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『ロシア疑惑は「推定無罪」、司法妨害は限りなく「灰色」』(4/24日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『米国民がみな“惚れる”同性愛市長、大統領選出馬 ミレニアム世代の「神童」が巻き起こす新たな旋風』(4/24JBプレス 高濱賛)について
4/22阿波羅新聞網<中共大使:不懂普通话还谈什么人权=中共の大使:北京語を話せないで何の人権を話すというのか?>駐カザフスタン中国大使の張霄は驚くべきことに、「北京語を話せないで何の人権を話すというのか」と新疆人を叱責した。「教育訓練センターは監獄ではなく、“社会全体のための学校”であり、この学校の唯一の目的は“人々を教育し、善人が悪者になることを防ぐ”ことである。中国人として、国の共通の言葉と文字を学ばなければならない。それで初めて“善人”と言える。現代人にとって、国の共通言語を読み書きできなければ、どんな人権があるというのか」と。
流石に漢人だけあって臆面もなく傲慢な所を見せています。それなら新疆を独立させれば良いのに。人種も違うし、宗教、文化、言語も違う訳ですから。そもそもで言えば中共党員に人権の概念が理解できているとは思えませんが。

https://www.aboluowang.com/2019/0422/1278925.html
4/22阿波羅新聞網<北京最差 中国经济反弹是假象 首季就业是6年来最严峻 白宫:社会主义经济模式如暴君=北京は最悪 中国経済の回復は上辺だけ 第1四半期の雇用は6年間で最も厳しい WH:社会主義経済モデルは暴君と同じ>中国大陸の労働市場はここ数年で最悪の状況になり、2019年の第1四半期の雇用景気指数は5年ぶりに悪い数字を記録し、中国の景気回復は上辺だけである。 中国の製造業は中国政府から巨額の補助金を受けているため、液晶ディスプレイ(LCD)パネルの価格は下落して価格競争に突入し、台湾と韓国の製造業者を対抗させなくしている。最近米国のメディアからインタビューを受けたWH顧問のクドローは、「社会主義経済モデルは“専横で暴君”のようなものである」と述べた。
RFIの報道では、「中共との交渉に参加していたクドローは交渉から離れ、米国の保守メディアHill.TVとのインタビューで次のように述べている。 “我々は相手を怒らせるつもりはない。しかし、社会主義の高度に集中した計画経済は根本的にうまくいかない。もちろんソ連を忘れることはない。ベネズエラも見れば良い。歴史、中央の計画経済、集権主義を振り返ってみよう。同じような政治的、経済的モデルは専制的、暴君的で、貧困が造られるだけだ」と。
米国も早く中国大陸から中共を無くせばよいのに。ベネズエラと中共と一緒に金融制裁をかければ良いでしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0422/1278910.html
4/23日経<欧米の対中政策、今は団結モード(The Economist)>ある外交官は「「西側諸国はそのリーダーと一緒に戦う準備ができている。だが、そんな米大統領は今、存在しない」と言っているようですが、トランプの表の顔だけを見ているのでは。裏では中共打倒で自由主義国と握っていると思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44035990S9A420C1TCR000/
高濱氏の記事を読んでいつも感じることは、トランプ憎しで凝り固まっていることです。自分が2016年大統領選で予想を外したせいか、民主党の影響を受けたメデイアや民主党員からの情報によるのか知りませんが。左翼はどの国でも共通するようで、日本でもモリカケ騒動で無駄な時間とコストをかけました。人権を尊重するなら冤罪にもっと敏感になれと言いたい。悪魔の証明はできないのですから。
今回のロシアゲート事件は、トランプは少なくとも“推定無罪”なので無罪として打ち切るべき。本来は民主党やデイープステイトの犯罪であるクリントン財団やステイール文書について捜査すべきと思うのですが。まあ、それよりは力を合わせて中共打倒に動いた方が良い気がします。
ブティジェッジ氏が同性愛者であっても仕事ができればそれでよいと思います。ただオバマに似た所がある印象です。頭脳明晰でクイックレスポンスするのは口先だけ、オバマのように優柔不断で決断できず、無能の烙印を押されるのでは。大統領のスピーチライターの方が向いているかもしれません。
小生はLGBTであろうと生き方は自由で良いと思っていますが、法律上の配偶者にするのは反対です。憲法24条の問題もあるし、社会の価値観がずれるのを危惧します。異端は異端のままで生きれば良いのでは。人は人、自分は自分、別に国が認めなくても良いと思います。
日経ビジネスオンライン記事

モラー特別検察官(右)が作成した、ロシア疑惑捜査に関する最終報告書の全文が18日公表された。448ページに及ぶ(写真:ロイター/アフロ)
ロバート・モラー特別検察官が22カ月にわたり進めた、ロシア疑惑捜査に関する最終報告書の全文 (448ページ)が4月18日公表された。報告書は米下院司法委員会(ジェロルド・ナドラー委員長)に提出された。
捜査結果の概要は、モラー特別検察官の上司であるウィリアム・バー司法長官が3月24日、下院司法委員長に提出し明らかになっている。これによると、ロシア疑惑に関しては、ドナルド・トランプ大統領とロシア側との間に接触も共謀もなかったと結論づけた。4月18日に公表された報告書全文にも(当然のことだが)「大統領はシロ」と明記されていた。
トランプ大統領はツイッターで「共謀も司法妨害もなかった。左翼民主党よ、ゲーム・オーバー(Game Over)だ」と勝利宣言した。4月14日に再開したテレビの超人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)第8部」のレタリングをもじり、無罪を一般大衆向けにことさらアピールしていた。
だが、これはぬか喜びというものだ。確かにロシア疑惑に関してはシロが確定したが、疑惑捜査の過程で同大統領が妨害行為を働いていたかどうか、報告書を読む限り、まったくのシロとは言い切れないからだ。限りなく「灰色」といった印象を受ける。
公表に先立ち、バー司法長官が記者会見した。同司法長官は、トランプ大統領が捜査に介入したかどうかについてこう説明した。「妨害する不正な意図は認められない。トランプ氏の行為が犯罪であり、起訴するに値するか否かの判断を委ねられたが、自分は証拠不十分との結論に達した」
いわば「推定無罪」というわけだ。
さらに司法妨害容疑についてはこう述べた。
「トランプ大統領による司法妨害の疑惑について10件の事例(episodes)があった。モラー特別検察官はこれについて訴追事案に値するとの判断(prosecutorial judgement)はしなかった。また自分とロッド・ローゼンスタイン司法副長官は同大統領が違法行為を犯したかどうかを立証するには証拠不十分との結論に達した(司法妨害に関して、トランプ大統領の言動に)違法性があったかどうかについての法的解釈をめぐっては、自分とモラー特別検察官との間で意見の相違」があった。
トランプ大統領の「司法妨害」容疑事案はなんと10件
民主党や主要メディアが噛みついたのは、この「10件の事例」だ。バー司法長官は、これらが訴追に値するか否かについては、バー長官とローゼンスタイン副長官との間でも意見対立があったことを認めている。
メディアは当然、この10件を一つひとつ精査するだろうし、下院司法委員会はもとより関係する他の委員会も集中的に解明するだろう。同大統領による司法妨害疑惑の解明を続ける下院司法委員会は18日、モラー特別検察官の証人喚問を正式に要請した。バー司法長官は記者団の質問に、「モラー特別検察官の議会証言には反対しない」と答えている。ホワイトハウスと事前にすり合わせたうえでの決定だろう。ここまではすべてシナリオ通りと考えられる。
報告書全文の公表を受けて、トランプ大統領が司法妨害したか否かの解明は、民主党が過半数を握る下院に委ねられた。
下院では司法委員会以外に、査察・政府改革委員会などが一斉に動き出している。これらの委員会もモラー特別検察官の証人喚問を要請するだろう。トランプ大統領の長男ジュニア氏や娘婿ジャレッド・クシュナー上級顧問らも証人喚問を余儀なくされる。
ロシア疑惑を取材してきた、主要紙のベテラン記者は、現状について筆者にこう解説する。「すべては2020年の米大統領選に向けた民主党と共和党の前哨戦だ。民主党は司法妨害容疑を武器にトランプ大統領を攻め立てるだろう。ナンシー・ペロシ下院議長ら民主党首脳陣は、弾劾決議案を出しても共和党の一部が賛成しない限り可決成立は難しいことを十分理解している。トランプ共和党を打ち負かす確実な方法は20年の大統領選で民主党が勝つ以外にないと判断している」
「そのためには各委員会を舞台にトランプ大統領の容疑についてできるだけ長く聴聞会を続ける。20年大統領選でトランプ再選を阻むため、トランプ氏に徹底的にダメージを与えるのが狙いだ」
「トランプ大統領が関わる不正の疑惑はロシア疑惑だけではない。脱税疑惑、公選法違反、親族による権力乱用容疑などオンパレードだ。これらについても議会は動くだろう。なによりもトランプ氏が恐れるのは、連邦検察局ニューヨーク州南部地区地検の捜査だ。トランプ一族が営利活動を行っているマンハッタン地区を管轄する最強の検事集団だ」
ついに逮捕されたアサンジ氏もFBIの重要参考人
トランプ大統領は、ロシア疑惑をめぐる自らの「容疑」はこれで完全に晴れたと胸を張っている。だが、政治サイトのアクシオス(Axios)は、これに反論する。
ロシア疑惑ですら、同大統領の「容疑」はまだ消えていないというのだ。次のような事案を列挙している。
1)マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)が駐米ロシア大使と会い、対ロシア経済制裁について協議したが、トランプ大統領はそのことを事前に知っていたのかどうか。事前に知らなかったとすればいつそのことを知らされたのか。
2)ヒラリー・クリントン民主党大統領候補(当時)や民主党全国委員会の内部文書を内部告発・情報漏洩サイトの「ウィキリークス」が流したことをトランプ選対委員会の責任者、ロジャー・ストーン氏ら幹部はいつ知ったのか。トランプ大統領はいつ知ったのか。
3)「ウィキリークス」は漏洩した民主党全国委員会の内部文書をどうやって入手したのか。ロシア側が「ウィキリークス」に流したのか。それとも「ウィキリークス」発行人のジュリアン・アサンジ氏が独自に入手したのか。
(同氏は亡命先のエクアドル駐英大使館から追放された直後に英国警察に逮捕された。米FBIは身柄引き渡しを要求しており、ロシア疑惑捜査における重要参考人とする考え。公判が始まるとして、いつから、どのくらい続くのか。20年の大統領選とのタイミングとの関連で米政治・社会にインパクトを与えるのは必至だ)
(“1 big thing: What Mueller witness expect,” Axios AM, 4/18/2019)
モラー特別検察官の最終報告書が公表された。これによってトランプ大統領をすっぽりと包んできた暗雲の一部が晴れた。だが、初夏の透き通るような青空が出現したわけではない。
JBプレス記事

米大統領選に立候補したピート・ブティジェッジ市長(左)とパートナーのチェステン氏
泡沫候補から一気に「ビッグスリー」へ
「37歳 同性愛市長が出馬表明、支持率急上昇で注目」
こんなニュースが全米を駆け巡っている。名前は「Pete Buttigieg」(BOO-tih-jej)。
「何て読むの?」「このへんてこりんな名前?」「いったい、何者か?」
37歳はドナルド・トランプ大統領の長女、イバンカ・クシュナー大統領補佐官と同い年。娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問より1歳若い。
トランプ大統領の「懐刀」、マイケル・ミラー大統領上級顧問兼首席スピーチライター(33)より4歳年上だ。
ミレニアム世代などまだまだだと、ベイビーブーマー世代が小ばかにしているうちにミレニアム世代は着実に権力の中枢に入り込み、権力者の座を狙うところまで来ているのだ。
「どうして、同性愛者が市長になれたのか?」「地方都市の市長がどうして大統領を狙うの?」
「世論調査の支持率が急上昇しているのはなぜか?」「民主党予備選ではどこまでやれるんだろう?」
中西部インディアナ州サウスベンド市*1の市長、ピート・ブティジェッジ氏が4月15日、大統領選民主党予備選に正式立候補した後、全米がざわめいた。
*1=インディアナ州北部の人口10万人の小都市(人口規模では静岡県三島市や岐阜県多治見市と同じ)。隣接市にはカトリック系の名門校、ノートルダム大学がある。人口の60.5%が白人、26.6%が黒人、ヒスパニック系13%。1968年以降、市長は民主党が独占、市議会も民主党が過半数を占めている。自動車メーカーのスチュードベイカー工場があったが、63年に閉鎖され、活気を失った。その後、ハニーウェル・エアロスペースやボッシュなどの部品工場が進出している。
民主党大統領候補指名を争う候補はまだ正式に立候補表明していない人を含め4月17日現在17人。まだ増えそうだ。
(世論調査の支持率トップのジョー・バイデン前副大統領はまだ立候補していない)
そうした中で2月の時点では1%前後だったブティジェッジ氏の支持率が急上昇。
ハイデン氏、バーニー・サンダース上院議員のトップ争いに続く第2陣、ベト・オルーク下院議員、カマラ・ハリス上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員に肉薄する勢いなのだ。
予備選のスタートを切るアイオワ州(党員集会)やニューハンプシャー州ではバイデン、サンダース両氏と並ぶ「ビッグスリー」入りしている。
軍資金(政治資金)は今年第1四半期だけで710万ドルを集めている。
立候補者中トップはサンダース上院議員の2000万7000ドル、ウォーレン氏は1605万ドルで、これには及ばないが、中央政界では無名の候補者としては異例の集金力だ。
名物キャスターも脱帽する発信力と頭脳回転力

まず、この動画を見ていただきたい。
ブティジェッジ氏に注目するテレビ各局は先を争って同氏との単独インタビューを行っている。そのうちの一つだ。
https://www.youtube.com/watch?v=4Re5OyMdtQE
相手はMSNBCのベテラン。ジャーナリストのローレンス・オドンネル氏。同氏の矢継ぎ早な質問にブティジェッジ氏はメモ一つ見ることなく、立て板に水のような回答。
内政、外交、経済、何でもござれだ。
同性愛者だという先入観から頭から嫌う人もいるだろう。だが、オドンネル氏の鋭い質問に対する受け答えを聞いているうちにそうした先入観は消えていくはずだ。
端正な顔つき。トレードマークは白いワイシャツにネクタイ。袖を二の腕のところまでたくし上げている(保守系フォックス・ニュースとのインタビューの時だけジャケットを着ていた)。
目が煌めいている。頭の良い証拠だろう。
インタビューアは冒頭、みな名前を「ブティジェッジ」と紹介して、「こう発音していいんでしたっけ」と聞く。
英語圏では聞きなれない名前は、父親が地中海の小国マルタ出身だからだ。
幼い頃から「神童」と言われた。フランス語、ドイツ語、スウェーデン語など8か国語を操る。ハーバード大学では歴史学と文学を専攻している。
生まれも育ちもサウスベンド。地元高校を卒業するとハーバード大学へ。ハーバード大学の卒論は『ピューリタニズムは米外交にいかなる影響を与えたか』だった。
在学中に米海軍に志願入隊し、予備役としてアフガニスタン戦争に情報将校として従軍している*2。
その後ローズ奨学生としてオックスフォード大学(ペムブローク・カレッジ)に留学、帰国後マネージメント戦略コンサルタントとしてマッキンゼーで働いている。
*2=米国では従軍するということは「英雄」になる重要な要素だ。直近の歴代大統領で従軍したのはジョージ・ブッシュ第43代大統領(父)が最後だ。トランプ大統領などは兵役逃れしている。
元々、政治に強い関心を持っていた。
28歳の時にインディアナ州財務長官選に出馬するが落選。29歳の時にサウスベンド市長選に立候補し、見事当選。現在2期目だ。2017年には民主党全国委員長のポストを狙ったが対抗馬に敗れている。
ベイビーブーマーの3大統領を上回る知力と発言力
このインタビューを聞いた筆者の知人2人はこうコメントしている。
まず無党派層の中年白人男性(シカゴ在住)はこう語る。
「ここ2年、あの語彙不足で乱暴なトランプ大統領の発言に慣れっこになっていた私にとっては、久々に聞くブティジェッジ氏の知的な英語と回転の速い受け答えには驚いた」
「オバマ氏を除く直近の3人の大統領(クリントン、ブッシュ、トランプ)は1947年生まれの72歳。いわゆるベイビーブーマー世代だ。ブティジェッジ氏はミレニアム世代。ミレニアム世代政治家の方が頭が良いことの証明かね(笑)」
次にバラク・オバマ前大統領の熱狂的支持者だった女性ジャーナリスト(ロサンゼルス在住)はこう感想を述べる。
「MSNBCを見た後、ブティジェッジのことが気になりだしたわ。彼のインタビューを手あたり次第に見てしまった。View、Ellen Show、Bill Mayer、Stephen Colbert*3 CNN、フォックス・ニュースまで2時間ぶっ通しで(ユーチューブで)見たわ」
*3=テレビ各局の最も視聴率の高いインタビュー番組。日本で言えばNHKの夜7時や9時のニュース、テレビ朝日の報道ステーションに相当する。

「フォックス・ニュースのインタビューを見た保守層の視聴者からも好意的なコメントが出てるなんて、驚きだわ」
「何人かは、彼はモデレートで頭脳明晰かつ正直。しかも軍歴もある。こういう人物が米国をまとめられそうだと言っていた」
「民主党候補は17人もいて迷っていたけど、私は彼に1票入れるわ」
ブティジェッジ氏の地元新聞の編集者はちょっと誇らしげに筆者にこうコメントしている。
「わが町の市長に全米は驚いているね」
「保守派もリベラル派も同性愛嫌いもエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義者)も南部人も東部人も頭脳明晰なブティジェッジ氏の発言に舌を巻いている」
「わが市長は、話術だけで今や有名人になってしまった。スタートはオバマ氏と同じだね」
「同性愛者は非生産的」でも「違憲」でもない
いったい37歳の同性愛市長が、なぜ2020年大統領選に立候補したのか。それよりも何よりも、米国では同性愛者でも市長になれるのか。
折しも日本では、同性同士の結婚を認めないのは憲法違反だ、と同性カップルが国に賠償を求める裁判が4月15日東京地方裁判所で始まった。
政治家の中には「同性愛者は非生産的だ」といった意見を堂々と唱える人さえいる。
同性愛者の政治活動にも詳しいは米シンクタンクの上級研究員は筆者にこう解説する。
「ここ10年、米国民の同性愛者=LGBT(同性愛、性向同一性障害などの性的指向や性自認などの性的少数者)に対する態度は急速に変化してきている」
「特に結婚とか、軍隊などでは顕著だ。州や市町村によってもまだ濃淡があるが以前に比べると公的偏見や差別は和らいできた」
「その傾向は無論年代差がある。同性愛者を全面的に認知するミレニアム世代やX世代とベイビーブーマー世代以前の世代とは格差がある」
「地域差もある。寛大な東部、西部に比べ、南部、特にディープサウス(深南部)とでは大違いだ。また宗教、宗派でも濃淡がある」
「ブティジェッジ氏が市長を務めているサウスベンドは保守的なインディアナ州でも例外的に同性愛が社会問題になっていない小都市だ」
「近隣にはノートルダム大学などカトリック系大学が3つある学園都市だ。学園都市は概してリベラルだ。同性愛者を受け入れる環境が出来上がっている」
「同性愛市長だけではない。全米50州には同性愛者だと公言して公職に就いている人は多い。46州では連邦議会議員にもなっている」
「バイセクシャル知事も1人いたし、同性愛知事も一人いる。今のところ、正副大統領や最高裁判事に同性愛だと公言した人はいないが、ブティジェッジ氏が最初の同性愛者大統領候補になった」
「同性愛者が悪いかどうかは創造主に聞け」
「こうした背景には同性愛主義者だろうとなかろうと、職場で実力を発揮する人物ならその人の私生活がどうであろうと問題視しないという米国人気質が従来からの宗教的な規律を跳ね除けてきたのだと思う」
「誰と同棲しようとしまいと、自分の生活に悪影響を与えないのであれば関係ないという米国人が増えてきた。むろん、聖書に書かれていることを一字一句信ずるエバンジェリカルズは同性愛など一切受け入れない」
ブティジェッジ氏が同性愛者だと公言したのは2015年市長選の最中だった。同棲している男性との関係を反対派から問題視されることを懸念し、自らカミングアウトしたのだ。
当時インディア州知事だったのはマイケル・ペンス現副大統領(59)だった。敬虔なエバンジェリカルズ系カトリック教徒だ(エバンジェリカルズは大半がプロテスタントだがカトリック教徒の中にもいる)。
ペンス氏がブティジェッジ氏が同性愛者であることを激しく批判した。これに対してブティジェッジ氏はこう反論した。
「私が同性愛者であることをペンス氏が批判し、言い争いをするのは、私の問題ではなく、彼の問題だ。言い争うのであれば(私を同性愛者として創りたもうた)創造主とやってほしい」
ブティジェッジ氏は自らを敬虔なクリスチャン(エピスコパル=聖公会)であるとも公言している(聖公会は同性愛者が聖職者になることを認めている)。
「国家安全保障は国境の壁などでは守れない」
37歳のブティジェッジ氏がなぜ2020年大統領選に出馬したのか。またよって立つ政治理念、政策は何か。
4月3日、ボストンにある名門校ノースイースタン大学での対話集会で詳細に語っている。司会者との質疑の後は会場に集まった数百人のうち手を挙げた10人近くの参加者と一問一答。
どんな質問にも真正面から直球を投げ返した。最後には参加者がスタンディングオベーションでブティジェッジ氏を見送った。
その時の動画がこれである。
https://www.youtube.com/watch?v=g_J0i79uKBY
質疑応答でブティジェッジ氏はなぜ、いま大統領を目指すのかについてこう述べている。
「私は今37歳だ。2057年には今の大統領と同じ年になる。それまでに成し遂げねばならないことが山積みだ。それまで手をこまぬいている余裕はない」
「最優先課題は貧富の格差を招いている税負担の問題、地球温暖化、教育、民主主義がある」
「地球温暖化は昨日解決の道筋を立てるべき課題だった。地球温暖化などあるとかないとか言っている話ではない。私の市では大洪水という地球温暖化に直結する惨事が起きている」
「教育は、高等教育を受けるためのカネの問題だ。教育水準が米国民の生活水準を決める要素になっている以上、国民の教育費、授業料負担について国がどうカネを出すのかを変革することは直近の問題だ」
(公立大学授業料・ローンについては卒業後公的に働くなどの条件を付けることを提案している)
「民主主義は今危機に直面している。いい例が大統領が一般有権者数ではなく、選挙人制度によって決まっていること。最高裁が完全に党派化しまっていることだ」
(選挙人制度廃止、最高裁判事枠の拡大などを提唱)
「国家安全保障問題はただ単に外敵から国を守るために国境に『壁』を張り巡らすだけでは解決しない。サイバー攻撃からどう国を守るのか」
通商問題にしてもグローバル化に逆行するような政策をとるべきではない。グローバル化は避けて通れない。そうした流れの中で他国といかにフェアな協定を結び、国益を守るか、得た利益をどうやってサウスベンドのような小都市に住む人たちにも配分していくのか」
「米国は偉大な国家だ。だが過去の偉大さに戻るわけにはいかない。新たな偉大さを求めて前進するしかない」
党派色むきだしオルークvs.超党派懐柔ブティジェッジ
保守派や共和党支持者がブティジェッジ氏を真っ向から批判していないのは、トランプ大統領を名指しで一切批判しないこと(言ってみれば、完全に無視しているかもしれないが)、対決の度合いを深める議会での民主、共和両党にも直接触れないことにありそうだ。
その点は同じく若手大統領候補として注目されているテキサス州のベド・オルーク下院議員(46)とは対照的だ。オルーク氏は徹底してトランプ氏と共和党を激しく批判しているからだ。
トランプ大統領の選挙ブレーンたちは、オルーク氏を一番恐れていると言うが、トランプ氏を狙う「矢」は意外な方角から放たれるかもしれない。
オルーク氏は民主党の地盤を守りながら共和党との対決を激化させようとしている。
これに対し、ブティジェッジ氏は予備選段階から党派の壁を取っ払って戦域を広げようとしている。
1960年には共和党支持者の中からもジョン・F・ケネディ第35代大統領に票を投じた人がいたし、1980年には一部の民主党支持者はロナルド・レーガン第40代大統領に投票した。
参考=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55945
米大統領選はまだ序盤も序盤。まだまだ何が起こるか分からない。
それでもこれまで40年以上、大統領選をはじめ上下両院、州知事選まで取材してきた米主要紙のベテラン政治記者は現状を筆者にこう解説する。
「今米国では何かが起こり始めている。そうした兆候は過去にもあった。直近ではトランプ現象がそうだったし、2008年にはオバマ旋風があった」
「ブティジェッジ氏はいみじくもこう言っている。『僕は大統領選挙に勝つために立候補したのではない。時代(Era)に勝つために立ち上がったのだ』」
「同氏が民主党大統領候補に指名されるのかどうか。トランプ氏との一騎打ちで勝つのか。それを論じる前にミレニアム世代がいよいよ大統領を目指す過程で今米国では何かが起こり始めている。そのことに注目すべきだろう」
確かに米有権者は新しがり屋だ。ワシントンに何十年と住みついているプロの政治屋を嫌っている。だから新鮮な「神童市長」をもてはやしているのだろう。麻疹のようなものかもしれない。
エバンジェリカルズをはじめ南部や中西部に住む中高年層が同性愛者の大統領候補をすんなり受け入れるかどうか。
ブティジェッジ氏自身、本当は大統領などは狙っていないかもしれない。大統領選立候補は州知事や上下両院議員になるための踏み台程度に考えているのかもしれない。
それは百も承知で、エキサイティングな役者の登場に米国は早くも沸き立っている。
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『郭台銘、総統選出馬で揺れる鴻海とシャープの命運 中台米日4カ国にまたがる事業バランス、激変の予感』(4/20JBプレス 中田行彦)について
4/22阿波羅新聞網<美癌症中心开除3华裔教授 知情者披露内情=米国癌センターは3人の中国系教授を追放 情報通が内幕を暴露>米国国立衛生研究所(NIH)の所長であるフランシスコリンズ博士が米国の大学は「内なる敵」を追放すると発表してから1週間後、世界第一位にランクされるMDアンダーソン癌センターが率先して3人の中国系教授の追放を発表した。アンダーソン癌センターは、追放された人の名前を明らかにしなかったが、情報通は最近突然離職した何人かの教授の名を大紀元に明らかにした。 彼らは1年以上に亘りFBIによって調査されていた。
3人は謝某、黄某、台湾から来た洪某である。(某は不明を表す)

アンダーソン癌センター
台湾にも中共に加担しているのがいるという事です。今後益々米国は中共に対する締め付けを厳しくすると思います。日本企業はボーっとしていると制裁を食らうでしょう。
https://www.aboluowang.com/2019/0422/1278507.html
4/21看中国<公司年利润770亿 一生献台湾的半导体之父(组图)=TSMCは年間利益が770億台湾$ 一生を台湾に捧げた台湾半導体の父>半導体業界を理解している人はTSMCの名は必ず知っている。TSMCは世界最大のファウンドリであり、ほとんどのチップ設計業者はTSMCなしでは造れない。 TSMCの創業者は、有名な起業家・張忠謀である。
Texas Instrumentsの社長になる
張忠謀は1931年浙江省寧波市で生まれた。父の張蔚観は鄞県の財政所長をし、1932年に南京に移り、1937年には広州に移った。日本との戦争が始まり、一家はしょっちゅう引越し、寧波から南京、香港へと転居した。
1941年に太平洋戦争が勃発し、日本軍が香港を占領した。 1943年に重慶に移り、重慶南海中学校に入学した。 1945年には戦争に勝ち、上海に引っ越し、上海南陽モデル高に入学した。 1948年、国共内戦で、一家は香港へ移った。
1949年にハーバード大学で勉強するために米国ボストンに行き、翌年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)の機械工学科に転学し、1952年にはMITの機械工学の学士号と修士号を取得した。
張忠謀は機械工学の専攻で、学校では一生懸命勉強したので、ずっと最高にランクされていた。 卒業後、張忠謀は機械関係の仕事に従事せず、半導体業界に入った。この業界を良く理解するため張忠謀は、昼間は働き、夜は勉強した。ゆっくりと半導体を理解し出していた。
27歳のとき、彼は半導体業界の雄だったTexas Instrumentsに入社し、41歳で、副社長になった。 1964年、彼はスタンフォード大学で電気工学の博士号を取得した。
TSMC設立
52歳の時、彼はTexas Instrumentsの戦略は時代の趨勢に合致していないと考え、そこを離れた。当時の張忠謀の見解は正しかった。Texas Instrumentsは既に衰退している。
1985年、孫運の招きに応じ、台湾・工業技術研究院の院長を務め、同時に聯華電子の会長を兼任し、翌年には、縁があってオランダのPhilipsと工業技術研究院が合弁でTSMCを作り、会長兼社長となった。
今日、TSMCはすでに半導体業界の覇主となっており、華為やAppleのチップ設計者だけがTSMCのファウンドリを使っているのではなく、ファウンドリのIntelもTSMCに製造委託している。 その理由は、TSMCの高度な技術が顧客のニーズを満たし、現在5NMチップの試作を準備して半導体業界をリードしている。
張忠謀によって設立されたTSMCは、最も収益性の高い企業の1つで、2018年の純利益は770億元であった。張忠謀の起業家としての道程を振り返ると、彼は一生懸命勉強し仕事を愛する人であることがわかるし、それが成功の原因である。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/04/21/891175.html
4/21希望之声<(组图)郭台铭若能带他这顶帽子见习近平 才是“真老虎男子汉”=郭台銘がこの帽子を被り習近平と会うのなら、郭は本当の虎漢である>鴻海集団の会長である郭台銘は、先週、2020年の台湾大統領に出馬すると発表した。中国のメディアは、さまざまな方法で彼の被った帽子にある中華民国の国旗を覆い隠した。郭台銘は最近、「民主主義では食べられない」との言い草で、中華民国の蔡英文総統と空中戦を始めた。 蘇貞昌行政院長は、4/21に「郭台銘は自分が総統になれば、台湾の自由で民主的な社会は必要ないと考えている。もし彼がこの中華民国国旗を象った帽子を被り習近平と会うのなら、郭は本当の虎漢である」と。

4/17郭台銘は中華民国国旗を象った帽子を被り淡水の行天武聖宮を参拝
https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/21/n2823048.html
張忠謀と郭台銘の二人を比べれば、同じ本省人でもこんなに違うのかと思います。張忠謀は日中戦争に翻弄されたが、向学心は止まず、米国に渡って勉強したことが大きかっと思います。台湾の自由と民主主義を守るために彼は戦うでしょう。翻って郭台銘は典型的な中国政商です。阿漕なことが平気ででき、平気で嘘をつくタイプです。深圳にあった台湾人経営の洗壜工場の人権無視な作業環境や住環境を思い出します。
鴻海が中国大陸に持っている富士康の工場は従業員の飛び降り自殺で有名になりました。人権無視の働かせ方をしていたからでしょう。トランプは郭の中国での生産を許さなくするでしょうから、TSMCは生き延び、鴻海は衰退していくのでは。
東大名誉教授の中川威雄氏は郭の投資判断の速さに驚いていますが、ソフトバンクの孫と同じで、単に博奕が好きなだけでしょう。中川氏こそが日本の産業空洞化を推し進めた戦犯なのにその自覚がありません。シャープの佐々木正副社長と同じです。こういう似非エリート達が日本をダメにしてきて、不祥事が多発する社会にしてしまったと考えます。
記事

鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘会長。米ウィスコンシン州で(2018年6月28日撮影)。(c)Brendan Smialowski / AFP〔AFPBB News〕
電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長(68)が2019年4月17日に、2020年1月の総統選に出馬する意向を正式表明した。
中国との融和路線の最大野党・国民党は、2019年4月17日に式典を開催し、郭氏に資金面で貢献したことで「栄誉賞」を授与した。郭氏は、そのあいさつで「(総統選出馬に向け)党内の予備選に参加する」と表明したのだ。
「媽祖のお告げ」で出馬を決意
その日の午前には幼少期を過ごした台北郊外の板橋の道教寺院「慈恵宮」を参拝し、この寺院に祭られる台湾で有名な海の女神「媽祖(まそ)」が2日前に夢に現れ、立候補するよう告げられたと語ったのだという。
郭氏は、中国に多数の工場を保有しているとともに、中国広州に10.5世代液晶工場、珠海に半導体工場を計画し、習近平国家主席とも良好な関係を築いている。また、米国では、ウィスコンシン州に6世代の液晶工場を建設予定し、トランプ大統領に食い込んでいる。日本では、2016年にシャープを傘下に収め、シャープ再建につなげた。
このように郭氏は、台湾産業界のトップとして、中台米日の4カ国で事業を展開してきた実績を持っている。
しかし、郭氏の総統選出馬に伴い、日常業務や会長職から遠ざかる可能性があることから、鴻海やシャープの経営に影響する。また、中台米日の4カ国でパワーバランスが激変するするリスクがある。
この、鴻海・郭董事長の台湾総統選へ出馬に伴う、鴻海やシャープの経営への影響、中台米日の4カ国の状況とパワーバランスの変動を、分かりやすいように先取りして【図1】に示しておく。
郭台銘氏の関係者へのインタビューを元に、創業と鴻海への発展過程から郭氏の経営理念、さらに鴻海、シャープへの影響、そして中台米日の4カ国のパワーバランスの激変リスクについて述べてみたいと思う。

【図1】郭董事長を取り巻く中台米日4カ国のパワーバランス (筆者作成)
「外省人」の両親から生まれた郭台銘
郭氏の両親は中国山西省の出身である。中国共産党の支配を恐れて台湾に渡った人々は、やがて現地で「外省人」と呼ばれた。両親が台湾移住後まもなく板橋の「慈恵宮」に住み込んだことから、郭台銘氏は「慈恵宮」で、1950年10月8日に生を受けた(『野心 郭台銘伝』安田峰俊著、プレジデント社、2016年)。
この生立ちが、「外省人」の中国への恩返しと、道教への信心という、現在の考え方に影響している。
郭氏は24歳の時、2人の友人とともに「鴻海プラスチック工業有限公司」を1974年2月に設立した。従業員は15人で、白黒テレビの選局つまみをプラスチック成型していた(『野心 郭台銘伝』)。それからわずか3年後の1977年には自社の金型工場をつくる決断をし「積極投資」する。1982年に社名を「鴻海精密工業」に変更した。
その後、「鴻海精密工業」はどのように発展していったのか?
私は鴻海特別顧問でファインテック会長である中川威雄氏に、2016年5月13日に面談する機会を得た。中川氏は、東京大学の名誉教授であり、機械加工の世界的権威者である。その時のやり取りを、拙著『シャープ再生』から一部抜粋しよう。
「私が鴻海の郭台銘董事長と最初に出会ったのは、1988年にシンガポールで行われた第2回金型国際会議の席でした。当時は従業員240人程で、普通の射出成形屋さんでした。(中略)その後、私が東京大学を60歳で定年となったのを機に、1999年4月から鴻海の技術顧問となりました」
「顧問となって最初に中国深圳工場で郭董事長に会った時、質問がありました。『何をやったらいいのか』と、聞かれたので、当時日本で話題となっていたノートパソコンのケースを軽くするための、マグネシウム筐体のダイカストを提案しました。中国には、人件費が安く、仕上げに人手を要する仕事が向いていると思ったからです。『じゃあやろう』と、10分も話をしない間に、即断即決です。その後、ダイカスト工場は、世界最大規模の工場となり、日本から殆どの工場が消えることになりました。この時郭董事長の凄さを見た気がしました。即断即決には驚かされましたし、顧問としての自分の発言に重い責任を感じました」
――技術顧問だけでなく、創業もされましたね。
「その後間もなく、2000年10月に、郭董事長から日本に技術開発会社の創業の話が持ち込まれました。光通信のコネクターを扱う話で、こちらは自信がない分野で渋っていました。すると、郭董事長の勘違いで出資金額が跳ね上がり続け、最終的に100億円も投資する話となってしまいました」
郭董事長は、必要とあれば、100億円の投資も、「スピード重視」で「即断即決」する。
――その後、どのようにされましたか?
「携帯電話の後にスマホが現れ、アップル社は、独自のデザインを優先し、スマホのケースを金属製の高級感あふれるものにしました。このため、一台ずつ切削加工をして、また磨きを行わざるを得なくなりました。鴻海は、それに対応してなんとか力ずくでクリアしてしまいました。切削加工は、金型を使った成形のようには能率は良くないのですが、今は1日100万個を生産しています。何万台もの工作機械を夜中まで無人で動かしているのは驚きです。これだけの投資をすばやく決断して実行できることに鴻海の凄さがあると思います」
この話は、郭董事長の「経営理念」の本質を表している。
通常は、スマホのケースは、安価にするため、プラスチック材料で「射出成型」という方法で作成する。
しかし、アップル社は、こだわりがあった。「金属製の高級感あふれるものにしたい」と。
このためには、金属材料から一台ずつ削り出し、また磨きをかけて光らせざるを得なくなった。
このアップル社の要求に応えるためには、非常に高価な工作機械を、多数購入し、夜中まで動かさないといけない。
郭董事長は、ハイリスクで多額の投資を必要とする要求を受け入れることにより、アップルから仕事を取る。敢えてそれまでの規範を破壊することで、常識で動く競争他社を大きく引き離しているのである。私は、この郭董事長の経営を「規範破壊経営」と名付けた。
郭董事長のシャープへの「片思い」
その後、鴻海はシャープへ出資する。シャープから鴻海のフォックスコン・グループに移った矢野耕三氏(フォックスコン日本技研代表)から、直接話を2013年9月に聞いた。
――シャープと鴻海の交渉が暗礁に乗り上げた理由は、なんでしょうか?
「いちばん大きな理由は、中国人や台湾人との交渉をよくわかっていないということでしょう。関西のおばちゃんは必ず値切る。中国や台湾も一緒。言ってみて、できたら儲けと考える。交渉で詰めても、次の日にはもうちょっとどうにかならないかとくる。これに怒って帰ったのがシャープです。テリー(郭台銘)さんは上から目線で、これもつけてくれと中国式に交渉する。片山(シャープ片山幹雄社長(当時))さんは、本社の決済を取ったのになんだと、相性が合わなかった」
――テリー董事長は、いまでもシャープとの提携に期待されていますか?
「テリーさんは、いまでもシャープに片想いです。テリーさんの想いがシャープに伝わらない。テリーさんは、会議の席では『シャープは先生だ。そういうつもりで対応するように』と言っています」
この時は、結果として、鴻海の郭董事長は、シャープ本体への出資は行わず、シャープへの片思いは続くことになった。しかし、堺工場の運営会社には出資した。
金色マフラーで勝負
その郭董事長のシャープへの片思いが実を結ぶチャンスが巡って来た。
国内工場への過大投資によって経営が悪化したシャープは、官民ファンドの産業革新機構(INCJ)からの出資によって救済され、液晶部門はジャパンディスプレイ(JDI)と、家電部門は東芝の家電部門と統合されるはずであった。
ところが、2016年1月末、鴻海の郭董事長が来日して、シャープ経営陣と直談判し、長年の「片思い」を成就させることに成功した。この時、郭董事長は金色のマフラーを身に着けていた。これは、両親の出身地・山西省の出身で、三国志でおなじみの「関羽」にちなむものだった。関羽をまつる「関帝廟(かんていびょう)」から贈られたものと言われ、郭董事長が勝負所で身に着けているものだった。

中国・河南省で金色のマフラーを身に着ける郭台銘氏(写真:Imaginechina/アフロ)
鴻海・郭董事長の提案と産業革新機構の提案を比較し、参考として2019年2月時点の鴻海が行った実際の行動を比較して、【表1】にまとめておく。

【表1】鴻海・郭董事長と産業革新機構の提案比較と実際の対応(出典:『シャープ再建』表6-1に追記・変更)
鴻海とINCJとで綱引きされたシャープにとって最も重要な点は、支援の先に「成長戦略」を描けるかどうかだった。
産業革新機構の案では、シャープの液晶部門とJDIを統合するという同種企業の「日の丸液晶連合」を形成し、規模の経済でコストを抑えようという考え方であり、「成長戦略」が不透明だった。一方の鴻海は、郭董事長が「グローバル成長戦略」でシャープ経営陣を説得したことが、大逆転の決め手となったのである。
縁起を担いだ「値切り」交渉
しかし、鴻海の提案から3年を経た現時点から振り返ってみると、その後、「値切り」が起こっている事項があることが分かる(【表1】参照)。
社員の雇用については、「原則現状維持」としていたが、実際には2015年7月~9月に国内3500人の希望退職を実施した。
また、2016年2月24日早朝、シャープから鴻海に送られてきた「偶発債務」リストが騒動を引き起こし、交渉の結果、出資額は3888億円に落ち着いた。中国の習慣から、縁起を担いだ「八並び」の数字となった。合意してもさらに経済合理性を目指し「値切り」を試みる。
「三兎を追う」リスクが拡大
ここで見てきたように、郭台銘という人物は、即断即決型のワンマン経営者で、グローバルな視点からの成長戦略を描ける人物であり、いったん合意した内容もさらに踏み込んで「値切る」ことも厭わない経済合理性を優先する男と言える。
その郭董事長は現在、米中対立が激化する中、あえて中国で二兎、米国で一兎と、米中の双方で「三兎」を追ってきていた。三兎とは、米中でそれぞれ1兆円を超える液晶と半導体工場への投資計画である。

【表2】:郭董事長が進める中台米日の4カ国の液晶・半導体投資計画(『シャープ再建』から引用)
最初は、世界最大の10.5世代の液晶工場への投資である。広州に総額約1兆円を投資して建設する計画だ。
米中が知的財産権を巡って激突する最中、郭董事長は中国と同時に米国への接近を敢行した。トランプ大統領率いる米国に食い込むためだ。そして鴻海は2019年2月1日、ウィスコンシン州に液晶パネル工場を建設する計画を予定通り進めると改めて発表した。
さらには中国の珠海に半導体工場を建設する計画が持ち上がった。「中国製造2025」の実現に必須の半導体素子を、中国が自前で製造したいためである。
もちろんこれらの投資計画は、シャープが保有する技術をあてにするものであり、鴻海・シャープ連合なくしては成り立たない。
戴正呉社長の後継者不在のシャープ
対立する中国と米国の間に立って、郭董事長が計画推進することにより、総額3兆円の液晶・半導体投資計画が成り立っている。この中台米日の4カ国のパワーバランスは、既に【図1】に示したが、難しいバランスの上で全てを成功に導けるとしたら、経営者としての能力と経験、そして絶大な権限を持った郭董事長しかいないと思われていた。そうした中での総統選出馬なのだ。
「総統候補」としての郭氏に期待されているのは、台湾が抱える経済問題の解決だ。その有力な突破口と考えられているのが中国との経済交流であり、その分野において郭氏は過去に事業面では十分な実績を上げてきた。しかし、中国が目指す中台統一に、台湾では警戒がある。中国との距離感は非常に難しい。
郭氏は、総統選出馬に伴って、鴻海の日常業務から退くが会長職には留まる意向とのことである。郭氏は「ワンマン経営」と言われているだけに、会長職に留まるにしても、鴻海の経営にマイナスの影響が出るのは避けられないだろう。そのうえ、仮に総統に当選すれば、兼業が禁じられているため会長職も退かねばならず、もっと大きな影響が出る。

シャープにとってみれば、現状では戴正呉社長が「日本型リーダーシップ」で経営しているので、戴社長の舵取りが続く限りにおいては影響が少ないかもしれない。しかし、郭氏が鴻海の経営の一線から離れることになれば、戴正呉社長が鴻海の業務を担う可能性が出てくる。そうなれば、シャープへはマイナスの影響が出てくるだろう。最悪のケースとして、戴正呉社長がシャープを離れ、鴻海に戻ることになれば、シャープの経営は非常に大きなダメージを受けてしまうだろう。戴社長の後任として、シャープの経営を担える人材がまだ育っていないからだ。
さらに、総額3兆円のプロジェクトは、郭董事長が中心なり、中台米日の4カ国の間で絶妙なバランス感覚を発揮しながら進められている。郭董事長以外の人物がそのプロジェクトの舵取りをすることになれば、バランス感覚をうまく発揮できず、プロジェクトが崩壊するリスクさえ出てくる。
もちろん、自分の総統選出馬がこのような大きなリスクを冒すことになることを、郭董事長は百も承知だろう。それを押しても出馬しようという「真意」は、「故郷」中国に貢献したいという思いがあるからだろう。
ただそれが、鴻海やシャープ、そしてなにより台湾の人々にとって最善の選択になるのかどうかは、また別の話である。
*中田行彦氏がJBpressで書かれた記事を加筆・修正した『シャープ再建 鴻海流 スピード経営とリーダーシップ』が、啓文社より4月2日に発売されました。
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『挙国一致で中国と対決、何が米国を本気にさせたのか?これ以上中国を放置できない、米国の専門家が語る米中関係の展望』(4/20JBプレス 古森義久)について
4/20希望之声<调查报告指出华为所有者很可能是中共的理由=調査報告は、華為の株保有者すべてが中共に関係している可能性が高いと指摘>ボイスオブアメリカは4/20華為の所有権についての報告書を引用し、華為の株は従業員による持株であるという主張はありえないと報道した。 華為社の所有者は、恐らく中共政府だろう。 報告書はまた明らかな理由を示している。
「華為の株主は会社の従業員ではなく労働組合である。この組織は共産党によって支配されている。華為の株式の99%が労働組合によって所有(1%は任正非)されているとしても、この会社は国営企業であると言える。」

華為創業者の任正非
中国の会社は純粋に民間と言える会社はありません。必ず裏に共産党の存在があるからです。従業員持ち株会も従業員の名義を借りているだけです。便衣兵と同じく、彼らは脱法行為を平気でします。
https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/20/n2821377.html
4/21阿波羅新聞網<台湾紧随美国 对大陆科技公司产品说不=台湾は米国に続き、中国大陸のテクノロジー企業にノーと言う>米国はサーバー、クラウドコンピューティング等のサービスをカバーする中国本土の技術製品の政府調達を制限しようとしているが、台湾もセキュリティリスクを心配して米国に続こうとしている。アリババ、華為、レノボ、小米等の中国企業が影響を受けると予想される。
多くのメデイアの1月の報道では、台湾はすべての政府機関・組織、政府管理企業に、カメラモニターメーカー海康威視、華為、ZTE等大陸の電信設備メーカーの使用を禁じるブラックリストを起草しているとあった。
台湾行政院は4/19(金)に、大陸の通信機器、監視カメラ、サーバー、ウェブカメラ、ドローン、クラウドコンピューティングサービス、ソフトウェア、ウイルス対策ソフトウェア、およびコンサルティングの使用を禁じるガイドラインを公表した。同時に、禁止を遵守しなければならない台湾の会社の範囲は、運送会社、銀行および電気通信業にも拡大適用される。 政府関係者は、政府が運営するハイテク工業団地の民間企業もこの新しい規制に従うことを提案している。
日経アジアレビューは、4/19(金)に事情通の発言を引き、「華為、ZTE、アリババ、レノボ、小米、百度、海康威視、浪潮(サーバーサプライヤー)、大疆(ドローンメーカー)がリストに含まれる可能性がある。 ロシアのウイルス対策ソフトウェア会社であるKaspersky Labも禁止のリストn入るだろう」と述べた。
日本もしっかり規制しなくては。民間企業と個人にも中共製のものは危険と周知を徹底してほしい。小生のPCはNEC(レノボ)、スマホはASUS(台湾)ですが。

https://www.aboluowang.com/2019/0421/1278021.html
4/20阿波羅新聞網<政治敏感年 习李忧心想出一招 美资撤 中共高科技芯片厂关门 传中共在WTO最大案败诉=政治に敏感な年 習と李は心配して一手を思いつく 米国資本は撤退 中共のハイテクチップ工場は閉鎖 中共はWTOの最大事案で負ける>米国のチップ製造大手クアルコムと中共政府の合弁会社 “華芯通 Semiconductor”は今月末に閉鎖される予定。これは再度中共に”チップがない痛み”を強いる。 外国メディアの報道によると、WTOは「中共が主張しているように2016年に市場経済国の地位を自動的には獲得していない」と裁定した。これは中国経済に大きな打撃を与えるであろう。 貿易戦争の圧力の下で、中国経済は下降を加速させ、中共の経済の舵とりの難しさは日に日に増している。それは中共のリーダーにとって頭痛の種となっている。 2019年は、中共が政権を取って70年になり、中共にとって政治的に敏感な年である。 平和で繁栄したイメージを創るために、中南海は決断を下し、将来の財源を見込んで、先に経済刺激策を打ち出した。

スイス・ジュネーブのWTO-OMC
https://www.aboluowang.com/2019/0420/1278010.html
4/19ブルームバーグ<中国を「市場経済国」とWTO認めず、欧米の見方を支持>
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-19/PQ6NTT6K50XS01
4/19時事ドットコム<中国は約束違反=米、穀物関税めぐり勝訴-WTO>
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041900188&g=int
中共のやらずぶったくり商法の化けの皮が剥がれだしたという事でしょう。彼らが如何に嘘を言い、狡く立ち回って来たかが、自由主義諸国に理解され出したという事です。世界に共産主義が蔓延するのを防ぎませんと。
古森氏の記事で、ロバート・サター氏は「統一戦線工作を駆使しての威嚇、圧力、買収、スパイ工作まで米国の心臓部に踏みこむような乱暴な浸透活動が、米側で一気に指摘され、警戒されるようになったのです。」と述べていますが、中共は米国だけでなく世界中の国に魔の手を伸ばしています。日本は政府も企業も危機感が薄いのでは。昨日の本ブログで紹介しました中国国際航空公司の女性管理職の例にもあるように、中国人は総てスパイと思った方が良い。
サター氏は今の大統領がトランプで良かったと述べていますが同感です。悪の権化・中共を相手に大立ち回りができるのはマフィアを相手にしてきたトランプでないとできません。破天荒且つ度胸がないと駄目です。小生は大統領選の時からトランプ支持です。
記事

米国のロバート・ライトハイザー通商代表部代表(左)、中国の劉鶴副首相(中央)、スティーブン・ムニューシン財務長官(右、2019年2月14日撮影、参考写真)。(c)Mark Schiefelbein / POOL / AFP〔AFPBB News〕
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国の首都ワシントンで取材していて、外交について最も頻繁に接するテーマはやはり対中国である。政府機関の記者会見でも、議会の審議や公聴会でも、民間のシンクタンクの討論会でも、「中国」が連日のように語られる。
しかも「中国の不正」や「中国の脅威」が繰り返し指摘される。ほとんどが中国への非難なのだ。
そうした非難を述べるのはトランプ政権や与党の共和党だけではない。他の課題ではトランプ政権を厳しく糾弾する民主党系の勢力も、こと相手が中国となると、トランプ政権に輪をかけて、激しい非難を浴びせる。ときにはトランプ政権の中国への対応が甘すぎる、と圧力をかける。

『米中対決の真実』(古森 義久著、海竜社)
私はワシントンを拠点として米中関係の変遷を長年追ってきたが、米側からみるいまの米中関係は歴史的な変化を迎えたと言える(その実態を3月中旬、『米中対決の真実』という単行本にまとめた。本稿とあわせてお読みいただきたい)。
では、なぜ米国は中国と対決するのか。今後の両国関係はどうなるのか。その原因と現状、さらには米中関係の展望について、米国有数の中国研究の権威であるロバート・サター氏に見解を尋ねてみた。
サター氏は米国歴代政権の国務省や中央情報局(CIA)、国家情報会議などで中国政策を30年以上、担当してきた。10年ほど前に民間に移ってからも、ジョージタウン大学やジョージ・ワシントン大学の教授として中国を分析してきた。
サター氏の認識に私が重きをおくのは、彼が政治党派性に影響されていないという理由もある。政府機関で働いた時期はもちろん官僚としての中立性を保ってきた。個人的には民主党支持に近い立場のようだが、民間での研究を続けてからも、時の民主党政権をも辛辣に批判し、共和党政権からも距離をおくという感じだった。
今回はジョージ・ワシントン大学にあるサター氏の研究室を訪れて、話を聞いた。インタビューの主な一問一答は次のとおりである。
共和党も民主党も中国を強く警戒
──米中関係が歴史的な変化の時代を迎えたと言えそうですが、その変化をもたらした原因とはなんだと思いますか。
ロバート・サター氏(以下、敬称略) 変化を招いた直接の原因は米国側での危機感でしょう。中国をこのまま放置すれば米国が非常に危険な状況へと追い込まれるという危機感が、政府でも議会でも一気に強くなったのです。ただし中国側は米国のこの感覚を察知するのが遅かった。トランプ政権や議会を誤認していたといえます。ここまで強く激しく中国を抑えにかかってくるとは思わなかったのでしょう。
米国側の危機感、切迫感を生んだ第1の要因は、中国がハイテクの世界で世界の覇権を目指し、ものすごい勢いで攻勢をかけてきたことです。米国は、このままでは中国に経済的にも軍事的にも支配されると感じたわけです。この状況を変えるには、たとえその代償が高くても今すぐに行動をとらねばならない、という決意になったのです。
第2には、中国側が不法な手段を使って米国の国家や国民に対して体制を覆そうとする浸透工作、影響力行使作戦を仕掛けてきたことです。統一戦線工作を駆使しての威嚇、圧力、買収、スパイ工作まで米国の心臓部に踏みこむような乱暴な浸透活動が、米側で一気に指摘され、警戒されるようになったのです。

ロバート・サター氏
──米側の中国への不信はきわめて広範囲のようですね。
サター 一般国民も政府も議会も中国に対して強い警戒心を持っています。共和党議員だけではなく民主党議員も、共和党議員と歩調を合わせて対中強硬策を提唱しています。たとえば大統領選への名乗りをあげたエリザべス・ウォーレン上院議員が中国のスパイ活動を非難しました。また、民主党ベテランのパトリック・ リーヒ上院議員は「一帯一路」を嫌っています。民主党で外交問題に関して活躍するマーク・ウォーナー上院議員も、米国のハイテクが中国に輸出されることに強く反対しています。
──であれば、米中間の対立は今後もずっと続くということになりますね。
サター 摩擦がずっと続くでしょう。中国が米国の要求をすべて受け入れることはありえません。また、米国が中国に強硬な態度をとることへの超党派の強い支持は揺るがないからです。
これまでの大統領とは大違いのトランプ
──現在、米中両国の対立で最も分かりやすいのは貿易面での衝突ですね。米中関税戦争とも呼ばれます。
サター これまでの関税交渉では、米側が中国に圧力をかけ守勢に追い込みました。中国側はトランプ政権の勢いに押され、状況の悪化を恐れて、圧力に屈したという感じです。問題は、中国が米国の要求にどこまで応じ、米側からの圧力をどこまで減らすことができるか、でしょう。中国側がかなり妥協して、関税問題では一時的な休戦あるいは緊張緩和になるかもしれません。
ただし経済問題では、トランプ政権内部にいくらかの姿勢の違いがあります。ロバート・ライトハイザー通商代表のように中国に対してきわめて強硬な人たちと、スティーブ・ムニューシン財務長官のようなやや協調的な人たちが混在しているのです。ではトランプ大統領がどんな立場なのかというと、この判定が難しい。
関税問題では米側がある程度の妥協を示すこともあるでしょう。ただし、基本的な問題は厳然と残っています。関税問題の基盤にある米中間の底流は非常に対立的であり、険悪です。
当面の関税交渉では、米国の中国に対する懲罰的な関税を中止するのかが焦点となりますが、この点に関してトランプ大統領はこれまでの歴代大統領とはまったく異なります。中国に対して譲歩や妥協をしないのです。トランプ氏にとって「譲歩」というのは、懲罰の量を減らすだけということになります。
──中国はトランプ大統領に対して戸惑っているということですか。
サター そうです。トランプ大統領はオバマ氏ら前任の大統領たちと違い中国に対して譲歩をしません。米側が欲することを中国側に圧力をかけて実行させるという点では、トランプ大統領は今のところ大きな効果をあげています。しかし、習近平主席は米側が求める総合的な構造変革をすることはないでしょう。ライトハイザー通商代表が要求しているような経済の体系的な変革はないだろう、ということです。
中国側は「大きな変革を実行する」という合意に応じたところで、アメリカ側をだます見通しが強いといえます。このことはこれまで繰り返し起きてきました。ライトハイザー氏はすでにこのことを指摘しています。だから関税問題でたとえ米中間の合意が成立しても、両国関係の基本を変えるような前進はまずないだろうと思います。
──関税問題とは別に、厳然と残っている基本的な経済問題とはなんですか。
サター 米中間のハイテク競争、そして中国の米国への浸透、知的所有権の窃盗、米側企業を取得して米国のハイテク産業をコントロールすることなどです。米側は中国のこの種の動きに、はっきりと抵抗しています。
さらには中国への輸出管理です。米側の商務省がこの問題に対処しています。中国の膨張を許すような品目の対中輸出は自粛する。これは東西冷戦時代にソ連圏への輸出を規制したココム(対共産圏輸出統制委員会)に似た概念です。中国との関係は、東西冷戦時代のソ連との対決とはまだ同じ段階に達していません。しかし、ファーウェイに対する米側の対応は事実上ココム的管理に等しく、その厳しさはさらに強くなっていくでしょう。
中国は「大きな変革」に着手するか
──サターさんは、米側が求める最終目標として中国側の「総合的な構造変革」という言葉を使いましたが、具体的になにを意味するのでしょうか。
サター 国家がコントロールする企業の役割、国家が産業界と一体になる産業政策、特定企業への優遇財政措置、外国企業、とくに米国企業の中国市場へのアクセスの制限、といった中国の産業政策が実際にどう変わるかです。知的所有権の扱い、外国の技術などの盗用、スパイも大きな要素です。こうした諸領域で中国政府がどんな改革措置をとるかが『総合的な構造変革』を占う指針となります。
しかし、中国政府は表面をとりつくろうことがきわめて巧みです。なにもしていないのに、なにかをしているかのようにみせかける。そのため米国政府側の中国不信は非常に強い。だから米国政府は最大の注意を向けて中国側の動向を監視しています。もし中国側がこれまでのように大きな変革措置をとるという約束をして、実際にはしなかったことを確認した場合、米中関係は重大な危機を迎えるでしょう。トランプ大統領はそんな中国の背信を許さないでしょう。この点では、議会でも共和党、民主党が一致して中国への強硬な姿勢を保っています。
中国の危険な拡大を食い止めよ
──トランプ政権は経済問題以外でも中国を非難しています。具体的には中国のどのような動きが米側を最も強く反発させているのでしょうか。
サター 南シナ海での膨張、日本への圧力、ロシアとの結託、ウイグル民族の弾圧など米国の国益や価値観を侵害する一連の動きです。中国は米国のパワーを削ごうとしている。米国はその動きを止めようとしているということです。
米国が究極的に目指すのは、中国にそのような侵略、侵害を冒させない国際秩序の保持だといえます。中国の攻勢に対しては、ケースバイケースで対応していく。そこで商務省、財務省、通商代表部、国防総省、連邦捜査局(FBI)などがそれぞれ中国の攻勢に立ち向かっているという状況です。
──サターさんのこれまで40年もの米中関係への関わりからみてトランプ政権の現在の中国への対応は適切だと思いますか。
サター はい、米国は中国の攻勢をはね返す必要があったと思います。中国が米国を弱いとみて進出や膨張を重ね、米国の勢力圏を侵害していくという近年の状況は危険でした。率直に述べて、オバマ政権時代の後半はそうでした。トランプ政権の政策担当者たちはそうした中国の危険な拡大を止めるための具体策を取り始めた。私はその基本姿勢に同意します。
トランプ大統領が長期の総合的な対中政策のビジョンを持っているかどうかは別として、中国の膨張を止める政策を断固としてとれた指導者は、2016年の大統領選の候補者の中には他にいませんでした。中国への有効な対策を取るためには、米中関係の緊迫を覚悟せねばならない。トランプ氏以外にそうした緊迫を覚悟して自分の政策を推進できる指導者はまずいなかったと思います。現在のような強固な対中政策が米国には必要なのです。
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『「下放」の悪夢再び?若者の農村派遣計画に中国騒然 「農村の都市化」政策失敗のツケか、共産党内の権力闘争か』(4/18JBプレス 福島香織)について
4/18希望之声<安倍将会川普磋商朝核对策 第一夫人生日晚宴座上宾=安倍首相はトランプと朝鮮の核問題の対策について検討 トランプ夫人の誕生日ディナーに呼ばれる>安倍首相は今月末米国を訪問し、北朝鮮の核問題についてトランプと良く打合せする。メラニア夫人の誕生日パーティーにも出席する。 安倍首相の訪米はトランプとの個人的な信頼関係を深め、中共や北朝鮮に対応し、日米同盟を強化することに繋がる。
昨日本ブログで北朝鮮問題を取り上げましたが、攻撃するのであれば良く打合せしておいてほしい。空母は動いていないので未だだとは思いますが。来年の大統領選前辺りでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/18/n2815098.html
4/18希望之声<广州坦尾村500特警镇压村民 多村民受伤8人被抓=広州市坦尾村で500名の特別警察は村人を鎮圧 多くの村人がけがをし、8人が逮捕>広州市の坦尾村政府は最近、「違法建設」を理由に村人が自らの費用で建設した3階建ての3つの建物を取り壊したため、村人の権利保護抗争を引き起こした。 4/17(水)当局は村人を鎮圧するために500人の特別警察を派遣し、多くの村人が負傷し、8人が逮捕された。
広州だけでなく、抗議行動は中国各地で頻発していると思われます。何せ中国の暴動数は20万件と言われていますので。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/18/n2816601.html
4/19阿波羅新聞網<涉英国打人 央视记者孔琳琳未到庭应讯 法院发拘捕令=英国で殴るCCTVの記者の孔琳琳は法廷に出頭せず 裁判所は逮捕状を出す>CCTVの駐英記者、孔琳琳は昨年9月に開かれた香港問題に対する保守党のシンポジウムで大騒ぎし、2度も香港の留学生ボランティアのエノク劉を殴打し、暴行罪で告発された。BBCは孔琳琳が法廷に出頭しないので、逮捕状を出した。
共産主義者は民主主義の善意や弱点をついて好き勝手な行動を採るという事です。

https://www.aboluowang.com/2019/0419/1277426.html
4/19阿波羅新聞網<国航女经理认是中共特工 孟晚舟案法官接手后认罪 涉多个大案和系列调查 =中国国際航空公司の女性管理職は中共のエージェントだったことを認めた 孟晩舟事件の判事が引き継いでから、主な事件と一連の調査により罪を認めた>米国メディアは、4/17(水)に中国国際航空公司の元管理職が中共のエージェントだったことを認め、職務を利用し、中国軍関係者やその他の官僚が米国から小包にして密輸するのを助けたと報じた。林英はまた、中共政協委員でもあり、マカオの実業家呉立勝が国連総会前に議長国のアンティグア·バブーダのJohn Asheに賄賂を贈った事件、外交官の鐘丹が中国人に奴隷労働させていた事件に関与した。2016年に、FBIは林英の住まいを急襲し、大量の証拠を以て告発した。林英は何年も前から調査されていたが、孟晩舟事件の判事が引き継いだ後、彼女は初めて罪を認めた。

左は弁護士、右が林英、法廷を出た所

判事のDonnelly。今年初めにNY東部地区裁判所の判事が交代し、Donnellyになった。彼女は孟晩舟事件の判事で、20数年検事の経験があり、証券詐欺事件や、2017年1月にはトランプの7ケ国からの入境禁止令を停止した。
https://www.aboluowang.com/2019/0419/1277561.html
福島氏の記事では、中共の打ち出す政策の真意が下々には伝わらないという事でしょう。いろんな解釈ができるという事で、求心力を働かす道具とはなり得ないという事です。福島氏が言うように自由の無い世界では創意工夫も出て来ないでしょう。国家が個人の自由を認めないシステムを取っていれば発展は見込めないと言うことです。
中国は少子高齢化(未富先老)の人口問題を抱え、経済見通しは暗いうえに、技術革新ができないのであれば、米国に適うはずがありません。中国に味方する人はそれを忘れているのでは。
4/20日経<時節が来た日中の和睦 7年越しの修復の重み 本社コメンテーター 秋田浩之
尖閣諸島をめぐってぶつかり合い、ひところは一触即発の危険までささやかれた日本と中国。そんな過去にさよならするように、両国が仲直りを進めている。
4月14~15日、北京で閣僚級の日中ハイレベル経済対話があった。王毅外相は日本に冷淡だった態度を変え、「中日関係は正常な軌道に戻った」と言い切った。

15日、河野太郎外相らと会談した李克強(リー・クォーチャン)首相も「正常化」という言葉を使い、両国関係が春の季節に入ったことを確認した。いずれも個人の見解ではなく、共産党内の決定を受けた発言にちがいない。
それを裏づけるように、両国の交流は次々と復活している。4月23日、約7年半ぶりに自衛隊の艦船が中国を訪れるほか、6月末に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に、習近平(シー・ジンピン)国家主席が出席することも固まった。中国の国家主席が来日するのは11年ぶりだ。
2012年秋の尖閣国有化に猛反発し、中国が棚上げした次官級、局長級のさまざまな定例協議も、相次いで再開している。両国関係はひとまず、正常化したといえるだろう。
この仲直りはどこまで本物なのか。表面だけなぞると、深まる米中対立の衝撃を和らげるため、中国が日本に打算で近づいているにすぎないようにみえる。
実際に中国共産党内では、米中は覇権争いの時代に入り、対立は長年続くという認識が主流になったようだ。そうした見方を決定づけたのが、昨年12月の米中首脳会談とその後の動向だという。
会談の冒頭、習主席は異例の挙に出た。外交筋によると、約35分間にわたり長広舌を振るい、米側が懸念する知的財産権やハイテク問題に、自ら取り組んでいく考えを詳しく説明したという。
トランプ氏を抱き込めば、貿易戦争を和らげられる……。こんな期待があったようだが、失望に終わった。米政権や米議会では対中強硬論が勢いづき、トランプ氏から簡単に譲歩を得られないことが明確になっている。
こうした事情から、日本との関係を修復し、米国の圧力をしのごうという思惑が習主席にあるのは間違いない。
しかし、中国の対日接近には目先のトランプ対策だけではなく、より深い動機もあると思う。トランプ政権が生まれるずっと前から、日中改善を探る動きが出ていたからだ。日中の政府関係者らによると、その流れはこうだ。
安倍氏が首相に復帰した12年末以降、日中の高官が極秘裏に接触を重ね、尖閣などの諸問題について一定の「了解」を交わし、関係を修復する交渉が進められた。
「了解」案はできあがり、13年3月に安倍氏と習氏側近に上げられた。すぐには合意に至らなかったものの、翌14年11月、両氏による初会談が実現し、対立に歯止めをかける流れにつながる。
次の転機は17年5月だ。中国が開いた「一帯一路」の国際会議に、安倍氏は二階俊博・自民党幹事長を送り、習氏への親書を託した。習氏は自身の訪日を含め、首脳交流を復活させる意向で応じ、修復への伏線を敷いた。
そして3つめの転機となったのが、18年5月4日、安倍、習両氏の電話だった。中国の国家主席と日本の首相が電話するのは、史上初めて。ひそかに持ち掛けたのは中国側だったという。
両首脳は約40分話し、一層の改善で一致した。が、中国側にはそれ以上の意味があった。習氏が日中の「正常化」にゴーサインを出した――。電話について、首脳部は共産党内にこんな解釈を流し、要人交流を一気に再開させる契機にしたのだという。
ここからうかがえるのは、中国を対日修復に動かしたのは、ただのトランプ効果ではないということだ。「対米けん制の対日接近」という以上の重みが、関係改善にはあるとみるべきだろう。
日中双方の話をまとめると、中国の対日融和には2つの理由がある。ひとつは12年以降、東シナ海や南シナ海で強硬な行動に走りすぎ、墓穴を掘ってしまったという反省だ。日米同盟や日米豪印の連携が深まり、中国包囲網を生み出す結果を招いた。
中国はこのため、日本との対立を制御し、関係を改善することで、日米離間を試みる路線に軸足を移そうとしている。
第2に、ここ数年、経済成長が鈍り、少子高齢化が速まるなか、中国首脳は日本の利用価値に着目しつつある。中国が安定を保つには、立ち遅れている年金や医療などの社会保障制度を、直ちに整えなければならない。この方面では「先輩」である日本との協力が役に立つというわけだ。
だとすれば、仮にトランプ氏が退場しても、日中改善の潮流がすぐに息切れすることはないだろう。ただ、それには1つ、大事な条件がある。米中対立が今の水準にとどまり、抜き差しならない新冷戦にまでは過熱しないことだ。
安全保障にかかわる分野の米中覇権争いがし烈になれば、日中の土台は揺らいでしまう。同盟国として、日本は米国に同調せざるを得ないし、そうすることが国益にかなうからである。
ハイテクや海洋秩序をめぐる米中の角逐を見る限り、そのシナリオもぬぐいきれない。逆説的にいえば、だからこそ、今のうちに日中関係が壊れないよう、耐震度を高めておくことが肝心だ。>(以上)
中共支配の中国は日本の敵国です。かつ詐騙や窃取を歴史的に得意とする国です。誠実を旨とする日本とは違うという事を胸に刻んで付き合いませんと。友好が第一ではないことを自覚すべきです。
記事

中国の農村
(福島 香織:ジャーナリスト)
中国のエリート養成機関「共産主義青年団(共青団)」が2022年までに延べ1000万人の学生たちを農村に派遣する計画を打ち出したことが、毛沢東時代の“上山下郷”運動の再来か? と物議を醸(かも)している。
習近平国家主席が第19回党大会の政治活動報告で打ち出した「郷村振興計画」に呼応した方針のようだが、文革時代のトラウマをいまだ抱える知識人層には大不評。習近平はかねてから共青団に対して辛辣な批判を公表し“共青団”つぶしに動いていたので、権力闘争ではないかという見方もある。一体、この“新・上山下郷”運動の狙いはどこにあるのだろうか。
ネットは大騒ぎ、知識人たちも敏感に反応
通達は3月22日付けで中国共産党中央から「郷村振興精神建功を深く展開することについての意見」という紅頭文件として出された(紅頭文件は、共産党の権威ある重要通達である。赤い文字で表題が書かれているため紅頭文件と呼ばれる)。
この通達が4月11日に一部中国メディアで報じられると、「大変だ! 国家が3年内に1000万人以上の青年を下放する計画を発表した」「“上山下郷”再び? 中国共産党が1000万人の青年を農村に動員!」「文革の“上山下郷”! 運動が再び!」といったコメントが相次ぎ、ネット上では大騒ぎになった。
文書に使われた「三下郷」という言葉が、まさに「上山下郷」に共通する印象であること、そして習近平政権の折からの“文革回帰”を臭わせる発言や政策に、文革時代に迫害された知識人たちが敏感に反応したのだ。
この反応に共青団はあわてて、「三下郷と下郷は違います」「通達の全文を読んでください!」と反駁していた。
「短期ボランティア」で農村振興を
通達の内容を整理すると、以下のような6大計画を展開するという話になる。
(1)農村の人文環境向上プロジェクト:農村の共青団思想政治、指導工作の価値を強化・改善し、文明的で良好で純朴な農民の風紀を育成し、農村の物質文明、精神文明を向上させるために、2020年までに累計10万人以上の青年を参与させる。
(2)農村青年の起業創業リーダー育成計画:農村に青年起業家人材の育成システムを構築するために、2022年までに県レベルの青年創業組織の構築率80%を目指す。この連絡業務に20万人のチームリーダーを送り込む。
(3)農村Eコマース育成プロジェクト:農村でEコマース創業を普及させ、良好なEコマース市場環境を構築するために、2022年までに、1万人の青年を送り込みEコマースを運用して三農(農村、農業、農民)領域で就業創業を実現できるよう連携、支援を目指す。
(4)大学、高等専門学校生を、夏休みなどを利用して、農村、特に昔の革命区、貧困地域および少数民族地域に派遣し、社会発展実践活動を実施させる。2022年までに延べ1000万人を参与させる。
(5)在外既卒青年に故郷に戻らせて就業創業の指導、支持、サービスを行わせ、郷村振興の新たな駆動力を育成する。2022年までに10万人を故郷に戻し、就業創業させる。
(6)在外学生を故郷に戻し、現代郷村社会統治システムをめぐる建設、後継の人材育成に当たらせる。2022年まで累計1万人以上の在外学生及び党員、共青団員を故郷に戻し、団幹部育成を担当させる。
この6大プロジェクトの中で特に(4)が、下放の再来だ、と知識人たちが慌てたわけだ。ただ、(4)についていえば、「知識青年たちに農村の厳しい労働に従事させて鍛える」「知識人たちの学問の機会を奪う」というかつての知識人迫害にも似た下放とは異なる。実際には、1カ月くらいの期間に、ボランティアで貧困農村、少数民族地域、旧革命聖地に行って、見聞を広めて、親が出稼ぎに行って農村に放置されている“留守児童”の面倒を見たり、家庭教師などをしたり、衛生や病気予防教育などのボランティアに従事して、習近平新時代の社会主義思想を農村に広めましょう、という内容だ。下放というよりは、農村の短期青年ボランティア募集、といった感じである。
共青団中央は、メディアが勝手に下放的なものを想像して報道しただけだ、誤解だ、と懸命に言い訳していた。だが、本当にそうなのだろうか。
知識人への迫害だった“上山下郷”運動
ここでかつての下放、正式名称“上山下郷”運動について少し振り返っておきたい。上山下郷とは1956年頃から70年代まで続いた政治運動で、都市の知識青年を農村に送りこみ定住させ、労働させるというもの。
理論上は、この運動によって“三大差別”、つまり、工業従事者と農業従者の格差、都市と農村の格差、体力と知力の労働差別を縮小できるという話であった。だが、文革が始まると“黒五類”(地主、富農、反革命分子、悪徳分子、右派)家庭の子女の“労働改造”的な意味合いをもつようになり、特に知的に成熟した右派家庭の子女に対して、農村労働を通じて、自らの思想の汚れを“清め”るために自ら“希望”して農村に行くことが強要された。実質は“知識人迫害”であった。
一方、文革初期は、自分たちが黒五類でないことを証明するために“紅衛兵”となり、望んで黒五類を迫害する側に立つ知識青年も大勢いた。この結果、アカデミズムは10年に及んで機能不全に陥り、中国の知的発展を長きにわたって停滞させた。この文革期だけで下放された知識青年は1600万人以上という。
ただ、今も上山下郷運動の擁護派はいて、この運動によって、農村の小学校入学率が劇的に上がり、農村の基礎学力のレベルが上がったとポジティブな評価をしている。また、大学入試が停止されたことで大学生は10万人にまで減少。農村と都市の学力差は、都市のレベルを引き下げることで確かに“格差是正”に働いたことになる。
この上山下郷を経験してきた、今の60歳代以上の知識人にしてみれば、「あの悪夢をもう一度繰り返すのか」ということになる。中国メディアの上層部はまさにその世代である。だから、中国メディアも批判的に報じたわけだ。
失敗した「農村を都市化する」政策
では、突如、共青団がこうした“計画”を発表したのは一体どういうわけだろうか。まさか、本気で、こんなやり方で農村振興が実現すると思っているのだろうか。
このテーマについて、在外華人評論家たちがいろいろな分析を試みている。いくつか興味深い見立てを挙げてみよう。米国在住の何清漣は、ネット華字メディア「大紀元」への寄稿「偽都市化への反噬(はんぜい=逆襲、反抗)」の中で、今回の共青団の計画発表と、それに対するメディア、知識層の過敏な反応は、失業圧力が引き起こした生存パニックの感がある、と何清漣は分析する。
今や中国の都市化率は6割近くに上り、都市人口はこの40年で4倍に増加した。このため、都市の就職難は極めて深刻化している。毎年800万人以上の新卒者があり、さらに最近は海外留学生も帰国者が増え、加えて経済の低迷が重なり、すでに1000万人以上の知識層が就職できずに都市に滞っている。一方、出稼ぎ農民の失業も深刻で、昨年だけで740万人の出稼ぎ者が農村に返された。だが、農村でそれだけの雇用創出は簡単ではない。そこで、都市の優秀な知識青年に農村で起業・創業させようというわけだ。
いわば、日本の「地域おこし協力隊員」みたいなものだろうか。何清漣は、今の中国が直面しているこうした問題の背景に、“偽都市化”政策の失敗があり、そのツケが来ているのだ、と見ている。つまり「農村を都市化する」政策が農村の崩壊を招き、レベルの低い地方都市を増産した結果、不動産バブルと失地農民問題を引き起こし、都市の深刻な失業問題と農村の雇用喪失という現状につながっているというのだ。
なんとかして生き残りたい共青団
一方、やはり米国在住の政治評論家、陳破空は、権力闘争が背景にあるとみる。彼は、ほぼ同時期に国務院発展改革委員会が「都市移住者に対する戸籍制限の緩和」政策を打ち出したことに注目し、権力闘争の構図を次のように説明する。
「都市の知識青年の農村派遣」と「農村からの都市移住者の戸籍制限緩和」という対立する政策は、習近平のブレーンとしてイデオロギー政策を主管する王滬寧と、改革派の李克強のそれぞれの異なる路線を代表する政策である。習近平政権の毛沢東回帰的イデオロギーを推進する王滬寧は、李克強が主管する国務院による農民の都市移住を促進する「戸籍改革」路線を批判する意味を込めて、共青団にこの計画を発表させた。つまり、これは一種の権力闘争の激化の表れである、という。
また、習近平の共青団支配の一環ではないか、という見方もある。在米の中国民主活動家、楊建利は「文件をよくみれば、“1000万人下放”というのは正しくなく、実際のところは30万人未満の規模の計画だ。だから、これは典型的なイメージ工作であり政治的動揺の表れ、といえる」。つまり共青団が習近平に忠誠を誓っているのだと宣伝したいわけだ。
一般に共青団は、胡耀邦が作り、胡錦濤、李克強が指導してきた「改革派」集団というイメージがあった。だが、習近平は、優秀な知識エリート然としている共青団に対して強い敵意をもち、政権の座についてからは共青団に圧力をかけ続けてきている。共青団幹部に「党中央の後継者になれるという幻想は捨てよ」と言い放ったこともある。共青団は中央規律検査委員会から「機関化、行政化、貴族化、娯楽化」していると強い叱責を受け、一時は共青団解体説も出ていた。そこで、共青団は生き残りのため、習近平におもねる文革的政策に迎合する政策を打ち出してみせ、習近平の神格化路線に貢献する姿勢をアピールしている、というわけだ。
習近平政権は、都市部の大量失業者、とくに知識層と大量の失業出稼ぎ農民が結びつき、反体制的な運動でも起こすのではないかと恐れている。だから、習近平から敵視されている共青団は、習近平政権には盾突く意思がないということをことさら示す必要があったのかもしれない。
習近平に対する高度な“褒め殺し”か?
かつて王滬寧の教え子でもあったニューヨーク市立大学教授の夏明は、習近平の神格化キャンペーンであった“梁家河”に通じる、と指摘する。梁家河とは、習近平が文革時代下放された北陝の農村で、この地を聖地として、習近平の精神を学ぶぼうというキャンペーンそのものをさす。党内から習近平の個人崇拝が行き過ぎる、と強い批判が出て、昨年(2018年)夏以降は下火になった。
夏明が可能性としてほのめかすのは、言ってみれば一種の“高級黒”ではないか、ということだ。高級黒とは、一見持ち上げてみせるが、実のところ足を引っ張る高度な批判、妨害レトリックである。すなわち、共青団が“梁家河”を持ち出して習近平にすり寄るようにみえても、結果的に知的中国人たちや国際社会の間で「習近平がまた文革みたいなことをやろうとしている」という警戒を生み、習近平の批判増大、習近平路線の妨害につながる、というわけだ。
同時に夏明は、李克強が推進してきた「農村の都市化」政策が失敗に終わり、昨年、1300万人大卒者の就職問題に直面している状況が背景にあるとも分析している。
党主導による“計画”の限界
“下放計画”が突然メディア上で盛り上がり物議を醸した要因は、1つではなく、以上の背景が複合的に絡んでいるのだろう。
いずれにしろ、政治的な意味合いは別として、純粋にこの政策が農村の振興、雇用創出や農村の経済・文化的水準の向上効果につながるか、というと疑わしい。
おそらくは、これまでの「農村の都市化」政策の失敗がはっきりしてきたので、発想を裏返しにして考えた政策であろうが、なぜ「農村の都市化」政策が失敗したのかを踏まえていない。失敗の最大の原因は、党の主導で行われた“計画”だからではないか。
人が自由に移動し、自分でチャンスと夢を見出し、自由意志で頑張らない限り、本当の発展は手に入らない。それは個人レベルでも、都市レベルでも、国家レベルでも同じことだろう。自由と希望がないところに発展チャンスはない。そして、都市でも農村でも、人々から一番自由と希望を奪っているのは習近平政権の独裁的支配そのものではないだろうか。
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『「北朝鮮を軍事攻撃せよ」米国で再び浮上する強硬論 議会関係者が電磁波攻撃による北朝鮮の人工衛星破壊を提案』(4/17JBプレス 古森義久)、『米朝膠着、その狭間で一人はしゃぎ回る文在寅大統領 本心は米国の目をかいくぐり北朝鮮に経済協力したいだけ』(4/17JBプレス武藤正敏)について
4/18阿波羅新聞網<游客见闻:新疆被施重兵把守 如同大监狱=旅行者の見聞:新疆は強力な軍隊に守られ大監獄と同じ>ネット雑誌“寒冬= bitter cold”は4/15の報道で、漢族の観光客(仮名:王明)は、昨年8月新疆への旅行で彼が見聞したことを述べたが、中共の新疆への厳格な監視が窺われた。
中共はウイグルやカザフ人は中国国民と認めていない証拠でしょう、こんなに監視を厳しくするというのは。世界は中共のやり方に抗議し、経済制裁しなければおかしいのに、強欲な人間ばかり。

https://www.aboluowang.com/2019/0418/1276785.html
4/18阿波羅新聞網<朝鲜试射新的战术导弹=北朝鮮は新しい戦術ミサイルを試射した>ロイター通信は、「朝鮮中央通信が述べた“戦術”武器は、短距離武器であり、米国が脅威と見なしている長距離弾道ミサイルではないことを意味する」と報じた。
しかし、朝鮮中央通信の報道によると、この武器は「誘導飛行は非常に特殊であり」、「強力な弾頭」を持っていると。
米国の軍事攻撃の可能性のニュースを聞いた答えかもしれません。でも言い訳がましく、短距離ミサイルと言うところが笑わせるではないですか。

https://www.aboluowang.com/2019/0418/1276906.html
古森氏の記事のように、米国が北を軍事攻撃するのであれば、先ず北のミサイルを無力化した上で、攻撃に移ってほしい。電磁波攻撃は中露に対する牽制にもなるでしょう。その代り、米国の衛星も敵国の標的になりますが。
武藤氏の記事では「自由朝鮮」についてコメントがありません。どうせなら、彼らの動きが一番知りたい所ですが。外交的に微妙な点があって書けないのか、情報を掴んでいないのか。ただ、クーデターを起こしたとしても、朝鮮人民軍同士で内戦になる可能性もあるし、瀋陽軍が介入する可能性があります。予測は難しいです。ただ、わざわざ「自由朝鮮」が世界に声明を出し、その存在をアピ-ルしたので何らかの動きがあるのでは。CIAと連携していると言うし。
古森記事

北朝鮮・平壌の広場に設置された大型スクリーンに映し出された同国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の模様を見る人々(2017年7月29日撮影、資料写真)。(c)AFP/Kim Won-Jin〔AFPBB News〕
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
「北朝鮮に非核化を実行させるためには、やはり軍事手段が必要だ」──こんな思い切った提案が、トランプ政権に近い米国議会関係者から発せられた。その手段としては、これまでの軍事の常識を越える電磁波攻撃が効果的なのだという。
米国のトランプ政権が北朝鮮の非核化をどう実現させるかは全世界の関心事と言えよう。現在、トランプ政権は北朝鮮に対して、経済制裁を中心とした非軍事的な政策をとっている。当初ちらつかせていた軍事オプション(選択肢)は影をひそめていると言ってよい。
だがそんな状況下で、米国議会の電磁波研究機関の専門家が改めて軍事オプションの行使を提案した。最初の軍事手段として、北朝鮮が軌道に乗せている人工衛星2基を破壊すべきだという。これまでの政策論ではみられなかった新奇な提案である。
トランプ政権内外では、北朝鮮の核兵器を全面破棄する軍事手段が選択肢の1つとしてまだ排除されていないようである。だからこそ、こうした提案が出てくるのだろう。
第1段階は人工衛星への電磁波攻撃
米国議会の諮問機関「議会電磁波委員会」顧問のピーター・ビンセント・プライ氏は3月末、首都ワシントン地区の日刊新聞「ワシントン・タイムズ」に「北朝鮮非核化のための軍事オプション(選択肢)」というタイトルの長文の論文を発表した。
同論文は、北朝鮮が今も核兵器の温存を図っており、トランプ政権による現在の経済制裁継続という方法では非核化に着手しないだろう、と考察している。では米国はどうすればよいのか? プライ氏は、北朝鮮の非核化の完全実現のために軍事手段を行使するべきだと提案する。
プライ氏はCIA(中央情報局)や下院軍事委員会での勤務経験がある安全保障専門家である。専門分野としては、アジア安全保障全般に加えて、電磁波やレーザー、サイバーなどのハイテク兵器に詳しい。現在は、議会の安保政策諮問機関の「議会電磁波委員会」顧問という肩書で同委員会の総合調整役を務めている。政治的には共和党系で、トランプ政権にも近い距離にあるとされる。プライ氏の提言は当然トランプ政権にも届いているとみてよいだろう。
プライ氏はこの論文で、北朝鮮に完全な非核化を実行させるための軍事手段として3段階の措置を提示していた。なかでも異色なのは第1の手段だ。それは、電磁波攻撃によって北朝鮮の人工衛星2基の機能を破壊することである。
現在、北朝鮮は地球観測目的用と称して人工衛星2基を打ち上げ、宇宙軌道を飛行させている。2012年12月に打ち上げた「光明星3号2号機」と、2016年2月に打ち上げた「光明星4号」という衛星がすでに軌道に乗ったことを米側は確認している。
プライ氏は論文で、米国が電磁波攻撃によってこれらの人工衛星2基を無力化することを提案していた。
同論文によると、北朝鮮の2基の衛星は核兵器と組み合わせることによって米国全土の電力送信を止めることが可能になる。そのため米国にとって衛星の無力化は、米国の安全を確保することにつながる。加えて、北朝鮮のみならず中国やロシア国に対しても米国の北朝鮮非核化への断固たる意思を誇示する効果もある。
衛星の機能を破壊されただけでは、北朝鮮側が米国や韓国に対して全面的な報復攻撃に出る可能性は低い。それでも、「北朝鮮の非核化のためには軍事手段も辞さない」という米国からの強力な意思表示になるという。
空母投入で北朝鮮のミサイルを破壊
プライ氏が提案する第2の軍事手段は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル、中距離弾道ミサイル、核爆弾搭載可能の爆撃機、潜水艦、西海ミサイル発射場、寧辺核施設、ウラン濃縮秘密施設を米軍が通常弾頭ミサイルで破壊することである。
この攻撃計画での標的は合計で約150に及ぶ。米軍は空母3隻を投入し、そこから艦載機が出撃したりミサイル、ロケットを発射するなど、すべて非核の通常兵器を用いて数時間の攻撃で目標を達することが可能である。北朝鮮からのミサイル類での反撃は、米軍の既存の防衛網で十分に防ぐことができる。この結果、米国本土やグアム島など米領への北朝鮮の核とミサイルの脅威はほぼ完全に除去できるという。
第3の軍事手段は、プライ氏も「戦闘拡大の危険度が高い」と認める大規模な攻撃計画だ。北朝鮮の準中距離弾道ミサイルと短距離弾道ミサイルの合計1000基ほどを破壊するという案である。
この作戦が予定どおりに実行されれば、韓国と日本への北朝鮮のミサイルや核の脅威は完全に除去される。その破壊作戦はかなりの日数を要し、北朝鮮が韓国に全面的な報復攻撃を仕掛けるリスクも高くなる。だが、その危険性についてプライ氏は、「攻撃が敏速で標的が少数であればあるほど北朝鮮の政権自体の破壊ではないことが分かり、全面反撃の可能性は低くなる」としていた。
消え去っていない軍事オプション
こうした大胆で危険な提案は一見、きわめて過激に映る。だがトランプ政権を支持する専門家たちの間からこうした提案が出てくるという事実にこそ、注目すべきだろう。
電磁波攻撃で北朝鮮の人工衛星2基を破壊して、米国の軍事手段履行の意思を北朝鮮側に伝えるという発想は、これまで公に語られたことはない。だが、実際に行動するかどうかは別にして、トランプ政権の内部でその種の発想が実際に可能性として存在するというわけだ。
トランプ政権周辺では、これまでにも軍事手段の行使が提案されていた。2回目の米中首脳会談が不調に終わった直後の3月上旬、トランプ政権を堅固に支持する共和党保守派のリンゼイ・グラハム上院議員は、「米国政府は、北朝鮮に対する軍事力行使による非核化実現を真剣に考えるときがきた」と明言していた。
また歴代共和党政権で東アジアのアジア安保問題を担当してきた専門家のパトリック・クローニン氏(現在はハドソン研究所上級研究員)も、「非外交的な強制的手段を考える時期がきた」として、北朝鮮に対する軍事手段行使の効用を検討することを改めて提唱した。
こうした動きをみると、トランプ政権内外では軍事オプションの選択が決して否定されてはいないという構図が浮かんでくるのである。
武藤記事

ホワイトハウスの大統領執務室で、文在寅大統領(左から3人目)と金正淑夫人(左端)を迎え入れるドナルド・トランプ米大統領(右から2人目)とメラニア・トランプ夫人(右端、2019年4月11日撮影)。(c)Nicholas Kamm / AFP〔AFPBB News〕
(武藤正敏・元在韓国特命全権大使)
4月11日、ワシントンでは米韓首脳会談、北朝鮮では最高人民会議が相次いで開催された。
トランプ大統領、金正恩朝鮮労働党委員長はそれぞれ、第3回米朝首脳会談の可能性に言及はしたものの、どちらも「相手の出方次第」との姿勢を崩さなかった。その隙間で、韓国の文在寅大統領は、米朝双方から「仲介者失格」の烙印を押されながらも、仲介役として一層の役割を果たそうと必死に動き回っている。3カ国が各様の動きを示す中で、今後北朝鮮の核問題はどのように進展していくのか、展望してみたい。
トランプ大統領は北朝鮮との交渉を急がない
文在寅大統領は、北朝鮮が完全な非核化に応じるまで、南北経済協力の推進を含めた制裁の緩和の実現と、米国が消極的姿勢を示している米朝首脳会談開催についてトランプ大統領を説得するため訪米した。しかし、これに対する米国の反応はほぼ「ゼロ回答」と評価せざるを得ないものであった。
文大統領は、ポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官が同席しない2人だけの首脳会談で、トランプ大統領を説得しようと考えていたものと思われるが、肝心の「差しの会談」には両首脳の夫人が同席し、深みのある実質的な会談というより、儀礼的な面会という雰囲気を漂わせた。しかも、その29分の会談も、冒頭発言とトランプ大統領の記者団との問答に27分も費やし、2人だけの会談は実質的にはわずか「2分」であったという。
トランプ大統領は、2人だけの首脳会談の冒頭、取材中の記者団との応答の中で、3回目の首脳会談について「あるかも知れない。急いで開くのではない。順を追って進める」、「もし急げば正しい合意が得られなくなるからだ」と述べ、米朝に韓国を交えた3首脳の会談についても「あり得るが、金正恩氏次第だ」との見解を表明した。
さらに、北朝鮮の完全な非核化まで制裁を維持する立場を表明し、韓国側が期待する南北協力事業については「今は適切ではない」と述べ、容認しない考えを示した。文大統領がこれから会談で取り上げ、トランプ大統領を説得しようとしていた事柄を、あえて会談前の記者団との問答で否定したのは、文大統領の訪米の成果を期待しないよう、韓国側を戒めたかったからだ。
金正恩氏 米国の方向転換を要求
一方、最高人民会議2日目に演説した金正恩氏は、米国が「正しい姿勢でわれわれと共有できる方法論」を見つけることを条件に、「第3回首脳会談を行う用意がある」との立場を明らかにした。金正恩氏のいう「正しい姿勢」とは、昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談に立ち戻り、完全な非核化が実現するまで経済制裁を続ける構えの米国に方向転換を求めたものとみられる。

北朝鮮の平壌で行われた朝鮮労働党中央委員会総会に出席する金正恩(キム・ジョンウン)委員長(2019年4月10日撮影)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News〕
演説では、さらに「米国が、敵視政策の撤回には依然として背を向けており、われわれを圧迫すれば屈服させられると誤断している」、経済制裁に執着するのは「われわれに対する耐え難い挑戦なので傍観できず、粉砕しなければならない」と非難している。それでもトランプ大統領との関係については「立派な関係を維持している」と述べ、「今年末までは米国の勇断を待つ」としている。
第3回米朝首脳会談開催、米朝ともに難しい国内事情
米朝関係の今後を占うえ上での最大の鍵は、第3回首脳会談に向けて前向きな歩みが生まれるかどうかである。そのため越えなければならないハードルは2つある。
第1のハードルは、米朝双方の国内事情が譲歩を困難とする状況を生んでいることだ。
米国では、ベトナムでの首脳会談が物別れになったことについて、与野を問わず、「中途半端な合意をしなかったのは良かった」との意見が支配的である。また米国では、北朝鮮の非核化に向けた意思については、懐疑的な見方で占められており、米議会の朝鮮問題に関連する議員の多くは、韓国が「仲介」と称して、北朝鮮との経済協力を進めようとしていることについても、批判的である。
米国民の間では、北朝鮮問題に関する関心が薄らいでいる。ロシアゲートに関する、モラー特別検察官の報告により立場が強化されたトランプ大統領にとって、北朝鮮問題で無理やり成果を出さなければならない必然性は少なくなっている。
したがって、今トランプ政権が北朝鮮とのビッグディールを取り下げ、北朝鮮の主張に寄り添った形で合意を得ることは、トランプ政権にとってマイナスにはなってもプラスになる要素はあまりない。
反面、北朝鮮にとっても、米朝首脳会談で金正恩委員長が成果を挙げられず、制裁が維持されたことに国内で失望感が広がっており、現在、北朝鮮首脳部はこうした雰囲気が拡散しないように体制の引き締めに躍起となっている最中だ。さらに、北朝鮮の軍部からは非核化に反対する声も聞かれている。北朝鮮が最高人民会議において、自力更生によって経済成長を図ることの重要性を強調し、金正恩に「最高代表者」の称号を与え、人事の若返りを図ったことは、こうした不満を抑えるための動きであろう。
北朝鮮は、制裁による輸出の急減によって外貨が欠乏してきており、食糧不足も深刻化していると伝えられている。第3回米朝首脳会談に向け「米国の勇断を待つ」というのは、北朝鮮の苦しい事情を反映し、少しでも早く制裁を解除してほしいとの切望であろう。しかし、だからといって非核化に応じることは金正恩氏の権威を失墜させ、軍の反発も招きかねないことから容易ではない。
北朝鮮は東倉里のミサイル発射場を再建したり、新型潜水艦を建造したり、と米国を挑発しかねない動きを示している。しかし、それを本気になって実行してしまえば米国との対話の雰囲気が壊れ、再び緊張した雰囲気に戻りかねないので、それはできないのではないか。ただ、米国に対し方向転換を迫る方策は、挑発行動再開のふりをするしかないことへの焦りを示すものであろう。
このように、米朝双方ともに相手に譲歩するという選択肢はほとんどないのが現状である。
第2の制約要因は、ベトナムでの物別れの再現が許されないことである。ベトナムの失敗の原因は、首脳会談に先立つ実務者会談でほとんど交渉が進められなかったためと言われている。米国は非核化について、その定義や進め方、落ち着きどころなど詳細を実務者会談で提起したが、北朝鮮は「非核化について交渉できるのは金正恩氏だけである」として取り合わなかった模様だ。北朝鮮側が非核化について交渉する準備ができていなかったのは、米側が実務協議で提起したことがそもそも金正恩氏に伝わっていなかったのではないかとさえ思われる。これでは実務者会談はないに等しい。
そもそも金正恩氏は、ポンペオ長官との会談に失望し、トランプ大統領との直接会談で突破口を開こうとしていたと言われている。それは昨年6月の第1回米朝首脳会談でトランプ氏が北朝鮮の主張に妥協した前例があるからだ。ただその時は、米国の中間選挙前であり、トランプ氏の側に「金正恩氏との合意ができ、緊張緩和が図られたということを成果としたい」というという思惑があったからこそのことだ。しかし、最早そのような状況にはない。
第3回米朝首脳会談が開催され成功裏に終わるためには、実務者会談で深い議論が行われ、首脳会談の前に、双方にとって満足のいく結論が得られる見通しがなければならない。米国側の交渉者は、前回同様であろうが、北朝鮮側は崔善姫(チェ・ソンヒ)氏が第1外務次官に昇格し、国務委員にも列せられたことから、同氏が中心になって折衝する可能性がある。同氏は金正恩氏と関係が近いようであるが、金正恩氏に代わって非核化について交渉できるのか、これは今後の注目点である。

第一外務次官に就任した崔善姫氏(左)。ハノイでの米朝首脳会談後に北朝鮮が開いた記者会見で。右は李容浩外相(2019年3月1日撮影)。(c)Huy PHONG / AFP〔AFPBB News〕
米国も、北朝鮮問題で成果を上げるとすれば大統領選が本格化する前の方が現実的である。したがって、本年末までに何らかの方向性が出てくるかどうか、今後半年くらいが勝負である。しかし、それに失敗した場合再び緊張関係に戻るのかは、未知数である。
米朝双方から断られても韓国の「仲介外交」は変わらない
こうした中で、韓国はどう動くのか。
米韓首脳会談後の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の報道発表文によれば、「両首脳は朝鮮半島の完全な非核化及び恒久的平和定着という共同の目標を達成する案について意見が一致した」という。さらに文大統領が「近いうちに南北首脳会談を推進する計画」を明らかにしたところ、トランプ大統領は「南北首脳会談または南北接触を通じて韓国が把握した北朝鮮の立場をできるだけ早く知らせてほしい」と答えたという。このやり取りを持って文大統領は、トランプ大統領が韓国の仲介に期待している、米韓首脳会談が成功だったと述べたようである。
しかし、トランプ大統領は韓国の前のめり政策を戒めるために米韓首脳会談を行ったのである。北朝鮮との交渉を再開させるために韓国に経済協力を果たす役割を期待したわけではない。米国は北朝鮮に非核化を促すため、北朝鮮の完全非核化と制裁解除を全体として取引するビッグディールを狙っている。韓国には、米国の同盟国として北朝鮮に非核化を迫り、それに北朝鮮がどう対応するか、知らせてほしいと言ったはずである。文大統領は、トランプ氏の発言を自分の都合のいいように解釈し、行動しようとしている。それで仲介者と言えるのか。
一方、北朝鮮は韓国に対して、「仲介者の振る舞いをするのではなく、民族の利益を擁護する当事者になるべきだ」と述べている。これは、歴代の韓国大統領が南北首脳会談において、北朝鮮に対して約束した事項に関し、米国の意向を受けて棚上げするのではなく、早く実行せよと要求しているのであり、北朝鮮の韓国に対する不満を象徴する言葉である。
韓国の本心はどこに
今の韓国は米国、北朝鮮との間でうまく立ち回ろうとして、かえって双方からの不信を招いている。しかし、その実態は米国の目をかいくぐり何とか北朝鮮に対する経済協力に進みたい、というものであろう。それは、訪米直前の金錬鉄(キム・ヨンチョル)氏の統一部長官任命に表れている。

2019年4月8日、韓国ソウル庁舎で開かれた就任式に臨む、金錬鉄統一部長官(写真:AP/アフロ)
金氏は生粋の北朝鮮親派であり、米国が何を言おうと、開城と金剛山事業を進める意向と言われており、その危険性ゆえ、韓国国会の承認を得られなかったのを強行して、文在寅大統領が任命したものである。
今後、文在寅氏は南北首脳会談に向けて、金正恩氏を説得していくことになる。そのための第一弾は特使派遣であろう。しかし、金正恩氏が拒否していることから、これを実現するためには韓国からのお土産が必要なのではないか。こうした状況を打破せんとして文氏がますます北朝鮮に寄り添っていくことが懸念される。
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