10/15・16日経ビジネスオンライン 鈴置高史『ニューノーマルになった日本人の「韓国嫌い」 <特別編>連載150回を振り返る(1)』『大陸と付き合ってろくなことはない <特別編>連載150回を振り返る(2)』について

10/16オバマVS朴会談がありましたが、中国ほどの冷遇ではなかったものの、アメリカは冷ややかだったとの報道でした。それはそうでしょう、本記事にある星取表を見れば米中で韓国が取った態度からアメリカの黒星が圧倒的に多い。こういう態度で、韓国にいつまでも甘い顔はできないでしょう。オバマは朴に「中国の国際規範違反行為にはキチンと非難の声を上げよ。日韓関係を(未来志向=慰安婦問題は中国を利するだけ)肯定的な関係に」とヤンワリと要求しました。韓国産戦闘機の技術移転はカーター国防長官が韓米国防長官会談で拒否。三度目です。当たり前です。中国に漏洩するのが見えていますので。韓国は米国の敵No.1が中国と言うのを理解していないのでしょう。二股外交を歴史的にしてきた国ですから。そうしないと生き延びられなかったので仕方がない面はありますが。でも、結果は桂・タフト協定になりましたし、今後はアチソン声明のようにアメリカから見捨てられるようになるかもしれません。米軍から見れば韓国はTHHADも配備せず、米軍の安全に考慮してないわけですから「裏切り者」です。

日本人の「嫌韓」「非韓」は今後益々増えていくでしょう。米国は戦略の立て直しを迫られるでしょう。これだけ世論が韓国嫌いを示したんでは、韓国に融和的な政党(民主・共産・生活・社民)は政権を取れないでしょう。自民党の親韓派代議士だって当選するのが難しくなるかもしれません。30%も「良好」という数字自体が信じられません。政治に無関心な主婦層か在日が底上げしている気がします。大体左翼メデイアの垂れ流す論説やお笑い芸人のTVでの発言しか情報として取らないのでは選挙時に正しい判断は出来ません。「国民主権」「民主主義」が泣くというものです。でも自称リベラルと言われていた人が転向したのは良いことと思います。左翼リベラル新聞の刷込をずっと受けて来ていましたので。小生は中国の共産党支配が如何に過酷で腐敗しているか目の当たりに見てきましたので、直感的に左翼リベラルの言うことはおかしいと感じることができます。中国での裁判、スト、交通事故の遺族との交渉等もしてきましたので。

「(新)脱亜論」こそが、正しい道のような気がします。東亜の悪友との関係謝絶です。中華・小中華とも賄賂社会で世界に悪を為す国です。謙譲の美徳が通用する世界ではありません。ケント・ギルバート氏のように日米で新たな国際機関を作り、主力をそこに移して国連は抜け殻にしてしまえば良いでしょう。敵国条項を残したまま常任理事国に立候補何て冗談にも程があります。ユネスコも脱退、TPPで当然敵国に靡く国は入れないようにすれば良い(韓国が望んでも)。中国はIMF、世銀があるのにAIIBやブリスク銀行を作りました。やってやれないことはありません。でもオバマがそこまで決断できるかですが。次期大統領に期待するしかないというか、日本がそういった提案をしないとダメですが。

記事

「早読み 深読み 朝鮮半島」が150回を超えた。偶然にも連載開始と軌を一にして、日本人の「韓国嫌い」が激しくなった。坂巻正伸・日経ビジネス副編集長と深読みした。

なぜ、こんなに居丈高に?

坂巻:前々回の「『ヒトラーと心中した日本』になる韓国」で、連載150回を記録しました。初回は2012年1月12日掲載ですから、3年9カ月も続いていることになります。

鈴置:韓国外交を主要テーマに書いてきましたが、そんな特殊な話を飽きもせずに読んでくれる読者がいることは、驚きです。

坂巻:毎回、非常にたくさんの皆さんにお読みいただき、たくさんのコメントをいただき、感謝しています。

 新たな読者も増えています。日韓関係にさほど関心を持っていなかった人や「隣の国だから仲良くした方がいい」と考えていた人が「なぜ韓国はこれほど居丈高になったのか」と首を傾げるようになりました。

 この「早読み 深読み 朝鮮半島」は、そんな人たちが読みに来てくれています。日本人にとって韓国外交は「特殊な話」ではなくなったのです。

「もっと厳しく書け」

鈴置:韓国は李明博(イ・ミョンバク)政権末期から露骨な「卑日」政策を取り始めました。それまでの「反日」とは異なる、執拗な「卑日」に日本人は大いに驚きました(「これが『卑日』だったのか――」参照)。

 2013年2月にスタートした朴槿恵(パク・クンヘ)政権は「卑日」に加え「離米従中」も開始しました。同盟国である米国の要請を無視し、中国の言うなりに動くようになったのです。今や、米韓同盟が続いているのが不思議なくらいです。

坂巻:このコラムも「卑日」と「離米従中」が2枚看板です。読者の反応を見ると、ここ3年間で日本人の韓国観が急激に悪化したことが分かります。

鈴置:連載を始めた頃、「韓国とは歴史的な因縁があるのだから、もっと優しく書いたらどうか」と怒られたことがあります。先日、この人に会ったら「もっと韓国に厳しく書け。手加減するな」と言われました。

 180度の様変わりです。ほかにも同じ方向で変わった人が何人かいまして、多くが「リベラル」を自認していた人です。そもそも、優しくとか厳しくとか、感情で書いているわけではないのですが……。

坂巻:この連載は事実を淡々と深掘りするのがウリです。韓国への不信感や怒りが”リベラル”にも及んできたということでしょう。

3分の2が「韓国嫌い」に

鈴置:「日本人の韓国への嫌悪」は統計にもはっきりと表れています。グラフ1「韓国に対する親近感」をご覧下さい。毎年10月に内閣府が日本人に聞く世論調査「日本と諸外国との関係」の一部です。

グラフ1 韓国に対する親近感

Affection for South Korea

調査主体=内閣府/調査時期=毎年10月

※「親しみを感じる」は「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の小計、「親しみを感じない」は「親しみを感じない」「どちらかというと親しみを感じない」の小計

 2014年の調査では「親しみを感じる」が31.5%で、1976年に調査が始まって以来の最低を記録しました。それまでの過去最低だった1996年の35.8%と比べても大幅に低い数字です。

 一方「親しみを感じない」は66.4%。「韓国嫌い」の日本人が3分の2を占めるまでに増えたのです。これまた過去最高で、1996年の60.0%を大きく引き離しています。

 韓国専門家の中には「今の対韓感情は1965年の国交正常化以来、最悪だ」と語る人もいれば「金大中(キム・デジュン)事件(1973年)当時の方が悪かった」と言う人もいます。

 残念ながら内閣府のこの調査は1978年に始まったので、どちらが正しいかデータ的な判断はつきません。

 なお、1996年に対韓感情が悪化したのは、前年の1995年11月14日に、金泳三(キム・ヨンサム)大統領が「日本の腐った根性を叩き直してやる」と語ったためです。訪韓した江沢民主席との共同会見の席での発言で、文字通り、中国の威を借りたものでした。

一時は好感度国になったのに

 しかし21世紀に入ると対韓感情は改善しました。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代にやや悪化したものの、2009年には「親しみを感じる」が66.5%にまで上昇しています。「韓流ブーム」の影響です。

 グラフ2の「日韓関係」に関する意識調査も、ほぼ同じ傾向でアップダウンを示しています。

グラフ2 現在の日本と韓国との関係

Relationship with South Korea

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調査主体=内閣府/調査時期=毎年10月

※「良好だと思う」は「良好だと思う」「まあ良好だと思う」の小計、「良好だと思わない」は「良好だと思わない」「あまり良好だと思わない」の小計

(注)2013年10月調査までは、調査票の選択肢に「一概にいえない」が明示的に入っていないため、2014年10月調査

 この調査では、内閣府は発表したグラフに2014年の結果を入れていません。同年から「一概にいえない」との回答を明示的に含めたため「それまでと単純比較しない」との理由です。

 そこを敢えて比べれば2014年の「良好だと思う」は12.2%。前年の21.1%から大きく落ちて、過去最低になっています。2014年の「良好だと思わない」は77.2%で前年の76.0%からわずかですが増えています。

坂巻:いずれの調査を見ても、2012年から急激に日本人は「韓国嫌い」になり「日韓関係は悪い」との認識が一般的になりましたね。

竹島が悪化の原点

鈴置:李明博大統領の突然の「卑日」攻勢が原因です。まず、大統領は2012年8月10日に竹島に上陸しました。

 4日後の8月14日には「(天皇は)独立運動家がすべてこの世を去る前に心から謝罪すべきだ。痛惜の念という単語ひとつで訪ねてくるなら(訪韓は)必要ない」と語りました。

 「竹島」より、天皇への謝罪要求の方がより大きな怒りを呼んだ、と見る人もいます。どちらにせよ日本人は、李明博大統領の言動からそれまでの「反日」とは違う何かを感じ取ったのです。

 前者は「両国とも領有権は主張するが、現状には手を触れない」との、いわゆる竹島密約を完全に反故にするものだったからです。

 韓国は金泳三政権時代から竹島での施設を建設するなど約束を破り始めていました。しかし、大統領の訪問は避けていました。そこまでやったら日本が本気で怒るとの懸念からでした。

 後者の天皇への謝罪要求も同様で、一線を超えたものでした。メディアはともかく、韓国政府は「ちゃんと謝るなら来てもいいぞ」などと失礼な言い方はそれまではしませんでした。

 日本を貶めて快哉を叫ぶ「卑日」がこの時点から本格化しました。表「韓国の主な『卑日』」をご覧下さい。主に韓国政府主導の「卑日」を収録しました。これ以外に「旭日旗への糾弾運動」など、表面的には民間有志による卑日行動も始まっています。

韓国の主な「卑日」

「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。

心底驚いた告げ口外交

坂巻:李明博政権末期の慰安婦への謝罪要求は唐突で、「国交回復時の日韓基本条約で解決済みなのに……」と怪訝に思った人が多かったのではないでしょうか。

鈴置:「慰安婦」は宮沢内閣の時にも韓国が騒ぎ、もめています。その時に明らかな決着がついたと日本人は考えていましたしね。

坂巻:それでも「韓国の政権が末期に国内の支持をつなぎとめるためにいわゆる反日カードを切るのは、これまでもあったこと」と比較的冷静に捉えていた日本人が多かったと思います。

 しかし、次の朴槿恵大統領は就任するや、いきなり「千年恨む」――厳密には「千年たっても加害者と被害者の関係は変わらない」と言い放ち「慰安婦で謝らないと日本と首脳会談はしない」と宣言。そのうえ世界中で「日本は悪いことばかりして謝らない」と悪口を言って歩き始めた。

鈴置:日本人はこの告げ口外交には心底、驚きました。おかげで朴槿恵大統領の就任以降、講演の依頼がぐんと増えました。

坂巻:この連載の読者も増えました。さて、日本人が「韓国は常識外れのことをするなあ」と首を傾げていたところに「明治の産業革命遺産」問題。これが最後のひと押しになりました。

 日本の産業遺産登録に執拗に反対するのを見て、外交には無関心だった人や「韓国とは仲良くすべきだ」と言っていた人も「さすがにおかしい」と感じるようになった。

 「韓国は国を挙げて日本の足を引っ張る国」との認識がこの時点で定着したと思います。

「産業遺産」が最後の一撃に

鈴置:確かに、あの事件を機に韓国に見切りを付けた人が私の周辺にもいます。ことに、直前の日韓外相会談で「日本の産業遺産登録で手打ち」したのに登録を決める世界遺産委員会で韓国は合意を破り、反対したのが効きました。

 泡を食った日本は「第2の河野談話」とも言える不利な文言を公式記録に残さざるを得ませんでした(「『世界遺産で勝った』韓国が次に狙うのは……」参照)。

 当然予想される韓国のトリックを考慮し、合意をきちんと詰めておかなかった日本の外務省の能力はさておき、韓国という国への不信感が日本の指導層から普通の人にまで染み渡りました。

 なお、この事件の直後に日本のある外交官が「産業遺産を巡る韓国との交渉にはアジア専門家は一切関与しなかった。文化の専門家が担当したから……」と語りました。

 専門家ならともかく、普通の外交官には韓国という国の不実さは想像もできない、との言い訳です。韓国専門家なら騙されなかったかは保証の限りではありませんが。

坂巻:「産業遺産」の前と後、と区分できるほど日本人の対韓嫌悪感は高まりました。

鈴置:嫌悪感は「卑日」による部分が多いのか、それとも「離米従中」から来るものが大きいのか、どちらと思いますか。

「対馬で守り切ろう」

坂巻:一般的には、「卑日」によって韓国に嫌悪感を持った人が多いのではないでしょうか。あからさまに自分たちに向けられた「悪意」に反応した結果だと思います。

 他方、「離米従中」は直接的な嫌悪感につながるというより、日本への切実な影響が懸念される問題と捉えられています。

 後者に関連し、この連載のコメント欄にも「韓国が中国側に行くとなると対馬が最前線だ。中国に対してしっかりと備えるべきだ」などと書き込む読者が増えています。

鈴置:「対馬が最前線」とは。日本人は元が高麗を道案内に攻めて来た元寇を思い出しているのですね。

坂巻:コメントを書いてくれる読者は安全保障などに関心が高い人が多いと思われます。それに加え、9月3日の北京での抗日式典です。朴槿恵大統領が米国の反対を押し切って参加したことが「離米従中」の動きが”ホンモノ”であるとの認識を決定的にしました。

 「韓国は『帰らざる橋』を渡る」でもこの写真を使いましたが、朴槿恵大統領が天安門の上で習近平主席やプーチン大統領と並んだ光景を見て「警戒すべき韓国」を実感した人が多かったでしょう。

もう、韓国とは関わらない

鈴置:天安門楼上のスリーショット画像は大きなインパクトがありました。それまで韓国人は「『中国傾斜』は誤解だ」「『離米従中』は日本人の作った陰謀史観だ」などと日本人に言ってきました。

 しかし「天安門事件」後、そう言い張らざるを得ない韓国人を、日本人は冷ややかな目で見るようになりました。

坂巻:コメントを読んでいて興味深いのは、嫌悪感を表明しながらも韓国に攻撃的になるのではなく「中国側に行きたいなら行かせよう」「韓国にはもう関わり合いにならないでおこう」といった意見が増えていることです。

鈴置:韓国との絶交論ですね。そうした考え方が主流になっていくのでしょう。いくら謝っても韓国は「謝罪の仕方が悪かった」と蒸し返してくる。

 ことに最近は新しいネタを探しては世界で「卑日」を繰り広げる。この連載で繰り返し申し上げたように、上から目線で日本を貶める「卑日」には限度というものがありません(「目下の日本からはドルは借りない」参照)。

 そして終わりのない「卑日」の結果、日本人の韓国嫌いは、流行りの言葉を使えば「ニューノーマル(新常態)」になったのです。

 150回の連載を振り返りながら、坂巻正伸・日経ビジネス副編集長と日本の「離韓」を先読みした。

絶交論の台頭

坂巻:前回は韓国の卑日攻勢に嫌気した日本人が「韓国は無視しよう」と言い出したという話で終わりました。

鈴置:絶交論です。今後、そうした考え方が定着していくのでしょう。日本人の韓国への不信感は根深い。近い将来にそれが解消されるとは考えにくい。

 表「韓国の主な『卑日』」や「『安倍演説阻止』に向けた韓国の動き」を見ると、日本の足を引っ張るために韓国がどれだけ執拗に動いてきたかが、よく分かります。

韓国の主な「卑日」

「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。

「安倍演説阻止」に向けた韓国の動き(2015年)

2月14日 聯合ニュース「在米韓国人、安倍首相の議会演説阻止に動く」と報道
3月4日 訪米した韓国国会の鄭義和議長、安倍首相の米議会演説に関し米下院議長に「日本の真の謝罪と行動が必要」
3月19日 聯合ニュース「米議会、安倍総理の上下院合同演説を許可する方向」と報道
3月20日 韓国外務省「安倍首相は米議会演説で歴史への省察を示すべきだ」
3月29日 韓国の尹炳世外相「安倍首相の米議会演説と70年談話が日本の歴史認識の試金石になる」
4月2日 鄭議長、訪韓した民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務に「日本の首相は米議会演説で過去を認め謝罪すべきだ」
4月2日 尹外相、ペロシ総務に「安倍演説は侵略、植民地支配、慰安婦に関しすでに認めた立場を具体的な表現で触れねばならない」
4月2日 朴槿恵大統領、ペロシ総務に「慰安婦問題の解決は急務」
4月16日 日米韓外務次官協議で韓国の趙太庸第1次官「安倍演説は正しい歴史認識を基に」と注文
4月21日 韓国国会の羅卿瑗・外交統一委員長、リッパート駐韓米大使に安倍首相の歴史認識について懸念表明
4月21日 WSJ「韓国政府が安倍首相の米議会演説に韓国の主張を反映させるべく米広報会社と契約」
4月22日 韓国の柳興洙駐日大使、戦後70年談話で「(侵略、植民地支配、反省の)3つの言葉を使うよう期待」
4月22日 韓国外務省、バンドン会議での安倍演説に関し「植民地支配と侵略への謝罪と反省がなかったことが遺憾」
4月23日 米下院議員25人「安倍首相が訪米中に歴史問題に言及し、村山・河野両談話を再確認する」ことを促す書簡送る
4月23日 韓国系と中国系の団体、元慰安婦とともに米議会内で会見し「安倍首相は演説で謝罪を」と要求
4月24日 韓国外交部「尹外相とケリー米国務長官が電話、歴史対立を癒す努力で一致」と発表
4月24日 ブラジル訪問中の朴大統領「日本に、正しい歴史認識を基にした誠意ある行動を期待」
4月24日 ローズ米大統領副補佐官「安倍首相に対し、過去の談話と合致し、地域の緊張を和らげるよう働きかけている」
4月24日 メディロス米NSCアジア部長「歴史問題は最終解決に達するよう取り組むことが重要」
4月28日 安倍首相、ワシントンでオバマ首相と会談
4月29日 安倍首相、米上下両院で議会演説。日米同盟の強化を訴え万雷の拍手受ける

日本も米国も「韓国疲れ」

坂巻:ちなみに「早読み 深読み 朝鮮半島」連載の中で、読者から「とても参考になった」との評価が目立って多かった回は「これが『卑日』だったのか――」でした。韓国の「卑日」にいかに日本人が驚き、あきれたかの証拠と思います。

鈴置:日本人は卑日攻勢をかけてくる韓国と付き合うのには疲れ果てました。ちなみに米国の外交界も、韓国人がやって来ては「卑日」に加わるよう要求するので「韓国疲れ」(Korea Fatigue)に陥りました(「米国の『うんざり』が嫌韓に変わる時」参照)。

坂巻:鈴置さんの近著 『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』のオビのフレーズを「『終わりなき反日』に世界が疲れている」としました。でもより正確に言えば「卑日に世界が疲れている」のですね。

 そこで質問です。韓国人はそれに――「他者を疲れさせている」ことに気づいているのでしょうか。

「俺に疲れてなんかいないだろ?」

鈴置:さほど気にしていないと思います。天動説の人たちですから。米国の外交界で「韓国疲れ(Korea Fatigue)」という単語が語られた2015年春のことです。

 わざわざ米国の識者に「我が国に疲れたか」と聞いた韓国の有力記者がいます。そして「そんなことはない」との答えを貰い、大喜びで「米国人は疲れていない。『韓国疲れ』なんて大嘘だ」と書いていました。

 「ええ、あなたには疲れています」と面と向かって答える人は、世の中にあまりいないと思うのですが。ことに激情的な韓国人に向かって……。

坂巻:「米国が日本の肩ばかり持つ」と怒った韓国人が、駐米大使襲撃事件も起こしましたしね。

鈴置:もう1つ、韓国人が気がついていないことがあります。「韓国が中国ブロックに引っ越し始めた」と見切った日本は、韓国を相手にしなくなった。しかし韓国は見切られ、無視され始めたことに気づいていないのです。

坂巻:読者の多くも日本の韓国無視――「離韓」には拍手しているようです。まさにそれを描いた「『韓国外し』に乗り出した安倍政権」にも「とても参考になった」との評価が多数、寄せられました。

「慰安婦」でも中韓共闘

鈴置:今までなら韓国が少々不愉快なことをしてきても、お互い米国を軸とする「海洋同盟」に属していましたから、日本人は「安全保障のためにも、ここは謝っておこう」と考えもしました。

 でも、韓国は「中国側の国」になり始めたのです。謝る必要がなくなったどころではなく、下手に謝罪すると、仮想敵たる中国の新たな対日攻撃の材料を作ってしまうのです。

 典型的な例が「慰安婦」です。韓国は中国と共闘体制を組みました。2014年12月15日の聯合ニュース(日本語版)は「韓中政府系機関 慰安婦問題共同研究へ=MOU締結」で「従軍慰安婦で中韓両国政府は共同研究する」との覚書を結んだと報じています。

 2015年8月18日、中央日報(日本語版)は「韓国女性2000人一度に徴用…日本軍、料理店とだまし慰安婦強要」で以下のように報じました。

中国黒龍江省档案局(記録保管所)は当時の満州国の慰安婦関連文献を公開、1941年10月、日本軍が牡丹江省綏陽県に軍慰安所を開設し、韓国人女性数十人を慰安婦として強制的に働かせていたと明らかにした。

文献には、日本の国境警察隊の隊長が慰安婦について「韓国から強制徴用した2000人余りのうちの一部」と説明したとの記載もある。

 ”共同研究”の成果がさっそく出てきたわけです。2015年9月22日にはサンフランシスコ市議会で「慰安婦碑または像の設置を支持する決議案」の採決が行われ、全会一致で採択されました。運動の中心となったのは中国系団体です。

日米離間の戦略兵器

坂巻:完全な中韓共闘体制ですね。最近の韓国紙や日本の新聞は、朴槿恵(パク・クンヘ)政権が対日強硬路線の修正に動きそうだ、と報じていますが……。

鈴置:米国に怒られないよう、「強硬路線をやめたふり」をするということでしょう。先ほど見たように韓国は中国との協力を強化し、ますます「卑日」に邁進しています。米国の威を借りて日本を叩くのに失敗したので、今度は中国の威を借りて日本叩きに全力を挙げているのです。

 そもそも”慰安婦の共同研究”は2014年7月の中韓首脳会談で合意されたものです。トップ同士の約束で始まったものが、簡単に止むわけもないのです。仮に韓国が共闘をやめたくとも中国が許さないでしょう。

 中国にとって「歴史カード」は日米離間のための貴重な戦略兵器です。ことに韓国を操り人形にしてこのカードを使うと、米国のアジアの同盟ネットワークに大きな打撃を与えられます。

 韓国に「悪行を悔い改めない日本」を言い立てさせ、米国内で日本との同盟強化は危険なものとのムードを作る。すると日米はもちろん日韓、ひいては米韓関係も揺さぶることができるのです。

坂巻:10月9日の「南京事件の世界記憶遺産登録」も、中国に新たな卑日カードを与えることになりました。

「中国側に行くぞ」と脅す韓国人

鈴置:そのユネスコの「記憶遺産」でも中韓共闘が始まりそうです。聯合ニュースは「世界記憶遺産への『慰安婦』登録 中国が韓国と協力の可能性」(10月12日、日本語版)で、そう報じています。

坂巻:こうした中韓共闘は何とも厄介ですが、もはや現実には止められない。そんな状況下「中国側に行きたいなら行かせよう」「韓国にはこれ以上、関わり合いにならないでおこう」といった読者の意見が増えています。

鈴置:ほんの数年前までなら、そうした意見は大人げない、幼稚なものと見なされかねませんでした。「ここはひとつ、日本が譲って謝っておくべきだ。韓国をなだめれば中国側に行くのを引き止められるから」といった”大人の判断”からです。

 実際、今回の「慰安婦」問題の初期には――2014年ごろまでは「日本が韓国の言うことを聞かないと、中国側に行くぞ」と脅してくる韓国の学者がいました。それを受け売りする日本の専門家も相当数いました。

 しかしもう、普通の日本人はその虚構を見破ってしまいました。韓国の行動を見れば「中国側に行く」どころか、初めから「中国側の国」なのが明らかになったからです。中国の言いなりになって、韓国を守っている米国の要請さえ無視するのですから(「米中星取表」参照)。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年10月15日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

 韓国人は「同じ被害者だから中国と共闘するのだ。日本にすべての責任がある」とも言い張ります。ではなぜ、米国が中国を抑え込んでいた間は中韓共闘を避けていたのだろうか――と首を傾げる日本人が出てきました。

 講演すると、聴衆からこんな質問が出るようになりました。韓国の、強い方に付く機会主義や、その手法たる「離米従中」を日本人も知ったのです。「韓国は中国の手先だ」とばれてしまったのです。

韓国は必要な国か

坂巻:その結果「韓国は無視しよう」との読者コメントが溢れかえるようになったのですね。読者を代表して質問です。日本にとって韓国は不可欠な国なのでしょうか。

鈴置:それは日本人のハラのくくり方にかかっています。もちろん、朝鮮半島は日本の安全保障に直結しています。

 大陸の大国である中国、ロシアが南進する時は必ずこの半島を確保します。膨張する大陸勢力に備える際、半島にどう対するか、が重要になるのです。

 これは中国人ら大陸の人々にとっても同じことです。彼らは「海洋勢力が攻めて来る時は、必ず半島を通路にする」と警戒しています。

 公平を期すため、韓国の知識人がしばしば以下のようにこぼすことも語っておかねばなりません。

我々は半島という「廊下」に国を建てている。ここで寝ていると大陸の連中、あるいは海洋の連中が我々の頭を踏んで行き来する。はなはだ迷惑である。

 いずれにせよ、19世紀末から20世紀初めにかけての日清、日露の両戦争は日本が大陸勢力の南進を防ぐために、朝鮮半島を確保する戦いでした。

 ただ朝鮮半島を我がものとすれば、それを守るために満洲が欲しくなる。満洲を得れば当然、中国が反発する。中国と紛争を起こした結果、米国や一時期は同盟国だった英国とも戦争する羽目に陥った。これがその後の歴史でした。

戦前の轍を踏むな

坂巻:まさに今、膨張する中国が韓国をのみ込もうとしている。北朝鮮に対しても、10月10日の労働党創建70周年の軍事パレードには、共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員を送るなど睨みを利かす。中国の朝鮮半島へのコミットがこれまで以上に深まれば、日本も傍観しているわけにはいかない……。

鈴置:だけど今度は戦前の轍を踏んではいけない。半島を含め、アジア大陸に一歩、足を踏み入れれば泥沼に落ち込む――と日本人は暗黙裡に合意していると私は思います。

 前回、坂巻デスクが指摘した「対馬が最前線だ。ここで日本を守り切ろう」といった読者のコメントが増えているのがその証拠です。

 日常的な会話でも「日本は大陸に関与して失敗した。今度は距離をとって対応しよう」などと語られるようになっています。

 渡辺利夫・拓殖大学総長が『新脱亜論』で興味深いエピソードを紹介しておられます。宮沢喜一内閣当時の話といいますから、1990年代前半のことです。

アジア太平洋問題に関する首相の私的懇談会が設置され、私も委員の一人に指名された。第一回の懇談会のゲストスピーカーとして梅棹忠夫氏が出席した。「日本が大陸アジアと付き合ってろくなことはない、というのが私の今日の話の結論です」と話を切り出して、委員全員が呆気に取られるというシチュエーションを私は鮮明に記憶している(272ページ)。

脱亜論と新・脱亜論

 さすがに『文明の生態史観』を書いた梅棹忠夫氏です。1990年当時の日本は「アジアの時代」という言葉が流行っていました。米国との通商摩擦に疲れ果て「脱米入亜」に期待する空気も濃かった。

 一方、改革開放政策を採用し市場経済を導入したばかりの中国はお手本として、あるいは援助の源泉として日本をおだて上げていました。今の若い人には想像できないほどに、日中は蜜月時代だったのです。

 そんな時に「大陸アジアと付き合ってろくなことはない」と言い切るのは、よほどの確信が要ります。

坂巻:古くは福沢諭吉が『脱亜論』で示した「大陸とは距離を置く」という考え方。四半世紀前にも政権に近いところで主張されていたのですね。読者コメントでも『脱亜論』に言及する人が増えています。

鈴置:その、日本の未来を見据えた貴重な識見はせっかく「政権に近いところで主張された」というのに、傾聴されなかったようです。韓国、そして今や中国までが「慰安婦の強制性を日本が認めた証拠」として対日攻撃に活用する「河野談話」。あれは宮沢内閣の時に出されたのです。

中国とは手を携えやっていける

坂巻:……そうでした。思わず腕組みしてしまいますね。では「海洋勢力国家として生きよ」と主張する渡辺利夫先生の『新脱亜論』が出版されたのは、いつですか。

鈴置:2008年5月です。まだ、公式には中国が姿勢を低くし、強くなるのを待つ――「韜光養晦」(とうこうようかい)路線を掲げていた最後の時期です。

 すでに南シナ海では露骨な膨張主義に乗り出していましたが、尖閣諸島など東シナ海では爪を隠していました。だから日本では「中国とは手を携えてやっていけるし、そうすべきだ」との考え方が主流だったのです。

 当時は日米FTA(自由貿易協定)よりも日中韓FTAの方が現実味を帯びて語られていました。そんな中、この本は「反中本」として受け止められたりもしました。今では「その通り!」と思う人が多いでしょうが。

海洋国家として生きよう

 渡辺利夫先生は「梅棹忠夫氏の”不規則発言”」を紹介した後に、以下のように書いています。

日本はこの戦い(日清、日露の両戦争)に勝利して後に中国に攻め入り、協調と同盟の関係を築くべき「海洋勢力」イギリスとの関係を放擲させられ、もう一つの巨大な海の「島」アメリカと対決して自滅した(272ページ)。

東アジア共同体に日本が加わって「大陸勢力」中国と連携し、日米の距離を遠くすることは、日本の近代史の失敗を繰り返すことにならないか。私が危惧しているのはこのことである。日米同盟を基軸とし、台湾、東南アジア、インド、さらにこれにオーストラリア、ニュージーランドを加え、これらがユーラシア大陸を牽制しながらみずからの生存と繁栄を図るという生き方が賢明な選択であることを、日本の近代史の成功と失敗は教えていると私は思うのである(272、273ページ)。

 中国の拡張主義により大陸勢力と海洋勢力が対立を深めています。日本が海洋国家として生きていくのなら「大陸側の国になりつつある韓国」と距離を置くのは自然な話なのです。

異なる道を歩き始めた日韓

坂巻:10月5日、日本は米国や「海のアジア諸国」とTPP(環太平洋経済連携協定)に合意しました。7年前の渡辺利夫先生の構想通り”中国牽制同盟”が動き始めました。

鈴置:その少し前、日本は9月19日には安全保障関連法を成立させ、米国との軍事同盟の強化を鮮明にしました。これに対し韓国は、中国と声を合わせて懸念を表明しました。

 さらに韓国は抗日式典に参加したうえ、TPPという”中国牽制同盟”に入りませんでした。もちろん中国の顔色を見てのことです。

 2015年秋は、日韓が全く異なる道――海洋国家と大陸国家――を歩き始めた瞬間として記憶されるでしょう。

坂巻:読者も――日本人も「対馬で守り切る」ハラを固めることになるのでしょうね。さて次の注目は、10月16日の米韓首脳会談です。

鈴置:次回、読み解きます。

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