4/19日経 小竹洋之『窮地の米共和党、忍び寄る分裂の危機』について

 

4/19NY州予備選ではトランプとヒラリーが勝ち、ヒラリーは予想通り民主党の指名獲得間違いなしです。トランプの獲得代議員数は847人で、過半数の1237人獲得に望みを繋げたとのこと。

4/21日経には

<クリントン氏、指名「見えた」 NYで勝利 過半数 26日にもメド トランプ氏も望み

the number of delegate in 2016

【ニューヨーク=吉野直也】米大統領選の民主党の候補指名争いは19日のニューヨーク州予備選で、ヒラリー・クリントン前米国務長官(68)が勝利した。ペンシルベニアなど東部5州の予備選がある26日にも指名獲得のめどが立つ。共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)も大勝し、7月の党大会前の過半数実現に望みをつないだ。

 「指名争いは最後の直線コースに入り、勝利が見えてきた」。クリントン氏は19日の勝利宣言で、こう力説した。「ニューヨークの皆さんはいつも私を支えてくれた」とも語り、喜びを表した。本命でありながら7連敗中の予備選で、今回の勝ちは流れを再び変えただけでなく、指名に必要な代議員の過半数に大きく近づいたからだ。

Hillary Rodham Clinton

19日、ニューヨーク州の予備選を制したクリントン氏(ニューヨーク)=ロイター

 民主党は特別代議員を含めた代議員総数が4765人で、過半数は2383人だ。米CNNテレビによると、クリントン氏はこの日の勝利で獲得代議員数を1930人に伸ばした。残りの代議員のうち30%弱を取れば、過半数に達する計算だ。逆にバーニー・サンダース上院議員(74)は70%程度獲得しなければならず、不可能な情勢だ。

 「最後の直線に入ってきた」というクリントン氏の発言は、こうした計算に基づいており、決して大げさな表現ではない。26日の東部5州の予備選に割り当てられた民主党の代議員数は462。世論調査ではクリントン氏が優位に戦いを進めており、調査通りの結果になれば、26日の時点で過半数に迫ることになる。

 勢いに陰りがみえていたトランプ氏も19日の勝利で、党大会前の過半数獲得がまだ現実的な目標といえる範囲にとどまった。共和党の代議員総数は2472人で過半数は1237人だ。米CNNテレビによると19日に勝ったことで、トランプ氏の獲得代議員数は847人まで増えた。

the primary election in NY

 19日以前は残り代議員数の61%以上を取らなければ、過半数に達しなかったが、19日に大勝したことで、その比率が57%程度に下がった。26日の東部5州の予備選を巡る共和党の代議員数は172人。トランプ陣営は5州すべてに勝って残り代議員数の50%を獲得すれば、過半数に届く計算をしている。

 トランプ氏が19日の勝利宣言で「最終的に誰の予想も超える代議員を取る」と宣言したのは、この数字が頭に入っているためだ。

 テッド・クルーズ上院議員(45)と競り合う5月3日の中西部のインディアナ州(57人)や同10日のネブラスカ州(36人)でトランプ氏が勝つと、過半数到達のために必要な残り代議員数の比率はさらに下がる。50%未満で、大票田カリフォルニア州(172人)などがある6月7日予備選を迎えれば過半数は可能というのがトランプ陣営の読みだ。

 一方、代議員数で2位につけるクルーズ氏は中西部で開く予備選で番狂わせを狙う。過半数を阻止さえすれば、党大会決選に持ち込めるためだ。

 26日の東部の予備選では3位のオハイオのジョン・ケーシック州知事(63)と票が分散する可能性が高く、これがトランプ氏優位の流れをつくり出している。党大会決選を見据えたトランプ氏とクルーズ氏らの攻防はこれから一段と激しくなりそうだ。>(以上)

共和党は誰が勝っても分裂含みです。GOP“Grand Old Party”の名が泣こうと言うもの。民主党も分裂して、第三、第四の政党が出て来るのを望みます。民主党では中国封じ込めはできないのでは。金とハニーで搦めとられていると思うからです。でも民主・共和とも民意を掴み損ねています。

記事

米南部ケンタッキー州の田舎町ホッジェンビル。ここは第16代米大統領アブラハム・リンカーン(1809~65年)の生誕地として知られる。

■不動産王が揺らす「リンカーンの党」

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競り合う共和党のトランプ氏(上)とクルーズ氏(4日)=AP

 丸太小屋で生まれた開拓農民の子供と、奴隷解放宣言をなし遂げた共和党初の大統領――。生家を再現した記念館もいいが、街中の広場で向き合う2つのリンカーン像がとりわけ印象に残った。

 約160年の歴史を持つ共和党には「リンカーンの党」という自負がある。それが多種多様な党員を束ねるよりどころにもなってきた。

筆者が注目した記事
・4月12日 日経朝刊9面「共和候補が代議員争奪」
・4月12日 時事通信「トランプ氏、党大会戦略で出遅れ」
・4月2日 日経朝刊6面「共和委員長、離党示唆の真意探る」

 その共和党がかつてない試練にさらされている。11月の大統領選に向けた候補指名争いが迷走し、分裂の瀬戸際に追い込まれかねない。

Hiroyuki Kotake

小竹洋之(こたけ・ひろゆき) 88年日本経済新聞社入社。経済部編集委員兼論説委員を経て、14年3月からワシントン支局長。専門はマクロ経済、財政・金融政策、国際金融。

 米CNNテレビによると、これまでの予備選や党員集会で確保した代議員は、不動産王のドナルド・トランプ氏が約760人、テッド・クルーズ上院議員が約540人、オハイオ州のジョン・ケーシック知事が約150人。首位を走るトランプ氏の代議員数が指名獲得に必要な過半数の1237人に届かず、7月に開く全国党大会の決選投票に持ち込まれる可能性が出てきた。

 全国党大会では過半数の代議員を獲得する候補が現れるまで、決選投票を繰り返す。1回目の投票は予備選や党員集会の結果に縛られるが、2回目以降は拘束が徐々に解けて自由度が増す。共和党の場合、決選投票に進んで1回で決着すれば1976年以来、2回以上続くようなら48年以来になるという。

 移民や女性に対する差別発言を繰り返し、孤立主義的な外交・安全保障政策や保護主義的な経済政策を唱えるトランプ氏。共和党の主流派は「このままでは多くの国民にそっぽを向かれ、大統領選の本選で民主党に敗れる」と懸念し、決選投票での逆転に望みをつなぐ。

候補者選びで2位に甘んじるクルーズ氏も決選投票に照準を合わせ、2回目以降に転向する代議員の取り込みに余念がない。これに憤慨するトランプ氏は「ねじ曲がった不正行為だ」「私の代議員が盗まれている」などと批判。全国党大会で指名を阻まれた場合は共和党を離党し、独立系の候補として本選に臨む考えをちらつかせる。

 トランプ氏が勝てば「反トランプ派」が収まらず、負ければ「親トランプ派」が離反する。共和党にとってはまさに分裂の危機だろう。

 経済格差の拡大や頻発するテロへの不満と、いっこうに問題を解決できない政治への憤り。「トランプ旋風」は、鬱屈した低中所得層の反乱であり、共和党自身が招いた混乱でもある。

■「政界再編のはじまりか」

statue of Lincoln

丸太小屋から大統領に登り詰めた偉人の共和党はどこへ…(米ケンタッキー州のリンカーン像)

 穏健な主流派と保守派の草の根運動「茶会」が不毛な抗争を繰り広げ、上下両院を制しているにもかかわらず党員が望む政策を実現できない。しかも「小さな政府」や「自由貿易」などの原則を振りかざすだけで、いまの低中所得層が抱える不満をくみ取ってはくれない――。共和党の理念や行動と党員の期待がこれほどかい離した時期はなかったようにみえる。

 「民主社会主義者」を自認するバーニー・サンダース上院議員が主流派のヒラリー・クリントン前国務長官を相手に予想以上に善戦している民主党も、程度の差こそあれ、同じ問題を抱える。「私たちが目にしているのは政界再編のはじまりなのかもしれない」。米コロンビア大のジャスティン・フィリップス准教授はこう指摘する。

 共和党は1860年の全国党大会で、3回の投票の末にリンカーンを大統領候補に指名し、党勢拡大につなげた。「リンカーンの党」は忍び寄る分裂の危機を乗り切れるのだろうか。

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