『世論の指弾を受けた出生率を向上させる提言 40歳以下の男女から出産基金を一律徴収という暴論』(8/24日経ビジネスオンライン 北村豊)について

7/24Money Voice 矢口新<米中貿易戦争はやがて通貨戦争へ。その時、中国は4つの武器で世界覇権を握る>この中にある中国が隠し持つ「4つの武器」とは(青字は対抗策)

中国の武器その1:米国債売り→米国がIEEPAを適用すれば被害は出ない。中国は貸倒れになる

中国の武器その2:元の切り下げ→米国が為替操作国に認定し、キャピタルフライトを引き起こさせる

中国の武器その3:米企業への規制強化→中国企業のSWIFTコード使用禁止、中国と取引している外国企業もSWIFTから放逐

中国の武器その4:米国の孤立化→権貴の蓄財の暴露

どう考えても中国に勝ち目はないでしょう。基軸通貨国でない国が覇権を巡って争うなんて。

https://www.mag2.com/p/money/496701

8/24希望之声<美国白宫对萨台断交 做一罕见举动=WHはエルサルバドルの台湾断交にコメント 稀に見る行動である>WHは24日早朝、エルサルバドルの台湾断交に声明を発表し、中共が両岸関係を不安定にし、西半球の政治に干渉するのに反対すると。これはかなり稀に見る行動である。しかも、その中で、米国はエルサルバドルとの関係を見直しするとも。

エルサルバドルのメデイアのLa Paginaは、「エルサルバドル国会副議長及び国家団結連盟戦線党(GANA)主席のゴヤゴスは台湾断交について、もしGANAが次の大統領選挙で勝てば、すぐに台湾との国交を回復する」と。彼は台湾国民とその政府に対し、長年に亘る貢献に感謝し、今の大統領は恩知らずと批判した。

モンロー主義を知っていて中国はやっているのでしょうか?中央アジアに土足で入ってロシアに不快感を持たせるのと一緒でしょう。それもこれもオバマ民主党の不甲斐なさが引き起こしてきた問題です。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/08/24/n2100660.html

8/24看中国<NASA科学家:蔡英文参观太空中心的真相(图)=NASAの科学者:蔡英文総統が宇宙センターを参観できた真相>NASAジョンソン宇宙センターに勤務する台湾人の末裔の科学者・郭正光は「蔡英文総統が先日訪米中にNASAを訪れて参観したのは、観光客がチケット入場できるコースと違う。観光客の参観コースは既に使われなくなった施設のところ。蔡英文総統が参観したのは今稼働しているセンター。而も多くの記者団を引き連れて。上層階に案内されて、ガラス越しに写真を撮らせたのは外国の賓客でもめったにないこと」とインタビューに答えた。

台湾を特別扱いしているのを中国に見せつけるためでしょう。ドンドンやって、台湾との関係を既成事実化していけば良いです。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/08/24/868735.html

8/24阿波羅新聞網<川普要求国务卿推迟朝鲜访问 原因却在中方=トランプはポンペオに朝鮮訪問延期を要請 原因は中国にある>

トランプは金曜日にツイッターで「ポンペオ氏には訪朝を遅らすように頼んだ。朝鮮半島の非核化は進展がないから。それに我々は貿易戦で中国にもっと強い立場で臨まないといけない。彼らは以前のように北の非核化を促進したいとは思っていない。国連の制裁決議は協力したが。出来るだけ早く金正恩と再会できることを望む」と発した。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/08/24/n2102124.html

8/24増田俊男<もし自分を弾劾するなら市場は崩壊する!>米欧日のメデイアはトランプを追い落としたくて仕方がないのでしょうけど、そうはいきません。弾劾になるためには下院の1/2以上の賛成で訴追、上院で出席議員の2/3の賛成が必要です。今度の中間選挙で、上院で2/3までは行かないでしょう。次の大統領選まで民主党が嫌がらせするためだけと思います。

http://chokugen.com/opinion/backnumber/h30/jiji180824_1271.html

日下公人著『絶対、世界が日本化する15の理由』の中に、「「イスラム教徒を入国禁止にする」 、 「日本は自国を攻撃されれば米国に防衛してもらうのに、米国が攻撃されても何もしないというのでは不公平だ。日本を含むアジア太平洋地域に米軍が駐留することに利益があるとは思わない。米国はかつてと立場が違う。以前は非常に強力で豊かだったが、いまは貧しい国になってしまった」「日本や韓国に駐留する米軍の経費については、日韓がそれぞれ仝額負担すべきだ。もし払わないなら米軍は撤退すべきだ」 「日本は北朝鮮による核の脅威から自力で身を守るために核武装をすべきだ」

こんな“暴言”を繰り返す人物が米国大統領になって一年余が経った。前著『新しい日本人が日本と世界を変える』(PHP研究所)にも書いたことだが、そもそも誰が米国の大統領になろうと、日本は日本である。トランプ大統領の事実誤認に対しては、「間違っている」と言えばよいし、現に安倍首相は率直に意見を述べ理解を得ている。それは先述の米国による「拡大核抑止力」の提供を明記した共同宣言にも反映している。日本には戦略的思考が必要だと言う人は多いが、それは「誰かを怖がって遠ざける」ことではなく、「誰に寄り添えばよいか」をいちばんに考えるのでもなく、「相手を自らの望むところに誘導すること」である。そしていつの間にか、日本はそれができる国になっている。」(P.26~27)とあります。

「在米の国際政治アナリスト伊藤貫氏は、こう述べている。

〈アメリカの大企業五〇〇社の利益分配パターンを見ると、一九八〇年代までは五〇〇社の純利益のうちの五割が株主に還元され、45%は労働者の賃上げと設備投資とR&D (企業の研究開発)に充てられていた。しかし一九九〇年代のクリントン政権時から、株主が獲得する利益が急上昇した。ニ十一世紀になると、大企業五〇〇社の純利益の九割以上が株主に獲得されるようになり、労働者の賃上げや設備投資に回される企業利益はたった四〜五%程度になってしまった。オバマ政権の最後のニ年間は、大企業の純利益が一〇〇 %、株主に還元された。労働者の貨金上昇に使われた企業利益はゼロ (!) であった。オバマ政権時代、大企業の純利益は二倍以上になり、株式市場は三倍に高騰したが、九割の米国民の実質賃金は停滞したままであった。大統領が民主党であれ共和党であれ、「企業利益のすべてが株主と金融業者に獲得されてしまう、一般の米国民は何の利益も受け取らない」という不正で冷酷な経済体制になってしまったのである〉 〈民主•共和両党の政治家、マスコミ人、アメリカの「エリート」たちは、経済制度がこ のようなアンフェアなシステムになったことに「気が付かないふり」をしてきたのである。昨年の大統領選で米国民の怒りがついに爆発したのは、当然のことではないか!〉 (「問題はトランプではない」『voice』平成二十九年九月号)

トランプ氏は自身の勝利の理由を自覚している。伊藤氏は〈「トランプは異常人格者だ」 という判断に賛成である。しかし筆者は、「トランプを引きずり降ろせば、アメリカは正常化する」とは思わない〉と述べる。私に言わせると、ここに「米国の内臓病」があるのだが、それについては後述しよう。」(P.32~33)

「イギリスが清国を超えた頃から世界史を書き出したように、中国もまたそうなって、いま世界史を書くことに色気を見せてきた。それはたとえば国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に「南京大虐殺資料」を登録したり、また「従軍慰安婦資料」を登録しようとしたりしていることも、その現れである。

中国はもともと自分たちが世界の中心だと考えているので、世界史に対する興味は薄かったはずだが、経済的にアメリカに次ぐ巨人となったことで、世界的な覇権への欲求とともに、自らの偉大さを誇示し、日本を蹴落とすべく「日本は悪辣な国」という印象を世界に広めようとしている。

一方のイギリスは、アへン戦争後の九•〇%をピークにあとは下る一方になったので、 新たに世界史を書こうという意欲は薄れているように見える。

日本の場合は関ヶ原の戦いがあった一六〇〇(慶長五)年でニ・九%だった。同時期のイギリスは一•八%、ドイツは三・八%、フランスは四・七%だった。江戸時代に入って日本は社会が安定し、経済活動も活発になったので、一七〇〇年(元禄時代の末)には四・一%に上昇した。当時の江戸は世界有数の都市として発展していた。

その後、ヨーロッバ各国が植民地からの利益が上がったことで急速に伸びたのに対し、日本はアへン’戦争前の一八二〇年には三%に下がっている。この時期の日本は経済発展というより文化.風流を大切にした時代で、戦国時代を経て江戸時代の泰平がもたらされると、日本人は文化.風流、そしてインドやシナからの思想を消化することに熱心になった。だから宇宙観、自然観、社会観、国家観に立脚した人間観や家族観などを、これまで人はいかにつくりあげてきたかを書こうとすると、それは「日本史」そのものになる。

大東亜戦争に敗北した日本だが、戦後の一九五〇年でも三%あり、二〇〇一年で七・一%である現在は中国に抜かれて世界第三位になったとはいえ、国連への分担金ほか世界への貢献は抜群である。これだけの水準、貢献を維持している国として、そろそろ「世界史」を書いて発信するのは自然の振る舞いということになる。」(P.136~137)

中国が世界史を書き換えれば、捏造史になるのは決まっています。中国経済を崩壊させ、世界に金をばら撒いて買収するのを止めませんと。米中貿易戦争には大賛成です。

北村氏の記事を読んで、中国政府は「出産基金」を取って個人口座にプールするような考えですが、中国でそんな約束は守られた試しはありません。必ずや基金のトップが持ち逃げするでしょう。それが分かっているから、庶民は怒るのです。

そもそもで言えば、中国は基本的人権の擁護や少数民族の権利確保に力を入れるべきでは。内には弾圧、外には侵略というのでは帝国主義者以上に悪いとしか言えません。少なくとも帝国主義者は自国民優遇の為、植民地から搾取したわけですから。中国は国内からも搾取・弾圧していますので。共産体制は滅ぼすしかありません。

記事

御用学者からの「出産基金」提言に国民からは強烈な反発の声があがった(写真:Shutterstock)

江蘇省党委員会の機関紙「新華日報」は8月14日付の第13面「思想週刊・“智庫(シンクタンク)”」欄に“南京大学長江産業経済研究院”の学者である“劉志彪”と“張曄(ちょうよう)”(女性)が連名で執筆した『“提高生育率(出生率向上)”:新時代における中国人口発展の新任務』と題する文章を掲載した。

中国では中国共産党と中国政府が何か新しい事を始めようとすると、地方の官製メディアを通じて学者に意見を発表させ、それに対する世論の反応を見て、問題なしと判断すれば、一気呵成に新たなお触れを公布するのが常である。当該文章がネットを通じて中国全土に流布されると、中国世論は激しく反発し、ネット上には怒りを爆発させた庶民の書き込みが溢れた。どうして中国世論は強烈な反発を示したのか。当該文章の概要は以下の通り。

【1】中国政府“国家統計局”が今年初めに発表した2017年の出生人口は1723万人で、2016年より63万人減少し、“全面二孩政策(全面二人っ子政策)”<注1>がもたらした出生人口のピークはすでに過ぎた可能性が高い<注2>。2018年上半期の新生児数は前年同期比で約15~20%減少していることから考えると、2018年の出生人口は2017年より大幅に減少することが予想される。さらに悪いことには、2010年に実施された“人口普査(国勢調査)”のデータには、今後10年以内に我が国の出産適齢期の女性は約40%減少するとあった。ここ2~3年以内に、我が国の第3次人口ピーク期(1981~1990年)に生まれた出産適齢女性は徐々に出産適齢期を過ぎるし、全面二人っ子政策の実施がもたらした累積効果も消失するに従い、我が国の人口出生率は必然的に断崖からの急降下に直面することになる。「少子化」後の結果は非常に深刻なので、出生率の向上は新時代における中国人口発展の新たな任務である。

<注1>1980年代初頭から継続してきた“独生子女政策(一人っ子政策)”から転換して1組の夫婦に子供を2人まで出産可能とする政策で、2016年1月1日から実施された。

<注2>2017年の出生人口減少の詳細は、2018年2月16日付の本リポート『中国「2人目出産解禁」2年目に出生人口が減少』参照。

【2】我々は、我が国の出産奨励措置を短期、中期、長期の対応策に分けることが出来ると考える。その要点は下記の通り。

(1)短期:

出産を全面的に自由化し、幼児教育産業と公共託児サービスを優先的に発展させ、国家の義務教育体制を強化する。我が国の女性の出産ピークは25~30歳である。人口構造から見ると、1975~1985年に出生した人口の出産意欲は比較的強いが、すでに出産適齢期は過ぎており、二人っ子政策がもたらした累積効果はすでに消失している。90年代に出生した人口は相対的に減少しており、出産観念が変化したことも加わり、この年代の人々に出産の重責を担わせるのは現実的ではない。但し、1986~1990年の反動的なベビーブームに出生した人口はその総数が1.2億人に達し、比較的に出産意欲が強いだけでなく、まだ2年前後は出産適齢期にある。この時期を逃すことなく、直ちに出産を全面的に自由化すべきである。

(2)中期:

“生育基金制度(出産基金制度)”を創設し、蓄えた社会扶養費を適切に利用し、出費が比較的小さい経済手段で家庭の出産を奨励する。出産休暇の延長と育児休暇制度の確立。出産奨励の住宅政策を制定する、等々。たとえば、社会扶養費の方面では、蓄えた社会扶養費を出産補助金に用いることにより財政圧力を軽減することもできる。さらに、40歳以下の国⺠からは男⼥を問わず、 毎年給与から⼀定⽐率の“⽣育基⾦(出産基⾦)”を徴収し、個人口座へ繰り入れることを規定すべきである。

家庭が第二子およびそれ以上の子供を出産した時には、出産基金に申請して積み立てた出生基金を取り出すと同時に出産補助金を受け取ることができ、女性およびその家庭が出産時期に労働を中断したことによる短期的な収入損失を補償することに用いる。もし、国民が第二子を産まない場合は、口座に積み立てた資金を退職時に取り出すことができる。出産基金は“現収現付制(賦課方式)”を採用する。すなわち、個人が継続的に納付し、未だ取り出していない出産基金は、政府がその他家庭の出産補助金として支出することが可能で、不足部分は国家財政で補填する。

(3)長期:

上述した政策の効果が漸減するのを待って、財税政策の調節作用を十分に発揮すべきであり、子供が多い家庭と女性が再就職する企業に対して税の優遇を与えると共に子供が多い家庭には財政補てんを与える。

【3】最後に、出産政策は地域差を十分に考慮すべきである。

都市化が急速に進むにつれ、人口は“中心都市(大都市)”へ移転し、中小都市の若年人口は大量に流出する。我が国の東北地区および一部の計画出産が厳格に行われている地区では、人口の老齢化がとりわけ深刻である。それとは裏腹に、東部の“一線都市(主要な大都市)”では依然として人と土地が緊張状態にあり、巨大な人口圧力に直面している。中央政府は出産政策を奨励するための基本構造と原則を制定し、各地方政府は地元の出生率および老齢化の程度に応じて地方の人口政策を制定することができるようにする。このように人口発展の地域均衡を促進するだけでなく、各地の試験結果を総括して、次の大規模実施のために基礎を固めることが肝要である。

ところで、この文章を書いた劉志彪と張曄とはどのような人物なのか。中国語のネットで検索した内容を整理すると以下の通り。

【劉志彪】南京大学長江産業経済研究院理事長、院長、産業経済研究部門主席専門家。1959年生まれの58歳。南京大学経済学部教授、博士課程指導教官。

1984年12月~2010年10月:南京大学教師、経済学院院長、2010年10月~2014年4月:江蘇省社会科学院院長、2014年4月~2015年1月:南京財経大学校長、同大党委員会副書記、2015年3月:南京財経大学校長の職を免じられる。その後、南京大学長江産業経済研究院へ転じる。

【張曄】南京大学長副教授 (劉志彪は張曄の博士課程指導教官)

2006年:南京大学経済学院卒業、2008年:ポストドクターとして北京大学の姚洋教授と論文を共同執筆、2009年に第13期“孫冶方”経済科学賞を受賞。

こうした経歴の持ち主である2人が、南京大学に属する“長江産業経済研究院”の学者として共同執筆したのが上記の文章だったのである。彼ら2人が何の目的で当該文章を執筆し、それを江蘇省党委員会機関紙である「新華日報」に掲載して発表したのか詳細は不明だが、世論の反発が予想される文章を敢えて発表したのは、上部機関からの命令に従ったものとしか考えられない。

さて、当該文章に対して世論が激しい反発を示したのは(2)中期に記載された「出産基金制度」についてである。1980年代初頭から2015年末まで30年以上にわたって実施された“独生子女政策(一人っ子政策)”では、2人目以上の子供を出産すると多大な罰金が科せられた。罰金が支払えなければ、生まれた子供は戸籍登録を認めてもらえず、無戸籍者となった。また、罰金が支払えない親は、泣く泣く生まれた子供を遺棄したり、間引く<注3>ことも多発した。

<注3>「間引く」とは、口減らしのために、生まれたばかりの赤ん坊を殺すこと。

そうした暗黒の時代は出生人口の減少を危惧する声の高まりを受けて2015年末に終わりを告げ、2016年1月1日からは無条件で子供2人までの出産を容認する全面二人っ子政策が実施され、人々は悪法の出産制限が緩和されたことに胸を撫で下ろした。ところが、全面二人っ子政策が実施されたにもかかわらず、予想に反して出生人口が期待通りに増大せず、逆に出生人口が減少に転じたことから、中国政府は出生率を向上させるための施策を暗中模索しているのが現状である。

そうした最中に発表されたのが当該文章だが、それは何と「出産基金制度」を創設し、40歳以下の国民は男女を問わず、毎年給与から一定比率の“生育基金(出産基金)”を納めろと提起しているのである。やっと一人っ子政策の呪縛から解き放されたと思ったら、今度は出産基金を給与から差し引くと来た。ただでさえも給与からは“五険一金”と呼ばれる“養老保険(年金)”、医療保険、失業保険、“工傷保険(労災保険)”、“生育保険(出産保険)”、“住房公積金(住宅積立金)”が差し引かれた上に個人所得税が課せられるのに、さらに出産基金までもが給与から差し引かれては、生活できないという悲鳴に近いものだった。

国民は政府の方針に左右されない「出産の全面的自由化」を待ち望んでいる

中国の著名な経済学者である“馬光遠”は、この文章を読んだ感想を次のように述べている。

(1)「給与の⼀定⽐率を出産基⾦として徴収する」という個所を読んだ時には悪い冗談だと思っていたが、読み進むうちに筆者がまじめに提案していると知って驚いた。このような提案をする人の脳細胞は一体どのような構造になっているのか、どうやったらこのように愚かな提案ができるのか疑問である。

(2)出産の全面自由化や出産休暇の延長、出産家庭に対する補助金支給などは、自分たちが10年以上前から何度も提起してきたことで、全て合理的かつ正常なものであるが、一部の体制内学者や関係部門によって否定され続けてきたものである。

(3)我々は中国の出生率は実際にはすでに非常に低いと考えていた。“放開二胎(第二子出産自由化)”の呼びかけがなされていた頃、“中国人口学会”会長の“翟振武(てきしんぶ)”はある文章を書いて予測した。彼は、第二子出産自由化をすれば、中国人は争って子供を産み、年間出産人口のピークは4995万人に達するとしたが、それは15歳の幼女から50歳のおばさんまで計算に含めたのに等しかった。このように基本的常識を欠落した予測を基に、為政者は1年間にそれほどの人口が増大したら困るとして全面的第二子出産自由化の発想を打ち消して、どっちつかずの“単独二孩政策(夫婦の一方が一人っ子なら第二子出産を容認する政策)”を実施したが、その結果は出生率の低下だった。

(4)過去には人々の出産を子供1人に規制して、2人目以上の子供を出産すれば、罰金を科し、社会扶養費を支払うように要求したが、毎年徴収したそれらの資金は一体どこへ消えたのか、全く不明のままである。現在、出産を奨励しようと、強制的に人々の給与から出産基金を徴収しようとしているが、出産は人間の基本的権利の一つであり、強制するものではないことを筆者は忘れているのではないだろうか。

(5)国家が人口増大計画を実施しようとすれば、それなりの資金を拠出して国民に出産を奨励する必要があるが、その資金はどこから調達するのか。それには“行政人員(管理職員)”を削減し、“行政経費(管理費用)”を圧縮すれば賄えるはずである。くれぐれも他人の給与から出産基金を天引きするような間違った考えをもたないようにして欲しいものだ。

馬光遠のような著名な経済学者が堂々と批判するほどだから、庶民の反発はすさまじいものだった。ネットで当該文章を読んだネットユーザーが書き込んだコメントの代表例を紹介すると以下の通り。

【1】かつて一人っ子政策はどれだけ多くの家庭を破滅させたことか。住居の封鎖や破壊、強制連行してのパイプカットや卵管結紮(結紮)。庶民には生存権はないのか。中国の庶民は奴隷と一緒だ。現在、厚顔無恥にも国民に2人目の子供を産むことを要求しているが、子宮は私の物で、国家の物ではない。過去には断固として一人っ子政策を押し付け、今では無理やり2人目の出産を奨励しているが、どちらも邪悪な行為と言うしかない。

【2】中国では国民の役割は納税と交配。過去は一人っ子を強制し、2人目を産めば罰金だった。今ではそれが逆転し、2人目の出産を強制し、子供が1人なら出産基金を支払う必要があり、3⼈⽬を出産したら罰金として社会扶養費を⽀払わねばならない。

【3】我々は家賃が高いので子供を養えないから産まない。それなのに、さらに出産基金を納めて金持ちの子供を援助しろというのか。こんなことを提案する奴は頭がおかしい。

【4】進学、就職、医療、住宅の問題が解決してから言えよ。進学できず、就職もできず、病気になっても診察を受けられず、住宅も値段が高くて買えないのに、子供を産んで、一体誰が子供を養うのか。

なお、劉志彪が院長を務める南京大学長江産業経済研究院のサイトを調べると、研究院のメンバーには張曄の名前は無かった。また、同サイトに掲載されている当該文書の作者欄には、不思議なことに「張曄、劉志彪」と書かれていた。このように張曄が主、劉志彪が従となっていることから判断すると、当該文章の主体は張曄が執筆し、劉志彪が指導・加筆したものと思われる。さらに「新華日報」に掲載された文章には、序文の後に書かれた日本を含む世界各国の出生率向上のための奨励政策を比較研究した部分が省略されていた。恐らくそこには都合の悪いことが書かれていたので、故意に省略したものだろう。

中国にとって出生人口の減少は、老齢人口の増大と相まって、国家の存亡に関わる重大事である。劉志彪と張曄が連名で執筆した『出生率向上:新時代における中国人口発展の新任務』と題する文章が、中国政府の指示を受けて「新華日報」に掲載されたかどうかは不明だが、当該文章が中国国内に巻き起こした世論の強烈な拒否反応は、中国政府に「出産基金」創設を逡巡させるのに十分であったと思われる。このまま手をこまねいていては出生人口の増大は望めず、中国政府がどのような次の一手が打ち出してくるか興味深いものがある。

しかし、長年の一人っ子政策によって苦しめられて来た中国国民は、政府の政策に左右されない「出産の全面的自由化」を待ち望んでいる。単純な発想だが、もしそれが実現すれば、中国国民は精神的な重荷から解き放たれ、出生率は上昇に転じるのではないだろうか。

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