ブログ
ブログ一覧
『なぜ中国は各地にゴーストタウンを作り続けるか 「34億人収容」の住宅群、止まらぬ無駄遣いの不可解』(8/5日経ビジネスオンライン 北村豊)について
パクリが得意な中国ですから、何でもパクります。街並みまでも似たものを作ります。金こそが総ての社会ですから。儲かれば何をしても良いというのが中国人の発想です。法はあってなきが如し、役人に賄賂を贈れば何でも許される国です。こういう国に世界を支配させたら人類は不幸になるだけです。
北村氏は「人類の歴史の中でこれほどの財と資源の無駄遣いはないと思うのだが、中国政府はこの事態をどのように考えているのだろうか。筆者の“鬼城”に対する思いは「不可解」の一語に尽きる。」と書いていますが、中国人を突き動かすのは合理性や倫理性ではなく、金だけです。金を稼ぐ手っ取り早い方法として賄賂を取るのが中国人の行動原理です。「モノ・サービス」で取引が行われれば必ず賄賂(キャッシュバック)が付いて回ります。日本の収賄罪は身分犯ですが、中国では商業賄賂も刑事罰を受けるようになっています。私人VS私人の取引であっても、個人がそれで価値あるものを受け取れば罰せられる法の組み立てになっています。ですが、実際これで罰せられることは少ないです。列の割り込み同様、中国人全体でやっていますから。全員ブタ箱に入れる訳に行かないでしょう。政敵を倒すときだけです。如何に中国が法治国家でないかと言う例証です。
役人の評価はGDPを上げることです。「上に政策あれば下に対策あり」で、毛沢東の大躍進時に米の収穫を過大に上に報告したため、少なくとも2000万人の中国人が餓死したと言われます(英国を工業生産高で抜く目的で、鉄の生産を上げるため、農民に農業でなく溶鉱炉での製鉄に力を入れさせたこと(屑鉄しかできませんでしたが)と、雀を害鳥として取り過ぎたため、虫害で収穫が大幅に減ったこともあります)。
file:///C:/Users/absigogo/Downloads/201506301632002752.pdf
賄賂と昇進が車の両輪となり、中国人の行動原理になって、需要に関係ない生産が続けられます。それが過剰生産・過剰在庫・過剰債務を齎します。普通の資本主義国家であれば、銀行が融資をストップし、倒産させて、需給をバランスさせます。中国の銀行は異質で、融資をストップすることなく、ゾンビ企業を生き延びさせます。しかし、国家の保証がいくらあったとしても、未来永劫持続可能かどうか。通貨増刷で逃れようとしてもハイパーインフレを引き起こします。社会主義経済であっても、ソ連と違い中国は世界経済に組み込まれましたから、国際的には資本主義のルールに従わざるを得ないでしょう。領土問題で突っぱねることができたとしても、経済ではできないとおもいます。どちらの場面でも国際協調しないのであれば、中国は戦争で解決するようにするかもしれません。
中国は鉄に代表される過剰在庫を世界的に輸出して掃こうとしています。これは世界の産業崩壊、世界経済の大きな攪乱要因となります。「一帯一路」で過剰在庫一掃と中国人の入植による侵略を狙っていますが、進出国の反発を受けて失敗するでしょう。金のことしか考えない中国人の野心にいずれ気が付くでしょうから。インドネシアのジョコ政権も高速鉄道で日本を袖にし、あまつさえ敷設に関するデータを中国に渡すなどあるまじきことをしましたが、うまく行っておらず、臍を噛んでいます。中国ですから海外でも賄賂を配りまくって受注獲得しますが、海外でのノウハウを持っていないのでニカラグワ運河同様失敗続きです。
恐ろしいのは、中国は「戦争による消費」を考えるかもしれないという事です。米国のFDRが戦争で兵器の消費、生産でGDPを伸ばした例に習い、中国の為政者も同じことを考えるかもしれません。何せ人民は虫けら以下としか思っていない連中ですから。民主主義国家と違い、国民の声が政治に反映される仕組みになっていませんので。中国が富国強兵、GDPのみで国家の政策を決めさせるのは危険です。中国への国際的包囲網を築いて行かなければ。日米同盟だけでなく、日英同盟も復活させれば良いでしょう。幸い、メイ首相はキャメロン・オズボーンと違い、親中派でないようですし。
記事

パリの街並みを真似た浙江省・天都城は有名なゴーストタウンの1つ(写真:ロイター/アフロ)
広西チワン族自治区の中部に位置する“来賓市”は、日本の長野県(1万3562km2)とほぼ同じ1万3411km2の面積を有し、218万人(2015年末)の常住人口を擁する。その来賓市に属する“忻城(きんじょう)県”は、日本の佐賀県(2441km2)より若干大きい2541km2の面積に32万人(2015年末の常住人口)が暮らしている。
住宅団地が放牧場に?
さて、中国のポータルサイト“網易(NetEase)”は7月24日付で「広西チワン族自治区で100棟余りの“別墅(一戸建て住宅)”が荒廃し、村民の牛放牧場になっている」と題する記者の探訪記事を報じた。記事が報じたのは忻城県の“城関鎮”にある一戸建ての住宅団地の現状である。記事の概要は以下の通り。
【1】2011年5月、忻城県に所在する“隆達投資有限公司”(以下「隆達公司」)は、総投資額3億5000万元(約54億円)で近代的な一戸建て住宅団地を建設する“山水福城項目(山水ラッキータウンプロジェクト)”(以下「山水福城」)を立ち上げた。隆達公司は大々的に広告を打って住宅の販売を行い、2015年5月の住宅引き渡し予定を条件として、2013年から2014年にかけてほぼ全ての住宅を販売した。
【2】ところが、住宅引き渡し予定時期の2015年5月が近づいても、建屋の建設は遅々として進まず、竣工の目途が立たなかった。住宅を購入した買主は不動産販売所に押しかけて住宅の引き渡し時期を問い合わせたが、一向に要領を得ず、ビルの完成時期は何度も先延ばしとなった。そのうちに、不動産販売所は門を閉ざし、隆達公司も買主を避けるようになった。その後、関係部門が調査を行った結果、山水福城では住宅の重複販売が行われていたことが判明した。それは、隆達公司の資金繰り悪化によるものであり、そればかりか建屋の大部分や一部の土地は担保会社の抵当に入っていたのだった。
【3】2016年5月15日、山水福城の正門前には住宅の買主が100人近く集まり、横断幕を掲げて住宅の引き渡しを要求したが、そこには要求を突き付けるべき相手はいなかった。それは正に「のれんに腕押し」であり、「隔靴掻痒」の感を否めない、むなしく切ない光景だった。彼らはなけなしのカネを隆達公司に支払った挙句、完成した住宅を引き渡してもらえないばかりか、住宅の重複販売や抵当入りという厄介な問題にも直面しているのである。
【4】それでは、肝心の山水福城の現状はどうなっているのか。山水福城の住宅団地には4階建ての一戸建て住宅が100棟余りあり、すでに建屋と外壁の工事は完成していた。しかし、これらの住宅団地は誰にも管理されぬまま放置され、人が自由に出入りできる状態となっていたため、“流浪漢(ホームレス)”の住処と化し、屋内にはごみが堆積し、ホームレスの物と思われる衣類が散らばっていた。また、住宅の横を流れる水路はよどみ、汚染により茶色く濁っていた。住宅団地の周囲には雑草が生い茂っているが、その雑草を目当てに、付近の村民が住宅団地内で牛の放牧を行っていた。山水福城は風水の“宝地(地相が良い土地)”に建設されたものだが、今や一戸建て住宅団地は“鬼城(ゴーストタウン)”と化し、買主たちが夢見た住宅は見る影もない無残な姿を晒している。
山水福城の一戸建て住宅100棟余りのほぼ全量が販売済みであったのであれば、隆達公司には一定額が支払われていたはずであり、山水福城の建設費用は恐らく賄えていたものと思われるが、網易の記事には隆達公司が資金繰りを悪化させた原因については何も述べられていない。隆達公司は住宅を重複販売することにより巨額を手にし、建設会社に対する建設費用の支払いも中途半端にして、経営者がカネを持ち逃げした可能性も否定できない。さもなければ、別の事業で失敗して資金繰りに行き詰まった可能性もあるだろう。一方、記事には住宅の買主たちによる住宅の引き渡しを求める抗議集会について述べてはいるが、彼らが今後どうなるのかについては何も言及していない。状況から判断して、買主たちは泣き寝入りするしかないのかも知れない。
増え続ける大小の“鬼城”
上述した忻城県の山水福城は一戸建て住宅100棟あまりの小規模な“鬼城”だが、筆者が2011年7月下旬に現状視察のために訪れた内モンゴル自治区“顎爾多斯(オルドス)市”の“カンバシ新区”は巨大な“鬼城”だった<注1>。カンバシ新区は米誌「タイム」が2010年4月5日号でゴーストタウンと報じたことで、その名を世界に知られることになった。カンバシ新区は将来の100万都市を目指して、高層住宅群を次々と建設していた。そこには竣工済みおよび建設中の高層住宅群が見渡す限り立ち並んでいたが、そのほとんどは無人であり、夜間には高層住宅群からほのかな灯火がちらほら見えるだけで、名実ともに巨大な“鬼城”であった。カンバシ新区はオルドス市の砂漠の中に突如出現した蜃気楼を思わせる巨大な“鬼城”であるが、同市を代表する鉱物資源である石炭の価格低迷が続いていることから、現在では2011年7月の訪問時期よりも”鬼城“の深刻さは増大しているのではないかろうか。
<注1>オルドス視察の詳細は、2011年8月19日付の本リポート『現地リポ:「中国のドバイ」はゴーストタウン』参照。
すでに述べたように、中国国内にはオルドス市カンバシ新区のような大規模な“鬼城”もあれば、広西チワン族自治区忻城県の山水福城のような小規模な“鬼城”もある。それでは一体全体、中国全土にはどれだけの“鬼城”が存在し、無人の住宅がどれ程あるのか。
中国国営の「新華社通信」は7月13日付で「全国の新都市計画人口は34億人、誰がそこに住むのか」と題する記事を配信した。その概要は以下の通り。
新城・新区の計画人口は34億人
(1)“特大城市(人口100万人以上の都市)”が人口を制限し、“中小城鎮(中小規模の都市と農村部にある町)”が人口増を図っている状況下で、一部の“中小城鎮”は発展の加速を切望し、次々と2020年および2030年の人口倍増目標を打ち出している。“国務院(日本の内閣に相当)”の関係データが示すところでは、不完全な統計によれば、2016年5月までの時点で、全国の県レベル以上の“新城(新都市)”・新区は3500か所を上回り、その計画人口は34億人に達しているという。
(2)この「県レベル以上の新都市・新区3500か所」の内訳は、国家レベルの新区:17カ所、国家レベルの経済技術開発区、ハイテク産業開発区、総合保税区、輸出加工区および旅行休暇区など:約500か所、省レベルの産業団地:1600か所以上、比較的大きな市の産業団地:1000か所などであり、県レベル以下の各種産業団地は1万カ所以上に上っている。
(3)一方、2015年の我が国の“城鎮化率(都市化率)”は56.1%であったが、「第13次5か年計画(2016~2020年)」では2020年までに我が国の常住人口と戸籍人口の都市化率をそれぞれ60%と45%に引き上げることが提起された<注2>。“国務院発展研究中心”の研究員である“李佐軍”は、「現在、我が国では戸籍人口の都市化率は39.9%であるから、今後さらに5%引き上げねばならないとすれば、1億人の戸籍を農村部から都市部へ移して定住させることが必要になるが、この任務は極めて困難である」と述べている。
<注2>「常住人口」とは、ある土地に6か月以上居住する人の数。「戸籍人口」とは、ある土地に戸籍を持つ人の数。農村部から都市部へ出稼ぎに来る農民は都市の戸籍を持たないで都市に6か月以上居住する場合が多いので、常住人口に数えられる。
(4)“華南城市規劃学会(華南都市計画学会)”会長で“暨南大学管理学院”教授の“胡剛”は、「34億人という計画人口は、中国の現在の人口規模<注3>の2.5倍であり、全世界の人口の半分を収容するに足る規模である」と述べている。また、“国家行政学院”教授の“汪玉凱”は、「中国では出産による人口増のピークはすでに過ぎており、たとえ全面的に“二胎(子供2人までの出産を認める政策)”を認めるとしても、人口増加の速度が大幅に上昇することはなく、都市化の主たる要素は農村部から都市部へ移住する人口である。しかし、農村部の人々の都市への移住願望や都市に定住する能力などを考慮すれば、どんなに計算しても、34億人分の“大坑(大きな穴)”をふさぐことはできない」と語った。
<注3>中国政府“国家統計局”のデータによれば、2015年末時点における中国の人口は13.75億人。
上記の記事が述べていることを分かりやすく説明すると以下の通りになる。
【a】中国では都市化率を上げることが既定の方針であり、中国各地の都市や町では人口増を推進するために新都市や新区を次々と建設している。その数は2016年5月時点で3500か所であり、そこに建設されている住宅群の収容可能人口の合計は34億人に上る。
【b】人口増を図ると言っても、出産による人口増はすでにピークを過ぎており、農村部から都市部への移住者による人口増に頼るしかないが、彼らを都市に定住させて都市戸籍を持たせることは容易なことではない。戸籍人口の都市化率を5%上げるには1億人の農村部人口を都市部へ移動させる必要があるが、これは極めて困難なことである。
【c】そうした前提に立てば、計画人口34億人を収容するために新都市や新区で建設されている住宅群を農村部からの移住者で埋めることは荒唐無稽な話である。なぜなら、34億人という人口は現在の中国人口の2.5倍であり、全世界の人口の半分を意味するから。
“二胎”政策でも住宅は埋まらず
台湾紙「自由時報」は、“二胎”政策に基づき、中国の全ての夫婦が子供を2人生んで新都市や新区へ移り住んだとしても、34億人を収容するために建設された住宅群を埋める可能性は永遠にないと報じた。そればかりか、それらの住宅が農村部からの移住者でも埋まらないとすれば、その結果はどうなるのか。建設された住宅群に住む人がいなければ、その地域は“鬼城”、すなわちゴーストタウンとなることは自明の理である。それだけではない、住宅を購入する人や賃借する人がいなければ、住宅の建設費を賄うことは困難で、借入金の返済もできなくなるから、不動産開発業者や不動産投資者は債務を負うことになり、“鬼城”は変じて“債務之城(債務の町)”になる。
たとえ上述した新都市・新区の建設計画がなかったとしても、中国に現有している住宅の数量はすでに需要量を上回っており、“鬼城”はますます増大しているのが実情である。香港のテレビ局「鳳凰衛視(フェニックステレビ)」の国際チャンネルは、米情報サービス大手「ブルームバーグ(Bloomberg)」アジアの主席エコノミストの「トム・オーリック(Tom Orlik)」と“陳世淵”の分析を引用して、「過去5年間、中国では年平均の新築住宅戸数が1000万戸を超えたが、実際の需要は800万戸にも及ばなかった」と述べている。住宅が供給過剰になっているのに、新都市・新区の建設計画は住宅の供給過剰をより深刻なものにしているということになる。
ところで、新華社通信が7月13日付で報じた「新都市・新区の計画人口34億人」という数字はどこから出て来たものなのか。この数字が最初に提起されたのは、2013年10月19日に、中国政府“国家発展改革委員会”の「都市と小都市・町改革発展中心」副主任の“喬潤令”が「中国新型都市化市長フォーラム」で講演した時であった。彼は「新都市の規模と人口は現有の体制を上回っており、新都市の計画人口を合計すると34億人になる。しかし、我々の調査によれば、144の“地級市(省に次ぐ第二行政区分)”のうち、133の都市が合計200か所の新都市・新区の建設を計画しているが、新都市・新区の面積と人口は普遍的に実際の数字を上回っている」と述べたのだった。
無駄で不可解な計画を止めよ
すなわち、喬潤令が述べたかったのは、新都市の計画人口を合計すると34億人になるが、調査を通じて分かったことは、計画面積と計画人口はどこの都市も実際の数字を上回っており、決して34億人が正しい数字ではないということだった。しかしながら、この喬潤令が述べた34億人という数字がいつの間にか一人歩きを始め、あたかも確認された数字であるかのように誤解され、メディアや都市化研究の専門家や学者によって引用されたのだった。
従って、34億人という計画人口は単なる表面的な数字で、実際の数字ではないというのだが、中国全土に散らばる“鬼城”は枚挙にいとまがないほどである。“鬼城”の数およびそこに建設済みおよび建設中の住宅数を示す公式統計はないので、具体的な数字は不詳である。但し、「全国の県レベル以上の“新都市・新区は3500か所を上回り、その計画人口は34億人」を誇張された数字として、話半分で考えても、その数は1750か所、17億人となり、中国の全人口を新都市・新区へ移動させたとしても全て埋めることはできない。ということは、相当数の新都市・新区が“鬼城”になることは否定できない事実である。
これは小学生でも分かる算数の問題だと思うのだが、それでも地方政府が新都市・新区を建設する理由は何なのか。それは、地方政府は新都市・新区の建設および住宅群の建設により「域内総生産(GRP)」を増大させるためであると同時に、中央政府の指示に従って都市化率を上昇させて点数を稼ぐためである。これに加えて、地方政府は広大な土地の使用権を販売することで利益を得ることが可能になる。しかし、この理想通りに行くのは限られた“中小城鎮”であり、大多数の“中小城鎮”は新都市・新区の建設に失敗して“鬼城”を創出し、後に“鬼城”は変じて“債務の町”となるのである。
筆者は中国の各地で上述したオルドス市のカンバシ新区を代表とする“鬼城”を多数見て来たが、住宅群に閑古鳥が鳴く様はうすら寒さを感じさせるものであり、特に夜間は暗闇の中に浮かび上がる無人の住宅群が不気味に思えたものだった。2010年4月に米誌「タイム」が中国の“鬼城”を報じてからすでに6年の歳月が経過しているが、今なお新たな“鬼城”が次々と生まれている。人類の歴史の中でこれほどの財と資源の無駄遣いはないと思うのだが、中国政府はこの事態をどのように考えているのだろうか。筆者の“鬼城”に対する思いは「不可解」の一語に尽きる。
良ければ下にあります
を応援クリックよろしくお願いします。
『韓国は「唐と戦った新羅」になれるのか 「中国に怯むな」と叫びながら怯む韓国人』(8/4日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
8/5ZAKZAKには<【韓国「赤化」危機】北朝鮮に吸収されかねない韓国と“宗主国”中国のホンネ

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、中国の意思に逆らい、核・ミサイル開発を進めている。実戦配備されれば、北京や上海はその射程圏内となり、到底、中国として座視できるものではない。 しかし、中国が本気で制裁を加えれば、追い詰められた金氏が「暴発南進」しかねない。たちまち米韓軍に敗北し、朝鮮半島は韓国によって統一されてしまう。ならば、中国はどうするか? 手っ取り早い方法として、北朝鮮のトップを金氏から、兄の金正男(キム・ジョンナム)氏、あるいは中国の息のかかった人物に挿げ替えるだろう。北朝鮮を「中国の傀儡(かいらい)」にして、核・ミサイルや核施設を破棄させれば、北朝鮮の脅威はなくなる。 だが、話はここで終わらない。 中国の本音は、朝鮮半島全体を赤化して「米国への楯」にしたいのだ。北朝鮮を傀儡化した中国は、かつて北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が描いたシナリオ通りに、韓国を吸収させようとするに違いない。 中国は手始めに、北朝鮮と韓国に「平和条約を結ぶよう勧告する」だろう。経済面で中国に依存している韓国は拒否できない。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約は間違いなく締結される。北朝鮮への抑止力だった駐韓米軍も存在理由がなくなり、むしろ軍事費削減のため、さっさと撤退するはずだ。 次のステップは「南北連邦国家形成」である。中国の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂する。結局、「高麗民主連邦」が実現する。
そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」だ。中国に操られた北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛ける。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じるだろう。 だが、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持する。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいかない。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となる。 「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢いる。 国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制だ。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「中国の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪される。韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのだ。 ■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮問題研究家。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80~84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』『韓国よ、「敵」を誤るな!』(ワック)など。>(以上)
8/7日経<中国、ガス田にレーダー 軍事用の可能性も 東シナ海、外務省が抗議
東シナ海での中国によるガス田開発を巡り、「日中中間線」の中国側で確認された16基の構造物のうち1基で、中国が対水上レーダーを設置していたことが分かった。ガス田開発を目的とした構造物が軍事的な機能を持つ可能性もある。外務省が6日ホームページを更新し、写真を掲載した。同省は5日、北京の大使館ルートを通じ中国側に抗議した。

中国は「第12基」と呼ばれる構造物に対水上レーダーと監視カメラを設置した=外務省ホームページより
外務省によると、2015年6月に土台の建設を確認した「第12基」と呼ばれる構造物に対水上レーダーと監視カメラが設置された。中国がガス田開発の拠点としている構造物でレーダーが確認されたのは初めて。
政府関係者は「海洋巡視船に搭載するようなレーダーで、ガス田開発には必要ない」と指摘。レーダーはヘリポートの下に設置されている。日本政府は中国が東シナ海での軍事力強化につなげる可能性もあるとみて性能の分析を急いでいる。
海上自衛隊元海将で金沢工業大学院の伊藤俊幸教授は「すぐに影響はないが、日中中間線付近で定点観測ができるようになる」と指摘。中国が米軍の空母などによる周辺地域への接近を阻む戦略「A2AD(接近阻止・領域拒否)」の一環とみる。「中国軍の大陸からの対艦弾道ミサイル(ASBM)と連接させれば命中の精度が上がる。対水上の次は対空レーダーの設置も考えられる」と語る。

>(以上)
日中中間線の石油基地はこういう展開になるのは分かっていたところでしょう。平松茂雄氏が数十年前から主張してきたことです。それを日本政府が無視してきたからです。そもそも日中中間線で折り合ったのが正しかったのかどうか。中国は、2008年にはベトナムには中間線を日本には大陸棚を主張していました。ご都合主義というか、二重基準です。日本も中間線の内側にレーダー設置をすれば良いと思います。相手がやってきたら平和的手段で同じことをすれば良い。Xバンドレーダーは現在、青森県つがる市の車力と京都府京丹後市袖志(経ヶ岬)に配備されていますが、これを中間線内に置いて中国のミサイル発射の防衛に役立てれば良いでしょう。日本向け核ミサイルの照準合わせをしている国に、野党も専守防衛の観点からも賛成せねば。ただXバンドレーダーが1000Km以上の感度を持っているのであれば、沖縄の米軍基地に配備すれば良いと思いますが。それと、安倍首相は「核兵器を保有することはあり得ず、検討することもあり得ない」(8/6日経夕刊)と明言しましたが、憲法改正を意識してのことでしょう。でも優先順位でいえば、ニュークリア・シエアリングの方が先でしょう。米国にそれを呑ませ、核への抑止力を高めないと。現実的に中国の侵略が始まれば対抗して自衛権の発動をせざるを得ません。日本国民もそれで初めて日本国憲法の欠陥に気付くはずです。超法規的措置を取らざるを得ないし、国民も事後追認、直ぐに憲法改正の道に進むのでは。
http://specificasia2.blog12.fc2.com/blog-entry-1176.html
日中中間線では、福田康夫が首相時代の「相手の嫌がることはしない」というセリフを思い出します。「相手の嫌がる」ことをし続けているのは中国で日本ではありません。こういうのが日本国を代表していたのですから。先を読んで決断するのがリーダーの役割です。橋龍と同じくハニーにでもかかったのかと思わせるほど愚かな人間です。でも選んだのは国民です。間接的ではあっても。選挙の重大さをもっと自覚せねばならないでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/misky730/e/491f42f034e6607299358e31c0f4a4ef
http://yoshiko-sakurai.jp/2008/01/17/660
韓国はZAKZAK記事にあるように中国の属国になるように運命づけられました。自ら招いた不幸でしょう。米国も諦めているでしょう。地政学的に見て日本と台湾が米国側に残ればそれで良いと判断するでしょう。中国原潜の東シナ海から太平洋への出口をこれで抑えることができますので。朝鮮半島は中国とロシアで分捕り合戦をさせれば良いのでは。日清戦争直後、閔妃がロシアの力を借りて大院君の追い落としを図ったように、事大(=強い方に付く)主義なので。日本は朝鮮半島に関わらないのが良いです。これこそが歴史の教訓です。そうなれば従軍慰安婦の強制性の問題も米国が公式に「なかった」と発表するのでは。「朝日新聞」は壊滅的になるでしょう。今でも朝日新聞を読んでる人はショックを受けるのでは。台湾も国名をハッキリ台湾と言えるようになるし、国民党が作った憲法も改正できるようになるのでは。日本と同盟も結べるようになると思います。西側諸国が韓国を失うことは悪いことだけではないように思えます。
記事

THAAD配備に関する中国・王毅外相の発言が韓国を右往左往させる(写真:ロイター/アフロ)
(前回から読む)
「中国に怯むな」――と韓国メディアが叫ぶ。韓国人が「怯んでいる」からだ。
揺れるTHAAD賛成派
—前回は地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備に関し、韓国の国論が大きく割れたという話でした。
鈴置:中国の顔色を見た外交部が配備の早期決定に反対する一方、米国との同盟を重視する国防部は配備決定を急いだのです。結局、7月8日に「2017年末の配備を決めた」と発表されましたが。
保守系メディアの中でも、経済重視派で中国に近い中央日報が反対。国防を重視する朝鮮日報と東亜日報が配備に賛成と割れました。
ただ、最大手紙の朝鮮日報が揺れ始めました。配備決定翌日の社説「『軍事主権次元のTHAAD配備』 中ロに堂々と」(7月9日、韓国語版)では、以下のように主張していました。
- 政府は、今回の決定がどこまでも我々の軍事主権の選択であるということを正々堂々と打ち出さねばならない。
- 北が核とミサイルを開発してきたこの20年間、中国が断固として対処し制裁したなら、こんな状況には至らなかった。
- 中国が朝鮮半島からTHAADを取り除きたいのなら、北の誤った判断を根本的に変えさせる措置をとらねばならない。
中国に哀願
—堂々たる主張ですね。
鈴置:中国を叱りつけるノリでした。ところが、その2日後の7月11日の社説「『THAAD』だけが韓中関係のすべてではない」(韓国語版)では「そんなに怒らないで」と、中国に哀願するかのような姿勢に転じました。以下です。
- THAAD配備が完了する来年末までに、外交、貿易、観光はもちろん、軍事を含めすべての分野で考え得るだけのありとあらゆる(報復)手段を(中国が)動員して来る可能性が高い。
- 韓中は今後、THAAD以外の様々の面でも付き合っていくしかない間柄だ。国家と国家の関係が1つのことに縛られ、他のことまで誤るという過ちを犯してはいけない。
- 中国は24年前の韓中国交正常化を思い出すべきだ。当時、「1つの中国」との要求に応じ、韓国は台湾との断交を余儀なくされた。しかし依然として中国は北の手を握り「2つのコリア」政策を続けているではないか。
属国の意見は聞かない
—確かに、弱気です。
鈴置:24年前の話まで持ち出して「哀願」すれば、中国は韓国の足元を見て、ますます脅すでしょう。
そもそも中国は韓国を属国扱いするようになっています。韓国が「1つの中国」に賛成するのも、中国が「2つのコリア」を続けるのも、中国にすれば当然のことなのです。朝鮮日報の訴えなど聞くはずがありません。
同じ7月11日に同紙の北京特派員が書いた「王毅『THAADでの弁明は通じない』と猛烈に非難…韓国を指しては『友達』と表現」(韓国語版)も、中国の鼻息をうかがう記事でした。
THAAD配備決定を中国の王毅外相が厳しく批判したことを報じた雑報です。その中で「中国は我々にはそんなに怒っていないようだ」との希望的観測が語られたのです。関連部分を引用します。
- 中国はTHAAD配備には強硬な発言をしつつも、韓米の間では差を付けた感じだ。(非難の中で)王毅外相が「韓国の友人たち」(朋友們)との表現を使ったのが一例だ。
- 韓中関係に詳しいある消息通は「北の核に対する憤怒とTHAAD配備に反対する世論が交錯する韓国の空気を念頭に置いたものであり、米国に対する不満がより大きいことを示した」と述べた。
—「中国が本当に怒っているのは米国。我が国は怒りの対象ではない」と韓国人は信じたいのですね。
鈴置:中国は米韓分断を狙っています。「朋友們」という言葉を使うことで「米国を裏切って配備に反対すれば許してやるぞ」と示唆した。というのに韓国人はそこに「中国の好意」を嗅ぎ取ろうとしたのです。わらにもすがる思いなのでしょう。
どんな報復をされるか……
—朝鮮日報はなぜ、弱気に転じたのでしょうか。
鈴置:配備を決めた日は勢いもあって「中国、何するものぞ」と上から目線で書いた。でも少し時間が経って冷静さを取り戻すと、どんな報復をされるか分からない、と怖くなったと思われます。
7月11日の社説の引用部分でも「ありとあらゆる方法で報復されるだろう」と書いています。朝鮮日報だけではありません。韓国のほぼすべてのメディアが「どんな形で報復されるか」を国民に詳しく解説したのです。
例えば中央日報の日曜版、中央SUNDAYの「『韓中関係はこんなものだったのか』…THAAD配備で沸き立つ中国世論」(7月10日、日本語版)は「韓国を狙うための戦略ミサイル部隊の移動」「北朝鮮支援」「政府間対話・交流行事の中断」「韓国製品の輸入規制・不買運動」「訪韓観光客の制限」を予想しました。
中国共産党の対外威嚇用メディア、環球時報も「5つの対韓制裁」を発表しています(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。
(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止(2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止(3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応(4)対北朝鮮制裁の再検討(5)ロシアとの共同の反撃――の5つです。この記事は中央日報を含め、多くの韓国メディアが引用しました。
「親中色」深める中央日報
—「来るなら来い」とは書かない。やはり、韓国人に中国に立ち向かう覚悟はないのですね。
鈴置:もともと、朝鮮日報は「米中二股」が社論。米国と心中するつもりなど毛頭ない。THAAD配備も、政府が決めたから賛成した側面が強い。腰が据わっていないので、中国から大きな圧力がかかれば主張を変える可能性があります。
東亜日報もいざという時は大きくブレます。2015年9月の天安門での軍事パレードに関し当初、大統領は参加すべきでないと主張していました。が、世論が参加に傾くとそれに追従し、賛成に回りました(「“恩知らず”の韓国」参照)。
中央日報はTHAAD配備問題を契機に、より露骨に親中色を打ち出すようになりました。左派のハンギョレはもちろん配備に反対です。「米韓日の3国防衛体制」に組み込まれるという理由を掲げました。
今や韓国紙の中で、根っからの親米派と呼べるのは韓国経済新聞ぐらい。その「韓経」が気を吐きました。
7月14日の社説「THAADの葛藤、この程度の危機にこんなに怖気づく社会だったのか」(韓国語版)です。7月15日には日本語版にも掲載されました。要約しつつ引用します。
臆病者の内紛
- THAAD配備をめぐる国論分裂が深刻だ。政界は新しい政争ネタにすることを決意した雰囲気だ。実際にはない「経済報復説」を増幅させ、中国側を代弁する勢力もある。
- 韓国社会の危機反応のしくみには沈着、科学的分析、忍耐心、勇気などが全くないということなのか、考えさせられる。軽薄な社会風潮はすでに重症だ。
- 北の核という明示的な安保脅威にも、南シナ海の覇権を狙った中国の大胆な膨張主義を見ながらも、我々の中で争っている。
- 危機対処ではなく臆病者同士の内紛だ。「壬辰倭乱(イムジン・ウェラン)7年戦争」当時の党派争い、「丙子胡乱」(ピョンジャ・ホラン)当時の葛藤の再現だ。
「壬辰倭乱7年戦争」(1592-1598年)とは文禄・慶長の役のことです。戦役の前、偵察のために日本に渡った朝鮮朝の使節の中には「秀吉に侵攻意図あり」と見抜いた人もいました。
しかし「情報の内容」よりも「誰が語るか」つまり、党派性を重んじた朝鮮の朝廷はその報告を無視し、何の戦争準備もしませんでした。
「丙子胡乱」(1636-1637年)とは明を倒した清に攻められ、悲惨な敗戦を喫した事件です。明から清への交代という大陸の変化を朝鮮朝は読み誤ったのです。そこにも王朝の内紛が絡んでいました。
韓国人はしばしば「我々は外からの脅威にさらされるたびに国論が分裂し、内紛を起こして亡国の危機に瀕する」と苦い顔で語ります。韓経は「今がまさにそうなのだ」と警鐘を鳴らしたのです。
恐怖を自ら膨らます
—この社説は「実際にはない経済報復説」と書いていますが。
鈴置:「実際にはない」かは、まだ判断できません。ただ、韓国人が恐怖を自ら膨らませ、報復される前から中国に対し縮み上がっているのは事実です。殴られる時よりも、その前の恐怖の方が大きい感じです。
配備決定が発表された7月8日、韓国証券市場で化粧品など中国消費関連株が一斉に下げました。2月16日、邱国洪・駐韓大使がTHAADに関連し「配備すれば中韓関係は被害を受ける」と脅した時の再現です(「『中国大使に脅された』とうろたえる韓国人」参照)。
中国は「報復の前から韓国が怯えている。この分では、何もしなくとも白旗を掲げてくるかもしれない」と大笑いしているに違いありません。
「これはまずい」と考えたのでしょう、朝鮮日報の宋煕永(ソン・ヒヨン)主筆も筆を取りました。「中国の報復がそんなに怖いか」(7月16日、韓国語版)です。
- 米中両国が表面的には笑いながらも、心の底では刃を向け合う局面が今後30年以上、続くかもしれない。その中で生き延び、成長せねばならないのが韓国だ。
- こうした環境を悲観するあまり、中国の報復を誇張する反応もある。中国経済は落ち込んでいる最中だ。北朝鮮とは異なり、韓国が核実験したわけでもない。全面的な報復の可能性は低い。
- ただ、傷ついた面子を癒そうと、中国が象徴的な措置を講じるかもしれない。例えいくつかの企業が倒れたとしても、安全保障のためある程度の犠牲は甘受するしかない。鞭で打たれようとも、前に進む方がいい。
ユニークな韓国の世界観
—「中国に怯むな」との訴えですね。
鈴置:メディアがそう訴えざるを得ないことこそが、韓国人が怯んでいる何よりの証拠なのですが……。
この記事で興味深いのは「30年戦争の覚悟」を国民に求めたことです。韓国では「米中両大国が平和裏に世界を仕切る『G2』体制が始まった」との認識が一般的でした。
宋煕永主筆はそれを否定し「米中が厳しく敵対する時代に突入した。その間でどうあがいても、我々は無傷では済まない」と警告したのです。
—「米中対立」が普通の世界観ではないのですか。
鈴置:日本や東南アジア、あるいは米国では普通です。が、韓国では「軍事力信仰に由来する危険な発想」と見なされがちです(「韓国は『尊敬される国』になるのか」参照)。
—なぜでしょうか。
鈴置:米ソ冷戦時代の韓国は、いわゆる軍事独裁政権が統治していました。1987年に民主化するまで言論の自由は大きく制限され、拷問がまかり通っていた。その言い訳が「我々は冷戦を闘っている。自由の制限はやむを得ない」でした。
このため、韓国人の目には「大国同士が反目して世界を2分する」という世界観と、「独裁」が二重映しになるのでしょう。
それに、韓国の二股外交は「米中共存」が前提です。米中が対立を深めれば、明清交代期のように「韓国はどちら側の国なのだ」と両方から迫られてしまいます。国の立つ余地を失うのです。
みじめな日本も屈しなかった
—でも、現実はそうなっています。
鈴置:そこでようやく指導層の一部が「米中の冷戦が始まった。覚悟を固めよう」と言い出したのです。
何と、日本を引き合いに出して「怯むな」と呼び掛ける記事も登場しました。同じ朝鮮日報の「日本は中国の通商報復に屈服しなかった」(7月20日、韓国語版)です。
書いたのは車学峯(チャ・ハクボン)産業1部長。2011年から2015年まで東京特派員を務めた人です。ポイントを要約します。
- 2012年9月に日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化すると、中国は戦闘機や艦船を送り武力を誇示した。中国で日本製品の不買運動が起き、トヨタやホンダなど日本の乗用車の販売台数が半減した。訪日中国人観光客のキャンセルも相次いだ。
- しかし当時の日本では、政府も国民もメディアも中国の報復に対する恐れを見せなかった。尖閣諸島の国有化撤回を求める声はほとんど聞かれなかった。
- 日本が報復の脅迫に動じなかったのは国家的なプライドからだけではない。「一度屈服すれば、中国は強引な要求を繰り返すようになる」と考えたからだ。日本を参考にハラの据わった対応をすべきだ。
2010年頃から韓国メディアは、日本を「国力を落とし続ける、みじめな国」と描くようになりました。その「みじめな国」さえも中国に立ち向かっているとの理屈で、車学峯部長は韓国人を鼓舞しようとしたのです。
卑怯な姿さらす韓国
「フィリピンと比べても弱腰だ」と、自らを恥じる記事も登場しました。書いたのは、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムを舞台に、匿名で活躍するヴァンダービルド氏です。
「韓国は21世紀で唯一の中国に対する事大主義国家なのか?」(7月13日、韓国語)で、ポイントは以下です。
- OECD加盟国の中で、指導者から大多数の国民に至るまで、中国という国に屈従的な姿を見せるのは事実上、韓国だけだ。
- 過去数年間、THAAD問題で引きずり回された韓国の態度は、中国に対する土下座以外の何物でもない。南シナ海の問題に関しても中国の顔色をうかがい「平和的解決」といった原論的な発言を繰り返してきた。韓国のこうした処し方を主権国家のそれと見なすことはできない。
- フィリピンやベトナムは韓国と比べ、経済力など国力が劣る。しかし両国は物理的な力の不足から時に中国に押されることはあっても、韓国のように卑屈で屈従的な姿を見せたことはない。
- 恥ずかしい事実を直視せねばならない。米国や日本はもちろん、フィリピンやベトナムを見るのもきまりが悪いほどの卑怯な姿を韓国はさらしているのだ。
日本は勝ってきたが……
—ヴァンダービルド氏らしい、祖国に厳しい論説ですね。でもなぜ、韓国は中国に立ち向かわないのでしょうか。
鈴置:ヴァンダービルド氏は、以下のように書いています。
- こうした現象は、いわゆる「中国に事大するDNA」というものがまだ、韓国人の内面深くに巣くっていると見るしか説明できない。
「事大」とは自分よりも大きいものに仕えることです。韓国では「中国という大国に従属的な姿勢をとる韓国人」という文脈で使われることが多い。
ことに朴槿恵(パク・クンヘ)政権が中国に急速に傾いて以降、趙甲済氏やヴァンダービルド氏ら親米保守が「韓国人の事大主義」を批判することが増えました。
—歴史に原因があるということですね。
鈴置:ええ。韓国の指導層の1人に「なぜ、中国に立ち向かわないのか」と聞いた時、こんな答えも返ってきました。
- 韓国(朝鮮半島の王朝)は中国(中国大陸の王朝)に戦争で勝ったことがない。だから我々は中国に立ち向かう気構えを持てないのだ。中国に勝ち続けた日本人には理解しにくいだろうが。
ベトナムも中国を撃退した
—確かに、元寇(1274、1281年)も日清戦争(1894-1895年)も、日本は勝っています。
鈴置:白村江の戦い(663年)で唐に負けた後は、ずうっと中国大陸との戦いで負けたことはありません。明と戦った文禄・慶長の役は引き分け、とのカウントですが。
日本は第2次世界大戦(1939―1945年)では敗戦国となりました。でも、日本人は「米国に負けた」と考えても「中国に負けた」とは思っていない。
一方、朝鮮半島の王朝は、新羅が半島から唐を追い出すことに成功した唐・新羅戦争(670-676年)の後は、勝ったことがありません。元にも清にも国土を蹂躙され、多数の国民を殺害・略奪されています。
なお、ベトナムの歴代王朝は宋や元など「中国」を何度も撃退しています。中越戦争(1979年)でもベトナムが勝ちました。
新羅は戦争を決意した
—そこまで聞いてようやく、韓国人の異様な弱気が分かる気がします。
鈴置:その韓国で「新羅」を強調する動きが出てきました。趙甲済氏が「中国に立ち向かおう」と呼び掛ける記事を相次いで書きましたが、いずれも「唐に勝った新羅を思い出せ」という呼び掛けでした。
その1つ「文武王は中国(唐)にどう対したか?」(7月13日、韓国語)を要約します。
- 古代国家を建てて以来、韓民族は中国の歴代王朝に対し事大主義的な政策をとったものの、国のかたちは守り、独自の文明を作った。中国に同化され、滅びた多くの民族に比べ、注目すべきことだ。
- 中国に対する韓民族の基本路線を決めたのが、新羅の三国統一だった。その過程で新羅は実利的、自主的であり、賢い対唐外交を繰り広げた。
- 新羅とともに百済と高句麗を滅ぼした唐は西紀668年、総督府を置いて半島を植民地にしようとした。文武王ら新羅の指導部が(唐との戦争を決意せず)これを受け入れていたなら、我々は今、中国の一部となっていただろう。
- 文武王の偉大さは一時的な安楽を拒否し、世界帝国との、絶望的に見えた決戦を決断したことだ。
ナショナリストの趙甲済氏らしい檄文です。「ここで中国に立ち向かわなければのみ込まれる。それでいいのか」と訴えたのです。
朴槿恵は文武王になれるか
—韓国は「新羅」になるのでしょうか。
鈴置:相当に難しいと思います。確かに新羅は唐と戦いました。しかしその後、朝鮮半島の歴代王朝は中国の冊封体制に組み込まれていったのです。それは日清戦争を契機に朝鮮朝が清から独立するまで、千年以上にわたりました。
ある国が冊封体制に参加するには、中国の元号や暦を受け入れるのが必須条件でした。中華文明への敬慕と文化的同質性を表明するのが服従の証(あかし)だったのです。
朴槿恵大統領も就任するや否や中国を訪れ「文化の同質性を手がかりとした連帯」を申し出ました。国民も「韓中連帯」の深化を歓迎しました(「117年ぶりに韓国を取り戻した中国」参照)。
朴槿恵大統領の行動は冊封体制への復帰を思い起こさせるものでした。文武王が見たら、何と言うでしょうか。「新羅の気概」はすっかり「事大主義」に上書きされてしまったように見えます。
(次回に続く)
良ければ下にあります
を応援クリックよろしくお願いします。
『FT 習主席が軍改革に意欲的な理由』(日経ビジネス8月8・15日号)について
本日から北戴河会議が行われるようです。<8/6日経 中国、人事巡り攻防激化 「北戴河会議」始まる
【北京=永井央紀】中国共産党の習近平指導部が党長老らと国内外の重要問題について話し合う非公式会議が5日までに河北省の避暑地、北戴河で始まったもようだ。最大の焦点は新たな最高指導部を選出する来秋の党大会に向けた人事の協議。習氏が2日に李克強首相らの出身母体である党青年組織、共産主義青年団(共青団)への統制強化策を打ち出すなど攻防は熱を帯びつつある。
中国国営新華社は5日、党序列5位の劉雲山政治局常務委員(中央書記処書記)が北戴河で、各界の専門家との会合に参加したと伝えた。馬凱副首相や趙楽際党中央組織部長が同席しており、多くの党指導者が北戴河に集まっているとみられる。
北戴河にある指導者専用の保養施設では5日、党高級幹部や軍高官を乗せたとみられる車列の出入りが確認できた。地元関係者によると7月下旬から交通規制が始まり、今月1日以降に「指導者が相次いで到着している」という。施設周辺は私服警官を含めた厳しい警備が敷かれ、専用ビーチの沖合では海警局の船が警戒に当たっていた。
中国共産党は5年に1度の党大会で最高指導部を入れ替える。68歳以上が引退する慣例に従えば、来秋は7人の政治局常務委員のうち5人が交代。習政権の2期目を左右する人事をめぐり、長老も巻き込んだ北戴河会議が攻防の舞台となる。
党中枢に詳しい関係者は「従来よりも党内の不満が高まっており、習氏が思い通りの人事ができるかは不透明だ」と言う。習氏は2012年に党総書記に就いて以降、江沢民・元国家主席につながる党幹部を相次いで汚職容疑で摘発し、権力基盤を固めてきた。李首相や胡錦濤・前国家主席ら共青団出身のグループとは一定の協力を保ってきたが、共青団系への摘発が続くにつれ関係が冷え込んできた。
水面下では「習氏のやり方は強引すぎる」との批判がうずまく。成長鈍化が鮮明になった経済情勢や、「核心的利益」と位置づけてきた南シナ海の権益主張が国際仲裁裁判によって否定されたことも批判材料で、江派と共青団系の双方が不満を抱えているという。
習氏は党内の引き締め強化で対抗する構えだ。「共青団改革計画」。党中央弁公庁が2日、唐突に発表した文書は党内に激震を走らせた。改革を「党を厳格に統治する一環」と位置づけ、共青団に対する統制強化が明確になったためだ。「習総書記の一連の重要講話を全面貫徹する」と忠誠を求める文言も入った。
最も関心を集めたのは共青団幹部の人数を減らすというくだり。関係者は「これまで団幹部に約束されてきたスピード出世の特権が小さくなる」と指摘する。北戴河会議の時期に合わせた発表は、共青団の求心力をそぐ狙いとの見方が多い。
6月末に開いた政治局会議では「共産党問責条例」が制定された。「民衆が強烈に反発した」「党の政治基盤を損ねた」などの時には党幹部の責任を追及すると明記し、習氏の政権基盤の源とも言える反腐敗運動を一段と強化した。習氏の右腕として摘発を取り仕切る王岐山・党中央規律検査委員会書記は「千回の働きかけよりも一回の責任追及だ」と党内にハッパをかける。「次に摘発される大物は誰だ」――。党内のあちこちで、不安げな会話が聞こえる。
北戴河会議とは・・・中国共産党の指導部が長老らと夏に重要事項を話し合う非公式の会議。北京から車で約3時間の避暑地、北戴河(ほくたいが)で開くことに由来する。避暑と休養を兼ねて同地を訪れていた毛沢東氏のもとに党幹部も集まるようになったのが起源。中国メディアが開催の事実を報じることはなく、会期も分からない>(以上)
8/6宮崎正弘氏メルマガでは<中国人民解放軍内の「江沢民残党」を一斉粛清 田修思につづき、李継耐と寥錫龍将軍が失脚。北戴河会議が大揺れ?
河北省秦皇島にある北戴河地区は警備が強化され、高級車の出入りが激しくなった。恒例の北戴河会議が開幕した模様である。
その矢先にどかんと北京政界を揺らすニュースだ。
軍人のトップである中央軍事委員会のメンバーだった李継耐と寥錫龍将軍が失脚したらしいという情報は北戴河会議を揺らしたに違いない。一説に江沢民は欠席するという情報がある(多維新聞網、8月6日)
軍人高層部の粛清は、もともと谷俊山中将の失脚から開始された。摘発したのは劉少奇の息子で軍改革の旗頭だった劉源である。
劉源は15年師走に突如引退を声明し、習近平の軍師役を降りたが、腐敗幹部からは目の仇にされていた。
江沢民派だった徐才厚将軍は末期ガンで入院中の病棟で逮捕され(その後、死亡)、ついで蘭州軍区のボスでもあった郭博(伯の誤り?)雄将軍が拘束、さきごろ無期懲役の判決が出た。ふたりの自宅や愛人宅からは「大判小判ざくざく」。ともかく現金と金塊、高価な骨董品多数が発見された。
郭博雄への判決直後、田修思が拘束され、ついで江沢民派の残党として目を付けられてきた李継耐と寥錫龍将軍が拘束されたと『南華早報』が速報した(8月5日)。
ともに容疑は「重大な規律違反」。だれもが、この遣り方は習近平の軍内部にくすぶる江沢民残党狩りと認識する。
なにしろ胡錦涛時代の軍事委員会は殆どが江沢民人事で高層部が固められ、そのうちの四人(徐才厚、郭博雄、李継耐、寥錫龍)が失脚するわけだから「江沢民残党四人組」とでも今後言われるかもしれない)。
李継耐(74)は前総政治部主任、軍事委員会委員。つまり胡錦涛政権で軍のトップテンに入る大物である。
将軍人事、軍事委員への抜擢は江沢民が行ったことで知られる。
寥錫龍(76)は前総装備部主任。軍事委員会委員。かれもまた胡錦涛政権下で軍人トップテンに入る。江沢民によって出世の道が開かれた。
寥はベトナム戦争に参加した歴戦の勇士という評価もあるが、出身地の貴州省名産「マオタイ酒」を「軍御用達」にしたことで知られる。
軍兵舎は夕方ともなればマオタイ酒の宴会で、酒気が溢れ、戦争どころではなく、基地の隣にはこれまた軍経営の売春宿。軍の腐敗はきわまった。
なお、このニュースは南華早報がつたえたもので、まだ確認はとれていない。>(以上)
習近平の軍の改革の意思やよし、でも軍の抵抗勢力の目を逸らすため外敵(主敵は憲法上の制約がある日本)を作り、戦争を始めるつもりのリーダーは時代認識ができていないとしか言いようがありません。中華思想に凝り固まった、自己中心の中国人に言っても詮方なき話ですが。宇野重規の『保守主義とは何か』の中に、「(エドマンド)バークのもう一つ興味深い概念に「時効(prescription)がある。これは英国人の自由を「相続財産」と呼んだこととも関連するが、バークにとってあらゆる権利は歴史的に認められてきたものであった。
人がある土地を占有し続けることによってその所有権が認められるように、王国もまた、その出発点が征服であったとしても、その後長く平穏に統治し、人々がそれに服従することによって正統性を得る。「時効こそ、草創においては暴力的だった政府を長年月の慣行を通 して熟成し、合法性の中に取り入れて来るものなのです」(同前)。
逆にいえば、時効によって認められてきた権利を、権力が恣意的に奪うことは暴力に等しい。フランスの新政府による財産の没収や、それを担保にしたアシニャ紙幣の発行は、そのような時効に基づく秩序を破壊することを意味した。
パー.クの考えるところ、国家とは、いま生きているものだけによって構成されるわけではない。「国家は、現に生存している者のパートナーシップたるに止まらず、現存する者、既に逝った者、はたまた将来生を享ける者の問のパートナーシップとなります」(同前)。現役世代が勝手に過去から継承したものを否定したり、逆に将来世代を無視した行為をしたりしてはならないのである。
いま生きている人間は、自分たちが生きている時代のことしかわからない。それゆえ現在という時間によって制限された人々の理性は、過去と未来の世代によって補われる必要がある。バークは現在の人間の視点を、時間軸に沿って拡大することによって補完しようとしたのである。
以上のように、バークの保守主義は、すべてをゼロから合理的に構築しようとする理性のおごりを批判するものであり、一人の人間の有する理性の限界を偏見や宗教、そして経験や歴史的な蓄積によって支えていこうとするものであった。
人間社会はけっして単線的に設計されたものではなく、むしろ歴史のなかでたえず微修正されることで適応•変化してきた。そうである以上、社会が世代から世代へと受け継がれてきたものであり、また将来世代へと引き継がれることを忘れてはならない。パークの保守主義はそのことを説き続けたのである。(P.60~63)」という一節が出てきます。
バークは18世紀に生きた思想家ですので、時代の制約を受けます。第一次大戦後のパリ不戦条約で戦争の放棄が謳われました。但し自衛のための戦争は除外されないとのことで現在も小規模な戦争が行われている訳です。バークの時効の概念は、歴史を逆回転させて昔の土地所有者の権利を認めれば今の所有者との間で戦争になるので、一定期間平和的に暮らす人々が居れば現行の所有者の権利を認めようというものです。中国の採っているチベット、ウイグル、モンゴル政策は平和的な生活を保障したものでありませんので、彼らには独立する権利があります。中国共産党に乗っ取られた漢民族もそうですが。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%88%A6%E6%9D%A1%E7%B4%84
中国の南シナ海の侵略行動は、第二次大戦で日本が負け、新南群島の領有権がハッキリしないため起きた問題です。でもバーグのいう時効の概念とは真逆です。鄭和の時代に通ったことがあるにしても領有したことにはならず、所詮国民党の11段線の焼き直しであることがばれていますので、とても平和的に領有を重ねてきたとは言えないでしょう。況してや、国際仲裁裁判の判決を無視し、傲然とした態度では中国への国際社会の視る眼は益々厳しくなるでしょう。いくら札束で誤魔化そうとしても。国際連合のG5の特権も剥奪すべき、或は脱退勧告すべきでしょう。
http://www.sguc.ac.jp/assets/files/d-kiyou/2015/08han.pdf
中国も米国の軍産複合体と同じように軍部が力を持っています。それを軍経験のない習近平が力で捻じ伏せようとすれば、どういう展開になるかですが。習の暗殺、クーデターが起こり、軍閥が割拠した時代に戻るのかどうか。解放軍もサラリーマン化して袁世凱が軍を持たない孫文を追い出し、臨時大総統になるような芸当の人物はいないのかも知れません。
どうなるにせよ、北戴河会議の人事がどうなるかが注目点です。
記事
習国家主席は、2012年11月に中国共産党総書記に就任して以来、人民解放軍の改革に力を入れてきた。鄧小平や胡錦濤前国家主席を見て軍を抑えなければ本当の権力を手にできないと知ったことが背景にある。腐敗撲滅によって軍部の権力を弱体化させる一方で、米国に対抗できる軍の近代化を図るのが狙いだ。

今年4月20日、北京に完成した連合作戦指揮センターを迷彩服を着て訪問した。このことは習氏が人民解放軍をも掌握したことを改めて印象づけた(写真=新華社/アフロ)
習近平国家主席は、今年4月、中国軍の新しく完成した連合作戦指揮センターを迷彩服姿で訪問した時、政界のエリートにメッセージを送っていた。
これまで指導者が人民解放軍を訪問する際は、必ず緑色の人民服を着た。それは、中国共産党の軍事的な役割と文民的な役割を服装で区別する慣習に沿ったものだった。
軍を自分の権力の中核にした
それだけに習氏が迷彩服で登場したのは斬新だっただけでなく、習氏の軍に対する態度の変化を示していた。習氏は軍を国家主席という権力の座の中核に据え、個人的な権威の支柱にも据えてきた。
「習は意図的にこの伝統を破った」と、米中央情報局(CIA)で以前、東アジア担当副長官補佐を務め、現在は中国の軍事専門家で、米ジョージタウン大学で教壇に立つデニス・ワイルダー氏は話す。「彼が(迷彩服で訪問することで)伝えようとしたのは、自分は党を代表するだけでなく、諸君(軍)の一員でもある、ということだ」(同)。
習氏の連合作戦指揮センターへの訪問は、テレビで全国放送された。習氏が北京の新施設でリアルタイムの作戦データが映し出されたスクリーンを見ながら、将校らと話す映像が流された。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校の中国軍の専門家、張太銘氏は、あのテレビ放送は「習氏が軍の現場レベルにまで関与しているという事実を浮き彫りにした。それは最近の中国指導者には見られなかった特徴だ」と指摘する。
アナウンサーは習氏のことを軍の統合作戦の「総司令(最高司令官)」と呼び、習氏に軍で新たな肩書がついたことも明らかにした。総司令という肩書は、毛沢東の下で革命の元帥を務めた朱徳が1949~54年に使ったのが最後だ。
習氏は既に党中央軍事委員会主席であり、軍に対する最高権力を持っているので、新たな肩書は形式的なものにすぎない。しかし、党の肩書に加え、軍においても肩書を得たことで、習氏の象徴的な権威は一層強化されることになった。
習氏は強い指導者としてのイメージを強めるために階級や制服を利用した最初の政治家ではないが、昨年9月3日に行った大規模軍事パレードなど他のエピソードと総合すると、今回の派手な式典は、毛沢東や鄧小平が中国を率いた時代以来見られなかった形で習氏を軍と結びつけるよう設計されていたようだ。
毛沢東も最高司令官でなかった
米戦略国際問題研究所(CSIS)の中国政治専門家のクリストファー・ジョンソン氏は「毛沢東でさえ最高司令官ではなかった。これは全く新しいことだ」と言う。
さらに重要なことに、習氏は軍を改革する戦いで自分の勝利を印象づけるために今回の施設訪問を利用したと観測筋は指摘する。軍の改革は往々にしてむごいプロセスを経る。習氏による軍改革も反腐敗運動の一環として、過去2年間で数百人の軍高官を粛清した。今後さらに陸軍の30万人の人員削減を進める計画だ。

中国は習国家主席の下、陸軍を縮小し、海軍と空軍の増強に力を入れている(写真=新華社/アフロ)
連合作戦指揮センターの開設式典では高度な技術を披露したが、軍の新たな秩序も示された。中国軍が21世紀の戦いに備える中、陸軍中心の時代が終わり、海軍や空軍、戦略ロケット部隊が台頭していくということを世に知らしめた。
あるアナリストによると、腐敗撲滅運動は軍をばらばらにし、習氏の直轄下で組織の抜本改革を進めるために、まず軍を「弱体化」させる副作用もあったという。
シンガポール国立大学東アジア研究所の劉伯健研究員は「人民解放軍内の派閥主義を打破することは、反腐敗運動の大きな狙いの一つだった」と説明する。同氏によると、軍上層部の粛清で既に少なくとも37人の将校が失脚し、全員が裁判にかけられている。
1949年以来の軍の大改革
1949年の革命以来の広範に及ぶ改革とされる今回は、軍の報告体制を組み替え、その新体制を習氏直轄の指揮下に置き、軍の権限も一部奪った。
一連の粛清は対立する勢力を排除し、習氏の権威を強化するのが狙いだった。軍の既得権益にメスを入れることで、習氏は過去40年間のどの指導者と比べても最大と言えるような賭けに出ている。
「銃口から政権が生まれる」と言ったのは毛沢東だ。彼の死後、国家の基盤を成す軍と共産党の緊張した関係にあえて介入する人はほとんどいなかった。
だが、軍はこの過去40年の間に派閥主義と腐敗がはびこり、政治指導部を見下していると言われるようになった。過去の指導者はこうした軍の態度を容認したが、習氏は明らかにこれを改革の優先事項と見なしている。
先のワイルダー氏は、「指導者は常に軍との関係を考えなければならなかった」と言う。軍の共産党に対する関係を「条件付きの服従」と表現する同氏はこう指摘する。「軍こそが党の権力基盤なので、軍との関係は指導者にとって非常に慎重に扱うべき問題だ」。
軍は公式には党に従属しているが「実は本当の意味で従属する相手は、中央軍事委員会主席(習氏)だけだ。今や習氏と軍の関係が政治体制全体のあり方を決定づけている」とワイルダー氏。
ロシア国立研究大学高等経済学院の中国軍の専門家、ワシリー・カシン氏の言い方はもっと直截で、「習氏は軍を自分の政治的権力基盤にしつつある」と指摘する。
この軍と党の微妙な関係の見直しは、米国と中国が南シナ海でにらみ合っているという重大な局面下で進んでいる。
オランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日に、南シナ海における中国の領有権主張を退ける判断を下した後、人民解放軍は判決を受け入れないことを各国に思い起こさせるため、大規模な軍事演習を実施した。
国内での政治力を挽回しようと軍がもっと強気な姿勢を取るべきだと働きかけている可能性があり、心配だと欧米の一部アナリストは話している。
改革の狙いは米国に対抗できる軍を持つことだ。中国は2030年までに技術力と作戦能力で米国と肩を並べるか超えるとしているが、その達成は容易ではない。
中国は過去四半世紀、ほぼ毎年、率にして2桁のペースで軍事費を増大してきたが、米国はまだ推定2000億ドル(約20兆円)とされる中国の年間軍事予算の3倍を軍事費に投じている。
日本との戦争の敗北は破滅的
陸軍中心から海軍、空軍強化へ ●中国人民解放軍の概要

*1=大陸間弾道ミサイル *2=弾道ミサイル発射能力を備えた原子力潜水艦 出所:Financial Times
一方、人民解放軍の技術レベルの低さは有名だ。最近の戦争に当たる1979年のベトナムとの国境紛争では、兵士がサンダルとソフト帽を身に着け、戦場での通信手段に信号旗を使っていた。
また、空母や原子力潜水艦、ステルス戦闘機といった新世代のハイテク兵器が次々と生産されているが、専門家は、中国がこれらの兵器を効果的に使えるようになるには何十年はかからないかもしれないが数年は必要だという。
専門家はさらに、米国はおろかアジアで対立する日本が相手でも、中国軍の今の力では戦争に勝てるか疑わしく、敗北した場合、政治的な代償は破滅的になりかねないと言う。「日本に戦争で負けたら、中国共産党にとっては全てがおしまいになる」(ジョンソン氏)。
人民解放軍は農民のゲリラ軍として20年代に誕生し、49年の国共内戦で国民革命軍を倒し、共産党が政権の座に就いた後、国家の2本柱の1本になった。60年代の文化大革命の大混乱後、中国で機能している数少ない機関の一つとして台頭。推定700万人規模に拡大した軍はいわば「国家内国家」となった。毛沢東の死後、鄧小平は軍の権力に何らかの手を打とうとし、兵士の数を100万人減らそうとした。
胡前主席から教訓学ぶ
ワイルダー氏はこう語る。「ベトナムとの戦争後、鄧小平が軍に立場をわきまえさせた様子を目の当たりにした習氏は今、同じ手を使っている」。
習氏を突き動かしているもう一つの要因は、胡錦濤前国家主席と軍との関係だ。決定的だったのは2011年1月、ゲーツ米国防長官(当時)が北京で胡氏との会談に臨むタイミングで空軍が国産ステルス戦闘機の初飛行試験を行った時のことだ。ゲーツ氏は後に、「胡氏は飛行試験に驚き(編集部注:飛行試験が行われたことを知らされていなかったとされる)、外国の客の面前で屈辱を味わったと思う」と述べている。
「この数年間、軍と文民の指導部の間に食い違いの兆しが何回か見られた」とゲーツ氏は当時、語った。
カリフォルニア大学の張氏は「習氏は次期指導者になる準備期間中に胡氏と軍の関係の問題を目の当たりにしたことで、軍部に対する考え方を固めていったはずだ」と言う。
習氏は実権を握って数カ月で最初の一撃を繰り出し、翌2013年11月に長期的な兵力削減と抜本的構造改革を進めると発表した。同氏は、人民解放軍の創設以来、4本の柱となってきた兵站(へいたん)を担う「総後勤部」と「総参謀部」「総政治部」「総装備部」を事実上解体した。これらの部はまだ存在こそするが、その影響力は劇的に弱められた。
「共産党員は自分たちの系譜を内戦中に創設されたこの組織にたどる。しかも中華人民共和国の設立より20年も古いこれらの組織が事実上解体されているというのは、極めて衝撃的な動きだ」と前出のカシン氏は言う。
並行して、反腐敗による粛清は徐才厚・元中央軍事委員会副主席や郭伯雄・前中央軍事委員会副主席を含む大勢の軍幹部の逮捕につながった。徐氏、郭氏も昇格人事で便宜を図る見返りに賄賂を受け取った罪に問われた。

腐敗撲滅は軍部の徐才厚・元中央軍事委員会副主席(左、収監前に死亡)や郭伯雄・前中央軍事委員会副主席(無期懲役)まで葬った(写真=2点:AP/アフロ)
まだ強い改革への抵抗
徐氏は裁判を経て収監される前にがんで死亡。郭氏は7月25日、無期懲役の判決を言い渡された。
改革と粛清の真の狙いは、軍内部の権力の本質を変えることだった。全ての部署は現在、陸軍主導の総参謀部ではなく、習氏率いる中央軍事委員会の支配下に置かれている。各部署は11機関(新設されたものも含む)と権力を共有するが、全て軍事委の直轄下にある。
上海政法学院の海軍専門家、倪楽雄氏によれば、それでも舞台裏では軍内外からの抵抗が続いているという。「改革にはつきものだが、内部にも抵抗勢力がまだいる」。
腐敗にうんざりしている若手将校など、軍の改革を支持する者もいるが、軍全体としては改革に抵抗している。過去1年間に軍の機関紙に掲載された多くの記事が共産党に対する忠誠を呼びかけていた。
観測筋によると、当局が軍の支持を得ているとの自信を持っていたら、こんな記事の掲載は必要ないという。
抵抗が最も強いのが、歴史的に軍を支配してきた陸軍だ。海軍、空軍、戦略ロケット部隊が重視されるのに伴い失うものが最も大きいからだ。
「(陸軍の制服の色である)緑を着ている人は改革が気に入らない」とCSISのジョンソン氏は言う。
もう一つの重要な要素は軍再編に伴う経済的影響だと倪氏は付け加える。社会不安を何にも増して恐れている習政権は、折しも経済が勢いを失い、一部の産業が既に何千人も人員を削減している時に、30万人もの兵力の削減をうまく進めなければならない。
「地方政府は近く退職を予定している者に仕事を用意する圧力にさらされている。そのため、既に飽和状態にある組織内にさらにポストを新設する必要に迫られるかもしれない」(倪氏)
アジアの軍事費拡大を招く
軍の改革により中国の近隣諸国が安心して眠れるようになることはないだろう。南シナ海と東シナ海では対立が生じる恐れが高まっている。ある近隣国の外交官は、軍を改善しようと改革に必死な中国の姿勢は「間違いなく地域の国々に合図を送っている」と言う。
主に中国と近隣諸国が一触即発の緊張関係にあることから、各地で軍事費が拡大している。ストックホルム国際平和研究所の調査によると、アジア・オセアニア地域では、昨年の軍事費が世界で最も高い伸びを見せた。戦争で荒廃した中東の防衛予算の伸びをも上回る伸びだ。
目下の問題は、新たに改造、近代化されたが、まだ試されていない「戦闘マシン」で習氏が何をする気なのかということだ。
ベルギーに本部を置く非政府組織(NGO)の国際危機グループ(ICG)の謝艶梅氏(北京在勤)は、習氏が強硬派というイメージを打ち出し、軍への関心を深めているために中国がナショナリズムの方向に振れていると指摘する。
「習氏は国家主義者で、自信に満ちた強硬イメージを打ち出したいと思っていると世間は感じており、そのため配下の政府高官や官僚たちは皆、それに合わせて自分の言動を調整している」
Charles Clover ©Financial Times, Ltd. 2016 Jul. 26
良ければ下にあります
を応援クリックよろしくお願いします。
『なぜ中国は日本人をスパイ容疑で逮捕し続けるか 「日中友好人脈」潰しの動き、その意図を読む』(8/3日経ビジネスオンライン 福島香織)について
中韓は自分の利益の為には、平気で嘘を言い、歴史を改竄・捏造する民族ということを日本人は頭に叩き込んでおかなければなりません。彼らは荒っぽいことも平気でしますし、裏切ることも良くあります。いくら温情をかけても感謝することはありません。2001年1月の大分老夫婦殺人事件などその最たるものでしょう。中国と韓国からの留学生が、彼らの身元保証人を引き受けてくれていた老夫婦を惨殺したものです。また、2003年に福岡県福岡市東区で発生した、中国人留学生3名による一家四人の強殺事件もありました。未開の部族と同じです。法の支配などある訳がありません。
「自分がするから他人もそうする」という発想で、日本人は中国人・韓国人も日本人同様良い人が多いと思いがちです。ですから騙されたり、挙句の果ては殺されたりするわけです。もっと警戒感をもって彼らを見なければ。中国人・韓国人も当然同じような発想をして、自分達だったら必ずこうするだろうという妄想の挙句、出て来たのが、南京虐殺や従軍慰安婦の問題です。日本人と中国人・韓国人は考え方だけでなく行動も違います。戦後日本は歴史戦でずっと負け続けてきました。河野洋平や加藤紘一、鳩山由紀夫のような政治家を選んだ国民が最終的に責任を負います。やっと通州事件をユネスコに世界記憶遺産として申請しましたが、これも民間の手によるものです。外務省は無能の集団です。
スパイ容疑で逮捕されたのは鈴木英司日中青年交流協会理事長です。元々左翼で中国に貢献してきた人間を逮捕するのですから、中国人に恩義の概念はないという事です。団派と習近平の権力争いの余波が及んだと多くの人が見ているようです。しかし、数十年も中国人と付き合ってきて、その本質を理解できなかったとは不思議です。中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という事ですので。イデオロギーに染まって目が曇ったのか、贖罪意識に苛まれたのか、或は下々と付き合わず中国人の本質を示す事例にぶつからなかったのかどうか。小生は中国駐在8年間で、4回裁判や労働裁判をしました。やはり、白地で事実に基づき発想することが肝要かと。井戸を掘った人間ですら逮捕拘留されるのですから、そうでない人は猶更です。日本企業の経営者は駐在員を早く中韓から帰すべきです。
8/4宮崎正弘氏メルマガの書評に<石平、陳破空『習近平が中国共産党を殺す時』(ビジネス社)
中国共産党の統治はいずれ斃れるが、自壊するのか、滅ばされるのか、 清朝のように自然消滅か、「問題はどうやって死ぬかだ」という問題意識 からふたりの議論は侃々諤々、はてしなき広がりを見せる。
そうだ、どうやって中国共産党は死に絶えるのか。
長崎へ講演旅行の往路で半分、帰路にのこり半分を機内で読んだ。表題 が表題だけに、あまり他人の目に触れないように気を配りながら(冗談)。
それにしても陳破空氏の展開する奥の院のすさまじいばかりの権力闘争の分析を聞いていると、さもありなんと頷く反面、いったいこれはどこまで本当の話なのかといぶかしい部分が頻出してくる。
陳破空氏は天安門事件のおりの指導者の一人で広東で活躍し獄中数年の 筋金入りだ。いまは米国に亡命し、ニューヨークに住む。
対談相手の石平氏は、こんかいは主に「聞き役」に回り、ときに相づちをうち、ときに異論を差し挟んでいる。
たとえば次のような未確認情報が並んでいる。
- 2,015年8月、「河北省委員会書記の周本順は北戴河でクーデターを起こし習近平を殺害することを計画していた」(34p)
これは大規模な暗殺計画で習近平のみならず王岐山を含む「全員を亡き者にしようと計画されていた」という。
- 「習近平は政権を握って3年以上経ったが、いまだに中央宣伝部を把 握できていない」。となると中央宣伝部という党の中枢にある、このプロパガンダ部門をがっしりと握るのは劉雲山で、かれは20年以上を書けて、このプロパガンダ機構を牛耳った。(40p)。
- 銅鑼湾書店事件の真相も、「桂民海は、よほど欲深い商売人で、彼はいくつもの出版社を経営していたことから、しばらく時間を置き、ほとぼりが冷めたころを見計らって、こんどは書籍のタイトルを『習近平と彼の6人の愛人』に変え、再出版しようとした」(51p)。
実際に評者(宮崎)も香港へ行った折、この銅鑼湾へ行ってみた。場所は高島屋の裏手の商店街ですぐに分かったが、銅鑼湾書店は閉鎖されていた。
これまでの報道では社長、店長以下五人が拉致され、嘘の供述を取られ、つまりは香港から出版の自由がなくなった。一国両制度の約束に反するとして学生市民が立ち上がり数十万の抗議デモも行われたが、じつは銅鑼湾 の社長は先に15万ドルで、習近平と手打ちが出来ており、作者にも5万ドルの『没原稿料』が支払われていたのだというから、そうなるとブラックジャーナリズムではないか。
- 秘密ファイル事件についても、団派の領袖だった令計画の失脚に関して驚くほどの情報がさりげなく挿入されている。
陳破空氏はこう言うのだ。
実弟の令完成は秘密ファイルを1,700件持ち出してアメリカに亡命したが、その秘密の中味たるや習近平と愛人のセックス録画ではなく、「ひとつは中国の核兵器に関する情報、ふたつ目は、中共指導部とその家族の動向、財産、女性関係、セックステープ。三つめは、未だ明らかになってい ない中南海の配置と政府要人の隠れ場所だ。すべてアメリカに渡っている」(72p)
これ以上書くと、本の営業妨害になるので、止めるが、本書は最初から 最後まで、秘密のベールに包まれてきた中南海の、どろどろとした実態を 余すところなく、語り尽くしている。
しかし検証されない、つまり裏がとれない情報なので信憑性の問題が残る。いや、小説として読めば面白いかも知れない。
最後に石平氏は習近平の最後を、自らが、自分でよってたつところを自らで破壊しているわけで、「必然的に共産党政権も終わる。はたして習近平は自身がどの方向に進んでいるのかを本当に自覚しているだろうか」と 歴史家の目をもっての疑問符をつけて読者の判断に委ねている。>(以上)
これが本当だとしたら、アメリカは情報を小出しにして中国を揺さぶればよいでしょう。戦争は避けられるかも。戦争よりは中国の内乱を望みます。人民解放軍の面子の問題で、南シナ海や東シナ海から何もなしで撤退は出来ないでしょうから。
記事
中国で、また一人、日本人がスパイ容疑で捕まった。中国では日本の諜報戦に対する警戒が高まっている。中国で日本人スパイがそんなに暗躍しているというのだろうか。日本人には想像もつかない中国の報道から見える中国の日本人スパイ観がある。
相次ぐ不当逮捕、また一人…
今回逮捕されたのは、某日中友好団体の理事長(59)。中国で国家安全危害にかかわる容疑で拘束されていることを中国外交部が7月30日に確認した。一部で、実名でも報道されているのだが、私自身、特にこの件について団体側に直接取材していないし、団体側も正式に発表しておらず、彼の安全にかかわることでもあり、あらぬ中傷を受ける可能性もあるので匿名のままでいきたい。
報道を総合するとこの日本人は7月11日、関西経済連合会訪中団のメンバーとして北京を訪問した際に逮捕された。本来なら15日に帰国する予定だった。この友好団体のサイトは現在、メンテナンス中で開けなくなっている。
この団体は2010年に創設されて比較的新しいのだが、彼自身は30年以上、中国とのかかわりをもつ典型的な日中友好人士である。団体の目的は日中両国の青年交流を通じて中国の緑化、植樹活動を支援することである。
彼が中国と本格的に関わり始めたのは1983年。中華全国青年連合会の招待を受けて上海、北京を訪問後、東北の戦争跡地も訪問した。まだハルビンの731部隊跡などが公開される前のことだ。この訪問団は戦後初めて、日中戦争跡地を訪問した日本の代表団だった。
その後、97年から北京外語大学教授、中国社会科学院中日関係研究センター客員研究員などの中国の教育・研究職に、足かけ6年就いていた。思想的には社民党系の左派リベラルだが今年4月から日本衆議院調査局国家基本政策調査室の客員調査員でもあり、中国情勢、朝鮮問題についての分析調査も行っていた。5月には「中国の外交」をテーマに講演を行っていたが、これが今回の逮捕と関係があるのでは、とみられている。
衆院調査局は議員の立法活動に必要な資料や勉強の機会を用意しサポートする部局である。そこから講演やリポートを頼まれることは、専門家ならば普通にある。こんなことでスパイ容疑と言われたら、学者や専門家は普通に中国をフィールドに研究活動することもままならないだろう。私からみれば、昨年から表面化している一連の“日本人スパイ”逮捕と同様、不当逮捕である。
ただ、今回話題にしたいのは、彼が実際に何をしたのか、何かしたのか、ということではなく、近年急激に目立つ中国の日本人スパイイメージに対する喧伝とその裏にある意図について、だ。
彼が植林などの日中友好事業にかかわってきたこともあり、中国では「日中友好の仮面をかぶったスパイが30年も潜んでいた!」といったニュアンスでさかんに報道されている。私自身は「日中友好」という言葉自体はあまり好きではないが、それでも中国との友好に身を捧げていた少なからぬ人たち、中国的に言えば「井戸を掘った人」の功績を踏みにじるような報道がなぜ今、増えているのだろう。まずは、今回の事件についての報道ぶりを見てみよう。
“中国通”スパイは以前から浸透?
例えば新京報紙のウェブサイト版。
「なんとういことか。日本のスパイが中日友好交流団体にひそんでいたのか? 少なからぬネットユーザーは驚き、心ふさいだ。あんなに言っていた友好はどこにいったのだ?
だが実のところ、外交通のあるアカウントは『そんなに驚くことではない。“中国通”を騙る日本のスパイというのは以前から中国に浸透しているのだ』と語る。
最も有名なのは37年間の長きにわたってスパイ活動をしていた日台経済人の会理事長の阿尾博政。彼は経済学者の身分で中国に潜入。
阿尾博政は中国政府官僚のアレンジで少なからぬ軍事施設と武器を視察し、記念撮影を口実に中国最新鋭の軍用車両や最新型戦闘機の写真なども撮った。報道によると1982年から諜報活動を開始し、日本陸上幕僚監部に150編以上の中国に関するリポートを提出。2009年に彼は日本で自身の諜報活動についての書籍を出版している」
ここで引用されている阿尾博政著『自衛隊秘密諜報機関‐青桐の戦士とよばれて‐』(講談社 2009年)は、それなりにその世界を知っている人からすれば、ほとんど創作に近いトンデモ本と評価されている。小説や漫画の資料にするならともかく、メディアとして多くの反証論文もあるこの本を根拠に、日本の諜報活動を語るのは無理があろう。
さらに新京報は、過去に日本のスパイがいかに暗躍してきたかという例を次のように挙げている。
どれだけ日本に凄腕スパイがいるのか?
①2015年5月、50歳代の日本人男性が、中国でスパイ活動に従事したとして浙江省で起訴されている。温州・南麂列島の軍事施設周辺の写真を撮っていたところ身柄拘束され、9月に正式に逮捕された。南麂列島は釣魚島(日本の尖閣諸島)西北300キロに位置する。
②1996年、日本の北京駐在武官が軍事機密を窃取したとして中国から強制退去となった。当時、日本武官と米国武官が海南省に行き、中国海軍の最新潜水艇の情報を探っていたという。中国安全部に逮捕され取り調べを受けたところ、軍事機密を映した写真とビデオが見つかった。
③2002年10月26日には日本の駐在武官、天野寛雅が寧波の軍事管制区で海軍官兵に逮捕された。この後、天野は強制退去となった。
④国家測絵局(測量局)によれば、2011年5月、各地の測量行政主管部門が展開した抜き打ち検査19000回のうち、3000件以上の違法案件が見つかったが、その中で日本国籍者がかかわる件が非常に多いという。
⑤2010年2月、日本人が環境視察の名目でGPSを持ち込み、新疆ウイグル自治区のタルバガダイ地区など85か所にわたる軍事管制区を違法に測量していた。
⑥2014年9月、甘粛省の秦嶺山付近で、日本人国籍の容疑者を拘束。解放軍第二砲兵基地と中国爆撃機工場を秘密に測量する準備をしていたという。
⑦2006年、中国政府は中日経済新聞の創始者、日本国籍の原博文を逮捕。1995年から日本の外務省のために中国情報を収集、指導者の健康状態など大量の中国機密文書のコピーを提供したという。
⑧2013年12月、寧波市象山出身の中国人・陳威が海軍東海艦隊のある倉庫で写真撮影して拘束された後、取り調べで寄田を名乗る日本人男性からの指示を受けての活動であったことを自白。陳威は海外でビジネスを通じて寄田と知り合い、活動費を受け取って寄田の諜報活動に協力していたという。寄田は、写真撮影のほか、浙江省海洋局の職員や海洋研究に従事している人物とのコネクションづくりを要請していたという。
⑨中国社会科学院弁公庁主任助理の陳輝が日本外交官に外交政策に関する国家機密を渡したことで2006年6月、国家機密漏えい罪で有罪となった。彼の逮捕一か月前に、中国社会科学院公共得思索研究センター副主任の陸建華も国家安全にかかわる容疑で逮捕された。
どれだけ日本に凄腕スパイがいるんだ、というような印象の記事だが、このうち、本当の意味で諜報活動と言えるのは②、③くらいではないだろうか。いずれも武官の本来の仕事であり、彼らは退去させられたが、拘束はされていない。ちなみに、近年の駐在武官の方々から話を聞くに、最近はこうした果敢な情報収集活動は行っていないというか、許可されないそうだ。
だがそれ以外は本当にスパイといっていいのか。①の事件に関しては、以前このコラムの「中国のスパイ取り締まり強化に怯むな」でも触れている。この男性以外に、神奈川県在住の元脱北者のNGO関係者、札幌在住の元航空会社社員、東京在住の日本語学校経営者の女性ら4人が相次いで遼寧省や北京で拘束されたことは記憶に新しい。
愛知県男性が起訴されたあと、日本語学校経営者女性も起訴されているが、起訴事実は2人とも明らかにされていない。この4人については、いわゆる情報周辺者(業務上、深い情報を知りえる立場)であり、それを他人に漏らしうる立場かもしれないが、それはスパイとはいえない。
いずれにしろこのレベルをスパイ扱いしていたら、東京でいったい何千人の中国人情報周辺者を拘束せねばならないだろうか。
ポケモンGOもスパイ目的?
また、違法GPS利用の容疑者に日本人が多いといわれているが、トレッキングや登山のために持ちこんだGPSをスパイ利用と言いがかりをつけられて没収されたり、取り調べられているケースもかなり含まれていると思われる。
北京周辺の山岳地帯は万里の頂上跡など地図にも載っていない遺跡も点在しており、トレッキング趣味のある人はGPSを頼りに、こうした山岳地帯に行きがちだ。だが、それは実は違法であり、そうした山岳地帯の思わぬところに軍事施設もあるので、スパイ容疑をかけられやすい。ちなみに中国の地図アプリは、微妙にずらすなど細工をしてある。正確な地形情報、地図情報は中国では国家機密である。だから、中国ではポケモンGOの世界的流行はスパイ目的ではないか、といった言説がまことしやかに流れるのである。
別の記事、人民日報傘下にある環球時報も見てみよう。
「…(今回拘束された日中友好人士をかつて取材したことがある)日本華僑新聞編集長の蒋豊は28日に環球時報の取材をうけてこう語っている。
『日中友好交流団体からスパイが出てくるのは一向に不思議ではない。おそらく、これが日中友好交流団体から出てくるスパイとしては最後の一例ではないはずだ。いかなる団体も、スパイが利用する仮の姿になる可能性がある。』…
たとえ日本政府がスパイを派遣したことを否定しても、日本はこの数年の間に対外人力情報資源(ヒューミント)建設に力を入れており、外務省国際情報統括官組織、内閣情報調査室、公安調査庁などを利用して対外情報収集に力を入れている。昨年4月日本政府は、日本版MI6設立の提案書を提出している。中国は日本にとって一番防備すべき国の一つであり、自然、日本の情報収集の重点対象となるのである」
蒋豊編集長のこのコメントはブーメランである。日中友好交流団体の情報周辺者をいちいちスパイ扱いしていたら、彼自身も明らかな情報周辺者であり、疑われる立場だ。しかも過去に実際、「週刊文春」でスパイ疑惑を報じられたこともある。この疑惑について昔、本人に直接訪ねたところ、大いなる誤解であり、筆者の富坂聰氏にも抗議して了解してもらっていると主張しているが、それならなおのこと、情報の境界にいる善意の人々を陥れるような言動は控えるべきであろうといいたい。
このほかにも、日中友好人士がスパイ!といった見出しの報道があふれ、日本人への警戒感をあおっている。強引な日本人拘束と起訴、さらにまだまだ日本人スパイが暗躍しているようなニュアンスの報道。そんなに日本政府が諜報活動に熱心に取り組んでいれば心強い限りなのだが、実際のところは逆で、日本の対中国情報の収集能力は以前よりも劣化しているように私は思う。スパイ騒動は、むしろ習近平政権の対日外交姿勢の在り方によるものと私は見ているのだが、どうだろう。
目的の一つは、環球時報が触れたとおり、今、日本で外国人による情報収集や特務活動の予防が議論されており、その重点対象が明らかに中国人であることへのけん制があるとみられる。
当局の都合次第で、日本人も、親日派も
さらに、中国社会科学院日本研究所の呉懐中の環球時報へのコメントが興味深い。
「平時、日本人たちと交流しているとき、彼らは中国のいろいろな方面の情報に非常に興味を持ち、いろんな内幕話を聞く。中日双方の関係が比較的良好ならば、こうした方法で中国情報を仕入れるのはさらにたやすいだろう。現在、双方の関係がうまくいっていないので、日本は中国情報の必要性がさらに高まっており、人を利用したスパイ行為もやらざるを得ないのだろう」
このコメントの裏を読めば、日中関係が良好ならば普通にやり取りされる情報も、関係が悪くなった今は、かつては普通の情報のやり取りであったものが、スパイ行為に認定されかねない、という情報周辺者の不安が垣間見える。要するに、もともとスパイ扱いされなかった人たちが、習近平政権になってからはスパイ扱いされる可能性が強まったということでもある。
もう一歩、うがった見方をすれば、私は習近平政権にとって過去に日中が築いた人間関係が邪魔になっているのではないか、と疑っている。
主に80年代から始まった日中の蜜月が培った人間関係は、主に胡耀邦につながる人脈、つまり共産主義青年団人脈が主流だ。今回、拘束された日中友好交流団体理事長も共青団関係組織がカウンターパートになることが多かったようだ。習近平個人には日本政府や民間人との人脈パイプはほとんどない。夫人の彭麗媛は共青団出身であり、80年代の日中青年交流にも参加しているのでそれなりの人脈があるが、習近平周辺ではそれがほぼ唯一といってよい日本とのつながりだろう。
習近平の権力闘争の主なターゲットはすでに上海閥から共青団派に移っているが、その権力闘争と日中間の人脈つぶしは全く関係がないと言えない気もする。昨年に拘束された4人の日本人のうち2人は権力闘争に巻き込まれた可能性も仄聞している。
共青団系の政治家で失脚して汚職と情報漏えいで無期懲役判決を受けた令計画は弟が機密情報をもったまま米国に亡命した。令計画は日本にもそれなりの資産を持っており、妻が日本へ逃亡する計画もあった。
いずれにしても今、スパイ容疑で拘束されている日本人のほとんどが不当逮捕であると私は見ている。日本人が優秀な諜報能力があったのは戦前の話だ。だが、習近平政権の強硬な対日外交や日本への警戒感や権力闘争などを背景に、あいまいなスパイの定義を使って日本人を拘束することは、対日牽制や国内の親日派に揺さぶりをかける一つの手段となっている。
だが、そんな政権の都合で、長きにわたって築かれた日中の民間の交流の成果が傷つけられていいのだろうか。それでより大きな不利益を被るのは日本や日本人よりも、中国と中国人の方ではないだろうか。
良ければ下にあります
を応援クリックよろしくお願いします。
『「最前線」金門島で実際に見た台湾・中国関係 複雑に絡む利害、微妙な距離感』(8/2日経ビジネスオンライン 上野泰也)について
南シナ海の仲裁裁判は判事が中国も台湾も同じ国という思い込みがあって、言わなくても良いことを言った気がします。それだけ世界に中国の嘘のプロパガンダが効いている証拠でしょうけど。南シナ海全体に触れるとどうしても太平島にも触れざるを得なかったのかもしれませんが。
中国も5/20に蔡英文民進党総裁が就任してから、台湾への旅行客を減らすとか経済的圧力をかけてきましたが、金門島の賑わいの記事を読めば、それ程でもないのでしょう。中国人は「上に政策あれば下に対策あり」ですから。7/19台湾で中国人を乗せたバスが事故を起こし、台湾人運転手・ガイドを含む26人が亡くなったのは記憶に新しいです。バスの車体本体は繁体字、観光客向けの案内版は簡体字で書かれているので調べれば中国人観光客が減っているかどうか分かります。
金門島の土産として人民解放軍が撃ち込んだ大砲の弾で造った包丁とかがあります。
https://www.toyo-sec.co.jp/china/column/yawn/pdf/r_053.pdf
http://www.cinemajournal.net/special/2013/hocho/index.html
日本人も中国のプロパガンダに左右されることなく、事実に即した現代史を学び、日本にとっての台湾の地政学上の重要性に鑑み、もっともっと台湾を支援をしていくようにしていければと思っています。国民党の財産も国家に戻すようにしましたから、益々国民党は衰退していくでしょう。でも国民党と台湾(国家)との関係は、中国共産党と中国(国家)との関係と同じです。漢人の発想は同じで、国家より私的な党を優先するという事です。それで公共の概念が発達しませんので、自らの身を律する道徳も無きに等しくなります。台湾は今後も民進党が政権を握るのが続き、真の民主主義国家として発展していくのでは。嘘が得意な韓国とは違います。
http://mincome.net/koe.html/20160725-00000574-san-cn
記事
台湾海峡には金門島や馬祖島といった、台湾(中華民国)の実効支配下にありながら中国本土(中華人民共和国)から目と鼻の先の島がいくつかある。筆者は会社の夏休みを利用して、金門島を今回訪れた。
■台湾(中華民国)が実効支配する金門島と中国本土との位置関係、
そして今回の旅行の経路

台湾は猛暑続きで汗まみれ
7月中下旬は台風が次々と襲来することが多く、台湾では観光のオフシーズン。ところが今年は異常気象で台風の発生が極端に少ない。このため金門島と台湾本島の都市(嘉義および台北)に筆者が滞在している間、お天気はほとんどの時間、晴れだった。その代わりに猛暑続きで、外を歩き回る筆者のポロシャツは、一日に数回汗まみれ。夕方には乾いた塩分が白い線になって浮かび上がっていた…。
実は、筆者の今夏の一人旅の行き先としては、バングラデシュが有力候補になっていた。ところが、「地球の歩き方」を読んだ翌日にバングラデシュのダッカで飲食店襲撃テロ事件が発生したため、取りやめとなった。ほかの行き先を再検討する中で、台風が発生しないかどうか、天気図や現地の天気予報を毎日にらんだ上で、休暇入りの数日前になってようやく、台北往復(国内線への乗り継ぎが楽なように台北中心部にある松山空港発着便)のチケットをインターネットで購入した次第である。
金門島と大陸の間で砲声が止んだのは1979年
1946年からの国共内戦で敗北濃厚になった蒋介石率いる国民党・中華民国政府軍は、1949年に台湾に撤退して拠点とした。そして、大陸にきわめて近いものの彼らが支配下に置き続けた金門島は、1958年夏から秋に中国共産党の人民解放軍によって大量の砲弾が撃ち込まれるなど、最前線の島になった。台湾海峡の緊張状態に米国が介入したため、共産党政権は武力による台湾制圧を断念。しかし、その後も大陸と金門島との間では形式的な砲撃が続けられ、砲声が止んだのは1979年に米中国交正常化が実現してからのことだった。
台北・松山空港で国内線のチケットを買って、1時間ほどのフライトで金門空港に到着。インフォメーションで宿を予約してもらってから(週末のためほとんどの宿が満室な中、電話をかけまくって一生懸命探してくれた若い女性担当者に感謝!)、タクシーで街に向かうと、景色はのんびりした田舎の風情である。
けれども、島のあちこちに防空壕や基地として使用された長い地下トンネルがあるほか、北側の海岸には上陸用舟艇の接岸を防ぐためレールを砂浜に斜めに刺した障害物が今でも多数埋め込まれており、最前線の島だったことがよくわかる。

海岸の障害物と対岸のアモイの高層ビル群
中台関係の緊張感の高まりは感じなかった
台湾の陸軍兵士による榴弾砲の操作実演も見学した。上陸した人民解放軍を国民党の軍隊が撃滅した古寧頭の戦いの記念館もある。そうした軍事関連施設が、平和が保たれている現在、この島の観光の目玉になっている。
中台関係は、今年1月の台湾総統選挙で民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が当選し、5月20日に就任してから、微妙に悪化している。6月25日には中国で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官が、蔡英文政権は「(中国大陸と台湾は一つの国だとする)一つの中国の原則という共同の政治的基礎を認めていないので、両岸(中台)の対話メカニズムは既に止まっている」と述べた。台湾独立を志向する蔡政権との当局間対話を中国は事実上停止していたが、当局者が明言したのは初めてだという(6月26日 日本経済新聞)。
経済の調子が良くないと外交・軍事面での対立・緊張に国民の目を向けさせるという事例は、古今東西枚挙にいとまがない。中国は現在、不動産バブル崩壊後の不良債権問題への対処で抜本的な対応策を打ち出せないまま、経済成長率の下支えに苦慮している。蔡政権発足後、金門島でも少しは緊張感が高まっているのではないかと筆者は考えたのだが、実際にはそうした兆候は見出されなかった。
金門島とアモイの間では、通航の自由化が実現
金門島と対岸の中国の大都市アモイ(厦門)の間では、2001年から「小三通」と呼ばれる通航の自由化が実現している。金門島からアモイまでフェリーで約35分。だいたい30分に1本と、便数はかなり多い。

金門島からアモイに向かうフェリー
滞在2日目の朝、一番早い朝8時発の便に乗ってみたら、台湾人・中国人の観光客でかなりの席が埋まっていた。別の政府の支配地域に行くといった緊張感はまったく感じられなかった。元朝日新聞台北支局長である野嶋剛氏の著書『台湾とは何か』を読むと、「金門の人々は、中国に対する警戒心がそれほど強くない。台湾意識も強くない。基本は中台和解支持である。対中国のハードルが台湾本島より低いのである」と書かれていた。
なお、筆者がたどったこのルート(台北から金門まで国内線で飛んで、フェリーでアモイに入る)は、台北からアモイに飛行機で直接飛ぶよりも安く行けることから人気があるようで(庶民の知恵のようなものか)、台湾の国内線3社が乗り継ぎに便宜を図っていた。中国への入国審査も、現地の人々は慣れており、実にスピーディーである。
中国へ入国、もしかするとスパイと疑われた?
筆者の場合はどうだったか。中国・北朝鮮国境の都市である延吉から中国に昨年入国・出国したせいか(当コラム2015年9月8日配信「中国側から眺めて分かった『北朝鮮のいま』」参照)、女性係官によるチェックにやや時間がかかった。横に寄ってきたベテランの男性係官が「ちょっとすみません、日本ではいま平成何年になりましたか?」と、小職に突然質問。ちゃんと正しい返答をしたのだが、もしかすると北朝鮮の工作員か何かと疑われたのだろうか。あるいは、天皇陛下の生前退位問題が中国でも報じられたためだったのかもしれない。
アモイは中国の中で、住宅価格の上昇率の高さが最近目立つ都市の一つである。6月の新築住宅価格の上昇率は前年比+33.6%で、深センに次ぐ第2位。金門島の住民も投資しているらしい。そのためか、高層マンションの建設現場ではクレーンがちゃんと動いていた。
この都市における観光で筆者のお目当てはコロンス島という島であり、別のフェリーターミナルまでタクシーで30分かけて出向いた。だが、この日は日曜日。行楽に出かける中国人観光客でターミナルはごった返しており、午前中のフェリーは全部満席だったのであきらめた。猛暑の中、代わりに南普陀寺などを観光し、わずか5時間の滞在で、金門島にフェリーで戻った。
仲裁裁判所判決に抗議する若者
もう1つ筆者が関心を抱いたのが、7月12日に出された南シナ海問題を巡る国際的な仲裁裁判の判決で、「九段線」の内側は主権・権益の及ぶ範囲だという中国の主張が完敗したことへの、台湾の姿勢である。
この「九段線」は、1947年に中華民国(当時の国民党政府)が引いた「十一段線」がルーツである。同政府が台湾に移った後、中華人民共和国が2本減らして「九段線」にした。したがって、仲裁裁判所の判決を不服とする点で、台湾は中国と同じ立場である。台湾ではすでに述べたように現在は民進党政権だが、総統府は判決が出た12日に声明を発表し、「南シナ海の諸島と関連海域は中華民国(台湾)が所有する。我が国の利益を損なういかなる情勢にも譲歩しない」などと反発した(7月13日 毎日新聞)。
台湾本島では民国党という政党が、この判決に抗議する署名運動を展開していた。民国党の徐主席が副総統候補として、総統候補の親民党・宋主席とペアで総統選を戦ったが、得票率1割強で落選したことを後で知った。嘉義の在来線駅の前に若い男性が2名。

嘉義駅前で仲裁裁判所判決に抗議する署名運動をしていた若者たち。
筆者も声をかけられたが、中国語ができないので英語で会話。本当に判決に不服だと彼らは言う。だが、道行く人はつれなく、署名はさほど集まっていなかった。その後、台北中心部のホテルの前でも、若い女性が2人組で同じ活動をしているのを目にした。
台湾が実効支配する太平島が判決で「島」ではなく「岩」とされたことに抗議する漁船が20日に現地に向かうなど、抗議活動が台湾で広がっているという。
「太平島は長さ約1.4キロ、最大幅400メートル。淡水が湧き、辺境防備のために200人以上が駐在する。にもかかわらず『人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができない岩』とされた」(7月21日 毎日新聞)
「住民の間では中国への警戒感が根強いが、台湾に不利な判決を日米が支持したことに失望する声も出ている」「国際協調を重視する蔡英文政権は関係国との摩擦を避けたいのが本音で、世論との間で板挟みになっている」(7月21日 日本経済新聞)
複雑な利害関係で結びつく台湾と中国
1つの問題では共同歩調をとり得るものの、別の問題では根深い対立を解消するのが難しい。中国と台湾の問題は、そうした複雑な絡み合いの中で現代の国際関係が成り立っていることを、あらためて思い起こさせてくれる。
端的に言えば「白か黒かでは割り切れない」わけで、英国のEU(欧州連合)からの離脱問題の行方などにもあてはまることだろう。
これは、新たに出てきた材料を、時間の経過とともにマーケットがどのように消化していくのかを考える際にも、有用な視点だと言えそうである。
良ければ下にあります
を応援クリックよろしくお願いします。

