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6/10日経ビジネスオンライン 奥山真司『中国がかわしたい米国の“海峡封鎖” 大国の世界展開は「内海」の確保に始まる』記事について

日高義樹氏の『中国敗れたり』によると①米海軍は中国の知らない内に、中国を海上封鎖できるキャプター型機雷を近海に敷設するのは可能とのこと。特殊原潜で敷設は気づかれないそうです。衛星で操作することなく必要時点で浮き上がってきて艦船(軍事用、民間船を問わず)を撃沈。海底に長期間敷設可能とのこと。これをやれば、中国経済は崩壊間違いなしです。もう既にやっている可能性もありますが。②A2/AD戦略を中国はプロパガンダしていますが、中国の空母キラーと言われるクルージングミサイルDF-21D(中国名:東風-21D)はマッハ5~6で非常に遅い(普通の大陸間弾道弾のスピードはマッハ20~30)し、破壊力もハープーン程度(?)で大したことがないとのこと。米空母は最大30数ノット(50数Km/h)で走り、ミサイルが飛んでくる間に位置を変えれるし、中国側のレーダーを攪乱してDF-21Dの飛行を妨害できるとのこと。これによりエアシ-バトル戦略を採らなくても中国軍はなす術がなくなります。

問題は能力でなくて意思の問題です。オバマが宥和政策を取れば(民主党と言うのは日米とも碌でもない政党です。中国から多分オバマは献金を受けているでしょう。ヒラリーがそうであったように。なにせ大統領選時、投票者登録をごまかして大統領になったと言われている史上最低の米大統領です)中国はつけあがり、ドンドン侵略して行って既成事実化を図るでしょう。内蒙古、チベット、ウイグルのように。米軍は中国の主張する12海里に艦船を通過させるべきです。中国の主張は国際法違反、何の強制力も持たないことを世界に知らしめるべきです。

日本は相変わらず民主党や共産党が国際環境の変化を考えない議論をしています。このままいけば日本の独立も危うくなります。女でミソを付けた山崎拓がしゃしゃり出て来て集団的自衛権にイチャモンつけていました。中国でハニートラップに遭い、今回も中国から言わされているのでしょう。裏に古賀や野中、加藤、河野辺りが蠢いているのかも知れません。野党が充分な議論が足りないというなら通年国会にすべき。国民はもっと怒るべきです。民間企業でそんなに休むことはできないでしょう。選挙対策でなく、議員本来の仕事である国会で法案作成に専念すべき。Lawmakerの名が泣くでしょう。中国と比較すればアメリカの方がずっとマシです。日米同盟が基軸で多国間で中国を封じ込めるべきです。中国に有利な発言をする政治家やメデイアの人間は裏に何かあると見た方が正解です。

記事

 マッキンダーが提唱した言葉に「内陸海」がある。英語では「ミッドランド・オーシャン」(Midland Ocean)。大西洋を囲む自由主義陣営の国々がソ連(ロシア)に対抗するイメージを表すために使ったものだ。マッキンダーの死後、この概念は北大西洋条約機構(NATO)として結実した。

 地政学ではこのように、ある海を囲む、つまり「内海化」する国家や同盟国が、シーパワー国家としての土台を獲得し、世界展開を目指す傾向があると見なすことが多い。古代に栄華を誇ったローマ帝国は地中海を内海化した。英国も地中海と大西洋を内海化したことがある。

 オスマン・トルコも地中海と黒海を囲い込んだ。ソ連は黒海やバルト海、それにオホーツク海を内海化した。そして日本も「大国」であった戦前は、日本海と東シナ海を内海化していた。

カリブ海の内海化から米国の世界展開が始まった

 では米国の場合はどうなるか。現在は上記のように大西洋をはじめ、世界のほとんどの海を「内海化」している。とりわけ世界展開を始めた時期に最初に内海化したのが、自国のすぐ南側にあるカリブ海であったことが重要だ。

 当時のカリブ海は、砂糖の原産地や奴隷貿易の拠点として、英国をはじめとする欧州の列強たちが関与していた場所であった。これに対して米国は1823年にモンロー大統領が提唱した、いわゆる「モンロー・ ドクトリン」に従って、西欧の列強を西半球(南北アメリカ)から排除する方針を取り始めた。

 当初は、カリブ海最大の勢力であった英国(1833 年に奴隷制を禁止)と協力する形で奴隷貿易を取り締まる警戒活動などを行っていた。だが、1899年の米西戦争でスペインを排除し、20世紀前半に英国がこの海域から撤退すると、米国政府は彼らがこの海域に二度と復帰してこられないように様々な手段をとっている。

 その後、第一次世界大戦の時期に、米海軍がこの海域での覇権を握った。このため、カリブ海全域が「アメリカの地中海」(American Mediterranean)と呼ばれるようになった。

 つまり、米国が本格的に世界展開を始めるきっかけとして、自国周辺の海域の「内海化」があったと言えるのだ。

南シナ海を巡る米中の攻防

 このアナロジーをそのまま中国にあてはめて考えると、興味深いことが分かる。「アメリカの地中海」に相当するのは、スパイクマンが「アジアの地中海」(Asiatic Mediterranean)と呼んだ、南シナ海を含む海域だ。

 ご存知のように、中国は現在、南シナ海の領海化を必死に進めている。その証拠に、南沙諸島周辺で7カ所の岩礁を埋め立てていることが最近確認されており、フィアリー岩礁をはじめとする少なくとも3カ所の海域で、ジャンボ機も発着可能な3000メートル級の滑走路を建造中であると報じられている。

 これはまさにスパイクマンが予測した、「アジアの地中海」において中国が覇権を確立するための第一歩と言えるものだ。もしこの「内海化」が実現すれば、中国はユーラシア大陸のリムランドの南部の海域と空域をコントロールする力を持つことになる。

 もちろんこれが実現するかは未知数だ。少なくとも現時点の米国は、この「アジアの地中海」から手を引く意志はないように思える。そうなると、この海域を巡る米中の権益の衝突は当面続くことが予測される。ただし19世紀末までカリブ海を抑えていた英国が、20世紀初頭にアメリカに覇権を譲り渡して撤退した事実は気になるところだ。アメリカも「その時」が来れば撤退する可能性もある。

海上交通路とチョークポイント

 このような「内海化」のもう一つの側面として重要になるのが、海上交通路(SLOCs:スロックスと読む)とチョークポイント(choke points)の確保である。

 英国がシーパワーとして世界の海を管理できたのは、この海上交通路やチョークポイントにおいて覇権を握っていたことが大きい。日本も日露戦争でこの恩恵を受けた。ロシアのバルチック艦隊が日本に向かうのを、スエズ運河のようなチョークポイントや海上交通路で英国が妨害をしてくれたおかげで、日本海海戦(1905年)に快勝することができた。

 米国も同様に、海上交通路やチョークポイントの確保に熱心だ。前述した米西戦争が起きた原因の一端は、カリブ海の海上交通路の確保にあった。米国は1914年、フランスが着工していた工事を譲り受けて、チョークポイントの典型であるパナマ運河を完成させている(ちなみにマハンはこの年に亡くなった)。

 後に2つの世界大戦に参戦した米国は、まさに英国の海上交通路とチョークポイントを引き継ぐことで世界覇権を握ったことを忘れてはならない。

 現在の主な海上交通路とチョークポイントは、米国が管理しており、それには当然ながらこの南シナ海も含まれる。ヒラリー・クリントン前国務長官が2010年のASEAN地域会合で「米国は航行の自由を守る」と宣言したのは、世界最大のシーパワー国家として、海上交通路(とチョークポイント)の覇権を確保する覚悟の表れであったと言える。

中国が抱えるマラッカ・ジレンマ

 他方、中国にとっての海上交通路とチョークポイントに関係してくる問題を考えると、彼らにとっての最大の懸念として挙げられるのは「マラッカ・ジレンマ」である。

 このジレンマとは、中国が経済的に発展して国力が高まると、米国(とシンガポール)に対する脆弱性が高まってしまうというものだ。経済発展するとエネルギーの需要が高まり、中東からの石油の輸入に頼らざるを得なくなる。その際の海上交通路のチョークポイントは、マラッカ海峡(中国が輸入する原油の80%がここを通過)だ。したがって同海峡を管理する米国(とシンガポール)との関係が重要になる。

 当然ながら中国には、このジレンマを解消しようという動機が働く。その解決策として北京は現在、3つの計画を進めていると言われている。

 第1がパキスタンのグワダル港と新疆ウイグル自治区のウルムチまで、パイプラインを結ぶ計画だ。グワダル港はイランとの国境のすぐ東にある。インド洋に向かって開けている砂漠の南端にある良港だ。最近の「一帯一路」につながる「中パ経済回廊」というスローガンの下で、中国政府がすでに大規模な投資を行っている。今後さらに深海港化――大型の船を着岸できるようにするため浚渫(しゅんせつ)工事を行う――や港湾施設の拡充を行う方針をパキスタン政府と決定している。

 ただし、プロジェクト全体の実現性が疑問視されている面もある。グワダル港周辺に住む民族(バルチ人)は、パキスタンの首都イスラマバード周辺に住む民族(パンジャブ人)と対立関係にあって、分離独立の機運もある。もし中国のパイプラインがグワダルまで延長されれば、イスラマバードに対抗するために「パイプラインを破壊し、中国人労働者を殺害する」と明言する独立運動側のリーダーもいる。また、北から吹く風が砂漠から運んでくる大量の砂によって港が埋まってしまう問題も抱えている。

 第2がミャンマーへのパイプラインだ。これは中国南部の昆明からチャウッピュー港まですでに伸びていて、今年の2月の時点で完成していると言われている(原油の輸送を開始しているかどうかは不明)。

 これはまさに戦前の「援蒋ルート」の再現だ。連合軍側が戦時中に、中国内の日本軍に対抗すべく整えた物資補給路が、現代において、マラッカ海峡をバイパスするための中国自身のための原油ルートとして復活したことになる。だが、北京政府が同時に敷設する予定だった鉄道のほうは、地元住民の反対などもあって中止している模様だ。

 第3が「クラ運河」――マラッカ海峡をバイパスする形で、マレー半島を横断して太平洋 (タイ湾)とインド洋(アンダマン海)の間の44キロを結ぶ――の建設である。つい先日、中国とタイの企業が計画を発表したが、こちらも、その実現性に疑問符がついている。報道が錯綜しており、タイ政府側はこの計画の存在自体を否定したという情報もある。

 いずれにせよ、中国側はマラッカ海峡という自らが権限をもたないチョークポイントを回避するため、新たな陸上ルートを開発する計画を次々に打ち出そうとしている。

米国が握る太平洋覇権に中国が挑戦

 マハンの頃から、まるで「太平洋を握るものは世界を制する」とでも言うべき現象が国際政治の場に現れている。第二次世界大戦では、この海域の覇権を巡って日米が激突した。日本の敗戦後は、米国がここの覇権を握った状態が続いている。言い換えれば、1945年以降、米国は太平洋を「内海化」しているのだ。

 ところが2000年代に入ってから、中国がこの覇権に異を唱え始めた。2006年にキーティング米太平洋艦隊司令官(当時)に対して中国海軍の司令官が「太平洋を2分割しよう」と提案したという逸話がある。

 習近平国家主席が2013年夏の米中首脳会談以来、「新型の大国関係」を唱え始めている。「G2論」の派生版だ。この頃から「広い太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」というフレーズを使い始めた。つい最近も北京で米国のケリー国務長官に対して同様の言葉を発している。

 つまり中国は、太平洋において米国が覇権を握っている状態をよしとしていない。そこに国力に見合った自分たちの影響圏を確保し、覇権とは言わないまでも、米国と太平洋を分割し、できれば共存したいという意図を持っていると解釈できる。

 かつては、「米中は太平洋において共存できる」という楽観論も持ち上がった。米ボストン・カレッジ大学のロバート・ロス教授は、1999年に書いた論文の中で、このように主張した(ロス教授は後に考えを修正)。しかし、現在の南シナ海の状態を見て、米中が共存関係に向かっていると楽観的に判断する人々はすっかり減ってしまった。現状変更を積極的に進めようという中国の意図があまりにも明白に見えているからだ。

 いずれにせよ、「一帯一路」という広大なビジョンからも分かるように、中国が日本よりも大きなスケール、つまり「システム」レベルで国家戦略を地政学的に考えている点は、どうにも否定できない事実である。

米中に翻弄される日本

 米中という2つの「大国」は競争しながらも共存できるのかもしれない。だが、これまでの人類の歴史を見れば、この2国の間で戦争を含む大なり小なりの紛争が起こる可能性を否定することはできない。

 そして、東アジアという「サブシステム」の一角を占める日本は、今後もこの2国の関係に翻弄されることになる。

 このような中で、日本が考えるべきは、米中の覇権戦争に巻き込まれることなく、いかに相対的にパワーポジションを維持もしくは向上させるかだ。日本のリーダーたちには、日本をずる賢く立ちまわらせる知恵が必要になってくると言えよう。

6/10日経ビジネスオンライン 福島香織『長江クルーズ”人災”事故の背景 思想の自由を欠く国に事故を防ぐ想像力は育たない』記事について

中国は人民の生命を虫けら同様に考えているというベースを理解しておかないと。韓国も一緒です。日本人とは発想の仕方が違うのですから、彼らと付き合うことが本当に良いことかどうか真剣に考えるべきです。小生が長江下りをしたのは97年の10月ですからハッキリ外国人向けの船と中国人向けの船と分かれていました。中国人向けの船は過積載が当たり前。前にも書きましたが外国人向けの船であっても食事の後のゴミは黒いビニール袋に詰めて川に沈めていました。環境保護なんて考えてないという事です。

思想の自由の前に、「何をして良いか、何をしてはいけないか」の道徳の問題がある気がします。韓国同様責任者のトップが我先に逃げる文化があるとしたら日本人の育ってきた文化とは余りに異質です。孔孟の生まれた国と言っても誰も彼らの言い分をまともとに聞かず、社会で実践することがありませんでした。日本人は漢詩や論語の世界でしか中国を見ませんので、過つことになります。いつも言ってますとおり「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」な世界ですから。

記事

 中国湖北省荊州市監利県で江蘇省南京から重慶に向けて運行していた観光クルーズ船「東方之星」が6月1日午後9時半ごろ、湖北省監利県の長江上で転覆した事故は、確認されるだけで430人以上の死者を出す大惨事となった。長江三峡クルーズは、私も一度行ってみたいと長年、思っていた憧れの旅であり、自分が乗っていても不思議ではない。夜の暗闇の中、突然転覆し長江の水にのまれた乗客に自分がいたかもしれないと想像すると、その恐怖やパニックはいかほどであったかと胸がつまった。衷心より哀悼をささげる。

 ところでこの事故が、まったくの不運な天候による避けられない事故であったかというと、そうではないようだ。船の違法改築問題や、悪天候を押しての運行の責任問題が徐々に明らかになり、人災である可能性も濃厚になってきた。また、遺族の不満が当局に向かうことを避けようとするあまりの過剰な報道規制や、遺族の行動規制も中国特有のものとして日本などでは報道されている。中国では、確かに「小康社会」(ほどほどに豊かな社会)が広がるにつれて旅行人口が急激に増えているが、実は観光旅行をめぐる環境やリスク管理意識自体は、それに追いついていない。中国旅行に憧れる日本人も多いと思うが、中国の観光業界の問題点、リスクなどをこの事故から少し考えてみたい。

お手頃価格の文明船、改修改造に原因?

 東方之星号がどのような船なのか、まず説明したい。重慶東方輪船公司に所属する長さ76.5メートル、幅11メートル、深さ3.1メートル、2200トンの船で、定員は534人。GPSシステム、衛星テレビ、電話、カラオケルームなども備わり、一、二、三等に船室がわかれている。クルーズ船としては、ハイクラスの文明船として交通当局から高い評価を受けているが、クルーズ費用は1000元から2500元と「お手頃」価格の中国中間層向けだ。1994年に建造され、2度の改修を経ているが、中国における旅客船の強制廃船年限30年にはまだ達していない。

 重慶東方輪船公司は1967年に設立された国有企業で、長江旅客船運営会社の中ではかつては国内最高のサービスとされ、中国五大長江クルーズ船、東方之珠、東方王子、東方皇宮、東方皇苑、そして事故にあった東方之星、すべてこの会社の船である。

交通当局によると1997年と2004年に改修改造工事が行われている。

 このような大惨事を引き起こしたのはこの改修工事のせいではないか、という指摘もある。この会社の関係者や船舶検査士が中国紙・新京報に明らかにしたところによれば、船の構造を変え、船体の長さ長くしたことにより、重心が不安定になったことが、転覆リスクを増加させたのではないかという。

またあるメディアによれば、東方之星は重慶東風船舶工業公司が設計、重慶涪陵川東造船工場が建造したことになっているのだが、重慶涪陵川東はこれを否認しており、東方輪船が自分のところで建造したことが今頃になって明らかになった。つまり、東方輪船が、川東造船から既製の船舶構造の提供を受けて、それを東方輪船が自分のところで勝手に内装工事をしたというのだ。この方法で東方輪船は4年の間に6隻のクルーズ船を建造したという。

 となると東方輪船は実際のところ、東方之星を含む6隻のクルーズ船について、正規の旅客船造船工場でいちから建造したのではなく、かなりの節約方式で建造したということになる。ちなみに当時の東方輪船公司傘下の造船工場はすでに三峡ダム工事によって水没している。聞くところによると1992年以前は、その工場で建造されていた船は全部、小型の貨物船で、大型旅客船をつくるような設備ではもともとなかったとか。

節約方式で建造した船の事故、続発

 ちなみに同じ方式でつくられた6隻の船のうち、東方之珠、東方王朝、東方王子はいずれも事故を起こしている。東方之珠は1997年に西陵峡で衝突事故、幸い死者はでなかったが、かなりの賠償責任を負った。東方王朝は船上火災事故を起し、その後2001年に交通当局から改修工事に対して不合格評価をされて廃船、東方王子は2000年に座礁事故を起したほか、08年4月には、他の船との衝突事故を起している。

 東方之星は21年間無事故であったが、1997年の改修工事では、内装高級化のため、窓を増やしたり、客室の観音開きの扉をとって、中央に向かう廊下に改造したりしたという。このため、見た目はよくなったが、船の構造が複雑になり、事故が起きたときに脱出しにくくなったのではないか、という指摘もある。また客室ベッドを固定性のものから木造の移動性のものにしたため、船が傾いたときベッドが床をすべって移動してしまい、船が転覆しやすくなったとか、脱出のためのドアをふさいだのでは、という指摘もあった。またこの改修時、船体の長さが11メートル長くなった。しかし、この時の安定性に関する計算結果は、船舶検査でも合格ラインを十分に超えていたという。

 2004年の改修は、主に船上で出る汚水の浄化設備の設置やトイレの改修工事だったという。長江の環境保護のために船上汚水を垂れ流すことが禁止されたための措置だった。だが、構造や船体の重さ、バランスが変わった可能性もある。ちなみに船を改造した造船工場は10年前に破産して、もうない。

 こうなると船舶検査当局の検査能力の信頼性が問題となってくる。一般に、検査当局は地元交通局の主管となる。東方輪船は、設立当初は万州区交通主管部門傘下の国有企業で、1992年に四川省東方輪船公司、97年に重慶市東方輪船公司と名前を変える。03年には万州区国有資産管理委員会の主管となる。東方輪船公司の党委員会書記および総経理ら幹部は全員、万州区交通局によって任命され、はっきり言ってしまえば、交通局の身内みたいなものである。なので、船舶検査も身内同士で行っているようなもので、果たして客観的でフェアであったかというのは、中国の地方でありがちな例をみれば、今ひとつ信用のおけないものであったといえるだろう。

 当地の海事局関係者の地元紙の説明によれば、東方之星の安全検査の頻度は非常に多く、二カ月に一度は安全検査が行われていたとも言う。普通は一年に一度の検査で済むはずだが、それだけ老朽化し、故障が多かったとか。この船のこれまでの安全検査では故障個所は累計287か所であったという。

老朽化×過剰運営=人災の影濃く

 また管理運営方面では、過剰運営が指摘されている。暴風雨の悪天候の夜間、なぜ航行を強行したのか。他の船は運行を見合わせた船もある。おそらくは、いわゆる儲け主義優先からクルーズの中止などによる返金対応や、次のクルーズ客の予約などが埋まっていたことから、スケジュールを変える判断ができなかったのだろう。この会社は、かつて従業員の養老保険支払いをごまかしていたことが、従業員の告発でばれ社会問題化していた。このため2004年ごろから経営が悪化、2013年の企業年報によれば、総資産7720万元、負債総額が1億6846万元、2014年の企業総資産は8975万元、負債総額が1億8468万元だった。

 こういったことから、事故は目下、中国国内報道でも人災の側面がクローズアップされている。生存者14人中、船長と機関長がともに助かっていることも、遺族の反感を買っている。船長は、突風を受けたために左旋回して風を流そうとしたが間に合わなかったと証言している。彼は22歳で初めて船舵を取って以来30年、操舵手としての経験をもつベテランで、2007年から東方之星船長を務めている。2011年には「万州区安全先進」の表彰を受けていた。だが、そんなベテラン船長がなぜ、暴風雨の夜間航行を強行したのか。新華社の取材に船長は、背から風を受けて北上できると思ったが、突然風が強くなり、船体をコントロールできなくなったと話していた。ちなみに船長の月収は4000元と、都会の大卒新入社員以下だ。

 目下、事故の責任は国有企業と地元政府の問題に集約される形で世論が誘導されるような印象でもある。特に現場が、すでに失脚している元重慶市党委書記の薄熙来が執政責任者であった土地でもあり、現政権としてもメディアとしても遠慮なく批判できるという面もある。

 だが、この企業だけが特別問題を抱えていた悪徳企業であるのかというと、そうとはいえない。むしろ、企業の儲け主義、あるいは正常な市場競争経済でないため、経営悪化の続く国有企業が倒産せずに人の命を預かる観光クルーズ船経営を継続できる現状、中国に根付いているリスク管理軽視、地元検査当局との癒着体質、すべて中国のあらゆる産業に共通する問題があるといえる。

 ただ、観光業はこの10年の間、急激に拡張を続け、観光客が急増していること、また観光客の主流がやや豊かな市民たちであり、それなりの学歴があり情報収集能力や発信力がある彼らの批判や権利主張は、他の産業の事故、たとえば炭鉱事故などの犠牲者たちと違って、世論に影響しやすいという点が、当局にとっては他の産業界よりもやっかいなのである。今まで、事故犠牲者の批判や責任追及の声を無視することに慣れていた関係当局の官僚たちは、近年の観光産業に関しては思い通りにできず、ときのその反応や必要とされる対応が、彼らの想像力を超える。

 根っこは、昨年大晦日に上海市のバンドのカウントダウンイベントで発生した群衆雪崩事故などとも、同じといえる。あのイベント事故も、主催者側の危機管理能力、想像力を超える見物客の多さと行動があり、また、上海市民や上海に来ている観光客に事故犠牲者がでることの影響力を軽く見ていた。

 こう考えてみると、中国では普通の観光客が晒されている安全問題は、他の食品安全や環境汚染同様、結構深刻である。もし、あなたが、中国で観光旅行、とくに中国人庶民が参加するようなツアーに参加したり、ゴールデンウィークや春節時期のイベントなど、殺人的な人出が予想される観光地に赴くのであれば、当然そのリスクは理解しておいた方がよいし、保険などそのリスクから身の安全を守るための措置を自分で講じておいた方がよいだろう。

情報と思想の自由の欠如が、次の悲劇へ

 長江事故犠牲者のため、初七日には追悼式が行われたが、当局対応への不満と怒りに燃えて現場に駆け付けている遺族1400人は、混乱を避けるために招かれなかった。また、身元確認のDNA鑑定結果を待つ遺族は、当局の管理下におかれ、外国メディアの取材も勝手に受けられない状況であることに、不満はさらに募っているという。国内メディアに対しても、新華社の共通原稿を使い、独自取材を禁じる通達が出ているとか。いまだ、この国は、犠牲者や悲しみに暮れる遺族の立場よりも、権力サイドの立場を守るために情報をコントロールすることを第一に考える。

 こういった大事故の根本原因について、私は官僚から企業、そして普通の人民に至るまでの想像力の欠如だと思っているが、想像力というのは十分な情報と思想の自由があって初めて広がるもの。今の中国で最も欠けているものだろう。だから、こういった事故はまた起こるのではないかと懸念している。

6/10日経ビジネスオンライン 森永輔『国交正常化50年だが、韓国の日本外しは不変 武貞秀士・拓殖大学大学院特任教授に聞いた』記事について

武貞氏はTVで見る限り韓国に対して思い入れがあり、客観的な目を曇らしているのではという思いがあります。詮方なきことかもしれません。韓国に長く住み、それが飯の種になっていれば。相手国の悪口を言えば情報が入って来なくなるので。小生の場合、中国に8年いましたけど別にそれが飯の種になった訳でもなく、逆にしょっちゅうぶつかり合っていました。それで裁判やら労働委員会に訴えられたわけですが。でも行った当初は骨を埋める覚悟でしたが、余りの人間の厭らしさに唖然として止めました。

朴槿惠大統領の今月の訪米は中止になりました。MERSのせいと言われていますが、本人がアメリカに病原菌を運ぶのをアメリカが嫌ったのか、朴槿惠大統領が訪米するとTHAADの配備を押し付けられるのを嫌がったのが原因かは分かりません。でもペンタゴンはこれで益々韓国に対する目が厳しくなるでしょう。「戦時作戦統制権」は期限なしで延長していますが、裏を返せば期限を定めなかったのはアメリカが何時でも韓国に返しますよという事でしょう。そうなれば北は一気に攻め込みます。油が足りないと言っても韓国から奪えば良いので。ソウルを火の海にすれば韓国人ですからすぐに戦意喪失するでしょう。

軍艦島の世界遺産登録にも韓国は異議を申し立てています。東京オリンピックの時もそうでした。日本のやる事為すことに反対してきます。ここまではっきりした態度を示せば間違いなく敵国です。福島の農水産物の輸入禁止措置はまだ解除していません。日本が韓国をWTOに訴えたことだけは立派。ただMERSなんだから韓国人の日本入国と日本人の韓国への出国は禁止すべき。それができないようでは「腰抜け」と言われても仕方がない。相手がやってきたことに唯唯諾諾と従うだけでは舐められます。反撃せねば。別に戦争しろと言ってるのではなく、合法的に制限は可能と言ってるだけです。日本の政治家も官僚も根性が足りません。

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6月22日、日韓国交正常化から50年を迎える。

だが、日韓関係は5つの大きな問題――竹島、教科書問題、慰安婦、靖国神社参拝、戦時強制徴用工補償--を抱えたまま、膠着状態を抜け出せずにいる。いずれの問題も解決の目途がたっていない。

改善の兆しらしきものは見えてきた。3月には、岸田文雄外相と尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外相が会談をした。5月30日には、中谷元防衛相と韓民求(ハン・ミング)国防相が4年ぶりの会談を行った。

日韓関係の現状と今後の展望について、武貞秀士・拓殖大学大学院特任教授に聞いた。(聞き手 森 永輔)

—日本と韓国が日韓基本条約を結び、国交正常化から50年が経ちました。この間の歴史を振り返ると、現在の日韓関係はどれくらい悪いものなのでしょう。

武貞:最悪ではないと思います。朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)の陸英修(ユク・ヨンス)夫人が1974年に死去する事件が起こりました。この時には、朴正煕大統領が日本との国交断絶を検討するよう指示を出したほど険悪な状態になりました。

 朴正煕氏は現職である朴槿恵(パク・クネ)大統領の父親、陸英修夫人は母親です。在日朝鮮人の文世光が朴正煕氏を暗殺しようとして、その流れ弾が陸英修夫人に当たったのです。使用された拳銃は大阪府警の派出所から盗まれたものでした。加えて文世光は、偽のパスポートを使い、日本人を装って韓国に渡っていました。このため、日本政府の対策が十分でないとして韓国が態度を硬化させました。

 1973年に金大中(キム・デジュン)拉致事件が起きた時も日韓関係は悪化しました。1998年に大統領になる金大中氏を、韓国の情報機関である中央情報部が日本国内で拉致して韓国に移送した事件です。韓国政府が日本の主権を侵害したわけですね。この時は日本側が事件を問題視しました。

 これらの事件が起きた時に比べれば、現在の状況はましと言えるかもしれません。しかし、一層深刻とも言えます。2つの事件が起きた時には、問題は目の前の1つに限定されていたし、解決策も見えていました。現在は竹島、教科書、慰安婦、靖国神社、戦時強制徴用工補償といった5点セットが同時に問題になっています。そして、いずれの問題も落とし所があるわけではありません。

—日韓関係は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が竹島に上陸したのを機に悪化し、朴槿恵政権が強硬の度合いを強めるにしたがって現在に至るように見えます。

武貞:韓国はいま、満を持して国家の戦略を立てて日本に真っ向勝負を挑んでいます。安倍首相が歴史認識を改めないかぎり首脳会談はない。日本と北朝鮮が接近することは許さない。戦時中に犯した罪を謝罪すべき。70年談話はこれまでと同じ表現を用いるべき。慰安婦には国家による補償をすべき。さらに、こうした主張を欧米諸国に広めています。

 朴槿恵大統領は計算づくで「日本外し」へと舵を切ったのだと思います。その計算に最も大きな影響を与えたのは中国の台頭でしょう。中国は韓国にとって最大の貿易相手国です。韓国を訪れる中国人観光客も多い。済州(チェジュ)島の開発には中国企業が多額の投資をしています。韓国にお金をもたらす国に目が向いたわけですね。韓国にとって中国は不可欠な存在、日本よりも優先すべき存在なのです。

 韓国は、韓国と中国が戦略的パートナーシップを結び、両国が中心となって、東アジアの信頼を醸成し発展していく環境を築こうと考えています。朴槿恵大統領は大統領選挙の期間中からこの方針を決めていました。

 日本人は、アジアの発展を日中韓の3カ国でやれば、もっといいじゃないかと考えるでしょう。しかし、それは中国が許しませんでした。中国は、「日本に苦労させられた者同士でことを進めよう」と韓国を説得したのです。日中韓のFTA(自由貿易協定)にしても、中韓を先行するよう韓国に求めました。その勢いは韓国の想像を超えるものでした。

 だから、日韓関係が悪化している一連の動きについて、韓国は中国に乗せられた側面もあると思います。

 朴槿恵大統領はこれまで述べた中国と連携して進める政策とは別に、2013年10月に「ユーラシア・イニシアチブ」と呼ぶ政策も発表しました。アジアから欧州へとつながるユーラシア大陸をひとつの共同体に育て上げるという構想です。この構想は「その東の果ては韓国」と定義しています。つまり、日本外しですね。

日本の沈没を期待

 中国の台頭に加えて、韓国が対日強硬政策を取る引き金となったのは東日本大震災です。これを機に韓国で日本沈没論が力を得ました。被災地の復興には長い時間がかかる。日本経済は長期にわたって停滞するだろうと認識したからです。

 「沈没させたい」という期待もあったでしょう。韓国は「韓国の勝ち、日本の負け」ということをあらゆる機会を通じて確認せずにはいられないトラウマを背負っているからです。

 韓国は日本統治時代を通じて、日本に一度も勝つことができませんでした。韓国の1948年憲法は前文で「三・一運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承しているとうたっています。三・一運動はささやかな反日デモを計画したのですが、総督府によって規制されて不発に終わりました。その後、日本の統治から脱することができたのは第二次世界大戦終了によってです。つまり、韓国は自らの力で日本の統治を終えたのではありませんでした。これがトラウマになっているのです。

 一方、北朝鮮の1948年憲法は、抗日パルチザン闘争の経験をもとに、日本に勝ったという経験を強調しています。韓国は「日本に勝った」という爽快感がないまま建国しました。

日本叩きをしているうちに韓国自身が孤立する危機

—最近、日韓の政府レベルの交流が進み始めました。3月には岸田文雄外相と尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が会談しました。5月30日には、中谷元防衛相と韓民求(ハン・ミング)国防相が4年ぶりの会談を行っています。一連の会談は日韓関係が良好な方向に向かいつつあることを示しているのでしょうか。

武貞:そうは思いません。朴槿恵大統領の訪米を6月に控えているので、日本との関係改善を進めながら、米韓首脳会談の環境整備をしている印象を受けます。何もしないまま米国を訪れれば、米国が不満に思うことは必至です。

 韓国政府の最近の対話姿勢の背景には、韓国の国内世論の影響もあるでしょう。韓国ではメディアも学者も「韓国が日本叩きをしている間に、韓国そのものが孤立してしまった」という認識を示し始めました。

 こうした見方が浮上し始めた理由の1つは、4月に行われた安倍晋三首相と習近平国家主席との首脳会談です。韓国は直前まで、この首脳会談は実現しないと読んでいたので、さぞかし驚いたことと思います。習近平国家主席の表情が、2014年11月に行われた前回の日中首脳会談に比べて和らいだものになっていたこともショックだったでしょう。

 この5月に、自民党の二階俊博総務会長が全国旅行業協会の関係者など3000人を引き連れて訪中し、歓迎を受けました。日中の関係改善を目にして、韓国はまた驚きました。

 中国のお先棒を担いで日本叩きをしてきたのに、中国に梯子をはずされるのではないかと危機感を覚えるようになったのです。中国が推進するアジアインフラ投資銀行(AIIB)も、韓国は当初、中国と韓国、インドが主導するものと理解して参加を決めていました。だから日本に副総裁の座を提示していたとのニュースには唖然としたことと思います。

—韓国の世論が変化したことには、安倍晋三首相の訪米も影響したのでしょうか。

武貞:もちろんです。安倍首相の米連邦議会での演説について、韓国政府と在米韓国人は一体となって、あの手この手を使って阻止しようとしました。ですから韓国は、米議会が安倍首相に演説させることはないだろうと踏んでいました。しかし、結果は違った。

—韓国は安倍首相の演説をどのように評価しているのでしょう。

武貞:多くの人が「安倍首相は米国でひんしゅくを買った」「良識のある米国人は安倍演説を評価しなかった」と捉え、マスコミはそのように報道しています。

安倍首相が訪米で得た成果を相殺できるか

—朴槿恵大統領の訪米は何がテーマになるのでしょうか。

武貞:米国が韓国に対して、米韓関係と韓中関係のどちらを重視するのかを確認する場になると思います。韓国としては、経済面では中国が大事です。一方、軍事面は米国を頼りたい。米国の機嫌を損ねる事態は避けたいところでしょう。けれども、これを両立させるのは困難です。

 具体的な議題としては、まず有事の際の作戦統制権の移管問題があります。米国と韓国はこれを在韓米軍から韓国軍に移管することを決めました。しかし、韓国の都合で延期されています。韓国は、米軍が作戦統制権を持っている方が北朝鮮の核ミサイルなどに対する抑止力が働くと考えたのでしょう。米国は、一度決めたことなのだから実行するよう韓国に求めています。

 最も大きい議題は高高度防衛ミサイル(THAAD)、いわゆるミサイル防衛システムの配備に関する問題です。米国は韓国に、配備に同意することを求めるでしょう。しかし韓国は明言することは勘弁してほしいと訴えるのではないでしょうか。配備を受け入れれば、中国と北朝鮮から直接強く責められることになるからです。

—朴槿恵大統領はたいへんな立場ですね。さぞかし米国に行きたくないことでしょう。

武貞:でも行く必要があるでしょう。朴槿恵大統領は、安倍首相が米国で演じたパフォーマンスの効果をオフセットしたいところです。米国に大事にされるところを韓国民に見せつけ、韓国が孤立していないことを示したい。

—米国側の対応によっては、孤立していることをかえって浮き立たせることになりませんか。

武貞:その可能性は否定できません。しかし、米国に行かなければ、その方が孤立を一層際立たせることになります。

日韓関係を改善するには日本が強くなるしかない

—最悪とは言えないまでも深刻化している日韓関係を改善するためには、どうすればよいのでしょうか。

武貞:身も蓋もない言い方になりますが、短期間ではどうしようもありません。先ほど申し上げたように、日韓の間で持ち上がっている問題はいずれも構造的なもので、早急に解決できる性質のものではないのです。相互信頼と未来志向の日韓関係を築くためには、時間をかけて、これから挙げる政策に取り組んでいくしかありません。

 1つは、日本社会と日本人をよく知る韓国の人材を増やすことです。このためには交換留学などの交流を拡大していくことが大事ですね。日本で学ぶ韓国からの留学生はどこの大学でも激減しています。ウォン高・円安であるにもかかわらずです。日本を訪れる韓国人観光客の数は増えていますが、短期間の観光旅行で日本社会を理解することは難しい。

 金大中大統領の時代に日韓関係は大きく改善しました。これは金大中大統領が日本社会と日本人を熟知していたからです。今の日韓関係からは想像しがたいことですが、金大中大統領が1998年に来日した際に公表した日韓共同宣言には「両国間の安保対話及び種々のレベルにおける防衛交流を歓迎し、これを一層強化していくこととした。また、両首脳は、両国それぞれが米国との安全保障体制を堅持するとともに、アジア太平洋地域の平和と安定のための多国間の対話努力を一層強化していくことの重要性につき意見の一致をみた」とあります。これを機会に日韓の防衛分野の交流が進みました。

 2つ目の施策は日本の防衛力を高めることです。日本は非常に抑制的な防衛政策を取ってきました。非核三原則、武器輸出三原則等、防衛費のGNP(国民総生産)比1%枠。憲法9条はその最たるものです。

 こうした抑制的な防衛政策が、日本の軍事力は怖くないという楽観を韓国に与えてきました。これを改める必要があります。空対地ミサイル、弾道ミサイル、巡航ミサイル、作戦遂行に必要な数の空中給油機を装備するのがよいでしょう。いずれも、既に韓国が装備しているものです。日本も韓国と同じ発想で防衛を考えていることを示すわけです。こうすることで、韓国が日本とは仲良くしないといけないことを理解してもらう。

 日本が防衛力を高めれば韓国は反発するでしょう。しかし、自主規制しても反発されてきたのが日本の戦後史です。ならば、やることをやって反発された方がよい。

 第3は、日本の国際的な地位を高めることです。これにはいくつかの手段が考えられます。まず、国際連合の安全保障理事会で常任理事国になること。それから、国際的な金融体制を日本が主導することです。例えば、アジア開発銀行の本部を霞ヶ関に持ってくる。

—日本が力を付け、「沈没」しない国であることを見せる必要があるわけですね。そのためには経済力を復活させることが欠かせません。

武貞:おっしゃるとおりだと思います。

進歩派が政権に就いても大きく変わることはない

—日韓関係が悪化した背景には朴槿恵大統領の判断が大きいという話を伺いました。2017年の大統領選挙で政権が交代すると、日韓関係が改善する可能性はあるのでしょうか。保守政権が続いているので、例えば、韓国進歩派が政権を取ったらどうなるでしょう。

武貞:大きな変化は考えづらいでしょう。竹島、教科書、慰安婦、靖国神社、戦時強制徴用工補償を問題視する姿勢は、進歩派も、朴槿恵大統領と寸分違いません。むしろイデオロギー的な日本批判を強めることがあるでしょう。

 ただ、進歩派は親北朝鮮が多く、この点は朴槿恵政権と異なります。日本が北朝鮮との対話を継続し、関係が改善できるとすれば、韓国進歩派の政権と認識を共有できる部分があるかもしれません。

—進歩派の大統領候補になり得る人物で、親中派はいるのですか。

武貞:現在、名前が挙がっている文在寅(ムン・ジェイン)氏や安哲秀(アン・チョルス)氏、国連事務総長を務めている潘基文(パン・ギムン)氏はいずれも特に親中というわけではありません。朴槿恵大統領は個人として親中派です。しかし、いまの経済、政治、安保分野の動きを見ると、韓国の次の政権下でも中韓関係をさらに緊密化する以外の選択肢はないでしょう。

6/8日経ビジネスオンライン 白壁達久『天安門事件から26年後の香港の現実 中国化の波が迫る中で進む悲しい民主派の分裂』記事について

今の香港の姿を台湾の人達は良く見ていた方が良いでしょう。去年3、4月の台湾での太陽花学運では王金平立法院長の斡旋で中国とのサービス貿易協定にストップをかけることができました。外省人の馬総統が焦って中国との統一の足がかりとしようとしましたが、結局11月の統一地方選で国民党は惨敗を喫しました。来年1月の総統選は蔡英文民進党党首で決まりです。今回の訪米でも前回の総統選前の取り扱いと違い、アメリカは歓待しました。それはそうでしょう。総統になるのが確実な上に、中国がアメリカの覇権に挑戦しようとしているのですから。

それに引き換え中国と陸続き、かつ97年に法的にも中国の一部となった香港の運命は悲惨です。行政長官の民主選挙の約束も共産党はあっさり反故にしてしまいました。昨年9月の雨傘革命もポシャリ、本年6月4日の天安門事件追悼集会の参加者も少なくなったという事は、中国共産党の意思が香港内部にどんどん浸透してきているという事です。香港は今までは自由世界との経済的な窓口でしたが、上海や深圳が成長し、香港の地位はぐっと下がっています。共産党は強気で香港に臨めます。

民主派の分裂と言いますが多様な意見の存在は民主主義の根幹をなすものです。ただ、共産党という大なる敵を前にして大同団結しないといけないのでは。本記事を読んで、意見の違いというよりは世代間の人生観の違いかと感じました。年寄りは老い先長くないので「長いものに巻かれよ」式で、若い人は「将来の香港の基本的人権の一つである自由権」が確保されるかどうか心配という所。日本でも、南シナ海の中国の内海化を見ても年寄りは考え方が変わらず(新聞・TVから情報入手しているためと思われる)、集団的自衛権に反対している人が多い。若い人はいろんな媒体から情報入手できるので、年寄りよりは自分の頭で判断できるのではないかと思います。

共産党というか左翼の人間は、どの国であれ、平気で嘘がつけれる人達です。また虐殺が得意です。毛沢東、スターリン、ヒットラー(国家社会主義ドイツ労働者党)が御三家です。そこにポルポトも加わります。左翼の言うことは疑ってかかった方が良いです。

記事

「今年は明らかに人が少ない…昨年はもちろん、2年前に参加した時でさえもっと混んでいて、身動きもできないほどだったのに…」

 6月4日夜、香港島で最大の公園であるヴィクトリアパークにやってきた香港のある男子大学生(21歳)は、困惑気味にこう語った。

(6月4日に香港島のヴィクトリアパークで開かれた天安門事件の追悼集会。13万5000人が参加したが、昨年より25%も減少した。)

( 1人で参加する若い人も少なくなかった)

香港では毎年、6月4日の午後8時からこのヴィクトリアパークで、天安門事件の犠牲者を追悼する大規模集会が開かれる。参加者は配られたろうそくに火をともし、みんなで歌を歌い、黙祷を捧げるなどして天安門事件で命を落とした学生たちの魂を鎮めると同時に中国本土の民主化を願う。

 ただ、天安門事件から26周年となった今年6月4日の香港の追悼集会は、恐れていた通りの展開となってしまった。

参加者が前年比で25%も減少

 追悼集会を主催する香港市民支援愛国民主運動連合会の発表によると、今年の参加者は13万5000人と、昨年の18万人から大幅に減少した。昨年は天安門事件から25周年という節目の年でもあり、参加者数が過去最高を記録したのは自然なことで、その意味で今年の参加者数が減る可能性はあったとも言える。

とはいえ、香港市民の間で、民主化に対する関心が薄れているのかというと、そうではない。2017年以降の香港政府のトップである行政長官を選ぶ選挙の仕組みを巡って、昨年9月末から大学生が中心となって大規模なデモを繰り広げたことをご記憶の読者も多いだろう。

昨年9月にデモが起きたのは、同年8月末に中国の全国人民代表会議(全人代)の常務委員会が、2017年の行政長官選挙に立候補するには、「指名委員会の半数以上の委員の推薦が必要」との条件を盛り込んだからだった。指名委員会は中国共産党の意を受けたメンバーが多数を占めているため、指名委員会の推薦が必要となると、民主主義を求める人物は事実上、排除され立候補できなくなることを意味する。

そのため、一国二制度の下で自治権が認められていたはずと考えていた香港市民の間では、この選挙制度に対する失望が広がった。なかでも、大学生や高校生を中心とした若者たちが強く反発、大学の講義や学校の授業をボイコットし始め、さらに大規模なデモをしたり香港の経済の中心地である中環(セントラル)の一角を占拠したりと、3カ月にもわたって抗議活動を展開したのだった。

 そうした動きを踏まえれば、中国の民主化を求める今年の追悼集会には、昨年の25周年にも増して人が集まってもおかしくはなかったはずだ。だが、今年の追悼集会への参加者数は昨年に比べ25%も減り、2008年以来の少なさとなったという。

民主派が分裂、世代間で認識のギャップも

悼会への参加者数が減った背景には、香港における民主化を求める運動が、ここへ来て変質してきていることが大きい。追悼会場で参加者がなぜ減ったのかを聞くと、みな同じ答えを口にした。

 「分裂です」

 香港の民主化運動が、その求める民主化の内容によって分裂してきているのだという。まず従来から香港民主派を自称してきた一派の主張は、「中国本土の民主化を願い、進めること」だった。若かった頃、大陸で何らかの民主化運動に加わり、そのために政府から厳しい弾圧を受けるなどしたことから、当時はまだ英国統治下にあって自由が保障されていた香港へと逃れてきた人が少なくない。今や年配になったとはいえ、そうした香港人の多くは本土の民主化を心から願っている。だからこそ、中国における民主化を求めて1989年に立ち上がったものの、中国政府による武力弾圧で犠牲になった天安門の学生たちを今も追悼したいとの思いから毎年、6月4日に集っている。

 ところが、学生を中心とした若者たちが求める民主化の主張は異なる。昨年のデモで中核的存在となった香港大学など複数の大学の学生会は今年、天安門事件の追悼集会への不参加を事前に表明していた。中国本土の民主化ではなく、自分たちが住むこの香港の民主化の維持、発展にこそ集中すべきだ、というのが彼らの言い分だ。

 香港の民主化を重視する一派の中には、さらに香港そのものの独立を目指すべきだとして、抗議活動を展開している強硬派グループも誕生している。

 民主化運動が、その求める内容、主張によって分かれていく一方、追悼集会に参加した人たちに話を聞くと、彼らの間にも様々な意見、見方があることがうかがえる。

 友人と参加した18歳のある女子大生は、「(中国本土の民主化を求める)この追悼集会の主旨すべてに賛成しているわけではない。(行政長官の)選挙制度改革について、真の普通選挙の実現をもっと訴えるべきだと思う」と香港の民主化の必要性を主張する。一方、ある53歳の会社経営者の男性は「大陸の民主化こそが私の願いだ」と訴える。

民主派の弱体化は中国政府の思うつぼ

 このような状況に対し、ある中年の会社員男性は「この集会は、天安門事件で犠牲になった人たちを追悼する儀式のはずだ。それが最近、香港の民主化運動をまとめて論じる人が増えてきた。おかしい。本来の姿に戻すべきだ」と不満を漏らす。

年配の世代は自らの過去を振り返って中国本土の民主化を願い、若い世代は自分たちが暮らしていく今後の香港の民主化を願う。今後の行政長官選挙の在り方が明らかになった昨年以降、こうした世代間ギャップが、これまでひとくくりに論じられていた民主派を分裂させている。

 背景には年々、香港への圧力を強めつつある北京政府の動きに対する不安が高まっていることがあるのは間違いない。それを間近に感じているのは若年層だ。2012年、中国共産党は香港政府に対して、中国国民としての愛国心を育む「愛国教育」を導入するよう求めた。教育という仮面をかぶった洗脳には、教師や保護者だけでなく中高生も強く反発、香港の街中で住民も巻き込んだデモを起こし、愛国教育義務化の撤廃に持ち込んだ。

 自分たちがこれからの人生を送る香港の自由が侵されるのであれば、将来に不安を感じるのは当然だろう。しかし、年配者にとっては「若者の抱く将来への不安」を我がことのように理解するのは難しいかもしれない。

 本来、そうした逆風の時にある時こそ市民の一致団結が求められる。それだけに、筆者はこうしたこの世代間ギャップによる民主派の分裂という展開を恐れていた。

民主化を求める運動が分裂すればするほど、1つの抵抗勢力としては弱体化する。それは中国政府にとっては思うつぼだろう。香港市民が懸念する急速な中国化。民主派の分裂は、自らこの流れを早めることになるからだ。

6/8ダイヤモンドオンライン 北野幸伯『「AIIB」後~米国の逆襲で、激変する日米中ロのパワーバランス』記事について

一昨日のBS日テレ「深層News」に宮家邦彦と朱建栄が出演していました。朱建栄は7ケ月も上海で監禁されたこともあって、中国の肩を持つ発言ばかり。(以前もそうでしたが)。朱の発言は他の中国人同様論理がムチャクチャ。中国にとって都合の悪い話になるとすぐ論理のすり替えをする。「中国だけが埋立している訳でない」(中国がやったから対抗上か、先制防御の意味だろうに。規模が違いすぎるし、中国と違って将来ミサイル基地にとか考えていないでしょう)、「戦争中は西南諸島(西沙諸島と南沙諸島?)は台湾が統治していた」(台湾と言う国はなかった。あるとすれば日本の統治だが、戦争中にそんな島が価値があったかどうか)とか。宮家が「日本の外務省は中国が領有権を主張するのであればキチンと説明してくださいと言っている」と言ってもそれは説明できるはずもない。盗み・パクリの得意な民族ですから。証拠があれば中国のことですから我先に出すでしょう。でっち上げてでも。それが出て来ないのはないからです。日本の尖閣領有を認めた中国の地図を日本が出した時に中国は何と言いましたか。「百枚、千枚でも出せる」と大見得を切ったにも拘わらず出して来ないではないですか。ないからです。言ったもの勝ちの発想でしょう。そう言わないとクビでしょうから。証拠のあるなしは関係なし。中国が如何に法治国家でないかという事です。法治国家であれば、挙証責任は訴える側にあり、明確な証拠が必要です。韓国の慰安婦のように証言だけで断罪するのでは法治国家とは言えません。明確な証拠が必要です。

日本は日米同盟機軸でしか生きる道はありません。核保有が理想ですが、時間的余裕がなければ、米国と早くニュークリアシエアリングすべきです。中国は基本的に「騙す人が賢く、騙される人が馬鹿」という価値観の民族ですから、まともに付き合ったら経済的な損失はおろか精神的にスポイルされます。中韓のような人たちと付き合えば発想が彼らのようになるでしょう。日本人は敬して遠ざけるべき。天心、新渡戸、鈴木大拙の英語で書いた本を読んでみると良いです。彼らが白人に英語で日本人の立場を主張していますので。ゴマスリ日本人とは志の高さと美に対する意識の違いを感じさせてくれます。

記事

AIIB事件」で世界的に孤立した米国が、中国に逆襲をはじめている。一方、これまで「主敵」だったロシアとの和解に乗り出した。一方、「尖閣国有化」以降、戦後最悪だった日中関係にも、変化がみられる。

コロコロ変わり複雑! 大国間の関係は今、どうなっているのか?
 

「AIIB事件」以降、米国の対中戦略が大きく変わってきた。南シナ海における「埋め立て問題」で中国を激しく非難するようになったのだ。一方で、これまで最大の敵だったロシアとの和解に乗り出した。

 対する中国政府は、日本からの訪中団を大歓迎し、「日中和解」を演出した。“昨日の敵は今日の友”を地で行くほどにコロコロ変わり、複雑にみえる大国間の関係。いったい今、世界で何が起こっているのだろうか?


 2015年3月に起こった「AIIB事件」は、後に「歴史的」と呼ばれることになるだろう(あるいは、既にそう呼ばれている)。

 3月12日、もっとも緊密な同盟国であるはずの英国は、米国の制止をふりきり、中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を決めた。その後、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国、イスラエルなども続々と参加を表明し、米国に大きな衝撃を与えた。


 この問題の本質は、「親米国家群が米国の命令を無視し、中国の誘いに乗ったこと」である。「誰もいうことを聞かない国」を、はたして「覇権国家」と呼ぶことができるだろうか?「AIIB事件」は、「米国の支配力衰退と、中国の影響力増大」を示す歴史的な出来事だったのだ。しかし、米国は、あっさり覇権を手放すほど落ちぶれていない。



「米国は必ず『リベンジ』に動くだろう」。筆者はそう確信し、米国の過去の行動から予想される「リベンジ戦略」について書いた(詳細はこちらの記事を参照)。そして米国は、はやくも予測通りの行動をとりはじめている。


「南シナ海埋め立て問題」で 緊迫する米中関係

 もっともわかりやすいのは、米中関係が急に冷え込んできたことだろう。これは、特に世界情勢を追っていない人でも感じているはずだ。表向きの理由は、「中国が南シナ海で大規模な埋め立てをしていること」である。たとえば、米国のカーター国防相は5月27日、中国の行動を厳しく批判した。(太線筆者、以下同じ)



<米国防長官、中国を非難…「地域の総意乱す」
読売新聞 5月28日(木)12時6分配信

【ワシントン=井上陽子】カーター米国防長官は27日、ハワイ州で行われた米太平洋軍の司令官交代式で演説し、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で岩礁埋め立てや施設建設を進める中国の動きについて「中国は、国際規範や、力によらない紛争解決を求める地域の総意を乱している」と強く非難した。>



 そして、数ヵ月前には想像もできなかったことだが、「米中軍事衝突」を懸念する声が、あちこちで聞かれるようになった。



<米中激突なら1週間で米軍が制圧 中国艦隊は魚雷の餌食 緊迫の南シナ海
夕刊フジ 5月28日(木)16時56分配信


 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺の領有権をめぐり、米中両国間で緊張が走っている。

 軍事力を背景に覇権拡大を進める習近平国家主席率いる中国を牽制するべく、米国のオバマ政権が同海域への米軍派遣を示唆したが、中国側は対抗措置も辞さない構えで偶発的な軍事衝突も排除できない状況だ。>

「中国が、他国と領有権問題を抱える場所での埋め立てをやめないから米国が怒っているのだ」というのは、「表向き」の理由に過ぎない。

 なぜなら、この問題は以前から存在していたからだ。中国が本格的に埋め立てを開始したのは、13年である。そして14年5月、フィリピン政府は、ミャンマーで開かれたアセアン首脳会議の場でこの問題を提起し、中国に抗議した(フィリピンは、中国が埋め立てを進める場所は、「自国領」と主張している)。


 つまり、この問題は、1年前には全世界の知るところとなっていた。ところが、米国はごく最近まで、この問題を事実上「無視」「放置」していた。米国が、急に中国の動きを大々的に非難しはじめたのは、「裏の理由」(=AIIB事件)があるからだろう。


中ロ両方は敵に回せない! 突如ロシアとの和解に動き出した米国

 前回の記事で筆者は、米国が中国にリベンジするにあたって、「ロシアと和解する可能性がある」
と書いた。米国はこれまで、「敵に勝つために、他の敵と組む」ことを繰り返してきたからだ。

 たとえば、米国は第2次大戦時、日本とナチスドイツに勝つために、「米帝打倒」を国是とするソ連と組んだ。戦後は、敵だった日本とドイツ(西ドイツ)と組み、ソ連と対峙した。1970年代にソ連の力が増してくると、米国は中国との和解に動いた。


 こういう過去の行動を見れば、米国がロシアと組む可能性は否定できない。誰がどう考えても、中国・ロシアを同時に敵に回すより、ロシアを味方につけて(少なくとも中立化させて)中国と戦うほうがいい。では、「AIIB」後、米ロ関係にどんな変化が生じているのだろうか?

 米国のケリー国務長官は5月12日、ロシアを「電撃」訪問した。


<露訪問の米国務長官、ウクライナ停戦履行なら「制裁解除あり得る」
AFP=時事 5月13日(水)7時13分配信


【AFP=時事】米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は12日、ロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とそれぞれ4時間、合わせて8時間に及ぶ会談を行った。

 その後ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>


 引用部分は短いが、非常に重要な内容を含んでいる。まず、ケリー(そして、ケリー級の政府高官)のロシア訪問は、「クリミア併合後」はじめてだった。つまり、「ケリーが来た」こと自体が、ロシアにとっては「大事件」だった。


 そして彼は、プーチンと4時間、ラブロフ外相と4時間、計8時間も会談している(テーマは、シリア、イラン、ウクライナ問題だったと発表されている)。

 個人でも会社でもそうだが、仲良くしたくない相手とは、長く話さないものだ。「長話」はつまり、米国側もロシア側も「仲直りしたい」という意思があるということだろう。そして、ケリーは決定的なことをいった。


<ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>



「制裁解除もあり得る!」これも、「AIIB事件」前には、想像できなかった事態である。ここには書かれていないが、ケリーはこの訪問中、「クリミア問題」を一度も口にしなかったという。つまり「クリミアのロシア領有権を認めることはできないが、『黙認』で『手打ち』にしたい」ということではないだろうか?


 このように米国は、ロシアとの和解に動いている。理由は、中国との戦いに集中するためだろう(ちなみに、米国は、中東最大の仮想敵イランとの和解にも動き、イスラエルから激しく非難されている)。

中国が日本に擦り寄る本音は やはり「日米分断」


 もう一つ、「AIIB」後の目に見える変化について触れておこう。そう、中国が日本に「擦り寄ってきた」件だ。習近平は5月23日、中国を訪問中の日本使節団の前に姿を現し、日本に「ラブコール」を送った。

<「朋(とも)あり遠方より来る、また楽しからずや。
3000人余りの日本各界の方々が遠路はるばるいらっしゃり、友好交流大会を開催する運びになった。われわれが大変喜びとするところだ」


 習氏は23日夜、北京の人民大会堂で開かれた交流式典に突然姿を見せ、孔子の言葉を引用しながら笑顔であいさつした。


 会場では二階氏とも面会し、安倍首相の親書を受け取り、「戦略的互恵関係を進めていけば、日中関係はいい結果になると期待している。安倍首相によろしく伝えてほしい」と語った。>(夕刊フジ 5月25日)

 これは、なんだろうか?これまで何度も書いてきたが、中国は、12年9月の「尖閣国有化」をうけて「反日統一共同戦線戦略」を作成した。その骨子は、


1.中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」を作る。


2.日本には、北方4島、竹島、そして「沖縄」の領有権もない。


3.「反日統一共同戦線」には、「米国」も参加させる。

(驚愕の「対日戦略」の全貌はこちらの記事で詳しく解説している)。

 

 この戦略に沿って中国は、全世界、特に米国で、「反日プロパガンダ」を大々的に展開してきた。その効果は十分あり、13年12月26日に安倍総理が靖国を参拝すると、世界的「大バッシング」が起こった(小泉総理は、在任中6回参拝したが、騒いだのは中韓だけだった)。

 中国の「日米分断作戦」は成功しつつあったが、「AIIB事件」と安倍総理の「希望の同盟」演説で、日米関係は逆に「とても良好」になってしまった。

 では、今中国が日本に接近する理由はなんだろう?実をいうと「日米分断戦略」は、今も変わっていない。中国はこれまで「反日プロパガンダ」で、日米分断をはかってきたが、挫折した。


 では、「日中友好」を進めるとどうなるのだろう?実は、これも「日米分断」になる。たとえば、日中関係は、民主党・鳩山−小沢時代にもっともよかった。その時、日米関係は「最悪」だったのである。日本政府は、「反日統一共同戦線」戦略を常に忘れず、「中国が接近してくるのは『日米を分断するため』」ということを、はっきり認識しておく必要がある。


米国を信頼していいのか?
日本はどう動くべきなのか


 今、よほど鈍感な人でないかぎり、「米中関係が急に悪化してきた」ことに気がついている。そして、多くの「反米論者」は、日本が米国につくことに反対で、「米国はハシゴを外す!」と警告している。

 彼らの主張は「日本が米国を信じて中国と争っていると、米国は、突然中国と和解し、日本は単独で中国と戦うハメになり、ひどい目に遭う」ということ。要するに米国は「日本と中国を戦わせ、自分だけ漁夫の利を得ようとする」というのだ。

 これは「まっとうな指摘」と言わざるを得ない。われわれは、大国が「敵」と戦う戦略には、大きく2つあることを知っておく必要がある。

1.バランシング(直接均衡)
…これは、たとえば米国自身が「主人公」になって、中国の脅威と戦うのである。

2.バックパッシング(責任転嫁)…
これは、「他国と中国を戦わせる」のだ。もっとわかりやすくいえば、「米国は、日本と中国を戦わせる」のだ。

  そして、事実をいえば、どんな大国でも「敵国と直接対決するより、他の国に戦わせたほうがいい(つまり、2のバックパッシングの方がいい)」と考える。リアリストの世界的権威ミアシャイマー・シカゴ大学教授は言う。



<事実、大国はバランシングよりも、バックパッシングの方を好む。
なぜなら責任転嫁の方が、一般的に国防を「安上がり」にできるからだ。>
(大国政治の悲劇 229p)



「米国が直接、中国と戦うより、日本に戦わせたほうが安上がり」。ひどい話だが、これが世界の現実である。

 そして、われわれは、「バックパッシング」の例を知っている。たとえば、03年の「バラ革命」で、親米反ロ政権ができたジョージア(旧名グルジア)。この小国は08年8月、ロシアと戦争し、大敗した。そして、「アプハジア」「南オセチア」、2つの自治体を事実上失った(ロシアは、この2自治体を「独立国家」と承認した)
。

 もう1つの例は、ウクライナである。14年2月の革命で、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が打倒され誕生した、親欧米・反ロ新政権。オバマ大統領は最近、CNNのインタビューで、ウクライナ革命が「米国の仲介で実現した」ことを認めた(その映像は、ここで見ることができる)。

 つまり、ウクライナは、米国に利用され、ロシアと戦うハメになったのだ。結果、ポロシェンコ政権はクリミアだけでなく、ドネツク州、ルガンスク州も事実上失ってしまった。これらの例から、日本は「米国に利用されること」には、常に敏感であるべきだ。

では、日本はどうふるまうべきなのか?「大原則」は2つである。

1.日本は、安倍総理の「米議会演説」路線で、ますます米国との関係を強化していくべきである。結局、日米同盟が強固であれば、中国は尖閣・沖縄を奪えないのだから。

2.しかし、中国を挑発したり、過度の批判はしない。これは「バックパッシング」、つまり米国にハシゴを外され、(米国抜きの)「日中戦争」になるのを防ぐためである。

 中国を批判する際は、「米国の言葉を繰り返す」程度にとどめよう。日本は、米国に利用されたグルジアやウクライナ、中国に利用されている韓国のような立場に陥ってはならない。

 日本が目指すのは、あくまで「米国を中心とする中国包囲網」の形成である。だから、米国が先頭に立って中国の「南シナ海埋め立て」を非難している現状は、日本にとって、とても良いのだ(もちろん、油断は禁物だが)。