ブログ

サイト管理人のブログです。

ブログ一覧

『尖閣に迫る嵐、「終戦の日」の中国に備えよ 海警船の領海侵犯の次は「軍艦」か「上陸」か…試される日本』(8/10日経ビジネスオンライン 福島香織)について

ギリシャ船籍の貨物船と中国漁船の衝突で、海上保安庁の船が中国人6人を救出しました。このニュースを聞き、第二次大戦中の駆逐艦「雷」の工藤俊作艦長のことを想起しました。スラバヤ沖海戦で撃沈されたイギリス軍艦の漂流乗組員422名(英重巡洋艦「エクゼター」(一万三〇〇〇トン)、「エンカウンター」(一三五〇トン))の救助を命じ実行させた艦長です。戦争中に武士道精神を遺憾なく発揮した例で、日露戦争の乃木将軍のステッセルの扱い同様のものでしょう(中国駐在時代、水師営にも行きましたが小さかったです)。戦後、日本を悪者にしようといろんなプロパガンダが捏造(南京虐殺や従軍慰安婦、バターン死の行進)されましたが、日本人はルール以上に真面目に戦争に取り組んだという事です。オリンピックではドーピングや卓球のラバーに補助剤を塗る(リオで銅メダルを取った水谷選手が告発しています。下記にリンクを貼っておきます)など禁じ手を使い、勝てば官軍・勝つためには何をしても良いという姿勢で臨んでいる国があります。フェアプレイの精神を忘れ、スポーツを汚しています。それに引き換え、命のかかった場面での敵の救助と言うのは崇高な行為と言えます。世界が模範とすべきは日本でしょう。内村にジャッジのえこひいきがあったからというような質問をした記者は自分の心の汚さを暴露したようなものです。廉恥の心を持たない民族なのでしょう。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160812/frn1608121110002-n1.htm

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160812/dms1608121700007-n1.htm

http://blog.goo.ne.jp/ginga7788/e/8f8dffc935c9615c39be260e97c56e90

http://number.bunshun.jp/articles/-/293736

8/12小川和久氏Facebook記事<尖閣沖の事態で、日本メディアは「武装した中国公船」の登場を、日露戦争の日本海海戦もあるまいに、いかにも「敵艦見ゆ!」のごとくおどろおどろしく報じるが、これは中国公船にだけ目を奪われた典型的な「木を見て森を見ず」の状態だ。

8月8日に過去最多に達した中国公船15隻は、うち7隻が30ミリ機関砲などを搭載する武装船だったが、基本的に新型船は海上保安庁の巡視船の武装と同水準にしている。一部には中国海軍の旧式駆逐艦の主砲を撤去し、37ミリ機関砲のみを残したものもあるが、その性能は新型の機関砲に劣るものだ。

これに対し、南西諸島を管轄する海上保安庁第11管区海上保安本部の21隻の巡視船艇の武装は、35ミリ機関砲搭載4隻(20ミリ多銃身機銃併装)、30ミリ機関砲搭載5隻、20ミリ多銃身機銃(6銃身)搭載7隻、12.7ミリ多銃身機銃(3銃身)搭載6隻。

多銃身機銃は、「ガトリングガン」あるいは「バルカン砲」として知られる。

このうち、20ミリ多銃身機銃(6銃身)ひとつをとっても、その威力と命中精度は2001年12月22日、奄美大島沖で北朝鮮の工作船の機関部だけを破壊し、自沈させたことで証明されている。200トン級の小型巡視船を高速で操り、あの荒波の中で目標に正確に命中させた海上保安官のレベルは、世界の沿岸警備隊の称賛の的となった。

このように、いまのところ尖閣周辺海域で海上保安庁が中国公船に圧倒される事態にはなっていないが、中国側の勢力が上回るのは時間の問題だろう。

いま、海上保安庁に必要なのは3倍の予算と2倍の規模だ。世界第6位の管轄海域(領海プラス排他的経済水域)を持つ海洋国家として、政府は最重点項目に位置づけ、可及的速やかな対策を講じるべきだ。

3倍の予算といっても、3000億円をプラスした5000億円規模。国家予算全体の無駄遣いを精査し、1回で措置できなければ、納税者に対して「やり繰りができている」とは言えまい。>(以上)

織田邦男氏も言ってましたが、中国が民兵を出してくるなら、自衛隊は出せず、海保と警察で対応するしかないと。中国に「先に手を出した」との詭弁を可能にするためです。真珠湾攻撃だって、ABCD包囲網、ハル・ノートを言えば先に手を出したのは米国です。宣伝戦にしてやられました。今度は宣伝戦に打ち勝つように、世界に向けて、中国の世界制覇の野望をアピールしていかないと。同時に小川・織田両氏の言うように海保・警察の装備と人材の充実のため、政府は予算措置しなければなりません。また海保の船の周りで石垣の漁船が漁をできるようにすることと、尖閣に海保・警察職員を常駐(含む上陸)させることです。

下は石垣市民が中国人を救出したことに対する中華民国の感謝状です。1920年ですから馮国璋(Feng Guozhang)総統時代です。発行が中華人民共和国時代でなく、彼らは中華民国を継承していないというのであれば、中共の今の国連のP5の地位も継承されません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E7%B7%8F%E7%B5%B1

中国語ですので英語に置き換えて見ました。

testimonial of ROC

Testimonial

“The 31 fishermen (Guo Heshun on behalf of them on the boat) of Huian, Fujian province, ROC, were evacuated to Wayo island, Senkaku islands, Yaeyama county, Okinawa prefecture, Empire of Japan, to avoid the storm in winter in 1919. Gyokudaisei Sonban, living in Ishigaki village, Yaeyama county, Okinawa prefecture, Empire of Japan, endeavored to save them to return to ROC.

We express to thank you deeply and give you this testimonial.

Feng Yuan, the consul of ROC in Nagasaki.

On 20th of May in 1920.”

訳してみてヒョッとしたら、外務省訳があるのではと探してみたらありました。しかし分かりにくい所にありました。

“In the winter of the 8th year (1919) of the Republic of China, 31 fishermen from Hui’an Country, Fujian Province were lost due to the stormy wind and were washed ashore on the Wayo Island, of the Senkaku Islands, Yaeyama District, Okinawa Prefecture, Empire of Japan. Thanks to the enthusiastic rescue work by the people of Ishigaki village, Yaeyama District, Empire of Japan, they were able to safely return to their homeland. With a deep response and admiration toward the people of the village who were willing and generous in the rescue operation, I express my gratitude by this letter.Consul of the Republic of China in Nagasaki  馮冕 20 May, the 9th year (1920) of the Republic of China”

外務省HPのトップページにこの感謝状と、1960年の中国発行の地図を載せ、英語で解説すれば良いと思います。中国人は捏造とか言うかもしれませんが、それは彼らの常套手段で、南京虐殺でデッチアゲの写真を使ったりして、他人もそうすると思っているからです。日本人の精神性は彼らには理解できないでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族です。でも中共政府の言うことも中国国民は信じていないと思います。世過ぎ身過ぎの為に信じる振りをしているだけでしょう。でも日本もキチンと反撃しなければ相手にやられ放しになります。戦闘だけが戦争ではなく、世論戦・歴史戦を今日本は中韓と戦っているという自覚を持たねば。

map of Senkaku whichi China puplished in 1960

外務省のHPより、英語版。

“World Atlas Collection” (1958 (reprinted in 1960))】

World Atlas Collection

This was published by a Chinese map-publishing company in 1958. It clearly identifies the Senkaku Islands as “the Senkaku Group of Islands” and treats them as part of Okinawa. China claims that this atlas collection has a note saying that “part of the national border with China is based on an atlas made before the anti-Japanese war (that is, when Taiwan was a Japanese colony)”and that the content of this atlas published in 1958 does not support the argument that the Chinese government at the time recognized Japanese control of Senkaku Islands. However, the original text of the note only states that “the national border of China in this atlas was drawn based on an atlas of the Shen Bao daily (Chinese newspaper in those days:小生注;上海の「申報」) before the liberation from Japanese occupation (Chinese text: 本図集中国部分的国界線根据解放前申報地図絵制).” It is not clear which part specifically is the portion before the liberation. In this atlas, Taiwan is identified as part of the “People’s Republic of China” whereas the Senkaku Islands are identified as “the Senkaku Group of Islands”. It is unnatural that China remained to use the expression from the period when Taiwan was a colony of Japan only for the Senkaku Islands which China argues it belongs to Taiwan.

尖閣も国際司法裁判所に提訴し、竹島もとも思いましたが、汚い手を使う連中ですから、危ないというのに気が付きました。何せ国内で司法部門も賄賂が当たり前の国です。裁判官をハニーとか金で籠絡することを考えるでしょうから。また、司法裁判で領有権の問題を争うにしても、仲裁裁判と違い、当事国の合意がなければ裁判を提起できませんので。

記事

ship of Japan Coast Guard

尖閣沖に中国公船。日本政府が抗議(写真提供:第11管区海上保安本部/AP/アフロ)

日本の尖閣諸島海域に嵐が迫っている。台風のことではなく、8月5日午後、尖閣諸島領海に2隻の中国海警船と漁船が初めて侵犯してきた事件である。このとき、尖閣諸島の接続水域の中国公船の付近には230隻あまりの中国漁船があった。日本外務省は、この事実を確認し、中国大使館公使に抗議した。これは6月9日の尖閣諸島接続水域に軍艦が侵入して以降、中国が計画的戦略的に東シナ海・尖閣諸島に対してアクションを起こしているということであり、おそらく8月15日の終戦の日を一つのピークに、中国側は本格的に日本の出方を見定めていくつもりではないか。日本側に準備と覚悟はできているのか。

漁船を追う形で中国海警船が領海侵入

今回の件を簡単に振り返る。

日本の海上保安庁によると、5日午後12時15分ごろから、中国海警船2隻が相次いで尖閣諸島付近の領海内に侵入した。この2隻はともに機関砲を搭載する武装船である。まず、2隻のうち「海警33115」が12時15分ごろ領海に入り尖閣西北から西側を通り抜けた。続いて午後1時半から再び領海に侵入し、このときは約3時間航行したのち、領海外側の接続水域に抜けていった。続いて「海警2307」が午後3時45分ごろから、領海内を15分航行し接続水域に抜けた。ともに漁船を追う形で侵入したという。

これら海警船は7月30日ごろから尖閣諸島付近にいた。これは今年に入って21度目の中国海警船の集団来航である。6日午前の段階で、中国海警船6隻が釣魚島の接続海域にいることが確認された。これら船のうち少なくとも3隻は外観から機関砲を搭載しているようだった。一般に中国海警船は3隻で行動することが多く、今回6隻の規模に拡大したのは、中国の挑発がそれだけエスカレートしたということだろう。しかも、周辺海域では230隻以上の漁船が作業をしていた。これほどの漁船が尖閣諸島周辺海域に集結していることも異例の出来事である。今回、領海侵入した海警33115、海警2307と、もう一隻の海警2166は8月3日以来、繰り返し接続水域を航行しているという。

日本外務省アジア・大洋州局長の金杉憲治は、領海侵犯があった段階ですぐ、中国大使館の公使・郭燕に電話で「このような行動は、現場の緊張をさらに高める一方的な行動であり、受け入れることは絶対にできない」と抗議し、中国側は船を領海に入れないように、さらに接続水域から立ち去るように要請した。中国の日本大使館も中国外交部に対し抗議を表明した。

日本政府としては、「中国海警船が漁船に囲まれて航行することは、日本の領海内で中国が法の執行行為をしているということになり、主権侵害に当たるとして、過去の接続水域侵入とレベルが違う」と判断。5日夕の抗議は、外務次官の杉山晋輔が、中国大使の程永華を呼び出して、「厳正なる抗議」にレベルアップし、「この挙動は日本主権の侵害であり、断固許すことはできない」とした。

中国の変わらぬ態度と増え続ける海警船

これに対し、中国外交部報道官による中国の公式の態度は「中国側の釣魚島(尖閣諸島)問題においての立場は明確で、一貫している。釣魚島とその付属島嶼は中国の固有の領土であり、中国はこれら島嶼とその海域の主権について争う余地はない。同時に中国側はこの海域に関しては妥当な管理措置を取っているところである。我々は強烈に日本サイドが、双方の関係する原則の共通認識精神を守ることを希望し、冷静に事態を見つめ、状況を緊張、複雑化させる可能性のあるいかなる行動もとらないように希望する。そしてともに関係海域の安定のために建設的な努力をしよう」といつも通りであった。

このコメントに象徴されるように、尖閣諸島海域の中国海警船は立ち去るどころか増え続け、7日午後には13隻、過去最多に増えた。この日、午前10時ごろ、また2隻が領海に侵入、いったん外に出たが夕方にまた領海を侵犯した。これは2012年9月18日の尖閣諸島の国有化問題で日中関係の緊張がピークに達したころ、12隻の中国公船が尖閣周辺に集結した状況を上回る。

日本側はこの日も大使に直接抗議したが、中国側は聞く耳をもたなかった。

中国の強国化大国化シナリオの中に、釣魚島島嶼(尖閣諸島)奪取が組み込まれているのは周知のことだが、なぜこのタイミングで、これほどまで挑発をエスカレートさせているのかについては、冷静な分析が必要だ。タカ派の稲田朋美が防衛相になったことへの中国側の反応と受け取る人たちもいるようだが、私はやはりもっと中国の内政的要因ではないかと言う気がする。

軍権掌握の難航と日本の「見送り」が招く挑発激化

党内部の情報にそれなりに精通している中国人知識人ですら、習近平政権は不確定要素、不安定要素が多すぎて、何をするかわからない、と評する。なぜ、今のタイミングかというのは、はっきりとはわからないが、南シナ海の情勢との兼ね合いのほか、習近平の軍権掌握が思いのほか難航しているということではないだろうか。

軍権掌握は、習近平が基盤固めに絶対必要だとプライオリティ上位に置いているテーマであり、そのプロセスとして、南シナ海実効支配固めや、東シナ海で影響力拡大があると私はみていたが、習近平自身が思っているほど軍権は掌握できていないのかもしれない。習近平自身は軍権をきっちり掌握し、きわどい挑発をしながらも“寸止め”できると考えていても、実は習近平の方が軍に翻弄され、当初の思惑以上に急速なテンポで軍事挑発がエスカレートしているのかもしれない。

振り返れば、これは6月9日に中国軍艦が初めて尖閣諸島接続水域に侵入したことからセットで考える問題だろう。このときは、ロシアの軍艦を追尾して侵入したような体を取って、日本側の出方を見た。このとき、日本の外務次官は深夜2時に中国大使を呼び出し「領海に入れば海上警備行動を取る」と警告したという。このとき、中国軍艦は日本領海まであと数キロというところまで迫ったが、領海侵入せず接続水域を出た。

だがその後15日に、今度は鹿児島県口永良部島の領海に中国の海軍情報収集艦がインド艦艇2隻を追尾するかっこうで侵入。情報収集艦の目的はレーダーなどの情報集めであり、とても無害通航とは言えない状況であったが、日本側はこれを無害通航と判断して抗議を見送った。翌日の16日は同じ情報収集艦が沖縄県北大東島の接続水域に入ったが、これも抗議しなかった。口永良部島のケースは、海上警備行動が発令されても不思議ではなかったが、日本はそれをしなかった。しなかった理由ははっきりしていない。2015年9月、中国軍艦5隻がアラスカ沖の米国領海を侵犯したとき、米国は無害通航と判断したので、その例を見習ったのかもしれない。あるいは、戦闘状態を引き起こし得る海警行動を取れる自衛艦が近場になかったのかもしれない。

いずれにしろ中国に対する結果的なメッセージとしては、中国海軍が領海を侵犯しても日本は海上警備行動を取らない、あるいは取れない、ということだろう。口頭では「領海に軍艦が入れば海警行動を取る」と言いながら、実際はそれができる覚悟が日本にまだないのだ、と中国は思ったことだろう。

ドッグファイトの次は…終戦の日を警戒

そして次に6月17日の尖閣諸島付近の上空で日中戦闘機の異常接近事件である。これは領空で起きた事件ではないということと、特定秘密という建前で、日本は完全に隠蔽しようとした。だが実際に起きたのは、事実上の日中戦闘機による“ドッグファイト”であり、日本側パイロットはミサイル攻撃されるのではないかと恐怖を感じてフレア(赤外線ミサイルを外すためのデコイ)を発射し空域離脱を余儀なくされるという一触即発の事態であった。

この事実は、航空自衛隊OBの元空将・織田邦男が6月28日になってウェブサイト記事上で公表し、産経新聞などが後追いで報じたが、官邸サイドは事実でないと否定。一時、織田記事と産経新聞はねつ造、デマだとまで批判されたが、その後、中国国防部が中国の応対(攻撃)機動と自衛隊機のフレア発射離脱を事実として発表し、織田記事を裏付ける形となった。

この中国側の発表では日本側自衛隊機が先に攻撃機動(火器管制レーダー照射、ロックオン)を取ったので中国機が応戦機動を取ったということになっているが、これは日本側にすれば、領空に近づく戦闘機があればロックオンして対象の所在やヘッドの向き、スピードを測定するのは当たり前のこと。織田によれば海上の艦隊のロックオンと戦闘機のロックオンはかなり意味が違い、戦闘機のロックオンは相手を攻撃するためだけではなく、相手機を認識するためであり、攻撃を避けるためにも必要という。日本側からみれば、自衛隊機はスクランブル任務としての通常の行動をとったが、中国機は機首を自衛隊機に向けて攻撃機動に入ったため、自衛隊機がフレアを使って空域を離脱した、という織田記事とほぼ同じ内容になる。

参院選で忙しかったのかどうかは知らないが、日本が隠蔽を図ろうとした結果、中国はこの情報を中国に有利な形、つまり①自衛隊機が先に挑発した②中国戦闘機が自衛隊機でドッグファイトに勝った、という形で発信し、国内の戦意高揚・世論誘導を利用しただけでなく、日本の世論にもマイナスの影響を与えている。情報戦でも、日本は中国に後れを取ることになった。しかも、日本は中国の脅威を直視しなければならないこの状況で、自衛隊の情報漏えいの犯人探しの方を重視し、官邸と防衛の最前線との間にある不信感の払しょくにいまだ何ら、努力をしていない。

中国側はというと、こうして、海と空から段階を踏んで、日本の応対を瀬踏みしつつ、今回、中国公船による尖閣諸島領海侵犯を決行した。だが、日本側は、相手に痛くも痒くもない抗議を繰り返すだけである。このままであれば、中国にこのペースで行ける!とメッセージを与えてしまい、近い将来、中国は軍艦による尖閣領海侵犯まで起こすかもしれない。あるいは中国海上警察による尖閣上陸か。あの海域に漁民や海警船が居残っているのであれば、8月15日という、日本にとって喪に服す日を狙って何か、アクションを起こす可能性もあるだろう。

中国が尖閣奪取シナリオをどこまで考えているか、について一つヒントになることがある。8月5日の香港フェニックステレビの国際情報番組で、今回の事件についてキャスターが「中国の戦略の方向性としてはどうしたらよいですかね」との質問に対して、復旦大学歴史学教授・馮偉がこう答えていた。

「恐れていること」を直視し、自ら備えよ

「特に強調したいことはですね、2013年5月の日本産経新聞が報じたことです。つまり、中国が釣魚島の実行支配を奪取するならば、おそらく武装民兵と解放軍が漁民に成りすまして釣魚島12カイリ内に入ったあと、軍事行動を取るだろう、と。日本が一番恐れていることは、漁民が本物の漁民でないことなんですね。この情報が鍵だと私は思います。中国の取るべき行動は、日本が最も恐れていることをすればいいんです…」

このシナリオが実行されたとき、日本はどのように対応するか、準備はできているだろうか。

日本ではタカ派女性議員の稲田朋美が防衛相になったことで賛否両論の声が出ている。問題視する側は、この人事が中国や韓国を刺激し、日本の安全保障を危うくすると危惧しているのだろう。また、8月15日に現役防衛相として靖国神社に参拝するかどうか、そして参拝したことで、尖閣海域に集結する漁船や中国海警船のさらなる挑発行動を引き起こすのではないかと気にする人もいるだろう。だが、中国の尖閣周辺におけるアクションは、別に稲田をターゲットにしたものでもないだろうし、日本の防衛相がタカ派であろうがハト派であろうが、そのシナリオが変更されるものではない。

それよりも、必要なのは、この危機的状況に際して、防衛の最前線と官邸と国民が危機感を共有し、法律上に不備があれば素早くこれを是正し、情報の風通しと信頼を再構築して、来る危機シナリオを想定して、実力を増強し、どう乗り越えるかを考えることだろう。多くの人は忘れがちだが、もともとの領海が3カイリだったのは大砲の射程距離が3カイリだったことに由来する。主権は軍事力によって担保されるという基本を忘れて平和を語ることはできない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『トランプ氏、人格障害説から突然辞退説まで浮上 拡大するヒラリー・リパブリカン』(8/10日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『米民主党のメール大量漏洩にプーチン氏の影』(8/12日経 The Economist)について

8/12日経にはトランプ氏批判に拍車 米兵遺族攻撃や「暗殺示唆」

【ワシントン=川合智之】米共和党の大統領候補、不動産王ドナルド・トランプ氏(70)の9日の演説での発言が民主党のヒラリー・クリントン前米国務長官(68)の「暗殺を示唆した」と報じられ、批判が広がっている。7月末の米兵遺族への攻撃で支持率が急落するトランプ氏は、さらに過激な発言を繰り返して焦点を拡散させる戦術に出たが裏目に出ている。

approval rate of Trump & Hillary

トランプ氏は南部ノースカロライナ州での集会で、銃規制強化を主張するクリントン氏が大統領に就任すれば、銃保持を認めた憲法修正第2条が廃止されると警告。そのうえで銃保持者には「手段があるかもしれない」とほのめかした。「それは恐ろしい日になると言っておく」とも述べた。

米メディアは「暗殺を示唆した」などと報道。米紙ニューヨーク・タイムズは、1995年にイスラエルのラビン首相(当時)を政敵が「売国奴」と呼んだことが首相暗殺につながったと指摘、「同種の暴力を扇動する」と批判した。米MSNBCテレビの著名キャスター、ジョー・スカボロー氏は「無視できない一線を越えた」と述べ、共和党はトランプ氏擁立を撤回すべきだと主張した。

「行き過ぎた冗談だ」。共和下院トップのライアン下院議長は9日、トランプ氏に苦言を呈した。党内の反発は強く、スーザン・コリンズ上院議員は「トランプ氏は大統領候補にふさわしくない侮辱発言を繰り返してきた」と述べ、11月の本選でトランプ氏に投票しない考えを表明した。

米CNNテレビによると、トランプ氏の発言を巡り米大統領警護隊(シークレットサービス)がトランプ陣営に複数回、事情聴取した。トランプ氏は「聴取は受けていない」と否定したが、波紋は広がっている。

トランプ氏は10日の米FOXニュースで発言が誤解されていると釈明し「メディアは不正直だ」と訴えた。

さらに同日のフロリダ州の演説で、オバマ大統領とクリントン氏が「過激派組織『イスラム国』(IS)の創始者だ」と発言するなど、矛を収める気配はない。

暴言を繰り返してメディアへの露出を高めるのはトランプ氏の得意技だ。ただ一連の発言の発端となった米兵遺族への批判は、戦死者を国の英雄とみなす米社会ではタブー視される。それ以来、一時クリントン氏を逆転していた支持率は離される一方だ。

5~8日のロイター通信の世論調査では、共和党員の19%がトランプ氏は大統領選から撤退すべきだと回答した。8日には米共和党の元高官ら50人が、トランプ氏は「米国史上最も無謀な大統領になる」として11月の本選で「投票しない」とする共同声明を出した。反転攻勢をかけられるか、トランプ氏の正念場となる。>(以上)

トランプは共和党全国大会で大統領候補の指名を受ければ、言動を変えるのではと思っていましたが、そうはならないようです。人口比で見て白人男性だけの支持では大統領選には勝てません。高濱氏の記事にありますように、トランプは単なる人格障害か、クリントンを勝たすためにわざと共和党大統領候補に立候補したのかもしれません。日高義樹氏に以前聞いたところによれば、「米国で一番尊敬されるのは軍人」とのことでした。トランプも当然そのことを知っている筈です。それでいて暴言を吐けば、どういう結果を齎すか分かっていると思います。だから人格障害と言われる訳です。レーガンの再来を期待しましたが、レーガンのように他人の話をよく聞く耳は持ち合わせていないようです。クリントンは大統領に相応しくないと思っていましたので、トランプの方がマシと思って期待していたのですが、今のままでは彼も大統領になる資格はないでしょう。両人を大統領候補としてしか選べない所に、米国民の不幸があります。

クリントンが勝てば、中国との不正な金を貰っていた経緯から、中国に厳しい態度は取れないと思います。中国系米人ノーマン・シューによる違法献金事件だけでなく、北野幸伯氏のメルマガによればインドネシア華僑のリッポ・グループから違法献金を受け、ビルが大統領に選ばれたと書かれています。元記事は伊藤貫氏の『中国の「核」が世界を制す』ですが。如何に悪辣な人間かが分かろうというもの。野心の為には手段を選ばず、汚い金塗れの人物です。

また、クリントン家は数々の不正に手を染め、彼らの周りには不可解に死んだ人も多いとのこと。クリントン家の関与があったかどうかは不明ですが、余りに数が多すぎます。銃を持つ権利が憲法上保証され、リンカーンやケネデイのように大統領と雖も暗殺される国ですから、周りの人間が暗殺されてもおかしくはありません。米国を動かしているのは大統領ではなく、軍産複合体or国際金融資本なのでしょうか?いずれにせよ、このままいけば強欲・嘘つきヒラリーが大統領に選ばれるのでは。日本は中国との件で梯子を外されないように、自主防衛を充実させないと。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/57/index.html

http://www.mag2.com/p/news/211764

http://www.news-postseven.com/archives/20160709_427671.html?PAGE=1#container

http://ameblo.jp/jicchoku/entry-12142855625.html

http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201606_post_9975.html

8/11産経ニュースではヒラリーに新たな疑惑が浮上とも報道されています。

http://www.sankei.com/world/news/160811/wor1608110030-n1.html

高濱記事

parents of Ghazala Khan

イラクで息子を亡くしたカーン夫妻(写真:AP/アフロ)

—米共和党の大統領候補となったドナルド・トランプ氏の支持率が8月に入って降下。米民主党のヒラリー・クリントン候補が9%もリードする展開になっています。両党が全国党大会を終えて以後、いったい何が起こっているのですか。

高濱:一言でいうと、クリントン氏が「敵失」(Self-destruction)に乗じて、共和党支持層や無党派層の票を着実に獲得し始めたのが要因です。「敵失」とはトランプ氏の暴言を指します。

トランプ氏の支持率が降下する要因として、安全保障・外交や経済に対する理解不足からくる非現実的な主張が挙げられます。とくに、核のボタンを押す権限をトランプ氏に与えることに、専門家たちが超党派で危機感を抱いていることが、同氏の支持率に大きな影響を及ぼしていることは間違いありません。

しかし支持率が下降している直接的な要因は、やはり今回の暴言でした。報道でご存知のようにトランプ氏は、イラク戦争 で戦死したイスラム教徒のホマユン・カーン大尉の父親でパキスタン移民のキズル・カーン氏に誹謗中傷を加えたのです。

「ゴールド・メダル・ファミリー」を冒涜

トランプ氏がイスラム教徒の入国禁止を主張していることに対してカーン氏が、米国憲法がすべての米国民の自由と平等を保障していることをとらえてこう発言したからです。

「トランプさん、あなたは一度たりとも米国憲法を読んだことがありますか」 「あなたは一度たりともアーリントン墓地を訪れたことがありますか。あそこには米国のために命を捧げた米兵が眠っています。人種、宗教、文化を超えて、すべての戦死者が眠っているのです」  カーン氏はトランプ氏によって、自身のプライドが傷つけられたと思ったのでしょう。

トランプ氏はカーン氏の演説について、「どうせヒラリー・クリントンのスピーチライターが書いたものだろう」と毒づき、さらにカーン氏の妻が一緒に登壇しながら無言だったことを取り上げて、「彼女は夫に何も言わせてもらえなかったのではないか」と、イスラム教徒の女性であるがゆえに発言できなかったとほのめかしました。

カーン氏によるこの演説は全米で同時にテレビ中継されるとともに、ユーチューブを通じて全世界に流れ、感動を呼びました。それだけにトランプ氏の反論は顰蹙を買ったのです。同氏の暴言に米国民は慣れっこになっていたのですが、今度ばかりは堪忍袋の緒が切れました。やはり物事には限度というものがあります。

—トランプ氏はこれまで女性、メキシコ系移民、イスラム教徒と、手当たり次第に侮辱発言を繰り広げてきましたね。今回はなぜこれほど激しく非難されたのですか。

高濱:米メディアは戦死した兵士の遺族を「ゴールド・スター・ファミリー」(名誉戦傷勲章受章者家族)と呼びます。国のために命を捧げた兵士とその家族を称える表現です。国家のために戦場で自らの命を犠牲にすることは米国人にとって最高の「愛国心の表れ」「愛国のシンボル」とされています。「ゴールド・スター・ファミリー」を冒涜することは最大のタブーなのです。

トランプ氏はそのタブーを破りました。もっともご本人はそれほど「罪悪感」を覚えてはいないようで、「公の場で、名指しでけなされたのだからそれに反論するのは当然ではないか」と開き直りました。それが火に油を注ぐ結果になってしまいました。

民主党はもとより、共和党の実力者たちも一斉に反発しました。共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務、ポール・ライアン下院議長、08年の共和党大統領候補だったジョン・マケイン上院軍事委員長らは「カーン大尉は英雄だ」「カーン一家の犠牲はつねに称えられるべきだ」「トランプ氏の発言は共和党を代表するものではない」と異口同音にトランプ氏を批判したのです。

こうした動きにトランプ氏はどう反応したと思いますか。ライアン氏に対しては「我々には強い指導者が必要だ。彼を支持するかしないかは、まだ決める段階ではない」と言明。報復手段に出たのです。

もっともトランプ氏は数日後にライアン氏やマケイン氏を支持すると前言を翻しました。これに対してライアン陣営などは「トランプ氏に支持されるとかえって再選の可能性が薄れる」と拒否しているのですね。トランプ現象はそこまで深刻な事態になっているのです。

共和党候補が南部の支持率で負けたのは20年ぶり

—クリントン、トランプ両氏の支持率の動向について、もう少し詳しく教えてください。

高濱:最新の有権者の動向を徹底調査したNBC/ウォールストリート・ジャーナル合同世論調査(7月31日から8月3日実施、8月5日公表)を見てみます。

同調査では、クリントン氏の支持率は47%、トランプ氏38%で9%の差がつきました。

バラク・オバマ氏とミット・ロムニー氏(元マサチューセッツ州知事)が争った12年の大統領選でこれほど差がついたことは一度もありません。08年、オバマ氏とマケイン上院議員とが競った大統領選では、08年10月にオバマ氏が一回だけ10%の差をつけたことがありました。9%はそれ以来の大差ということになります。

同調査の内容をもう少し詳しく検証してみます。クリントン氏とトランプ氏の支持率の差(クリントン氏の支持率-トランプ氏の支持率)を地域別に見ると、以下のようになります。

北東部 中西部 南部 西部
+14% +15% +3% +12%

南部で民主党候補の支持率が共和党候補の支持率を上回ったのは20年ぶりのことです。

政治信条別にみると、リベラル派では+72%、中道派では+23%。保守派ではトランプ氏が52%リードしています。

居住地域では、クリントン氏が都市部で36%リードしていますが、都市圏近郊ではトランプ氏が1%、農村部では23%の差をつけてリードしています。

さらに年齢別では、クリントン氏は<18歳から34歳>で+12%、<35歳から49歳>で+4%、<50歳から64歳>で+16%とそれぞれリードしています。トランプ氏は<65歳以上>で+3%リードしているだけです。

選挙人はクリントンが64 %を獲得

—トランプ氏の暴言がいかにたたっているかがよくわかります。ところで「スィング・ステート」(揺れる州)を制したものが大統領選を制するといわれています。これらの州での支持率はどうですか。

高濱:大統領選の行方を左右するとみられるスィング・ステートのうちフロリダなど4州でクリントン氏はトランプ氏に水をあけています。その差は以下のとおりです。

フロリダ州 ペンシルべニア州 ミシガン州 ニューハンプシャー州
+6% +11% +9% +15%

工業地帯を抱えるペンシルべニア州やミシガン州で勝敗を決するのは、そこに住むブルーカラー層の取り合いです。現時点ではクリントン氏に軍配が上がっているようです。 (”Mika: Trump could end up as the biggest loser,” www.msnbc.com., 8/5/2016)

—「スィング・ステート」でこれほど差をつけられては、現状では、トランプ氏の勝ち目はないとみるべきなのでしょうね。

高濱:支持率は重要ですが、より大切なのは3か月後の大統領選の勝敗を決める選挙人獲得レースの行方です。ご存知のように、選挙人538人のうち過半数の270人を獲得したほうが勝ちです。

統計に基づいて選挙情勢を予想する「ファイブ・サーティ・エイト」(FiveThirtyEight/Nate Silver’s FTE)は8月5日段階で、クリントン氏は選挙人346.7人を確保、これに対しトランプ氏は191.0人にとどまっていると予想しています。そしてクリントン氏の勝つ確率は81.5%と断定しています。 (”Who will win the presidency?” FiveThirtyEight, 8/5/2016)

—自分が所属したり支持したりしている政党が指名した大統領候補ではなく、他の党の大統領候補に選挙人が投票する例は過去にありましたか。

高濱:「レーガン・デモクラット」という言葉を覚えていますか。80年、84年の大統領選挙で、民主党員でもあるにもかかわらずロナルド・レーガン共和党候補に票を投じた民主党員のことです。

レーガン氏は、安全保障や移民問題で保守的な価値観を強調することで、本来なら民主党支持層である東部の住民の一部や中西部の白人労働者層を引きつけ、勝利したのです。その背景には、経済の停滞を招いたジミー・カーター第39代大統領に対する民主党支持層の一部からの不満がありました。

米ロサンゼルス・タイムズのシニア・ライターの一人は筆者に「クリントン氏は今回、そのレーガン氏のお株を奪おうとしている。トランプ氏ではなく、クリントン氏に票を入れる共和党員や支持者はまさに『ヒラリー・リパブリカン』と呼んでいいだろう」と語っています。

「ヒラリー・リパブリカン」の特徴は、トランプ氏の暴言が嫌いなだけでなく、政治思考や政策に危機感を覚えていることです。中には、トランプ氏の指名を阻止することができなかった共和党のエスタブリッシュメント(既成権益層)の人たちも含まれています。「沈みかけたトランプ号」に見切りをつけて「ヒラリー丸」に乗り移ろうとしているのです。

皮肉なことですが、こうした「ヒラリー・リパブリカン」の中には、レーガン政権で大統領スポークスマンやスピーチライターを務めたダッグ・エルメッツ氏や訟務長官だったチャールズ・フライド氏などがいます。

さらにクリントン氏に投票すると公言している共和党員には、大統領選予備選に出馬して撤退したマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)、ミット・ロムニー氏、マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長らがいます。 (”The Republicans Defecting to Hillary Clinton” Clare Foran, The Atlantic, 8/5/2016)

ゲーツやアーミテージもヒラリー支持か

クリントン氏に投票するかどうか態度を明確にはしていませんが、少なくとも「トランプ氏は大統領には不適格だ」と言っている共和党員、共和党支持者たちとして、以下の人々が挙げられます。「潜在的ヒラリー・リパブリカン」です。

<政界> マコネル 上院院内総務(ケンタッキー) ライアン 下院議長(ウィスコンシン) リチャード・ハンナ 下院議員(ニューヨーク、今期で引退予定) アダム・キンズガー 下院議員(イリノイ) マーク・カーク 下院議員(イリノイ)

<官界OB> ロバート・ゲーツ 元国防長官 マイケル・ヘイデン 米中央情報局(CIA)の元長官 マイク・モレル CIAの元長官代行 ブレント・スコークロフト 元大統領国家安全保障担当補佐官 リチャード・アーミテージ 元国務副長官

<経済界> メグ・ホイットマン ヒューレット・パーカード(HP)CEO セス・カーマン 投資会社「ボウポスト・グループ」創業者

<言論界> チャールズ・クラウトハマー 評論家 ジョージ・ウィル 保守派コラムニスト マイケル・ケイガン ネオコン(新保守主義)学者

側近も手を焼くトランプの暴言癖

—クリントン氏に大差をつけられているのに、トランプ氏はなぜ暴言を続けるのでしょう。共和党大統領候補としてもっと品位を持って国民受けする政策を打ち出すなどして、形勢逆転を図ろうとしないんでしょうか。

高濱:トランプ氏は共和党大統領候補に正式に指名されたあとは失言暴言を抑え、まともな大統領候補として振る舞うのではないかとみられていました。

先ほどお話しした「カーン氏の発言に対する批判」については、トランプ氏の側近たちは事前に「カーン氏を誹謗中傷するよりもクリントン攻撃に専念すべきだ」と助言したようです。しかしトランプ氏はそれを無視しました。

その後も「ヒラリーは悪魔だ」「バーニー・サンダース(上院議員)は健闘したが最後には悪魔(ヒラリー)と握手してしまった」と暴言をやめません。対立候補を「悪魔」などと呼ぶ主要政党の大統領候補はこれまでいませんでした。

トランプ氏の側近の一人は、「トランプ氏は一度言い出したら人の意見など聞かない。とくに人に批判されると、すぐカッとくる性格で、そう簡単には治せない」とこぼしていたそうです。

トランプ氏の性格について、カリフォルニア州パサデナ在住の精神科医、ドリュー・ピンスキー博士は次のように述べています。「トランプ氏は、法律で厳格に定義づけられている精神異常とは言えないかもしれないが、複合的精神疾患の兆候が出ている。直接診断してみないとわからないが、強度の自己愛性人格障害(A narcissistic personality disorder)、あるいは人格障害症(Sociopath)かもしれない」。 (”Dr. Drew Pinsky: Trump may be mentally ill–so what does that say about his supporters?” Travis Gettys, www.rawstory.com. 8/2/2016)

—「トランプ辞任後」を模索し出した共和党指導部?

トランプ氏が「人格障害」ですか。「人格障害」は、気分の波が激しく、感情の抑制が出来ず、ちょっとしたことで癇癪を起したりするそうですね。だとすれば、トランプ氏のあの言いたい放題もわかる気がします。

高濱:8月3日の夕方、米3大ネットワーク(CBS、 NBC、ABC)が夜のニュースで、トランプ陣営内のもめごとについて一斉に報道しました。トランプ氏は側近の言うことを一切聞かず、選対最高責任者のポール・マナフォート氏もお手上げ状態だというのです。

さらにロサンゼルス・タイムズはショッキングな記事を掲載しました。「共和党指導者たちは、トランプ陣営のスタッフがトランプ氏をコントロールできなくなっていることに苛立っている。トランプ氏が突如、共和党大統領候補をやめてしまった場合の対処策についてすら協議し始めているという。共和党指導部の幹部の一人は、万が一、トランプ氏が辞めた場合、その空席をどう埋めるかについて弁護士が法律面から研究調査していると語っている」 (”‘A sense of panic is rising’ among Republicans over Trump, including talk of what to do if he quits,” Noah Bierman, Los Angeles Times, 8/3/2016)

—主要政党の大統領候補が本選挙の前に「敵前逃亡」するなんて、米史上初めてのことではないのですか。そうするくらいなら、不動産王のトランプ氏は一体なぜ大統領選に立候補したのでしょう。

高濱:そういきり立たないでください。CBSのディジタル政治部門の編集長、ウィル・ラーン氏が「トランプに関する陰謀説ガイド」と題する記事(8月4日)を書いています。これに沿って、話をしましょう。

この記事の主旨を以下に箇条書きにします。

  • 1)トランプ氏は最初から大統領になる気などなかった。  MSNBCアンカーウーマンのレイチェル・マドウ氏、「ポリティコ」のタッカー・カールソン氏が主張。
  • 2)トランプ氏は最初からクリントン一家と話がついていた。  トランプ氏は09年まで民主党員だった。クリントン一家とは親しく、05年に行なった現夫人メラニアさんとの結婚式にクリントン夫妻を招いている。共和党の指名争いに参加することで、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が共和党大統領候補になる芽をつぶした。ブッシュ氏は、クリントン氏にとって手ごわい存在とみられていた。
  • 3)トランプ氏は今もなおロシアのウラジミール・プーチン大統領の周辺と商売をしている。  ロシア政府系のメディアは親トランプ色を色濃く滲ませており、トランプ氏を「外交政策の学者」とまで持ち上げている。トランプ氏の側近の一人は、ウクライナの前大統領、ビクトル・ヤヌコビッチ氏の助言者だったと報じられている。トランプ氏はロシア投資家たちと多くの取引を行ってきた。

 ・   4)トランプ氏は最初から大統領候補を途中で降りるつもりでいた。  ABCは、トランプ氏が共和党大統領候補から降りた時に誰を後継者にすべきか共和党幹部が検討を始めていると報じている。党則第9条には大統領候補が本選の前に辞めた場合、州単位の投票で新たな候補を選ぶことになっている。

(”Rule–Republican National Committee: Rule No. 9, Filling Vacancies in Nominations,” cdn.gop.com.)

この4つの説のどれかが真実だったとすると、予備選でトランプ氏に投票した共和党員・支持者、全国党大会で渋々トランプ氏を指名してしまった党員、そしてトランプ氏のことを精力的に報道してきた米メディア、さらに世界中のメディアは、みな騙されたということになりますね。 (”A Guide to the conspiracy theories about Donald Trump,” Will Rahn, CBS News, 8/4/2016)

The Economist記事

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「他の国の内政に干渉すべきではない」と主張している。だが、他の国を侵略したり、悪辣な政治家に資金を援助したり、恐らくは米民主党とその大統領候補を困惑させるために陰謀を企てたりするのは、同氏のいう“干渉”には当たらないのだろう。

民主党全国委員会の電子メールを巡るスキャンダルにロシア政府がどのような役割を果たしたか、その目的は何か、そしてこのスキャンダルで誰が一番大きな打撃を受けるのかは、まだ明らかになっていない。分かっているのは、内部告発サイトのウィキリークスが7月22日に、同委員会のアカウントからハッキングされた1万9000件を超える電子メールを公開したことだ(ウィキリークスはこの5日後、ハッキングされたボイスメールも公開した)。

Putin & Hillary

APECサミットでクリントン米国務長官(右=当時)と言葉を交わすロシアのプーチン大統領(2014年9月8日)=AP

バーニー・サンダース上院議員を支持する人々の間では、同党幹部が予備選挙において、ヒラリー・クリントン前国務長官に肩入れしているとの見方が出ていた。今回暴露された電子メールの一部は、サンダース議員の支持者が抱いていた確信を裏付けるものだった。

極め付きは、「サンダース氏が無神論者だという話を流したらどうか」というある幹部の発言だ。サンダース議員の支持者は憤りをあらわにし、フィラデルフィアの党全国大会で抗議行動を起こす意図を明らかにしていた。

フロリダ州選出の下院議員、デビー・ワッサーマンシュルツ氏は7月24日、混乱の責任を取って同委員会の委員長を辞任した。

■ロシア関係の2組織が関与か

サイバーセキュリティー会社のクラウドストライクは、すでにロシアの関与を確認している。同委員会は5月に同社に協力を要請していた。同社によれば、ハッキングは昨年夏に始まった。それ以降、ロシア情報機関と関わりがあるとみられる2つの組織が、度々ハッキングを繰り返した。この判断は電子的に残されている手がかりに基づく。他のサイバー調査機関(米国のスパイを含む)も見方を同じくしている。

この2つの組織は、この世界に詳しい人たちが「ファンシーベア」および「コージーベア」と呼ぶもの。後者は国務省、ホワイトハウス、統合参謀本部にサイバー攻撃を仕掛けたと言われる。

ロシアの安全保障を専門とするアンドレイ・ソルダトフ氏は別の仮説を示している。2つの集団のうち1つは民間のハッカーで、もう1つは同社の政府関係顧客だと言うのだ。自分がやったという自称ルーマニア人(ルーマニア語はしゃべれないという)の匿名ハッカーの証言は信ぴょう性が薄い。

ウィキリークス――創始者のジュリアン・アサンジ氏はかつてロシアのプロパガンダテレビ局でトークショーの司会を務めていた――は今回のメール漏洩とロシアとのつながりを否定している。ロシア政府も冷ややかに疑惑を全面否定した。

そうであるにもかかわらず、プーチン大統領がクリントン氏を嫌っており、このことがクリントン氏をおとしめる動機となっている可能性があるとの見方には十分な説得力がある。クリントン氏が2011年に「ロシアの議会選挙は公正に行われなかった」と抗議したことにプーチン大統領は反発。クリントン氏が「(国内の活動家を)あおり」、「(ロシアの活動家に)合図を送った」と非難した。

プーチン大統領の見方に立てば、ソ連崩壊後に生じた混乱の陰には、いつも米国の陰謀があった。モスクワにおいてクリントン氏は総じて、好戦的で経済制裁を声高に主張するタカ派とみなされている。

■トランプ氏のロシア人脈

一方、共和党の大統領候補となったドナルド・トランプ氏はクリントン氏よりもロシアにとってはるかに好ましいと受け止められている。トランプ氏は複数の同盟国との話し合いよりも2国間協議を、国際問題に関与することよりも孤立主義を優先する意向を打ち出している。ロシアの人権無視やその解決に向けた米国の役割に重きを置いてはいない。そしてプーチン大統領にとってとりわけ心強いことに、北大西洋条約機構(NATO)を軽視し、相互防衛義務を履行するかしないかは米国が判断できると示唆している。

見方によっては、これらはすべて、トランプ氏の大統領就任をロシアが後押しする材料となる。陰謀説を唱えたがる人々の中には、トランプ氏の選挙運動とクレムリンとのつながりを疑う者さえいる。その証拠として、トランプ氏のロシアでの事業展開や、プーチン大統領を持ち上げるような発言、側近たちの過去の行いを挙げる。

例えば、トランプ氏の選挙運動で責任者を務めるポール・マナフォート氏は、元ウクライナ大統領のビクトル・ヤヌコビッチ氏(大統領を解任されたあとロシアに逃亡)の顧問だった。外交政策顧問の1人、カーター・ページ氏は、ロシアの国営ガス会社ガスプロムとつながりがある。

トランプ氏も同委員会のメール流出問題を冷笑した。その後、驚くべきことに、クリントン氏の私的な電子メールをハッキングするようロシアに促すともとれる発言をした。さらにトランプ氏は、ロシアによるクリミア編入に関する承認を検討する考えを示した。

それでも、ロシアと関わる人材をトランプ氏が多用していることは陰謀ではなく、相関関係によって説明できる。プーチン大統領のために働くのもトランプ氏のために働くのも、罪の意識があってはできないことだ。

ジョージ・ワシントン大学の機関誌「カウンターポイント」の編集者、マリア・リップマン氏によればロシア政府は、同政府が米国政治に大きな影響を与えることはできないと理解している。電子メールの流出にロシア政府が関与しているとするなら、その目的は大統領選においてトランプ氏を有利にするという野心的な試みにあるのではなく、米国の民主主義が安直で多くの欠点を内包していることを、衆目の下にさらすことにあると思われる。

米連邦捜査局(FBI)の捜査が進めば、このハッキングが不都合な政治家を暴露するためにクレムリンが採る常とう手段――会話を盗聴したり、浮気の証拠となるぼやけた写真を盗み撮りしたり――に類するものかどうか、判明するかもしれない。その意図がどのようなものであれ、クリントン氏よりもトランプ氏のほうが、今回の電子メール・スキャンダルで大きなダメージを受ける可能性が大きいだろう。トランプ氏が困惑するなどということがあリ得るとすればだが。

(c)2016 The Economist Newspaper Limited Jul 30th – Aug 5th, 2016 All rights reserved.

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「THAAD」を逆手に取る中国、韓国を金縛りに 「南シナ海」でオバマの警告を無視した朴槿恵』『習近平の「シカト」に朴槿恵は耐えられるか 「米中板挟み」で国論分裂、保守からも中立論』(8/9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

韓国が西側に戻らず、中国に寝返るのであれば、慰安婦合意の10億円も払う必要ないでしょう。中国の属国、手先にハッキリとなる訳ですから。「盗人に追い銭」です。金を払ったことで世界にまた証拠としてアピールするでしょう。通貨スワップも以ての外です。米国が何を言おうと救ってはなりません。恩義を感じない、自己中心の民族です。「困っているのでしたら、人民元のスワップがあるでしょう」と答えれば良いです。虫の良い話はなしにしないと。日本人の名誉を貶め、竹島も勝手に奪った国です。日本人はもっと怒った方良い。基本は「非韓3原則」ですが。

在韓米軍も縮小してきています(ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」より8/10「在韓米軍基地、80ヵ所のうち54ヵ所が韓国側に返還」)。戦時作戦統帥権もいざとなれば返すようにするかも。米軍が撤退すれば、核無しで北に統一されるシナリオが真実味を帯びます(8/8小生のブログで紹介しました8/5ZAKZAK記事)。また韓国人の心根には日本をやっつけたいという気持ちがどうしても拭えないようです。(ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」より8/10「韓国 『韓国に感謝しないアメリカを捨てて、中国と軍事同盟して日本を倒す』」)。まあ、勝手にほざいていれば良いだけの話。それであれば日本には泣きついてくるなと言いたい。乞食よりタチが悪い民族です。甘やかしてはいけません。日本人は韓国を敵国と認識しなければ。親中・親韓派政治家は選挙で落とすべきです。

http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/archives/64850266.html

http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/archives/64809257.html

8/10ZAKZAKには「尖閣で暴走する中国封じ 米空軍がグアムに“見えない爆撃機”を配備した狙い」という記事が載りました。

<日米両国が、暴走する中国の封じ込めに乗り出した。沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に、中国海警局の公船や漁船が挑発的な侵入を繰り返していることを受け、外交・安保情報を共有するだけでなく、日米同盟の存在感をアピールしているのだ。こうしたなか、米戦略軍はグアムの空軍基地に、「見えない爆撃機」として恐れられるB2戦略爆撃機を緊急配備した。  「(尖閣は)日本の施政権下にある」「状況を注視している」  米国務省のトルドー報道部長は9日の記者会見で、こう語り、日米両政府が緊密に連携して対応する考えを示した。  尖閣周辺での中国公船の領海侵入は5日以降、継続している。海上保安庁によると、9日、接続水域を航行した公船は13隻で、うち4隻が領海に侵入した。近くには、海上民兵が乗り込んでいるとみられる約300隻もの漁船が集結している。  中国の暴走に対し、岸田文雄外相は同日、中国の程永華駐日大使を外務省に呼びつけた。8分間も待たせる“外交非礼”を意図的に演じ、強烈な抗議の意思を伝えた。さらに、中国公船の活動状況や、日本政府の対応に関する資料を外務省HPなどで公表し、国際世論にも訴えている。 中国は先月、ハーグの仲裁裁判所で、南シナ海における主権を全面否定される裁定を受けた。現在、習近平指導部が党長老と重要議題を協議する「北戴河会議」が行われているとみられる。習指導部は求心力を維持するため、無謀な挑発を仕掛けているようだ。

自衛隊は警戒態勢を敷いているが、同盟を組む米軍も黙ってはいない。

米戦略軍は9日、米領グアムのアンダーセン空軍基地に、B2戦略爆撃機3機を一時配備したと発表した。B2爆撃機は「全翼機」と呼ばれる特殊な形状を採用し、高いステルス性能を持つ。通常爆弾のほか、巡航ミサイルや核爆弾も搭載可能で、大ヒット中の映画「シン・ゴジラ」にも登場している。

同軍のヘイニー司令官は「地域の安全保障体制を支援するという米軍の決意を示している」と強調しており、中国の暴走を軍事的に牽制しているのは間違いなさそうだ。>

岡崎久彦氏の言うアングロサクソンとの紐帯を深めるため、日米安保を強固なものにするのを基軸として、日英同盟も持ちかけるようにしてはどうでしょう。パンダハガーのキャメロン・オズボーンからテリーザ・メイ政権に変わりましたので。

ただ、稲田防衛大臣の言った「自分の国は自分で守る」のは当り前のこと。中国が尖閣を取りに来たら、直ぐに日本単独で奪い返さないといけません。それはルトワックも指摘しています。稲田発言を左翼リベラルは「軍国主義」とか言って騒いでいますが、その論理では世界の国々は総て軍国主義になります。民主主義国も共産主義国も。論理が破綻しているのに気が付かないor気付いても日本を弱体化してシナの属国にする意図が働いているとしか思えません。日本人はもっと世界の常識を意識せねば。

8/9記事

THHAD in S Korea

「THAAD」を巡る米中の駆け引きが韓国をすくませる(写真提供:U.S. Department of Defense, Missile Defense Agency/ロイター/アフロ)

前回から読む)

地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備を巡り、しのぎを削った米中。果たして中国は「負けた」のか。

結局は中国の属国に戻る

–中国は歯ぎしりしているでしょうね。韓国がTHAADの配備を認めました。これで「離米従中」に歯止めがかかるでしょうから。

鈴置:初めはそう見えました。韓国の親米保守の人々も胸をなでおろしました。前々回の見出し通り「中国陣営入り寸前で踏みとどまった」からです。でも、その後の展開を観察すると、話はそんなに簡単ではありません。

—配備が容易に進みそうにないからですか。

鈴置:それもあります。加えてこれを機に、むしろ韓国が中国側により傾く気配が出てきました。「結局は中国の属国に戻るのだ」と自嘲する親米派の識者もいます。

THAAD配備への容認を理由に、中国が報復を露骨に匂わせた。すると、それに怯えた韓国が、ますます中国の顔色を見るようになったのです。

つまり、中国は「THAAD」を逆手に取って韓国をコントロール――金縛りにし始めたのです。典型的なのが「南シナ海」問題です。

「法的に拘束」VS「留意」

THAAD配備決定の発表が7月8日。4日後の7月12日にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、中国が主張する「南シナ海の主権」には国際法上の根拠が全くないとの仲裁判断――判決を下しました。

フィリピンが提訴した裁判です。周辺国の非難を無視し南シナ海を軍事拠点化してきた中国にとって、極めて不利な判決でした。

日米両国政府は直ちに「紛争当事国は判決に法的に拘束される」と指摘し、中国に受け入れを求めました。しかし韓国政府は翌13日になってようやく「平和的な解決を求める」との曖昧な外交部報道官談話を出してお茶を濁したのです。

判決に関しても「留意する」との表現に留めました。日米の「法的に有効である」との立場とはかけ離れています。「判決に拘束力はない」と言い張る中国の意に沿ったのです。

「中立」で中国のご機嫌取り

—「南シナ海」は「THAAD」とどう関係するのでしょうか。

鈴置:中央日報が本音を書いています。「あす『南シナ海判決』…もう一度試される『米中等距離外交』」(7月11日、日本語版)です。ポイントを引用します。

  • 南シナ海問題に詳しい外交当局者は10日「仲裁裁判所の判決結果に関係なく、南シナ海紛争に関する政府の従来の立場に変化はない」と述べた。
  • この当局者は「米国はやや不満かもしれないが、THAADを配備すると発表した後、韓中関係が急速に悪化している状況で米国の立場を後押しするのは難しい。米国もこうした点を了解するだろう」と述べた。

要は「THAAD配備決定で中国との関係が悪化した。それを言い訳にして南シナ海問題では米国側に立たない」ということです。

それどころか、南シナ海問題を利用して中国の怒りを解こうと韓国政府は考えたようです。記事は以下のように続きます。

  • 政府は、仲裁裁判所がフィリピンに友好的な判決を出す場合「韓国政府の中立的な立場」が今後の対中関係にプラスの影響を及ぼすと期待する雰囲気だ。中国政府が「判決自体を認めることも従うこともない」として強い拒否感を見せてきたからだ。

—なるほど「中立を打ち出して中国のご機嫌を取る」作戦ですね。

鈴置:そんな見え透いたご機嫌取りに中国が騙されるとも思えません。が、韓国は中国の報復がとにかく怖い。そこで、THAAD以外の問題で中国の意向に沿うことに全力を挙げ始めたのです。

47%が「中国が最重要」

—なるほど。確かに、中国は制裁をちらつかせることで韓国を身動きできなくしてしまっていますね。

鈴置:THAAD問題では配備が決まったので、中国が負けたと考える人が多い。でも、それは戦術面の話。南シナ海も含め、戦略的には中国が勝ったと私は見ています。

—「中立的な立場」――つまり、中国に金縛りになったことに対し、韓国内で批判は出ませんか。

鈴置:そんな声を上げる人はほとんどいません。私が読んだ限りでは、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに「ヴァンダービルド」の匿名を使って論陣を張る外交・安保専門家ぐらいでした。

この人は「フィリピンやベトナムと比べても恥ずかしい卑屈な態度」と自分の国を嘆きました(「韓国は『唐と戦った新羅』になれるか」参照)。

しかし、ヴァンダービルド氏のように米韓同盟の堅持を訴える「腰の据わった親米派」は減り続けています。韓国という国は時に反発しながらも、中国の勢力圏で生きる決意を固めている最中なのです。

韓国の東アジア研究院が2016年6月から7月にかけて韓国人に「最も重要な国」を聞いたところ、1位は中国で47.1%。米国は39.8%で2位でした(グラフ参照)。韓国はもはや、親中国家と呼ぶべきです。

Important nation for Korea-2

「怖い」から従う

—でも「中国は嫌い」と言う韓国人もいます。

鈴置:確かに中国嫌いの韓国人が多い。今回の「報復するぞ」との威嚇で、韓国の嫌中感情はますます高まるでしょう。でも、嫌い――正確に言えば「怖い」から中国に従うしかない、と韓国人は考えるものなのです。

—「我々は中国に怯んでいない」と言ってくる韓国人もいます。

鈴置:韓国人はそう思いたいのです。どう公平に見ても「南シナ海」では対中批判に加わらず事実上、中国支持に回りました。が、韓国紙は「中立だ」と書くのです。「中国に怯んだ」ことを認めたくないのです。

韓国政府も奇妙な言い訳を用意しました。「南シナ海で米国を支持できないのは日本のせい」です。

外交部が記者クラブを相手にレクチャーしたようで、各紙が一斉に「日本のせいだ」と書きました。ハンギョレの「韓国政府、『南シナ海判決』 16時間後に短く曖昧な声明」(7月13日、日本語版)から関連部分を引用します。

「弱腰」は日本のせいだ

  • 政府のこうした慎重で曖昧な反応には、米中軋轢の間でバランスを取るだけでなく、今回の裁判結果が日本の独島挑発を刺激しかねないという憂慮も作用したものと見られる。
  • 「竹島(独島)を韓国が不法に占拠している」と主張してきた日本政府が、独島問題を仲裁裁判所に提訴する可能性を排除できないためだ。

今回の仲裁裁判所の判決を明確に支持しないのは「日本が韓国を『竹島』で訴え勝訴した際、受け入れなければならなくなるから」との説明です。

でも、韓国は「竹島」と「南シナ海」は無関係、と言い張る手があります。国際紛争ではダブルスタンダードが当たり前。ことに韓国は、それを恥ずかしいと思う国ではありません。そもそも日本が裁判に持ち込む可能性は今のところ低い。相当に苦しい言い訳です。

—韓国では「なんでも日本が悪い」のですね。

鈴置:ええ、それが常套手段です。こう説明すれば「中国に弱腰」との批判をそらせると外交部は考えたのでしょう。実際、先ほど述べたように、政府に対する「弱腰批判」は表面化していません。

もっとも、この「『独島裁判』で負けた時に受け入れねばなくならなるから」との説明は自爆攻撃です。韓国は常々「独島は我が国固有の領土」「日本の領有権主張は妄言」と主張しています。

「裁判が怖いとは、よほど領有に法的自信がないのですね」と突っ込まれてしまいます。実際、韓国の国際法専門家の中には「日本と裁判になったら負ける」と内心、考えている人が結構います。

「離米従中」がしやすくなった

—韓国の金縛り現象は「南シナ海」以外に広がりますか。

鈴置:そう思います。韓国各紙は政府の南シナ海に関する姿勢を「米中等距離」と書いています。しかし、先ほど指摘したように実質的には「中国側に立った」のです。

米国は韓国に「南シナ海での中国の軍事基地化に批判の声を上げよ」と要求してきました。2015年10月の米韓首脳会談の後の共同会見では、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を横に置いてオバマ(Barack Obama)大統領が以下のように述べました(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

  • 朴大統領にも伝えたのだが、1つだけ中国に言い続けねばならないことがある。それは中国が国際的な規範とルールに従うことだ。もし中国がそうしない時には、韓国が我々と同様にしっかりと声を上げて批判することを望む。

韓国が今「しっかりと声を上げて中国を批判している」とは誰もが思わないでしょう。ことに、仲裁裁判所が「中国のルール破り」を明確に認めた後なのです。

米国がそんなにはっきりと釘を刺していた「南シナ海」でさえ、韓国は自称「中立」、実際は中国支持に回ったのです。他の米中対立案件で今後、どんどん中国側にすり寄る可能性が極めて高い。

「THAAD問題で中国から脅されている」と言えば、少々のことをしても米は怒らないだろう。「離米従中」がやりやすくなった――と韓国は考え始めたのです。

それにオバマ政権の任期は2017年1月まで。仮に、レームダックになった大統領に怒られても怖くない。米中二股外交は、次の大統領の顔色を見ながら加減すればよい――と思っているのでしょう。

「政治家への制裁」が威力

—米国に対する甘えですね。

鈴置:「米国は中国ほどに無茶苦茶なイジメはして来ない」と韓国は信じていますからつい、米国に甘えるのです。

—それにしても、中国の脅しはよく効きますね。

鈴置:全くです。韓国は制裁される前から縮み上がって、中国の言いなりになってしまった。今後、注目すべきは「政治家への制裁」です。

表は「環球時報が中国政府に建議した『5つの対韓制裁』」です。韓国紙はなぜか、経済制裁ばかり気にしています。しかし、実際には2番目の「政治家への制裁」が威力を発揮してくると思います。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

こちらの方がはるかに深刻な影響を及ぼします。それは次回に詳しく説明します。

8/10記事

Xi Jingping-2

THAAD配備に怒る中国。うろたえる韓国は国論が分裂した(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

米中板挟みに苦しむ韓国。ついに米韓同盟を破棄し、中立化しようとの声が上がった。それも、保守の大御所からだ。

朴槿恵も中国入国禁止?

前回は「韓国の政治家に対する制裁」に注目すべきだ、というところで話が終わりました。

鈴置:表の「環球時報が中国政府に建議した『5つの対韓制裁』」をご覧下さい。注目すべきは2番目の「配備に賛成した政治家の入国禁止」です。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

これを適用すれば、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は訪中できないことになります。この人こそが中国を怒らせた「地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)配備容認」の最終的な責任者なのですから。

—朴槿恵大統領は今後、一切、中国に入れないというのですか?

鈴置:中国で開く国際会議に参加するのは許すでしょう。認めなければ「国際的なルールも守れない」と、今以上に世界から馬鹿にされてしまいます。

しかし、中韓首脳会談には応じないと思います。中国ではもちろん、それ以外の場所でも。今、首脳会談を実施すれば、中国はメンツを失います。

習近平主席が直接、朴槿恵大統領に「THAAD配備は認めるな」と要求していたからです(「『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」参照)。

「安倍以下」の存在に

—中国は朴大統領を無視……シカトする必要があるのですね。

鈴置:「シカト作戦」はすでに始まっています。7月15、16日の両日、モンゴルの首都、ウランバートルでアジア欧州会議(ASEM)首脳会議が開かれました。

15日、李克強首相は安倍晋三首相と会談しました。が、朴槿恵大統領とは会いませんでした。「朴は安倍以下に扱う」と宣言したのも同然です。

「朴槿恵大統領は中国と史上最高の関係を築いたのに、安倍は中国に嫌われている」「韓国は日本以上に重要な存在と中国から認められている」と韓国人は信じています。

その韓国人が「安倍以下」を知ったら、さぞかしショックだったでしょう。そのせいか、「日中首脳会談は開かれたが『中韓』はなかった」との視点で報じた韓国メディアは、私が見た限りありませんでした。

さらに、李克強首相、7月15日の夕食会で同席したにもかかわらず、朴槿恵大統領と会話を交わしませんでした。徹底的な無視作戦です。

中央日報の「朴大統領、EUと『FTA改定』…安倍首相とは『北核連携を強化』」(7月16日、日本語版)がチラリと――「同じテーブルに座ったが特に対話はなかった、と青瓦台(大統領府)関係者は伝えた」と報じています。

「南シナ海」で恩を売る

—韓国政府は中国との首脳会談を望んでいたのですか?

鈴置:もちろんです。「THAAD」で入ったヒビを修復するためです。我が国は「南シナ海」問題で米国の要求に逆らい、対中非難に加わらなかった。これを評価してもらえば首脳会談も可能――と期待したようです。

中央日報が「あす『南シナ海判決』…もう一度試される『米中等距離外交』」(7月11日、日本語版)で、以下のように書いています。文章を整えて引用します。

  • 仲裁裁判所の判決の後の韓国の中立的な立場が、アジア欧州首脳会議での朴槿恵大統領と李克強中国首相の会談実現につながるとも政府は見ている。
  • 会談が実現するか否かが、THAAD配備で悪化した韓中関係が少しでも進展局面に入るかのバロメーターになる。

人民日報がタブーを破った

—でも、韓国の期待は「シカト作戦」の前に空振り……。

鈴置:そうこうしているうちに、韓国では「人民日報が朴槿恵大統領を名指しで批判した」と騒ぎになりました。

朝鮮日報の「『THAAD固守』を明かした翌日…党機関紙が朴大統領を標的に脅す」(8月4日、韓国語版)を翻訳します。

  • 人民日報が3日まで連続4日間、オピニオン欄にTHAAD放棄を要求する社説や寄稿を載せた。ことに8月3日の社説は、朴槿恵大統領を真正面から狙い撃ちした点で、強度がこれまでとは異なった。

「大統領を狙い撃ちした」という人民日報の社説は「鍾声」というコラム。人民網・日本語版でも読めます。見出しは「中国の安全保障上の利益が損なわれてはならない」(8月3日)です。

—韓国のTHAAD配備容認を批判する記事で、韓国の大統領が名指しされるのは当然でしょう?

鈴置:韓国人は「我々の大統領は習近平主席と極めて親しい。そんなことはあり得ない」と、なぜか信じていたのです。前述の朝鮮日報の記事は以下のように続きます。

  • 昨年9月、中国の戦勝70周年の軍事パレードに朴槿恵大統領が出席し習近平主席と天安門の上で並び立って以降、朴大統領への批判は(中国メディアで)一種のタブーだった。だが、そのタブーが破られたのだ。

日本は化外の民

—本当に朴槿恵批判は中国でタブーだったのですか。

鈴置:韓国人の思い込み、あるいは希望的観測です。しかし、それだけにショックが大きかった。

—ここに至って、さすがに韓国人も「シカト作戦」に気づき始めたでしょうね。

鈴置:そのようです。もっとも、中国の「シカト」に韓国の大統領がどこまで耐えられるかは疑問です。これは中国もよく分かっています。

「THAAD配備を拒否するまで、朴槿恵とは会ってやらないぞ」と暗黙裡に脅し続けることでしょう。

—「どうぞご勝手に」と中国に言い返せば済む話ではないですか。わざわざ言わなくとも、知らん顔しておけばいい。

鈴置:韓国には中韓首脳会談が必要なのです。それを拒否された大統領は、国を危うくする指導者と国民に見なされ、支持を失っていくでしょう。

昔から、韓国人は宗主国との距離で自分の国の地位を確認してきました。中華帝国の中で「上から何番目の朝貢国か」が極めて重要だったのです。中国から「国家承認」を得られない王様は国民の支持を失います。

ちなみに、韓国人の日本に対する軽侮は、日本が中国に朝貢しなかったことから来ています。日本人は「中国の属国になるなんてとんでもない」と思います。一方、韓国人は心の底で日本人を「冊封体制に入れてもらえなかった野蛮な、化外の民」と見ているのです。

—そう言えば、天安門の軍事パレードでも韓国人は序列を異様に気にしました。

鈴置:ええ、「プーチン大統領に次いで2番目に習近平主席に近い席を我が国の大統領は与えられた」と韓国メディアは大喜びしました。大統領の支持率はなんと、一挙に5ポイントも上昇したのです(「統一は中国とスクラム組んで」参照)。

—次の大統領は中国が決める?

中国に揺さぶられると、朴槿恵大統領がTHAAD拒否に転じる可能性があるということですね。

鈴置:配備賛成派はまさに、それを恐れています。大統領はもともと配備に消極的でした。容認に転じたのは中国への失意から、との見方が韓国では一般的です。

多くの韓国の識者が「(2016年1月6日の)北朝鮮の4回目の核実験の直後、朴槿恵大統領が接触を求めたのに習近平主席から無視されたことが大きい」と説明します。

だから中国から脅されるだけではなく、逆に習近平主席から優しい顔を見せられたら、朴槿恵大統領が態度を急変させるのではないか――と懸念する人もいます。

—韓国をもてあそんでいますね、中国は。

鈴置:韓国にとってもっと大きな問題は、現職だけではなく次期大統領選挙も中国の「金縛り」にされるであろうことです。

2017年12月投票の大統領選挙では「THAAD配備」が争点となる可能性が高い。当然、中国と首脳会談もできず、制裁も防げない大統領候補――つまり、賛成派はかなり不利になります。

選挙戦の最中に中国が韓国への報復を発動すれば、THAAD反対派を大きく後押しできます。中国は韓国の次の大統領の「任命権」を持ったと言えるのです。

中国の皇帝は、高麗や朝鮮など朝貢国の王を任命する権利を持っていました。その冊封体制が今、よみがえってきた感じです。

平和を守る中国人

—各大統領候補のTHAADへの態度は?

鈴置:出馬すると見られているのは、保守から国連事務総長の潘基文(バン・キムン)氏。左派、中道から文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党・前代表と安哲秀(アン・チョルス)国民の党共同代表です。

THAAD配備に関し、左派・中道の2人は否定的です。潘基文氏は態度を明かしていませんが、中国に「弱い」人であるのは確かです。

潘基文氏は2015年の天安門の軍事パレードを参観しました。その際、会談した習近平主席に「この行事によって、平和を守るという中国の人々の願いが存分に示された。中国は長年にわたって国際平和・開発事業に積極的に尽力してきた」と称賛したのです(「『中国の尻馬』にしがみつく韓国」参照)。

3人の有力候補すべてが「THAAD反対派」ということになるかもしれません。賛成すれば「私が大統領になっても、5年間の任期中に中国との首脳会談は一度もできません」と国民に言っているのも同然ですから。

配備時期が2017年12月と、次期大統領が決まる頃に設定されたのも、米国の意向が働いたようにも見えます。配備後に次の大統領から「撤去しろ」と言われたらかないませんからね。

二股のツケを払う時

—韓国は「THAAD」という踏み絵を、米中双方から突きつけられてしまいました。

鈴置:二股外交のツケを払う時が来たのです。米中の間を立ち回って米国には自らを守らせ、中国は市場として活用する。米中両大国の力を背景に日本と北朝鮮を叩く――という朴槿恵外交はついに、にっちもさっちもいかなくなったのです。

—なぜ、韓国外交が破綻したのでしょう。

鈴置:最後の引き金は「THAAD」なり「南シナ海」なり、米中対立の激化でした。でもそもそも韓国には、二股をかけられるほどの国力も外交環境もなかったのです。

東南アジアの国なら米中二股は可能でしょう。中国とは空間的に離れていて、それによる軍事的な脅威は小さい。そして例えば、マレーシアには「北マレーシア」がないからです。

一方、韓国はすぐ隣が中国。北朝鮮という敵国もあって、核武装を進めている。今こそ、同盟国の米国が重要な時です。というのに朴槿恵政権は米国を中国との天秤にかけたのです。

笑いをこらえる日本

朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問が「大韓民国の素顔」(7月19日、韓国語版)で、THAADで国論が分裂する韓国を以下のように評しました。要約しつつ翻訳します。

  • 周辺国の中で、韓国を見て一番喜んでいるのは北朝鮮のはずだ。THAAD配備問題1つで社会が割れたからだ。
  • 中国は、自分の鼻息1つで台風に直撃されたかのように大騒ぎしている韓国を見て笑っているだろう。
  • 笑いをこらえるのは日本だ。「自由奔放を自慢する韓国だが、実は安保と国防で奔放どころか迷走している」と。
  • 最も深刻なのは米国の反応だ。韓国でTHAADに「拒否権」を発動する動きを見て「こんな国を守ってやる理由はあるのか」と考えているかもしれない。

—日本が「笑いをこらえている」とは思えませんが。

鈴置:ええ、日本は「ますます攻撃的になってくる中国にどう立ち向かうか」に神経を張っています。韓国に注意を払う人はあまりいません。

金大中顧問は、韓国の置かれた際どい状況を強調するため「笑いをこらえる日本」を入れたのでしょう。韓国人は自意識過剰な人たちなのです。さて、このくだりの後に、結論が来ます。

  • 自ら戦争をする(国を守る)決意もなく、周辺国が韓国を見下す状況では、韓国はどんな戦争にも勝てない。それなら有利な側に確実に立って受動的、従属的に暮らし、延命を図るのが次善ではないのか。

同盟破棄で分裂を回避

—金大中顧問は「二股外交」を言い出した人ではありませんでしたか? なのに「有利な側に立つ」と言うのですか。

鈴置:ええ、確かに「二股」の提唱者です。しかし、それには朴槿恵政権がものの見事に失敗。そこで「米中を操るなんて難しいことはあきらめ、どちらかの大国の衛星国になるしかない」と、次善の策を訴えたのです。

—米中どちらの衛星国になるつもりでしょうか。

鈴置:それは書いてありません。金大中顧問はこのくだりの次に、もう1つの策を提案し、筆を置いています。以下です。

  • さもなければ「中立」を宣言するなどして、最小限の安全を確保するのも1つの方策であろう。北朝鮮のミサイルを阻止するのにさほど効率的でもないTHAAD問題で、我々の素顔があまりにはっきりとしてしまった。

これが本心と思います。「受動的、従属的に暮らす」衛星国案を本気で主張しているとは思えません。最後に語る「中立案」を引き立てるための伏線と思います。

—中立とは米韓同盟を破棄するということですね。

鈴置:はっきりとは書いていませんが、そういうことです。この同盟があるからこそ「THAAD」や「南シナ海」で板挟みとなり、国が分裂するとの認識からでしょう。

もちろん、少数派となりつつある親米派がこうした意見を聞いたら「板挟み」の原因は米韓同盟ではなく「二股」にあると怒り出すでしょうけれど。

「中立」を担保する自前の核

—金大中顧問とは、どんな人なのですか?

鈴置:同姓同名の大統領もいましたが、この政治家は左派。一方、朝鮮日報で長い間、論説を書いてきた金大中顧問は親米保守を代表する有名な記者でした。この人の意見を「保守の声」としてチェックするのが韓国研究者の常道だったのです。

その金大中顧問が2013年4月に「米国よりも台頭する中国の方が韓国への影響が大きくなる」との理由を掲げ、堂々と「二股外交」を呼び掛けました。外国の研究者も韓国人も、あっと驚いたものです(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。

ただ、その時はまだ、米国との同盟は維持するとの前提でした。しかし3年後の今、米韓同盟の打ち切りを示唆するに至りました。「笑いをこらえる」どころか、時代の移り変わりのあまりの速さに恐ろしささえ感じます。

—米韓同盟を打ち切った韓国は、北朝鮮の核にどう対抗するつもりなのでしょうか。

鈴置:自分も核武装するつもりでしょう。

(次回に続く)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『米国の大学で中国人留学生の「不正」が蔓延 米国議会に諮問機関が警告、このままでは米国の教育が危ない』(8/8JBプレス 古森義久)について

中国人にとって不正は当り前の行為です。権銭交易が行われる国ですから。いつも言っていますように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という基本的価値観を持っている民族ですので。あの国では卒業証書の偽物は当り前です。拝金主義で金があれば何でもできるという発想をしますので。冥銭などはその最たるもの。習近平の清華大学卒というのも疑わしいものです。

中国人は外国に行っても同化することはありません。他人の迷惑を顧みず大声で話しますし、中国人同士で金が落ちるようにします。チャイナタウンがそうです。日本に来ても、中国人ガイドを雇い、中国企業のラオックス(蘇寧雲商の傘下)で買物をさせようとします。

日本も野放図な留学生の受入を止めるべきです。特に反日に固まった中韓からの受入は止めるべきです。産業スパイと同じです。先端技術や知識を盗み取られます。桜井誠氏が言うように、そのお金を日本人の奨学金に充てれば良いでしょう。日本との戦争を企てている国に支援をするのは愚かなこと。愚図愚図して何もしない政府では中国にいいようにやられるだけです。もっと日本人は危機感を持たねば。平和ボケの日本人を減らす努力をしていく必要があります。

記事

graduation ceremony in US

米国の大学で学ぶ中国人留学生が急増。それに伴い「不正」も増えている(写真は本文と関係ありません)

 米国に留学している外国人は今や中国人が圧倒的な多数を占めるが、その中国人留学生の不正行為の増加が米国で問題になっている。

 最近、米国議会の米中関係諮問機関が、中国人留学生の多くが入学や試験の際に不正を働いていることを指摘した。中国人留学生による不正行為の急増は米国の大学教育の質の低下をもたらすと警告している。

米国で学ぶ外国人留学生の3割が中国人

 7月末、米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は中国人の米国留学に関する報告書を発表した。同報告書はまず以下のような事実を報告している。

 2015年に米国内の2年制大学以上の教育機関で学ぶ外国人留学生の総数は約113万人だった。そのうちの31%にあたる約35万人が中国人留学生である。その動向は将来、米中関係全体あるいは米国の対中政策にも大きな影響を与えうる。

 中国では官民を問わず子弟を海外、特に米国に留学させることがますます重視されるようになってきた。その背景としては以下のような要因が挙げられる。

・米国留学の費用が高額になっているにもかかわらず、近年、中国では若者に米国で教育を受けさせることがブームとなった。中国共産党内部でも、習近平国家主席の娘や、失脚した重慶市党委の薄熙来前書記の息子がいずれもハーバード大学に留学していた。また2012年の時点では、最高権力機関の共産党政治局常務委員会のメンバー9人のうち5人までが子供を米国に留学させていた。

・中国人が子弟を米国に留学させようと努める理由は、第1に米国の大学などの高等教育が国際的に高い水準であることが中国でも認知されてきたこと、第2に中国社会では子弟に米国で学位を取得させると高い名声を得られること、第3に中国では地方から都市部のトップクラスの有名大学へ進学することは困難だが、米国の大学への留学にはその種の格差がないことなどだとみられる。

・米国に留学する中国人は経済成長に伴って急増し、2007年から2013年の間に人数が4倍に増えた。その結果、米国経済への貢献は2013年だけでも総計80億ドルに達した。中国留学生の大多数は、大学の授業料などを全額個人負担で払い、その1人当たりの額は一般の米国人学生の支出よりもずっと多い。また学業終了後に本国へ戻らない中国人留学生は全体の64%に及ぶ。

背景に学業支援ビジネス、留学代行企業の存在

 報告書は、以上のような中国側の背景を述べるとともに、中国人の米国留学の急増が米国に大きな問題をもたらしていると指摘する。それは中国人の留学に絡んで以下のような「不正」が蔓延しているからだ。

・2015年に米国の大学で合計約8000人の中国人留学生が退学処分を受けた。退学の原因や理由の33%が不正行為によるものだった。中国人留学生は、他国の学生に比べてその比率が特に高い。他国からの留学生や米国人学生の場合、退学の理由の中で不正の比率は5分の1以下だった。

・中国人学生の不正が多い背景には、米国大学へ留学中の中国人学生に向けた学業支援ビジネスの存在がある。そうしたビジネスでは、成績がふるわなかったり英語能力が不足している学生に向けて、試験を身代わりで受けたり、論文執筆や宿題を代行するなどのサービスをかなり高い代金で提供している。

・中国国内でも留学志望学生を不正に支援する「留学申請代行企業」が多数存在する。2014年の調査では、高校の成績表、大学に提出する論文、推薦状などをねつ造、偽造して作成するなど「不正申請」を働いている事例が全体の10%に達した。

・中国当局は2014年に、全国のこの種の「留学代行企業」454社に正規の営業許可を与えた。だが実際には北京市内だけでも、1000社以上の不正規の代行企業が営業活動をしていたことが判明している。

・米国の多くの大学が入学審査時に「SAT」(大学進学適性試験)を実施しているが、中国内で実施する際に中国企業が試験内容を事前に不正取得したり、販売したりしていることが明らかになった。SATに絡む中国側の不正行為は、2013年から2016年にわたって広範囲に認められた。SATを実施する米国の非営利組織カレッジ・ボード社は2016年1月に試験内容の一部が不正流出していることを察知して、中国での試験実施をすべてキャンセルした。

 同報告書は以上のように中国人留学生の様々な不正行為が、世界各国から留学生を受け入れる米国の留学制度を歪め、米国の高等教育そのものを汚染していく危険性を指摘し、米国の議会や政府に効果的な対策を講じることを勧告していた。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『ナチスに酷似する中国、宥和では悲劇再現も フィリピンの知恵に学び毅然とした対応を』(8/8JBプレス 久保善昭)について

中国の凄さは何かあると直ぐに多言語で反論する所です。中国駐在時代、多言語でTV放送しているのを見ました。それを見て、事情を知らない外国人は南京虐殺や従軍慰安婦等、事実でなく捏造・改竄した報道に手もなく騙される訳です。自国語に翻訳する手間をかけてくれている訳ですので。日本は中国の言う三戦の内、世論戦がカラキシ駄目です。戦闘だけが戦争ではありません。「外務省は何をしているか」と怒ると、彼らは「予算がなくて」と直ぐ言い訳します。予算の問題ではなく、今ある資産でどう世界に日本の正しさを伝えるかです。日本国民にすら正しい情報を与えず、外国での慰安婦訴訟や通州事件のユニセフへの記憶遺産申請は民間に丸投げです。これで高給を食むのは如何なものか。栗山や小和田のハンデイキャップ論が日本を誤らせて来ました。中国と戦争になれば、その責任の大半はマスメデイアと外務省にあると思います。これらを今まで放置してきた政府も政府です。選挙を通して政府代表を選んでいるので最終的には国民の責任ですが。

マスメデイアは誤った見方で日本を誤導してきました。特にネットが発達してないときには、情報を独占でき、チエックも反論もできない状態が続きました。世界的にメデイアはリベラルな主張が多いと言われています。宇野重規の『保守とは何か』の中にチャーチルの言葉が出てきます。チャーチルはあの時代の白人で人種差別主義者ですから好きではありませんが、紹介します。”If you are not a liberal at twenty, you have no heart. If you are not a conservative at forty, you have no brain”.今の日本人は40代以上がno brain になっているのでは。特にネットを駆使して情報が取れない60代以上の情報弱者、或は60年安保や70安保で左翼に染まり、そこから更生できない老人とか。メデイアの言うことを何でもすぐ信じるのは姿勢として正しくありません。嘘八百を言う中韓人になれという事でなく、嘘を見破る眼を持たないと騙され放し、損をするだけです。”gullible”そのものです。

中国のやっていることはヒットラーと同じ領土侵略です。でも欧米は遠く離れたアジアに関心が薄いためなのと中国との取引で経済的メリットを享受したいがために今の所強く出ないでいます。戦争になってからでは遅いのですが。チエンバレンの宥和政策が第二次大戦を招いたように、米国の宥和政策が第三次大戦の引き金ともなりかねません。南シナ海の原状回復をしない限り、中国に対する経済制裁を国際社会は課すべきです。ウクライナ問題で、ロシアに対してできて何故中国にはしないのか、おかしいです。

日本人のメデイア人も日本弱体化に手を貸しています。APの山口真理は稲田防衛大臣をヒットラーのように描いて世界に向けて発信しています。政府の対外国広報が弱いうえにこういう報道をされると日本に対する外国民の見方を悪くします。白人と中国人の狙いにピッタリなのでしょうけど。山口真理とかNYTの田淵広子とかは純粋日本人か疑ってしまいます。なりすましか左翼の成れの果てか分かりませんが。どちらにしろ在日は獅子身中の虫です。政府が分かっていて何もしないのは無能としか言いようがありません。

http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6320.html

フィリピンもドウトルテ大統領がラモス元大統領を中国に派遣して話し合うようです。危険な臭いがします。漁業権をフィリピンに認める代わりに南シナ海は中国の海であることを認めることを強いられるのでは。仲裁裁判では南シナ海の領土主権や海洋権益については触れていませんので。注視して関係国はフィリピンだけではないことをアピールすべきです。

記事

Chinese South sea fleet

南シナ海の西沙諸島(英語名:パラセル諸島)で軍事演習を行う中国の南海艦隊〔AFPBB News

フイリピンがオランダ・ハーグの仲裁裁判所に提訴していた南シナ海への中国進出、いわゆる「九段線」という南シナ海全域に及ぶ歴史上の管轄権は、正当性がなく国連海洋法条約(UNCLOS)違反と認定された。

その他においても中国の主張は全面的に認められなかった。

すなわち、中国の南沙諸島における埋め立て(ミスチーフ礁、ファイアリー・クロス礁など)は低潮高地(満潮時水没)の人工島であり領海や排他的経済水域(EEZ)は認められない、フイリピン200海里内の水没しないスカボロー礁は中国のEEZや大陸棚の根拠たる島でなく岩である、というものである。

また、中国の漁業妨害、環境保護違反なども指摘されている。

半世紀近い海洋進出の歴史

中国は、予想以上の厳しい判決に狼狽し、それが強制力を伴わないことを盾に、拒否する声明と9か国語の反論文書を発出した。また裁判における日本人判事の政治的陰謀、判決は紙くずに過ぎない、法衣をまとった政治的茶番劇などとヒステリックな非難を繰り返している。

さらに南シナ海で数次の演習を繰り返し、判決拒否の態度をあからさまに示している。国連安保常任理事国そして国連海洋法条約締結国としての責任と矜持があるのかと疑わざるを得ない。

振り返ると、1970年代、当時の南ベトナムから武力で西沙諸島を奪い、1980年代後半さらに南沙諸島に一方的に進出し実効支配を強めてきた。海洋進出は「偉大なる中華民族復活」の象徴として、すでに半世紀近く継続している。

判決後も「南シナ海は核心的利益、あらゆる手段を駆使して守る」と全く譲歩しない姿勢を堅持して、資源開発、シーレーンへの影響力強化の経済上と原子力潜水艦の太平洋進出の拠点化という軍事上の目的を達成しようとしている。

この間の中国の政治、外交は、1933年(昭和8年)のナチスドイツの独裁体制確立以降の姿勢に近似している。

アドルフ・ヒトラーは、ベルサイユ体制の破棄による「大ドイツの建設」、優秀民族たるゲルマンは「相応する生存権を確保すべき」という目標のもとに、ヨーロッパにおいて独善的な行動を開始した。

1933年の再軍備から、2年後には常備軍制限撤廃を宣言し、一挙に36個師団、55万人という西欧諸国を圧倒する陸・空軍力を整備した。36年にはライン川左岸地区非武装地帯へ進駐し、英国の譲歩によって総排水量42万トンに及ぶ海軍の建設を推進した。

この軍事力を背景に1938年にはオーストリア併合さらにズデーデン地方進駐、隣接するチェコスロベキアの併合と恣意的に拡大の一途を進んだ。

擬えてみると、中国の西沙諸島進出は、ライン川左岸進駐であり、南沙諸島進出とそれに伴う防空識別圏の設定がオーストリア併合になろう。

中国は南シナ海の中央領域を西沙から南沙諸島さらにスカボロー礁へ、いわば線から一辺700キロ~900キロに及ぶ3角形の面へ拡大を企図している。

今後の焦点はスカボロー礁における中国の活動である。同礁は2012年以降中国が実行支配し既に周辺海域の測量を開始し人工島造成への準備を行っているとの情報もある。

もし、スカボロー礁埋め立てによる人工島造成、滑走路整備、軍事施設の配置が実行されるならば、ズデーデン地方進駐、ひいてはチェコ併合に匹敵する拡大行為である。

ナチス躍進の歴史と酷似

このエスカレートが予測される行動は、アジアの平和と安定を崩し、ひいては軍事力優先の世界に逆戻りするターニングポイントといっても過言ではない。

いまや国際社会は、海洋における中国の過剰な権益主張と既得権を狙った人工島造成などを阻止すべき最終段階にあることを認識せねばならない。

もし、スカボロー礁の埋め立て、滑走路建設、レーダー基地などの設置を許すならば、ヒットラードイツに西欧社会が数次の宥和と譲歩を重ねている間に機を失し、第2次大戦という最悪の状況に追い込まれていった歴史に重なる。

すなわち、英国の宥和的態度、フランス国内混乱、ソ連の老練な外交(ドイツと英仏を天秤にかけた)、米国の不干渉主義など主要国の協調がなかったため断固とした対抗手段もとれず、チェコ併合の段階に至ってにわかに強硬姿勢に転じたが、すでに時遅しという轍を踏んではならない。

この教訓に鑑み、いまこそ国連海洋法条約に加盟する166か国や地域と関連するアジア諸国は協力して中国に自制を促すだけでなく断固たる処置をとる覚悟が必要である。

国際社会の要となるのが、海洋の公共財としての価値と航行の自由を標榜する米国である。

経済的な米中連携に配慮するバラク・オバマ大統領は中国の海洋進出に宥和的であったが、南沙諸島ファイアリー・クロス礁の300メートル級滑走路建設、レーダー配置など軍事拠点化に危機感を持ち、一方的な防空識別圏内にB-52を飛行させ、昨年10月から、航行の自由作戦を開始した。

その後、ベトナムへの武器輸出解禁、インドへの軍事技術供与、THAADの韓国配備(直接は北朝鮮対処であるが、中国への圧力ともなる)などの対処を始めた。さらにフリピンには事実上の米軍駐留を四半世紀ぶりに再開した。

しかしながら、今回の判決に対しては、明快に支持のコメントを発していない。また、中国へ米海軍高官を派遣して話し合いを模索したが、中国海軍の居丈高の強硬姿勢になすすべもなかった。中国は米大統領選挙(11月)までの政治空白も巧みに利用している。

「意見の食い違いがあるからこそ真摯な対話が必要」という考え方を否定するわけではないが、中国がそれに応え得る体制にあるかが問題である。

習近平主席は「戦って必ず勝利する軍隊」のため軍改革を進め、なかでも、陸・海・空軍を横断的に再編成、統合運用可能な部隊を編成し、自らが迷彩服を着用した姿も報道させている。

経済停滞による共産党に対する不信感を「強い軍隊の建設」で一掃し国民の求心力を得ようとしていると思われる。人工島完成ごとに大々的な宣伝を行い、愛国心の高揚を図っている状況から、対外的に強硬姿勢を軟化させることはあり得ない。

日本に対しても、東シナ海の尖閣列島のみならず、鹿児島沖のトカラ海峡を一方的に国際海峡として海軍情報艦を航行させ、既成事実を積み重ねようとしている。事案は些細なことかもしれないが、まさに、南シナ海の人工島造成と同様のやり方である。

米国の泣き所

問題は米国側にもある。

それは、米国が国連海洋法条約を批准していないことである。

批准には上院の3分の2以上の賛成が必要であるが本条約は後進国に有利で、米国の国益にそぐわないとして見送られている。米国は従来から順守してきた慣習法で十分であり、強力な海軍力を保持することが米国の国益に資するとしている。

しかしこの態度は、中国に言いがかりを与える。米国は海洋問題に関連する国際会議などに積極的に参加して実質的には加盟国と同等の活動を行っているので問題はないとされるが、海洋の自由を尊重する国としてはふさわしくない。

また中国が条約脱退をして米国と同じ立場を採ることも考えられる。早急に批准して条約加盟国として海洋の自由を堂々と主張すべきではないか。

中国と領土、領海を直接接するASEAN(東南アジア諸国連合)の一致協力は何より重要であるが、南シナ海から隔離し経済上のつながりが深い親中のカンボジア、ラオスなどは判決承認に消極的である。

反面、ASEANの有力国であるインドネシアなどは中国と距離を置き始めている。日本は「南シナ海行動規範(COC)」の策定を支持し、海洋の自由と法の支配こそがアジアの発展と友好につながることを粘り強く訴え続けねばならない。

また、インフラ整備のため経済援助の推進、領海警備の艦船、航空機、レーダー、通信機などの装備でASEANを支援することも重要である。

今後、我が国として留意することは、「政経分離」の甘言に惑わされることなく、法と正義に基づく毅然とした日中関係を確立することである。

この際、米国との同盟関係のもと、同じ価値観を有するオーストラリア、インド、EUとの連携にも配慮せねばならない。そして、我が国は不法な行為や侵略に対して、遅疑逡巡することなく国際的な経済制裁あるいは有志連合として断固たる姿勢を示さねばならない。

さらに何よりも重要なことは、不法、侵略行為が領土、領海に及んだ場合は米国頼みでなく、まずは自力で守り抜くという気概と態勢を保持することである。

心配な沖の鳥島

今回の判決で注意すべき点は沖の鳥島である。経済的活動や人間の居住がない場合は島でなく岩とされる。

中国は判決拒否の態度とは矛盾するが「沖の鳥島は人工島であり領海や排他的経済水域はない」という従来からの主張が裏づけられたとして日本非難を強める可能性がある。これに耐えうるよう海底資源開発などの実際的な活動が実施されねばならない。

現在、我が国は北方領土問題で、クリミア併合で国連から経済制裁を受けているロシアと交渉進展を図っている。

中国は海洋へ、ロシアはクリミアへと共に軍事力を背景として現状の国際秩序を変更することで急速に接近し、今年中には南シナ海での海軍共同演習も計画している。

そこで、中国を非難しながらロシアと友好的に交渉するというのは、外交上のダブルスタンダードになる。中国の行動を抑止しようとする国際社会の結束を乱さない慎重な交渉が望まれる。

最後に、今回の強者中国に対するフイリピンの法律戦戦略には見習うべき点が多い。

国連海洋法条約では締結国は海洋の境界画定について裁判対象から外す権利を認めている。これにのっとって中国は「領海の線引きについて仲裁裁判所で争うことをしない」と、はやばやと宣言していた。

フイリピンは、これを逆手にとって中国が実効支配している(西沙諸島のウッデイ礁、南沙諸島のミスチーフ礁、ファイアリー・クロス礁)のは人工島であり、本来は低潮高地(満潮時水没する)である点を争点にした。

人工島には、条約上、領海や排他的経済水域は存在しない。これを根拠として中国の主張する領海などを間接的に否定する方法をとった。また仲裁裁判所の判決は上訴がなく1回の判決で確定する点も考慮に入れている。

フイリピンの法律戦における深謀遠慮は見事というほかはない。

「戦わずして勝つ」国際法の戦いで有利な地位を獲得したことを他山の宝石とすべきである。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。