を築き作業していたことが分かっていた。昨年は飛行場の完成、そして民間機の飛来、その後は戦闘機の発着である。今年になると対空ミサイルの搬入が明らかになった。それにもかかわらず、米国は中国の行動を抑制させるまでには至っていない。キューバの時と大違いである。
こうした米国の動きを見ていると、日米同盟で日本の安全はどこまで保証されるのか、理解が困難になる。米国務長官や国防長官は「尖閣は日米安保5条の適用を受ける」としばしば発言していたが、米国が本当に守ってくれるのか心配でならなかった。
そこへ、国賓として迎えたオバマ大統領が同様の発言をしたことで、これ以上の保証はないと言わんばかりに日本はすっかり安心した。
過去の歴史や米軍占領後の尖閣を射爆場として使っていたことなどからして、「領有権」は明確であるように思えるが、あえて「領有権は日中両国の問題」と突き放す。
こうしたことから、「安保条約の範囲内」の意味については、有識者の間でも意見が分かれている。ざっくり言って、米国が最大限の関与、すなわち戦争に訴えてでも日本の味方をしてくれるという意見から、リップサービスで中国を牽制するだけで、実際に中国が動き抑止が破綻すれば関わりを放棄するという意見まである。
西尾幹二氏は「アメリカの対外政策をみていると、ことごとくまるで絵に描いたようなご都合主義で、私たちはアメリカを本当に信じることができるかどうかわからないという局面に、身を置いている。(中略)アメリカ人は余りにも他国を理解しようとしない。そしていまはオバマ政権の軽率かつ臆病な判断によって世界最大の軍事大国が外交的失敗を繰り返している」(『正論』2016年3月号)と書いている。
中国発の情報の間違いと日本発の正しさを米国民に伝え続けたタウンゼントに対する米国の仕打ち、戦後の米国の行状を見ただけでも、米国の国益次第で日本は翻弄されかねない。
おわりに
台湾は日本へのシーレーンを扼する戦略的要衝である。親中政権から親日政権に代わるのを好機と捉え、日台友好を深めると同時に、経済的深化を強める必要がある。
日本単独の中国進出は危険が伴うことが多いが、台湾は中国での損失が少ないと聞く。このことは、日中の関係に台湾を噛ませることで損失の少ないルーチンを築く機会でもある。
中国は法の支配を守らない、民主主義を否定する、IS(イスラム国)を批判しないなど、従来確立されていた国際秩序を破壊する行動を平然と行っている。
また、中国や半島の国々の要人や広報官の声明などを聞いていると、あたかも詭弁術の講義のようである。これが国際政治の現実という理解も必要であろう。
他方、米国はいま中国のこうした詐術に気づいたかのように主張するが、それも詭弁であるように思える。米国はとっくに中国の言行を知っていたはずである。ただ、自信過剰が災いしたとは言えよう。
いま米国の地域覇権が脅かされそうになり、日本やASEANの結束を呼びかけているが、米国益絡みの思惑で一蓮托生にされてはかなわない。
日本自身の立ち位置をしっかり確立することが求められているようである。
メルマガ記事
中共の首脳は、全人代で、「海洋強国」を建設すると宣言し、 東シナ海・南シナ海そして西太平洋に覇権を拡げて「中国の海」とするための「軍事闘争への備えを統一的に推進する」国防費を提示した。 その額、日本円で約十六兆七千億円であり我が国の国防費の三・三倍である。 しかし、この公表された国防費は総額の二分の一に過ぎないと指摘されている。これは経済の失速のなかでも断じて軍事拡張を止めない姿勢を示したものである。
産経新聞社説は、この状況に関して 「自ら敵を増やすつもりか」 という強烈な題名を与えて異常性を強調した上で、 「習主席は異常な軍拡を思いとどまり、各国と手を携える道を探らなければならない。 経済の回復にも国際協調は不可欠だ」と結んでいる(二十八年三月六日)。この社説の終わり方に、じょ、じょ、冗談言うな、となった。さんざん相手の異常性を強調しておいて、 なんやこれは、異常な相手に、国際協調を勧めても聞き入れるはずがないではないか。そもそも、異常、なんやから。
よって、産経新聞の社説の結論とは逆に、この相手に、国際協調を勧めるのはもう止めようと強く訴えたい。何故なら、軍拡を続ける独裁権力に対する「宥和」こそ、戦争の引き金になる「最も危険な錯誤!」であると歴史が教えているからである(チャーチルの第二次世界大戦回顧)。第二次世界大戦勃発の直前まで、つまりドイツのポーランド進撃直前まで、イギリスもフランスも、ヒトラーに国際協調を勧めていたことを忘れてはいけない。
すなわち、我々は、頭から対中宥和思考を排除した上で、相手の「実態」を把握し、如何にして相手を抑止するか決断し実行に移さねばならないときがきている。その決断が、本稿の表題「平和を望むならば戦いに備えよ」である。
この観点から眺めるならば、現在、韓国では、アメリカ軍と韓国軍が大規模軍事演習を展開し、 南シナ海には、アメリカの原子力空母ジョン・ステニスを中心とする空母打撃群が展開している。
また、我が国においても、 昨日三月七日、秘匿性に優れた最新鋭潜水艦「じんりゅう」が三菱重工神戸造船所から就役して「そうりゅう型潜水艦」が次々と生まれており、フィリピン海域の海底に我が潜水艦が遊弋していると聞いている。いうまでもなく、秘匿性の高い潜水艦は、一発で空母を撃沈できる。
これらを総合すれば、中共の全人代で喋っている連中と中共の軍隊は、海洋においてかなりの圧力を受けて抑止されており、八十年前の昔に、何の圧力も受けずにラインラントに進駐できて 舞い上がったヒトラーの状況とは違うと思われる。
アメリカ国内は、現在、不動産王と上昇志向が化粧をして歩いているような二人による内向きの大統領選の最中だが、軍事行動に消極的でアメリカの威信と国際的信頼感を失墜させたオバマ政権末期を迎え、オバマに辟易した国防長官と軍が、歴史の教訓に忠実な、きっちりとした行動を始めたと評価する。
さて、原子力空母ジョン・ステニスの空母打撃群の周りには、「見たこともないほどの中国人民の艦船が来ている」ということだ。 この情報に接して、思い出したのは、日中条約締結前の福田赳夫内閣の時、突如、尖閣周辺海域に百隻を超える中共の武装漁船が群れた情景である。之を見た福田内閣は驚き腰を抜かす。そして、そのタイミングを計っていた鄧小平の「尖閣棚上げ」提案に飛びつく。つまり、この時、我が内閣は、「自国の領土を他国に棚に上げてもらってホッとする」、 という馬鹿よりもひどい痴呆を演じるのである。そして、この武装漁船の「船員」達は、リストラにあった元人民解放軍の兵士であったというわけだ。
そこで現在、中共では、「軍の近代化」のために大リストラが行われているのだが、アメリカ空母打撃群の周りにいる「見たこともないほどの中国人民の艦船」は、福田赳夫内閣を慌てさせて「尖閣棚上げ」効果を獲得した例に倣って、中共首脳が、ひょっとして「スプラットリー諸島棚上げ」が転がり込むかも知れないと思って、リストラ兵士を繰り出しているかも知れないと思う次第だ。何れにしても、アメリカ空母打撃群の周辺に出てきた「見たこともないほどの中国人民の艦船」は、アメリカ軍の行動が、中共に効いている証拠である。
なるほど、中共(中国共産党)は、軍備を増強して海洋に進出している。しかし、そのカラダの内部は、ガン細胞が増殖を続けている。その内蔵が腐れば生体は維持できない。従って、脆弱である。いたずらに、中共の軍備増強を怖れる必要はない。対中軍事行動は、明らかに平和を確保する。対中宥和は、中共を増長させ危険な軍事的冒険を誘発させる。よって、我が国は、「平和のための戦略」を確立し、軍備の充実に邁進する時に至っている。
その「平和のための戦略」の大きな柱は、台湾そしてフィリピンからインドネシアというアセアン諸国との連携である。この中共を取り巻く「海洋の輪」が機能すれば、中共の「海洋強国」は停止する。陸上から飛び立ってイギリスの太平洋艦隊の旗艦である戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスを撃沈した戦訓を思い起こすべきである。この「海洋の輪」が機能すれば、東アジアの海を乗っ取ろうとする中共の野望は必ず破綻する。
最後に、最も警戒すべきことを記す。それは、中共の「対日工作」を見くびってはならないということである。冒頭に示した産経新聞の社説でも、中身は中共の「異常性」を説きながら、締めくくりは「中共に国際協調を勧めよう」というまことにしおらしい結論で終わるではないか。血に飢えた猛獣が平和の鳩になると本当に思っているのか。
昨年に延々と続けられた国会における安保法制の議論の中で、「中共による南シナ海の埋め立てと軍事基地化工事の脅威」については民主党からはもちろん、自民公明の与党からも質問は出なかった。南シナ海に関する質問は、「日本のこころ」からだけであった。この国会は、明らかに中共に「配慮」していた。これを「異常」だと思わねばならない。反対から言えば「異常」と思っていないことが「異常」なんだ。すなわち、中共の工作活動が国会すなわち政府与党と野党に及んでいる。 つまり、我が国国会は、中共に協力していたのである。一部は意識して、一部は無意識に。
かつて、ソビエトのKGBのスパイであるレフチェンコは、「日本の世論をソビエトに有利になるように仕向ける」任務を受けて日本に来て、我が国の政界、官界、財界、マスコミ界等のエージェントと接触し工作活動を展開した。そして、アメリカに亡命して次の通り証言した(一九八二年)。「日本人はソビエトに協力しているという意識なく協力してくれた。日本はスパイ天国である。」ソビエト無き今、我が国において、この「スパイ天国」を満喫しているのは何処の誰か。中共の工作員ではないか。彼らは現在進行形で言うだろう。「日本人は中共に協力しているという意識なく協力している。 日本はスパイ天国である。」まさに、レフチェンコの証言通りのことが、昨年の国会で起こっていたのである。それどころか、昨年起こっていたことは、今も各所で起こり続けている!
そこで、痛恨、無念の思いを以て言っておく。昨日、田母神俊雄元航空幕僚長の事務所等を東京地検特捜部が家宅捜索した。その容疑は、「勇気ある内部告発者」の告白に基づく政治資金の業務上横領であると発表され、マスコミはその通り官に「言われるままの疑惑」を流している。これによって、全国津々浦々の日本国民に、我が国を取り巻く中共の軍事的脅威を権威を以て伝達できる軍事専門家が沈黙させられるのだ。
これを喜ぶのは、何処の誰だ。喜ぶのは国内と国外にいる。都知事選挙から二年以上も経過したこの時期に、突然為された検察特捜部による田母神俊雄事務所家宅捜索が、「スパイ天国」における中共の工作活動と無縁の公明正大なもの、すなわち、社会正義の実現、であると、言い切る材料はない。
つまり、政界における中共の工作に影響された国策捜査ではないと言い切れないということだ。