『「一つの中国」で習近平氏に足をすくわれた馬英九氏 「一つの中国」をめぐる中国と台湾の攻防(3)』(9/24日経ビジネス 森 永輔)について

9/24 Save America<The Truth About the Arizona Audit>

https://www.donaldjtrump.com/news/news-cft6dejvzf0

9/25The Gateway Pundit<Not Making Headlines… AZ Forensic Audit Summary Money Quote: “Election Should Not Be Certified” and “57,734 Ballots with Known Issues – 6 Times Margin of Victory”>

https://www.thegatewaypundit.com/2021/09/not-making-headlines-az-forensic-audit-summary-money-quote-57734-ballots-known-issues-6-times-margin-victory-election-not-certified/

9/25The Gateway Pundit<They’re On the Other Side: GOP Totally Ignores AZ Forensic Audit that Found State of Arizona NEVER Should Have Been Certified>

https://www.thegatewaypundit.com/2021/09/side-gop-totally-ignores-az-forensic-audit-found-state-arizona-never-certified/

9/25The Gateway Pundit<New Poll: Trump Decisively Beats Biden And Harris In 2024>

まあ、保守派メデイアと左翼メデイアでは違いがあるでしょう。左翼メデイアは操作が疑われる。

https://www.thegatewaypundit.com/2021/09/new-poll-trump-decisively-beats-biden-harris-2024/

9/25The Gateway Pundit<IT WAS A SETUP! FBI Admits Jan. 6 Was Deep State Operation – They Were Running At Least One Operative in the Crowd at the US Capitol (VIDEO)>

DC警察だけでなくFBIも煽った口か?

https://www.thegatewaypundit.com/2021/09/setup-fbi-admits-jan-6-deep-state-operation-one-first-inside-capitol-fbi-operative-video/

9/25阿波羅新聞網<今日美国报:拜登民调下跌 民主党极可能在2022年期中选举失去参众两院多数优势=USA Today:バイデンの支持率が減少 民主党は2022年の中間選挙で上院と下院の多数を失う可能性が非常に高い>Gallupと非営利団体Pew Research Centerによる最新の世論調査によると、53%もの国民がバイデンの執政実績に不満を持っている。報道は、世論調査の支持率が下がると同時に、バイデンの社会のセーフティネット法案と気候変動防止法案が民主党中間派と進歩派の間の意見の相違のために難産となったと指摘した。後わずか14か月で、民主党は2022年の中間選挙で上院と下院で多数を失う可能性がある。

1.デルタバリアントウイルスが猛威を振るっている

2.アフガニスタンの状況は急速に悪化している

3.米国南部国境での不法移民の不安

4.国民の経済についてのますますの心配

5.党派間の深刻な対立が執政ハネムーン期間を短縮した

バイデンの実績評価はこんなものでは収まらないと思いますが?

https://www.aboluowang.com/2021/0925/1651419.html

9/25阿波羅新聞網<惨!习近平先被越共打脸!再被政敌打脸!【阿波罗网报道】=惨め!習近平は先ずベトナム共産党に顔を殴られた!次に政敵に平手打ちされる! 【アポロネット報道】>アポロ秦瑞記者の報道:9/24、習近平はベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と電話をしたが、両党の喉と舌の報道には重要だが、微妙な違いがあった。江沢民・曽慶紅派の「多維ネット」は習近平に対して再び攻撃できる「絶好のチャンス」を得た。

習近平は「共産党の統治の安全と社会主義制度の安全を守ることは、中国とベトナム両方の最も基本的な共通の戦略的利益である」と強調したが、ベトナム共産党はそれを最終的に削除して発表しなかった。

「多維ネット」は、「・・・この種のより激しい警告は、ベトナムの第13回全国大会後と比較して・・・良い関係と思われる情勢に冷水を浴びせただけに止まらない」と。

越中は同じ共産主義国とは言え、領土領海紛争中です。

https://www.aboluowang.com/2021/0925/1651483.html

9/25阿波羅新聞網<学者:中共常委王沪宁现状被曝光=学者:中共常務委員・王滬寧の現状が暴露される>中共中央政治局常務委員の王滬寧は、今月初めから公の活動を行っていない。これは、李光満の重大な革命の文章が国内外で大きな論争を引き起こした時期と一致している。外界はこれで王滬寧の身分が変わるかどうかを注目している。 9/24、政治経済学者の陳破空はある報道に基づいて、黄坤明の2つの新しい任務は、王滬寧が習近平の信頼を失った可能性があると推測した。

北京に本部を置く「多維ネット」は23日、中共中央宣伝部長である黄坤明を紹介する記事を発表した。

記事は、北京は中共の政治認識を強化するために、建党100年を利用して党史教育を実施し、2月以降、黄坤明を中心とする党史研究教育の指導的グループが設立され、このグループは、指導と研究を行うために、各地や各職場に数十名からなる中央指導組を派遣し、同時に、各省・市は、中央と同様の研究グループの設立に動いていることを明らかにした。

陳破空は最新の生放送番組で次のように述べた:省・市によって設立された党史研究グループは、グループリーダーとして往々にやり手が率いることが多い。この役割は、黄坤明の地位を高めた。中央クラスのグループ長と言うのは、少なくとも政治局常務委員がなるはずで、これは王滬寧の役割を置き換えることに相当する。なぜなら、この役割はもともと王滬寧が担当すべきものだからである。

「多維ネット」はまた、中共が11月の六中全会で、3回目の「歴史的決議」を発表する可能性があり、これは「非常に厄介で物議を醸す」政治任務であり、黄坤明は重大な役割を果たす使命を帯びていると述べた。

陳破空は、常識によれば、3回目の「歴史的決議」は重大で、中共常務委員の王滬寧が監督すべきだと考えているが、この記事は、黄坤明が実施することを明らかにしており、王滬寧についての言及はなく、王が排斥されたことを示している。

陳破空は、「多維ネット」の黄坤明の表面的な紹介記事は、王滬寧が落魄したものと考えている。

王滬寧は3代の書記長に仕えたがいよいよ危なくなったか?でも誰が思想の理論面での統制をするのか?

https://www.aboluowang.com/2021/0925/1651558.html

9/25阿波羅新聞網<著名教授许子东复旦《白鹿原》讲座遭学生举报=有名教授の許子東は復旦大学での「白鹿原」(中国の小説、TV劇)講義が学生から通報>

密告者-我々の周りに潜んでいる幽霊である! !

成都の女子大生が食堂に行ったところ、食事カードを持ってこなかったので、WeChatを使って食堂のおばさんに支払い、後にこのおばさんを通報した。学校食堂では食事カードしか使えないと規定されているため、他の支払いでは罰金が科せられる。おばさんは2万元の罰金を科され、女子大生は2千元の報酬を受け取った。もともとおばさんは優しさから彼女に便宜を図ったが、彼女は不満を以て徳に報い、インターネットを騒がせた。今日は、密告者の恥知らずで卑劣な人間性と、密告者の悪名高い幽霊についてお話する。

密告は、人間性の深いところで最も卑劣な品位である。私は密告者が嫌いで、私の最初の記憶は小学校の2年生のときである。同級生が先生から廊下に立つよう罰せられ、寒い冬の湘北は骨を刺す寒さで、同級生はとても寒くて鼻水が出ていた。私は彼に休憩を取るように言い、彼を助けるため教員室の見張りをした。この男は休憩が終わった後、先生に告げ口し、私が彼に罰に従わないように勧めたと言った。

先生はとても怒り、この男をほめたたえる代わりに、私に2時間立つように言った。今回は学校のグランドの雪の中に立たされ、雪だるまのように凍え、母がアイスキャンディーのようになった自分を抱きかかえて家に連れ帰った。布団にくるまり、体が温まるのに長い時間がかかった。この事件の後、私はとても小さかったので、長い間影を持った。私は誰にも真実を話すことを敢えてせず、いつも疑っていた。

私は大人になって、道理を理解してから気付いた:密告はほとんどの人が軽蔑する行為であるが、何千年もの間、翼のある疫病のように中国の地を虐め、無数の人々の体と心を傷つけ、拷問していると。これは密告者にとって天国であり、楽園で、密告は群衆にとって消えることのない悪夢になっている。

密告の幽霊は今でも我々の周りを徘徊している。その理由は主に2つの側面にあると思う:1つは、多くの地で依然として密告を奨励し、密告者に報いることである。もう1つは、「人を知る」という教育はまだ受けておらず、公私の境界を理解し、区別することがまだできていない。

密告者は地獄の最深部に生きることだけが適している。密告の伝統がある場所で、誰もが独立して調べることができることを願っている。密告者には立場も未来もないので、人間性の基本を失わないでほしい。彼らは人間性を放棄し、メリットと報酬があるだけ。これは唾棄すべき最も卑劣な品位であり、この種の人の最終帰着地は地獄である!

下の写真のように9/24に女子学生が映像を撮り、授業停止を求めて、規律検査委員会に通報しようとしたが、密告者は復旦大学の行政の先生とのこと。

社会主義や共産主義には密告奨励が当然のように付きまといます。また秘密警察も。

https://www.aboluowang.com/2021/0925/1651577.html

何清漣 @ HeQinglian 23時間

バイデン・習の電話会談の後、バイデンは習によって与えられた宿題を完了させている。

孟晩舟が釈放されようとしている。

米国商務長官:中国とのビジネスの繋がりを強化する意向だが、華為を「セキュリティの脅威」と見なしている。

https://rfi.my/7m5V.T@RFI_TradCn経由

中国市場の規模を考えると、米国は中国と貿易しなければならない。

習近平は、ワシントンの気候問題を満足させるために、節電し、CO2排出量を削減する。

この電話会議は作用を及ぼしている。

何清漣 @ HeQinglian 23時間

水曜日に議会指導者に宛てた書簡の中で、米国財務長官のジャネット・イエレンは、現金が使い果たされる時間の「具体的な推定」を出すことはできなかったが、「最も可能性の高い結果」は、10月に「枯渇」するだろうと財務長官が述べた。現在、バイデン政権は債務不履行の可能性についてますます懸念しており、議会が債務上限を引き上げることを望んでいる。

イエレンは、米国財務省が10月に現金を使い果たす可能性があると警告した。

早ければ来月にも米国のソブリン債危機のリスクが高まることで、バイデンは今後数週間で議会に数兆ドルの経済アジェンダを通過させねばならず、努力はさらに複雑になった。

ftchinese.com

何清漣 @ HeQinglian 10時間

バイデン・習電話会談後、2人の合意の結果が現れた:

習近平は節電し、CO2排出量を削減し、気候問題に協力して、バイデンと極左に大きな勝利を感じさせた。

米国は孟晩舟を釈放し、商務長官は中国との貿易関係を強化すると述べ(もちろん、関税の減免あり)、中国は実利を得た。

誰がもっとお金を稼ぐのか?中国人は新鮮な空気を吸い込んだことを忘れないでほしい(西側はそのように考える)、それは気候権の実施であると考えられている。

次はもっと出て来る。

何清漣さんがリツイート

蔡慎坤 @ cskun1989 10時間

左派メディアと民主党はそのような監査結果を無視した。民主党は、郵送投票の範囲を拡大し、2022年の中間選挙と2024年の大統領選挙に再び貢献するために、疫病が続くことを望んでいる。米国では、店舗の規模に関係なく、酒を購入するのに身分証を確認する必要があるが、民主党は選挙で身分証にて確認しないよう最善を尽くしている。なぜか?それは全面的な詐欺のためではないのか?詐欺で勝利した政党は、この詐欺の方法をさらに必死に維持するだけである。

引用ツイート

文婕 文婕播报  @ luUmJmrXVSBUXw 4 9月24日

アリゾナ州の選挙監査生放送のリンク。バイデンは州内でわずか10,000票の差で勝利し、20万もの疑わしい票を得た。州内の2人の女性共和党員であるカレンファンとウェンディロジャースの骨の折れる努力に駆り立てられて、法医学監査はついに報告書を出した。この邪悪な勢力との戦いの中で、勇敢でタフな女性が無数に現れ、私は彼らに敬意を表す!

https://azleg.gov/videoplayer/?clientID=6361162879&eventID=2021091005

何清漣 @ HeQinglian 4時間

左派の左傾は止まるところを知らず、常に左を向いてはまた左に行く。

私は今日教わった:一部の進歩的な米国の若者は、米国政治の場は完全に右派によって独占され、共和党は極右であり、民主党も右派であると考えている。

絶対に正しいこれらの革命的な若者たちが立ち上がり、彼らを甘やかし、愛し、彼らを利用する民主党を含むすべての右派を倒すことを願っている。

森氏の記事に関して、エドワード・ルトワック氏の『ラストエンペラー習近平』P.65に「米国の攻撃型原潜が3隻あれば台湾海峡の総ての艦船を撃沈できる。シュミレーションでは中国海軍が勝つことにしているが、原潜は戦力に入れていない。シュミレーションの目的は議会に予算を増やしてもらうためだから」とありました。

今度のAUKUSで豪州に原潜引き渡せば、台湾海峡の守りも完璧になります。兵頭二十八氏の『日本の武器で滅びる中華人民共和国』には「中国沿岸にアナログの沈底式機雷を設置すれば、海上封鎖できる」とあったと思います。自由主義国が一致団結して、共産中国の悪と立ち向かわなければ。

記事

2008年に就任した馬英九総統(当時)は中国との経済関係を深化させた。しかし、台湾アイデンティティーを強くした台湾の人々は過剰な対中接近を警戒。学生たちは「ひまわり学生運動」を起こして同総統に抗議した。続く蔡英文政権は、民進党の理念である独立を封印し、現状維持を貫く。しかし、同政権は「一つの中国」を否定。台湾世論も統一を拒否する。中国は「話し合い」による「平和的統一」から、「武力による威嚇」をてこにした「平和統一」にかじを切った。
東京外国語大学の小笠原欣幸教授に聞いた。(聞き手:森 永輔)

トップ会談の場で、馬英九総統は習近平国家主席に一本取られる失敗を犯した(写真:AP/アフロ)

—陳水扁氏の後を襲って、国民党の馬英九氏が2008年に総統の座に就きます。馬英九政権は、中国との関係を改善し、急速に拡大していた中国市場におけるビジネスチャンスを生かす方針を取りました。

小笠原欣幸・東京外国語大学教授(以下、小笠原):馬英九氏は、前任の国民党主席である連戦氏が2004年の総統選挙で陳水扁総統に敗退したのを重く受けとめ、国民党の理念である統一を封印し、現状維持の路線を選択しました。「統一も独立もしない」と公約し、2008年の総統選で当選を果たしたのです。統一志向の中国ナショナリズムを抑え、台湾アイデンティティーを重視したと評価できます。

台湾民衆の自己認識(2021年上)

出所:国立政治大学選挙研究センター

馬英九政権は「1992年コンセンサス」を基礎に中国との対話を再開し、中国との経済関係を深化させました。台湾と中国を結ぶ空路の定期直行便の就航を2008年中に実現。2010年6月には、中台間の自由貿易協定である「経済協力枠組み協定(ECFA)」を締結。対象品目の関税を引き下げました。台湾が、大中華経済圏の中で分業体制を担うことになったと見ることができるでしょう。

馬英九政権は「92年コンセンサス」を基礎に経済関係拡大

小笠原欣幸(おがさわら・よしゆき)
東京外国語大学教授。専門は比較政治学、台湾研究。1958年生まれ。1981年、一橋大学社会学部卒業。1986年、同大学大学院社会学研究科博士課程終了(社会学博士)。東京外国語大学の専任講師、助教授を経て、2020年から現職。この間に、英シェフィールド大学や台湾国立政治大学で客員教授を歴任。 主な著書に「中国の対台湾政策の展開―江沢民から胡錦濤へ」(『膨張する中国の対外関係』に収録)、『台湾総統選挙』など。 (写真:加藤康、以下同)

—「1992年コンセンサス」は、中国と台湾の窓口機関が「一つの中国」を口頭で認め合った、とされる合意ですね。「一つの中国」は中国大陸と台湾が中国に属する、との意味。中国は「一つの中国」を認めることを、中台間の話し合いを進める前提としています。

 ただし、「一つの中国」の内容について台湾と中国で立場が異なります。台湾側は「中華民国」であると主張。これに対して中国は「中華人民共和国」であると主張しました。

この相違をめぐって、台湾の国民党政権は「一つの中国の内容について、台湾と中国がそれぞれの主張を口頭で述べ合う」というコンセンサスができた、との立場を取ります。「一中各表」と呼ぶ立場です。これに対して中国は「一つの中国原則を口頭で確認した」との立場を取ります。

小笠原:「92年コンセンサス」と呼ばれるものの、1992年に中台間で発生したのは玉虫色の了解だったのです。実際に、江沢民政権は国民党の「一中各表」の立場を否定していました。ところが胡錦濤政権に代わって、中国は「一中各表を否定しない」方針に切り替えました。「92年コンセンサス」をめぐる立場の相違を棚上げすることで、中台間の対話の窓を開いたのです。

—中台経済関係の拡大は、台湾から中国への投資に顕著に表れています。陳水扁政権時代の2007年の時点で既に台湾の対外投資全体の60%を占めていました。2010年にはこの割合がさらに高まり、80%超に達しました。

親中シフトが「ひまわり学生運動」を呼ぶ

—この馬英九政権が2012年の総統選で再選し2期目に入ると、中国ナショナリズムに回帰する傾向を見せ始めました。

小笠原:馬英九政権は2期目に入ると、年金改革が滞るなど内政上の力不足が原因で、中間派からそっぽを向かれることになりました。そこで、国民党のコアの支持者で、統一志向の中国ナショナリズムを抱く層に政権の基盤をシフトしていったのです。

—陳水扁政権が、民進党の中間派にそっぽを向かれ、台湾ナショナリズムにシフトしたのと同じ構図ですね。

小笠原:おっしゃるとおりです。さらに、中国の習近平政権が、国民党内の中国ナショナリズム勢力をバックアップしました。この結果、中国の共産党政権との関係強化が、馬英九政権の政策アジェンダの中で順位を高めることになったのです。

—こうした馬英九政権の姿勢に対して台湾人が抱く不安と不満が、2014年3月に「ひまわり学生運動」として表れたのですね。

小笠原:そうです。馬英九政権は2013年6月に「両岸サービス貿易協定」を中国と締結しました。その批准をめぐる審議が立法院で進まないのに業を煮やした与党・国民党が強行採決で委員会審議を打ち切りにしたのを不満として、学生が立法院を占拠したのです

「中国に飲み込まれたくない」という学生たちの台湾アイデンティティーが表に出てくる事件でした。この学生の動きは社会全体に波及。この年の秋の統一地方選で国民党は大敗し、馬英九総統(当時)は同党主席を辞任せざるを得なくなりました。

巻き返し策の馬・習トップ会談で足をすくわれる

巻き返しを図りたい馬英九総統が力を入れたのが習近平国家主席とのトップ会談(馬・習会談)です。中台分離以降、両岸のトップ同士が会談したことはありませんでした。実現すれば、馬英九総統のレガシーにできるわけです。2016年に総統選を控えており、ボロボロ状態の国民党は巻き返しの材料が欲しかった。馬英九総統個人としても、退任を前に国際的なスポットライトの当たる舞台を望んでいました。

この会談は2015年にシンガポールで実現しました。ただし、馬英九総統が思い描いたものにはならなかった。まず、習近平国家主席がコントロールするものになりました。中国側は2014年にこの会談の予定をいったんキャンセル。その後、2015年になって、総統選を控える馬英九政権に恩を売るかたちで実現したのです。

さらに、トップ会談の場で馬英九総統は習近平国家主席に一本取られる失敗を犯してしまいました。

馬英九総統は、中国が主張する「一つの中国」を事実上認めてしまったのです。馬英九総統が会談冒頭で行う演説の原稿は、「92年コンセンサス」のくだりで一中各表に言及していました。しかし、同総統は演説の中で「各表」に触れなかったのです。国民党政権が「各表」を守り通せないことを露呈してしまいました。

中国が「一つの中国」原則という場合、「原則」の部分に重い意味があります。中国は(1)「世界で中国はただ一つである」、(2)「台湾は中国の不可分の一部である」、(3)「中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府である」と定義しています。よって、馬英九総統が「一中(一つの中国)」だけに言及し、「各表」に触れなければ、(1)(2)(3)を認めるのと同じことになり、「一つの中国」は「中華民国」であるという国民党の理念が崩れることになります。つまり、国民党にとって「各表」は生命線なのです。それを貫けないことが国際メディアの前で明らかになってしまいました。

馬英九総統は、この会談の場で中国側の意向に沿った行動を取るのか、会談そのものを破談にするのか、選択を迫られたものとみられます。なぜ馬英九総統はあのような態度を取ったのか。実は本人に尋ねたことがあります。2016年に総統を退任した直後のことでした。しかし、正面からの回答は得られませんでした。

以上のように中国は、馬英九氏を中国寄りに動かす工作に成功しました。しかし、これが中国にとって必ずしも得策ではないことを中国共産党は理解していません。馬英九政権は中国側に寄りすぎるあまり国民の支持を失い、民進党に政権を明け渡すことになったのですから。

—中国が国民党を籠絡しても、国民党が台湾の人々から支持を得ていなければ、台湾統一には結びつかないですね。

小笠原:そうなのです。民主主義国では当たり前のそのことが、中国共産党には真に理解することができないのです。

蔡英文政権は「一つの中国」を否定、遠のく平和的統一

—そして、2016年の総統選で蔡英文氏(民進党)が勝利し、現在の蔡英文政権が誕生しました。

小笠原:蔡英文氏は、陳水扁政権の失敗に学び、民進党の理念である独立を封印。台湾アイデンティティーの立場に軸足を置いたことが勝因になりました。

蔡英文氏は米国の支持を獲得することにも成功しています。2015年に訪米し「現状維持の方針を取る。陳水扁総統のような行動は取らない」と説明し、時のオバマ政権を説得しました。オバマ政権は2012年の総統選挙では馬英九氏を支持していました。

—蔡英文政権が現状維持の方針であるにもかかわらず、中国は厳しい姿勢を続けていますね。それが、台湾有事に注目が集まる環境を生み出しました。

小笠原:それには、いくつか理由が挙げられます。第1は、中国政府が中台間の話し合いの前提とする「一つの中国」を、蔡英文政権が否定していること。第2は、台湾において台湾アイデンティティーが広まり、統一拒否がコンセンサスになっていること。世論調査で、「現状維持」と「独立志向」を合わせた87.1%が統一拒否という結果が出ていることは既にお話ししました。この第2の要因が、蔡英文政権が現状維持の方針を採用した背景に存在します。これらの理由から、中国が望む「話し合いによる平和的な統一」は困難な状況になっています。

第3は、習近平国家主席が自分の手で統一を実現するという強い意志を持っていることです。習近平氏は2022年秋に予定される党大会で、3期目に任期を延長するとみられています。台湾統一に向けて前進することができれば、任期延長を正当化する材料にできます。

—そして、統一を促進する具体的手段として「武力による威嚇」をてこにした「平和統一」に取り組んでいるわけですね。

小笠原:そういうことです。

(次回に続く)

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