3/18日経朝刊<中国の資本規制、日本企業に影 海外送金ストップ続出
中国の通貨である人民元と外貨の双方で国境をまたぐ取引を抑える中国の資本規制が、日本企業の活動に影を落とし始めた。現地事業の売却代金を受け取れなかったり、日本への送金が止まったりする例が続出。ごく一般的な資金管理すら難しくなっている。中国は2016年に円換算で30兆円超が国外に流れた。当面は規制を優先せざるを得ず、習近平政権が掲げる人民元の国際化は揺らいでいる。
アサヒグループホールディングスは16年末、子会社である山東省の農業会社と牛乳製販会社を現地の乳業大手に売却した。売却額は日本円で約十数億円。しかし国境をまたいだ送金の規制が強化されたため、代金は3カ月近くたったいまでもアサヒの日本の口座には届いていない。
現地乳業大手は支払う意思は示しているが、現時点では送金の手立てがないという。アサヒは「弁護士らと相談しながら粛々と手続きを進めていく」というものの、着金には時間がかかりそう。大規模なM&A(合併・買収)を通じ、世界市場での事業再編成を進めるアサヒにとって、山東省の件は影響は小さいが、想定外の中国の資本規制にとまどいを隠さない。
深刻な例もある。「当局の許可がおりず、送金できない」。コンデンサーやプリント回路を手掛けるエルナーは16年12月、資本提携で合意していた中国企業からこんな連絡を受けた。
エルナーは財務内容の改善と中国事業の強化に道筋をつける目的で、中国企業への第三者割当増資で資金を調達する計画だった。しかし、増資は失効。経営戦略の練り直しを迫られている。
人民元を取り巻く環境が急変したのは15年8月。中国人民銀行(中央銀行)は突如、元を「過大評価されている」として切り下げに踏み切った。当時1ドル=6.1元台だったが、3日にわたる切り下げによって6.4元まで下落した。一定の範囲で値動きを認める「管理変動相場制」を導入した05年以降、元は初めて大きく下落した。
唐突な切り下げは「元は今後も値下がりする」との疑念につながり、元安と資金流出が止まらなくなった。人民銀はドル売り・元買いの為替介入で外貨準備をすり減らすなかで、規制の強化によって強引に資金流出の食い止めに動いた。
徐々に強化されてきた資本規制だが、16年末に「一線を越えた」(大手銀行)。500万ドル(約5億7千万円)以上の海外投資は当局の事前審査が必要になり、銀行の外貨両替や元の海外送金を制限した。「外貨と元の両方で規制がかかり、一気に厳しくなった」(外国銀行幹部)。中国から日本への海外送金も滞るようになった。
「とにかく待ってください」。ある商社は中国拠点から数億円の資金を日本に送ろうとしたが、銀行にこう告げられた。重工大手の中国拠点は、日本の親会社から調達した数億円相当の部品代金を支払えなかった。三菱電機は中国子会社の送金で外貨への切り替えなどを検討。TDKは中国事業の余資送金で、銀行や通貨当局に手続きに必要な時間を確認しているようだ。リスク管理で子会社に必要以上の資金を持たせないという経営管理すら難しい。
「経常項目は制限していない」。人民銀の周小川総裁は10日の記者会見でこう述べた。貿易取引の決済や配当金の支払いなどは規制の対象外だと明言した。銀行の審査を通れば資金をやり取りできるはずだが、実際には当局の窓口指導で銀行は慎重。「16年末以来、海外送金で支障をきたした企業は数十社にとどまらない」(銀行関係者)
中国で事業展開する外資系銀行は、送金額や時期について取引先の企業と調整を始めた。ヤマは6~8月で、中国現法による親会社への配当支払いがラッシュを迎える。ある銀行幹部は「現行の規制は外貨の方がまだ送金しやすい。経費増になるかもしれないが、外貨に両替したうえでの送金を頼むしかない」とあきらめた表情で語った。
中国は銀行金利の自由化など金融規制を少しずつ緩和してきた。国際通貨基金(IMF)が15年に仮想通貨、特別引き出し権(SDR)への組み入れを認めたのも自由化の努力が底流にあった。
だが、16年は貿易決済に占める人民元の比率が15年の26%から18%に低下。銀行間決済も2.3%だった世界シェアは1.7%になった。元の信認低下は数字にはっきり表れているだけでなく、中国の事業環境の評価を損ねかねないところまで来ている。(上海=張勇祥)>(以上)
中国の資金の海外流出が止まらないため、強引に規制をかけている実態が明らかになってきました。人民元をSDRの通貨バスケットに組み入れたラガルドIMF専務理事の力量は問われても良いのでは。こういう展開になることは予想されていました。2001年に中国はWTOに加盟しましたが、違反が多く、パネルに訴えられてばかり。尖閣問題時の報復としてのレアアース輸出規制もそう。南シナ海の国際裁判所の判決も「紙屑」と言い切る国ですから。国際ルールはハナから守るつもりはありません。それは白人が作ったルールで「中華思想」と相いれないためです。利用できるところは利用するというスタンスでしょう。
中国は進出企業に対し、利益が出ても現金を中国国内において再投資させようと誘導します。ただ、配当とロイヤルテイは海外へ送金できます。しかし、合弁企業であれば「董事(=取締役)全員一致の原則」があり、中国側は再投資させようとしますので配当の海外送金は難しいです。
日本企業の中国からの撤退も難しくなってきた感じです。まあ、中国人ですからのらりくらり払わないで逃げ切るつもりでしょう。中国へ進出した企業の授業料でしょう。日本を侵略しようとしている国を経済的に支援してきた訳ですから自業自得と言えます。人口の多さに幻惑され、儲けるつもりで出て行っても、悪辣な中国人が簡単に儲けさせてくれる筈がありません。本社の役員は、自分が中国での仕事の経験がないため、日本国内と同じ判断をします。中国の問題を言うと「人種差別主義者」のレッテルを貼り、物を言えなくしたりします。愚かな人達です。その咎めが出てきたという事でしょう。
さて、本記事ですが、小生が先月旅行に行ったスリランカの記事です。スリランカは親日国ですが、本記事にある通り、中国がどんどん進出してきています。特に前大統領は中国から賄賂を貰った疑いがあります。中国お得意の戦術ですから。コロンボ港の99年租借なんて前にも書きましたが李鴻章の為した香港租借と同じではないですか。99=久久=永遠の意味です。中国語の発音がjiu3で同じですので。スリランカはまだまだ貧しく、外国からの投資と技術援助を欲しがっています。騙すことが当り前の中国に技術支援するなら、スリランカにした方が良い。国民はキチンと感謝してくれます。中国と違う大きな点です。
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15498.html
インド洋を中国の海にしないためにもインド、スリランカとの協力は必要です。P3-C哨戒機の中古を売ることで結びつきが深まれば、こんなに嬉しいことはありません。
記事
日本とインドの間で今月、外務・防衛当局の審議官が話し合う「2プラス2」が開かれた。そこで話し合われたかもしれない議題が、P-3C哨戒機の中古6機をスリランカへ輸出する件だ。実はこの話は、日本の安全保障に大きな影響を与えるかもしれない潜在性を持っている。3つ理由がある。中国対策に有効で、日米印連携を深めるのにも好都合。そして日本の防衛装備品輸出にとってカギになる可能性が高いからだ。
海上自衛隊が運営するP-3C哨戒機
中国対策に有効
まず、スリランカへの防衛装備品輸出を今、実現することは、中国の海洋進出に対抗する上で大きな意義がある。中国は昨今、インド洋へ潜水艦を活発に派遣している。昨年は3か月平均で4回程度確認された。
中国は2016年11月、バングラデシュに潜水艦を2隻輸出した。パキスタンへは8隻の輸出を決めている。さらにパキスタンが原子力潜水艦を保有する計画も支援する可能性が出ている。潜水艦の輸出は、中国の軍人がインストラクターとして輸出先に常駐する状態を生むから、中国軍の存在感と情報収集能力が高まっていくだろう。
さらに、中国はインド洋で大規模な港湾建設計画を進めている。いわゆる「真珠の首飾り戦略」と呼ばれる中国の商業港開発計画だ。インドの国土の周りに真珠の首飾りをかけたかのような位置に港湾を建設している。表向きは商業港だが、中国の軍艦が補給や整備するのに使えば、海軍拠点として機能する(図1)。
図1:スリランカ・コロンボ港における中国の港湾開発光景(撮影:筆者)
中国のインド洋進出は日本にとって問題だ。インド洋には、日本のシーレーンが通っている。中東から石油を運ぶ海のルートだ。今、日本の電力は火力に大きく依存している。石油が必要なのだ。輸入する石油の9割近くを中東から輸入する日本にとって、インド洋の安全保障はますます重要性を増している。そこに中国の潜水艦がいて、「日本のシーレーンを守ってやっているのだ。だから日本は中国に感謝して、中国の政策にもっと配慮しろ」と迫ってくるかもしれない状況が近づきつつある。
だから、理想を言えば、日本も海上自衛隊をインド洋に常駐させて存在感を示さなくてはならない。実際2001年以来、海上自衛隊はインド洋に展開し続けている。しかし、海上自衛隊の努力にも限界がある。海上自衛隊は日本海、東シナ海、南シナ海でも仕事があるからだ。
ではどうしたらいいか。やはり現地の国の協力が必要だ。そこで、インド洋における安全保障上の要衝、インド洋の真ん中にある島国、スリランカに注目するのである(図2)。実は過去から、日本はスリランカに注目してきた。
第1次世界大戦では、日本海軍は総力を挙げてシーレーン防衛に当たった。その一環としてインド洋にも大規模展開した。第二次世界大戦では、日本は空母機動部隊を派遣してスリランカ沖で英空母を撃沈した。戦後も、スリランカ内戦の和平に尽力してきた。スリランカに寄港した海上自衛隊の艦艇数は2011年4月から2016年6月までに22隻に及ぶ。報道によれば2017年夏に、ヘリ空母「いずも」もスリランカに寄港する予定だ(注1)
現在は、2隻の巡視艇を輸出する計画が進んでいる。日本はスリランカの重要性に気付いてきたのだ。だから、スリランカに哨戒機6機を輸出して、その訓練などに当たるための自衛官も常駐させて、インド洋における海洋の状況把握に当たることを検討している。すぐれた計画である。
(注1) Tim Kelly and Nobuhiro Kubo, “Exclusive: Japan plans to send largest warship to South China Sea, sources say” (Reuters, March 13, 2017)
図2:スリランカの位置
しかも今、チャンスが訪れている。スリランカの雰囲気が、日本にとって追い風なのだ。スリランカでは内戦が終わり、外を見る傾向が出始めている。インド洋の海洋安全保障に対する関心が高まっているのだ。また、中国に依存してきた政権が倒れ、新しい政権が誕生した。新しい政権は日本や米国、インドとの関係をより重視している(関連記事「佐川急便がスリランカの会社を買収した理由」)。しかも、あるショッキングな事件が起きた。
中国が今年1月、スリランカ南部で建設を進めるハンバントタ港の運営権99年分を手に入れたというのである。この話を聞いた現地のスリランカ人は、怒り始めた。これでは植民地と同じではないか、と。結果として、中国のイメージが地に落ちている。スリランカが中国へ依存することは警戒すべきであると、スリランカ人を説得し、中国海軍の海洋進出対策を進めるチャンスが巡ってきたわけだ(注)。
(注)筆者自身も努力中である。スリランカ国防省で2月、日本と組むよう講演した。以下は、その講演について報じたインド紙とスリランカ国防省のページ。スリランカ紙にも報道があった。
(新聞記事) P.K.Balachandran, “Japanese expert says Sri Lanka should befriend India and Japan to counter China”, The New Indian Express, 16 February 2017 (スリランカ国防省の掲載ページ)
日米印連携のチャンスになる
スリランカへの中古P-3C輸出が、日本の安全保障に大きな影響を与える可能性がある理由の第2は、この計画が日本だけでなく、米国とインドを巻き込んだ計画になるからだ。
もともとP-3Cは、米国が開発した防衛装備品である。だから、日本がスリランカに中古機を輸出する場合は、米国の国務省と国防省の許可がいるはずだ。
また、南アジアで何かする場合、南アジアに縄張り意識を持つ国の存在を忘れてはならない。インドだ。かつて日本がスリランカ内戦を和平に導く仲介役となったとき、インドは日本の意図を警戒した。スリランカへ防衛装備品を輸出する場合、当然、インドへの配慮が欠かせない(関連記事「動き出した「日本のインド洋戦略」)。
だから、スリランカへの中古P-3C輸出は必然的に日米印3か国が協力する事例になる。良い意味でこの状況を利用すればいい。
例えば、インド軍は対潜水艦用の哨戒機として米国製の哨戒機を使っている。米国はもちろん米国製の哨戒機である。日本は国産と米国製の哨戒機の2機種だ。だから、3か国と、同じ米国の系統の装備を利用している。情報の共有などが、やりやすいはずだ。だとすれば、スリランカに輸出した中古P-3Cが収集した情報を、日米印で共有するシステムを開発し、日米印・スリランカで海洋安全保障連携を積極的に進めることができるはずである。こうした連携で日米印の連携が深まれば、3か国のパワーは中国を圧倒する力をもつ可能性がある。
日本の防衛装備品輸出のカギになる
さらに、スリランカへ中古P-3Cを輸出した後、他の国々への輸出が続く可能性がある。中古P-3Cの輸出は、日本にとって数少ない有利な取引だからだ。その理由は3つある。
まず、中古であれば価格を抑えられる点だ。日本が開発する防衛装備品は価格が高い。例えば、インドと現在、輸出の交渉を進めているUS-2救難飛行艇は1機100億円といわれる。このような高額の防衛装備品を途上国に輸出しようとしても、当然、取引が成立しない。しかし、中古の装備品であれば、価格を抑えることができる。
次に、十分な数がそろう点である。日本は過去、P-3C哨戒機を100機ほど保有し、現在でも66機保有している。しかもこれらの装備は更新期に入り始めており、日本は新しい国産のP-1哨戒機への切り替えを図っているところだ。だから、最終的には66機すべてが中古P-3Cとして輸出できる可能性がある。
日本はかつて、P-3Cをフィリピンに輸出することを検討したことがある。スリランカに6機輸出する案が実現すれば、他の国に輸出する前例となり、より多くの国との協力関係につながる可能性がある。
最後に、中古P-3Cの輸出は、日本国内で政治的に問題になり難いことだ。防衛装備品の輸出は、日本にとって新しい分野。政府だけでなく国民も慣れていない。そのため、輸出した装備品が相手国の紛争で使用され人を殺傷する事件などが起きると、日本で問題視されるかもしれない。しかし、哨戒機は海洋監視に使用するもの。紛争に使われる可能性は他の装備品より低い。
カギを握る哨戒機輸出
つまりスリランカに哨戒機を輸出する案は、中国の海洋進出に対する対策として有効。日米印との連携を促進するため太平洋・インド洋全域に及ぶ協力につながる可能性がある。さらに、日本の国内事情にも合致した、かなり可能性のある輸出案件である。積極的に進め、今後増えるであろう同種の取引の典型的事例にすることが期待される。
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