『「低端人口排除」を加速する火事は“失火”か? 「現場動画」投稿で画家逮捕、「書記辞任」要求は強権封殺』(12/20日経ビジネスオンライン 福島香織)、『2018年、中国の鬱屈した30代が社会に牙をむく 「チベット映画」と「いたたまれないダンス」ブームの意味するもの』(12/21日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

12/19ダイヤモンドオンライン ロイター<中国の地方都市で「特区ブーム」過熱、債務拡大の懸念も>中国の歴史の中で偉人と言われるのは治水対策に成功した人達です。尭舜や李冰親子(四川省・都江堰ダム)等。それで中国では、土建工事が好まれるのでは。細かいことは気にせず、若干菱形になった窓穴でも“没問題”という人達ですから。侘び・寂び、精緻さを好む日本人とは大いに異なります。それと、土建工事は金額が大きく、受け取る賄賂の大きさも半端でなくなりますから、好まれることもあるでしょう。中国駐在の時に、工事が途中でストップしている建物が多くあるのを見ました。それは資金繰りができなくなると、其の儘放置、金ができるとまた再開のパターンでした。

中国人も朝鮮半島人も複式簿記を本当には理解できていないのではと思います。両者ともに借金体質です。資本主義であればやがて過剰債務は資金ショートを起こし破綻します。韓国は輸出大国なのに、通貨スワップの重要性も理解していないような国ですから、オーストラリアといくら通貨スワップを結んでも、日米と結んでなければ行き詰まるでしょう。中国は共産国家(国家資本主義)なので、政府があらゆる保証をするため経済崩壊するのには時間がかかると田村秀男氏と何清漣氏は言っています。困った時には中央政府が何とかしてくれる、株価もKPOするだろうし、不動産も価格維持の為、売却禁止することなどはザラです。中央政府を当てにし、需給を無視した計画を実行するため、モラルハザードはあらゆる面で、今既に起きていると見た方が良いでしょう。後はいつ破裂するかです。国際金融資本、ハゲタカが「豚は太らせてから喰え」とばかりに鵜の目鷹の目で狙っているのかも知れません。

http://diamond.jp/articles/-/153716

12/22<中国でネット金融が急速に成長した理由 中国金融の新たなビジネスモデルを概観する>中国のやることは総て軍事・治安優先の発想です。ネット金融が発達したのも、偽札の流通が2割を占めるのを防ぐ意味もあったでしょうし、店や個人が偽札を掴まされるよりスマホ決済が安全と理解したからでしょう。日本のようなクレジットカードが普及しなかったのは、金を貸しても返さないのが当り前の風土だったからと思います。取引しても支払代金を踏み倒すのが普通に行われ、偽装倒産も沢山ありましたので、クレジットカード会社を作ろうと思わなかったのでしょう。それと店が払うクレジットカード利用料が3~5%なのに対し、アリペイは0.6%という安さです。中国はアリペイかウイーチャット(微信)ペイの2社がネット金融の大部分を占めます。アリペイは支付宝=蚂蚁金服傘下、蚂蚁は蟻(アリ)の意味、金服は金融服務(サービス)の意味で英語では“Ant Financial”=アリババ集団の一部です。

ネット購買はアリババの淘宝や天猫モールが有名、支払いはアリペイで、「クレジット払い」も可能とのこと。個人間取引が淘宝で企業と個人間取引が天猫モールです。日本と中国の個人の信用付与のやり方が違うのは歴史と文化の違いです。どちらが優れていると言うものでもありません。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/111400180/121900002/?P=1

しかし、人類の普遍的な人権に対する取り組みは日本と中国では全然違います。中国では金融情報を国が集め、ビッグデータや賄賂防止に使うのならまだしも、個人や企業の預金が国家に没収される可能性もあります。基本的人権である財産権の侵害になります。まあ、中国人は政府や金融機関を信じていないので、金庫に退蔵していると思いますが。

福島氏や山田氏の記事のように中共政府が如何に中国人の人権を侵害しているか、「生活権」や「信仰の自由」の侵害です。日本の左翼は中国に行って、何時も政府に言っているようにクレームを付けるべきです。福島氏の記事は、火事は放火の可能性があることを匂わせています。小生もその通りと思います。山田氏の記事では、30代の中国人がチベット人の五体投地に「自由」を感じているとの話ですが、自己中心の中国人ですから、6人の老人を扶養するとなると、海外脱出を企てる人間が増えるかもしれません。中国の近くにあるお人好し民族の日本は気を付けないと。

小川榮太郎氏が書いた「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)について、朝日新聞側は謝罪や訂正、賠償を求めましたが、小川榮太郎氏は反論を送付、HPにその内容をアップしました。

http://www.sankei.com/entertainments/news/171206/ent1712060016-n1.html

その続きですが、12/22facebookで小川榮太郎@ogawaeitaro

【朝日の捏造をうやむやにしてはならぬ真の理由】朝日新聞への私の回答を「承服できず、対応を検討する」と言った朝日新聞が2週間を超えても何の対応もしてこない。

【朝日の捏造をうやむやにしてはならぬ真の理由-文章後半が大事です】朝日新聞への私の回答を「承服できず、対応を検討する」と言った朝日新聞が2週間を超えても何の対応もしてこない。  私には居丈高に「賠償を要求する」、「2週間以内に真摯に回答しろ」と言ってきた朝日が、私の「真摯な対応」から2週間経っても何も言ってこないというのは、これは一体、どこまで非常識なのだろう。  朝日新聞は森友加計事件を捏造したか、しなかったのか。  これをうやむやにすれば、日本はマスコミの嘘による政府転覆運動を容認する社会だということを自ら証明することになる。それは近未来、日本が中国に政治主権を奪われる予行練習となるであろう。  私がなぜこの件を「戦後最大級の報道犯罪」と言うかと言えば、これは主権簒奪プログラムにすぐに転用可能な、極度に危険な現象だからだ。慰安婦問題の日本の国際的名誉棄損とは異質の、はるかに直接的な危険がここにはあるのだ。  もし本当にこの問題で日本社会が戦う気がないなら、私は近い将来日本を立ち去る。自由社会であることと日本の偉大な精神伝統を二つながら失う馬鹿な祖国には耐えられない。無論、ぎりぎりまで少数の同志と学問もし、戦いも継続する。  評論家は多いが、本当に危機が見える人間の少なさに閉口する。朝日の廃業が目標ではなく自由社会の防衛が目標だ。それには自分たちの社会がさらされている危機を自覚できることこそが一番大切なのだ。朝日が怪しからんから叩く、ここにとどまっていては真の敵から身を守れない。私が今何の闘いを戦っているかを何とか正確に分かってほしいのだ。本当に失ってしまう近未来を越させないために。」(以上)

小生が本ブログを立ち上げたのも、中国の危険性(軍事侵略・人口侵略と共産主義浸透による自由社会破壊への)について警鐘を鳴らしたかったためです朝日新聞購読者は経営を助けることにより中共のお先棒に手を貸していることになっていることに早く気が付かないと。

12/23アノニマスポスト<【NHK】自民党に投票した若者が理由を述べる ⇒ 東大教授「もう少し真剣に考えて!」⇒NPO代表「何も考えず現状維持で自民は短絡的!」www>東大もバカが教授をやっているという事です。まあ戦後利得者である東大が既存の仕組みを温存しようとするのは当り前のことかも知れませんが。難関と言われる司法試験に代表されるように、勉強すればするほど護憲に考えが凝り固まるようになっています。公務員試験もそう。学びて思わざれば則ち罔しの典型です。ですから、法曹界(司法)や官界(行政)の座標軸は大きく狂ってしまう訳です。自分の頭で考えず、学力だけでエリート面する訳です。真のエリートとは程遠い。政界(立法)を選挙と言う手段で国民の意思を反映させるしかありません。今の若者の方が情報選択の間口の広さを持っていて、危機に対して自分の頭で考えているという事です。それができない老人は若者に託すべきです。左翼は若者に対し「徴兵制復活」と脅して味方につけようと思ってきましたが、現代の戦争で徴兵制復活はあり得ないことを今の若者はチャンと知っています。

http://seikeidouga.blog.jp/archives/1069001178.html

福島記事

11月に北京市郊外で起きた大火事の後、街はゴーストタウンに(写真:ロイター/アフロ)

北京の大興区で起きた出稼ぎ労働者向け簡易宿所の火事をきっかけに、大規模な“出稼ぎ者駆逐政策”が始まっている。防災・安全を建前に、大都市の機能を底辺で支える農村出身出稼ぎ者たちが暮らす“ドヤ街”や彼らが働く違法工場の一斉撤去を行い、彼らを“低端人口”(低級の人口)として北京から排除し、直面する人口問題を解決しようというものだ。

だが、あまりに突然で暴力的であることから、少なからぬ良心的知識人たちは、これを憲法違反の人権問題として批判している。片や北京市当局は「そもそも低端人口など北京に存在しない」として、この低端人口駆逐政策自体がネットのデマだと主張。しかも、抗議の声をあげる知識人たちの拘束・逮捕に乗り出した。背景には、国家主席・習近平の信任を得ている北京市書記・蔡奇の強気の姿勢があるとみられる。火事からすでに1カ月以上たつも、問題は収束するどころか、より深刻な人権問題に拡大しつつある。

大火事をきっかけに“一斉駆逐”

出稼ぎ者の簡易宿所、日本で言うところのいわゆる“ドヤ街”の一斉撤去と、そこに暮らす出稼ぎ者の“駆逐”は、すでに日本メディアでも「低端人口問題」として詳細に報じられている。

改めて概要をまとめると、事の起こりは11月18日。北京市南部の河北省と隣接する大興区の新建二村の簡易宿所・聚福縁公寓で幼児・子供8人を含む19人が死亡する大火事だった。この地域には北京市のサービス業などを支える農村戸籍の出稼ぎ者が吹き溜まるように暮らす。火事が起きた聚福縁公寓は違法増改築を繰り返し、老朽化した建物で、10平方メートル前後の部屋が300ほどあり、400人以上の出稼ぎ者と家族が暮らしていた。

一部屋が日本円にして一万円前後という安さだが、防災設備どころか窓すらなく、建物内も入り組んでいた。三つある出入口も一つが封鎖されていたという。一階は食堂、地下には冷蔵室があり、失火原因は、その冷蔵室の故障漏電による火花が冷蔵室の断熱材に使われていたポリウレタンに燃え広がった、と言われている。

この火事自体が悲惨な事件であるが、問題はその後の北京市の政策である。北京市は、この火事を機に防災対策として、郊外にあるこうした違法増改築された建物や老朽化した建築物を年末までに一斉撤去することを決定。建前は、都市の防災・安全対策だが、その狙いは増えすぎた北京市人口を抑制するために“低端(低級)人口”と呼ばれる、都市の最低層の仕事を支える農村戸籍の出稼ぎ者を駆逐することだった。

当局は「問題」認めず情報統制

ちょうど北京に来ていたので、火事の現場の大興区西紅門鎮の新建二村にまで来てみたが、そこの住人はすでに完全に追い出され、撤去を待つ空(から)の老朽家屋が立ち並ぶゴーストタウンと化し、がれきの山が築かれていた。ついひと月前までは、このあたりに万人単位の出稼ぎ者らが普通に暮らしていたのだ。

この場所に連れてきてくれた白タクの運転手も山東省の出稼ぎ者だが、「このあたりに住んでいた出稼ぎ者は、北京市の居留証もなく、最低辺の仕事をしていた。自分は北京にきて6年目で居留証も得ているので、彼らとは違う」と説明した。同情はしていないようだった。

多くの“ドヤ”が問答無用で撤去され、そこに住んでいた労働者と家族たちはいきなり、北京の寒空に放り出されることになった。その数は10万人とも数十万人とも、最終的には100万人に達するともいわれている。

だが北京市当局はこの事件に関する報道を統制、インターネットのSNSで低端人口をはじめとする関連用語を打ち込んでも表示されず、動画や写真も削除対象となっている。

実際のところは、北京の郊外にいけば、こうした強制的に住人を追い出しゴーストタウン化したドヤ街がいたるところに広がり、あるいはすでにがれきの山となっており、またキャリーバッグなど手荷物を持って零下の夜をさまよう出稼ぎ者らが未だ、見かけられた。こうした人たちに、市は新たな職業や宿舎を提供している、という報道もあるが、必ずしも全員に救済措置がとられているわけではない。一部良心的な知識人、アーチストら5000人以上が、こうした北京市の政策が、憲法違反の人権問題であるとして公開書簡で抗議の声をあげている。

「さまよう出稼ぎ者」動画投稿で逮捕

そうした抗議者の一人が北京郊外にある芸術家村・宋荘(通州区)にアトリエを構える画家・華涌(48)だった。華涌は11月下旬から、北京市の政策により出稼ぎ労働者向けの簡易宿舎が強制撤去されている様子や、宿舎を追い出され、零下の北京をさまよう農村戸籍の出稼ぎ者の映像をスマートフォンで撮影し、動画サイトに投稿し、反響を呼んでいた。だが彼の活動に協力した出稼ぎ者が少なくとも5人、警察に逮捕され、彼自身にも危険が迫った。

華涌は12月7日から天津市の友人宅に身を隠していたが、15日夜、ついに警察に連行された。友人宅に警察が来てドアを叩く音が聞こえるなか、華涌がスマホの自撮りで、「すでに刑務所に入る覚悟はできている」と、これから連行されるべくドアを開けることを宣言。「あと三日で娘の誕生日なのだが、一緒に祝えなくて残念だ」と語り、「ハッピーバースディトゥーユー」を歌い、自由になったら、君を世界につれていってあげる、と娘にメッセージを残している(その後、19日までに保釈された)。華涌は48歳、遼寧出身で、かつて天安門広場で、天安門事件を追悼するパフォーマンスをやったために一年三カ月の労働教養所送りになったことがあった。この秋の党大会期間も、自宅軟禁にあっていた。

この事件について、環球時報は、一時期、一部で暴力的な撤去が起き、世論の批判を受けたが、こうした世論を参考に当局は善処しているとして、華涌の抗議は単なる煽情的なパフォーマンスだと批判した。

だが、低端人口問題は公式メディアのいうように、すでに解決し、鎮火した問題かというと、むしろ新たな“火事”が続き、拡大している。

12月13日未明、朝陽区十八里店郷白墙子村のドヤで再び火事が起き、5人が死亡していた。この村も、撤去対象になっていた。火事の原因は無資格者が設置した電動車用充電器らしいが、消防隊はこの地域が撤去対象だからといって出動せず、住人に救出も行われなかったようだ。このドヤにその日に宿泊を開始したある男性は3階から飛び降りて足を骨折して一命を取り留めたが、一緒に泊まっていた息子は死亡したという。この村から遠くない別のドヤ街の村でも11日と12日の夜に火事があった。

こうなってくると、大興区の火事も含めて、本当に撤去予定になっているドヤ街の火事は、失火なのか、という気もしてくる。もちろん、そうした疑問の声はおろか、事件に関する情報自体が統制されている。13日には大興区の龐各荘でも暴力的強制撤去があり、何の準備時間もないまま、布製品加工工場が取り壊された。布など工場にあった材料や車は押収されたという。

「書記批判」封じ込め、強権で強行

こうした激しく暴力的な政策について、北京市書記の蔡奇への批判は高まっているが、それもメディア統制によって封じ込められている。12日、こうした批判を避けるために、蔡奇は都市生活のサービス産業を支える低収入労働者への慰問をこれ見よがしに行い、それを公式メディアに報道させた。蔡奇は都市の清掃、家政、流通、飲食業などに従事している低収入労働者を十分に尊重し、関心をもって彼らの問題を解決せねばならない、とコメントした。だが、こうした実際の行動と裏腹のパフォーマンスが、さらに不信感を呼んでいる。

13日、北京市の北京大学、清華大学、人民大学らの大学生有志84人による「北京市書記・蔡奇先生に辞職を促す」と題した公開書簡がネットで発表された。公開書簡では「今回の暴力的な公民の駆逐政策の悪影響は深刻で、大衆と共産党の関係を損ない、この責任を誰かが負わねばならない。我々は法規・規律を乱したとして、北京市委書記・蔡奇先生に即刻辞職していただき、天下に謝っていただきたい」と訴えているが、当然この公開書簡の載っているサイトはすぐさま削除、封鎖された。

この政策の背景には、今年秋に、2020年までに北京市の人口を2300万人以下に抑制するという都市計画が打ち出されたことが関係している。北京市の人口は2016年末に2172万9000人と発表されている。このうち800万人以上が外来人口と呼ばれる北京市外から流入した人口だ。さらに統計上にカウントされていない出稼ぎ者が100万人から200万人いるともいわれ、北京人口の実質はすでに2300万人を超えている。

北京だけでなく、上海、広州などの大都市では人口爆発の問題が深刻で、都市資源、特に交通インフラの維持や生活用水の確保のためには、都市人口抑制は重要な課題である。その処方箋として“低端人口”の都市からの排除は、かねてから都市計画の専門家から指摘されていた。“低端人口”という言葉そのものに込められている蔑視や、実際に都市サービス産業がこうした外来人口に支えられている現実から、こうした党内部の“政治用語”が表だって使用されることは、これまでほとんどなかったが、習近平政権が二期目に入り、習近平の権力基盤が強化されたことで、習近平派閥の筆頭でもある蔡奇が自分の強権に自信をもち、この強硬な政策を実行に移したと見られている。ある北京市民は「蔡奇書記が自分の権勢の強さを周囲に見せつけるために、今回の“駆逐”政策に踏み切ったのだ」との見方を示した。

都市生活の恩恵を受けている北京市民には、人口爆発を防ぐために正規の居留証を持たずに北京に暮らす“低端人口”の駆逐は致し方ないという意見を言う人も少なくないが、一方で大学関係者や学生、知識層らいわゆる“高端(ハイレベル)人口”に、こうした非人道的な政策はおかしいとはっきり言う人も少なくない。

北京清華大学社会学系教授の郭於華はBBCの取材に「自分の学生で、すでに博士号をとって、大学への就職も決まっている者も、この強制撤去政策で住居を失った。彼は“高端人口”に属する人間だが、この種の人権侵害の政策は、今日は他人ごとでも、明日は我が身だ」と訴えている。この政策に大学生たちが敏感に反応しているのも、実のところ、地方出身の学生の中には、大学卒業後も就職先が見つからず、“低端人口”に陥ると心配している者も多いという現実があるからだろう。

「人民」はどこに?

また、生粋の都市民の中にも、この政策によって“高端人口”の都市生活が大きくマイナス影響を受けている、と懸念を言う人もいる。例えば、都市民の生活を支えるネット通販は、こうした出稼ぎ“低端人口”が運転する宅配便用の電動自動車に支えられているが、今回の“低端人口駆逐”によって、大手宅配会社・順豊の北京方面における運送センターのおよそ十分の一が、人手不足で機能マヒに陥り、宅配の遅延や誤配が一気に増えた。

順豊は一応、自社で宿舎を確保することで、この問題を解決するとしているが、「この政策の結果、宅配便の単価が上がってしまうかもしれない。結果的に、清掃、飲食サービス、ガードマンといった底辺の仕事を低賃金で担う人員が減って、都市サービスの単価が値上がりしたり、質が劣化するならば困る」という市民もいた。

習近平はこの秋の党大会の政治活動報告で、「人民を中心とする」という方針を強く打ち出している。習近平政権の政策ブレーンを自任する清華大学教授の胡鞍鋼は「習近平政権では、『人民』を強く打ち出していることが特徴。人民を中心とする、とは『人民の人民による人民のための政治』ということであり、これが執政党としての正統性の根拠となる」とリンカーンの名言を引用して説明していた。だが、現実をみると、この人民とはいったいどこにいるのか。習近平政権二期目の政治は、「人民を中心とする」ではなく「人民を排除する」政治であり、もはや、その執政党としての正統性は暴力でしか維持できない状況に陥っているということではないだろうか。

山田記事

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

「いたたまれないダンス」の先駆け(左、鄭州2015年)と、「いたたまれない人」と揶揄される人の典型的なタイプ(上海2016年)

中国でも流行語が話題に上る季節が今年もまたやって来た。かつてこのコラムでも書いたが、中国では日本漢字能力検定協会が決め清水寺で発表する「今年の漢字」や、「ユーキャン新語・流行語大賞」のような、「今年の漢字・流行語と言えばコレ」と国民の間に定着しているものがない。そこで、『咬文嚼字』という言語学の専門誌や、『新周刊』という隔週刊誌等、その年のキーワードや流行語を特集で取り上げることの多いメディアにいくつか目を通してみると、共通して取り上げられていたのは「尬」(ガー)という字だった。

「尬」は通常「尷尬」(ガンガー)と2文字セットで使われることがほとんどで、「いたたまれない」「気まずい」という意味。それがここ2、3年、「尬」の字を「尷」ではない他の字と組み合わせて使うケースが出始め、今年になって流行と言えるまでに拡大した。

なかでもよく使われる組み合わせは「尬聊」(ガーリャオ)と「尬舞」(ガーウー)の2つだ。

「尬聊」はネットで知り合った面識のない相手とチャットでおしゃべりを始めたものの盛り上がらず、気まずい雰囲気になることを表現するのに生まれたネット用語の1つだった。そこから派生して、初めてのデートで会話が弾まないことなど、ネットからリアルの世界にまで発展してきた言葉である。

踊り狂う「いたたまれない」50・60代

「尬舞」は、「舞」という字で分かるように、「いたたまれないダンス」という意味。ダンスはダンスでも基本的にはダンスバトルのことを指すらしい。尬舞を躍る人たちの様子を映した掲載できる写真がなく残念なのだが、彼らの出で立ちからダンスそのもの、発する雰囲気まで、何から何まで見ていて確かに「いたたまれない」のだ。

ピンクや黄色など奇抜な色に染め、両サイドを剃り上げて弁髪風にしたヘアスタイル、系統的にはストリート系のはずなのに、70年代から80年代にかけての日本に出現し社会現象になった暴走族やタケノコ族のにおいをも感じさせ、それらのいずれをも2段階ぐらいダサくしたようなファッション。相手を小馬鹿にしたような、世の中を舐めきったような、怖い物なしといった表情。すべてが露悪趣味に溢れている。見ているのが「いたたまれない」し、見ているこちらが「気まずい」気持ちになる。日本で言うところの「イタい」に通じる部分もあるかもしれない。

「尬舞」の発祥の地は内陸の河南省鄭州の公園だ。その後、全国に広まっていくにつれ、ダンスを踊る人の年齢層も拡大していったようだが、中国のネット動画サイトで、発祥の地である鄭州で中心になって踊っている人等を観ると、中高年がほとんどであることに気付いた。

その後、検索大手「百度」のネット記事で「鄭州の尬舞チームで躍っているのは一体どんな人?」という記事を見つけ読んでみると、やはりそうだった。中心メンバーの年齢は50代半ばから70歳ジャストまで。文化大革命(1966~76年)の前後に学齢期だった文革世代の人々である。

「自由=好き勝手に振る舞う」

「尬舞」の流行を牽引する露悪趣味の文革世代が踊り狂う様を見ていて、やはり文革世代の上海人男性が話していたことを思い出した。彼は私よりも2つ年上の今年54歳だから、文革が終わった76年には中学1年生だった。中国有数の名門、上海復旦大学を卒業したエリートである。

その彼が、日本旅行から帰ってきたばかりだといって話してくれたのは「自由」の話だった。「日本もシンガポールも旅行で行ったけど、中国がやっぱりいいよ。だって自由だもんな」と言うのだ。

自由とは、言葉が不自由だったからつまらなかったという意味かと思ったが、しかしシンガポールなら中国語が通じるはず。すると彼は、「違う違う。日本は町も電車の中もレストランもどこもかしこも静かじゃないか。大声でしゃべると冷たい目で見られるだろ。それにシンガポールも日本も、道路にツバを吐いたらイヤな顔をされる。シンガポールはゴミを捨てたら罰金だぜ。その点、上海はツバは吐き放題、ゴミは捨て放題、大声でしゃべってもだれも文句を言わない。中国はまったく自由さ」

自由には責任が伴うものだとか、自由は不自由なものだとか言うような、自由についての議論をここでするのはやめておく。ここでは、中国の文革世代は、「自由」を「好き勝手に振る舞うこと」と捉えているようだということ、そして、この世代が踊る様を、若い世代が「いたたまれない」という思いで見ており、そこから「尬舞」という言葉が生まれたようだということを、ひとまず覚えておいてほしい。

祈り、巡礼できる自由

五体投地でラサへ巡礼の旅に向かう人(『ラサへの歩き方~祈りの2400km』。12月23日(土)からシアター・イメージフォーラムでロードショー公開。配給:ムヴィオラ)

ここでもう1つ、2017年に中国でヒットしたものを取り上げたい。『ラサへの歩き方 祈りの2400km』(原題『岡仁波斉』、カイラス山の中国名。監督・チャン・ヤン)という映画である。チベット自治区の小さな村に住む村人たちが、チベット仏教の聖地ラサ(拉薩)、そして聖山カイラス山へ向かう合計2400kmの道のりを、「五体投地」という礼拝をしながら1年をかけて徒歩で巡礼する様子を描いたロードムービーだ。ドキュメンタリーではなくフィクションだが、演じているのは実際にチベットの村に住む一般人だという。

「五体投地」とは、両手、両膝、額の「五体」を地面に投げ伏して祈りを捧げる、チベット仏教で最も丁寧な礼拝のスタイルのこと。主人公等らの住む村があるチベット自治区東端のマルカム県は標高が平均4300m、カイラス山は6656mと、日本では体験できない高地にある。歩くだけでも気が遠くなりそうなこの厳しい環境を、彼らは、尺取り虫のように体を投げ出す礼拝をしながら、徒歩で歩き通すのだ。参加しているのは幼い少女から妊婦、老人の3家族11人。撮影中、妊婦は本当に道中で出産し、伴走のトラクターの荷台に新生児を載せて巡礼を続ける。今年の6月に中国で公開されると、興収1億元(約17億円)、動員300万人(2017年10月現在)という、「芸術映画」のカテゴリーで過去最高の空前のヒットになった。

さて、言ってみれば、聖地に向かって老若男女がひたすら歩き続ける映画がなぜ、中国で大ヒットしたのか。

日本での配給元のムヴィオラによると、「中国に先駆けて2016年7月に世界で最初の劇場公開が行われた日本では、映画を観るだけで心を整えることができるという声が高まり」、約2万人を超えるスマッシュヒットになったとのことだ。

ただ、短からず上海に住み、少数民族や農村の人たちの生活や現状にほとんど関心を示さない都会の中国人のことを知っている私は、この映画が流行ったのは、生活に余裕のある富裕層や上位中間層が、「スローライフが好きな私」に酔いしれ、他人にもそれをアピールするために、いわばファッションとして観たというところなのではないか、と思っていた。

しかし今年の12月半ば、渋谷の試写室で初めて本作を観ている途中で、いささか考えが変わった。あり得ないような猛吹雪で息ができなくなっても、豪雨で道路が川のようになりおぼれそうになっても、対向車にぶつけられ伴走のトラクターが走れなくなっても、崖崩れの落石で足をケガしても、慌てず騒がず、しかし歩くことを止めない彼らの姿に、観客等は純粋に心を揺すぶられたのだろうと。1年もの巡礼の間、収入がなくなるのを承知で旅に出て、聖地ラサに着いた時点で持ち金がなくなると、旅をいったんやめ、現地で洗車や建築現場の肉体労働をして数カ月金を稼ぎ、金がたまるとまた、聖山カイラスに向かうという彼らの生き様に、心を動かされた。そこに、普遍的なものを感じたということなのだろうと思った。

一人っ子政策の犠牲者たちのやるせなさ

そして、試写の後にあった談話会に登壇した本作の字幕翻訳を務めた樋口裕子氏から興味深い話を聞いた。「最近訪れた上海で、どのような人たちが本作を観たのかと聞いて回ったら、30代の若者が中心だった」というのだ。そして、「30代の人たちというのは、企業の中で責任は重いし、立場的にも難しい位置にいて、とても疲れているらしい。そういう人たちがこの映画を観たそうだ」と。

この話を聞いて私は、いたたまれないという意味の「尬」という言葉が流行ったことにつながるものを感じた。

いまの中国の30代は、1979年に施行され2015年に廃止になった「一人っ子政策」の第1世代と言える世代だ。一人っ子政策が廃止されたのは、少子高齢化で老齢人口を支えることが困難になり始めたためである。子供のころは、双方の祖父母に両親合わせて「6つの財布を持つ」と言われた一人っ子世代だが、今に至って、1人で6人の老後を支えなければならない可能性があるという不安を抱えるようになった。そのような立場にある彼らは、仕事を簡単に辞めるわけにはいかない。樋口氏の言う「彼らはとても疲れている」というのは、仕事だけでなく、社会的な構造を背負わされたプレッシャーから来る疲れもあるのだと思う。

その都会の30代の彼らの目に、仕事を1年以上も休んで巡礼の旅に出るチベットの人たちの姿は、いかにも「自由」に映ったのではないか。ちなみに、チベット族など少数民族は、一人っ子政策の対象から除外されていた。

一方、都会に目を転じると、「自由」を「好き勝手に振る舞うこと」と解釈している50代、60代の大人たち、すなわち、一人っ子世代が支えなければならない中高年たちが、脳天気に「尬舞」に興じている。

「いたたまれない」を意味する「尬」という言葉の流行は、「オレたちは自分を犠牲にして、こんな大人たちを支えていかなければならないのか」という一人っ子世代のやるせなさや憤まんが爆発する前兆のように思える。その思いが高じて、2018年に、この世代が社会に牙を剥いても、何の不思議もない。

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『2018年の韓国文政権が抱える「ヤバい火種」を元駐韓大使が指摘』(12/19ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)について

12/22日経<政府、ベルギーにNATO日本代表部>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24951390S7A221C1EAF000/

12/22日経<米、北朝鮮追加制裁案を配布 石油精製品の9割規制>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24950870S7A221C1I00000/

12/22日経<米、対北朝鮮・対テロ結束に影響も 「首都認定」で非難決議 トランプ政権、指導力に傷>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24974470S7A221C1FF8000/

12/22日経<賛成の日本、米の要請断る エルサレム非難決議>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24960730S7A221C1000000/?nf=1

12/22日経<日本、中東との関係考慮 「エルサレム首都」撤回決議に賛成>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24975080S7A221C1FF8000/

NATO日本代表部設置のニュースは、日本もNATOの一員になり、中国封じ込めで欧州にも協力して貰えるようにする第一歩でしょう。ロシアや中国は入れて貰えないでしょうから。国連でのエルサレム非難決議で日本が賛成に回っても良いように米国と充分に擦り合わせが行われたようです。それは当然で、目の前に北の脅威が差し迫っている訳ですから。トランプが「金だけ貰って米国に反対するのはケシカラン」という気持ちは分かります。モノを言うのであれば援助は断るべきです。中国や韓国のように日本から多大な援助を受けても反日に勤しむ国があり、本来であれば支援を断るべきかと。アホなのは日本政府でしょうけど。支援に精を出した日本の政治家を選んだ国民の責任です。たまにはトランプのように強く出た方が良いと思います。特に国連に対しては、いつまでもATMの役割を果たすだけでは国益を損ねます。外交は脅すことも必要です。大人ぶるのは勇気のない証拠、外務省はもっと真剣に国益を考えて交渉してほしい。

12/23中国観察<金正恩羞辱習近平 美製定攻朝計劃 黨媒曝天價金援結下友誼——英媒:以空襲敘利亞為藍本 美製定攻朝計劃 阿波羅網=金正恩は習近平に恥をかかせ、米国は北の攻撃計画を制定 党のメデイアは北との関係は金で結ばれた友誼と明らかにした 英国メデイアはシリア攻撃を手本として米国は北の攻撃計画を制定と アポロネット>『中朝関係は血で結ばれた友誼と言われるが、1990年からの15年間で中国が北を財政援助したのは15億~37.5億$にも上り、金で結ばれた友誼であった。マクマスター補佐官は「米国が与えている印象としては、北が協議を拒んでいるので、米国は軍事行動について真剣に議論している」と。ジョージ・W・ブッシュ時代の国家安全委員会国防戦略局長のケリーは「私が知っている所では、北が核放棄しない限り、米国は北の核の破壊の為の先制攻撃をするだろう。ホワイトハウスは放棄か攻撃かの二者択一を迫られている」と。シリア攻撃で、米軍の59発の巡航ミサイルは、シリア空軍基地の総ての戦闘機が飛べないように建物・設備を破壊した。北への攻撃はこれを手本とするだろう。日本の朝日新聞に依れば、専門家の意見として、「北は生化学兵器を開発、世界がパンデミックに襲われるかもしれない。もし、北がICBMに炭疽菌を搭載して試射したり、生物製剤を攻撃用の武器に使うのであれば、その破壊性は核以上に恐ろしいことになる」と。』

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/22/384665.htm%E9%87%91%E6%AD%A3%E6%81%A9%E7%BE%9E%E8%BE%B1%E7%BF%92%E8%BF%91%E5%B9%B3-%E7%BE%8E%E8%A3%BD%E5%AE%9A%E6%94%BB%E6%9C%9D%E8%A8%88%E5%8A%83-%E9%BB%A8%E5%AA%92%E6%9B%9D%E5%A4%A9%E5%83%B9%E9%87%91%E6%8F%B4.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

武藤氏の記事に依れば、文大統領の支持率が一時84%にも上ったとのこと。プーチン並の数字です。でも左翼政権ですから操作した可能性もあります。彼の内政・外交を見ればそんな高い数字が出るとは思えませんが、もし真実の数字だとすると韓国民のレベルを表していることになるでしょう。妄想だけで生きている民族ですから。自分に都合の悪いことは総て脳内で自分の理想に変換し、あるべき姿を主張するだけ、そのためには強請り・タカリも厭わない見下げ果てた民族です。ですから何世紀も中国の属国であったし、今でも中国から見下された扱いを受けています。蝙蝠外交を続けてきたせいか、米国からも「信頼できない友人」との評価も貰いました。自分達が孤立しているのに気付かず、「日本の孤立」を言い立てるのですからご気楽な人達です。戦争と経済崩壊の危機は目前なのに。徳政令を出したら、経済がガタガタになるのが左翼政権は見えていません。5ケ年計画もうまく行くはずがありません。朝鮮日報に依れば青年の実質失業率は23.6%とのこと、家計債務もGDPの93%(1346兆ウォン、因みに日本の家計債務はGDPの58.4%)と借金で消費を支えている構図です。徳政令を敷いたので金融機関も貸し出しには慎重な姿勢を取るでしょう。経済がシュリンクすることが考えられます。中国共産党と同じく、強制融資させれば、外資は逃げ出すでしょう。通貨価値が下がるだけですから。

https://snjpn.net/archives/26840

http://japanese.joins.com/article/074/232074.html

日本に擦り寄ってこようとも、世界に慰安婦像や強制徴用像を建てようとしている国を助ける道理はありません。「慰安婦合意の着実な履行」を求めて門前払いすれば良いでしょう。中国との通貨スワップも口約束だけのようですし、地獄に落ちるしかないのでは。読売の記事に依れば「日韓関係は今後良くなる」と考えるのは、日本人は5%に対し、韓国人は56%とのこと。こんな数字で韓国に宥和政策を採れば次の選挙でボロ負けするでしょうから、政府は韓国を助けることはしないでしょう。朝鮮有事の際の邦人救出の打合せもしないような国ですから。

http://news.livedoor.com/article/detail/13230583/

記事

Photo:代表撮影/ロイター/アフロ

歴代最高の支持率を得た“人権派”の大統領

11月10日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任6ヵ月を迎えるに当たり、韓国「ギャロップ」が実施した世論調査によれば、文大統領のこれまでの職務遂行を肯定的に評価する人は74%であった。大統領選挙での得票率が41%であったことを考えれば、6ヵ月後としては驚異的な数字である。6月2日には歴代最高の84%の支持を得ていた。

韓国では最近、いわゆる“人権派弁護士”が選挙で当選するケースが目立つ。故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長、そして文大統領である。

韓国は、一部の特権層とエリートがいい生活を送っているのを尻目に、多くの庶民は努力しても報われない社会になっている。「七放世代」と言われ、「就職」「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「夢」「人間関係」をあきらめた若者や、生活苦にあえぐ高齢者世帯が多い。そのため、「庶民の生活を守る」「貧困層の生活を改善する」と訴える、人権派弁護士たちに支持が集まるのである。

文大統領も、そうした庶民の期待を背負い、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)の保守政権の政策を「積弊(せきへい)」と糾弾して当選した。北朝鮮への融和政策を懸念する保守層は、彼以外に投票したが、票が割れて経済や福祉政策に重点を置いていた文大統領が当選したのだ。

文大統領は、「コミュニケーションや感性を重視した、型にはまらない統治スタイルを導入、「不通(コミュニケーション不足)」と「権威」に象徴された朴前大統領との違いを印象づけ、朴前大統領の親友で得体のしれない崔順実(チェ・スンシル)の国政介入に憤った民意をなだめ、国政を落ち着かせた。

こうした「リーダーシップが評価され」(聯合通信)、70%を超える支持率を維持している。しかし、文大統領が国民の期待する最低賃金引き上げなどの経済政策や、焦眉の急となっている北朝鮮の核ミサイル問題への対応、そして日本人が期待する、日韓関係の改善に成果を上げているわけではない。

文政権を取り巻く課題は、2018年に、より困難な問題として先鋭化するであろう。その時、文政権はどのように評価されるのか。韓国にとって困難な状況を克服できるのか、2018年の韓国を展望してみたい。

5ヵ年計画の柱は経済と南北関係

文大統領は、7月19日、「国政運営5ヵ年計画」を発表した。その柱は、経済と南北関係である。

経済については、所得格差の広がりへの対応に注力し、20年に最低賃金1万ウォンの実現を目指すこと、対北朝鮮政策では「2020年の核放棄合意」を目標に、非核化と平和体制構築に向けたロードマップを17年中に策定することの二本柱である。

文政権の政策理念は、「庶民や弱者中心の政策」であり、その核心は「所得主導の成長論」に基づいた経済政策と福祉政策である。

5月12日、文大統領は仁川国際空港を訪れ、公団で働く約1万人の職員を全員、正規職に転換するよう指示した。また、任期内に81万人の公共部門雇用を新たに創り出すことで失業問題を解決すると発表、民間企業にも新入社員の採用拡大や非正規社員の正規社員への転換を強く注文した。さらに、現在6740ウォンの最低賃金を、2020年までに1万ウォンへと54%引き上げる(18年は7530ウォンで16.4%増)と公約した。

さらに福祉面では、MRI検査やロボット手術など、これまで健康保険の適用外であった3800余りの適用外項目を適用項目に転換する「文在寅ケア」を2022年までに設ける方針だという。

また、月20万ウォンの高齢者年金を30万ウォンにひきあげ、月10万ウォンの児童手当も新設する。政府は、これらの経済政策や福祉政策に約120兆ウォン必要だとするが、当面一般国民を対象にした税金の引き上げは行わない方針である。代わりに所得税や法人税の最高税率を引き上げ、「超高所得者や超大手企業の所得を再分配する」という。しかし、何といってもその本質はバラマキである。

こうした文政権の政策に対し、韓国企業は表立って反旗を翻すことはできない。財界も表向きは文政権に協力する姿勢を示しており、文大統領の訪米には52社が同行し、5年間で128億ドルの対米投資を行うことにした。大統領に公然と反抗すれば、サムソンの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長のように逮捕拘禁されかねないからである。

しかし、企業の国外脱出の動きは始まっている。韓国の老舗紡績企業は、工場の一部をベトナムに移転することとした。最低賃金上昇によるコスト増に耐える余力がなくなり、韓国から出ていくのである。コンビニチェーンも次々に無人店舗を導入している。無人化の流れは書店、郵便局、カフェ、ガソリンスタンドにも広がっている。

OECDは、11月28日発表した「世界経済見通し報告書」で、韓国の成長見通しを3.2%と0.6%上方修正している。これは半導体業界の活況による輸出と投資の増加によるものである。しかし、「最低賃金引き上げに伴う賃金費用増加、法人税率引き上げに伴う投資鈍化、地政学的緊張は下方リスク」と指摘し、急速な賃金引き上げは経済成長を脅かす要因になりかねないと警告を発している。

また、韓国最大のシンクタンクの一つKDI国際政策大学院招聘教授の金大棋(キム・テギ)氏は、「韓国政府の債務はまだ健全な水準だが、過剰な家計債務、日常化する災害、統一費用まで考えた場合、余力は小さい。先進国の例が示すように、福祉拡大が始まると、負債はコントロールできずに増える。国家の債務危機は通貨危機で経験した企業債務の次元と異なる」と危機感をあらわにしている。

文在寅大統領の経済政策は、労働者に寄り添うものであり、短期的には“人気取り”になるかもしれないが、より長い目で見ると雇用の減少、企業の競争力の低下、政府債務の増大となって跳ね返り、経済の停滞を招くことになるであろう。それでも経済が好調なうちはまだいい。しかし、韓国経済は財閥依存、半導体依存といったすそ野の狭い経済であり、いずれ破たんへの道を進みかねないのが懸念材料である。

北朝鮮問題で主導権を握ると言いつつ右往左往

外交面では、周辺の4強(日本・米国・中国・ロシア)との関係で、バランスを取りつつ、朝鮮半島問題で主導権を握ることを政策の基本にしている。ただ、肝心の北朝鮮との関係では、北朝鮮の挑発行為のために融和政策が思うように進んでおらず、また、THAAD配備問題では米中の板挟みにあっている。

北朝鮮は、今年9月に昨年の核実験の13~14倍に当たる規模の6回目の核実験を行った他、11月28日にも米本土全域をカバーすると言われる新型のICBMを発射した。これまで文大統領は、北朝鮮が「ICBMに核弾頭を搭載したときがレッドラインだ」と述べていた。だが、今回のICBMは、大気圏への再突入や終末段階での精密な誘導、弾頭の正常な作動などの能力を立証できなかったとして、あくまで「ICBM級」であってレッドラインは越えていないと主張している。

文大統領は、制裁などの圧力は対話に導くためのもので、重点を置いているのは「対話」だとしており、軍事当局者会談と赤十字会談を提案したが、いずれも北朝鮮に拒否された。また、北朝鮮への800万ドルの人道支援は宙に浮き、2018年の平昌オリンピックへの北朝鮮選手団の参加も見通しが立っていない。韓国にとって北朝鮮問題は安保問題であるが、平昌オリンピックの成功を重視し、安保問題は副次的なものとなっているようである。

THAAD問題では、北朝鮮の核実験の後、追加配備を認めた。しかし、トランプ大統領のアジア歴訪の直前にTHAAD問題で中国に歩み寄り、中韓関係の改善に合意。その際、(1)米国のミサイル防衛システムに加わらない、(2)日米韓軍事同盟に発展させない、(3)これ以上THAADの追加配備はしない、という3つのノーを表明した。北朝鮮問題の解決で最も重要な役割を果たしてほしい中国訪問を前に、トランプ大統領は日米韓の結束を固めようとしたが、はしごを外された形である。

文大統領の中国国賓訪問では、中国はこれを一歩進めて、両国首脳間の合意にする、あるいはこの問題を適切に処理すると称して、撤去するなどの追加措置を求めたようである。さすがに米国との関係で、韓国がそこまで応じられないとしたためか、会談終了後の共同声明も共同記者会見もなく、全体として国賓と呼ぶには冷たい接遇であったようである。

文大統領がすべきことは、北朝鮮との関係がさらに緊迫してきた時に、トランプ大統領と腹を割って相談できる関係になることであるが、ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙は、文大統領を称して「信頼できない友人」と述べている。南北首脳会談を行った、10年前の盧武鉉大統領の頃の北朝鮮ではないことが分かっていないのであろう。文大統領は理念先行で、今の韓国にとって何が緊要なのか理解していないと思えて仕方がない。

歴史問題を再燃させたままで日韓関係は改善しない

光復節の演説で文大統領は、日韓関係について、過去の歴史が未来志向的な発展の足を引っ張るのは好ましくないとして、経済や安保、そして文化交流を、歴史問題と切り離して前進させようとしている。

しかし、その一方でNGOや政治団体が、慰安婦の少女像を各地に建立し、日本を攻撃することを黙認している。それどころか、慰安婦メモリアルデーの記念日指定や、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産登録を支援するなど協力している。これは明らかに15年12月の日韓合意違反で、徴用工問題でも個人請求権は消滅したとする過去の両国政府の共通認識をひっくり返している。

また、トランプ大統領を主賓とする公式晩さん会に元慰安婦を招き、「独島エビ」の料理を出している。韓国はこれまでもTPOをわきまえない行動をすることがあったが、トランプ大統領の訪韓によって、日米韓の連携を強化しようとしているに時に、日本との政治的対立を取り上げようとの姿勢に、多くの日本人は愛想を尽かせてしまった。

12月19日、20日と康京和外相が訪日する。これは近々発表される慰安婦問題に関する合意過程の検証を行ったタスクフォースの結果発表前に、日本の反応を探るためと言われている。同タスクフォースは委員長がハンギョレ新聞の元編集長で、慰安親派と言われており、合意に厳しい検証結果となると予想される。ただ、その時合意全体を反故にしてしまうと日本との対立が生まれることから、事前に日本の感触を探ろうというものである。しかし、一旦検証など始めれば収拾が付かなくなる。既に悪い方向に走り始めているのである。

文大統領は、いまだに人権派弁護士の感覚が抜け切れていないようである。また、閣僚人事も慰安婦関連も人権派関係者で占められており、日韓関係をバランス感覚を持って進めようという体制になっていない。これでは、いかに表面上“ツートラック”と言ってもうまくいくはずがない。

大きな岐路に立たされる2018年の韓国・文政権

このように、文政権の主要政策はいずれも現実を理解せず、左派政権にありがちなイデオロギーに基づく思考で打ち出されている。それでは到底うまくいくとは思えず、齟齬を来たすたびに十分な検討も経ず、朝令暮改されている。ただ、今までそれが露見してこなかったのは、朴政権の独善的、権威的な手法よりは“まし”だと思われてきたからであろう。

来年の文政権は、目玉である経済・福祉政策がどのような結果となるかによって、その支持率が左右されると見られる。それを決めるのは、経済成長率がどうなるか、雇用、最低賃金の問題が改善するかが鍵である。

今年の経済成長を支えた半導体部門は、大勢として来年くらいまでは好況が続くと見られているが、モルガンスタンレーは「サムスン電子のこれまでの業績を支えてきたスマートフォン市場は停滞期に入り、これ以上営業利益を期待するのは難しい」との警告を発している。

韓国の経済を支える半導体が不況入りすれば、韓国経済は停滞期に入り、それでなくても最低賃金、法人税の引き上げで苦しむ韓国経済からは雇用が大幅に失われる事態すらあり得る。その場合、国民の文政権に対する失望は限りなく大きなものとなるだろう。

南北朝鮮関係についても、来年には北朝鮮の核とICBMの完成が予想され、北朝鮮に対する軍事攻撃か、妥協かが迫られる時期がくるだろう。その時、文大統領がこれまでのような曖昧な姿勢、行き当たりばったりな対応に終始するならば、北朝鮮について主導権を握るどころか、「コリアパッシング」と言われる状況になるかもしれない。

それ以前に、北朝鮮との緊張関係の中で、平昌オリンピックがどのような形で開かれるのか。オリンピックを土台に北朝鮮と関係を進めることが、韓国にそもそもできるのか、重要な分かれ目がすぐそこまできている。

最後に、日韓関係については、大統領が前向きに進めようとしない限り好転しないのがこれまでの歴史だ。前述のとおり、慰安婦合意の過程に関する検証は、メンバーの構成からして公平な結論が出るとは考えづらい。そういう意味で来年は、歴史問題でさらに難しい状況となることを覚悟しておくべきだ。ただ、北朝鮮との関係がさらに緊張してくれば、日韓関係はどっちつかずの現状維持が続くかもしれない。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

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『中国と米国の「一方的制裁」の応酬という悪夢 中国の対日「微笑み外交」はその裏返し』(12/19日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

11/18中国観察<團中央反擊高級黑習近平?習雙管齊下 封基地斷經濟 阿波羅網>一部抜粋して、要約します。「何清漣は李克強が首相として国務院にいたときに彼の部下は皆温家宝の手のもので、自ら共青団中央から引き抜き、傍に置こうとしなかった。周強、胡春華、陸昊等は団派の幹部であるが、「逃げ足が速く、根を深く張ることはない」と北京日報に評価され、下々の気持ちが分かる訓練は積んでおらず、中国青年報は、「団派は自己弁護の陣地でしかない」と論評した。共青団は中共の人材供給の基地であったが、当時の制度によるものである。団中央は団幹部の面倒は中央から地方に転任するまでで、関係は終了してしまう。彼らが出世したいと思っても後ろ盾が必要で、新たな権力争奪戦に挑まないと。これらの人は一般的に団中央と利益を同じくする関係にはない。何清漣は李克強、李源潮、令計画と胡錦濤の関係を「職に任じても、団中央の役人として共通の利益は見いだせず、団派の利益を取ろうとするリーダーになろうともせず、互いに助け合うつもりもなく、それでもって政治党派と言われるのは無理があるのでは」と。

何清漣は本質をついて言う、「習は共青団を遠巻きにしておくつもり、それは団派にとって打撃となる。中共の前の組織の路線を変えるのは言うに及ばず、共青団が長期に亘り党と政府に人材を送り込んできた使命を終えることを意味する。今後は中共の一つの「群衆組織」になるだけ。

何清漣は「習がこのように変えて行くのは時勢による。一つは誰を中共のリーダー層につけるのかを決めるのに便利、二つ目は乱世を治めるには能吏や練達の官吏が必要だが、習はこの点で、普通の能力しか持ち合わせない共青団官吏に不満を持っている。

學者何清漣2016年8月曾在美國之音撰文認為,李克強的國務院班底中,幹員幾乎就是溫家寶時期的主力,沒見他將團中央出身的官員提拔為身邊親信。2015年8月10日周強、胡春華、陸昊等“團派幹將”被《北京日報》點名修理,說他們“爬得快,根不深”,缺少基層歷練,這些人既不能利用自己擔任方面大員的媒體反駁,也不能利用《中國青年報》這一“團派輿論陣地”為自己辯護。

文章指,共青團系統一度成為中共培養接班人的基地,是當時的制度安排。團中央對團幹部的關照提拔,往往在他們從團中央轉任地方職務之後就結束了,他們今後再想晉陞,則需要重投靠山,進入新一輪權力博弈。這些人一般也不再與團中央保持利益紐帶關係。

何清漣還從李克強、李源潮、令計劃之間與胡錦濤的實際關係說明,“任職於共青團中央的官員之間既無共同的利益紐帶,也無一個願意維繫幫派利益的領袖,更無互為奧援的願望,將其稱之為政治幫派,實在有點勉強。”

何清漣認為,就本質而言,習近平將共青團邊緣化,與其說是要打擊所謂“團派”,還不如說他要改變中共之前的組織路線,結束共青團長期以來為各級中共黨委及政府輸送人才的政治使命,今後只作為中共一個“群眾組織”而存在。

她表示,習近平做出這種改變,主要是格於時勢。一是方便中央高層留誰不留誰的需要;二是治理亂世需要能吏、幹吏,習近平對能力平庸的共青團系官員必然產生不滿。

來源:阿波羅網林億綜合報道 」

何清漣は習を応援しているのかどうか分からない発言ぶりです。「権銭交易」を日本人に紹介したのは彼女かと。腐敗を許さないという習の姿勢を買っているのかも。でも、劉暁波の件や銅鑼湾事件、人権派弁護士拘束事件に象徴されるように、中国に政府を批判する「言論の自由」は露ほどもありません。日本の人権派弁護士とは大違いです。日本の人権派弁護士は中共の手先となって、国連を舞台に日本の弱体化を図ろうとしています。同じく中共の手先の朝日新聞と連動して慰安婦騒動を起こさせ、国連の場で日本を貶める活動をしています。日本国籍を剥奪した方が良いでしょう。

細川氏の記事で、普通に考えれば、覇権は経済力のみで完成されるものでなく、軍事力によって定まるものです。中国がパクスアメリカーナからパクスシニカに変えるのを目指して動いていることに、日本のエリート達は気付いていないか、気付かない振りをしています。中国の南シナ海、東シナ海で勝手に自分達の海だと主張するのは軍事力に物を言わせるからこそ可能であって、経済力で支配しようと言うものではありません。

トランプというか軍師のバノンはこの動きを早くから掴んで、「米国の真の敵は中国」と認識しています。だから「米国は中国の属国になってしまった」と発言したのです。アメリカをもう一度強くして、「力による平和」を実現させようと言うものです。昨日の本ブログで紹介しました、「米国家安保戦略」で力強く宣言しました。

中国との関係で言えば、先ずは北の問題を解決→中国と経済戦争→金融制裁→海上封鎖→エアシーバトルとなるのでは。戦争を恐れれば、後にそれ以上の悲劇が予想されます。自由主義諸国は連携して邪悪な共産主義と戦わねばなりません。

記事

世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が、閣僚宣言を採択できずに閉幕した。背景には、中間選挙を睨み内向き傾向を強める米国が、中国に「一方的制裁」を単独で講じる大義名分を得ようという思惑もある。だが、それは中国の“報復”を招き、米中が貿易戦争に突入するという最悪のシナリオも懸念される。

米中は貿易戦争に突入するのか。写真は11月のトランプ大統領の訪中時(写真:The New York Times/アフロ)

世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が12月13日(日本時間14日未明)、閣僚宣言を6年ぶりに採択できずに閉幕した。後には「WTOの機能不全」という先の見えない課題だけが残ってしまった。またひとつ、国際的な秩序が壊れていくようだ。

最大の原因は、自国優先を掲げるトランプ政権がWTO批判を繰り返すだけで、意見を集約して国際秩序を形成しようとの意欲が全くなかったことにある。WTOは全会一致が原則で、新興国の抵抗によって、時代に応じたルールの見直しが全く進まないことへの苛立ちもあろう。また、WTOの紛争処理において、米国が裁定結果に不満を募らせているとの指摘もある。

確かにその通りだ。だが、本質的な問題はそこにはない。

内政重視から米中衝突のシナリオに突入か?!

それは、トランプ政権の最大の関心が、国内政治での戦いに勝つことにあることだ。それが米国の国際的な立場を弱めることになっても、二の次である。当面の目標は、来年秋の中間選挙に向けて、自らの支持層が抱く不満に目に見える形で応えて支持基盤を固めることにある。

先般のエルサレムをイスラエルの首都に認めるという宣言においても、キリスト教保守派の支持層固めといった内政優先策が、外交的に合理性のない判断を下した背景にある。世界経済に向き合う米国通商代表部(USTR)のライトハイザー代表の関心も、同様に内政にあるようだ。

今、ワシントンではライトハイザー代表の威勢のよさを指摘する者が多い。「出番がやってきた」との高揚感からだろうか。外交不在の中で、国務省の無力感が取りざたされているが、これとは対照的だ。

北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉が難航する中で、ライトハイザー代表は中国との交渉で成果を上げることを目指しているようだ。現在、トランプ大統領に対しては、対中強硬派が不満を募らせている。大統領選挙中に中国に対して厳しいことを言っていたにもかかわらず、実際のところは何もしていないからだ。

さすがに、先般のトランプ訪中で注目を集めた、総額28兆円の「張りぼて商談」だけでは成果とは言えない。そこで中間選挙に向けて、ライトハイザー代表は鉄鋼問題などで内陸部の白人労働者層の不満に向き合おうとしている。

だが、WTOでは目に見えた成果を期待できない。対中国で米国が取り得る政策は現在のところ、自国の法律に基づく関税引き上げや輸入差し止めといった、米国単独での一方的な制裁しかない。

今回のWTO閣僚会合で、米国がしきりにWTOの機能不全を訴えたのも、「来るべき一方的制裁もやむなし」との大義名分を得るための布石だろう。

米国は、中国での知的財産権侵害に対して、米国通商法301条による制裁を科す公算が大きい。そうすると、中国も黙ってはいない。米国に対する報復策を講じてくるだろう。例えば、米国からの大豆の輸入制限が取りざたされている。その結果、米中間で、いわゆる一方的制裁の応酬になる。

ただし、それが即座に、米中貿易戦争というほどエスカレートしていくと考えるのは早計だ。米国企業にとって中国市場でのビジネス展開や中国からの調達が死活問題になるほど、相互依存関係は深化している。トランプ政権でも影響力の大きいゴールドマンサックスなどの金融資本も黙ってはいない。中国によるワシントンでのロビーイングも強力だ。中間選挙に向けて、国内向けの対中強硬を「米中間の小競り合い」というレベルでマネージしようとする力も働くだろう。

中国の対日微笑み外交は「米中関係の従属変数」

共産党大会を終えて、習近平主席の対日外交が「微笑み外交」に転じたとの指摘されている。そして、日中平和友好条約締結40周年の来年に向けて、日中関係は改善していくというのが大方の見方である。習近平体制の権力基盤の強化など、その要因はいくつかあるが、ここでは米中関係が大きく影響していることを指摘したい。

中国はトランプ訪中を破格の大歓待と大型商談で一応乗り切ったが、その後の米国国内の動向から米国の対中政策は厳しくなる見通しであることを中国側も察知している。その結果、日本との関係は改善しておき、日米の対中共闘を揺さぶるといういつもながらの思考パターンだ。

これまでの歴史を振り返ってもそうだが、「日中関係は米中関係の従属変数」という要素が大きいことを忘れてはならない。従って、関係改善は歓迎すべきことで、これを機に建設的な対話をするチャンスと捉えるのも大事だが、これを永続的なものと楽観視すると見誤る。そこが、日本企業にとって注意を要する点だ。

一方的制裁という「悪夢の再来」か?

日本にとって、米中による一方的制裁の応酬は最悪のシナリオだ。それは日本が巻き込まれるかどうかの問題ではない。日本はかつて80年代には米国通商法301条などによる一方的制裁のターゲットとされて、米国の圧力に向き合い続けてきた。その悪夢から解き放たれたのが95年のWTOの誕生と、それに伴う一方的制裁の禁止、WTOの紛争処理の整備であった。しかしその悪夢が再来しようとしている。

関税引き上げや輸入差し止めといった一方的制裁は、自国の市場が大きい国ほど力を発揮する。米国や中国がそれだ。いわば「市場という力」によるパワーゲームなのだ。むき出しの利害のぶつかり合いである。それに対して、そのような力を背景にできない日本のような国は、ルール重視と叫ぶことになる。日本が同様のポジションの豪州、欧州と連携を取るゆえんだ。

米国が気づかなければならないのは、中国が「一方的制裁の権化」だということだ。レアアースの規制しかり、最近の韓国企業に対する米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備への経済報復しかりだ。これを自制させなければならないにもかかわらず、かえって中国に一方的制裁の口実を与えることになりかねない。

80年代は一方的制裁を振りかざすのが米国だけだからよかったが、今やそうでない。80年代の成功体験をもって行動するライトハイザー代表は、その危うさに気づくべきだろう。

なお中国による韓国に対する経済報復に対しても、本来、毅然とした態度で一方的制裁に反対しなければ、このような中国の報復が常態化しかねない。しかし肝心の韓国が先般の中韓首脳会談で中国に屈服するばかりか、対日歴史問題で共闘する姿勢で中国に擦り寄っている。文政権がしっかりさえしていれば、来年予定されている日中韓サミットで日韓が対中共闘すべきところを、逆に日韓が分断されているという致命的な状況なのだ。

日本は「対中有志連合」で米国繋ぎ止めに奔走

日本にとって今回のWTO閣僚会合の最大のテーマは、米国をWTOに繋ぎ止めることだった。そのためには最大の懸念である中国問題について、WTOの場で米国も巻き込んで共同対処する道筋を作ることが不可欠だ。そうでなければWTOの崩壊にも繋がりかねない。そういう危機感を欧州、豪州とも共有し、過剰生産や国有企業への優遇、不透明な補助金などを是正させる仕組みや、電子商取引分野のルール作りなどに日本は奔走した。ルール不在のパワーゲームになれば、大市場を持った中国が喜ぶだけだ。

残念ながら国内政治にばかり目が行く米国には、未だその思いが届いていないようだ。しかし日本が努力した方向は間違っていない。実利優先の米国を世界秩序に繋ぎ止めるためには実利を感じさせなければならない。今後も日本はそのための仕組みづくりを欧州、豪州などを巻き込んで主導すべきだろう。

幸い、先般の米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP11)の大筋合意に至る参加各国間の調整においても、日本が誠実に調整役を果たしたことは各国からも高く賞賛されている。明らかに「善意の仲介役」としての役割を期待されているのだ。

来年、トランプ政権はますます内向き志向になって、米中貿易衝突も予想されるだけに、日本の出番は増えるだろう。

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『2018年「一寸先は闇の米国」をあえて占う 波乱の国内外情勢とトランプの「健康・精神」』(12/18日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

12/19日経米大統領「中ロは競争勢力」 国家安保戦略を公表

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は18日、安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」を発表した。中国とロシアを米国の国益や国際秩序に挑む「修正主義勢力」と断じ「強国同士の競争が再び戻ってきた」との危機感を表明。国防予算の拡大などを通じて「米軍の力を再建する」と明記した。中国などへの関与によって信頼関係を築けるとの前提に基づいた過去20年の安保政策は「見直しが必要」とも指摘した。

トランプ米大統領 「国家安全保障戦略」発表

トランプ米大統領は18日、安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」を発表した。国防予算の拡大などを通じて「米軍の力を再建する」と明記。演説したトランプ氏は「米国は再び強くなる」と力説した。

トランプ大統領は同日の演説で「戦いに勝利する準備ができていない国家は、戦争を防ぐことができない」と述べ、軍事力の増強に努める方針を強調。中ロの台頭を念頭に「我々は新たな競争の時代のさなかにある」との認識を示した。そのうえで「このゲームで米国は勝利する」と語った。

国家安保戦略は具体的な安保政策の土台となる文書で、トランプ政権での公表は初めて。(1)米国民と国土の防衛(2)米国の繁栄促進(3)「力による平和」の堅持(4)米国の影響力拡大――の4つの分野で構成した。このほかインド太平洋や欧州、中東など地域別の項目を設けた。

この中で中国について米国は「中国の発展と戦後の国際秩序への統合に向けて支援」することが、中国の自由主義化をもたらすとの信念に基づき政策を進めてきたと指摘。ただ「我々の希望に反し、中国は他の主権国家を犠牲にその力を広げてきた」と批判した。

ロシアにも2014年のクリミア半島の併合やウクライナへの軍事介入を念頭に「強力な力を再び蓄積し、周辺に勢力圏を築こうとしている」と警戒感をあらわにした。

北朝鮮に関しては、同国が加速させている核や弾道ミサイル開発を「グローバルな対応が必要なグローバルな脅威」と非難。イランとともに「ならず者国家」と位置づけた。

テロ組織を含むこれらの脅威に対抗するため、米軍の増強や近代化を進める方針を表明。日本や北大西洋条約機構(NATO)といった同盟国との連携も重視する方針を打ち出した。

米国の繁栄促進に向けては、貿易不均衡の是正に取り組むと表明した。「強い経済が米国の力を増す」との認識に基づき「自由で公正、互恵的な経済関係を追求する」とうたった。米国土の防衛では国境管理を強化し、移民システムを改革する方針を明記した。

トランプ政権はこの国家安保戦略に基づき、核体制の見直しなど個別の戦略をまとめた文書を順次、公表する方針だ。>(以上)

高濱氏記事を読みますと、トランプは弾劾されることもなく、少なくとも4年の任期は全うしそうです。トランプの間にできることは総てやってほしい。北の非核も、他力本願と言われればそうですが、日本が実力行使できるようになるまでは出来ません。国民の意識が変わらなければ何もできません。日本の民主主義は衆愚を拡大再生産してきただけです。自国を守る国民の義務を憲法9条で破壊しておいて、戦後70数年ほったらかしにしてきたのですから。国の構成員の生命・財産を守るのが国家の役割でしょう。それを「国が守れなくて良い、守ってはダメ」という左翼の論理は外国の手先の考えとしか思えません。左翼は、自分たちが天下を取れば、真っ先に国民を弾圧する解放軍を作り、粛清するだけです。中共の人民解放軍、ソ連の赤軍の歴史が示しています。日本の学界・官界・経済界とも外国の手先となっています。「他人依存」を「平和主義」と言う美辞麗句で擦りかえられているのに気づかない愚かな人達です。

トランプの言う「アメリカ・ファースト」、「メイクアメリカグレイトアゲイン」と言うのは、米国が孤立主義に陥ることではなく、オバマ時代に国際ルールに従わなかった国々に対して容赦しないというだけです。国際ルールを決めて来たのは白人であったとしても、合理性の観点からそれ以外の人種でも従ってきたはずです。それを破る国はやはり力で抑えるしかありません。憲法9条なんて屁のツッパリにもなりません。中国の侵略行動を止めさせないと。

記事

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

就任式の後、昼食会に出席したトランプ大統領。来年もこのような笑顔を見せることができるだろうか(写真:ロイター/アフロ)

—トランプ米大統領が2017年1月に就任して以来、同氏の言動に振り回されて11カ月が経ちました。2018年は米国にとってどんな年になりそうですか。

高濱:何人かのワシントンの政界通に聞いたところ、みな「予測不可能」と答えました。まさに「一寸先は闇」です。

米国では11月に中間選挙があります。それと、ロシアゲート疑惑の追及がどうなるのか。目が離せません。そして、その結果次第では、トランプ大統領の処遇(弾劾か、解任か、強制的辞任か)がアジェンダに載るかもしれません。

もう一つ、新たに出てきたのが、トランプ大統領をめぐるセクハラ疑惑を究明する動きです。女性下院議員56人が12月11日、トランプ大統領のセクハラ疑惑について調査するよう下院の監視・政府改革委員会に正式に要請しました。全米に吹き荒れているセクハラ告発旋風がトランプ大統領にも迫ってきました。成り行きが注目されます。

外交面では北朝鮮問題、米中ロ関係、中東問題、グローバルな経済問題がどうなるかがポイントです。トランプ大統領は「独善的孤立主義の路線」を突っ走っていますが、どこへ向かおうとしているのか。これに北朝鮮や中国やロシア、中東諸国やイスラム教過激派がどう反応するのか。

予測が困難なのは、トランプ政治の方向性もさることながら、ご本人の健康・精神状態が安定していないからです。

同氏は飲酒や喫煙は一切しないのですが、ステーキやハンガーガーなどコレストロールや脂質の多いものを好んで食べ、野菜や果物はほとんどとらない偏食家です。医学関係者の間で「トランプ大統領は健康上問題がある」との見方が広がっています。

トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として承認すると宣言した12月7日の演説はテレビ中継されました。その時、同大統領の発音が極度に乱れたことから「健康不安」説が再燃しているのです。セラ・ハッカビー・サンダース大統領報道官は、年明けに健康診断を受け、結果を公表すると言っています。

(”Trump’s mental meltdown,” Joe Scarborough, Washington Post, 12/7/2017)

民主党が米議会を奪還できないこれだけの理由

—11月の中間選挙はどうなりそうですか。民主党が上院を奪還する可能性はあるのでしょうか。

高濱:ベテランの選挙予想専門家、数人(民主党系も含む)に聞いたところ、「民主党が、下院はもちろん、上院でも過半数を奪還するのは難しいだろう」と異口同音に指摘しています。理由は以下4つです。

<共和党は上下両院過半数の堅持に自信満々>

第1は、中間選挙に臨む共和党指導部の意気込みと気迫です(無論その裏付けには後述するいくつかの客観的要素があるのですが……)。トランプ氏の大統領らしからぬ言動や支持率の低さ(30%台を低迷)にもかかわらず、トランプ大統領は「共和党大統領」です。共和党が8年ぶりに政権与党に返り咲いたのはトランプ大統領のお陰です。その大統領を支えるべく上下両院で過半数を死守しようとするのは当然です。

それに比べて16年大統領選で敗れた民主党には、そうした覇気が感じられません。民主党は中間選挙戦を引っ張っていく「党首的リーダー」(民主党全国委員長にはトム・ペレス氏、上院にはチャック・シューマー、下院にはナンシー・ペロシ両院内総務がいますが、米国民はどの人物も「党首」とは見ていません)は現時点で現れていません。

かって、金丸信(副総理、自民党副総裁、幹事長を歴任)という政治家がいました。党内では不人気だった総裁候補(少数派閥の領袖だった中曽根康弘氏)を「おんぼろ神輿」と言いながらも支持したことがあります。今の共和党幹部はトランプ大統領をまさに「おんぼろ神輿」と見ているのですね(笑)。それでも担ぐのです。

景気、雇用、通商などの情況はオバマ政権の時よりも好転している。税制改革をはじめトランプ政権が推し進める経済・財政政策を共和党支持の富裕層は高く評価しています。少なくとも白人を中心とする共和党支持層は中間選挙でも共和党を支持するに決まっているという自信があるのですね。

<各州の州知事、州議会議員は共和党天下>

各州の情況に目を向けると、共和党は知事の数(共和党34人、民主党15人、無党派1人)や、州議会議員の数(共和党56%、民主党43%、残りは無党派か第三政党)で大きくリードしています。共和党が過半数を占める州議会は67(民主党は32)です。

中間選挙において、各州知事や州議会議員はまさに「足腰」の役割を果たす。彼らが提供する物心両面の支援が中間選挙での勝敗のカギを握ります。それに下院選挙区の区割りを決めるのは連邦政府ではなく州政府です。共和党に有利な区割りが定着してきたのは党の「地方パワー」のお陰です。

(”Partisan composition of state houses,” Ballotpedia. 12/9/2017)

<威力を発揮する共和党のゲリマンダー戦略>

共和党は「地方パワー」を「武器」に過去十年の間に各州で「ゲリマンダー*」を進めてきました。つまり共和党は、選挙を有利に進めるために各州、特に南部や中西部で共和党支持層が特定の選挙区に集中するよう選挙区を割り、共和党候補が勝てる下地を作ってきたのです。顕著な具体例として、下院のメリーランド第3区、ペンシルバニア第7区、テキサス第33区などがあります。

(”Here are the most obscenely gerrymandered congressional districts in America,” Chris Cillizza, CNN Politics, 10/4/2017)

*:ゲリマンダーとは、特定の政党や候補者に有利に働くよう選挙区の区割りをすること。1812年、マサチューセッツ州知事(のちに副大統領)のエルブリッジ・ジェリー氏(当時の「民主・共和党」)が与党に有利になるように選挙区の区割りを始めた。

<「スーパーPAC」で潤う共和党候補>

共和党は、選挙資金を集める制度として合法化された「スーパーPAC」(特別政治行動委員会)*をフル活用して「キャンペーン力」において民主党に差をつけました。保守派の億万長者が「スーパーPAC」に巨額の政治献金を注ぎ込み、共和党候補者の支援広告や民主党候補者へのネガティブキャンペーンに使い始めたからです。中間選挙でも「スーパーPAC」が威力を発揮するのは間違いありません。

*:スーパーPACによって、選挙運動とは独立した活動であれば、上限なく献金を集められるようになった。従来のPACの個人献金は1人・1年間5000ドルまでの上限が定められている。

<上院の改選議席、民主は26人、共和は8人>

18年の中間選挙における上院の改選議員数は民主党と共和党で大きく異なります。再選を目指す民主党系の現職が26人(うち2人はバーニー・サンダーズ氏とアンガス・キング氏で、どちらも無所属)もいるのに対して、共和党現職は8人。民主党が上院を奪還するにはこの26+2議席を取らねばなりません。

(”2018 Senate Election Interactive Map,” www.270towin.com., 12/15/2017)

(”2018 Senate Overview: The Pro-GOP Landscape Is Turning Blue.” Ed Kilgore, New York Magazine, 11/30/2017)

一方、下院(全議席数435)について、米バージニア大学政治研究所が発表した当落予想(11月30日時点)によると、共和党は「安全圏入り」「有力」「優勢」を合わせて224議席、民主党は191議席となっています。民主党が過半数(218)をとるには「接戦」区(20議席)+7議席で勝たねばなりません。厳しい情勢といえます。

(”House 2018: Less than a year out, race for control is a coin flip,” Kyle Kondik, Sabato’s Crystal Ball, 11/30/2017)

ロシアゲート捜査はトカゲのしっぽ切りで終わる?

—トランプ政権のアキレス腱になっているロシアゲート疑惑の捜査は越年しそうですね。ロバート・モラー特別検察官 が率いる捜査チームは来年、どう動くのでしょうか。劇的な展開はありそうですか。

高濱:「劇的な展開」と呼べるのは、トランプ大統領が訴追された場合でしょう。主要メディアが訴追と書き立てていますが、「そこまではいくまい」といった見方が一般国民(知識層と言われる人たちを含む)の間で支配的です。

確かにモラー特別検察官は「ワイルドカード」(切り札)です。マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)、ポール・マナフォート元選挙対策本部長、トランプ・ジュニア氏あたりまでは訴追するでしょう。ひょっとすると娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問まで引っくくるかもしれません。

しかし、それより上(つまりジェフ・セッションズ司法長官など閣僚)は、モラー氏としても政治的判断を取らざるを得ないでしょう。フリン氏らを捕らえるなど、トカゲのしっぽ切りでお茶を濁すのか、どうか。トランプ大統領弾劾の弾劾を発議する権限を持つ下院司法委員会などの顔色を窺いながら決めるのではないでしょうか。

来年も続きそうな米朝の緊張したにらみ合い

—北朝鮮問題はどうなるでしょうか。

高濱:いろいろな推測が出ています。米国の歴代政権(民主・共和の両方)の太平洋東アジア政策に一定の影響力を与えてきた元米国務高官はこう予測しています。

「トランプ政権による北朝鮮対応の最大の欠陥は、北朝鮮の核・ミサイルに関する正確な情報を把握していないことだ。さらに北朝鮮を攻撃する場合に米軍が使用するミサイル、通常兵器の正確な能力についても完全には掌握してはいない」

「これらが掌握できない限りトランプ大統領は、軍事行動をとると口ではうそぶいても、実際には動けない。だとすれば、2018年になっても、トランプ政権にできるのは経済的圧力をさらに強化すること以外にない。対北朝鮮に対して軍事行動を取る可能性は低いと言わざるを得ない」

「一つだけはっきりしていることがある。トランプ政権は、北朝鮮が米国領土を核攻撃できる能力を持つ『核保有国』になることだけは容認しない。この基本姿勢は不変だ。万一、そのような事態が生じたら、同盟国や中ロが反対しようともトランプ政権は軍事行動に出るだろう」

—北朝鮮とのにらみ合いが2018年も続くということですね。

高濱:そうです。米軍事専門家の中にこう断定する人もいます。「北朝鮮の核・ミサイル能力が飛躍的に増強されたことを除けば、米国の軍事オプションはジョージ・W・ブッシュ政権が03年時点に直面していた事態とさほど変わっていない」(ミラ・ラップ・フーパー博士=センター・フォア・ニュー・アメリカン・セキュリティ研究員)

「韓国の文在寅大統領は、『我々の許可がない限り、米国は先制攻撃できないとコミットしている』と公言。日本は『北朝鮮が日本を攻撃しない限り、参戦しない』とほのめかしている。オーストラリアは先制攻撃には反対だ。日韓豪の3同盟国が参戦しない情況で、米国は北朝鮮をどう攻撃できるというのか。状況は03年と変わっていない」

(”The North Korea Debate Sounds Eerily Familiar,” Kori Schake, The Atlantic, 12/8/2017)

北朝鮮は02年の暮れから03年の初頭にかけて核施設の凍結を解除し、国際原子力機関(IAEA)の査察官を強制的に退去させました。そして「米国の脅威と、(北朝鮮に対する)米国の『敵対政策』に対する抑止力を持つためだ」と主張。これに対してブッシュ政権は「北朝鮮が核開発計画を、完全かつ検証可能な形で、復元不可能なまでに放棄することが米朝直接対話の前提だ」と反論しました。この基本スタンスは現在も変わっていません。

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『「南北共同の核」に心踊らす韓国人 「米国の先制攻撃に反対」と中韓は合唱した』(12/18日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/18中国観察<王滬寧代替習做決定?朝鮮內鬥二把手命運反轉 阿波羅網=王滬寧は習に替わって決定できるか? 朝鮮の権力闘争でNo2の命運は反転する アポロネット>抜粋。下記の文を要約します。「王滬寧は劉雲山に替わって対朝工作に就く。北京は朝鮮半島での戦争準備をしている。軍を動かしたり、トランプと話すのは王滬寧にはできないので習がこれに当たる。11月に習とトランプが話し合い、朝鮮への国営航空の飛行を無期限停止、中朝友誼大橋を封鎖、朝鮮料理店を閉鎖した。習が金の要求を断った後、金は慣例に従わず、特使の宋濤とも会わなかった。11/29には火星15を打ち上げたため、トランプは習に電話、石油供給を止めるよう要求した。

12/2環球時報は「中国は手を尽くした。米朝関係で起きることはそれぞれの責任である」と。習はトランプの要求は断ったが、戦争の可能性については排除しなかった。言葉を変えれば、米朝戦争が起きても中国は朝鮮を守らず、米軍が核兵器の安全を確保した後、38度線まで撤兵する。

第一、米中軍人会議で朝鮮戦争が発生した時に、「危機にあって取るべき行動は?どのように誤断を避け、誤解するリスクを下げるか」について議論した。

第二、中共軍は国境付近に集結、4月に北部戦区は4級の戦闘態勢に入り、異動も行い、200名の幹部が瀋陽に緊急集合した。ハルピンの陸軍は中朝国境に駐屯する軍の所在地で演習した。

第三、ネットに依れば、中朝国境には難民保護所を設置、戦争が起きれば難民の扱いをどのようにするかの問題である。

第四、香港メデイアに依れば、中共留学基金委員会は形勢を憂い、一旦戦争発生の危険があれば、早めに北への留学生を中国へ帰国させると。

王滬寧の役割は朝鮮問題(戦争の問題も含めて)の中共の対応を国の内外に知らしめることである。

「報導稱,王滬寧已接替劉雲山,主管意識形態和黨務。王此次分管對朝外交,也是政治局常委工作交接〝正常履職〞的結果。

時事評論員周曉輝分析,北京正在做好應對朝鮮半島發生軍事打擊的準備,而無論是指揮軍隊,還是與川普直接對話,都是王滬寧力所不能及的。因此,其在對朝外交方面是根本無法起到主導作用的,其在「四個意識」下只能遵循習近平的對朝決策。

周曉輝表示,在習近平的第一任期內,在習選擇對朝冷淡的政策外,還存在江派前台人物劉雲山等或明或暗的與朝鮮「親近」並暗中攪局,中共的對朝政策出現兩種聲音,那麼,中共十九大後,在將江派人物基本剔除出政治局常委、政治局後,習近平拍板對朝政策更加明確。

今年11月初,美國總統川普訪問中國大陸,雙方談及了朝鮮問題,而在其訪問中國大陸前後,習近平下令無限期停止了飛往朝鮮的國航航線,封閉中朝友誼大橋,關閉在華朝鮮餐館等。其後,又派特使宋濤前往平壤通報川普與習近平會晤內容。

據悉,因習近平拒絕了金正恩的要求,金正恩亦違背以往慣例,沒有會見宋濤。在宋濤訪問朝鮮無果後,11月29日,朝鮮再次向日本海域發射了一枚新型洲際導彈「火星-15」。隨後川普與習近平通電話,川普要求習近平切斷對平壤的石油供應。

不過,從12月2日中共《環球時報》發表的社評「中國儘力了,美朝出來混各還各的」一文可以推測,習近平應是拒絕了川普的這一要求,但同時暗示應不排除防範戰爭爆發的可能性。換言之,一旦戰爭發生,北京將選擇放棄保衛朝鮮。而來自美國的消息稱,習近平已經得到了川普的保證,即一旦進入朝鮮的美軍確保核安全後,就會退回「三八線」。

無疑,近一段時間的幾大跡象表明,北京正在為美軍可能打擊朝鮮做防範。一是在朝鮮再次發射導彈後,中美軍方在位於華盛頓的美國國防大學就合作問題進行了討論。據美國五角大樓消息,此次會議讓中、美雙方有機會討論「如何在危機中採取行動,如何避免誤判和降低誤解風險」,而這必然涉及到朝鮮若發生戰爭時雙方軍隊如何相互理解的問題。

二是中共軍隊業已在邊境集結。早在今年4月,就有消息指,中共軍隊北部戰區已進入四級戰備,中朝邊境軍隊出現異動,約有200名中共北部戰區陸、海、空、火箭軍的將校軍官,到遼寧瀋陽的北部戰區「聯合作戰指揮中心」指揮大廳緊急集結。12月初,有港媒披露,駐紮在哈爾濱市的北部戰區陸軍第78集團軍某合成旅,日前參加「嚴寒2017」實兵演習,北部戰區負責監控中、朝邊境的駐軍所在地。

三是網傳中國方面擬在中朝邊境地區設置難民營,而這應是為應對一旦戰爭爆發,朝鮮難民越過邊境後如何安置問題的。

四是香港《南華早報》12月1日報導稱,中共國家留學基金委日前已連續收到對朝情報機構的消息,認為形勢堪憂,如有戰爭危險,會儘早將中國留學生撤離朝鮮。

周曉輝表示,無論是指揮軍隊,還是與川普直接對話,都是王滬寧力所不能及的。不過,其與劉雲山所不同的是,王滬寧不會在對朝政策方面起掣肘作用,而是會儘力在宣傳等方面給予配合,這大概才是王滬寧在朝鮮問題上真正的作用所在。」

鈴置氏の記事と上記の中国語の記事とを読み比べますと、文在寅大統領も韓国民も国際情勢の動きの速さについて行っていない感じです。米中合作で北を攻撃しようとしている時に、中国を動かして米国の攻撃を止めようとしているのは。第二次大戦末期に日本がソ連に終戦仲介して貰おうとしたおかしさに通じます。中国も韓国に強気なのは米国と歩調を合わせているからです。北が米国の手で片づけて貰えれば、北は金正恩と違い、中国の傀儡になり、安全度は高くなります。然る後、韓国も北と歩調を合わせるように仕向ければ良いと思っているのでは。在韓米軍を追い出すためにTHAAD撤廃を韓国に焚き付け続ければ良いだけです。韓国民は核を北と一緒になって持ち、日本に投下したいという邪悪な夢を見ているようですが、米中とも朝鮮半島に核を持つことは許さないでしょう。冷徹な国際社会の考え方が理解できないのは、誇大妄想の為せる業です。何せ何でも「ウリナラ起源」にしてしまう民族性ですから。嘘を恥じない民族です。

日本も朝鮮半島はレッドチーム入りになることを覚悟した方が良いでしょう。その前に、北の核とミサイルを粉砕するように早く米軍には攻撃してほしい。北の民間人の犠牲の少なくなる方法で。

記事

12月14日の首脳会談で、習近平主席と文在寅大統領は米国の軍事行動を牽制する条項で合意した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

韓国が米国ではなく、中国とスクラムを組むことを鮮明にした。中韓首脳会談で中国と一緒になって、北朝鮮に対する米国の軍事行動に反対したのだ。

「平和」が「核武装」呼ぶ

鈴置:韓国の保守系紙が「文在寅(ムン・ジェイン)政権は北朝鮮の核武装を認めるつもりか」と悲鳴をあげました。

北朝鮮に核放棄を迫るため、米国は軍事行動も選択肢の1つに掲げています。というのに12月14日の中韓首脳会談で韓国は中国とともに、それにはっきりと「NO!」を突きつけたのです。

朝鮮日報の社説「韓国が米国に軍事的選択肢を放棄しろと言うなら、交渉カードに何が残るのか」(12月16日、韓国語版)から一部を要約し、引用します。

文在寅大統領と習近平主席が合意した「4大原則」で注目すべきは第1項目の「朝鮮半島での戦争は絶対に容認できない」である。韓国の大統領が同盟国の米国に対し、北朝鮮への軍事的な選択肢を放棄しろと要求したということだ(「中韓首脳会談で合意した『4大原則』」参照)。

北朝鮮の核問題を対話や交渉といった外交的な方法で解決できるのは、それを拒否した場合、米国の圧倒的な軍事措置に直面すると北朝鮮が圧迫を感じた時だけである。

米国が軍事的選択肢というカードまで捨てれば、北朝鮮が何を恐れて譲歩するだろうか。核武装を既成事実とし、対北制裁を全面的に解除しろと言うだろう。

  • 中韓首脳会談で合意した「4大原則」(2017年12月14日)

(1)朝鮮半島での戦争は絶対に容認することができない

(2)朝鮮半島非核化原則を確固として堅持する

(3)北朝鮮の非核化を含むすべての問題は対話と交渉を通じ平和的に解決する

(4)南北朝鮮間の関係改善は肯定的に朝鮮半島問題を解決するものである

※注 青瓦台の「韓中首脳会談開催の結果と尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席のブリーフ」(韓国語)から作成

「戦争は容認できない」といった平和を求める言葉は一見、それらしい。しかし現実の世界では、そんな美しい言葉こそが北朝鮮の核武装を許してしまう――と訴えたのです。

開催しない方がよかった

朝鮮日報は前日の社説「韓中首脳会談、本当に重要なことは抜け落ちた」(12月15日、韓国語版)でも「4大原則」を批判していました。北朝鮮への圧力に関し全く触れていないからです。

「4大原則」からは緊急かつ重要な文言が抜け落ちた。北朝鮮の核問題に関し、国際社会は「対話に応じるまで北朝鮮に対する制裁と圧力を強化する」で一致している。これが最も効果的な方法だ。ところが「4大原則」にはそれに関する具体的な内容が全くなかった。

北朝鮮が大喜びしているのは間違いない。CIAは「3カ月後に北朝鮮は米本土を攻撃可能な能力を持つ」とトランプ(Donald Trump)大統領に報告したと報じられた。この切迫した状況で、韓中は「制裁と圧力」という大原則に言及しなかったのだ。

今回の韓中首脳会談は「やらない方がよかった」と言わざるを得ない。

中央日報も社説「文大統領の訪中が外交上の惨事と記録されないためには」(12月16日、韓国語版)で「4大原則」に対し同様の危機感を表明しました。そのうえ、米国との関係悪化を懸念しました。

米国は北朝鮮に核の放棄を迫るため軍事的な選択肢も排除しない姿勢だ。(軍事的行動への)期限が3カ月しか残っていないとの分析まで出ている。同盟国である米国との協調関係が、さらに揺れるという負担を甘受せねばならなくなるだろう。

同紙は12月18日にも社説「『引き算外交』となった文訪中、自画自賛している場合ではない」(韓国語版)で政権批判を続けました。ポイントを訳します。

文在寅政権は米国や日本の目には中国に傾く「裏切り者」に映り、中国には二股をかける「機会主義者」に見える、という中国専門家の指摘に青瓦台(大統領府)は、耳を傾けねばならぬ。

「4大原則」の名付け親は韓国

—「裏切り者」との批判が国内からも出ているのですね。

鈴置:「機会主義者」とも。肝心な時に中韓共闘を始めたのですから。世界は「米国がいつ北朝鮮を攻撃するか」とかたずをのんで見守っている(「『北朝鮮に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。というのに中国と足並みを揃えて米国を牽制したのです。

米朝間で戦争が始まれば大きく影響を受ける周辺4カ国のうち、2カ国が「戦争反対」で声を合わせたのです。だからと言って米国が戦争を思いとどまるとは思えませんが、中韓共闘は国際世論にある程度は影響するでしょう。

なお、両国は共同声明や共同記者会見は開きませんでした。「中国側が避けた」とのニュアンスで書く韓国メディアが多いのですが、本当のところは分かりません。結局、両国はそれぞれに記者発表することで中韓の合意を説明しました。

青瓦台の「韓中首脳会談開催の結果と尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席のブリーフ」(12月14日、韓国語)で読めます。ここで「4大原則」と名付け、お披露目しています。

一方、中国外交部の発表「習近平主席、文在寅韓国大統領と会談」(12月14日、中国語)にも、同じ趣旨が盛り込まれています。ただ「4大原則」との名称はなく、箇条書きにもなっていません。「4大原則」は韓国が主導したのでしょう。

米韓同盟に投げ込んだ爆弾

—米韓同盟は持つのでしょうか?

鈴置:中国は自前の時限爆弾も米韓同盟に放り込みました。中韓の発表文に全く同じ文言の1文があります。韓国側に不利な文章なので、中国が入れるよう要求したと思われます。以下です。

習主席はTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)問題に関連、中国側の立場を改めて明らかにし、韓国側がこの問題を引き続き適切に処理するよう希望した。

中国は10月31日の中韓合意に「中国は韓国がTHAAD問題を適切に処理することを希望する」との条項を入れさせました(「中韓合意のポイント」参照)。今度はそれを、韓国の大統領に直接、確認させたのです。

  • 中韓合意(2017年10月31日)のポイント

韓国側は、中国側のTHAAD問題に関連する立場と懸念を認識し、韓国に配置されたTHAADは、その本来の配置の目的からして第3国を狙うものではなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわないことを明らかにした。

” 中国側は国家安保を守るために韓国に配置されたTHAADシステムに反対することを改めて明らかにした。同時に中国側は韓国側が表明した立場に留意し、韓国側が関連した問題を適切に処理することを希望した。

双方は両国軍事当局の間のチャネルを通して、中国側が憂慮するTHAAD関連問題に対し、話し合いを進めることで合意した。

中国側はMD(ミサイル防衛)構築、THAAD追加配備、韓米日軍事協力などと関連し、中国政府の立場と憂慮を明らかにした。韓国側はすでに韓国政府が公開的に明らかにした関連する立場を改めて説明した。

双方は韓中間の交流・協力の強化が双方の共同利益に符合することに共感し、全ての分野での交流・協力を正常的な発展軌道に速やかに回復することに合意した。

※注:韓国外交部のサイト「韓中関係改善に関連した両国の協議の結果」から作成

この条項こそが曲者です。中国はこれをタテに「在韓米軍基地に設置済みのTHAADも撤去させろ」と言い出す可能性があります。

—配備済みのTHAAD撤去まで要求できるのでしょうか。

鈴置:その前段で、韓国は「THAADは中国の戦略的安全保障の利益を損なわない」と約束しています。

それを活用して「配備済みのTHAADも中国の利益を損なっている」と主張。さらに「韓国が適切に処理する」条項を使ってTHAADの完全撤去を要求する手があります。

米軍基地を中国が査察

—いくら中国でも、そんな強引な要求をするでしょうか?

鈴置:すでに中国はこの手法を使って韓国を圧迫しています。11月22日、中韓外相会談の席で王毅外相が康京和(カン・ギョンファ)外相に対し「3NO」に加え「中国の利益を損なわない」条項を守れと要求したのです。

  • 韓国が中国に表明した「3NO」

米国とMDは構築しない

THAAD追加配備は容認しない

日米韓3国同盟は結成しない

「中韓合意」では「双方はTHAADに関し話し合いを進める」とも約束していますから、中国はいつでも「THAADを完全に廃棄しろ」と言い出せるのです。

韓国政府は中韓外相会談の場で「約束を守れ」と証文を持ち出されたこと自体を隠していました。が、中国共産党の対外威嚇用メディア「Global Times」が報じたので明らかになりました。「China urges S.Korea to honor pledge about THAAD」(11月23日)です。

この記事は王毅外相の要求を紹介したうえ、「もし、この約束が破られれば、中韓関係は過去になかった大波に洗われるであろう」との中国の朝鮮半島専門家の談話を引用しました。要は「THAADで中国の言う通りにしないと、ひどい目に遭うぞ」と脅したのです。

朝鮮日報は、中国がこれらの条項を使って在韓米軍基地のTHAADを査察させろと言い出すだろうと警告しました。社説「3NOに加え1限まで 中国にどれだけ門を開いてしまったのか」(11月25日、韓国語版)でです。

「在韓米軍のTHAADのレーダーは北朝鮮しか監視できず、中国の安全保障を損なわない」と米韓両国は主張してきました。

しかし韓国がこうした条項を飲んだことにより、中国に「見せろ。本当にそうなのか、確かめる権利がこちらにはある」と要求される隙を作ってしまったと同紙は政府を批判したのです。

なお、社説の見出しの「1限」とは「THAAD配備が中国の利益を損なわない」と約束したことにより、韓国の軍事主権に「制限」が付けられてしまったことを指します。

毒素条項の毒が回り始めた

—「3NO」に関しては日本のメディアも報じていました。

文在寅政権は10月31日の中韓合意で「THAADの追加配備は容認しない」など「3NO」を約束しました(「中国に『降伏文書』を差し出した韓国」参照)。

やすやすと安保主権を放棄したものだ、と世界の専門家は驚き、呆れました。日本のメディアも「3NO」「3不」などの表現を使って「韓国の再属国化」を報じました。この結果「3NO」に焦点が当たりました。

が、今回の首脳会談で中国が文在寅大統領に直接、約束させたこの条項も猛毒を含んでいます。韓国は「3NO」に加え、いつでも発動できる「毒素条項」まで飲んでしまった。そしてその毒が今、回り始めたのです。

中国はスワップを発動しない

—毒素条項をいつでも発動できるとすると……。

鈴置:そこです。第2次朝鮮戦争勃発の可能性が高まり、韓国にTHAADが最も必要になった時、中国がその査察、あるいは撤去を要求したらどうなるのでしょうか。

韓国が拒否すれば中国はお仕置きできます。韓国側だけが「延長した」と言い張っている中韓通貨スワップ(「韓国の通貨スワップ」参照)。これも発動しないでしょう。韓国に安全保障上の要求を拒否された中国が、経済面で韓国を助けるとは思えません。

韓国の通貨スワップ(2017年12月17日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約545億ドル)終了→再開? 2014年 10月11日 2017年 10月10日
豪州 100億豪ドル/9兆ウォン(約76億ドル) 2017年 2月8日 2020年 2月7日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約85億ドル) 2017年 3月6日 2020年 3月5日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約37億ドル) 2017年 1月25日 2020年 1月24日
CMI<注1> 384億ドル 2014年 7月17日  
カナダ<注2><注3> 定めず。通貨はカナダドルとウォン 2017年 11月15日 定めず

<注1>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 <注2>カナダと結んだのは「bilateral liquidity swap」で市中銀行に外貨を貸すのが目的。中央銀行に対し市場介入用の外貨を貸す「bilateral swap」ではない。 <注3>カナダとは「規模も満期日も定めない常設協定」と韓銀は発表。英文の発表文では、発動は「市場の状況が許せば」「必要に応じて」としているところから、規模などはその都度協議して決めるものと見られる。 <注4>カッコ内は最近の為替レートによる米ドル換算額 資料:韓国各紙

その時こそ韓国には通貨スワップが必要になるというのに。第2次朝鮮戦争が起きそうになるだけで、韓国から資本逃避が始まるでしょうから。

12月13日に米国が利上げを決めました。2018年にも3回、引き上げる方向です。米利上げに伴う資本逃避を防ぐため、韓国は11月30日に利上げを決めています。

しかし韓国は家計負債問題が深刻で、米利上げにどこまで追随できるか疑問が持たれています(「『14年前のムーディズ』に再び怯える文在寅」参照)。

米国も「通貨」が威嚇材料

—反対に中国の要求を受け入れ、韓国が米国にTHAAD撤去を要求すれば?

鈴置:米韓同盟が崩壊します。韓国防衛のために駐留する在韓米軍を守るTHAADを取り外せ、と言われるのです。米国は「韓国処分」に出るでしょう。

韓国が米国を裏切って中国側に付いたことを知らない普通の米国人だって、その時は黙っていない。まずは、1997年のように、通貨危機を演出して警告すると思いますが(「『14年前のムーディズ』に再び怯える文在寅」参照)。

北朝鮮の核問題がどういう展開になるかは読み切れません。戦争になるのか、その前に金正恩(キム・ジョンウン)体制が崩壊するのか――。一方、北朝鮮は「米国が折れて北の核武装を認める」とのシナリオをいまだに描いています。

ただ、どういう展開になろうと、米韓関係が決定的におかしくなるのは間違いありません。この部分だけ見れば、中国は笑いが止まらないでしょう。努力しなくとも、韓国が米国に後ろ足で砂をかけたうえ、自分の懐に転がり込んで来るのですから。

米国を追い出すチャンス

—いったい文在寅政権は何を考えているのでしょうか。

鈴置:米韓同盟の打ち切りを決断したと思います。民族の団結を最優先する親北左派とすれば、北朝鮮の核問題に最終決着が付く今こそ、米国を追い出すチャンスなのです。

米国が軍事行動で北朝鮮の核を除去しても、あるいは金正恩政権が暗殺などで崩壊しても、韓国にとって北の脅威は一気に減ります。そのタイミングをとらえ、国民に「もう、同盟はやめよう」と呼び掛ける作戦と思われます。

親北派は米韓同盟こそが民族を分裂させる元凶と信じていています。今でさえ米国に出て行けと言っているのです(「『米韓同盟破棄』を青瓦台高官が語り始めた」参照)。北の脅威が急減した後、同盟廃棄に乗り出さない方がおかしい。

—普通の人は反対しませんか。

鈴置:米韓同盟を廃棄しようと政府が言い出したら、反対する声が噴出するのは間違いない。ただ、普通の人も在韓米軍の存在に割り切れないものを感じています。「外国軍隊のいない、平和で自主独立の国を作ろう」と訴えられたら、心を揺らす人が相当数、出ると思います。

文在寅政権は米国の方から同盟廃棄を言い出させるつもりでしょう。そうなれば同盟維持派の反対は力を持ち得ません。

「4大原則」を含め、文在寅政権は露骨な「反米親北」政策によりすでに米国を怒らせています。米国に同盟破棄を言い出させる作戦は、着々と進んでいるのです(「文在寅大統領の「反米・親北」の言動」参照)。

●文在寅大統領の「反米・親北」の言動(2017年)
4月13日 大統領選挙の討論会で「(米国が先制攻撃を準備する場合)北朝鮮にホットラインを通じて直ちに連絡し、挑発を中断するよう要請する」と発言
5月10日以降 「手続きが不透明」としてTHAADの追加配備を認めず。6回目の核実験(9月3日)後の9月5日になって配備容認を決定
8月15日 「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」と米国の先制攻撃に反対
9月21日 「時期は未定」としつつ、800万ドルの対北人道支援を発表
9月27日 国連総会第1委員会で、北朝鮮の非核化も念頭に置いた「核兵器廃絶決議案」を棄権
9月28日 「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」と国軍の日の記念式典で演説
11月29日 北朝鮮のICBM発射直後に「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」と発言、米国を牽制
12月14日 中韓首脳会談で「朝鮮半島での戦争は絶対に容認しない」など「4大原則」に合意し、米国を牽制
     

こうした親北左派の巧妙な作戦に、保守は危機感を募らせています。朝鮮日報など保守系メディアが国民に「文在寅に騙されるな」と必死で訴え始めたのもそのためです。

「北の核」は「民族の核」

—可能性は低いのでしょうが、北朝鮮の核武装が国際社会で認められてしまったら?

鈴置:親北派には願ったりかなったりです。米国を追い出し、民族が団結して統一国家をつくる――。これが親北派の夢です。その際は核保有国との同盟を失うわけですから、北朝鮮が開発した核、あるいは「核を持つ権利」は民族を守る最終兵器として必須なのです。

彼らは「南の経済力と北の核を合わせれば強力な国をつくれる」と固く信じています(「『約束を守れ』と韓国の胸倉をつかんだ中国」参照)。「北の核」は「民族の核」なのです。

南北が手を組み、北の開発した核ミサイルを日本に撃ち込むという粗筋の小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』(1993年刊)はそんな夢を語ったものでした。この小説はベストセラーになったうえ、映画化までされたのです(「北の核ミサイルは日本を向く」参照)。

あれは日本向けの核だ

—普通の人も「民族の核」が欲しいのですね。

鈴置:その通りです。「自前の核さえあれば、大国に翻弄されないで済む」との思いは南北、イデオロギーに関係なく、共通しています。

もう1つ、見落としてはいけないことがあります。韓国に「北朝鮮は同じ民族が住む韓国に対し核は使わないだろう」との認識が広まっていることです。北朝鮮に反感を持つ人の中にも、そう考える人が多い。

『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』のような、エンターテイメントの形をとって「南北は和解できるのだ」と呼び掛ける小説や映画が、1987年の民主化以降、雨後のタケノコのように生まれたからです。

日米に比べ「何が何でも北の核武装を阻止しよう」との意識が韓国社会に薄いのもそのためです。ここを日本人や米国人は勘違いしがちなのですが。

そんな北の核への楽観的な空気を利用して、文在寅政権は「戦争絶対反対!」と叫んでいるのです。

「自分たちには使われない、米国や日本向けの核を阻止するために我々は戦争に巻き込まれるのか」と呼び掛ければ、かなりの韓国人が「その通り!」と応じるでしょう。

「民族の夢」が再び映画に

12月14日、韓国で映画『鋼鉄の雨』が公開されました。主人公は北朝鮮のスパイと韓国政府高官の2人。北の最高指導者が開城(ケソン)工業団地で暗殺されそうになったり、米国が北を先制核攻撃したり「緊迫した今」を映した映画です。予告編(韓国語)を見ることができます。

この映画には、韓国側が北の最高指導者をソウルで治療した後、救急車で北朝鮮に送り届け、見返りに核兵器を半分譲ってもらうというエピソードがあるそうです。「民族が手を携え核で周辺強国ににらみを利かせる」という韓国人の夢を、この映画も語ったのです。

朝鮮日報の映画評「南北が核を共同保有? いくら映画と言っても」(12月13日、韓国語版)は以下のように批判しました。

南北が北朝鮮の核を「共同資産」のように活用できる、あるいは北朝鮮側の宣伝通り核問題を「わが民族同士」で解決できるなどと、誤って受け止められる恐れを指摘する向きもある。

キム・テウ元統一研究院院長は「北朝鮮の核危機が進む状況下で韓国映画が軍事・安全保障分野を取り上げる際、事実の検証や専門家のアドバイスもなく、想像と虚構を織り混ぜて製作する風土は、普通の観客を誤導する可能性がある」と語った。

この映画が「北の核を認めよう」とのムードを盛り上げるのではないか、との元院長氏の懸念はよく分かります。

でも、映画が普通の人々の夢を語るものとするなら『鋼鉄の雨』こそが“正しい”映画なのです。

(次回に続く)

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『中国のおしゃれ書店ブームと言論の死 当たり障りのない心地いい空間では息苦しさは癒やされない』(12/14日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

12/16nifty・ニュース<中国周辺諸国の「一帯一路」プロジェクトが次々中止>パキスタン、ネパール、ミャンマーで相次いで工事中断しているようです。中国人が善意で相手の国のためになることをしてくれると思う方が、おかしいのです。中国は政治家要人に賄賂を贈り、甘言を弄して、中国の軍拡に有利になるような工事を発注して貰い、且つ高金利で融資するやり方を採ります。スリランカのように港が99年運営権を中国に乗っ取られるような事態になるのを見て各国がキャンセルしだしたのでしょう。宮崎正弘氏メルマガでも早くからその危険性(サラ金)に警鐘を鳴らしていました。

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12180-636220/

http://melma.com/backnumber_45206_6512304/

12/17水間政憲氏ブログ<緊急拡散希望《中国が認めた「南京」完結動かぬ証拠》>南京虐殺なんてロジカルに考えればあり得ないでしょう。死体焼却をどうしてしたのか考えれば分かります。この本を中文・英文で出すと言っても引き受けてくれる出版社は出ないのかな?電子書籍にすればどうでしょうか?ついでに昭和39年に毛沢東が社会党の佐々木更三委員長に言った「何も申し訳なく思うことはありませんよ、日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらしました。中国国民に権利を奪取させてくれたではないですか。 皆さん、皇軍の力なしには我々が権利を奪うことは不可能だったでしょう。」と言うのも載せてやれば、侵略・侵略と煩い今の中国共産党も黙るのでは。

http://mizumajyoukou.blog57.fc2.com/blog-entry-2683.html

山田氏の記事を読みますと、中国は習近平の時代になって益々息苦しくなってきたと言う感じです。経済的豊かさを与えてやったのだから、「知識人は黙れ」と言う所でしょう。さもなくば臭老九として弾圧する気でしょう。しかし、貧しい人々を切り捨て、中共はどこへ向かおうとしているのか。農民工は棄民として世界各国に輸出するつもりでしょうか?白人の為の奴隷としての苦力の代わりに中共が農民工と言う苦力を輸出、人口侵略の先兵として活用するつもりでは。日本も気を付けないと。中国と朝鮮半島人は反日教育をしています。それだけでも入国制限できる立派な名分になるでしょう。「一帯一路」参加なぞもっての他です。中国に富を与えることは軍拡予算を増やすことに繋がり、周り回って日本の安全に深刻な脅威を齎します。

記事

筆者を育ててくれた季風書店の「当代中国問題」の棚

私は今年、上海で育ての親を亡くした。

と言っても死んだのは人間ではない。「季風書園」という名前の書店である。閉店は2018年1月31日なので、正確に言えばまだ死んではいない。今年の4月、店舗の貸し主である上海図書館から余命10カ月の宣告を受けた、すなわち契約を更新しないことを通知されたと公表してしばらくは、この店ならではの在庫をいまのうちに求めようという常連客が連日駆けつけたため、見舞客が大勢訪れる病室のような明るさのようなものも残っていた。ただ、本よりも空間の方が本棚に目立ち始めるにつれ見舞客ならぬ常連客も1人減り2人減りし、私が最後に訪れた12月初旬の店内にもはや生気はなく、命の焔が燃え尽きる前の華やぎのようなものも既に残ってはいなかった。

季風書園は1997年、中国政府のシンクタンクである社会科学院で哲学の研究をしていた厳搏非氏が同院を辞め上海で立ち上げた。中国では全土が大混乱に陥った文化大革命(1967~77年)の期間中、大学入試が行われなかったが、厳氏は入試再開後に大学生になった第1期生である。

創業時からのモットーは、「何者からも独立した文化の立ち位置」と「自由な思想の表現」。当時、中国の書店と言えば中国最大の国有書店グループ「新華書店」ほぼ一色で、どの書店を覗いても代わり映えしない品揃えが当たり前だった。こうした時代にあって、季風書店の独特な品揃え、とりわけ哲学、政治、思想の分野の充実ぶりは、上海の知識人の間でたちまち話題になり、ピーク時には上海市内に8店舗を構えるまでになった。紙の書籍の危機が言われたネット時代の到来にもいち早く対応し、他に先駆けて開いたネット小説家のサイン会を成功裏に終えるなど、ネットの脅威を逆手に取る才覚も見せた。書店が作家や学者を招いて開く公開講座のさきがけでもある。季風書園はこのころには上海の知のシンボル的存在だと言われるようになっていた。

私もこの書店の本棚に育てられた人間の一人だ。

2001年から上海に暮らし始めた私は、食事をしたり散歩したりという日常生活の中で、「どうして上海には安徽省の農村出身者がここまで多いのか?」ということに疑問を抱くようになる。そうして私は、農村からの出稼ぎ労働者「農民工」の存在を知る。その後、農民工との交流を深める中で、中国がとてつもない格差を抱えた社会であり、そのことが、中国の安定を揺るがしかねない問題に発展する恐れもありそうだと思い至る。

そして、この問題についてさらに知りたいと上海の書店に向かうのだが、日本で言えば八重洲ブックセンターやジュンク堂、丸善本店といったような規模の大型書店でも、農民工の問題を扱った書籍は散発的に置いてある程度で、参考になりそうな本を見つけることはできなかった。

ところが、季風書園の「当代中国問題」の棚には、中国社会の不平等の根源になっている戸籍制度から、都会で働く農民工の日々の生活を聞き取り調査したルポルタージュ、現金のない農民の困窮につけ込んで出現した高利貸しの実態、都会で働く父母と離れて農村の実家で暮らす子供たち「留守児童」の実情を伝えるもの等々、農民工の問題を考える上で知りたいと思っていたことを書いたものはもちろん、この棚で初めて知った新たな問題を書いた本までが、体系的に網羅的に揃えてあったのだ。

私の関心は主に現代中国なので、他の棚はそこまで熱心に眺めていないが、季風書園が「上海の知のシンボル」とまで言われるようになったのは、他の分野も同じだったからだろう。季風書園の「当代中国問題」の棚に出会っていなければ、私は農民工をテーマにした『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』を書き上げられた自信がない。

その季風書園に逆風が吹き始めたのは、北京五輪が開催された2008年である。この年、地下鉄陜西南路駅構内にあった旗艦店が、契約更新の交渉で、大家の上海地下鉄公司から10倍の値上げを突きつけられ、一夜にして存続の危機に立たされた。この時は「上海の文化の火を消すな」と上海の知識人たちが立ち上がって存続運動が起こり、世論に押された地下鉄公司側が、季風書園側が受け入れ可能な価格を提示し、同じ場所での存続が決まった。

ただ、この年を機に、不動産価格の高騰と、コストの安さを武器に安売りを展開するネット書店の存在に、季風書店は一貫して脅かされることになる。存続が決まった陜西南路駅の旗艦店も、契約終了時の家賃交渉が折り合わず、2013年、地下鉄上海図書館駅構内の店舗への移転を余儀なくされた。

「上からの圧力」で閉鎖

そして4年後の今年、季風書園は閉鎖を決断した。この4年間で、上海の不動産はさらに高騰した。季風書園のSNSを読むと、家賃高騰とネット販売の脅威は半ば恒久的な問題として抱えていたようだ。ただ、閉鎖の主因は家賃ではない。大家である上海図書館から、立ち退きを求められたからだ。理由として図書館側から、「国有資産の流出を防ぐよう上から通知があったのに伴い、現有資産の見直しを進めた結果、季風書園に賃借している店舗を図書館自身が活用することを決めたため」だとの説明があったと、季風書園は表明している。ただ同時に書園側は、「背後に、もっと深い理由があることを、私たちは感じた。それが何かについて、話すのは差し控えたい」とも話している。

季風書園のこの説明を、上海の知識層は「上からの圧力があった」と解釈している。「だれからも独立した立ち位置」と「自由な思想」を標榜する同書店の品揃えやセミナーの内容を、当局が問題視した、というわけである。

しかし、である。季風書店は、禁書を扱っていたわけではない。扱う気になればどの書店でも置くことができる本ばかりだった。

また、確かに、「自由」「独立」「思想」と、この書店の掲げるモットーは、言論の自由に寛容でない中国共産党の中国とは一見、相性が悪いように思える。ただ、この書店が政権打倒の急先鋒で、独立主義者たちの精神的、思想的後ろ盾になっていたということもなかった。繰り返すが、禁書を扱っていたわけではなく、国内で流通が許される本のみを扱っていたわけだから。

何より、創業当時から自由や独立した思想を掲げながら、同店20年の歴史の大半を、思想的にも政治的にも当局から特に問題視されてこなかったという事実がある。それがいまになって、問題視され始めたということをどう考えればいいのか。やはりこれは、いまの中国が、季風書園「程度」のささいなことにまで神経をとがらせ、締め付けをきつくし始めたと見ざるを得ないということになる。

そして、家賃の高騰で季風書園が立ち退きを迫られた9年前には、「上海の文化の火を消すな」と声を上げた上海の知識層も、今回は存続運動など目立ったアクションを起こしていない。「起こせない」というのが正確なところなのであろう。

「リアル書店復興」の寂しい実態

「上海で最も美しい書店」の店内

一方で、上海をはじめとする中国の大都市ではいま、オシャレ大型書店が増殖し人気を集めている。オリジナルの雑貨を扱い、カフェを併設するところがほとんどで、例えるなら、生活提案型総合施設として新しい書店の姿を示したと言われるTSUTAYAの代官山T-SITEのようなスタイルと言えばいいだろうか。

また上海では、商業施設の広場に期間限定で半透明の小ぶりな移動式書店を設置し、期間中、日替わりで毎日異なる作家のサイン会や朗読会を開くという面白い試みをする書店も出現し、本好きの間で話題になっている。

こうしたオシャレ書店には、天井まで届く壁一面の書架に囲まれたゴージャスな空間で、コーヒーの香りに包まれながら本を吟味する知識人の姿もあるが、一方で、本には全く関心を示さず、物珍しそうにキョロキョロ歩き回りながらインスタ映えしそうな写真を撮りまくる、金回りが良さそうな風体をした富裕層と思しき一群も目立つ。

彼らを見ていると、これら最近はやり始めた新たなリアル書店のブームの背景にある存在が見えてくる。些細なことにも神経をとがらせ始めた社会に息苦しさを感じ、逃避できる静かな空間を書店に求める知識層。そして、流行の先端をカネで支える富裕層だ。

私は12月初旬の2日間を使って、最近話題になっているこれらオシャレ書店のうち、「上海で最も美しい」と呼ばれる書店と、浦東の超高層ビル群が一望できる書店を訪れた。いずれも品揃えは圧倒的だった。しかし、過去20年、上海の言論界とリアル書店をリードしてきた季風書園の「当代中国研究」の棚にあった、農民工関係の本は、どちらの書店でも一冊も見つけることができなかった。

オシャレ書店の増殖や書店の多様化は、「リアル書店の復興」と評されることもあるようだ。ただ、書店の棚から中国の抱える社会問題を扱う本が消えるということはすなわち、「書店に来る人間が、書店に来ない人間のことを考えなくなる」ということに他ならない。それで、何がリアル書店の復興か。中国社会の分断はこうしてさらに深刻の度合いを増し始めた。

上海浦東の超高層ビル群を一望できる立地に建つ大型書店

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『なぜ中国メディアは「江歌事件」に殺到するのか 日本で起きた留学生殺人事件が“国内問題”を覆い隠す』(12/13日経ビジネスオンライン 福島香織)、『1000万人が凍える中国「暖房変換政策」の失態 大気汚染対策「石炭禁止」強行も、工事遅延と天然ガス不足で…』(12/15日経ビジネスオンライン 北村豊)について

11/16facebook記事

<這個國家每天都有新鮮事=この国は毎日何か新しいことがある。

「私は雲南人で12歳になるが、多くの男に強姦され、その後無理やり売春させられ、犯罪集団に入れられて違法活動に手を染め、2年刑務所に入ること9回。昆明警察の監獄に入っていた時に精神をおかしくする薬を打たれた。多くの人が関心を持ってほしい。私を救って。皆さんに感謝します」>。韓国の慰安婦の婆さんと同じで、齢が合いません。これは公然たる詐欺では。まあ、誰も恵はしないでしょうけど。

12/16中国観察<陳世峰求複合時已有新女友 江媽哭暈至休庭(組圖) 看中国=陳世峰(江歌の殺人犯)は二人に会いに行ったときには既に新しいガールフレンドがいた 江歌の母親は裁判中に泣いて眩暈の為休廷した 看中国>「江歌の母親は裁判時に殺人犯に死刑を要求(自分の命で罪を贖え)、犯人も「聞こえた」と。母は犯人の謝罪の手紙を読んでも心から反省しているようには見えないとも。江歌事件の五日目の審理は午前中に終了。次の開庭は12月18日開庭、12月20日判決予定。」

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/bads/2017/12/16/383908.htm%E9%99%B3%E4%B8%96%E5%B3%B0%E6%B1%82%E8%A4%87%E5%90%88%E6%99%82%E5%B7%B2%E6%9C%89%E6%96%B0%E5%A5%B3%E5%8F%8B-%E6%B1%9F%E5%AA%BD%E5%93%AD%E6%9A%88%E8%87%B3%E4%BC%91%E5%BA%AD%E7%B5%84%E5%9C%96.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

11/23・29本ブログでも江歌事件については伝えました。その時にも言いましたが、最高裁は一人殺しても死刑にできるように判例を変更すべきです。“eye to eye, tooth to tooth”、“以眼還眼、以牙還牙”です。江歌の母親は450万人の死刑の署名を集めたそうですが、署名の多寡で法が捻じ曲げられてはならず、そうすれば韓国と同じで国民情緒が法に優先する非法治国家になってしまいます。江歌の母親には可哀想ですが、MAX無期懲役になるのでは。日本の裁判員も江歌の母親には同情するでしょうけど、日本人が起こした事件と仮定すれば、死刑は無理でしょう。福島氏と違い、犯人の陳世峰とその女友達の劉鑫が悪いと思っています。劉鑫がドアを開ければ江歌は助かったかもしれません。劉鑫は法的責任は問われなくても、道徳的に見れば問題です。江歌は巻き添えを食って殺されたのですから。陳世峰も新しい女友達が出来たのですから、劉鑫のことなぞ忘れれば良いだけです。中国人と言うのは本当に恐ろしい。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7644

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7693

北村氏の記事は共産国家、官僚主導の経済のおかしさを追及したものです。ああいう国に生まれなくて良かったと心底思います。日本の左翼はああいう国を理想としている訳で頭の中を疑います。左翼新聞・左翼政党を応援している人は日本を共産化する手助けをしていると自覚すべきです。

福島記事

久しぶりに刑事事件の裁判を傍聴した。日本ではあまり関心は高くないが、中国のネット世論を騒然とさせている江歌事件の初公判が12月11日に東京地裁で行われた。私は傍聴券の抽選に当たり、検察側、弁護側の冒頭陳述及び争点などを聞くことができた。

この公判には、ネットテレビ番組「局面」など中国メディア15社前後が殺到しており、傍聴できるかどうかもわからないのに、日本にわざわざ本社から長期出張で記者を派遣するメディアも少なくなかった。私が抽選に当たったというと1万円で買いたいという人もいたくらいだ。フェニックステレビの地裁前生中継は昼の時間帯だけで100万人以上のネットユーザーが閲覧していたという。

いったいなぜ、ここまで報道が過熱しているのか、今、中国では山ほど深刻な社会事件が起きているのに、この異国・日本で起きた留学生の痴情のもつれによる殺人事件に、中国社会の関心が集中するのか。そのわけを今回は少し考えてみよう。

痴情のもつれに巻き込まれ…

江歌事件の概要を改めて説明したい。簡潔にするために被害者も容疑者も敬称を略す。2016年11月3日未明に東京都中野区で、法政大学に留学していた女子研究生・江歌が、女友達で大東文化大学留学生の劉鑫の元彼であった大東文化大学大学院の院生・陳世峰に殺害された事件だ。

3人はいずれも中国人留学生で2016年に東京で出会った。劉鑫は2016年5月から陳世峰と3カ月同棲していたが2016年8月に性格が合わずに別れ、その後、9月から同郷(青島市)のよしみで仲良くなった被害者の江歌のところに同居していた。だが、陳世峰は、劉鑫をあきらめきれず、ストーカー行為を繰り返していた。11月2日午後、中野区の江歌・劉鑫が同居しているマンションに陳世峰が現れ、このとき一人で家にいた劉鑫は江歌に微信で相談、江歌は警察に通報するようにいったが、劉鑫は警察に通報しなかった。江歌が帰宅して、陳世峰に帰るよう説得。その後、江歌は大学へ行き、劉鑫はアルバイトに出かける。陳世峰は劉鑫のあとをつけ、電車の中で、微信で劉鑫の下着姿の写真を添付送信して、復縁しないとこの写真を両親に送り付ける、といった脅迫を行った。

事件はその夜に発生した。検察側の冒頭陳述によれば、その後、陳世峰はナイフと着替えを準備して再び、江歌のマンションにいき、部屋の一階上の三階外階段のところで、二人の帰宅を待ち伏せていた。ちょうど午前零時を回ったころで、二人は一緒に帰宅した。劉鑫は先に部屋の中に入り、江歌はポストの確認などした後、遅れて上がってきた。陳世峰はドアの外で、江歌ともみ合い、ナイフで左首を刺したほか、14カ所にわたって顔や手、背中などを刺した。江歌は出血多量で、搬送先の病院でなくなった。陳世峰は、着替えたのち、タクシーで逃走した。陳世峰の大学院の研究室には、ナイフの包装が残っており、検察側はこの包装の中身が、犯行に使われたナイフだとしている。

ちなみに弁護側の冒頭陳述はかなり食い違っていて、殺害に使われたナイフは陳世峰が用意したものではなく、ストーカー行為に恐怖を感じていた劉鑫が護身用に玄関先に置いておいた果物ナイフという。

大きく食い違う主張

劉鑫が部屋に先に入ったあと、江歌が遅れて部屋に入ろうとしたとき、陳世峰が後ろから江歌の肩をつかみ、驚いて叫び声を上げた江歌に、劉鑫がとっさに玄関先にあったこのナイフを渡したという。劉鑫は家に入りかけた江歌を、恐怖のあまり押し出してドアの鍵を閉めてしまった。このとき、劉鑫の「鍵を閉めちゃったから、もう怒鳴らないで」といった発言があったという。部屋から閉め出された恐怖でパニックに陥った江歌が、自衛のためにナイフで陳世峰を刺そうとしたのを、陳世峰がやめさせようと、もみ合ううちに、ナイフが江歌の頸部に刺さってしまったという。

陳世峰は、これを見て、江歌の命が助かれば、両親に膨大な治療費など経済負担を負わせることになる、どうせ自分の人生は終わりだから、止どめを刺して自分一人で責任を負おう、あるいは、顔を見られているのは江歌だけだから、彼女を殺してしまえば、うまく逃げ切れるかもしれない、と考え、倒れた江歌をさらに十数回刺したという。

弁護側の主張は、死因は最初のひと突きの左総頸部動脈損傷による失血死であり、この死因となった傷を負わせた段階では殺意はなく、その後に間違った責任感から殺意を持ったので「殺人未遂」と主張している。着替えも準備したのではなく、家を出たときは、コインランドリーに行くつもりで出たのであって、着替えは準備したものではない、という。江歌宅に行ったのも、江歌に復縁を手伝ってもらおうと相談するつもりであり、一緒に飲むためにウィスキーを持っていったという。ちなみに、ウィスキーの瓶は現場に残されており、瓶口の部分から陳世峰のDNAが検出されている。

事件の詳細は、ナイフの持主、殺意、計画性のいずれも検察側・弁護側の主張が大きく食い違う。11日から5日間にわたって連続で陪審員制度裁判を行い、20日に一審判決が出る予定だ。

事件そのものは、単純に言えば男女関係のもつれに、親切にも仲裁を買って出た友人が巻き込まれて犠牲になってしまったというもので、被害者と遺族のやりきれなさは想像に余りある。だが、実のところ、中国では比較的よくあるパターンの殺人事件である。おそらく、この事件が中国で起きたとしても、これほど中国メディアは熱心に取材しなかったかもしれない。では、なぜこの事件が中国世論の関心をここまで集めたのか。傍聴席に来ていた中国人記者らにその理由を聞いて回ると、次のような点を挙げた。

200万人の署名と「道徳問題」

理由の一つは、江歌の母親・江秋蓮が、来日して陳世峰の死刑を求めて、署名活動を行い、11月までに、なんと200万人もの署名を集めたことだろう。江秋蓮は、江歌が一歳の時に離婚し、女手一つで育てあげ、日本にまで留学させた自慢の娘であった。しかも、殺害動機の根本原因は陳世峰と劉鑫の男女関係であり、江歌は善意の第三者だ。また事件発生直前まで、微信電話で母娘は会話をしていた。一人っ子政策下のシングルマザーの希望の星であった娘を突如理不尽に奪われる悲しみは、当然世間から強い同情を集めた。

また、事件の起きた場所は、日本という治安がいいことで有名な国であり、その一方で、日本の裁判による量刑は、おそらく中国で行われる裁判よりもずっと軽い。この理不尽感が、中国で発生する同様の事件より強い、という。

さらにいえば、この江秋蓮の行き場のない悲しみとそれに対する中国社会の同情は、容疑者の死刑を願うだけでなく、劉鑫に対する非難、攻撃に発展し、中国メディアがこれをさらに世論としてあおる形の報道を展開したことも大きい。

劉鑫はドアに鍵を閉めて江歌を部屋に入れなかった。弁護側の陳述によれば、江歌は陳世峰ともみ合いながら、肘で何度もベルを押し続け、ドアを開けてもらおうと懇願していたという。娘の最後の様子の詳細を知りたい江秋蓮は、事件後に何度も劉鑫に面会を申し入れたが、劉鑫は一度も江歌の母親に会おうとしなかった。

悲しみが怒りに転じた江秋蓮は、劉鑫の自宅や電話番号などを探しあて、ネット上の公開書簡を発表して劉鑫に謝罪を求めた。これを受けて劉鑫の父親が、江秋蓮に対して「プライバシー侵害だ」と抗議の電話を掛け、劉鑫の母親も江秋蓮をののしるなどしたが、こうした電話録音がネットメディアで公開されると、劉鑫とその家族に対し、ネットユーザーたちが抗議の電話をかけるなど、あたかも全中国人民がつるし上げを行うような騒ぎになった。殺人事件から「中国人の道徳問題」を問う事件となったのだ。この劉鑫批判報道が、視聴率やネットニュースの閲覧数を稼ぐため、エスカレートしていった。

だが、冷静に考えてみれば、24歳のうら若い女性が、殺意を持って現れた元彼と友人がもみ合っているのを、玄関のドアを開けて助にいく勇気がなかったとして、そこまで責められることだろうか。ドアを開けてしまえば、容疑者も家の中に入り、二人とも殺害されてしまったかもしれない。江秋蓮の悲しみ、怒りは理解できるものの、今の中国社会に道徳という言葉で、劉鑫に社会的制裁を与える資格があるのか。もちろん日本でも、社会の多くの人が、法の裁きが不公正・理不尽だと感じたとき、この“世論の暴力”がしばしば発動されるが、少なくとも劉鑫は脅迫にあった被害者でもあり、裁かれる側ではない。

誤解を招くことを恐れずに言えば、私には今の中国の社会問題において、この江歌事件はそこまでクローズアップして報じるほどのニュースバリューなのだろうか、と疑問を感じた。むしろ、メディアが世論の関心をこの事件に誘導しているような気もするのだ。

重要度より自由度か

中国では11月、何かヒリヒリするような社会不安感情を刺激する事件がいくつか起きている。日経ビジネスオンライン「中国・キタムラリポート」などでも紹介されている北京市大興区の安宿火災から始まった「低端人口排除事件」は、人権問題として、それこそ道徳の問題として、中国人が向き合い、政府や党にその姿勢の是非を問いかけるべき事件だろう。北京の私立幼稚園で起きた教師による園児の連続虐待事件も、権力に関わる背景がありそうな気配だ。これら事件は発生後まもなく、当局による「事実の否定」が発表され、中国メディアでほとんど報じられなくなった。微博などSNSでも、このテーマは、検閲、削除対象となっている。

江歌事件は、昔からある男女関係のこじれが原因の殺人の動機であり、低端人口排除や幼稚園の連続虐待事件は、背後に中国の権力の存在が感じられる事件だ。だが、中国メディアにしてみれば、習近平政権下でのかつてないほど厳しいメディアコントロールがあり、中国国内の政治がらみの社会問題事件を自由に取材したり、報じたりできない。むしろ日本で起きた殺人事件の方が取材しやすいし、報じる自由度が高い。日本で起きた殺人事件で道徳世論を盛り上げるのは、結果的には中国国内で起きている政府や党に世論の批判の矛先が向きかねない社会事件を多い隠す効果もあるのではないだろうか。

私は、そういう疑問を持ったので、傍聴券のために並んでいた上海から出張してきた記者に、「中国では報道統制が厳しく取材しにくいから、日本で起きた事件に全力投球しているんじゃないの? この事件を報じることによって、報じられるべき社会事件が中国できちんと報じられていないのではないの?」と意地悪く聞いてみた。すると、「そんなことないですよ、私たちのメディアは、比較的がんばっていますよ。江歌事件だって取材しても報道できない可能性もあるんですよ」と否定した。

「法治がない証拠だ」

だが、こうした中国人記者とのやり取りを聞いた、ある法政大学法学部に在籍中の中国人留学生は「殺人事件を道徳問題で論じることは、中国に法治がない証拠だ。中国のメディアは、そこをおかしい、と問題提起しなくてはいけないのではないか」と指摘。さらに「中国で起きている切実な社会事件から世論の関心をそらすために、日本で起きた殺人事件をことさら大きく報道している面はあると思う。また、日本に憧れを持っている若者に対して『日本も安全ではない』『怖いところだ』といった“政治宣伝”の面もあるんじゃないか」と、なかなか辛辣な意見を呈していた。

ちなみに、上海メディア記者が指摘したように、江歌事件は、ヒートアップしすぎたせいもあって、若干の報道抑制が指示されており、今や完全に自由に報道できる状況ではなくなったらしい。法政大学留学生が言うように、この事件も切り口によっては、法治国家の在り方を問うテーマになりうるし、世論の過熱は、どちらの方向に流れても当局にとっては厄介なのだ。

さて、私自身が、この殺人事件について論評することは、現在進行形で裁判が行われ起訴事実の部分を争っているところなので、やめておこう。ただ、司法の独立という概念がなく、世論の流れや政治的目的によって、しばしば恣意的な裁判結果が出る中国から取材にきたメディアに、やはり日本は法治国家なのだ、と知らしめる公正で疑いのない裁判と判決を期待する。

北村記事

大気汚染対策で石炭から天然ガスへの燃料転換を強行するも、工事遅延とガス不足で、暖房なしの生活を強いられる庶民。その怒りの熱だけが高まる。

全国紙「中国青年報」は12月5日付で「暖房時期の開始から20日過ぎても、暖房改造工事の遅延で、河北省“曲陽県”では多くの農村の小学校で暖房がない」と題する記事を報じた。曲陽県は河北省の中西部に位置する“保定市”の管轄下にある人口55万人の小都市で、“定瓷(ていじ)”と呼ばれる白磁の産地であると同時に彫刻の里として知られている。

さて、中国の“長江(揚子江)”以北では冬季の“取暖期(暖房時期)”は11月15日~3月15日とされていて、学校や官公庁、公共機関では11月15日から暖房が始まる。近年は暖冬で多少はしのぎやすくなったものの、長江以北では11月に入ると寒さが身に染みるようになり、暖房が恋しくなるが、学校や官公庁には暖房がない。筆者も商社の北京駐在員時代には寒さに震えながら国営の“進出口公司(貿易会社)”のビルで商談を行った経験を持つが、室内で息が白くなり、厚着をしても足が震えるほどの寒さで、とにかく11月15日の暖房開始日が待ち遠しかった。

石炭から天然ガスへ転換を目指すが…

上述の記事には小学校の校庭に並べられた椅子の上にノートを置き、レンガを敷き詰めた地面に座って授業を受ける子供たちの写真が掲載されていたが、冬の太陽は厚着をした子供たちの背中を照らし、地面には子供たちの影が長く伸びていた。中国青年報の記者が取材した12月4日の保定市の気温は最高が4℃、最低が-7℃だったから、暖房のない教室は凍てつく寒さと言える。記事によれば、曲陽県“齊村鎮”にある多くの小学校では室外授業を増やし、子供たちに太陽光を浴びさせたり、走り回らせて暖を取らせているが、低学年の子供の中には手足が霜焼けになり、患部が腫れて痒くなった者も少なくなく、事情を知らない親から「何で冬に蚊がいるんだ」と聞かれる始末だったという。

この原因は曲陽県が県内にある全ての学校で進めている暖房方式の転換、すなわち“煤改電(石炭を電気に換える)”改造工事の遅延によるものだった。これは石炭燃焼による大気汚染を防止するために、中国政府が発した「“禁煤令(石炭禁止令)”」に伴う“煤改電”および“煤改気(石炭を天然ガスに換える)”の一環だが、多数の地域で改造工事が遅延したため、学校のみならず一般の住宅も暖房が使えなくなり、大問題に発展したのだった。

2016年7月1日、中国政府“環境保護部”は『“京津冀大気汚染防治強化措施(2016-2017年)(北京市・天津市・河北省大気汚染防止措置2016~2017年)”』(以下『防止措置2016~2017年』)を発表した。北京市・天津市・河北省における微小粒子状物質(PM2.5)の年平均濃度を引き下げることを目的としたもので、2017年までの引き下げ目標を、北京市は60μg/m3、そのうち南部4区(豊台区、通州区、房山区、大興区)は65μg/m3前後、天津市は60μg/m3前後、そのうち武清区、宝坻区、薊県は全市平均以下、河北省は67μg/m3前後、そのうち保定市、廊坊市はそれぞれ77μg/m3、65μg/m3前後と設定した<注1>。

<注1>日本の環境基準では,PM2.5の1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下となっている。

その上で、2+4都市(北京市・天津市+河北省の保定市・廊坊市・唐山市・滄州市)を重点地域、1+2都市(北京市+保定市・廊坊市)を重点中の重点地域に定め、農村の無石炭化や車両の排ガス汚染防止、工業汚染の防止などの推進を策定した。また、河北省の保定市と廊坊市は全力を挙げて農村部の“電代煤(石炭に換えて電気)”と都市部の“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”計画<注2>を推進し、石炭炊きの小型ボイラーの淘汰を強化することを策定した。さらに強化措置として、2017年10月末までに北京市・天津市・河北省の平原地区では基本的に“無煤化(無石炭化)”を実現し、保定市の市街区内にある全ての“城中村(都市の中に取り残された伝統的な村落)”で“電代煤”を実現し、保定市北部地区と廊坊市行政区域内の農村で“電代煤”の推進を加速することが策定された。

<注2>“電代煤”および“気代煤”は、家庭の暖房を従来の石炭燃焼から電気あるいは天然ガスの壁掛けボイラーによる暖房あるいは集中暖房に変更することを意味する。

2017年3月、環境保護部は2月17日付の『“京津冀及周辺地区2017年大気汚染防治工作方案(北京市・天津市・河北省及び周辺地区の2017年大気汚染防止作業計画)”』(以下『2017年作業計画』)を発表した。これは前年の『防止措置2016~2017年』を発展させたもので、その対象地域は従来の2+4都市(北京市・天津市+河北省の4都市)から拡大されて2+26都市になった。2+26都市とは、北京市・天津市+河北省の8都市(石家荘市・唐山市・保定市・滄州市・衡水市・邢台市・邯鄲市)+山西省の4都市(太原市・陽泉市・長治市・晋城市)+山東省の7都市(済南市・淄博市・済寧市・徳州市・聊城市・濱州市・荷澤市)+河南省の7都市(鄭州市・開封市・安陽市・鶴壁市・新郷市・焦作市・濮陽市)であった。このうち、山西省の4都市はいずれも石炭を産出する「産炭都市」である。

「青空防衛戦」に3段階の指令

『2017年作業計画』の主要任務は7つの項目で構成されるが、その第3項目には次のような内容が書かれている。

【3】冬季クリーン暖房重点プロジェクトを実施する。2+26都市を北方地区冬季クリーン暖房計画の第1回実施範囲とする。“城中村”、“城郷結合部(都市部と農村部の隣接地域)”および農村地区の“散煤”管理を全面的に強化し、北京市、天津市、廊坊市、保定市では10月末までに“禁煤区(石炭禁止区)”建設の任務を完成させ、実施範囲をさらに拡大させて冬季クリーン暖房を実現する。その他の都市は輸送ラインを10月末までに完成させ、天然ガスが良ければ天然ガス、電気が良ければ電気の原則で、各都市は5万~10万戸の“以電代煤(電気で石炭に換える)”あるいは“以気代煤(天然ガスで石炭に換える)”による集中暖房の工事を完成する。工業の低級余熱や地熱エネルギーなどの利用を拡大する。

さらに、環境保護部は2017年8月21日に『“京津冀及周辺地区2017-2018年秋冬季大気汚染綜合治理攻堅行動方案(北京市・天津市・河北省および周辺地区2017~2018年秋・冬季大気汚染総合管理難関突破行動計画)”』(以下『2017~2018年行動計画』)を発表して、「2017~2018年秋・冬季の大気汚染防止活動に全力で取り組み、断固として“藍天保衛戦(青空防衛戦)”に勝利しよう」と呼びかけた。『2017~2018年行動計画』には次のような記述がある。すなわち、2017年の上半期に各地区各部門は大気汚染防止活動を着実に推進して成果を上げたが、北京市・天津市・河北省および周辺地区における大気の環境情勢は依然として深刻であり、特に秋・冬季の大気汚染防止には弱い部分があるので、的確な措置を採り、秋・冬季大気汚染防止活動を着実に行わねばならない。

要するに、環境保護部は、2016年7月の『防止措置2016~2017年』、2017年3月の『2017年作業計画』、さらに2017年8月の『2017~2018年行動計画』という形で3段階の指令を発することにより、2(北京市・天津市)+河北省・山西省・山東省・河南省の合計26都市における大気汚染防止活動を推進して「青空防衛戦」に勝利しようとしたのである。

これを受けて、2+26都市の各地では2017年10月1日から“禁煤令(石炭禁止令)”が発令され、石炭を燃焼させる設備・施設の新築、拡張が禁止され、企業や個人による燃焼用石炭の販売、輸送が禁止された。各地の地元政府は暖房が始まる11月15日前に“電代煤(石炭に換えて電気)”、“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を実現するための工事を急いだが、工事の開始が遅かった地域では11月15日前に工事の完了が間に合わず、夜間は氷点下になる気候の中で当該地域の人々に暖房無しの生活を余儀なくさせることになった。学校や各家庭にあった石炭炊きのボイラーや壁掛けボイラー、石炭ストーブは政府命令に従って撤去していたから、違反は承知でこっそり石炭を燃やして暖を取ろうとしても肝心の燃焼設備そのものがなかった。文頭に述べた河北省曲陽県の小学校で厳寒に中で子供たちが校庭に座って授業を受けていたのは、上述した事情によるものだった。

石炭を燃やして行政拘留5日

ところで、国営通信社の「中国新聞社」は12月4日付で下記の記事を配信した。

12月3日、山西省“忻州(きんしゅう)市”公安局“環境安全防衛支隊”の「大気汚染巡査チーム」は夜間巡回中に建設現場で3カ所の火種を発見した。その場で煙の分析を行ったところ高濃度の二酸化硫黄などの有害物質が含まれていることが判明したので、調査を経て同チームは労働者の“王〇偉”が石炭を燃やして暖を取ったことを確認して逮捕し、同人を“行政拘留”5日間に処した。

行政拘留とは治安を乱した者に対する行政処罰であり、公安機関が裁決の権限を持つ。忻州市は2+26都市に含まれていないが、中央政府の呼び掛けに応えることで成績を上げる目的で厳しい措置に出たものと思われる。このニュースを知ったネットユーザーたちは、工事現場の労働者が暖を取るのに石炭を燃やしたからと言って行政拘留5日間はひどすぎるし、それがだめなら屋外で働く者は何を燃やして暖を取れというのかと抗議の声を上げたが、地元公安局は“王〇偉”が大気汚染巡査チームの説諭に真面目に対応しなかったばかりか、石炭以外にプラスチックバッグや古タイヤなどの廃棄物を燃やして有毒ガスを排出したことが理由だとして抗議を退けた。

ところで、上述した『2017年作業計画』にある主要任務の第3項目には「“散煤”管理を強化し」という記述がある。2015年12月21日付の「中国能源報」が報じた“散煤”に関する記事には、「“散煤”は家庭で暖を取ったり、飲食などに用いる石炭を指し、通常の状況下では小型の工業用ボイラーにも用いられる。“散煤”には未だに明確な定義がないことから、その使用状況に対する統計も正確なものとなり難い。推定では、我が国の燃料用石炭のうちの20%~25%が“散煤”であり、毎年の消費量は6億~7億トンと思われる」とある。“散煤”とは、採掘されたままの石炭で、選炭(原炭に含まれる無機物を分離・除去すること)をしていない低品位の石炭を指す。これを燃やせば二酸化硫黄などの有毒ガスが大気中に排出されて、PM2.5の濃度上昇に貢献することになる。

頼みの天然ガスも不足

中国政府が大気汚染防止措置の重点に置いたのは、“散煤”の使用を抑制することだった。従い、PM2.5が深刻な北京市を中心とする2+26都市で“禁煤令(石炭禁止令)”を発令して、“電代煤(石炭に換えて電気)”と“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を推進したのだった。

しかし、その結果は関連工事の遅延により多数の地域で暖房を使えずに凍える人々が発生し、その数は2+26都市で1000万人以上に達したという。河北省の廊坊市・保定市の“禁煤区(石炭禁止地区)”だけでも、105.4万戸の庶民が暖房に問題が発生、あるいは暖房が全くない状態を余儀なくされたのである。問題はそれだけではなかった。2+26都市を含む北方地区で“煤改気(石炭を天然ガスに換える)”が実施されたことにより、北方地区の天然ガスの需要が急上昇し、天然ガスの消費量も大幅に増大したため、“供不応求(供給が需要に応じきれない)”の状況となったのである。

中国政府“国家能源局(国家エネルギー局)”発行の『中国天然ガス発展報告(2017)』によれば、2017年の天然ガス消費量は2303億~2343億m3で、一次エネルギー消費に占める天然ガスの比率は7%に達し、前年に比べて245億~285億m3増加、その伸び率は11.9%~13.8%と予想していた。しかし、11月15日の暖房開始による需要と“煤改気(石炭を天然ガスに換える)”による新たな需要が重なったことにより、天然ガスは供給不足に陥った。このため、その影響は内陸部の陝西省“西安市”にまで及び、西安市内の170カ所以上の団地では天然ガスの供給が途絶え、暖房が使えなくなったという。天然ガスの供給不足により各地の“燃気公司(ガス会社)”は“限気通知(天然ガス供給制限通知)”を発表し、ユーザーに対して必要に応じて天然ガスの供給を停止する旨を通告した。

北方地区の2+26都市およびその周辺地域の人々が厳冬の中で凍えている実情がメディアを通じて大々的に報じられ、“煤改電”・“煤改気”工事の遅延や天然ガスの供給不足に対する批判が高まったことで、世論の圧力に負けた環境保護部は、12月4日付で2+26都市の各地方政府に対して“特急文件(緊急通達)”を出した。それは『“散煤”総合管理を遂行して大衆が温かく冬を過ごせることを確保する任務に関する文書』と題するもので、大衆が温かく冬を過ごすのが第一原則であり、暖房時期に入り、プロジェクトの工事が完成していない地域あるいは地方については、過去の石炭を用いた暖房方式あるいはその他の代替方式をそのまま継続してよいという趣旨であった。

緊急通達で撤回も、不満は充満

中国政府が一度出した行政指令を強行することなく、譲歩して指令内容を緩和することはあまりない。今回の緊急通達は環境保護部がその面子を失うものであり、できれば避けたかったと思うが、国民が厳冬の凍てつく寒さの中で暖房なしで震えている実態を目の当たりにしては、致し方なかったのだろう。今回の事態は中央政府の計画だけが先行して、各地方政府の行動が遅々として伴わなかったことに起因する。また、環境保護部は国家エネルギー局と冬季における天然ガスの需給バランスを十分に協議しないまま、2+26都市計画を推進したことが、天然ガスの供給不足をもたらしたと考えられる。

環境保護部の緊急通達により凍える人々の暖房問題が解決すれば良いが、過去の石炭を用いた暖房設備はすでに撤去されているはずで、工事完了までの一時的な代替設備が急きょ用意される可能性は少ないように思える。全ての人々が暖房のある生活に戻るにはまだ時間がかかるだろうし、天然ガスの供給量を急激に増やすことはできない。多少の暑さは冷房がなくてもしのげるが、厳寒の寒さは暖房なしではしのげない。

大気汚染を防止してPM2.5を抑制するという国家を挙げての意気込みは認めるが、国民を極寒の中で震えさせては、人々の政府に対する反感を増大させる効果しか望めない。一方、環境保護部が2016年7月から3段階の指令を出して準備を整えたのに、地方政府の対応が遅れたのはなぜなのか。“煤改電”・“煤改気”工事は多大な資金を必要とする。財政難に陥っている地方政府にとって諸手を挙げて歓迎するものではないということも考えられる。「面従腹背」は権謀術数渦巻く中国官界の常套手段だが、それが庶民に影響を及ぼすようでは庶民が面従腹背をするようになり、不満がいつか爆発することになりかねない。

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『中国人が日本人には絶対言わない日本旅行の意外な本音』(12/12ダイヤモンドオンライン 谷崎光)、『中国発のEV化で日本の自動車産業は電機の二の舞にならないか』(12/12ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

12/12笹川平和財団主催の「地政学から見た海洋安全保障」セミナーでの奥山真司氏の話によると、「スパイクマン(1893~1943、オランダ系米国人)は中国が南シナ海をアジアの内海にするのでは」と予言していたそうです。中国はそれを真似して「九段線」なるものを出してきたのでは。中国は遅れて来た帝国主義国です。21世紀には相応しくありません。

谷崎氏記事を読みますと、彼女は殆ど中国人に同化してしまっている印象を受けます。17年も人権侵害・監視社会の中で暮らせば感覚を麻痺させないと暮らせないでしょう。それが自覚的か無自覚的かは別にして。中国人が日本を見下しても良いでしょう。来て貰わなければ良いだけですから。「国防動員法」の適用を考えると来ないでくれと言いたいくらいです。谷崎氏にも戦時には「国防動員法」は適用されますが、平和ボケした日本人の典型で考えたことがないのだと思います。そもそも中国人は自己中心の人が多く、平気で嘘をつきます。「騙す人が賢く、騙される方が馬鹿」という世界ですから。「利他精神」がないので相手を尊重する気持ちがありません。国家間の友好は相互尊重して初めて可能と思いますが、「南京」や「慰安婦」等捏造事件を世界に撒き散らす国と真の友好関係はできないでしょう。中国人に言いたい。嘘をつくのが当り前の中国政府と正直・礼儀正しいと自分達も認めている日本人のどちらを信じますかと。

12/14日経<トヨタ、EVで巨人連合 パナソニックと電池開発 電動車 30年に550万台>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24612670U7A211C1EA2000/

これは中国がEVで主導権を握ろうという動きに合わせたものと思います。ただ、中国内でトヨタ、パナソニックとも生産すると技術を盗られる可能性が高いです。合法、非合法共に。日本からの輸出が良いと思いますが、中国のことですから日本からの輸入には規制をかけるかもしれませんが。真壁氏の言うように自動車産業のアセンブリ化が一層進み、スマホのようになって、最終組立メーカーが利益を多く取るようになるのかもしれません。

谷崎記事

写真はイメージです)

毎年、中国から日本にたくさんの観光客がやってくる。彼らに日本の感想を尋ねれば、「日本はすごい」「日本がうらやましい」等と口々に賞賛するだろう。しかし、経済が急成長している現在の中国人の目から見て、本当に「すごい」と思っているのだろうか。中国在住17年目の筆者があえて本音を聞いてみると、辛辣で意外な感想が次々と出てくるのである。(作家 谷崎 光)

中国人はあまり豊かには感じない現在の日本 日本人は“社交辞令”を真に受けすぎ!?

「あまり豊かじゃないけど、日本て、いい国よね」――。

北京の友人宅のパーティーで、中国人たちが何度も行った日本旅行の感想を話していた。話に夢中で(日本人の)私が横で聞いているとは思っていない。私にはいつも絶対、日本のいいところしか言わない。

(あまり豊かな国じゃない、か……)

あらためて聞くと、やっぱり、ちょっとショックだった。

私は中国在住でよく知らなかったのだが、現在日本には、外国人による「日本のココがすごい」という言説があふれている、らしい。

つい先日も、中国から国際電話で日本のラジオに出演したら、そのパーソナリティの60代の男性から、「中国人って、皆、日本に憧れているんじゃないんですか?」と言われて思わず絶句した。

「いや、安全とは思ってますが……」

たくさんある「ニッポン・スゲー」本が招いた誤解だろうか。あれは、爺さん向けの紙のキャバクラで、そりゃ1500円分、ヨイショはしてくれるが、北京に住んで17年の私からすれば、中国の人口は13億、「それは確かにそういう人も中にはいますが……」というお話である。

日本の皆さん、今、とても心が弱っていて、外国人のお得意の“社交辞令”を真に受けすぎである。

中国人にとって今の日本はたくさんある旅行先の一つにすぎない

そもそも現在の中国人にとって今の日本は、たくさんある旅行先の一つにすぎない。

タイ(今、安さで人気)や台湾、香港、シンガポール、オーストラリアやトルコ、ドバイ、欧米、その他たくさんの候補の中で、「4度目の日本旅行に行くオレに、同僚は皆、無口……」という感じだろうか。そういう日本オタクや世界中を旅する富裕層以外は、日本は近くて安い庶民の旅行先である。

いや、彼らも、例えば日本人の上司から日本研修の感想を聞かれたら、「人が親切ですね、清潔ですね、食事におしぼりがついているのがイイですね、トイレすごい……」と決してウソではない、“日本、良かった”を告げるだろう。

インテリ中国人は、一般的に外国人に本音は言わない。まして、会社の行事であれば、それは「ホメて、ホメて」と待つ日本人上司の気持ちを忖度したものだ。必死で探して見つけたスゴいところが、「オシボリデス」みたいな。

さらに言うなら、中国人にもホントの(日本、いいなぁ)はあるのだが、それは中国人だからこそ、口にできないことばかり。

ではここでちょっと中国人の本音を聞いてみよう。

空港バスの荷物係が“老人”でビックリ 小柄な高齢者だらけの国、日本

「成田行きの空港バスに乗ったら、小さな白髪の老人たちが(旅行客の)荷物を積み込んでいてビックリした!」

日本を旅行した中国人がまず驚くのは、あちこちで高齢者が働いていることである。しかも、中国北方だと身長が高い人が多いから、そこから来ると、日本の年配者は非常に小柄に見える。

人間、歳をとると身長も縮む。日本も今の若者は背が高いが中国に比べると目につく数が少ない。

中国では都市部のサービス業に勤務する人は20代、30代の若者が大半で、人というのは毎日見ているものがデフォルトになる。しかも中国はリタイアが早い。私も日本に一時帰国したとき、スーパーの家電売り場で、白髪の男性が顧客対応に出てきて、ギョッとしたことがある。

「朝、日本の電車に乗ると、出勤する人たちの年齢がすごく高い。中国もそうなるわけだけど……」

高齢化社会はまさに縮小社会。つまり中国人から見て、日本は小さい、歳をとった人が大量にいる国なのである。

街が小さくて古い インフラが更新されていない国

そして、街も小さくて古い。

以前、瀬戸内のある島を旅行したことがある。同じ日本なのに道の幅や建物など、なにもかもが一回り小さかった。つまり中国やその他の大陸から来た人には、日本はその島のように見えている。

さらに日本の都市のインフラは数十年前に基本が完成している。そしてそれが続いた不景気のせいか、あまり更新されていない。地方都市や、都市部でも一部、建物や天井の高さなど、多くのスペックが昔の身長を基準として作られたままである。よく話題になるトイレも中国から来ると、いろんな場所で、「小さっ!」という感じで高さも低い。

「なんでも小さくて可愛い。日本て萌える」という中国女子もいるが、「日本のホテルや旅館に泊まったら、足がいつもベッドからはみ出す」という中国人男性はけっこう、いる。

中国は軍隊や大学の寮でもない限り、キングサイズのベッドが多い。大陸で家も広い。

「日本人は天井の低い、虫が住むような部屋に住んでいる」 と言って、中国に帰ってしまった中国人留学生もいた。

まあこれは、本当に今の中国の金持ちの子弟なら、親が広いマンションを投資を兼ねて子の下宿用に買うから、単に勉強ができなかったんだろうと私は思う。

しかし「日本は清潔と聞いていたのに、東京の地下鉄やJRの階段はなぜ古くて汚いの?端を歩きたくない」(20代、中国人男性)という指摘には、賛成である。

こういうインフラが古いのと、京都の木造高級日本旅館が古いのとは違う。

いくら掃除しても限界があるし、階段でしか移動できないところも多い。一方、経済が急成長した中国は都市開発の大半がここ10年以内で、まだピカピカのところが多い。

中国の都会育ちの若者からすれば、今や日本は、「昔懐かしい国ね」(20代、中国人女性)なのである。

が、別の視点で日本に感動している中国人もいる。

「日本人は『一戸建て』と呼ぶ“別荘”に住んでいる。中国よりとても安く、しかも私有財産だ。何年たっても土地も自分のものだ」

ハイ、中国は家を買っても土地は私有できません。70年たったら国に返還することになっている。

舞妓さんは「日本の少数民族!?」 中国人に「わび・さび」がわかる人は少ない

さらに日本“ご自慢”の風景や観光地も、中国人から見ると、「……別になぁ」のことが多い。

中国の観光地は、その“騙し”だらけの管理の質はともかく、とにかく何でも大きい。黄河は対岸が見えないし、滝もナイアガラみたいなのがある。

「大阪城ね。小さいのがぽつんとあるだけ。大理(雲南省の少数民族の町)のお城と変わらないわ」

「日本の風景はスケール感が足りなくてどこも同じ」

私も昔、日本の山陰地方に取材に行ったら、村役場総出でご自慢の「逆さの松」というのに“連行”され、それがまた本当に普通の松の木で、(ここではこれが宝物なのか)と別の意味で感動したことがある。

日本の景色や文物の大半は、彼らにはそんな感じである。「わび・さび」がわかる人は少ない。

京都はどんな中国人にもウケているが、舞妓さんを見たある中国人は、「あれは日本の少数民族か?」

中国人に大人気の北海道だが ウニいくら丼は“気持ち悪い食べ物”

そんな彼らが大好きなのは広々とした北海道である。

中国人の北海道ブームのきっかけとなったのは、映画『非誠勿擾』(邦題『狙った恋の落とし方。』)である。この映画に登場する風景は非常に美しいが、田舎のスナックで、40年前の写真で騙して入店させるおばちゃんたちが出てくるし、生玉子を落としたウニいくら丼が、生臭い、“気持ち悪い食べ物”として描かれている。

映画は、壮大な景色の中で中国人たちがおりなす恋愛ドラマ。登場人物らの旅資金はベンチャービジネスで当てたものであり、旅館の浴衣を着た彼らに、給仕の和服の日本人女性が正座で頭を床につくほど下げるシーンが出てくる。かつて経済的に大きく先を行っていた日本の、この“描かれ方”が彼らの心をくすぐったのはまちがいない。

日本で会社の飲み会に参加すると日本人を嫌いになる!?

実際、彼らの日本人に対する本音はなかなか辛辣である。

「日本で会社の飲み会に参加しないほうがいい。幻滅するから。一緒に仕事をして日本人が好きだったのに、嫌いになった」

昼は過剰なほど自分を抑えていて、夜の盛り場で別人のようにハジけたり、ワガママになる日本人。日本で働くのはそんなに我慢しないとダメなのか。日本人の昼と夜のあまりの違いに中国人は引いてしまう。中国人は昼もワガママ、夜もワガママなので変化はない。

「割り勘が細かすぎる!仕事でもやることが細かすぎて、変態の域に達している」

「日本人て、なぜあんなにすぐに初対面の人を信じるの?バカなんじゃないの?人も思いきって騙せない。中国で仕事ができるわけがない」

「男尊女卑がすごい国。新幹線でおばあさんが席を探し、荷物をあげておじいさんを座らせているのを見て、あれ、何?と思った」

中国で東日本大震災の映像を見ているとき、避難所で高齢女性ばかりがお給仕をしている様子が映し出され、中国の友達(男女複数)から、いっせいに「やっぱり日本は!(男尊女卑の国だ)」と大ブーイングが上がったことがある。

日中の男女平等比較問題は話が長くなるので省略するが、ポイントは彼らにはそう見えている(また実際そうだ)、ということである。コンビニのエロ雑誌は、女性の中国人や中国が長い私にも衝撃だが、東京オリンピックを控えて地方自治体やコンビニチェーンでは規制しようという気運が高まっている。

中国の住所を書いた途端に態度が豹変したホテルのフロント係

一方、日本人の、中国人に対するビミョーな気持ちも彼らは感じ取っている。

先日、私が日本でホテルに泊まったときに、ふと中国での現住所を宿泊カードに書いたら、それまで笑顔だったフロント係の対応が突然変わり、怒り声で「パスポート、見せてください!!」。

……私は純ジャパニーズだって。

羽田近くのホテルで、まあ、きっと今までにいろいろあったんだろうが、この手の対応を嘆く中国人は多い。

自分の、中国人に対する“差別感”に気がついていない日本人は結構いる。

「サベツはいけない」というインテリにも多く、私の姉は大学教授だが、中国に来る時は何度言っても冷蔵庫の期限切れ食品を抱えてくる。

「お掃除の小姐にあげて!」

自分の買いすぎとそれを捨てられないケチを、自分より下に見た人で解消しようとするその気持ちがイヤで、その場で捨てることにしている。

「コンビニで働く同胞が気の毒になる。でも中国人は世界中で差別されているから。面子のないことするやつも多いし、しかたないよ」(30代、中国人男性)。

私だって在中日本人としていろいろ言われるが、お互いそういうことを乗り越えていくのが、グローバルかもしれない。

いまだに現金で買い物 ファクスを使用する「奇特な国」日本

日本での食事や買い物については、まずスマホでピッと決済ができる店が少ない、あったとしても店員が慣れていないことに不満が多い。「日本は先進国のはずなのに、どうして?」。

中国では現在、スマホ決済がどこでも普及しており、ちょっとした屋台の買い物も配達やレンタルなどいろんなサービスもスマホで決済できる。

「人の国に来てまで自国の決済方式にこだわらなくてもいいじゃないか」とは思うが、これに慣れてしまうと、現金で払うのは非常に苦痛になる。

さらに今、中国はスマホ決済に伴って、申込書や受取書などが高速でペーパーレスになっているので、なんでもかんでもまだ紙の日本に、正直「えっ?」という感じがする。

あと両替しなくていいのはつい買う気になるし、何より中国人の大好きな割引が使える。

支付宝(アリペイ)や微信支付(ウイチャットペイ)は導入当初に割引をすることが多い。先日、帰国したときも、東京の家電量販店では支付宝を使えばなんと15%引きだった。これは大きい。中国側で特定店のクーポンを発行している場合もあり、使えないと「損した!」気分になるのだろう。

買い物そのものや消費については、サービス、商品の質・価格ともに皆さん大満足で、「なんでも中国より安~い!」と昔の日本人のアジア旅行みたいなことを言っている。

それ以外の「水がきれい、空が青い、食べ物が安全……」、という彼らのホメ言葉もウソではない。

だけどそれは全部、旅行地としての一時的なものばかり。「日本で発展したい」、「未来をかけたい」という言葉は、あまり聞かない。

まだファックスすら使っている日本は、逆に“奇異な国”なのである。

政府批判ができる、警官が威張っていない… 心からの「日本いいなあ」は中国の現体制批判に

彼らの心からの(日本いいなぁ)は、もっと中国の現体制批判につながることだ――。

「中国だってもう10年すれば、日本みたいな選挙があるんだ!」「誰もが気軽に病院に行けるなんていいね。うち、おじいちゃん、手術せず死んだよ」「警官がこっちに道ゆずった!威張っていないんだね」「不正や賄賂が少ない。まじめ。でも中国のほうが儲かる」「日本は公開で政府批判ができる」

日本のそこは認める。民度の高さも認める。しかし、結論は、

「日本で遊ぶのはいいけど働きたくない。ストレス強そうで、人と人との関係が冷たそう」

中国の内陸の安徽省に西逓・宏村という有名な観光地がある。

昔栄えた村で、中国らしくなく、古い建築がそのまま保存されている。水もきれいで汚染されていない。交通が隔絶されており、閉じた社会で人々は非常に善良で騙す人がいない。しかし老人ばかりで、たまにいる若者は足抜けできず不機嫌そうである。取り残され物価も安い。

ここに発展に疲れた都市部の中国人たちが、近年のひなびた田舎観光ブームで観光バスを仕立てて大挙して押し寄せている。そして短時間のうちにバーっと消費し、帰っていく。「いいね、いいね」と言いながら。

中国の桃源郷と呼ばれるここ、私は日本に重なるのだが、どうだろうか。

真壁記事

世界でEVへの移行が進めば日本自動車メーカーの競争力はどうなる!?

世界の自動車市場で、今後の“命運”を握る競争が進んでいる。それが、EV(電気自動車)の開発競争だ。その背景には、世界最大の自動車生産・販売国である中国や欧米諸国で、重要な環境対策としてEVを重視することが明確に打ち出されたことがある。

中国や欧米諸国、その他新興国でもEV化に向けた政策が議論され、自動車業界に参入する企業も増えている。この流れは、今後も続くだろう。

一般的に、内燃機関を搭載した自動車に比べ、EVに使われる部品数は少ない。部品点数が減ると、自動車メーカーの競争力を支えてきた技術力が差別化の要因とはなりづらくなる。

また、EVへの移行のスピードもかなり速い。大規模にEV開発が進めば、供給圧力が高まり、価格に下落圧力がかかる可能性がある。また、IoT(モノのインターネット化)などに伴い、自動車は多くのセンサーを搭載し様々なデータを収集する“デバイス”としての役割を強くするだろう。

これまで、多数の部品を微妙に“すりあわせ”しながら組み立てる技術で優位性を保ってきた、日本の自動車メーカーにとって、これまでと違った競争を強いられることが想定される。少数のユニット型部品を合わせるだけで完成品ができるデジタル家電の二の舞になることも懸念される。“日の丸”自動車メーカーにとって、EVは一種の鬼門になるかもしれない。

EVが主流になることで“すりあわせ”からユニット部品の組み立てへ

一般的に、レシプロエンジン(燃料が生むエネルギーでピストンを動かす原動機)を搭載した自動車には、3~5万点の部品が必要だ。部品数が多いため、自動車産業のすそ野は広い。トヨタなどの完成車のメーカーをトップに、下請け、孫請けというように、業界内で重層的な取引関係が蓄積されてきた。

部品が多い分、各パーツの調整が完成車の性能を左右する。走行時の振動、エンジンルームから車内に伝わるノイズなどをコントロールするためには、「経験と知識」の蓄積が欠かせない。高級車ともなればなおさらだ。それらの高い技術が参入障壁にもなった。

ドイツ、日本の完成車メーカーが競争力を高めてきた理由は、一国内で高品質の自動車部品を生産し、それを“すりあわせ”して完成車を生産することに長けてきたからだ。それは、トヨタがハイブリッドシステムを開発、実用化するためにも不可欠だった。

EV化は、この産業構造を一変させてしまうだろう。

なぜなら、EVに使われる部品は、内燃機関を搭載した自動車の6割程度で済むからだ。その分、すりあわせ技術への依存度は低下する。言い換えれば、自動車の生産は、“部品のすりあわせ”から、フレーム、バッテリーなどの“ユニット(部品の集合体)の組み立て”にシフトする可能性が高い。

例えばスマートフォンの生産は、ユニットの組み立てによって成り立っている。アップルのiPhoneには日本製の部品が多く使われているが、それが組み立てられるのは中国にあるフォックスコンの工場だ。

同じことが自動車でも進もうとしている。

見方を変えれば、部品ごとのバランスなどを調整し、付加価値を生み出すという既存の自動車メーカーが担ってきた役割は、さまざまな業界に溶け出していく可能性が高まっている。状況によっては、完成車メーカーは単なる“車体組み立て業”に変化することも考えられる。

異業態の新規参入とこれまでと違った競争の激化

もっとも、世界の自動車メーカーがこの動きに対応しようとしている。

同時に、中国、インドなどでのEV需要を取り込もうと、他業種からの参入も増えている。EVの開発競争は激化するだろう。決断が遅れると「挽回が難しくなる」と、危機感を募らせる経営者は多い。

それを印象づけた動きの一つが、日本電産がEVの駆動用モーターへの参入を決定したことだ。

同社は、フランスのPSAと組み量産を目指す。合弁を足掛かりにして、日本電産がEVの生産に取り組む可能性もある。世界最大の電子機器の受託製造サービス(EMS)企業である台湾のホンハイも、EV事業の強化を重視している。

その他にも、自動車業界に参入する企業は増えている。英国ではダイソン、国内ではヤマダ電機が参入を決めた。鉱山業界からは、BHPビリトンがバッテリー向けの素材供給能力を増強しようとするなど、EV需要を取り込もうとする企業は急速に増えている。

こうした動きをもとに将来の展開を考えると、かなりダイナミックに自動車業界の構図は書き換えられていくだろう。特に、アマゾンやグーグルが自社ブランドのEVを市場に投入すれば、かなりの社会的なインパクトがあるはずだ。

自動車は、交通状況や部品の稼働状況など、ありとあらゆるデータを収集するデバイスとしての性格を強くしている。オンラインのネットワークと自動車がつながる“コネクテッドカー”が実用化されれば、自動車の運転が自動化されるだけでなく、移動や物流などの仕組みも大きく変わるだろう。

そう考えると、ハイテク企業と自動車の関係は接近するはずだ。中国ではバイドゥ(百度)がインテルやダイムラーをはじめとする有力企業とともに、自動運転化技術の実用化に向けた実験を開始した。こうした動きが自動車とネットワーク技術の融合を促す。自動車メーカーが自動車をつくるという常識で、今後の自動車業界を論じることは難しくなっている。

重要性高まる、EV化の先を見据えた経営戦略

現時点でわが国の行政と自動車業界は、EV化に出遅れている。

特に、トヨタにとってはハイブリッドカーの生産ラインを維持しつつ、EVの生産能力を整備するのは容易ではない。このままの状況が続けば、国内自動車メーカーの競争力は低下するだろう。

中長期的な目線で考えると、中国での需要を見込んでEVの供給能力は増えるだろう。一方、需要が右肩上がりで増え続けるとは考えづらい。10年単位で考えると、世界経済が減速に向かうことも考えられる。どこかで需給バランスは崩れ、EVの価格に下落圧力がかかる可能性がある。

EVではバッテリーの性能が問われる。その他のユニットに関しては差別化が難しいといわれている。ブランド(メーカー)や外見が違うが、中身は同じという流れに行き着くことも考えられる。その見方が正しければ、EVにはコモディティー化しやすい要素がある。生産面では先進国よりも新興国の方が有利だ。

1990年代、アジア新興国が台頭する中で、半導体などの電機業界では同様の展開が進んだ。わが国の企業は、各社独自の規格に従って完成品を作ることに固執し、結果的に競争力を失った。その教訓を生かすべきだ。

重要なことは、製品の設計やコンセプトを“オープン(公開)”かつ“コモン(共通)”にすることだ。バイドゥにはその意図がある。トヨタもマツダ、デンソーと組み、他社の参画を呼び掛けながらEVの開発を急いでいる。同時に、トヨタは人工知能やネットワーク技術のための研究所も開設し、ブロックチェーンなどの研究に力を入れている。同社が11月28日に発表した経営陣の刷新にも、EV化の先を見据えた戦略的な視点が反映されている。

将来的には、日常生活の中で自動車が家電と同じような位置づけになることも考えられる。その中で国内企業が競争力を発揮するためには、環境が大きく変わることへの危機感を各企業で共有し、新しいモノやサービスの創造に注力することが欠かせない。それが、世界規模でモビリティとネットワークの融合が進むことへの対応につながるだろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

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『「天然独」の台湾 中国語より台湾語 初の首脳会談から約2年、開く中台の距離』(12/12日経朝刊)、『中国債券、過去最高の債務不履行』(12/7日経ビジネスオンライン Economist)について

12月13日 12時55分 NHKニュース<中国 「南京事件」追悼式典 日本への配慮も

こんな嘘を配慮して貰ったと思っているのでは歴史戦には勝てません。

12月13日 18時47分 NHKニュース<訪中の韓国大統領 「南京事件」に異例の言及

中国と朝鮮半島は敵国です。日本人はもっと自覚しないと。

12/14 4時 33分 NHKニュース<河野外相 ユネスコに「世界の記憶」制度改善求める

外国にものが言えない保守より、主張できるリベラル政治家を買います。

日本もそろそろ南京と慰安婦の嘘を政府として事実に基づき反論すべき時期では。

12/12北野幸伯氏メルマガ<トランプに電撃解任された元側近が警告する、中国「覇権」脅威論>

http://www.mag2.com/p/news/340915

これを受けて読者から次の紹介がありました。11/14~17東京オリンピックセンターで開催された「第12回諸民族青年リーダー研修会」でバノンが講演した内容をアップしています。バノンは講演で『氏によれば、中国には覇権拡大に向けた3つの戦略があるということです。  第1は、21世紀の全世界の製造業において中国が支配的な地位に立つ為に、シリコンチップの製造、ロボットの製造、AI(人工知能)といった10の産業分野で2025年までに世界的優位に立つという戦略です。今後8年以内にそれを実現しようとしています。  第2は、「一帯一路」の交易を通じて、経済的、文化的、政治的な影響を与えるという戦略です。この構想は、世界を「ランドパワー」(大陸勢力)と「シーパワー」(海洋勢力)とに分け、そのいずれにおいても中国が覇権を握ろうとするもので、「一帯一路」構想とは中国の覇権拡大に向けた地政学的戦略に他ならないということです。さらにバノン氏は、「一帯一路」が中国と中東とを結び付けた場合、イスラム原理主義の危険な国々と中国とが連携する危険性がある事も指摘しています。  第3は、欧米諸国が中国に制裁を課すことが出来ないレベルになるまで金融操作を発展させ、人民元が米ドルに取って代わるという戦略であります。  これまで長年にわたり中国は、「中国市場に参入したければ、技術を持って来い」と、外資企業に技術移転を要求する慣行を続けてきました。13億人の市場に目が眩んだ企業は、中国の言いなりになって技術移転をし、結果としてあらゆる技術を収奪される羽目に陥ったのでした。  またこれまでアメリカのエリートたちは、「もし中国が経済的に発展したら、中国は市場を尊重した自由な民主主義国になる」と信じてきましたが、結果は全く逆でした。  こうした事からバノン氏は、「中国はパートナーではなく敵であることに気付け」と警告しています。』と。

https://www.excite.co.jp/News/world_g/20171119/Ntdtv_111898.html

http://www.seishu.org/20171120.html

バノンのスピーチに関して12/13日経は日米欧、中国のデータ規制に共闘 

中国政府が外国企業による商業データの持ち出し規制など保護主義的措置を相次ぎ打ち出していることについて、日米欧が反発を強めている。データの流通が阻害されると、アジアにおける企業のサプライチェーン展開などに支障が生じかねないため。ただ、中国政府に譲歩する気配はなく、米インターネット企業などの一部は中国側の方針に沿って対応に動き出した。

世耕弘成経済産業相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、マルムストローム欧州委員は12日、世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会合に合わせアルゼンチンで会談。中国のネット規制や産業政策の是正へ向けて協力することで合意する。

最大の懸念は商業データの規制だ。「参入障壁である上に公正な競争を阻害する」(IHIの斎藤保会長)。経団連などの訪中団は11月下旬、工業情報化省と会談した際にこう懸念を伝えた。

標的は中国が6月に施行したインターネット安全法だ。同法ではネット関連の商品やサービスを中国基準に適合させるよう規定。中国で収集したデータの持ち出しを当局の許可制にしたり、ネットサーバーの国内設置を求めたりしている。

ネットが社会の安定を脅かすとの懸念からできた法律だが、西側先進国は中国ビジネスの障害になると警戒している。

ものづくり企業にとってグローバルに広がる生産工程を本国で集中管理し、効率的にサプライチェーンを動かすのは生命線だ。「中国工場で得た製造の手法をデータとして蓄積し、グループの海外工場で使う必要がある」(旭硝子の石村和彦会長)。消費者の購買情報などをもとに商品やサービス開発を試みる企業にとっても、データの有無が死活問題だ。

新規制への対応を巡っては、施行直後の今年7月、米アップルが中国内陸部の貴州省に総額10億ドルを投じ、同社として中国初のデータセンターを建設すると表明。中国の意向をくんだかたちのIT巨人の素早い決定は、先進国に波紋を広げた。

中国で初めてサイバー分野を網羅した法律だけに影響が極めて広く、条文も抽象的な部分が多い。日本企業では「当局の今後の運用動向を見極める動きが中心だ」(IT法務専門の弁護士)。

通信やエネルギー、金融など「重要インフラ」に該当するとされた業種は特に厳しいデータ管理を要求され、違反すれば業務停止処分もあり得るだけに危機感は強い。

サイバー攻撃を受けた事実に関する当局への届け出が不十分だったり、自社サービスの利用者の利用履歴の保存が不十分だったりなどの理由で罰金を科される例も外国企業で発生している。

もう一つの大きな懸念材料は、中国が導入を検討する「輸出管理法」だ。経団連や日本貿易会など8つの経済団体は4日、同法を憂慮する意見書を中国商務省に提出した。同法の草案では当局が指定する中国製の材料を一定割合使った商品は、日本から第三国への輸出が許可制になる。

外資系企業が中国で当局指定の材料を使った商品の作り方を外国人に教える――。こんなケースでも中国の許可が必要になる可能性がある。

規制品目は明らかでないものの、日本の経済界ではハイブリッド車モーターなどの基幹材料に使われる、希少資源のレアアースが対象になるとの観測が広がる。「運用次第で中国との貿易の大きな障害になる」(経済団体幹部)

米が中国での知的財産侵害に対して一方的に制裁を科す通商法301条はWTO違反の公算が大きいが、中国の不正な商慣習を止める意図は日欧も共感できる。

日米欧が危惧するシナリオは、中国の通商政策が他のアジア新興国に波及する事態だ。例えばインターネット安全法の考え方は、ベトナムなど東南アジアにも波及する勢いを見せている。>(以上)

パクリの名人に企業秘密を教えたら真似されるに決まっています。西側諸国は一致団結して中国の不当な要求を跳ね除けませんと。中国としては大陸に充分投資をさせ、逃げられなくしてから、彼らの思い通りのことをしようとしているのでしょう。WTOを除名すれば良いと思います。(可能かどうか分かりませんが)、中国の経済発展の源泉は輸出にあります。輸出で稼いだ金を格差縮小でなく、軍拡と賄賂に使うのですから、悪そのものです。

11/12BBC中文版<中國在建造當局稱是世上”最大的監控系統”。全國現已有1.7億個監控視鏡頭,當局計劃未來三年再安裝約四億個新鏡頭。許多監控系統都安裝了人臉辨認系統,這個系統到底有多厲害?

中国は、世界最大の監視 システムを造り上げつつある。 全国に1.7億台の監視カメラを配備、当局はこの3年の間に新たに4億台配備する計画をしている. 多くの監視システムが人々の顔認識システムを持っている。このシステムはどのくらい凄いのか?>如何に中国が監視社会になっているかという事です。“パーソン・オブ・インタレスト”の世界です。犯罪者を監視すると言っていますが、お笑いです。中共政府そのものが犯罪者集団でしょう。貴陽市と言えば中国で一番貧しい州の州都でしたが。

https://www.facebook.com/bbctrad/videos/1936613653021962/

日経記事で、若者の「天然独」が進んでいるのは良いのですが、中国の脅威をもっと真剣に考慮に入れた方が良いのでは。中国が悪逆非道のことを考え実行してきているのは、前述の通りです。中国に世界制覇される前に、日米台を含めた自由主義諸国が中共を打倒せねば。日本人も台湾人以上に危機感が足りませんが。

Economistの記事は中国のバブル崩壊を誘発するのではと期待しているのですが。でも危なくなったら元に戻して、債務リストラはできないのでは。

日経記事

台湾で「天然独(生まれながらの独立派)」と呼ばれる若者が増えている。自らを「中国人」ではなく「台湾人」と考える30代以下の人たちだ。中台首脳がシンガポールで歴史的な会談を実施してから2年。豊かで自由な時代に生まれ育った天然独は中国がごり押しする「中台統一」に違和感を強め、時ならぬ台湾語ブームを演出する。

台湾語の歌を熱唱する観客(8月末、高雄市のライブ会場)

「夜が明ける。もう恐れはしない」。台湾南部・高雄の屋内展示場に数百人の観客による大合唱が響いた。若者に人気のロックバンド「滅火器楽団」のコンサートだ。曲名は「島嶼天光」。島(台湾)の夜明けを意味し、歌詞は台湾で一般的な北京語ではない。かつてに比べて利用者が減っている台湾語だ。

動画サイト「ユーチューブ」での再生回数は約400万回。人口約2300万人の台湾で、台湾語の曲としては破格だ。

台北市の大学に通う林珮文(21)さんは、この日のために歌詞を一生懸命覚えてきた。家庭や学校で使う言語は北京語だ。台湾語は発音が全く違い、実は「うまく話せない」。それでも台湾語が好きだ。「これが自分本来の言葉だと思う」

中国と台湾は複雑な関係にある。中国は台湾を自国の一部とみなし、台湾のなかにも自らのルーツを中国に求める人たちと台湾の独立を願う人たちが併存する。中国との距離を巡って政党の対立がいまなお続く。

台湾語は中国の方言に日本語などが混ざった独特な言語だ。1949年に政権に就いた国民党は台湾の人々を「中国人」として再教育し、北京語を唯一の「国語」に設定。既に教育現場などあらゆる場面で一般化しており「台湾語の若者への継承が難しくなっている」(莊佳穎・台湾師範大学副教授)という。

台湾語に再び息を吹き込んだ主役は天然独の若者たちだ。

台湾の政治大学による調査では、自らを「台湾人」と認識する人は2017年に56%と、民主化が緒に就いたばかりの92年に比べ約38ポイント上昇。ピークの14年(約60%)からやや低下したが、20~29歳の約7割が「台湾人」と認識する傾向は変わっていないという。「中国人」との回答は4%弱と、92年に比べ20ポイント強低下した。

台北市の女性会社員、リンさん(28)は交流サイト(SNS)のLINEで感謝を伝えるとき、「甘エビ」のスタンプを使う。北京語での発音が台湾語の「感謝」と似ているからだ。北京語より「しっくりくる」。

「中国人と押しつけられるほど違和感が強くなる」。リンさんの脳裏にあるのは15年11月の中台首脳会談だ。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と馬英九総統(当時)が80秒間にわたり握手を交わし、中台が「同胞」だと確認しあった。習氏は17年10月の共産党大会で会談の成果を「歴史的」と誇ったが、天然独には響かない。

「条件の良い仕事があれば中国に行ってみたい」。台北市のエンジニアの男性(31)は屈託なく話す。だが中国はあくまでも「外国」だ。習政権が進める言論や社会統制の報道が気になる。「統一は想像できない」

天然独世代の多くは元総統、李登輝氏が民主化を進めた1990年代以降に教育を受けた世代だ。89年の天安門事件を境に統制色を強めた中国との違いを強く意識する。中国で暮らした経験もなく、同胞意識も薄い。その前の世代の独立派は「台湾の主権確立」を原動力にまとまってきたが、天然独の若者にすれば、中国と台湾ははなから別の「国家」だ。

16年1月の総統選挙では中国との関係強化を掲げる国民党が大敗し、現総統の蔡英文氏が率いる民主進歩党(民進党)が圧勝。首脳会談などで習主席にすり寄る馬前総統の姿に幻滅した若者が、民進党に勢いをもたらした。民進党本部に集まった若者は、台湾語の当選と音が似ている北京語「凍蒜」(ドン・スアン=凍ったニンニク)を連呼して祝った。

台湾語を慈しむことで、自らのアイデンティティーを探る若者たち。「自画像」を探し始めた天然独が中台関係の将来に影響を与えるのは確かだ。(台北=伊原健作)

Economist記事

中国政府が債務危機を懸念し対策に乗り出した。主な方策の一つは資産管理商品市場の縮小だ。規制強化はもろ刃の剣。金融機関の資金不足と、貸出金利の上昇を招く。市場では既に金利が上昇し始めた。11月に債務不履行に陥った債券は過去最高の90億元に上る。

中国城市建設控股集団は長年、投資家にとって確実な投資先となっていた。同社は中国の国有企業大手で、下水管など基盤的なインフラの建設に特化している。だが、同社への投資がそれほど安全ではなかったことが判明した。同社は11月、巨額負債の借り換えに失敗した後、3つの債券について利息を支払うことができなかった。

中国城市建設も、中国政府が金融システムに対して現在実施している“手入れ”の犠牲者だ。この政策は中国で「規制の嵐」と呼ばれており、犠牲者の数は増える一方だ。

「嵐」は過去1年近くにわたって勢いを増してきた。中でも、ここ数週の間に行われた集中的な“手入れ”では多くの企業が不意を突かれた。中国共産党の党大会が10月に開かれた後、政府は間髪入れることなく、金融システムが抱える高リスクの要因にメスを入れた。

「規制の嵐」が利回りの上昇を招いた

●10年債の利回り

出所:The Economist/Wind Info

この結果、中国における安全金利、すなわち国債の利回りが高騰している。全体で見ると2017年初めに比べて1%上昇した。

企業が借り入れに要するコストの上昇は、国債利回りの上昇以上に厳しい。この傾向は、国家と密接に結びついた企業であっても変わらない。国家開発銀行が発行する10年債の利回りは5%近くまで跳ね上がり、3年ぶりの高水準となった。同行は国内外における国家プロジェクトを対象に融資を実施する政策銀行だ。

債務はGDP比260%に拡大

金利が上昇するのは強さのしるしだともいえる。経済が何年も伸び悩んだ後、産業が回復したことでインフレが再来した。投資家たちは中国人民銀行(中央銀行)が金利を引き上げると想定している。

その一方で、利回りの急騰は不安な心理を映し出してもいる。中国で上場している最大手企業の株式で構成するCSI300指数は11月23日に3%下落した。この下げ幅は過去17カ月間で最大のものだった。

ここでの懸念(見方によっては「希望」となる。どう見るかは読者諸氏がどの視点に立つかによる)は、負債の削減を考える時、政府と企業の間に区別はないことだ。今年に入ってから中国の指導者たちは、経済政策の最優先事項は金融リスクの管理だと発言した。

中でも最大のリスクは債務で、そのGDP(国内総生産)比は過去10年で160%から約260%に増加した。銀行はその大半を簿外扱いにしている。

このため政府は2つの狙いを持って対策に取り組んできた。第1は債務の拡大ペースを抑えること、第2は現在の債務総額を明らかにすることだ。中国政府が進める方策は格付け会社から歓迎される一方で、市場の消化不良を引き起こしている。

投資家にとって最も新しく浮上した不安材料は11月17日に人民銀行が明らかにした資産管理商品(WMP)*1の徹底調査だ。これらは、預金のような形態をとる比較的高利回りの金融商品で、銀行が販売している。

新たな規制が適用されれば、銀行が投資家に対し元本を保証する行為は禁じられる。また銀行は、市場価値に応じて資産管理商品の価格を設定するとともに、自らが抱える資産と負債の期間を一致させなければならない*2

資産管理商品市場の時価総額はピーク時には約30兆元(約508兆円)に達した。これは中国のGDPの3分の1を上回る額だ。今回の規制の草案はこの規模の縮小を図るものとなる可能性が高い。そうなれば、銀行が債券投資に自由に投じることができる現金は減少する。

地元の仲介業者、民生証券の張予 氏は、この規制が銀行に適用されるのは19年半ばになると指摘する。だが投資家の動きは速い。彼らはすでに債券の保有額を減らし始めており、これが利回りの上昇を招いている。

ほかに“手入れ”の対象となっているのはインターネット上で貸し付けを行うマイクロレンダー(小規模な貸し手)だ。これまで厳しい規制の対象になっていなかったため、しばしば法外な利息を設定してきた。

当局は11月21日、新たなオンラインレンダーに対する認可を停止すると発表した。また不動産市場についても警鐘を鳴らす。住宅を購入する人たちが違法に資金を借り入れる行為を阻止すると明言した。

銀行の反発が高まる兆し

金融政策について話し合う周小川・中国人民銀行総裁(中央)(写真=AP/アフロ)

問題は、政府が規制強化の手をどこまで広げるかだ。リスク対策は政治の重要課題であり、その手を緩めることは考えにくい。規制の抜け穴をふさぐことを使命とする強力な金融安定発展委員会を国務院に新設し、11月8日に初めての全体会議を開いた。中国人民銀行総裁として長年のキャリアを持つ周小川氏は、高まる金融の危険性についてこの2カ月間で4回の講演を行っている。

だが、金融リスクの軽減を図る政府の取り組みに対する反発が高まる兆しもある。銀行は、規制が強化されれば深刻な金融圧迫を招くだけだとして、資産管理商品の規制案にある最も厳しい取り決めに反対するロビー活動を行っているという。11月に債務不履行に陥った債券の時価総額は90億元(約1500億円)で、1カ月の金額として過去最高を記録した。

中国政府にとって環境は、規制の嵐が今後しばらく荒れ狂っても差しつかえない状況にある。この国は今も“日の光”を謳歌している。債務削減の取り組みはまだ始まったばかりで、経済成長に大きな悪影響は出ていない。だが、この数週間に市場が見せた動揺は迫りくる悪天候を暗示している。

*1=理財商品や信託商品、基金などからなる

*2=資産管理商品をめぐって金融機関が抱える問題点として、資産と負債の期間が一致していないことが指摘されている。理財商品の満期は1カ月~1年。一方、金融機関は確保した資金をインフラや土地開発などの長期プロジェクトに融通する。この不一致が償還不能のリスクを高めている

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『元駐韓大使が占う「北朝鮮4つのシナリオ」、最善は内部崩壊か』(12/11ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)、『平昌五輪「選手団派遣は未定」と言い出した米国 「五輪休戦」訴える文在寅、「決意」固めるトランプ』(12/12日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/10中国観察<中朝邊境出現大批軍人 距離開戰還有多遠? 希望之聲電台=中朝国境に軍が派遣される 開戦地からどの程度遠い 希望の声TV>「吉林省延辺で多くの軍人が派遣されていた。写真撮影禁止だが遠回りに撮った。ここは北の豊渓里核試験場から近いので、朝鮮半島情勢と関係あるのでは。英国メデイアによれば、CIAはトランプ大統領に3月になれば北のICBMが米国に届くので先制攻撃すべきと報告したと」

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/10/383222.htm%E4%B8%AD%E6%9C%9D%E9%82%8A%E5%A2%83%E5%87%BA%E7%8F%BE%E5%A4%A7%E6%89%B9%E8%BB%8D%E4%BA%BA-%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E9%96%8B%E6%88%B0%E9%82%84%E6%9C%89%E5%A4%9A%E9%81%A0%EF%BC%9F.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

12/12中国観察<專家警告:朝鮮若開戰 中國有三大目標或受核攻擊 希望之聲電台=専門家の警告:朝鮮が開戦となれば、中国には3つの標的があり、核攻撃を受けるかもしれない 希望の声TV>「朝鮮のミサイル技術は中国の軍事目標を正確に攻撃できるとは限らないが、膨大な非軍事目標を攻撃するには充分である。第一に、北京・上海・三峡ダム、第二に、中国内の全部の原発は北の射程距離内にある、第三は、人口百万以上でミサイル防衛システムのない都市である。

米国が北の核施設を正確に攻撃できたとしても、北の周辺に近い地方は核汚染され生態に影響を与える。

毛沢東の時代から中共はタダで北に石油を送って来たし、中国に留学生も受入、核技術や原材料も与えて来た。また国際社会の非難にも守って来て、金一族の核兵器技術の最大貢献をしてきた。習近平になってから外交政策を改め、国連と歩調を合わせて制裁したが時既に遅しである」と。飼い犬に手を噛まれた気分でしょう。でも、日米が中国に感じるのと同じです。中国があそこまで発展することに協力してやったのにと言う気分でしょう。中国と朝鮮半島は裏切りの歴史と言うのが日米の為政者・経営者とも分かっていません。況してや中国は核拡散防止条約違反をしてきたのを公言したようなものです。如何に中国・朝鮮半島が嘘をついてきたか分かるでしょう。南京や慰安婦も彼らの嘘・プロパガンダでしかありません。彼らを信じるより我々の父祖を信じる方が合理的でしょう。

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/11/383333.htm%E5%B0%88%E5%AE%B6%E8%AD%A6%E5%91%8A%EF%BC%9A%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E8%8B%A5%E9%96%8B%E6%88%B0-%E4%B8%AD%E5%9C%8B%E6%9C%89%E4%B8%89%E5%A4%A7%E7%9B%AE%E6%A8%99%E6%88%96%E5%8F%97%E6%A0%B8%E6%94%BB%E6%93%8A.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

12/11増田俊男の時事直言には「極秘情報だが、来年起こす中東戦争前の3月20日までにトランプは北朝鮮に先制攻撃をかけなくてはならなくなった。」と。

https://www.youtube.com/watch?v=vLpwbpnQQYQ&feature=youtu.be

http://movie.masuda-toshio.com/%EF%BC%88%E7%84%A1%E6%96%99%E9%85%8D%E4%BF%A1%EF%BC%89%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E5%85%88%E5%88%B6%E6%94%BB%E6%92%83%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8A%EF%BC%81/

12/11Money Voice<米軍、在韓米軍家族の退避を否定、専門家「北朝鮮にサインと見なされる」>

http://www.mag2.com/p/money/347720?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_tue&utm_campaign=mag_9999_1212

NEO(non-combatant evacuation operation)はしないとわざわざ言っているので、益々クリスマス・新年休暇で家族・本人が帰っている時に開戦する可能性が高いのでは。

ただ、12/12笹川平和財団主催の「地政学から見た海洋安全保障」セミナーで奥山真司講師は、イスラエル人と話した時に、「トランプが軍事介入するかどうかは3つの点から見れば良い。①アメリカファースト②アメリカグレイト③それ以外は“I don’t care”」と教わった。北の問題は政治問題ではなく、軍事問題。米議会がイランと違って北には厳しくしてこなかったので米国攻撃はないのではというニュアンスでした。

武藤氏記事と鈴置氏記事は、米国の攻撃についてやはり外務省出身と民間人との差があると感じました。

武藤記事

北朝鮮の金正恩委員長は、2018年も挑発行動を繰り返すのか (「労働新聞」より)

各国の立場・対応がバラバラで北朝鮮問題の解決の道筋は立たず

北朝鮮の核問題は、いまだ解決の道筋が立っていない。

これまでの経緯を見ると、北朝鮮が核ミサイルの完成まで突き進む断固たる意志を有していることは間違いない。これに対し、日米はこれを断固阻止すべきとの立場。韓国の立場は、軍事行動は絶対阻止すべきであるが、どこまで非核化に強くコミットしようとしているのかは疑問が残る。中国とロシアは、基本的に現状からの大きな変革は望んでいない。

このように各国の立場はバラバラであり、今後、解決に向けてどのような道筋をたどるべきなのか、正直なところその方向性さえ見当がついていない。ただ、2018年は北朝鮮の核問題が、どういう方向に向かうのかを決定づける”鍵”となる年であろう。そこで、2017年の締めくくりとして、いくつかのシナリオを取り上げ、その可能性とともに、日本にとってのメリットとデメリットを分析してみたい。

シナリオ1 制裁をさらに強化し、北朝鮮の体制崩壊を狙う

ここ1〜2年に実施された北朝鮮に対する制裁は、これまでになく強化されたものとなっている。特に今年9月の制裁は、輸出の9割をストップし、石油製品の輸入も3割減らすという厳しいものだった。加えて、北朝鮮大使を追放したり、貿易を停止したりする国も増えている。その結果、平壌市内ではガソリン価格が高騰している。

だが、北朝鮮には、核ミサイルを放棄する意思などない。むしろ開発を急いでいる。資金が枯渇する前に完成させ、それを逆の圧力として制裁をやめさせようとしているのだ。

そもそも、制裁が効果を発揮するまでには時間がかかる。しかも北朝鮮は、これまで何十年にもわたって制裁をかけ続けられており、そうした環境下でも生き延びる術を学んでいる。つまり、制裁だけで開発をやめさせることは難しいといえるのだ。

金正恩政権は、国内的にも核ミサイルの開発をやめることはできない。というのも、恐怖政治によって国民を黙らせ、たとえ数十万人が死亡しても核開発をやめなかった。それを今になってやめてしまえば、政権の弱さが露呈し、国民の不満が爆発して政権が崩壊しかねないからである。

それでなくても北朝鮮では、穀物生産が今年の初期段階で3割も減少している。また、金正恩政権になって側近の粛清が相次ぎ、国民の間では不満が高まっている。つまり、クーデターが起きる”下地”は整いつつあるのである。

北朝鮮当局は国民に対し、核ミサイルを開発するまでの辛抱だとして我慢を強いてきた。それが、核ミサイルが開発されても、制裁が解除されずに国民の窮乏に一層の拍車がかかった場合にも不満が爆発してしまう可能性は否定できない。問題は、北朝鮮は核ミサイルを開発すれば、それをてこに、制裁解除を求め挑発を強めるだろう。その時に、日本を始めとする国々が制裁を維持できるかである。

このように考えていくと、日本にとって最も好ましいシナリオは、北朝鮮国内で何らかの動きが起きて、金正恩体制が崩壊することだろう。

シナリオ2 中国に金正恩政権の交代を主導させる

これまで、北朝鮮に対し有効な対策を取れなかったのは、国連安保理の常任理事国である米中ロが逃げ腰だったためである。米国は終始この問題に取り組んできたが、オバマ政権時に「戦略的忍耐」と称した戦略で時間を無為に費やしてしまった。一方の中国とロシアは、国連安保理がさらに強力な制裁決議を可決することを妨げてきた。

中でもロシアは、北朝鮮の核技術者をロシアの研究所に招いたり、ウクライナ製のロケットエンジンが北朝鮮に流れていることを黙認したりしているといわれる。ロシアのこうした行動は、「米国を北朝鮮に釘付けにすることで、中東における影響力を強化する意図がある」と分析されている。したがって、ロシアの変化を促し、北朝鮮への圧力強化とすることは難しいかもしれない。

となると、北朝鮮との貿易の9割を占める中国の役割が重要となる。

中国はここ最近、一帯一路の国際会議を開催している最中に北朝鮮から挑発行為を受けるなど、再三にわたって国家の威信を傷つけられてきた。そのため徐々にではあるが態度を変化させ、北朝鮮に対する制裁強化に協力し始めている。

そうした姿勢に対し、北朝鮮の高官からは「中国はもはや血盟関係の盟友ではなくむしろ敵である」「ロシアはいろいろ助けてくれる友人である」といったコメントが出ているが、これは北朝鮮との協力関係に関する変化の表れだ。

そもそも中国は、北朝鮮が核保有国となることは望んでいない。そのため習近平国家主席は、米中首脳会談を受けて、中国共産党大会の結果報告を口実に宋濤政治局員を特使として北朝鮮に派遣、対話説得を試みた。しかし、金正恩委員長は面会にも応じず対話提案を事実上拒否、中国の試みは失敗した。

一方で、中国は北朝鮮が崩壊し、中朝国境地域が不安定化することや、在韓米軍が中朝国境まで北上することは絶対に避けたいと考えている。北朝鮮問題において中国に協力させるためには、こうした中国の懸念を和らげ、金正恩政権崩壊後の将来像について米朝で話し合い、一定の理解に至ることが不可欠である。

また、米国が、金正恩政権を必ず倒す意思を明確にすれば、中国としても北朝鮮に対する影響力を保持し、米国の単独行動を阻止するため動くかもしれない。

このように考えていくと、中国が金正恩政権の交代に一定の役割を果たすことは、北朝鮮暴発の危険を和らげるという意味では好ましいことである。だが、その結果として、中国の影響力が拡大してしまうことは将来的に問題となろう。

シナリオ3 全面非核化は断念し開発凍結などの妥協を模索

米国の一部、主として前政権の民主党関係者の間には、北朝鮮の核開発を止めることはできず、現状で凍結させるべきとの主張がある。韓国にも、北朝鮮は非核化には応じないので、核は現状で凍結してICBMの開発を止めさせることができれば、米国にも妥協の余地があろうとの主張がある。

別の視点から、「トランプ大統領は実業家であり、最初は交渉戦術として強い姿勢を示すものの、最終的には交渉によって最も有利なところで妥協を図る人だ」との見方もある。

しかし、こうした「現状凍結・追認案」の欠点は、北朝鮮が核ミサイルの完成までは開発をやめないとの現実を無視していることである。北朝鮮が仮に対話に応じてきても、これまでの交渉がすべて失敗に終わったのと同様、”時間稼ぎ”のために行っているのである。

その時には、日米韓の側が、制裁を大幅に緩和するなどの大きな代償を求められ、結果的に北朝鮮の核ミサイルの完成を”手助け”したことになると考えておかなければならない。

われわれが肝に銘じるべきことは、「北朝鮮はこれまで約束を守ったことがない」という事実である。そして、合意検証も北朝鮮の妨害に遭ってきたということである。そんな北朝鮮は、次々に挑発や要求を高め、最終的には在韓米軍撤収、韓国の赤化統一を模索するだろう。

このシナリオは、一時的には戦争被害を避けることができるという意味で、好意的に考える人はいると思う。だが、中長期的に見れば、金正恩委員長の絶大な影響力の下に置かれるという意味で最悪のシナリオかもしれない。

シナリオ4 武力で金正恩政権を消滅させる

これは、北朝鮮を非核化させるための最も確実な方法である。クリントン大統領時代に一度検討されたが、米韓が北朝鮮を攻撃すれば報復を受け、韓国の首都ソウルは軍事境界線と近いだけに、首都だけで数十万人の犠牲者が出るとして断念した経緯がある。

北朝鮮の核ミサイル開発が完成間近まで進んだ現在では、仮に核弾頭を搭載した弾道ミサイルが東京に着弾すれば、最大200万人の犠牲者が出るという推計もある。したがって、日本としても絶対に避けなければならないシナリオである。

そうした中でも、米国は軍事行動を取る可能性はあるのか。以前、マティス国防長官が「ソウルの犠牲を大きくしない方法はある」と述べたことがある。トランプ大統領は「北朝鮮を完全に破壊する」と述べた。

こうした発言から想像すると、米国が攻撃する時は、金正恩委員長を一撃の下に殺害し、かつ北朝鮮が報復の愚挙に出られないよう瞬時に大打撃を与えることを想像しているのであろう。しかし本当にそのようなことができるのか疑問だ。

いずれにせよ、核ミサイル施設への限定攻撃は報復の危険性が高く、あり得ないと思われる。また、同様の理由から、米軍は金正恩委員長だけを狙った”斬首作戦”も取らないであろう。

確かにトランプ大統領は、国連演説やツイッターなどで、金正恩委員長を挑発する言動を繰り返しており、つい最近も空母3隻による朝鮮半島周辺での演習を行うなど、北朝鮮に対する軍事的揺さぶりをかけている。また、公式的にも「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」とし、軍事的選択肢を排除していない。

しかし、本音を言えば軍事行動は避けたいであろう。そもそも米国民は朝鮮半島にそれほど関心を抱いているわけではない。特にトランプ大統領の支持層は、あまり関心がないはずである。大きな犠牲を払ってまで北朝鮮を攻撃するメリットについては疑問符が付く。

そう考えると、現在のトランプ大統領が行っている威嚇は、北朝鮮や中国を追い込むことで非核化への道筋を付けたいとの意図であろう。しかし、北朝鮮が現実に核ミサイルを保有するに至った時、米国がどのような行動に出るかが軍事行動の有無を決めるであろう。

反対の当事者である北朝鮮も、本気で米国と戦闘に進もうと考えているとはとても思えない。いったん戦闘が始まれば、北朝鮮という国自体が崩壊することは目に見えているからである。北朝鮮の挑発的言動も脅しによって米国の圧力を弱めようとの意図であろう。

気がかりなのは偶発的な出来事による軍事衝突

ただ、一つ気がかりのは、偶発的な出来事によって軍事衝突に至る事態である。

米国は11月29日の北朝鮮のICBM発射を受け、北朝鮮の海上における臨検などを輸出禁止品目などに広げる制裁を検討しているようであるが、北朝鮮船舶が逃亡したり抵抗したりした場合に、現場で軍事的対立が生じないとも限らない。また、遮断だけでは効果が上がらず、拿捕や撃沈を含む海上封鎖に至れば、それは軍事的行動となる。こうした事態が全面戦争に至らないよう願うのみである。

日本としても、北朝鮮の報復に備えておく必要があるかもしれない。そのためにもミサイル迎撃態勢を点検し、イージスアショアの早期導入を含め対策を急ぐ必要がある。北朝鮮のような国を相手にするときには、「敵地攻撃能力」も備えざるを得ないであろう。北朝鮮による生物化学兵器を使ったテロも懸念材料である。

韓国からの邦人退避は、戦闘が始まる前の事前退避が重要である。日本政府も事態を注視し、少しでも戦闘の懸念があれば危険情報を出すことも検討するが、各国とも日米の動向を見ているので、こうした情報が発せられたときには各国も追随し、空港や港湾はごった返して退避は困難になろう。

したがって、日本人はこうした事態になる前に、少しでも早く動くことが肝要である。また、危険が迫った際には、どこ行きの航空機でも構わないから乗り、とにかく急いでソウルを離れることを考えるべきであろう。

日韓関係が対立していれば邦人の退避などに支障が出る

そして、仮に戦闘が始まってしまえば、まず砲弾が止むまでは防空壕に退避し、これが収まってから退避となるが、基本は米国人と行動を共にすることである。ソウル近郊の空港などは、軍が使用しているので南下することになろうが、その場合にも途中の道路は検問などで自由に動けない。その時、助けてもらうのは米軍である。米国人もいったん韓国から日本に退避することになるので、日本人もこれに加わるという形になる。

いずれにせよ、北朝鮮の核ミサイル開発問題は、出口のない問題である。日本としては米国と緊密に連携しつつ、韓国がこれに協力するようあらゆる努力をしていくことが肝要だ。このとき、日韓関係が歴史問題で対立し協力できないような状況になれば、邦人の退避などに支障が出よう。

重要なことは、あらゆる状況に対応する準備である。最善の結果となればこれに越したことはないが、期待値で判断することは避けるべきであろう。軍事行動の可能性も想定すれば、「日本が平和国家に徹すれば安全」という考えは捨てるべきである。いずれにせよ、来年は朝鮮半島から目が離せない年になりそうである。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

鈴置記事

サンダース米大統領報道官は平昌五輪への選手団派遣を明言しなかった(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

平昌(ピョンチャン)冬季五輪が開催できるのか、怪しくなってきた。

ロシアに続き、米国も不参加?

鈴置:韓国の平昌五輪が予定通りに開催されるのか、疑問符が付きました。米政府が選手団の派遣に関し、口を濁し始めたからです。

開催時期は2018年2月9日から25日まで。パラリンピックは3月9-18日です。ちょうどそのころ米国が北朝鮮を攻撃する可能性があります(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

第2次朝鮮戦争の「戦地」となる韓国に、選手など派遣できません。米国が不参加を決めれば、多くの国がならうでしょう。

すでにロシアの選手団がドーピング問題で締め出されています。そんな五輪を開催すべきなのか、首を傾げる人も増えると思います。

11月29日に北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)を試射しました。これにより北朝鮮が米本土まで核攻撃できる能力を持ったか、近く持つと見なされました(「じり貧の北朝鮮、『核武装の総仕上げ』急ぐ」)。

米国は北朝鮮への先制攻撃を露骨に匂わせ始めました(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

国務省報道官が「核を使う先制攻撃も辞さない」と語ったほか、トランプ(Donald Trump)大統領に近い上院議員が「在韓米軍の家族を韓国から呼び戻せ」と主張しました。

トランプ政権こぞって「戦争間近」の空気を醸し出したのです。もちろん北朝鮮を徹底的に脅し、核を放棄させるためです。

「参加は未定」の大合唱

そんな中、米国のヘイリー(Nikki Haley)国連大使が米選手団の平昌五輪への参加に関し「まだ決まっていない」と語ったのです。

12月6日、FOXのインタビューに答えました。「2018 Winter Olympics an open question due to North Korea threat」で視聴できます。

「米選手団派遣は決まったのか?」との質問に、ヘイリー大使は「決まっていない。それに関し私は聞いていないが、いかにして米国市民を守るのか、政府は議論するものだ」と答えました。

There’s an open question. I have not heard anything about that, but I do know in the talks that we have — whether it’s Jerusalem or North Korea — it’s about, how do we protect the US citizens in the area?

「決まっていない」(There’s an open question)との言葉は米国人にとって衝撃的でした。韓国への選手団派遣を躊躇するほどに朝鮮半島情勢は緊迫しているのか、と誰もが思ったのです。

12月7日のホワイトハウスの記者会見で「平昌五輪への参加」が問われました。するとサンダース(Sarah Sanders)報道官も「まだ正式に何も決まっていない」(No official decision has been made on that.)と答えました。

同じ日の国務省の会見でも「参加問題」が俎上に載りました。ナウアート(Heather Nauert)報道官は「ヘイリー大使とホワイトハウスがすでに米政府の立場を明らかにした。我々はこの五輪に参加することを楽しみにしている」と答えました。

記者に執拗に問われましたが、最後まで「参加する」とは言いませんでした。原文は以下です。

I think Ambassador Haley and the White House further clarified our position on this. We look forward to being a part of the Olympics —

文在寅政権も脅す米国

—ポイントは政府関係者の誰もが「参加する」と言わないことですね。

鈴置:そこです。要は「五輪などに関係なく、戦争すべき時はする」と米国は決意を表明したのです。

—北朝鮮への威嚇ですね。

鈴置:もちろんそうですが、同時に韓国も脅したのだと思います。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は平昌五輪を人質にして米国の先制攻撃を阻止しようとしています。それに対し「小細工してもダメだぞ」と米国は言い渡したのです。

文在寅政権は来年2月の五輪と3月のパラリンピックを名分に、例年3月から4月にかけて実施する米韓合同演習の中断を狙ってきました。それを糸口に北朝鮮と対話ができるかもしれないとの期待からです。

北朝鮮の選手を強引に平昌五輪に参加させようとしたり、国連総会で五輪期間中の停戦を呼びかける決議を採択させたり。いろいろと画策しました。

もっとも政権が発足して以来、続けてきた対話作戦は空振りに終わっています(「早くも空回り、文在寅の『民族ファースト』」参照)。

北朝鮮にとって韓国と対話する意味などないからです。放置しておくほどに韓国は焦ってますます顔色をうかがうようになりますから、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は文在寅大統領を泳がせてきたのです。

「五輪休戦」を画策する韓国

ただ、11月29日のICBM試射により「核武装をしたと自信を深める北朝鮮に、いくら対話を申し入れても無駄だ」との声が韓国国内でも高まりました。

中央日報は「レッドラインを超えた北朝鮮…揺れる文大統領の『平昌構想』」(11月30日、日本語版)で、対話政策が挫折したと評しました。

ところが文在寅政権は「五輪休戦」をあきらめません。12月6日、韓国の宗教界指導者らと会談した大統領が「現在、極度に高まっている緊張も時間の問題で(いずれ)解決する。その過程に平昌五輪がある」と述べたことからも分かります。

発言は聯合ニュースの「文大統領『先制攻撃で戦争になることは決して認めない』」(12月6日、韓国語版)で読めます。

米国の目には、この期に及んでも「五輪休戦」などと言っている文在寅政権は北朝鮮の回し者に映ったはずです。世界が声をそろえて北に圧力をかけるべき時に、その主軸である軍事演習を中断しようというのですから。

そこで米国は韓国に対し「五輪を名分に北朝鮮の核武装を幇助するつもりなら、五輪そのものを潰してやるぞ」と脅したのだと思います。

韓国外相に「ダチョウ」

—確かに、文在寅大統領の挙動不審が目立ちます(「文在寅大統領の『反米・親北』の言動」参照)。

  • 文在寅大統領の「反米・親北」の言動(2017年)
4月13日 大統領選挙の討論会で「(米国が先制攻撃を準備する場合)北朝鮮にホットラインを通じて直ちに連絡し、挑発を中断するよう要請する」と発言
5月10日以降 「手続きが不透明」としてTHAADの追加配備を認めず。6回目の核実験(9月3日)後の9月5日になって配備容認を決定
8月15日 「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」と米国の先制攻撃に反対
9月21日 「時期は未定」としつつ、800万ドルの対北人道支援を発表
9月27日 国連総会第1委員会で、北朝鮮の非核化も念頭に置いた「核兵器廃絶決議案」を棄権
9月28日 「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」と国軍の日の記念式典で演説
11月29日 北朝鮮のICBM発射直後に「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」と発言、米国を牽制
 

鈴置:11月29日のICBM試射の直後には、米国の先制攻撃に反対する姿勢を打ち出しました(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)

12月6日の宗教指導者との会談では「先制攻撃で戦争になることは決して認めない。韓国の同意なくして朝鮮半島でのいかなる軍事行動も許さないと米国に断固として通告してある」と、さらにはっきりと米国を牽制しました。

韓国は北朝鮮と裏でつるんでいる、との認識が米国で広がっています。先に引用した12月7日の国務省の会見でも「文大統領は北朝鮮に対する米国の先制攻撃を認めないと語ったが、どう考えるか」と聞いた記者もいました。ナウアート報道官は「その事実は知らない」とはぐらかして逃げましたが。

同じ会見で「韓国政府はテロ国家を――核ミサイルで脅し続ける金正恩政権を(五輪に)招待している。どう考えるか」との質問も出ました。

米国の著名な記者が康京和(カン・ギョンファ)外相とインタビューした際に「砂に首を突っ込むダチョウ」(heading in the sands like ostriches)――現実から目をそらす――と、韓国政府をからかう“事件”も起きました。

米国時間の12月4日、CNNのアマンプール(Christiane Amanpour)国際担当首席記者が康京和外相とテレビ電話で会見した際のことです。「South Korea doubts North Korea’s ability to launch nuclear ICBM」(12月6日)の開始2分11秒あたりからです。

米国の敵を弁護する韓国

—なぜ、ダチョウ扱いしたのですか。

鈴置:康京和外相が「北朝鮮は(核武装の)最終的な段階には至っていない」「だから北朝鮮を核保有国として認めるわけにはいかない」と語ったからです。開始1分30秒後からの発言です。

they have not reached the final completion stage yet.

North Korea will never be accepted as a nuclear power,

要は「北朝鮮は米国を攻撃できる核をまだ持っていない。だから、米国は先制攻撃するな」と暗に主張したのです。

現時点で北が米国に届く核ミサイルを実用化したかは見方が分かれます(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)

しかし早晩、その能力を持つのは確実です。というのに韓国政府はそれに目をつぶって軍事行動に反対する。だからアマンプール記者は「砂に首を突っ込むダチョウ」に例えたのです。

このインタビューを見た米国人は「ダチョウ」よりも「裏切り者」という言葉が頭に浮かんだと思います。同盟国というのに外相が、米国に刃を向ける国を「害がない」とへ理屈をこねて弁護するのですから。

金正恩の思うままに

—韓国での反応は?

鈴置:保守系紙は「ダチョウの平和」に危機感を表明しました。中央日報の社説「米中とかけ離れた韓国政府の北核認識が不安だ」(12月9日、日本語版)の結論が以下です。

誰もが北の核を「差し迫った脅威」と見なして迅速に対応しているが、なぜ我々だけが目の前で起きていることに背を向け続けるのか。

政府の失敗は5000万人の国民の命を担保にしているという点を一時も忘れてはいけない。

朝鮮日報の社説「ダチョウのように砂に頭をうずめている」(12月8日、韓国語版)はもっとはっきりと書きました。

文在寅政権が「ダチョウ」を続けるのは無能のせいではなく、北朝鮮の核武装を認めるつもりであろう、と指摘したのです。

政府と与党関係者からは、核武装を完成したとの北の主張を南北対話再開の契機にしようとの主張が相次いでいる。文大統領の(宗教界代表者らとの会談での)「夜明けが一番暗いものだ」との発言も、南北対話を期待する現れだ。

韓国政府が北の核ミサイル完成という厄災から目をそらし、北と「平和の対話」をすれば、すべてが金正恩の戦略のままにされてしまう。

対北制裁はうやむやになり、我々の頭上の核爆弾はあたかも存在しないように我々は自らを欺いて暮らすことになる。ダチョウが砂の中に頭を突っ込んだら次に何が起きるか、誰でも知っている。

「エルサレム」効果も

—「ダチョウ発言」が効きましたね。

鈴置:ええ。「ダチョウ」に加え「五輪参加は未定」「在韓米軍の家族の撤収」など米国が相次ぎ発信する警告に、韓国人もようやく気づきました。

韓国には「戦争は絶対に起きない」と信じる人が多かった。希望的観測もあるでしょうが何よりも、これまで北朝鮮がいくらやりたい放題やっても米国が我慢してきたからです。

でも米国が青筋を立てて怒っているのを見て、さすがに韓国人の根拠なき確信も揺らいできました。

米国が「イスラエルの首都はエルサレムだ」と認めたことも、韓国人の対米認識を変えるでしょう。「首都認定」にはイスラム世界だけではなく、欧州からも批判が高まっています。米国内でも「余計な波乱を起こす」と問題視する人が多い。

でもそうした批判をものとせず、トランプ大統領は選挙時の公約を実行したのです。「金正恩に核ミサイルを絶対に持たせない」も同様に公約です。世界が何と言おうが、トランプ政権は力ずくでも北の核武装を阻止するだろうな、と考えるのが自然です。

北朝鮮もぞっとしたと思います。もちろん「首都認定」の結果、世界のあちこちで反米デモが起きるでしょう。が、北を包囲する空母を外して中東に転用することにはなりそうにない。

—トランプ大統領は北朝鮮をさらに脅すために、このタイミングを選んで「首都認定」を発表したのでしょうか。

鈴置:それは分かりません。でも、結果的にその効果はあるでしょう。かといって金正恩委員長が白旗を掲げるとは思えませんが。

(次回に続く)

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