3/15日経電子版<米大統領令「200本用意」 政権移行チーム元幹部に聞く
【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領の政権移行チームで政策立案の責任者だったアド・マチダ氏が、日本経済新聞の取材に「既に大統領令は200本用意されている」などと政策づくりの舞台裏を語った。日米経済関係では「トランプ政権は2国間の自由貿易協定(FTA)に向けた対話を始めたいと考えている」と明言した。
アド・マチダ氏 Ado Machida 1964年ニューヨーク生まれ。トランプ政権移行チーム唯一の日系人幹部で約200人の「政策実行チーム」の責任者。公約を「就任初日」「就任100日」などに分けて大統領令や関連法案に落とし込んだ。移行チームは2月末に解散し、3月からはコンサルティング会社の共同経営者に。53歳。
――トランプ政権は大統領令を多発し、通商政策などでは強硬姿勢も目立ちます。政権運営は計画通りと言えますか。
「政権運営はここまで90%うまくいっている。大統領令は30本程度が発令されたが、実は既に200本ほど用意してある。移民問題、メキシコ国境の壁、インフラ整備、教育改革など14分野に分けて優先順位を付けた」
「これからも大統領令を発していくだろう。大統領令は法的効力は大きくないが、大統領のリーダーシップを示すPR効果が期待できる」
「環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も打ち出した。これを真っ先に持ってきたのは通商交渉を多国間から2国間交渉に移すという『貿易観』の転換を印象づけるためだ。トランプ氏は2国間交渉でこそ経済大国である米国の強みが発揮できると考えている」
――「米国第一」を掲げる貿易政策の本当の狙いは何ですか。
「貿易政策はトランプ氏を支持した中西部の製造業の再興に焦点を置いているが、防衛産業を育てる狙いがある。航空部品や自動車部品、レーダーシステムなどソフトウエアも含めた国内防衛産業を再興し、米国の安全保障を高めることが重要だ。『米国第一』には多面的な意味合いがある」
「米通商代表部(USTR)は組織変更を検討している。アジア、欧州など方面別で組織化しているが、ハイテクや製造業など業種別に変える案を提出した。貿易協定は外交との位置づけだけでなく、米国の雇用をどれだけ増やし、経済成長をどれだけ高められるかの観点でみる必要がある」
――4月に日米経済対話が始まります。米国側は何を求めますか。
「政権は早期に日米FTAの対話を始めたいと考えている。FTAが日本の内政に影響するのも理解している。経済対話では第1弾として経済協力で走り出すことも考えられる。高速鉄道やエネルギー、インフラなど協力できる分野は多い」
「とはいえ米政権の優先課題は貿易赤字の削減で、自動車問題は避けて通れない。日本メーカーは米国での生産を増やしているが、政権内にその認識は浸透していない。日本ももう一段の努力が求められる」
――移民問題などでは混乱もみられ、国際的な批判も強まっています。
「中東など7カ国からの入国を一時的に禁止した大統領令は、テロ対策強化のために入国を止めている間に対策を再検討するということだった。移民問題の混乱は省庁間の調整がうまく進まなかったことに原因がある」
「政権の政策は『反移民』ではない。4%の経済成長のためには移民の活用が不可欠だ。ただ移民問題を冷静に議論するには、一時入国禁止などでまず米国の安全と安心を確保する必要がある。移民活用の議論はそこからだ。不法移民も経済の活力源であり、滞在できる何らかの道を作る」
――トランプ政権の成長戦略は30年ぶりの税制改革にかかっています。
「経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均法人税率は20%台。米国は州の法人税が4.5%あるから、連邦法人税率を15%まで下げれば先進国平均よりも税負担が軽くなる。出発点はそこだ。税制改革を主導するライアン下院議長は『法人税の国境調整』を検討しているが、トランプ政権としては、消費者負担が増えるリスクがある国境調整には反対だ。議会審議がこじれれば、大統領として口を挟んでいくことになるのではないか」>(以上)
トランプが今一番やりたいことを、ピーター・ナヴァロの著書『米中もし戦わば――戦争の地政学』から紐解いて解説しています3/18伊勢雅臣氏のブログ「国際派日本人養成講座」を是非お読み戴ければ。
http://blog.jog-net.jp/201703/article_5.html
小生の考えていることと同じですが、伊勢氏は20年前から中国の危険性に気付き、警鐘を鳴らしてきたとのこと。先見の明を持った真の経営者です。小生が中国の悪に気付いたのは2005年の反日デモの時からですので。やはりビル・クリントンが最悪の癌と言うのが分かります。江崎道朗氏も言っていましたが、米国が生み出す利益の内、90%も株主の物にしたのはビル・クリントンで、従業員に還元されなくなったとのこと。米国の中産階級が没落したのは間違いなくビルのせいです。それでビルの妻のヒラリーは大統領になれず、トランプが大統領になった訳です。
トランプのやりたいことはいろいろ拡散しているように見えますが、基本は新興敵勢力の打倒にあります。中国が敵と明確にさせないように、日本や欧州をバッシングしていると思っています。それでも、米国内に敵勢力が金とハニーで浸透していますので、抵抗勢力となって邪魔をしている構図です。ユダヤ金融勢力も中国の金にしてやられているのでしょう。悪魔の仕組みである共産主義(三権分立無し、人権弾圧、非法治、自由無し、選挙無し)が世界に跋扈するのは人類にとって不幸の極みです。今の中国や北朝鮮の国民を見ていれば分かるではないですか。政府のプロパガダに反対する者は拘引、拘留、死刑です。而も、三権分立してないため、逮捕状無く拘引、人知れず殺される世界です。自由主義国は連帯して悪のシステムに対抗しなければなりません。世界史的観点から、トランプこそがその輝ける星と現段階では思っています。中国に籠絡されないことを祈っています。
大前研一氏は二国間交渉はやってはいけないと主張していますが、時代遅れです。政治センスがないから都知事選にも落ちたのでしょう。TPPはNAFTA撤廃より発効前なので簡単と思われてサインしなかった訳です。それを元に戻すことはありません。TPPの条文に基づき、二国間で交渉するしかないのでは。特に、農産物は纏まらなければ豪州に利益を与えるだけというのを、時間をかけて交渉すれば良いと思います。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20170317/plt1703172059006-n1.htm
インフラ投資で日本が協力できる分野は多いのでは。リニアモーターカーをNY~ワシントン間に通せば便利になります。日米の民間投資で賄えば堅固な関係が経済でも出来上がります。
移民制限の隠れた目的は、テロリスト排除だけでなく、勢力を増してきている中国人を狙ったような気もしています。何せスパイがうようよしていますから。また売春目的の韓国女性も。
記事
トランプ政権が発足して早2カ月。最初の100日間で成果を出そうとスタートダッシュをかけたが、現状では混乱の方が目立つ。
2月28日の施政方針演説は「大統領らしい」と高評価だったが、その直後にジェフ・セッションズ司法長官が大統領選中に駐米ロシア大使と接触していた事実が判明、その後もトランプ大統領が「オバマ大統領に盗聴された」と爆弾ツイートを投下したため、再びホワイトハウスは喧噪に包まれている。
それでは専門家はここまでのトランプ政権をどう見ているのか。政治リスク分析に定評がある米ユーラシア・グループのジョナサン・リーバー米国政治担当ディレクターに話を聞いた(取材は3月9日)。
(ニューヨーク支局 篠原 匡、長野 光)
—ここまでのトランプ政権をどう評価しますか。
ジョナサン・リーバー氏(以下、リーバー):トランプ政権はいわゆる移行期間、ハネムーン期間にあり、政権を評価するのはまだ早すぎると思います。実際のところ、現在はハネムーン期間というよりはむしろ婚約期間のようなものだと思います。トランプ大統領は強力な政策チームが不在の状態でホワイトハウスに来ましたので、結婚自体が始まっていないように感じます。それが現在の遅さにつながっています。
そのため、新政権の立法面や行政面を評価するにしても、現時点ではかなり限定的になります。トランプ大統領は新しくホワイトハウスに入ったリーダーであり、彼自身、同じように政権に入ったばかりのアドバイザーに囲まれています。また、彼はワシントンDCのエスタブリッシュメントから多くの抵抗を受けています。そういう事情を考えれば、移行期間は大目に見てもいいのではないでしょうか。
ジョナサン・リーバー 米ユーラシア・グループ米国政治担当ディレクター。ミッチ・マコーネル上院議員の主席経済政策アドバイザーを務めるなど、連邦議会での豊富な経験を有する。(写真:Mayumi Nashida 以下同)
あと1カ月、2カ月もたてばトランプ大統領は立法上の“勝利”を手に入れると思います。例えば、オバマケアの撤廃法案であり、暫定予算案の期限切れに伴って4月末に出される歳出法案です。確かに、行政という面では移民関連の大統領令もあってスタートは不安定でしたが、トランプ政権は大統領令を修正しました。これまでに、間違いから学んでいる面もあります。よって、選挙公約や期待されていることをベースにここまでの成績をつけるとすれば、現時点では「保留」という評価になります。
「やる」と言ったことをすべて実行している
—オバマケアの撤廃や大規模減税などの個別公約はどうでしょうか。
リーバー:オバマケアも現時点では「保留」という評価ですが、いい方向に進んでいると思います。税制改正も大した修正がなければ、2017年末、あるいは2018年初に関連する法案が議会を通過すると見ていますが、大きな変更がある場合は現時点では分かりません。ゆえに、これも「保留」です。移民に関しては、彼らは「やる」と言ったことをすべて実行しており10点満点だと思います。
—満点?
リーバー:そう思います。トランプ大統領は不法移民に断固たる措置を執ると述べていました。あくまでも選挙公約との比較という意味ですが、満点だと考えています。
貿易については、まだ政策を実行するための人事が承認されていません。とりわけ、米通商代表部(USTR)の代表に指名されているロバート・ライトハイザー氏が承認されていません(※編注:取材時点)。商務長官のウィルバー・ロス氏も承認されたばかりです。彼らが仕事を始めるにはもう少し時間がかかるため、貿易の評価も「保留」とします。
インフラ投資も同様です。インフラ投資という公約を実現するために動き始めているようですが、今後、トランプ政権は議会の抵抗に遭うと思います。そのため、ここも評価は「保留」ですが、インフラ投資はオバマケアと違って、間違った方向に向かっていると感じています。
—外交政策はどうでしょうか。
リーバー:日本については10点満点がつけられるのではないでしょうか。トランプ政権は日本を米中関係の中心に置き、アジア太平洋地域のキープレイヤーに位置づけました。予断ですが、トランプ大統領に対する安倍首相の扱いは極めて上手い。ここは最高得点でいいと思います。
中国とロシアについては、やはり「保留」です。米中は貿易や安全保障で懸念材料があります。北朝鮮問題など心配すべき案件もありますが、まだ何も始まっていません。ロシアも同様で、マイケル・フリン前安全保障担当補佐官が辞任するなど、トランプ大統領の周辺とロシアを巡って様々な話が渦巻いています。ただ、その真相はまだ何も分かっていません。「保留」だと思います。
—政権運営という面ではどうでしょう。だいぶ混乱しているように見えます。
リーバー:確かに、政権運営にはコミュニケーション不足や調整不足など明確な不安定さがあります。さらに安全保障担当補佐官が辞任したり、国務省が脇に追いやられたり、といった状況を見ると、そこから何が出てくるのかを語るのは難しい。政権運営のところは5点といったところでしょうか。
付け加えれば、ホワイトハウスの報道官には改善の余地があると思う。トランプ大統領はツイートで自身のメッセージを発しており、政権として組織的なコミュニケーション戦略を持っていないように見えます。ただ、改善の兆候も見えるため3点はつけられるのではないかと思います。
閣僚は合格点、次官級以下に課題残す
—閣僚の顔ぶれはどう評価しますか。
リーバー:これは本当に上手くやったと思っています。指名候補で一人辞退者が出ましたが、上院で拒否された人はいません。トランプ政権は保守派が心地よく感じる真の保守内閣を作りました。民主党は反対していますが、それは問題ではありません。国務省や国防総省をはじめ、トランプ政権が仕事を遂行する上で、クオリティーの高い人材を見出したと思います。ここは8点。
もちろん、次官級以下のレベルでは問題を抱えています。ティラーソン国務長官やムニューシン財務長官を支える人々はまだ埋まっていません。今の状態が続けば、2カ月後には問題になるでしょう。内閣のキャパシティ不足は政権に打撃を与え始めていると思いますが、切り抜けられるのではないかと現時点では思っています。それについてはものすごく心配しているわけではありません。
—就任当初、イスラム圏の人々の入国禁止など物議を醸すような大統領令を連発しました。ここについてはどう思いますか。
リーバー:全体的に、トランプ大統領は「やる」と言ったことを実行していると思います。まさに選挙期間中に見た姿そのままと言えます。大統領令にしても、話題を提供しているだけでしょう。
リーバー:トランプ大統領が何を成し遂げられるかということを考えるときに重要なのは議会との関係です。議会との関係がよく、コンセンサスが得られれば、トランプ大統領は多くのことができる。一方で、彼のしたいことに議会が協力しなければ、トランプ大統領は何もできなくなる。この政権の成功や失敗を考える時に重要なのは、議会との関係で何が起きるかということです。
彼は議会のコンセンサスを得ることができるのか、彼は議会共和党をまとめあげることができるのか。政権の不安定さとコミュニケ―ションにおける問題、政策の選択に関してはっきりとしたガイダンスを提示する人がいないという事実は、共和党が多数派を占める議会が彼らの政策目標を成し遂げられないということを意味するのか、などなど。こういった疑問はこれから明らかになっていくと思いますが、政権全体としては現時点で7点はつけられるのではないでしょうか。
—個別の政策についてもう少し詳しく教えてください。足元を見ると、オバマケアの撤廃と置き換えに時間がかかっているように見えます。
リーバー:オバマケアはコンセンサスがまだないため、大きな試練に直面しています。ただ、厄介な状況にはありますが、代替案がコンセンサスを得られる可能性もあり、私としては外部から見るほど悪い状況ではないと思っています。次の2~3週間で撤廃・置き換え法案は下院を通過すると思います。上院は下院とは選挙区などで事情が異なりますので、もう少し時間がかかるでしょう。
国境調整は通せないが、法人税25%減は可能
—トランプ大統領が公約している大規模減税はどうでしょう。トランプ大統領は法人税15%、ライアン下院議長は20%の実現を目指しています。
リーバー:両者の数字は大きすぎると思います。今の35%という法人税を考えた時に、1%の法人税が下がるごとに10年間で1200億ドルの税収を失います。仮に法人税20%とすれば1.8兆ドルですよ。これは大きすぎる。ただ25%程度であれば十分に達成可能な数字だと思います。共和党には財政赤字を心配しているメンバーもいますが、この辺であれば達成可能でしょう。それでもトランプ大統領の政治的勝利になると思います。
—ライアン下院議長など下院共和党の執行部が提唱している国境調整なしでも大規模減税は実現するでしょうか。
リーバー:まず国境調整が議会を通る可能性は低いと思います。共和党の議員は国境調整をガソリン税、つまり消費者に対する新たな課税、あるいは彼らが最も嫌忌する新たな関税と見なし始めていますので、本当に難しい作業になると思います。確かに、国境調整が導入されれば大幅な減税が可能になりますが、25%でも十分に勝利だと言えますので、それ以上税率を引き下げる必要はないと思います。
国境調整がなくても、トランプ政権は政府債務の拡大を通して減税を実現させると思います。確かに共和党には、とりわけ下院には財政赤字の拡大に制限をかけたいと考える財政タカ派がいます。一方で、減税をまず実行して、その後に財政支出の削減を実行するという順序でもいいと考えている共和党議員もたくさんいますので。
—インフラ投資はどうでしょう。トランプ大統領は熱心ですが、議会共和党は前向きとは言えないようです。
リーバー:トランプ政権が掲げている政策の中で、インフラ投資の優先順位はかなり後ろの方だと思います。とりわけ議会はインフラ投資に関心がありません。
トランプ大統領は国境の壁、国防費の増額、インフラ投資という大規模な支出を伴う3つの政策を訴えています。私は物理的な壁ではなく、国境警備のための支出は可能だと思っています。10%の増額は無理だと思いますが、国防費の増額も可能でしょう。ただ、インフラ投資は難しいと思います。仮に実現するとすれば、連邦政府の巨額支出ではなく、税制上のインセンティブを民間企業に与えるというものだと思います。
市場のインフラ投資への期待は過大だ
—インフラ投資に対する市場の期待は大きいと思いますが…。
リーバー:市場は過大評価していると思います。小さなインフラ投資、そして穏当なサイズの減税になる可能性が高いのではないでしょうか。
—最後に、貿易についてはどうでしょう。「国境調整は難しい」という話ですが、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉など企業にとって懸念材料はいろいろとあります。
リーバー:議会の共和党議員はNAFTAを支持していると思いますよ。彼らは自身の州にとってNAFTAは効果的だと思っていますし、北米の統合されたサプライチェーンの価値を認めています。実際、NAFTAに依存した仕事はかなりありますし。そういった現実がトランプ政権の動きを縛ると思っています。
既に、ウィルバー・ロス商務長官はNAFTAの改善点についてビジョンを述べています。電子商取引に関わる項目を入れたり、原産地規則を見直したり、恐らく為替操作に関する拘束力のある文言も入れたいと思っているでしょう。また、トランプ政権はメキシコに対して労働法や環境法の改善を求めています。そのあたりがネゴシエーションのベースになると考えています。
メキシコは米国の要望に対応しようとすると思います。輸出の8割が米国向けと、彼らは米国に大きく依存しています。もちろん、国境の壁の費用は払わないでしょう。関税の引き上げも米国が主張すれば容認するとは思いますが、米議会もそれを望んでいませんので、そこまではしないと思います。ただ、メキシコは米国の要求をほとんど容認する可能性が高いとみています。
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