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日高義樹著『「オバマの嘘」を知らない日本人』を読んで

昨日朝、NHKのニュースを見ていました。22日の与那国島の住民投票の結果ですが、朝5時台は「陸上自衛隊の配備賛成派の勝利と市長の中学生も含めた投票のあり方についての批判」について報道されていましたが、6時台には市長の批判は流されませんでした。左翼人士にとって都合の悪いことは多くの人が見る時間帯には報道しない姿勢なのかも。「報道しない自由」の権利の行使です。聞けば「編集権は天下のNHKが持っている」とか「時間がなかった」とか言い訳するのでしょうけど。この本を読めば、中国が如何に侵略国かわかります。実際領土問題を抱える南支那海には堂々と軍事基地を作っております。ISIL、ウクライナ問題で手を打つことができないオバマの姿勢を読み切ったうえでのこと。与那国、尖閣、沖縄だけでなく彼らは日本を全部手に入れようと考えています。国民一人ひとりが国防を真剣に考えないと侵略されます。「念仏平和主義」は抑止力にならないのはISILの人質事件を見れば分かるでしょう。九条擁護派の考えは犬養毅の「話せば分かる」に対して「問答無用」の回答を受けるでしょうと言いたい。世界はいろんな考えの人がおり、平和を実現するには抑止力が必要です。左翼人士は利敵行為をしているとしか思えません。

表題の本は昨年7月に刊行されました。日本の核保有をアメリカは反対しないとかプーチンは北方領土を返さないとか『「「プーチン大統領は千島列島をめぐって日本側と対決をしていると考え、最新鋭の揚陸用空母や海軍歩兵部隊と呼ばれる海兵隊をウラジオストックに実戦配備しようとしている」。この会議に出席したアメリカ海軍の退役提督が、こう言ったが、ワシントンの軍事専門家はプーチン大統領が日本と対決し、北方領土を取り返されるのを防ごうとしていると見ている。「プーチンと日本との対決は続いている。プーチンは、軍事力でもってロシアの利益を守らなければならないと思っている」』とか内容はいたって刺激的です。アメリカ発の情報なので、よく咀嚼して考えたいと思います。

帯には

尖閣を守る」を信じてはいけない

米国民の61%がオバマは嘘をつくと考え、ワシントンの軍事専門家の多くは「ウクライナの次に危ないのは日本」だと言い始めた!  PHP研究所 定価・本体1,500円

・米•中のバブル崩壊は先送りされる

・オバマ大統領の平和外交は完敗した

・ロシア極東太平洋艦隊が日本と対決する

・中国は核戦力を飛躍的に増強する

・朝鮮半島で五年以内に戦争が始まる

・オバマ大統領は戦争を始められない

・アメリ力がアメリカでなくなる

・ドイツ・ヨーロッパがアメリカ離れを始めた

・ペンタゴンで内乱が起きている・・・他

と面白い内容です。是非購入して読んで戴きたく。

内容

FRBはこれまで五年間、毎年一兆ドルずつ、連邦債や不良債権を買い続けてきた。連邦債や不良債権を買い続けるということは、ドルの発行高を増やすことで、通貨の過剰流動性を生み、経済にとって重荷となる。このまま金融緩和政策を続ければィンフレは避けられな いが、金融緩和を取りやめ、緊縮財政を始めれば、ニ〇〇九年以来のアメリカの不完全な景気回復の中で生じているミニバブルが崩壊してしまう。

アメリカの人々は、中国のバブル崩壊が世界経済を混乱させることを懸念しているが、もっと深刻な問題はアメリカ経済の先行きなのである。長い間続けてきた金融緩和政策を打ち切れば、アメリカ経済が大打撃を受け、中国のバブル崩壊に勝るとも劣らない難しい問題を引き起こす恐れが十分にある。

アメリカ経済は長期間にわたる金融緩和の結果、まさに借金漬けになっている。アメリカ連邦政府の財政赤字はすでに一八兆ドルに達しているが、新しい医療保険制度が実施されると、借金はさらに増え、あっという間にニ〇兆ドルを超す。

アメリカ国民の個人的な借金も急速に増えている。一般家庭の借金は二〇一二年の暮れには一兆八〇〇〇億ドルであったものが、一年後の二〇一三年暮れには二兆ドルを超した。こうした借金のほかに、クレジットカードの借金がほぼ一兆ドル、自動車ローンが一兆ドル弱、 学費ローンの借金も一兆ドルを超している。そのほか、住宅関連の借金が一一兆ドルある。

アメリカの人々の貯蓄は急速に減っている。国民の貯金がゼロに近いところから、借り入れのほとんどが外国から行なわれている。したがって、その利息を外国に支払わなければな らない。アメリカの国内総生産が一五兆ドル、借金の利息はその一〇パーセント弱だが、借金の総額は増える一方なのである。しかも基本的にアメリカ経済は資本が不足している。アメリ力経済はいまや硬直化して、自由な拡大が阻害されている。

アメリカにとって最大の問題は、このまま経済緩和政策をとり続ければ、赤字がとめどもなく増え続け、現在は抑制されているィンフレが爆発的にひどくなる危険が増大することである。

アメリカはこれまで、財政赤字をはじめとして借金を増やし続けてきたが、その借金によって新しい産業を起こし、新しい技術を開発して経済を拡大してきた。ところがいまや、アメリ力の借金は利子の支払いと、拡大する財政赤字に消えてしまっている。新しい産業を起こす力になっていない。

いまFRBが金融緩和政策を取りやめ、金融を引き締めることになると、アメリカ経済は重大な影響を受ける。伸び悩んでいる資本がさらに不足し、減っている個人所得がさらに少なくなる。

FRBの夕力派が主張しているように、借金を増やし続けて、借金漬けになってしまったアメリカは、このあたりで金融緩和を取りやめ、引き締めに戻らなければならない。しかし 戻れば資本が不足するだけでなく支出も減り、とくに個人消費が少なくなるところから、 アメリカ経済が大きな打撃を被ることになる。いまアメリカは留まるにしろ、新しい動きを 始めるにしろ、逃れられない危機に直面している。

ウクライナの非核平和外交は無力だった

一九九四年十二月五日、ウクライナのレオニード・クチユマ大統領は、ウクライナがソビエトから分離独立したときに保有していた一九〇〇発の核弾頭をロシア側に引き渡す条約に調印した。

この条約は核拡散防止条約の一部として取り扱われ、アメリカとイギリスがロシアと協力して核兵器のなくなったウクライナの安全と平和を保障することになっていた。この条約の締結に最も力を入れたのがアメリカのクリントン大統領だった。クリントン大統領はこの条約の成立するほぼ一カ月前、一九九四年十一月二日、ホワイトハウスでクチユマ大統領と会 い、ウクライナ経済を支援するため二億ドルの援助を与えることを約束していた。

この取り決めには後日談がある。ロシア側に渡された一九〇〇発の核弾頭はすべて解体され、ロシアは核弾頭から取り外した放射性物質を原子力発電の燃料としてアメリカに売り渡した。これもまた核拡散防止条約の一環として取り扱われ、ロシアの核兵器削減の一環として取り扱われロシアの核兵器削減の項目の一つになった。

一九九四年、ウクライナがアメリカ、ロシア、イギリスと結んだ条約は、核兵器を売り渡す代償として安全と平和を与えられるというものだった。核を持たず、日米安保条約のもとで安全を保障されている日本と同じ立場になったのである。歴史的に見れば、ウクライナは日本に続いて、核兵器を持たない代わりに大国によって安全を保障される国になった。大国が「守ってやるから、核兵器を持つ必要はない」と保証したのである。

日本と異なり、ウクライナ議会は、この取り決めに猛烈な勢いで反対した。クチユマ大統領は弾劾され、解任されてしまった。いまウクライナの人々は、一九九四年にロシアに核兵器を引き渡し、アメリカとイギリスに守ってもらうことにしたのは大きな間違いだったと、強く感じている。

ロシアがクリミア半島を占領した直後、ウクライナ議会のパブロ・リザネンコ議員はアメリカのテレビに出演して、こう述べた。

「我々は一九九四年の取り決めに基づいて核兵器を諦めたが、あれは大きな間違いだったと多くの人々が考えている」

今度のロシアの侵略行動についてアメリカの雑誌『ニューズウイーク』は、核拡散防止条約に対する真正面からの挑戦であり、国際法違反であると非難して次のように伝えた。 「純粹に軍事的に見るとウクライナが核兵器を維持し、モスクワを直撃する中距離ミサイルを開発して装備していれば、核兵器による報復を恐れ、ロシア軍はクリミア半島に対する侵略に二の足を踏んだはずである。つまり核の抑止力がありさえすれば、ウクライナはロシアの侵略を受けずに済んだ」

しかしさらに重要なのは、『ニユーズウイーク』が指摘しているように、今度のロシアの行動が核拡散防止条約に対する重大な違反で、核拡散防止を基本的な国際戦略としてきたアメリ力に対する挑戦であるという事実である。

またそれ以上に留意すべきは、核拡散防止政策を推し進めてきたアメリカは、核兵器を諦めてアメリカに命運を委ねたウクライナを何としても助けるべきだったのに、助けなかったという事実である。

これは日本からすれば、きわめて重要な事実である。日本は昭和憲法をつくるにあたって軍事力を放棄し、その代わりにアメリカの核の傘による安全を保障されてきた。ところがウクライナを前例とすれば、日本は同じような侵略を受けた場合、アメリカから見放されてしまう危険がある。

ロシアのウクライナ侵攻を見逃した才バマ大統領は、アメリカの力によってしかプーチン大統領を抑えることができないという国際政治の現実に目をつむったわけである。しかも、わずかニ十年前に同じ民主党のクリントン大統領がつくり上げたアメリカの基本戦略を破ってしまった。アメリカはウクライナを裏切ったといっても言い過ぎではない。

ウクライナという国が平和的に、ロシア帝国の一部といってもよいかたちで存在してきたことは、私が実際に訪問して体験したことである。冷戦が唐突に終わり、混乱が始まった頃、私はモスクワからキエフを訪問した。キエフに入るビザはモスクワのクレムリンで友人の助けを借りて手にしたが、モスクワからロシアの航空便で入ったキエフは穏やかそのものだった。

ビジネス界の指導者だという人物が「ウクライナには特別な輸出品というものはないが、 良質な粘土が採れるから、瓦用に日本に買ってもらおうかと思うがどうか」などと、のんびりとした話をしていたのを覚えている。

ジンギスカンの侵略と支配のなごりでアジア系の人も多く、混血特有の美人が大勢いることに目を見張った。ウクライナは平穏そのものだった。

チェルノブイリの原子力発電所の事故のあと、再びキエフをテレビ取材のため訪問した。 放射能の被害を受けた地域は放置され、野原にいる牛や空を飛ぶツバメが痩せているように見えて気になったが、政射能を浴びたはずの自然はあまり大きな被害を受けた様子はなかった。

ロシアは戦後レジームから離脱した

ワシントンで親しくしている人々の中に、インド政府の高官シン博士がいる。皮はインド のマンモハン•シン前首相の軍事顧問で、ハドソン研究所にもときどき顔を出すが、ハーバード大学ケネディスクールの学者の一人でもある。ロシア軍がクリミア半島を侵略した翌日、 シン博士がベセスダの自宅の近くにあるカントリークラブのプールでこう話しかけてきた。 「ロシアのウクライナ侵攻をどう考えますか。ウクライナが核兵器を持っていればプーチン大統領も簡単にはウクライナを侵略できなかったのではないでしょうか。世界の平和主義者に非難されながら、インドが核兵器や戦略部隊を持っている大切さが明らかになったとは思いませんか」

私としては異論の余地もなく、まったく同じ考え方だと述べたが、その数日後、ホワイトハウスのすぐ前にある、私が「ホワイトハウスの第二ダイニングルーム」と呼んでいるヘイアダムスホテルのロビーで、サウジアラビアの若い軍人と顔を合わせた。一緒にいたハドソ ン研究所の元所長と三人で話し合っている最中に、彼がこう言った。

「サウジアラビア同内ではいま、若い王子たちを中心にアメリカが反対しても核兵器を待たければならないという声が出てきていますよ」

この数日後、オバマ大統領はサウジアラビアを訪問し、ニ時間半以上にわたってアブドラ国王と対談した。アブドラ国王は歳をとり、健康もすぐれないため、呼吸器をつけての会談であったと報じられているが、ニ時間半という長い会談のわりには、詳しい内容は報道されなかった。

ハドソン研究所の学者によると、会談の主なテーマは、スンニー派の多いサウジアラビアとは異なりシーア派の多いパーレーンや、アラブ首長国連邦を代表するアブダビ首長国とサウジアラビア政府の関係、アメリカを交えた湾岸国家との首脳会談についてだったが、サウジアラビアの核装備の問題を話し合ったことは公表されなかった。

サウジアラビアはふんだんな石油資源を持ち、そのうえドイツ企業との関係も強く、いつでも核兵器を製造できる体制にある。

「サウジアラビアは、今度のプーチン大統領によるウクライナ攻撃に強い衝撃を受け、中東でロシアの影響力が強まってくるのではないかと懸念している。そうしたなかで独自の安全保障体制を強化するため、核兵器を持つ必要に迫られていることを強調したのだろう」

ハドソン研究所の学者はこう述べたが、インドのシン博士とサウジアラビアの若い軍人の二人が、アメリカの核の傘は、ロシアのウクライナ侵略に対して全く有効でなかったと考えてえているのは明らかだ。

ロシアのウクライナ侵略を機に世界の各国が、これからは独自のかたちの安全保障体制が必要だという考え方を強めている。日本の専門家の中にはウクライナ事件について、アメリ力とロシアという二つの大国が、大国の利益を優先し、小国のウクライナを犠牲にしたという表面的な見方をしている人が多い。だがインド政府の高官やサウジアラビアの若い軍人が指摘しているのは核拡散防止政策というアメリカの基本戦略が今度のプーチン大統領の侵略行動の犠牲になったことである。

プーチンによるウクライナ侵略は、紛れもなくオバマ大統領の失敗、アメリカの間違いがもたらしたものである。アメリカの核戦略が世界から不信の目を持って見られるようになったのは、アメリカの自業自得ということができる。

ウクライナは、核拡散防止の戦略的構想に基づいて安全を保障されていたはずだが、ロシアもアメリカもウクライナを見捨てた。表面的に見れば小国であるウクライナを大国であるロシアが侵略し、アメリカがその小国を守る努力をしなかったわけだが、インドのシン博士やサウジやサウシアラビアの軍人から見れば、そうではない。

オバマ大統領は結局、同盟国である核を持たない小国を守ろうとする意欲に欠けているのである。

アメリカの核戟略を分析すれば、アメリカの核兵器がアメリカの利権を守るために配備されていることは一目瞭然である。アメリカの本土に展開しているミニットマン・ミサイルや大型戦略爆撃機に搭載された核兵器、それに潜水艦に装備されたトライデント型ミサイルは、アメリカ本土攻撃に対する報復のためのものである。アメリカの基地や領土が核攻撃を受ければ、アメリカは、大量破壊力を持つ大型の核ミサイルで報復攻撃する。

つい先頃亡くなったジエームス・シユレジンジャー博士が考え出した全方位戦略といわれる核戦略は、アメリカの軍事基地が攻撃された場合に、ロシアのあらゆる都市を無差別に攻撃することを基本としている。したがって、アメリカ政府が膨大な費用をかけてつくっている早期警戒体制は、アメリカに対する先制攻撃を察知し、反撃態勢をとるためのものであ る。

朝鮮半島で五年以内に戦争が始まる

ニ○一四四月、オバマ大統領が日本、韓国などを訪問する直前、オバマ政権に強い影響力を持つワシントンのシンクタンクが、次のような報告を行なった。

「北朝鮮政府部内の政治情勢がきわめて不安定で、侵略的な行動を起こす危険が強まっている。アメリカは北朝鮮に対する態勢を再点検し、対応策を強化しなければならない」

オバマ政権内部では、北朝鮮の脅威は実体がなく核兵器の脅しは口先だけだという考えが強いため、オバマ政権の一部といわれるこのシンクタンクが警鐘を鳴らしたものと思われる。

ワシントンの軍事専門家の間でも、ロシアのプーチン大統領によるウクラィナ侵略はアメリカの核抑止カの失敗がもたらしたもので、その結果、ロシアの容認のもとで北朝鮮が侵略行動をとる危険があるという見方が急速に強くなっている。

ワシントンの専門家がとくに注目しているのは、北朝鮮の政治が依然として非常に不安定で、このまま事態が進行すれば、北朝鮮政府が分裂し、政治騒動の最中に韓国に対する攻撃が行なわれる危険があることだ。シンクタンクの報告をまとめたパトリック・クローニン博士は、次のように警告している。 「北朝鮮はロケットなどの開発に力を入れていることから、いまの事態が進めば、向こう一年ないし五年以内に、朝鮮半島で偶発的に戦争が起きる危険がある」

オバマ政権は登場以来、朝鮮半島問題をすべて中国に任せ、中国との関係を強化すること で、朝鮮半島に対するアメリカの影響力と抑止力を維持しようとしてきた。オバマ大統領が「アジアへの大転回」と銘打って始めたアジアに対するアメリカ軍の増強計画は、軍事的に見るとほとんど実体がないと軍事専門家は見ている。

アメリカ海兵隊の幹部がとくに懸念しているのは、国防予算の削減でアジア極東におけるアメリカ海兵隊の有事即応体制に支障が生じていることである。アメリカ海兵隊のジョン・パクストン副司令官は次のように述べている。

「当面は何とか予算をやりくりして訓練を強化するつもりだ。短期的には何とかなるが、この状況を長期的に続けるわけにはいかない」

アメリカ海兵隊は、朝鮮半島有事の際にはアメリカ軍の即応能カの中心になるため装備の近代化や厳しい訓練が行なわれてきた。だがオバマ政権のもとで沖縄の海兵隊の数は減少し、アメリカ海兵隊の有事即応能力にかげりが見え始めている。

朝鮮半島有事の際、日本にあるアメリカ軍基地の使用について事前協議に応じないこともありうるという安倍総理の発言もこういったアメリカ軍の状況を反映したものと思われ る。ウクライナ危機と北朝鮮の政治的混乱は、アメリカと日本が忘れてきた朝鮮半島有事について、再び真剣に考えなければならないことを示唆している。

朝鮮半島と並んで中国の軍事的膨張も危険の度合いを増している。古いロシアの空母を化粧直ししただけの「遼寧」はニ○一三年一月二十日、海南島の基地を出港し、ベトナム沖を西沙群島からマレーシアまで南下し、一月二十六日、マレーシアの沖合で儀式を行なった。「遼寧」以下の中国艦隊が航海した地域は、すべて中国の領海にするという勝手な行動だったが、エンジンの不調で動けなくなったのだという噂もある。

「違寧」と中国艦隊は、さらに南へ下り、マレーシアとインドネシアの間をジャワ島西側の海峡を南太平洋に出ると航路を東にとり、ロンボク海峡から北上し、マカッサル海峡を抜けて、二月三日にはフィリピン沖に達して実弾訓練を展開した。

中国艦隊はその一週間後の二月十一日、中国南部の軍事基地に帰島したが、この航行によって中国は、南シナ海から南太平洋にかけての海域が中国のものになったと主張しているのである。これについては、さすがにアメリカ政府もアメリカのマスコミも真面目には取り上げていない。日本のマスコミも相手にしなかったようであった。だが歴史的に見ると、中国 はこういった愚かな主張をくり返し行なっている。

第二次大戦後、アメリカがアジアを軍事カで制圧していた間は、中国の動きは沈静化して いた。だがアメリカが後退を始めると、それに乗じて中国は、防空識別圏を勝手に拡人する一方で、ロシア艦隊のお古の空母を中心に、まるで大名行列のような航海を南シナ海一帯で行ない、中国の領域であると宣伝している。

こうした中国の新しい戦略的な行動で最も被害を受けるのは、台湾であると予想されている。私はハーバード大学で教えていた頃、台湾の李登輝総統の招きで台北を訪問し、軍人たちと話し合う機会があった。そのときに感じたのは、台湾はあくまでも北京とは異なっているということだった。地理的には大きな中国の中に抱え込まれていても、台湾という国に私は何の違和感も覚えなかった。

私は北京も訪問して、ハーバード大学の一員として講演したことがあるが、当時から中国政府の考え方ははっきりとしていた。中国の指導者は長い目で見て台湾を吸収できる可能性が存在するかぎり、軍事力は使わないと決めている。軍事行動を起こせば台湾を合併して得られる利益よりも損失が多いと考えているからである。

しかしながら、 はっきりしているのは、中国政府が“レッドラィン”と考えているいくつかの限定条件があることだ。まず台湾が独立宣言を行なわないこと。また独立をめざす動きをしないこと。台湾内部で騒動を起こさないこと。そして核兵器を持たないことである。中国との合併の話し合いを永遠に引き延ばすこと。さらに台湾の内政問題に外国の勢力が介入しないこと。外国の軍隊が台湾に駐留しないことなどである。

大統領選挙中、長い時間を一緒に過ごした力ーター大統領やその側近と、台湾問題について話し合ったことがあるが、台湾問題に性急に介入することはできないと考えているのは明らかだった。アメリカの指導者はいずれも、同じ考え方をしている。

近藤大介著『習近平は必ず金正恩を殺す』を読んで

この本の中で、筆者は習近平政治を表すキーワードとして「北京っ子」「毛沢東」「古代回帰」の3つを挙げています。

1.「北京っ子」・・・北京人の気質はプライドが高い、メンツ重視、頑固、短気、大胆、保守的、大雑把、お人好し、政治と権力闘争好き、経済オンチ→習近平は北京で習仲勲の息子として生まれた

胡錦濤と江沢民は江蘇省出身。(胡錦濤の先祖は安徽省)。この省出身の特徴は勤勉、クソ真面目、小心者、周囲への気配り上手、根回し上手、リスク回避

2012年11月に中国は特使を北朝鮮に派遣して「核実験とミサイル実験の凍結」を要請したが、12日後に長距離ミサイル実験、その2ケ月後に核実験を強行しました。メンツ重視の習はすぐさま原油50万t、食糧10万t、化学肥料2000万$分をストップしました。「言うことを聞かないなら、勝手にしろ」と言うことです。習は北朝鮮に行かずに先に韓国訪問しました。朴大統領は習主席に「北朝鮮有事になっても、アメリカ軍には38度線を越えさすことはない」と約束したとのこと。(そんなことをアメリカが受け入れるとは思えませんが。そんなことを言われるんだったら「韓国軍だけで戦え」となりますよ)。習としては新疆、チベット独立問題を抱え、東北3省に多く住む朝鮮族200万人を巻き込んで朝鮮半島が不安定になるのを嫌っています。それで「米軍が38度線を越えないのであれば、韓国主導で統一しても良い」と思っているようです。(核は放棄させられるでしょう)。

2.「毛沢東」・・・2012年11月15日の共産党演説の中で、「人民」を18回も連発した。「為人民服務」(人民に奉仕する)、「中国的人民是偉大的人民」(中国人は偉大な民族である)と言うように。演説の後半は「偉大なる中華民族の復興」とそのために「全身全霊、人民に奉仕する」と言うのが主旋律。これは文革の復活を告げる狼煙のようなもの。

3.「古代回帰」・・中国の「古代」の概念は清代までを指す。習が思い描く「中国夢」とは1840年以前への「古代回帰」に他ならない。その意味は中国を宗主国として周辺国に朝貢させる「冊封体制」を復活させること。(今の韓国はそれに該当)

「だが、このような「習近平理論」は、いくつもの矛盾を孕んでいる。まず第一に、周辺国の独立の問題である。 古代の中国を宗主国とした「冊封体制」において、日本とインドだけは例外だった。 日本は中国の隣国とはいえ、四方を海に囲まれた島国なので、敵から襲われる心配がなく、中国の庇護を必要としていなかった。中国としても、そんな日本を罰しようにも、海を渡って攻め入るのは大変だ。あの世界最強といわれたモンゴル帝国さえ、一三世紀後半に大規模な日本攻撃を二度試みて、二度とも失敗したほどだ。インドも同様に、世界最高峰のヒマラヤ山脈が国境の壁となって、中国から独立していられた。

現在も日本とインドは、当然ながら中国の属国ではなく、独立国家である。それどころ か、ニ一世紀の現在においては、かつて中国の属国だった周辺国家は、すべて独立国家である。北朝鮮のような、経済的には中国の植民地のような国でさえも、政治的にはほぼ完全に独立している。

そのため、中国の周辺国家が、必ずしも中国の意のままになるとは限らないというわけだ。

私はニ〇〇九年からニ〇一ニ年まで北京で暮らしており、彼の地で中国の近隣諸国の外交官たちと付き合いがあった。彼らは表立っては決して中国を非難しないが、少し親しくなる と、中国のことをボロクソにいっていた。日本はもちろん、韓国、北朝鮮、ロシア、モンゴル、ベトナム、フイリピン、インドなどの外交官たちだ。

私が知っているなかで唯一、中国の悪口をいわなかったのは、インドと対立関係にあるパキスタンの外交官だけ。中国とパキスタンは両国関係を「全天候型の関係」(雨の日も風の日も晴れの日のように付き合う関係)と称しているが、それは見事なものだった。 だが、パキスタン以外の国の外交官たちは、中国に対して強い警戒感を抱いていた。 習近平理論の第二の矛盾点は、現在、中国の多くの周辺国が、経済的には古代と同様、中国に依存していながらも、軍事的にはアメリカに依存していることだ。日本と韓国はアメリ力の同盟国であり、アメリカ軍が駐留している。他にも、台湾、フイリピン、タイが、アメリカと準同盟関係にある。アへン戦争以後の東アジア情勢を考察するとき、アメリカ抜きには語れないのである。

こうしたことから、習近平主席が現代版の「冊封体制」を築こうとすると、矛盾が噴出することになる。中国が、自国を中心にした「シルクロード経済帯」と「ニ一世紀の海上シルクロード」を築こうと躍起になればなるほど、各国.地域は中国を警戒して、アメリカの軍事力に頼るという構図が生まれているのだ。

ニ○一四年四月下旬には、前述のようにオバマ大統領が日本、韓国、マレーシア、フィリ ピンを歴訪した。五月にはアジア安全保障会議がシンガポールで開かれ、へーゲル国防長官が参加した。いずれの場でも、アメリカ首脳は東アジアで、かつてないほど歓迎されているのである。

こうして習近平主席の目論みは、早晩行き詰まることになる。」

「中国が開戦するための四つの条件」

さて、習近平主席は、毛沢東や鄧小平のような強力な指導者を目指して、近未来に近隣諸国に対して戦争を仕掛けたいと密かに思い描いているのは確かだ。

ところが、当初想定していた日本、フィリピン、ベトナムの三力国とも、前述のような理由で「開戦」はできない。正確にいうと、できないことはないが、それをやると返り血を浴 びて、長年苦労してようやくつかんだ自己の政権が崩壊してしまう可能性が高い。 そのため、戦略の再構築を迫られたのである。

新たな「標的」は、以下の四つの条件を満たす近隣の国.地域でないといけない。

  1. アメリカがその国•地域の味方をしない
  2. 中国が「開戦」する大義名分が立つ
  3. 中国が百パーセント勝つことのできる国・地域である
  4. 中国の国民が嫌っている国・地域である

中国は、陸の国境で一四ケ国と接しており、海の国境でも日本を始め多くの国 •地域と接している。だが、それらのなかで、この四条件を満たす国・地域は、たった一カ国しかない。

—それが、金正恩第一書記が統治する北朝鮮なのである。 条件①に関して、アメリカは北朝鮮と国交すら結んでいない。東アジアでアメリカが国交を結んでいない国は、北朝鮮だけだ。そして、かつてニ〇〇ニ年にブッシュ大統領が一般教書演説で、「イラク、イラン、北朝鮮は悪の枢軸」と三カ国を非難したが、北朝鮮に対する態度は、いまのオバマ政権でも、基本的に変わっていない。

条件②に関しては、前述のように、習近平があれだけ止めたにもかかわらず、金正恩はニ〇一二年一二月に長距離弾道ミサイルの発射実験を、翌二〇一三年二月には三度目の核実験を強行した。もしこれをあとワンサイクル繰り返せば、習近平政権が金正恩除去に向けて動き出す大義名分は立つのである。

条件③は、いくら北朝鮮に 一二〇万の大軍がいるとはいえ、二倍の兵力を持つ人民解放軍からすれば、虫けらのようなものだ。実戦の前に、国境を閉めて経済封鎖するだけで、北朝鮮は干上がってしまうだろう。

条件④第一章で示した通りである。「金三胖」(金ファミリーの三代目のデブ)というニックネームの金正恩第一書記は、世界で一番、中国人に嫌われている外国の指導者といっても過言ではない。

常識的に考えれば、中国は北朝鮮の最大の庇護国である。これまで年間五〇万トンの原油、一○万トンの食糧、ニ〇○〇万ドル分の化学肥料を無償で援助し続けてきた。

また、そもそも中国と北朝鮮は、朝鮮戦争(一九五〇〜一九五ニ年)を共に戦った「血を分けた誼」である。一九六一年には、いずれかが第三国からの攻撃を受けた際に、もう一方は軍を派遣して共闘するという中朝友好協カ相互援助条約を締結している。金正日時代を迎えてからも、金正日総書記は、死去するニ〇一一年まで計七回も訪中し、中朝の「血盟関係」を誇示している。

だが前述のように、いまの習近平主席に、このような「過去の常識」は、まったく通用しないと見るベきなのである。」

近藤氏は「中国と北朝鮮が一番戦争しやすい」と述べています。北朝鮮は石油も貰えない国ですから簡単に勝てるでしょうが、国際世論の反発を考慮すれば、クーデターを起こさせ、金正男に引き継がせ、正恩はどこかに亡命させる方法の方が簡単でしょう。韓国の朴が言っても習は韓国主導で統一はさせないでしょう。裏切る民族なのを充分承知しているので。

 

2/18日経ビジネスオンライン 福島香織『中国にブラックスワンが飛来する 権力闘争が市場を揺るがす』について

習(太子党)VS江(上海派)+胡(団派)の戦いになってきました。どちらが勝つか見物ですが、間違っても目を逸らすために日本に戦争を仕掛けないように。自分のことしか考えない人達ですから自分が追いつめられると習にしろ、江・胡にしろ勝手に軍を動かして相手のせいにする可能性があります。中国で軍閥がいたように7軍区だって共産党が押さえているかどうか分かりません。下剋上ですので。江・胡・習誰も軍の経験はありません。毛・鄧のようなカリスマ性はありません。毛には臆病な周恩来という実務家がいましたが習にはいません。軍のトップの徐才厚や谷俊山を逮捕、贅沢禁止令で軍には不満が充満していると思われます。習が無事でいられるかどうかです。

権力闘争が市場に影響を与えると言っても分かっていたこと。共産主義・社会主義国は三権分立でないため腐敗が当たり前です。財務諸表も3つほど作って相手別に渡します。「言論の自由」を認めない国で、経済だけ資本主義化しても歪みが出てきます。資本主義と言っても国営企業の比率が高いですが。

世界は危機を先送りするのではなく、キチンと対処しないとより痛手を受けるのでは。ギリシャもそう、スケールの大きさでは中国もそうですが。

記事

今年は中国のマーケットにブラックスワンが飛来する…。と巷で噂になっている。

 大手商業銀行のひとつ民生銀行の元頭取、毛暁峰が規律違反で党中央規律検査委の取り調べに連行された事件が最初のブラックスワンだと。

李克強VS習近平、仁義なき戦いの火ぶた

 毛暁峰の失脚は、中国報道によれば、すでに失脚している元統一戦線部長の令計画の汚職事件に連座したということになっているが、毛暁峰がかつて共産主義青年団(共青団)中央庁の要職にあり、現首相の李克強とのコネクションも強い共青団の金庫番であることは周知のことなので、令計画事件はもはや、周永康の汚職に連座した事件というより、第19回党大会の人事をめぐる李克強首相を中心とする共青団派と習近平国家主席の仁義なき戦いの火ぶたが切っておとされたのだと、考えるのが普通である。

 中国の権力闘争は5年周期で激しくなるので、こういう展開は不思議でもなんでもないが、習近平政権の場合、これがどうやら、予測不可能な金融リスク、経済リスクとして、市場に大きな影響を与えることになりそうだ、という。

 「ブラックスワン」とは、金融用語で、確率論や従来の知識では、事前にほとんど予想できず、発生したときの衝撃が大きいことをいう。白鳥は白いと思い込んでいたら、オーストラリアで黒い白鳥も発見されたことで、鳥類学者の常識が覆されたという事実を引用して、この理論を展開している認識論学者のナシーム・ニコラス・タレブの著書のタイトルから生まれた言葉だ。中国語では「黒天鵝事件」と言う。

 たしかに中国の権力闘争が、経済や金融に直接影響するケースは今まであまりみなかった。だが習近平政権の場合、従来の権力闘争と違う、と言われている。まず容赦がない。江沢民政権や胡錦濤政権のときは、社会や経済の安定を損なうのでこれ以上やってはいけない、という自制があった。ところが習近平政権は、その自制がなく、とことんまで、相手サイドを追い詰める。この結果、多くの官僚たちが心安らかに業務に専念できない、中央の政治家・官僚とコネのある大企業家も経営に専念できない、という事態が生じてもともと減速中の経済が、ますます悪くなっているのだとか。

 それでなくとも、昨年から、どこかの民営銀行が破産する、とかいう予測も飛び交っている。中国は今年、銀行改革を進めるつもりらしいが、その過程で、これまでの中国の政権が、あえて社会の安定を優先させて潰さなかった不良債権を抱える銀行を、見せしめ的に今年はつぶすつもりだとか。預金保障の明文化を含めた銀行法立法が急がれているのはそのためだとか。昨年11月に、「民生銀行武漢支店が破産した」というデマが流れて、そのデマを流した投資家の若者が逮捕されているが、そういうデマもうっかり信じてしまうようなムードが今の中国にある。

 さて、問題の民生銀行の元頭取・毛暁峰とはどのような人物で、どんな理由で取り調べを受けているのか。

民生銀行の元頭取・毛暁峰と令計画

 中国の時事経済ニュースサイト・財経ネットによれば、毛暁峰が「双規」(党中央規律検査委の取り調べ)に連行されたのは1月25日。この時は、民生銀行幹部たちは、毛暁峰は調査に協力しているだけで、2、3質問に答えたら、すぐに戻ってくるだろうとタカをくくっていたらしい。だが27日の銀行業監督管理委員会の報告会まで連絡がとれず、ついに紀律違反容疑に問われていることが確認された。表向きは令計画の汚職容疑の関係者として身柄を抑えられたことになっている。31日に毛暁峰の頭取辞任が役員会で承認された。毛暁峰の妻も身柄を拘束されているほか、民生銀行幹部も何人か連行されているという。

 毛暁峰は中国の上場銀行の中では最年少の頭取だった。公式には1972年生まれとなっているが、実のところ1970年生まれらしい。

 令計画と毛暁峰の関係は深く、令計画も卒業した湖南大学工商管理学院で毛暁峰もMBAを取得。令計画にとって毛暁峰は優秀な期待の後輩であった。当時共青団中央宣伝部長だった令計画は、口実を見つけては湖南大学に立ち寄り、毛暁峰との親交を深めていたという。毛暁峰は少年時代から神童と言われるほど頭がよく、1999年から2002年まで共青団中央弁公庁総合処副処長、処長を歴任、団中央実業発展センター主任助理などを歴任しつつ、この間、ハーバード大学ケネディスクールの公共行政管理学修士の学位をとっている。

 2002年、共青団中央から突如、民間の民生銀行総行任弁公室副主任に「天下り」し、2008年には副頭取、役員会秘書となった。当時年収425万元の最も高給取りの「秘書」と噂された。2014年8月、上場銀行における最年少頭取となる。この若き頭取の行内の評判は非常によく、優秀で、仕事熱心で、残業をいとわず、また周囲への物腰も柔らかであったとか。彼がどのような形で汚職に携わっていたかは、まだ明らかになっていないが、銀行側は毛暁峰個人の問題であって、銀行の業務とは無関係と主張している。

 今のところ、令計画汚職の接点としては、令計画の妻、谷麗萍に民生銀行傘下の子会社の役職を用意したことが挙げられている。民生銀行内には、銀行の仕事を実際にしていないのに、ナントカ主任などの肩書きだけ与えられて給料をもらっている政治家・官僚の夫人たちが10人以上おり、彼女らは「夫人クラブ」と呼ばれていた。谷麗萍のほか元政治協商会議副主席の蘇栄(2014年6月失脚済)夫人などがメンバーにいるという。これは、どこの企業も多少はやっていることだが、事実上の賄賂である。

人気キャスターの芮成鋼を夫人たちが“共有”

 ちなみに、この夫人クラブのメンバーたちの間で、谷麗萍の愛人でもあったCCTV人気キャスターの芮成鋼が、共有されていたらしい、というゴシップスキャンダルがネットで流れている。中国の政治家・高官の愛人共有はよくあることで、これは拙著『現代中国悪女列伝』(文春新書)を参照していただきたいのだが、政治家・高官夫人たちも若い男を共有することがままあるらしい。芮成鋼は以前にこのコラム欄で書いた「CCTV劇場型汚職摘発の裏側」でもふれたCCTV汚職に連座した形で連行されたと思われていたが、現在は米国のスパイ容疑で起訴される可能性が取りざたされている。令計画夫人の谷麗萍はじめ、民生銀行夫人クラブのメンバーから寝技でとった内部情報を米国に売り渡していた、という話を昨年秋、北京社会科学院外国問題研究所の研究員でテロ問題専門家でもある王国郷が微博でつぶやき(すでに削除)話題になっていた。

 毛暁峰を汚職がどれほどあくどい汚職にかかわったか否かは別として、一つ言えることは、毛暁峰が民生銀行に入ってから、民生銀行が共青団派の金庫的役割をはたしていたことだろう。

 民生銀行は1996年に設立した中国初の民間資本による全国区の商業銀行。株主は中国を代表するそうそうたる民営企業集団・企業家が名を連ねており、その中には中国でおなじみの健康保険食品「脳白金」を売り出した史玉柱なども含まれている。これら企業家たちは、おおむね共青団親派の実業家たちで、共青団出身の毛暁峰はこうした株主たちから望まれてやって来て、時間をかけて育てられて満を持して頭取になったと言われている。2003年に共青団、中華全国青年連合会、国家工商行政管理総局、旧国家労働社会保障部、国家統計局、中華全国工商業連合会、英国大使館などが提唱した「中国青年創業国際計画」(YBC)を全面的にバックアップしたのも民生銀行。この計画執行総幹事が谷麗萍で、YBCの事務所と民生銀行の役員室は同じ建物にあったという。YBCの設立式には毛暁峰も参加している。

共青団派の金庫に“妙な動き”

 そういう民生銀行で、実は昨年から妙な動きがあった。昨年から民生銀行の株主構造が急激に変わったのだ。

 現在、民生銀行の最大大株主は安邦保険で、昨年11月28日から2か月あまりで約22%の株を獲得した。この銀行の株を、10%をこえて持つ株主は安邦だけである。郭広昌がCEOを務める復星国際集団の持ち株をすべて譲りうけたようだ。上海浙江商会名誉会長で全人代代表でもある郭広昌は昔から政治の風向きの嗅覚の鋭い人物と言われている。

 安邦保険は中国の大手保険企業の一つだが、開国元帥・陳毅の息子の陳小魯が安邦保険集団の株式の55%を押さえる大株主で、鄧小平の外孫娘婿の呉小暉がCEOを務める、いわゆる「紅色企業」である。香港蘋果日報情報によると、この陳小魯の妻・粟恵寧の姪の息子・粟子軍が習近平と非常に親密であるらしい。粟子軍は元解放軍総参謀長・粟裕の孫でもある。共青団色の強い民生銀行が、昨年末、急にいわゆる「紅色二代」(革命世代二代目、太子党)企業に株をものすごい勢いで買収されるとほぼ同時に、共青団からきた頭取の毛暁峰が排除されたわけである。

 これは偶然ではないだろう。同じ様なケースを他にも聞いたことがある。たとえば令計画一族の失脚が迫っている時期に、令一族が投資しているメディア企業の株の譲渡を破格の安価で有無を言わさずに習近平派の紅色企業が迫って来ると、関係者から聞いたことがある。これによい返事をしないと、翌日に自社株がありえない形で、急落する。つまり当局側による株価操作が行われるわけだ。

習近平の権力闘争がマーケットを揺るがす

 要するに政治の権力闘争が、そのまま経済のマーケットに影響するようになったということである。もともと中国は「権貴政治」であり、政治権力と経済が結びついている。だがここまであからさまに急激に株主を入れ替えたり、株価を操作したり、企業トップの挿げ替えるような真似は江沢民、胡錦濤政権時代は控えらえていた。そんなことをすれば中国経済の秩序は持たず、国際的信用も落とすではないか。だが習近平政権は、そういう既存の秩序に挑戦するかのようなことをやってみせるようだ。

 結果的には、毛暁峰事件の影響による株価急落が予想されたよりはひどくならなかったのは、鉄板の紅色企業・安邦保険が最大株主になったという面があるのだが、逆にいえば安邦の胸先三寸で民生銀行の運命はどうにでもなる。習近平(太子党)VS共青団の権力闘争が、企業の盛衰、株価の乱高下につながるとなれば、みながこれを「ブラックスワン」と恐れるのももっともな話である。

 同じようなリスクが、これから拡大するだろう、と言われている。官僚の息子や妻に役職を与えて給料と言う名の賄賂を支払い、権力との風通しを良くしている銀行など掃いて捨てるほどある。春節が終われば、習近平政権は、エネルギー関連などの26中央企業の巡回規律検査を行うことも宣言している。どの企業も、紅二代か官二代か、太子党か共青団派か、権力とのコネクションをもつ株主や役員がいる。

 習近平の権力闘争は利権闘争であり、それはすなわち経済闘争となる。企業の業績とは別のところで、中央企業に対する汚職摘発がきっかけで陰の支配者がかわり、株主がかわり、役員、幹部が入れ替えられる。習近平が権力闘争に優勢であると見られれば、中国石油のように株価が上がることもあるが、実のところ、習近平がこのまま権力闘争に勝ちつづけるかどうかは、疑う声もあるのだ。彼は敵を増やしすぎているのではないか、と。

 2017年に習近平が第19回党大会で決まる次世代政権の人事を掌握できるか否か、それまでの2年、中国の市場関係者はおちおちと枕を高くして寝てはいられない、ということらしい。

2/18宮崎正弘メルマガ『ロシアを「あちら側」へ追いやったオバマの愚策  中国が建設のニカラグア運河をロシアは軍艦の通り道にする』について

宮崎氏の述べていることは、小生のずっと述べてきたことと同じです。小生がだから偉いというのではなく、歴史を真っ直ぐに見据えればそうなるということでしょう。左翼リベラルと言われる人たちには見えないというか、敢えて見ないようにしているのでは。既得権を守ろうとしているだけです。口を開けば「平和」と言いますが、「平和」を守る覚悟もない連中です。或は外国の手先でしょう。現実に起きている事象、ISILによる日本人人質殺害事件、中国の尖閣奪取行動を見て「平和」と唱えるだけで「平和」が守られていますかと聞きたい。「平和」には相互確証が必要でそれがバランスオブパワーです。「抑止力」を持たない限り、悪の帝国にやられてしまいます。日本はABCD包囲網を敷かれて、負けると分かっていても戦争せざるを得ませんでした。あの当時植民地を持って収奪していたのは欧米列強の白人です。Cの蒋介石は自分が天下を取りたくて日本人と手を組むことを拒絶、孫文の側近だった汪兆銘の南京政府と対抗しました。西欧のお先棒を担いだだけです。この敗戦から日本が学ぶことは「正義が勝つ」とは必ずしも言えない、力のある方が勝つ、同盟が物を言うという所です。

今中国は傍若無人に好き勝手やり出しました。日清戦争前の北洋艦隊の軍艦定遠・鎮遠の長崎での暴行事件みたいになってきています。そもそも「定遠」は「遠くを定める」、「鎮遠」は「遠くを鎮める」の意ですから、昔から侵略体質を持っていたということです。中国の言う「平和的台頭」なんてありえません。偽計に決まっています。

アメリカは「先が読めない国」でありますが、「中国封じ込め」のために中心となって動いて貰わないといけないです。オバマはルトワックの本を読んで研究しないとダメですね。

記事

 考えてみれば歴代アメリカ外交は誤断に基づくとてつもない見込み違いを繰り返し、結果的に取り返しの付かない失敗に繋がることの連続である。

近年ではサダム・フセインが大量破壊兵器を開発しているという理由でイラクに戦争を仕掛け、あげくにスンニ派のバース党を解体させ、シーア派政権をバグダッドに樹立させた。

 その揺れ返しがISILという「アルカィーダ」よりも残酷なテロリスト集団を誕生させた。もとはと言えば米国の失策から誕生したのだ。アルカィーダもアフガニスタン戦争の結果が産んだ化け物である。

1930年代後半から日本の台頭に不快感を抱いたルーズベルトは心底からの親中派で、共産主義に深い同情と理解を示した。

もっとも彼の周りはコミンテルンのスパイばかりだったため、あろうことか中国を支援し、日本をくじいた。ヤルタの密約で、宏大な利益をソ連に差し上げたのもルーズベルトだった。

 味方と考えてきた蒋介石への援助を中断し、毛沢東に結局シナ大陸を支配させた。「誰がチャイナを失わしめたか」とリチャード・ニクソン等は後年、ルーズベルト外交を攻撃した。

こんにち真珠湾攻撃はルーズベルトの仕掛けた罠であったことも証明されている。が、米国でこの真実を言うと「修正主義」のレッテルを貼られる。

 朝鮮戦争で恩を仇で返すかのように毛沢東は朝鮮半島に義勇軍を送り込んできた。米国は爾来、ソ連と中国を一枚岩の共産主義同盟と誤認し、封じ込めを計った。

 40年代の政策を逆転したのである。

 中ソ対立が起きていたことを鉄のカーテンの向こう側の政局激変をしらずにいた米国は、ある日気がついた。それは敵の分断、内訌を促進する作戦である。

米国と自由世界の主要敵であるソ連を封じ込めるには、むしろ中国を駒として利用することが得策であり理にかなっていることに米国は活路を見いだした。

ニクソンの安全保障担当補佐官だったキッシンジャーは中国の軍事同盟国=パキスタンを訪問し、三日ほどホテルで病気と称して引きこもった振りをして、イスラマバード経由で北京に密かに飛んで周恩来と密談をなし、米中関係の劇的な再生に結びつけた。

ニクソン・ショックと呼ばれる米大統領の北京訪問が発表された。

 この間、米国は徐々に中国へてこ入れを開始し、1971年のニクソン訪中から、79年の国交回復の期間に台湾と外交関係を断ち切り、スポーツ文化交流から軍事交流への道を突っ走る。

もし中国がソ連と軍事衝突し、それが長期化した場合、米国は装備などの支援のほか、ソ連軍の動きを分析した情報の提供もほのめかし、中国軍の脆弱性を補完するなど中国軍の近代化に側面的援助をなした。

 それが布石となって今日の中国軍はおばけのような凶悪な存在となった。

 米中雪解けを商業的に先読みした日本は中国に急接近するために台湾を弊履の如く捨て、異様な金額を注ぎ込んで、中国の経済発展を助けた。

 将来を不安視する声を、日本のマスコミは黙殺し、企業は中国への投資を進めた。戦前のコミンテルンのごとき代理人役を果たしたのが、日本の主力メディアだったのだ。

やがて中国が経済力をつけると、それが軍拡になって将来日本への脅威となることを当時の日本の政治家も財界人も考慮した形跡がない。だから米国の歴代政権同様に日本も愚かだった。

 しかしソ連が崩壊し、新生ロシアが米国の脅威とみなされなくなると、米国の対中態度はがらりと変わる。

なにしろ米国の軍事力に挑戦しようというライバルの出現に敵対的になるのは大国として当然である。

 したがって現状を分析すれば、「ロシアを中国から引きはがすことは、あたかも1970年代にソ連から中国を引き離したときにように、アジアに於ける力の均衡において好ましい影響をもたらすことになる。ヨーロッパにおけるロシアの報復主義を阻止しながらも、アメリカ政府はこの可能性を排除してしまうような行動はいっさいとらないようにすべきであろう」(アーロン・フリードバーグ『支配への競合』、佐藤亮監訳、日本評論社)

 だがオバマは間違えた。

オバマはルーズベルトと同じ過ちを犯し、ロシアを『あちら側』に追いやってしまうという愚を、歴史の教訓を考えずに、周囲の反対も聞かずに押し切って将来の歴史家から愚昧な大統領として評価されるしかない道を選んでしまった。

 ▼ロシアの反撃が始まった

 すでに多くの点で米国の思惑は大きく外れ、中国の敵対的行動は、とうとう米国の目の前に現れたのだ。

 ニカラグア運河の建設が始まった。

 「米国の裏庭」で中国は、米国の大きな権益があるパナマ運河に対抗するため膨大な建設費を投じてニカラグアの東西を貫通させる運河を建設し、数年で完成させると息巻いている世紀のプロジェクトだが、はたして『ニカラグア運河』が完成するか、どうかは高見の見物だろう。

世界の情報筋も、これを半信半疑で見ている。

 ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は先ごろ、このニカラグラ、ベネズエラ、そしてキューバを訪問した。

いずれも中国が大々的な投資をおこなっている国々だが、もとはと言えばソ連時代の「あちら側」だった国々である。

キューバはソ連の代理戦争を各地で闘ったほど、反米のあまりにソ連衛星圏の中核的存在だった。オバマは、そのキューバへの制裁を徐々に解除しはじめ、将来の国交回復を述べた。

 ニカラグアのサンディニスタ独裁政権はソ連の後ろ盾で革命に成功した。

 セルゲイ大臣はニカラグアでソ連軍艦寄港の弐国間取り決め交信にサインし、また将来、ニカラグア運河完成のおりは、ソ連の軍艦が通過するとした。

 「これは重要な案件であり、ソ連の軍艦が太平洋からメキシコ湾へ入れることを意味する。ロシア海軍は長距離巡航ミサイルを装備した艦船を保有しており、これらがキューバの近海で遊弋すれば、米国の下腹部をいつでも襲撃可能となる。これこそはロシア周辺国に米国と連携した軍隊の展開に対してのロシアの回答である」。

 米国のキューバへの急接近はキューバ側が要求しているグアンタナモ基地の撤収が最初になされて以後、本格化するかも知れないが、ロシアは国防大臣を送り込んで、米国の急な接近を牽制する。

 ただしキューバでラウレル・カストロ議長と何が話し合わせたかは発表がなかった(英語案プラウダ、2月16日)。

  ベネズエラでは火砲、戦車、機械化装置など軍事物資の購入に関して打診し、また共同の軍事演習についてつっこんだ話し合いがもたれたという。

 インドはモディ首相の登場以来、たしかに親米路線に外交方針を変えたが、それでもプーチンをあたたかく迎え、対米外交との均衡をとる。なぜならインドの武器システムはソ連時代から露西亜製で体系化されており、短時日裡に米軍システムに切り替えは不可能だからだ。

ニカラグア、キューバはインド同様な境遇にあり、中国がいかにしゃかりきになろうともラテンアメリカ諸国の武器、防衛体系は一朝一夕に中国のシステムに二者択一というわけにはいかないだろう。

 ともかく中南米でおきているのはロシアのクリミア併合に端を発し、ウクライナの戦火拡大に抗議してとられた欧米の対ロ経済制裁が、ロシアをして、こうした報復的行動を採らせてしまった。

最大の脅威=中国にロシアは依拠せざるを得ない環境をつくりだしたわけであり、オバマのロシア制裁はあまりにも拙速だった。

 

2/16ZAKZAK『古森義久氏【あめりかノート】中国「100年のマラソン」戦略 米国側の想定はみな錯誤だった…』『【湯浅博の世界読解】対日世論戦で巻き返しに出る中国 潘基文国連事務総長に送った書簡と意図』記事について

中国のプロパガンダを許し続けると、「慰安婦」や「南京虐殺」のように世界が信じてしまいます。「嘘も百回言えば真実になる」が実行されるだけです。いつも言っていますように彼らの発想は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」ですから、彼らは日本人と比べ賢いと思っているでしょう。鄧小平は「韜光養晦、有所作為」と言っていたし、中国の歴史や漢人と実際付き合えば「豊かになれば民主化する」なんて幻想とすぐ気づくはずです。中国は経済的豊かさを軍事力拡張、賄賂工作資金に使います。豊かにすればそれがブーメランとなって日米の国民に跳ね返ってくるのを理解してほしい。5月の安倍首相の訪米と9月の習近平の訪米と、オバマがどういう対応をするかです。

イマジカがSDIメデイアを買収と報道されていました。政府も国際報道の充実を考えているなら、彼らの協力を求めた方が良いかもしれません。NHKでは偏向して報道される可能性がありますので。民主党はNHK会長を呼び出して糾弾するなど、報道の内容に経営が容喙できないよう手足を縛ろうとしています。日本のことを考えればNHK出身の安住議員を選ぶのは考えられません。

2/16宮崎正弘氏のメルマガで読者の「中国経済の崩壊が予測されて久しいのですが、まだ崩壊しない。そればかりか、上海株式は上昇しています。これらの事象をみていますと、宮崎さんの予測とは逆のことが起きていますね。」という質問に、

宮崎氏の回答は「世界第二位のGDPを誇る中国は巨大ゆえに、一夜で潰えることはありません。しかし不動産バブルは瓦解しており、デベロッパーの倒産が連鎖しています。銀行は不良債権を糊塗するために、壮大なごまかしをやっており、そのあおりで真実の公開に頬被りした米国の四大監査法人は罰金を支払いました。

中国人民銀行など金融当局は預金準備率を引き下げ、理由のない緊急貸し出しを数回もおこない、さらに大手企業の債権デフォルトを予防するために、「謎の投資家」がつぎつぎと登場したり、あらゆる手段を講じて防戦中です。

 何回か指摘しましたが、中国経済は危殆に瀕しているにもかかわらず、まだ持っているのは外国企業からの直接投資がまだ続いているからです。

 そして米国のFATCA発効により、世界のタクスヘブンに逃げていた巨額不正資金の一部が「外国籍」を装って中国に還流しているため、上海株式があがっているのです。

破裂は秒読みですが、これを回避するために次に国務院が打ち出すのが稀有壮大というより破滅へ向かっての世紀の賭け、すなわち都市化プロジェクトです。

 ゴーストタウンをまた増やすだけのことですが、経済成長維持のトリックをしばらく中国は続けざるを得ないのです。

 つまり中国経済は事実上破綻しているが、壮大なトリックで外国投資がつづき、未曾有のごまかしをやっているのが実態です。」との回答でした。外国の金=国際金融資本が中国を支える、これが世界を不安定化しているにも拘わらず。儲かればいいというか、戦争で儲けようとしているのかも知れませんが。」

古森義久氏記事

「日本の首相の靖国参拝は中国への再度の侵略への精神的国家総動員のためなのだ」 「日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニウム保有は核兵器製造のためだ」  米国の中国軍事戦略研究では第一級の権威とされるマイケル・ピルズベリー氏が2月3日のワシントンでの討論会で現在の中国指導部内では日本について以上のような断言が堂々となされていることを指摘した。中国側の明確な記録にも残るこうした独断に日本側は正面から論争を挑み、正すべきだと同氏は提言するのだった。  1970年代のニクソン政権から現オバマ政権まで一貫して国防総省の中国軍事動向を調べる要職にあったピルズベリー氏は最新の自著「100年のマラソン=米国と交代してグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略」を紹介し、議論する集いでそんな発言をした。 この書の内容は衝撃的である。もう40年以上も中国の対外戦略を研究してきた同氏が中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という偽装めいたスローガンの陰で、実は建国から100周年の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしている-と総括するのだ。  同書がいまワシントンの外交政策関係者たちの間で熱っぽい議論の輪を広げているのは、米国側のこれまでの対中観や対中政策が著者自身の認識も含めて根本から間違っていた、と断ずるからである。米国の官民は中国に対し「欧米や日本の犠牲になった貧しく弱い国」との認識から始まり、「建設的関与」により中国を最大限に支援してその根幹を強くし、豊かにすれば、国際社会への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきたが、それは巨大な幻想だった、と強調するのだ。

だから同書は米国側の年来の「対中関与は協力をもたらす」「中国は民主主義へと向かっている」「中国は米国のようになりたいと願っている」という想定はみな錯誤だったとも断じる。そのうえで次のようにも指摘する。

 「中国共産党の中核は米国が実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、米国主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だと長年、みてきた」

 「しかし中国指導部は米国の主導と関与の誘いに従うふりをしながら、国力を強めて米国の覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を『100年のマラソン』として進めている」

 ピルズベリー氏によると、中国はその世界覇権への野望の主要手段として「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作を実行してきた。アジア諸国と日本国内をも対象とするこの反日工作は日本が米国の主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩すことを目的にするという。冒頭の中国の日本糾弾もその路線に含まれるわけである。

 この書は日本の対中政策形成のうえでも重視すべき新たな指針だろう。

湯浅博氏記事

中国の劉結一国連大使から一通の書簡が今月初め、に送られた。書簡は今年が「国連創設・世界反ファシズム戦争勝利70周年」にあたり、安全保障理事会の閣僚級公開討論会の月内開催を呼びかけていた。公開討論会は「国際の平和と安全の維持」と、一見するとまともなテーマを挙げている。

 ところが、副題には「歴史を鑑(かがみ)とし、『国連憲章』の趣旨と原則に対する揺るぎない約束を重ねて表明する」と書き込まれていた。議長は中国の王毅外相があたるというから、例によって、作、演出、主演とも中国で、国連の場を借りて都合良く誘導しようとの意図がほの見える。

 副題にある「歴史を鑑」とくれば、日本を原罪意識で金縛りにする常套(じょうとう)句であることに気付くだろう。中国が持ち出す歴史カードの実相は、むしろ「現代を鑑」に、つまり現在のモノサシで歴史を裁こうとする危うい外交作法である。

 公開討論会の目的が、「国連創設の背景を全面的に回顧」して、憲章の「揺るぎない約束を重ねて表明」とくれば、その狙いは明らかである。国連は元来が第二次大戦の戦勝国による「連合」であり、旧敵国条項により敗戦国に不穏な動きがあれば容易に攻撃できる条文が残されている。この条文は国連決議によって否定されてはいるが、削除はされていない不安定なシロモノである。

 まして、書簡を受け取る潘事務総長は、韓国の次期大統領候補に名前が挙がるほどの人物だから、抗日の連帯を呼びかけたようなものである。

ラヂオプレスが伝えたその数日前の人民日報は、「占豪」の署名論評で、戦勝70周年の抗日戦勝記念日(9月3日)に行う閲兵式の狙いを「日本を震え上がらせる」ためであると書かせている。戦後70年の今年、中国は歴史カードを次々と切って、日本を揺さぶるつもりなのだろう。

 これまでの強硬策が裏目に出て、世論戦で分の悪い中国が巻き返しに出てきた構図である。昨年は、習近平国家主席がオバマ米大統領に持ち掛けた「新型の大国関係」が、南シナ海などを核心的利益と認めさせる方便であることを見抜かれた経緯がある。いくつもの国際会議で、日本の「法の支配」に対して、中国の「力による現状変更」が批判の対象になった。

 かくして中国は、戦後70年という近年にない機会をテコに、逆に日本が「戦後の国際秩序を覆そうと企(たくら)み、日本の敗戦国という地位の変更を企む」との論理で反転攻勢にでようとしている。中国と韓国は戦争が近代国家の形成に深く関わり、反日がその出発点として刻み込まれている。これが仮想現実である以上、日本は「過去からの攻撃」が底なしであることを覚悟する必要がある。

 それでも英紙フィナンシャル・タイムズの社説は、日本人人質「殺害」事件に関連して「ここ数週間の出来事で安倍晋三首相の憲法改正への取り組みが台無しになってはならない」と、現在に目を向けている。

 中国の意図的な世論戦に対しては、怯(ひる)まずに反世論戦で応じ、心ある言論人を獲得していくべきだろう。この5月に予定される首相訪米で、戦後70年の首相談話が日米ですり合わせられよう。中韓の「過去からの攻撃」に対し、自由、民主主義の共通の価値観をもつ国際協調の輪を広げていくに如(し)くはない。(東京特派員)